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特開2024-147479媒体給送装置、記録装置及び記録装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147479
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】媒体給送装置、記録装置及び記録装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/06 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
B65H3/06 340E
B65H3/06 350C
B65H3/06 350A
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023152045
(22)【出願日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2023059987
(32)【優先日】2023-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】古澤 拓郎
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343FB01
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343JA01
3F343KB04
3F343KB14
3F343LA04
3F343LA15
3F343LC22
3F343LC25
3F343LD10
3F343LD22
3F343LD24
3F343LD29
3F343LD30
3F343MB04
3F343MB13
3F343MC19
(57)【要約】
【課題】装置の大型化を抑制することができる媒体給送装置、記録装置及び記録装置の制御方法を提供する。
【解決手段】媒体給送装置は、給送ローラーを駆動させる駆動部と、給送ローラーを支持するアーム部と、アーム部と当接可能である変位部と、を備える。給送ローラーは、駆動部からの正転動力により媒体載置部に載置された媒体を給送する。アーム部は、当接位置と離間位置との間で前記給送ローラーを変位させる。当接位置は、媒体載置部に載置された媒体に給送ローラーが当接する位置であり、離間位置は、媒体載置部に載置された媒体から給送ローラーが離間する位置である。変位部は、駆動部からの正転動力により給送ローラーを離間位置から当接位置に変位させるようにアーム部を回動させ、駆動部からの逆転動力により給送ローラーを当接位置から離間位置に変位させるようにアーム部を回動させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体載置部に載置された媒体を給送可能である給送ローラーと、
前記給送ローラーを駆動させる駆動部と、
前記給送ローラーを支持し、かつ、駆動軸を中心に回動可能であるアーム部と、
前記アーム部と当接可能であり、かつ、前記駆動部からの正転動力により前記アーム部を回動させる変位部と、
を備え、
前記給送ローラーは、前記駆動部からの正転動力により前記媒体載置部に載置された媒体を給送し、
前記アーム部は、当接位置と離間位置との間で前記給送ローラーを変位させ、
前記当接位置は、前記媒体載置部に載置された媒体に前記給送ローラーが当接する位置であり、
前記離間位置は、前記媒体載置部に載置された媒体から前記給送ローラーが離間する位置であり、
前記変位部は、前記駆動部からの正転動力により前記給送ローラーを前記離間位置から前記当接位置に変位させるように前記アーム部を回動させ、前記駆動部からの逆転動力により前記給送ローラーを前記当接位置から前記離間位置に変位させるように前記アーム部を回動させる、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体給送装置において、
前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、
前記第1位置は、前記アーム部との非当接により前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、
前記第2位置は、前記アーム部との当接により前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置である、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の媒体給送装置において、
前記変位部は、前記第2位置において前記アーム部を鉛直方向における下方から支持する、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項4】
請求項1に記載の媒体給送装置において、
並行移動可能であるラックを備え、
前記変位部は、前記ラックに設けられる、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の媒体給送装置において、
前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、
前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、
前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、
前記ラックは、前記給送ローラーに向かう第1移動方向と、前記第1移動方向の反対方向である第2移動方向とに移動可能であり、
前記変位部が前記第1位置に配置されるときに、前記ラックは、前記駆動軸よりも前記第1移動方向に位置し、前記駆動軸よりも前記第2移動方向に突出しない、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項6】
請求項1に記載の媒体給送装置において、
前記駆動部からの動力を前記給送ローラー及び前記変位部に伝達可能である動力伝達部を備え、
前記動力伝達部は、前記駆動部からの正転動力を前記給送ローラーに伝達するが、前記駆動部からの逆転動力を前記給送ローラーに伝達しないワンウェイクラッチを有する、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項7】
請求項1に記載の媒体給送装置において、
前記駆動部からの動力を前記給送ローラー及び前記変位部に伝達可能である動力伝達部と、
前記変位部の変位を規制する規制部と、
を備え、
前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、
前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、
前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、
前記規制部は、前記変位部が前記第1位置から前記第2位置に変位する際に、前記第2位置において前記変位部の変位を規制し、前記変位部が前記第2位置から前記第1位置に変位する際に、前記第1位置において前記変位部の変位を規制し、
前記動力伝達部は、前記駆動部からの動力を前記給送ローラーに伝達する第1動力伝達部と、前記駆動部からの動力を前記変位部に伝達する第2動力伝達部と、を有し、
前記第2動力伝達部は、所定負荷により動力の伝達を遮断するトルクリミッターを有し、
前記トルクリミッターは、前記第2位置において前記規制部により前記変位部の変位が規制されたときに、前記変位部への動力の伝達を遮断し、前記第1位置において前記規制部により前記変位部の変位が規制されたときに、前記変位部への動力の伝達を遮断する、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項8】
請求項7に記載の媒体給送装置において、
前記トルクリミッターは、前記駆動軸と同軸上に設けられる、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項9】
請求項1に記載の媒体給送装置において、
前記アーム部は、前記給送ローラーを揺動可能に支持する、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項10】
請求項1に記載の媒体給送装置において、
前記アーム部は、前記駆動軸に対して着脱可能である、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項11】
請求項1に記載の媒体給送装置において、
前記媒体載置部を引出方向に引出す際に、前記アーム部を退避位置に退避させるアーム退避部を備える、
ことを特徴とする媒体給送装置。
【請求項12】
請求項1~請求項11のうち何れか一項に記載の媒体給送装置と、
前記給送ローラーによって給送された媒体に記録を行う記録部と、
を備える、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項13】
請求項12に記載の記録装置において、
前記媒体給送装置によって給送された媒体を反転させる反転部を備え、
前記記録部は、媒体として両面印刷可能な写真用紙に記録が可能であり、かつ、前記反転部によって媒体が反転された後に記録可能である、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項14】
請求項12に記載の記録装置において、
制御部を備え、
前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、
前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、
前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、
前記制御部は、媒体に記録を行うジョブの終了後に次のジョブがない場合と、媒体に記録を行うジョブの終了後に所定時間に亘って次のジョブがない場合と、電源を切断する場合との少なくとも何れかにおいて前記変位部を前記第2位置に変位させる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項15】
請求項12に記載の記録装置において、
制御部と、
前記給送ローラーによって給送された媒体の先端を検出する媒体検出部と、
を備え、
前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、
前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、
前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、
前記制御部は、
前記変位部が前記第1位置であるとき、媒体を給送するために前記駆動部の駆動を開始してから、第1時間が経過しても前記媒体検出部によって媒体の先端が検出されない場合に、給送エラーと判定し、
前記変位部が前記第2位置であるとき、媒体を給送するために前記駆動部の駆動を開始してから、前記第1時間よりも長い第2時間が経過しても前記媒体検出部によって媒体の先端が検出されない場合に、前記給送エラーと判定する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項16】
請求項3に記載の媒体給送装置と、
前記給送ローラーによって給送された媒体に記録を行う記録部と、
制御部と、
を備え、
前記アーム部は、前記駆動軸に対して着脱可能であり、
前記制御部は、前記変位部が前記第2位置であるときに、前記アーム部を前記駆動軸に対して着脱する際に、前記変位部を前記第2位置から前記第1位置に変位させる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項17】
請求項12に記載の記録装置の制御方法において、
前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、
前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、
前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、
媒体に記録を行うジョブの終了後に次のジョブがない場合と、媒体に記録を行うジョブの終了後に所定時間に亘って次のジョブがない場合と、電源を切断する場合との少なくとも何れかにおいて前記変位部を前記第2位置に変位させることを含む、
ことを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項18】
請求項17に記載の記録装置の制御方法において、
前記記録装置は、前記給送ローラーによって給送された媒体の先端を検出する媒体検出部を有し、
前記変位部が前記第1位置であるとき、媒体を給送するために前記駆動部の駆動を開始してから、第1時間が経過しても前記媒体検出部によって媒体の先端が検出されない場合に、給送エラーと判定することと、
前記変位部が前記第2位置であるとき、媒体を給送するために前記駆動部の駆動を開始してから、前記第1時間よりも長い第2時間が経過しても前記媒体検出部によって媒体の先端が検出されない場合に、前記給送エラーと判定することと、を含む、
ことを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項19】
請求項3に記載の媒体給送装置と、前記給送ローラーによって給送された媒体に記録を行う記録部とを備える記録装置の制御方法において、
前記アーム部は、前記駆動軸に対して着脱可能であり、
前記変位部が前記第2位置であるときに、前記アーム部を前記駆動軸に対して着脱する際に、前記変位部を前記第2位置から前記第1位置に変位させることを含む、
ことを特徴とする記録装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体給送装置、記録装置及び記録装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、媒体載置部に載置された媒体を給送する給送ローラーと、給送ローラーを収容するアーム部と、給送ローラーを駆動させるローラー駆動部と、を備える媒体給送装置が開示されている。このような媒体給送装置では、カムの回転により、給送ローラーを媒体から退避させるように構成されている。このように、媒体に対する給送ローラーの接触を抑制することにより、給送ローラーによるブリード痕を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-302006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような媒体給送装置では、ローラー駆動部とは別に、カムを回転させるためのカム駆動部が設けられている。このため、装置の大型化を招くおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する媒体給送装置は、媒体載置部に載置された媒体を給送可能である給送ローラーと、前記給送ローラーを駆動させる駆動部と、前記給送ローラーを支持し、かつ、駆動軸を中心に回動可能であるアーム部と、前記アーム部と当接可能であり、かつ、前記駆動部からの正転動力により前記アーム部を回動させる変位部と、を備え、前記給送ローラーは、前記駆動部からの正転動力により前記媒体載置部に載置された媒体を給送し、前記アーム部は、当接位置と離間位置との間で前記給送ローラーを変位させ、前記当接位置は、前記媒体載置部に載置された媒体に前記給送ローラーが当接する位置であり、前記離間位置は、前記媒体載置部に載置された媒体から前記給送ローラーが離間する位置であり、前記変位部は、前記駆動部からの正転動力により前記給送ローラーを前記離間位置から前記当接位置に変位させるように前記アーム部を回動させ、前記駆動部からの逆転動力により前記給送ローラーを前記当接位置から前記離間位置に変位させるように前記アーム部を回動させる。
