(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147405
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】医用情報処理装置、医用情報表示システム、及び医用情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20241008BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060392
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 智子
(72)【発明者】
【氏名】杉山 敦子
(72)【発明者】
【氏名】藤本 克彦
(72)【発明者】
【氏名】柴田 真理子
(72)【発明者】
【氏名】奥宮 勇人
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】医療従事者による効率的な診療情報の閲覧を支援すること。
【解決手段】医用情報処理装置は、受付部と、特定部と、出力部とを備える。受付部は、診療の対象となる対象患者に関するトピックの入力受け付ける。特定部は、対象患者に施された医学的イベントと、当該医学的イベントの間に対象患者で医学生物学的観点及び医学生物学的観点以外の観点で区分された当該医学的イベントに属する項目の各々の状態が確認された時期とを記録した時系列情報から、入力されたトピックに関連する医学的イベントの項目と当該項目の参照期間とを特定する。出力部は、特定部の特定結果を出力する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
診療の対象となる対象患者に関するトピックの入力を受け付ける受付部と、
前記対象患者に施された医学的イベントと、当該医学的イベントの間に前記対象患者で医学生物学的観点及び前記医学生物学的観点以外の観点で区分された当該医学的イベントに属する項目の各々の状態が確認された時期とを記録した時系列情報から、入力されたトピックに関連する医学的イベントの項目と当該項目の参照期間とを特定する特定部と、
特定結果を出力する出力部と、
を備える医用情報処理装置。
【請求項2】
前記特定部は、複数のトピック毎に、当該トピックに関連する前記医学的イベントと、当該医学的イベントに属する項目の各々の参照期間とを関連付けた対応情報に基づいて、前記時系列情報から、入力されたトピックに関連する前記医学的イベントの項目と当該項目の参照期間とを特定する、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記トピックには、前記対象患者の診療に関する診療情報の参照目的が含まれ、
前記特定部は、前記時系列情報に基づいて、前記参照目的に関連する前記医学的イベントの項目と当該項目の参照期間とを特定する、
前記出力部は、特定された前記参照目的に関連する前記医学的イベントの項目と当該項目の参照期間とを前記特定結果として出力する、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記対象患者から取得した情報に基づいて、前記参照目的を自動的に設定する設定部を更に備え、
前記特定部は、設定された前記参照目的に基づいて、前記参照目的に関連する前記医学的イベントの項目と当該項目の参照期間とを特定する、
請求項3に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記医学的イベントの項目には前記トピックとの関係性の強さの程度を表す重みが設定され、
前記特定部は、前記重みに応じた前記医学的イベントの項目の参照期間を特定する、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記重みが所定の条件を充足する場合、前記トピックに関連する前記医学的イベントの項目を出力対象から除外する、
請求項5に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記医学的イベントの項目は、医学生物学的観点で区分された第1項目と、前記医学生物学的観点以外の観点で区分された第2項目とに区分され、
前記出力部は、前記第1項目の参照期間と、前記第2項目の参照期間と、前記第1項目の重みと、前記第2項目の重みとを区別可能な態様で前記特定結果と共に出力する、
請求項5に記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
前記出力部は、特定された前記第1項目の参照期間に該当する期間内の時期の各々における当該第1項目の状態の各々を表した第1イベントと、特定された前記第2項目の参照期間に該当する期間内の時期の各々における当該第2項目の状態の各々を表した第2イベントとを、時系列順に並べて出力する、
請求項7に記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
前記受付部は、複数の前記第1イベント及び前記第2イベントのうち、1のイベントを選択する入力を受付け、
前記出力部は、選択された前記第1イベント又は前記第2イベントの詳細を出力する、
請求項8に記載の医用情報処理装置。
【請求項10】
前記特定部は、前記対象患者の前回の診察日時に応じた前記医学的イベントの項目の参照時期を特定する、
請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項11】
前記受付部は、前記トピックと、当該トピックに関連する前記医学的イベントと、当該医学的イベントに属する項目の各々の参照期間との入力を受付け、
受付けた前記トピックと、当該トピックに関連する前記医学的イベントと、当該医学的イベントに属する項目の各々の参照期間とを対応付けて記憶装置に記憶する記憶制御部を更に備える、
請求項1乃至10の何れか1項に記載の医用情報処理装置。
【請求項12】
医用情報処理装置と医用情報表示装置とを備える医用情報処理システムであって、
前記医用情報処理装置は、
診療の対象となる対象患者に関するトピックの入力受け付ける受付部と、
前記対象患者に施された医学的イベントと、当該医学的イベントの間に前記対象患者で医学生物学的観点及び前記医学生物学的観点以外の観点で区分された当該医学的イベントに属する項目の各々の状態が確認された時期とを記録した時系列情報から、入力されたトピックに関連する医学的イベントの項目と当該項目の参照期間とを特定する特定部と、
前記特定部の特定結果を前記医用情報表示装置に送信する送信部と、
を備え、
前記医用情報表示装置は、
前記特定結果を受信する受信部と、
前記特定結果を表示装置に表示させる制御を行う表示制御部と、
を備える医用情報処理システム。
【請求項13】
医用情報処理装置による医用情報処理方法であって、
診療の対象となる対象患者に関するトピックの入力受け付ける受付ステップと、
前記対象患者に施された医学的イベントと、当該医学的イベントの間に前記対象患者で医学生物学的観点及び前記医学生物学的観点以外の観点で区分された当該医学的イベントに属する項目の各々の状態が確認された時期とを記録した時系列情報から、入力されたトピックに関連する医学的イベントの項目と当該項目の参照期間とを特定する特定ステップと、
前記特定ステップで特定された特定結果を出力する出力ステップと、
を含む医用情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報処理装置、医用情報表示システム、及び医用情報処理方法に関する。
【0002】
従来、医師などの医療従事者は、検査結果などの生物的側面に限らず、患者の社会的側面や心理的側面に基づいた、診療が求められている。そのため、生物的側面に関する情報だけなく、患者の社会的側面や心理的側面に関する情報についても電子カルテ等に診療情報として記録することが行われている。
【0003】
しかしながら、例えば、慢性疾患や予後の良いがんなどでは治療やケアが長期に渡るため、診療情報の量も膨大なものになる。このため、複数の患者の診療を行うことになる医療従事者が一人一人の患者に関して全ての情報を参照することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、医療従事者による効率的な診療情報の閲覧を支援することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用情報処理装置は、受付部と、特定部と、出力部とを備える。受付部は、診療の対象となる対象患者に関するトピックの入力受け付ける。特定部は、対象患者に施された医学的イベントと、当該医学的イベントの間に対象患者で医学生物学的観点及び医学生物学的観点以外の観点で区分された当該医学的イベントに属する項目の各々の状態が確認された時期とを記録した時系列情報から、入力されたトピックに関連する医学的イベントの項目と当該項目の参照期間とを特定する。出力部は、特定部の特定結果を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る臨床支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る臨床支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る特定情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る表示画面の画面構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る表示画面の画面構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る表示画面の画面構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る表示画面の画面構成の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る表示画面の画面構成の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る臨床支援装置が実行する処理の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、変形例1に係る特定情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、変形例1に係る表示画面の画面構成の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、変形例2に係る特定情報のグラフ構造の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、変形例3に係る臨床支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、変形例3に係る表示画面の画面構成の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、変形例4に係る臨床支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図16】
