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特開2024-147478吸収膜を備えた極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスク及びこれを用いて製造されたフォトマスク
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  • 特開-吸収膜を備えた極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスク及びこれを用いて製造されたフォトマスク 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147478
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】吸収膜を備えた極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスク及びこれを用いて製造されたフォトマスク
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/24 20120101AFI20241008BHJP
   G03F 1/58 20120101ALI20241008BHJP
【FI】
G03F1/24
G03F1/58
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023137276
(22)【出願日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】10-2023-0043334
(32)【優先日】2023-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0097937
(32)【優先日】2023-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】514205126
【氏名又は名称】エスアンドエス テック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミン-キュ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ミ-キュン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】ミン-クワン・パク
(72)【発明者】
【氏名】チュル-キュ・ヤン
【テーマコード(参考)】
2H195
【Fターム(参考)】
2H195BA02
2H195BA10
2H195BB31
2H195BC05
2H195BC11
2H195CA01
2H195CA22
2H195CA24
(57)【要約】
【課題】極端紫外線(EUV)リソグラフィー用ブランクマスクを提供する。
【解決手段】EUVリソグラフィー用ブランクマスクは、基板上に形成された反射膜、及び反射膜上に形成され、タンタル(Ta)及びアンチモン(Sb)を含む吸収膜を備える。吸収膜は、Ta:Sb=2:8~6:4at%の組成比を有する。高い消滅係数(k)を有する吸収膜によって吸収膜の薄膜化が可能であり、シャドーイング効果及び3D効果を減少させることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された反射膜と、
前記反射膜上に形成され、タンタル(Ta)及びアンチモン(Sb)を含む吸収膜と、
を含むことを特徴とする極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスク。
【請求項2】
前記吸収膜は、Ta:Sb=2:8~6:4at%の組成比を有することを特徴とする請求項1に記載の極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスク。
【請求項3】
前記吸収膜は、Ta:Sb=3:7~5:5at%の組成比を有することを特徴とする請求項1に記載の極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスク。
【請求項4】
前記吸収膜は、窒素(N)、酸素(O)、炭素(C)のうち一つ以上をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスク。
【請求項5】
前記吸収膜は、窒素(N)5~30at%をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスク。
【請求項6】
前記吸収膜は、
前記反射膜上に形成される第1層と、
前記第1層上に形成され、酸素(O)をさらに含む第2層と、
を含むことを特徴とする請求項2に記載の極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスク。
【請求項7】
前記第2層は、酸素(O)1~50at%を含むことを特徴とする請求項6に記載の極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスク。
【請求項8】
前記第1層は、窒素(N)5~30~at%をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスク。
【請求項9】
前記吸収膜は、13.5nm波長のEUV露光光に対して0.05以上の消滅係数(k)を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスク。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスクを用いて製造されたフォトマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブランクマスク(Blankmask)及びフォトマスク(Photomask)に関し、極端紫外線を吸収する吸収膜を備えた極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスク及びこれを用いて製造されるフォトマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