【0006】
上記課題を解決する記録装置は、媒体給送装置と、媒体に記録を行う記録部と、を備える。前記媒体給送装置は、媒体載置部に載置された媒体を給送可能である給送ローラーと、前記給送ローラーを駆動させる駆動部と、前記給送ローラーを支持し、かつ、駆動軸を中心に回動可能であるアーム部と、前記アーム部と当接可能であり、かつ、前記駆動部からの正転動力により前記アーム部を回動させる変位部と、を備え、前記給送ローラーは、前記駆動部からの正転動力により前記媒体載置部に載置された媒体を給送し、前記アーム部は、当接位置と離間位置との間で前記給送ローラーを変位させ、前記当接位置は、前記媒体載置部に載置された媒体に前記給送ローラーが当接する位置であり、前記離間位置は、前記媒体載置部に載置された媒体から前記給送ローラーが離間する位置であり、前記変位部は、前記駆動部からの正転動力により前記給送ローラーを前記離間位置から前記当接位置に変位させるように前記アーム部を回動させ、前記駆動部からの逆転動力により前記給送ローラーを前記当接位置から前記離間位置に変位させるように前記アーム部を回動させる。記録部は、給送ローラーによって給送された媒体に記録を行う。
【0007】
上記課題を解決する記録装置の制御方法は、上記の記録装置の制御方法において、前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、媒体に記録を行うジョブの終了後に次のジョブがない場合と、媒体に記録を行うジョブの終了後に所定時間に亘って次のジョブがない場合と、電源を切断する場合との少なくとも何れかにおいて前記変位部を前記第2位置に変位させることを含む。
【0008】
上記課題を解決する記録装置は、媒体給送装置と、媒体に記録を行う記録部と、制御部と、を備える。前記媒体給送装置は、媒体載置部に載置された媒体を給送可能である給送ローラーと、前記給送ローラーを駆動させる駆動部と、前記給送ローラーを支持し、かつ、駆動軸を中心に回動可能であるアーム部と、前記アーム部と当接可能であり、かつ、前記駆動部からの正転動力により前記アーム部を回動させる変位部と、を備え、前記給送ローラーは、前記駆動部からの正転動力により前記媒体載置部に載置された媒体を給送し、前記アーム部は、当接位置と離間位置との間で前記給送ローラーを変位させ、前記当接位置は、前記媒体載置部に載置された媒体に前記給送ローラーが当接する位置であり、前記離間位置は、前記媒体載置部に載置された媒体から前記給送ローラーが離間する位置であり、前記変位部は、前記駆動部からの正転動力により前記給送ローラーを前記離間位置から前記当接位置に変位させるように前記アーム部を回動させ、前記駆動部からの逆転動力により前記給送ローラーを前記当接位置から前記離間位置に変位させるように前記アーム部を回動させ、前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、前記第1位置は、前記アーム部との非当接により前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、前記第2位置は、前記アーム部との当接により前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、前記変位部は、前記第2位置において前記アーム部を鉛直方向における下方から支持する。前記アーム部は、前記駆動軸に対して着脱可能であり、前記制御部は、前記変位部が前記第2位置であるときに、前記アーム部を前記駆動軸に対して着脱する際に、前記変位部を前記第2位置から前記第1位置に変位させる。記録部は、給送ローラーによって給送された媒体に記録を行う。
【0009】
上記課題を解決する記録装置の制御方法は、上記の媒体給送装置と、前記給送ローラーによって給送された媒体に記録を行う記録部とを備える記録装置の制御方法において、前記アーム部は、前記駆動軸に対して着脱可能であり、前記変位部が前記第2位置であるときに、前記アーム部を前記駆動軸に対して着脱する際に、前記変位部を前記第2位置から前記第1位置に変位させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の記録装置を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の記録装置を示す斜視図である。
図3】第1実施形態の記録装置を示す斜視図である。
図4】第1実施形態の記録装置を示す断面図である。
図5】第1実施形態の媒体給送装置を示す斜視図である。
図6】第1実施形態の媒体給送装置を示す模式図である。
図7】第1実施形態の媒体給送装置を示す模式図である。
図8】第1実施形態の媒体給送装置を示す側面図である。
図9】第1実施形態の媒体給送装置を示す側面図である。
図10】第1実施形態の媒体給送装置を示す上面図である。
図11】第1実施形態の当接処理を示すフローチャートである。
図12】第1実施形態の第1離間処理を示すフローチャートである。
図13】第1実施形態の第2離間処理を示すフローチャートである。
図14】第1実施形態の媒体給送監視処理を示すフローチャートである。
図15】第1実施形態の着脱時制御処理を示すフローチャートである。
図16】第2実施形態の第1離間処理を示すフローチャートである。
図17】第3実施形態の媒体給送装置を示す斜視図である。
図18】第3実施形態の媒体給送装置を示す斜視図である。
図19】第3実施形態の媒体給送装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、媒体給送装置、記録装置及び記録装置の制御方法の一実施形態について説明する。記録装置は、媒体給送装置を含む。以下の説明では、鉛直方向Zと交差する方向を幅方向Xとし、鉛直方向Z及び幅方向Xと交差する方向を前後方向Yとする。幅方向Xのうち一方を第1幅方向X1とし、幅方向Xのうち他方を第2幅方向X2とする。前後方向Yのうち一方を前方Y1とし、前後方向Yのうち他方を後方Y2とする。鉛直方向Zのうち上方を上方Z1とし、鉛直方向Zのうち下方を下方Z2とする。
【0012】
<記録装置11の構成>
図1に示すように、記録装置11は、媒体に記録を行う装置である。記録装置11は、液体を吐出することにより媒体に記録を行う装置であってもよい。液体は、例えばインクであってもよい。液体は、例えば複数種類の色であっても1種類の色であってもよい。媒体は、例えば用紙であってもよい。用紙は、後述する写真用紙を含む。記録装置11は、複数種類の用紙に記録を行ことができる装置であってもよい。
【0013】
記録装置11は、直方体状に構成される。記録装置11は、前面12を備える。前面12は、前方Y1に向かう平面である。記録装置11は、背面13を備える。背面13は、後方Y2に向かう平面である。記録装置11は、左側面14を備える。左側面14は、第2幅方向X2に向かう平面である。記録装置11は、右側面15を備える。右側面15は、第1幅方向X1に向かう平面である。記録装置11は、底面16を備える。底面16は、下方Z2に向かう平面である。記録装置11は、天面17を備える。天面17は、上方Z1に向かう平面である。
【0014】
このように、天面17は、積載対象物を積載可能である平面を含む。積載対象物としては、別の記録装置11であってもよく、ノート型のコンピューターであってもよい。天面17は、積載対象物を積載可能である平面を含めば、全部の領域において平面であっても、一部の領域において平面ではなくてもよい。
【0015】
記録装置11は、筐体20と、本体21とを備える。筐体20は、本体21を収容するように構成される。筐体20は、少なくとも記録装置11の左側面14の一部、右側面15の一部、底面16の一部及び天面17の一部を構成するが、少なくとも記録装置11の左側面14の全部、右側面15の全部、底面16の全部及び天面17の全部を構成してもよい。
【0016】
このように、筐体20は、記録装置11の左側面14、右側面15、底面16及び天面17という複数の面を有する。記録装置11の左側面14、右側面15、底面16及び天面17は、それぞれ筐体20の左側面、右側面、底面及び天面であるともいえる。なお、筐体20に、記録装置11の前面12の少なくとも一部が含まれてもよい。また、筐体20に、記録装置11の背面13の少なくとも一部が含まれてもよい。
【0017】
本体21は、少なくとも記録装置11の前面12の全部を構成するが、少なくとも記録装置11の前面12の一部を構成してもよい。このように、本体21は、記録装置11の前面12を有する。記録装置11の前面12は、本体21の前面であるともいえる。また、記録装置11の背面13は、筐体20の背面と、本体21の背面とで構成されてもよいが、筐体20の背面だけで構成されてもよく、本体21の背面だけで構成されてもよい。
【0018】
筐体20は、平板形状の底板22を備える。底板22は、金属製であるが、樹脂製であってもよく、金属板と樹脂板との両方から構成されてもよい。底板22は、貫通孔22Aを備える。貫通孔22Aは、底板22を鉛直方向Zに沿って開口する。貫通孔22Aは、筐体20に収容される部材を底板22の下方Z2側から着脱するための孔である。
【0019】
記録装置11は、収容量視認部31を備える。収容量視認部31は、本体21に設けられる。収容量視認部31は、後述する液体収容部40における液体の収容量を視認可能である。収容量視認部31は、各色の液体にそれぞれ対応する複数の視認窓から構成される。
【0020】
記録装置11は、操作パネル33を備える。操作パネル33は、本体21に設けられる。操作パネル33は、操作部34と、表示部35とを備える。操作部34は、ユーザーによって操作可能である。操作部34は、複数の操作ボタンから構成されてもよい。表示部35は、記録装置11に関する情報を表示する。操作パネル33は、記録装置11の前面12に位置する。
【0021】
本体21は、筐体20に対して前後方向Yに沿って変位可能に構成される。詳しくは、本体21は、筐体20に対して、前後方向Yに沿って閉位置、第1開位置及び第2開位置の間で変位可能に構成される。
【0022】
本体21は、閉位置に配置可能である。閉位置は、本体21が筐体20に収容される位置である。閉位置は、前方Y1に向かって所定距離D0だけ本体21が筐体20から突出する位置であるが、本体21が筐体20から突出しない位置であってもよい。つまり、本体21は、記録装置11の左側面14の一部、右側面15の一部、底面16の一部及び天面17の一部を構成するが、記録装置11の左側面14、右側面15、底面16及び天面17を構成しなくてもよい。
【0023】
図2に示すように、本体21は、第1開位置に変位可能である。第1開位置は、前方Y1に向かって本体21が筐体20から突出する開位置である。特に、第1開位置は、前方Y1に向かって第1距離D1だけ本体21が筐体20から突出する位置である。第1距離D1は、所定距離D0よりも長い距離である。このように、本体21が第1開位置に配置されるときに、本体21の内部の少なくとも一部が筐体20から露出する。
【0024】
図3に示すように、本体21は、第2開位置に変位可能である。第2開位置は、前方Y1に向かって本体21が筐体20から突出する開位置である。特に、第2開位置は、前方Y1に向かって第2距離D2だけ本体21が筐体20から突出する位置である。第2距離D2は、第1距離D1よりも長い距離である。このように、本体21が第2開位置に配置されるときに、本体21の内部の少なくとも一部が筐体20から露出する。
【0025】
記録装置11は、制御部23を備える。制御部23は、本体21に搭載されている。制御部23は、筐体20に収容されている。制御部23は、本体21が閉位置、第1開位置及び第2開位置に配置されるときに筐体20から露出しない。
【0026】
制御部23は、記録装置11を制御する。制御部23は、記録装置11で実行される各種動作を制御する。制御部23は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。ハードウェア回路は、例えば特定用途向け集積回路である。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0027】
記録装置11は、開閉部37を備える。開閉部37は、本体21に設けられる。開閉部37は、記録装置11の前面12に位置する。開閉部37は、下端部37Aにおいて幅方向Xに沿う回転軸を中心として回転可能に構成される。これにより、開閉部37は、記録装置11の前面12に対して開閉可能に構成される。
【0028】
記録装置11は、排出口38を備える。排出口38は、本体21に設けられる。排出口38は、後述する記録部48によって記録された媒体を排出する開口である。排出口38は、記録装置11の前方Y1に開口する。つまり、排出口38は、記録装置11の前面12において、前方Y1に開口するように設けられる。言い換えると、排出口38は、本体21の前面において、前方Y1に開口するように設けられる。
【0029】
排出口38は、開閉部37が開放しているときに記録装置11の前方Y1において露出する。排出口38は、開閉部37が閉鎖しているときに露出しないが、開閉部37が閉鎖しているときにも露出してもよい。排出口38は、後述する液体収容部40の第2幅方向X2に位置する。
【0030】
記録装置11は、排紙トレイ37Bを備える。排紙トレイ37Bは、本体21に設けられる。排紙トレイ37Bは、開閉部37の内壁面に設けられる。排紙トレイ37Bは、開閉部37が開放されているときに露出し、記録後の媒体を載置可能である。排紙トレイ37Bは、前後方向Yに伸縮可能に構成されてもよい。
【0031】
記録装置11は、把持部39を備える。把持部39は、本体21に設けられる。把持部39は、排出口38の上方Z1に設けられる。把持部39は、記録装置11の前面12において、前方Y1からユーザーにより把持可能な位置に設けられる。つまり、把持部39は、本体21の前方Y1に向かう面において、前方Y1からユーザーにより把持可能な位置に設けられる。このように、把持部39は、本体21を前後方向Yに変位させる際にユーザーにより把持可能である。特に、複数の記録装置11を鉛直方向Zに積載した場合や複数の記録装置11を幅方向Xに横並びに設置した場合であっても、把持部39は、ユーザーにより前方Y1側から容易に把持可能となる。
【0032】
図2に示すように、記録装置11は、液体収容部40を備える。液体収容部40は、本体21に搭載されている。液体収容部40は、媒体への記録に用いる液体を収容するように構成される。つまり、液体収容部40は、後述する記録部48へ供給する液体を収容するように構成される。液体収容部40は、液体が注入可能なタンク型の収容部であってもよい。
