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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147390
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
G03G21/16 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060361
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 健也
【テーマコード(参考)】
2H171
【Fターム(参考)】
2H171FA06
2H171GA31
2H171KA02
2H171MA20
2H171WA13
2H171WA23
(57)【要約】
【課題】装置本体内に液体が浸入しても、高圧基板を濡らすことなく排水することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、装置本体と、前記装置本体の外面を構成する本体カバー40と、前記装置本体内に配設された高圧基板50とを含む。前記装置本体内には、高圧基板50の上部を覆う板状の庇部60が備えられる。庇部60は、本体カバー40の内面に向かって下り勾配の傾斜部62を有し、傾斜部62の下端縁621は本体カバー40の内面に当接して設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体の外面を構成する本体カバーと、
前記装置本体内に配設された高圧基板とを有する画像形成装置であって、
前記装置本体内には、前記高圧基板の上部を覆う板状の庇部が備えられ、
前記庇部は、前記本体カバーの内面に向かって下り勾配の傾斜部を含み、前記傾斜部の端縁は前記本体カバーの内面に当接して設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記庇部は弾性を有するシート材により設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記高圧基板は、前記本体カバーと平行に配設され、
前記庇部は、前記高圧基板の基板面に交差する方向に配設されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記傾斜部は、前記高圧基板よりも外側に張り出して配設されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記庇部は、前記高圧基板の直上部に配設される庇本体部を備え、
前記傾斜部は、前記庇本体部に対する前記傾斜部の外角が鋭角をなすように設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記庇部は上面に複数の凹溝が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記凹溝は、前記高圧基板の上部から前記高圧基板の外方へ向かう斜め方向に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記傾斜部の端縁には、複数の切欠部が並列して設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記本体カバーは、前記傾斜部の端縁との当接部に開口された排水穴を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、高圧基板を含む画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ装置、複写機、ファクシミリ装置などの機能を備える複合機等の画像形成装置には、複数の色を重ね合わせてカラー画像を形成するための各種ユニット(例えば、光走査装置、現像装置、感光体ドラム、ドラムクリーニング装置、給紙装置、画像読取装置等)と、これらのユニットに高電圧を供給する高圧基板と、その高圧基板を前記ユニットに接続する複数の高圧接点部材などが装置本体内に設けられている。一般的に、高圧基板は、装置本体の背面側に配置されて、装置本体の外面を構成する本体カバーで覆われている。
【0003】
