(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014751
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ステータベーンろう付継手の冷却回路
(51)【国際特許分類】
F01D 9/02 20060101AFI20240125BHJP
F01D 25/12 20060101ALI20240125BHJP
F02C 7/18 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
F01D9/02 102
F01D25/12 E
F02C7/18 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023104971
(22)【出願日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】17/868,911
(32)【優先日】2022-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】マシュー トロイ ハフナー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エム.マシューズ
(72)【発明者】
【氏名】ザカリー ジョン スナイダー
【テーマコード(参考)】
3G202
【Fターム(参考)】
3G202GA08
3G202GB01
3G202JJ10
(57)【要約】
【課題】継手故障のリスクを伴わず高温燃焼ガスに暴露することができる、複数の副次部品を接合してなる高温ガス経路部品を提供する。
【解決手段】ステータベーン(26)は、開口(102)を画成するプラットフォーム(52,54)と、翼形部(56)とを含む。翼形部は、半径方向に基部(68)と先端(70)の間に延在し、基部又は先端の少なくとも一方は突出部(72)を含む。プラットフォームが翼形部の突出部を取り囲むように突出部はプラットフォームの開口内に延在する。ステータベーン(26)は、プラットフォームと翼形部の突出部との間に配設されてそれらを接合するろう付継手(106)と、ろう付継手を冷却するため、突出部又はプラットフォームの少なくとも一方に画成される冷却回路(108)とをさらに含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータベーン(26)であって、
開口(102)を画成するプラットフォーム(52,54)と、
前縁(60)、後縁(62)、負圧側壁(66)及び正圧側壁(64)を有する翼形部(56)であって、翼形部(56)が半径方向に基部(68)と先端(70)の間に延在し、基部(68)又は先端(70)の少なくとも一方が突出部(72)を含んでいて、プラットフォーム(52,54)が翼形部(56)の突出部(72)を取り囲むように突出部(72)がプラットフォーム(52,54)の開口(102)内に延在する翼形部(56)と、
プラットフォーム(52,54)と翼形部(56)の突出部(72)との間に配設されてそれらを接合するろう付継手(106)と、
ろう付継手(106)を冷却するため突出部(72)又はプラットフォーム(52,54)の少なくとも一方に画成される冷却回路(108)と
を備えるステータベーン。
【請求項2】
冷却回路(108)が、プレナム(120)まで延在しかつ冷却剤を継手境界壁(124)に衝突させるように構成された1以上の入口流路(118)を備えており、継手境界壁(124)が、ろう付継手(106)と接触し、かつプレナム(120)を部分的に画成する、請求項1に記載のステータベーン(26)。
【請求項3】
冷却回路(108)が、継手境界壁(124)内に画成されかつプレナム(120)と流体連通する1以上の出口流路(122)をさらに備える、請求項2に記載のステータベーン(26)。
【請求項4】
1以上の出口流路の各出口流路(122)が、半径方向及び突出部(72)の周囲に沿って延在する方向の両方向で、1以上の入口流路の各入口流路(118)からオフセットしている、請求項2に記載のステータベーン(26)。
【請求項5】
プラットフォーム(52,54)が、内壁(110)、外壁(112)及び内壁(110)と外壁(112)との間に延在する隆起壁(80)を含んでおり、ろう付継手(106)が、プラットフォーム(52,54)の隆起壁(80)と翼形部(56)の突出部(72)との間に配設されてそれらを接合する、請求項2に記載のステータベーン(26)。
【請求項6】
1以上の入口流路(118)、1以上の出口流路(122)及びプレナム(120)が、プラットフォーム(52,54)の隆起壁(80)及び内壁(110)内に画成される、請求項5に記載のステータベーン(26)。
【請求項7】
冷却回路(108)が突出部(72)内に画成される、請求項1に記載のステータベーン(26)。
【請求項8】
翼形部(56)の突出部(72)が、前縁部(84)、後縁部(86)、正圧側部(88)及び負圧側部(90)を含んでおり、冷却回路(108)が、前縁部(84)の入口(166)から、後縁部(86)、正圧側部(88)又は負圧側部(90)のいずれかに画成された出口(168)まで延在する冷却通路(164)を備える、請求項7に記載のステータベーン(26)。
【請求項9】
当該ステータベーン(26)がキャビティ(92)を画成しており、インサート(186)が突出部(72)に結合しているとともにキャビティ(92)内に延在しており、キャップ(184)が突出部(72)に結合しているとともにキャビティ(92)を横断して延在する、請求項1に記載のステータベーン(26)。
【請求項10】
キャップ(184)及びインサート(186)が、ステータベーン(26)のキャビティ(92)内に出口プレナム(192)を画成しており、冷却回路(108)が出口プレナム(192)と流体連通している、請求項9に記載のステータベーン(26)。
【請求項11】
環状プレナム(206)が翼形部(56)のインサート(186)と壁(64,66,208)との間に画成され、環状プレナム(206)がインサート孔(210)を介して出口プレナム(192)に流体接続している、請求項10に記載のステータベーン(26)。
