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特開2024-147500日射センサの状態変化を求める測定システムを備えたソーラエレメント、および日射センサの状態変化を求める測定システム
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  • 特開-日射センサの状態変化を求める測定システムを備えたソーラエレメント、および日射センサの状態変化を求める測定システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147500
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】日射センサの状態変化を求める測定システムを備えたソーラエレメント、および日射センサの状態変化を求める測定システム
(51)【国際特許分類】
   H02S 50/00 20140101AFI20241008BHJP
   G01W 1/12 20060101ALI20241008BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20241008BHJP
   G01J 1/42 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H02S50/00
G01W1/12 Z
G01J1/02 U
G01J1/42 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024033066
(22)【出願日】2024-03-05
(31)【優先権主張番号】20 2023 101 197.7
(32)【優先日】2023-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】597161838
【氏名又は名称】ドイチェス ツェントルム フュア ルフト- ウント ラウムファールト エー ファウ
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【弁理士】
【氏名又は名称】古後 亜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100230248
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 圭二
(72)【発明者】
【氏名】ウィルベルト・シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】カンポス・ラウラ
(72)【発明者】
【氏名】シュミット・カルステン
(72)【発明者】
【氏名】ボーク・エリク
(72)【発明者】
【氏名】カルバロ・ホセ・アントニオ
(57)【要約】
【課題】日射センサの状態変化を求める測定システムを備えたソーラエレメント、および改良システムの提供。
【解決手段】ソーラエレメント1は、受光面及び受光平面Rを規定する表面2と、センサ平面Sを有し、表面2に隣接又は表面2下に配置の日射センサ4と、を含み、センサ4の状態変化を求める測定システム5を備える。センサ4はセンサ平面Sが受光平面Rと平行に又はRに対して10°以下の角度で又はR上に配置。システム5は放射装置6および評価装置を含む。装置6は電磁放射源を有し、電磁放射は光軸Aに沿って発せられてセンサ4に照射される。評価装置は放射源を制御し、センサ4の測定値を検出し、該測定値を予め求められた測定値と比較してセンサ4の状態変化を求める。放射装置6は、センサ4の上端縁4aを通る平面9の下に位置し、水平線に対して角度α≦10°でセンサ4に向かって傾いている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光面及び受光平面(R)を規定する少なくとも1つの表面(2)と、
センサ平面(S)を有し、前記表面(2)に隣接して又は前記表面(2)よりも下に配置された日射センサ(4)と、を含み、
前記日射センサ(4)の状態変化を求める測定システム(5)、を備える、ソーラエレメント(1)であって、
前記センサ(4)は、前記センサ平面(S)が前記受光平面(R)と平行に又は前記受光平面(R)に対して10°以下の角度で又は前記受光平面(R)上になるように配置されており、
前記測定システム(5)が、少なくとも1つの放射装置(6)および評価装置を含み、
前記放射装置(6)が、電磁放射を発する放射源を有し、該電磁放射は、光軸(A)に沿って発せられて前記センサ(4)に向けられており、
前記評価装置が、少なくとも1つの前記放射源を制御し、前記センサ(4)の少なくとも1つの測定値を検出し、検出した該少なくとも1つの測定値を、予め求められた少なくとも1つの測定値と比較することにより、前記センサ(4)の前記状態変化を求めるものであり、
