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特開2024-147382画像形成装置および補給管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147382
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】画像形成装置および補給管理システム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241008BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20241008BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G03G21/00 512
G03G21/00 388
G03G21/00 386
G03G15/08 340
B41J29/38 204
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060348
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】今西 洋介
【テーマコード(参考)】
2C061
2H077
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061HK19
2C061HN08
2C061HN15
2H077AA07
2H077AA35
2H077DA13
2H077DA15
2H077DB10
2H077GA04
2H270KA59
2H270KA62
2H270LA87
2H270MA18
2H270NB02
2H270NB04
2H270NB08
2H270NB10
2H270NC02
2H270NC06
2H270NC17
2H270NC26
2H270ND04
2H270ND11
2H270ND12
2H270QA23
2H270QA33
2H270QA35
2H270QB03
2H270QB11
2H270RA10
2H270RA19
2H270RC05
2H270RC16
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】従来よりもトナー切れの可能性を低減する。
【解決手段】画像形成装置(1)のコントローラ(61)は、本体(10)の外側に装着されたトナーパウチ(3)のトナーが無くなったか否かを判定し、本体(10)に装着されたトナーパウチ(3)のトナーが無くなったと判定された場合に、新たなトナーパウチ(3)の配送要求をサーバへ送信する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと通信可能な画像形成装置であって、
トナーを収容するトナーパウチが外側から装着可能な本体と、
コントローラと、を備え、
前記トナーパウチは、
前記トナーの収容量に関する第1情報を記憶するトナーメモリを有し、
前記コントローラは、
前記本体の外側に前記トナーパウチが装着された後に、前記第1情報を更新する更新処理と、
前記更新処理において更新された前記第1情報に基づいて、前記本体の外側に装着された前記トナーパウチの前記トナーが無くなったか否かを判定する第1判定処理と、
前記第1判定処理において、前記本体に装着された前記トナーパウチの前記トナーが無くなったと判定された場合、新たなトナーパウチの配送要求を前記サーバへ送信する配送要求処理と、を実行する、画像形成装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記本体の外側に前記トナーパウチが装着された場合に、前記更新処理の前に、前記トナーメモリから前記第1情報を読み出す第1読出処理を実行する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記更新処理において、前記第1読出処理により読み出された前記第1情報を更新する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記本体の外側に装着された前記トナーパウチから前記トナーを補給している間に、前記更新処理を実行する、請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
本体メモリを更に備え、
前記トナーメモリは、前記トナーパウチを識別するための識別情報を更に記憶し、
前記コントローラは、
前記本体の外側に装着された前記トナーパウチの前記トナーメモリから前記識別情報を読み出す第2読出処理と、
前記第2読出処理により読み出された前記識別情報が前記本体メモリに記憶されていない場合に、前記本体メモリに前記識別情報を記憶させる記憶処理を更に実行する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記第1読出処理および前記第2読出処理の後に、前記記憶処理を実行し、
前記記憶処理において、前記第1読出処理により読み出された前記第1情報を、第2情報として、前記第2読出処理により読み出された前記識別情報と関連付けて前記本体メモリに記憶させ、
前記更新処理において、前記本体の外側に装着された前記トナーパウチから前記トナーを補給している間に、前記本体の外側に装着された前記トナーパウチに関する前記第2情報を更新する、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
ディスプレイを更に備え、
前記本体メモリは、
前記本体に収容することができる前記トナーの最大収容量に関する第3情報と、
前記本体に収容されている現在の前記トナーの収容量に関する第4情報と、を記憶し、
前記コントローラは、
前記第3情報と前記第4情報との差である補給可能量に関する第5情報を取得する取得処理と、
前記第2情報に基づく前記トナーパウチの現在の前記トナーの収容量が、前記取得処理で取得された前記第5情報としての前記補給可能量よりも小さいか否かを判定する第2判定処理と、
前記第2判定処理において、前記第2情報に基づく前記トナーパウチの現在の前記トナーの収容量が、前記取得処理で取得された前記第5情報としての前記補給可能量よりも小さいと判断された場合、前記識別情報を前記本体メモリから抽出する抽出処理と、
前記抽出処理で抽出した前記識別情報を、前記ディスプレイに表示させる表示処理と、