極端紫外線(Extreme ultraviolet lithography,EUV)リソグラフィーに用いられるブランクマスクは、一般に、基板上にEUV光を反射する反射膜、及びEUV光を吸収する吸収膜の2つの薄膜を含んでなる。フォトマスクは、このようなブランクマスクの吸収膜をパターニングすることによって製造され、反射膜の反射率と吸収膜の反射率との明暗比(Contrast)の差を用いてウエハーにパターンを形成する原理を理由する。
【0003】
図1は、一般的な極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスクの構造を示す図である。極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスクは、基板102、基板102上に形成された反射膜104、反射膜104上に形成されたキャッピング膜105、及びキャッピング膜105上に形成された吸収膜108で構成される。吸収膜108上にはハードマスク膜(図示せず)及びレジスト膜(図示せず)が形成されてよい。
【0004】
反射膜104は、Mo材質の層とSi材質の層とが40~60回交互に積層された多層構造で形成される。キャッピング膜105は、反射膜104の上部に形成され、吸収膜108のパターニングのためのエッチング時に反射膜104を保護する機能を担う。吸収膜108は、キャッピング膜105の上部に形成され、フォトマスクの製造のためにパターニングされ、パターニングされた形状に従って入射するEUV光を吸収する。
【0005】
このような従来のブランクマスクにおいて、吸収膜108は、EUV光に対する吸収率を高めるために、一般に、高い消滅係数(k)を有するタンタル(Ta)を含む材質で形成される。具体的には、吸収膜108は、タンタル(Ta)にホウ素(B)、窒素(N)、酸素(O)のうち一つ以上を含む材質で形成される。吸収膜108は、第1層108a及び第2層108bの2層構造で形成されてよい。第2層108bは酸素(O)を含み、これによって第2層108bは低い反射率を有する。このような第2層108bは、DUV検査光に対する検査感度が高い検査膜の機能を担う。
【0006】
上記のようなブランクマスクを用いて製造されたフォトマスクを用いたウエハーの露光時に、露光光はフォトマスクに垂直方向に対して約5~6゜程度傾斜した角度で入射する。これにより、吸収膜108が厚いほど吸収膜108のパターンの高さが高くてシャドーイング効果(Shadowing Effect)が大きくなり、露光の精密度が低下する。Logic 3nm以下の微細パターン、特に、Logic 2nm以下のパターンを形成しようとする場合には、これによる問題点がより大きくなる。したがって、吸収膜108は、極力薄い厚さを有することが好ましい。しかしながら、タンタル(Ta)は13.5nm波長のEUV露光光に対して0.4程度の消滅係数(k)を有するため、高い消滅係数(k)、例えば、0.5以上の消滅係数(k)を有する吸収膜108が製造できない。このため、従来のTa吸収膜108は、EUV光に対する吸収率の確保のために少なくとも55nmの厚さが要求され、厚い吸収膜108の厚さによってシャドーイング効果が発生してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するために案出されたものであり、本発明の目的は、従来の吸収膜に比べて高い消滅係数(k)を有する物質で吸収膜を形成することにより、吸収膜の薄膜化が可能であり、よって、吸収膜の厚さに起因する3D効果(3D Effect)を減少させ得るブランクマスクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るEUVリソグラフィー用ブランクマスクは、基板上に形成された反射膜、及び前記反射膜上に形成され、タンタル(Ta)及びアンチモン(Sb)を含む吸収膜を含む。
【0009】
前記吸収膜は、Ta:Sb=2:8~6:4at%の組成比を有し、好ましくは、Ta:Sb=3:7~5:5at%の組成比を有する。
【0010】
前記吸収膜は、窒素(N)、酸素(O)、炭素(C)のうち一つ以上をさらに含んでよい。
【0011】
前記吸収膜は、窒素(N)5~30at%をさらに含んでよい。
【0012】
前記吸収膜は、前記反射膜上に形成される第1層、及び前記第1層上に形成され、酸素(O)をさらに含む第2層を含んでよい。
【0013】
前記第2層は、酸素(O)1~50at%を含む。
【0014】
前記第1層は、窒素(N)5~30~at%をさらに含んでよい。
【0015】
前記吸収膜は、13.5nm波長のEUV露光光に対して0.05以上の消滅係数(k)を有する。
【0016】
本発明の他の側面によれば、上記のような構成の極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスクを用いて製造されたフォトマスクが提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高い消滅係数(k)を有する吸収膜によって吸収膜の薄膜化が可能であり、シャドーイング効果及び3D効果を減少させることができる。これにより、優れたウエハー性能(Wafer Performance)が実現可能である。
【0018】
また、本発明によれば、吸収膜のエッチング速度が増加することにより、フォトマスク製造の生産性が高く、吸収膜パターンの側面傾斜が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来の極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスクの構造を示す図である。
図2】本発明に係る極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスクの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、図面を参照して本発明をより詳しく説明する。
【0021】
図2は、本発明に係る極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスクの構造を示す図である。
