(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147480
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】駆動装置および開閉ユニット
(51)【国際特許分類】
A47K 13/10 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
A47K13/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023172543
(22)【出願日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2023059839
(32)【優先日】2023-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】大島 雄希
(72)【発明者】
【氏名】横江 悟
【テーマコード(参考)】
2D037
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037AB07
2D037AB12
(57)【要約】
【課題】駆動装置の出力軸にモータの回転を伝達する歯車のバックラッシに起因する被駆動部材のガタつきを抑制する。
【解決手段】被駆動部材として便蓋2を駆動する開閉部材駆動装置3は、モータ12と、モータ12の回転を出力軸11に伝達する輪列機構13と、出力軸11を付勢するアシストばね16を備える。出力軸11の回転により便蓋2を全閉位置2Aから略垂直に起立した起立位置を経由して全開位置2Bまで回転させる際、出力軸11の回転角度が90°よりも手前の付勢開始位置11E(回転角度が85°の位置)に到達すると、出力軸11にアシストばね16の付勢力が作用しない状態から作用する状態に切り換わる。付勢開始位置11Eから便蓋2を全開位置2Bに到達させるまでの回転範囲では、アシストばね16の付勢力により、出力軸11を決まった方向へ付勢して強制的にガタ詰めを行う。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被駆動部材が接続される接続部および歯車部を備える出力軸と、
モータと、
前記歯車部を介して前記モータの回転を前記出力軸に伝達する輪列機構と、
前記出力軸を付勢する付勢部材と、を有し、
前記出力軸は、前記被駆動部材を倒れ位置から起立位置を経由して最大回転位置まで回転させるとき、前記倒れ位置に対応する第1位置から前記起立位置に対応する第2位置を経由して前記最大回転位置に対応する第3位置までの範囲を回転し、
前記出力軸は、前記第2位置よりも前記第1位置側に位置するとき、自重により前記倒れ位置側へ倒れようとする前記被駆動部材によって前記第1位置側へ付勢され、前記第2位置よりも前記第3位置側に位置するとき、自重により前記最大回転位置側へ倒れようとする前記被駆動部材によって前記第3位置側へ付勢され、
前記第1位置と前記第2位置との間で前記第1位置よりも前記第2位置に近い付勢開始位置に前記出力軸が到達すると、前記出力軸に前記付勢部材の付勢力が作用する状態と作用しない状態とが切り換わり、
前記付勢開始位置から前記第3位置までの回転範囲を前記出力軸が回転する間は、前記付勢部材は、前記出力軸を前記第1位置側へ付勢するガタ詰め力を作用させることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記付勢部材は、前記出力軸が前記第1位置から前記付勢開始位置よりも前記第1位置側のアシスト終了位置まで回転する間は、前記出力軸を前記第3位置側へ付勢するアシスト力を作用させ、
前記出力軸が前記アシスト終了位置から前記付勢開始位置までの範囲を回転する間は、前記出力軸に前記付勢部材の付勢力が作用しないことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記モータ、前記輪列機構、および前記歯車部を収容するとともに、前記出力軸を貫通させて前記接続部を外部に露出させる開口部を有するケースを有し、
前記付勢部材は、前記ケースに保持される第1ばね端部と、前記出力軸に設けられた係合部に前記出力軸の回転方向に移動可能な状態で係合する第2ばね端部と、を備えるアシストばねであり、
前記係合部は、前記第1位置から前記アシスト終了位置までの回転範囲で前記第2ばね端部から前記アシスト力が加わる第1当接部と、前記付勢開始位置から前記第3位置までの回転範囲で前記第2ばね端部から前記ガタ詰め力が加わる第2当接部と、を備え、
前記第2ばね端部は、前記出力軸が前記アシスト終了位置から前記付勢開始位置までの範囲を回転するとき、前記係合部内を前記第1当接部および前記第2当接部から離れた状態で移動することを特徴とする請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記アシストばねは、線材をコイル状に巻いたコイル部を備え、前記第1ばね端部は、前記コイル部の一端から延びる前記線材の端部であり、前記第2ばね端部は、前記コイル部の他端から延びる前記線材の端部であり、
前記第2ばね端部は、前記第1当接部に対して前記コイル部の巻き広がり方向と巻き締め方向のうちの一方の方向に当接し、前記第2当接部に対して前記巻き広がり方向と前記巻き締め方向のうちの他方の方向に当接することを特徴とする請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記輪列機構は、前記ケース内を前記出力軸の軸線方向に平行に延びる第1シャフトおよび第2シャフトと、前記歯車部と噛み合う最終歯車を含む複数の歯車と、を備え、
前記複数の歯車は、前記モータの回転が伝達される順で、前記第1シャフトおよび前記
第2シャフトに交互に回転可能に支持され、
前記ケースは、前記開口部が設けられた板部から突出する筒状の第1軸保持部および第2軸保持部を備え、前記第1軸保持部に前記第1シャフトの一端が保持され、前記第2軸保持部に前記第2シャフトの一端が保持され、
前記第1ばね端部は、前記第1軸保持部または前記第2軸保持部の外周に沿って延びるばね保持溝に配置されることを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記歯車部は、前記出力軸に設けられた大径部の周方向の一部に設けられ、
前記係合部は、前記大径部において前記歯車部が設けられていない角度範囲の一部を径方向内側に切り欠いた係止凹部であり、
前記第1当接部は、前記係止凹部の周方向の一端に設けられ、前記第2当接部は、前記係止凹部の周方向の他端に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記ケースは、前記大径部の周方向の一部を囲うガイド壁を備え、
前記ガイド壁は、前記大径部の外周面に沿う周方向に延びており、前記ガイド壁と前記外周面との径方向の隙間は、前記第2ばね端部の線径よりも小さく、
前記第2ばね端部は、前記出力軸が前記第1位置から前記第3位置まで回転する間の一部の回転範囲において、前記第1当接部または前記第2当接部により前記巻き広がり方向に押圧されながら第1角度位置から第2角度位置まで移動し、
前記ガイド壁は、少なくとも前記第1角度位置と前記第2角度位置の途中から前記第2角度位置までの範囲を包含する角度範囲に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記ガイド壁は、前記第1角度位置から前記第2角度位置までの全範囲を包含する角度範囲に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記輪列機構は、前記ケース内を前記出力軸の軸線方向に平行に延びる第1シャフトおよび第2シャフトと、前記歯車部と噛み合う最終歯車を含む複数の歯車と、を備え、
前記ケースは、前記モータを収容する第1ケースと、前記軸線方向と交差する方向に延びる隔壁部を備える第2ケースと、前記歯車部、前記最終歯車、および前記アシストばねを収容するとともに前記開口部が設けられた第3ケースと、を備え、
前記第1ケース、前記第2ケース、前記第3ケースはこの順で前記軸線方向に積層され、
前記ガイド壁は、前記隔壁部から前記第3ケースの側に向かって前記軸線方向に延びており、
前記第3ケースは、前記大径部の外周を囲う周壁を備え、
前記ガイド壁は、前記周壁の内周側に位置することを特徴とする請求項7に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記係止凹部は、前記歯車部の周方向の中央と前記大径部の径方向の中心とを結ぶ直線に対して線対称な2箇所に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記係止凹部は、前記歯車部の周方向の中央と前記大径部の径方向の中心とを結ぶ直線に対して線対称な2箇所に設けられており、
前記ケースは、前記大径部の外周を囲う第1ガイド壁と第2ガイド壁を周方向に離れた2箇所に備え、前記第1ガイド壁と第2ガイド壁のそれぞれは、前記大径部の外周面に沿う周方向に延びており、且つ、前記外周面との径方向の隙間が前記第2ばね端部の線径よりも小さく、
前記アシストばねは、前記第2ばね端部が前記2箇所の係止凹部のいずれかに配置されるように組み付けられ、
前記第1ガイド壁は、前記2箇所の係止凹部の一方に配置された前記第2ばね端部が前記巻き広がり方向の押圧力を受けながら移動するとき、前記第2ばね端部が移動する角度範囲の全範囲を包含する第1角度範囲に配置され、
前記第2ガイド壁は、前記2箇所の係止凹部の他方に配置された前記第2ばね端部が前記巻き広がり方向の押圧力を受けながら移動するとき、前記第2ばね端部が移動する角度範囲の全範囲を包含する第2角度範囲に配置されることを特徴とする請求項6に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記ケースは、前記モータを収容する第1ケースと、前記軸線方向と交差する方向に延びる隔壁部を備える第2ケースと、前記歯車部、前記最終歯車、および前記アシストばねを収容するとともに前記開口部および前記ばね保持溝が設けられた第3ケースと、を備え、
前記第1ケース、前記第2ケース、前記第3ケースはこの順で前記軸線方向に積層され、
前記第1シャフトおよび前記第2シャフトは、前記隔壁部を貫通して前記第1ケース内および前記第3ケース内を平行に延びており、
前記モータは、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの側方に配置されるモータ本体と、前記モータ本体から前記隔壁部とは反対側に突出するモータ出力軸と、を備え、
前記輪列機構は、前記モータ出力軸に取り付けたモータピニオンと噛み合う歯車を含むことを特徴とする請求項5に記載の駆動装置。
【請求項13】
前記付勢開始位置は、前記第1位置からの回転角度が85°の位置であることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項14】
前記アシスト終了位置は、前記第1位置からの回転角度が70°の位置であることを特徴とする請求項2に記載の駆動装置。
【請求項15】
前記接続部は、前記被駆動部材として便蓋または便座が接続され、
前記倒れ位置は、便器本体に対して前記便蓋または前記便座が重なる全閉位置であり、
前記最大回転位置は、前記便器本体に設けられたストッパにより前記便蓋または前記便座の回転が規制される全開位置であることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか一項に記載の駆動装置と、
前記接続部に接続される前記被駆動部材と、を有し、
前記被駆動部材は、便蓋または便座であることを特徴とする開閉ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉部材などの被駆動部材を駆動する駆動装置、および開閉部材としてトイレユニットの便蓋や便座を開閉する開閉ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被駆動部材を駆動する駆動装置として、便蓋や便座などの開閉部材を駆動する開閉部材駆動装置が記載される。同文献の開閉部材駆動装置は、モータと、開閉部材が接続される出力軸と、モータの駆動力を出力軸に伝達する輪列機構を備える。また、開閉部材駆動装置には、出力軸を付勢して開閉部材の開動作をアシストするアシストばねが組み込まれている。