を更に実行する、請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記第1判定処理において、前記本体の外側に装着された前記トナーパウチの前記トナーがなくなったと判定された場合に、前記本体の外側に装着された前記トナーパウチの前記識別情報と、前記識別情報に関連づいている前記第2情報とを、前記本体メモリから消去する消去処理を更に実行する、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記消去処理が実行された後に、前記配送要求処理を実行する、
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記コントローラは、
前記配送要求処理が実行された後に、前記消去処理を実行する、
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記コントローラは、
前記更新処理において、前記本体の外側に装着された前記トナーパウチから前記トナーを補給している間に、前記トナーメモリに記憶されている前記第1情報を更新する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項12】
請求項1から11の何れか一項に記載の画像形成装置と、
前記サーバと、を備える補給管理システムであって、
前記サーバは、
前記画像形成装置から前記配送要求を受け付け可能である、補給管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置および補給管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが事業者と契約することで、画像形成装置において契約専用の消耗品または交換品を使用することができるサービスが存在する。このようなサービスは「サブスクリプションサービス」と呼ばれる。
【0003】
特許文献1には、識別用のコードを記憶するメモリチップを備える補給パックから貯蔵部内へトナーを補給可能な画像形成装置であって、貯蔵部内のトナー残量の低下等をトリガとして補給パックを発注する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2023-290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の画像形成装置では、貯蔵部内のトナー残量が所定残量を下回ると、新しいトナーパウチが発注される。この方法では、発注された新しいトナーパウチが届く前にトナーを使い切ってしまい、印刷ができないことがある。
【0006】
本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、従来よりもトナー切れの可能性を低減した画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の第1態様の画像形成装置は、サーバと通信可能な画像形成装置であって、トナーを収容するトナーパウチが外側から装着可能な本体と、コントローラと、を備え、前記トナーパウチは、前記トナーの収容量に関する第1情報を記憶するトナーメモリを有し、前記コントローラは、前記本体の外側に前記トナーパウチが装着された後に、前記第1情報を更新する更新処理と、前記更新処理において更新された前記第1情報に基づいて、前記本体の外側に装着された前記トナーパウチの前記トナーが無くなったか否かを判定する第1判定処理と、前記第1判定処理において、前記本体に装着された前記トナーパウチの前記トナーが無くなったと判定された場合、新たなトナーパウチの配送要求を前記サーバへ送信する配送要求処理と、を実行する。
【0008】
本開示の第2態様の画像形成装置は、第1態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記本体の外側に前記トナーパウチが装着された場合に、前記更新処理の前に、前記トナーメモリから前記第1情報を読み出す第1読出処理を実行する。
【0009】
本開示の第3態様の画像形成装置は、第2態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記更新処理において、前記第1読出処理により読み出された前記第1情報を更新する。
【0010】
本開示の第4態様の画像形成装置は、第3態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記本体の外側に装着された前記トナーパウチから前記トナーを補給している間に、前記更新処理を実行する。
【0011】
本開示の第5態様の画像形成装置は、第2態様の画像形成装置であって、本体メモリを更に備え、前記トナーメモリは、前記トナーパウチを識別するための識別情報を更に記憶し、前記コントローラは、前記本体の外側に装着された前記トナーパウチの前記トナーメモリから前記識別情報を読み出す第2読出処理と、前記第2読出処理により読み出された前記識別情報が前記本体メモリに記憶されていない場合に、前記本体メモリに前記識別情報を記憶させる記憶処理を更に実行する。
【0012】
本開示の第6態様の画像形成装置は、第5態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記第1読出処理および前記第2読出処理の後に、前記記憶処理を実行し、前記記憶処理において、前記第1読出処理により読み出された前記第1情報を、第2情報として、前記第2読出処理により読み出された前記識別情報と関連付けて前記本体メモリに記憶させ、前記更新処理において、前記本体の外側に装着された前記トナーパウチから前記トナーを補給している間に、前記本体の外側に装着された前記トナーパウチに関する前記第2情報を更新する。
【0013】
本開示の第7態様の画像形成装置は、第6態様の画像形成装置であって、ディスプレイを更に備え、前記本体メモリは、前記本体に収容することができる前記トナーの最大収容量に関する第3情報と、前記本体に収容されている現在の前記トナーの収容量に関する第4情報と、を記憶し、前記コントローラは、前記第3情報と前記第4情報との差である補給可能量に関する第5情報を取得する取得処理と、前記第2情報に基づく前記トナーパウチの現在の前記トナーの収容量が、前記取得処理で取得された前記第5情報としての前記補給可能量よりも小さいか否かを判定する第2判定処理と、前記第2判定処理において、前記第2情報に基づく前記トナーパウチの現在の前記トナーの収容量が、前記取得処理で取得された前記第5情報としての前記補給可能量よりも小さいと判断された場合、前記識別情報を前記本体メモリから抽出する抽出処理と、前記抽出処理で抽出した前記識別情報を、前記ディスプレイに表示させる表示処理と、を更に実行する。
【0014】