【0033】
液体収容部40は、収容室41と、液体注入口42と、キャップ43と、を備える。収容室41は、液体を収容するように構成される。液体注入口42は、収容室41に液体を注入可能に構成される開口である。キャップ43は、液体注入口42を覆う。キャップ43は、収容室41を密封することにより、収容室41における乾燥を抑制することができる。液体注入口42からキャップ43を取り外すことにより、液体注入口42から収容室41への液体の注入が可能となる。液体収容部40は、各色の液体にそれぞれ対応する複数の収容室41、複数の液体注入口42及び複数のキャップ43を備えてもよい。
【0034】
液体収容部40は、本体21が閉位置に配置されるときに筐体20から露出しない。液体収容部40は、本体21が第1開位置に配置されるときに筐体20から露出する。このように、本体21が第1開位置に配置されるときに、キャップ43を取り外すことにより、液体注入口42は、筐体20から露出する。これにより、液体注入口42から収容室41への液体の注入が可能となる。なお、液体収容部40は、本体21が第2開位置に配置されるときにも筐体20から露出する。
【0035】
記録装置11は、廃液装着部45を備える。廃液装着部45は、廃液収容体46を装着可能に構成される。廃液収容体46は、後述する記録部48から廃液として排出された液体を、不図示のメンテナンス装置を介して回収可能に構成される。廃液装着部45は、本体21に搭載されている。廃液装着部45は、排出口38の上方Z1に設けられる。
【0036】
廃液装着部45は、本体21が閉位置に配置されるときに筐体20から露出しない。廃液装着部45は、本体21が第1開位置に配置されるときに筐体20から露出する。このように、本体21が第1開位置に配置されるときに、廃液装着部45は、筐体20から露出する。これにより、廃液装着部45における廃液収容体46の着脱が可能となる。なお、廃液装着部45は、本体21が第2開位置に配置されるときにも筐体20から露出する。
【0037】
図3に示すように、記録装置11は、記録部48を備える。記録部48は、媒体に記録を行うように構成される。記録部48は、媒体に液体を吐出することにより媒体に記録を行うように構成されてもよい。記録部48は、本体21に搭載されている。記録部48は、前後方向Yにおいて液体収容部40と隣り合う位置に設けられる。記録部48は、液体収容部40よりも後方Y2に設けられる。
【0038】
記録部48は、本体21が第2開位置に配置されるときに筐体20から露出する。特に、後述するキャリッジ51は、本体21が第2開位置に配置されるときに筐体20から露出する。記録部48は、本体21が閉位置及び第1開位置に配置されるときに筐体20から露出しない。
【0039】
記録装置11は、搬送経路49を備える。搬送経路49は、媒体を搬送する経路である。搬送経路49は、本体21に設けられる。搬送経路49の一部は、本体21が第2開位置に配置されるときに筐体20から露出する。特に、搬送経路49のうち、記録部48により媒体への記録が行われる記録領域RAは、本体21が第2開位置に配置されるときに筐体20から露出する。搬送経路49の一部は、本体21が閉位置及び第1開位置に配置されるときに筐体20から露出しない。
【0040】
図4に示すように、記録部48は、キャリッジ51と、液体吐出ヘッド52とを備える。キャリッジ51は、液体吐出ヘッド52を上方Z1から支持する。液体吐出ヘッド52は、キャリッジ51の下方Z2に設けられる。つまり、液体吐出ヘッド52は、キャリッジ51に搭載される。
【0041】
液体吐出ヘッド52は、不図示の複数のノズルを備える。複数のノズルのそれぞれは、後述する支持部53に支持された媒体に向けて開口する。複数のノズルのそれぞれは、液体を吐出する。液体吐出ヘッド52は、支持部53に支持された媒体に向けて複数のノズルから液体を吐出する。このように、記録部48は、媒体への液体の吐出により媒体に記録を行うように構成される。液体吐出ヘッド52は、キャリッジ51の幅方向Xへの移動に伴って液体を吐出するシリアルヘッド型であるが、ラインヘッド型であってもよい。
【0042】
記録装置11は、支持部53を備える。支持部53は、本体21に搭載される。支持部53は、媒体を支持するように構成される。特に、支持部53は、記録部48によって媒体に記録が行われる記録領域RAにおいて、媒体を支持する。
【0043】
記録装置11は、媒体載置部54を備える。媒体載置部54は、1枚又は複数枚の媒体を載置可能である。媒体載置部54は、媒体を載置可能なトレイであってもよい。媒体載置部54は、本体21に搭載される。媒体載置部54は、前後方向Yに沿って本体21から変位可能である。媒体載置部54は、本体21から前方Y1に引き出されることにより、媒体の載置及び媒体の取出が可能な状態となる。このように、前方Y1は、媒体載置部54が引き出される引出方向の一例に相当する。
【0044】
媒体載置部54は、仕切板54Aを備える。仕切板54Aは、媒体載置部54の前後方向Yにおける中央に位置する。仕切板54Aは、媒体載置部54を前後方向Yに仕切る。媒体載置部54は、第1媒体載置部54Bを備える。媒体載置部54は、第2媒体載置部54Cを備えてもよい。第1媒体載置部54Bと第2媒体載置部54Cとは、仕切板54Aにより前後方向Yに仕切られた部位である。第1媒体載置部54Bは、第2媒体載置部54Cよりも後方Y2に位置する。第1媒体載置部54Bは、読取前の1枚又は複数枚の媒体を載置可能である。第2媒体載置部54Cは、読取後の1枚又は複数枚の媒体を載置可能である。
【0045】
記録装置11は、媒体給送装置60を備える。媒体給送装置60は、媒体載置部54が本体21に装着されているときに、媒体載置部54の上方Z1に位置する。詳しくは、媒体給送装置60は、媒体載置部54が本体21に装着されているときに、第1媒体載置部54Bの上方Z1に位置する。媒体給送装置60は、媒体載置部54に載置されている媒体を1枚ずつ給送する。
【0046】
記録装置11は、搬送部55を備える。搬送部55は、媒体を搬送するように構成される。搬送部55は、本体21に搭載される。搬送部55は、媒体給送装置60によって給紙した媒体を搬送経路49に沿って搬送する。
【0047】
搬送部55は、複数のローラーと、駆動源となる複数のモーターとを備える。特に、搬送部55は、搬送ローラー対56を備える。搬送ローラー対56は、支持部53の搬送経路49の上流に位置する。搬送ローラー対56は、搬送経路49に沿って媒体を支持部53に搬送する。また、搬送部55は、排出ローラー対57を備える。排出ローラー対57は、支持部53の搬送経路49の下流に位置する。排出ローラー対57は、搬送経路49に沿って記録後の媒体を排出する。
【0048】
このように、媒体載置部54に載置されている媒体は、媒体給送装置60によって給紙される。そして、媒体給送装置60によって給紙された媒体は、搬送部55によって搬送経路49に沿って搬送される。これにより、記録部48は、搬送部55によって搬送経路49に沿って搬送された媒体に記録を行う。つまり、記録部48は、媒体給送装置60によって給送された媒体に記録を行う。言い換えると、記録部48は、後述する給送ローラー63によって給送された媒体に記録を行う。
【0049】
搬送部55は、反転部58を備える。つまり、反転部58は、本体21に搭載される。また、記録装置11は、反転部58を備える。反転部58は、本体21に対して後方Y2から着脱可能に構成されてもよい。反転部58は、複数のローラーを備える。反転部58は、搬送経路49に沿って媒体を搬送させるように構成される。
【0050】
搬送経路49は、反転経路49Aを備える。反転経路49Aは、搬送ローラー対56と反転部58とを結ぶ経路である。反転経路49Aは、前後方向Yに沿って延びる。記録領域RAにおいて記録部48によって媒体の表面に記録が行われた後、搬送ローラー対56は、反転経路49Aに沿って媒体を反転部58に搬送する。反転部58は、反転経路49Aに沿って搬送された媒体を反転させた状態で、搬送経路49に沿って媒体を搬送するように構成される。つまり、反転部58は、媒体給送装置60によって給送された媒体を反転させる。
【0051】
このように、反転部58によって反転された媒体が再び記録領域RAに搬送されることにより、記録部48は、媒体の裏面に記録可能となる。これにより、記録部48は、媒体の両面に印刷が可能となる。つまり、記録部48は、反転部58によって媒体が反転された後に記録可能である。特に、記録部48は、媒体として両面印刷可能な写真用紙に記録可能であってもよい。
【0052】
記録装置11は、媒体検出部59を備える。媒体検出部59は、搬送経路49に沿って設けられる。媒体検出部59は、搬送経路49のうち、媒体載置部54と反転部58との間に設けられてもよいが、反転部58と搬送ローラー対56との間に設けられてもよい。媒体検出部59は、媒体給送装置60によって給送された媒体の先端を検出する。詳しくは、媒体検出部59は、後述する給送ローラー63によって給送された媒体の先端を検出する。
【0053】
<媒体給送装置60の構成>
ここで、媒体給送装置60について詳しく説明する。
図4及び図5に示すように、媒体給送装置60は、給送ローラーユニット61と、駆動軸62とを備える。給送ローラーユニット61は、駆動軸62を中心に回動可能に設けられる。駆動軸62は、幅方向Xに沿って延びる。駆動軸62は、給送ローラーユニット61に動力を伝達するためのドライブシャフトであってもよい。
【0054】
給送ローラーユニット61は、給送ローラー63を備える。つまり、媒体給送装置60は、給送ローラー63を備える。給送ローラーユニット61は、複数の給送ローラー63を備えてもよい。給送ローラーユニット61は、アーム部64を備える。つまり、媒体給送装置60は、アーム部64を備える。
【0055】
給送ローラー63は、アーム部64に収容される。給送ローラー63は、アーム部64の先端部64Bに設けられる。給送ローラー63は、第1回転軸63Aを中心として回転可能に支持される。第1回転軸63Aは、幅方向Xに沿って延びる。給送ローラー63は、媒体載置部54に載置された媒体を給送可能である。
【0056】
アーム部64は、給送ローラー63を含む各種の部材を収容する。アーム部64は、基端部64Aと、先端部64Bとを備える。基端部64Aは、先端部64Bよりも前方Y1に位置してもよい。
【0057】
アーム部64は、基端部64Aにおいて駆動軸62を中心に回動可能に設けられる。つまり、アーム部64は、駆動軸62を中心に回動可能である。また、駆動軸62は、アーム部64を回動可能に支持するように構成される。
【0058】
アーム部64は、駆動軸62に対して着脱可能である。詳しくは、本体21が閉位置にあり、かつ、媒体載置部54が本体21から取り外された状態において、アーム部64は、貫通孔22Aを介して露呈される。このように、本体21が閉位置にあり、かつ、媒体載置部54が本体21から取り外された状態において、アーム部64は、貫通孔22Aを介して着脱可能となる。
【0059】
アーム部64は、先端部64Bにおいて給送ローラー63を回転可能に支持する。特に、アーム部64は、給送ローラー63との間に遊びを設けることにより、給送ローラー63を揺動可能に支持する。
【0060】
アーム部64は、駆動軸62を中心に回動することにより、媒体載置部54に載置される媒体に対して給送ローラー63を進退させる。アーム部64は、媒体載置部54に載置されている媒体に給送ローラー63を接触させることができる。アーム部64は、媒体載置部54に載置されている媒体の枚数によって傾斜角度が変化可能である。このように、アーム部64は、媒体載置部54に載置されている媒体の枚数によって、給送ローラー63と媒体載置部54との距離を変えるように変位可能である。つまり、アーム部64は、傾斜角度によって給送ローラー63を変位可能である。
【0061】
図5に示すように、アーム部64は、被係合部64Cを備える。被係合部64Cは、後述する第2係合部30Fと係合可能である。被係合部64Cは、後方Y2に向かって開放する係合凹部であってもよい。
【0062】
図6及び図7に示すように、アーム部64は、駆動軸62を中心に回動することにより、給送位置と退避位置との間で変位可能である。給送位置は、図6に示すように、媒体載置部54に載置された媒体を給送可能な位置である。給送位置は、給送ローラー63を当接位置に変位させる位置である。当接位置は、媒体載置部54に載置された媒体に給送ローラー63が当接する位置である。
【0063】
退避位置は、図7に示すように、媒体載置部54の引き出しと干渉しない位置である。退避位置は、給送ローラー63を離間位置に変位させる位置である。離間位置は、媒体載置部54に載置された媒体から給送ローラー63が離間する位置である。
【0064】
記録装置11は、アーム退避部30を備える。アーム退避部30は、媒体載置部54を引出方向に引出す際に、アーム部64を退避位置に退避させるように構成される。退避位置は、図7に示すように、媒体載置部54の引き出しと干渉しない位置である。
【0065】
アーム退避部30は、本体21に設けられる。アーム退避部30は、幅方向XからみてL字形状である。アーム退避部30は、軸30Aを中心として回動可能に設けられる。軸30Aは、幅方向Xに沿って延びる。
【0066】
アーム退避部30は、本体部30Bと、第1レバー30Cと、第2レバー30Dと、を備える。第1レバー30Cは、本体部30Bから下方Z2に向かって突出する。第2レバー30Dは、本体部30Bから前方Y1に向かって突出する。
【0067】
アーム退避部30は、第1係合部30Eと、第2係合部30Fとを備える。第1係合部30Eは、第1レバー30Cの先端部に設けられる。第1係合部30Eは、不図示のスライド部材と係合可能である。第1係合部30Eは、係合孔であってもよい。第2係合部30Fは、第2レバー30Dの先端部に設けられる。第2係合部30Fは、被係合部64Cと係合可能である。第2係合部30Fは、係合凸部であってもよい。
【0068】
アーム退避部30は、不図示の付勢部材によって上方Z1側に付勢力が付与されている。アーム部64は、外力が付与されないときには、退避位置に位置する。アーム部64は、不図示のモーターの駆動力により、給送位置と退避位置との間で変位してもよい。アーム部64は、不図示の付勢部材によって下方Z2側に付勢力が付与されてもよい。
【0069】
スライド部材は、媒体載置部54が後方Y2に装着されることに伴って、後方Y2にスライドする。この場合に、図6に示すように、第1係合部30Eも後方Y2に移動する。これにより、アーム退避部30は、付勢部材からの付勢力に反して、軸30Aを中心に回動する。そして、アーム退避部30は、アーム部64を退避位置から給送位置に変位させる。
【0070】
スライド部材は、媒体載置部54が前方Y1に引き出されることに伴って、前方Y1にスライド可能となる。このように、スライド部材が前方Y1にスライドすることにより、図7に示すように、アーム退避部30は、付勢部材からの付勢力を受けて軸30Aを中心に回動する。そして、アーム退避部30は、アーム部64を給送位置から退避位置に変位させる。
【0071】