【0003】
便蓋や便座を開閉する開閉部材駆動装置では、便蓋や便座を略水平に倒れている倒れ位置(全閉位置)から90°以上回転させる。例えば、倒れ位置の角度を0°としたとき、110°まで回転させると便座や便蓋がストッパに当たって止まるように構成する場合、開閉材駆動装置は、出力軸を便蓋や便座の最大回転角度(例えば、110°)よりも大きい角度(例えば、120°)回転させることができるように構成される。
【0004】
便蓋や便座を回転させる際の回転負荷は、便蓋や便座の回転位置により変動する。倒れ位置(全閉位置)に近い位置では、便蓋や便座の自重により回転負荷が大きいため、アシストばねの付勢力を利用する。特許文献1では、モータの駆動力とアシストばねのアシスト力を合計した力が、回転負荷と回転位置との関係を示す負荷曲線に近づくように、アシスト力が作用する作用範囲を設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
便蓋や便座を開閉する開閉部材駆動装置では、便蓋や便座が起立した状態に近づくと、小さな力でも便蓋や便座を回転させることができる。そのため、モータの出力を切って慣性力により便蓋や便座を回転させるような制御が行われる。しかしながら、出力軸に自重による回転負荷やモータの駆動力が加わらない状態では、出力軸にモータの回転を伝達する輪列機構を構成するギアのバックラッシに起因する出力軸のガタつきが発生しやすく、便蓋や便座がガタついてしまう。
【0007】
本発明の課題は、かかる点に鑑みて、便座や便蓋などの被駆動部材を駆動する駆動装置の出力軸にモータの回転を伝達する歯車のバックラッシに起因する被駆動部材のガタつきを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の開閉部材駆動装置は、被駆動部材が接続される接続部および歯車部を備える出力軸と、モータと、前記歯車部を介して前記モータの回転を前記出力軸に伝達する輪列機構と、前記出力軸を付勢する付勢部材と、を有し、前記出力軸は、前記被駆動部材を倒れ位置から起立位置を経由して最大回転位置まで回転させるとき、前記倒れ位置に対応する第1位置から前記起立位置に対応する第2位置を経由して前記最大回転位置に対応する第3位置までの範囲を回転し、前記出力軸は、前記第2位置よ
りも前記第1位置側に位置するとき、自重により前記倒れ位置側へ倒れようとする前記被駆動部材によって前記第1位置側へ付勢され、前記第2位置よりも前記第3位置側に位置するとき、自重により前記最大回転位置側へ倒れようとする前記被駆動部材によって前記第3位置側へ付勢され、前記第1位置と前記第2位置との間で前記第1位置よりも前記第2位置に近い付勢開始位置に前記出力軸が到達すると、前記出力軸に前記付勢部材の付勢力が作用する状態と作用しない状態とが切り換わり、前記付勢開始位置から前記第3位置までの回転範囲を前記出力軸が回転する間は、前記付勢部材は、前記出力軸を前記第1位置側へ付勢するガタ詰め力を作用させることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、被駆動部材を倒れ位置から起立位置を越える位置(最大回転位置)まで回転させるとき、被駆動部材が起立位置に近づいてから付勢部材により出力軸を付勢する状態に切り換わる。これにより、モータから出力軸に回転を伝達する輪列機構の歯車が噛み合う箇所に隙間(バックラッシ)が大きい箇所がある場合に、付勢部材の付勢力(ガタ詰め力)により、強制的に決まった方向へガタ詰めを行うことができる。よって、バックラッシに起因する出力軸のガタつきを抑制できる。また、付勢開始位置の手前では第1位置側へ付勢するガタ詰め力を作用させないので、ガタ詰め力が不要な位置で不必要な回転負荷の増大を避けることができる。
【0010】
本発明において、前記付勢部材は、前記出力軸が前記第1位置から前記付勢開始位置よりも前記第1位置側のアシスト終了位置まで回転する間は、前記出力軸を前記第3位置側へ付勢するアシスト力を作用させ、前記出力軸が前記アシスト終了位置から前記付勢開始位置までの範囲を回転する間は、前記出力軸に前記付勢部材の付勢力が作用しないことが好ましい。このようにすると、被駆動部材の自重による回転負荷が大きい位置でアシスト力により回転負荷を低減させることができる。また、バックラッシに起因するガタつき抑制とアシスト力の付与の両方を共通の付勢部材により行うので、構成を簡素化できる。
【0011】
本発明において、前記モータ、前記輪列機構、および前記歯車部を収容するとともに、前記出力軸を貫通させて前記接続部を外部に露出させる開口部を有するケースを有し、前記付勢部材は、前記ケースに保持される第1ばね端部と、前記出力軸に設けられた係合部に前記出力軸の回転方向に移動可能な状態で係合する第2ばね端部と、を備えるアシストばねであり、前記係合部は、前記第1位置から前記アシスト終了位置までの回転範囲で前記第2ばね端部から前記アシスト力が加わる第1当接部と、前記付勢開始位置から前記第3位置までの回転範囲で前記第2ばね端部から前記ガタ詰め力が加わる第2当接部と、を備え、前記第2ばね端部は、前記出力軸が前記アシスト終了位置から前記付勢開始位置までの範囲を回転するとき、前記係合部内を前記第1当接部および前記第2当接部から離れた状態で移動することが好ましい。このようにすると、出力軸の回転位置によってアシストばねから加わる付勢力の方向を変えることができる。また、適正な位置に第1当接部と第2当接部を設けることにより、適正な回転位置で適正なアシスト力とガタ詰め力を発生させることができる。さらに、ガタ詰めとアシスト力の付与の両方を共通のアシストばねにより行うことができる。
【0012】
本発明において、前記アシストばねは、線材をコイル状に巻いたコイル部を備え、前記第1ばね端部は、前記コイル部の一端から延びる前記線材の端部であり、前記第2ばね端部は、前記コイル部の他端から延びる前記線材の端部であり、前記第2ばね端部は、前記第1当接部に対して前記コイル部の巻き広がり方向と巻き締め方向のうちの一方の方向に当接し、前記第2当接部に対して前記巻き広がり方向と前記巻き締め方向のうちの他方の方向に当接することが好ましい。このようにすると、巻き締め方向に作用する付勢力と巻き広がり方向に作用する付勢力が逆向きになることを利用して、ガタ詰め力とアシスト力が逆方向に作用するように構成できる。
【0013】
本発明において、前記輪列機構は、前記ケース内を前記出力軸の軸線方向に平行に延びる第1シャフトおよび第2シャフトと、前記歯車部と噛み合う最終歯車を含む複数の歯車と、を備え、前記複数の歯車は、前記モータの回転が伝達される順で、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトに交互に回転可能に支持され、前記ケースは、前記開口部が設けられた板部から突出する筒状の第1軸保持部および第2軸保持部を備え、前記第1軸保持部に前記第1シャフトの一端が保持され、前記第2軸保持部に前記第2シャフトの一端が保持され、前記第1ばね端部は、前記第1軸保持部または前記第2軸保持部の外周に沿って延びるばね保持溝に配置されることが好ましい。このようにすると、強度の高い軸保持部によって第1ばね端部を支持できるので、ケースの変形を抑制でき、耐久性を高めることができる。
【0014】
本発明において、前記歯車部は、前記出力軸に設けられた大径部の周方向の一部に設けられ、前記係合部は、前記大径部において前記歯車部が設けられていない角度範囲の一部を径方向内側に切り欠いた係止凹部であり、前記第1当接部は、前記係止凹部の周方向の一端に設けられ、前記第2当接部は、前記係止凹部の周方向の他端に設けられていることが好ましい。このようにすると、出力軸の回転に伴って係止凹部内を第1ばね端部が移動して、回転負荷を低減させる方向の付勢力(アシスト力)が作用する状態、付勢力が何も作用しない状態、回転負荷を増大させる方向の付勢力(ガタ詰め力)が作用する状態が切り替わるように構成できる。
【0015】
本発明において、前記ケースは、前記大径部の周方向の一部を囲うガイド壁を備え、前記ガイド壁は、前記大径部の外周面に沿う周方向に延びており、前記ガイド壁と前記外周面との径方向の隙間は、前記第2ばね端部の線径よりも小さく、前記第2ばね端部は、前記出力軸が前記第1位置から前記第3位置まで回転する間の一部の回転範囲において、前記第1当接部または前記第2当接部により前記巻き広がり方向に押圧されながら第1角度位置から第2角度位置まで移動し、前記ガイド壁は、少なくとも前記第1角度位置と前記第2角度位置の途中から前記第2角度位置までの範囲を包含する角度範囲に設けられていることが好ましい。付勢部材としてコイル部を備えたアシストばねを用いる場合には、アシストばねは、第2ばね端部がコイル部の巻き広がり方向に押圧されるとき、コイル径が拡大して第2ばね端部は径方向外側に移動する。本発明では、コイル径が拡がっていく途中から、コイル形が最大になるまで(第1角度位置と第2角度位置の途中から第2角度位置まで)の角度範囲では、第2ばね端部の外周側への移動がガイド壁によって規制される。従って、コイル径の拡大に伴って係止凹部から第2ばね端部が外れることを規制することができる。
【0016】
この場合に、前記ガイド壁は、前記第1角度位置から前記第2角度位置までの全範囲を包含する角度範囲に設けられていることが好ましい。このようにすると、コイル径が拡がり始めてからコイル形が最大になるまでの全範囲において、常に第2ばね端部の外周側にガイド壁が位置する。従って、係止凹部から第2ばね端部が外れることを規制することができる。
【0017】
本発明において、前記輪列機構は、前記ケース内を前記出力軸の軸線方向に平行に延びる第1シャフトおよび第2シャフトと、前記歯車部と噛み合う最終歯車を含む複数の歯車と、を備え、前記ケースは、前記モータを収容する第1ケースと、前記軸線方向と交差する方向に延びる隔壁部を備える第2ケースと、前記歯車部、前記最終歯車、および前記アシストばねを収容するとともに前記開口部が設けられた第3ケースと、を備え、前記第1ケース、前記第2ケース、前記第3ケースはこの順で前記軸線方向に積層され、前記ガイド壁は、前記隔壁部から前記第3ケースの側に向かって前記軸線方向に延びており、前記第3ケースは、前記大径部の外周を囲う周壁を備え、前記ガイド壁は、前記周壁の内周側に位置することが好ましい。このようにすると、必要な角度範囲のみガイド壁を設けて、
他の角度範囲では、ケース(周壁)と大径部との隙間を大きくすることができる。従って、ケース内のスペースを確保できる。また、ガイド壁を設けた部位では、周壁の内側にガイド壁が重なるので、密閉性を確保できる。例えば、周壁の内面に凹部を設けてガイド壁を嵌合させた場合には、ラビリンス構造を形成できる。よって、ケース同士の接合部の密閉性を確保でき、接合部からのグリス漏れを抑制できる。
【0018】
本発明において、前記係止凹部は、前前記歯車部の周方向の中央と前記大径部の径方向の中心とを結ぶ直線に対して線対称な2箇所に設けられていることが好ましい。このようにすると、出力軸を逆向きに回転させる駆動装置を構成する場合に、巻き方向を逆向きにしたアシストばねを取り付けることができ、アシスト力とガタ詰め力を適正な回転位置で作用させることができる。よって、被駆動部材を駆動する際の出力軸の回転方向が異なる駆動装置を製造する場合に、アシストばねだけを変更すればよく、出力軸は共通部品にすることができる。
【0019】