【請求項12】
圧縮機セクション(12)と、
燃焼セクション(18)と、
請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の1以上のステータベーン(26)を含むタービンセクション(22)と
を備えるターボ機械(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ろう付継手で接合した1以上の部品を有するターボ機械用のステータベーンに関する。特に、本開示は、ステータベーンのろう付継手を冷却するための冷却回路に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械は、エネルギー伝達のために様々な産業及び用途で利用されている。例えば、ガスタービンエンジンは、一般に、圧縮機セクション、燃焼セクション、タービンセクション及び排気セクションを含む。圧縮機セクションは、ガスタービンエンジンに入る作動流体の圧力を徐々に増大させ、その圧縮された作動流体を燃焼セクションに供給する。圧縮された作動流体と燃料(天然ガスなど)は燃焼セクションで混合され、燃焼室で燃焼して高圧高温の燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは燃焼セクションからタービンセクションに流れ、そこで膨張して仕事を発生する。例えば、タービンセクションにおける燃焼ガスの膨張は、発電機などに接続されたロータシャフトを回転させる。使用済み燃焼ガスは次いで排気セクションを経てガスタービンから出る。
【0003】
ターボ機械の運転中、システム内の様々な高温ガス経路部品が高温の流れに付され、高温ガス経路部品が故障してしまうおそれがある。一般に流れの温度が高いほどターボ機械の性能、効率及び出力が向上するので、温度を高めた流れでガスタービンシステムを動作できるようにするには高温の流れに付される高温ガス経路部品を冷却しなければならない。
【0004】
高温ガス経路部品の最高局所温度が高温ガス経路部品の溶融温度に近づくにつれて、強制空冷が必要とされるようになる。そのため、タービンロータブレード及び静止ノズルの翼形部は複雑な冷却スキームが必要とされることが多々あり、高温ガス経路部品から熱を伝達するため、空気(通例、圧縮機セクションからの抽気)を翼形部内の内部冷却通路を通して送り、翼形部表面の冷却穴から排出させる。
【0005】
多くの複雑な冷却スキームでは、翼形部全体に冷却流体を供給するため、小さな冷却通路又はマイクロ流路を用いる。こうした冷却スキームは、中子及び鋳物に関して製造上かなりの課題を呈し、このような公知の壁近接冷却システムを用いる高温ガス経路部品の製造コストを大幅に増加させてしまうおそれがある。部品表面に近接した複雑な及び/又は小さな冷却流路に関する製造上の課題に対処すべく、かかる特徴をもつ多くの高温ガス経路部品を積層造形することができる。積層造形では、複雑で多様な冷却特徴をもつ部品を製造することができる。しかし、ロータブレード及びステータベーンのような高温ガス経路部品を単一部品として積層造形するのは、コストと時間がかかることがある。さらに、高温ガス経路部品の1箇所に製造エラーがあると、部品全体の廃棄につながることがある。
【0006】
そこで、高温ガス経路部品を複数の副次部品として製造するのが有利なことがある。しかし、副次部品の複雑な幾何形状のため、副次部品を接合して高温ガス経路部品を形成するのが難しいことがある。さらに、副次部品の間で形成された継手は、ターボ機械の運転中に発生してタービンセクションの高温ガス経路を通って伝達される高温燃焼ガスに暴露されると、特に弱い及び/又は故障するおそれがある。
【0007】
そこで、互いに接合した1以上の副次部品を有し、継手故障のリスクを伴わず高温燃焼ガスに暴露することができる、改良された高温ガス経路部品が望まれており、当技術分野で高く評価されるであろう。
【発明の概要】
【0008】
本開示に係るステータベーン及びターボ機械の態様及び利点について、以下の詳細な説明に記載するが、以下の詳細な説明から自明となるものもあろうし、或いは本技術の実施を通して習得できるものもあろう。
【0009】
一実施形態では、ステータベーンを提供する。ステータベーンは、開口を画成するプラットフォームを含む。ステータベーンはさらに、前縁、後縁、負圧側壁及び正圧側壁を有する翼形部を含む。翼形部は半径方向に基部と先端の間に延在する。基部又は先端の少なくとも一方は突出部を含む。突出部はプラットフォームの開口内に延在して、プラットフォームが翼形部の突出部を取り囲む。ステータベーンは、プラットフォームと翼形部の突出部との間に配設されてそれらを接合するろう付継手をさらに含む。ステータベーンは、ろう付継手を冷却するため、突出部又はプラットフォームの一方に画成された冷却回路をさらに含む。
【0010】
別の実施形態では、ターボ機械を提供する。ターボ機械は、圧縮機セクション、燃焼セクション及びタービンセクションを含む。1以上のステータベーンがタービンセクションに配置される。1以上のステータベーンは、開口を画成するプラットフォームを含む。ステータベーンは、前縁、後縁、負圧側壁及び正圧側壁を有する翼形部をさらに含む。翼形部は半径方向に基部と先端の間に延在する。基部又は先端の少なくとも一方は突出部を含む。突出部はプラットフォームの開口内に延在して、プラットフォームが翼形部の突出部を取り囲む。ステータベーンは、プラットフォームと翼形部の突出部との間に配設されてそれらを接合するろう付継手をさらに含む。ステータベーンは、ろう付継手を冷却するため、突出部又はプラットフォームの一方に画成された冷却回路をさらに含む。
【0011】
本ステータベーン及びターボ機械の上記その他の特徴、態様及び利点については、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することによって理解を深めることができよう。添付の図面は、本明細書の内容の一部をなすものであり、本技術の様々な実施形態を例示するとともに、発明の詳細な説明と併せて本技術の原理を説明するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本ステータベーン及びターボ機械について、以下の発明の詳細な説明において、当業者に対して、添付の図面を参照しながら、本システム及び方法を製造及び使用するための最良の形態を含めて、実施できるように十分に開示する。
