(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147466
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】腹臥位保持装置、及びそれに利用する搬送用台車
(51)【国際特許分類】
A61G 13/08 20060101AFI20241008BHJP
A61G 13/12 20060101ALI20241008BHJP
A61G 7/015 20060101ALI20241008BHJP
A61G 7/005 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
A61G13/08
A61G13/12 A
A61G7/015
A61G7/005
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060503
(22)【出願日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】514016348
【氏名又は名称】風の郷工房有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129159
【弁理士】
【氏名又は名称】黒沼 吉行
(72)【発明者】
【氏名】菅原 史生
【テーマコード(参考)】
4C040
4C341
【Fターム(参考)】
4C040AA21
4C040DD05
4C341MN02
4C341MN16
4C341MP05
(57)【要約】
【課題】 様々な腹臥位姿勢に対応するよう容易に変形することができ、姿勢の微調整がし易く、その姿勢を安定して維持したり、再現したりするための介護負担を軽減し、児童の成長に伴う身体サイズの変化にも即座に対応できる腹臥位保持装置、及びそれに利用する搬送用台車を提供する。
【解決手段】 腹臥位人体の胸部乃至腹部を保持可能な長さ及び幅に設定された胴フレーム3と、腕を保持可能な長さ及び幅に設定された腕フレーム4と、大腿を保持可能な長さ及び幅に設定された大腿フレーム5と、下腿を保持可能な長さ及び幅に設定された下腿フレーム7と、当該胴フレーム3と腕フレーム4との側骨格間、及び、胴フレーム3と大腿フレーム5との側骨格間の夫々に設けられた角度調節機構8と、を有した骨格本体2、及び、クッション装具9を備えてなる腹臥位保持装置1。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の側骨格、及び、該一対の側骨格間に横架された交叉骨格からなり、腹臥位人体の胸部乃至腹部を保持可能な長さ及び幅に設定された胴フレームと、
左右一対の側骨格、及び、該一対の側骨格間に横架された交叉骨格からなり、人体の腕を保持可能な長さ及び幅に設定された腕フレームと、
左右一対の側骨格、及び、該一対の側骨格間に横架された交叉骨格からなり、人体の大腿を保持可能な長さ及び幅に設定された大腿フレームと、
当該胴フレームと腕フレームとの側骨格間、及び、胴フレームと大腿フレームとの側骨格間の夫々に設けられた角度調節機構と、
を有した骨格本体、
及び、
該骨格本体に外装されたクッション装具
を備え、
各角度調節機構は、側骨格間に一対の連結部が連結され、同一対の連結部の水平方向に合わせられた先端間に水平支軸が貫通され、各水平支軸にクイックリリース緊締機構が設けられてなることを特徴とする腹臥位保持装置。
【請求項2】
更に左右一対の側骨格、及び、該一対の側骨格間に横架された交叉骨格からなり、人体の下腿を保持可能な長さ及び幅に設定された下腿フレームを備え、
前記胴フレームに対し、目、鼻、口、首に相当する範囲が開口された顔フレームが着脱機構を介して組み込まれ、
前記クッション装具は、前記胴フレームに対し、腹臥位人体の首部分に対応する首部パッド、及び/又は、腹部分に対応する腹部パッドが着脱自在に設けられてなる、請求項1記載の腹臥位保持装置。
【請求項3】
更に左右一対の側骨格、及び、該一対の側骨格間に横架された交叉骨格からなり、人体の下腿を保持可能な長さ及び幅に設定された下腿フレームを備え、
前記大腿フレームと前記下腿フレームとの間に、腹臥位人体の膝に相当する長さの側骨格からなる膝フレームが配され、
該大腿フレームと膝フレームとの側骨格間、及び、該膝フレームと下腿フレームとの側骨格間に前記角度調節機構が設けられた、請求項1記載の腹臥位保持装置。
【請求項4】
前記腕フレームに対し、着脱機構を介して腕部脚が接続され、
該腕フレームに対し、該着脱機構を介して該腕部脚と互換可能なキャスター付きの腕部脚が装備された、
請求項1記載の腹臥位保持装置。
【請求項5】
車輪を有する車台と、
該車台に設けられ、前記骨格本体を仮固定するマウント機構と、
を備えた、請求項1ないし請求項4何れか記載の腹臥位保持装置の搬送用台車。
【請求項6】
車輪を有する車台と、
該車台に設けられた少なくとも左右の平行レールと、
該左右の平行レール間に前後進退自在且つ仮固定可能な制動機構を備えて横架された、前後少なくとも2個のスライダーと、
各スライダーに設けられ、前記骨格本体を各スライダーに仮固定するマウント機構と、
を備えた、請求項1ないし請求項4何れか記載の腹臥位保持装置の搬送用台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上肢屈曲下肢屈曲、上肢伸展下肢伸展、膝立位などの様々な腹臥位姿勢を保持する腹臥位保持装置、及びそれを搭載して搬送する搬送用台車に関する。
【背景技術】
【0002】
重度運動障害児童は、排痰のため1日に数回、腹臥位姿勢をとる必要があり、従来は、ポジショニング用の補助具として、各児童の身体に合わせて寸法、形状が設定されたウレタン製のクッションを使用して身体を支えていた。この場合、成長に合わせてクッションを作り直す必要があった。
【0003】
こうした姿勢保持具として、例えば、特許文献1(特開平7-246134号公報)に示されたクッションは、張り布によって取り囲まれた発泡材料からなる2つのくさび部と、各くさび部に固定された敷きマットとを有し、該マットが部分的重なり状態のとき体重によって両くさび部を互いに離間させて固定する。敷きマットはシーツの形で、くさび部の下稜から上に間隔を置いてくさび部に固定されており、かつ身体に当接する固定応力を高めるための傾斜状及び/又は円弧状マット帯を有した、成人及び幼児(乳児)の仰臥位、腹臥位及び側臥位を安定させるための支えクッションが知られている。
【0004】
また、特許文献2(特許第5968246号明細書)には、枕部と、マットレス部と、腹臥位姿勢にある使用者の胸部を支持するように前記マットレス部上に載置される胸部補助具とを備える腹臥位用敷き寝具セットであって、前記枕部は、平面で見て前記使用者の額を支持可能な額部と、頬を支持可能な頬部と、両目を受け入れ可能な眼球溝と、鼻及び口を受け入れ可能な台形形状の鼻口溝とを備えており、前記眼球溝と前記鼻口溝とは、前記枕部を厚さ方向に貫通する単一の呼気拡散部を形成するように互いに連通しており、前記鼻口溝は、前記使用者の顎側で開放されており、前記枕部における、平面で見て前記眼球溝の下方に、前記使用者の上顎骨を支持することのできる上顎骨部が形成されており、前記上顎骨部は、前記台形形状の鼻口溝の内側に向けて膨出する膨出部を形成しており、前記マットレス部は、前記使用者の胸部及び腰部にそれぞれ対応する、胸部マットレス部及び腰部マットレス部を備えており、前記腰部マットレス部は、200mm~300mmの長さを有しており、前記胸部マットレス部は、前記腰部マットレス部よりも小さい幅を有している、腹臥位用敷き寝具セットが示されている。
