(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147502
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】積層セラミックキャパシタ
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
H01G4/30 201M
H01G4/30 201K
H01G4/30 201C
H01G4/30 512
H01G4/30 201F
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G4/30 201G
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024035061
(22)【出願日】2024-03-07
(31)【優先権主張番号】10-2023-0043344
(32)【優先日】2023-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、チャエ ミン
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ヨン-ウォン
(72)【発明者】
【氏名】チャ、ヨウンジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、セオンホ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC10
5E001AD04
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AF06
5E001AH01
5E001AH05
5E001AH06
5E001AH07
5E001AH09
5E001AJ01
5E001AJ02
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE05
5E082EE23
5E082EE35
5E082FG03
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082JJ02
5E082JJ06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】外部電極を直接メッキ法で形成して外部電極の厚み精度を改善する積層セラミックキャパシタを提供する。
【解決手段】積層セラミックキャパシタ10は、セラミック本体と、両端部面128、129夫々の一部を覆う接続部133、143から延びて第2方向の一面の一部を覆うバンド部135、145を夫々含む第1、第2外部電極と、セラミック本体内で誘電体層を挟んで積層され両端部から交互に引出されて第1および第2外部電極に夫々連結される複数の第1、第2内部電極21、22と、第2方向に沿って複数の第1、第2内部電極の外側に両側に夫々配置されてセラミック本体の外面をなす第1、第2カバー層123,125と、セラミック本体の両端部面と第1距離だけ離隔したアクティブ領域Aと、第1ダミー電極153、163とシード電極層137,147とを含み、シード電極層の長さは、第1距離より大きくて第1ダミー電極の長さより大きい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に対向する第1面および第2面と、第2方向に対向し、前記第1面と前記第2面とを連結する第3面および第4面とを有するセラミック本体と、
前記第1方向に沿って互いに離隔した両端部面それぞれの一部を覆う接続部と、前記接続部から延びて、前記第2方向の一面の一部を覆うバンド部とをそれぞれ含む第1および第2外部電極と、
前記セラミック本体内で誘電体層を挟んで積層され、両端部から交互に引出されて前記第1および第2外部電極にそれぞれ連結される複数の第1および第2内部電極と、
前記第2方向に沿って前記複数の第1および第2内部電極の外側に両側にそれぞれ配置されて前記セラミック本体の外面をなす第1および第2カバー層と、
前記複数の第1および第2内部電極が前記第2方向に沿って重畳する領域であって、前記セラミック本体の両端部面と第1距離だけ離隔したアクティブ(active)領域と、
前記第1カバー層内に備えられる第1ダミー電極と、
前記バンド部と前記第1カバー層との間に備えられるシード(seed)電極層と
を含み、
前記シード電極層の長さは、前記第1距離より大きくて前記第1ダミー電極の長さより大きい、積層セラミックキャパシタ。
【請求項2】
前記シード電極層の厚さT1は、0.05um以上かつ1.0um以下である、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項3】
前記シード電極層の長さは、前記セラミック本体の長さの1/4以上かつ1/2未満である、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項4】
前記接続部の周縁のうち前記第2カバー層側周縁は、前記第2カバー層の外面から第2距離だけ離隔し、
前記第2距離は、前記第2カバー層の厚さより小さい、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項5】
前記第1ダミー電極は、前記端部面に接するか、前記端部面から引出される、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項6】
前記第1ダミー電極の長さは、前記第1方向に沿った前記第1ダミー電極の両端部間の距離であり、
前記第1ダミー電極の前記長さは、前記第1距離より小さい、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記第1ダミー電極は、複数の層からなる、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項8】
前記第1ダミー電極のそれぞれの層は、前記第2方向に互いに離隔する、請求項7に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項9】
前記第1ダミー電極のそれぞれの層は、前記第2方向に沿って均一な間隔で配置される、請求項8に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項10】
前記第2カバー層内に備えられる第2ダミー電極をさらに含む、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項11】
前記接続部の周縁のうち前記第2カバー層側周縁は、前記第2カバー層の外面から第2距離だけ離隔し、
前記第2ダミー電極は、前記端部面に接するか、前記端部面から引出され、
前記第2ダミー電極は、前記第2カバー層の外面から第3距離だけ離隔し、
前記第3距離は、前記第2距離より大きくて前記第2カバー層の厚さより小さい、請求項10に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項12】