【0013】
【
図1】本開示の実施形態に係るターボ機械(例えばガスタービンエンジン)の概略説明図。
【
図2】
図1に示す本開示の実施形態に係るガスタービンエンジンのタービンセクションの部分断面側面図。
【
図3】本開示の実施形態に係るステータベーンの分解図。
【
図4】本開示の実施形態に係るステータベーンの上方斜視図。
【
図5】本開示の実施形態に係るステータベーンの斜視断面図。
【
図6】
図5に示す本開示の実施形態に係るステータベーンの概略断面図。
【
図7】本開示の実施形態に係るステータベーンの概略断面図。
【
図8】
図7に示す本開示の実施形態に係るステータベーンの矢視8-8概略断面図。
【
図9】本開示の実施形態に係るステータベーンの概略断面図。
【
図10】本開示の実施形態に係るステータベーンの一部の斜視図。
【
図11】本開示の実施形態に係るステータベーンの斜視断面図。
【
図12】
図11に示す本開示の実施形態に係るステータベーンの拡大断面図。
【
図13】本開示の実施形態に係るステータベーンの一部の斜視図。
【
図14】
図13に示す本開示の実施形態に係るステータベーンの拡大断面図。
【
図15】本開示の実施形態に係るステータベーンの上方斜視図。
【
図16】本開示の実施形態に係るステータベーンの概略拡大側断面図。
【
図17】本開示の実施形態に係るステータベーンの概略拡大側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本ステータベーン及びターボ機械の様々な実施形態について詳細に説明し、その1以上の実施例を図面に示す。各実施例は、本技術を限定するものではなく、例示のためのものである。実際、特許請求の範囲に記載された技術的範囲及び技術的思想を逸脱することなく、本技術に様々な修正及び変更をなし得ることは当業者には明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として例示又は記載された特徴を、別の実施形態と共に用いてさらに別の実施形態とすることができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲に属する修正及び変更を包含する。
【0015】
「例示的」という用語は、本明細書では、「例、事例又は説明として役立つ」という意味で用いられる。本明細書で「例示的」と記載された実施態様は、必ずしも他の実施態様よりも好ましい又は有利であると解すべきではない。さらに、別途特定されていない限り、本明細書に記載されたすべての実施形態は例示的なものであると解される。
【0016】
発明の詳細な説明では、図面に記載された特徴を参照するために数字及び文字による符号を用いる。図面及び発明の詳細な説明において、同様又は類似の符号は本発明の同様又は類似の部材を示す。本明細書において、「第1」、「第2」及び「第3」という用語は、ある部品を他の部品と区別するために互換的に用いられ、個々の部品の位置又は重要性を意味するものではない。
【0017】
「流体」という用語は、気体でも液体でもよい。「流体連通」という用語は、流体が所定の領域間の接続をなすことができることを意味する。
【0018】
本明細書で用いる[上流」(又は「前方」)及び「下流」(又は「後方」)という用語は、流体経路における流体の流れに関する相対的な方向を示す。例えば、「上流」は流体が流れてくる方向をいい、「下流」は流体が流れていく方向をいう。「半径方向」という用語は、ある部品の軸方向中心線に対して実質的に垂直な相対的方向をいい、「軸方向」という用語は、ある部品の軸方向中心線に対して実質的に平行及び/又は同軸である相対的方向をいい、「周方向」という用語は、ある部品の軸方向中心線の周りの相対的方向をいう。
【0019】
「約」、「略」及び「実質的に」のような近似的用語は、記載された厳密な数値に限定されない。少なくとも幾つかの事例では、近似表現は、その値を測定する機器の精度或いは部品及び/又はシステムの構築又は製造のための方法又は機械の精度に対応する。例えば、近似表現は、個々の数値、数値範囲及び/又は数値範囲を限定するための上下限のいずれかの1%、2%、4%、5%、10%、15%又は20%以内の誤差をいうことがある。角度又は方向に関して用いる場合、かかる用語は、記載された角度又は方向の±10度以内を包含する。例えば、「略鉛直」とは、鉛直から任意の方向(例えば時計回り又は反時計回り)に10度以内の方向を包含する。
【0020】
「接合」、「固定」又は「取付け」などの用語は、本明細書で別途記載されていない限り、直接的な接合、固定又は取付けだけでなく、1以上の中間構成要素又は特徴を介しての間接的な接合、固定又は取付けも意味する。本明細書で用いる「含む」、「備える」及び「有する」という用語は、非排他的に含んでいることを包含するものである。例えば、列挙された特徴を含むプロセス、方法、物品又は装置は、必ずしもそれらの特徴に限定されるものではなく、明示的に列挙されてもおらず、またかかるプロセス、方法、物品又は装置に固有でもない別の特徴を含んでいてもよい。さらに、別途明示されていない限り、「又は」という用語は、排他的な意味での又はではなく、包括的な意味での又はをいう。例えば、A又はBという条件は、Aが真であり(又は存在し)、かつBが偽である(又は存在しない)場合、Aが偽であり(又は存在せず)、かつBが真である(又は存在する)場合、A及びBの両方が真である(又は存在する)場合のいずれにおいても成立する。
【0021】
本明細書及び特許請求の範囲において、数値限定の範囲は互いに結合及び/又は交換可能であり、かかる範囲はその上下限で規定され、別途記載されているか前後関係から明らかでない限り、その範囲に含まれるあらゆる部分範囲を包含する。例えば、本明細書に開示された範囲はすべて上下限を含んでおり、上下限は互いに独立して組合せることができる。
【0022】
ここで図面を参照すると、