【0005】
また、特許文献3(特開2019-98102号公報)に示された腹臥位用寝具セットは、使用者の眼球、鼻、口の各部に対向する穴部が形成された枕と、使用者の肩と胸と腹を支持するための上半身支持部と、使用者の腰を支持するための腰支持部と、使用者の足を所定の高さに支持するための足置き部とを備えている。上半身支持部は、使用者の肩の周囲を支持するための肩周囲支持クッションエリアと、該肩周囲支持クッションエリアよりも高く形成された使用者の腹の周囲を支持するための腹周囲支持クッションエリアと、該腹周囲支持クッションエリアと肩周囲支持クッションエリアとの間に使用者の胸の部分に位置して形成された凹部とで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7-246134号公報
【特許文献2】特許第5968246号明細書
【特許文献3】特開2019-98102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、姿勢保持具は、介護の過程で腹臥位姿勢を上肢屈曲下肢屈曲、上肢伸展下肢伸展、膝立位など多様に変える必要があるが、前述の如く製造の段階で各部寸法が固定されてしまうクッション製の姿勢保持具は、姿勢毎にクッションの配置や組み合わせを変える必要があり、姿勢の微調整が難しく、その姿勢を安定して維持したり、再現したりするための介護負担が大きい上、児童の成長に伴う身体サイズの変化に応じてその都度作り直す必要がある。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑み、様々な腹臥位姿勢に対応するよう容易に変形することができ、姿勢の微調整がし易く、その姿勢を安定して維持したり、再現したりするための介護負担を軽減し、児童の成長に伴う身体サイズの変化にも即座に対応できる腹臥位保持装置、及び、腹臥位人体を搭載した該腹臥位保持装置を移送できる搬送用台車を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(腹臥位保持装置)
本発明は、左右一対の側骨格、及び、該一対の側骨格間に横架された交叉骨格からなり、腹臥位人体の胸部乃至腹部を保持可能な長さ及び幅に設定された胴フレームと、左右一対の側骨格、及び、該一対の側骨格間に横架された交叉骨格からなり、人体の腕を保持可能な長さ及び幅に設定された腕フレームと、左右一対の側骨格、及び、該一対の側骨格間に横架された交叉骨格からなり、人体の大腿を保持可能な長さ及び幅に設定された大腿フレームと、当該胴フレームと腕フレームとの側骨格間、及び、胴フレームと大腿フレームとの側骨格間の夫々に設けられた角度調節機構と、を有した骨格本体、及び、該骨格本体に外装されたクッション装具を備え、各角度調節機構は、側骨格間に一対の連結部が連結され、同一対の連結部の水平方向に合わせられた先端間に水平支軸が貫通され、各水平支軸にクイックリリース緊締機構が設けられてなる腹臥位保持装置にかかるものである。また左右一対の側骨格、及び、該一対の側骨格間に横架された交叉骨格からなり、人体の下腿を保持可能な長さ及び幅に設定された下腿フレームを備えることができる。
【0010】
本発明は、前記胴フレームに対し、目、鼻、口、首に相当する範囲が開口された顔フレームが着脱機構を介して組み込まれ、前記クッション装具は、前記胴フレームに対し、腹臥位人体の首部分に対応する首部パッド、及び/又は、腹部分に対応する腹部パッドが着脱自在に設けられてなる、前記腹臥位保持装置にかかるものである。
【0011】
本発明は、前記大腿フレームと前記下腿フレームとの間に、腹臥位人体の膝に相当する長さの側骨格からなる膝フレームが配され、該大腿フレームと膝フレームとの側骨格間、及び、該膝フレームと下腿フレームとの側骨格間に前記角度調節機構が設けられた前記腹臥位保持装置にかかるものである。
【0012】
本発明は、前記腕フレームに対し、着脱機構を介して腕部脚が接続され、該腕フレームに対し、該着脱機構を介して該腕部脚と互換可能なキャスター付きの腕部脚が装備された、前記腹臥位保持装置にかかるものである。
【0013】
(腹臥位保持装置各部の作用)
該骨格本体によれば、以下のような作用が得られる。
例えば、クッション装具の装着の対象となり、顔フレーム及び/又は鞍フレームの取付け対象となり、人体を仰臥位に保持する。利用者の容態や希望などに応じて様々な腹臥位姿勢に対応した形状に変形する。仰臥位姿勢の利用者の首に対応する部分に、気管切開カニューレ用の空間や、排痰の手技を行う空間などを確保可能とし、また、胃瘻用や腸瘻用チューブ、人口肛門用のパウチなどとの干渉を回避する空間を確保可能とする。搬送用台車上に仮固定され搭載される。
【0014】
前記胴フレームによれば、以下のような作用が得られる。例えば、その前端がわが腕フレームの基端がわを支持し、後端がわが大腿フレームの基端がわを支持し、クッション装具の装着対象となる。腹臥位人体の胸部乃至腹部を利用者の容態や希望などに応じて様々な姿勢に保持する。顔フレームを着脱自在に支持する。鞍フレームが設けられたものの場合には、該鞍フレームを着脱自在に支持する。腹臥位人体の首部分に対応する位置に首部パッド、及び/又は、腹部分に対応する位置に腹部パッドを夫々着脱自在に支持する。
【0015】
腕フレームによれば、以下のような作用が得られる。例えば、腕フレームは、その基端がわが胴フレームの前端がわに対し、角度調節機構を介して連結され、利用者の容態や希望などに応じて姿勢が変えられ、腹臥位人体の左右の腕を保持する。該腕フレームは、上腕フレームのみからなるものとすることができる。該上腕フレームは、腹臥位人体の左右の上腕を支持する。クッション装具の装着対象となる。該腕フレームは、例えば、上腕フレームとそれに連結された前腕フレームとからなり、上腕フレームの先端に対し、該前腕フレームの基端を着脱自在に支持するものとなる。
【0016】
前腕フレームが設けられたものの場合には、該前腕フレームが腹臥位人体の左右の前腕を支持する。例えば、該前腕フレームは、クッション装具の装着対象となる。上腕フレームの先端がわとの間に角度調節機構を介して連結されたものは、該上腕フレームに対して支持角度の調節が可能となる。
【0017】
腕部脚によれば、以下のような作用が得られる。例えば、前記腹臥位保持装置の前方を支持する。前高調節機構が設けられたものは、該腹臥位保持装置の前方の高さを調節及び調節された高さに仮固定可能となる。また、前記腕フレームに対し、着脱機構を介して腕部脚が接続され、該腕フレームに対し、該着脱機構を介して該腕部脚と互換可能なキャスター付きの腕部脚が装備されたものは、腹臥位保持装置の腕部脚がキャスター付きのものに交換されると、該腹臥位保持装置の後端がわを介護者が把持し、当該キャスターのみが接地された状態に持ち上げて容易に移動することが可能となる。
【0018】
大腿フレームによれば、以下のような作用が得られる。例えば、その基端がわが胴フレームの後端がわに対し、角度調節機構を介して連結され、利用者の容態や希望などに応じて姿勢が変えられ、腹臥位人体の左右の大腿部を保持する。クッション装具の装着対象となる。着脱機構を介して大腿部脚が設けられたものの場合には、該大腿部脚が前記腹臥位保持装置の大腿フレームを支持する。該大腿部脚に中高調節機構が設けられたものは、該腹臥位保持装置の大腿フレームの高さを調節及び調節された高さに仮固定可能となる。