本発明において、前記係止凹部は、前記歯車部の周方向の中央と前記大径部の径方向の中心とを結ぶ直線に対して線対称な2箇所に設けられており、前記ケースは、前記大径部の外周を囲う第1ガイド壁と第2ガイド壁を周方向に離れた2箇所に備え、前記第1ガイド壁と第2ガイド壁のそれぞれは、前記大径部の外周面に沿う周方向に延びており、且つ、前記外周面との径方向の隙間が前記第2ばね端部の線径よりも小さく、前記アシストばねは、前記第2ばね端部が前記2箇所の係止凹部のいずれかに配置されるように組み付けられ、前記第1ガイド壁は、前記2箇所の係止凹部の一方に配置された前記第2ばね端部が前記巻き広がり方向の押圧力を受けながら移動するとき、前記第2ばね端部が移動する角度範囲の全範囲を包含する第1角度範囲に配置され、前記第2ガイド壁は、前記2箇所の係止凹部の他方に配置された前記第2ばね端部が前記巻き広がり方向の押圧力を受けながら移動するとき、前記第2ばね端部が移動する角度範囲の全範囲を包含する第2角度範囲に配置されることが好ましい。このようにすると、出力軸を逆向きに回転させる駆動装置を構成する場合に、巻き方向を逆向きにしたアシストばねを取り付けることができ、アシスト力とガタ詰め力を適正な回転位置で作用させることができる。よって、被駆動部材を駆動する際の出力軸の回転方向が異なる駆動装置を製造する場合に、アシストばねだけを変更すればよく、出力軸は共通部品にすることができる。また、出力軸の回転方向が異なる2種類の構造のいずれにおいても、第2ばね端部の外周側への移動が第1ガイド壁と第2ガイド壁のどちらかによって必ず規制される。従って、コイル径の拡大に伴って係止凹部から第2ばね端部が外れることを規制することができる。
【0020】
本発明において、前記ケースは、前記モータを収容する第1ケースと、前記軸線方向と交差する方向に延びる隔壁部を備える第2ケースと、前記歯車部、前記最終歯車、および前記アシストばねを収容するとともに前記開口部および前記ばね保持溝が設けられた第3ケースと、を備え、前記第1ケース、前記第2ケース、前記第3ケースはこの順で前記軸線方向に積層され、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトは、前記隔壁部を貫通して前記第1ケース内および前記第3ケース内を平行に延びており、前記モータは、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの側方に配置されるモータ本体と、前記モータ本体から前記隔壁部とは反対側に突出するモータ出力軸と、を備え、前記輪列機構は、前記モータ出力軸に取り付けたモータピニオンと噛み合う歯車を含むことが好ましい。このようにすると、輪列機構の歯車を出力軸の軸線方向に延びる2本のシャフトに取り付けて軸線方向に沿って配置できるので、軸線方向から見た輪列機構の配置スペースを小さくできる。また、モータの軸線方向をシャフトと並行にしたので、軸線方向から見たモータの配置スペースを小さくできる。さらに、大型の歯車部を備える出力軸を軸線方向から見てモータと重なるように配置できるので、軸線方向から見たケースの外形を小さくすることができる。
【0021】
本発明において、前記付勢開始位置は、前記第1位置からの回転角度が85°の位置であることが好ましい。このようにすると、モータの出力を切っても慣性力により被駆動部材を動かすことができるような回転位置(回転角度が90°に近い回転位置)に出力軸が到達したときに、確実に付勢力(ガタ詰め力)を作用させておくことができる。
【0022】
本発明において、前記アシスト終了位置は、前記第1位置からの回転角度が70°の位置であることが好ましい。このようにすると、被駆動部材を倒れ位置に戻す方向に出力軸を回転させるとき、倒れ位置付近で付勢力(アシスト力)が大きくなりすぎてモータトルクが不足することを回避できる。
【0023】
本発明において、前記接続部は、前記被駆動部材として便蓋または便座が接続され、前記倒れ位置は、便器本体に対して前記便蓋または前記便座が重なる全閉位置であり、前記最大回転位置は、前記便器本体に設けられたストッパにより前記便蓋または前記便座の回転が規制される全開位置であることが好ましい。このようにすると、便蓋または便座を開閉する際、起立位置の付近で便蓋または便座のガタつきを抑制できる。
【0024】
次に、本発明の開閉ユニットは、上記の駆動装置と、前記接続部に接続される前記被駆動部材と、を有し、前記被駆動部材は、便蓋または便座であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、被駆動部材を倒れ位置から起立位置を越える位置(最大回転位置)まで回転させるとき、被駆動部材が起立位置に近づいてから付勢部材により出力軸を付勢する状態に切り換わる。これにより、モータから出力軸に回転を伝達する輪列機構の歯車が噛み合う箇所に隙間(バックラッシ)が大きい箇所がある場合に、付勢部材の付勢力(ガタ詰め力)により、強制的に決まった方向へガタ詰めを行うことができる。よって、バックラッシに起因する出力軸のガタつきを抑制できる。また、付勢開始位置の手前では第1位置側へ付勢するガタ詰め力を作用させないので、ガタ詰め力が不要な位置で不必要な回転負荷の増大を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】便蓋を開閉する開閉ユニットの説明図である。
【
図3】ケースおよびアシストばねを外した開閉部材駆動装置を出力軸の側から見た斜視図である。
【
図4】ケースおよびアシストばねを外した開閉部材駆動装置を出力軸とは反対側から見た斜視図である。
【
図5】開閉部材駆動装置の断面図(
図2(a)のA-A線断面図)である。
【
図6】開閉部材駆動装置の断面図(
図2(a)のB-B線断面図)およびその部分拡大図である。
【
図7】第3ケースを外した開閉部材駆動装置の分解斜視図である。
【
図8】第3ケースのばね保持溝およびアシストばねの斜視図である。
【
図9】出力軸が第1位置に位置するときのアシストばねの状態を示す斜視図である。
【
図10】出力軸がアシスト終了位置に位置するときのアシストばねの状態を示す斜視図である。
【
図11】出力軸が付勢開始位置に位置するときのアシストばねの状態を示す斜視図である。
【
図12】出力軸の回転角度による回転負荷の変動およびアシストばねの付勢力の変動を模式的に示す説明図である。
【
図15】焼結部品を軸線方向から見た平面図である。
【
図16】変形例の第2ケースを備える開閉部材駆動装置の分解斜視図である。
【
図17】変形例の第3ケースおよびアシストばねの斜視図である。
【
図18】アシストばねの第2ばね端部が一方の係止凹部に配置されている場合の係止凹部およびケースの断面図である。
【
図19】逆回転仕様のアシストばねの第2ばね端部が他方の係止凹部に配置されている場合の係止凹部およびケースの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明に係る駆動装置の実施形態である開閉部材駆動装置を備えた開閉ユニットを説明する。
【0028】
(全体構成)
図1は便蓋2を開閉する開閉ユニット1の説明図である。
図2(a)、
図2(b)は開閉部材駆動装置3の外観斜視図である。
図3は、ケース10およびアシストばね16を外した開閉部材駆動装置3を出力軸11の側から見た斜視図である。
図4は、ケース10およびアシストばね16を外した開閉部材駆動装置3を出力軸11とは反対側から見た斜視図である。
図5は開閉部材駆動装置3の断面図であり、
図2のA-A線断面図である。
図6は開閉部材駆動装置3の断面図およびその部分拡大図であり、
図2のB-B線断面図である。
【0029】
図1に示すように、開閉ユニット1は、便蓋2と、便蓋2を駆動する開閉部材駆動装置3を有する。開閉ユニット1は、便器本体4および便座5を備えるトイレユニット6に取り付けられて、便蓋2を回転させる。開閉ユニット1がトイレユニット6に取り付けられた状態で、便蓋2の回転軸Hは、水平方向に延びる。便蓋2は、開閉部材駆動装置3の駆動により、便器本体4および便座5に上方から被さる全閉位置2Aと、便器本体4から立ち上がる全開位置2Bとの間を移動する。便器本体4には、全開位置2Bで便蓋2に当接してそれ以上の便蓋2の回転を規制するストッパ(図示せず)が設けられている。
【0030】
図2(a)、
図2(b)に示すように、開閉部材駆動装置3は、ケース10と、ケース10に設けられた開口部10aからケース10の外側に突出する出力軸11を備える。ケース10は、柱形状であり、出力軸11の軸線L1に沿って延びる。
図3、
図4に示すように、ケース10内には、モータ12と、モータ12の駆動力を出力軸11に伝達する輪列機構13と、出力軸11を付勢するアシストばね16が収容される。また、ケース10内には、基板14と、出力軸11の回転角度位置を検出するためのポテンショメータ15が収容される。
【0031】
開閉部材駆動装置3は、出力軸11の軸線L1を便蓋2の回転軸Hと一致させた姿勢でトイレユニット6に取り付けられる。すなわち、出力軸11を水平方向に向けてトイレユニット6に取り付けられる。開閉部材駆動装置3が出力軸11を所定角度で回転駆動することにより、便蓋2は、全閉位置2Aと全開位置2Bとの間を移動する。本形態において、所定角度は、130°以下である。例えば、所定角度は、110°である。ここで、開閉部材駆動装置3は、
図1に実線で示すように、回転軸Hに沿った方向で便蓋2の一方側に設置される場合がある。また、開閉部材駆動装置3は、
図1に破線で示すように、回転軸Hに沿った方向で便蓋2の他方側に設置される場合がある。
【0032】
(モータ)
モータ12は、DCモータである。
図3、
図4、
図5に示すように、モータ12は、モータ本体17と、モータ本体17から突出するモータ出力軸18と、モータ本体17から
モータ出力軸18とは反対方向に突出する一対のモータ端子19を備える。一対のモータ端子19は、モータ出力軸18の軸線L2を挟んで径方向で反対側の2箇所に設けられている。
図3には一対のモータ端子19の一方のみが図示され、他方は出力軸11の背後に隠れている。モータ出力軸18は、出力軸11の位置する側とは反対方向に突出し、一対のモータ端子19は、出力軸11が位置する側に突出する。モータ出力軸18には、モータピニオン20が取り付けられている。
【0033】
モータ出力軸18の軸線L2と開閉部材駆動装置3の出力軸11の軸線L1とは、平行である。
図3、
図4、
図5から分かるように、出力軸11の軸線L1に沿った方向から見た場合に、モータ本体17は出力軸11と部分的に重なる。また、出力軸11の軸線L1に沿った方向から見た場合に、モータ出力軸18は出力軸11と重なる。
【0034】
以下の説明では、モータ出力軸18の軸線L2および出力軸11の軸線L1に沿った方向を軸線方向Xとし、軸線方向Xの一方側を第1方向X1とし、軸線方向Xの他方側を第2方向とする。第1方向X1は、モータ出力軸18がモータ本体17から突出する方向である。第2方向X2は、モータ端子19がモータ本体17から突出する方向であり、且つ、ケース10から出力軸11が突出する方向である。モータ12は、出力軸11の第1方向X1に位置する。
【0035】
また、以下の説明では、軸線方向Xと直交する方向をY方向とし、Y方向の一方側をY1方向とし、Y方向の他方側をY2方向とする。軸線方向Xと直交し且つY方向と直交する方向をZ方向とし、Z方向の一方側をZ1方向とし、Z方向の他方側をZ2方向とする。
図2に示すように、軸線方向Xから見たときのケース10の平面形状の長手方向は、Z方向と一致する。ケース10のZ1方向の側面は円弧状の湾曲面である。
【0036】
(出力軸)
図3、
図4に示すように、出力軸11は、開閉部材(被駆動部材)である便蓋2が接続される接続部22と、モータ12の駆動力が伝達される歯車部23と、回転角度位置検出用歯車部24とを備える。歯車部23と回転角度位置検出用歯車部24は、噛合相手の歯車と噛み合う部分に、グリスが塗布される。接続部22、歯車部23、および回転角度位置検出用歯車部24は、同軸である。歯車部23は、接続部22の第1方向X1に設けられている。回転角度位置検出用歯車部24は、歯車部23の第1方向X1に設けられている。出力軸11の歯車部23および回転角度位置検出用歯車部24は、ケース10内に収容される。接続部22は、開口部10aからケース10の外側へ突出する。
【0037】
(輪列機構)