図1は、ターボ機械の一実施形態の概略図を示すが、この図に示す実施形態ではターボ機械はガスタービン10である。本明細書では、産業用又は陸用ガスタービンについて記載及び説明するが、本開示は、特許請求の範囲に別途記載されていない限り、陸用及び/又は産業用ガスタービンに限定されるものではない。例えば、本明細書に記載した発明は、限定されるものではないが、蒸気タービン、航空機用ガスタービン又は船舶用ガスタービンを始めとする、あらゆる種類のターボ機械に使用し得る。
【0023】
図1に示すように、ガスタービン10は一般に圧縮機セクション12を含む。圧縮機セクション12は圧縮機14を含む。圧縮機は、ガスタービンエンジン10の上流側端部に配置された入口16を含む。ガスタービンエンジン10は、圧縮機セクション12の下流に配置された1以上の燃焼器20を有する燃焼セクション18をさらに含む。ガスタービンエンジン10は、燃焼セクション18の下流側にあるタービンセクション22(膨張タービン)をさらに含む。シャフト24は、ガスタービンエンジン10を略軸方向に延在する。
【0024】
圧縮機セクション12は、一般に、複数のロータディスク21、及び各ロータディスク21に連結しかつ各ロータディスク21から半径方向外側に延在する複数のロータブレード23を含む。各ロータディスク21は、圧縮機セクション12を貫通するシャフト24に結合或いはシャフトの一部を形成し得る。圧縮機セクション12のロータブレード23は、翼形を画成する(例えば前縁、後縁及び前縁と後縁との間に延在する側壁を有する)ターボ機械翼形部を含んでいてもよい。
【0025】
タービンセクション22は、一般に、複数のロータディスク27、及び各ロータディスク27に連結しかつ各ロータディスク27から半径方向外側に延在する複数のロータブレード28を含む。各ロータディスク27は、タービンセクション22を貫通するシャフト24に結合或いはシャフト24の一部を形成し得る。タービンセクション22は、シャフト24及びロータブレード28の部分を周方向に取り囲む外側ケーシング32をさらに備える。タービンセクション22は、外側ケーシング32から半径方向内側に延在するステータベーン又は静止ノズル26を含む。ロータブレード28とステータベーン26は、ガスタービン10の軸方向中心線30に沿って交互に段として配置される。ロータブレード28及びステータベーン26は共に、翼形を画成する(例えば前縁、後縁及び前縁と後縁との間に延在する側壁を有する)ターボ機械翼形部を含んでいてもよい。
【0026】
運転中、周囲空気36その他の作動流体が、圧縮機14の入口16に吸い込まれ、徐々に圧縮されて、圧縮空気38を燃焼セクション18に供給する。圧縮空気38は、燃焼セクション18に流入し、燃料と混合されて可燃性混合気を形成する。可燃性混合気は、燃焼器20の燃焼室40内で燃焼して、燃焼室40からタービンセクション22へと流入する燃焼ガス42を生じる。燃焼ガス42からロータブレード28にエネルギー(運動及び/又は熱)が伝達され、シャフト24を回転させて機械的仕事を生じる。使用済み燃焼ガス42(「排気ガス」とも呼ばれる)は、タービンセクション22を出て排気ディフューザ34を通り、排気ディフューザ34内に配置された複数のストラット又は主翼形44を横切って流れる。
【0027】
ガスタービン10は、軸方向中心線30に沿って延在する軸方向A、軸方向中心線30に垂直な半径方向R、及び軸方向中心線30を中心に延在する周方向Cを有する円筒座標系を規定し得る。
【0028】
図2は本開示の実施形態に係るガスタービンエンジン10のタービンセクション22の部分断面側面図である。タービンセクション22は、1段以上の段落50を含んでいて、各段落は、ロータディスク27に結合した一組のロータブレード28を含んでおり、ロータディスク27はシャフト24に回転可能に取り付けることができる。1段以上の段落50は、一組のステータベーン26をさらに含む。本明細書に記載されるステータベーン26は、第1段、第2段、第3段又はそれらの組合せで用いることができるが、ここでの「第1」は燃焼セクション18のすぐ下流の段落をいう。
【0029】
各ステータベーン26は、半径方向Rに内側プラットフォーム又は端壁52と外側プラットフォーム又は端壁54との間に延在する1以上の翼形部56を含む。各ステータベーン26の周方向に隣接する外側プラットフォーム54を互いに結合して外側環状リングを形成してもよく、外側環状リングは、各ステータベーン26の周方向に隣接する内側プラットフォーム52の内側環状リングの周囲に延在する。1以上の翼形部56は、プラットフォーム52,54によって形成される2つの環状リングの間に延在し得る。タービンセクション22は、シュラウドセグメント58を含んでいてもよく、シュラウドセグメント58は外側プラットフォーム54の下流に配置して、ステータベーン26を通過した燃焼ガス42がロータブレード28へと流れるように導く。
【0030】
燃焼ガス42の流路に沿って配置される構造又は部品は、高温ガス経路部品と呼ばれる。一例では、高温ガス経路部品は、ステータベーン26及び/又はロータブレード28である。いくつかの実施形態では、高温ガス経路部品を冷却するため、インピンジメントスリーブ、冷却流路、冷却穴などのような冷却特徴を、破線78で示すように、高温ガス経路部品内に配置してもよい。例えば、矢印79で示すような冷却空気を、圧縮機セクション12その他の場所から送って、矢印81で示すような冷却特徴を通して導いてもよい。
【0031】
図3は、本開示の実施形態に係るステータベーン26の分解図であり、内側プラットフォーム52、外側プラットフォーム54及び翼形部をステータベーン26の軸方向中心線55に沿って互いに分離した状態で示す。この軸方向中心線55は、ステータベーン26をタービンセクション22に設置した状態では、ガスタービン10の半径方向と略平行である。図に示す通り、ステータベーン26は、内側プラットフォーム52、外側プラットフォーム54及び内側プラットフォーム52と外側プラットフォーム54の間に延在する翼形部56を含んでいてもよい。翼形部56は、一般に空力形状又は空力輪郭を画成し得る。例えば、翼形部56は、燃焼ガスの流れと遭遇する前縁60並びに翼形部56に沿って燃焼ガスを後縁62に導く側壁を含んでいてもよい。例えば、翼形部56は、前縁60から後縁62まで各々延在する正圧側壁64及び負圧側壁66を含むことができる。さらに、翼形部56は、半径方向に基部68と先端70の間に延在し得る。基部68は内側プラットフォーム52に結合されるように構成され、先端70は外側プラットフォーム54に結合されるように構成される。