図16は、変形例4に係る表示画面の画面構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に関する医用情報処理装置、医用情報表示システム、及び医用情報処理方法について説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作を行うものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0009】
図1は、本実施形態に係る臨床支援システム1の構成の一例を示すブロック図である。臨床支援システム1は、医用情報処理システムの一例である。臨床支援システム1は、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)10、放射線科情報システム(RIS:Radiology Information Systems)20、医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving and Communication Systems)30、臨床検査情報システム(LIS:Laboratory Information System)40、患者端末50、患者計測端末60、臨床支援装置70、及び表示装置80を備える。
【0010】
また、各システム及び各装置は、ネットワーク90を介して相互に通信可能に接続する。なお、
図1に示す構成は、一例であり、各システム及び各装置の台数は任意に変更してもよい。また、
図1に示されていない装置がネットワーク90に接続されていてもよい。
【0011】
病院情報システム10、放射線科情報システム20、医用画像管理システム30、及び臨床検査情報システム40は、例えば、サーバやワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
【0012】
病院情報システム10は、電子カルテ情報11、及び問診情報12を記憶する。電子カルテ情報11は、患者の診療経過が記録された情報である。例えば、電子カルテ情報11は、患者を識別するための情報や、患者の年齢や性別や家族構成などの個人情報や、患者が罹患した病名や、処方された薬剤名や、治療期間などの情報を有している。問診情報12は、問診に対する患者の回答内容を示す情報である。例えば、問診情報12は、患者の現在の症状に対する回答や、患者の生活環境に対する回答や、患者の性格診断に対する回答を有している。
【0013】
放射線科情報システム20は、読影レポート情報21を記憶する。読影レポート情報21は、医用画像診断装置が撮像した画像情報31を読影した医師等による所見を有する情報である。
【0014】
医用画像管理システム30は、画像情報31を記憶する。画像情報31は、医用画像診断装置が撮像した画像を有している。医用画像診断装置は、例えばX線CT(Computed Tomography)装置や、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、X線診断装置、超音波診断装置等の装置である。また、画像情報31は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則っている。
【0015】
臨床検査情報システム40は、臨床検査結果情報41、及び臨床検査レポート情報42を記憶する。臨床検査結果情報41は、臨床検査の結果が示された情報である。臨床検査レポート情報42は、臨床検査結果に対する所見を有する情報である。
【0016】
患者端末50は、患者が使用する端末である。患者端末50は、例えば、スマートフォンやタブレット端末やウェアラブル端末やパーソナルコンピュータにより実現される。また、患者端末50は、患者の会話が記録された会話情報51を記憶する。
【0017】
例えば、会話情報51は、医師や、看護師や、相談員などの医療従事者と患者との会話の情報である。また、会話情報51には、診療内容に関する会話に限らず、雑談が含まれていてもよい。具体的には、会話情報51は、会話を録音した音声情報や、音声をテキスト化した情報を有している。また、会話情報51は、会話を含む動画や静止画などの映像情報を有していてもよい。映像情報が含まれている場合、会話情報51は、患者の表情が分かる映像を有している。
【0018】
患者計測端末60は、患者のバイタルサインを計測する端末である。患者計測端末60は、例えば、ウェアラブル端末により実現される。患者計測端末60は、例えば、血圧、脈拍、体温、呼吸などのバイタルサインを計測する。また、患者計測端末60は、会話を記録しておいてもよい。そして、患者計測端末60は、バイタルサインの計測結果を有する個人健康情報61を記憶する。
【0019】
なお、患者計測端末60は、ウェアラブル端末に限らず、体脂肪計であってもよいし、活動量計であってもよいし、これら以外の装置であってもよい。また、患者計測端末60は、体脂肪を計測してもよいし、活動量を計測してもよいし、他の事項を計測してもよい。さらに、臨床支援システム1は、複数台の患者計測端末60を備えていてもよい。また、臨床支援システム1は、複数台の患者計測端末60のそれぞれの計測対象が異なっていてもよい。
【0020】
臨床支援装置70は、臨床において、医師などの医療従事者を支援する装置である。臨床支援装置70は、医用情報処理装置の一例である。臨床支援装置70は、例えば、サーバやワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
【0021】
臨床支援装置70は、臨床支援システム1の各システムや装置から取得した情報に基づいて、各種情報のサマリを生成して医療従事者に提示することで、医療従事者による効率的な情報の閲覧を支援する。臨床支援装置70は、施設内に設置されていても良いし、インターネット上のサーバであっても良い。臨床支援装置70の構成については後述する。
【0022】
表示装置80は、各種情報を表示可能な装置である。表示装置80は、医用情報表示装置の一例である。表示装置80は、パーソナルコンピュータやタブレット端末などのコンピュータ機器によって実現される。表示装置80は、臨床支援装置70により生成された各種情報を表示する。表示装置80が表示する情報については後述する。
【0023】
次に、臨床支援装置70の構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る臨床支援装置70の構成の一例を示すブロック図である。臨床支援装置70は、NW(ネットワーク)インタフェース710と、入力インタフェース720と、ディスプレイ730と、記憶回路740と、処理回路750とを有する。
【0024】
NWインタフェース710は、処理回路750に接続され、ネットワーク90を介して接続された各装置との間で行われる各種データの伝送及び通信を制御する。例えば、NWインタフェース710は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0025】
入力インタフェース720は、処理回路750に接続され、操作者(医療従事者)から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路750に出力する。具体的には、入力インタフェース720は、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換して処理回路750に出力する。
【0026】
例えば、入力インタフェース720は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。
【0027】
なお、本明細書において、入力インタフェース720は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース720の例に含まれる。
【0028】
ディスプレイ730は、処理回路750に接続され、処理回路750から出力される各種情報及び各種画像データを表示する。例えば、ディスプレイ730は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネル等によって実現される。
【0029】
記憶回路740は、処理回路750に接続され、各種データを記憶する。また、記憶回路740は、処理回路750が読み出して実行することで各種機能を実現するための種々のプログラムを記憶する。例えば、記憶回路740は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0030】
例えば、記憶回路740は、特定情報741を記憶する。
図3は、特定情報741のデータ構成の一例を示す図である。特定情報741は、トピックに応じた項目と当該項目に係る小イベントとを特定するための情報である。特定情報741は、対応情報の一例である。
【0031】
特定情報741は、診療情報の参照目的(以下、単に参照目的ともいう)毎に、医学的イベントと、項目と、参照期間と、関連度・重要度とを対応付けた情報である。特定情報741は、例えば、医学論文、学術書、臨床研究記録、治療ガイドライン、蓄積された知見等に基づいて、定められる。
【0032】
参照目的は、対象患者に係る診療情報をどのような目的で参照するのかを表している。参照目的は、過去に投与された薬剤の副作用の確認、新たな薬剤の投与の検討、今後の治療方針の検討、前回までの診療行為の確認、患者の生活に関する提案(食事、仕事、娯楽)等である。
【0033】
図3は、「過去に投与した薬剤の副作用の確認」という参照目的における医学的イベント、項目、参照期間、及び関連度・重要度の対応関係を表している。
図3の例では、一つの参照目的における対応関係のみを図示しているが、参照目的毎に、医学的イベント、項目、参照期間、及び関連度・重要度の対応関係が規定されるものとする。
【0034】
医学的イベントは、過去に患者に対して施された医療行為や患者に関係する医療に関する出来事等を表している。医学的イベントは、例えば、手術、薬剤の投与、放射線療法の実施等である。参照目的及び医学的イベントは、トピックの一例である。
【0035】
項目は、臨床支援システム1で管理される診療情報のうち、医学的イベントに関連のある診療情報の各々を表している。医学的イベントに複数の項目が対応付けられている場合、当該複数の項目の間には、相関関係や因果関係が存在している。項目としては、例えば、医学生物学的観点で分類される項目、心理的観点で分類される項目、及び社会的観点で分類される項目等が挙げられる。