本開示の第8態様の画像形成装置は、第7態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記第1判定処理において、前記本体の外側に装着された前記トナーパウチの前記トナーがなくなったと判定された場合に、前記本体の外側に装着された前記トナーパウチの前記識別情報と、前記識別情報に関連づいている前記第2情報とを、前記本体メモリから消去する消去処理を更に実行する。
【0015】
本開示の第9態様の画像形成装置は、第8態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記消去処理が実行された後に、前記配送要求処理を実行する。
【0016】
本開示の第10態様の画像形成装置は、第8態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記配送要求処理が実行された後に、前記消去処理を実行する。
【0017】
本開示の第11態様の画像形成装置は、第1態様の画像形成装置であって、前記コントローラは、前記更新処理において、前記本体の外側に装着された前記トナーパウチから前記トナーを補給している間に、前記トナーメモリに記憶されている前記第1情報を更新する。
【0018】
本開示の第12態様の補給管理システムは、第1態様から第11態様の何れかの画像形成装置と、前記サーバと、を備える補給管理システムであって、前記サーバは、前記配送要求を受け付け可能である。
【0019】
また、本開示の各態様に係る画像形成装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記画像形成装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記画像形成装置をコンピュータにて実現させる画像形成装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本開示の範疇に入る。
【発明の効果】
【0020】
第1態様の画像形成装置によれば、トナーパウチに収容されたトナーが無くなったと判定された後に、新たなトナーパウチの発送要求をサーバへ送信する。これにより、補給したトナーを使用する前に新たなトナーパウチの発送要求を実行することができるため、従来よりもトナーを使い切るまでの期間を長く確保することができ、トナー切れの可能性を低減することができる。
【0021】
第4態様の画像形成装置によれば、画像形成装置のコントローラは、本体の外側に装着されたトナーパウチからトナーを補給している間に、更新処理を実行する。これにより、1つのトナーパウチを用いて複数の画像形成装置にトナーを補給する場合であっても、トナーパウチのトナーを使い切ったことを適正に判定することができる。
【0022】
第5態様の画像形成装置によれば、画像形成装置のコントローラは、本体の外側に装着されたトナーパウチの識別情報を本体メモリに記憶させる。これにより、コントローラは、本体の外側に装着されたトナーパウチを識別し、好適にトナーパウチの管理を実行することができる。
【0023】
第6態様の画像形成装置によれば、画像形成装置のコントローラは、本体の外側に装着されたトナーパウチの第1情報を、第2情報として識別情報と関連付けて記憶する。これにより、コントローラは、ユーザが所有する旧品のトナーパウチについてトナーの残量を一元管理することができる。
【0024】
第7態様の画像形成装置によれば、画像形成装置のコントローラは、第2情報が示すトナーの現残量が、第5情報が示す補給可能量以下のトナーパウチについて、識別情報を本体メモリから読み出し、ディスプレイに表示させる。これにより、ユーザに対して、使い切ることが可能な旧品のトナーパウチの使用を促すことができる。ユーザが旧品のトナーパウチを使い切ることにより、新たなトナーパウチの配送要求がサーバへ送信されるため、トナー切れの可能性を低減することができる。
【0025】
第8態様の画像形成装置によれば、画像形成装置のコントローラは、本体に装着されたトナーパウチのトナーがなくなったと判定された場合に、そのトナーパウチの識別情報と、その識別情報に関連づいている第2情報とを、本体メモリから消去する。これにより、コントローラは、トナーの補充に使用可能なトナーパウチの識別情報だけが本体メモリに記憶されている状態を保つことができる。
【0026】
トナーの補給が終わった後、ユーザが後続の処理の完了を待たずに画像形成装置の電源を切ることが考えられる。第9態様の画像形成装置によれば、画像形成装置のコントローラは、配送要求処理の実行前に消去処理を実行する。これにより、補給完了後、後続の処理の完了を待たずにユーザが電源を切った場合であっても、本体メモリに記憶されているトナーパウチに関する情報が好適な状態で維持されやすい。
【0027】
トナーの補給が終わった後、ユーザが後続の処理の完了を待たずに画像形成装置の電源を切ることが考えられる。第10態様の画像形成装置によれば、画像形成装置のコントローラは、消去処理の実行前に、配送要求処理を実行する。これにより、補給完了後、後続の処理の完了を待たずにユーザが電源を切った場合であっても、トナーパウチの発注処理が実行される可能性が高く、トナー切れの可能性を低減することができる。
【0028】
第11態様の画像形成装置によれば、画像形成装置のコントローラは、本体の外側に装着されたトナーパウチからトナーを補給している間に、トナーメモリに記憶されている第1情報を更新する。これにより、1つのトナーパウチを用いて複数の画像形成装置にトナーを補給する場合であっても、トナーパウチのトナーを使い切ったことを適正に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本開示の実施形態1における補給管理システムの概要を示す図である。
図2】本開示の実施形態1における補給管理システムに含まれる画像形成装置の概略図である。
図3】本開示の実施形態1における補給管理システムに含まれる、画像形成装置、トナーパウチおよびサーバそれぞれの内部構造を示す図である。
図4】本開示の実施形態1における補給管理システムにおいて、トナーパウチが画像形成装置の本体の外部に装着された場合に画像形成装置が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図5】トナーパウチからトナーを補給する場合における画像形成装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図6】本開示の実施形態1における補給管理システムにおいて、画像形成装置により実行される印刷処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7図6の表示処理において、ディスプレイに表示される画面の一例を示す図である。