輪列機構13は、大径歯車部分と大径歯車部分よりも小径の小径歯車部分を備える複合歯車を複数備える。各複合歯車は、小径歯車部分が大径歯車部分の第2方向X2に位置する。各複合歯車が噛み合う部分には、グリスが塗布される。輪列機構13は、減速輪列である。また、輪列機構13は、これら複数の複合歯車を回転可能に支持する3本のシャフトを備える。
【0038】
具体的には、
図3、
図4に示すように、輪列機構13は、モータピニオン20に噛合する第1複合歯車26と、第1複合歯車26を回転可能に支持する第1複合歯車用シャフト27と、を備える。第1複合歯車用シャフト27は、モータ本体17の第1方向X1で軸線方向Xに延びる。
【0039】
また、輪列機構13は、モータ本体17の側方を軸線方向Xに平行に延びる第1シャフト28および第2シャフト29を備える。さらに、輪列機構13は、第1シャフト28に回転可能に支持された第2複合歯車31(第1歯車)、第2複合歯車31の第2方向X2
において第1シャフト28に回転可能に支持された第3複合歯車32(第2歯車)を備える。また、輪列機構13は、第2シャフト29に回転可能に支持された第4複合歯車33、第4複合歯車33の第2方向X2において第2シャフト29に回転可能に支持された第5複合歯車34(第3歯車)、および第5複合歯車34の第2方向X2において第2シャフト29に回転可能に支持された第6複合歯車35(第4歯車)を備える。
【0040】
図3、
図4に示すように、第1複合歯車26は、その大径歯車部分26aがモータピニオン20に噛合し、その小径歯車部分26bが第2シャフト29の最も第1方向X1に位置する第4複合歯車33の大径歯車部分33aに噛合する。第4複合歯車33は、その小径歯車部分33bが第1シャフト28の最も第1方向X1に支持された第2複合歯車31(第1歯車)の大径歯車部分31aに噛合する。第2複合歯車31は、小径歯車部分31bが第2シャフト29に支持された第5複合歯車34(第3歯車)の大径歯車部分34aに噛合する。第5複合歯車34は、その小径歯車部分34bが、第1シャフト28に支持された第3複合歯車32(第2歯車)の大径歯車部分32aに噛合する。第3複合歯車32は、その小径歯車部分32bが、第2シャフト29に支持された第6複合歯車35(第4歯車)の大径歯車部分35aに噛合する。第6複合歯車35は、その小径歯車部分35bが、出力軸11の歯車部23に噛合する。第6複合歯車35(第4歯車)は、輪列機構13の最終歯車であり、出力軸11の歯車部23と噛合する。
【0041】
モータ出力軸18(モータピニオン20)の回転は、駆動力伝達方向の上流側から下流側に向かって、第1複合歯車26、第4複合歯車33、第2複合歯車31(第1歯車)、第5複合歯車34(第3歯車)、第3複合歯車32(第2歯車)、第6複合歯車35(第4歯車)の順に伝達されて出力軸11に達する。ここで、
図4に示すように、第3複合歯車32の小径歯車部分32bは、第1方向X1の端部分であって大径歯車部分32aに隣り合う部分に、歯を有さない円柱部32cを備える。円柱部32cは、所定の高さ寸法を備える。なお、円柱部32cには、グリスは塗布されていない。また、
図6に示すように、第2複合歯車31は、その大径歯車部分31aと小径歯車部分31bとの間に、駆動力の伝達を継断するトルクリミッタ37が設けられている。
【0042】
(基板、およびポテンショメータ)
図3、
図4に示すように、基板14は、厚み方向を軸線方向Xに向けてモータ本体17と出力軸11との間に配置されている。
図3に示すように、ポテンショメータ15は、基板14の第2方向X2を向く基板表面14aに取り付けられた検出部38と、検出部38に接続されるポテンショギア39と、を備える。
【0043】
基板14は、
図3に示すように、モータ端子用貫通孔41と、モータ12に電力を供給するための第1配線パターン42と、検出部38に電力を供給するとともにポテンショメータ15からの回転角度位置信号(信号)を外部に取り出すための第2配線パターン43と、を備える。一対のモータ端子19のそれぞれは、モータ端子用貫通孔41を貫通した状態で第1配線パターン42に接続される。
【0044】
図4に示すように、基板14において、第1方向X1を向く基板裏面14bには、コネクタ45が取り付けられている。コネクタ45は、第1配線パターン42および第2配線パターン43に電気的に接続される。コネクタ45には、外部の機器から延びるケーブルに設けられた外部コネクタが、第1方向X1の側から着脱可能に接続される。モータ12およびポテンショメータ15の検出部38には、コネクタ45から基板14を介して、電力が供給される。
【0045】
図4、
図6に示すように、第1シャフト28および第3複合歯車32の円柱部32cは、基板14の縁を切り欠いた基板側第1貫通部47に配置される。
図3に示すように、第
2シャフト29は、基板14を貫通する基板側第2貫通部48に配置される。
【0046】
図4に示すように、輪列機構13は、基板14の第1方向X1に、第1複合歯車26、第2複合歯車31、第3複合歯車32の大径歯車部分32a、第4複合歯車33、および第5複合歯車34が位置する。第3複合歯車32の大径歯車部分32a、第6複合歯車35、および出力軸11は、基板14の第2方向X2に位置する。従って、輪列機構13は、基板14の第1方向X1の側から基板14の第2方向X2にモータ12の駆動量を伝達する。
【0047】
(ケース)
図2(a)、
図2(b)、
図5に示すように、ケース10は、第2方向X2の端面に、出力軸11を貫通させて接続部22を外部に露出させる開口部10aを備える。また、
図5、
図6に示すように、ケース10は、内部に、軸線方向Xと交差する方向に延びてケース10内を2つの領域に仕切る隔壁部55を備える。さらに、
図2(a)、
図5に示すように、ケース10は、隔壁部55の第1方向X1に、基板14の端部に配置されたコネクタ45を外部に露出させるコネクタ用開口部10bを備える。
【0048】
より具体的には、ケース10は、軸線方向Xの第1方向X1の側から第2方向X2に向かって積層された第1ケース61、第2ケース62および第3ケース63を備える。隔壁部55は、第2ケース62に設けられている。コネクタ用開口部10bは、第1ケース61と第2ケース62との間に形成される。第3ケース63は、開口部10aを備え、出力軸11の歯車部23および回転角度位置検出用歯車部24を内部に収容する。
【0049】
第1ケース61は、第1方向X1の端面を規定する第1板部65と、第1板部65の外周縁から第2方向X2に延びる筒状の第1周壁部66を備える。
図5、
図6に示すように、第1板部65は、第2方向X2を向く面に、第1シャフト28の第1方向X1の端部を保持する第1軸保持部67と、第2シャフト29の第1方向X1の端部を保持する第2軸保持部68と、第1複合歯車用シャフト27の第1方向X1の端部分を保持する第3軸保持部69と、を備える。
【0050】
第1シャフト28および第2シャフト29は、基板14および隔壁部55を貫通して第3ケース内へ延びる。一方、
図3に示すように、第1複合歯車用シャフト27の第2方向X2の端部分は、第1ケース61内において、モータ本体17の第1方向X1の端面に取り付けられた支持部材71により支持される。
【0051】
図2(a)に示すように、第1ケース61には、第1周壁部66の第2方向X2の端部からZ2方向へ突出する第1ねじ固定部72がY方向に離れた2箇所に設けられている。第1ケース61と第2ケース62とを軸線方向Xに重ねると、2箇所の第1ねじ固定部72の間には、第1方向X1に開口するコネクタ用開口部10bが形成される。第1ケース61において、コネクタ用開口部10bの第1方向X1にはZ1方向へ窪む凹部70が設けられている。
図5に示すように、基板14の端部に取り付けたコネクタ45は、外部コネクタが接続される差込口を凹部70に向けてコネクタ用開口部10bに配置される。
【0052】
図5、
図6に示すように、第1ケース61には、モータ12が収容される。また、
図6に示すように、第1ケース61には、モータピニオン20と、輪列機構13において基板14の第1方向X1に位置する第1複合歯車26、第2複合歯車31、第3複合歯車32の大径歯車部分32a、第4複合歯車33、および第5複合歯車34が収容される。
【0053】
図7は、第3ケース63を外した開閉部材駆動装置3の分解斜視図である。
図5、
図6、
図7に示すように、第2ケース62は、第1ケース61の第1周壁部66に接続される
筒状の第2周壁部74と、第2周壁部74の軸線方向Xの途中から軸線L1と直交する方向に延びる隔壁部55と、を備える。
図6に示すように、第2周壁部74は、隔壁部55の第1方向X1に配置される基板14を内側に収容する。また、第2周壁部74において、第1ケース61に設けられた2箇所の第1ねじ固定部72に第2方向X2から重なる部位には、第2ねじ固定部73が設けられている。
【0054】
図6、
図7に示すように、第2ケース62は、隔壁部55から第2方向X2に突出する出力軸支持部77を備える。出力軸支持部77は、出力軸11を回転可能に支持する。隔壁部55を貫通するポテンショギア用貫通孔(図示省略)からは、ポテンショギア39が第2方向X2に突出する。ポテンショギア39は、隔壁部55の第2方向X2において、出力軸11に設けられた回転角度位置検出用歯車部24と噛合する。ポテンショギア39は、隔壁部55の第1方向X1において、ポテンショメータ15の検出部38(
図3参照)に接続される。
【0055】
第2シャフト29は、基板14に設けられた基板側第2貫通部48(
図3参照)および隔壁部55を貫通する隔壁部側第1貫通孔79(
図7参照)に通されて、隔壁部55の第2方向X2に延びる。隔壁部55の第2方向X2では、出力軸11の歯車部23に噛合する小径歯車部分35bを備えた第6複合歯車35が第2シャフト29に回転可能に支持される。
【0056】
図7に示すように、第1シャフト28および第3複合歯車32の小径歯車部分32bは、隔壁部55を貫通する隔壁部側第1貫通孔78に配置される。第2ケース62は、隔壁部側第1貫通孔78の開口縁から第2方向X2に突出して小径歯車部分32bの第2方向X2の先端部分を覆うカバー部81を備える。カバー部81は、第6複合歯車35の大径歯車部分35aと対向する位置に開口82が設けられており、開口82において大径歯車部分35aと小径歯車部分32bとが噛合する。従って、輪列機構13は、隔壁部55の第1方向X1の側から第2方向X2にモータ12の回転を伝達する。
【0057】
図2(b)、
図5、
図6に示すように、第3ケース63は、第2方向X2の端面を規定する第3板部86と、第3板部86の外周縁から第1方向X1に延びる筒状の第3周壁部87を備える。第3周壁部87は、第2ケース62の第2周壁部74に接続される。第3ケース63は、第3周壁部87のZ1方向の側面における第1方向X1の端部から第1方向X1に突出する1本のフック83を備える。フック83は第2ケース62をまたいで第1ケース61の外周側まで延びている。フック83の先端は、第1周壁部66のZ1方向の側面から突出する突起84に係止される。なお、フック83および突起84の配置を逆にすることもできる。
【0058】
ここで、第1ケース61、第2ケース62、および第3ケース63を結合する際、Z1方向の側面では第2ケース62をまたぐフック83および突起84により結合する一方、Z2方向の側面では、第1ケース61、第2ケース62、および第3ケース63を共通のねじ部材76により共締めして結合する。
図2(a)に示すように、第3ケース63は、第1ケース61の第1ねじ固定部72と第2ケース62の第2ねじ固定部73とが積層された箇所に第2方向X2から重なる第3ねじ固定部75を備えており、第1ねじ固定部72、第2ねじ固定部73、第3ねじ固定部75をねじ部材76により共締めして結合する。
【0059】
図5に示すように、第3ケース63において、第3板部86の開口部10aの開口縁には、出力軸11を回転可能に支持する筒状の支持部10cが設けられている。
図6に示すように、第3板部86は、第1方向X1を向く面に、第1シャフト28の第2方向X2の端部が圧入される第1軸圧入部88と、第2シャフト29の第2方向X2の端部が圧入さ
れる第2軸圧入部89と、を備える。
【0060】
