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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147392
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】空調吹き出し装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/06 20060101AFI20241008BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
F24F13/06 D
F24F13/06 A
F24F13/22 221
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060363
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】390022666
【氏名又は名称】協立エアテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】重松 拓也
(72)【発明者】
【氏名】木場 隆之
【テーマコード(参考)】
3L080
【Fターム(参考)】
3L080BA01
3L080BA12
3L080BB01
3L080BE04
(57)【要約】
【課題】取り込んだ一次空気の気流により誘引を促進し、効率良く周囲空気を誘引することができる空調吹き出し装置を提供する。
【解決手段】空調吹き出し装置100は、一次空気流路11と、混合室12と、を有する横長略直方体のボックス部10を備えた空調吹き出し装置100であり、一次空気流路11は、その上流側に一次空気SAが流入する流入口14と、下流側に一次空気SAを吹出開口16に向けて吹き出すノズル13であり、ノズル開口13Mがボックス部10内において吹出開口16と対向する位置にあるノズル13と、を有し、混合室12は、周囲空気AAを誘引する誘引開口17と、一次空気SAと周囲空気AAとが混合した混合空気MAを空調対象空間へ吹き出すスリット状の吹出開口16と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次空気流路と、混合室と、を有する横長略直方体のボックス部を備えた空調吹き出し装置であり、
前記一次空気流路は、その上流側に一次空気が流入する流入口と、下流側に前記一次空気を吹出開口に向けて吹き出すノズルであり、ノズル開口が前記ボックス部内において前記吹出開口と対向する位置にあるノズルと、を有し、
前記混合室は、周囲空気を誘引する誘引開口と、前記一次空気と前記周囲空気とが混合した混合空気を空調対象空間へ吹き出すスリット状の前記吹出開口と、を有する空調吹き出し装置。
【請求項2】
前記流入口は、前記ボックス部の長辺側の面であって、前記吹出開口が設けられた面に対して90度の関係にある面に設けられた請求項1に記載の空調吹き出し装置。
【請求項3】
前記流入口付近から前記ノズルの先端よりも下流の領域まで伸びる気流案内板であり、
前記一次空気流路に沿って設けられた気流案内板を有する請求項1に記載の空調吹き出し装置。
【請求項4】
前記吹出開口付近に、前記ノズルと離間して、前記ノズルと対向するように設けられる平板状のガイドを備えた請求項1に記載の空調吹き出し装置。
【請求項5】
前記吹出開口に設けられる吹出口部であり、少なくとも吹出気流の吹出方向を調整可能な羽根を備えた吹出口部を有する請求項1に記載の空調吹き出し装置。
【請求項6】
前記ボックス部内に設けられ、前記混合空気の吹き出しを促進するファンを有する請求項1に記載の空調吹き出し装置。
【請求項7】
空調対象空間の天井面または躯体に沿って設置される請求項1~6のいずれか1項に記載の空調吹き出し装置。
【請求項8】