画像形成装置においては、本体カバーの隙間などを通じて液体が外部から浸入しないように隙間を小さくするなどの対策がとられており、さらに、樋状の水受け部を設けたり、排水機構を設けたりしたものもある。例えば特許文献1には、排熱ファンの排気口にルーバを設けて、画像形成装置の側壁上部から流れ込んだり外部で飛散したりした液体をルーバの下面側に流し、装置本体内に浸入するのを防ぐことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-69029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えばコンビニエンスストアや公共施設等に設置されている画像形成装置は、不特定多数のユーザに利用される。そのような画像形成装置では、操作の際に、ユーザが手に持っていた飲料水などをうっかりこぼしてしまうということが度々起こっていた。
【0006】
前記特許文献1に開示される画像形成装置のルーバの場合、こぼれた飲料水が少量であれば内部への浸入を防げるが、装置本体上に置かれた飲料水入りのカップが倒れたときなど、許容量を超える液体が流れると前記ルーバだけでは浸入を防ぎきれず、装置本体内が濡れてしまうこととなる。装置本体に隙間を設けず、排気口やスリット部のすべての開口に防水性を備えさせることは、費用がかかり現実的ではない。しかしながら、万一、装置本体内の高圧基板が濡れると発煙や発火につながるおそれがあることから、液体が浸入しても高圧基板を濡らさないようにする対策が求められた。
【0007】
本開示は、上記のような事情にかんがみてなされたものであり、その目的とするところは、万一、装置本体内に液体が浸入しても、高圧基板を濡らすことなく排水することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するための本開示の解決手段は、装置本体と、前記装置本体の外面を構成する本体カバーと、前記装置本体内に配設された高圧基板とを有する画像形成装置であって、前記装置本体内には、前記高圧基板の上部を覆う板状の庇部が備えられ、前記庇部は、前記本体カバーの内面に向かって下り勾配の傾斜部を含み、前記傾斜部の端縁は前記本体カバーの内面に当接して設けられたことを特徴としている。
【0009】
前記構成を有する画像形成装置において、前記庇部は弾性を有するシート材により設けられることが好ましい。
【0010】
また、前記構成を有する画像形成装置において、前記高圧基板は、前記本体カバーと平行に配設され、前記庇部は、前記高圧基板の基板面に交差する方向に配設されてもよい。
【0011】
また、前記構成を有する画像形成装置において、前記傾斜部は、前記高圧基板よりも外側に張り出して配設されることが好ましい。
【0012】
また、前記構成を有する画像形成装置において、前記庇部は、前記高圧基板の直上部に配設される庇本体部を備え、前記傾斜部は、前記庇本体部に対する前記傾斜部の外角が鋭角をなすように設けられることが好ましい。
【0013】
また、前記構成を有する画像形成装置において、前記庇部は上面に複数の凹溝が設けられてもよい。前記凹溝は、前記高圧基板の上部から前記高圧基板の外方へ向かう斜め方向に設けられてもよい。
【0014】
また、前記構成を有する画像形成装置において、前記傾斜部の端縁には、複数の切欠部が並列して設けられてもよい。
【0015】
また、前記構成を有する画像形成装置において、前記本体カバーは、前記傾斜部の端縁との当接部に開口された排水穴を備えて構成されてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、万一、装置本体内に液体が浸入しても、高圧基板を濡らすことなく排水することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の実施の形態に係る画像形成装置を示す概略説明図である。
図2】前記画像形成装置における装置本体の背面側の本体カバーを取り外した状態を示す斜視図である。
図3】実施形態1に係る画像形成装置の庇部を示す斜視図である。
図4】前記庇部を示す断面図である。
図5】前記庇部が設けられた装置本体の背面側を模式的に示す説明図である。
図6A】実施形態2に係る画像形成装置の庇部を示す平面図である。
図6B】前記庇部の他の例を示す平面図である。
図7A】実施形態3に係る画像形成装置の庇部を示す平面図である。
図7B図7AのA-A断面図である。
図8】前記庇部の他の例を示す部分拡大斜視図である。