前記第2ダミー電極の長さは、前記第1方向に沿った前記第2ダミー電極の両端部間の距離であり、
前記第2ダミー電極の長さは、前記第1距離より小さい、請求項10に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項13】
前記第2ダミー電極は、複数の層からなる、請求項10に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項14】
前記第2ダミー電極のそれぞれの層は、前記第2方向に互いに離隔する、請求項13に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項15】
前記第2ダミー電極のそれぞれの層は、前記第2方向に沿って均一な間隔で配置される、請求項13に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項16】
前記第1および第2外部電極は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、金(Au)、またはこれらの合金を含む、請求項1に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項17】
前記第1および第2外部電極は、複数のメッキ層を含む、請求項16に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項18】
前記第1および第2外部電極は、前記シード電極層と前記セラミック本体の両端部面の一部を覆う第1メッキ層と、前記第1メッキ層を覆う第2メッキ層とを含む、請求項17に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項19】
前記第1および第2外部電極は、前記第2メッキ層を覆う第3メッキ層をさらに含む、請求項18に記載の積層セラミックキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層セラミックキャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック材料を用いる電子部品として、キャパシタ、インダクタ、圧電素子、バリスタまたはサーミスタなどがある。このようなセラミック電子部品のうち、積層セラミックキャパシタ(Multilayer Ceramic Capacitor、MLCC)は、小型でかつ高容量が保障され、実装が容易であるというメリットによって、多様な電子装置に使用可能である。
【0003】
例えば、積層セラミックキャパシタは、液晶ディスプレイ(liquid crystal displayay、LCD)、プラズマディスプレイパネル(plasma display panel、PDP)、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode、OLED)などの映像機器、コンピュータ、個人携帯用端末およびスマートフォンのような様々な電子製品の基板に装着されて、電気を充電させたり放電させる役割を果たすチップ状のコンデンサに使用できる。
【0004】
最近、電子製品の小型化および薄膜化の傾向により、既存の積層セラミックキャパシタより厚さが薄い積層セラミックキャパシタへの需要が増加している。特に、幅が厚さの1.5倍または2倍以上になるほど薄膜化された積層セラミックキャパシタは、実装信頼性を高めるための外部電極形成技術が重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実施例の一側面は、均一な外部電極を形成しながらも、外部電極が覆う面積を容易に制御できる積層セラミックキャパシタを提供する。
【0006】
しかし、本発明の実施例が解決しようとする課題は上述した課題に限定されず、本発明に含まれている技術的思想の範囲で多様に拡張可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施例による積層セラミックキャパシタは、第1方向に対向する第1面および第2面と、第2方向に対向し、前記第1面と前記第2面とを連結する第3面および第4面とを有するセラミック本体と、前記第1方向に沿って互いに離隔した両端部面それぞれの一部を覆う接続部と、前記接続部から延びて、前記第2方向の一面の一部を覆うバンド部とをそれぞれ含む第1および第2外部電極と、前記セラミック本体内で誘電体層を挟んで積層され、両端部から交互に引出されて前記第1および第2外部電極にそれぞれ連結される複数の第1および第2内部電極と、前記第2方向に沿って前記複数の第1および第2内部電極の外側に両側にそれぞれ配置されて前記セラミック本体の外面をなす第1および第2カバー層と、前記複数の第1および第2内部電極が前記第2方向に沿って重畳する領域であって、前記セラミック本体の両端部面と第1距離だけ離隔したアクティブ(active)領域と、前記第1カバー層内に備えられる第1ダミー電極と、前記バンド部と前記第1カバー層との間に備えられるシード(seed)電極層とを含み、前記シード電極層の長さは、前記第1距離より大きくて前記第1ダミー電極の長さより大きい。
【0008】
また、前記シード電極層の厚さT1は、0.05um以上かつ1.0um以下であってもよい。
【0009】
また、前記シード電極層の長さは、前記セラミック本体の長さの1/4以上かつ1/2未満であってもよい。
【0010】
また、前記接続部の周縁のうち前記第2カバー層側周縁は、前記第2カバー層の外面から第2距離だけ離隔し、前記第2距離は、前記第2カバー層の厚さより小さい。
【0011】
また、前記第1ダミー電極は、前記端部面に接するか、前記端部面から引出される。
【0012】
また、前記第1ダミー電極の長さは、前記第1方向に沿った前記第1ダミー電極の両端部間の距離であり、前記第1ダミー電極の前記長さは、前記第1距離より小さい。
【0013】
また、前記第1ダミー電極は、複数の層からなる。
【0014】
また、前記第1ダミー電極のそれぞれの層は、前記第2方向に互いに離隔できる。
【0015】
また、前記第1ダミー電極のそれぞれの層は、前記第2方向に沿って均一な間隔で配置される。
【0016】
また、前記積層セラミックキャパシタは、前記第2カバー層内に備えられる第2ダミー電極をさらに含むことができる。
【0017】
また、前記接続部の周縁のうち前記第2カバー層側周縁は、前記第2カバー層の外面から第2距離だけ離隔し、前記第2ダミー電極は、前記端部面に接するか、前記端部面から引出され、前記第2ダミー電極は、前記第2カバー層の外面から第3距離だけ離隔し、前記第3距離は、前記第2距離より大きくて前記第2カバー層の厚さより小さい。
【0018】
また、前記第2ダミー電極の長さは、前記第1方向に沿った前記第2ダミー電極の両端部間の距離であり、前記第2ダミー電極の長さは、前記第1距離より小さい。
【0019】
また、前記第2ダミー電極は、複数の層からなる。
【0020】
また、前記第2ダミー電極のそれぞれの層は、前記第2方向に互いに離隔できる。
【0021】
