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特開2024-147426医療情報システム、及び、医療情報処理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147426
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】医療情報システム、及び、医療情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20241008BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20241008BHJP
【FI】
A61B6/03 360D
A61B6/03 377
A61B6/03 371
A61B34/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060437
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100220630
【弁理士】
【氏名又は名称】河崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真樹
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 和代
(72)【発明者】
【氏名】高根沢 浩
(72)【発明者】
【氏名】村松 真次
(72)【発明者】
【氏名】山口 登士雄
(72)【発明者】
【氏名】米島 丈晴
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA25
4C093BA17
4C093CA35
4C093FB20
4C093FF17
4C093FF20
4C093FF28
4C093FF31
4C093FF46
4C093FG04
4C093FG13
4C093FG14
4C093FG16
(57)【要約】
【課題】ユーザが、手技対象領域に対して、医療デバイスを適切に配置できたか否かを容易に確認できることである。
【解決手段】実施形態に係る医療情報システムは、被検体に挿入する医療デバイスに基づき決定される回転軸を中心として回転した断面を算出する回転断面算出部と、前記回転断面算出部により算出された前記断面において、手技対象の領域である手技対象領域における前記医療デバイスの挿入位置の妥当性に関する評価値を算出する妥当性評価算出部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に挿入する医療デバイスに基づき決定される回転軸を中心として回転した断面を算出する回転断面算出部と、
前記回転断面算出部により算出された前記断面において、手技対象の領域である手技対象領域における前記医療デバイスの挿入位置の妥当性に関する評価値を算出する妥当性評価算出部と、を備える、医療情報システム。
【請求項2】
前記評価値に基づいて、前記医療デバイスの挿入位置の妥当性をユーザが確認するための情報を表示部に提示する評価値情報提示部をさらに備える、請求項1に記載の医療情報システム。
【請求項3】
前記断面において、前記手技対象領域を抽出する領域抽出部を更に備える、請求項1に記載の医療情報システム。
【請求項4】
医用画像を取得する取得部と、
前記医用画像において、前記医療デバイスの挿入位置を設定する挿入位置設定部と、を更に備える、請求項1に記載の医療情報システム。
【請求項5】
前記妥当性評価算出部は、前記医療デバイスの挿入位置の妥当性に関する評価指標に基づいて、前記評価値を算出する、請求項1に記載の医療情報システム。
【請求項6】
前記妥当性評価算出部は、前記手技対象領域と前記医療デバイスの挿入位置との位置関係に基づく評価指標に基づいて、前記評価値を算出する、請求項5に記載の医療情報システム。
【請求項7】
前記妥当性評価算出部は、前記医療デバイスが前記手技対象領域の中心を通過しているか否かを評価する評価指標に基づいて、前記評価値を算出する、請求項6に記載の医療情報システム。
【請求項8】
前記妥当性評価算出部は、現在の医療デバイスの挿入位置と、事前に計画した挿入経路とに関する評価指標に基づいて、前記評価値を算出する、請求項5に記載の医療情報システム。
【請求項9】
前記医療デバイスは、穿刺針、焼灼式アブレーションデバイス、及び、冷却式アブレーションデバイスのいずれかである、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の医療情報システム。
【請求項10】
前記医療デバイスは、アブレーションデバイスであり、
前記妥当性評価算出部は、前記アブレーションデバイスの効果範囲に基づく評価指標に基づいて、前記評価値を算出する、請求項5に記載の医療情報システム。
【請求項11】
前記妥当性評価算出部は、前記アブレーションデバイスの効果範囲に前記手技対象領域が含まれているか否かを評価する評価指標に基づいて、前記評価値を算出する、請求項10に記載の医療情報システム。
【請求項12】
前記妥当性評価算出部は、前記アブレーションデバイスの効果範囲に前記アブレーションデバイスの効果範囲に含んではいけない領域含まれているか否かを評価する評価指標に基づいて、前記評価値を算出する、請求項10に記載の医療情報システム。
【請求項13】
前記妥当性評価算出部は、前記医療デバイスの挿入位置の妥当性に関する複数の評価指標に基づいて、前記評価値を算出する、請求項1に記載の医療情報システム。
【請求項14】
前記評価値情報提示部は、前記評価値に基づいて、前記医療デバイスの挿入位置の妥当性が最小となる前記断面を前記表示部に提示する、請求項2に記載の医療情報システム。
【請求項15】
前記評価値情報提示部は、前記情報として、回転角度毎の前記断面の評価値を示すグラフを表示部に提示する、請求項2に記載の医療情報システム。
【請求項16】
前記評価値情報提示部は、前記グラフにおける前記表示部に表示する前記断面に対応する前記評価値を指定するスライドバーを表示し、前記スライドバーにおいて、指定された前記評価値に対応する前記断面を表示部に提示する、請求項15に記載の医療情報システム。
【請求項17】
前記挿入位置設定部は、前記医療デバイスの挿入位置の変更に関する入力操作を受け付けた場合に、前記医療デバイスの挿入位置を再設定し、
前記回転断面算出部は、前記挿入位置が再設定された医療デバイスに基づき決定される回転軸を中心として回転した断面を再算出し、
前記妥当性評価算出部は、前記回転断面算出部により再算出された前記断面において、手技対象の領域である手技対象領域における前記医療デバイスの挿入位置の妥当性に関する評価値を算出する、請求項4に記載の医療情報システム。
【請求項18】
前記評価値情報提示部は、複数の前記医療デバイスを前記被検体に挿入する場合において、次の前記医療デバイスの挿入がある場合に、前記医療デバイスの挿入位置の妥当性に関する評価値に基づいて、ユーザに参照させる断面である参照断面を表示部に表示する、請求項2に記載の医療情報システム。
【請求項19】
前記妥当性評価算出部は、
複数の前記医療デバイスが前記手技対象領域に挿入される場合、複数の前記医療デバイス毎に前記評価値を算出し、
前記断面において、1の前記医療デバイスの評価値を、前記断面における他の前記医療デバイスの評価値に基づいて補正する、請求項2に記載の医療情報システム。
【請求項20】
被検体に挿入する医療デバイスに基づき決定される回転軸を中心として回転した断面を算出するステップと、
算出された前記断面において、手技対象の領域である手技対象領域における前記医療デバイスの挿入位置の妥当性に関する評価値を算出するステップと、を備える、医療情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医療情報システム、及び、医療情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CT透視(Computed Tomography Fluoroscopy: CTF)下において、組織を採取する穿刺針や組織を焼灼する焼灼式アブレーションデバイス、組織を冷却する冷却式アブレーションデバイスなどの医療デバイスを被検体(例えば、患者)の体内に挿入し、肺結節や肝臓癌などの腫瘍などの手技対象となる部位の組織を採取したり、焼灼したり、冷却したりする手技が行われている。このような手技を行う場合、ユーザは、CT画像を用いて、医療デバイスの通過を確認できる断面である通過断面を確認することにより、医療デバイスが手技対象となる部位に適切に挿入できたか否かを確認している。
【0003】
しかしながら、ユーザは、ディスプレイに表示された通過断面からは、その通過断面における医療デバイスの挿入位置しか確認することしかできない。そのため、このディスプレイに表示されている通過断面において、医療デバイスが手技対象の領域である手技対象領域に対して適切に挿入されているとユーザが判断しても、ディスプレイに表示されている通過断面とは異なる他の方向における通過断面においては、医療デバイスが手技対象領域に対して適切に挿入されていない場合があり、ディスプレイに表示されている1つの通過断面のみでは、ユーザは、手技対象領域における医療デバイスの挿入位置の妥当性を適切に判断できない恐れがある。
【0004】
また、ユーザはCT画像におけるどの断面を確認すれば、手技対象領域における医療デバイスの挿入位置の妥当性を評価できるのか分からないという問題もある。さらに、これらの問題は、X線CT装置のみならず、超音波診断やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等により撮影された医用画像においても同様に生じている。そのため、ユーザが、手技対象領域に対して、手技対象領域における医療デバイスの挿入位置の妥当性を容易に確認できることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-150151号公報
【特許文献2】特開2017-094084号公報
【特許文献3】特開2003-190146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、ユーザが、手技対象領域における医療デバイスの挿入位置の妥当性を容易に確認できることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記の課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る医療情報システムは、被検体に挿入する医療デバイスに基づき決定される回転軸を中心として回転した断面を算出する回転断面算出部と、前記回転断面算出部により算出された前記断面において、手技対象の領域である手技対象領域における前記医療デバイスの挿入位置の妥当性に関する評価値を算出する妥当性評価算出部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るX線CT装置の外観を示す図。