【0036】
具体的には、医学生物学的観点で分類される項目には、身体の痛み、吐き気や嘔吐、身体のしびれ、及び倦怠感や疲労感等の患者の身体に生じる医学的症状に関する情報等が挙げられる。また、心理的観点で分類される項目としては、例えば、気分の落ち込みや生活への支障等の患者の精神面に関する情報等が挙げられる。また、社会的観点で分類される項目としては、家族構成、仕事、経済的状況、及び趣味等の患者の生活に関する情報等が挙げられる。
【0037】
参照期間は、参照目的に応じた医学的イベントに関連する各項目に係る小イベントの最適な参照期間を表している。小イベントは、医学的イベントを実施に伴って発生するイベントである。言い換えると、複数の小イベントを実施していくことにより、医学的イベントの実施が達成されることになる。
【0038】
なお、参照期間は、診療の対象となる対象患者の診療が行われなかった空白期間を加味して規定されてもよい。例えば、空白期間が1年の場合よりも2年の場合の方が長くなるように参照期間が規定されてもよい。
【0039】
小イベントは、各項目の状態が診療の対象となる対象患者で確認された時期を記録したものである。小イベントのうち、医学生物学的観点で分類された項目(第1項目の一例)に係る小イベントは、第1イベントの一例であり、心理的観点や社会的な観点等の医学生物学的観点以外の観点で分類された項目(第2項目の一例)に係る小イベントは、第2イベントの一例である。
【0040】
関連度・重要度は、参照目的に応じた、医学的イベントにおける各項目の重要性の度合い、及び医学的イベントと各項目との関連性の度合いを表している。関連度・重要度は、重みの一例である。なお、
図3の例では、関連度と重要度とを合わせて一つの指標としているが、特定情報741は、重要度と関連度とを別々の指標として、他の情報と対応付けられたものであってもよい。なお、関連度・重要度を加味して、上述の参照期間を規定してもよい。
【0041】
図3の1行目は、「イベント1」には、「項目QA1」という項目が関連することを表している。また、
図3の1行目は、「項目QA1」に係る医学的イベントの参照期間は、「現時点から2か月前」までで、「項目QA1」の関連度・重要度は、「中」であることを表している。
【0042】
なお、
図3では、参照期間は、各項目について、現時点からどの程度前までの小イベントを参照するかを表しているが、参照期間を規定する方法はこれに限定されない。例えば、過去に投与した薬剤の副作用を確認したいような場合、参照期間は、薬剤の投薬を終了した時点からどの程度前までの小イベントを参照するかを表したものであってもよい。
【0043】
また、
図3では、関連度・重要度を大、中、小で表しているが、関連度・重要度を規定する方法はこれに限定されない。例えば、関連度・重要度は、1~5の5段階の数字で表したものであってもよい。
【0044】
一例として、臨床支援システム1の管理者が「副作用の確認」という参照目的に関連する「薬剤Aの投与」という医学的イベントについて、医学生物学的観点で分類される項目と参照期間とを特定情報741として設定する場合について説明する。この場合、管理者は、薬剤Aの副作用について記載された論文等の記載内容から、薬剤Aの投与により発生し得る副作用に関連する項目を特定し、当該項目を特定情報741の「項目」として設定する。また、管理者は、薬剤Aの投与で発生し得る副作用が、論文等の記載内容から投与からどれくらいの期間で副作用が発生するかを特定し、当該期間を「参照期間」として設定する。
【0045】
また、上記の例で、関連度・重要度を設定する場合、管理者は、論文等の記載内容から、薬剤Aの投与で発生し得る副作用がどの程度の頻度で発生するかを特定し、頻度の高いものほど、関連度・重要度を高く設定する。なお、この場合、管理者は、頻度は低いものの、発生した場合の重篤度が高い副作用については、関連度・重要度を高く設定してもよい。
【0046】
次に、上記の例で、心理学的観点で分類される項目と参照期間とを特定情報741として設定する場合について説明する。この場合、管理者は、薬剤Aを投与された患者に現れる精神的な傾向(不安が強くなる、苛立ちが抑えられなくなる、悲しい気持ちになりやすくなる等)から、薬剤Aの投与に関連する心理学的観点で分類される「項目」を特定する。また、管理者は、上記の精神的な傾向が投与からどれくらいの時期に現れやすいか等に基づいて、「参照期間」を設定する。
【0047】
次に、上記の例で、心理学的観点で分類される項目と参照期間とを特定情報741として設定する場合について説明する。この場合、管理者は、薬剤Aの投与によって、妨げられると考えられる日常的な活動(例えば、眠気が生じるため、車の運転ができなくなる等)等に基づいて、薬剤Aの投与に関連する社会的観点で分類される「項目」を特定する。また、管理者は、上記日常的な活動に関する情報を把握するために十分と考えられる期間等に基づいて、「参照期間」を設定する。
【0048】
後述する処理回路750の特定機能756は、特定情報741を参照することで、医療従事者が入力した参照目的から、当該参照目的に関連する医学的イベントと項目と当該項目に係る参照期間とを特定することができる。
【0049】
図2に戻り説明を続ける。処理回路750は、臨床支援装置70全体の動作を制御する。処理回路750は、例えば、生成機能751、通信制御機能752、受付機能753、取得機能754、分析機能755、特定機能756、サマリ機能757、及び登録機能758を機能部として有する。
【0050】
ここで、通信制御機能752は、出力部及び送信部の一例である。受付機能753は、受付部の一例である。特定機能756は、特定部の一例である。登録機能758は、記憶制御部の一例である。
【0051】
実施形態では、構成要素である生成機能751、通信制御機能752、受付機能753、取得機能754、分析機能755、特定機能756、サマリ機能757、及び登録機能758にて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路740へ記憶されている。
【0052】
処理回路750は、プログラムを記憶回路740から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路750は、
図2の処理回路750内に示された各機能を有することになる。
【0053】
なお、
図2においては単一のプロセッサにて、生成機能751、通信制御機能752、受付機能753、取得機能754、分析機能755、特定機能756、サマリ機能757、及び登録機能758を実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路750を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
【0054】
また、
図2においては、記憶回路740等の単一の記憶回路が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路750は、個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0055】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD),及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
【0056】
プロセッサは記憶回路740に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路740にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0057】
生成機能751は、表示装置80に表示される各種表示画面を生成する。生成機能751が生成する各種表示画面については後述する。
【0058】
通信制御機能752は、臨床支援装置70と他の装置との間の通信を制御する。例えば、通信制御機能752は、NWインタフェース710を介し、臨床支援システム1内の他の装置との間で、各種情報の送受信を行う。一例として、通信制御機能752は、生成機能751で生成された表示画面を表示装置80へ送信する。
【0059】
受付機能753は、各種情報の入力を受け付ける。例えば、受付機能753は、医療従事者から表示装置80及び通信制御機能752を介して、対象患者の指定入力を受け付ける。一例として、受付機能753は、患者の氏名や、患者を識別するための患者コードなどの患者を特定可能な情報の入力を受け付ける。
【0060】
なお、受付機能753は、患者の一覧から選択されることにより対象患者の指定入力を受け付けてもよい。また、受付機能753は、入力インタフェース720を介して、ユーザから直接各種情報の入力を受け付けてもよい。この場合、各種情報は、臨床支援装置70のディスプレイ730に表示されてもよい。
【0061】
また、例えば、受付機能753は、医療従事者から表示装置80を介して、対象患者に関する参照目的の入力を受け付ける。この場合、受付機能753が受付けた参照目的は、サマリの閲覧処理に用いられる。
【0062】
また、例えば、受付機能753は、医療従事者から表示装置80を介して、参照目的、医学的イベント、項目、参照期間及び関連度・重要度の入力を受け付ける。この場合、受付機能753が受付けた参照目的等は、特定情報の登録処理や編集処理に用いられる。
【0063】
取得機能754は、対象患者に関する診療情報を取得する。例えば、取得機能754は、通信制御機能752を制御して、臨床支援システム1を構成する各装置から、患者に関連する患者情報と、問診に対する患者の回答内容を示す問診情報12と、患者の会話が記録された会話情報51とを診療情報として取得する。
【0064】
ここで、患者情報は、電子カルテ情報11、読影レポート情報21、画像情報31、臨床検査結果情報41、臨床検査レポート情報42、及び個人健康情報61等の対象患者をモニタリングして得た情報である。例えば、取得機能754は、受付機能753により対象患者の指定入力が受け付けられた場合に、指定された対象患者の患者情報と、問診情報12と、会話情報51とを診療情報として取得する。
【0065】
分析機能755は、取得機能754により取得された診療情報を分析する。例えば、分析機能755は、取得機能754により取得された診療情報の各々を、「医学的適応」、「患者の意向」、「QOL(Quality Of Life)」、及び「周辺事項」の大分類で区分する。診療情報の各々は、特定情報741における「項目」に相当する。
【0066】
ここで、「医学的適応」は、例えば、がんの大きさや転移の有無、どのようながん治療をしているか等の医学的な情報である。「患者の意向」は、例えば、乳がんの場合に、乳房の温存を重視するか、治療効果を重視するか等の被検体の意向に関する情報である。「QOL」は、被検体の生活や人生の質に関する情報である。「周辺事項」は、家族構成等の被検体の周囲に関する情報である。なお、診療情報の各々は、複数の大分類に区分されてもよい。