前記放射装置(6)が、前記センサ(4)の上端縁(4a)を通る平面(9)よりも下に位置しており、かつ、水平線に対して角度α≦10°で前記センサ(4)に向かって傾いている、ソーラエレメント。
【請求項2】
請求項1に記載のソーラエレメントにおいて、前記放射源(6)が、LEDであることを特徴とする、ソーラエレメント。
【請求項3】
請求項1または2に記載のソーラエレメントにおいて、さらに、
前記放射源(2)から発せられた放射を検出するように前記放射源(2)に設けられたさらなる放射センサ、
を備えることを特徴とする、ソーラエレメント。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のソーラエレメントにおいて、さらに、
前記放射源の温度を検出するように前記放射源に設けられた温度センサ、
を備えることを特徴とする、ソーラエレメント。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のソーラエレメントにおいて、前記放射装置(6)が、少なくとも1つのコリメータ(8)を有することを特徴とする、ソーラエレメント。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のソーラエレメントにおいて、前記日射センサ(4)が、基準電池セルを構成する太陽電池セルとして設計されていることを特徴とする、ソーラエレメント。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のソーラエレメントにおいて、前記評価装置が、予め行われた前記センサ(4)の追加のさらなる測定によって前記状態変化を求めるとともに、少なくとも1つのバックグラウンド信号および/または少なくとも1つの熱オフセット値の情報を用いることを特徴とする、ソーラエレメント。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のソーラエレメントにおいて、前記評価装置が、前記放射源を制御して少なくとも安定化時間の期間のあいだ電磁放射を発生させて、前記評価装置が、該安定化時間後に前記状態変化を求めることを特徴とする、ソーラエレメント。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のソーラエレメントにおいて、前記評価装置が、前記状態変化を繰返し求めることを特徴とする、ソーラエレメント。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のソーラエレメントにおいて、前記評価装置が、前記状態変化を連夜求めることを特徴とする、ソーラエレメント。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のソーラエレメントにおいて、前記評価装置が、前記状態変化を求める際に、入射角度および/または動作中に前記センサに入射する日射の入射角度について補正を行うことを特徴とする、ソーラエレメント。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のソーラエレメントにおいて、前記評価装置が、前記放射源の温度の情報を用いて前記状態変化を求めることを特徴とする、ソーラエレメント。
【請求項13】
日射センサの状態変化を求める測定システムであって、
前記日射センサが、センサ平面Sを有し、
当該測定システムが、少なくとも1つの放射装置および評価装置、を備え、
前記放射装置が、電磁放射を発する放射源を有し、該電磁放射は、光軸に沿って発せられて前記日射センサに照射されるものであり、
前記評価装置が、少なくとも1つの前記放射源を制御し、前記日射センサの少なくとも1つの測定値を検出し、検出した該少なくとも1つの測定値を、予め求められた少なくとも1つの測定値と比較することにより、前記日射センサの前記状態変化を求めるものであり、かつ/あるいは、前記評価装置が、予め行われた前記日射センサの追加のさらなる測定によって前記状態変化を求めるとともに、少なくとも1つのバックグラウンド信号および/または少なくとも1つの熱オフセット値の情報を用いるものであり、かつ/あるいは、前記評価装置が、前記放射源を制御して少なくとも安定化時間の期間のあいだ電磁放射を発生させて、該安定化時間後に前記状態変化を求めるものであり、かつ/あるいは、前記放射源の温度を検出する温度センサが前記放射源に設けられていて前記評価装置が前記放射源の温度の情報を用いて前記状態変化を求めるものである、測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日射センサの状態変化を求める測定システムを備えたソーラエレメント(Solarelement)、および日射センサ(Sensors fuer Solarstrahlung)の状態変化を求める測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