図2】一実施形態に係るX線CT装置の全体構成を説明するブロック図。
図3】一実施形態に係る医用画像を表示する透視卓の外観を示す図。
図4】一実施形態に係るX線CT装置で実行される妥当性評価処理の内容を説明するフローチャート図。
図5】一実施形態係るX線CT装置が取得する医用画像の一例を示す図。
図6】一実施形態に係るX線CT装置において、医療デバイスの挿入位置の設定の一例を示す図。
図7】一実施形態に係るX線CT装置において、医療デバイスに設定される中心軸の一例を示す図。
図8】一実施形態に係るX線CT装置において、断面の算出方法の一例を示す図。
図9】一実施形態に係るX線CT装置において、算出される断面の一例を示す図。
図10】一実施形態に係るX線CT装置において、手技対象領域が抽出された断面の表示の一例を示す図。
図11】一実施形態に係るX線CT装置において、評価指標の一例を説明する図。
図12】一実施形態に係るX線CT装置において、透視卓のディスプレイに提示される情報の一例を示す図。
図13】一実施形態における、冷却式アブレーションデバイスの効果範囲に関する情報の一例を示す図。
図14】一実施形態における、冷却式アブレーションデバイスの温度毎の回転角度に対する評価値のグラフの一例を示す図。
図15】一実施形態に係るX線CT装置において、ディスプレイに提示される情報の一例を示す図。
図16】一実施形態に係るX線CT装置において、ディスプレイに提示される情報の別の例を示す図。
図17】一実施形態に係るX線CT装置において、ディスプレイに提示される情報の一例を示す図。
図18】変形例1に係るX線CT装置において実行される妥当性再評価処理の内容を説明するフローチャート図。
図19】変形例1に係るX線CT装置において、医療デバイスの挿入位置を再設定した場合の変更前及び変更後の医療デバイスの挿入位置を示す図。
図20】変形例1に係るX線CT装置において、コンソール装置のディスプレイに提示される情報の一例を示す図。
図21】変形例2に係るX線CT装置で実行される妥当性評価処理の内容を説明するフローチャート図。
図22】変形例4に係るX線CT装置において、医療デバイスの挿入位置の設定の一例を示す図。
図23】変形例4に係るX線CT装置において、ディスプレイに提示される情報の一例を示す図。
図24】変形例5に係るX線CT装置において、複数の冷却式アブレーションデバイスの効果範囲を合わせた範囲を示す図。
図25】変形例6に係るX線CT装置の外観を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、医療情報システム、及び、医療情報処理方法の実施形態について説明する。なお、以下の説明において実質的に同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
【0010】
以下に説明する実施形態では、実施形態に係る医療情報システムがX線CT装置に組み込まれた場合を例示する。なお、実施形態に係る医療情報システムは、X線CT装置に組み込まれる場合に限られず、X線CT装置から独立した装置として実現されてもよい。また、実施形態に係る医療情報システムは、X線CT装置以外の他の医用画像診断装置に組み込まれて実現されても構わない。他の医用画像診断装置としては、X線診断装置、MRI装置、超音波診断装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission computed Tomography)装置、SPECT装置とX線CT装置とが一体化されたSPECT-CT装置、PET装置とX線CT装置とが一体化されたPET-CT装置などの種々の医用画像診断装置があり得る。
【0011】
図1は、一実施形態に係るX線CT装置の外観を示す図であり、図2は、一実施形態に係るX線CT装置の全体構成を説明するブロック図である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係るX線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを備えて構成されている。なお、図2においては、架台装置10をZ軸方向から見た図及びX軸方向から見た図の双方を掲載しているが、実際には、図1に示すように、架台装置10は1つである。また、図2において、説明の都合上、寝台装置30をZ軸方向から見た図及びX軸方向から見た図の双方を掲載しているが、実際には、図1に示すように、寝台装置30は1つである。本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は、寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とそれぞれ定義する。
【0012】
架台装置10は、被検体PがX線により投影された投影データを収集する撮影系を有する装置である。本実施形態に係る架台装置10は、X線管11と、X線検出器12と、回転フレーム13と、X線高電圧装置14と、制御装置15と、ウェッジ16と、コリメータ17と、DAS18とを、備えて構成されている。
【0013】
X線管11は、例えば、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することでX線を発生する真空管である。例えば、X線管11には回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。
【0014】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ16(ウェッジフィルタ(wedge filter)、ボウタイフィルタ(bow-tie filter))は、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
【0015】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。なお、コリメータ17は、X線絞りと呼ばれる場合もある。
【0016】
X線検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号をDAS18(Data Acquisition System)へと出力する。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向、row方向)に複数配列された構造を有する。また、X線検出器12は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有し、シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。
【0017】
グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドはコリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、光電子増倍管(フォトマルチプライヤー:PMT)等の光センサを有する。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。また、X線検出器12は、X線検出部の一例である。
【0018】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、後述する制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。なお、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やDAS18を更に備えて支持する。なお、DAS18が生成した検出データは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(LED)を有する送信機から光通信によって架台装置10の非回転部分(例えば固定フレーム。図2での図示は省略している。)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へと転送される。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分への検出データの送信方法は、前述の光通信に限らず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式を採用しても構わない。また、回転フレーム13は、回転部の一例である。
【0019】
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX 線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置14は、後述する回転フレーム13に設けられてもよいし、架台装置10の固定フレーム(図示しない)側に設けられても構わない。なお、固定フレームは回転フレーム13を回転可能に支持するフレームである。また、X線高電圧装置14は、X線高電圧部の一例である。
【0020】
制御装置15は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを有する処理回路と、モータやアクチュエータなどを含む駆動機構とを有する。制御装置15は、コンソール装置40または架台装置10に取り付けられた入力インターフェース43からの入力信号を受け付けて、架台装置10および寝台装置30の動作を制御する。制御装置15は、例えば、回転フレーム13を回転させたり、架台装置10をチルトさせたり、寝台装置30の天板33を移動させたりする。架台装置10をチルトさせる場合、制御装置15は、入力インターフェース43に入力された傾斜角度(チルト角度)に基づいて、Z軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させる。制御装置15は、図示しないセンサの出力等によって回転フレーム13の回転角度を把握している。また、制御装置15は、回転フレーム13の回転角度を随時、処理回路44に提供する。制御装置15は、架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられてもよい。
【0021】
DAS18は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。DAS18が生成した検出データは、コンソール装置40へと転送される。また、DAS18はデータ収集部の一例である。