【0067】
本実施形態では、「医学的適応」には医学生物学的観点で、「患者の意向」には心理学的観点及び社会的観点で、「QOL」には医学生物学的観点、心理学的観点及び社会的観点で、「周辺事項」には社会的観点で分類される項目が属する。
【0068】
診療情報を区分する手法としては、例えば、診療情報の各々に予め「医学的適応」、「患者の意向」、「QOL」、及び「周辺事項」の夫々を表すタグを設定しておき、当該タグに従って診療情報を、「医学的適応」、「患者の意向」、「QOL」、及び「周辺事項」の大分類の何れかに区分する手法等が設けられる。この場合、タグの設定については、公知の自然言語処理技術等を用いて自動的に設定してもよいし、ユーザが手動で設定してもよい。
【0069】
なお、項目名と大分類名とを対応付けた対応情報を記憶回路74等に記憶しておき、診療情報の各々の名称を表す項目名と当該情報とに基づいて、診療情報を区分してもよい。
【0070】
分析機能755で区分された診療情報は、大分類毎に、各項目について、当該項目の状態が対象患者で確認された時期を記録した小イベントを時系列順に並べた形式で管理される。この場合の診療情報は時系列情報の一例である。
【0071】
また、例えば、分析機能755は、大分類で区分された項目を、更に、医学生物学的観点、心理的観点、及び社会的観点(以下、小分類ともいう)で区分する。なお、分析機能755は、診療情報の各々を、医学生物学的観点とそれ以外の観点とで区分してもよい。小分類についても大分類と同様の手法を用いて区分することが可能である。
【0072】
また、分析機能755は、各項目について重要性スコアを算出する。重要性スコアは、対象患者にとっての各項目の重要性を定量的に表したものである。例えば、分析機能755は、項目毎に予め定められた評価指標に従って、対象患者の各項目の状態から重要性スコアを算出する。重要性スコアを算出することにより、項目間の重要性を直接的に比較することが可能になる。
【0073】
ここで、
図4は、第1表示画面G2の画面構成の一例を示す図である。第1表示画面G2は、生成機能751により生成される画面の一例であり、医学的適応、患者の意向、周辺事項、及びQOLの大分類で区分された各項目について、小分類重要性スコアを表示している。
【0074】
第1表示領域G211は、医学的適応における小分類名を表示する領域である。
図4の例では、医学的適応が、MA、MB、MC、MD、ME、及びMFの名称で表される小分類で更に区分されることを表している。第1ボタンG21は、医療従事者から第1表示領域G211に対応する第2表示画面G3(
図5参照)を表示させる操作を受け付けるボタンである。
【0075】
第2表示領域G221は、患者の意向における小分類名を表示する領域である。
図4の例では、患者の意向が、PA、PB、PC、PD、PE、及びPFの名称で表される小分類で更に区分されることを表している。第2ボタンG22は、医療従事者から第2表示領域G221に対応する第2表示画面G3(
図5参照)を表示させる操作を受け付けるボタンである。
【0076】
第3表示領域G231は、周辺事項における小分類名を表示する領域である。
図4の例では、周辺事項が、AA、AB、AC、AD、AE、及びAFの名称で表される小分類で更に区分されることを表している。第3ボタンG23は、医療従事者から第3表示領域G231に対応する第2表示画面G3(
図5参照)を表示させる操作を受け付けるボタンである。
【0077】
第4表示領域G241は、QOLにおける小分類名を表示する領域である。
図4の例では、QOLが、QA、QB、及びQCの名称で表される小分類で更に区分されることを表している。第4ボタンG24は、医療従事者から第4表示領域G241に対応する第2表示画面G3(
図5参照)を表示させる操作を受け付けるボタンである。
【0078】
スコアG25は、小分類単位での重要性スコアを表している。例えば、スコアG25は、小分類で区分される項目の各々の重要性スコアの和の数値を表したものである。なお、スコアG25は、小分類で区分される項目の各々の重要性スコアの最大値や平均値等を表したものであってもよい。
【0079】
図4の例では、第2表示領域G221の小分類PAの重要性スコアが2、小分類PFの重要性スコアが1、周辺事項の小分類AE及び小分類AFの重要性スコアが1、QOLの小分類QAの重要性スコアが25、小分類QBの重要性スコアが76、小分類QCの重要性スコアが8であることを表している。なお、数値がない項目については、当該項目に関する情報がないことを表している。
【0080】
ガイドG26は、各小分類の重要性の程度を表す表示である。
図4の例では、ガイドG26は、スコアG25の数値に応じて、円形の領域内の黒丸の大きさを変化させて表示させている。これにより、各項目の重要性が医療従事者により理解しやすくなる。
【0081】
なお、
図4の例では、各大分類を表す表示領域には、小分類名及びスコアが表示されているが、各大分類を表す表示領域に表示される内容はこれに限定されるものではない。例えば、上記の表示内容の一部が含まれていなくてもよいし、他の表示内容が含まれていてもよい。
【0082】
生成機能751は、第1ボタンG21、第2ボタンG22、第3ボタンG23、及び第4ボタンG24の何れかが選択された場合に、選択されたボタンに対応する第2表示画面G3を生成する。
【0083】
ここで、
図5は、第2表示画面G3の画面構成の一例を示す図である。第1表示画面G2は、生成機能751により生成される、小分類単位の重要性スコア及び各項目の重要性スコアを表示する画面である。
【0084】
第2表示画面G3は、画面構成として、大分類表示領域G31、小分類表示領域G32、小分類スコアG33、第1ガイドG34、項目表示領域G35、項目スコアG36、及び第2ガイドG37を有する。
【0085】
大分類表示領域G31は、大分類名を表示する領域である。
図5の例では、大分類表示領域G31は、QOLに対応する第2表示画面G3であることを表している。
【0086】
小分類表示領域G32は、大分類表示領域G31に表示された大分類における小分類名を表示する領域である。
図5の例では、
図4の第1表示画面G2と同様に、QOLが、QA、QB、及びQCの名称で表される小分類で更に区分されることを表している。
【0087】
小分類スコアG33は、小分類単位の重要性スコアを表している。
図5の例では、
図4の第1表示画面G2と同様に、QOLの小分類QAの重要性スコアが25、小分類QBの重要性スコアが76、小分類QCの重要性スコアが8であることを表している。
【0088】
第1ガイドG34は、各小分類の重要性の程度を表す表示である。
図5の例では、
図4の第1表示画面G2と同様に、第1ガイドG34は、小分類スコアG33の数値に応じて、円形の領域内の黒丸の大きさを変化させて表示させている。
【0089】
項目表示領域G35は、引き出し線で結ばれた小分類における項目名を表示する領域である。
図5の例では、小分類QAの小分類で区分される項目が項目QA1~項目QA11であり、小分類QBの小分類で区分される項目が項目QB1~項目QB9であり、小分類QCの小分類で区分される項目が項目QC1~項目QC3であることを表している。
【0090】
また、
図5の例では、小分類表示領域G32の小分類名と項目表示領域G35の項目名とが引き出し線で結ばれて表示される。これにより、医療従事者は、小分類と項目との関係を理解しやすくなる。
【0091】
項目スコアG36は、各項目の重要性スコアを表している。
図5の例では、小分類QAの各項目の重要性スコアは、項目QA1が9、項目QA2が3、項目QA3が1、項目QA5、項目QA6が2、項目QA7が1、項目QA8が3、項目QA9が2、項目QA10、項目QA11が1であることを表している。また、小分類QAの小分類スコアG33の値である25は、小分類QAで区分される各項目の項目スコアG36の和を表している。
【0092】
また、小分類QBの各項目の重要性スコアは、項目QB1が14、項目QB2が2、項目QB3が6、項目QB4が8、項目QB5が23、項目QB6が5、項目QB7が4、項目QB8が3、項目QB9が11であることを表している。また、小分類QBの小分類スコアG33の値である76は、小分類QBで区分される各項目の項目スコアG36の和を表している。
【0093】
また、小分類QCの各項目の重要性スコアは、項目QC1が7、項目QC2が1であることを表している。また、小分類スコアG33の値である25は、各小分類の項目スコアG36の和を表している。また、小分類QCの小分類スコアG33の値である8は、小分類QCで区分される各項目の項目スコアG36の和を表している。
【0094】
第2ガイドG37は、各項目の重要性の程度を表す表示である。
図5の例では、第2ガイドG37は、項目スコアG36の数値に応じて、円形の領域内の黒丸の大きさを変化させて表示させている。
【0095】
図2に戻り、説明を続ける。特定機能756は、取得機能754で取得された診療情報から、入力された参照目的に関連する対象患者に施された医学的イベントの項目と当該項目の参照期間を特定する。
【0096】
例えば、受付機能753は、参照目的の入力画面(図示しない)を介して、医療従事者から対象患者に関する診療情報の参照目的の入力を受け付ける。一例として、参照目的の入力画面は、医療従事者により、表示装置80に表示される操作メニュー(図示しない)等を介して、参照目的の入力画面の表示指示が入力された場合に、生成機能751及び通信制御機能752により、表示装置80に表示される。
【0097】
次いで、特定機能756は、記憶回路740の特定情報741を参照し、受付けられた参照目的に対応する、医学的イベント、項目、参照期間、関連度・重要度を特定する。一例として、参照目的として「過去に投与した薬剤の副作用の確認」の入力が受け付けられ、
図3の特定情報741を用いて、医学的イベント、項目、参照期間、関連度・重要度を特定する場合について説明する。
【0098】
この場合、特定機能756は、
図3の特定情報741を参照し、「過去に投与した薬剤の副作用の確認」に対応する「イベント1」、「イベント2」、「イベント3」、「イベント4」・・・を「過去に投与した薬剤の副作用の確認」に関連する医学的イベントとして特定する。次いで、特定機能756は、取得機能754で取得された診療情報を参照し、対象患者に施された医学的イベントを特定する。
【0099】
次いで、特定機能756は、「過去に投与した薬剤の副作用の確認」に関連する医学的イベントと、対象患者に施された医学的イベントとを比較する。次いで、特定機能756は、「過去に投与した薬剤の副作用の確認」に関連する医学的イベントのうち、対象患者に施された医学的イベントを特定する。