(アシストばね)
図7に示すように、アシストばね16はコイルばねである。アシストばね16は、断面円形の線材を巻いたコイル部160と、コイル部160の一端から径方向に延びて先端が湾曲した第1ばね端部161と、コイル部160の他端から第1方向X1に延びる第2ばね端部162を備える。出力軸11は、周方向の一部に歯車部23が設けられた大径部110を備える。アシストばね16のコイル部160は、出力軸11の大径部110の第2方向X2に装着される。大径部110は、歯車部23が設けられていない角度範囲に、径方向内側に凹む2箇所の係止凹部111A、111Bが設けられている。
【0061】
係止凹部111A、111Bは同一形状であり、歯車部23の周方向の中央と大径部110の径方向の中心(すなわち、出力軸11の軸線L1)とを結ぶ直線N(
図7参照)に対して線対称な2箇所に設けられている。本形態では、第2ばね端部162を係合させる出力軸11側の係合部として、係止凹部111Aが使用される。係止凹部111Aの周方向の両端には、径方向に延びる平面である第1当接部112および第2当接部113が設けられている。
【0062】
図8は、第3ケース63のばね保持溝90およびアシストばね16の斜視図である。
図8に示すように、アシストばね16は、コイル部160が開口部10aと同軸に配置され、コイル部160から径方向に延ばした第1ばね端部161が第3ケース63のばね保持溝90に嵌め込まれている。ばね保持溝90は、第3ケース63の第1軸圧入部88と第2軸圧入部89の間を通り、第2軸圧入部89の外周に沿って延びている。ばね保持溝90は、第1軸圧入部88と第2軸圧入部89の間を略直線状に延びる第1直線溝91と、第1直線溝91の先端から円弧状に延びる円弧溝92と、第2軸圧入部89に対して第1直線溝91とは反対側を略直線状に延びる第2直線溝93と、を備える。本形態では、第1ばね端部161を保持させるための第3ケース63側の係合部として、ばね保持溝90の第1直線溝91と円弧溝92が使用される。
【0063】
図9、
図10、
図11は、出力軸11の回転位置とアシストばね16の状態を示す斜視図である。
図9は、出力軸11が第1位置11Aに位置するときのアシストばね16の状態を示す斜視図であり、
図10は、出力軸11がアシスト終了位置11Dに位置するときのアシストばね16の状態を示す斜視図であり、
図11は、出力軸11が付勢開始位置11Eに位置するときのアシストばね16の状態を示す斜視図である。
【0064】
図12は、出力軸11の回転角度による回転負荷の変動およびアシストばね16の付勢力の変動を模式的に示す説明図である。
図12の横軸は、出力軸11の回転角度である。以下の説明では、出力軸11に連結した便蓋2が全閉位置2A(倒れ位置)に到達するときの出力軸11の回転位置を第1位置11Aとし、第1位置11Aにおける出力軸11の回転角度を0°とする。また、便蓋2が略垂直に起立した起立位置(図示省略)に到達するときの出力軸11の回転位置を第2位置11Bとする。第2位置11Bにおける出力軸11の回転角度は、例えば、90°である。そして、便蓋2が全開位置2B(最大回転位置)に到達するときの出力軸11の回転位置を第3位置11Cとする。第3位置11Cにおける出力軸11の回転角度は、例えば、110°である。モータ12は、出力軸11を第1位置11Aから第3位置11Cに向かう第1回転方向R1、および、第3位置11Cから第1位置11Aに向かう第2回転方向R2に回転させる。
【0065】
図12に示すように、出力軸11が第1位置11Aに位置するとき(すなわち、回転角度が0°のとき)、便蓋2が略水平に倒れた状態のため、便蓋2の自重による出力軸11の回転負荷が最も大きい。出力軸11が第2位置11Bに位置するとき(すなわち、回転
角度が90°のとき)、便蓋2が略垂直に起立するため、便蓋2の自重による出力軸11の回転負荷は0になる。
【0066】
図9に示すように、出力軸11が第1位置11Aに位置するとき(すなわち、回転角度が0°のとき)、アシストばね16の第2ばね端部162は、係止凹部111Aの第1回転方向R1の端部に位置し、第1当接部112に当接している。このとき、アシストばね16は、第2ばね端部162が付勢力を発生させない位置(自由位置)から巻き締め方向M1に移動した状態になっており、第2ばね端部162は、第1当接部112を巻き広がり方向M2に押圧する。本形態では、第1回転方向R1とアシストばね16の巻き広がり方向M2とが一致し、第2回転方向R2とアシストばね16の巻き締め方向M1とが一致する。従って、アシストばね16は、出力軸11が第1位置11Aに位置するとき、出力軸11を第1回転方向R1に付勢するアシスト力を発生させている。
【0067】
出力軸11が第1位置11Aから第1回転方向R1に回転するにしたがって、アシストばね16の付勢力(アシスト力)は減少する。出力軸11が
図10に示すアシスト終了位置11Dに到達したとき、第2ばね端部162は自由位置に戻る。アシスト終了位置11Dは、例えば、出力軸11の回転角度が70°の位置である。アシスト終了位置11Dでは、第2ばね端部162は第1当接部112を押圧しておらず、出力軸11にアシスト力は加わっていない。
【0068】
出力軸11がアシスト終了位置11Dよりも更に第1回転方向R1に回転すると、第2ばね端部162は、第1当接部112を離れて係止凹部111A内を周方向に移動する。出力軸11が
図11に示す付勢開始位置11Eに到達したとき、第2ばね端部162は、係止凹部111Aの第2回転方向R2の端部に到達する。付勢開始位置11Eは、アシスト終了位置11Dよりも第2位置11Bに近い位置であり、例えば、出力軸11の回転角度が85°の位置である。
【0069】
出力軸11が付勢開始位置11Eよりも更に第1回転方向R1に回転すると、第2ばね端部162は、第2当接部113によって押圧され、自由位置から巻き広がり方向M2(第1回転方向R1)に移動させられる。その結果、アシストばね16は、第2ばね端部162によって第2当接部113を巻き締め方向M1(第2回転方向R2)に押圧する付勢力(ガタ詰め力)を発生させる。従って、出力軸11が第2回転方向R2に強制的にガタ詰めされ、バックラッシによる出力軸11のがたつきが解消される。
【0070】
このように、アシストばね16は、出力軸11が第1位置11Aからアシスト終了位置11Dまで回転する間は、出力軸11に第1回転方向R1の付勢力(アシスト力)を作用させる。アシスト終了位置11Dでは、出力軸11にアシストばね16の付勢力が作用する状態から作用しない状態に切り換わる。出力軸11がアシスト終了位置11Dから付勢開始位置11Eまで移動する間(例えば、出力軸11の回転角度が70°から85°までの間)は、アシストばね16は、出力軸11を付勢しない。出力軸11が付勢開始位置11Eに到達すると、出力軸11にアシストばね16の付勢力が作用しない状態から作用する状態に切り換わる。出力軸11が付勢開始位置11Eから第2位置11Bを経由して第3位置11Cまで回転する間は、アシストばね16は、出力軸11に第2回転方向R2の付勢力(ガタ詰め力)を作用させる。
【0071】
ここで、アシストばね16が第2回転方向R2の付勢力を発生させる位置(付勢開始位置11E)は、第1位置11Aと第2位置11Bとの間で、第2位置11Bに近い位置に設定することができる。より詳細には、第1位置11Aよりも第2位置11Bに近い位置(例えば、回転角度が70°の位置)をアシスト終了位置11Dとした場合には、アシスト終了位置11Dから第2位置11Bまでの範囲(回転角度が70°から90°までの範
囲)にある位置(例えば、回転角度が85°の位置)を付勢開始位置11Eに設定することができる。なお、第2位置11Bと一致する位置(回転角度が90°の位置)を付勢開始位置11Eとするようにアシストばね16および第2当接部113の位置を設定することもできる。
【0072】
(出力軸の回転方向を逆向きにする仕様への対応)
ここで、
図1に示すように、開閉部材駆動装置3は、回転軸Hに沿った方向で便蓋2の一方側(
図1で実線で示す位置)に配置される場合と、他方側(
図1で破線で示す位置)に設置される場合がある。開閉部材駆動装置3を便蓋2の一方側に設置する場合と、他方側に配置する場合とでは、出力軸11の回転方向が逆方向になる。従って、アシストばね16は共用できず、逆向きに巻いたものを使用する必要がある。
【0073】
一方、出力軸11と第3ケース63は、開閉部材駆動装置3を便蓋2の一方側に設置する場合と、他方側に配置する場合とで仕様を変更する必要がなく、どちらの場合でも使用できる構成になっている。上記のように、開閉部材駆動装置3を便蓋2の一方側に配置する場合、出力軸11の係止凹部111Aに第2ばね端部162を係合させるとともに、ばね保持溝90の第1直線溝91と円弧溝92に第1ばね端部161を配置する。一方、開閉部材駆動装置3を便蓋2の他方側に配置する場合、アシストばね16は
図7に示すものと逆向きに巻いたものを使用する。そして、出力軸11の係止凹部111Bに第2ばね端部162を係合させるとともに、ばね保持溝90の第2直線溝93と円弧溝92に第1ばね端部161を配置する。
【0074】
これにより、出力軸11を第2回転方向R2に回転させることによって便蓋2を全閉位置2Aから全開位置2Bに移動させることができ、その際、上記と同様の角度範囲でアシスト力とガタ詰め力を発生させることができる。すなわち、出力軸11の第2回転方向R2の回転角度が0°から70°までの範囲ではアシストばね16が第2回転方向R2のアシスト力を作用させ、出力軸11の第2回転方向R2の回転角度が70°から85°までの範囲ではアシストばね16が出力軸11を付勢せず、出力軸11の第2回転方向R2の回転角度が85°を超えると、アシストばね16が出力軸11に第1回転方向R1の付勢力を作用させるように構成できる。
【0075】
(開閉ユニットの動作)
外部の機器からコネクタ45および基板14を介してモータ12に電力が供給されると、モータ出力軸18は、正方向、または、逆方向に回転する。モータ出力軸18の回転は、輪列機構13を介して出力軸11に伝達される。出力軸11が第1回転方向R1、または、第2回転方向R2に回転すると、ポテンショメータ15からは、出力軸11の回転角度位置に対応する回転角度位置信号が出力される。回転角度位置信号は、コネクタ45を介して外部の機器に入力される。外部の機器は、回転角度位置信号に基づいて、モータ12を駆動制御して出力軸11を所定角度で回転させる。これにより、出力軸11の接続部22に接続された便蓋2は、出力軸11の軸線L1回りを全閉位置2Aから全開位置2B(最大回転位置)、または、全開位置2Bから全閉位置2Aに移動する。その際、便蓋2が略垂直に起立した起立位置(図示せず)を経由して移動する。便蓋2は、便器本体4に設けられた図示しないストッパに当接するので、最大回転位置(全開位置2B)よりも第1回転方向R1には回転できない。
【0076】
上記のように、アシストばね16は、出力軸11の回転角度が0°から70°までの範囲では、出力軸11を第1回転方向R1に付勢するアシスト力を発生させる。従って、
図12に示すように、出力軸11に加わるトルク(出力トルク)は、モータトルクとアシスト力の合計の力となる。出力軸11の回転角度が70°から85°までの範囲では、アシストばね16は、出力軸11を付勢しない。従って、出力軸11には、モータトルクだけ
が加わる。出力軸11の回転角度が85°を超えると、アシストばね16は、出力軸11を第2回転方向R2に付勢するガタ詰め力を発生させる。
【0077】
ここで、
図12に示す例は、モータトルクを回転角度によって変動させずに一定値とする場合の例であるが、回転角度が90に近づくと回転負荷は減少するため、実際の制御では、モータトルクを一定値とする制御を行わず、回転負荷の減少に対応するようにモータトルクを減少させる。そして、90°の手前の所定の回転角度でモータの出力を切り、慣性力により便蓋2および出力軸11を110°(最大回転位置)まで回転させる制御を行う。これにより、出力軸11の回転角度が90°になったとき、出力軸11には第2回転方向R2のガタ詰め力が確実に加わる。従って、モータトルクを小さくした場合でも、出力軸11および便蓋2のガタつきを抑制できる。