【0019】
膝フレームによれば、以下のような作用が得られる。例えば、大腿フレームと下腿フレームとの双方間に夫々角度調節機構を介して膝フレームが設けられたものは、腹臥位人体の左右の膝部に対応するフレーム部分が、側面視V字形に鋭角的に折曲されることが無くなり、L字状やU字状などに折曲されるものとなるから、利用者の左右の膝部にかかるストレスを軽減する。膝フレームは、腹臥位人体の下腿部を利用者の容態や希望などに応じて様々な姿勢に支持する。クッション装具の装着対象となる。
【0020】
下腿フレームによれば、以下のような作用が得られる。例えば、その基端がわが、胴フレームの後端がわに対し、大腿フレーム(膝フレーム)及び各角度調節機構を介して支持され、腹臥位人体の下腿部を利用者の容態や希望などに応じて様々な姿勢に支持する。クッション装具の装着対象となる。下腿部脚が設けられたものの場合には、当該腕部脚及び大腿部脚と共に、該下腿部脚が接地して下腿フレームを支持する。該下腿部脚に後高調節機構及び/又は角度調節機構が設けられたものの場合には、当該腕部脚及び大腿部脚の各高さに影響を受けて下腿フレームの姿勢や高さが変化された場合にも、該下腿部脚が接地するよう伸縮及び/又は回動調節された上、その接地姿勢に仮固定可能なものとなる。
【0021】
前記各フレームの夫々の左右一対の側骨格によれば、以下のような作用が得られる。例えば、各交叉骨格の左右両端を支持し、各フレームのラダー形状を維持しフレームの強度を確保する。角度調節機構を支持して前記骨格本体の姿勢を設定された状態に維持可能とする。各交叉骨格と共に腹臥位人体を下がわから保持するサポートベルトの両端を支持する。ベルトループの設置対象となる。
【0022】
前記長さ調節機構によれば、以下のような作用が得られる。例えば、前記各フレームの夫々の側骨格の長さを調節可能とし、調節された長さに仮固定可能とし、利用者の身体の各部の長さに合わせた長さ寸法に設定可能とする。
【0023】
前記各交叉骨格によれば、以下のような作用が得られる。例えば、各交叉骨格の左右端が左右の側骨格を支持し、各フレームの強度を確保する。角度調節機構の連結対象となることが可能である。前記腹臥位保持装置の移動や姿勢変形用のハンドルとなることが可能である。搬送用台車のマウント機構に接地し、仮固定される対象となることが可能である。
【0024】
また、例えば、当該胴フレームの左右一対の側骨格は、腹臥位人体の首部及び/又は腹部の左右少なくとも一方に対応する箇所に凹欠形状または凹状の屈曲形などが設けられたものは、気管切開用のカニューレや胃瘻又は腸瘻用のチューブ、人工肛門用のパウチ類などとの干渉を回避したり、導出したりすることが可能となる。また、該胴フレームの交叉骨格は、腹臥位人体の首部及び/又は腹部の少なくとも一方に対応する左右端間の中途部が、該胴フレームの裏面がわに膨出するよう折曲されたものは、医療用のカニューレやチューブ、パウチ類、その他の医療機器類やウエアブル機器類などとの干渉を回避したり、該胴フレームの裏面がわに導出したりすることが可能となる。
【0025】
前記顔フレームによれば、以下のような作用が得られる。例えば、腹臥位人体の頭部を適した前後位置で保持する。平面頭部バッドが外装されたものによれば、腹臥位人体の側頭部を支持することが可能となる。目、鼻、口、首に相当する範囲が開口されたものは、顔を真下に向けた状態で保持することが可能となり、更に、前頭パッド及び左右頬パッドを備えたものによれば、前頭骨及び左右頬骨がパッドで安定して保持されストレスが軽減され、しかも首部の障害を排除して気管切開によるカニューレの配置や、排痰の手技などがし易くなる。
【0026】
前記クッション装具によれば、以下のような作用が得られる。例えば、腹臥位人体を安定して支え圧力を分散しストレスを軽減する。着脱自在の首部パッドによれば、腹臥位人体の首部を保持するものとなり、取り外して気管切開によるカニューレの配置スペースや、排痰の手技を行う空間を確保可能とする。また、着脱自在の腹部パッドによれば、腹臥位人体の腹部を保持するものとなり、取り外して胃瘻用や腸瘻用のチューブ、人口肛門用のパウチなど用の空間を確保可能とする。また、胴フレームから取り外された腹部パッドは、足首や手首用のパッドとして下腿フレームや腕フレーム(前腕フレーム)上などに移動して利用可能となる。
【0027】
更に、例えば、クッション装具に前腕パッドを有する場合は、前腕の広い移動範囲でクッション性が発揮され圧力を分散する。肩部パッドを有する場合は、腹臥位人体の両肩を保持する。体幹パッドを有する場合は、腹臥位人体の胸部を左右外側から保持し外転を阻止する。骨盤パッドを有する場合は、腹臥位人体の腰部を左右外側から保持し外転を阻止する。内転防止パッドを有する場合は、腹臥位人体の両下肢が交叉したり倒れたりするのを阻止する。外転防止パッドを有する場合は、腹臥位人体の両下肢を左右外側から保持し外転を阻止する。胸ベルト及び/又は骨盤ベルトを有する場合は、腹臥位人体の胸部及び/又は腹部乃至臀部を胴フレームがわに拘束し、移動や脱落を阻止する。
【0028】
(搬送用台車)
本発明は、車輪を有する車台と、該車台に設けられ、前記骨格本体を仮固定するマウント機構と、を備えた、前記腹臥位保持装置の搬送用台車にかかるものである。
【0029】
本発明は、車輪を有する車台と、該車台に設けられた少なくとも左右の平行レールと、該左右の平行レール間に前後進退自在且つ仮固定可能な制動機構を備えて横架された、前後少なくとも2個のスライダーと、各スライダーに設けられ、前記骨格本体を各スライダーに仮固定するマウント機構と、を備えた、前記腹臥位保持装置の搬送用台車にかかるものである。
【0030】
(搬送用台車各部の作用)
車台によれば、以下のような作用が得られる。例えば、車輪上に支持されマウント機構を移送自在に支持する。マウント機構は、該車台上に搭載された前記腹臥位保持装置を着脱自在、仮固定可能に支持する。平行レールは、該車台に対し、各スライダーを前後方向に摺動自在に支持する。各スライダーは、夫々のマウント機構を、該平行レールに沿って前後移動可能とする。各マウント機構には、姿勢設定の過程で各角度調節機構が調節され、前後移動された当該腹臥位保持装置の各接地箇所が、夫々着脱自在、仮固定可能に載置可能となる。制動機構は、該腹臥位保持装置が搭載された各スライダーを、夫々平行レールに対して前後移動しないよう仮固定する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、様々な腹臥位姿勢に対応するよう容易に変形することができ、姿勢の微調整がし易く、その姿勢を安定して維持したり、再現したりするための介護負担を軽減し、児童の成長に伴う身体サイズの変化にも即座に対応できる腹臥位保持装置、及び、腹臥位人体を搭載した該腹臥位保持装置を移送できる搬送用台車を提供するという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】骨格本体に対する各部品の配置を示す平面図である。
【
図3】下肢フレームが傾斜された腹臥位保持装置を示す側面図である。
【
図5】(a)骨格本体を示す正面図である。(b)展開された骨格本体を示す側面図である。
【
図6】(a)乃至(e)腹臥位姿勢の複数の変形例を示す側面図である。