【0100】
なお、複数の実施済の医学的イベントが特定された場合、特定機能756は、医療従事者から医学的イベントの指定を受け付けてもよいし、現時点に最も近い時点で発生している等の所定の条件に従って1つの医学的イベントを特定してもよい。また、特定機能756は、特定された複数の医学的イベントについて、医学的イベント毎に区別して、特定結果を医療従事者に提示してもよい。
【0101】
一例として、対象患者に「イベント1」を実施済であれば、特定機能756は、「イベント1」を、対象患者に実施済の「過去に投与した薬剤の副作用の確認」に関連する医学的イベントとして特定する。また、特定機能756は、特定情報741を参照し、特定した「イベント1」に対応する「項目QA1」、「項目QA2」、及び「項目QB1」を「イベント1」に関連する項目として特定する。
【0102】
また、同様に、特定機能756は、「項目QA1」に係るイベントの参照期間を「2か月間」、「項目QA2」に係るイベントの参照期間を「2週間」、「項目QB1」に係るイベントの参照期間を「2週間」として夫々特定する。
【0103】
また、同様に、特定機能756は、「項目QA1」の「イベント1」との関連度・重要度を「中」、「項目QA2」の「イベント1」との関連度・重要度を「小」、「項目QB1」の「イベント1」との関連度・重要度を「小」として夫々特定する。
【0104】
ここで、
図6は、特定結果表示画面G4の画面構成の一例である。特定結果表示画面G4は、生成機能751により、特定機能756の特定結果に従って生成される。特定結果表示画面G4は、単独で表示されてもよいし、第2表示画面G3等の他の画面と共に表示されてもよい。
【0105】
図6の例では、特定結果表示画面G4は、画面構成として、項目表示領域G41、カレンダー表示領域G42、イベント表示領域G43、イベントアイコンIC、及び表示枠WEを有する。
【0106】
項目表示領域G41は、医学的イベント及び参照目的に関連する項目として特定された項目の項目名を表示する領域である。
図6の例では、「項目QA1」、「項目QA2」、「項目QA3」、「項目QB1」、「項目QB2」、及び「項目QB3」の6個の項目名が表示されている。
【0107】
カレンダー表示領域G42は、小イベントの発生時期を表示する領域である。
図6の例では、カレンダー表示領域G42は、2020年1月~12月のカレンダーを表示させている。また、カレンダー表示領域G42のNOWは、現時点を表す表示である。
【0108】
イベント表示領域G43は、医学的イベントのイベント名を表示する領域である。また、イベント名の表示位置は、医学的イベントが発生した期間を表している。
図6の例では、2020年2月半ば~3月半ばの期間に「イベント(EV)1」が発生したことを表している。また、「イベント1」を強調表示することで、「イベント1」が医療従事者によって入力された参照目的に基づいて特定された医学的イベントであることを表している。
【0109】
また、
図6の例では、「イベント4」がNOWの下に表示されている。これは、今後、2020年8月から9月にかけて「イベント4」の実施を開始予定であることを表している。
【0110】
イベントアイコンICは、発生した小イベントを表すアイコンである。
図6の例では、2020年1月には、「項目QA1」に係る小イベントが1回、「項目QA2」に係る小イベントが1回、「項目QB1」に係る小イベントが1回、「項目QB2」に係る小イベントが1回、「項目QB3」に係る小イベントが1回、夫々発生していることを表している。
【0111】
また、イベントアイコンICの表示位置は、当該イベントアイコンICに対応する小イベントが発生した時点を表している。
図7の例では、「項目QA1」、「項目QA2」、「項目QB1」、「項目QB2」に係る小イベントが2020年の1月の上旬に、「項目QB3」に係る小イベントが1月の下旬に発生していることを表している。これにより、小イベントの発生を時系列的に表すことができる。
【0112】
なお、医療従事者からイベントアイコンICの選択入力(例えば、マウス等の入力デバイスでイベントアイコンICをクリックする等)を受け付けた場合に、小イベントの詳細(詳細な小イベントの発生日時、小イベントの内容等)が表示されるように、特定結果表示画面G4を構成してもよい。
【0113】
表示枠WEは、特定機能756で特定された医学的イベントに関連する項目に係る小イベントの参照期間、関連度・重要度を表す枠である。
【0114】
ここでは、参照目的の一例として「過去に投与した薬剤の副作用の確認」が入力されている場合について説明する。この場合、
図6は、「過去に投与した薬剤の副作用の確認」に応じた「イベント1」に関連する「項目QA1」に係る小イベントの参照期間が「4~8月の4か月」であることを表している。また、
図6は、「過去に投与した薬剤の副作用の確認」に応じた「イベント1」と「項目QA1」との関連度・重要度が「小」であることを表している。
【0115】
なお、表示枠WEは、参照期間、関連度・重要度以外に、各項目が医学生物学的観点で区分された項目なのか、心理的観点で区分された項目なのか、社会的観点で区分された項目なのかを区別できる態様で表示されるものであってもよい。
【0116】
図2に戻り、説明を続ける。サマリ機能757は、医療従事者に提示する診療情報に関するサマリを生成する。ここで、本実施形態では、サマリは診療情報の各々について、要点をまとめたものである。
【0117】
例えば、サマリ機能757は、特定機能756で特定された項目について、特定された小イベントの参照期間内に実施された(発生した)当該項目に係る小イベントの情報に基づいて、サマリを作成する。
【0118】
また、例えば、サマリ機能757は、関連度・重要度に応じて、サマリの表示順を決定する。一例として、サマリ機能757は、関連度・重要度が高い項目程、画面の上部に表示されるように表示順を決定する。なお、サマリ機能757は、関連度・重要度が所定の条件(例えば、中以上)を充足しない項目が存在する場合、該当する項目のサマリを作成しないこととしてもよい。また、この場合、当該項目は特定結果表示画面G4に表示されなくてもよい。
【0119】
サマリの生成には、公知の手法を適宜用いることができる。サマリ機能757は、医療従事者にサマリを提示することで、効率的な診療情報の閲覧を支援することができる。
【0120】
次に、
図7を用いて、特定機能756による特定結果に従ってサマリ機能757がサマリを作成した場合の表示例について説明する。
図7は、第2表示画面G3、特定結果表示画面G4、及びサマリ表示画面G5を一画面に表示した表示画面の画面構成の一例を示す図である。以下の説明の前提として、参照目的として「患者の全体的な状態の把握」が入力され、特定機能756により特定情報741に基づいて、「一年ぶりの来院」が実施(発生)済の医学的イベントとして特定されているものとする。
【0121】
図7は、第2表示画面G3、特定結果表示画面G4、及びサマリ表示画面G5を一画面に表示した場合の画面構成の一例を表している。第2表示画面G3、特定結果表示画面G4の画面構成については、
図5、
図6等と同様のため説明を省略する。
【0122】
また、
図7の第2表示画面G3では、小分類スコアG33及び第1ガイドG34の図示を省略している。また、
図7の第2表示画面G3では、特定機能756で特定された項目である「項目QB5」、「項目QB7」、及び「項目QC1」についてのみ、項目スコアG36及び第2ガイドG37を表示した例を示している。なお、第2表示画面G3は、
図5と同様に、小分類スコアG33、第1ガイドG34、項目スコアG36及び第2ガイドG37を表示するものであってもよい。
【0123】
図7の特定結果表示画面G4は、特定情報741を参照することにより特定機能756で特定された「1年ぶりの来院」に関連する項目が「項目QB5」、「項目QC1」、及び「項目QB7」であることを表している。
【0124】
図7の特定結果表示画面G4は、「患者の全体的な状態の把握」に応じた「1年ぶりの来院」に関連する「項目QB5」に係る小イベントの参照期間が「2~11月の4か月」であることを表している。また、
図8の特定結果表示画面G4は、「1年ぶりの来院」に関連する「項目QB5」の関連度・重要度が「大」であることを表している。
【0125】
図7の特定結果表示画面G4は、「1年ぶりの来院」に関連する「項目QC1」に係る小イベントの参照期間が「7~9月の2か月」であることを表している。また、
図8の特定結果表示画面G4は、「1年ぶりの来院」に関連する「項目QC1」の関連度・重要度が「中」であることを表している。
【0126】
図7の特定結果表示画面G4は、「1年ぶりの来院」に関連する「項目QB7」に係る小イベントの参照期間が「1~12月の1年間」であることを表している。また、
図8の特定結果表示画面G4は、「1年ぶりの来院」及び「患者の全体的な状態の把握」に応じた「項目QB7」の関連度・重要度が「小」であることを表している。
【0127】
サマリ表示画面G5は、特定機能756の特定結果に従って生成したサマリを表示する画面である。
図7の例では、サマリ表示画面G5は、画面構成として、サマリタイトルG51及びサマリ表示領域G52を有する。
【0128】
サマリタイトルG51は、サマリのタイトルを表示する領域である。サマリタイトルG51には、入力された医学的イベントに応じたサマリのタイトルが表示される。
図8の例では、特定された医学的イベント「1年ぶりの来院」に対応する「一年ぶりサマリ」というタイトルが表示されている。
【0129】
サマリ表示領域G52は、サマリ機能757が特定機能756の特定結果に従って生成したサマリを表示する領域である。
図7の例では、特定された各項目について、項目、参照期間、及びサマリが表示されている。また、
図7の例では、サマリ表示領域G52には、特定された関連度・重要度が高い順に、特定された項目「項目QB5」、「項目QC1」、及び「項目QB7」が表示されている。
【0130】
なお、特定された関連する項目の数が閾値(例えば、3)を超える場合、特定された関連度・重要度が高い順に、所定の数(例えば、3個)の項目のみをサマリ表示領域G52に表示させてもよい。また、関連度・重要度が同じ項目が複数ある場合は、重要性スコアに応じてサマリ表示領域G52に表示する項目を決定してもよい。
【0131】
また、関連度・重要度に応じて、サマリの最大文字数を変化させてもよい。この場合、サマリ機能757は、関連度・重要度が高い項目ほど最大文字数が多くなるようにサマリを生成する。
【0132】
なお、受付機能753は、特定結果表示画面G4の画面上で医療従事者から特定機能756で特定された特定結果を修正する修正入力を受け付けてもよい。特定結果の修正は、例えば、項目の追加、項目の削除、参照期間の修正、関連度・重要度の修正等である。この場合、サマリ機能757は、受け付けた修正入力に従ってサマリを作成する。