図9A】実施形態4に係る画像形成装置の庇部を示す端面図である。
図9B】前記庇部の他の例を示す端面図である。
図9C】前記庇部のさらに他の例を示す端面図である。
図10】前記庇部が設けられた装置本体の背面側を模式的に示す説明図である。
図11A】前記装置本体の本体カバーに設けられる排水穴を示す説明図である。
図11B】前記排水穴の他の例を示す説明図である。
図11C】前記排水穴のさらに他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
(画像形成装置の全体構成)
図1は、本開示の実施形態に係る画像形成装置1の概略説明図である。
【0020】
画像形成装置1は、スキャナ機能、複写機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能等を有する複合機であり、画像読取装置18によって読み取られた原稿の画像を外部に送信し、また、読み取られた原稿の画像または外部から受信した画像をカラーもしくは単色で用紙に画像形成する。例示の形態に係る画像形成装置1は、装置本体10に、光走査装置11、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、帯電器15、給紙装置17、画像読取装置18、中間転写ベルト21、定着部27、用紙搬送路31等が備えられている。
【0021】
なお、図1に示すように、画像形成装置1を正面から見た場合に、前後方向Yのうち、画像形成装置1の正面側(手前側)をY1とし、画像形成装置1の背面側(奥側)をY2として示し、前後方向Yに直交する左右方向Xおよび上下方向Zとして以下説明する。
【0022】
画像形成装置1では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、または単色(例えば、ブラック)を用いたモノクロ画像に応じた画像データが扱われる。画像読取装置18は、原稿載置台19の原稿または原稿搬送部(ADF)192から搬送された原稿を読み取って画像データを生成する。読み取った原稿は原稿排出トレイ193に排出される。画像形成装置1の画像転写部20には、4種類のトナー像を形成するための現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、および帯電器15が4つずつ設けられて、それぞれがブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローに対応するよう、4つの画像ステーションPa、Pb、Pc、Pdが構成されている。
【0023】
ドラムクリーニング装置14は、感光体ドラム13の表面の残留トナーを除去および回収する。帯電器15は、感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させる。光走査装置11は、感光体ドラム13の表面を露光して静電潜像を形成する。現像装置12は、感光体ドラム13の表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム13の表面にトナー像を形成する。このような一連の動作によって、各感光体ドラム13の表面に各色のトナー像が形成される。
【0024】
感光体ドラム13の上側には、中間転写ベルト21を介して中間転写ローラ16が配置されている。中間転写ベルト21はトナー像が形成される像担持体であり、転写駆動ローラ22および転写従動ローラ23に張架されて矢符Eの方向へ回転(周回移動)する。各感光体ドラム13の表面に形成された各色のトナー像が転写(1次転写)されて重ね合わされることで、中間転写ベルト21の表面にはカラーのトナー像が形成される。
【0025】
2次転写部25の転写ローラ26は、中間転写ベルト21との間にニップ域(2次転写位置)を形成しており、用紙搬送路31を通じて搬送された用紙をニップ域に挟み込んで搬送する。用紙は、ニップ域を通過する際に、中間転写ベルト21の表面のトナー像が転写されて定着部27に搬送される。中間転写ベルト21上に残ったトナー等はベルトクリーニング装置24によって回収される。
【0026】
定着部27は、用紙を挟んで回転する定着ローラ28および加圧ローラ29を備えている。定着部27は、定着ローラ28および加圧ローラ29の間にトナー像が転写された用紙を挟み込んで加熱および加圧し、トナー像を用紙に定着させる。