前記天井面または前記躯体に沿って前記混合空気を吹き出す姿勢で設置され、かつ空調対象空間の室内の窓側と対向する位置に設置される請求項7に記載の空調吹き出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調対象空間において周囲空気を誘引しつつ吹出口より混合空気を吹き出す空調吹き出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー化を図ることを目的として、空調対象空間に設置し、ダクト等の周囲の空気を誘引して、一次空気に混合して空調対象空間に供給する誘引装置が知られている。また、このような誘引装置として、誘引装置の内部に一次空気を噴出するノズルを設け、周囲の空気を誘引して混合空気を吹き出す構成が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、空気を吹き出し口から空調対象域へ吹き出させるファンを設けた空気調和装置が記載されている。この空気調和装置は、ファンから吹き出し口へ至る送出風路に吸入室形成ボックスを設け、その内部にベンチュリー管部分を設けており、そのベンチュリー管部分の管壁に形成した多孔部分を空調対象域に連通させて、誘引混合手段を構成している。
【0004】
また、特許文献1には、ベンチュリー管部分の代わりに、送出風路に下流側送出風路とこれに対向したノズルとを設け、下流側送出風路の入口とノズルとの間の環状隙間から空調対象域の域内空気を誘引吸入して、その吸入域内空気をノズルからの噴出ファン送出空気に対し混合させる構成が記載されている(段落0032)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4-268130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記空気調和装置は、ベンチュリー管を製作・設置する必要があるため、装置構成が複雑になったり、製造コストが上昇したりする。
また、ベンチュリー管部分の代わりに、送出風路の下流側のノズルとこれに対向した下流側送出風路とを設ける構成においては、ノズルの先端が室内と連通した誘引開口よりも下流側にあり、下流側送出風路の内部に入り込んでいる。そのため、ノズルから吹き出された空調空気による誘引は、下流側送出風路の入口とノズルとの間の環状隙間から周囲空気が誘引されるのみとなるので、誘引効率が良いとは言えない。
【0007】
よって、本発明は、ノズルから吹き出された一次空気の気流により誘引を促進し、効率良く周囲空気を誘引し、吹出開口およびその周囲の結露を防止することができる空調吹き出し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の空調吹き出し装置は、
一次空気流路と、混合室と、を有する横長略直方体のボックス部を備えた空調吹き出し装置であり、
前記一次空気流路は、その上流側に一次空気が流入する流入口と、下流側に前記一次空気を吹出開口に向けて吹き出すノズルであり、ノズル開口が前記ボックス部内において前記吹出開口と対向する位置にあるノズルと、を有し、
前記混合室は、周囲空気を誘引する誘引開口と、前記一次空気と前記周囲空気とが混合した混合空気を空調対象空間へ吹き出すスリット状の前記吹出開口と、を有する。
【0009】
これにより、ボックス部の一次空気流路の流入口から流入した一次空気が、ノズルから吹出開口に向けて吹き出されて吹出開口に到達するまでに、一次空気の気流により、混合室内の誘引開口からの周囲空気の誘引を促進させる。
【0010】
また、前記流入口は、前記ボックス部内の長辺側の面であって、前記吹出開口が設けられた面に対して90度の関係にある面に設けられた構成であることが好ましい。
【0011】
また、前記空調吹き出し装置は、
前記流入口付近から前記ノズル先端よりも下流の領域まで伸びる気流案内板であり、
前記一次空気流路に沿って設けられた気流案内板を有する構成であることが好ましい。
【0012】
また、前記空調吹き出し装置は、
前記吹出開口付近に、前記ノズルと離間して、前記ノズルと対向するように設けられる平板状のガイドを備えた構成であることが好ましい。
【0013】
また、前記空調吹き出し装置は、
前記吹出開口に設けられる吹出口部であり、少なくとも吹出気流の吹出方向を調整可能な羽根とを備えた吹出口部を有する構成であることが好ましい。
【0014】
また、前記空調吹き出し装置は、
前記ボックス部内に設けられ、前記混合空気の吹き出しを促進するファンを有する構成とすることもできる。
【0015】
なお、前記空調吹き出し装置は、空調対象空間の天井面または躯体に沿って設置されることが好ましい。