【0078】
(第3複合歯車の詳細な構成)
図13は、第3複合歯車32の斜視図であり、
図14は、第3複合歯車32の分解斜視図である。
図15は、焼結部品322を軸線方向から見た平面図である。
図4、
図13に示すように、第3複合歯車32(第2歯車)は、大径歯車部分32a、円柱部32c、多角柱部32d、および小径歯車部分32bを備える。大径歯車部分32a、円柱部32c、多角柱部32d、および小径歯車部分32bは、第3複合歯車32の第1方向X1の端部から第2方向X2の端部に向かって、この順で配置される。
【0079】
第3複合歯車32は、大径歯車部分32aが樹脂歯車であり、小径歯車部分32bが焼結歯車である。第3複合歯車32は、大径歯車部分32aを備える樹脂部品321と、小径歯車部分32bを備える焼結部品322とを結合した複合部材である。
図6に示すように、樹脂部品321は、大径歯車部分32aと、大径歯車部分32aの第2方向X2の端面から突出する円柱部32cを備える。焼結部品322は、多角柱部32dと、多角柱部32dの先端面から突出する小径歯車部分32bを備える。円柱部32cの先端面に開口する嵌合凹部32eに多角柱部32dの大部分が嵌合することにより、樹脂部品321と焼結部品322とが結合される。
【0080】
図7に示すように、多角柱部32dを軸線方向から見た形状は、正八角形の角部を面取りした形状である。従って、第3複合歯車32は、樹脂部品321と焼結部品322とを結合するためのセレーション結合の断面形状が、歯車形状でなく多角形である。焼結部品322は、小径歯車部分32bの歯底部が、一般的なインボリュート形状の歯車とは異なる形状をしている。
図7の部分拡大図において破線で示す外周面32gの形状が、一般的なインボリュート形状の歯底部の形状である。小径歯車部分32bは、歯底部の外周面が円弧面32fであり、一般的なインボリュート形状の歯底部の外周面32gよりも径方向外側に位置する。
【0081】
一般的なインボリュート形状の歯底部は、外周面32gが内周側に凹んでいるため、中央部分の肉厚が薄くなってしまう。そこで、本形態では、歯底部の肉厚dを確保するため、歯底部の外周面の形状として、円弧面32fを採用した。これにより、本形態では、小径歯車部分32bの歯底部の肉厚dが1.1mmとなっている。歯底部の肉厚dを1.1mm以上とすることにより、焼結部品322の成形時に充填不足などの不具合が発生するリスクが低減された。円弧面32fの径方向の位置は、小径歯車部分32bと噛合する大径歯車部分35aの歯先と円弧面32fとの間隔が、小径歯車部分32bと大径歯車部分35aの軸間距離公差より大きい寸法となるように設定した。従って、大径歯車部分35aの歯先と円弧面32fとが接触しないように構成されている。
【0082】
なお、小径歯車部分32bの歯底部の外周面は、円弧面32fとは異なる形状であってもよい。例えば、径方向に対して垂直な平面(ストレート面)であってもよい。
【0083】
(本発明の主な作用効果)
以上のように、本形態の開閉ユニット1は、開閉部材として便蓋2を備え、便蓋2を駆動する開閉部材駆動装置3を有する。開閉部材駆動装置3は、便蓋2が接続される接続部22および歯車部23を備える出力軸11と、モータ12と、歯車部23を介してモータ12の回転を出力軸11に伝達する輪列機構13と、出力軸11を付勢する付勢部材であるアシストばね16と、を有する。出力軸11は、便蓋2を便器本体4および便座5に被さる全閉位置2A(倒れ位置)から略垂直に起立した起立位置を経由して便器本体4のストッパに当たって止まる全開位置2B(最大回転位置)まで回転させるとき、全閉位置2A(倒れ位置)に対応する第1位置11Aから起立位置に対応する第2位置11Bを経由して全開位置2B(最大回転位置)に対応する第3位置11Cまでの範囲を回転する。出力軸11は、第2位置11Bよりも第1位置11A側に位置するとき、自重により全閉位置2A側へ倒れようとする便蓋2によって第1位置11A側へ付勢され、第2位置11Bよりも第3位置11C側に位置するとき、自重により全開位置2B側へ倒れようとする便蓋2によって第3位置11C側へ付勢される。第1位置11Aと第2位置11Bとの間で第1位置11Aよりも第2位置11Bに近い付勢開始位置11Eに出力軸11が到達すると、出力軸11にアシストばね16の付勢力が作用する状態と作用しない状態とが切り換わり、付勢開始位置11Eから第3位置11Cまでの回転範囲を出力軸11が回転する間は、アシストばね16は、出力軸11を第1位置11A側へ付勢するガタ詰め力を作用させる。
【0084】
本形態によれば、便蓋2の回転動作を行う際、便蓋2が起立位置に近づいたときに、アシストばね16により出力軸11を決まった方向(第1位置11A側)に付勢する状態に切り換わる。これにより、便蓋2の自重による回転負荷が小さくなって回転負荷方向へのガタ詰めがなされなくても、アシストばね16の付勢力(ガタ詰め力)により、強制的に決まった方向へガタ詰めを行うことができる。よって、バックラッシに起因する出力軸11のガタつきを抑制できる。例えば、本形態では、歯車部23が大型の歯車であり、モジュールが大きいため、歯車部23と輪列機構13の最終歯車(第6複合歯車35)とが噛み合う箇所で、バックラッシに起因するガタつきが生じやすいが、アシストばね16を備えているため、確実にガタ詰めを行うことができる。また、付勢開始位置11Eで付勢力が作用する状態と作用しない状態とを切り換えて、付勢開始位置11Eの手前ではガタ詰め力を作用させないように構成したので、ガタ詰め力が不要な位置では不必要な回転負荷の増大を避けることができる。
【0085】
本形態では、アシストばね16は、出力軸11が第1位置11Aから付勢開始位置11Eよりも第1位置11A側のアシスト終了位置11Dまで回転する間は、出力軸11を第3位置11C側へ付勢するアシスト力を作用させ、出力軸11がアシスト終了位置11Dから付勢開始位置11Eまでの範囲を回転する間は、出力軸11にアシストばね16の付勢力が作用しないように構成している。これにより、便蓋2の自重による回転負荷が大きい位置では、アシストばね16によって出力軸11の回転負荷を低減させることができる。また、ガタ詰めとアシスト力の付与の両方を共通のアシストばね16により行うので、部品点数の増大を抑制でき、構成が複雑化することを抑制できる。
【0086】
本形態では、モータ12、輪列機構13、および歯車部23を収容するケース10を備える。アシストばね16は、ケース10に保持される第1ばね端部161と、出力軸11に設けられた係合部である係止凹部111Aに出力軸11の回転方向に移動可能な状態で係合する第2ばね端部162と、を備える。係止凹部111Aは、第1位置11Aからアシスト終了位置11Dまでの回転範囲で第2ばね端部162からアシスト力が加わる第1当接部112と、付勢開始位置11Eから第3位置11Cまでの回転範囲で第2ばね端部162からガタ詰め力が加わる第2当接部113と、を備える。第2ばね端部162は、
出力軸11がアシスト終了位置11Dから付勢開始位置11Eまでの範囲を回転するとき、係止凹部111A内を第1当接部112および第2当接部113から離れた状態で移動する。この構成により、出力軸11の回転位置によってアシストばね16から加わる付勢力の方向を変えることができる。また、適正な位置に第1当接部112と第2当接部113を設けることにより、適正な回転位置で適正なアシスト力とガタ詰め力を発生させることができる。さらに、ガタ詰めとアシスト力の付与の両方を共通のアシストばね16により行うことができる。
【0087】
本形態では、アシストばね16は、線材をコイル状に巻いたコイル部160を備え、第1ばね端部161は、コイル部160の一端から延びる線材の端部であり、第2ばね端部162は、コイル部160の他端から延びる線材の端部であり、第2ばね端部162は、第1当接部112に対してコイル部160の巻き広がり方向M2に当接し、第2当接部113に対して巻き締め方向M1に当接する。従って、巻き締め方向M1に作用する付勢力と巻き広がり方向M2に作用する付勢力が逆向きになることを利用して、ガタ詰め力とアシスト力が逆方向に作用するように構成できる。
【0088】
本形態では、輪列機構13は、ケース10内を出力軸11の軸線方向に平行に延びる第1シャフト28および第2シャフト29と、歯車部23と噛み合う最終歯車を含む複数の歯車と、を備える。複数の歯車は、モータ12の回転が伝達される順で、第1シャフト28および第2シャフト29に交互に回転可能に支持される。ケース10は、開口部10aが設けられた第3板部86から突出する筒状の第1軸圧入部88および第2軸圧入部89を備え、第1軸圧入部88に第1シャフト28の一端が保持され、第2軸圧入部89に第2シャフト29の一端が保持される。第1ばね端部161は、第2軸圧入部89の外周に沿って延びるばね保持溝90に配置される。このようにすると、強度の高い部位(シャフトが保持される軸保持部)によって第1ばね端部161を支持できるので、ケース10の変形を抑制でき、耐久性を高めることができる。
【0089】
本形態では、歯車部23は、出力軸11に設けられた大径部110の周方向の一部に設けられており、係止凹部111Aは、大径部110において歯車部23が設けられていない角度範囲の一部を径方向内側に切り欠いた係止凹部111Aである。第1当接部112は、係止凹部111Aの周方向の一端に設けられ、第2当接部113は、係止凹部111Aの周方向の他端に設けられている。これにより、出力軸11の回転に伴って係止凹部111A内を第1ばね端部161が移動して、回転負荷を低減させる方向の付勢力(アシスト力)が作用する状態、付勢力が何も作用しない状態、回転負荷を増大させる方向の付勢力(ガタ詰め力)が作用する状態が切り替わるように構成できる。
【0090】
本形態では、係止凹部111A、111Bは、歯車部23の周方向の中央と大径部110の径方向の中心とを結ぶ直線Nに対して線対称な2箇所に設けられている。これにより、出力軸11を逆向きに回転させる駆動装置を構成するために、巻き方向を逆向きにしたアシストばね16を取り付けて、アシスト力とガタ詰め力を適正な回転位置で作用させることができる。よって、便蓋2を駆動する際の出力軸11の回転方向が異なる駆動装置を製造する場合に、アシストばね16だけを変更すればよく、出力軸11は共通部品にすることができる。
【0091】
本形態では、ケース10は、モータ12を収容する第1ケース61と、軸線方向Xと交差する方向に延びる隔壁部55を備える第2ケース62と、出力軸11の歯車部23、輪列機構13の最終歯車である第6複合歯車35、およびアシストばね16を収容するとともに開口部10aおよびばね保持溝90が設けられた第3ケース63と、を備える。第1ケース61、第2ケース62、第3ケース63はこの順で軸線方向Xに積層され、第1シャフト28および第2シャフト29は、隔壁部55を貫通して第1ケース61内および第
3ケース63内を平行に延びている。モータ12は、第1シャフト28および第2シャフト29の側方に配置されるモータ本体17と、モータ本体17から隔壁部55とは反対側に突出するモータ出力軸18と、を備え、輪列機構13は、モータ出力軸18に取り付けたモータピニオン20と噛み合う第1複合歯車26を含む。このようにすると、輪列機構13の歯車を出力軸11の軸線方向に延びる2本のシャフトに取り付けて軸線方向Xに沿って配置できるので、軸線方向Xから見た輪列機構13の配置スペースを小さくできる。また、モータ12の軸線方向Xを第1シャフト28および第2シャフト29と並行にしたので、軸線方向Xから見たモータ12の配置スペースを小さくできる。さらに、大型の歯車部23を備える出力軸11を軸線方向Xから見てモータ12と重なるように配置できるので、軸線方向Xから見たケース10の外形を小さくすることができる。
【0092】
本形態では、付勢開始位置11Eは、第1位置11Aからの回転角度が85°の位置であるため、モータ12の出力を切っても慣性力により便蓋2を動かすことができるような回転位置(起立位置に近い回転位置)に出力軸11が到達したときに、確実に付勢力(ガタ詰め力)を作用させておくことができる。