【0027】
給紙装置17は、画像形成に使用する用紙を収容しており、光走査装置11の下側に設けられている。用紙は、ピックアップローラ33によって給紙装置17から引き出されて、用紙搬送路31を通じて搬送され、2次転写部25や定着部27を経由して、排紙ローラ36を介して排紙トレイ37へと搬送される。用紙搬送路31には、用紙を一旦停止させて、用紙の先端を揃えた後、中間転写ベルト21と転写ローラ26との間のニップ域でのカラーのトナー像の転写タイミングに合わせて用紙の搬送を開始するレジストローラ35、用紙の搬送を促す複数の搬送ローラ34、および排紙ローラ36等の種々のローラ対が配置されている。
【0028】
ピックアップローラ33は、給紙装置17の端部近傍に備えられ、収容された用紙を1枚ずつ用紙搬送路31に供給する呼び込みローラである。レジストローラ35は、給紙装置17から搬送されている用紙を一旦保持し、感光体ドラム13上のトナー像の先端と用紙の先端とを合わせるタイミングで用紙を転写ローラ26に搬送する。
【0029】
用紙の表面だけでなく裏面にも画像形成を行う場合は、用紙を排紙ローラ36から用紙反転搬送路32へと逆方向に搬送して、用紙の表裏を反転させ、用紙をレジストローラ35へと再度導き、表面と同様にして裏面に画像形成を行い、用紙を排紙トレイ37へと搬送する。
【0030】
図2は、装置本体10の背面側Y2の本体カバー40を取り外した状態の画像形成装置1を示す斜視図であり、図3は、装置本体10内に備えられた庇部60を示す斜視図である。
【0031】
画像形成装置1は、装置本体10の外面を構成する本体カバー40を備えている。本体カバー40は、装置本体10の左右の両側面部、前面部、そして背面部に、それぞれ配設されている。図2に示すように、背面部の本体カバー40を取り外した状態では、装置本体10内に設けられている種々の装置および構成部が露出する。装置本体10内の背面側Y2には、電圧制御部等を搭載した高圧基板50が配置されている。
【0032】
高圧基板50は電源からの電力供給を受けて、帯電、現像および転写時に必要な所定の電圧を各部位に出力する。例示の形態では、第1高圧基板51、第2高圧基板52、および第3高圧基板53を含む複数の高圧基板50が装置本体10の背面側Y2に配設されている。これらの高圧基板50は、基板面が左右方向Xおよび上下方向Zに平行となるようにそれぞれ配設されている。また、これらの高圧基板50は上下方向Zに並べられている。
【0033】
図2に示すように、装置本体10内のC部には第1高圧基板51が配設されており、さらに、板状の庇部60が第1高圧基板51の上部を覆うように備えられている。第1高圧基板51は、左右方向Xに長い略矩形板状に設けられている。装置本体10内に備えられる庇部60は種々の形態とされることが可能であり、それらのうちのいくつかの形態について以下、説明する。
【0034】
(実施形態1)
実施形態1に係る画像形成装置1では、図3に示すように、庇部60が高圧基板50の上部を覆って設けられている。なお、以下に示す各実施形態での画像形成装置1の庇部60は基本構成において共通しており、共通する構成には同じ参照符号を付して示すことにより、重複する説明を省略している。
【0035】
庇部60は、弾性を有する合成樹脂製または金属製の板状部材とされ、例えばポリカーボネート、PET等の合成樹脂材からなるシート材により構成されている。例示の形態では、庇部60は、高圧基板50の直上部に配設されている。
【0036】
背面側Y2に向けられた高圧基板50の基板面501は、左右方向Xおよび上下方向Zに平行に配設されている。庇部60の大きさは、高圧基板50の厚み(前後方向Yの厚み)よりも大きく、高圧基板50の長さ(左右方向Xの長さ)よりも長く確保されている。
【0037】
庇部60は、左右方向Xに長い略矩形状の庇本体部61と、庇本体部61の長手方向の端縁から延設された傾斜部62とを含む。庇本体部61は、長手方向に延びる略矩形状の下面側を高圧基板50の上端縁に対向させて、高圧基板50の基板面501に対して交差する方向に配設されている。例えば、基板面501は垂直方向に配設され、庇本体部61は、上面(および下面)が水平方向または水平方向に対して僅かに傾斜させた状態で配設されている。庇本体部61は、上面(および下面)が背面側Y2に下り勾配で配設されてもよい。庇部60の傾斜部62は、庇本体部61の背面側Y2に下り勾配で傾斜させて延設されている。庇本体部61および傾斜部62は、高圧基板50よりも外側(背面側Y2)に張り出して設けられている。