【0032】
例示的な実施形態では、内側プラットフォーム52、翼形部56及び外側プラットフォーム54は別個の部品(例えば、別個の部品として製造したもの)であってもよく、1以上のろう付継手を介して互いにろう付け又は溶接される。例えば、特定の実施形態では、内側プラットフォーム52、翼形部56及び外側プラットフォーム54は、各々別々に積層造形(例えば3D印刷)され、次いでろう付継手を介して互いに接合される。ステータベーン26を3つの別個の部品として形成すると、ステータベーン26の補修性が高まるという利点がある。例えば、翼形部56の一部が損傷した場合、ステータベーン26全体を交換する必要はない。ろう付けを外し(例えば、ろう付継手を再加熱及び溶融することによって)、翼形部56をプラットフォーム52,54から切り離し、新しい翼形部56を用いるか或いは古い翼形部を修理すればよい。
【0033】
さらに、ステータベーン26の一部又は全体の製造に積層造形を用いる場合、内側プラットフォーム52及び外側プラットフォーム54とは別個の部品としての翼形部56の造形(すなわち印刷)時間は、内側及び外側プラットフォーム52,54を翼形部56と共に印刷する一体型ノズルの造形時間に比べて格段に短い。さらに、ステータベーン26を3つの別個の部品から形成すると、様々な部品に対して異なる製造技術及び/又は異なる材料を用いることができるようになる。
【0034】
図3に示すように、翼形部56はキャンバー軸57を含んでよく、キャンバー軸57は前縁60から後縁62まで延在し、正圧側壁64と負圧側壁66との中間に画成される。キャンバー軸57は、正圧側壁64及び負圧側壁66の曲線に対応するように湾曲及び/又は輪郭形成し得る。キャンバー軸57と直交する方向に横方向Tを規定してもよい。
図3に示すように、ステータベーン26は、翼形部56から半径方向R及び横方向Tの両方に外側に延在する1以上の突出部72をさらに含む。例えば、ステータベーン26は、基部68において翼形部56から延在する第1の突出部72と、先端70において翼形部56から延在する第2の突出部72とを含んでいてもよい。各突出部72は、横方向Tに正圧側壁64及び負圧側壁66から略垂直に延在し得る。
【0035】
内側プラットフォーム52及び外側プラットフォーム54は共に開口102を画成してもよい。開口102は、突出部72を各開口102に挿入し(次いで各プラットフォームにろう付けし)て、翼形部56を内側プラットフォーム52及び外側プラットフォーム54に結合できるように、突出部72に対応するサイズ及び形状にすればよい。特に、翼形部56の基部68から延在する突出部72を内側プラットフォーム52の開口102に挿入し(次いで内側プラットフォーム52にろう付けし)、翼形部56の先端70から延在する突出部72を外側プラットフォーム54の開口102に挿入し(次いで外側プラットフォーム54にろう付けし)てもよい。
【0036】
例えば、翼形部56の突出部72は、ろう付継手106を介して内側及び外側プラットフォーム52及び54にろう付けし得る(
図4及び
図5)。すなわち、
図6に示すように、ろう材107は、(内側及び外側プラットフォーム52,54の両方で)突出部72と開口102の境界との間に配置し得る。次いで、ステータベーン26全体をろう付けオーブンに入れてろう材107を溶融させ、次いでろう材107を固化させて、内側及び外側プラットフォーム52及び54を翼形部56の各突出部72に接合することができる。ろう材は、銅、ニッケル、銀、金、アルミニウムその他の適切な金属ろう材を含有し得る。
【0037】
多くの実施形態では、
図3に示すように、内側プラットフォーム52及び/又は外側プラットフォーム54は、本体53を含む。本体53は、翼形部56に対して略垂直に延在し得る。内側プラットフォーム52の本体53は、タービンセクション22内の燃焼ガスの半径方向内側の流れ境界を画成し得る。同様に、外側プラットフォーム54の本体53は、タービンセクション22内の燃焼ガスの半径方向外側の流れ境界を画成し得る。さらに、内側プラットフォーム52及び外側プラットフォーム54の本体53は、各々の開口102を少なくとも部分的に画成し得る。例示的な実施形態では、内側プラットフォーム52及び/又は外側プラットフォーム54の一方又は両方は、本体53から半径方向に延在する隆起壁80を含んでいてもよい。隆起壁80は、開口102を少なくとも部分的に画成し得る。多くの実施形態では、突出部72は、隆起壁80にろう付けし得る。いくつかの実施形態では、内側及び外側プラットフォーム52及び54は、1以上のレール82(本体53を略周方向Cに横断し得る)を含んでいてもよい。
【0038】
ある実施形態では、翼形部56の基部68から延在する突出部72は、内側プラットフォーム52が翼形部56の突出部72を取り囲むように、内側プラットフォーム52の開口102内に延在してもよい。具体的には、本体53及び/又は内側プラットフォーム52の隆起壁80が、翼形部56の基部68から延在する突出部72を取り囲んでもよい(すなわち、隆起壁80は突出部72の周囲に延在する)。同様に、翼形部56の先端70から延在する突出部72は、外側プラットフォーム54が翼形部56の突出部72を取り囲むように、外側プラットフォーム54の開口102内に延在してもよい。具体的には、本体53及び/又は外側プラットフォーム54の隆起壁80が、翼形部56の先端70から延在する突出部72を取り囲んでもよい。
【0039】
多くの実施形態では、翼形部56の突出部72は、前縁部84、後縁部86、正圧側部88及び負圧側部90を含んでいてもよい。前縁部84、正圧側部88及び負圧側部90はキャビティ92を少なくとも部分的に画成していてもよく、キャビティ92は、翼形部56内に延在して、翼形部56内部でさらに画成される。キャビティ92は、プラットフォーム54の開口102によって露出されてもよく、空気(例えば、圧縮機14からの抽気)がキャビティ92に入り込めるようになる。キャビティ92を複数の部分に仕切り、かつ翼形部56に構造的支持を与えるため、リブ94(