また、前記第2ダミー電極のそれぞれの層は、前記第2方向に沿って均一な間隔で配置される。
【0022】
また、前記第1および第2外部電極は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、金(Au)、またはこれらの合金を含むことができる。
【0023】
また、前記第1および第2外部電極は、複数のメッキ層を含むことができる。
【0024】
また、前記第1および第2外部電極は、前記シード電極層と前記セラミック本体の両端部面の一部を覆う第1メッキ層と、前記第1メッキ層を覆う第2メッキ層とを含むことができる。
【0025】
また、前記第1および第2外部電極は、前記第2メッキ層を覆う第3メッキ層をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0026】
実施例による積層セラミックキャパシタによれば、外部電極を直接メッキ法で形成されるメッキ薄膜で構成して外部電極の厚み精度を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】一実施例による積層セラミックキャパシタを概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図1のII-II'線に沿った断面図である。
【
図3】
図2の点線領域Sを拡大した概略断面図である。
【
図4】
図2の点線領域Sの他の形態を示す概略断面図である。
【
図7】
図1に示した積層セラミックキャパシタが回路基板に実装された形態を示す概略斜視図である。
【
図8】
図7のIIIV-IIIV'線に沿った断面図である。
【
図9】他の実施例による積層セラミックキャパシタを示す概略断面図である。
【
図12】比較例による積層セラミックキャパシタを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照して、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例を詳細に説明する。図面において本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付した。また、添付図面において一部の構成要素は誇張されたり省略されたりまたは概略的に示され、各構成要素の大きさは実際の大きさを完全に反映するものではない。
【0029】
添付した図面は本明細書に開示された実施例を容易に理解できるようにするためのものに過ぎず、添付した図面によって本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物あるいは代替物を含むことが理解されなければならない。
【0030】
第1、第2などのような序数を含む用語は多様な構成要素を説明するのに使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0031】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるとする時、これは、他の部分の「直上」にある場合のみならず、その中間に他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上」にあるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。さらに、基準となる部分の「上」にあるというのは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力の反対方向の「上」に位置することを意味するのではない。
【0032】
明細書全体において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないことが理解されなければならない。したがって、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0033】
また、明細書全体において、「平面上」とする時、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」とする時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0034】
さらに、明細書全体において、「連結される」とする時、これは2以上の構成要素が直接的に連結されることだけを意味するのではなく、2以上の構成要素が他の構成要素を介して間接的に連結されること、物理的に連結されることだけでなく電気的に連結されること、または位置や機能により異なる名称で称されたものの一切を意味することができる。
【0035】
図1は、一実施例による積層セラミックキャパシタを概略的に示す斜視図であり、
図2は、
図1のII-II'線に沿った断面図であり、
図3は、
図2の点線領域Sを拡大した概略断面図であり、
図4は、
図2の点線領域Sの他の形態を示す概略断面図であり、
図5は、
図2の部分拡大図であり、
図6は、
図2の他の部分拡大図である。
【0036】
図1~
図6を参照すれば、本実施例による積層セラミックキャパシタ10は、セラミック本体12と、第1および第2外部電極13、14と、複数の第1および第2内部電極21、22と、ダミー電極153、163とを含む。
【0037】
まず、本実施例を明確に説明するために方向を定義すれば、図面に表示されたL、WおよびTはそれぞれ、セラミック本体12の長手方向、幅方向および厚さ方向を示す軸を指す。
【0038】
厚さ方向(T軸方向)は、シート形状を有する構成要素の広い面(主面)に垂直な方向であってもよい。例えば、厚さ方向(T軸方向)は、誘電体層124が積層される方向であってもよい。
【0039】
長手方向(L軸方向)は、シート形状を有する構成要素の広い面(主面)に並ぶ方向であって、厚さ方向(T軸方向)と交差(または直交)する方向であってもよい。例えば、長手方向(L軸方向)は、第1外部電極13と第2外部電極14との対向する方向であってもよい。
【0040】
幅方向(W軸方向)は、シート形状を有する構成要素の広い面(主面)に並ぶ方向に厚さ方向(T軸方向)および長手方向(L軸方向)と同時に交差(または直交)することができる。
【0041】
セラミック本体12は、略六面体形状からなるが、本実施例がこれに限定されるものではない。焼成(sintering)時の収縮によって、セラミック本体12は、完全な六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。例えば、セラミック本体12は、略直方体形状であるが、角部や頂点に相当する部分が丸い形状を有することができる。
【0042】
本実施例では、説明の便宜のために、厚さ方向(T軸方向)の互いに向かい合う面を上面121および下面122と定義し、上面121と下面122とを連結する長手方向(L軸方向)の互いに向かい合う面を第1および第2端部面128、129と定義し、第1および第2端部面128、129と交差する幅方向(W軸方向)の互いに向かい合う面を第1および第2側面126、127と定義する。
【0043】