【0038】
図4は、庇部60を示す断面図であり、図5は、庇部60が設けられた装置本体10の背面側Y2を模式的に示す説明図である。図4に示すように、傾斜部62は、庇本体部61に対する傾斜部62の外角αが鋭角をなすように設けられている。庇本体部61が装置本体10の内部に固定されることで、傾斜部62は下り勾配の傾斜面となされる。
【0039】
図5に示すように、傾斜部62の水下側(この場合、背面側Y2)に位置する縁部である下端縁621は、本体カバー40の内面に当接させて配設される。庇部60は、傾斜部62が本体カバー40の内面に向かって下り勾配の傾斜面となるように配設される。庇本体部61も、傾斜部62と同様に、本体カバー40の内面に向かって下り勾配で傾斜させて配設されてもよい。その場合、庇本体部61は、傾斜部62よりも緩勾配で配設されるものとなる。
【0040】
庇部60は弾性を有するシート材からなるので、下端縁621側を弾性変形させつつ本体カバー40の内面を押圧するように当接させることができる。庇部60は庇本体部61を介して固定され、本体カバー40を装置本体10の背面側Y2に装着することで、傾斜部62が弾性変形しつつ下端縁621が本体カバー40の内面に当接する。本体カバー40が装着されて庇部60の傾斜部62が本体カバー40の内面に当接した状態で、庇本体部61に対する傾斜部62の外角αは、例えば45°とされることが好ましい。傾斜部62が本体カバー40の内面に当接していない状態では、外角αは、例えば45°より小さい角度であることが好ましい。
【0041】
前記のように、高圧基板50としての第1高圧基板51、第2高圧基板52、および第3高圧基板53が上下方向Zに並列されている場合、少なくとも最上部の第1高圧基板51の上部を覆うように庇部60が設けられることが好ましい。複数の高圧基板51、52、53が左右方向Xに離れて設けられている場合には、それぞれの高圧基板51、52、53の上部を覆うように、複数の庇部60が配設されてもよい。また、高圧基板50の上部に何らかの装置が存在する場合には、庇本体部61の一部に切欠を設けて、当該装置に干渉しないように配設することができる。
【0042】
庇部60が高圧基板50の上部に設けられていることで、万一、装置本体10内に飲料水などの液体70が入り込むことがあっても、図5に示すように、高圧基板50の上部を覆う庇部60が液体70を受け止める。液体70は、庇本体部61や傾斜部62に落ち、それらの下り勾配の傾斜面に沿って背面側Y2に流れる。傾斜部62の下端縁621と本体カバー40とは当接させて設けられているので、傾斜部62を流れた液体70は、本体カバー40の内面を伝って流れ落ちる。そのため、液体70が飛散することなく下方に流れ、高圧基板50の基板面501を濡らすことなく、液体70を装置本体10の下部から排水することが可能となる。
【0043】
また、装置本体10内が濡れるおそれがあるとき、本体カバー40を取り外して液体70を除去する等の処置を行うが、庇部60が高圧基板50を濡らさないように覆っているので、作業をスムーズに行うことができる。本体カバー40を取り外す際には、本体カバー40に当接していた庇部60の下端縁621が弾性復帰し、液体70を弾き飛ばすことができる。
【0044】
(実施形態2)
図6Aおよび図6Bは、実施形態2に係る画像形成装置1に設けられる庇部60を示す平面図である。装置本体10内に設けられる庇部60は、複数の切欠部63が設けられた構成とされてもよい。
【0045】
図示するように、庇部60の傾斜部62の下端縁621には、複数の切欠部63が並列して設けられている。図6Aに示す例では、切欠部63は細長い矩形のスリット状に設けられている。図6Bに示す例では、切欠部63は略山型(略三角形)のスリット状に設けられている。
【0046】
このような切欠部63を有することにより、高圧基板50の上部に液体70が流れてきても、庇部60が受け止め、高圧基板50を濡れないようにすることができる。庇本体部61および傾斜部62に流れる液体70は、背面側Y2に下り勾配の傾斜部62を流れ、本体カバー40の内面を伝って流れ落ちる。このとき、傾斜部62の切欠部63からも本体カバー40へと流れ、庇部60上からスムーズに排水することができる。