日射センサは、ソーラモジュールの効率を測定するために用いられる。全天日射計は、このようなセンサの一例であり、太陽の全天日射量を測定するのに利用される。ほかにも、太陽光発電基準セル(Photovoltaische Referenzzellen)が一例として挙げられる。太陽電池モジュール(Solarmodule)、日射量のセンサおよび全天日射計は、塵埃や雨水などの環境の影響に曝されるので汚れる傾向がある。このような汚れは、ソーラモジュールの効率の低下や、測定結果の悪化に繋がる。このとき、汚れの度合いは、各センサの状態を表している。つまり、状態、すなわち、汚れの度合いが分かれば、極めて有利である。それにより、汚れでセンサやソーラモジュールの点検や清浄が必要となっているか否かの評価を行うことができる。従来、汚れの影響を出来る限り小さく抑えるために点検作業や清浄作業を定期的に行う必要があり、例えばソーラパーク(太陽光発電)の運営者のコストや手間となっている。
【0003】
本願の出願人によるDE 10 2018 204146 B4(特許文献1)から、全天日射計の状態変化を求める測定システムが知られている。該全天日射計を含むシステムは、全天日射計をソーラモジュールとは独立して配置できることから、太陽光発電フィールド内に自由に設置することが可能である。基準電池セルとして使われる太陽電池セルのように、ソーラモジュールに直接配置されるセンサでは、これら基準電池セルやモジュールに陰が生じる恐れがあるため、同システムは適していない。陰は、ソーラモジュールの性能や、基準電池セルによる正確な測定値の取得にとって有害である。さらに、全天日射計の状態変化を求める既知のこの測定システムは、状態変化を求める精度に関しても不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許第102018204146号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、日射センサの状態変化を有利に求めることが可能な測定システムを備えたソーラエレメントを提供することである。さらに、本発明の目的は、日射センサの状態変化が有利に求められる測定システムの改良品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
日射センサの状態変化を求める測定システムを備えた本発明に係るソーラエレメントは、請求項1の構成により定まる。日射センサの状態変化を求める本発明に係る測定システムは、請求項13の構成により定まる。
【0007】
本発明に係るソーラエレメントは、受光面及び受光平面を規定する少なくとも1つの表面と、センサ平面を有し前記表面に隣接して又は前記表面よりも下に配置された日射センサと、を含み、さらに、前記日射センサの状態変化を求める測定システム、を備える。前記センサは、前記センサ平面が前記受光平面と平行に又は前記受光平面に対して±10°の角度で又は前記受光平面内になるように配置されている。
【0008】
また、前記ソーラエレメントの前記測定システムは、少なくとも1つの放射装置および評価装置を含む。前記放射装置は、電磁放射を発する放射源を有し、該電磁放射は、光軸Aに沿って発せられて前記センサに向けられている。前記評価装置は、少なくとも1つの前記放射源を制御し、前記センサの少なくとも1つの測定値を検出し、検出した該少なくとも1つの測定値を、予め求められた少なくとも1つの測定値と比較することにより、前記センサの前記状態変化を求めるものである。本発明では、前記放射装置が、前記センサの上端縁を通る平面よりも下に位置しており、かつ、前記センサの水平方向に対して角度α≦10°、好ましくはα≦5°で傾いている。
【0009】
前記表面は、特には、陰がかからないようにすべき表面であり得る。例えば、前記表面は、ソーラモジュールによって形成され得る。
【0010】
例えば、前記光軸Aは、前記センサ平面Sに対して10~60°の入射角度、好ましくは45°未満の角度、極めて好ましくは40°未満に向いたものとされ得る。
【0011】
前記放射装置がそのように配置されていることで、前記放射源は、前記センサに対して電磁放射を比較的平らな角度で発する。つまり、前記放射装置は、日射の入射角度にかかわらず、前記センサや前記表面に陰が出来る限りかからないように前記センサおよび前記ソーラエレメントに対して配置されている。これにより、陰が発生して前記測定値の検出に悪影響が生じることなく、前記評価装置が前記日射センサの状態変化を求めることが可能となる。
【0012】