セラミック本体12の長さは、セラミック本体12の幅方向(W軸方向)中央部での長手方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示されたセラミック本体12の長手方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、長手方向(L軸方向)に平行な複数の線分の長さのうち最大値を意味することができる。あるいは、セラミック本体12の長さは、前述した断面写真に示されたセラミック本体12の長手方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、長手方向(L軸方向)に平行な複数の線分の長さのうち最小値を意味することができる。あるいは、セラミック本体12の長さは、前述した断面写真に示されたセラミック本体12の長手方向(L軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、長手方向(L軸方向)に平行な複数の線分の少なくとも2つの線分の長さの算術平均値を意味することができる。
【0044】
セラミック本体12の厚さは、セラミック本体12の幅方向(W軸方向)中央部での長手方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示されたセラミック本体12の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、厚さ方向(T軸方向)に平行な複数の線分の長さのうち最大値を意味することができる。あるいは、セラミック本体12の厚さは、前述した断面写真に示されたセラミック本体12の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、厚さ方向(T軸方向)に平行な複数の線分の長さのうち最小値を意味することができる。あるいは、セラミック本体12の厚さは、前述した断面写真に示されたセラミック本体12の厚さ方向(T軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、厚さ方向(T軸方向)に平行な複数の線分の少なくとも2つの線分の長さの算術平均値を意味することができる。
【0045】
セラミック本体12の幅は、セラミック本体12の厚さ方向(T軸方向)中央部での長手方向(L軸方向)-幅方向(W軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示されたセラミック本体12の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、幅方向(W軸方向)に平行な複数の線分の長さのうち最大値を意味することができる。あるいは、セラミック本体12の幅は、前述した断面写真に示されたセラミック本体12の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、幅方向(W軸方向)に平行な複数の線分の長さのうち最小値を意味することができる。あるいは、セラミック本体12の幅は、前述した断面写真に示されたセラミック本体12の幅方向(W軸方向)に対向する2つの最外側境界線をそれぞれ連結し、幅方向(W軸方向)に平行な複数の線分の少なくとも2つの線分の長さの算術平均値を意味することができる。
【0046】
セラミック本体12は、複数の誘電体層124を厚さ方向(T軸方向)に積層した後、焼成して形成される。ここで、セラミック本体12の互いに隣接する複数の誘電体層124それぞれは、互いに境界が不明確な状態で一体化される。例えば、キャパシタ本体12の互いに隣接するそれぞれの誘電体層124間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いずに確認しにくいほど一体化される。
【0047】
一方、セラミック本体12内において厚さ方向(T軸方向)に沿って複数の第1および第2内部電極21、22の外側に両側に第1および第2カバー層123、125がそれぞれ配置される。
【0048】
つまり、セラミック本体12内において最上部にある内部電極の上部に所定厚さの第1カバー層123が備えられ、最下部にある内部電極の下部に第2カバー層125が備えられる。第1カバー層123および第2カバー層125は、誘電体層124と同一の組成を有することができ、内部電極を含まない誘電体層をセラミック本体12の最上部の内部電極の上部と最下部の内部電極の下部にそれぞれ1つ以上積層して形成される。
【0049】
第1および第2カバー層123、125は、物理的または化学的ストレスによる第1および第2内部電極21、22の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0050】
第1カバー層123内に第1ダミー電極153、163が備えられる。第1ダミー電極153、163は、セラミック本体12の両端部面128、129に接するか、両端部面128、129から突出してもよい。第1および第2ダミー電極については、以下、より詳しく説明する。
【0051】
誘電体層124は、高誘電率のセラミック材料を含むことができる。例えば、セラミック材料は、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、またはCaZrO3などの成分を含む誘電体セラミックを含むことができる。また、これらの成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの補助成分をさらに含むことができる。例えば、誘電体層は、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3、Ba(Ti1-yCay)O3、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3またはBa(Ti1-yZry)O3などがあるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0052】
また、誘電体層124には、セラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤および分散剤の1つ以上がさらに含まれてもよい。セラミック添加剤は、例えば、遷移金属酸化物または炭化物、希土類元素、マグネシウム(Mg)またはアルミニウム(Al)などであってもよい。
【0053】
一例として、誘電体層111の平均厚さは、0.1μm~10μmであってもよいが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0054】
第1および第2外部電極13、14は、導電性金属をセラミック本体12に直接メッキして形成される。つまり、第1および第2外部電極13、14は、メッキ電極であってもよい。導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)、またはこれらの合金を含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。言い換えれば、第1および第2外部電極13、14は、直接メッキ法で形成されるメッキ薄膜で構成される。第1および第2外部電極13、14の厚さは、5um以上10um以下であってもよく、3um以上であってもよいが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0055】