【
図7】(a)乃至(d)腹臥位保持装置の複数の変形例を示す写真である。
【
図8】(a)及び(b)キャスター付きの腕部脚、(c)及び(d)腹部・首部クッション、(e)顔フレームの一例を示す写真である。
【
図9】運搬や収納などのために折り畳まれた腹臥位保持装置を示す写真である。
【
図10】(a)搬送用台車を示す写真、(b)腹臥位保持装置が搭載された搬送用台車を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(腹臥位保持装置)
以下、
図1乃至
図9を参照しながら、本発明の第1の実施の形態にかかる腹臥位保持装置を具体的に説明する。特に本実施の形態は、例えば、長さ調節機構30を有する左右一対の側骨格SF、及び、該一対の側骨格SF間に横架された交叉骨格CFからなり、腹臥位人体の胸部乃至腹部を保持可能な長さ及び幅に設定された胴フレーム3と、長さ調節機構41を有する左右一対の側骨格SF、及び、該一対の側骨格SF間に横架された交叉骨格CFからなり、人体の腕を保持可能な長さ及び幅に設定された腕フレーム4と、長さ調節機構50を有する左右一対の側骨格SF、及び、該一対の側骨格SF間に横架された交叉骨格CFからなり、人体の大腿を保持可能な長さ及び幅に設定された大腿フレーム5と、長さ調節機構70を有する左右一対の側骨格SF、及び、該一対の側骨格SF間に横架された交叉骨格CFからなり、人体の下腿を保持可能な長さ及び幅に設定された下腿フレーム7と、当該胴フレーム3と腕フレーム4との側骨格SF間、及び、胴フレーム3と大腿フレーム5との側骨格SF間の夫々に設けられた角度調節機構8と、を有した骨格本体2、及び、該骨格本体2に外装されたクッション装具9を備え、各角度調節機構8は、側骨格SF間に一対の連結部80、81が連結され、同一対の連結部80、81の水平方向に合わせられた先端間に水平支軸82が貫通され、各水平支軸82にクイックリリース緊締機構82が設けられてなる腹臥位保持装置1とすることができる。
【0034】
当該胴フレーム3の左右一対の側骨格SFは、夫々の長さ調節機構30が、例えば、長尺及び短尺の一対の角パイプSF1、SF2の中、該長尺の角パイプSF1の側壁に、長手方向に沿って等間隔を隔てた複数個の位置決め孔h1が穿設されている。当該短尺の角パイプSF2には、長尺の角パイプSF1に進退自在に挿入された調節軸SF3の基端が同心上に結合されている。該調節軸SF3の側壁には位置決め孔h2が穿設されている。
【0035】
当該短尺の角パイプSF2の調節軸SF3が長尺の角パイプSF1に対し進退され、当該側骨格SFの全長寸法が調節され、該調節軸SF3及び当該長尺の角パイプSF1の任意に選択、一致された互いの位置決め孔h1、h2に仮固定軸TS(
図7)が装着され、長尺の角パイプSF1に対し、短尺の角パイプSF2が、仮固定されたものとすることができる。
該仮固定軸TSは、例えば、ボルト・ナット、又は、頭部を有した軸の先端の外周囲に環状溝が刻設され、該環状溝にEリングが嵌着されたものなどとすることができ、
図7(a)に示すような、ハンドルノブが一体化されたボルト及びナットからなるものとすることができる。
【0036】
例えば、当該胴フレーム3の左右一対の側骨格SFは、1又は複数本の交叉骨格CFがラダー状に横架結合され、一体化されたものとなっている。各交叉骨格CFは、例えば、丸パイプ、楕円パイプ、角パイプ、または多角パイプなどからなるものとすることができる。
【0037】
当該胴フレーム3の各側骨格SF及び各交叉骨格CFは、例えば、腹臥位人体の気管切開によるカニューレ、胃瘻や腸瘻によるカテーテル(チューブ)、ストーマパウチなどとの接触や圧迫を回避したり、各種ウエアラブル機器類のチューブや配線類などのルートを確保したりする位置に対応する部分が、該胴フレーム3の下方に向けて凹状(胴フレーム3の裏面がわに膨出状)に折曲された逃げ形状とされたものとすることができる。例えば、
図5(a)及び
図8(c)、(d)に見られるように、胃瘻や腸瘻用カテーテル(チューブ)のルートを確保する位置に配された交叉骨格CFは、左右一の側骨格SFに結合された両端間の中途部が、左右一対の側骨格SFが形成する一平面から5乃至30cm、凹曲線形、V字形、U字形または凹字形などをなして裏面がわに離れたものとすることができる。また、
図2や
図5(a)などに示すように、例えば、当該胴フレーム3、上腕フレーム40及び大腿フレーム5の各1個の交叉骨格CFの中途部が、各フレーム3、40、5の裏面がわに膨出状に折曲され、各叉骨格CFの膨出された中途部が、夫々のフレーム3、40、5の把持部となる。更にまた、該胴フレーム3の各側骨格SFは、その中途部や端部などが、医療用のチューブや機器類の配線などのルートを確保するよう凹状に折曲(図示せず)されたものとすることができる。
【0038】
当該胴フレーム3は、腹臥位人体の胸部乃至腹部を保持可能な長さ及び幅に設定されている。例えば、児童用Sサイズのものが、その左右端間の幅が400mm乃至700mm、望ましくは550mm、その長さが長さ調節機構30を最短に調節された場合260乃至350mm、最長に調整された場合280乃至530mm、望ましくは、最短に調節された場合に279mm、最長に調節された場合に426mmに設定されたものとすることができる。
【0039】
当該腕フレーム4は、例えば、上腕フレーム40と前腕フレームFAとを有するものとすることができる。該上腕フレーム40の左右一対の側骨格SFは、前述と同様の1又は複数本の交叉骨格CFがラダー状に横架結合され互いに一体化されたものとなっている。各側骨格SFは、腹臥位人体の上腕を保持可能な長さ及び幅に設定されている。例えば、児童用Sサイズのものは、長さ330mmの角パイプSFからなり、当該胴フレーム3と同じ左右間幅に設定されている。例えば、該上腕フレーム40の左右の角パイプSFの側壁には、長手方向に沿って等間隔を隔てた複数個の位置決め孔h1が穿設されている。各位置決め孔h1は後述する長さ調節機構41の一部をなす。
【0040】
該上腕フレーム40の基端は、当該胴フレーム3の前端に対し角度調節機構8を介して連結されている。例えば、該上腕フレーム40の左右一対の側骨格SFの基端と、同交叉骨格CFの左右端との間と、当該胴フレーム3の左右一対の側骨格SFの前端と、同交叉骨格CFの左右端との間とが、角度調節機構8を介して連結されたもの、又は、該上腕フレーム40の基端に配された交叉骨格CFの中途部と、当該胴フレーム3の前端に配された交叉骨格CFの中途部との間が、角度調節機構8を介して連結されたものなどとすることができる。
【0041】
例えば、該上腕フレーム40の左右一対の側骨格SFの基端と、当該胴フレーム3の左右一対の側骨格SFの前端との間には、夫々角度調節機構8が設けられ、互いが角度調節自在に連結されたものとなっている。該角度調節機構8は、例えば、基端が該胴フレーム3の側骨格SFの前端に嵌入、結合された連結部80、及び、基端が該上腕フレーム40の側骨格SFの基端に嵌入、結合された連結部81を有し、それら一対の連結部80、81の互いに水平方向に合わせられた先端に、水平方向に貫通する水平軸孔が穿設され、それら先端の互いの接合壁の該水平軸孔の周囲に、単位角度毎に互いに噛合する凹凸が刻設されている。該水平孔には、クイックリリース緊締機構82としてのクイックリリースレバー82を有した水平支軸82が貫通、装着され、該クイックリリースレバー82が開放されると当該凹凸の噛合が解かれ、角度調節可能となり、該クイックリリースレバー82が閉鎖されると当該凹凸が噛合し、角度調節不能に仮固定されるものとすることができる。