図4、
図10)が、キャビティ92(例えば突出部72の正圧側部88と負圧側部90との間及び翼形部56の正圧側壁64と負圧側壁66との間)を横断していてもよい。突出部72は、固体テール96をさらに含んでいてもよく、(
図4の格子線で示すように)プラットフォーム54に突出部72を接合するための追加のろう材のための平坦及び/又は平滑な表面をもたらすことができる。
【0040】
突出部72の前縁部84は、翼形部56の前縁60から延在し得る。突出部72の後縁部86は、翼形部56の後縁62から延在し得る。突出部72の正圧側部88は、翼形部56の正圧側壁64から延在し得る。突出部72の負圧側部90は、翼形部56の負圧側壁66から延在し得る。
【0041】
図4は、本開示の実施形態に係るステータベーン26の拡大斜視図を示す。図に示す通り、翼形部56の突出部72は、プラットフォーム54が翼形部56の突出部72を取り囲むように、プラットフォーム54の開口102内に延在してもよい。ろう付継手106(格子状に配置された破線で示す)は、プラットフォーム54と翼形部56の突出部72との間に配置され、それらを接合する。
【0042】
図5~
図9は、各々、本開示の1以上の実施形態に係るステータベーン26の断面図を示す。具体的には、
図5は、
図4に示すステータベーン26の矢視5-5断面図であり、
図6は、
図5のステータベーン26の拡大図である。図に示す通り、ステータベーン26は、プラットフォーム100(
図3に示す内側プラットフォーム52又は外側プラットフォーム54など)を含むことができる。プラットフォーム100は開口102を画成してもよく、翼形部56は開口102内に延在して、プラットフォーム100と接合する。ろう付継手106は、翼形部56とプラットフォーム100との間に配置されて翼形部56をプラットフォーム100に接合する。ろう付継手106は、プラットフォーム100を翼形部56に接合するろう材107を含むことができる。ろう材107は、翼形部56及び/又はプラットフォーム100が形成される材料の溶融温度よりも低い溶融温度を有する。例えば、ろう材107は、銅、ニッケル、銀、金、アルミニウム又はこれらの組合せとし得る。翼形部56及びプラットフォーム100は、ニッケル及びコバルト合金その他の材料のような高い溶融温度を有する金属材料から形成し得る。
【0043】
例示的な実施形態では、ステータベーン26は、(例えばガスタービンエンジン10の運転中に)ろう付継手106を冷却するため、翼形部56及び/又はプラットフォーム100の一方に画成される冷却回路108を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、冷却回路108は、突出部72及び/又は翼形部56の一方又は両方に画成してもよい。他の実施形態では、冷却回路108は、プラットフォーム100内(例えば、
図3を参照して説明した本体53、隆起壁80及び/又はレール82の1以上の内部)に画成し得る。冷却回路108は圧縮機セクション12と流体連通していてもよく、冷却回路108は、ろう付継手106の冷却に圧縮機からの圧縮空気の流れを利用することができる。
【0044】
多くの実施形態では、プラットフォーム100は、内壁110及び外壁112を含み、隆起壁80は、内壁110と外壁112との間に延在し得る。例示的な実施形態では、図に示す通り、ろう付継手106は、プラットフォーム100の隆起壁80と翼形部56の突出部72との間に配置され、それらを接合する。多くの実施形態では、入口プレナム114を、内壁110と外壁112と隆起壁80との間に画成し得る。圧縮空気が(例えば圧縮機セクション12からの抽気のような圧縮空気源から)入口プレナム114に流入できるようにするため、1以上の入口孔116を外壁112に画成してもよい。内壁110は、入口プレナム114を部分的に画成する外面134、及び燃焼ガスの高温ガス経路境界を部分的に画成する内面136を画成し得る。換言すると、内面136は、ガスタービン10の運転中に燃焼ガスに暴露される。
【0045】
多くの実施形態では、
図6及び
図7に示すように、冷却回路108は、1以上の入口流路118、プレナム120及び1以上の出口流路122を含んでいてもよく、各々プラットフォーム100の隆起壁80及び/又は内壁110に画成される。1以上の入口流路118は、入口プレナム114からプレナム120まで延在し得る。いくつかの実施形態では、プレナム120は環状であってもよく、突出部72を取り囲む(もって
図3に示す軸方向中心線55を取り囲む)。1以上の入口流路118の各入口流路118は、冷却剤又は空気150が継手境界壁124に衝突するように冷却剤又は空気150を導くサイズ及び配向にされる。継手境界壁124は、隆起壁80の一部を形成してもよく、プレナム120とろう付継手106の間に配置し得る。例えば、隆起壁80の継手境界壁124は略半径方向に配向し、入口流路118は、冷却剤が入口流路118を出て略軸方向(又は継手境界壁124に垂直)に進むように、入口流路118の出口のすぐ上流に軸方向に配向した部分を含んでいてもよい。次いで、空気150は、継手境界壁124に衝突して、熱を継手境界壁124から空気150に伝達する。継手境界壁124は隆起壁80の一部であってもよいので、継手境界壁124はろう付継手106に接触するとともに、プレナム120を部分的に画成することができる。
【0046】
特に、入口流路118は、空気150が離散ジェットとして継手境界壁124に衝突するようなサイズ及び配向にし得る。空気150の離散ジェットは、継手境界壁124のインピンジメント面126に衝突して、インピンジメント面126を冷却し、継手境界壁124及びろう付継手106から空気に熱伝達できるようになる。インピンジメント面126は、プレナム120の境界を部分的に画成し得る。例えば、入口流路118は、継手境界壁124のインピンジメント面126に略垂直に延在する出口部分を含んでいてもよく、入口流路118を出る空気150の離散ジェットは、表面(例えば継手境界壁124のインピンジメント面126)に垂直に当たる。空気の離散ジェットがインピンジメント面126に衝突すると、それらは「ポストインピンジメント空気」及び/又は「使用済み冷却空気」と呼ばれるが、これは、空気がエネルギー移動を経て異なる特性(例えば、衝突前よりも高い温度及び低い圧力)をもつためである。