一方、第1および第2外部電極を直接メッキ法でない方法、例えば、セラミック本体を導電性ペーストにディッピング(dipping)する方式で形成すれば、導電性ペーストのレオロジー(rheology)特性のため、外部電極が形成される位置によって厚さの差が生じて平坦度が低下する問題が発生しうる。
【0056】
第1および第2外部電極13、14は、セラミック本体12の長手方向(L軸方向)の両端部に配置され、第1および第2接続部133、143と、第1および第2バンド部135、145とをそれぞれ含む。
【0057】
第1接続部133は、セラミック本体12の第1端部面128の一部を覆い、第1内部電極21の露出した端部と接続されて電気的に連結される部分である。
【0058】
第2接続部143は、セラミック本体12の第2端部面129の一部を覆い、第2内部電極22の露出した端部と接続されて電気的に連結される部分である。
【0059】
第1および第2バンド部135、145は、第1および第2接続部133、143から延びて、セラミック本体12の上面121の一部と、第1および第2側面126、127の一部とを覆うようにそれぞれ延びる部分である。
【0060】
第1および第2バンド部135、145の厚さ、つまり、セラミック本体12の幅の中央地点での長手方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示された第1および第2バンド部135、145の外面とシード電極層137の外面との間の距離は、第1および第2バンド部135、145の周縁へいくほど大きくなる。これは、第1および第2バンド部135、145がメッキで形成される時、シード電極層137の端部に電流が集中して、シード電極層137のセラミック本体12の上面121側端部にメッキ層が相対的に厚く形成されるからである。
【0061】
第1バンド部135は、第1接続部133から長手方向(L軸方向)に沿って延び、セラミック本体12の上面のうち両端部側の一部と、セラミック本体12の第1および第2側面126、127のうちセラミック本体12の両端部側の一部とを覆うことができる。
【0062】
第2バンド部145は、第2接続部143から長手方向(L軸方向)に沿って延び、セラミック本体12の上面のうち両端部側の一部と、セラミック本体12の第1および第2側面126、127のうちセラミック本体12の両端部側の一部とを覆うことができる。
【0063】
第1および第2バンド部135、145とセラミック本体12の上面121との間には、シード(seed)電極層137、147が備えられる。つまり、第1バンド部135とセラミック本体12の上面121との間には、シード(seed)電極層137が印刷されていてもよく、第2バンド部145とセラミック本体12の上面121との間には、シード電極層137が印刷されていてもよい。
【0064】
シード電極層137、147は、導電性金属(例えば、ニッケル(Ni))を含むペーストを印刷する方法で形成される。したがって、シード電極層137、147は、導電性金属以外に共材(sintering inhibitor)を含んでいる領域である。第1および第2バンド部135、145は、導電性金属をシード電極層137、147にメッキして形成される。第1および第2バンド部135、145は、シード電極層137、147とは異なり、導電性金属以外の成分はほとんど含まない領域である。
【0065】
このように、シード電極層137、147に導電性金属をメッキして第1および第2バンド部135、145を形成するので、シード電極層137、147を用いて第1および第2外部電極13、14の厚さと長さを選択的に制御可能である。
【0066】
図2、
図5と
図6を参照すれば、シード電極層137、147の長さL1は、セラミック本体12の長さL0の1/4以上かつ1/2未満であってもよいが、本発明がこれに限定されるものではない。ここで、L0は、セラミック本体12の幅の中央地点での長手方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示されたセラミック本体12の第1端部面128の厚さ方向(T軸方向)の中央地点と第2端部面129の厚さ方向(T軸方向)の中央地点とを連結する線分の長さを意味することができる。また、L1は、セラミック本体12の第1端部面128(または第2端部面129)の厚さ方向(T軸方向)の中央地点を経て長手方向(L軸方向)に垂直な直線からシード電極層137(またはシード電極層147)の周縁までの距離を意味することができる。
【0067】
シード電極層137、147の長さL1を調節することによって、外部電極13、14の第1および第2バンド部135、145の長さL4を調節することができる。
【0068】
シード電極層137、147の厚さT1は、0.05um以上かつ1.0um以下であってもよいが、本発明がこれに限定されるものではない。ここで、T1は、積層セラミックキャパシタ10の幅方向(W軸方向)中央部での長手方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示されたセラミック本体12の上面121からシード電極層137、147の外周面までの最大距離を意味する。
【0069】
シード電極層137、147の厚さT1は、外部電極13、14のバンド部135、145の長さL4の設計により異なる値であってもよい。シード電極層137、147の厚さT1は、例えば、シード電極層137、147の長さL1の1/2であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0070】
シード電極層137、147の厚さT1が0.05um未満であれば、熱処理(焼成)過程で金属のかたまりが激しくなってシード電極層の均一性が低下し、以後、直接メッキ法で成長する第1および第2外部電極13、14の電着層の均一性を確保しにくい。逆に、シード電極層137、147が過度に厚ければ(例えば、数um以上)、シード電極層を形成するペースト段階で拡散性が低下して、シード電極層の中央地点と周縁との間に厚さの差が発生する。つまり、この場合、シード電極層の位置によって厚さの差が大きく発生して、積層セラミックキャパシタの平坦度を確保しにくいことがある。
【0071】
第1接続部133は、セラミック本体12の第1端部面128の一部を覆う。第1接続部133は、厚さ方向(T軸方向)に沿って第1端部面128の上端から下側に延びるものの、第1端部面128の下端までは延びない。つまり、第1接続部133の下端と第1端部面128の下端との間には間隔がある。したがって、第1接続部133によって第1端部面128の下側の一部分が露出する。つまり、第1端部面128は、第1接続部133によって覆われない第1露出面173を含む。