特に、前記空調吹き出し装置は、前記天井面または前記躯体に沿って前記混合空気を吹き出す姿勢で設置され、かつ空調対象空間の室内の窓側と対向する位置に設置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の空調吹き出し装置は、斯かる構成により、一次空気流路のノズルから吹き出された一次空気の気流により誘引が促進されるため、効率良く周囲空気を誘引することができる。また、効率良く誘引できると共に、(冷房時における)一次空気と、一次空気よりも温度の高い周囲空気とが混合されることで混合空気の温度は一次空気よりも高くなるため、一次空気を直接吹き出した場合と比べて、吹出開口およびその周囲の室内に面した部分と空調対象空間内の空気との温度差が小さくなり、当該部分の結露を抑制することができる。なお、ノズルはボックス部内に内蔵されているため、騒音の発生を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の空調吹き出し装置の実施形態を示す六面図であり、(i)は正面図、(ii)は背面図、(iii)は平面図、(iv)は底面図、(v)は左側面図、(vi)は右側面図である。
図2図1(ii)におけるA-A一部省略断面図である。
図3】ダクト接続口およびダクトを備えた本発明の空調吹き出し装置の実施形態を示す六面図であり、(i)は正面図、(ii)は背面図、(iii)は平面図、(iv)は底面図、(v)は左側面図、(vi)は右側面図である。
図4】右側面から見た、ダクト接続口およびダクトを備えた本実施形態の空調吹き出し装置の内部構成を示す図である。
図5図4に示す構成において、さらに吹出口部および吸込口部を備えた構成を示す図である。
図6】空調吹き出し装置が空調対象空間の天井面に沿って設置される例を示す図である。
図7】気流案内板を備えた本発明の空調吹き出し装置の実施形態を示す図であり、下方に向けて混合空気を吹き出す構成を示す図である。
図8】本発明の空調吹き出し装置の別の実施形態を示す六面図であり、(i)は正面図、(ii)は背面図、(iii)は平面図、(iv)は底面図、(v)は左側面図、(vi)は右側面図である。
図9図8(i)におけるB-B一部省略断面図である。
図10図8,9に示す空調吹き出し装置の利用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。また、以下の説明において、上下左右や縦横などの記載は、その説明において参照される図面の上下左右や縦横などを意味する。
【0019】
[空調吹き出し装置100]
図1は、本発明の空調吹き出し装置の実施形態を示す六面図であり、(i)は正面図、(ii)は背面図、(iii)は平面図、(iv)は底面図、(v)は左側面図、(vi)は右側面図である。また、図2には、右側面(図1(vi)参照)から見た、本実施形態の空調吹き出し装置の内部構成を示す図である。
【0020】
図1,2に示すように、空調吹き出し装置100は、一次空気流路11と、混合室12と、を有するボックス部10を備える。ボックス部10は、正面10a、背面10b、上面10c、底面10d、左側面10e、右側面10fからなる横長の略直方体の形状をしている(図1参照)。ボックス部10は鋼板材で形成されており、一次空気流路11および混合室12も鋼板材で形成されている。
【0021】
一次空気流路11は、その上流側に一次空気SAが流入する流入口14と、下流側に一次空気SAを吹出開口16に向けて吹き出す先細りのノズル13を有する。一次空気流路11は、その内面に断熱材が設けられている。本実施形態において、断熱材はポリエチレンフォームである。ノズル13は、図2に示すように、ノズル開口13Mが、ボックス部10内において吹出開口16と対向する位置に吹出開口16の長辺方向全域にわたって設けられている。
また、本実施形態において、ボックス部10は底面10dに2つの流入口14を有し、それぞれの流入口14は、一次空気を空調吹き出し装置1に供給するダクトと接続される(図1(iv)参照)。
【0022】
一方、混合室12は、ノズル開口13Mから吹き出した一次空気SAの気流により周囲空気AAを混合室12に取り込む誘引開口17と、一次空気SAと周囲空気AAとが混合した混合空気MAを空調対象空間へ吹き出す吹出開口16と、を有する。この混合室12内で、一次空気SAと周囲空気AAが混合される。なお、誘引開口17は、背面10bに対して90度の関係にある面に設けられ、ノズル開口13Mよりも下流側に設けられている。本実施形態では、誘引開口17は底面10d(図1(iv)参照)に設けられているが、上面10c(図1(iii)参照)に設けられてもよい。
