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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147401
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/44 20060101AFI20241008BHJP
   B41J 11/42 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B65H3/44 G
B41J11/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060381
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲崎▼ 啓典
【テーマコード(参考)】
2C058
3F343
【Fターム(参考)】
2C058AB12
2C058AC07
2C058AE02
2C058AE04
2C058AF04
2C058GB11
2C058GB53
2C058GC00
3F343FA02
3F343FB04
3F343FC30
3F343GA01
3F343GB01
3F343GB02
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA16
3F343HA21
3F343HA36
3F343HB03
3F343HC04
3F343HC11
3F343HC12
3F343KB03
3F343KB07
3F343KB20
3F343MA02
3F343MA08
3F343MB19
(57)【要約】
【課題】シートごとに、トレイへの適切な載置方法を案内することが可能な画像記録装置を提供する。
【解決手段】筐体100aと、上記筐体100aに着脱可能なトレイと、上記トレイから供給されたシートに画像を記録する記録部6と、ディスプレイ25と、コントローラ10と、を備える画像記録装置2である。上記トレイは、複数枚のシートが積層された状態で載置される第1領域23Aと、シートがロール状に巻回された状態で載置される第2領域23Bと、を有している。上記コントローラ10は、上記第1領域23Aおよび上記第2領域23Bのうちいずれの領域にシートを載置するかを示す画面を上記ディスプレイ25に表示させる処理を実行する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
上記筐体に着脱可能なトレイと、
上記トレイから供給されたシートに画像を記録する記録部と、
ディスプレイと、
コントローラと、を備えており、
上記トレイは、
複数枚のシートが積層された状態で載置される第1領域と、
シートがロール状に巻回された状態で載置される第2領域と、を有しており、
上記コントローラは、
上記第1領域および上記第2領域のうちいずれの領域にシートを載置するかを示す画面を上記ディスプレイに表示させる処理を実行する画像記録装置。
【請求項2】
上記コントローラは、
上記第1領域に複数枚のシートを載置する手順を示す第1ガイダンスを上記ディスプレイに表示させる処理を実行する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記コントローラは、
上記第2領域にロール状のシートを載置する手順を示す第2ガイダンスを上記ディスプレイに表示させる処理を実行する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記コントローラは、
トリガ信号を受信したことに応じて、シートの種類を入力可能なシート入力画面を上記ディスプレイに表示させる処理を実行し、
上記シート入力画面において、上記第1領域に載置されるシートの種類の入力を受け付けたことに応じて、上記第1領域に複数枚のシートを載置する手順を示す第1ガイダンスを上記ディスプレイに表示させる処理を実行し、
上記シート入力画面において、上記第2領域に載置されるシートの種類の入力を受け付けたことに応じて、上記第2領域にロール状のシートを載置する手順を示す第2ガイダンスを上記ディスプレイに表示させる処理を実行する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記トレイからシートを供給するローラを備えており、
上記トレイは、
上記第1領域に位置する支持板と、
上記第2領域から上記支持板の下方へ延びる通路と、
上記支持板に支持されており、上記ローラと当接可能な第1位置、および上記通路の一部を露出し上記ローラと当接しない第2位置に移動可能な切替部材と、を有しており、
上記第1ガイダンスは、上記切替部材を上記第1位置に位置することを示す画面を含み、
上記第2ガイダンスは、上記切替部材を上記第2位置に位置することを示す画面を含む請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記トレイは、
上記第1領域に位置する支持板と、
上記第2領域から上記支持板の下方へ延びる通路と、を有しており、
上記第2ガイダンスは、ロール状のシートの先端が上記通路に進入することを示す画面を含む請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記第1ガイダンスは、上記第2領域にロール状のシートが載置されていないことを示す画面を含む請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項8】
上記第2ガイダンスは、上記第1領域にシートが載置されていないことを示す画面を含む請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項9】
上記トレイは、シートが供給される向きと交差する方向に移動可能なサイドガイドであって、上記第1領域に載置されたシートに当接可能なサイドガイドを有しており、
上記第1ガイダンスは、上記サイドガイドを移動することを示す画面を含む請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項10】
上記トレイは、シートの供給向きの端部に位置して上方へ突出する突部を有しており、上記第2ガイダンスは、上記通路に進入したロール状のシートの先端が上記突部に当接することを示す画面を含む請求項6に記載の画像記録装置。
【請求項11】
上記トレイは、シートが供給される向きと交差する方向に移動可能なサイドガイドであって、ロール状のシートに当接可能なサイドガイドを有しており、
上記第2ガイダンスは、上記サイドガイドを移動することを示す画面を含む請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項12】
画像を記録されたシートを支持する第1排出トレイと、
上記第1排出トレイに対して、シートの排出向きへ移動可能な第2排出トレイと、をさらに備えており、
上記第2ガイダンスは、上記第2排出トレイを上記排出向きと逆向きへ移動することを示す画面を含む請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項13】
上記トレイの着脱を検出するセンサをさらに備えており、
上記コントローラは、
上記トレイが取り外されている信号を上記センサから取得したことに応じて、上記シート入力画面を上記ディスプレイに表示させる処理を実行する請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項14】