図5に示すように、媒体給送装置60は、駆動部65を備える。駆動部65は、給送ローラーユニット61への動力源である。駆動部65は、モーターであってもよい。駆動部65は、駆動軸62を回転させることにより、給送ローラーユニット61に動力を供給する。詳しくは、駆動部65は、駆動軸62に軸着されている歯車62Aを回転させることにより、給送ローラーユニット61に動力を供給する。特に、駆動部65は、給送ローラー63を駆動させる。駆動部65は、後述する変位部86を駆動させる。
【0072】
駆動部65は、正転駆動と逆転駆動とを行うことができる。正転駆動は、給送ローラーユニット61に正転動力を供給することができる駆動である。正転動力は、給送ローラー63を正転させる動力である。逆転駆動は、給送ローラーユニット61に逆転動力を供給することができる駆動である。逆転動力は、正転動力の反対の方向に働く動力である。駆動軸62は、駆動部65の正転動力が伝わると、第1回転方向R1に回転可能である。駆動軸62は、駆動部65の逆転動力が伝わると、第2回転方向R2に回転可能である。
【0073】
<変位ユニット67の構成>
媒体給送装置60は、変位ユニット67を備える。変位ユニット67は、給送ローラーユニット61とは別体に設けられる。変位ユニット67は、給送ローラーユニット61よりも、第2幅方向X2側に設けられる。
【0074】
変位ユニット67は、給送ローラー63を変位させるユニットである。詳しくは、変位ユニット67は、アーム部64を変位させることにより、給送ローラー63を変位させるユニットである。
【0075】
変位ユニット67は、ユニット筐体87を備える。ユニット筐体87は、変位ユニット67を構成する各種の部材を収容する。変位ユニット67は、本体21に固定されている。このため、ユニット筐体87は、駆動部65からの動力に応じて変位しない。
【0076】
<動力伝達部66の構成>
媒体給送装置60は、動力伝達部66を備える。動力伝達部66は、駆動部65からの動力を給送ローラー63に伝達可能である。動力伝達部66は、駆動部65からの動力を後述する変位部86に伝達可能である。
【0077】
動力伝達部66は、第1動力伝達部68と、第2動力伝達部69と、を備える。第1動力伝達部68は、アーム部64に収容される。第2動力伝達部69は、変位ユニット67に収容される。
【0078】
第1動力伝達部68は、第1伝達経路として用いられる伝達部である。第1伝達経路は、駆動部65からの動力を給送ローラー63に伝達するための伝達経路である。第1動力伝達部68は、駆動軸62の回転により駆動部65からの動力が伝達される伝達部である。第1動力伝達部68は、駆動部65からの動力に応じて給送ローラー63に伝達する。つまり、第1動力伝達部68は、駆動部65からの動力を給送ローラー63に伝達可能である。
【0079】
第1動力伝達部68は、複数の歯車70~75,77~79を備える。つまり、動力伝達部66は、複数の歯車70~75,77~79を備える。第1動力伝達部68は、第1回転軸63Aを備える。第1動力伝達部68は、第2回転軸76を備える。複数の歯車70~75,77~79のそれぞれは、幅方向Xに沿って延びる軸を中心に回転可能にアーム部64に軸着される。複数の歯車70~75,77~79のそれぞれは、順番に噛み合う。
【0080】
歯車70,72,74のそれぞれは、駆動部65の正転動力が伝わると第1回転方向R1に回転する。歯車71,73,75のそれぞれは、駆動部65の正転動力が伝わると第2回転方向R2に回転する。歯車70,72,74のそれぞれは、駆動部65の逆転動力が伝わると第2回転方向R2に回転する。歯車71,73,75のそれぞれは、駆動部65の逆転動力が伝わると第1回転方向R1に回転する。
【0081】
特に、歯車70は、複数の歯車70~75,77~79のうち、第1動力伝達部68の動力経路における最上流に設けられる。歯車70は、駆動軸62に軸着されている。このように、歯車70は、駆動部65からの動力が駆動軸62の回転により伝達される部材である。
【0082】
歯車75は、第2回転軸76に軸着されている。歯車75は、回転により、第2回転軸76を回転させる。歯車75は、駆動部65の逆転動力を第1回転方向R1の動力として第1動力伝達部68と第2動力伝達部69との両方に伝達する。具体的に、歯車75は、媒体載置部54に載置された媒体が給送ローラー63によって給送される際に、給送ローラー63の回転方向と同じ方向に回転する。
【0083】
歯車77は、第2回転軸76に軸着されている。このように、歯車77は、駆動部65からの動力が第2回転軸76の回転により伝達される部材である。歯車77は、を含む。歯車77自体がワンウェイクラッチであってもよく、歯車77にワンウェイクラッチを組み合わせる構成であってもよい。つまり、第1動力伝達部68は、ワンウェイクラッチを備える。歯車77は、第2回転軸76に軸着されている。歯車77は、第2回転軸76が第2回転方向R2に回転すると、第2回転軸76とともに第2回転方向R2に回転する。歯車77は、第2回転軸76が第1回転方向R1に回転すると、空転して回転しない。
【0084】
歯車79は、複数の歯車70~75,77~79のうち、第1動力伝達部68の動力経路における最下流に設けられる。歯車79は、第1回転軸63Aに軸着されている。歯車79は、回転により、第1回転軸63Aを回転させる。歯車79は、駆動部65からの動力を第1回転軸63Aに伝達する。つまり、歯車79は、駆動部65からの動力を給送ローラー63に伝達する。
【0085】
歯車77,79のそれぞれは、駆動部65の正転動力が伝わると第2回転方向R2に回転する。歯車78は、駆動部65の正転動力が伝わると第1回転方向R1に回転する。歯車77は、駆動部65の逆転動力が伝わらず、回転しない。このため、歯車77~79のそれぞれは、駆動部65の逆転動力が伝わらない。
【0086】
このように、給送ローラー63は、媒体載置部54に載置されている媒体と接触した状態で回転することにより、媒体載置部54に載置された媒体を給送可能である。特に、給送ローラー63は、媒体載置部54に載置された媒体を1枚ずつ給送可能である。給送ローラー63が媒体を給送する給送方向は、後方Y2であってもよい。つまり、給送ローラー63が媒体を給送する給送方向は、引出方向と反対の方向であってもよいが、引出方向と正反対の方向ではなくてもよく、引出方向と反対の方向の成分を含む方向であってもよい。
【0087】
特に、歯車77は、駆動部65からの正転動力を給送ローラー63に伝達するが、駆動部65からの逆転動力を給送ローラー63に伝達しない。これにより、給送ローラー63は、駆動部65からの正転動力により媒体載置部54に載置された媒体を給送する。一方、駆動部65からの逆転動力は、歯車77から下流には伝達されないため、給送ローラー63にも伝達されない。このように、第2回転方向R2が給送ローラー63の給送方向となる。
【0088】
第2動力伝達部69は、第2伝達経路として用いられる伝達経路である。第2伝達経路は、駆動部65からの動力を後述する変位部86に伝達するための伝達経路である。第2動力伝達部69は、駆動軸62の回転により駆動部65からの動力が伝達される伝達部である。第2動力伝達部69は、駆動部65からの動力に応じて変位部86に伝達する。つまり、第2動力伝達部69は、駆動部65からの動力を変位部86に伝達可能である。
【0089】
第2動力伝達部69は、トルクリミッター80を備える。つまり、動力伝達部66は、トルクリミッター80を備える。トルクリミッター80は、第2動力伝達部69の動力経路における最上流に設けられる。トルクリミッター80は、駆動軸62に軸着されている。このように、トルクリミッター80は、駆動部65からの動力が駆動軸62の回転により伝達される部材である。つまり、トルクリミッター80は、駆動軸62と同軸上に設けられる。
【0090】
トルクリミッター80は、所定負荷により動力の伝達を遮断するように構成される。このため、トルクリミッター80は、所定負荷が掛からないときには、駆動軸62が回転すると、駆動軸62とともに回転する。トルクリミッター80は、所定負荷以上の負荷が掛かるときには、駆動軸62が回転しても、空転して回転しない。
【0091】
第2動力伝達部69は、複数の歯車81~83を備える。第2動力伝達部69は、ラック84を備える。つまり、媒体給送装置60は、ラック84を備える。複数の歯車81~83のそれぞれは、幅方向Xに沿って延びる軸を中心に回転可能にユニット筐体87に軸着される。なお、複数の歯車81~83のそれぞれは、変位ユニット67に軸着されてもよい。複数の歯車81~83のそれぞれは、順番に噛み合う。
【0092】
特に、歯車81は、トルクリミッター80と連結される。このため、歯車81は、トルクリミッター80が回転すると、トルクリミッター80とともに回転する。つまり、歯車81は、所定負荷が掛からないときには回転するが、所定負荷以上の負荷が掛かるときには回転しない。歯車83は、ラック84と噛み合う。歯車83は、駆動部65からの動力をラック84に伝達する。
【0093】
ラック84は、前後方向Yに沿って移動可能である。ラック84は、並行移動可能である。詳しくは、ラック84は、給送ローラー63に向かう後方Y2と、後方Y2の反対方向である前方Y1に移動可能である。後方Y2が第1移動方向の一例に相当し、前方Y1が第2移動方向の一例に相当する。ラック84は、歯車83と噛み合う。ラック84は、変位部86を前後方向Yに沿って移動させる。
【0094】
歯車81,83のそれぞれは、所定負荷が掛からないときには、駆動部65の正転動力が伝わると第1回転方向R1に回転する。歯車82は、所定負荷が掛からないときには、駆動部65の正転動力が伝わると第2回転方向R2に回転する。歯車81,83のそれぞれは、所定負荷が掛からないときには、駆動部65の逆転動力が伝わると第2回転方向R2に回転する。歯車82は、所定負荷が掛からないときには、駆動部65の逆転動力が伝わると第1回転方向R1に回転する。歯車81~83のそれぞれは、所定負荷以上の負荷が掛かるときには、回転しない。
【0095】
ラック84は、所定負荷が掛からないときには、駆動部65の正転動力が伝わり、歯車83が第1回転方向R1に回転すると、前方Y1に向かって並行移動する。ラック84は、所定負荷が掛からないときには、駆動部65の逆転動力が伝わり、歯車83が第2回転方向R2に回転すると、後方Y2に向かって並行移動する。ラック84は、所定負荷以上の負荷が掛かるときには、並行移動しない。
【0096】
このように、トルクリミッター80は、所定負荷が掛からないときには、駆動部65からの動力を変位部86に伝達するが、所定負荷以上の負荷が掛かるときには、駆動部65からの動力を変位部86に伝達しない。
【0097】
<変位部86の構成>
図5図8及び図9に示すように、媒体給送装置60は、変位部86を備える。変位部86は、ユニット筐体87に収容される。変位部86は、ラック84と一体に構成される。変位部86は、ラック84の後方Y2側であり、かつ、ラック84の第1幅方向X1側に設けられる。変位部86は、上方Z1に突出する突起であってもよい。このように、変位部86は、ラック84に設けられる。
【0098】
変位部86は、第1位置P11と第2位置P12との間で変位可能である。特に、変位部86は、ラック84の並行移動により第1位置P11と第2位置P12との間で変位可能である。変位部86は、駆動部65からの動力により第1位置P11と第2位置P12との間で変位可能である。
【0099】
図8に示すように、第1位置P11は、変位部86がアーム部64と当接しない位置である。詳しくは、第1位置P11は、アーム部64に設けられる傾斜面64Dに変位部86が当接しない位置である。第1位置P11は、傾斜面64Dの下方Z2よりも前方Y1側に変位部86が配置される位置である。
【0100】
アーム部64は、傾斜面64Dを備える。傾斜面64Dは、アーム部64の第2幅方向X2側に設けられる。アーム部64は、傾斜面64Dに変位部86が当接しない場合、アーム部64の自重により、駆動軸62を中心に先端部64Bが下方Z2に向かうように回動する。これにより、給送ローラー63は、媒体載置部54に載置された媒体と当接する。つまり、第1位置P11は、アーム部64との非当接により給送ローラー63を当接位置に変位させる位置である。
【0101】
変位部86は、駆動部65からの正転動力によりラック84が前方Y1に並行移動することにより、第2位置P12から第1位置P11に変位する。つまり、変位部86は、駆動部65からの正転動力により給送ローラー63を当接位置に変位させる。
【0102】
図9に示すように、第2位置P12は、変位部86がアーム部64と当接する位置である。詳しくは、第2位置P12は、傾斜面64Dに変位部86が下方Z2から当接する位置である。第2位置P12は、傾斜面64Dの下方Z2に変位部86が配置される位置である。このように、変位部86は、第2位置P12においてアーム部64を下方Z2から支持する。
【0103】
アーム部64は、傾斜面64Dに変位部86が当接する場合、アーム部64の自重に反して、駆動軸62を中心に先端部64Bが上方Z1に向かうように回動する。これにより、給送ローラー63は、媒体載置部54に載置された媒体から離間し、媒体載置部54に載置された媒体と当接しない。つまり、第2位置P12は、アーム部64との当接により給送ローラー63を離間位置に変位させる位置である。
【0104】
変位部86は、駆動部65からの逆転動力によりラック84が後方Y2に並行移動することにより、第1位置P11から第2位置P12に変位する。つまり、変位部86は、駆動部65からの逆転動力により給送ローラー63を離間位置に変位させる。
【0105】
このように、変位部86は、アーム部64と当接可能であり、かつ、駆動部65からの正転動力によりアーム部64を回動させる。これにより、アーム部64は、当接位置と離間位置との間で給送ローラー63を変位させる。
【0106】
特に、変位部86は、駆動部65からの正転動力により給送ローラー63を離間位置から当接位置に変位させるようにアーム部64を回動させる。変位部86は、駆動部65からの逆転動力により給送ローラー63を当接位置から離間位置に変位させるようにアーム部64を回動させる。つまり、変位部86は、第1位置P11と第2位置P12との間で変位することにより、当接位置と離間位置との間で給送ローラー63を変位させる。また、変位部86は、第2位置P12から第1位置P11に変位する際に、媒体載置部54に載置される媒体によっては、第1位置P11に配置される前に給送ローラー63が媒体と当接する場合がある。
【0107】
図8及び図9に示すように、ラック84は、変位部86が第1位置P11に配置されるときに、最も前方Y1側に位置する。ラック84は、変位部86が第1位置P11に配置されるときに、駆動軸62よりも後方Y2に位置し、駆動軸62よりも前方Y1に突出しない。
【0108】
変位部86が第2位置P12から第1位置P11に変位する方向は、媒体載置部54を引き出す引出方向に沿う方向と同じ方向であるが、引出方向に沿う方向と厳密に同じ方向ではなくても、引出方向に沿う方向と同じ方向の成分を含む方向であってもよい。
【0109】
<ラック84の変位>