【0022】
寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34と、透視卓35とを備えている。
【0023】
基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を天板33の長軸方向に移動するモータあるいはアクチュエータである。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
【0024】
透視卓35は、ユーザが被検体Pの近傍で手技を行いながら、寝台装置30を操作したり、医用画像を確認したりするための装置である。図3は、本実施形態に係る医用画像を表示する透視卓35の外観を示す図である。図3に示すように、本実施形態に係る透視卓35は、ディスプレイ351と、操作インターフェース352とを備えて構成されている。
【0025】
ディスプレイ351は、架台装置10や寝台装置30などの各種操作をユーザから受け付けるための関するGUI(Graphical User Interface)等を表示したり、医用画像として、CT撮影によるCT画像やCT透視によるCT透視画像などを表示したりする。ディスプレイ351は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。また、ディスプレイ351は、表示部の一例である。
【0026】
操作インターフェース352は、架台装置10や寝台装置30の操作を受け付ける。例えば、操作インターフェース352は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等により実現される。また、操作インターフェース352は、入力部の一例である。
【0027】
コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44と、通信インターフェース45とを有する。なお、コンソール装置40は、架台装置と別体として説明するが、架台装置10にコンソール装置40又はコンソール装置40の各構成要素の一部が含まれてもよい。
【0028】
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ41は、例えば、投影データや再構成画像データを記憶する。また、メモリ41は、記憶部の一例である。
【0029】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI等を出力する。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイである。また、ディスプレイ42は、表示部の別の例である。また、ディスプレイ42は、架台装置10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。なお、以下において、透視卓35のディスプレイ351とコンソール装置40のディスプレイ42を区別なく説明する場合には、単に、ディスプレイと称して説明する場合がある。
【0030】
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等を操作者から受け付ける。また、入力インターフェース43は、CT撮影の実行の操作を操作者から受け付ける。さらに、入力インターフェース43は、CT撮影情報の入力を操作者から受け付ける。このCT撮影情報とは、CT撮影の対象部位などのCT撮影の撮影条件に関する情報である。例えば、入力インターフェース43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等により実現される。また、入力インターフェース43は、入力部の別の例である。また、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0031】
処理回路44は、X線CT装置1全体の動作を制御する。処理回路44は、例えば、CPUやGPU等のプロセッサにより構成される。本実施形態に係る処理回路44は、システム制御機能441と、前処理機能442と、再構成処理機能443と、取得機能444と、挿入位置設定機能445と、回転断面算出機能446と、領域抽出機能447と、妥当性評価算出機能448と、評価値情報提示機能449とを実行する。また、処理回路44は、処理部の一例である。
【0032】
図2における実施形態では、システム制御機能441と、前処理機能442と、再構成処理機能443と、取得機能444と、挿入位置設定機能445と、回転断面算出機能446と、領域抽出機能447と、妥当性評価算出機能448と、評価値情報提示機能449とにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ41に格納されている。処理回路44は、プログラムをメモリ41から読み出し、実行することで、各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。なお、図2においては、単一の処理回路44にてシステム制御機能441と、前処理機能442と、再構成処理機能443と、取得機能444と、挿入位置設定機能445と、回転断面算出機能446と、領域抽出機能447と、妥当性評価算出機能448と、評価値情報提示機能449とが実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路44を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものとしても構わない。
【0033】
システム制御機能441は、入力インターフェース43を介してユーザから受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各種機能を制御する。また、システム制御機能441は、システム制御部の一例である。
【0034】
前処理機能442は、DAS18から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施したデータを生成する。なお、前処理前のデータ(検出データ)および前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。また、前処理機能442は、前処理部の一例である。
【0035】
再構成処理機能443は、前処理機能442にて生成された投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。また、再構成処理機能443は、再構成処理部の一例である。
【0036】
取得機能444は、被検体Pの医用画像を取得する。この医用画像は、処理回路44における取得機能444が、通信インターフェース45を介して、画像保管装置であるPACS(Picture Archiving and Communication System)から直接取得するようにしてもよく、取得機能444がメモリ41から取得するようにしてもよい。
【0037】
また、取得機能444は、診療情報を取得する。ここで、診療情報とは、被検体情報や、手技に関する情報等である。手技に関する情報とは、被検体に挿入する医療デバイスの種類の情報を含む。この医療デバイスとは、例えば、組織を採取する穿刺針や腫瘍などの組織を焼灼するための焼灼式アブレーションデバイス、組織を冷却するための冷却式アブレーションデバイスなどである。また、手技に関する情報には、医療デバイスの種類の情報や、焼灼式アブレーションデバイスの焼灼できる効果範囲や冷却式アブレーションデバイスの冷却できる効果範囲に関する情報、焼灼式及び冷却式アブレーションデバイスの効果範囲に含んではいけない領域に関する情報、腫瘍などの手技対象の領域である手技対象領域の情報や手技対象領域の周辺領域において、医療デバイスの挿入の妨げとなる部位の情報、手技において使用されるデバイスの本数の情報などを含む。なお、以下の説明において、焼灼式アブレーションデバイスと冷却式アブレーションとを区別せずに表現する場合は、単に「アブレーションデバイス」と表記する。
【0038】
挿入位置設定機能445は、医用画像に対して、医療デバイスの挿入位置を設定する。また、回転断面算出機能446は、医療デバイスに基づき決定される回転軸を中心として回転した断面を算出する。また、領域抽出機能447は、回転断面算出機能446により算出された断面において、手技対象領域を抽出する。
【0039】
妥当性評価算出機能448は、回転断面算出機能446により算出された断面において、手技対象領域における医療デバイスの挿入位置の妥当性に関する評価値を算出する。具体的には、妥当性評価算出機能448は、医療デバイスの挿入位置の妥当性に関する評価指標に基づいて、手技対象領域における医療デバイスの挿入位置の妥当性に関する評価値を算出する。医療デバイスの挿入位置の妥当性に関する評価指標とは、例えば、手技対象領域と医療デバイスの挿入位置との位置関係に基づく評価指標や、現在の医療デバイスの挿入位置と、事前に計画した挿入経路とに基づく評価指標、医療デバイスがアブレーションデバイスの場合、アブレーションデバイスの効果範囲に基づく評価指標などである。
【0040】
評価値情報提示機能449は、妥当性評価算出機能448が算出した評価値に基づいて、医療デバイスの挿入位置をユーザが確認するための情報を透視卓35のディスプレイ351又はコンソール装置40のディスプレイ42に提示する。医療デバイスの挿入位置の妥当性をユーザが確認するための情報とは、例えば、断面の画像や回転角度に対する評価値のグラフなどである。
【0041】
通信インターフェース45は、有線、無線又はその両方にて外部装置と通信するための回路である。通信インターフェース45は、PACSなどと通信する。また、通信インターフェース45は、第1通信部の一例である。
【0042】
図4は、本実施形態に係るX線CT装置1で実行される妥当性評価処理の内容を説明するフローチャート図である。妥当性評価処理では、医用画像を取得したり、医用画像に対して医療デバイスの挿入位置を設定したり、断面を算出したり、断面における医療デバイスの挿入位置の妥当性に関する評価値を算出したり、情報を提示したりする。例えば、この妥当性評価処理は、ユーザが妥当性評価処理の開始を指示することにより実行される処理である。以下の説明においては、ユーザの手技中に、ユーザにより妥当性評価処理の開始が指示されたものとして、本実施形態に係る妥当性評価処理の内容を説明する。
【0043】
図4に示すように、まず、X線CT装置1は、医用画像を取得する(ステップS11)。この医用画像を取得する処理は、処理回路44における取得機能444により実現される。具体的には、本実施形態に係るX線CT装置1は、医用画像として、被検体Pに医療デバイスが挿入された状態でボリュームスキャンされた3次元CT画像を取得する。