【0047】
様々な実施形態では、プレナム120は略矩形の断面とすることができる。例えば、プレナム120は、上流面128(冷却回路108を通る冷却剤の流れに関して)と、上流面128の反対側のインピンジメント面126と、半径方向外側面130と、半径方向内側面132とで囲まれていてもよい。半径方向外側面130と半径方向内側面132は離間(例えば半径方向に離間)し、各々互いに略平行に延在していてもよい。インピンジメント面126と上流面128は互いに離間していて互いに略平行であり、各々略半径方向に延在していてもよい。
【0048】
例示的な実施形態では、冷却回路108は、継手境界壁124内に画成され(例えば部分的に隆起壁80内に画成され、部分的に内壁110内に画成され)かつプレナム120と流体連通している1以上の出口流路122を含んでいてもよい。出口流路122は、半径方向外側面130に画成されかつプレナム120と流体連通している入口138から、内壁110の内面136に画成される出口140まで延在し得る。1以上の出口流路122は、ろう付継手106(及びろう材107)を冷却するため、インピンジメント面126とろう付継手106の間に延在する部分を少なくとも含むことができる。例えば、1以上の出口流路122は、U字型部分142及び直線部分144(半径方向に延在し得る)を含むことができる。U字型部分142は、半径方向外側面130に画成された入口138から直線部分144まで延在し得る。直線部分144は、軸方向にインピンジメント面126とろう付継手106との間に配置してもよく、出口流路122の直線部分144は、U字型部分142から内壁110の内面136に画成される出口140まで延在し得る。例示的な実施態様形態では、出口流路122の出口140から出る空気150で、内面136(及び/又は翼形部56)をフィルム冷却してもよい。
【0049】
ここで
図7及び
図8に示す実施形態を具体的に参照すると、1以上の出口流路122と1以上の入口流路118を交互に配置してもよい。例えば、1以上の出口流路122と1以上の入口流路118は、入口流路118を出る冷却空気150の方向Rと半径方向とによって画成される同一平面内になくてもよい。特に、1以上の出口流路122の各出口流路122を、1以上の入口流路118の2つの入口流路118の間に配置してもよい。同様に、1以上の入口流路118の各入口流路118を、1以上の出口流路122の2つの出口流路122の間に配置してもよい。換言すると、入口流路118及び出口流路122は、入口流路118を出る冷却空気150に垂直な方向152に互いに離間して配置してもよい。いくつかの実施形態では、方向152は、プレナム120を部分的に画成する上流面128と略平行である。特に、方向152は、突出部72の周囲に沿って延在してもよい。例えば、多くの実施形態では、1以上の出口流路122の各出口流路122は、1以上の入口流路118の半径方向(
図7に示す)及び突出部72の周囲に沿って延在する方向152(
図8に示す)の両方向で、各入口流路118(例えば、隣接する各入口流路118)からオフセットしていてもよい。
【0050】
図8に示すように、継手境界壁124は、インピンジメント面126から延在する1以上の突起154を含んでいてもよい。例えば、突起154は、上流面128に向かってプレナム120内に延在し得る。例示的な実施形態では、出口流路122は、継手境界壁124の突起154内に少なくとも部分的に画成し得る。特に、出口流路122の直線部分144は、継手境界壁124の突起154内に画成し得る。突起154の各々は、半円形の断面形状(又は他の適切な断面形状)を有し得る。
図7及び
図8の実施形態の利点は、インピンジメント面126及び出口流路122の直線部分144をろう付継手106の近傍に配置することができ、ろう付継手106の冷却が向上することである。
【0051】
図9に示すように、いくつかの実施形態では、冷却回路108は、隆起壁80(又は他の実施形態では内壁110内)に画成された入口158と出口160との間に延在する直接流路156を含んでいてもよい。かかる実施形態では、直接流路156は、ろう付継手106に対流冷却をもたらすため、ろう付継手106に近接して配置し得る。さらに、
図9に示すように、プラットフォーム100は、隆起壁80の半径方向内側でろう付継手106に近接した領域に、プラットフォーム100の内壁110の内面136から半径方向内側に延在する隆起出口部162をさらに含んでいてもよい。直接流路156は、隆起出口部162に少なくとも部分的に画成し得る。例えば、直接流路156の出口160は、プラットフォーム54の隆起出口部162に画成してもよい。隆起出口部162は、ろう材施工及びろう付けの際に、溶融したろう材107が直接流路156内に吸い込まれたり又は滑り込むのを防ぐという利点がある。自明であろうが、隆起出口部分162は、ろう材施工及びろう付けの際にろう材107が冷却回路108に入るのを防ぐために、
図6~
図8を参照して説明した出口流路122の1以上に組み込んでもよい。
【0052】
図10~
図12を参照すると、本開示の実施形態では、プラットフォーム52,54に画成される冷却回路108ではなく(或いはそれに加えて)、冷却回路108を翼形部56の突出部72内に画成してもよい。かかる実施形態では、ガスタービン10の運転中にろう付継手106に冷却(例えば対流冷却)をもたらすため、冷却回路108は、突出部72内にろう付継手106に近接して配置される。
図10は、冷却回路108の詳細を示すため、内側及び外側プラットフォーム52,54から分離した翼形部56の斜視図を示す。
図11は、突出部72内に画成された冷却回路108を有するステータベーン26の斜視断面図を示す。
図12は、
図11に示すステータベーン26の拡大断面図を示す。
【0053】
図に示す通り、冷却回路108は、突出部72内に画成され、入口166と出口168の間に延在する冷却通路164を含むことができる。特に、入口166を突出部72の前縁部84に画成し、出口を突出部72の後縁部86に画成してもよい。こうして、通路は、突出部の正圧側部88(及び/又は