図10に示すように、媒体給送装置60は、第1規制部85を備える。第1規制部85は、ユニット筐体87に収容される。第1規制部85は、ラック84と一体に構成される。第1規制部85は、ラック84の後方Y2側に設けられる。第1規制部85は、上方Z1に突出する突出部であってもよい。第1規制部85は、ラック84よりも上方Z1に突出する突出部であってもよい。第1規制部85は、歯車83と噛み合った状態で歯車83に所定負荷以上の負荷を掛ける。これにより、第1規制部85は、変位部86が第1位置P11となるようにラック84が配置されたときに、ラック84の前方Y1への変位を規制する。
【0110】
このように、第1規制部85は、変位部86が第2位置P12から第1位置P11に変位する際に、第1位置P11において変位部86の変位を規制する。このような場合、トルクリミッター80は、第1位置P11において第1規制部85により変位部86の変位が規制されたときに、所定負荷により変位部86への動力の伝達を遮断する。
【0111】
ユニット筐体87は、第1ガイド部87Aを備える。第1ガイド部87Aは、ラック84よりも第2幅方向X2に設けられる。第1ガイド部87Aは、上方Z1に突出する突出部である。第1ガイド部87Aは、前後方向Yに沿って延びる。第1ガイド部87Aは、ラック84の第2幅方向X2側において、ラック84の前後方向Yにおける変位をガイドする。
【0112】
ユニット筐体87は、第2ガイド部87Bを備える。第2ガイド部87Bは、ラック84よりも第1幅方向X1に設けられる。第2ガイド部87Bは、上方Z1に突出する突出部である。第2ガイド部87Bは、前後方向Yに沿って延びる。第2ガイド部87Bは、ラック84の第1幅方向X1側において、ラック84の前後方向Yにおける変位をガイドする。
【0113】
ユニット筐体87は、切欠部87Cを備える。切欠部87Cは、第2ガイド部87Bよりも後方Y2に設けられる。切欠部87Cは、変位部86の移動領域の一部を構成する。切欠部87Cは、傾斜面64Dの移動領域の一部を構成する。切欠部87Cは、変位部86が傾斜面64Dに当接可能な空間を構成する。
【0114】
ユニット筐体87は、第2規制部87Dを備える。つまり、媒体給送装置60は、第2規制部87Dを備える。第2規制部87Dは、第1ガイド部87Aよりも後方Y2側に設けられる。第2規制部87Dは、上方Z1に突出する突出部であってもよい。第2規制部87Dは、ラック84の後方Y2への変位により、第1規制部85と当接する。第2規制部87Dは、第1規制部85と当接することにより、歯車83に所定負荷以上の負荷を掛ける。これにより、第1規制部85は、変位部86が第2位置P12となるようにラック84が配置されたときに、ラック84の後方Y2への変位を規制する。
【0115】
このように、第2規制部87Dは、変位部86が第1位置P11から第2位置P12に変位する際に、第2位置P12において変位部86の変位を規制する。このような場合、トルクリミッター80は、第2位置P12において第2規制部87Dにより変位部86の変位が規制されたときに、所定負荷により変位部86への動力の伝達を遮断する。第1規制部85及び第2規制部87Dが規制部の一例に相当する。
【0116】
なお、ラック84は、アーム部64の傾斜角度を考慮した位置に設けられる。ラック84は、媒体載置部54に載置される媒体が最多枚数であるときの媒体の高さと、媒体の上方Z1の間隙とを考慮した高さよりも上方Z1に配置される。
【0117】
アーム部64は、媒体載置部54に載置される媒体と給送ローラー63とが当接可能となる傾斜角度に回動する必要がある。このため、アーム部64は、媒体載置部54に載置される媒体に応じた傾斜角度に回動可能としなければならない。具体的な一例をあげると、アーム部64は、媒体載置部54に載置される媒体が最少枚数であるときと最多枚数であるときとの両方において、媒体と給送ローラー63とが当接可能となる傾斜角度に回動する必要がある。
【0118】
アーム部64は、支持される駆動軸62から遠い位置のほうが近い位置よりも下方Z2へのモーメントが大きくなる。このため、ラック84は、駆動軸62から遠いほうが望ましい。このように、ラック84の高さと、アーム部64の傾斜角度とについて条件を満たすことを前提として、ラック84は、駆動軸62から遠くに配置される。
【0119】
また、アーム部64の自重と、アーム部64に対する下方Z2への付勢力とに反してラック84が第1位置P11から第2位置P12に変位できるように、トルクリミッター80の所定負荷が定めらえている。
【0120】
<当接処理>
ここで、図11を参照して当接処理について説明する。当接処理は、制御部23によって所定周期毎に実行される処理である。
【0121】
図11に示すように、ステップS10において、制御部23は、ユーザーからの指示に基づいてジョブが開始するか否かを判定する。ジョブは、媒体に記録を行う処理である。ジョブは、1枚又は複数枚の媒体に記録を行う処理であってもよい。制御部23は、ジョブが開始しないと判定した場合、ステップS11,S12を実行せずに、当接処理を終了する。制御部23は、ジョブが開始すると判定した場合、ステップS11に処理を移行する。
【0122】
ステップS11において、制御部23は、変位部86が第2位置P12であるか否かを判定する。つまり、制御部23は、給送ローラー63が離間位置であるか否かを判定する。制御部23は、メモリーに割り当てられた位置情報に基づいて、変位部86が第2位置P12であるか否かを判定する。位置情報は、変位部86の位置を示す情報である。位置情報は、変位部86の変位に伴って制御部23によってメモリーに記憶される。制御部23は、変位部86が第2位置P12ではないと判定した場合、ステップS12を実行せずに、当接処理を終了する。つまり、制御部23は、変位部86が第1位置P11であると判定した場合、ステップS12を実行せずに、当接処理を終了する。制御部23は、変位部86が第2位置P12であると判定した場合、ステップS12に処理を移行する。
【0123】
ステップS12において、制御部23は、第1位置変位処理を実行する。第1位置変位処理において、制御部23は、駆動部65を正転駆動させる。これにより、変位部86は、第2位置P12から第1位置P11に変位する。給送ローラー63は、離間位置から当接位置に変位する。このように、制御部23は、媒体に記録を行うジョブが開始する場合に、変位部86を第2位置P12に変位させる。そして、制御部23は、第1位置P11を示す位置情報をメモリーに記憶する。第1位置変位処理が終了した場合、制御部23は、当接処理を終了する。
【0124】
また、当接処理が終了した後に、制御部23は、継続して駆動部65を正転駆動させることにより、給送処理を実行する。このため、変位部86が第1位置P11である場合と、変位部86を第2位置P12から第1位置P11に変位させる場合とでは、給送処理を実行するまでの時間が異なる。詳しくは、変位部86が第1位置P11である場合よりも、変位部86を第2位置P12から第1位置P11に変位させる場合のほうが、給送処理を実行するまでの時間が長くなる。なお、当接処理と給送処理とは、制御の際に明確に区別されず、一つの処理として連続的に実行されてもよい。
【0125】
<第1離間処理>
次に、図12を参照して第1離間処理について説明する。第1離間処理は、制御部23によって所定周期毎に実行される処理である。
【0126】
図12に示すように、ステップS20において、制御部23は、ジョブが終了したか否かを判定する。制御部23は、ジョブが終了していないと判定した場合、ステップS21~S24を実行せずに、第1離間処理を終了する。制御部23は、ジョブが終了したと判定した場合、ステップS21に処理を移行する。
【0127】
ステップS21において、制御部23は、変位部86が第1位置P11であるか否かを判定する。つまり、制御部23は、給送ローラー63が当接位置であるか否かを判定する。制御部23は、メモリーに割り当てられた位置情報に基づいて、変位部86が第1位置P11であるか否かを判定する。制御部23は、変位部86が第1位置P11ではないと判定した場合、ステップS22~S24を実行せずに、第1離間処理を終了する。つまり、制御部23は、変位部86が第2位置P12であると判定した場合、ステップS22~S24を実行せずに、第1離間処理を終了する。制御部23は、変位部86が第1位置P11であると判定した場合、ステップS22に処理を移行する。
【0128】
ステップS22において、制御部23は、次のジョブがないか否かを判定する。つまり、制御部23は、ジョブの終了後に次のジョブがないか否かを判定する。制御部23は、次のジョブがあったと判定した場合、ステップS23,S24を実行せずに、第1離間処理を終了する。制御部23は、次のジョブがないと判定した場合、ステップS23に処理を移行する。
【0129】
ステップS23において、制御部23は、所定時間が経過したか否かを判定する。制御部23は、ジョブが終了したと判定してから経過した時間を計測する。制御部23は、ジョブが終了したと判定してから経過した時間が所定時間となったか否かによって、所定時間が経過したか否かを判定する。制御部23は、所定時間が経過していないと判定した場合、再度、ステップS22に処理を移行する。制御部23は、所定時間が経過したと判定した場合、ステップS24に処理を移行する。このように、制御部23は、ジョブの終了後に所定時間が経過する前までに次のジョブがあったと判定した場合、ステップS24を実行せずに、第1離間処理を終了する。制御部23は、ジョブの終了後に所定時間に亘って次のジョブがないと判定した場合、ステップS24に処理を移行する。
【0130】
ステップS24において、制御部23は、第2位置変位処理を実行する。第2位置変位処理において、制御部23は、駆動部65を逆転駆動させる。これにより、変位部86は、第1位置P11から第2位置P12に変位する。このように、制御部23は、媒体に記録を行うジョブの終了後に所定時間に亘って次のジョブがない場合に変位部86を第2位置P12に変位させる。給送ローラー63は、当接位置から離間位置に変位する。そして、制御部23は、第2位置P12を示す位置情報をメモリーに記憶する。第2位置変位処理が終了した場合、制御部23は、第1離間処理を終了する。
【0131】
<第2離間処理>
次に、図13を参照して第2離間処理について説明する。第2離間処理は、制御部23によって所定周期毎に実行される処理である。
【0132】
図13に示すように、ステップS30において、制御部23は、電源切断となるか否かを判定する。電源切断は、ユーザーの指示により行われてよいが、電断により行われてもよい。この場合、バックアップ電源に基づいて、第2離間処理が実行されてもよい。制御部23は、電源切断とならないと判定した場合、ステップS31,S32を実行せずに、第2離間処理を終了する。制御部23は、電源切断となると判定した場合、ステップS31に処理を移行する。
【0133】
ステップS31において、制御部23は、ステップS21と同じように、変位部86が第1位置P11であるか否かを判定する。制御部23は、変位部86が第1位置P11ではないと判定した場合、ステップS32を実行せずに、第2離間処理を終了する。つまり、制御部23は、変位部86が第2位置P12であると判定した場合、ステップS32を実行せずに、第2離間処理を終了する。制御部23は、変位部86が第1位置P11であると判定した場合、ステップS32に処理を移行する。
【0134】
ステップS32において、制御部23は、ステップS24と同じように、第2位置変位処理を実行する。第2位置変位処理において、制御部23は、駆動部65を逆転駆動させる。これにより、変位部86は、第1位置P11から第2位置P12に変位する。このように、制御部23は、電源を切断する場合に変位部86を第2位置P12に変位させる。給送ローラー63は、当接位置から離間位置に変位する。そして、制御部23は、第2位置P12を示す位置情報をメモリーに記憶する。第2位置変位処理が終了した場合、制御部23は、第2離間処理を終了する。
【0135】
<媒体給送監視処理>
次に、図14を参照して媒体給送監視処理について説明する。媒体給送監視処理は、制御部23によって所定周期毎に実行される処理である。
【0136】
図14に示すように、ステップS40において、制御部23は、給送ローラー63によって媒体の給送が開始するか否かを判定する。制御部23は、媒体の給送が開始しないと判定した場合、ステップS41~S44を実行せずに、媒体給送監視処理を終了する。制御部23は、媒体の給送が開始すると判定した場合、ステップS41に処理を移行する。
【0137】
ステップS41において、制御部23は、ステップS21,S31と同じように、変位部86が第1位置P11であるか否かを判定する。制御部23は、変位部86が第1位置P11であると判定した場合、ステップS42に処理を移行する。つまり、制御部23は、ジョブが開始される場合であるか否かの両方において、変位部86が既に第1位置P11であるときに、ステップS42に処理を移行する。制御部23は、変位部86が第1位置P11ではないと判定した場合、ステップS43に処理を移行する。つまり、制御部23は、ジョブが開始される場合において変位部86が第2位置P12であるときに、ステップS43に処理を移行する。
【0138】
ステップS42において、制御部23は、駆動部65を正転駆動させてから第1時間が経過するまでに、媒体検出部59からの検出結果に基づいて媒体の先端を検出しないか否かを判定する。第1時間は、給送エラーの判定基準時間である。給送エラーの判定基準時間は、駆動部65の正転駆動を起点とする時間である。制御部23は、駆動部65を正転駆動させてから第1時間が経過するまでに媒体の先端を検出したと判定した場合、ステップS44を実行せずに、媒体給送監視処理を終了する。制御部23は、駆動部65を正転駆動させてから第1時間が経過するまでに媒体の先端を検出しなかったと判定した場合、ステップS44に処理を移行する。
【0139】
ステップS43において、制御部23は、駆動部65を正転駆動させてから第2時間が経過するまでに、媒体検出部59からの検出結果に基づいて媒体の先端を検出しないか否かを判定する。第2時間は、給送エラーの判定基準時間である。第2時間は、第1時間よりも長い時間である。第2時間は、第1時間よりも、変位部86を第2位置P12から第1位置P11に変位させる推定時間だけ長い。制御部23は、駆動部65を正転駆動させてから第2時間が経過するまでに媒体の先端を検出したと判定した場合、ステップS44を実行せずに、媒体給送監視処理を終了する。制御部23は、駆動部65を正転駆動させてから第2時間が経過するまでに媒体の先端を検出しなかったと判定した場合、ステップS44に処理を移行する。
【0140】
ステップS44において、制御部23は、給送エラー判定処理を実行する。給送エラー判定処理において、制御部23は、給送エラーが発生したと判定する。この場合、制御部23は、給送エラーの発生を示す画像を表示部35に表示させる。制御部23は、給送処理を終了させてもよい。給送エラー判定処理が終了した場合、制御部23は、媒体給送監視処理を終了する。
【0141】
このように、制御部23は、変位部86が第1位置P11であるとき、媒体を給送するために駆動部65の駆動を開始してから、第1時間が経過しても媒体検出部59によって媒体の先端が検出されない場合に、給送エラーと判定する。制御部23は、変位部86が第2位置P12であるとき、媒体を給送するために駆動部65の駆動を開始してから、第1時間よりも長い第2時間が経過しても媒体検出部59によって媒体の先端が検出されない場合に、給送エラーと判定する。