【0044】
図5は、本実施形態に係るX線CT装置1が取得する医用画像の一例を示す図である。図5に示すように、本実施形態に係るX線CT装置1は、ボリュームスキャンされた3次元CT画像として、ボリュームデータVDを取得する。この図5に示すボリュームデータVDは、例えば、被検体Pの胸部を撮影した医用画像である。この図5に示すボリュームデータVDは、被検体Pに挿入された医療デバイスD1を含んでいる。
【0045】
なお、ステップS11において、X線CT装置1が取得する医用画像は、医療デバイスが挿入された状態でボリュームスキャンされた3次元CT画像に限られない。すなわち、ステップS11において、X線CT装置1が取得する医用画像は任意であり、例えば、X線CT装置1は、メモリ41やPACS等から、手技対象領域を含む被検体Pの過去の3次元CT画像を取得するようにしてもよい。
【0046】
次に、図4に示すように、X線CT装置1は、診療情報を取得する(ステップS13)。この診療情報を取得する処理は、処理回路44における取得機能444により実現される。具体的には、X線CT装置1は、メモリ41から、診療情報を取得する。より具体的には、本実施形態に係る取得機能444は、例えば、診療情報として、医療デバイスD1に関する情報やユーザの手技対象となる領域に関する情報などを取得する。なお、診療情報は、メモリ41から取得される場合に限られない。例えば、取得機能444は、通信インターフェース45を介して、外部のデータサーバなどから診療情報を取得するようにしてもよい。
【0047】
次に、図4に示すように、X線CT装置1は、医療デバイスD1の挿入位置を設定する(ステップS15)。この医療デバイスD1の挿入位置を設定する処理は、処理回路44における挿入位置設定機能445により実現される。具体的には、X線CT装置1は、領域抽出アルゴリズムを用いて、医用画像から、医療デバイスD1を抽出することにより、医療デバイスD1の挿入位置を設定する。
【0048】
図6は、本実施形態に係るX線CT装置1において、医療デバイスD1の挿入位置の設定の一例を示す図である。図6に示すように、X線CT装置1は、医用画像に含まれている医療デバイスD1を抽出している。図6に示す例においては、ボリュームデータVDの1つの断面における医療デバイスD1を抽出して、医療デバイスD1の挿入位置の設定した例を示しているが、ステップS15において、X線CT装置1は、ボリュームデータVDの他の断面においても、医療デバイスD1を抽出して、医療デバイスD1の挿入位置を設定している。
【0049】
なお、ステップS15において、X線CT装置1は、領域抽出アルゴリズムを用いて、医療デバイスD1の挿入位置の設定をすることとしたが、医療デバイスD1の挿入位置を設定する方法はこれに限られない。すなわち、医療デバイスD1の挿入位置を設定する方法は任意であり、X線CT装置1は、ユーザからの医療デバイスD1の挿入位置の設定に関する入力操作を受け付けることにより、医療デバイスD1の挿入位置を設定するようにしてもよい。
【0050】
次に、図4に示すように、X線CT装置1は、断面を算出する(ステップS17)。この断面を算出する処理は、処理回路44における回転断面算出機能446により実現される。具体的には、X線CT装置1は、ステップS15で挿入位置が設定された医療デバイスD1の中心軸を回転軸として、この回転軸を中心として回転した断面を算出する。より具体的には、回転断面算出機能446は、所定の回転角度θ毎に、ステップS15で挿入位置が設定された医療デバイスD1の中心軸を回転軸として、回転した断面を算出して、当該断面を求める。以下の説明においては、本実施形態に係る所定の回転角度θは、30°と設定されたものとする。
【0051】
なお、所定の回転角度は、予め設定されていてもよく、設定画面を表示して、妥当性評価処理を行う毎にユーザに設定させるようにしてもよい。また、所定の回転角度θの設定は、所定の回転角度自体を設定させるようにしてもよく、ユーザが算出したい断面の数から所定の回転角度θを算出して設定するようにしてもよい。また、本実施形態においては、所定の回転角度θを30°としたが、所定の回転角度の値はこれに限られない。すなわち、所定の回転角度θの値は任意であり、30°未満であってもよく、30°より大きくてもよい。
【0052】
図7乃至図9を参照して、このステップS17における断面の算出を詳細に説明する。図7は、本実施形態に係るX線CT装置1において、医療デバイスD1に設定される中心軸の一例を示す図である。図8は、本実施形態に係るX線CT装置1において、断面の算出方法の一例を示す図である。図9は、本実施形態に係るX線CT装置1において、算出される断面の一例を示す図である。図7に示すように、本実施形態に係るX線CT装置1は、ステップS15で設定された医療デバイスD1の挿入位置に基づいて、医療デバイスD1の中心軸CA1を求める。
【0053】
そして、図8に示すように、X線CT装置1は、求められた医療デバイスD1の中心軸CA1を回転軸RA1として決定する。そして、X線CT装置1は、決定された回転軸RA1を通る任意の断面CS1の回転角度θを0°として、設定された所定の回転角度30°毎に、回転軸RA1を中心として回転した断面CS2~CS6をボリュームデータVDから算出して、断面CS1~CS6を求める。本実施形態において、X線CT装置1は、図9に示すように、回転角度0°の断面CS1と、回転角度30°の断面CS2と、回転角度60°の断面CS3と、回転角度90°の断面CS4と、回転角度120°の断面CS5と、回転角度150°の断面CS6が求められている。
【0054】
次に、図4に示すように、X線CT装置1は、手技対象領域を抽出する(ステップS19)。この手技対象領域を抽出する処理は、処理回路44における領域抽出機能447により実現される。具体的には、X線CT装置1は、ステップS13で取得した診療情報に基づいて、ステップS17で算出された断面において、領域抽出アルゴリズムを用いて、手技対象領域を抽出する。
【0055】
なお、ステップS19においては、X線CT装置1が、ステップS17で算出した断面から手技対象領域を自動的に抽出することとしたが、手技対象領域を抽出する方法はこれに限られない。すなわち、手技対象領域を抽出する方法は任意であり、ステップS19において、X線CT装置1は、ステップS17で算出した断面を表示して、入力インターフェース43を介して、ユーザから手技対象領域の設定に関する入力操作を受け付けることにより、手技対象領域を手動で抽出するようにしてもよい。
【0056】
次に、図4に示すように、X線CT装置1は、断面を表示する(ステップS21)。この断面を表示する処理は、処理回路44における評価値情報提示機能449により実現される。具体的には、X線CT装置1は、ステップS19で抽出された手技対象領域とともに、ステップS17において算出された断面を表示する。
【0057】
図10は、本実施形態に係るX線CT装置1において、手技対象領域A1が抽出された断面の表示の一例を示す図である。この図10に示す例においては、X線CT装置1は、ステップS19で抽出した手技対象対象領域A1である肺結節を強調して表示するとともに、ステップS17で算出した各断面CS1~CS6を、透視卓35のディスプレイ351に表示している。
【0058】
次に、図4に示すように、X線CT装置1は、評価値を算出する(ステップS23)。この評価値を算出する処理は、処理回路44における妥当性評価算出機能448により実現される。具体的には、X線CT装置1は、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性に関する評価指標に基づいて、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性に関する評価値を算出する。より具体的には、本実施形態に係る妥当性評価算出機能448は、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性に関する評価指標における手技対象領域A1と医療デバイスD1の挿入位置との位置関係に基づく評価指標として、医療デバイスD1が手技対象領域A1である腫瘍の中心を通過しているか否かを評価する評価指標に基づいて、ある回転角度θにおける評価値E(θ)を算出する。この医療デバイスD1が手技対象領域A1である腫瘍の中心を通過しているか否かを評価する評価指標とは、例えば、以下の算出式である。
【0059】
【数1】
【0060】
ここで、図11に示すように、R_Maxは、医療デバイスD1の中心軸CA1から手技対象領域A1の最右端までの距離であり、L_Maxは医療デバイスD1の中心軸CA1から手技対象領域A1の最左端までの距離である。このように、ステップS19において、妥当性評価算出機能448は、医療デバイスD1が手技対象領域A1である腫瘍の中心を通過しているか否かを評価する評価指標として、上述した算出式に基づいて、評価値E(θ)を算出する。
【0061】
なお、医療デバイスD1が手技対象領域A1である腫瘍の中心を通過しているか否かに関する評価指標は、上述した算出式に限られない。例えば、妥当性評価算出機能448は、医療デバイスD1が手技対象領域A1である腫瘍の中心を通過しているか否かを評価する評価指標として、以下の算出式に基づいて、ある回転角度θにおける評価値E(θ)を算出すようにしてもよい。
【0062】
【数2】
【0063】
ここで、SR_Maxは、医療デバイスD1の中心軸CA1より右側の手技対象領域A1の面積であり、SL_Maxは、医療デバイスD1の中心軸CA1より左側の手技対象領域の面積である。
【0064】
また、妥当性評価算出機能448は、医療デバイスD1が手技対象領域A1である腫瘍の中心を通過しているか否かを評価する評価指標として、以下の式に基づいて、ある回転角度θにおける評価値E(θ)を算出すようにしてもよい。
【0065】
【数3】
【0066】
ここで、DGは、医療デバイスD1と手技対象領域A1の重心との距離であり、|R_Max+L_Max|は、手技対象領域A1の幅、すなわち、各断面において中心軸CA1と直交する方向の最大長さである。
【0067】
また、本実施形態においては、手技対象領域A1と医療デバイスD1の挿入位置との位置関係に基づく評価指標として、医療デバイスD1が手技対象領域A1の中心を通過しているか否かを評価する評価指標を用いることとしたが、手技対象領域A1と医療デバイスD1の挿入位置との位置関係に基づく評価指標は、医療デバイスD1が手技対象領域A1の中心を通過しているか否かを評価する評価指標に限られない。例えば、医療デバイスD1がユーザにより設定された手技対象領域A1内の所定の位置を通過しているか否かを評価する評価指標を用いるようにしてもよい。
【0068】