【0093】
本形態では、アシスト終了位置11Dは、第1位置11Aからの回転角度が70°の位置である。従って、便蓋2を全閉位置2Aに戻す方向に出力軸11を回転させるとき、全閉位置2A付近で付勢力(アシスト力)が大きくなりすぎてモータトルクが不足することを回避できる。
【0094】
(変形例)
(1)付勢開始位置11Eは、第1位置11Aからの回転角度が85°の位置に限定されない。例えば、第1位置11Aからの回転角度が85°より大きく、90°より小さい位置を付勢開始位置11Eにすることができる。
【0095】
(2)アシスト終了位置11Dは、第1位置11Aからの回転角度が70°の位置に限定されない。例えば、第1位置11Aからの回転角度が70°より小さい位置をアシスト終了位置11Dにすることができる。
【0096】
(3)アシスト力およびガタ詰め力を発生させる付勢部材は、コイルばねに限定されるものではない。例えば、出力軸11の回転に伴って弾性変形するように設置した各種の付勢部材を用いることができる。
【0097】
(4)アシストばね16の第2ばね端部162を出力軸11に係合するための係合部は、係止凹部111Aに限定されない。例えば、大径部110に周方向に延びるスリットや溝を設けて第1ばね端部161係合させることもできる。
【0098】
(5)アシストばね16の第2ばね端部162と係止凹部111Aの第1当接部112、第2当接部113が当接する方向は、本形態と異なっていてもよい。すなわち、第2ばね端部162は、第1当接部112に対してコイル部160の巻き広がり方向M2と巻き締め方向M1のうちの一方の方向に当接し、第2当接部113に対して巻き広がり方向M2と巻き締め方向M1のうちの他方の方向に当接するものとすることができる。いずれの場合でも、出力軸11の回転角度によって、第1当接部112に当接するときと第2当接部113に当接するときで逆向きの付勢力を作用させるように構成することができる。
【0099】
(6)アシストばね16の第1ばね端部161保持させるためのばね保持溝90は、第1軸圧入部88と第2軸圧入部89のいずれの外周に沿って設けてもよい。また、第1ばね端部161保持させるためのケース10側の構造は、第1軸圧入部88または第2軸圧入部89の外周に設けたばね保持溝90に限定されない。
【0100】
(7)アシスト力を発生させる付勢部材と、ガタ詰め力を発生させる付勢部材は、別部材であってもよい。例えば、出力軸に2本のコイルばねを取り付けて、一方のコイルばねはアシスト力を発生させるために使用し、他方のコイルばねはガタ詰め力を発生させるために使用することができる。あるいは、ガタ詰め力を発生させるための付勢部材だけを出力軸11とケース10との間に配置し、アシスト力を発生させるための付勢部材は省略してもよい。
【0101】
(8)
図16-
図19に示すように、アシストばね16の第2ばね端部162が係止凹部111Aから外れることを規制できる構成、および、第2ばね端部162を係止凹部111Bに配置する場合には、第2ばね端部162が係止凹部111Bから外れることを規制できる構成を設けたケース10Aを採用することができる。
図16は、変形例の第2ケース62Aを備える開閉部材駆動装置3の分解斜視図である。
図16では、第3ケース63Aの図示を省略する。
図17は、変形例の第3ケース63Aおよびアシストばね16Aの斜視図である。
【0102】
アシストばね16Aは、第1ばね端部161Aの形状が上記形態と異なり、他は上記形態と同一である。
図16、
図17に示すように、第1ばね端部161Aは径方向に直線状に延びており、先端が曲げられていない。
図17に示す第3ケース63Aは、ばね保持溝として第1直線溝91Aおよび第2直線溝93Aを備え、円弧溝は備えていない。なお、第1ばね端部161Aの形状は、上記形態と同様に湾曲していてもよい。
【0103】
図16に示すように、第2ケース62Aは、隔壁部55の外周部分から第2方向X2に突出する第1ガイド壁56Aおよび第2ガイド壁56Bを備える。第1ガイド壁56Aおよび第2ガイド壁56Bは、第2周壁部74の第2方向X2の端部と一体に形成される。第1ガイド壁56Aおよび第2ガイド壁56Bは、第2周壁部74の上端から第2方向X2に突出し、且つ、第2周壁部74の内周面から内周側に突出している。
【0104】
より詳細には、第2ケース62Aにおいて、第2周壁部74の第2方向X2の端部は、出力軸支持部77のY1側において出力軸11の軸線L1を中心として円弧状に延びる第1円弧状部分741、および出力軸支持部77のY2側において軸線L1を中心として円弧状に延びる第2円弧状部分742を備える。第1ガイド壁56Aは第1円弧状部分741と一体に形成され、第2ガイド壁56Bは第2円弧状部分742と一体に形成される。
【0105】
図17に示すように、第3ケース63Aは、筒状の第3周壁部87を備えており、第1ガイド壁56Aと第2ガイド壁56Bは、第3周壁部87の内周側に位置する。第3周壁部87の内周面には、径方向外側に凹む第1嵌合凹部871、および、第2嵌合凹部872が設けられている。第2ケース62Aと第3ケース63Aとを組み立てる際、第1嵌合凹部871に第1ガイド壁56Aが嵌合し、第2ガイド壁56Bが第2嵌合凹部872に嵌合する(
図18参照)。
【0106】
図16に示すように、出力軸11の大径部110には、周方向に離れた2箇所に係止凹部111A、111Bが設けられている。
図18は、アシストばね16Aの第2ばね端部162が一方の係止凹部111Aに配置されている場合の係止凹部111Aおよびケース10Aの断面図である。
図18に示すように、第3周壁部87の内周面870に設けられた第1嵌合凹部871および第2嵌合凹部872の深さは、第1ガイド壁56Aおよび第2ガイド壁56Bの壁厚よりも小さい。従って、第1ガイド壁56Aおよび第2ガイド壁56Bは、厚さ方向の一部が第3周壁部87の内周面870よりも内側に突出する。
【0107】
図18に示すように、第1ガイド壁56Aの内周面561Aと、出力軸11の大径部1
10の外周面119との径方向の隙間S1は、アシストばね16Aの第2ばね端部162の線径Dよりも小さい。後述する
図19に示すように、第2ガイド壁56Bの内周面561Bと、出力軸11の大径部110の外周面119との径方向の隙間S2も同様に、第2ばね端部162の線径Dよりも小さい。
【0108】
第2ばね端部162を係止凹部111Aに配置するようにアシストばね16Aを組み付けた場合の動作では、上記形態の説明で述べたように、出力軸11が回転範囲の一部(付勢開始位置11Eから第3位置11Cまで回転する回転範囲)を移動する間は、第2ばね端部162が第2当接部113によってコイル部160の巻き広がり方向M2に押圧されながら移動する。このとき、コイル径が増大して、第2ばね端部162が第2当接部113に押圧されながら径方向外側に移動する。
【0109】
図18に示すように、第2ばね端部162が周方向に押圧されない自由状態にあるときの第2ばね端部162の回転位置を第1回転位置P1とする。また、出力軸11が第3位置11Cまで回転したときの第2ばね端部162の回転位置(例えば、
図18において破線で示す位置)を第2回転位置P2とする。
図18に示すように、第1ガイド壁56Aは、第1角度位置P1から第2角度位置P2までの範囲を包含する角度範囲に設けられている。
【0110】
このような角度範囲に第1ガイド壁56Aを設けたことにより、第2ばね端部162は、コイル部160の巻き広がり方向M2に押圧されながら周方向に移動する全範囲、すなわち、第1回転位置P1から第2回転位置P2まで移動する間の全範囲において、第1ガイド壁56Aによって径方向外側への移動が規制される。上記のように、第2ばね端部162の線径Dは第1ガイド壁56Aと大径部110の外周面119との隙間S1より大きいため、第2ばね端部162は隙間S1を通過できない。従って、コイル径の増大に伴って第2ばね端部162が外周側に移動しても、第1ガイド壁56Aによって係止凹部111Aから第2ばね端部162が外れることが規制される。
【0111】
図19は、逆回転仕様のアシストばね16Bの第2ばね端部162が他方の係止凹部111Bに配置されているときの係止凹部111Bおよびケース10Aの断面図である。逆回転仕様とは、上記形態の説明で述べたように、
図1において破線で示す位置に開閉部材駆動装置3を設置する場合の構成であり、出力軸11を第2回転方向R2に回転させることにより便蓋2を開く場合の構成である。
図19に示すように、係止凹部111Bの周方向の両端には、径方向に延びる平面である第1当接部114と第2当接部115が設けられている。
【0112】
逆回転仕様では、アシストばね16Bのコイル部160の巻き締め方向M3、巻き広がり方向M4(
図19参照)は、それぞれ、
図18に示す巻き締め方向M1、巻き広がり方向M2とは逆向きである。第2ばね端部162を係止凹部111Bに配置した場合の動作では、第2ばね端部162が係止凹部111Bの第1回転方向R1の端部に配置された第2当接部115によって巻き広がり方向M4に押圧される。
【0113】
図19に示すように、逆回転仕様において、第2ばね端部162が周方向に押圧されない自由状態にあるときの第2ばね端部162の回転位置を第1回転位置P3とする。また、出力軸11が第3位置(便蓋2が最大回転位置に到達するときの位置)まで回転したときの第2ばね端部162の回転位置(例えば、
図19において破線で示す位置)を第2回転位置P4とする。第2ガイド壁56Bは、第1角度位置P3から第2角度位置P4までの範囲を包含する角度範囲に設けられている。
【0114】
このような角度範囲に第2ガイド壁56Bを設けたことにより、第2ばね端部162は
、コイル部160の巻き広がり方向M4に押圧されながら周方向に移動する全範囲、すなわち、第1回転位置P3から第2回転位置P4まで移動する間の全範囲において、第2ガイド壁56Bによって径方向外側への移動が規制される。上記のように、第2ばね端部162の線径Dは第2ガイド壁56Bと大径部110の外周面119との隙間S2より大きいため、第2ばね端部162は隙間Sを通過できない。従って、コイル径の増大に伴って第2ばね端部162が外周側に移動しても、第2ガイド壁56Bによって係止凹部111Bから第2ばね端部162が外れることが規制される。
【0115】
(9)
図16-
図19に示した変形例は、第2ばね端部162が巻き広がり方向M2、M4の押圧力を受ける全範囲で、第1ガイド壁56A、第2ガイド壁56Bにより第2ばね端部162の外周側への移動を規制する構成であったが、第1ガイド壁56A、第2ガイド壁56Bを設ける範囲は、上記よりも狭くすることができる。例えば、コイル径が大きくなり、巻き広がり方向M2、M4の押圧力が大きくなった区間(第2角度位置P2、P4に近い区間)には第1ガイド壁56A、第2ガイド壁56Bを設ける一方、コイル径が小さく、巻き広がり方向M2、M4の押圧力が大きくなっていない区間(第1角度位置P1、P3に近い区間)には第1ガイド壁56A、第2ガイド壁56Bを設けない構成を採用してもよい。
【0116】
例えば、第1ガイド壁56Aは、少なくとも第1角度位置P1と第2角度位置P2の途中から第2角度位置P2までの範囲を包含する角度範囲に設けられているものとすることができる。同様に、第2ガイド壁56Bは、少なくとも第1角度位置P3と第2角度位置P4の途中から第2角度位置P4までの範囲を包含する角度範囲に設けられているものとすることができる。
【0117】
(他の実施形態)
(1)開閉部材駆動装置3により駆動される開閉部材を、便蓋2でなく便座5としてもよい。あるいは、トイレユニット6とは異なる機器において各種の開閉部材を駆動するために開閉部材駆動装置3を用いることができる。
【0118】
(2)開閉部材以外の被駆動部材を駆動する駆動装置に、本発明を適用することができる。すなわち、本発明の駆動装置は、出力軸に被駆動部材を接続して、被駆動部材を倒れ位置から起立位置を経由して最大回転位置まで回転させる駆動装置に適用できる。
【0119】
本発明は、以下の各構成をとることができる。
(構成1)
被駆動部材が接続される接続部および歯車部を備える出力軸と、