図8図6の抽出処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】本開示の実施形態1における補給管理システムにおいて、画像形成装置が起動されたときに実行される処理の流れを示すフローチャートである。
図10】本開示の実施形態2における補給管理システムに含まれる画像形成装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
〔実施形態1〕
〔補給管理システムの概要〕
図1は、本開示の実施形態1の補給管理システムの概要を示す図である。図1に示すように、補給管理システム100は、画像形成装置1と、サーバ8とを備えている。画像形成装置1は、画像形成装置1に対する契約の締結により提供されるサービスを実現するための装置である。「契約」とは、画像形成装置1のユーザUと事業者SPとの間で締結される契約である。以降の説明では、画像形成装置1のユーザUは、事業者SPと契約を締結しているものとする。
【0031】
画像形成装置1は、レーザプリンタであり、トナーを消費して印刷媒体に画像を形成することができる。印刷媒体とは、例えば、普通紙、厚紙、光沢紙、ラベル紙である。以下では、トナーを消費して印刷媒体に画像を形成することを、印刷と記載する。画像形成装置1は、トナーパウチ3からトナーを補給することができる。
【0032】
サーバ8は、画像形成装置1とネットワークNWを介して通信可能な外部の装置であって、事業者SPが管理している。サーバ8は、ネットワークNWを介して、契約の対象となる画像形成装置1からトナーパウチ3の配送要求を受け付け可能である。事業者SPは、サーバ8がトナーパウチ3の配送要求を受信すると、トナーパウチ3を画像形成装置1のユーザUへ配送する。
【0033】
〔画像形成装置の概要〕
図2は、本開示の実施形態1における補給管理システムに含まれる画像形成装置の概略図である。図2に示すように、実施形態1に関する画像形成装置1Aは、モノクロレーザプリンタである。
【0034】
画像形成装置1Aは、本体10を備えている。本体10は、補給部12、タンク13、給紙トレイ20、ピックアップローラ21、分離ローラ22、搬送ローラ23、現像ローラ41、帯電ローラ42、転写ローラ43、感光体ドラム44、クリーニングユニット45、光源ユニット50、コントローラ61、本体メモリ62、ディスプレイ65、入力部66、定着器70、排出ローラ74、および排出トレイ75を有している。なお、帯電ローラ42に代えて、スコロトロン型の帯電器を有する構成でもよい。
【0035】
給紙トレイ20には、印刷媒体Sが収容されている。ピックアップローラ21は、給紙トレイ20に収容されている印刷媒体Sをピックアップする。分離ローラ22は、1枚の印刷媒体Sを分離する。分離ローラ22および搬送ローラ23は、記録媒体Sを、転写ローラ43および感光体ドラム44の間の転写ニップに向けて搬送する。
【0036】
帯電ローラ42は、感光体ドラム44に圧接されており、感光体ドラム44の表面を均一に帯電させている。光源ユニット50は、感光体ドラム44の表面と向かい合って配置されている。光源ユニット50は、コントローラ61と電気的に接続されている。コントローラ61は、入力された画像データに応じて、感光体ドラム44の外周面に配置された感光材料を露光させる。タンク13には、トナーが収容されている。現像ローラ41は、タンク13に収容されているトナーを感光体ドラム44の外周面に供給する。トナーが供給された感光体ドラム44の外周面には、トナー像が形成される。転写ローラ43は、感光体ドラム44の外周面に形成されたトナー像を、転写ニップに搬送されてきた記録媒体Sへ転写する。クリーニングユニット45は、感光体ドラム44の表面に残存したトナーを除去する。
【0037】
定着器70は、加圧ローラ71および加熱ローラ72を有している。加圧ローラ71は、加熱ローラ72との間でニップを形成する。加圧ローラ71は、加熱ローラ72との間のニップに記録媒体Sを搬送する。加熱ローラ72は、ヒータ73を有しており、記録媒体Sを加熱する。加圧ローラ71と加熱ローラ72との間のニップを通過した記録媒体Sには、トナー像が定着する。トナー像が定着した印刷媒体Sは、排出ローラ74により排出トレイ75に排出される。
【0038】
トナーパウチ3は、ノズル30と、収容部31とを有している。収容部31は、画像形成装置1のタンク13に収容可能なトナーの量よりも多くトナーを収容することができる。収容部31に収容されているトナーは、ノズル30から供給可能である。
【0039】
本体10の補給部12には、本体10の外部からトナーパウチ3を装着することができる。補給部12は、装着されたトナーパウチ3のノズル30から本体10のタンク13へトナーを補給する。補給部12は、例えば、タンク13へのトナーの補給経路、補給経路を開閉するバルブ、トナーをタンク13へ吸引するポンプ等を有している。
【0040】
コントローラ61は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit
:特定用途向け集積回路)を有する。コントローラ61は、種々のプログラムを実行することによって、画像形成装置1Aの各部を制御し、印刷処理およびそれに付随する処理を行わせる。
【0041】
ディスプレイ65は、例えば、本体10の外表面に配置されている。ディスプレイ65には、コントローラ61の制御のもと、画像形成装置1Aの操作画面等が表示される。入力部66は、ユーザUが操作入力を行うための入力部材である。入力部66は、例えば、本体10の外表面に設けられた操作ボタンである。ディスプレイ65は、タッチパネルであってもよい。ディスプレイ65がタッチパネルである場合、入力部66には、ユーザUがタッチパネルに触れた位置を検出するタッチセンサが含まれる。
【0042】
〔画像形成装置の内部構造〕
図3は、画像形成装置1、トナーパウチ3およびサーバ8それぞれの内部構造を示す図である。図3に示すように、画像形成装置1は、本体メモリ62、第1通信部63、および第2通信部64を更に有している。
【0043】
トナーパウチ3は、トナーメモリ32および第3通信部33を更に有している。トナーメモリ32は、例えば、ICタグである。トナーメモリ32は、識別情報92および第1情報93を記憶している。
【0044】
識別情報92は、トナーパウチ3を識別するための情報である。識別情報92は、例えば、製造番号を示す情報である。第1情報93は、トナーパウチ3の収容部31に現在収容されているトナーの収容量(残量)を示す情報である。
【0045】