【0142】
制御部23は、変位部86が既に第1位置P11であると判定した場合、変位部86を第2位置P12から第1位置P11に変位させる時間を経ずに媒体の給送を開始する。制御部23は、ステップS41において変位部86が第2位置P12であると判定した場合、変位部86を第2位置P12から第1位置P11に変位させる時間を経てから媒体の給送を開始する。これにより、変位部86が既に第1位置P11であると判定した場合よりも、変位部86が第2位置P12であると判定した場合のほうが、駆動部65の正転駆動を起点として、給送エラーの判定基準時間が長くなる。
【0143】
<着脱時制御処理>
次に、図15を参照して着脱時制御処理について説明する。着脱時制御処理は、制御部23によって所定周期毎に実行される処理である。
【0144】
図15に示すように、ステップS50において、制御部23は、ユーザーにより着脱指示があったか否かを判定する。着脱指示は、操作部34の操作に応じて指示される。制御部23は、着脱指示がないと判定した場合、ステップS51,S52を実行せずに、着脱時制御処理を終了する。制御部23は、着脱指示があったと判定した場合、ステップS51に処理を移行する。
【0145】
ステップS51において、制御部23は、ステップS11と同じように、変位部86が第2位置P12であるか否かを判定する。制御部23は、変位部86が第2位置P12ではないと判定した場合、ステップS52を実行せずに、着脱時制御処理を終了する。制御部23は、変位部86が第2位置P12であると判定した場合、ステップS52に処理を移行する。
【0146】
ステップS52において、制御部23は、制御部23は、ステップS12と同じように、第1位置変位処理を実行する。第1位置変位処理において、制御部23は、駆動部65を正転駆動させる。これにより、変位部86は、第2位置P12から第1位置P11に変位する。このように、制御部23は、変位部86が第2位置P12であるときに、アーム部64を駆動軸62に対して着脱する際に、変位部86を第2位置P12から第1位置P11に変位させる。給送ローラー63は、離間位置から当接位置に変位する。そして、制御部23は、第1位置P11を示す位置情報をメモリーに記憶する。第1位置変位処理が終了した場合、制御部23は、着脱時制御処理を終了する。
【0147】
<第1実施形態の作用及び効果>
第1実施形態の作用及び効果について説明する。
(1-1)給送ローラー63は、駆動部65からの正転動力により媒体載置部54に載置された媒体を給送する。アーム部64は、媒体載置部54に載置された媒体に当接する当接位置と、媒体載置部54に載置された媒体から離間する離間位置との間で給送ローラー63を変位させる。変位部86は、駆動部65からの正転動力により給送ローラー63を離間位置から当接位置に変位させるようにアーム部64を回動させる。変位部86は、駆動部65からの逆転動力により給送ローラー63を当接位置から離間位置に変位させるようにアーム部64を回動させる。この構成によれば、給送ローラー63を駆動させることと、給送ローラー63を支持するアーム部64を変位させる変位部86とを共通した駆動部65からの動力により実現することができる。したがって、給送ローラー63によるブリード痕を抑制することができるとともに、装置の大型化を抑制することができる。
【0148】
(1-2)変位部86は、第1位置P11と第2位置P12との間で変位可能である。第1位置P11は、アーム部64との非当接により給送ローラー63を当接位置に変位させる位置である。第2位置P12は、アーム部64との当接により給送ローラー63を離間位置に変位させる位置である。この構成によれば、変位部86とアーム部64との非当接及び当接を切り替える簡素な構成で、共通した駆動部65からの動力により給送ローラー63を当接位置及び離間位置に変位させることができる。したがって、給送ローラー63によるブリード痕を抑制することができるとともに、装置の大型化を抑制することができる。
【0149】
(1-3)変位部86は、第2位置P12においてアーム部64を下方Z2から支持する。この構成によれば、変位部86とアーム部64を下方Z2から支持するか否かを切り替える簡素な構成で、共通した駆動部65からの動力により給送ローラー63を当接位置及び離間位置に変位させることができる。したがって、給送ローラー63によるブリード痕を抑制することができるとともに、装置の大型化を抑制することができる。
【0150】
(1-4)変位部86は、並行移動可能であるラック84に設けられる。この構成によれば、並行移動可能であるラック84に変位部86を設ける簡素な構成で、共通した駆動部65からの動力により給送ローラー63を当接位置及び離間位置に変位させることができる。したがって、給送ローラー63によるブリード痕を抑制することができるとともに、装置の大型化を抑制することができる。
【0151】
(1-5)ラック84は、前後方向Yに移動可能であり、変位部86が第1位置P11に配置されるときに、駆動軸62よりも、給送ローラー63に向かう後方Y2に位置し、駆動軸62よりも前方Y1に突出しない。この構成によれば、駆動軸62よりも、給送ローラー63に向かう後方Y2にラック84を位置させることができる。これにより、アーム部64とラック84とが最も離れた位置であっても、アーム部64の変位が駆動軸62に干渉することを抑制することができる。
【0152】
(1-6)給送ローラー63は、駆動部65からの正転動力により媒体載置部54に載置された媒体を給送する。変位部86は、駆動部65からの正転動力により給送ローラー63を当接位置に変位させ、駆動部65からの逆転動力により給送ローラー63を離間位置に変位させる。動力伝達部66は、駆動部65からの正転動力を給送ローラー63に伝達するが、駆動部65からの逆転動力を給送ローラー63に伝達しないワンウェイクラッチである歯車77を備える。この構成によれば、駆動部65からの逆転動力により、歯車77が給送ローラー63への逆転動力を伝達させずに、変位部86が給送ローラー63を離間位置に変位させることができる。これにより、給送ローラー63を回転させずに、給送ローラー63を離間位置に変位させることができる。したがって、給送ローラー63によるブリード痕を抑制することができるとともに、給送ローラー63と接触した媒体の整列性を向上させることができる。
【0153】
(1-7)変位部86は、第1位置P11と第2位置P12との間で変位可能である。第1位置P11は、給送ローラー63を当接位置に変位させる位置であり、第2位置P12は、給送ローラー63を離間位置に変位させる位置である。第1規制部85は、変位部86が第2位置P12から第1位置P11に変位する際に、第1位置P11において変位部86の変位を規制する。第2規制部87Dは、変位部86が第1位置P11から第2位置P12に変位する際に、第2位置P12において変位部86の変位を規制する。第2動力伝達部69は、駆動部65からの動力を変位部86に伝達し、所定負荷により動力の伝達を遮断するトルクリミッター80を備える。トルクリミッター80は、第1位置P11において第1規制部85により変位部86の変位が規制されたときに、変位部86への動力の伝達を遮断する。トルクリミッター80は、第2位置P12において第2規制部87Dにより変位部86の変位が規制されたときに、変位部86への動力の伝達を遮断する。この構成によれば、第1位置P11において変位部86の変位が第1規制部85により規制されたときに、トルクリミッター80に所定負荷以上の負荷が掛かることにより、変位部86への動力の伝達をトルクリミッター80が遮断する。第2位置P12において変位部86の変位が第2規制部87Dにより規制されたときに、トルクリミッター80に所定負荷以上の負荷が掛かることにより、変位部86への動力の伝達をトルクリミッター80が遮断する。このように、トルクリミッター80を設けることにより、給送ローラー63を駆動する際の駆動部65への負荷を抑制することができる。
【0154】
特に、給送ローラー63への動力伝達経路とは異なる第2動力伝達部69にトルクリミッター80を設けることで、トルクリミッター80をより上流に設けることができる。このため、給送ローラー63を駆動する際の駆動部65への負荷を抑制することができるとともに、トルクリミッター80と変位部86との間における動力伝達経路を短縮することもできる。また、変位部86が第2位置P12に変位することを検出する検出部を備えなくても、精度よく変位部86を第2位置P12に変位させることができる。したがって、給送ローラー63と接触した媒体の整列性を向上させることができる。
【0155】
(1-8)トルクリミッター80は、駆動軸62と同軸上に設けられる。この構成によれば、トルクリミッター80をアーム部に設ける構成と比較して、アーム部64を軽量化することができる。これにより、アーム部64に支持される給送ローラー63の搬送力に対する影響を抑制することができる。また、トルクリミッター80を駆動軸62よりも上流側に設ける構成と比較して、装置の大型化を抑制することができる。
【0156】
(1-9)アーム部64は、給送ローラー63を揺動可能に支持する。この構成によれば、給送ローラー63の振動を抑制することができる。特に、従来において、給送ローラーと変位部とを直接連動させると、給送ローラーを揺動可能に支持することは容易ではなかった。そこで、トルクリミッター80を、給送ローラー63とは異なる第2動力伝達部69に設けることにより、給送ローラー63を揺動可能に支持することができるようになる。
【0157】
(1-10)アーム部64は、給送ローラー63と媒体載置部54との距離を変えるように回動可能である。この構成によれば、アーム部64が回動することにより、給送ローラー63と、媒体載置部54に載置される媒体との距離を変えることができる。このため、媒体載置部54に載置される媒体の厚み及び枚数に応じてアーム部64が回動することにより、媒体載置部54に載置される媒体に対する多様性を持たせることができる。したがって、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0158】
(1-11)駆動軸62は、アーム部64を回動可能に支持し、アーム部64は、駆動軸62に対して着脱可能である。この構成によれば、アーム部64を駆動軸62から取り外すことにより、給送ローラー63の交換を容易に行うことができる。特に、アーム部64に変位部86及び動力伝達部66が収容されている場合、給送ローラー63とともに、変位部86及び動力伝達部66についても容易に交換を行うことができる。つまり、給送ローラー63を駆動させるための構成、及び、変位部86を変位させるための構成を容易に交換することができる。
【0159】
(1-12)アーム退避部30は、媒体載置部54を引出方向に引出す際に、アーム部64を退避位置に退避させる。この構成によれば、媒体載置部54を引き出す際に、媒体載置部54がアーム部64と干渉することを抑制することができる。
【0160】
(1-13)反転部58は、媒体給送装置60によって給送された媒体を反転させる。記録部48は、媒体として両面印刷可能な写真用紙に記録が可能であり、かつ、反転部58によって媒体が反転された後に記録可能である。この構成によれば、両面印刷可能な写真用紙に対して給送ローラー63によるブリード痕を抑制することができる。これにより、より一層、格別な効果を奏することができる。具体的には、一般的な写真用紙は、片面のみに印刷されることが多い。この場合、給送ローラー63が当接する面は、被記録面と反対の面であり、ブリード痕が問題となりにくい。しかしながら、両面に印刷される写真用紙の場合には、給送ローラー63が当接する面にも記録される。このため、より一層、格別な効果を奏することができる。さらに、写真用紙への印刷は、一般用紙への印刷よりも印刷品質を重視される可能性がある。このため、ブリード痕を抑制することで、より一層、格別な効果を奏することができる。なお、写真用紙は、写真の印刷を主な目的とし、写真の印刷に適した用紙のことである。写真用紙に記録が可能とは、上記のような写真の印刷に適した用紙への印刷に対応している記録装置11であることを示す。
【0161】
(1-14)制御部23は、媒体に記録を行うジョブの終了後に所定時間に亘って次のジョブがない場合と、電源を切断する場合とにおいて変位部86を第2位置P12に変位させる。この構成によれば、ジョブの終了後に所定時間に亘って次のジョブがない場合と、電源を切断する場合とにおいて、給送ローラー63を離間位置に変位させることができる。これにより、適切なタイミングで給送ローラー63を離間位置に変位させることによって、給送ローラー63によるブリード痕を抑制することができる。
【0162】
(1-15)制御部23は、変位部86が第1位置P11であるとき、媒体を給送するために駆動部65の正転駆動を開始してから、第1時間が経過しても媒体検出部59によって媒体の先端が検出されない場合に、給送エラーと判定する。制御部23は、変位部86が第2位置P12であるとき、媒体を給送するために駆動部65の正転駆動を開始してから、第1時間よりも長い第2時間が経過しても媒体検出部59によって媒体の先端が検出されない場合に、給送エラーと判定する。この構成によれば、給送ローラー63によって媒体が給送される場合、変位部86が第1位置P11であるときよりも第2位置P12であるときのほうが、変位部86が第2位置P12から第1位置P11に変位させる時間を経て媒体に給送ローラー63が当接する。このため、給送ローラー63によって媒体が給送される場合、変位部86が第1位置P11であるときよりも第2位置P12であるときのほうが、給送エラーと判定する基準となる時間を長くすることにより、給送エラーの判定精度を高めることができる。
【0163】
(1-16)制御部23は、変位部86が第2位置P12であるときに、アーム部64を駆動軸62に対して着脱する際に、変位部86を第2位置P12から第1位置P11に変位可能である。この構成によれば、変位部86を第2位置P12から第1位置P11に変位させることにより、変位部86とアーム部64との干渉を抑制することができる。これにより、アーム部64を駆動軸62に対して着脱し易くなる。したがって、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0164】
(1-17)筐体20に対して本体21を所定位置に保持するように構成される。所定位置は、閉位置と、第1開位置と、第2開位置とを含む。閉位置は、本体21が筐体20に収容される位置である。第1開位置は、前方Y1に向かって第1距離D1だけ本体21が筐体20から突出する位置である。第2開位置は、前方Y1に向かって第1距離D1よりも長い第2距離D2だけ本体21が筐体20から突出する位置である。本体21は、前後方向Yに沿って閉位置、第1開位置及び第2開位置の間で変位可能である。このため、前後方向Yに沿って閉位置、第1開位置及び第2開位置の間で本体21を変位させ、筐体20に対して本体21を閉位置と第1開位置と第2開位置とに保持させることができる。したがって、保持可能な開位置の種類を選択可能となり、本体21の変位及び本体21の保持に関する作業性を向上させることができる。
【0165】