前記ソーラエレメントは、例えば、ソーラモジュールが取り付けられたフレームを含み得る。例えば、前記センサは、前記フレームに配置されたものであり得る。前記ソーラエレメントの前記測定システムは、さらに、前記放射装置を取り付ける装置担持体を含み得る。前記装置担持体は、陰がかからないのが望ましい前記表面から下方に突出し得て、例えば、前記フレームに留め付けられたものであり得る。
【0013】
前記装置担持体が下方に突出しているという構成は、前記装置担持体が垂直方向に又は垂直線に対して何らかの角度で突出していることを意味する。例えば、前記装置担持体は、前記フレームから前記受光平面と平行な方向に突出したものであり得る。これにより、前記装置担持体によって前記センサや前記表面に陰が生じ得ないようになっている。
【0014】
前記センサ平面と前記受光平面とが平行に位置しているか又は±10°以下の角度だけ
ずれて位置していることにより、日射が前記センサに当たる入射角度と前記表面に当たる入射角度はほぼ同一になる。このため、前記センサの自然日射量と例えば前記ソーラモジュール等の前記表面の自然日射量が合致するので、前記センサの状態から前記ソーラエレメントの状態を有利に推定することが可能になる。
【0015】
前記放射源により前記センサに向かって発せられる電磁放射は、例えば、可視波長域の光であり得る。電磁放射が発せられる光軸Aの経路により、電磁放射が発せられる方向が予め決まる。電磁放射を発する放射源を用いることにより、前記測定システムは例えば日射等の外光の影響を受けないので、夜間でも前記状態変化を有利に求めることが可能となる。
【0016】
前記評価装置は前記放射源を制御することで、発せられる放射により、前記日射センサへの照射を行う。例えば汚れた前記センサは、発せられた放射により、測定値を生じる。前記評価装置は、この測定値を検出し、それを、予め求められた測定値(例えば、汚れが少ないセンサの測定値)と比較する。そして、前記評価装置は、両測定値の比較に基づき、前記センサの前記状態変化、例えば、汚れの度合いを求める。本発明の枠組み内において、前記評価装置によって変化を求める対象となる状態は、前記センサの異常であってもよい。
【0017】
例えば、従来のプロファイル構造体が、前記放射装置を例えば前記フレームに連結する装置担持体として好適である。
【0018】
本発明に係るソーラエレメントでは、前記測定システムによる陰が有利なことに前記ソーラエレメントに出来る限りかからないように、前記測定システムの前記放射装置と前記
日射センサの位置が互いに調整されている。すなわち、前記測定システムの前記放射装置は、太陽の位置にかかわらず、前記測定システムの構成要素が前記ソーラエレメントや前記センサに陰を作らないように比較的平らな角度で前記センサに対して照射を行う。これにより、影が発生して測定値の検出に悪影響が生じることなく、前記日射センサの前記状態変化を極めて高い信頼性で求めることが可能となる。
【0019】
好ましくは、前記放射源はLEDである。LEDを前記放射源とすることにより、極めて省エネルギーで電磁放射を発生させることができる。当然ながら、1つの前記LEDは、複数のLEDの組合せ、すなわち、アレイからなる場合もある。
【0020】
好ましくは、前記放射源の温度を検出するように、温度センサが前記放射源に設けられている。このような温度センサは、例えば、PT100温度センサとして実現され得る。この場合、前記温度センサは、前記放射源の直近に、例えば、1cm以下の距離で設けられ得る。また、前記温度センサが温度プローブを有し、該温度プローブが前記放射源に接続されていてもよく、すなわち、前記放射源に接触していてもよい。前記放射源に前記温度センサを設けることにより、前記放射源の温度に関する測定データを有利に取得でき、該測定データから、前記放射源の状態、例えば、発せられた電磁放射の強度を推定することが可能となる。
【0021】
前記放射源により発せられた放射を検出する別の放射センサが、前記放射源に設けられていてもよい。前記放射源の放射値が検出されることにより、これを用いて、前記放射源を制御し且つ/或いは前記放射源により発せられる放射を制御し且つ/或いは前記センサの前記状態変化を求めることが可能となる。
【0022】
好ましくは、前記放射装置は、少なくとも1つのコリメータを有する。前記コリメータは中空筒状のハウジングとして設計されたものであり得て、該コリメータの開口端がビーム射出部を形成して前記日射センサ側に向いている。また、前記放射装置をコリメータ付きで設計することにより、少なくとも1つの前記放射源により発生した電磁放射の照射が有利なものとなり、これにより、略平行なビーム経路が形成される。これにより、前記センサへの照射を極めて一様なものにできる。
【0023】
本発明に係るソーラエレメントは、前記日射センサが、基準電池セルを構成する太陽電池セルとして設計されたものであってもよい。
【0024】