画像形成装置1の本体メモリ62は、情報の読み出しおよび書き込みが可能な不揮発性のメモリである。本体メモリ62は、例えばフラッシュROMまたはEEPROM(登録商標)である。本体メモリ62には、第3情報621と識別情報テーブル622と第4情報623とが記憶されている。第3情報621は、タンク13に収容可能なトナーの最大収容量を示している。第4情報623は、タンク13に収容されているトナーの残量を示す情報である。
【0046】
識別情報テーブル622は、トナーの補給に利用されたトナーパウチ3であって、収容部31にトナーが残っているトナーパウチ3について、識別情報92と現残量を示す第2情報とを記憶する。すなわち、識別情報テーブル622に識別情報92が記憶されているトナーパウチ3は、トナーの補給に使用されたことがあり、かつ、収容部31にトナーが残っている。以降、トナーの補給に使用されたことがあるトナーパウチ3のことを旧品のトナーパウチ3と記載する。
【0047】
第1通信部63は、サーバ8のサーバ通信部83との間で情報の送受信を行う通信インタフェースである。第1通信部63は、図1に示したネットワークNWを介して、サーバ8のサーバ通信部83との間で情報の送受信を行う。また、第1通信部63は、ユーザUが所持する情報端末等から印刷ジョブを受信することができる。
【0048】
画像形成装置1の第2通信部64およびトナーパウチ3の第3通信部33は、例えば、電気接点を有している。第2通信部64は、例えば、補給部12に設けられている。第3通信部33は、例えば、トナーパウチ3のノズル30に設けられている。トナーパウチ3が補給部12に装着されると、第3通信部33が第2通信部64に接触し、電気的に接続される。コントローラ61は、第2通信部64を介して、補給部12に装着されたトナーパウチ3のトナーメモリ32に対して情報の書き込み、および情報の読み出しを実行することができる。
【0049】
サーバ8は、サーバ制御部81と、サーバメモリ82と、サーバ通信部83とを有している。サーバ制御部81は、CPU等のプロセッサを備えている。サーバメモリ82は、サーバ制御部81が実行するプログラムを記憶している。サーバ通信部83は、画像形成装置1の第1通信部63との間で情報の送受信を行う通信インタフェースである。サーバ制御部81は、サーバメモリ82に記憶されたプログラムを実行することにより、サーバ通信部83を介して受信したトナーパウチ3の配送要求を処理する。
【0050】
〔トナーパウチ装着時に行う処理〕
図4は、トナーパウチ3が画像形成装置1の本体の外部に装着された場合における画像形成装置1の処理の流れを示すフローチャートである。図4に示す処理は、コントローラ61の制御のもと実行される。
【0051】
S1において、画像形成装置1のコントローラ61は、本体10の補給部12にトナーパウチ3が装着されたか否かを判定する。コントローラ61は、例えば、第2通信部64が第3通信部33に接続された場合に本体10の補給部12にトナーパウチ3が装着されたと判定する。コントローラ61は、本体10の補給部12にトナーパウチ3が装着されていない場合(S1:NO)、特段の処理を実行せず、再び図4に示す処理が実行されるまで待機する。コントローラ61は、本体10の補給部12にトナーパウチ3が装着された場合に(S1:YES)、第2通信部64を制御してトナーメモリ32から識別情報92および第1情報93を読み出す(S2)。S2の処理は、第1読出処理および第2読出処理の一例である。
【0052】
続くS3において、コントローラ61は、本体メモリ62の識別情報テーブル622に1つ以上の識別情報92が記憶されているかを判定する。コントローラ61は、本体メモリ62の識別情報テーブル622に1つ以上の識別情報92が記憶されている場合(S3:YES)、S4の処理に進む。すなわち、コントローラ61は、トナーの補給に使用可能な旧品のトナーパウチ3が存在する場合、S4の処理に進む。
【0053】
一方、コントローラ61は、本体メモリ62の識別情報テーブル622に1つ以上の識別情報92が記憶されていない場合(S3:NO)、S5の処理に進む。すなわち、コントローラ61は、トナーの補給に使用可能な旧品のトナーパウチ3が存在しない場合、S5の処理に進む。トナーの補給に使用可能な旧品のトナーパウチ3が存在しない場合とは、例えば、画像形成装置1の補給部12に初めてトナーパウチ3が装着された場合、或いは、前回のトナーの補給においてユーザUが所有するトナーパウチ3のトナーをすべて使い切った場合等である。
【0054】
S4において、コントローラ61は、S2で読み出された識別情報92が本体メモリ62の識別情報テーブル622に記憶されているか否かを判定する。コントローラ61は、S2で読み出された識別情報92が本体メモリ62の識別情報テーブル622に記憶されている場合(S4:YES)、図4に示す処理を終了する。コントローラ61は、後述する補給処理を開始し、補給部12に装着されているトナーパウチ3からタンク13へのトナーの補給を開始する。
【0055】
一方、コントローラ61は、S2で読み出された識別情報92が本体メモリ62の識別情報テーブル622に記憶されていない場合(S4:NO)、S5の処理に進む。すなわち、コントローラ61は、補給部12に装着されたトナーパウチ3がトナーの補給に一度も使用されていない新品である場合、S5の処理に進む。
【0056】
S5において、コントローラ61は、S2にて読み出された識別情報92および第1情報93を識別情報テーブル622に記憶させる記憶処理を実行する(S5)。S2にて読み出された第1情報93は、S2にて読み出された識別情報92に関連づいた第2情報として識別情報テーブル622に記憶させる。。コントローラ61は、記憶処理を行うことにより、本体メモリ62の識別情報テーブル622に基いて、旧品のトナーパウチ3を容易に管理することができる。また、S2において読み出された第1情報93を識別情報92と関連付けて識別情報テーブル622に記憶させることにより、コントローラ61は、ユーザUが所有する旧品のトナーパウチ3についてトナーの残量を一元管理することができる。
【0057】
コントローラ61は、記憶処理(S5)の後、図4に示す処理を終了する。コントローラ61は、後述する補給処理を開始し、補給部12に装着されているトナーパウチ3からタンク13へのトナーの補給を開始する。
【0058】
〔トナーの補給〕
図5は、補給部12に装着されているトナーパウチ3からタンク13へトナーを補給する場合における画像形成装置1の処理の流れの一例を示すフローチャートである。以降、補給部12に装着されているトナーパウチ3のことを、単にトナーパウチ3と記載する。
【0059】