ここで、吹出開口16は、図1(ii)に示すように、横長(スリット状)の形状である。また、誘引開口17も、図1(iv)に示すように、横長(スリット状)の形状である。なお、ノズル13の形状も、図示していないが、横長(スリット状)の形状であり、吹出開口16とノズル開口13Mは同一軸線上にある。
【0023】
流入口14は、ボックス部10の長辺側の面であって、背面10bに対して90度の関係にある面に設けられた構成であることが好ましい。本実施形態において、図1(iv)に示すように、流入口14はボックス部10の一次空気流路11側の底面10dに設けられているが、ボックス部10の一次空気流路11側の上面10c(図1(iii)参照)に設けられていてもよい。
【0024】
もし、流入口14が、正面10aまたは左側面10e若しくは右側面10fに設けられていると、流入口14から流入した一次空気SAは左右に拡がらずにノズル13から吹き出される。つまり、正面10aから一次空気SAが流入すると、ノズル13から吹き出される一次空気SAはノズル開口13Mの全域に十分に拡がらず、流入口14の直線状の位置付近から強く吹き出される。そのため、吹出開口16から吹き出される混合空気MAの気流の吹出風速にバラつきが生じ、均一な気流とならない。
また、ボックス部10の左側面10eまたは右側面10fから一次空気SAが流入すると、一次空気流路11の中央部分で一次空気SA同士が衝突し、ノズル13の中央部分から強く吹き出されるため、吹出開口16から吹き出される混合空気MAの気流の吹出風速にバラつきが生じ、均一な気流とならない。
【0025】
しかし、本実施形態のような構成だと、流入口14は、長辺側の面(底面10dまたは上面10c)に設けられているため、流入口14から流入した一次空気SAは対向する面に衝突する(流入口14が底面10dに設けられている場合は上面10cに衝突し、流入口14が上面10cに設けられている場合は底面10dに衝突する)。そのため、流入口14から流入した一次空気SAは一次空気流路11内を長辺方向(言い換えると、図1(ii)における横幅方向)に拡がり、ノズル開口13Mの全域に十分に拡がるため、吹出開口16から均一に吹き出される気流となる。
【0026】
よって、流入口14から流入した一次空気SAは長辺方向に拡がりノズル13のノズル開口13Mから均一に吹き出されるため、吹出開口16から吹き出される混合空気MAも、スリット状の吹出開口16の全長にわたって、吹き出される気流の速度が偏ることなく吹き出される。
また、このようにノズル開口13Mから一次空気SAが均一に吹き出されることにより、混合室12に設けられたスリット状の誘引開口17の上方を一次空気SAが均一に通過するため、誘引開口17全面から誘引を行うことができ、効率良く誘引を行うことができる。さらに、吹出開口16から室内に吹き出される気流も均一なため、室内の広い範囲に送風することができる。
【0027】
なお、空調吹き出し装置100は、吹出開口16付近に、ノズル13と離間して、ノズル13と対向するように設けられる平板状のガイド18を備えた構成であることが好ましい(図2参照)。ガイド18は吹出開口16の長辺方向にわたって設けられ、混合空気MAを吹出開口16に誘導するための拡大部18aと、誘導した混合空気を吹出開口16に供給する直線部18bとを有する。
【0028】
これにより、ガイド18が、一次空気流路11のノズル13から吹き出された一次空気SAと、誘引開口17から誘引された周囲空気AAとを混合した混合空気MAを吹出開口16へ誘導する機能を果たす。
【0029】
そのため、前述したように、空調吹き出し装置100は混合室内12内で一次空気SAと周囲空気AAが混合されるものであるが、このガイド18により、一次空気SAと周囲空気AAが混合室12内の壁面に衝突しにくくなり、混合室12内の一次空気SAと周囲空気AAの流れがスムーズになる。その結果、混合室12内の圧力損失が低減するため、騒音の発生を抑えることができ、誘引率を向上させ得る。
【0030】
[空調吹き出し装置101]
図3は、ダクト接続口およびダクトを備えた本発明の空調吹き出し装置の実施形態を示す六面図であり、(i)は正面図、(ii)は背面図、(iii)は平面図、(iv)は底面図、(v)は左側面図、(vi)は右側面図である。また、図4は、右側面(図3(vi)参照)から見た、ダクト接続口およびダクトを備えた本実施形態の空調吹き出し装置の内部構成を示す図である。
なお、以下、既に説明した構成においては、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0031】