上記第1ガイダンスおよび上記第2ガイダンスは、複数の画面を含み、
上記コントローラは、
上記第1ガイダンスまたは上記第2ガイダンスに含まれる画面と、上記シート入力画面とを上記ディスプレイに表示してからの経過時間を計時する処理と、
上記経過時間が予め定めれられた時間に到達したことに応じて、上記トリガ信号を受信する前の画面を上記ディスプレイに表示する処理とを実行し、
上記第1ガイダンスおよび上記第2ガイダンスにおける上記予め定められた時間は、上記シート入力画面における上記予め定められた時間よりも長い請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項15】
上記第1領域および上記第2領域のうちいずれかの領域にシートを載置する示す画面は、シートの種類を示す画像と、上記第1領域および上記第2領域が描かれたトレイを示す画面と、を含む請求項1に記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カットされたシートと、ロール状に巻回されたシートとのいずれか一方のトレイへの載置方法を表示可能な画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カット紙と、ロール紙との2種類の用紙に対応する載置位置(領域)をもつトレイを用いた給紙装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。2種類の用紙に対応する載置位置(領域)をもつトレイを用いることで、給紙装置を大型化せずに、供給可能な用紙のバリエーションを増やすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2-264556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2種類のシート(用紙)の形状および載置位置が異なるので、トレイへの2種類のシートの載置方法やトレイにおける搬送路(供給経路)もそれぞれ異なる。シートがトレイに適切に載置されていない場合、供給における詰まりの発生要因などになり得る。シートごとに適切な載置方法が案内できれば好ましい。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートごとに、トレイへの適切な載置方法を案内することが可能な画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る画像記録装置は、筐体と、上記筐体に着脱可能なトレイと、上記トレイから供給されたシートに画像を記録する記録部と、ディスプレイと、コントローラと、を備える画像記録装置である。上記トレイは、複数枚のシートが積層された状態で載置される第1領域と、シートがロール状に巻回された状態で載置される第2領域と、を有している。上記コントローラは、上記第1領域および上記第2領域のうちいずれの領域にシートを載置するかを示す画面を上記ディスプレイに表示させる処理を実行する。
【0007】
上記構成によれば、複数枚のシートと、ロール状に巻回されたシートとの両者を載置可能なトレイについて、第1領域および第2領域のうちいずれの領域にシートを載置するかを示す画面がディスプレイに表示される。第1領域および第2領域のうちいずれの領域にシートを載置するかを視覚的に示すことで、ユーザがシートを載置する場所を把握しやすくなる。
【0008】
(2) 上記コントローラは、上記第1領域に複数枚のシートを載置する手順を示す第1ガイダンスを上記ディスプレイに表示させる処理を実行するのが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、第1領域に複数枚のシートを載置する手順を示すガイダンスがディスプレイに表示される。第1領域に複数枚のシートを載置する手順を視覚的に示すことで、ユーザが複数枚のシートを載置する場所を把握し易くなる。
【0010】
(3) 上記コントローラは、上記第2領域にロール状のシートを載置する手順を示す第2ガイダンスを上記ディスプレイに表示させる処理を実行するのが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、第2領域にロール状のシートを載置する手順を示すガイダンスがディスプレイに表示される。第2領域にロール状のシートを載置する手順を視覚的に示すことができ、ユーザがロール状のシートを載置する場所を把握しやすくなる。
【0012】
(4) 上記コントローラは、トリガ信号を受信したことに応じて、シートの種類を入力可能なシート入力画面を上記ディスプレイに表示させる処理を実行し、上記シート入力画面において、上記第1領域に載置されるシートの種類の入力を受け付けたことに応じて、上記第1領域に複数枚のシートを載置する手順を示す第1ガイダンスを上記ディスプレイに表示させる処理を実行し、上記シート入力画面において、上記第2領域に載置されるシートの種類の入力を受け付けたことに応じて、上記第2領域にロール状のシートを載置する手順を示す第2ガイダンスを上記ディスプレイに表示させる処理を実行するのが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、シート入力画面で入力された種類のシートに応じた第1ガイダンスまたは第2ガイダンスがディスプレイに表示される。シートによって異なる載置手順を視覚的に示すことで、トレイへの適切な載置方法が案内される。
【0014】
(5) 画像記録装置は、上記トレイからシートを供給するローラを備える。上記トレイは、上記第1領域に位置する支持板と、上記第2領域から上記支持板の下方へ延びる通路と、上記支持板に支持されており、上記ローラと当接可能な第1位置、および上記通路の一部を露出し上記ローラと当接しない第2位置に移動可能な切替部材と、を有している。上記第1ガイダンスは、上記切替部材を上記第1位置に位置することを示す画面を含み、上記第2ガイダンスは、上記切替部材を上記第2位置に位置することを示す画面を含むのが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、載置するシートの種類に応じて、切替部材の位置が適切に案内される。
【0016】
(6) 上記トレイは、上記第1領域に位置する支持板と、上記第2領域から上記支持板の下方へ延びる通路と、を有している。上記第2ガイダンスは、ロール状のシートの先端が上記通路に進入することを示す画面を含むのが好ましい。
【0017】
(7) 上記第1ガイダンスは、上記第2領域にロール状のシートが載置されていないことを示す画面を含むのが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、択一的に載置されるロール状のシートと、カットされたシートとの載置を適切に案内できる。
【0019】
(8) 上記第2ガイダンスは、上記第1領域にシートが載置されていないことを示す画面を含むのが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、択一的に載置されるロール状のシートと、カットされたシートとの載置を適切に案内できる。
【0021】
(9) 上記トレイは、シートが供給される向きと交差する方向に移動可能なサイドガイドであって、上記第1領域に載置されたシートに当接可能なサイドガイドを有しており、