S20において、コントローラ61は、トナーパウチ3からトナーの補給を開始するか否かを判定する。コントローラ61は、例えば、トナーパウチ3のトナーメモリに記憶されている識別情報92が識別情報テーブル622に記憶されている場合(図4のS4:YES)、または、図4のS5の処理が行われた場合に、トナーパウチ3からトナーの補給を開始すると判定し(S20:YES)、S21の処理に進む。コントローラ61は、トナーパウチ3からトナーの補給を開始しないと判定している間(S20:NO)、トナーパウチ3からのトナーの補給を行わずに待機する。
【0060】
S21において、コントローラ61は、第2通信部64を介して、トナーパウチ3のトナーメモリ32から識別情報92および第1情報93を読み出す。S21においてコントローラ61が実行する処理は、第1読出処理の一例である。コントローラ61は、トナーパウチ3のトナーメモリ32から読み出した識別情報92および第1情報93に基づいて、識別情報テーブル622に記憶されている第2情報を更新する。
【0061】
S22において、コントローラ61は、トナーパウチ3の収容部31に収容されているトナーの残量が0か否かを判定する。コントローラ61は、S21においてトナーパウチ3のトナーメモリ32から読み出した識別情報92と関連づけて識別情報テーブル622に記憶されている第2情報に基づいて、トナーの残量が0か否かを判定する第1判定処理を行う。コントローラ61は、トナーパウチ3の収容部31に収容されているトナーの残量が0である場合(S22:YES)、S35の処理に進む。
【0062】
コントローラ61は、トナーパウチ3の収容部31に収容されているトナーの残量が0でない場合(S22:NO)、トナーの補給が行われている補給時間tを計測する計測処理を開始する(S23)。コントローラ61は、補給部12を制御して、トナーパウチ3からタンク13へのトナーの補給を開始する(S24)。S24以降、補給部12は、トナーパウチ3の収容部31から本体10のタンク13へトナーを補給する。コントローラ61は、単位時間あたりのトナー補給量Xが一定になるように、補給部12を制御する。
【0063】
S25において、コントローラ61は、補給時間tが所定の残量更新時間T1に到達したか否かを判定する。残量更新時間T1は、トナーメモリ32への情報の書き込みに要する時間よりも長い値に予め定められている。コントローラ61は、補給時間tが所定の残量更新時間T1に到達するまでトナーの補給を行い(S25:NO)、補給時間tが所定の残量更新時間T1に到達すると(S25:YES)、S26の処理に進む。
【0064】
S26において、コントローラ61は、識別情報テーブル622に記憶されているトナーパウチ3のトナーの現残量に関する第2情報を更新する。例えば、コントローラ61は、識別情報テーブル622に記憶されているトナーパウチ3の第2情報が示すトナーパウチ3の現残量が単位時間あたりのトナー補給量Xと補給時間tの積により決定されるトナー補給量より大きいか否かを判定する。コントローラ61は、トナーパウチ3の現残量がトナー補給量より大きいと判定する場合、トナーパウチ3の第2情報が示すトナーパウチ3の現残量からトナー補給量を減ずることにより、トナーパウチ3の現残量を決定する。一方、コントローラ61は、トナーパウチ3の現残量がトナー補給量より小さいと判定する場合、トナーパウチ3の現残量を0に決定する。すなわち、コントローラ61は、トナーパウチ3の第2情報からトナー補給量Xと補給時間tの積を減ずると0以下になる場合、トナーパウチ3の現残量を0に決定する。コントローラ61は、トナーパウチ3について、決定した現残量を用いて、識別情報テーブル622の第2情報を更新する。
【0065】
続くS27において、コントローラ61は、S26で更新した第2情報に基づいて、トナーパウチ3のトナーメモリ32に記憶されている第1情報93を更新する。本体の外側に装着されたトナーパウチ3からトナーを補給している間に、トナーメモリに記憶されている第1情報を更新することにより、1つのトナーパウチ3を用いて複数の画像形成装置にトナーを補給する場合であっても、トナーパウチ3のトナーを使い切ったことを適正に判定することができる。
【0066】
続くS28において、コントローラ61は、本体10のタンク13に補給可能なトナーの量を示す第5情報を取得する取得処理を実行する。第5情報は、例えば、第3情報621から第4情報623を減ずることにより取得することができる。つまり、第5情報は、タンク13に収容されているトナーの残量に加えて、タンク13に補給可能なトナー容量を示す情報である。
【0067】
続くS29において、コントローラ61は、トナー補給後の第4情報623を決定する。コントローラ61は、S28で取得した第5情報が単位時間あたりのトナー補給量Xと補給時間tの積により決定されるトナー補給量より大きいか否かを判定する。コントローラ61は、S28で取得した第5情報が単位時間あたりのトナー補給量Xと補給時間tの積により決定されるトナー補給量より大きいと判定する場合、トナー補給量Xと補給時間tの積により決定されるトナー補給量を、本体メモリ62に記憶されている第4情報623に加算する。一方、コントローラ61は、第5情報が単位時間あたりのトナー補給量Xと補給時間tの積により決定されるトナー補給量以下であると判定する場合、第4情報623を第3情報621と同じ値に決定する。
【0068】
続く、S30において、コントローラ61は、トナーの補給を終了するか否か判定する。コントローラ61は、予め決められた複数の補給終了条件のいずれかが達成された場合に、トナーの補給を終了すると判定する。補給終了条件には、トナーパウチ3の現残量が0であること、および、第4情報623が第3情報621と同値であることが少なくとも含まれる。コントローラ61は、例えば、トナーパウチ3の現残量が0であること、および、第4情報623が第3情報621と同値であることのいずれかが達成されたとき、補給終了条件が達成されたと判定する。補給終了条件には、例えば、トナーパウチ3が補給部12から外されたこと、ユーザUが所定の終了操作を行ったこと等を含むことにしてもよい。コントローラ61は、いずれの補給終了条件も達成されていない場合(S30:NO)、補給時間tをリセットし、S31の処理に進み、トナーの補給を継続する。コントローラ61は、いずれかの補給終了条件が達成された場合(S30:YES)、トナーの補給を終了し(S32)、補給時間tの計測を終了する(S33)。
【0069】