【0047】
仮に、傾斜部62と本体カバー40の当接部に液体70が溜まり、当接部に沿って左右方向Xに液体70が流れて傾斜部62の端部から本体カバー40を伝うことなく落下するような場合を想定する。この場合、落下した水滴が飛散して、高圧基板50を濡らすおそれが生じる。しかしながら、本実施形態での庇部60のように、傾斜部62に複数の切欠部63が設けられていることで、切欠部63から本体カバー40を伝って排水できるので、当接部に液体70が溜まるのを回避し得て、水滴の飛散による高圧基板50の濡れを防止することが可能となる。
【0048】
なお、切欠部63の形状や数は例示した形状であるに限らず、傾斜部62の下端縁621にどのように設けられてもよい。
【0049】
(実施形態3)
図7Aおよび図7Bは、実施形態3に係る画像形成装置1の庇部60を示し、図7Aは平面図、図7B図7AのA-A断面図である。
【0050】
装置本体10内に設けられる庇部60は、上面に凹溝64が設けられた構成であってもよい。図7Aに示すように、例えば庇部60には、庇本体部61から傾斜部62にかけて連続する凹溝64が複数設けられていてもよい。この場合、凹溝64は、庇部60の左右方向Xの両端部寄りにそれぞれ設けられている。
【0051】
図7Bに示すように、凹溝64は、庇部60の上面側が除去されて厚みが薄くなった凹状の溝であり、庇部60の表面を削って形成することができる。凹溝64の断面形状は矩形状であるに限らず、どのような形状とされてもよい。また、凹溝64の数は2本であるには限らず、3本以上設けられてもよい。
【0052】
これにより、装置本体10内に液体70が浸入しても高圧基板50の上部で庇部60によって受け止め、背面側Y2に下り勾配の傾斜部62を流れ、本体カバー40の内面を伝って流れ落ちるように導くことができる。庇部60上を左右方向Xに流れたとしても、両端部の凹溝64を伝って、庇本体部61および傾斜部62を下端縁621側へと流れさせ、浸入した液体70を本体カバー40の内面へと導くことができる。
【0053】
前記のように、庇本体部61および傾斜部62に流れる液体70は、傾斜部62と本体カバー40との当接部に到達して、本体カバー40の内面を伝って流れ落ちるように構成されている。例えば、液体70が本体カバー40を伝って流れる前に、庇本体部61または傾斜部62における左右方向Xの端部側に液体70が到達しても、凹溝64を伝って流れるように導くことができる。そのため、傾斜部62の端部から本体カバー40を伝うことなく液体70が落下するのを回避でき、落下する水滴の飛散によって高圧基板50が濡れるのを防止できる。
【0054】
図8は、実施形態3に係る画像形成装置1の庇部60の他の例について、左右方向Xの一方の端部を示す拡大斜視図である。図示するように、庇部60に複数の凹溝65が設けられている。凹溝65は、傾斜部62だけに設けられてもよく、傾斜部62および庇本体部61の両方に連続して設けられていてもよい。各凹溝65は傾斜部62において、左右方向Xに交差する斜め方向に切削して設けられている。この場合、各凹溝65は、高圧基板50の上部から、高圧基板50の外方へ向かう斜め方向に設けられている。庇部60における左右方向Xの他方の端部では、各凹溝65は図8に示す向きとは反対向きの斜め方向に設けられている。
【0055】
これにより、液体70が浸入しても庇部60で受け止め、凹溝65に沿って斜め方向に流れさせ、排水方向を特定の方向に導くことができる。例えば、前記のように高圧基板50の上部から、高圧基板50の外方へ向かう斜め方向に凹溝65を設けることで、液体70の流れる経路を高圧基板50から遠ざける向きに設けることができ、左右方向Xの中央部で傾斜部62と本体カバー40との当接部に液体70が溜まるのを避けられ、本体カバー40の内面を伝ってスムーズに流れ落ちるように導くことができ、高圧基板50の濡れを防止できる。
【0056】
(実施形態4)
図9A図9Cは、実施形態4に係る画像形成装置1の庇部60を示す端面図である。庇部60は左右方向Xに傾斜して設けられてもよい。図9Aに示す例では、庇部60は左右方向Xの略中央に頂部66があり、頂部66からW1方向に下り勾配で傾斜させて設けられている。庇部60に流れた液体70は、W1方向に流れるものとなる。庇部60は高圧基板50の上部に設けられるので、液体70を高圧基板50から遠ざける向きに流すことができる。例えば、庇部60の左右方向Xの長さが、高圧基板50の左右方向Xの長さよりも長く、高圧基板50に対して十分に距離がある場合、庇部60の左右方向Xの両端から積極的に排水するように構成してもよい。