また、本実施形態においては、妥当性評価算出機能448は、1つの評価指標を用いて、評価値E(θ)を算出することとしたが、複数の評価指標を用いて、評価値E(θ)を算出するようにしてもよい。例えば、妥当性評価算出機能448は、上述した算出式(1)~(3)のそれぞれを用いて、算出式(1)~(3)のそれぞれにおける評価値E(θ)を算出し、算出したそれぞれの評価値E(θ)について、重み付けなどを行い、1つの評価値E(θ)を算出するようにしてもよい。
【0069】
また、本実施形態においては、算出式(1)~(3)を用いて算出された評価値E(θ)が高いほど、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性が低く、すなわち、医療デバイスD1は手技対象領域A1の中心を通過しておらず、算出式(1)~(3)を用いて算出された評価値E(θ)が低いほど、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性が高く、すなわち、医療デバイスD1は手技対象領域A1の中心を通過していることを示す評価指標を用いているが、評価値E(θ)が高いほど、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性が高く、評価値E(θ)が低いほど、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性が低くなるような評価指標を用いることとしてもよい。
【0070】
次に、図4に示すように、X線CT装置1は、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性をユーザが確認するための情報を提示する(ステップS25)。この情報を提示する処理は、処理回路44における評価値情報提示機能449により実現される。具体的には、X線CT装置1は、ステップS23で算出された評価値E(θ)に基づいて、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性をユーザが確認するための情報を透視卓35のディスプレイ351に提示する。より具体的には、本実施形態に係る評価値情報提示機能449は、ステップS21において既に透視卓35のディスプレイ351に表示した内容を更新して、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性をユーザが確認するための情報として、評価値E(θ)が最大、すなわち、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性が最小となる断面を提示する。
【0071】
図12は、本実施形態に係るX線CT装置1において、透視卓35のディスプレイ351に提示される情報の一例を示す図である。図12に示すように、本実施形態に係るX線CT装置1は、0°から150°までの30°毎の6枚の断面CS1~CS6と、手技対象領域A1を透視卓35のディスプレイ351に表示するとともに、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性をユーザが確認するための情報として、妥当性が最小となる回転角度90°の断面CS4を強調表示することにより、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性が最小となる断面を提示する。
【0072】
なお、本実施形態に係るX線CT装置1においては、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性をユーザが確認するための情報を提示する方法として、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性が最小となる断面を強調表示することとしたが、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性をユーザが確認するための情報を提示する方法は、これに限られない。すなわち、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性をユーザが確認するための情報を提示する方法は任意であり、例えば、X線CT装置1は、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性が最小となる断面のみをディスプレイに表示して、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性をユーザが確認するための情報を提示するようにしてもよい。
【0073】
このステップS25における情報の提示により、本実施形態に係る妥当性評価処理を終了する。
【0074】
以上のように、本実施形態に係るX線CT装置1によれば、医療デバイスD1に基づき決定される回転軸RS1を中心として回転した断面を算出し、算出された断面において、手技対象領域A1における医療デバイスD1の挿入位置の妥当性に関する評価値E(θ)を算出することとしたので、ユーザは、手技対象領域A1における医療デバイスD1の挿入位置の妥当性を容易に確認することができる。
【0075】
また、本実施形態に係るX線CT装置1によれば、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性をユーザが確認するための情報として、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性が低い断面をユーザに提示することとしたので、医療デバイスD1の挿入位置の修正が必要な場合に、どのように修正すべきかが分かりやすくなり、ユーザビリティを向上させ、手技の効率化を図りつつ、手技の精度を向上させることができる。
【0076】
なお、上述した一実施形態における妥当性評価処理においては、ステップS11において、被検体Pの過去のCT画像を取得する場合、ステップS15において、医療デバイスD1の挿入位置を設定する際に、X線CT装置1は、CT透視画像に基づいて、CT透視画像から医療デバイスD1の挿入位置を特定することにより、被検体Pの過去のCT画像に医療デバイスD1の挿入位置を設定するようにしてもよく、ユーザからの医療デバイスの挿入位置の設定に関する入力操作を受け付けることにより、被検体Pの過去のCT画像に医療デバイスD1の挿入位置を設定するようにしてもよい。
【0077】
また、上述した一実施形態における妥当性評価処理においては、ステップS11において、医用画像として、CT透視画像を取得することにより、本発明の妥当性評価処理を実行するようにしてもよい。
【0078】
また、上述した一実施形態における妥当性評価処理においては、医療デバイスD1が手技対象領域A1に到達する前の医療デバイスD1の挿入位置の妥当性を評価するようにしてもよい。具体的には、医療デバイスD1が手技対象領域A1に到達していない医用画像を取得した場合、ステップS13において、取得機能444は、事前に計画した医療デバイスD1の挿入経路に関する情報である挿入経路計画情報を含む診療情報を取得する。この挿入経路計画情報は、例えば、医療デバイスD1のシミュレーションデータを含む医用画像や医療デバイスD1の挿入量及び挿入角度に関する情報等である。
【0079】
より具体的には、妥当性評価処理のステップS15からステップS21の処理を行った後、ステップS23において、妥当性評価算出機能448は、ステップS17で算出された断面において、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性に関する評価指標として、現在の医療デバイスの挿入位置と、事前に計画した挿入経路とに関する評価指標に基づいて、事前に計画した挿入経路と現在の医療デバイスD1の挿入位置との差を求めるように、事前に計画した挿入経路からのずれに関する評価値E(θ)を算出する。そして、ステップS25において、評価値情報提示機能449は、医療デバイスD1の妥当性をユーザが確認するための情報を提示する。このように、本実施形態に係るX線CT装置1は、医療デバイスD1が手技対象領域A1に到達する前の手技対象領域A1における医療デバイスD1の挿入位置の妥当性を評価することができる。
【0080】
また、上述した一実施形態における妥当性評価処理のステップS19においては、領域抽出機能447は、手技対象領域A1を抽出するとともに、例えば、傷つけると危険な部位や貫通が難しい部位などの医療デバイスD1の挿入の妨げとなる部位を抽出するようにしてもよい。
【0081】
また、上述した一実施形態における妥当性評価処理においては、領域抽出機能447が医用画像から手技対象領域A1の領域抽出を実行することとしたが、手技対象領域A1の領域抽出は、外部の診断支援装置により行われてもよい。外部の診断支援装置において、手技対象領域A1の領域抽出が実行される場合、ステップS19において、X線CT装置1は、通信インターフェース45を介して、外部の診断支援装置に医用画像を送信することにより、外部の診断支援装置に領域抽出を実行させ、領域抽出が実行された医用画像を取得するようにしてもよく、ステップS11において、手技対象領域A1の領域抽出が既に実行されている医用画像を取得してもよい。なお、ステップS11において手技対象領域A1の領域抽出が既に実行されている医用画像を取得した場合、上述した実施形態に係る妥当性評価処理において、ステップS19は省略される。
【0082】
また、上述した一実施形態における妥当性評価処理において、X線CT装置1は、ステップS19で抽出された手技対象領域A1とともに、ステップS17で算出された断面を表示することとしたが、ステップS17で算出された断面を表示しなくてもよい。すなわち、X線CT装置1は、ステップS19において、手技対象領域A1を抽出した後、ステップS23において評価値E(θ)を算出し、ステップS25において、ユーザが医療デバイスD1の挿入位置の妥当性をユーザが確認するための情報を提示するようにしてもよい。この場合、上述した実施形態に係る妥当性評価処理において、ステップS21は省略される。
【0083】
また、上述した一実施形態における妥当性評価処理のステップS23において、被検体Pに挿入される医療デバイスD1がアブレーションデバイスである場合、妥当性評価算出機能448は、アブレーションデバイスの効果範囲に基づく評価指標に基づいて、評価値E(θ)を算出するようにしてもよい。例えば、被検体Pに挿入される医療デバイスD1が冷却式アブレーションデバイスである場合、妥当性評価算出機能448は、冷却式アブレーションデバイスの効果範囲に基づく評価指標として、冷却式アブレーションデバイスの効果範囲に手技対象領域A1が含まれているか否かを評価する評価指標に基づいて、冷却式アブレーションデバイスの冷却効果の範囲に含まれない手技対象領域A1の面積を手技対象領域A1の面積で除するようにして、評価値E(θ)を算出するようにしてもよく、冷却式アブレーションデバイスの効果範囲に基づく評価指標として、冷却式アブレーションデバイスの効果範囲に含んではいけない領域が含まれているか否かを評価する評価指標に基づいて、冷却を避けるべき領域から冷却式アブレーションデバイスの効果範囲までの距離を求めるようにして、評価値E(θ)を算出するようにしてもよい。