好ましくは、前記評価装置は、予め行われた前記センサの追加の測定によって前記状態変化を求めるとともに、少なくとも1つのバックグラウンド信号および/または少なくとも1つの熱オフセット値の情報を用いる。追加のさらなる測定を用いることにより、前記評価装置が利用することのできる測定値が増えるので、前記センサの前記状態変化を極めて正確に求めることが可能となる。例えば、前記センサの状態が汚れの度合いを表す場合には、予め行われた前記センサのさらなる測定が、前記センサが汚れていない又は清浄な状態での測定であり得る。つまり、この測定がさらなる基準の測定となって、前記センサの汚れの度合いを、汚れたセンサの測定と比べて有利に求めることが可能となる。
【0025】
少なくとも1つのバックグラウンド信号の情報は、例えば、外光条件に関する情報であり得る。このような外光条件は、例えば、夕方、夜間、日中などの1日の様々な時間の光条件であり得る。
【0026】
これに加えて又はこれに代えて用いられる前記少なくとも1つの熱オフセット値は、周囲温度に関する情報を含み得る。発せられる電磁放射の強度は、周囲温度に左右され得る。少なくとも1つの熱オフセット値に関する情報を用いることにより、前記評価装置は、1日の様々な時間で且つ/或いは様々な温度条件下で、前記センサの前記状態変化を極めて有利に求めることができる。
【0027】
好ましくは、前記評価装置は、前記放射源を制御して少なくとも安定化時間の期間のあいだ電磁放射を発生させて、前記評価装置が、該安定化時間後に前記状態変化を求める。特に、電磁放射の発生開始後は、発せられる電磁放射の強度の安定性が、ある程度の変動に曝され得る。前記安定化時間以降は、発せられる電磁放射が略一定となるので、前記安定化時間の後に、前記評価装置は前記状態変化を極めて有利に求めることができる。周囲温度が高いほど、安定化時間は長くするのが好ましくあり得る。前記安定化時間は、予め決められた時間、または前記放射源に関して実験で求められた時間であり得る。
【0028】
好ましくは、前記評価装置は、前記状態変化を繰返し求める。例えば、1日の種々の時間や1年の種々の時期で、あるいは、測定が数回連続して実行されることで、前記センサの前記状態変化が求められ得る。繰返し求めるという構成により、前記評価装置は、前記センサの前記状態変化を極めて正確にかつ高い信頼性で求めることが可能となる。
【0029】
好ましくは、前記評価装置は、前記状態変化を連夜求める。前記センサの前記状態変化を夜間に求めることにより、前記センサは、何らかの外光、特に、日射にあまり影響されなくなる。そのため、前記センサにより提供される測定値は、前記放射源により発せられた電磁放射の影響を大きく受けることになる。よって、前記センサの前記状態変化を夜間に求めることは、極めて有利である。しかも、状態の前記状態変化を連夜求めた場合、連夜の短期的な天候事象の影響を有利に考慮に入れることが可能となる。例えば、前記センサの前記状態変化に対する夜間のにわか雨の影響についての情報を得ることができる。
【0030】
好ましくは、前記評価装置は、前記状態変化を求める際に、入射角度の補正および/または動作中に前記センサに入射する日射の入射角度について補正を行う。前記評価装置により検出される前記日射センサの測定値は、前記放射源が前記センサに対して電磁放射を照射する角度に左右され、さらに、日中であれば日射の入射角度にも左右される。そのため、入射角度を補正することは、前記状態変化の測定間の比較を向上させるのに有利である。また、ソーラモジュール上方の太陽の位置は日中変化するため、該ソーラモジュールに当たる日射の入射角度も変化する。つまり、前記ソーラモジュールが汚れている場合、汚れたソーラモジュールに当たる日射量は、日射の入射角度に応じて、1日の様々な時間で様々に減衰される。このことから、前記センサの汚れの度合いが変わらないとして、前記センサの測定値は変動することになる。この影響は、入射角度を補正することで補正が可能である。
【0031】
好ましくは、前記評価装置は、前記放射源の温度の情報を用いて前記状態変化を求める。本発明に係るソーラエレメントは、気候条件が極めて変わり易い地域で使用されてもよい。例えば、前記ソーラエレメントは、40℃を超える日最高温度や夜間の氷点下温度に曝され得る。このとき、周囲温度は前記放射源の温度に直に影響し、前記放射源の温度は、発せられる電磁放射の強度に影響することから、測定値の生成時の条件は、不利なことに非一定となり得る。すなわち、温度変化を考慮に入れない場合、測定値に誤差が生じ得る。
【0032】
前記放射源の温度の情報は、例えば、前記放射源に又は前記放射源内に設けられた前記温度センサによって検出され得る。前記評価装置は、前記放射源の温度の情報を用いることにより、前記放射源により発せられた電磁放射の強度に対する温度の影響を考慮に入れて、それにより、前記センサの前記状態変化を極めて有利に又は極めて正確に求めることができる。例えば、安定化時間の後に前記放射源のさらなる温度変化が起こらないとして、前記放射源の温度からは、例えば、発せられる電磁放射が一定か否かについての結論を下すことも可能となる。