【0133】
例えば、医療従事者が特定結果表示画面G4の画面上で参照期間の修正入力を行う場合、医療従事者は、表示枠WEの幅をマウス等の入力デバイスを用いて、収縮することで、参照期間を短くする修正入力を行う。また、同様に、医療従事者は、表示枠WEの幅を拡張することで、参照期間を長くする修正入力を行う。
【0134】
また、例えば、医療従事者が特定結果表示画面G4の画面上で関連度・重要度の修正入力を行う場合、医療従事者は、表示枠WEをマウスでクリックする等して、表示枠WEの表示を所望の関連度・重要度を表す表示に切り替えることにより、関連度・重要度を修正する修正入力を受け付ける。
【0135】
なお、サマリ機能757は、特定機能75が特定したイベントの参照期間によらずに、サマリを作成してもよい。例えば、サマリ機能757は、受付機能753が医療従事者からトピックの指定入力を受け付けた場合に、指定されたトピックに関連する項目についてサマリを生成する。なお、トピックは、項目名そのものであってもよい。
【0136】
一例として、表示装置80に表示された
図5に示した第2表示画面G3上で、項目表示領域G35に表示された項目名(又は項目名に対応する第2ガイドG37)を、医療従事者がマウスでクリックしたり、タッチパネルでタッチしたりした場合に、受付機能753が当該項目名に対応する項目の指定入力を受け付ける。サマリ機能757は、指定された項目に対応するサマリを作成する。
【0137】
ここで、
図8は、サマリが表示された第2表示画面G3の画面構成の一例を示す図である。
図8は、医療従事者から「項目QB5」の指定入力を受け付けた場合の第2表示画面G3の一例を表している。
図6の例では、項目名「項目QB5」付近にサマリSMがポップアップで表示されている。
【0138】
図8の例では、サマリSMには、項目名、期間、サマリが表示されている。
【0139】
項目名は、サマリSMに表示されているサマリに対応する項目を表している。期間は、サマリSMに表示されている項目名に係る小イベントの参照期間を示している。期間は、項目に応じて予め設定されるものであってもよいし、医療従事者によって指定されるものであってもよい。サマリは、サマリSMに表示されている期間における項目名に係る小イベントの内容の要点をまとめたものを表している。
【0140】
なお、
図8では、医療従事者から1個の項目の指定入力を受け付け、1個のサマリSMが表示される例について示したが、医療従事者から複数の項目の指定入力を受け付けてもよい。この場合、第2表示画面G3に複数個のサマリSMが表示される。
【0141】
また、医療従事者の項目の指定によらず、サマリSMが第2表示画面G3上に自動的に表示されてもよい。例えば、重要性スコアが高い順に任意の数(例えば、3個)の項目に対応するサマリSMが第2表示画面G3上に自動的に表示されてもよい。また、例えば、重要性スコアが閾値を超える項目がある場合、当該項目に対応するサマリSMが第2表示画面G3上に自動的に表示されてもよい。
【0142】
図2に戻り、説明を続ける。登録機能758は、特定情報741の登録処理を行う。
【0143】
例えば、受付機能753は、特定情報741の登録画面を介して、医療従事者から参照目的、医学的イベント、項目、参照期間、及び関連度・重要度の入力を受け付ける。登録機能758は、受付機能753が受け付けた、参照目的、医学的イベント、項目、参照期間、及び関連度・重要度を対応付けて、記憶回路740の特定情報741に記憶する。
【0144】
このように、医療従事者が自由に、参照目的、医学的イベント、項目、参照期間、及び関連度・重要度を対応付けて特定情報741に記憶できるようにすることで、医療従事者夫々の個人的な考え等を反映させた特定情報741を構築することができる。
【0145】
これにより、例えば、医療従事者は、一般的には特定の医学的イベントと関連がないとされているが、個人的には関連があると考えている項目を関連項目としてサマリを生成させることができる。また、例えば、医療従事者は、一般的には特定の医学的イベントに関連する項目をサマリする対象期間が1週間とされているが、個人的には2週間にした方がよいと考えている場合に、対象期間を2週間としてサマリを生成させることができる。
【0146】
なお、登録機能758は、公知の機械学習技術や深層学習技術によって学習された学習済モデルを用いて特定情報741の登録(修正)処理を実行してもよい。
【0147】
この場合、例えば、登録機能758は、参照目的の入力に対して、医学的イベント、項目、参照期間、及び関連度・重要度を出力するように機能付けられた学習済モデルに参照目的を入力する。登録機能758は、参照目的を学習済モデルに入力することで得られた医学的イベント、項目、参照期間、及び関連度・重要度を、入力した参照目的と対応付けて特定情報741に記憶する。
【0148】
上記の学習済モデルは、例えば、参照目的、医学的イベント、項目、参照期間、及び関連度・重要度の入力に関する情報を蓄積し、参照目的を入力側教師データ、当該参照目的と共に入力された医学的イベント等を出力側教師データとして学習を行ったものである。
【0149】
次に、本実施形態に係る臨床支援システム1が実行する処理について説明する。
図9は、臨床支援装置70が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図9の説明の前提として、医療従事者の指示により参照目的の入力画面が表示装置80に表示されているものとする。
【0150】
まず、受付機能753は、医療従事者から参照目的の入力を受け付ける(ステップS101)。例えば、受付機能753は、医療従事者がマウスやタッチパネル等の入力インタフェース720を用いて、参照目的のリストに表示された参照目的の中から1の参照目的を選択する選択入力を行った場合、当該選択入力の内容を参照目的の入力として受け付ける。
【0151】
次いで、特定機能756は、対象患者に実施済の参照目的に関連する医学的イベントを特定する(ステップS102)。例えば、特定機能756は、特定情報741を参照し、参照目的に関連する医学的イベントを特定する。また、特定機能756は、参照目的に関連する医学的イベントと、対象患者の診療情報から特定される対象患者に実施済の医学的イベントとを比較して、対象患者に実施済の参照目的に関連する医学的イベントを特定する。
【0152】
次いで、特定機能756は、特定された医学的イベントに関連する項目を特定する(ステップS103)。例えば、特定機能756は、記憶回路740の特定情報741を参照し、ステップS102で特定された医学的イベントに対応する項目を、医学的イベントに関連する項目として特定する。
【0153】
次いで、特定機能756は、医学的イベントに関連する項目に係る小イベントの参照期間を特定する(ステップS104)。例えば、特定機能756は、特定情報741を参照し、ステップS103で特定した医学的イベントに関連する項目に対応する期間を、医学的イベントに関連する項目に係る小イベントの参照期間として特定する。
【0154】
次いで、サマリ機能757は、サマリを生成する(ステップS105)。例えば、サマリ機能757は、ステップS104で特定された小イベントの参照期間に発生した、ステップS103で特定された項目に係る小イベントの内容に基づいて、サマリを生成する。
【0155】
次いで、生成機能751は、表示画面を生成する(ステップS106)。例えば、生成機能751は、ステップS105で生成されたサマリを表示するサマリ表示画面を生成する。
【0156】
次いで、通信制御機能752は、表示画面を出力し(ステップS107)、本処理を終了する。例えば、通信制御機能752は、ステップS106で生成されたサマリ表示画面を表示装置80へ送信する。そして、表示装置80によりサマリ表示画面が表示される。
【0157】
以上のように、本実施形態に係る臨床支援装置70は、参照目的の入力を受け付け、参照目的と、参照目的と当該参照目的に適する参照期間とを対応付けた特定情報741と、医学生物学的観点で区分された項目及びそれ以外の観点で区分された項目に係るイベントを時系列的に並べた情報とに基づいて、当該参照目的に応じた小イベントの参照期間を特定し、特定結果を表示装置80に表示させる。
【0158】
これにより、例えば、本実施形態に係る臨床支援装置70は、医療従事者が入力した参照目的に応じた医学的イベントに関連する項目の各々について、情報を閲覧する適切な参照期間を特定することができる。したがって、医療従事者は、対象患者の現在の状態と関連性が低い時期の情報を閲覧してしまうようなことがなくなる。つまり、本実施形態に係る臨床支援装置70によれば、医療従事者による効率的な診療情報の閲覧を支援することができる。
【0159】
また、本実施形態に係る臨床支援装置70は、受け付けた参照目的に関連する項目を特定する。
【0160】
これにより、例えば、本実施形態に係る臨床支援装置70は、参照目的に応じた医学的イベントに関連する項目を特定することができる。したがって、医療従事者は、対象患者の現在の状態と関連性が低い項目の情報を閲覧してしまうようなことがなくなる。
【0161】
ところで、同じ医学的イベントに関する情報を閲覧する場合であっても、閲覧の目的が異なれば、適切な参照期間も異なる場合がある。本実施形態に係る臨床支援装置70は、参照目的に応じて医学的イベント、項目、参照期間を特定するため、このような場合でも情報を閲覧する適切な参照期間を特定することができる。
【0162】
また、本実施形態に係る臨床支援装置70は、各項目に設定された関連度・重要度に応じた小イベントの参照期間を特定する。
【0163】
これにより、例えば、参照目的に応じた医学的イベントと関連度・重要度が低い項目については、情報を閲覧する期間を短くすることができる。つまり、本実施形態に係る臨床支援装置70によれば、より参照目的に応じた医学的イベントに適した参照期間を特定することができる。
【0164】
また、本実施形態に係る臨床支援装置70は、各項目に設定された関連度・重要度に応じて受け付けた参照目的に応じた医学的イベントと関連する項目であっても表示対象から除外する。
【0165】
これにより、例えば、一般的には、参照目的に応じた医学的イベントと関連する項目であっても、関連度・重要度が低ければ閲覧対象から除外することができる。したがって、医療従事者は、関連性が低い項目の情報を閲覧することがなくなる。つまり、本実施形態に係る臨床支援装置70によれば、医療従事者による効率的な診療情報の閲覧を支援することができる。
【0166】
なお、上述した実施形態は、臨床支援システム1が有する各装置の構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0167】
(変形例1)