上記第1ガイダンスは、上記サイドガイドを移動することを示す画面を含むのが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、第1領域に載置されるシートの供給におけるずれが抑制される。
【0023】
(10) 上記トレイは、シートの供給向きの端部に位置して上方へ突出する突部を有しており、上記第2ガイダンスは、上記通路に進入したロール状のシートの先端が上記突部に当接することを示す画面を含むのが好ましい。
【0024】
上記構成によれば、ロール状のシートから引き出された先端が位置決めされる。
【0025】
(11) 上記トレイは、シートが供給される向きと交差する方向に移動可能なサイドガイドであって、ロール状のシートに当接可能なサイドガイドを有している。上記第2ガイダンスは、上記サイドガイドを移動することを示す画面を含むのが好ましい。
【0026】
上記構成によれば、第2領域に載置されるロール状のシートの供給におけるずれが抑制される。
【0027】
(12) 画像記録装置は、画像を記録されたシートを支持する第1排出トレイと、上記第1排出トレイに対して、シートの排出向きへ移動可能な第2排出トレイと、をさらに備えている。上記第2ガイダンスは、上記第2排出トレイを上記排出向きと逆向きへ移動することを示す画面を含むのが好ましい。
【0028】
上記構成によれば、ロール状のシートの排出が第1排出トレイおよび第2排出トレイに引っ掛かることが抑制される。
【0029】
(13) 画像記録装置は、上記トレイの着脱を検出するセンサをさらに備えている。上記コントローラは、上記トレイが取り外されている信号を上記センサから取得したことに応じて、上記シート入力画面を上記ディスプレイに表示させる処理を実行するのが好ましい。
【0030】
上記構成によれば、外部から第1領域および第2領域にアクセス可能となったことをトリガとして、第1ガイダンスまたは第2ガイダンスが視覚的に案内される。
【0031】
(14) 上記第1ガイダンスおよび上記第2ガイダンスは、複数の画面を含む。上記コントローラは、上記第1ガイダンスまたは上記第2ガイダンスに含まれる画面と、上記シート入力画面とを上記ディスプレイに表示してからの経過時間を計時する処理と、上記経過時間が予め定めれられた時間に到達したことに応じて、上記トリガ信号を受信する前の画面を上記ディスプレイに表示する処理とを実行する。上記第1ガイダンスおよび上記第2ガイダンスにおける上記予め定められた時間は、上記シート入力画面における上記予め定められた時間よりも長いのが好ましい。
【0032】
上記構成によれば、トレイへのシートの載置手順を確認できる時間が長くなる。
【0033】
(15) 上記第1領域および上記第2領域のうちいずれかの領域にシートを載置する示す画面は、シートの種類を示す画像と、上記第1領域および上記第2領域が描かれたトレイを示す画面と、を含むのが好ましい。
【0034】
上記構成によれば、トレイとシートとの位置関係が把握しやすくなる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、シートの適切な載置方法が案内される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、画像記録装置2の外観斜視図である。
図2図2は、画像記録装置2の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図3図3は、共用トレイ23を示す斜視図である。
図4図4は、コントローラ10を示す概略図である。
図5図5は、排出トレイ24を示す側面図である。
図6図6は、排出トレイ24を示す平面図である。
図7図7は、画像記録装置2に第1ガイダンスまたは第2ガイダンスを表示する流れを示すフローチャートである。
図8図8は、初期設定時にディスプレイ25に表示される画面の一例を示す画面図である。
図9図9は、図8において「Tray Setting」を示すアイコン166が押下された際にディスプレイ25に表示される画面の一例を示す画面図である。一例を示す画面図である。
図10図10は、ディスプレイ25に表示される用紙タイプおよび用紙サイズを選択する画面の一例を示す画面図である。
図11図11は、ディスプレイ25に表示される第1ガイダンスを示す画面の一例を示す画面図である。
図12図12は、ディスプレイ25に表示される第2ガイダンスを示す画面の一例を示す画面図である。
図13図13は、ディスプレイ25に表示される第2ガイダンスを示す画面の一例を示す画面図である。
図14図14は、ディスプレイ25に表示されるメニュー画面183およびホーム画面182の一例を示す画面図である。
【0037】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様を変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明においては、画像記録装置2が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義される。排出トレイ24が設けられている側を手前側(前面)として前後方向8が定義される。画像記録装置2を手前側(前面)から見て、左右方向9が定義される。なお、本実施形態において、文言「画像」とは、記録部6から吐出されるインクによってシートに記録される記録物、またはディスプレイ25に表示されている画面に描かれている図形を意味する。また、文言「画面」とは、画像記録装置2に位置するディスプレイ25に描画される表示物を意味する。以降の説明において、ロールシート46とカットシート45とを区別しない場合には、単に「シート」とも述べる。
【0038】
[画像記録装置2の全体構成]
図1に示されるように、画像記録装置2は、概ね直方体に形成されている。画像記録装置2は、例えば、インクジェットプリンタであり、シートに対してインクを吐出することで画像を記録する。画像記録装置2は、筐体100aと、給送トレイ20と、給送部3と、搬送機構4と、排出トレイ24と、カッター5と、記録部6と、操作パネル26と、ディスプレイ25と、コントローラ10と、を備える。図2に示されるように、筐体100aは、画像記録装置2の外周を区画する。
【0039】
[給送トレイ20]
図1に示されるように、給送トレイ20は、画像記録装置2の下部に位置している。本実施形態において、給送トレイ20は、3つのタイプのトレイからなる給送トレイ20を備える。具体的には、給送トレイ20の3つのタイプのトレイとして、多目的トレイ21と、第1トレイ(用紙トレイ1)22と、第2トレイ(図3参照、トレイの一例、以下、用紙トレイ2または共用トレイ23ともいう)と、を備える。多目的トレイ21は、画像記録装置2の筐体100aに固定されている給送トレイ20である。多目的トレイ21は、画像記録装置2の後端側から、カットされた複数枚のシート(以下、カットシート45ともいう)を給送可能である。カットシート45は、例えば、定型サイズ(例えば、A4等)にカットされたシートである。なお、図2では、給送トレイ20として、共用トレイ23が代表的に示されている。また、筐体100aの底面101には、共用トレイ23の下面に接触することで共用トレイ23の挿抜を検知する挿抜センサ151(図2参照)が位置している。挿抜センサ151は、例えば、共用トレイ23が差し込まれる際に、共用トレイ23の下面と接触することで下方に向けて押下される検出子152を有する。検出子152は、不図示の付勢部材により上方に付勢されて底面101に抜け止めされている。検出子152は、共用トレイ23が抜き取られることで上方に向けて移動する。挿抜センサ151は、例えば、検出子152の押下により、共用トレイ23の挿抜を示す信号(図2では、共用トレイ23が挿入されている信号)を出力する。