【0033】
本発明は、さらに、日射センサの状態変化を求める測定システムであって、前記日射センサが、センサ平面Sを有し、当該測定システムが、少なくとも1つの放射装置および評価装置、を備え、前記放射装置が、電磁放射を発する放射源を有し、該電磁放射は、光軸Aに沿って発せられて前記日射センサに照射される。
【0034】
前記評価装置は、少なくとも1つの前記放射源を制御し、前記日射センサの少なくとも1つの測定値を検出し、検出した該少なくとも1つの測定値を、予め求められた少なくとも1つの測定値と比較することにより、前記日射センサの前記状態変化を求めるものである。
【0035】
前記光軸Aは、前記センサ平面Sに対して10~60°の入射角度、好ましくは45°未満、極めて好ましくは40°未満に向いたものとされ得る。
【0036】
前記評価装置は、予め行われた前記日射センサの追加のさらなる測定によって前記状態変化を求めるとともに、少なくとも1つのバックグラウンド信号および/または少なくとも1つの熱オフセット値の情報を用いる。
【0037】
これに代えて又はこれに加えて、前記評価装置は、前記放射源を制御して少なくとも安定化時間の期間のあいだ電磁放射を発生させて、前記評価装置が、該安定化時間後に前記状態変化を求める。
【0038】
これに代えて又はこれに加えて、前記放射源の温度を検出する温度センサが、前記放射源に設けられており、かつ、前記評価装置が、前記放射源の温度の情報を用いて前記状態変化を求める。
【0039】
前記放射装置は、前記日射センサのポール側に、等方性(isotrop)晴天の拡散日射量のうち該放射装置によって遮蔽される量が5%未満となる距離で配置され得る。
【0040】
前記放射源により前記日射センサに向かって発せられる電磁放射は、例えば、可視波長域の光であり得る。電磁放射が発せられる光軸Aの経路により、電磁放射が発せられる方向が予め決まる。電磁放射を発する放射源を用いることにより、前記測定システムは例えば日射等の外光の影響を受けないので、夜間でも前記状態変化を有利に求めることが可能となる。
【0041】
前記放射装置の前記放射源が該放射源の温度を検出する温度センサをさらに有する実施形態では、該温度センサが、例えばPT100測定センサとして実現され得て、前記放射源の直近に約1cmの距離で設けられ得る。
【0042】
前記放射源により発せられた放射を検出する別の放射センサが、前記放射源に設けられていてもよい。前記放射源の放射値が検出されることにより、これを用いて、前記放射源を制御し且つ/或いは前記放射源により発せられる放射を制御し且つ/或いは前記日射センサの前記状態変化を求めることが可能となる。
【0043】
前記評価装置は前記放射源を制御することで、発せられた放射により、前記日射センサへの照射を行う。例えば汚れた前記日射センサは、発せられた放射により、測定値を生じる。前記評価装置は、この測定値を検出し、それを、予め求められた測定値(例えば、汚れが少ない日射センサの測定値)と比較する。そして、前記評価装置は、両測定値の比較に基づき、前記日射センサの前記状態変化、例えば、汚れの度合いを求める。本発明の枠組み内において、前記評価装置によって変化を求める対象となる状態は、前記日射センサの異常であってもよい。
【0044】
前記評価装置は、予め行われた前記日射センサの追加の測定によって前記状態変化を求めるとともに、少なくとも1つのバックグラウンド信号および/または少なくとも1つの熱オフセット値の情報を用い得る。追加のさらなる測定を用いることにより、前記評価装置が利用することのできる測定値が増えるので、前記日射センサの前記状態変化を極めて正確に求めることが可能となる。例えば、前記日射センサの状態が汚れの度合いを表す場合には、予め行われた前記日射センサのさらなる測定が、前記日射センサが汚れていない又は清浄な状態での測定であり得る。つまり、この測定がさらなる基準の測定となって、前記日射センサの汚れの度合いを、汚れた日射センサの測定と比べて有利に求めることが可能となる。
【0045】
少なくとも1つのバックグラウンド信号の情報は、例えば、外光条件に関する情報であり得る。このような外光条件は、例えば、夕方、夜間、日中などの1日の様々な時間の光条件であり得る。
【0046】
これに加えて又はこれに代えて、前記評価装置は、前記放射源を制御して少なくとも安定化時間の期間のあいだ該放射源に電磁放射を発生させて、前記評価装置が、該安定化時間後に前記日射センサの前記状態変化を求めるものであってもよい。特に、電磁放射の発生開始後は、発せられる電磁放射の強度の安定性が、ある程度の変動に曝され得る。前記安定化時間の後は、発せられる電磁放射が略一定となるので、前記安定化時間の後に、前記評価装置は前記日射センサの前記状態変化を極めて有利に求めることになる。周囲温度が高いほど、安定化時間は長くするのが好ましくあり得る。