【0084】
この冷却式アブレーションデバイスの効果範囲に基づく評価指標に基づいて評価値を算出する場合においては、X線CT装置1は、妥当性評価処理のステップS13において、診療情報として、冷却式アブレーションデバイスの効果範囲に関する情報を取得する。図13は、本実施形態における、冷却式アブレーションデバイスの効果範囲に関する情報の一例を示す図である。図13に示すように、冷却式アブレーションデバイスの効果範囲に関する情報として、冷却式アブレーションデバイスの効果範囲の面積や冷却式アブレーションデバイスの中心軸からの効果範囲の距離などの情報を取得する。なお、図13に示すように、冷却式アブレーションデバイスの効果範囲は、温度毎に変化しているため、温度毎の冷却式アブレーションデバイスの効果範囲に関する情報を取得するようにしてもよい。この情報を取得することにより、X線CT装置1は、妥当性評価処理のステップS23において、冷却式アブレーションデバイスの温度毎に複数の評価値E(θ)を算出して、ステップS25において、図14に示す冷却式アブレーションデバイスの温度毎の回転角度に対する評価値E(θ)のグラフを提示するようにしてもよい。これにより、ユーザは、挿入した医療デバイスD1が効果的に運用されているか否か、又は、無駄な医療デバイスD1の挿入になっているか否かを容易に確認することができる。
【0085】
なお、X線CT装置1は、ステップS13において、診療情報として、冷却式アブレーションデバイスのアブレーション時間毎や出力毎の冷却式アブレーションデバイスの効果範囲に関する情報を取得するようにしてもよい。このアブレーション時間毎や出力毎の冷却式アブレーションデバイスの効果範囲に関する情報を取得した場合、X線CT装置1は、妥当性評価処理のステップS23において、冷却式アブレーションデバイスのアブレーション時間毎や出力毎に複数の評価値E(θ)を算出して、ステップS25において、冷却式アブレーションデバイスのアブレーション時間毎や出力毎の回転角度に対する評価値のグラフを提示するようにしてもよい。また、冷却式アブレーションデバイスである場合を例に説明したが、焼灼式アブレーションデバイスにおいても同様である。
【0086】
また、上述した一実施形態における妥当性評価処理のステップS25において、評価値情報提示機能449は、手技対象領域A1における医療デバイスD1の挿入位置の妥当性をユーザが確認するための情報として、ディスプレイに表示される断面に、表示された断面の手技対象領域A1における医療デバイスD1の挿入位置の妥当性に関する評価値E(θ)を提示するようにしてもよい。
【0087】
また、上述した一実施形態における妥当性評価処理のステップS25において、評価値情報提示機能449は、手技対象領域A1における医療デバイスD1の挿入位置の妥当性をユーザが確認するための情報として、回転角度毎の断面の評価値E(θ)を示すグラフをディスプレイに提示するようにしてもよい。図15は、本実施形態に係るX線CT装置1において、ディスプレイに提示される情報の一例を示す図である。図15に示す例においては、回転角度1°毎に断面が算出され、各断面のそれぞれの評価値E(θ)が算出されている。この図15に示す例においては、回転角度100°近傍の断面の評価値E(θ)が高いことから回転角度100°近傍の断面における医療デバイスD1の挿入位置の妥当性が低いことを示している。
【0088】
また、上述した一実施形態における妥当性評価処理のステップS23において、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性をユーザが確認するための情報として、回転角度毎の評価値E(θ)のグラフを提示する場合、回転角度毎の評価値E(θ)のグラフにおいて、評価値の値が所定の閾値範囲内にある回転角度を強調するようにしてもよい。図16は、本実施形態に係るX線CT装置1において、ディスプレイに提示される情報の別の例を示す図である。図16に示す例において、評価値情報提示部は、評価値E(θ)が0.3以上の範囲を強調するようにして、回転角度毎の評価値E(θ)のグラフを提示している。
【0089】
また、上述した一実施形態における妥当性評価処理のステップS23において、断面と回転角度毎の評価値のグラフを関連付けて提示するようにしてもよい。図17は、本実施形態に係るX線CT装置1において、ディスプレイに提示される情報の一例を示す図である。図17に示す例において、ディスプレイには、断面と、回転角度毎の評価値E(θ)のグラフと、表示する断面に対応する評価値E(θ)を指定するための第1スライドバーSB1と、最も妥当性が低い断面の位置を明示する第2スライドバーSB2とが表示されている。ユーザは、上下方向に延在するスライダー上において、入力インターフェース43を介して、第1スライドバーSB1を操作する。ユーザは、この第1スライドバーSB1を移動させることにより、第1スライドバーの位置に対応する評価値E(θ)を指定して、指令された評価値に対応する回転角度θの断面を表示させるように、ディスプレイに表示する断面を切り替えることができる。そして、ユーザは、入力インターフェース43を介して、第1スライドバーSB1を第2スライドバーSB2に重畳させることにより、最も妥当性の低い断面をディスプレイに提示することができる。なお、この図17に示す例において、X線CT装置1は、ディスプレイに表示する断面に、当該断面の評価値E(θ)を表示するようにしてもよい。
【0090】
さらに、上述した一実施形態における妥当性評価処理においては、医療デバイスD1をユーザに挿入する前の挿入計画を行う段階で、ユーザが開始を指示してもよい。この場合、X線CT装置1は、ステップS11において被検体PのボリュームデータVDを取得し、取得したボリュームデータVDに対してユーザが医療デバイスD1を設定することにより、医療デバイスD1の挿入位置を設定するようにしてもよい。また、挿入計画を行う段階において、妥当性評価処理を開始した場合、ステップS21における断面の表示やステップS25におけるユーザが医療デバイスD1の挿入位置の妥当性を確認するための情報は、コンソール装置40のディスプレイ42に提示されるようにしてもよい。
【0091】
〔変形例1〕
上述した一実施形態においては、挿入計画を行う際に、医療デバイスD1の挿入位置についてシミュレートする場合に、妥当性評価処理において設定した医療デバイスD1の挿入位置を変更した際の評価値の変化をシミュレートすることも可能である。このため、変形例1に係るX線CT装置は、医療デバイスD1の挿入位置の変更を受け付けて、変更後の医療デバイスD1の挿入位置の妥当性を再度評価する。
【0092】
図18は、変形例1に係るX線CT装置1において実行される妥当性再評価処理の内容を説明するフローチャート図である。本変形例に係る妥当性再評価処理では、医療デバイスD1の挿入位置の変更を受け付けて、医療デバイスD1の挿入位置を再設定したり、断面を再算出したり、再算出された断面における医療デバイスの挿入位置の妥当性に関する評価値を再算出したり、情報を再提示したりする。例えば、この妥当性再評価処理は、医療デバイスD1の挿入位置についてシミュレートする際に、医療デバイスD1の挿入位置の変更を受け付けることにより実行される処理である。
【0093】
図18に示すように、まず、X線CT装置1は、医療デバイスD1の挿入位置の変更を受け付けたか否かを判定する(ステップS31)。この医療デバイスD1の挿入値の変更を受け付けたか否かを判定する処理は、処理回路44における挿入位置設定機能445により実現される。具体的には、X線CT装置1は、入力インターフェース43を介して、ユーザからの医療デバイスD1の挿入位置の変更に関する入力操作を受け付けたか否かを判定する。そして、X線CT装置1は、ユーザからの医療デバイスD1の挿入位置の変更に関する入力操作を受け付けていない場合(ステップS31:No)、ユーザからの医療デバイスD1の挿入位置の変更に関する入力操作を受け付けるまで待機する。
【0094】
一方、ステップS31において、医療デバイスD1の挿入位置の変更を受け付けた場合(ステップS31:Yes)、X線CT装置1は、医療デバイスD1の挿入位置を再設定する(ステップS33)。この医療デバイスD1の挿入位置を再設定する処理は、処理回路44における挿入位置設定機能445により実現される。具体的には、X線CT装置1は、ステップS31においてユーザから受け付けた医療デバイスD1の挿入位置の変更に関する入力操作に基づいて、医療デバイスD1の挿入位置を再設定する。
【0095】
図19は、本変形例に係るX線CT装置1において、医療デバイスD1の挿入位置を再設定した場合の変更前及び変更後の医療デバイスD1の挿入位置を示す図である。図19に示す例においては、変更前の医療デバイスD1aの挿入位置は点線で示され、変更後の医療デバイスD1bの挿入位置は実線で示されている。
【0096】
次に、図18に示すように、X線CT装置1は、断面情報を取得する(ステップS35)。この断面情報を取得する処理は、処理回路44における取得機能444により実現される。具体的には、X線CT装置1は、断面情報として、医療デバイスD1の挿入位置の変更を受け付けた断面の回転角度と、変更前の医療デバイスD1aにおける回転角度に関する情報とを取得する。より具体的には、本変形例に係る取得機能444は、例えば、医療デバイスD1の挿入位置の変更を受け付けた断面の回転角度として、100°と、変更前の医療デバイスD1aにおける回転角度に関する情報として、回転角度の範囲0°~179°と、所定の回転角度1°とを取得する。なお、既に、診療情報及び変更前の医療デバイスD1aにおける回転角度に関する情報を取得している場合には、X線CT装置1は、ステップS35において、医療デバイスD1の挿入位置の変更を受け付けた断面の回転角度のみを取得するようにしてもよい。
【0097】
次に、図18に示すように、X線CT装置1は、断面を再算出する(ステップS37)。この断面を再算出する処理は、処理回路44における回転断面算出機能446により実現される。具体的には、X線CT装置1は、ステップS35で取得した断面情報に基づいて、ステップS33で挿入位置が再設定された変更後の医療デバイスD1bの中心軸を回転軸として、断面を再算出する。より具体的には、本変形例に係る回転断面算出機能446は、変更後の医療デバイスD1bの中心軸を回転軸とし、医療デバイスD1の挿入位置の変更を受け付けた断面の回転角度を100°として、回転角度の範囲0°~179°において、回転角度1°毎に断面を再算出して、断面を再度求める。