【0040】
第1トレイ22と、共用トレイ23とは、画像記録装置2の筐体100a(図2参照)に挿抜可能なトレイである。第1トレイ22は、例えば、カットされた複数枚のシートを収容可能なトレイである。共用トレイ23は、カットシート45と、ロール状に巻回されたシート(以下、ロールシート46ともいう)とを同時に収容可能なトレイである。すなわち、共用トレイ23は、カットシート45またはロールシート46のいずれにも利用可能な給送トレイ20である。なお、本実施形態では、画像を記録する際に、カットシート45およびロールシート46のうち記録に使われるシートのみが共用トレイ23に収容された状態で、記録が行われるようになっている。共用トレイ23は、画像記録装置2の筐体100aに対して前後方向に挿入および取出可能である。図1から図3に示されるように、共用トレイ23は、上面を開口する箱体である。また、以下の説明では、給送トレイ20として、共用トレイ23が主に説明される。
【0041】
図3に示されるように、給送トレイ20の1つは、ロール状に巻回されたシートと、カットされたシートとの一方を選択的に収容可能になっている。以下の説明では、2種類のシートを選択的に収容可能な給送トレイ20を「共用トレイ23」ともいう。図3に示されるように、共用トレイ23は、上下方向7に主面を向けており平面視における外形が矩形の底面11aと、底辺の4辺から上方に向けて起立する前壁11b、左壁11c、右壁11d、および後壁11eによって構成される。後壁11eには、後壁11eを前後方向8に貫通する開口27が位置している。後壁11eにおける開口27の側面視における外形は、矩形である。後壁11eにおける左右方向9の幅は、カットシート45よりも大きな寸法を有している。これにより、ロールシート46およびカットシート45は、いずれも開口27を前後方向8に通過可能になっている。図2および図3に示されるように、共用トレイ23は、支持台81と、支持板91と、通路33と、フラップ28(切替部材の一例)と、突部29と、サイドガイド30と、を有している。
【0042】
[支持台81]
支持台81は、共用トレイ23の前方側の端部に位置している。支持台81は、上面が凹む直方体形状であり、左右方向9の両端が右壁11dおよび左壁11cの側面に支持されている。支持台81の底面81aは、底面11aから離れて位置する。支持台81の上面には、下方に向けて凹む凹部82が位置する。凹部82の上面は、下方へ向かって凹む円周面である。凹部82の上面の直径は、巻回した状態のシート(ロールシート46)の外径よりも大きい。凹部82には、ロールシート46が載置される。凹部82の上面は、ロールシート46が載置される第2領域23Bである。
【0043】
凹部82の上面には、軸方向が左右方向9に沿ったローラ83が位置する。ローラ83の外周面は、ロールシート46の外周面に当接する。ローラ83は、前後方向8に離れて一対が位置する。この一対のローラ83は、左右方向9に沿って複数が位置する。ローラ83は、ロールシート46の回動に連れて回る。
【0044】
凹部82の上面には引出孔84が位置する。引出孔84は、支持台81の左右方向9両端まで延びる。引出孔84は、凹部82の上面における最下位置付近から後方且つ下方へ向けて、凹部82の上面から支持台81の底面11aまで延びている。引出孔84の上端は、一対のローラ83の間に位置する。ロールシート46から引き出されたシートは、引出孔84に挿通される。引出孔84は、後述する通路33の一部である。
【0045】
[支持板91]
支持板91は、支持台81の後方と後壁11eとの間に位置する。支持板91の平面視における外形は概ね矩形であり、後端部の左右方向9中央部が前方に向けて矩形に凹んでいる。支持板91の左右端は、左壁11cおよび右壁11dから離れている。支持板91の後端は、後壁11eから離れている。支持板91は、共用トレイ23の底面11aから上方に離れている。支持板91の前端は、支持台81の後面に接続されている。
【0046】
[通路33]
通路33は、支持板91と共用トレイ23の底面11aとの間に位置する。通路33は、第2領域23Bから支持板91の後端へ延びる。通路33の左右方向9の両端および後端は、開口している。通路33の前端は、引出孔84と第2領域23Bとの接続位置となる。通路33において、ロールシート46から引出孔84に挿通されたシートが通路33を通って支持板91の後端へ至る。
【0047】
支持板91の左右方向9における寸法は、ロールシート46の左右方向9の寸法よりも小さい。ロールシート46の左右端は、支持板91の左右方向9における両端より外方に位置する。
【0048】
支持板91の上面は、平面である。支持板91の上面は、カットシート45が載置される第1領域23Aを構成する。
【0049】
[フラップ28]
フラップ28(切替部材の一例)は、支持板91の凹部に位置する。フラップ28の平面視における外形は、矩形である。フラップ28の左右方向9および前後方向8の寸法のそれぞれは、凹部の左右方向9および前後方向8の寸法よりも小さい。支持板91の前端は、凹部の前端に対して、上方且つ前後方向8に回動可能に軸止されている。フラップ28は、図3に実線で示される第1位置28Aと、図3に2点鎖線で示される第2位置28Bとに回動可能である。フラップ28の位置は、選択的に載置されるシートの種類に基づいて、第1位置28Aと第2位置28Bとの間で切り替えられる。カットシート45が第1領域23Aに載置されるとき、フラップ28は第1位置28Aに位置される。ロールシート46が第2領域23Bに載置されるとき、フラップ28は第2位置28Bに位置される。第1位置28Aのフラップ28は、給送ローラ32と当接可能である。第2位置28Bのフラップ28は、通路33の一部を露出する。第2位置28Bのフラップ28は、給送ローラ32と当接しない。
【0050】
[突部29]
突部29は、支持台81の底面11aから上方に向けて突出する。突部29は、底面11aの後端縁に位置する。突部29は、例えば、後壁11eの開口27位置に沿って左右方向9に延びる。突部29の上面は、例えば、通路33を通過して給送されるロール体のシート先端の乗り越え可能な形状になっている。突部29の上面は、例えば、前後方向8で湾曲するアーチ状である。
【0051】
[サイドガイド30]
サイドガイド30は、主面を左右方向9に向けた板体である。サイドガイド30は、支持板91の左右方向9両端よりも外方に一対が位置する。サイドガイド30の上端は、左壁11cおよび右壁11dの上端と略同じ位置である。サイドガイド30は、左右方向9に沿って互いに接近する方向または離間する方向に移動可能である。サイドガイド30は、シートの左右方向9における幅に合わせて左右方向9に沿って移動され、且つシートの左右両端に当接することで、シートを左右方向9に位置決めする。一対のサイドガイド30は、例えば、図示しないラックピニオン機構によって、相互に移動可能である。サイドガイド30は、第1領域23Aに載置されているカットシート45に当接するように移動される。サイドガイド30は、第2領域23Bに載置されているロールシート46から通路33に引き出されたシートに当接するように移動される。
【0052】
[給送部3]