続く、S34において、コントローラ61は、トナーパウチ3の収容部31に収容されているトナーの現残量が0か否かを判定する第1判定処理を実行する。コントローラ61は、S29において決定したトナーパウチ3の現残量が0である場合(S34:YES)、S35の処理に進む。一方、S29において決定したトナーパウチ3の現残量が0でない場合(S34:NO)、図5の処理を終了する。S35において、コントローラ61は、識別情報テーブル622から補給部12に装着されているトナーパウチ3に関する情報を消去する消去処理を実行する。コントローラ61は、消去処理(S35)実行した後に、S36の処理に進む。S36において、コントローラ61は、第1通信部63を介して、新たなトナーパウチ3の配送要求をサーバ8へ送信する配送要求処理を実行し、図5の処理を終了する。
【0070】
上記実施形態によれば、画像形成装置のコントローラ61は、本体に装着されたトナーパウチ3のトナーがなくなったと判定された場合に、そのトナーパウチ3の識別情報と、その識別情報に関連づいている第2情報とを、本体メモリ62から消去する。これにより、コントローラ61は、トナーの補充に使用可能なトナーパウチ3の識別情報だけが本体メモリ62に記憶されている状態を保つことができる。
【0071】
トナーの補給が終わった後、ユーザUが後続の処理の完了を待たずに画像形成装置1Aの電源を切ることが考えられる。上記の実施形態によれば、画像形成装置1Aのコントローラ61は、配送要求処理(S36)の実行前に消去処理(S35)を実行する。これにより、補給完了後、後続の処理の完了を待たずにユーザUが画像形成装置1Aの電源を切った場合であっても、本体メモリ62に記憶されているトナーパウチ3に関する情報が好適な状態で維持されやすい。
【0072】
上記の実施形態によれば、トナーパウチ3に収容されたトナーが無くなったと判定された後に、新たなトナーパウチ3の発送要求をサーバ8へ送信する。これにより、補給したトナーを使用する前に新たなトナーパウチ3の発送要求を実行することができるため、従来よりもトナーを使い切るまでの期間を長く確保することができ、トナー切れの可能性を低減することができる。
【0073】
図6は、本開示の実施形態1における補給管理システムにおいて、画像形成装置により実行される印刷処理の流れの一例を示すフローチャートである。S41において、コントローラ61は、印刷を実行するか否かを判定する。コントローラ61は、例えば、第1通信部63を介して印刷ジョブを受信した場合、印刷を実行すると判定する。コントローラ61は、例えば、第1通信部63を介して印刷ジョブを受信しておらず、入力部66を介して所定の印刷開始操作を受け付けていない場合、印刷を実行すると判定する。コントローラ61は、印刷を実行すると判定すると判定するまでS41の処理を繰り返す(S41:NO)。コントローラ61は、印刷を実行すると判定したとき(S41:YES)、電子写真方式の画像形成処理を実行する(S42)。印刷ジョブに基づく印刷が複数ページに跨る場合、1回のS42の処理では、所定ページ分、例えば、1ページ分の画像形成処理が実行される。
【0074】
続くS43において、コントローラ61は、画像形成処理(S42)によるトナーの消費量を決定する。トナーの消費量の決定方法については、任意の方法を使用することができる。例えば、コントローラ61は、画像形成処理(S42)における現像ローラ41の回転時間tを測定し、現像ローラ41の回転時間tに単位時間あたりのトナーの消費量Yを乗じて、画像形成処理によるトナーの消費量を決定する。続くS44において、コントローラ61は、S43にて決定したトナーの消費量を、本体メモリ62に記憶されている第4情報623から減ずることにより、第4情報623を更新する。
【0075】
続くS45において、コントローラ61は、印刷を終了するか否かを判定する。コントローラ61は、例えば、印刷ジョブに画像形成処理が実行されていないページが残っている場合、印刷を終了しないと判定し(S45:NO)、S42の処理に進み、次ページについて画像形成処理を実行する。コントローラ61は、例えば、印刷ジョブに画像形成処理が実行されていないページが残っていない場合、印刷を終了すると判定し(S45:YES)、S46の処理に進む。
【0076】
続くS46において、コントローラ61は、本体10のタンク13へのトナーの補給に使用することでトナーを使い切ることができるトナーパウチ3を抽出する抽出処理を実行する。以降、本体10のタンク13へのトナーの補給に使用することでトナーを使い切ることができるトナーパウチ3のことを、使い切り可能なトナーパウチ3と称する。抽出処理については、後に詳述する。
【0077】
続くS47において、コントローラ61は、S46において、使い切り可能なトナーパウチ3が抽出されたか否かを判定する。すなわち、コントローラ61は、使い切り可能なトナーパウチ3が存在するか否かを判定する。コントローラ61は、S46において使い切り可能なトナーパウチ3が抽出されなかった場合(S47:NO)、図6の処理を終了する。コントローラ61は、S46において、使い切り可能なトナーパウチ3が抽出された場合(S47:YES)、使い切り可能なトナーパウチ3の識別情報をディスプレイ65に表示する表示処理を実行する(S48)。
【0078】
図7は、図6のS48の表示処理において、ディスプレイに表示される第1画面の一例を示す図である。第1画面110は、使い切り可能なトナーパウチ3が存在することを示すことにより、タンク13へのトナーの補給を促す第1メッセージ111を含んでいる。第1画面110の第1メッセージ111より下の表示領域には、タンク13の補給可能量を示す第5情報を示す空き容量表示112、および図6のS46において抽出されたトナーパウチ3に関するリスト113が表示されている。リスト113は、コントローラ61が図6のS46にて抽出したトナーパウチ3について、識別情報テーブル622に記憶されている識別情報92および第2情報を一覧表示したものである。
【0079】
図8は、図6のS46で実行される、抽出処理の流れの一例を示すフローチャートである。S60において、コントローラ61は、識別情報テーブル622にトナーパウチ3の識別情報が記憶されているか否かを判定する。コントローラ61は、識別情報テーブル622にトナーパウチ3の識別情報92が記憶されていない場合(S60:NO)、抽出処理の結果として、使い切り可能なトナーパウチ3がないことを示す情報を取得する(S63)。一方、コントローラ61は、識別情報テーブル622にトナーパウチ3の識別情報92が記憶されている場合(S60:YES)、識別情報テーブル622に識別情報92が記憶されているトナーパウチ3について第5情報を取得する(S61)。コントローラ61は、識別情報テーブル622に識別情報92が記憶されているトナーパウチ3について、第2情報が第5情報よりも小さいトナーパウチ3の識別情報92を、識別情報テーブル622から抽出する。
【0080】