(1-18)液体注入口42は、本体21が開位置に配置されるときに露出する。このため、前後方向Yに沿って本体21を閉位置から開位置に変位させることにより、本体21に搭載された液体注入口42を露出させることができる。このように、前後方向Yに沿って本体21を閉位置から開位置に変位させることにより、液体注入口42に液体を注入することができ、作業性を向上させることができる。
【0166】
(1-19)廃液装着部45は、本体21に搭載されており、かつ、本体21が開位置に配置されるときに露出する。このため、前後方向Yに沿って本体21を閉位置から開位置に変位させることにより、本体21に搭載された廃液装着部45を露出させることができる。このように、前後方向Yに沿って本体21を閉位置から開位置に変位させることにより、廃液装着部45における廃液収容体46の着脱を行うことができ、廃液装着部45に関する作業性を向上させることができる。
【0167】
(1-20)搬送経路49の少なくとも一部は、本体21が第2開位置に配置されるときに露出する。このため、前後方向Yに沿って本体21を閉位置から第2開位置に変位させることにより、本体21に搭載された搬送経路49の少なくとも一部を露出させることができる。このように、前後方向Yに沿って本体21を閉位置から第2開位置に変位させることにより、搬送経路49の少なくとも一部において媒体を除去することができ、作業性を向上させることができる。
【0168】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明では、既に説明した実施形態と同じ構成については、重複する説明を省略又は簡略し、既に説明した実施形態と異なる構成について主に説明する。
【0169】
<第1離間処理>
図16に示すように、第1離間処理では、ステップS22において、制御部23は、次のジョブがあると判定した場合、ステップS24を実行せずに、第1離間処理を終了する。制御部23は、次のジョブがないと判定した場合、ステップS24に処理を移行する。このように、制御部23は、媒体に記録を行うジョブの終了後に次のジョブがない場合に変位部86を第2位置P12に変位させる。
【0170】
<第2実施形態の効果>
第2実施形態の効果について説明する。
(2-1)制御部23は、媒体に記録を行うジョブの終了後に次のジョブがない場合に変位部86を第2位置P12に変位させる。この構成によれば、適切なタイミングで給送ローラー63を離間位置に変位させることによって、給送ローラー63によるブリード痕を抑制することができる。
【0171】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
<被押圧部88及び押圧部89>
図17及び図18に示すように、第3実施形態では、変位ユニット67は、被押圧部88を備える。被押圧部88は、ラック84と一体に構成される。被押圧部88は、ラック84の後方Y2側であり、かつ、ラック84の第2幅方向X2側に設けられる。被押圧部88は、上方Z1に突出する突起であってもよい。
【0172】
被押圧部88は、第1面88Aと、第2面88Bと、を備える。第1面88Aは、前後方向Yに対して第2面88Bと連続する面である。第1面88Aは、第2面88Bよりも後方Y2に位置する。第1面88Aは、幅方向Xに対して垂直な面である。第2面88Bは、幅方向Xに対して傾斜する面である。詳しくは、第2面88Bは、前方Y1に進むほど第1幅方向X1側に傾斜する面である。
【0173】
変位ユニット67は、押圧部89を備える。押圧部89は、ユニット筐体87に収容される。押圧部89は、ラック84よりも第2幅方向X2側に設けられる。ラック84が第1位置P11に配置されている場合、押圧部89は、被押圧部88を第1幅方向X1に押圧可能である。
【0174】
押圧部89は、突出部89Aと、付勢部89Bと、を備える。突出部89Aは、ユニット筐体87に収容される。突出部89Aは、第1ガイド部87Aから第1幅方向X1に突出する。付勢部89Bは、ユニット筐体87に収容される。付勢部89Bは、突出部89Aを第1幅方向X1に付勢する。
【0175】
図17に示すように、ラック84が第1位置P11に配置されている場合、被押圧部88は、押圧部89よりも第1幅方向X1に位置する。つまり、被押圧部88は、幅方向Xに対して押圧部89と対向する位置に配置される。被押圧部88は、幅方向Xに対して押圧部89と当接する。詳しくは、突出部89Aは、幅方向Xに対して第1面88Aと当接する。
【0176】
この場合、被押圧部88は、付勢部89Bによる付勢力に抗して突出部89Aを第2幅方向X2に変位させる。つまり、押圧部89は、付勢部89Bによる付勢力により被押圧部88を第1幅方向X1に押圧する。これにより、ラック84は、第1位置P11に配置されている場合、第2ガイド部87Bに押し付けられる。
【0177】
また、ラック84が第1位置P11に配置された状態で、駆動部65からラック84までの累積負荷が駆動部65による逆転動力よりも小さくなるように、ラック84とユニット筐体87との摩擦係数、及び、付勢部89Bによる付勢力が定められている。これにより、給送ローラーユニット61が駆動軸62に装着された状態で、ラック84が第1位置P11に配置されているときに、駆動部65からの逆転動力に応じて、ラック84は、押圧部89からの押圧に抗して後方Y2に移動する。このように、ラック84が後方Y2に移動することにより、突出部89Aは、幅方向Xに対して第1面88Aと当接した状態から、幅方向Xに対して第2面88Bと当接した状態となった後に、被押圧部88と当接しない状態となる。
【0178】
図18に示すように、ラック84が第2位置P12に配置されている場合、被押圧部88は、押圧部89の第1幅方向X1よりも、後方Y2に位置する。つまり、被押圧部88は、幅方向Xに対して押圧部89と対向しない位置に配置される。被押圧部88は、押圧部89と当接しない。この場合、押圧部89は、被押圧部88を押圧しない。これにより、ラック84は、第2位置P12に配置されている場合、第2ガイド部87Bに押し付けられない。
【0179】
一方、ラック84が第1位置P11に配置された状態で、取外操作が行われる場合がある。取外操作は、給送ローラーユニット61が駆動軸62から取り外される操作である。駆動部65からラック84までの累積負荷よりも小さい回転動力が取外操作に応じて駆動軸62に加わっても、ラック84が第2ガイド部87Bに押し付けられている。このため、駆動軸62が回転せずに、ラック84は、第1位置P11から前後方向Yに移動しない。
【0180】
また、ラック84が第1位置P11に配置された状態で、装着操作が行われる場合がある。装着操作は、給送ローラーユニット61が駆動軸62に装着される操作である。駆動部65からラック84までの累積負荷よりも小さい回転動力が装着操作に応じて駆動軸62に加わっても、ラック84が第2ガイド部87Bに押し付けられている。このため、駆動軸62が回転せずに、ラック84は、第1位置P11から前後方向Yに移動しない。
【0181】
<アーム部64の構造>
図19に示すように、アーム部64は、凹部64Eを備える。凹部64Eは、アーム部64の第1幅方向X1側に設けられる。凹部64Eは、給送ローラーユニット61の位置に応じて変位する。凹部64Eは、第2幅方向X2に凹形状である。凹部64Eは、収容空間64Fを構成する。
【0182】
媒体給送装置60は、フレーム90を備える。フレーム90は、アーム部64とは別体に構成される。フレーム90は、凸部90Aを備える。凸部90Aは、凹部64Eに向かって延設される。凸部90Aは、給送ローラーユニット61の位置に応じて変位しない。凸部90Aは、収容空間64F内に収容可能である。特に、凸部90Aは、給送ローラーユニット61の動作範囲であれば、収容空間64F内に収容される。このように、凸部90Aが収容空間64Fに収容されるように給送ローラーユニット61を取り扱うことにより、給送ローラーユニット61の着脱性を向上させることができる。
【0183】
特に、媒体給送装置60が第1型式である場合、アーム部64に凹部64Eが設けられ、フレーム90に凸部90Aが設けられる。媒体給送装置60が第2型式である場合、アーム部64に凹部64Eが設けられず、フレーム90に凸部90Aが設けられない。
【0184】
このため、第1型式のフレーム90に第1型式の給送ローラーユニット61が取り付けられる場合、凹部64Eに凸部90Aが収容される。その一方で、第1型式のフレーム90に第2型式の給送ローラーユニット61が取り付けられる場合、凹部64Eが設けられていないので、凸部90Aがアーム部64と当接する。これにより、第1型式のフレーム90に第2型式の給送ローラーユニット61が取り付けらない。このように構成することにより、フレーム90に型式が異なる給送ローラーユニット61を取り付けることを防止することができる。アーム部64が凸部を備え、フレーム90が凹部を備えてもよい。
【0185】
<第3実施形態の効果>
第3実施形態の効果について説明する。
(3-1)媒体給送装置60は、ラック84が第1位置P11に配置されている場合、ラック84を第2ガイド部87Bに押し付ける押圧部89を備える。この構成によれば、給送ローラーユニット61の駆動軸62への着脱操作に応じて駆動軸62に回転動力が加わった場合であっても、ラック84は、第2ガイド部87Bに押し付けられているので、第1位置P11から前後方向Yに移動しない。これにより、給送ローラーユニット61の装着性を向上させることができる。したがって、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0186】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0187】
・媒体給送装置60は、駆動軸62とラック84との間において、3つの歯車81~83が用いられる構成に限らず、例えば、1つの歯車が用いられてもよく、例えば、5つの歯車が用いられてもよい。媒体給送装置60は、正転動力に基づいて変位部86が第2位置P12から第1位置P11に変位し、逆転動力に基づいて変位部86が第1位置P11から第2位置P12に変位すれば、駆動軸62とラック84との間で例えば、2つ、4つの歯車を備えてもよい。
【0188】
・媒体給送装置60は、変位部86がアーム部64を下方Z2から支持する構成に限定されず、例えば、幅方向X又は前後方向Yから押圧することにより変位部86がアーム部64を支持する構成であってもよい。
【0189】
・媒体給送装置60は、ラック84を用いて変位部86を変位させる構成に限らず、例えば、カムを用いて変位部86を変位させる構成であってもよい。
・変位部86は、第1位置P11に配置されるときに、給送ローラー63が媒体から離間していれば、アーム部64と当接していてもよい。
【0190】
・第1実施形態において、所定時間は、ジョブの終了後に省電力モードに移行するまでの時間であってもよい。所定時間は、ユーザーの指示により設定変更可能であってもよい。
【0191】
・制御部23は、第1離間処理を実行するか否かを、例えば媒体の種類といった条件に応じて決定してもよい。
・記録装置11は、媒体載置部54に載置された媒体を検出する検出部を備えてもよい。この場合、制御部23は、検出部による検出結果に基づいて、媒体載置部54に媒体が載置されていないと判定したときに、変位部86を第1位置P11から第2位置P12に変位させずに、変位部86を第1位置P11に継続して配置させてもよい。制御部23は、検出部による検出結果に基づいて、媒体載置部54に媒体が載置されていると判定したときに、変位部86を第1位置P11から第2位置P12に変位させてもよい。
【0192】
・媒体給送装置60は、変位部86が第1位置P11であることを検出する検出部を備えてもよい。媒体給送装置60は、変位部86が第2位置P12であることを検出する検出部を備えてもよく、この場合、第2規制部87Dを備えなくてもよい。制御部23は、検出部による検出結果に基づいて、変位部86が第1位置P11から第2位置P12に変位したときに、駆動部65による逆転駆動を停止させてもよい。
【0193】
・トルクリミッター80は、正転動力に基づいて、給送ローラー63と同じ回転方向に回転することに限定されず、正転動力に基づいて、給送ローラー63と反対の回転方向に回転してもよい。これにより、給送ローラー63の搬送力を抑制し、媒体の重送を抑制することができる。
【0194】
・動力伝達部66は、第1動力伝達経路と第2動力伝達経路とに共通する共通動力伝達部を備えてもよい。
・制御部23は、当接処理と給送処理とを連続して実行することに限らず、例えば、当接処理と給送処理との間において駆動部65を停止させてもよい。
【0195】
・制御部23は、ジョブの終了後、変位部86が第1位置P11に配置されているときに、所定時間が経過したときに、着脱指示を促す画像を表示部35に表示させてもよい。制御部23は、着脱指示を促す画像を表示部35に表示させた後に、操作部34の操作に応じて、変位部86を第1位置P11から第2位置P12に変位させてもよい。
【0196】
・アーム部64の着脱は、ユーザーによる指示以外に、例えば媒体の給送枚数及び給送不良の回数の少なくとも何れかに基づいて、アーム部64の交換が必要と判断されたときに行われてもよい。
【0197】
・上記実施形態では、記録装置11としてシリアル式プリンターが採用されたが、これに限らない。例えば、記録装置11として、ラテラル式プリンターが採用されてもよく、ライン式プリンターが採用されてもよい。ラテラル式プリンターは、キャリッジが主走査方向と副走査方向との2方向に移動可能プリンターである。ライン式プリンターは、幅方向Xに一定のピッチで並ぶ複数のノズルを備え、媒体の幅に亘って液体を同時に吐出可能なプリンターである。
【0198】
・媒体は、用紙に限定されない。媒体は、樹脂製のフィルムやシート、樹脂と金属の複合体フィルム、ラミネートフィルム、織物、不織布、金属箔、金属フィルム、セラミックシート及び衣料などであってもよい。また、媒体は、ロール体から繰り出されるものであってもよい。
【0199】
・液体は、媒体に付着することで、この媒体に記録することができるものであれば任意に選択することができる。例えば、インクは、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含み、水性インク、油性インク、ジェルインク、ホットメルトインク等の各種組成物を包含するものとする。
【0200】
・記録装置11は、インクジェット式プリンターに限定されず、ドットインパクト式プリンターでもよい。記録装置11の記録方式は、インクジェット方式ではなく、レーザー方式であってもよい。
【0201】
・本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、所望の選択肢の1つ以上を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、選択肢の数が2つであれば1つの選択肢のみ又は2つの選択肢の双方を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも何れか」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば1つの選択肢のみ又は2つ以上の任意の選択肢の組み合わせを意味する。
【0202】
[付記]