【0042】
当該前腕フレームFAは、左右一対の側骨格SFの間に、1又は複数本の交叉骨格CFがラダー状に横架結合され互いに一体化されたものとなっている。各側骨格SFは、腹臥位人体の前腕を保持可能な長さ及び幅に設定されている。例えば、児童用Sサイズのものは、長さ200mmの角パイプSFからなり、当該胴フレーム3と同じ左右間幅に設定されている。左右一対の側骨格SFの各基端には、当該長さ調節機構41の他部をなす左右一対の進退軸FA1が、前述と同様の角度調節機構8を介して角度調節自在且つ仮固定可能に連結されている。左右一対の進退軸FA1には、当該位置決め孔h1に対応する位置決め孔h2が穿設されている。当該長さ調節機構41は、前述の長さ調節機構30と同様の構造とされ、各進退軸FA1が、上腕フレーム40に対し進退され、腹臥位人体の上腕に合わせて長さ調節され、一致された互いの位置決め孔h1、h2に仮固定軸TSが装着され、仮固定されたものとすることができる。
【0043】
例えば、当該上腕フレーム40の裏面側となる外壁には、着脱機構を兼ねた前高調節機構43を介して腕部脚42が、着脱自在及び/又は高さ調節自在に装着されたものとなっている。該腕部脚42は、例えば、長さ200mm幅550mmのU字形に折曲され、交叉骨格がラダー状に横架された接地パイプRP1、及び、左右一対の長さ393mmの丸パイプRP2が、その左右中途部間を交叉骨格によってH字形に結合された基端パイプRP2を有し、該接地パイプRP1の両基端と、両基端パイプRP2の先端とが、前述と同様の構造をもつ角度調節機構8を介して角度調節及び角度仮固定可能に連結されたものとすることができる。
【0044】
当該前高調節機構43は、例えば、当該上腕フレーム40の左右の側骨格SFの裏面側外壁に莢部43aが平行に結合される。各莢部43aには、当該基端パイプRP2が摺動、進退自在(高さ調節自在)に挿着されている。各莢部43aには、各基端パイプRP2の進退移動を仮固定する仮固定機構43bが設けられている。該莢部43aの先端には、
図7(a)に示すように、当該基端パイプRP2の外周囲に巻き付き縮径され緊締可能なクイックリリース緊締機構としてのクイックリリースレバー43cが設けられ、該莢部43aの先端に対し、当該基端パイプRP2の中途対応箇所のガタつきを防止可能なものとすることができる。
【0045】
図2、及び
図8(a)、(b)に示すように、当該腕部脚42は、キャスター付きの腕部脚44と互換可能なものとすることができる。
キャスター付きの腕部脚44は、例えば、長さ200mmの左右一対の丸パイプ44aの各先端にキャスター44bが設けられ、左右の丸パイプ44aの先端寄りの間に交叉骨格CFが架け渡され、幅550mmの概略U字形をなすものとされた接地側パイプ44a、及び、前述と同様の構造をもつ基端パイプRP2を有し、該接地側パイプ44aの両基端と、両基端パイプRP2の先端とが、前述と同様の構造をもつ角度調節機構8を介して角度調節及び角度仮固定可能に連結されたものとすることができる。該キャスター付きの腕部脚44は、例えば、当該前高調節機構43を介して、当該莢部43aに対し、摺動、進退自在(高さ調節自在)に挿着されている。
【0046】
キャスター付きの腕部脚44は、例えば、当該仮固定機構43bによって各基端パイプRP2が莢部43aに対し摺動不能に仮固定されるものとなる。また、例えば、基端パイプRP2及び莢部43aに対し、巻き付き縮径され緊締可能なクイックリリース緊締機構としてのクイックリリースレバー43cによって該莢部43aの先端に対し、当該基端パイプRP2の中途対応箇所のガタつきを防止可能なものとなる。
図8(b)に示すように、キャスター付きの腕部脚44が装着された腹臥位保持装置1は、下腿フレーム7や下腿部脚71などの後端(交叉骨格など)を把持してキャスター44bのみが接地するよう持ち上げて、押し引き移動することが可能となる。
【0047】
図5(a)に示すように、当該腕部脚42は、例えば、腕フレーム4の左右外側壁に対し、着脱機構を兼ねた前高調節機構43を介して連結され、胴フレーム3及び腕フレーム4よりも左右端間幅が広く寸法設定されたものとすることができる。例えば、後述する大腿部脚51及び下腿部脚71も同様に左右外側に連結され、胴フレーム3及び腕フレーム4よりも左右端間幅が広く設定されたものとすることができる。
【0048】
当該大腿フレーム5は、腹臥位人体の大腿を保持可能な長さ及び幅に設定されている。該大腿フレーム5の左右一対の側骨格SFは、1又は複数本の交叉骨格CFがラダー状に横架結合され互いに一体化されたものとなっている。該大腿フレーム5は、例えば、児童用Sサイズのものが、その左右端間の幅が当該胴フレーム3と同一とされ、その長さが長さ調節機構50を最短に調節された場合260乃至350mm、最長に調整された場合280乃至530mm、望ましくは、最短に調節された場合に279mm、最長に調節された場合に426mmに設定されたものとすることができる。長さ調節機構50は、前述の長さ調節機構30、41と同様の構造をもつものとすることができる。例えば、当該胴フレーム3の後端と、該大腿フレーム5の先端との間には、前述と同様の構造をもつ角度調節機構8が設けられ、互いの角度調節及び角度姿勢の仮固定が可能に連結されたものとすることができる。
【0049】
該角度調節機構8は、例えば、当該胴フレーム3の左右一対の側骨格SFの後端と、当該大腿フレーム5の左右一対の側骨格SFの前端との間に設けられたものとすることができる。又、当該胴フレーム3の左右一対の側骨格SFの後端間に横架された交叉骨格CFの左右端間の中途部と、当該大腿フレーム5の左右一対の側骨格SFの前端間に横架された交叉骨格CFの左右端間の中途部との間に設けられたものとすることができる。更にまた、当該胴フレーム3の左右一対の側骨格SFの後端とその間に横架された交叉骨格CFの左右端との間と、当該大腿フレーム5の左右一対の側骨格SFの前端とその間に横架された交叉骨格CFの左右端との間とに架け渡すよう連結されたものとすることができる。
【0050】
例えば、当該大腿フレーム5の裏面側となる外壁には、着脱機構を兼ねた中高調節機構52を介して大腿部脚51が、着脱自在及び/又は高さ調節自在に装着されたものとなっている。該大腿部脚51は、例えば、長さ200mm幅550mmのU字形に折曲され、交叉骨格CFがラダー状に横架された接地パイプRP3を有している。
【0051】
当該中高調節機構52は、例えば、当該大腿フレーム5の側骨格SFの裏面側外壁に莢部52aが平行に結合され、当該接地パイプRP3の左右平行パイプ部分が摺動、進退自在(高さ調節自在)に挿着されている。該莢部52aには、該接地パイプRP3の左右平行パイプ部分の進退移動を固定する仮固定機構52bが設けられ、当該大腿部脚51の左右平行パイプ部分を莢部52aに対し摺動不能に仮固定できるものとされている。さらに、
図2及び
図7(a)に示すように、該莢部52aの先端には、当該大腿部脚51の左右平行パイプ部分の外周囲に巻き付き縮径され緊締可能なクイックリリース緊締機構としてのクイックリリースレバー52cが設けられ、該莢部52aの先端に対し、当該大腿部脚51の左右平行パイプ部分の中途対応箇所のガタつきを防止可能なものとすることができる。