コントローラ61は、図6の印刷処理以外の処理中にも、図8に示した抽出処理を実行することができる。図9は、画像形成装置1Aの起動時に実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。S80において、コントローラ61は、画像形成装置1Aの電源がオンされたときに実行される一連の処理を実行する。S80の処理の後、コントローラ61は、S46からS48までの処理を実行する。
【0081】
上記の実施形態によれば、コントローラ61は、第2情報が示すトナーの現残量が、第5情報が示す補給可能量以下のトナーパウチ3について、識別情報92を本体メモリの識別情報テーブル622から読み出し、ディスプレイ65に表示させる。これにより、ユーザUに対して、使い切ることが可能な旧品のトナーパウチ3の使用を促すことができる。ユーザUが旧品のトナーパウチ3を使い切ることにより、新たなトナーパウチ3の配送要求がサーバ8へ送信されるため、トナー切れの可能性を低減することができる。
【0082】
〔実施形態2〕
本開示の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0083】
図10は、本開示の実施形態2に関する画像形成装置1Bの概略斜視図である。画像形成装置1Bは、本体10の上部にカバー11を備えている点が実施形態1の画像形成装置1Aと異なっている。本開示の実施形態2に関する画像形成装置1Bは、本体10の上部にカバー11を備えている。カバー11は、回転軸11Aを中心にして回動可能である。図10(A)に示すように、カバー11が閉位置にあるときには、本体10の外側にトナーパウチ3を装着することができない。一方、図10(B)に示すように、カバー11が開位置にあるときには、本体10の外側に位置する補給部12にトナーパウチ3を装着することができる。本開示の実施形態2に関する画像形成装置1Bは、カバー11を有しているため、補給部12からトナー以外の異物が侵入することを防ぐことができる。
【0084】
(変形例)
上記実施形態では、画像形成装置1がモノクロレーザプリンタであるものとした。しかし、画像形成装置1はモノクロレーザプリンタだけに限定されない。画像形成装置1は、例えば、カラーレーザプリンタであってもよい。
【0085】
上記実施形態では、コントローラ61は、ASICを有するものとした。しかし、コントローラ61は、CPU等のプロセッサを備え、本体メモリ62に記憶されている各種制御プログラムを実行することにしてもよい。
【0086】
上記実施形態では、画像形成装置1の第2通信部64およびトナーパウチ3の第3通信部33は、トナーパウチ3が補給部12に装着された場合に、電気的に接続される電気接点であるものとした。しかし、画像形成装置1の第2通信部64およびトナーパウチ3の第3通信部33は、電気接点を用いた構成だけに限定されない。例えば、画像形成装置1の第2通信部64およびトナーパウチ3の第3通信部33は、RFID(Radio Frequency Identification)技術を用いて情報の送受信を行う構成としてもよい。
【0087】
上記実施形態1および2では、図5に示す補給部12に装着されているトナーパウチ3からタンク13へトナーを補給する場合における画像形成装置1の処理において、コントローラ61は、消去処理(S35)を実行した後に、配送要求処理を実行した(S36)。しかし、S35の消去処理と、S36の配送要求処理とは、処理順序を入れ換えることにしてもよい。すなわち、コントローラ61は、配送要求処理(S36)が実行された後に消去処理(S35)を実行することにしてもよい。トナーの補給が終わった後、ユーザUが後続の処理の完了を待たずに画像形成装置1の電源を切ることが考えられる。コントローラ61は、消去処理(S35)の実行前に、配送要求処理(S36)を実行することにより、補給完了後、後続の処理の完了を待たずにユーザUが電源を切った場合であっても、トナーパウチ3の発注処理が実行される可能性が高く、トナー切れの可能性を低減することができる。
【0088】
上記実施形態2の画像形成装置1Bでは、光源ユニット50をカバー11に配置することにしてもよい。
【0089】
上記実施形態および変形例では、トナーパウチ3は画像形成装置1の本体10の外側に装着されるものとした。しかし、トナーパウチ3の代わりに、トナーカートリッジが、画像形成装置1の本体10の内側に装着されるものであってもよい。トナーカートリッジが画像形成装置1の本体10の内側に装着される場合であっても、トナーパウチ3が画像形成装置1の本体10の外側に装着される場合と同様の効果を得ることができる。画像形成装置1は、本体10の内側に、事業者SPから配送されたトナーカートリッジを収容するカートリッジ収容部を有している。トナーカートリッジが画像形成装置1の本体10の内側に装着されるとは、例えば、トナーカートリッジをカートリッジ収容部に装着することをいう。
【0090】
〔ソフトウェアによる実現例〕
画像形成装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、画像形成装置1としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、画像形成装置1のコントローラ61としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0091】
この場合、画像形成装置1は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0092】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、画像形成装置1が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して画像形成装置1に供給されてもよい。
【0093】
また、コントローラ61の機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本開示の範疇に含まれる。
【0094】
〔付記事項〕
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0095】
1、1A、1B 画像形成装置
3 トナーパウチ
8 サーバ
10 本体
32 トナーメモリ
62 本体メモリ
61 コントローラ
65 ディスプレイ
66 入力部
91 新旧情報
92 識別情報
93 第1残量情報
100 補給管理システム
111 第1メッセージ
121 第2メッセージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10