【0022】
本発明に係る極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスクは、基板202、基板202上に形成された反射膜204、反射膜204上に形成されたキャッピング膜205、キャッピング膜205上に形成された吸収膜208、及び吸収膜208上に形成されたハードマスク膜209を含んで構成される。ハードマスク膜209上にはレジスト膜(図示せず)が形成されてよい。
【0023】
基板202は、EUV露光光を用いる反射型ブランクマスク用グラス基板として適合するように、露光時の熱によるパターンの変形及びストレスを防止するために0±1.0×10-7/℃の範囲内の低熱膨張係数を有し、好ましくは、0±0.3×10-7/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するLTEM(Low Thermal Expansion Material)基板で構成される。基板202の素材としては、SiO-TiO系ガラス、多成分系ガラスセラミックなどを用いることができる。
【0024】
反射膜204は、EUV露光光を反射する機能を有し、各層の屈折率が互いに異なる多層膜構造を有する。具体的には、反射膜204は、Mo材質の層とSi材質の層を交互に40~60層積層して形成する。
【0025】
キャッピング膜205は、反射膜204の酸化膜形成を防止して反射膜204のEUV露光光に対する反射率を維持し、吸収膜208のパターニング進行時に反射膜204を保護する。一般に、キャッピング膜205は、ルテニウム(Ru)を含む材質で形成される。キャッピング膜205は、2~5nmの厚さ、好ましくは2.5nmの厚さで形成される。キャッピング膜205の厚さが2nm以下であれば、キャッピング膜205としての機能を発揮し難く、5nm以上であれば、EUV露光光に対する反射率が低下する問題がある。
【0026】
吸収膜208は、ブランクマスクをフォトマスクとして製造する工程でパターニングされ、パターニングによって除去された部分からキャッピング膜205が露出される。吸収膜208は、露光光を吸収する物質で形成され、このような物質として白金(Pt)、ニッケル(Ni)、テルル(Te)、コバルト(Co)などが考慮されてよい。しかし、白金(Pt)及びニッケル(Ni)は、エッチング速度が非常に遅く、テルル(Te)は、化学耐性が弱く、コバルト(Co)は、薄膜の欠陥(defect)が多く発生するという欠点がある。このような点を考慮して、本発明では、吸収膜208の構成物質としてタンタル(Ta)とアンチモン(Sb)が採用される。アンチモン(Sb)は、適切なエッチング速度が確保でき、薄膜の欠陥が少ない。アンチモン(Sb)は、消滅係数が0.06以上と高く、これによって吸収膜208の薄膜化が可能である。タンタル(Ta)は、優れたエッチング特性及び耐化学性を有する。これにより、TaSb吸収膜208は、フォトマスク製造時の性能(performance)が高く、吸収膜208の薄膜化によって3D効果の改善が可能である。
【0027】
吸収膜208は、Ta:Sb=2:8~6:4at%の組成比を有することが好ましい。タンタル(Ta)の含有量がこの範囲を超える場合には、高い消滅係数(k)が確保し難い。また、アンチモン(Sb)は化学耐性が多少弱いため、アンチモン(Sb)の含有量が上記の範囲を超える場合に、洗浄工程において化学耐性が確保し難い。より好ましくは、Ta:Sb=3:7~5:5at%の組成比を有する。
【0028】
吸収膜208は、13.5nm波長のEUV露光光に対して0.05以上の消滅係数(k)を有し、好ましくは、0.06以上の消滅係数(k)を有する。
【0029】
吸収膜208は、窒素(N)、酸素(O)、炭素(C)のうち一つ以上をさらに含んでよい。酸素(O)は吸収膜208の反射率を下げる機能を有する。これにより、DUV波長での反射率を下げることができ、DUV検査光を用いた吸収膜208の検査が可能である。窒素(N)は、吸収膜208のパターニング時にLER(Line Edge Roughness)を向上させる機能を有する。しかし、窒素(N)の含有量が高い場合に消滅係数(k)が低くなるため、窒素(N)は1~30at%を含有することが好ましい。
【0030】
吸収膜208は単層又は2層以上で構成されてよい。吸収膜208が単層で構成される場合には、TaSb又はTaSbNで形成されることが好ましい。TaSb吸収膜208に酸素(O)が含まれない場合に、吸収膜208は塩素(Cl)系エッチングガスによってエッチングされる。特に、TaSb又はTaSbNは、酸素(O)不含の塩素(Cl)ガスによってエッチングされる。したがって、吸収膜208のエッチング工程で酸素(O)がキャッピング膜205に触れず、これによってキャッピング膜205の損傷が防止される。
【0031】
吸収膜208は、図2に示すように、2層構造で構成される場合に、吸収膜208は、反射膜204とキャッピング膜205上に形成される第1層208a、及び第1層208a上に形成された第2層208bを含む。このとき、第1層208aには酸素(O)が含まれなく、第2層208bには酸素(O)が含まれる。具体的には、第1層208aは、タンタル(Ta)及びアンチモン(Sb)を含み、第2層208bは、タンタル(Ta)、アンチモン(Sb)、及び酸素(O)を含む。第1層208aは、窒素(N)をさらに含んでよい。好ましくは、第1層208aは窒素(N)5~30at%を含み、第2層208bは酸素(O)1~50at%を含む。第2層208bに酸素(O)が含まれることによって第2層208bは反射率が減少し、これにより、第2層208bはDUV検査光に対する検査感度が高くなり、検査膜として働く。吸収膜208の第2層208bは、13.5nm波長のEUV露光光に対して2%以下、好ましくは1.5%以下の反射率を有する。
【0032】
第2層208bは、酸素(O)を含むことからフッ素(F)系エッチングガスによってエッチングされ、第1層208aは、酸素(O)を含まないことから塩素(Cl)系ガスによってエッチングされる。特に、第1層208aは、酸素(O)不含の塩素(Cl)系ガスによってエッチングされる。したがって、吸収膜208のエッチング工程においてフッ素(F)又は酸素(O)がキャッピング膜205に触れず、よって、キャッピング膜205の損傷が防止される。