【0098】
なお、医療デバイスD1の挿入位置の変更を受け付けた断面においては、変更前の医療デバイスD1aと、変更後の医療デバイスのD1bは同一断面上に存在するが、その他の回転角度における断面においては、変更前の医療デバイスD1aと、変更後の医療デバイスのD1bは同一断面上に存在するとは限らない。つまり、医療デバイスD1の挿入位置の変更を受け付けた断面以外の断面においては、回転角度が同一であっても、断面を算出する際の回転軸が異なるため、同一断面になるとは限られない。
【0099】
次に、図18に示すように、X線CT装置1は、手技対象領域A1を再抽出する(ステップS39)。この手技対象領域を抽出する処理は、処理回路44における領域抽出機能447により実現される。具体的には、X線CT装置1は、ステップS37で再算出された断面において、領域抽出アルゴリズムを用いて、抽出されていた手技対象領域A1と同様の手技対象領域A1を再抽出する。
【0100】
次に、図18に示すように、X線CT装置1は、断面を再表示する(ステップS41)。この断面を再表示する処理は、処理回路44における評価値情報提示機能449により実現される。具体的には、X線CT装置1は、ステップS39において再抽出した手技対象領域A1とともに、ステップS37において再算出された断面をコンソール装置40のディスプレイ42に表示する。なお、X線CT装置1は、断面を再表示しなくてもよい。この場合、ステップS41は省略される。
【0101】
次に、図18に示すように、X線CT装置1は、評価値を再算出する(ステップS43)。この評価値を再算出する処理は、処理回路44における妥当性評価算出機能448により実現される。具体的には、X線CT装置1は、ステップS37で再算出された断面において、変更前の医療デバイスD1において算出されていた評価値E(θ)における評価指標と同様の医療デバイスD1の挿入位置の妥当性に関する評価指標に基づいて、変更後の医療デバイスD1bの挿入位置の妥当性に関する評価値E(θ)を再算出する。
【0102】
次に、図18に示すように、X線CT装置1は、変更後の医療デバイスD1bの挿入位置の妥当性をユーザが確認するための情報を再提示する(ステップS45)。この情報を再提示する処理は、処理回路44における評価値情報提示機能449により実現される。具体的には、X線CT装置1は、ステップS41に基づいて、算出された評価値に基づいて、変更後の医療デバイスD1bの挿入位置の妥当性をユーザが確認するための情報をコンソール装置40のディスプレイ42に提示する。
【0103】
図20は、本変形例に係るX線CT装置1において、コンソール装置40のディスプレイ42に提示される情報の一例を示す図である。図20に示す例においては、変更後の医療デバイスD1bの挿入位置の妥当性をユーザが確認するための情報として、回転角度を横軸、評価値E(θ)を縦軸とする変更後の医療デバイスD1bにおける回転角度に対する評価値のグラフが実線で示されている。また、変更後の医療デバイスD1bの評価値と変更前の医療デバイスD1aの評価値E(θ)を比較するため、変更前の医療デバイスD1aにおける回転角度に対する評価値E(θ)のグラフが点線で示されている。図20が示すように、図20に示すグラフにおいては、変更前の医療デバイスD1aの挿入位置における回転角度100°の評価値よりも変更後の医療デバイスD1aの挿入位置における回転角度100°の評価値が低くなっているため、変更後の医療デバイスD1bの挿入位置の妥当性が高いことを示している。
【0104】
このステップS45における情報の再提示により、本変形例に係る妥当性再評価処理を終了する。
【0105】
以上のように、本変形例に係るX線CT装置1においては、医療デバイスD1の挿入位置について、シミュレートを行う場合に、妥当性評価処理において設定した医療デバイスD1の挿入位置を変更した際の評価値E(θ)を再提示することとしたので、ユーザは、変更後の医療デバイスD1bの挿入位置の妥当性を確認することができる。そのため、ユーザは、手技対象領域A1に対して、変更後の医療デバイスD1bの配置がより適切な位置であるか否かを容易に確認することができる。
【0106】
〔変形例2〕
上述した一実施形態においては、複数の医療デバイスを被検体Pに挿入する場合に、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性に関する評価値に基づいて、医療デバイスD1の挿入位置として妥当性が低い断面を、次の医療デバイスを挿入する際にユーザに参照させる断面として提示することも可能である。このようなX線CT装置1を、変形例2として説明する。
【0107】
図21は、本変形例に係るX線CT装置1で実行される妥当性評価処理の内容を説明するフローチャート図であり、上述した一実施形態における図4に対応する図である。この図21に示すように、本変形例に係る妥当性評価処理は、ステップS25における情報の提示までは、上述した一実施形態と同様の処理である。
【0108】
このステップS25の後、X線CT装置1は、次の医療デバイスの挿入があるか否かを判定する(ステップS51)。この次の医療デバイスの挿入があるか否かを判定する処理は、処理回路44における評価値情報提示機能449により実現される。具体的には、X線CT装置1は、ステップS13で取得した診療情報に基づいて、次の医療デバイスの挿入があるか否かを判定する。より具体的には、評価値情報提示機能449は、例えば、診療情報の手技に関する情報における使用する医療デバイスの本数と、ステップS15において挿入位置が設定された医療デバイスの本数を比較して、次の医療デバイスの挿入があるか否かを判定する。そして、次の医療デバイスの挿入がない場合(ステップS51:No)には、本変形例に係る妥当性評価処理を終了する。
【0109】
一方、次の医療デバイスの挿入がある場合(ステップS51:Yes)、X線CT装置1は、参照断面を表示する(ステップS53)。この断面を表示する処理は、処理回路44における評価値情報提示機能449により実現される。具体的には、X線CT装置1は、ステップS23で算出した評価値E(θ)に基づいて、ディスプレイに参照断面を表示する。より具体的には、評価値情報提示機能449は、例えば、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性に関する評価値E(θ)に基づいて、医療デバイスD1の挿入位置として妥当性が低い断面を、次の医療デバイスを挿入する際に参照断面として提示する。
【0110】
このステップS53における情報の提示により、本実施形態に係る妥当性評価処理を終了する。
【0111】
以上のように、本変形例に係るX線CT装置1は、複数の医療デバイスを挿入する場合において、次の医療デバイスを挿入する場合に、医療デバイスの挿入位置の妥当性が低い断面を参照断面として表示することとしたので、ユーザに、次の医療デバイスを挿入する際に手技対象領域A1において、妥当性が高くなるような位置に医療デバイスを挿入させるようにすることできる。
【0112】
〔変形例3〕
上述した一実施形態において、X線CT装置1は、医用画像において、複数の医療デバイスの挿入位置が設定されている場合に、1の医療デバイスの評価値を、他の医療デバイスの評価値に基づいて補正して、1の医療デバイスの評価値E(θ)を算出するようにしてもよい。このようなX線CT装置1を、変形例3として、上述した一実施形態と異なる部分を説明する。
【0113】
本変形例に係るX線CT装置1の構成や、このX線CT装置1で実行される妥当性評価処理の概略的な流れは、上述した一実施形態と同等である。ただし、図4で示した妥当性評価処理のステップS15において、複数の医療デバイスの挿入位置が設定されている場合、ステップS17、ステップS19、及びステップS23の処理が上述した一実施形態とは異なる。
【0114】
ステップS15において複数の医療デバイスの挿入位置が設定されている場合、ステップS17において、処理回路44における回転断面算出機能446は、複数の医療デバイスそれぞれの中心軸を回転軸として、複数の医療デバイス毎に断面を算出する。
【0115】
次に、ステップS19において、処理回路44における領域抽出機能447は、ステップS17で算出された複数の医療デバイス毎の各断面において、診療情報に基づいて、手技対象領域A1を抽出する。そして、ステップS21の処理が実行された後、ステップS23において、処理回路44における妥当性評価算出機能448は、ステップS17で算出された複数の医療デバイス毎の各断面において、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性に関する評価値E(θ)を算出する。このとき、処理回路44における妥当性評価算出機能448は、複数の断面のうち1の断面における1の医療デバイスの評価値E(θ)を算出するにあたり、1の断面のおける他の医療デバイスの評価値E(θ)に基づいて1の医療デバイスの評価値を補正する。具体的には、処理回路44における妥当性評価算出機能448は、評価値E(θ)が小さいほど妥当性が高いとする場合、補正後の1の断面における1の医療デバイスの評価値E(θ)=min(1の断面における1の医療デバイス単体の評価値,1の断面における他の医療デバイスの評価値)を満たすように算出する。より具体的には、処理回路44における妥当性評価算出機能448は、医療デバイスD1が焼灼式アブレーションデバイスの場合、1の断面における1の焼灼式アブレーションデバイス単体では、手技対象領域A1の一部が焼灼効果の範囲から外れているため評価値は高くなるが、この断面における他の焼灼式アブレーションデバイスの焼灼効果の範囲に含まれ、この断面における手技対象領域A1の全てが焼灼範囲に含まれるため、1の断面における焼灼式アブレーションデバイスの評価値は低くするように補正してもよい。
【0116】
以上のように、本変形例に係るX線CT装置1によれば、複数の医療デバイスの挿入位置が設定されている場合、1の医療デバイスの評価値を、他の医療デバイスの評価値に基づいて補正して、1の医療デバイスの評価値E(θ)を算出することとしたので、ユーザは、手技対象領域A1における医療デバイスの挿入位置の妥当性を確認しつつ、医療デバイスの挿入位置の妥当性をより正確に評価することができる。
【0117】
〔変形例4〕
上述した一実施形態に係るX線CT装置1によれば、医用画像において、複数の医療デバイスの挿入位置が設定されている場合に、各医療デバイスの回転角度毎に評価値を算出し、各医療デバイスそれぞれの回転角度に対する評価値E(θ)のグラフをディスプレイに表示するようにしてもよい。
【0118】