【0052】
当該下腿フレーム7は、腹臥位人体の足を含む下腿を保持可能な長さ及び幅に設定されている。該下腿フレーム7の左右一対の側骨格SFは、1又は複数本の交叉骨格CFがラダー状に横架結合され互いに一体化されたものとなっている。該下腿フレーム7は、例えば、児童用Sサイズのものが、その左右端間の幅が当該胴フレーム3と同一とされ、その長さが長さ調節機構70を最短に調節された場合400乃至440mm、最長に調整された場合440乃至480mm、望ましくは、最短に調節された場合に420mm、最長に調節された場合に445mmに設定されたものとすることができる。長さ調節機構70は、前述の長さ調節機構30、41、50と同様の構造をもつものとすることができる。例えば、当該下腿フレーム7の先端と、該大腿フレーム5の後端との間には、前述と同様の構造をもつ2個(左右合計4個)の角度調節機構8、及び、それら角度調節機構8間に配された左右1個ずつの膝フレーム6が介在され、互いの角度調節及び角度姿勢の仮固定が可能に連結されたものとすることができる。
【0053】
当該下腿フレーム7は、例えば、その左右一対の側骨格SFの先端と、当該大腿フレーム5の左右一対の側骨格SFの後端との間に当該角度調節機構8が設けられたものとすることができる。また、該大腿フレーム5の後端間に横架された交叉骨格CFの左右端間中途部と、該下腿フレーム7の前端間に横架された交叉骨格CFの左右端間中途部とが、該角度調節機構8を介して連結されたものとすることができる。更にまた、該大腿フレーム5の左右一対の側骨格SFの後端と、その間に横架された交叉骨格CFの左右端との間に、該角度調節機構8の一方の連結部80が連結され、該下腿フレーム7の前端と、その間に横架された交叉骨格CFの左右端との間に、該角度調節機構8の他方の連結部80が連結され、該角度調節機構8によって互いの角度調節及び角度姿勢の仮固定が可能に連結されたものとすることができる。
【0054】
例えば、当該下腿フレーム7は、その後端に、腹臥位人体の足を保持可能な長さ及び幅に設定された足フレーム(図示せず)が追加されたものとすることができる。該足フレームは、例えば、左右一対の側骨格が、少なくともそれら側骨格の後端間に横架された交叉骨格によってコ字形に形成されたものとすることができ、その左右端間の幅が当該下腿フレーム7と同一とされ、その長さが50mm乃至150mmとされ、該下腿フレーム7の後端と足フレームの前端との間に前述と同様の構造をもつ2個の角度調節機構8が配され、該下腿フレーム7に対し足フレームが角度調節及び角度姿勢の仮固定が可能に連結されたものとすることができる。
【0055】
また、例えば、
図7(a)に示すように、該足フレームの代わりに、当該下腿フレーム7上に設置された、足首パッドANが設けられたものとすることができる。該足首パッドANは、当該下腿フレーム7の上面がわに腹臥位人体の膝や足の甲などが接地された場合に、浮いた足首部分やすね等をサポート可能な側断面形状、例えば三角形状、円弧形状又は半円形状などの断面形状のパッドとすることができる。例えば、足首パッドANは、面ファスナーやホックなどのクッションシートLBCへの着脱手段が設けられたものとすることができる。
【0056】
膝フレーム6は、腹臥位人体の膝を保持可能な長さ及び幅に設定されている。該膝フレーム6は、例えば、左右一対の側骨格SFからなるものとすることができる他、左右一対の側骨格SFに対し1又は複数本の交叉骨格CFがラダー状に横架結合され互いに一体化されたものとすることができる。該膝フレーム6は、例えば、児童用Sサイズのものが、その左右端間の幅が当該胴フレーム3及び下腿フレーム7と同一とされ、その長さが50mm乃至250mmに設定されたものとすることができる。各角度調節機構8は、該膝フレーム6の、左右一対の側骨格SFの前後端夫々に連結されたものとすることができる。また、該膝フレーム6に交叉骨格CFが設けられたものの場合、各角度調節機構8は、該膝フレーム6の、交叉骨格CFの左右端間の中途部、または、左右一対の側骨格SFと交叉骨格CFの左右結合端との間の何れかに連結されたものとすることができる。
【0057】
当該大腿フレーム5と下腿フレーム7との間に膝フレーム6が設けられないものの場合には、例えば、大腿フレーム5と下腿フレーム7とを連結する角度調節機構8の内(上)側に相当する長さ方向の範囲に渡って、大腿フレーム5(下腿フレーム7)の左右端間幅に一致する幅寸法とされた複数枚の交叉コマ板が、該長さ方向に沿って互いになす屈曲角度を鈍角に制限する角度規制係合部を有し、水平軸心周りに多関節湾曲状に配置可能に連結されたものとされた膝保持機構が設けられ、腹臥位人体の膝が側面視V字形の鋭角的なフレーム間に保持されるのを阻止し、U字状やL字状の緩やかな角度に保持して膝へのストレスを軽減可能なものとすることができる。
【0058】
図2に示すように、当該下腿フレーム7には、その左右一対の側骨格SFの前後端間の中心よりも僅かに後端寄りの位置には、夫々、左右の短い垂下パイプ72と、各垂下パイプ72の下端に前述と同様の各角度調節機構8を介して、パイプがコ字状に折曲された接地脚73の左右端が連結され、各垂下パイプ72に対し、該接地脚73の接地端がわが前後に角度姿勢を変えられるものとされてなる下腿部脚71が設けられたものとすることができる。
【0059】
例えば、
図4に示すように、当該胴フレーム3、上腕フレーム40、前腕フレームFA、大腿フレーム5、膝フレーム6、及び、下腿フレーム7の各左右一対の側骨格SFの外周壁の例えば上壁(左右対峙壁、下壁又は左右外側壁などでもよい)の長手方向に沿って互いに対峙する複数のベルトループBLが設けられ、左右の各ベルトループBL間には、サポートベルトSBが架け渡されたものとすることができる。該サポートベルトSBは、例えば、面ファスナーやバックル類、結び紐などの着脱手段を備え、左右のベルトループBL間に着脱自在に架け渡されたものとすることができる。各サポートベルトSBは、例えば、綿や麻、その他の天然繊維やポリアミドからポリエステルなどの合成繊維、ゴム製のもの、または中途部にスプリングを有するものなどとすることができる。
【0060】
図1乃至
図4に示すように、例えば、当該上腕フレーム40、腕部脚42、前腕フレームFA、大腿フレーム5、大腿部脚51、膝フレーム6、及び、下腿フレーム7(足フレーム)、下腿部脚71の各交叉骨格CFや、それらと同様に左右端間に架け渡された骨格部分の外周囲には、グリップ用の樹脂チュウーブや発泡チューブなどからなるクッショングリップCGが設けられたものとすることができる。
【0061】
顔フレームFFは、例えば、当該胴フレーム3の前端に装着されている。
図1乃至
図5及び
図8(e)に示すように、該顔フレームFFは、例えば、左右一対の角パイプ製の側杆FF1と、各側杆FF1の先端寄りの間に架け渡された角パイプ製の交叉杆FF2とからなる門型とされ、該交叉杆FF2上には前頭パッドFPが外装され、該前頭パッドFPに腹臥位人体の前頭が配された場合に左右頬骨が対応する各側杆FF1の中途部には、夫々支持片FF3が設けられ、各支持片FF3には、左右頬パッドCPが外装され、左右各側杆FF1の基端がわは、後述する着脱機構を兼ねた位置調節機構PMを介して当該胴フレーム3の前端に装着されたものとすることができる。
【0062】
また、