【0072】
第2接続部143は、セラミック本体の第2端部面129の一部を覆う。第2接続部143は、厚さ方向(T軸方向)に沿って第2端部面129の上端から下側に延びるものの、第2端部面129の下端までは延びない。つまり、第2接続部143の下端と第2端部面129の下端との間には間隔がある。したがって、第2接続部143によって第2端部面129の下側の一部分が露出する。つまり、第2端部面129は、第2接続部143によって覆われない第2露出面183を含む。
【0073】
第1および第2外部電極13、14は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、金(Au)、またはこれらの合金を含むことができる。一方、第1および第2外部電極13、14は、複数のメッキ層を含むことができる。つまり、第1および第2外部電極13、14は、第1メッキ層132、142と、第2メッキ層134、144と、第3メッキ層136、146とを含むことができる。例えば、第1および第2外部電極13、14は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ニッケル/銅(Ni/Cu)、パラジウム/ニッケル(Pd/Ni)、パラジウム/ニッケル/銅(Pd/Ni/Cu)、銅/ニッケル/銅(Cu/Ni/Cu)形態の組み合わせからなる。
【0074】
場合によっては、最外メッキ層をスズ(Sn)で構成してもよい。スズメッキ層は、相対的に低い溶融点を有するので、第1および第2外部電極13、14の基板実装容易性を向上させることができる。
【0075】
一般に、スズメッキ層は、スズ(Sn)-銅(Cu)-銀(Ag)の合金ペーストを含むソルダ(solder)により基板上の電極パッドに結合される。つまり、スズメッキ層は、熱処理(reflow)工程時、ソルダと互いに溶融して結合される。
【0076】
第1メッキ層132、142は、シード電極層137、147を覆い、セラミック本体12の両端部面128、129の一部を覆う。例えば、シード電極層137、147、第1ダミー電極153、163の端部および内部電極21、22の端部をシード(seed)として導電性金属を直接メッキすることによって、第1メッキ層132、142を形成することができる。
【0077】
第2メッキ層134、144は、第1メッキ層132、142を覆うように導電性金属をメッキして形成され、第3メッキ層136、146は、第2メッキ層134、144を覆うように導電性金属をメッキして形成される。
【0078】
このように、第1ダミー電極153、163の端部は、メッキ成長用シード(seed)としても機能することができる。つまり、第1および第2外部電極13、14は、シード電極層137、147、第1ダミー電極153、163の端部および内部電極21、22の端部をシードとして導電性金属を成長させる直接メッキ法で形成される。第1ダミー電極153、163をシードとして導電性金属が成長することによって、第1および第2外部電極13、14の第1メッキ層132、142をなすので、第1および第2外部電極13、14がガラス(glass)を含まない場合にも、第1および第2外部電極13、14は、セラミック本体12と接触力を維持できる。
【0079】
複数の第1および第2内部電極21、22は、誘電体層124を介在して交互に積層される。第1および第2内部電極21、22は、誘電体層124を形成するセラミックシート上に形成されて積層された後、焼成によって1つの誘電体層124を挟んでセラミック本体12の内部に厚さ方向に交互に配置される。このような第1および第2内部電極21、22は、互いに異なる極性を有する電極であって、誘電体層124の積層方向に沿って互いに対向して配置され、中間に配置された誘電体層124によって互いに電気的に絶縁できる。
【0080】
複数の第1および第2内部電極21、22は、誘電体層124を挟んで互いに長手方向にずれるように配置され、その一端がセラミック本体12の長手方向の第1および第2端部面128、129を介してそれぞれ露出する。このように、セラミック本体12の長手方向の第1および第2端部面128、129を介して交互に露出した第1および第2内部電極21、22の端部は、セラミック本体12の長手方向の第1および第2端部面128、129で第1および第2外部電極13、14の第1および第2接続部133、143とそれぞれ接続されて電気的に連結可能である。また、第1および第2内部電極21、22は、導電性金属で形成され、例えば、ニッケル(Ni)またはニッケル(Ni)合金などを含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0081】
上記の構成により、第1および第2外部電極13、14に所定の電圧を印加すれば、互いに対向する第1および第2内部電極21、22の間に電荷が蓄積される。この時、積層セラミックキャパシタ10の静電容量は、誘電体層124の積層方向に沿って互いに重畳する第1および第2内部電極21、22の重畳(overlap)した面積に比例する。
【0082】
言い換えれば、本実施例による積層セラミックキャパシタ10は、アクティブ領域Aと、マージン領域Mとを含む(
図2参照)。アクティブ領域Aは、複数の第1および第2内部電極21、22がセラミック本体12の厚さ方向(T軸方向)に沿って重畳する領域であり、マージン領域Mは、アクティブ領域Aとセラミック本体12の両端部面128、129との間の領域である。
【0083】
第1カバー層123と第2カバー層125は、セラミック本体12内でセラミック本体の厚さ方向(T軸方向)に沿って複数の第1および第2内部電極21、22の外側に両側にそれぞれ配置される。
【0084】
第1カバー層123の両端部面は、第1および第2外部電極13、14によって覆われる。
【0085】
第2カバー層125は、第1露出面173と、第2露出面183とを含む。第1露出面173は、セラミック本体12の第1端部面128のうち第1外部電極13によって覆われない部分であり、第2露出面183は、セラミック本体12の第2端部面129のうち第2外部電極14によって覆われない部分である。言い換えれば、第1露出面173は、第1端部面128の一部分であって第1外部電極13によって露出した面であり、第2露出面183は、第2端部面129の一部分であって第2外部電極14によって露出した面である。
【0086】
このように、第1カバー層123の両端部面は、第1および第2外部電極13、14によって全部覆われるのに対し、第2カバー層125の両端部面は、第1および第2外部電極13、14によって部分的に覆われ、露出面173、183を有する。
【0087】
露出面173、183の高さH1は、第2カバー層125の厚さT2より小さい。ここで、H1は、セラミック本体12の幅の中央地点での長手方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示されたセラミック本体12の下面122の長手方向(L軸方向)の中央地点を経て厚さ方向(T軸方向)に垂直な直線から、接続部133、143の周縁までの距離を意味することができる。T2は、セラミック本体12の下面122の長手方向(L軸方向)の中央地点を経て厚さ方向(T軸方向)に垂直な直線から最も近い内部電極までの距離を、均等な間隔を有する10個の地点(端部面128、129と下面122との出会う部分は除く)で測定した値の算術平均値を意味することができる。