【0033】
吸収膜208は、40nm以下の厚さを有し、好ましくは、30nm以下の厚さを有する。前述したように、消滅係数(k)がタンタル(Ta)に比べて高いアンチモン(Sb)を含むので、吸収膜208は、図1の従来の吸収膜108に比べて薄膜化が可能である。
【0034】
本発明の吸収膜208は、0.05以上、さらには0.06以上の消滅係数(k)を有するので、図1の従来の吸収膜108に比べて高い消滅係数(k)を確保することができる。これにより、40nm以下、さらには30nm以下の厚さの吸収膜208によっても十分な露光光の吸収が可能である。また、本発明の吸収膜208は、エッチング速度が20.1Å/sであり、図1の吸収膜108が14.0Å/sのエッチング速度を有することに比べて40%以上も増加したエッチング速度を有する。これによって吸収膜208のパターニング速度が増加し、フォトマスク製造工程の生産性が増大する。また、増加したエッチング速度により、本発明の吸収膜208のパターンは断面傾斜が86゜以上であり、顕著に改善された断面傾斜を示す。
【0035】
ハードマスク膜209は、吸収膜208をパターニングするためのエッチングマスクの機能を担う。そのために、ハードマスク膜209は、吸収膜208に対してエッチング選択比を有する物質で構成される。図2に示すように、吸収膜208の第2層208bがTaSbOで構成される場合に、第2層208bは、フッ素(F)系エッチングガスによってエッチングされる。したがって、ハードマスク膜209は、塩素(Cl)系エッチングガスによってエッチングされる物質で構成される。好ましい一例として、ハードマスク膜209は、クロム(Cr)及びニオビウム(Nb)を含む。CrNbハードマスク膜209は、酸素(O)不含の塩素(Cl)系エッチングガスによってエッチングされ、これにより、第1層208aのエッチング工程でハードマスク膜209がエッチングされて除去され、この過程で酸素(O)によるキャッピング膜205の損傷(damage)が発生しない。
【0036】
上記のような構成を有する本発明のブランクマスクを用いてフォトマスクを製造する過程は次の通りである。
【0037】
まず、基板202上に反射膜204、キャッピング膜205、吸収膜208、及びハードマスク膜209を順に形成し、ハードマスク膜209上にレジスト膜(図示せず)を形成する。レジスト膜を露光させてパターニングした後、パターニングされたレジスト膜をエッチングマスクとして用いてハードマスク膜209をパターニングする。このとき、ハードマスク膜209のエッチング工程には塩素(Cl)系エッチングガスが使用される。
【0038】
ハードマスク膜209のパターニングが完了した後、レジスト膜を除去する。レジスト膜は、別の除去工程無しでハードマスク膜209のオーバーエッチング(over‐etching)によって除去されてもよい。レジスト膜が除去された後、ハードマスク膜209をエッチングマスクとして用いて吸収膜208の第2層208bをエッチングしてパターニングし、ハードマスク膜209と第2層208bをエッチングマスクとして用いて第1層208aをパターニングする。第2層208bのパターニングにはフッ素(F)系エッチングガスが使用され、第1層208aのパターニングには酸素(O)不含の塩素(Cl)系エッチングガスが使用される。第1層208aがエッチングされる間にハードマスク膜209は共にエッチングされて除去される。
【0039】
このような工程によって本発明のブランクマスクを用いたフォトマスクの製造工程が完了する。
【0040】
以上では、図面を参照して本発明の実施例を用いて本発明を具体的に説明したが、実施例は、単に、本発明の例示及び説明をするための目的で挙げられただけで、意味限定や特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するためのものではない。したがって、本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば、実施例から様々な変形及び均等な他の実施例が可能であるという点が理解できよう。したがって、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲の技術的事項によって定められるべきである。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-08-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された反射膜と、
前記反射膜上に形成され、タンタル(Ta)及びアンチモン(Sb)を含む吸収膜と、
を含み、
前記吸収膜は、Ta:Sb=2:8~6:4at%の組成比を有し、
前記吸収膜は、
前記反射膜上に形成される第1層と、
前記第1層上に形成され、酸素(O)をさらに含む第2層と、
を含むことを特徴とする極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスク。
【請求項2】
前記吸収膜は、Ta:Sb=3:7~5:5at%の組成比を有することを特徴とする請求項1に記載の極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスク。
【請求項3】
前記第2層は、酸素(O)1~50at%を含むことを特徴とする請求項に記載の極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスク。
【請求項4】
前記第1層は、窒素(N)5~30~at%をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスク。
【請求項5】
前記吸収膜は、13.5nm波長のEUV露光光に対して0.05以上の消滅係数(k)を有することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスク。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の極端紫外線リソグラフィー用ブランクマスクを用いて製造されたフォトマスク。