図7(a)及び(b)に示すように、該顔フレームFFは、ラダー型とされ、その上には、矩形平板状の平面全頭バッドFLPが外装され、該顔フレームFFの左右各側杆FF1の基端がわは、後述する着脱機構を兼ねた位置調節機構PMを介して当該胴フレーム3の前端に装着されたものとすることができる。
【0063】
図1乃至
図4に示すように、着脱機構を兼ねた位置調節機構PMは、例えば、当該胴フレーム3の前端寄りに横架された交叉骨格CFの左右端間の中心から左右寄りの(左右の側杆FF1に一致する)位置の各下壁に対し、前後方向に向けられ平行且つ左右一対の角形筒状の莢部PM1が設けられている。各莢部PM1の周壁には、その下方または側方から1個の固定孔が穿設され、当該顔フレームFFの左右の側杆FF1の基端寄りの範囲には、その長さ方向に間隔を隔てた複数箇所の位置決め孔が穿設されている。当該顔フレームFFの左右の側杆FF1が、当該胴フレーム3の左右の莢部PM1に夫々前方から挿し込まれ、該顔フレームFFの突出量が調節され、該位置決め孔に該固定孔が一致され、該固定孔及びそれに一致された位置決め孔にボルト・ナット機構を備えた操作ノブ付きの仮固定ネジ(図示せず)が螺着され、仮固定されたものとすることができる。
【0064】
鞍フレームSDは、例えば、当該胴フレーム3の後端に装着されている。
図1乃至
図4、
図7(a)及び(d)に示すように、該鞍フレームSDは、例えば、角パイプ製の調節杆SD1の後端に規制杆SD2が立設された横転L字形のものとされ、該調節杆SD1の中途部乃至後端及び規制杆SD2に臀部パッドBPが外装されている。該調節杆SD1の基端がわは、着脱機構を兼ねた位置調節機構PMを介して当該胴フレーム3の後端に装着されたものとすることができる。
【0065】
着脱機構を兼ねた位置調節機構PMは、例えば、当該胴フレーム3の後端寄りに横架された交叉骨格CFの左右端間の中心の位置の下壁に対し、前後方向に向けられた角形筒状の莢部PM1が設けられている。該莢部PM1の周壁には、その下方または側方から1個の固定孔が穿設され、当該鞍フレームSDの調節杆SD1の基端寄りの範囲には、その長さ方向に間隔を隔てた複数箇所に位置決め孔が穿設されている。当該鞍フレームSDの調節杆SD1が、当該胴フレーム3の莢部PM1に後方から挿し込まれ、該鞍フレームSDの突出量が調節され、該位置決め孔に該固定孔が一致され、該固定孔及びそれに一致された位置決め孔にボルト・ナット機構を備えた操作ノブ付きの仮固定ネジ(図示せず)が螺着されたものとすることができる。
【0066】
図1乃至
図4、
図5、
図7乃至
図9に示すように、当該クッション装具9は、例えば、当該前腕フレームFAの左右側骨格SF及び交叉骨格CF上に、矩形平板状の前腕パッドFAPが装着されている。当該上腕フレーム40、胴フレーム3、大腿フレーム5及びそれらの各サポートベルトSB上には、例えば、クッションシートUBCが巻き掛けられ外装されている。該クッションシートUBCには、例えば、顔フレームFFや鞍フレームSDなどに対応する取付け窓や操作窓などが開口されたものとすることができる。また、膝フレーム6、下腿フレーム7及びそれらの各サポートベルトSB上にも同様のクッションシートLBCが巻き掛けられ外装されたものとすることができる。例えば、各フレーム40、3、5、6、7には、夫々に独立したクッションシートUBC(LBC)が外装されたものとすることが可能である。
【0067】
当該クッション装具9は、例えば、ウレタンやポリエステル、ゴムなどの発泡樹脂製、及び/又は、綿や毛、毛綿、その他の弾性素材製のシート、マット、パッド、ブロックなどからなり、布製のカバーで被覆され、接着面には面ファスナー、ホック、ボタンホールとボタン、ファスナーなどの着脱手段が設けられたものとすることができる。
【0068】
図2、
図3及び
図8(d)、(e)に示すように、例えば、当該胴フレーム3の前端の腹臥位人体の左右肩に対応する部分には、側断面が三角形の左右の肩部パッドSPが、更に、それら左右の肩部パッドSP間の腹臥位人体の首に対応する位置に、側断面が三角形の首部パッドNPが、夫々クッションシートUBCに対し面ファスナーやホックなどの着脱手段を介して装着されたものすることができる。該首部パッドNPの左右端間幅は、排痰の手技や、気管切開チューブを通すのに適した左右間幅、例えば、50乃至300mmに設定されたものとすることができる。
【0069】
図1、
図4、
図8(c)及び(d)に示すように、例えば、当該胴フレーム3の腹臥位人体の腹部の胃瘻や腸瘻用チューブやストーマ装具などに対応する部位のサポートベルトSBを予め設けないか、外すか、緩めるかした上、同部位対応箇所のクッションシートUBCを予め設けないか、外すか、緩めるかされたものとし、同部位の上方から下方外側、及び/又は、左右方向外側に通じる連絡空間RSが形成され、該連絡空間RSを平坦状又は腹臥位人体の腹部を保持可能な上面形状に外装する腹部パッドAPが、着脱自在に嵌合されたものとすることができる。例えば、該腹部パッドAPの前後の胸部に対応する位置や腰部に対応する位置などにも胸部パッドCHPや腰部パッドMPPが装着され、該腹部パッドAPが、胸部パッドCHPと腰部パッドMPPとの間の連絡空間RSを塞ぐよう着脱自在に装着されたものとすることができる。
【0070】
図1乃至
図5及び
図7に示すように、例えば、当該胴フレーム3の腹臥位人体の胸部の左右外側となる位置には、同胸部の厚みに相当するブロック状の体幹パッドTPが、当該クッションシートUBCに対し着脱自在に外装されている。また、例えば、当該胴フレーム3の腹臥位人体の腰部の左右外側となる位置には、同腰部の厚みに相当するブロック状の骨盤パッドPPが、当該クッションシートUBCに対し着脱自在に外装されたものとすることができる。また、当該胴フレーム3の外周囲には、腹臥位人体の胸部及び臀部を保持するよう、面ファスナーやホックなどの着脱手段を介して無端状に仮固定可能な長さの柔軟性を有した胸ベルトCB及び骨盤ベルトPBが外装されている。
【0071】
例えば、当該大腿フレーム5の腹臥位人体の大腿部の左右間内側となる位置には、同大腿部の厚みに相当するブロック状の内転防止パッドACが、当該クッションシートLBCに対し着脱自在に外装されている。
図1乃至
図5(b)に示すように、該内転防止パッドACは、例えば、前後2個の組み合わせからなり、互いの前傾または後継の傾斜面同士が接合されて1個のブロック形状をなすものとされ、前後2個の位置が前後に移動された場合にも、互いの傾斜部分同士が、一定の左右間幅の重なり合いを維持するものとされている。また、完全に分離されて鞍フレームSD及び臀部パッドBPとの干渉を回避可能なものとなる。
当該大腿フレーム5の腹臥位人体の大腿部の左右外側となる位置には、同大腿部の厚みに相当するブロック状の外転防止パッドABが、当該クッションシートLBCに対し着脱自在に外装されている。
【0072】
(腹臥位姿勢)
図1乃至
図7及び
図8に示す腹臥位保持装置1は、例えば、前記胴フレーム3、腕フレーム4、上腕フレーム40、前腕フレームFA、大腿フレーム5、膝フレーム6及び下腿フレーム7の各相互間の角度調節機構8、及び、前記腕部脚42の前高調節機構43と、大腿部脚51の中高調節機構52とが夫々調節されると、様々な形状に変化可能であり、例えば、
図6(a)に示す上肢屈曲下肢屈曲の姿勢、
図6(b)に示す上肢屈曲下肢強屈曲の姿勢、
図6(c)に示す上肢伸展下肢伸展の姿勢、
図6(d)に示す上肢屈曲下肢伸展の姿勢、または、