【0088】
露出面173、183の高さH1が第2カバー層125の厚さT2より大きい場合、最下部の内部電極、つまり、第2カバー層125の厚さ方向(T軸方向)の外周面に最も近い内部電極が露出面173、183から引出されるが、外部電極13、14の接続部133、143には連結されない。
【0089】
一方、セラミック本体12はセラミック材質であるのに対し、外部電極13、14は金属(例えば、ニッケル(Ni))材質であるので、焼成(sintering)時、セラミックと金属との収縮率の差によってセラミック本体12に応力が集中する区域が生じて反りが発生しうる。反りが発生すれば、積層セラミックキャパシタを回路基板に実装する時、クラック(crack)が生成されることもある。
【0090】
本実施例では、セラミック本体12の第1カバー層123内に第1ダミー電極153、163を配置することによって、焼成時に発生する収縮率の差を制御し、反りの発生を抑制する。
【0091】
第1ダミー電極153、163は、第1カバー層123内に備えられる。第1ダミー電極153、163は、複数の第1および第2内部電極21、22と同様に、誘電体層124上に導電性金属を含む導電性ペーストを印刷することによって形成される。
【0092】
第1ダミー電極153、163は、セラミック本体12の第1および第2端部面128、129に接するか、第1および第2端部面128、129から突出してもよい。例えば、
図3を参照すれば、第1ダミー電極153の端部は、セラミック本体12の第1端部面128に接し、
図4を参照すれば、第1ダミー電極153の端部がセラミック本体12の第1端部面128から突出する。いずれの場合も、第1ダミー電極153、163は、セラミック本体12の第1および第2端部面128、129から長手方向(L軸方向)に沿って延びるように配置される。
【0093】
第1ダミー電極153、163の長さL3は、マージン領域Mの長さL2より小さい。言い換えれば、マージン領域Mの長さL2が、第1ダミー電極153、163の長さL3より大きい。ここで、L3は、積層セラミックキャパシタ10の幅の中央地点での長手方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示された第1ダミー電極153、163の長手方向(L軸方向)の両端部間の距離の算術平均値を意味することができる。L2は、セラミック本体12の幅の中央地点での長手方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示されたセラミック本体12の第1端部面128(または第2端部面129)の厚さ方向(T軸方向)の中央地点を経て長手方向(L軸方向)に垂直な直線から、厚さ方向(T軸方向)の最上位にある3つの内部電極の長手方向(L軸方向)の端部までの距離、最下位にある3つの内部電極の長手方向(L軸方向)の端部までの距離、および中央にある3つの内部電極の長手方向(L軸方向)の端部までの距離の算術平均値を意味することができる。
【0094】
セラミック本体12の外部から流入する水分や水素などは、セラミック本体12の厚さ方向(T軸方向)の最外側内部電極に優先して到達しやすい。本実施例では、マージン領域Mの長さL2を第1ダミー電極153、163の長さL3より大きくすることによって、最外側内部電極が隣接する反対極性の内部電極と構造的に遠ざけることができ、それによって素子が劣化するのを防止することができる。
【0095】
第1ダミー電極153、163の長さL3は、バンド部135、145の長さL4より小さい。ここで、L3は、積層セラミックキャパシタ10の幅の中央地点での長手方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示された第1ダミー電極153、163の長手方向(L軸方向)の両端部間の距離の算術平均値を意味することができ、L4は、セラミック本体12の幅の中央地点での長手方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示されたセラミック本体12の第1端部面128(または第2端部面129)の厚さ方向(T軸方向)の中央地点を経て長手方向(L軸方向)に垂直な直線からバンド部135(またはバンド部145)の周縁までの距離を意味することができる。
【0096】
第1ダミー電極153、163は、複数の層からなり、第1ダミー電極153、163のそれぞれの層は、厚さ方向(T軸方向)に互いに離隔できる。第1ダミー電極153、163の複数の層は、厚さ方向(T軸方向)に沿って均一な間隔で配置されてもよい。
【0097】
第1ダミー電極153、163は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、金(Au)、またはこれらの合金を含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0098】
図7は、
図1に示した積層セラミックキャパシタが基板に実装された形態を示す概略斜視図であり、
図8は、
図7のIIIV-IIIV'線に沿った断面図である。
【0099】
図7および
図8を参照すれば、積層セラミックキャパシタ10は、回路基板200の上面に備えられた第1および第2電極パッド211、213に導電性接合部材215を介して連結される。つまり、積層セラミックキャパシタ10は、回路基板200上で第1および第2電極パッド211、213を介して実装できる。
【0100】
第1および第2電極パッド211、213は、回路基板200の上面で互いに離隔して配置される。積層セラミックキャパシタ10の第1および第2外部電極13、14のバンド部135、145は、第1および第2電極パッド211、213と接触するように配置された状態で、導電性接合部材215を用いて回路基板200に固定される。一方、第1および第2外部電極13、14の第1および第2接続部133、143にも導電性接合部材215が覆われる。これによって、積層セラミックキャパシタ10は、回路基板200の第1および第2電極パッド211、213に電気的に接続可能である。導電性接合部材215は、一例として、ソルダ(solder)を含むことができる。
【0101】
本実施例において、積層セラミックキャパシタ10の第1および第2外部電極13、14それぞれは、導電性接合部材215によって第1および第2電極パッド211、213に固定されることによって、回路基板200に実装される。
【0102】
図9は、他の実施例による積層セラミックキャパシタを示す概略断面図であり、
図10は、
図9の部分拡大図であり、
図11は、
図9の他の部分拡大図である。
【0103】
図9、
図10および