図2に示されるように、給送部3は、筐体100aに装着された状態の給送トレイ20の上方に設けられている。給送部3は、給送ローラ32(ローラの一例)と、分離片31と、を備えている。
【0053】
[給送ローラ32]
給送ローラ32は、第1領域23Aに収容されたカットシート45と、第2領域23Bに収容されたロールシート46から引き出されたシートと、のいずれかを択一的に給送する。
【0054】
給送ローラ32は、アーム2aの先端に軸止されている。アーム2aは、支軸2bに回動自在に支持されている。支軸2bは、筐体100aに支持されている。アーム2aは、給送ローラ32を第1位置28Aのフラップ28に近づけるように、不図示の付勢部材により付勢されている。給送ローラ32は、搬送モータ120の駆動により回動する。給送ローラ32が回動すると、給送ローラ32に接触するシートが後方へ給送される。
【0055】
第1領域23Aにカットシート45が載置されている場合、給送ローラ32は、最上位に位置するカットシート45の上面に接触する。第2領域23Bにロールシート46が載置されている場合、給送ローラ32は、支持板91の凹部から上方に露出するロールシート46から引き出されたシートに接触する。
【0056】
[分離片31]
分離片31は、後方側の端部が前方側の端部よりも上方に位置するように傾斜する板体である。分離片31は、共用トレイ23が筐体100aに挿入されているとき、共用トレイ23の後壁11eよりも後方において、左右方向9の中央に位置する。分離片31は、例えば、カットシート45の幅方向の中央部と接触し、積層状態のカットシート45について、給送ローラ32と接触する最上位置のカットシート45と、それより下方のカットシート45とを分離する。分離片31によって分離された最上位のカットシート45は、分離片31の表面に沿って斜め上方に案内される。また、ロールシート46から引き出されたシートは、分離片31の表面に沿って斜め上方に案内される。
【0057】
[搬送機構4]
搬送機構4は、中間ローラ対41と、搬送ローラ対42と、排出ローラ対43と、ガイド部材44と、を有している。中間ローラ対41は、搬送モータ120(図4参照)の駆動により回転する駆動ローラ41aと駆動ローラ41aに連れ回る従動ローラ41bとで構成されている。中間ローラ対41は、例えば、分離片31の上方に位置している。搬送ローラ対42は、搬送モータ120の駆動により回転する搬送ローラ42aと、搬送ローラ42aに連れ回るピンチローラ42bとで構成されている。排出ローラ対43は、搬送モータ120の駆動により回転する排出ローラ43aと、ピンチローラ43bとで構成されている。搬送ローラ対42と、排出ローラ対43とは、給送トレイ20の上方において、後方から前方に並べられて位置している。コントローラ10の制御により搬送モータ120が駆動されると、中間ローラ対41がシートを挟持しつつ回転して、シートを上方に向けて搬送する。搬送ローラ対42は、ヘッドの後方に位置している。排出ローラ対43は、ヘッド39の前方に位置している。搬送ローラ対42は、ガイド部材44によって上方から前方に向けて案内されたシートを挟持しつつ、前方に搬送する。排出ローラ対43は、記録部6によって記録されたシートを挟持しつつ、排出トレイ24に向けて、前方に搬送する。分離片31から上方に向かい、ガイド部材44によって後方から前方に向く方向がシートの排出向き16となる。
【0058】
[カッター5]
カッター5は、分離片31と中間ローラ対41との間に位置している。カッター5は、例えば、円板状の回転刃および従動刃からなる。カッター5は、切断モータ130の駆動により回転刃が回転し、且つ、左右方向9に沿って往復移動する。ロールシート46から引き出されたシートは、コントローラ10の制御により切断モータ130が駆動されることで、カッター5により左右方向9に切断される。なお、カッター5は、回転刃および固定刃からなるものであってもよい。
【0059】
[記録部6]
図2に示されるように、記録部6は、搬送路65の上方において、排出向き16における搬送ローラ対42と排出ローラ対43との間に設けられている。ヘッド39は、下方を向くノズル面38に複数のノズル40を有する。各ノズル40のノズル孔からは、図示しないインクカートリッジから供給された各色のインクが噴出する。ノズル面38の下方には、シートの下面を支持するプラテン47が位置している。
【0060】
[排出トレイ24]
排出トレイ24は、筐体100a内において、ヘッド39の前方であって、給送トレイ20の上方に配置されている。図1に示されるように、排出トレイ24は、筐体100aの前方からアクセス可能になっている。図1および図5図6に示されるように、排出トレイ24は、第1排出トレイ51と、第2排出トレイ52と、昇降部53と、ストッパ54と、を備える。
【0061】
[第1排出トレイ51]
図5および図6に示されるように、第1排出トレイ51は、平面視における外形が矩形の板体である。第1排出トレイ51の左右方向9の両端は、筐体100aに固定されている。第1排出トレイ51の上面は、排出されるシートを支持する支持面を構成する。第1排出トレイ51の前端縁における左右方向9の中央には、後方へ凹む凹部51aが位置している。
【0062】
[第2排出トレイ52]
第2排出トレイ52は、平面視における外形が矩形の板体である。第2排出トレイ52は、前後方向8に移動可能である。第2排出トレイ52は、第1排出トレイ51に対して、前後方向8に摺動可能に支持される。第2排出トレイ52は、第1排出トレイ51に対して前後方向8に移動することで、収納位置(第1位置、図5下段参照)と、引出位置(第2位置、図5上段参照)とを選択的に取り得る。収納位置において、第2排出トレイ52の上面の略全体は、第1排出トレイ51の上面と上下方向7に重複する。引出位置において、第2排出トレイ52の上面における前端部は、第1排出トレイ51の上面よりも前方に位置する。引出位置において、第2排出トレイ52の上面のうち、第1排出トレイ51と上下方向7において重複する面積は、収納位置に置ける面積と比べて小さい。ロールシート46が画像の記録に用いられる場合、第2排出トレイ52は、収納位置に位置される。カットシート45が画像の記録に用いられる場合、第2排出トレイ52は、引出位置に位置される。
【0063】
[ストッパ54]
ストッパ54は、左右方向9に延びる細長の棒体である。ストッパ54は、第2排出トレイ52の前端に位置する。ストッパ54は、第2排出トレイ52の上面から上方へ突出する。ストッパ54の後面は、後方且つ上方を向く傾斜面である。ストッパ54の後面は、第2排出トレイ52の上面を排出向き16に移動するカットシート45の前端に当接する。これにより、ストッパ54は、カットシート45を排出トレイ24の上面に留める機能を有している。
【0064】
[昇降部53]
昇降部53は、平面視における外形が概ね矩形の板体である。昇降部53は、第1排出トレイ51の凹部51aに位置している。昇降部53の後端は、第1排出トレイ51に軸止されている。昇降部53は、第1排出トレイ51に対して上下方向7に回動可能になっている。引出位置において、昇降部53は、第1排出トレイ51の上面に支持される下降位置に位置する。収納位置において、昇降部53は、ストッパ54の後面によって上方に向けて回動され、上昇位置に位置する。上昇位置において、昇降部53の上面は、後方且つ上方を向いて傾斜する。昇降部53の前端はストッパ54の上端と同じまたはより上方に位置する。上昇位置において、ロールシート46は、昇降部53の上面に支持されて搬送され、ストッパ54の後面に当接しない。これにより、ロールシート46の搬送がストッパ54により阻害されないので、ロールシート46による紙詰まりの発生が抑制される。