上述した実施形態では、医学的イベントに応じた項目と、当該項目に係る小イベントの参照期間を特定して出力する形態について説明した。しかしながら、小分類の単位で、医学的イベントに関連する小イベントの参照期間を特定して出力してもよい。
【0168】
図10は、変形例1に係る特定情報のデータ構成の一例を示す図である。本変形例に係る特定情報741aは、参照目的毎に、医学的イベントと、小分類と、参照期間と、関連度・重要度とを対応付けた情報である。
【0169】
小分類は、上述の
図4及び
図5等に示した各項目の小分類を表している。
【0170】
本変形例では、参照期間は、各項目に係る小イベントの最適な参照期間を小分類の単位で表したものである。
【0171】
また、本閉形例では、関連度・重要度は、参照目的に関連する医学的イベントにおける各項目の重要性の度合い、及び医学的イベントと各項目との関連性の度合いを小分類単位で表したものである。
【0172】
図10は、「対象患者の全体的な状態の把握」という参照目的における医学的イベント、項目、参照期間、及び関連度・重要度の対応関係を表している。
図10の例では、一つの参照目的における対応関係のみを図示しているが、参照目的毎に対応関係が規定されるものとする。
【0173】
図10の1行目は、「対象患者の全体的な状態の把握」という参照目的に応じた医学的イベントである「イベント1」に関連する「小分類QA」という小分類で区分される項目の各々の小イベントの参照期間は、「全期間」であることを表している。また、同様に、「QA」という小分類で区分される項目の各々の関連度・重要度は、「大」であることを表している。
【0174】
本変形例では、特定機能756は、特定情報741aを参照し、受付機能753で受付けられた参照目的に対応する医学的イベント、小分類、参照期間、及び関連度・重要度を特定する。
【0175】
ここで、
図11は、変形例1に係る特定結果表示画面G4aの画面構成の一例である。
【0176】
図11の例では、特定結果表示画面G4aは、3年分の特定機能756による項目及び小イベントの参照期間の特定結果を1年毎に段を分けて表示している。特定結果表示画面G4aは、画面構成として、小分類表示領域G41a、カレンダー表示領域G42、イベント表示領域G43、イベントアイコンIC、及び表示枠WEを有する。カレンダー表示領域G42、イベント表示領域G43、イベントアイコンIC、及び表示枠WEについては、上述の
図6と同様のため、説明を省略する。
【0177】
小分類表示領域G41aは、特定機能756で特定された小分類を表示する領域である。
図11の例では、「小分類QA」、「小分類QB」、及び「小分類QC」の3個の小分類名が表示されている。
【0178】
一例として、参照目的として、「対象患者の全体的な状態の把握」が入力されている場合について説明する。この場合、
図11は、「対象患者の全体的な状態の把握」に応じた「イベント1」に関連する「小分類QA」で区分される項目の各々に係る小イベントの参照期間が「2020年1~2021年12月の2年間」であることを表している。
【0179】
ここで、
図11の例では、2022年1月~現時点までの対象患者の診療情報が存在していない。このような場合、小イベントの参照期間の基点を、現時点ではなく、最後に小イベントが実施された(発生した)時期としてもよい。
【0180】
また、
図11は、「イベント1」に関連する「小分類QA」で区分される項目の各々の関連度・重要度が「大」であることを表している。
【0181】
本変形例では、サマリ機能757は、特定機能756の特定結果に従い、小分類単位でサマリを生成する。なお、サマリ機能757は、上述の実施形態と同様に、項目単位でサマリを生成してもよい。
【0182】
本変形例によれば、例えば、医療従事者が広く浅く診療情報を閲覧したいと考えているような場合に、効率的な診療情報の閲覧を支援することができる。
【0183】
(変形例2)
上述した実施形態及び変形例1では、テーブル構造で特定情報が定義される形態について説明した。しかしながら、特定情報は、グラフ構造で定義されていてもよい。
【0184】
図12は、変形例2に係る特定情報742のグラフ構造の一例を示している。
図12の例では、特定情報742は、複数のノードと、ノード間の繋がりを関連度・重要度の強弱及び関連する期間で表した情報とで構成されている。なお、特定情報742のグラフ構造は、参照目的毎に定義されていてもよい。
【0185】
例えば、複数のノードは、医学的イベントを表す第1ノードFNと、医学生物学的観点で分類される項目、心理的観点で分類される項目、及び社会的観点で分類される項目等を表す第2ノードSNとに分類される。
【0186】
図12の例では、イベント5~イベント8は、第1ノードFNであり、項目QA1~項目QA3、項目QB1、項目QC1は、第2ノードSNである。また、第1ノードFNと第2ノードSN間の夫々は、ノード間の繋がりを表す直線COで結ばれている。
【0187】
また、凡例UGは、直線COで定義されるノード同士の関係を示す情報である。なお、凡例UGは、説明の便宜のために描画したものであり、特定情報742には含まれない。
【0188】
図12の例では、凡例UGは、線の太さが医学的イベントと各項目との関連度・重要度を表していることを示している。なお、
図12では、線の太さは三段階に分かれているが、そのうち最も細い線については点線で表している。
【0189】
また、
図12の例では、凡例UGは、線の長さが医学的イベントにおける各項目の参照期間を表していることを示している。ただし、
図12では、参照期間が「全期間」となる場合等、期間の長さが変動するときは、所定の長さの線にその旨を表す情報を付すこととしている。
【0190】
一例として、
図12では、イベント5と項目QA1との関連度・重要度は「小」であり、イベント5における項目QA1の参照期間が「2年」であることを表している。
【0191】
以下、グラフ構造が参照目的毎に定義されている場合を例に、特定情報742を用いた医学的イベントの項目、当該項目の参照期間及び関連度・重要度の特定処理について説明する。
【0192】
この場合、特定機能756は、まず、特定情報742のうち、ユーザによって入力された参照目的に対応するグラフ構造を特定する。次いで、特定機能756は、時系列順に並べた形式で管理されている診療情報を参照し、特定したグラフ構造の第1ノードFNの中から対象被検体に施された医学的イベントに対応する第1ノードを抽出する。
【0193】
また、特定機能756は、抽出した第1ノードFNと、直線COで結ばれている第2ノードSNを特定することにより、抽出した医学的イベントの項目を特定する。そして、特定機能756は、グラフ上における直線COの太さ及び長さから、当該項目の参照期間及び関連度・重要度を特定する。
【0194】
なお、特定情報742は、グラフ上のノード間の距離がノード同士の関係の強弱を表すように、各ノードを配置したものであってもよい。これにより、第1ノードFNと第2ノードSNとの関係だけでなく、第1ノードFN同士の関係及び第2ノード同士の関係についても定義が可能である。
【0195】
これにより、例えば、対象被検体に施された複数の医学的イベントのうち、関連性が高い医学的イベントのみを抽出したり、特定の医学的イベントの項目ではないが、当該項目と関連性の高い項目を抽出したりすることができる。
【0196】
本変形例では、例えば、医学的イベントと、医学生物学的観点で分類される項目、心理的観点で分類される項目、及び社会的観点で分類される項目等との関係が線の長さや太さで定義される。このため、本変形例によれば、線の太さや長さを調整するだけで、関連度・重要度や参照期間を詳細に定義することが可能である。
【0197】
なお、グラフ上の線の長さに相当する各項目の参照期間、線の太さに相当する関連度・重要度に相当するパラメータは、ユーザによりパラメータの数値を直接変更し、あるいはグラフとして表現された線の太さや長さを編集することで間接的に設定・変更されるものであってもよい。また、参照期間・関連度・重要度を示すパラメータセットを被検体の属性や本システムを使用するユーザ別に複数定義しておき、そのうちの1つを読み出す方法等により一括で設定するもの等、システムにより設定されるものであっても構わない。
【0198】
また、例えば、ノードの配置位置でノード間の関係性を定義することで、テーブル構造で医学的イベントと項目との関係性を定義した場合と比較して、関連項目の抽出等の処理が行いやすくなる。
【0199】
(変形例3)
上述の実施形態では、医療従事者が手動で入力した医学的イベント及び参照目的を受け付ける形態について説明した。しかしながら、医療従事者と対象患者との会話等から医学的イベント及び参照目的を自動的に設定してもよい。
【0200】
図13は、変形例3に係る臨床支援装置70の構成の一例を示すブロック図である。本変形例に係る臨床支援装置70は、NWインタフェース710と、入力インタフェース720と、ディスプレイ730と、記憶回路740と、処理回路750とを有する。NWインタフェース710、入力インタフェース720、ディスプレイ730、及び記憶回路740については、上述の実施形態と同様のため、説明は省略する。
【0201】
本変形例に係る処理回路750は、例えば、生成機能751、通信制御機能752、受付機能753、取得機能754、分析機能755、特定機能756、サマリ機能757、登録機能758、抽出機能759、及び設定機能760を機能部として有する。生成機能751、通信制御機能752、受付機能753、取得機能754、分析機能755、特定機能756、サマリ機能757、及び登録機能758は、上述の実施形態と略同様のため、説明は省略する。
【0202】
抽出機能759は、医療従事者と対象患者との会話に関する情報からトピックに関連するキーワードを抽出する。
【0203】
例えば、抽出機能759は、受付機能753が医療従事者からキーワードの抽出指示を受け付けた場合に、取得機能754により取得された会話情報51から、公知の自然言語処理技術を用いて、参照目的に関連するキーワードを抽出する。
【0204】
なお、抽出するキーワードには、対象患者の生命予後(どれくらい生きられるか)に関するものだけなく機能的予後に関するものが含まれていてもよい。機能的予後は、例えば、運動予後(いつまで自由に動けるか)、思考予後(いつまで複雑な思考ができるか)、食事予後(いつまで食事を楽しめるか)、会話予後(いつまで不自由なく他人と会話できるか)等である。
【0205】
また、受付機能753は、上述の抽出指示と合わせて医療従事者からキーワード抽出の対象となる期間の指定を受け付けてもよい。
【0206】
設定機能760は、医療従事者と対象患者との会話に関する情報に基づいて、参照目的を設定する。設定機能760は、設定部の一例である。例えば、設定機能760は、抽出機能759で抽出されたキーワードに基づいて、参照目的を設定する。
【0207】