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0203】
(A) 媒体給送装置は、媒体載置部に載置された媒体を給送可能である給送ローラーと、前記給送ローラーを駆動させる駆動部と、前記給送ローラーを支持し、かつ、駆動軸を中心に回動可能であるアーム部と、前記アーム部と当接可能であり、かつ、前記駆動部からの正転動力により前記アーム部を回動させる変位部と、を備え、前記給送ローラーは、前記駆動部からの正転動力により前記媒体載置部に載置された媒体を給送し、前記アーム部は、当接位置と離間位置との間で前記給送ローラーを変位させ、前記当接位置は、前記媒体載置部に載置された媒体に前記給送ローラーが当接する位置であり、前記離間位置は、前記媒体載置部に載置された媒体から前記給送ローラーが離間する位置であり、前記変位部は、前記駆動部からの正転動力により前記給送ローラーを前記離間位置から前記当接位置に変位させるように前記アーム部を回動させ、前記駆動部からの逆転動力により前記給送ローラーを前記当接位置から前記離間位置に変位させるように前記アーム部を回動させる。
【0204】
この構成によれば、給送ローラーを駆動させることと、給送ローラーを支持するアーム部を変位させる変位部とを共通した駆動部からの動力により実現することができる。したがって、給送ローラーによるブリード痕を抑制することができるとともに、装置の大型化を抑制することができる。
【0205】
(B) (A)に記載の媒体給送装置において、前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、前記第1位置は、前記アーム部との非当接により前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、前記第2位置は、前記アーム部との当接により前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であってもよい。
【0206】
この構成によれば、変位部とアーム部との非当接及び当接を切り替える簡素な構成で、共通した駆動部からの動力により給送ローラーを当接位置及び離間位置に変位させることができる。したがって、給送ローラーによるブリード痕を抑制することができるとともに、装置の大型化を抑制することができる。
【0207】
(C) (B)に記載の媒体給送装置において、前記変位部は、前記第2位置において前記アーム部を鉛直方向における下方から支持してもよい。
この構成によれば、変位部とアーム部を下方から支持するか否かを切り替える簡素な構成で、共通した駆動部からの動力により給送ローラーを当接位置及び離間位置に変位させることができる。したがって、給送ローラーによるブリード痕を抑制することができるとともに、装置の大型化を抑制することができる。
【0208】
(D) (A)~(C)のうち何れか一つに記載の媒体給送装置は、並行移動可能であるラックを備え、前記変位部は、前記ラックに設けられてもよい。
この構成によれば、並行移動可能であるラックに変位部を設ける簡素な構成で、共通した駆動部からの動力により給送ローラーを当接位置及び離間位置に変位させることができる。したがって、給送ローラーによるブリード痕を抑制することができるとともに、装置の大型化を抑制することができる。
【0209】
(E) (D)前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、前記ラックは、前記給送ローラーに向かう第1移動方向と、前記第1移動方向の反対方向である第2移動方向とに移動可能であり、前記変位部が前記第1位置に配置されるときに、前記ラックは、前記駆動軸よりも前記第1移動方向に位置し、前記駆動軸よりも前記第2移動方向に突出しなくてもよい。
【0210】
この構成によれば、駆動軸よりも、給送ローラーに向かう第1移動方向にラックを位置させることができる。これにより、アーム部とラックとが最も離れた位置であっても、アーム部の変位が駆動軸に干渉することを抑制することができる。
【0211】
(F) (A)~(E)のうち何れか一つに記載の媒体給送装置は、前記駆動部からの動力を前記給送ローラー及び前記変位部に伝達可能である動力伝達部を備え、前記動力伝達部は、前記駆動部からの正転動力を前記給送ローラーに伝達するが、前記駆動部からの逆転動力を前記給送ローラーに伝達しないワンウェイクラッチを有してもよい。
【0212】
この構成によれば、駆動部からの逆転動力により、ワンウェイクラッチが給送ローラーへの逆転動力を伝達させずに、変位部が給送ローラーを離間位置に変位させることができる。これにより、給送ローラーを回転させずに、給送ローラーを離間位置に変位させることができる。したがって、給送ローラーと接触した媒体の整列性を向上させることができる。
【0213】
(G) (A)~(F)のうち何れか一つに記載の媒体給送装置は、前記駆動部からの動力を前記給送ローラー及び前記変位部に伝達可能である動力伝達部と、前記変位部の変位を規制する規制部と、を備え、前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、前記規制部は、前記変位部が前記第1位置から前記第2位置に変位する際に、前記第2位置において前記変位部の変位を規制し、前記変位部が前記第2位置から前記第1位置に変位する際に、前記第1位置において前記変位部の変位を規制し、前記動力伝達部は、前記駆動部からの動力を前記給送ローラーに伝達する第1動力伝達部と、前記駆動部からの動力を前記変位部に伝達する第2動力伝達部と、を有し、前記第2動力伝達部は、所定負荷により動力の伝達を遮断するトルクリミッターを有し、前記トルクリミッターは、前記第2位置において前記規制部により前記変位部の変位が規制されたときに、前記変位部への動力の伝達を遮断し、前記第1位置において前記規制部により前記変位部の変位が規制されたときに、前記変位部への動力の伝達を遮断してもよい。
【0214】
この構成によれば、第1位置及び第2位置において変位部の変位が規制部により規制されたときに、第2動力伝達部におけるトルクリミッターに所定負荷以上の負荷が掛かることにより、変位部への動力の伝達をトルクリミッターが遮断する。このように、トルクリミッターを設けることにより、給送ローラーを駆動する際の駆動部への負荷を抑制することができる。特に、給送ローラーへの動力伝達経路が異なる第2動力伝達部にトルクリミッターを設けることにより、トルクリミッターをより上流に設けることができる。このため、給送ローラーを駆動する際の駆動部への負荷を抑制することができる。また、変位部が第1位置及び第2位置に変位することを検出する検出部を備えなくても、精度よく変位部を第1位置及び第2位置に変位させることができる。したがって、給送ローラーと接触した媒体の整列性を向上させることができる。
【0215】
(H) (G)に記載の媒体給送装置において、前記トルクリミッターは、前記駆動軸と同軸上に設けられてもよい。
この構成によれば、トルクリミッターをアーム部に設ける構成と比較して、アーム部を軽量化することができる。これにより、アーム部に支持される給送ローラーの搬送力に対する影響を抑制することができる。また、トルクリミッターを駆動軸よりも上流側に設ける構成と比較して、装置の大型化を抑制することができる。
【0216】
(I) (A)~(H)のうち何れか一つに記載の媒体給送装置において、前記アーム部は、前記給送ローラーを揺動可能に支持してもよい。
この構成によれば、給送ローラーの振動を抑制することができる。
【0217】
(J) (A)~(I)のうち何れか一つに記載の媒体給送装置において、前記アーム部は、前記駆動軸に対して着脱可能であってもよい。
この構成によれば、アーム部を駆動軸から取り外すことにより、給送ローラーの交換を容易に行うことができる。
【0218】
(K) (A)~(I)のうち何れか一つに記載の媒体給送装置は、前記媒体載置部を引出方向に引出す際に、前記アーム部を退避位置に退避させるアーム退避部を備えてもよい。
【0219】
この構成によれば、媒体載置部を引き出す際に、媒体載置部がアーム部と干渉することを抑制することができる。
(L) 記録装置は、(A)~(K)のうち何れか一つに記載の媒体給送装置と、前記給送ローラーによって給送された媒体に記録を行う記録部と、を備える。この構成によれば、(A)と同じような効果を奏することができる。
【0220】
(M) (L)に記載の記録装置は、前記媒体給送装置によって給送された媒体を反転させる反転部を備え、前記記録部は、媒体として両面印刷可能な写真用紙に記録が可能であり、かつ、前記反転部によって媒体が反転された後に記録可能であってもよい。
【0221】
この構成によれば、両面印刷可能な写真用紙に対して給送ローラーによるブリード痕を抑制することができる。これにより、より一層、格別な効果を奏することができる。
(N) (L)又は(M)に記載の記録装置は、制御部を備え、前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、前記制御部は、媒体に記録を行うジョブの終了後に次のジョブがない場合と、媒体に記録を行うジョブの終了後に所定時間に亘って次のジョブがない場合と、電源を切断する場合との少なくとも何れかにおいて前記変位部を前記第2位置に変位させてもよい。
【0222】
この構成によれば、ジョブの終了後において、次のジョブがない場合、及び、電源を切断する場合の少なくとも何れかにおいて、給送ローラーを離間位置に変位させることができる。これにより、適切なタイミングで給送ローラーを離間位置に変位させることによって、給送ローラーによるブリード痕を抑制することができる。
【0223】
(O) (L)~(N)のうち何れか一つに記載の記録装置は、制御部と、前記給送ローラーによって給送された媒体の先端を検出する媒体検出部と、を備え、前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、前記制御部は、前記変位部が前記第1位置であるとき、媒体を給送するために前記駆動部の駆動を開始してから、第1時間が経過しても前記媒体検出部によって媒体の先端が検出されない場合に、給送エラーと判定し、前記変位部が前記第2位置であるとき、媒体を給送するために前記駆動部の駆動を開始してから、前記第1時間よりも長い第2時間が経過しても前記媒体検出部によって媒体の先端が検出されない場合に、前記給送エラーと判定してもよい。
【0224】
この構成によれば、給送ローラーによって媒体が給送される場合、変位部が第1位置であるときよりも、変位部が第2位置であるときのほうが、変位部が第2位置から第1位置に変位させる時間を経て媒体に給送ローラーが当接する。このため、給送ローラーによって媒体が給送される場合、変位部が第1位置であるときよりも、変位部が第2位置であるときのほうが、給送エラーと判定する基準となる時間を長くすることにより、給送エラーの判定精度を高めることができる。
【0225】
(P) 記録装置は、(C)に記載の媒体給送装置と、前記給送ローラーによって給送された媒体に記録を行う記録部と、制御部と、を備え、前記アーム部は、前記駆動軸に対して着脱可能であり、前記制御部は、前記変位部が前記第2位置であるときに、前記アーム部を前記駆動軸に対して着脱する際に、前記変位部を前記第2位置から前記第1位置に変位させてもよい。
【0226】
この構成によれば、変位部を第2位置から第1位置に変位させることにより、変位部とアーム部との干渉を抑制することができる。これにより、アーム部を駆動軸に対して着脱し易くなる。したがって、ユーザーの利便性を向上させることができる。
【0227】
(Q) 記録装置の制御方法は、(L)又は(M)に記載の記録装置の制御方法は、前記変位部は、第1位置と第2位置との間で変位可能であり、前記第1位置は、前記給送ローラーを前記当接位置に変位させる位置であり、前記第2位置は、前記給送ローラーを前記離間位置に変位させる位置であり、媒体に記録を行うジョブの終了後に次のジョブがない場合と、媒体に記録を行うジョブの終了後に所定時間に亘って次のジョブがない場合と、電源を切断する場合との少なくとも何れかにおいて前記変位部を前記第2位置に変位させることを含む。この構成によれば、(N)と同じような効果を奏することができる。
【0228】
(R) (Q)に記載の記録装置の制御方法において、前記記録装置は、前記給送ローラーによって給送された媒体の先端を検出する媒体検出部を有し、前記変位部が前記第1位置であるとき、媒体を給送するために前記駆動部の駆動を開始してから、第1時間が経過しても前記媒体検出部によって媒体の先端が検出されない場合に、給送エラーと判定することと、前記変位部が前記第2位置であるとき、媒体を給送するために前記駆動部の駆動を開始してから、前記第1時間よりも長い第2時間が経過しても前記媒体検出部によって媒体の先端が検出されない場合に、前記給送エラーと判定することと、を含んでもよい。この構成によれば、(O)と同じような効果を奏することができる。
【0229】
(S) 記録装置の制御方法は、(C)に記載の媒体給送装置と、前記給送ローラーによって給送された媒体に記録を行う記録部とを備える記録装置の制御方法において、前記アーム部は、前記駆動軸に対して着脱可能であり、前記変位部が前記第2位置であるときに、前記アーム部を前記駆動軸に対して着脱する際に、前記変位部を前記第2位置から前記第1位置に変位させることを含む。この構成によれば、(P)と同じような効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0230】
RA…記録領域、11…記録装置、12…前面、13…背面、14…左側面、15…右側面、16…底面、17…天面、20…筐体、21…本体、22…底板、22A…貫通孔、23…制御部、30…アーム退避部、30A…軸、30B…本体部、30C…第1レバー、30D…第2レバー、30E…第1係合部、30F…第2係合部、31…収容量視認部、33…操作パネル、34…操作部、35…表示部、37…開閉部、37A…下端部、37B…排紙トレイ、38…排出口、39…把持部、40…液体収容部、41…収容室、42…液体注入口、43…キャップ、45…廃液装着部、46…廃液収容体、48…記録部、49…搬送経路、49A…反転経路、51…キャリッジ、52…液体吐出ヘッド、53…支持部、54…媒体載置部、54A…仕切板、54B…第1媒体載置部、54C…第2媒体載置部、55…搬送部、56…搬送ローラー対、57…排出ローラー対、58…反転部、59…媒体検出部、60…媒体給送装置、61…給送ローラーユニット、62…駆動軸、62A…歯車、63…給送ローラー、63A…第1回転軸、64…アーム部、64A…基端部、64B…先端部、64C…被係合部、64D…傾斜面、64E…凹部、64F…収容空間、65…駆動部、66…動力伝達部、67…変位ユニット、68…第1動力伝達部、69…第2動力伝達部、70~75,77~79,81~83…歯車、76…第2回転軸、80…トルクリミッター、84…ラック、85…第1規制部、86…変位部、87…ユニット筐体、87A…第1ガイド部、87B…第2ガイド部、87C…切欠部、87D…第2規制部、88…被押圧部、88A…第1面、88B…第2面、89…押圧部、89A…突出部、89B…付勢部、90…フレーム、90A…凸部
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