モータと、
前記歯車部を介して前記モータの回転を前記出力軸に伝達する輪列機構と、
前記出力軸を付勢する付勢部材と、を有し、
前記出力軸は、前記被駆動部材を倒れ位置から起立位置を経由して最大回転位置まで回転させるとき、前記倒れ位置に対応する第1位置から前記起立位置に対応する第2位置を経由して前記最大回転位置に対応する第3位置までの範囲を回転し、
前記出力軸は、前記第2位置よりも前記第1位置側に位置するとき、自重により前記倒れ位置側へ倒れようとする前記被駆動部材によって前記第1位置側へ付勢され、前記第2位置よりも前記第3位置側に位置するとき、自重により前記最大回転位置側へ倒れようとする前記被駆動部材によって前記第3位置側へ付勢され、
前記第1位置と前記第2位置との間で前記第1位置よりも前記第2位置に近い付勢開始位置に前記出力軸が到達すると、前記出力軸に前記付勢部材の付勢力が作用する状態と作用しない状態とが切り換わり、
前記付勢開始位置から前記第3位置までの回転範囲を前記出力軸が回転する間は、前記
付勢部材は、前記出力軸を前記第1位置側へ付勢するガタ詰め力を作用させることを特徴とする駆動装置。
【0120】
(構成2)
前記付勢部材は、前記出力軸が前記第1位置から前記付勢開始位置よりも前記第1位置側のアシスト終了位置まで回転する間は、前記出力軸を前記第3位置側へ付勢するアシスト力を作用させ、
前記出力軸が前記アシスト終了位置から前記付勢開始位置までの範囲を回転する間は、前記出力軸に前記付勢部材の付勢力が作用しないことを特徴とする構成1の駆動装置。
【0121】
(構成3)
前記モータ、前記輪列機構、および前記歯車部を収容するとともに、前記出力軸を貫通させて前記接続部を外部に露出させる開口部を有するケースを有し、
前記付勢部材は、前記ケースに保持される第1ばね端部と、前記出力軸に設けられた係合部に前記出力軸の回転方向に移動可能な状態で係合する第2ばね端部と、を備えるアシストばねであり、
前記係合部は、前記第1位置から前記アシスト終了位置までの回転範囲で前記第2ばね端部から前記アシスト力が加わる第1当接部と、前記付勢開始位置から前記第3位置までの回転範囲で前記第2ばね端部から前記ガタ詰め力が加わる第2当接部と、を備え、
前記第2ばね端部は、前記出力軸が前記アシスト終了位置から前記付勢開始位置までの範囲を回転するとき、前記係合部内を前記第1当接部および前記第2当接部から離れた状態で移動することを特徴とする構成2の駆動装置。
【0122】
(構成4)
前記アシストばねは、線材をコイル状に巻いたコイル部を備え、前記第1ばね端部は、前記コイル部の一端から延びる前記線材の端部であり、前記第2ばね端部は、前記コイル部の他端から延びる前記線材の端部であり、
前記第2ばね端部は、前記第1当接部に対して前記コイル部の巻き広がり方向と巻き締め方向のうちの一方の方向に当接し、前記第2当接部に対して前記巻き広がり方向と前記巻き締め方向のうちの他方の方向に当接することを特徴とする構成3の駆動装置。
【0123】
(構成5)
前記輪列機構は、前記ケース内を前記出力軸の軸線方向に平行に延びる第1シャフトおよび第2シャフトと、前記歯車部と噛み合う最終歯車を含む複数の歯車と、を備え、
前記複数の歯車は、前記モータの回転が伝達される順で、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトに交互に回転可能に支持され、
前記ケースは、前記開口部が設けられた板部から突出する筒状の第1軸保持部および第2軸保持部を備え、前記第1軸保持部に前記第1シャフトの一端が保持され、前記第2軸保持部に前記第2シャフトの一端が保持され、
前記第1ばね端部は、前記第1軸保持部または前記第2軸保持部の外周に沿って延びるばね保持溝に配置されることを特徴とする構成4の駆動装置。
【0124】
(構成6)
前記歯車部は、前記出力軸に設けられた大径部の周方向の一部に設けられ、
前記係合部は、前記大径部において前記歯車部が設けられていない角度範囲の一部を径方向内側に切り欠いた係止凹部であり、
前記第1当接部は、前記係止凹部の周方向の一端に設けられ、前記第2当接部は、前記係止凹部の周方向の他端に設けられていることを特徴とする構成4または5の駆動装置。
【0125】
(構成7)
前記ケースは、前記大径部の周方向の一部を囲うガイド壁を備え、
前記ガイド壁は、前記大径部の外周面に沿う周方向に延びており、前記ガイド壁と前記外周面との径方向の隙間は、前記第2ばね端部の線径よりも小さく、
前記第2ばね端部は、前記出力軸が前記第1位置から前記第3位置まで回転する間の一部の回転範囲において、前記第1当接部または前記第2当接部により前記巻き広がり方向に押圧されながら第1角度位置から第2角度位置まで移動し、
前記ガイド壁は、少なくとも前記第1角度位置と前記第2角度位置の途中から前記第2角度位置までの範囲を包含する角度範囲に設けられていることを特徴とする構成6の駆動装置。
【0126】
(構成8)
前記ガイド壁は、前記第1角度位置から前記第2角度位置までの全範囲を包含する角度範囲に設けられていることを特徴とする構成7の駆動装置。
【0127】
(構成9)
前記輪列機構は、前記ケース内を前記出力軸の軸線方向に平行に延びる第1シャフトおよび第2シャフトと、前記歯車部と噛み合う最終歯車を含む複数の歯車と、を備え、
前記ケースは、前記モータを収容する第1ケースと、前記軸線方向と交差する方向に延びる隔壁部を備える第2ケースと、前記歯車部、前記最終歯車、および前記アシストばねを収容するとともに前記開口部が設けられた第3ケースと、を備え、
前記第1ケース、前記第2ケース、前記第3ケースはこの順で前記軸線方向に積層され、
前記ガイド壁は、前記隔壁部から前記第3ケースの側に向かって前記軸線方向に延びており、
前記第3ケースは、前記大径部の外周を囲う周壁を備え、
前記ガイド壁は、前記周壁の内周側に位置することを特徴とする構成7または8の駆動装置。
【0128】
(構成10)
前記係止凹部は、前記歯車部の周方向の中央と前記大径部の径方向の中心とを結ぶ直線に対して線対称な2箇所に設けられていることを特徴とする構成6から構成9のいずれかの駆動装置。
【0129】
(構成11)
前記係止凹部は、前記歯車部の周方向の中央と前記大径部の径方向の中心とを結ぶ直線に対して線対称な2箇所に設けられており、
前記ケースは、前記大径部の外周を囲う第1ガイド壁と第2ガイド壁を周方向に離れた2箇所に備え、前記第1ガイド壁と第2ガイド壁のそれぞれは、前記大径部の外周面に沿う周方向に延びており、且つ、前記外周面との径方向の隙間が前記第2ばね端部の線径よりも小さく、
前記アシストばねは、前記第2ばね端部が前記2箇所の係止凹部のいずれかに配置されるように組み付けられ、
前記第1ガイド壁は、前記2箇所の係止凹部の一方に配置された前記第2ばね端部が前記巻き広がり方向の押圧力を受けながら移動するとき、前記第2ばね端部が移動する角度範囲の全範囲を包含する第1角度範囲に配置され、
前記第2ガイド壁は、前記2箇所の係止凹部の他方に配置された前記第2ばね端部が前記巻き広がり方向の押圧力を受けながら移動するとき、前記第2ばね端部が移動する角度範囲の全範囲を包含する第2角度範囲に配置されることを特徴とする構成6から構成9のうちいずれか1つの駆動装置。
【0130】
(構成12)
前記ケースは、前記モータを収容する第1ケースと、前記軸線方向と交差する方向に延びる隔壁部を備える第2ケースと、前記歯車部、前記最終歯車、および前記アシストばねを収容するとともに前記開口部および前記ばね保持溝が設けられた第3ケースと、を備え、
前記第1ケース、前記第2ケース、前記第3ケースはこの順で前記軸線方向に積層され、
前記第1シャフトおよび前記第2シャフトは、前記隔壁部を貫通して前記第1ケース内および前記第3ケース内を平行に延びており、
前記モータは、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトの側方に配置されるモータ本体と、前記モータ本体から前記隔壁部とは反対側に突出するモータ出力軸と、を備え、
前記輪列機構は、前記モータ出力軸に取り付けたモータピニオンと噛み合う歯車を含むことを特徴とする構成5から構成8のうちいずれか1つの駆動装置。
【0131】
(構成13)
前記付勢開始位置は、前記第1位置からの回転角度が85°の位置であることを特徴とする構成1から構成12のうちいずれか1つの駆動装置。
【0132】
(構成14)
前記アシスト終了位置は、前記第1位置からの回転角度が70°の位置であることを特徴とする構成2から構成13のうちいずれか1つの駆動装置。
【0133】
(構成15)
前記接続部は、前記被駆動部材として便蓋または便座が接続され、
前記倒れ位置は、便器本体に対して前記便蓋または前記便座が重なる全閉位置であり、
前記最大回転位置は、前記便器本体に設けられたストッパにより前記便蓋または前記便座の回転が規制される全開位置であることを特徴とする構成1から構成14のうちいずれか1つの駆動装置。
【0134】
(構成16)
構成1から構成14のうちいずれか1つの駆動装置と、
前記接続部に接続される前記被駆動部材と、を有し、
前記被駆動部材は、便蓋または便座であることを特徴とする開閉ユニット。
【符号の説明】
【0135】
1…開閉ユニット、2…便蓋、2A…全閉位置、2B…全開位置、3…開閉部材駆動装置、4…便器本体、5…便座、6…トイレユニット、10、10A…ケース、10a…開口部、10b…コネクタ用開口部、10c…支持部、11…出力軸、11A…第1位置、11B…第2位置、11C…第3位置、11D…アシスト終了位置、11E…付勢開始位置、12…モータ、13…輪列機構、14…基板、14a…基板表面、14b…基板裏面、15…ポテンショメータ、16、16A…アシストばね、17…モータ本体、18…モータ出力軸、19…モータ端子、20…モータピニオン、22…接続部、23…歯車部、24…回転角度位置検出用歯車部、26…第1複合歯車、26a…大径歯車部分、26b…小径歯車部分、27…第1複合歯車用シャフト、28…第1シャフト、29…第2シャフト、31b…小径歯車部分、31a…大径歯車部分、31…第2複合歯車、32…第3複合歯車、32a…大径歯車部分、32b…小径歯車部分、32c…円柱部、32d…多角柱部、32e…嵌合凹部、32f…円弧面、32g…歯底部、33…第4複合歯車、33a…大径歯車部分、33b…小径歯車部分、34…第5複合歯車、34a…大径歯車部分、34b…小径歯車部分、35…第6複合歯車、35a…大径歯車部分、35b…小径歯車部分、37…トルクリミッタ、38…検出部、39…ポテンショギア、41…モータ端
子用貫通孔、42…第1配線パターン、43…第2配線パターン、45…第1コネクタ、47…基板側第1貫通部、48…基板側第2貫通部、55…隔壁部、56A…第1ガイド壁、56B…第1ガイド壁、61…第1ケース、62、62A…第2ケース、63、63A…第3ケース、65…第1板部、66…第1周壁部、67…第1軸保持部、68…第2軸保持部、69…第3軸保持部、70…凹部、71…支持部材、72…第1ねじ固定部、73…第2ねじ固定部、74…第2周壁部、75…第3ねじ固定部、76…ねじ部材、77…出力軸支持部、78…隔壁部側第1貫通孔、79…隔壁部側第1貫通孔、81…カバー部、82…開口、83…フック、84…突起、86…第3板部、87…第3周壁部、88…第1軸圧入部、89…第2軸圧入部、90…ばね保持溝、91、91A…第1直線溝、92…円弧溝、93、93A…第2直線溝、110…大径部、111A、111B…係止凹部、112、114…第1当接部、113、115…第2当接部、119…外周面、160…コイル部、161、161A…第1ばね端部、162…第2ばね端部、321…樹脂部品、322…焼結部品、741…第1円弧状部分、742…第2円弧状部分、871…第1嵌合凹部、872…第2嵌合凹部、D…線径、d…歯底部の肉厚、H…回転軸、L1…出力軸の軸線、L2…モータ出力軸の軸線、M1、M3…巻き締め方向、M2、M4…巻き広がり方向、N…直線、P1、P3…第1回転位置、P2、P4…第2回転位置、R1…第1回転方向、R2…第2回転方向、S1、S3…隙間、X…軸線方向、X1…第1方向、X2…第2方向