【0065】
[操作パネル26]
図1に示されるように、操作パネル26は、筐体100aの前面中央に位置している。操作パネル26は、例えば、テンキーなどの押しボタンであり、画像記録装置2を操作するユーザからの操作入力を受け付ける。なお、操作パネル26は、ディスプレイ25に重ねて配置される、いわゆるタッチパネルと併用または統合されていてもよい。
【0066】
[ディスプレイ25]
ディスプレイ25は、筐体100aの前面中央に位置している。ディスプレイ25は、例えば、操作部と左右方向9において隣り合って位置している。ディスプレイ25は、例えば、画像記録装置2の動作状況、設定内容、およびエラー等を視覚的にユーザに表示可能である。本実施形態において、ディスプレイ25は、共用トレイ23に対してカットシート45またはロールシート46の収容方法を視覚的に示す第1ガイダンスおよび第2ガイダンスを表示可能である。
【0067】
[コントローラ10]
図4に示されるように、コントローラ10は、CPU11、ROM12、RAM13、EEPROM14、及びASIC15を備えており、これらは内部バスによって接続されている。ROM12には、CPU10の各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM13は、CPU10が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM14には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
【0068】
ASIC15には、搬送モータ120、切断モータ130、および給送モータ140が接続されている。
【0069】
ASIC15は、各モータを駆動するための駆動信号を生成し、この駆動信号を元に各モータを制御する。各モータは、ASIC15からの駆動信号によって正転または逆転する。コントローラ10は、搬送モータ120の駆動を制御して、駆動ローラ41a、搬送ローラ42a、および排出ローラ43aを駆動させる。コントローラ10は、切断モータ130の駆動を制御して、カッター5を駆動させる。コントローラ10は、給送モータ140の駆動を制御して、給送ローラ32を駆動させる。
【0070】
ASIC15には、挿抜センサ151(センサの一例)、ディスプレイ25、および操作パネル26が接続されている。挿抜センサ151は、筐体100aからの給送トレイ20の挿抜を検知する。挿抜センサ151は、検知結果に応じて、挿抜信号をコントローラ10に出力する。ディスプレイ25は、画像記録装置2の動作状態、設定内容、第1ガイダンス、および第2ガイダンス等を表示する。操作パネル26は、ユーザによる操作に応じた操作信号をコントローラ10に出力する。
【0071】
ASIC15には、挿抜センサ151およびタイマー153が電気的に接続されている。コントローラ10は、給送トレイ20の挿抜について挿抜センサ151を通じて検出する。コントローラ10は、例えば、挿入位置に給送トレイ20が位置するか否かについて、挿抜センサ151を通じて検出する。コントローラ10は、給送トレイ20からシートが給送されないことに応じて、給送エラーを検出する。タイマー153は、いわゆる時計であり、例えば、各画面が表示されてから経過した時間を計時する。タイマー153は、計時結果をコントローラ10に送る。なお、説明が省略されるが、ASIC15は、駆動ローラ41aなどの回転を検出するロータリーエンコーダや、記録部6の左右方向9の位置を検出するリニアエンコーダなどと接続されていてもよい。
【0072】
EEPROM14には、ユーザによって設定される設定情報が記録される。設定情報は、例えば、多目的トレイ21、第1トレイ22、および共用トレイ23に設定されるシートの種類、初期設定フラグの有無、画像記録用に選択されている多目的トレイ21、第1トレイ22、および共用トレイ23の識別情報等を含む。
【0073】
EEPROM14には、画像記録装置2の初期設定の実行済みか否かを示すフラグが記録される。初期設定とは、画像記録装置2に対して初回動作時および設定を初期化した際において、画像記録装置2を利用するために最初に行う必要のある設定作業のことである。初期設定には、給送トレイ20に収容するシートのタイプおよび種類の設定、画像記録装置2にインストールされているアプリケーションの更新等が含まれる。EEPROM14には、初期設定用の画面が記録されている。
【0074】
EEPROM14には、共用トレイ23に収容されるシートの設定を案内する各種画面およびプログラムが記録されている。EEPROM14には、例えば、共用トレイ23の第1領域23Aへの複数枚のカットシート45を載置する手順を示す第1ガイダンスと、共用トレイ23の第2領域23Bへのロールシート46を載置する手順を示す第2ガイダンスとが記録されている。また、EEPROM14には、第1ガイダンスおよび第2ガイダンスにユーザを導くための各種画面が記録されている。EEPROM14には、各種画面として、ホーム画面182(図14参照)、メニュー画面183(図14参照)、初期設定画面、用紙トレイ設定画面(画面184、図9参照)、用紙トレイ2の設定画面(画面185、図10参照)、トレイ設定エラーを示す画面、および用紙タイプ画面(画面189、図10参照)等が記録されている。EEPROM14には、各画面の表示時間を示す表示管情報を記録している。EEPROMには、各種画面にユーザを導くために画像記録装置2を動作させるためのプログラムが記録されている。
【0075】
[画像記録装置2による第1ガイダンスおよび第2ガイダンスの表示動作]
以下、画像記録装置2による第1ガイダンスおよび第2ガイダンスの表示動作について説明する。
図7に示されるように、電源がオンの状態の画像記録装置2において、コントローラ10は、共用トレイ23に対する設定を呼び出すトリガを受け付ける。トリガは、例えば、共用トレイ23に対する用紙の設定を開始する入力、共用トレイ23の引抜の検出、初期設定の実行、共用トレイ23からのシート供給エラーの検出である。
【0076】
以下、トリガが初期設定である場合について説明される。ステップS1において、コントローラ10は、初期設定が実行済みか否かを判断する。具体的には、コントローラ10は、EEPROM14から初期設定に関するフラグを読み出す。読み出した初期設定に関するフラグが0(False)である場合、コントローラ10は、初期設定が未実行である、すなわちトリガを受け付けたと判断する(ステップS1_YES)。コントローラ10は、初期設定フラグを1(True)に変更してEEPROM14に格納する。読み出した初期設定に関するフラグが1(True)である場合(ステップS1_NO)、別のトリガを受け付けるまで、コントローラ10は待機する。
【0077】
ステップ2において、コントローラ10は、図8上段に示される画面180をディスプレイ25に表示する。コントローラ10は、画面180における「Tray Setting」を示すアイコン166が選択されて実行されると、図9上段に示される画面185をディスプレイ25に表示する。
【0078】