図6(e)に示す膝立位の姿勢など、仰臥位人体Pを様々な姿勢に保持することが可能であり、利用者の容態や希望などに応じて更に異なる姿勢に保持するよう調節可能である。また、
図9に示すように、収納したり運搬したりするのが容易な状態に折り畳むことが可能である。
【0073】
(搬送用台車)
以下、
図10(a)及び(b)を参照しながら、本発明の第2の実施の形態にかかる当該腹臥位保持装置に利用する搬送用台車を具体的に説明する。
本実施の形態にかかる搬送用台車は、例えば、四角に車輪12を有する車台11が設けられ、該車台11の左右に一対の平行レール13が設けられ、該左右の平行レール13間に前後進退自在且つ仮固定可能な制動機構15を備えて横架された、前後合計3個のスライダー14が設けられ、各スライダー14には前記骨格本体2を各スライダー14に仮固定するマウント機構16が設けられたものとされている。
【0074】
当該搬送用台車10は、その車台11が、前記腹臥位保持装置1を安定して搭載可能な前後長さ、及び、左右端間幅に設定されている。該車台11は、例えば、左右のサイドメンバーSM及び該左右のサイドメンバーSM間に架け渡された複数本のクロスメンバーCMが、ラダー状に組み合わされ、該車台11の後端寄りの位置からは左右のハンドルバーHBが、立姿勢の介護者の垂下された手元付近の高さまで延伸されたものとすることができる。該車台11の前後左右の四角の車輪12は、例えば、前側左右の2輪12が自在キャスターとされ、後側左右の2輪12には、クイックリリース機構を有する駐車ブレーキが設けられ、ハンドルバーHBには、後側左右の2輪12を制動するブレーキのブレーキレバーが設けられたものとすることができる。
【0075】
例えば、車台11上の左右端寄りには、夫々前後に長い平行レール13が水平に設けられており、該左右の平行レール13の前端寄りの範囲、前後間中途範囲、及び、後端寄りの範囲の夫々に、スライダー14が、前後方向に摺動自在に設けられ、各スライダー14の左右の前後には、夫々該左右の平行レール13の外周囲に巻き付き縮径され緊締可能なクイックリリース緊締機構を備えた制動機構15が設けられたものとすることができる。また、各スライダー14の左右端間の中心から左右がわに寄った位置の上部には、夫々当該腹臥位保持装置1の腕部脚42、大腿部脚51及び下腿部脚71の接地部分となる水平パイプ部分の夫々の外周壁に、弾性的に嵌着するよう上向きの開口を有するU字形又は横転C字形の嵌着部品からなるマウント機構16が、少なくとも左右一対設けられたものとすることができる。
【0076】
該車台11上に搭載される当該腹臥位保持装置1は、例えば、利用者の容態や希望に応じた腹臥位姿勢を保持するよう、各部の角度及び高さが調節され、前記腕部脚42、大腿部脚51及び下腿部脚71夫々の前後位置が固定されている。当該車台11は、該腹臥位保持装置1の腕部脚42、大腿部脚51及び下腿部脚71の夫々に、前、中、後の各スライダー14が夫々一致するよう、左右の平行レール13に沿って前後摺動して位置調節される。
【0077】
各スライダー14のマウント機構16に、腹臥位保持装置1の腕部脚42、大腿部脚51及び下腿部脚71の夫々が嵌合した状態に搭載された上、面ファスナーを有した着脱可能な緊締用のベルト(図示せず)を、各スライダー14及び各マウント機構16に嵌合された腕部脚42、大腿部脚51及び下腿部脚71の夫々に巻き付けるなどして、脱落しないよう固定されたものとすることができる。
【0078】
該車台11は、例えば、当該左右のサイドメンバーSMの少なくとも夫々の後部1箇所の左右合計2箇所にハンドル用莢部PDが立設され、各ハンドル用莢部PDに左右のハンドルバーHBの基部が着脱自在及び/又は高さ調節機構を介して挿着されたものとすることができる。また、例えば、該左右のサイドメンバーSMの夫々の前後の合計4箇所に柵用莢部PD1が立設され、それら柵用莢部PD1に図示しない左右の転落防止柵や左右の手摺りなどの前後支柱が夫々、着脱自在及び/又は高さ調節機構を介して装着されたものとすることができる。また、例えば、該左右のサイドメンバーSMの前後合計4箇所に柵用莢部PD1が立設され、その中の左右後部の2箇所の柵用莢部PD1に左右のハンドル用莢部PDが一体に添設されたものとされ、転落防止柵又は手摺りと、ハンドルバーHBとを、夫々着脱自在及び/又は高さ調節機構を介して装着されたものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の腹臥位保持装置は、仰臥位人体の姿勢を保持し、例えば、腹臥位療法、術後の腹臥位安静、障害者の腹臥位の生活、仰臥位における排痰の手技、及び/又は、気管切開カニューレ、胃瘻や腸瘻カテーテル、ストーマパウチ、その他の器具類の装着、その他の医療行為、介護、介助などに利用することができる。
本発明の搬送用台車は、この発明の腹臥位保持装置、及び該腹臥位保持装置に乗せた腹臥位人体の移動、移送に利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 腹臥位保持装置
2 骨格本体
3 胴フレーム
SF 同 左右一対の側骨格
CF 同 交叉骨格
30 同 長さ調節機構
SF1 同 長尺の角パイプ
h1 同 位置決め孔
SF2 同 短尺の角パイプ
SF3 同 調節軸
h2 同 位置決め孔
TS 同 仮固定軸
4 腕フレーム
40 同 上腕フレーム
41 同 長さ調節機構
42 同 腕部脚
43 同 着脱機構を兼ねた前高調節機構
43a 同 莢部
RP1 同 接地パイプ
RP2 同 基端パイプ(丸パイプ)
43b 同 仮固定機構
43c 同 クイックリリースレバー(クイックリリース機構)
44 同 キャスター付きの腕部脚
44a 同 接地側パイプ
44b 同 キャスター
FA 同 前腕フレーム
FA1 同 進退軸
5 大腿フレーム
SF 同 側骨格
50 同 長さ調節機構
CF 同 交叉骨格
51 同 大腿部脚
52 同 中高調節機構
52a 同 莢部
52b 同 仮固定機構
52c 同 クイックリリースレバー(クイックリリース緊締機構)
RP3 同 接地パイプ
6 膝フレーム
7 下腿フレーム
70 同 長さ調節機構
71 同 下腿部脚
72 同 垂下パイプ
73 同 接地脚
8 角度調節機構
80(81)連結部
82 同 水平支軸(クイックリリース緊締機構、クイックリリースレバー)
BL ベルトループ
SB サポートベルト
9 クッション装具
FAP 同 前腕パッド
UBC(LBC)クッションシート
SP 同 肩部パッド
NP 同 首部パッド
RS 同 連絡空間
AP 同 腹部パッド
CHP 同 胸部パッド
MPP 同 腰部パッド
TP 同 体幹パッド
PP 同 骨盤パッド
AC 同 内転防止パッド
AB 同 外転防止パッド
AN 同 足首パッド
CB 同 胸ベルト
PB 同 骨盤ベルト
FF 顔フレーム
PM 同 着脱機構を兼ねた位置調節機構
PM1 同 莢部
FF1 同 側杆
FF2 同 交叉杆
FF3 同 支持片
FP 同 前頭パッド
CP 同 左右頬パッド
FLP 同 平面全頭バッド
SD 鞍フレーム
SD1 同 調節杆
SD2 同 規制杆
BP 同 臀部パッド
10 搬送用台車
11 同 車台
12 同 車輪
SM 同 サイドメンバー
CM 同 クロスメンバー
13 同 平行レール
14 同 スライダー
15 同 制動機構
16 同 マウント機構
HB 同 ハンドルバー
PD 同 ハンドル用莢部
PD1 同 柵用莢部
P 腹臥位人体