【0057】
図9Bに示す例では、庇部60は左右方向Xの略中央に谷部67があり、谷部67に向かって下り勾配で傾斜させて設けられている。庇部60に流れた液体70は、W2方向に流れるものとなる。この場合、庇部60と本体カバー40との当接部には、後述する排水穴41が設けられていることが好ましい。
【0058】
図9Cに示す例では、庇部60は左右方向Xの両端部にかえし部68を有し、端縁が上方に屈曲されている。かえし部68により、庇部60の両端部から左右方向Xの外側に液体70が流れ落ちるのを防止できる。
【0059】
図10は、庇部60が設けられた装置本体10の背面側Y2を模式的に示す説明図である。装置本体10の背面側Y2に設けられる本体カバー40は、傾斜部62の下端縁621との当接部に開口する排水穴41を備えた構成とされてもよい。液体70は、庇本体部61や傾斜部62に落ち、下り勾配の傾斜面に沿って背面側Y2に流れ、本体カバー40の内面を伝って流れ落ちるとともに、一部は排水穴41から本体カバー40の外面を伝って下方に流れる。液体70の量が多いと排水穴41から本体カバー40の外側にも排水される。そのため、高圧基板50の基板面501を濡らすことなく、液体70を排水することが可能となる。
【0060】
図11A図11Cは、本体カバー40に設けられる排水穴41の例を示す説明図である。図11Aに示すように、本体カバー40には、庇部60の下端縁621との当接部に沿って、矩形の複数の排水穴41が均等間隔で設けられてもよい。また、図11Bに示すように、庇部60が左右方向Xに傾斜して設けられる場合にも同様に、下端縁621との当接部に沿って、複数の排水穴41が均等間隔で傾斜に沿って設けられることが好ましい。図11Cに示すように、庇部60に谷部67が設けられた場合には、均等間隔で配設される排水穴41のうち、谷部67に対応する位置には、他の排水穴412よりも大きい排水穴411が設けられてもよい。これにより、庇部60の谷部67に集まる液体70を効率よく排水することができる。排水穴41の形状は矩形状であるに限らず、どのような形状により設けられてもよい。
【0061】
以上のように、画像形成装置1においては、庇部60が高圧基板50の上部に設けられていることで、万一、装置本体10内に飲料水などの液体70が入り込むことがあっても、高圧基板50の上部を覆う庇部60が液体70を受け止め、本体カバー40を伝って下方に流すことができる。これにより、簡単な構成でコストが嵩むことなく、高圧基板50を濡らすことを防ぎ得る画像形成装置1とすることが可能となる。
【0062】
なお、画像形成装置1としては、外部から伝達される画像データやスキャナなどによって原稿から読み取った画像データに応じ、記録媒体に多色または単色の画像を形成することができる複合機を例に挙げて示したが、本開示の画像形成装置1はこれに限定されるものではなく、モノクロ機であるかカラー機であるかに限定されず、プリンタ装置、複写機、ファクシミリ装置またはこれらの機能を併せ持つ種々の画像形成を行う装置であってもよい。
【0063】
本開示は前記の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術的思想に含まれる技術的事項のすべてが本開示の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能であり、そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0064】
1 画像形成装置
10 装置本体
11 光走査装置
12 現像装置
13 感光体ドラム
14 ドラムクリーニング装置
15 帯電器
16 中間転写ローラ
17 給紙装置
18 画像読取装置
19 原稿載置台
40 本体カバー
41 排水穴
50 高圧基板
501 基板面
51 第1高圧基板
52 第2高圧基板
53 第3高圧基板
60 庇部
61 庇本体部
62 傾斜部
621 下端縁
63 切欠部
64、65 凹溝
66 頂部
67 谷部
68 かえし部
70 液体
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図11C