コントローラ10は、図9に示される画面184において、「用紙トレイ2」を示すアイコン168が選択されて実行されると、共用トレイ23に対する操作が実行されると判断して(ステップS2_YES)、処理は、ステップS3に進む。画面184において、「用紙トレイ1」や「多目的トレイ」を示すアイコンが選択されて実行されたときや、アイコン167が選択されて実行されると、コントローラ10は、共用トレイ23に対する操作ではないと判断して(ステップS2_NO)、本フローによる処理は終了する。
【0079】
ステップS3において、コントローラ10は、用紙タイプおよびサイズの選択入力を受け付ける。コントローラ10は、図10中段に示される用紙トレイ2の設定を示す画面185(シート入力画面の一例)をディスプレイ25に表示する。コントローラ10は、画面185において、「用紙タイプ」を示すアイコン170が選択されて実行されると、図10上段に示される用紙タイプを選択する画面189をディスプレイ25に表示する。
【0080】
画面189において、例えば、「インクジェット紙」を示すアイコン155が選択されて実行されると、コントローラ10は、図14中段に示される用紙トレイ2の設定を示す画面185をディスプレイ25に表示する。本実施形態では、インクジェット紙は、297mm幅ロール紙のみが選択可能であり、カット紙が選択できない設定になっているので、「インクジェット紙」が選択されたことにより、画面185には、用紙タイプとしてインクジェット紙が設定されており、用紙サイズとして297mm幅ロール紙が設定されていることが表示される。
【0081】
画面189において、例えば「普通紙」を示すアイコン156が選択されて実行されると、コントローラ10は、図14下段に示される用紙サイズを選択する画面190をディスプレイ25に表示する。本実施形態では、普通紙は、カット紙およびロール紙のいずれもが選択できるので、画面190において、「A4サイズ」のカット紙、「USレターサイズ」のカット紙、「297mm幅」のロール紙が選択できる。
【0082】
ステップS4において、コントローラ10は、カット紙が選択されているか否かを判断する。カット紙が選択されている場合(ステップS4_YES)、処理は、ステップS5に進む。コントローラ10は、カット紙が選択されていない場合、すなわち、ロール紙が選択されている場合(ステップS4_NO)、処理は、ステップS6に進む。カット紙が選択されている状態が、第1領域23Aに載置されるシートの種類の入力を受け付けたことの一例である。ロール紙が選択されている状態が、第2領域23Bに載置されるシートの種類の入力を受け付けたことの一例である。
【0083】
図11から図13に示されるように、第1ガイダンスまたは第2ガイダンスを構成する各画面の左側には、画像記録装置2の各構成やカット紙またはロール紙の画像(オブジェクト)176が示される。画面左下には、画面を前後に遷移させる入力を受け付ける矢印アイコン169が示される。画面中央には、収容方法を案内するテキストが示される。画面右下には、案内を終了する入力を受け付ける「×」印のアイコン167が示される。コントローラ10は、例えば、画像記録装置2において、シートに画像を記録するタスクがある(残っている)場合に有効になる「×」印のアイコン167をディスプレイ25に表示する。「×」印のアイコン167が選択されて、実行されることで、コントローラ10は、タスクをキャンセルしてディスプレイ25にホーム画面182(図14参照)を表示する。
【0084】
画面右下には、画像記録装置2においてタスクがない場合に有効になるホーム画面182へ遷移するアイコン173や、テンキーをディスプレイ25に表示するアイコン174、1つ前の画面に戻るアイコン175なども表示される。矢印アイコン169およびアイコン167に対する入力などは、操作パネル26の操作キーにより、ディスプレイ25に表示されたアイコンが反転表示などにより選択され、実行キーが操作されることにより受け付けられる。
【0085】
[第1ガイダンスの表示]
ステップS5において、コントローラ10は、共用トレイ23にカットシート45を収容する第1ガイダンスをディスプレイ25に表示する。第1ガイダンスは、4つの画面191~194を含む。画面191~194には、左右のいずれかを示す2つの矢印アイコン169が表示されており、コントローラ10は、いずれかの矢印アイコン169が選択されて実行されたことに応じて、画面191~194を順次切り替える。
【0086】
図11に示されるように、コントローラ10は、共用トレイ23からロールシート46を取り出す画面191を第1ガイダンスの1番目の画面としてディスプレイ25に表示する。2番目の画面として、コントローラ10は、フラップ28を第1状態(第1位置28A)位置に移動させる画面192をディスプレイ25に表示する。3番目の画面として、コントローラ10は、カットシート45を共用トレイ23の第1領域23Aにセットする画面193をディスプレイ25に表示する。4番目の画面として、コントローラ10は、サイドガイド30を移動して、カット紙の左右方向9両端に接触させる画面194をディスプレイ25に表示する。画面191~194は、共用トレイ23の第1領域23Aおよび第2領域23Bが判別可能な画像を含む。画面191,193,194は、カット紙またはロール紙のいずれであるかを判別可能な画像(シートの種類を示す画像)を含む。画面191は、第2領域23Bにロール紙が載置されていない画面の一例である。コントローラ10は、画面194において、「OK」を示すアイコン171が選択されて実行されることにより、第1ガイダンスのディスプレイ25への表示を終了する。
【0087】
[第2ガイダンスの表示]
ステップS6において、コントローラ10は、共用トレイ23にロールシート46を収容する第2ガイダンスをディスプレイ25に表示する。第2ガイダンスは、画面201~207の7つの画面を含む。画面201~207には、矢印アイコン169が表示されており、コントローラ10は、いずれかの矢印アイコン169が選択されて実行されたことに応じて、画面201~207を順次切り替える。
【0088】
図12に示されるように、コントローラ10は、共用トレイ23からカットシート45を取り出す画面201を第2ガイダンスの1番目の画面としてディスプレイ25に表示する。2番目の画面として、コントローラ10は、フラップ28を第2状態(第2位置28B)に移動させる画面202をディスプレイ25に表示する。3番目の画面として、コントローラ10は、ロールシート46を共用トレイ23の第2領域23Bにセットする画面203をディスプレイ25に表示する。4番目の画面として、コントローラ10は、ロールシート46を回転させて、ロールシート46の先端を後方に向けて引き出す画面204をディスプレイ25に表示する。
【0089】
図13に示されるように、5番目の画面として、コントローラ10は、引き出したロールシート46の先端を突部29に当接させる画面205をディスプレイ25に表示する。6番目の画面として、コントローラ10は、サイドガイド30を移動して、ロールシート46の左右方向9両端に接触させる画面206をディスプレイ25に表示する。7番目の画面として、コントローラ10は、第2排出トレイ52を排出向き16と逆向きに移動することを示す画面207をディスプレイ25に表示する。画面201~207は、共用トレイ23の第1領域23Aおよび第2領域23Bが判別可能な画像を含む。画面201,203,207,205,206は、カット紙またはロール紙のいずれであるかを判別可能な画像(シートの種類を示す画像)を含む。画面201は、第1領域23Aにカット紙が載置されていない画面の一例である。コントローラ10は、画面207において、「OK」を示すアイコン171が選択されて実行されることにより、第2ガイダンスのディスプレイ25への表示を終了する。