図11を参照すれば、第2カバー層125の内側に第2ダミー電極155、165が備えられる。第2ダミー電極155、165は、第1および第2内部電極21、22と同様に、誘電体層124上に導電性金属を含む導電性ペーストを印刷することによって形成される。
【0104】
第2ダミー電極153、163は、第1および第2露出面173、183に接するか、第1および第2露出面173、183から突出してもよい。いずれの場合も、第2ダミー電極155、165は、第1および第2露出面173、183からセラミック本体12の長手方向(L軸方向)に沿って延びるように配置される。
【0105】
第1および第2外部電極13、14は、シード電極層137、147、第1ダミー電極153、163の端部および内部電極21、22の端部をシードとして導電性金属を成長させる直接メッキ法で形成される。本実施例のように、第2ダミー電極155、165が追加された場合には、第2ダミー電極155、165の端部もメッキ成長用シードとして機能する。したがって、第2ダミー電極155、165の位置と個数などを調節して第1および第2外部電極13、14の形成範囲を調節することができる。
【0106】
第2ダミー電極155、165の長さL5は、マージン領域Mの長さL2より小さい。言い換えれば、マージン領域Mの長さL2が、第2ダミー電極155、165の長さL5より大きい。ここで、L5は、積層セラミックキャパシタ10の幅の中央地点での長手方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示された第2ダミー電極の長手方向(L軸方向)の両端部間の距離の算術平均値を意味することができる。L2は、セラミック本体12の幅の中央地点での長手方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示されたセラミック本体12の第1端部面128(または第2端部面129)の厚さ方向(T軸方向)の中央地点を経て長手方向(L軸方向)に垂直な直線から、厚さ方向(T軸方向)の最上位にある3つの内部電極の長手方向(L軸方向)の端部までの距離、最下位にある3つの内部電極の長手方向(L軸方向)の端部までの距離、および中央にある3つの内部電極の長手方向(L軸方向)の端部までの距離の算術平均値を意味することができる。
【0107】
第2ダミー電極155、165の長さL5は、バンド部135、145の長さL4より小さい。ここで、L5は、積層セラミックキャパシタ10の幅の中央地点での長手方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示された第2ダミー電極155、165の長手方向(L軸方向)の両端部間の距離の算術平均値を意味することができる。L4は、セラミック本体12の幅の中央地点での長手方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示されたセラミック本体12の第1端部面128(または第2端部面129)の厚さ方向(T軸方向)の中央地点を経て長手方向(L軸方向)に垂直な直線からバンド部135(またはバンド部145)の周縁までの距離を意味することができる。
【0108】
第2ダミー電極155、165の高さH2は、露出面173、183の高さH1より高い。H1は、セラミック本体12の幅の中央地点での長手方向(L軸方向)-厚さ方向(T軸方向)の断面(cross-section)に対する光学顕微鏡または走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)写真を基準として、前述した断面写真に示されたセラミック本体12の下面122の長手方向Tの中央地点を経て厚さ方向(T軸方向)に垂直な直線から接続部133、143の周縁までの距離を意味することができる。H2は、セラミック本体12の下面122の長手方向(L軸方向)の中央地点を経て厚さ方向(T軸方向)に垂直な直線から第2ダミー電極155、165までの距離を意味することができる。
【0109】
第2ダミー電極155、165は、複数の層からなり、第2ダミー電極155、165のそれぞれの層は、厚さ方向(T軸方向)に互いに離隔できる。一方、第2ダミー電極155、165の複数の層は、厚さ方向(T軸方向)に沿って均一な間隔で配置される。
【0110】
第2ダミー電極155、165は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、金(Au)、またはこれらの合金を含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0111】
以上を除けば、
図9に示された実施例による積層セラミックキャパシタは、
図1に示された実施例による積層セラミックキャパシタと同一であるので、重複または同一の部分に関する説明は省略する。
【0112】
一方、
図12は、比較例による積層セラミックキャパシタを示す概略断面図である。
【0113】
図12を参照すれば、第1および第2外部電極13、14がセラミック本体12の厚さ方向(T軸方向)に沿って端部面128、129を経てセラミック本体12の下面122まで成長した。
【0114】
第1および第2外部電極13、14は、シード電極層137、147、第1ダミー電極153、163の端部および内部電極21、22の端部をシードとして導電性金属を成長させる直接メッキ法で形成される。本比較例のように、第2ダミー電極155、165が追加された場合には、第2ダミー電極155、165の端部もメッキ成長用シードとして機能する。
【0115】
ところが、第2ダミー電極155、165がセラミック本体12の下面122(または第2カバー層125の下面)に近く配置される場合、直接メッキ法を利用すれば、第1外部電極13、14は、セラミック本体12の下面122まで、または下面122を越えてまで成長することがある。直接メッキ法を利用する時、導電性金属は、セラミック本体12の長手方向(L軸方向)のみならず、厚さ方向(T軸方向)にも成長するからである。結局、比較例では、第1および第2外部電極13、14がセラミック本体12の下面122から突出するので、積層セラミックキャパシタの平坦度が低下しうる。
【0116】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは言うまでもない。
【符号の説明】
【0117】
10:積層セラミックキャパシタ
12:セラミック本体
13:第1外部電極
14:第2外部電極
132、142:第1メッキ層
134、144:第2メッキ層
136、146:第3メッキ層
153、163:第1ダミー電極
155、165:第2ダミー電極
121:上面
122:下面
A:アクティブ領域
M:マージン領域
21、22:内部電極
123:第1カバー層
124:誘電体層
125:第2カバー層
126:第1側面
127:第2側面
133:第1接続部
143:第2接続部
135:第1バンド部
145:第2バンド部
137、147:シード電極層
128:第1端部面
129:第2端部面
173:第1露出面
183:第2露出面
200:回路基板
211、213:第1および第2電極パッド
215:導電性接合部材