図3,4に示すように、空調吹き出し装置101は、流入口14にダクト接続ボックス30を取り付けることができる。ダクト接続ボックス30には、ダクト接続ネック32を介してダクト31が接続される。
そして、ダクト31の上流側には空調機が接続されており、空調機から送られる一次空気SAがダクト31を通ってダクト接続ボックス30を経由し、流入口14からボックス部10内へ流入する。
【0032】
[吹出口部および吸込口部]
図5は、図4に示す構成において、さらに吹出開口16に吹出口部20を備え、誘引開口17には吸込口部21を備えた構成を示す図である。
【0033】
吹出口部20は、額縁201と、角度調節が可能な羽根202とを備えている。そのため、吹出開口16に吹出口部20を設けることにより、吹出口部20の羽根202の角度を調整することで混合空気MAの吹き出す方向(風向)を調整することができる。
【0034】
なお、吹出口部20は、額縁201などに、断熱材20Hを設けた構成とすることができる。具体的には、額縁201をアルミニウム合金で構成し、その表面に樹脂などの伝熱性の低い材料を設け、額縁201の裏側に断熱材20Hを設ける構成とすることで、結露の発生を低減することができる。
例えば、断熱材20Hを設けていないと、冷房時、ノズル13から吹き出された冷たい一次空気SAと誘引開口17から誘引された周囲空気AAとが混合した混合空気MAが、吹出口部20に流入する際に、この混合空気MAにより吹出口部20の額縁201などが冷やされる。そして、吹出口部20から吹き出される混合空気MAの気流により温かい周囲空気AAが吹出口部20付近に誘引され、この冷えた額縁201などに接触することで結露が発生し得る。
これに対して、断熱材20Hを設けた構成によれば、混合空気MAにより額縁201などが冷やされることを防ぐことができるため、誘引された周囲空気AAが額縁201などに接触しても、結露が発生しないようにすることができる。
【0035】
一方、吸込口部21は、額縁211と、羽根212とを備えている。
そのため、誘引開口17に吸込口部21を設けることにより、周囲空気AAを整流させたうえで混合室12内に取り込むことができるため、圧力損失の増大防止および騒音低減を図ることができる。
【0036】
また、図4,5に示すように、空調吹き出し装置101が天井面に沿って混合空気MAを吹き出す姿勢で設置されると、誘引開口17はボックス部10の底面10dに設けられているため、誘引開口17は人目に晒されることになる。そこで、誘引開口17に吸込口部21を設けることにより、意匠性を向上させる(見栄えを良くする)ことができる。
【0037】
なお、流入口14がボックス部10の底面10dに設けられる場合においても同様であり、流入口14にダクト接続口30を取り付けることで、意匠性を向上させる(見栄えを良くする)ことができるほか、ダクト接続ボックス30内面には保温材としてグラスウールを設ければ、一次空気SAを消音させることができ、吹出開口16から吹き出す混合空気MAの騒音を低減させることができる。
【0038】
[設置例]
図6は、空調吹き出し装置101が空調対象空間の天井面に沿って、かつ窓と対向する位置に設置される例を示す図である。
空調吹き出し装置101は、空調対象空間の天井面または躯体に沿って設置されることが好ましい。
【0039】
空調吹き出し装置101が天井面などに沿って設置されることにより、図6に示す気流の流れを示す矢印からも分かるように、空調吹き出し装置101から天井面などに沿って水平方向に吹き出された混合空気MAは、コアンダ効果により天井面などに沿って水平に流動して空調対象空間全体へ行き渡る。また、空調吹き出し装置101の下方に滞留する空気は、空調吹き出し装置101の誘引開口14から誘引されて空調吹き出し装置101内で一次空気SAと混合され、混合空気MAとして室内へ供給されるため、室温の偏りを減少させ、室温を均一に調整することができる。
【0040】
また、図4,5に示すように、壁面を貫通したダクト31をダクト接続ボックス30に接続することで、ダクト31に急な曲がりを生じさせることなく流入口14と壁面のダクト貫通用の開口33とを結ぶことができるため、流入口14にダクト31を接続するよりも施工スペースを減少させることができる。
【0041】