【0090】
また、トリガは初期設定が実行された後は、ホーム画面182のメニューからの操作や、挿抜センサ151による共用トレイ23の引き抜き検知となる。
【0091】
例えば、ステップS2において、コントローラ10は、共用トレイ23の設定画面が呼び出されたか否かを判断する。画像記録装置2の電源がオンであるとき、コントローラ10は、図14の上段に示されるホーム画面182をディスプレイ25に表示する。ホーム画面182の右下に位置する設定アイコン160が選択されて実行されると、コントローラ10は、図10の下段に示されメニュー画面183をディスプレイ25に表示する。メニュー画面183において、用紙トレイ設定アイコン161が選択されて実行されると、コントローラ10は、前述された画面184をディスプレイ25に表示する。その後、前述されたステップS3~S6が実行される。
【0092】
また、例えば、ステップS1において、共用トレイ23が引き抜かれたか否かが判断される。コントローラ10は、挿抜センサ151から出力される信号を取得することにより、共用トレイ23が引き抜かれたことを判定する。共用トレイ23が引き抜かれたと判定すると、コントローラ10は、前述された画面184をディスプレイ25に表示する。その後、前述されたステップS3~S6が実行される。
【0093】
これらの場合において、コントローラ10は、第1ガイダンスまたは第2ガイダンスにおいて、画面191~194または画面201~207をディスプレイ25に表示を開始したタイミング(時刻)からの経過時間(例えば、表示を開始してから無操作で経過した時間)をタイマー153から取得して、第1時間が経過するとホーム画面182をディスプレイ25に表示する。本実施形態では、第1時間として180秒が設定されている。また、コントローラ10は、画面185をディスプレイ25に表示を開始したタイミングからの経過時間(例えば、表示を開始してから無操作で経過した時間)をタイマー153から取得して、第2時間を経過するとホーム画面182をディスプレイ25に表示する。本実施形態では、第2時間として60秒が設定されている。すなわち、第1時間は第2時間よりも長い。
【0094】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、複数枚のカットシート45と、ロールシート46との両者を載置可能な共用トレイ23について、第1領域23Aおよび第2領域23Bのうちいずれの領域にカット紙またはロール紙を載置するかを示す画面191~194,201~207がディスプレイ25に表示される。第1領域23Aおよび第2領域23Bのうちいずれの領域にカット紙またはロール紙を載置するかを視覚的に示すことで、ユーザがカット紙またはロール紙を載置する場所を把握しやすくなる。
【0095】
第1領域23Aにカット紙を載置する手順を示す第1ガイダンスがディスプレイ25に表示されるので、ユーザがカット紙を載置する場所を把握し易くなる。
【0096】
第2領域23Bにロール紙を載置する手順を示す第2ガイダンスがディスプレイ25に表示されるので、ユーザがロール紙を載置する場所を把握しやすくなる。
【0097】
画面192,202により、共用トレイ23に載置するシートの種類に応じて、フラップ28の位置が適切に案内される。
【0098】
画面193,203により、択一的に載置されるカット紙とロール紙との載置を適切に案内できる。
【0099】
画面194により、サイドガイド30により、第1領域23Aに載置されるカットシート45の供給におけるずれが抑制される。
【0100】
画面206により、サイドガイド30により、第2領域23Bに載置されるロールシート46の供給におけるずれが抑制される。
【0101】
画面207により、第2排出トレイ52を移動することが、ロールシート46の排出 が第1排出トレイ51および第2排出トレイ52に引っ掛かることが抑制される。
【0102】
共用トレイ23が取り外されて、外部から第1領域23Aおよび第2領域23Bにアクセス可能となったことをトリガとして、第1ガイダンスまたは第2ガイダンスが視覚的に案内される。
【0103】
第1ガイダンスおよび第2ガイダンスにおける各画面191~194,201~207からホーム画面182へ戻るまでの第1時間が、画面185からホーム画面182へ戻るまでの第2時間より長いので、各画面191~194,201~207を確認しやすい。
【0104】
[変形例]
本実施形態では、画面189において選択可能な用紙タイプであるインクジェット紙や光沢紙はロール紙のみに対応しているが、普通紙と同様に、インクジェット紙や光沢紙でもカット紙またはロール紙が選択可能に構成されてもよい。
【0105】
また、トリガは、初期設定やホーム画面182のメニューからの操作、挿抜センサ151による共用トレイ23の引き抜き検知以外であってもよい。例えば、画面185における用紙の設定と、画像記録において検出されたシートの種類とが異なる場合に、第1ガイダンスまたは第2ガイダンスがディスプレイ25に表示されてもよい。
【0106】
また、共用トレイ23が引き抜かれたことをトリガとして案内される第2ガイダンスの表示の後、コントローラ10は、共用トレイ23を引き抜いた際に発生する可能性のあるロールシート46のずれを警告する画面をディスプレイ25に表示してもよい。コントローラ10は、例えば、「トレイを引き抜く時に、ロール紙が浮いたり用紙の先端がずれることがあります その際は、ロール紙をセットしなおしてください」といった警告をディスプレイ25に表示してもよい。
【0107】
また、上記実施形態において、シートとして、用紙、布、またはフィルムであってよい。また、共用トレイ23は、第1領域23Aと第2領域23Bとが排他的に存在するトレイであってもよい。共用トレイ23は、例えば、第1領域23Aと第2領域23Bとが前後方向8または左右方向9における一部において重なっており、支持台81を取り外すことでカットシート45をセットできるようなトレイであってもよい。
【0108】
また、第2排出トレイ52は、第1排出トレイ51に支持されるとしたが、これに限定されない。第2排出トレイ52は、第1排出トレイ51に対して独立して筐体100aに支持されていてもよい。
【0109】
また、共用トレイ23は、第1領域23Aと第2領域23Bとが重複しており、カットシート45とロールシート46とのいずれか一方を選択的に収容可能なトレイであってもよい。
【0110】
また、サイドガイド30が第2領域23Bに載置されているロールシート46から通路33に引き出されたシートに当接するとしたが、これに限定されない。サイドガイド30は、ロールシート46の本体(巻回された部分)に当接するように移動されてもよい。
【符号の説明】
【0111】
2・・・画像記録装置
6・・・記録部
10・・・コントローラ
25・・・ディスプレイ
23・・・第2トレイ(共用トレイ)
23A・・・第1領域
23B・・・第2領域
24・・・排出トレイ
28・・・フラップ(切替部材)
28A・・・第1位置
28B・・・第2位置
29・・・突部
32・・・給送ローラ(ローラ)
33・・・通路
45・・・シート(カットシート)
46・・・シート(ロールシート)
91・・・支持板
100a・・・筐体
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