【0047】
これに加えて又はこれに代えて、前記評価装置は、前記放射源の温度の情報を用いて前記日射センサの前記状態変化を求め得る。本発明に係る測定システムは、気候条件が極めて変わり易い地域で使用されてもよい。このとき、周囲温度は前記放射源の温度に直に影響し、前記放射源の温度は、発せられる電磁放射の強度に影響することから、測定値の生成時の条件は、不利なことに非一定となり得る。すなわち、温度変化を考慮に入れない場合、前記日射センサの測定値に誤差が生じる。
【0048】
前記放射源の温度の情報は、前記放射源に又は前記放射源内に設けられた前記温度センサによって検出され得る。前記評価装置は、前記放射源の温度の情報を用いることにより、前記放射源により発せられた電磁放射の強度に対する温度の影響を考慮に入れて、それにより、前記日射センサの前記状態変化を極めて有利に且つ極めて正確に求めることができる。例えば、安定化時間の後に前記放射源のさらなる温度変化が起こらないとして、前記放射源の温度からは、例えば、発せられる電磁放射が一定か否かについての結論を下すことも可能となる。
【0049】
前記日射センサは、前記センサ平面が水平方向に配された例えば全天日射計であり得る。
【0050】
以下では、次の図面を参照しながら本発明について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】日射センサの状態変化を求める測定システムを備えた本発明のソーラエレメントの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明に係るソーラエレメント1は、陰がかからないようにすべき表面2を含む。表面2は、例えば、ソーラモジュールによって形成されたものであり得て、受光平面R上に位置した受光表面を形成している。基本的には、表面2は、ソーラエレメント1の、陰がかからないのが望ましい又は陰がかかってはいけない任意の表面であり得る。フレーム3
が、前記ソーラモジュールを取り付ける役割を果たす。図示の実施形態では、前記ソーラモジュールがフレーム3に載せられているが、当然ながら、前記ソーラモジュールは、フレーム3に挿設されていてもよいし、その他の方法でフレーム3に保持されていてもよいし、あるいは、フレームなしで取り付けられていてもよい。ソーラエレメント1は、さらに、センサ平面Sを有してフレーム3において表面2よりも下に配置された日射センサ4を含む。当然ながら、センサ4は、表面2の隣りに配置されていてもよい。センサ平面Sは、受光平面Rと平行に位置している。変形例として、センサ平面Sは、受光平面R上に位置していてもよい。両平面(R,S)は、このように合致する配置構成または平行の配置構成により、同一の入射角度で日射が照射される。
【0053】
また、ソーラエレメント1のフレーム3には、装置担持体7が留め付けられている。装置担持体7は、フレーム3から下方に突出し、放射装置6を取り付けている。放射装置6は、電磁放射を発する例えばLEDライト等の放射源を有し、光軸Aに沿って電磁放射をセンサ4に向かって発する。図示の実施形態では、放射装置6にコリメータ8が設けられている。これにより、発せられる電磁放射は、略平行なビーム経路でセンサ4に対して有利に発せられる。
【0054】
放射装置6は、センサ4の上端縁4aを通る平面9よりも下に位置しており、かつ、水平線に対して例えば角度α=5°でセンサ4の方向に位置している(図面では、分かり易くするために角度αを大きく描いている)。すなわち、放射装置6は、センサ4よりもほんの少しだけ上に位置しており、これにより、放射装置6や放射装置6に位置した例えばコリメータ8等の別の部品によってセンサ4や表面2に陰がかからないようになっている。陰がかからないことで、本測定システムは、例えばソーラモジュールによる表面2の形成機能に影響を及ぼさず、また、評価装置が、センサ4の状態変化を極めて高い信頼性で求めることとなる。
【0055】
図示の実施形態において、本発明に係るソーラエレメント1は、測定システム5が所定の角度で傾けられているが、当然ながら、傾斜角度を別の角度にしても、本発明に係るソーラエレメント1の機能は損なわれない。つまり、本発明に係るソーラエレメント1は、例えば、該ソーラエレメント1が太陽に追従するものである場合等の、傾斜が変化する場合にも実施が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 ソーラエレメント
2 表面
3 フレーム
4 日射センサ
4a 上端縁
5 測定システム
6 放射装置
7 装置担持体
8 コリメータ
9 平面
A 電磁放射の光軸
R 受光平面
S センサ平面
図1
【外国語明細書】