本変形例に係るX線CT装置1の構成や、このX線CT装置1で実行される妥当性評価処理の概略的な流れは、上述した一実施形態と同等である。ただし、図4で示した妥当性評価処理において、ステップS15において、複数の医療デバイスの挿入位置が設定されている場合、ステップS17、ステップS19、ステップS23、及び、ステップS25の処理が上述した一実施形態とは異なる。
【0119】
図22は、本変形例に係るX線CT装置において、医療デバイスの挿入位置の設定の一例を示す図であり、上述した一実施形態に係る図6に対応する図である。図22に示すように、本実施形態においては、被検体Pに2本の医療デバイスD1、D2が挿入され、X線CT装置1は、医用画像から2本の医療デバイスD1、D2の挿入位置を抽出して、2本の医療デバイスD1、D2の領域を強調表示している。
【0120】
そして、ステップS15において、複数の医療デバイスの挿入位置が設定されている場合、ステップS17において、処理回路44に回転断面算出機能446は、複数の医療デバイスそれぞれの中心軸を回転軸として、複数の医療デバイス毎に断面を算出する。具体的には、図22に示す例において、X線CT装置1と2本の医療デバイスD1、D2のそれぞれの中心軸を回転軸として、2本の医療デバイスD1、D2毎に断面を算出する。なお、図22に示す例においては、同一断面上に2本の医療デバイスD1、D2があるが、2本の医療デバイスD1、D2の断面の回転角度が同じであっても、同じ断面が表示されるとは限られない。例えば、医療デバイスD1の回転角度20°のときの断面と医療デバイスD2の回転角度20°のときの断面は一致しなくてもよい。
【0121】
次に、ステップS19において、処理回路44における領域抽出機能447は、ステップS17で算出された複数の医療デバイス毎の各断面において、診療情報に基づいて、手技対象領域A1を抽出する。そして、ステップS21の処理の後、ステップS23において、処理回路44における妥当性評価算出機能448は、ステップS17で算出された複数の医療デバイス毎の各断面において、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性に関する評価値を算出する。
【0122】
ステップS25において、処理回路44における評価値情報提示機能449は、2本の医療デバイスD1、D2それぞれの挿入位置の妥当性をユーザが確認するための情報として、2本の医療デバイスD1、D2それぞれの回転角度毎の評価値E(θ)のグラフをディスプレイに提示するようにしてもよい。
【0123】
図23は、本変形例に係るX線CT装置1において、ディスプレイに提示される情報の一例を示す図であり、上述した一実施形態の図15に対応する図である。図21に示すように、本変形例に係るX線CT装置1は、実線で示される医療デバイスD1の回転角度毎の評価値のグラフと、点線で示される医療デバイスD2の回転角度毎の評価値のグラフとをディスプレイに表示している。
【0124】
以上のように、本変形例に係るX線CT装置1によれば、複数の医療デバイスの挿入位置が設定されている場合に、複数の医療デバイス毎に回転角度毎の評価値を算出し、複数の医療デバイス毎に回転角度に対する評価値のグラフをディスプレイに表示することとしたので、ユーザは、手技対象領域A1における医療デバイスの挿入位置の妥当性を容易に確認しつつ、医療デバイスの挿入位置の妥当性をより正確に評価することができる。
【0125】
上述した変形例4に係るX線CT装置1によれば、ユーザが入力インターフェース43を介して、ディスプレイに表示された複数の医療デバイスのグラフのいずれかを選択する入力操作を受け付けた場合、X線CT装置1は、グラフと共に、選択されたグラフにおいて、最も妥当性が低い断面をディスプレイに表示するようにしてもよい。具体的には、図23に示す例において、X線CT装置1は、入力インターフェース43を介して、ユーザからの医療デバイスD1のグラフを選択する入力操作を受け付けた場合、医療デバイスD1の挿入位置の評価値が最も高い、すなわち医療デバイスD1の妥当性が最も低い、回転角度100°近傍の断面をディスプレイに表示するようにしてもよい。
【0126】
〔変形例5〕
上述した一実施形態に係るX線CT装置1によれば、複数の医療デバイスとして、複数の冷却式アブレーションデバイスまたは複数の焼灼式アブレーションデバイスが被検体Pに挿入されている場合に、複数の冷却式アブレーションデバイスまたは複数の焼灼式アブレーションデバイスのそれぞれの効果範囲を合わせた範囲に基づいて、回転軸を決定するようにしてもよい。以下の説明では、複数の医療デバイスとして、複数の冷却式アブレーションデバイスが被検体Pに挿入されている場合を例に説明する。
【0127】
本変形例に係るX線CT装置1の構成や、このX線CT装置1で実行される妥当性評価処理の概略的な流れは、上述した一実施形態と同等である。ただし、図4で示した妥当性評価処理において、ステップS15において、複数の医療デバイスとして、複数の冷却式アブレーションデバイスの挿入位置が設定されている場合、ステップS17の処理が上述した一実施形態とは異なる。
【0128】
ステップS15において複数の冷却式アブレーションデバイスの挿入位置が設定されている場合、ステップS17において、処理回路44における回転断面算出機能446は、複数の冷却式アブレーションデバイスの効果範囲を合わせた範囲に基づいて、複数の冷却式アブレーションデバイスの挿入位置の中心を通る中心軸を回転軸として、断面を算出する。
【0129】
図24は、本変形例に係るX線CT装置1において、複数の冷却式アブレーションデバイスの効果範囲を合わせた範囲を示す図である。図24(a)は3本の冷却式アブレーションデバイスの効果範囲を合わせた範囲を示す図であり、図24(b)は4本の冷却式アブレーションデバイスの効果範囲を合わせた範囲を示す図である。図24(a)においては、X線CT装置1は、複数の冷却式アブレーションデバイスの挿入位置の中心として、3本の冷却式アブレーションデバイスの効果範囲の中心である点P1を通る中心軸を回転軸として、断面を算出する。また同様に、図24(b)において、X線CT装置1は、複数の冷却式アブレーションデバイスの挿入位置の中心として、4本の冷却式アブレーションデバイスの効果範囲の中心である点P2を通る中心軸を回転軸として、断面を算出する。すなわち、本変形例においては、複数の冷却式アブレーションデバイスが挿入されている場合であっても、複数の医療デバイスのそれぞれの中心軸を回転軸として、複数の医療デバイスの断面を算出することなく、複数の医療デバイスの効果範囲に基づいて、複数の医療デバイスを1本の医療デバイスと見做して、断面を算出するようにしてもよい。
【0130】
以上のように、本変形例に係るX線CT装置1によれば、複数の医療デバイス毎に断面を算出することなく、複数の医療デバイスの効果範囲に基づいて、複数の医療デバイスを1本の医療デバイスと見做して、断面を算出するようにしたので、複数の医療デバイス毎の評価値を確認する必要がなくなり、ユーザの利便性が向上するとともに、X線CT装置1は、複数の医療デバイス毎の評価値を算出する必要がなくなるため、X線CT装置1の処理負担を軽減することができる。
【0131】
〔変形例6〕
上述した一実施形態に係るX線CT装置1は、ユーザが被検体Pの近傍で手技を行いながら、医用画像等を確認する場合に、透視卓35に代えて、天吊り式のディスプレイに医用画像を表示するようにしてもよい。図25は、本変形例に係るX線CT装置1の外観を示す図であり、上述した一実施形態における図1に対応する図である。図25に示す例においては、X線CT装置1は、透視卓35に代えて天井に取り付けられた天吊り式ディスプレイ50を備えている。
【0132】
〔その他の変形例〕
また、上述した一実施形態に係るX線CT装置1には、X線管と検出器とが一体として、被検体の周囲を回転するRotate/Rotate-Type(第3世代CT)、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管のみが被検体の周囲を回転する、Stationary/Rotate-Type(第4世代CT)等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも実施形態へ適用可能である。
【0133】
また、上述した一実施形態に係るX線CT装置1においては、複数の評価指標のそれぞれを用いて、複数の評価指標のそれぞれに基づく複数の評価値を算出して、複数の評価値のそれぞれに基づいて、医療デバイスD1の挿入位置の妥当性をユーザが確認するための情報をディスプレイに提示するようにしてもよい。
【0134】
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、メモリ41に保存されたプログラムを読み出して実行することにより機能を実現する。なお、メモリ41にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成して構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、プロセッサは、プロセッサ単一の回路として構成されている場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて、1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図2における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合して、その機能を実現するようにしてもよい。
【0135】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置及び方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置及び方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲及びこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0136】
1…X線CT装置、10…架台装置、11…X線管、12…X線検出器、13…回転フレーム、14…X線高電圧装置、15…制御装置、16…ウェッジ、17…コリメータ、18…DAS、30…寝台装置、31…基台、32…寝台駆動装置、33…天板、34…支持フレーム、35…透視卓、40…コンソール装置、41…メモリ、42…ディスプレイ、43…入力インターフェース、44…処理回路、45…通信インターフェース、50…天吊り式ディスプレイ、351…ディスプレイ、352…操作インターフェース
図1
図2
図3
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