一例として、設定機能760は、医療オントロジー等を用いて、抽出されたキーワードを検索ワードとして、抽出されたキーワードの同義語や類義語等を検索する。そして、設定機能760は、検索結果と、予め設定された参照目的のリストとに基づいて、自動的に参照目的を設定する。
【0208】
これにより、設定機能760は、対象患者が今後どう生きていきたいと考えているのかに応じた参照目的を設定することができる。
【0209】
本変形例の特定機能756は、設定機能760で自動的に設定された参照目的に応じた項目、参照期間、関連度・重要度を特定する。なお、生成機能751は、参照目的が自動的に設定された場合、手動で入力された参照目的を受け付けた場合とは異なる表示画面を生成してもよい。
【0210】
ここで、
図14は、参照目的を自動的に設定した場合の表示画面の画面構成の一例を示す図である。
図14の表示画面は、特定結果表示画面G4及びサマリ表示ボタンG6を画面構成として有する。特定結果表示画面G4は、
図6等と同様のため、説明は省略する。
【0211】
サマリ表示ボタンG6は、抽出機能759で抽出されたキーワードに関連するサマリを表示させるためのボタンである。サマリ表示ボタンG6には、設定機能760で自動的に設定された参照目的から特定機能756で特定された医学的イベントに関するサマリ、特定機能756で特定された項目のうち、関連度・重要度が高い項目に関するサマリ等を表示させるためのボタンが表示される。また、夫々のボタンには、サマリのタイトル及びサマリの対象期間が表示される。
【0212】
なお、サマリ表示ボタンG6には、抽出機能759で抽出されたキーワードとの関連性が高い項目に関するサマリを表示させるボタンが表示されてもよい。
【0213】
図14の例では、サマリ表示ボタンG6には、イベント1関連のサマリを表示させるボタンG61、項目QA1関連のサマリを表示させるボタンG62、項目AB1関連のサマリを表示させるボタンG63、及び項目QB2関連のサマリを表示させるボタンG64が表示されている。
【0214】
ボタンG61には、サマリタイトル「イベント1関連サマリ」と、当該サマリの対象期間「直近2か月」が表示されている。ボタンG62には、サマリタイトル「QA1関連サマリ」と、当該サマリの対象期間「直近2週間」が表示されている。ボタンG63には、サマリタイトル「AB1関連サマリ」と、当該サマリの対象期間「半年間」が表示されている。ボタンG64には、サマリタイトル「QA2関連サマリ」と、当該サマリの対象期間「全期間」が表示されている。
【0215】
例えば、医療従事者により何れかのボタンが押下された場合、押下されたボタンに対応するサマリを表示する表示画面が表示装置80に表示される。一例として、ボタンG61が押下された場合、表示装置80には、
図8と同様の表示画面が表示される。
【0216】
本変形例によれば、医療従事者が手動で参照目的の入力を行わなくても、対象患者との会話から抽出したキーワードに関連する項目及び項目に係る小イベントの参照期間を特定できる。したがって、医療従事者は、抽出されたキーワードと関連性の高い診療情報を閲覧することができる。つまり、本変形例によれば、医療従事者による効率的な診療情報の閲覧を支援することができる。
【0217】
(変形例4)
上述の実施形態及び変形例では、医療従事者が診療情報を閲覧する形態について説明した。しかしながら、医療従事者だけでなく対象患者が診療情報を閲覧できるようにしてもよい。
【0218】
図15は、変形例4に係る臨床支援装置70の構成の一例を示すブロック図である。本変形例に係る臨床支援装置70は、NWインタフェース710と、入力インタフェース720と、ディスプレイ730と、記憶回路740と、処理回路750とを有する。NWインタフェース710、入力インタフェース720、ディスプレイ730、及び記憶回路740については、上述の変形例3と同様のため、説明は省略する。
【0219】
本変形例に係る処理回路750は、例えば、生成機能751、通信制御機能752、受付機能753、取得機能754、分析機能755、特定機能756、サマリ機能757、登録機能758、抽出機能759、設定機能760、及び制限機能761を機能部として有する。生成機能751、通信制御機能752、受付機能753、取得機能754、分析機能755、特定機能756、サマリ機能757、登録機能758、抽出機能759、及び設定機能760は、上述の変形例3と略同様のため、説明は省略する。
【0220】
制限機能761は、診療情報の閲覧権限を設定する。例えば、制限機能761は、項目毎に、対象患者の閲覧が可能か不可能かを設定する。なお、制限機能761は、医療従事者の属性(医師、看護師、放射線技師、臨床検査技師等)に応じて、項目毎に閲覧の可・負荷を設定してもよい。
【0221】
本変形例では、受付機能753は、医療従事者から閲覧モードの切替指示を受け付ける。閲覧モードは、例えば、医療従事者のみが診療情報を閲覧する医療従事者モードや医療従事者及び対象患者が診療情報を閲覧する患者モード等である。一例として、制限機能761は、閲覧モードが患者モードになっている場合、対象患者が閲覧不可と設定されている項目に関する情報の出力を制限する。
【0222】
また、本変形例の生成機能751は、閲覧モードが患者モードになっている場合、対象患者の旅行レベル、運動レベル、思考レベル、食事レベル、会話レベル等の対象患者に可能な行動の程度を表す行動レベルを対象患者に提示するための表示を生成してもよい。
【0223】
旅行レベルは、例えば、旅行の困難さの程度を表す指標に従って、対象患者がどの程度の旅行まで行うことが可能かを評価したものである。
【0224】
運動レベルは、例えば、運動の困難さの程度を表す指標に従って、対象患者どの程度の運動まで行うことが可能かを評価したものである。
【0225】
思考レベルは、例えば、施行の困難さの程度を表す指標に従って、対象患者がどの程度の思考まで行うことが可能かを評価したものである。
【0226】
食事レベルは、例えば、食事の困難さの程度を表す指標に従って、対象患者がどの程度の食事まで行うことが可能かを評価したものである。
【0227】
会話レベルは、例えば、会話の困難さの程度を表す指標に従って、対象患者がどの程度の会話まで行うことが可能かを評価したものである。
【0228】
ここで、
図16は、対象患者が閲覧可能な情報のみを表示する場合の表示画面の画面構成の一例を示す図である。
図15の表示画面は、サマリ表示ボタンG6a及び行動レベル表示画面G7を画面構成として有する。
【0229】
図16の例では、サマリ表示ボタンG6には、イベント2関連のサマリを表示させるボタンG65、QA関連のサマリを表示させるボタンG66、及びQB5関連のサマリを表示させるボタンG67が表示されている。このうち、ボタン67は、QB5関連のサマリに対象患者の閲覧が不可能な情報が含まれるため、押下が不可能な態様で表示されている。
【0230】
ボタンG65には、サマリタイトル「イベント2関連サマリ」と、当該サマリの対象期間「直近1年間」が表示されている。ボタンG66には、サマリタイトル「QA関連サマリ」と、当該サマリの対象期間「直近2週間」が表示されている。ボタンG67には、サマリタイトル「QB5関連サマリ」と、当該サマリの対象期間「全期間」が表示されている。
【0231】
行動レベル表示画面G7は、対象患者の行動レベルを表示するための画面である。
図16の行動レベル表示画面G7は、カレンダー表示領域G71、可能時期表示領域G72、行動レベル表示領域G73、及び説明表示領域G74を画面構成として有する。
【0232】
カレンダー表示領域G71は、行動が可能な時期を対象患者に提示するためのカレンダーを表示させる領域である。カレンダー表示領域G71は、現時点よりも未来のカレンダーが表示される。
図16の例では、2023年1月~12月のカレンダーが表示されている。
【0233】
可能時期表示領域G72は、抽出機能759で抽出されたキーワードに関連する行動が可能な時期を対象患者に提示するための領域である。
図16の例では、可能時期表示領域G72は、2023年3月~7月に旅行が可能であることを表している。
【0234】
行動レベル表示領域G73は、対象患者の行動レベルを表示するための領域である。
図16の例では、2023年3月~7月について、時期ごとに対象患者の旅行レベルをアイコンで表示させている。
【0235】
図16の行動レベル表示領域G73は、2023年3月~4月には、レベル4の旅行が可能であることを表している。また、行動レベル表示領域G73は、2023年5月~8月には、レベル2の旅行が可能であることを表している。また、行動レベル表示領域G73は、2023年9月~10月には、レベル1の旅行が可能であることを表している。
【0236】
説明表示領域G74は、行動レベルを表すアイコンの説明を表示する表示領域である。
図16の例では、旅行レベル1が「電車での旅行が可能」、旅行レベル2が「飛行機での旅行が可能」、旅行レベル3が「自分で自動車を運転しての旅行が可能」、旅行レベル4が「登山のような身体の負担が大きい旅行も可能」であることを表している。
【0237】
このように、対象患者に可能な行動を可視化して提示することで、本変形例に係る臨床支援装置70は、対象患者が自分自身の状態を把握するための行動を支援することができる。
【0238】
本変形例によれば、医療従事者に限らず、対象患者が診療情報を閲覧する場合にも、効率的な診療情報の閲覧を支援することができる。
【0239】
以上説明した少なくとも1つの実施形態等によれば、医療従事者による効率的な診療情報の閲覧を支援することができる。
【0240】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0241】
1 臨床支援システム
10 病院情報システム(HIS:Hospital Information System)
11 電子カルテ情報
12 問診情報
20 放射線科情報システム(RIS:Radiology Information Systems)
21 読影レポート情報
30 医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving and Communication Systems)
31 画像情報
40 臨床検査情報システム(LIS:Laboratory Information System)
41 臨床検査結果情報
42 臨床検査レポート情報
50 患者端末
51 会話情報
60 患者計測端末
61 個人健康情報
70 臨床支援装置
710 NWインタフェース
720 入力インタフェース
730 ディスプレイ
740 記憶回路
741 特定情報
750 処理回路
751 生成機能
752 通信制御機能
753 受付機能
754 取得機能
755 分析機能
756 特定機能
757 サマリ機能
758 登録機能
759 抽出機能
760 設定機能
80 表示装置