このように空調吹き出し装置101を設置することで、空調吹き出し装置101から天井面などに沿って水平方向に吹き出された混合空気MAは、コアンダ効果により窓側の上方まで到達する。そして、混合空気MAは窓に沿って吹き下ろされるため、窓からの寒気または熱気が室内に伝わることを防ぐことができる。よって、室内の空調を効率良く行うことができ、かつ窓の近くにいる在室者が感じる不快感を低減させることができる。
【0042】
[空調吹き出し装置102]
図7は、空調吹き出し装置102が下方に向けて混合空気を吹き出す構成を示す図である。
【0043】
空調吹き出し装置102は、図7に示すように、一次空気流路11に沿って設けられた気流案内板19をさらに有する。また、これまで説明した空調吹き出し装置100,101は、水平方向に向けて混合空気MAを吹き出すように設置されるものであるが、空調吹き出し装置102は、固定具40などを用いて、下方に向けて混合空気MAを吹き出すように天井に設置されている。本実施形態では、吊り金具41の穴に固定具40(例えば吊りボルト)が挿入され、ナット42により固定されている。
【0044】
そして、本実施形態において、気流案内板19は、流入口14付近からノズル13の先端よりも下流の領域まで伸びるように設けられている。具体的に、気流案内板19は、流入口14側から水平部191、傾斜部192、鉛直部193が連続して構成されており、水平部191の上流側は流入口14の断面積を二分する位置、鉛直部193の下流側はノズル開口13Mの断面積を二分する位置とし、鉛直部193の末端はノズル開口13Mから延出する姿勢で一次空気流路11内に設けられている。
【0045】
この気流案内板19により、流入口14から流入した一次空気SAの流路が分割されて、一次空気流路11からノズル13に流入する一次空気SAの偏りがなくなり、一次空気SAはスムーズにノズル13まで流れてノズル開口13Mから均一に吹き出されるため、圧力損失の低減および騒音の抑制を実現することができる。
【0046】
また、本実施形態のように気流案内板19がノズル13を超えて伸びている構成、すなわち、鉛直部193の末端がノズル開口13Mから延出する姿勢で一次空気流路11内に設けられている構成である場合、コアンダ効果により、ノズル13から吹き出された一次空気SAが気流案内板19に沿って確実に吹出開口16へと向かって流れる。よって、ノズル13から吹き出された一次空気SAはボックス部10内の壁面に衝突しにくくなるため、一次空気SAの気流による周囲空気AAの誘引を効率良く行うことができる。
【0047】
なお、空調吹き出し装置102のように気流案内板19を有する構成である場合、前述したように、コアンダ効果によりノズル13から吹き出された一次空気SAは指向性のある気流となるため、吹出開口16から吹き出される混合空気MAも空調対象空間内にすぐに拡散されにくいものとなり、より遠くまで混合空気MAを到達させることができる。
【0048】
[空調吹き出し装置200]
図8は、本発明の空調吹き出し装置の別の実施形態を示す六面図であり、(i)は正面図、(ii)は背面図、(iii)は平面図、(iv)は底面図、(v)は左側面図、(vi)は右側面図である。
【0049】
空調吹き出し装置200は、図9に示すように、短管状の流入口14から流入した一次空気SAの流路を徐々に狭めてノズル15のノズル開口15Mから吹き出す構成となっている。本実施形態では、ノズル15は、流入口14側から連続して構成される水平部151、傾斜部152、鉛直部153と連続して構成されており、水平部151、傾斜部152、鉛直部153により挟まれた距離が、d1>d2>d3とノズル15まで徐々に狭くなっていくことにより、一次空気SAの流路を狭めている。
また、横長の形状である吹出開口16(図8(iv)参照)のように、ノズル15は横長(スリット状)の形状になっている。
【0050】
また、本実施形態において、空調吹き出し装置200は、気流案内板19を有する(図9参照)。気流案内板19は、流入口14付近からノズル15の先端よりも下流の領域まで伸びるように設けられている。具体的に、気流案内板19は、流入口14側から水平部191、傾斜部192、鉛直部193が連続して構成されており、水平部191の上流側は流入口14の断面積を二分する位置、鉛直部193の下流側はノズル開口15Mの断面積を二分する位置とし、鉛直部193の末端はノズル開口15Mから延出する姿勢で混合室12内に設けられている。
【0051】
この気流案内板19により、流入口14から流入した一次空気SAの流路が分割されて、流入口14からノズル15に流入する一次空気SAの偏りがなくなり、一次空気SAはスムーズにノズル15まで流れてノズル開口15Mから均一に吹き出されるため、圧力損失の低減および騒音の抑制を実現することができる。
【0052】
図10は、空調吹き出し装置200の利用例を示す図であり、(i)は空調吹き出し装置200を正面10a(図8(i)参照)から見た図、(ii)は空調吹き出し装置200を左側面10e(図8(v)参照)から見た図である。
空調吹き出し装置200は、出入口の上方から下方に向けて混合空気を吹き出すように出入口の上方に設置することにより、出入口付近にエアカーテンを形成することができる。
【0053】
このようなエアカーテンを形成することによって、室内空気が出入口から室外に流出することを防止して空調ロスを低減し、省エネルギー化を実現することができる。また、反対に、室外の花粉や粉塵などが室内に流入することを防ぐことができる。加えて、室外から室内へ人が入る際、室外の空気が室内に流入することを防止して空調ロスを低減するとともに、その人(および被服や荷物など)に付着した花粉や粉塵などを上方から吹き出される混合空気により除去することができる。
【0054】
なお、この場合、空調吹き出し装置200は、図8~10に示すように、流入口14に設けられ、混合空気MAの吹き出しを促進するファン50を有する構成とすることもできる。
本実施形態では、ファン50は流入口14内に収容されることにより設けられている。なお、流入口14は短管状であるため、ダクトを接続することもできる。
【0055】
流入口14にファン50を設けることにより、空調機などの搬送動力を使用せずに空調吹き出し装置200自身で空気を搬送できる。
また、流入口14にダクトを接続せずに、かつ空調吹き出し装置を空調対象空間である室内の天井に設置する構成とする場合、天井付近に滞留した空気を下方に吹き降ろすことにより、室内の空気を攪拌させ、室内の気温を均一に保つことができる。
なお、誘引開口17から誘引を行うことで、ファン50の風量が小さくても、周囲空気が混合された混合空気の吹出風量は大きくなるため、ファン50の小型化を図ることができる。よって、空調吹き出し装置200のコンパクト化、騒音の低減や省エネルギー化などを実現することができる。
【0056】
以上のように説明した空調吹き出し装置100,101,102,200は、本発明の空調吹き出し装置を例示するものであり、本発明の趣旨を逸脱しない限り、本発明の構成は例示したものに限定されない。
例えば、本実施形態において、空調吹き出し装置100のボックス部10は2つの流入口14を有する構成としたが(図1参照)、流入口の数は空調吹き出し装置(ボックス部)のサイズに応じて1つでもよく、もちろん3つ以上あってもよい。
【0057】
また、本発明の空調吹き出し装置は、ノズルをボックス内に内蔵しているため、外見がシンプルな箱型であり意匠性に優れているものであるが、ボックス部の形状や大きさ、縦横の比率などは適宜設計変更可能である。もちろん、ボックス部内で一次空気流路と混合室とが占める領域の比率や、ノズルの長さ、幅やノズル開口の広さなども、適宜設計変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係る空調吹き出し装置は、ノズルから吹き出された一次空気の気流により誘引を促進し、効率良く周囲空気を誘引し、吹出開口およびその周囲の結露を防止することができる空調吹き出し装置として様々な施設で利用することができるため、産業上有用である。
【符号の説明】
【0059】
100,101,102,200 空調吹き出し装置
10 ボックス部
10a 正面
10b 背面
10c 上面
10d 底面
10e 左側面
10f 右側面
11 一次空気流路
12 混合室
13 ノズル
13M ノズル開口
14 流入口
15 ノズル
15M ノズル開口
151 水平部
152 傾斜部
153 鉛直部
16 吹出開口
17 誘引開口
18 ガイド
18a 拡大部
18b 直線部
19 気流案内板
191 水平部
192 傾斜部
193 鉛直部
20 吹出口部
201 額縁
202 羽根
20H 断熱材
21 吸込口部
211 額縁
212 羽根
30 ダクト接続ボックス
31 ダクト
32 ダクト接続ネック
33 ダクト貫通用の開口
40 固定具
41 吊り金具
42 ナット
50 ファン
SA 一次空気
AA 周囲空気
MA 混合空気
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10