図11に示すように負圧側部90)を通って入口166から出口168まで延在し得る。正圧側部88に沿った冷却通路164は、負圧側部90に沿った冷却通路164に対して、独自の入口166及び独自の出口168を有してもよいし、或いは正圧側部88及び負圧側部90に沿った冷却通路164が共通の入口166及び/又は共通の出口168を共有していてもよい。さらに、正圧側部分88及び負圧側部分90の各々に沿って1つの冷却通路164しか示してないが、正圧側部分88及び負圧側部分90の一方又は両方に2以上の冷却通路164を配置してもよい。
【0054】
図10~
図12は、翼形部56の先端70の突出部72内に画成される冷却通路164を示しているが、それに代えて(又は追加して)、冷却通路164を翼形部56の基部68の突出部72に用いてもよい。ろう付継手106は突出部72を外側プラットフォーム54に接合し、冷却通路164はろう付継手106に近接して突出部72を貫通しているので、冷却通路164は、好適にはガスタービン10の運転中にろう付継手106に対流冷却をもたらす。翼形部56の先端70について説明した冷却通路164の態様はすべて、翼形部56の基部68の冷却通路164にも等しく適用できる。
【0055】
図13及び
図14を参照すると、本開示の実施形態では、プラットフォーム52,54に画成される冷却回路108ではなく(或いはそれに加えて)、冷却回路108を突出部72内に画成してもよい。かかる実施形態では、ガスタービン10の運転中にろう付継手106に冷却(例えば対流冷却)をもたらすため、冷却回路108は、突出部72内にろう付継手106に近接して配置される。
図12は、冷却回路108の詳細を示すため、内側プラットフォーム52,54から分離した翼形部56の斜視図を示し、
図14は、
図13に示すステータベーンの拡大断面図を示す。
【0056】
図に示す通り、冷却回路108は、突出部72内に画成され、入口176と複数の出口178との間に延在する冷却通路174を含むことができる。特に、入口166を突出部72の前縁部84に画成し、複数の出口178を正圧側壁64又は負圧側壁66のいずれかに画成してもよい。こうして、冷却通路174は、突出部72の正圧側部88(又は負圧側部90)を通って延在する第1の部分180と、翼形部56の正圧側壁64(又は負圧側壁66)を通って延在する第2の部分182とを含むことができる。冷却通路174の第2の部分182は、略半径方向に配向し、翼形部56の前縁60よりも後縁62の近くに配置してもよい。
【0057】
図14に示すように、複数の出口178は互いに半径方向に離間し、正圧側壁64(又は負圧側壁66)を通って延在し得る。こうして、冷却通路174の第1の部分180は、ろう付継手106に対流冷却をもたらし、冷却通路174の第2の部分182は、複数の出口178から出る空気150によって正圧側壁64及び/又は負圧側壁66の一方にフィルム冷却をもたらす。
【0058】
図15~
図17を参照すると、ステータベーンは、キャップ184及びインサート186をさらに含んでいてもよい。キャップ184は、突出部72に結合させることができ、突出部72及び翼形部56によって画成されるキャビティ92を横断する。例えば、キャップ184は、キャビティ92の外部の空気に対する障壁及び/又は境界を与える。キャップは、翼形(例えば後縁なしの翼形)に成形された平板とすることができる。例えば、キャップ184は、突出部72の前縁部84に接触する前縁と、突出部72の正圧側部88に接触する正圧側と、突出部72の負圧側部90に接触する負圧側とを含むことができる。インサート186は、突出部72に結合させることができ、キャビティ92内に延在してもよい。インサートは、キャップ184と略平行に延在する第1の部分188と、キャップ184と略垂直に延在する第2の部分190とを含むことができる(例えば第2の部分190は半径方向にキャビティ92内に延在し得る)。
【0059】
例示的な実施形態では、キャップ184及びインサート186は、ステータベーン26のキャビティ92内に出口プレナム192を画成し得る。冷却回路108は、出口プレナム192と流体連通し得る。例えば、
図15~
図17に示すように、本開示の実施形態では、プラットフォーム52,54内に画成される冷却回路108ではなく(或いはそれに加えて)、冷却回路108を突出部72内に画成してもよい。かかる実施形態では、ガスタービン10の運転中にろう付継手106に冷却(例えば対流冷却)をもたらすため、冷却回路108は、突出部72内にろう付継手106に近接して配置される。
図16に示すように、冷却回路108は、入口流路194及び出口流路196を含むことができる。入口流路194は、突出部72の半径方向外側面198に画成された入口200から、ろう付継手106に向かって、出口流路196まで延在し得る。出口流路d196は、入口流路194から突出部72の内面204に画成される出口202まで延在し得る。出口202は、冷却回路108から出口プレナム192内に空気を排出することができる。
【0060】
様々な実施形態では、
図15及び
図16にまとめて示すように、突出部72は、出口プレナム192と各々流体連通した複数の冷却回路108を含んでいてもよい。例えば、各冷却回路108は、突出部72の半径方向外側面198に画成された入口200から、突出部72の内面204に画成される出口202まで延在し得る。例えば、
図15に示すように、複数の冷却回路108が、突出部72の周囲に互いに離間して(例えば、等間隔で又は非等間隔で)配置されていてもよい。特に、複数の冷却回路108の各冷却回路108の入口200は、突出部72の外周に互いに離間して配置してもよい。
【0061】
多くの実施形態では、インサート186と翼形部56の壁208(例えば正圧側壁64及び/又は負圧側壁66)との間に環状プレナム206を画成してもよい。例えば、インサート186は環状であってもよく、翼形部56の全周にわたって壁208とインサート186の間に環状プレナム206が画成される。例示的な実施形態では、環状プレナム206は、インサート孔210を介して出口プレナム192と流体接続し得る。例えば、インサート孔210は、出口プレナム192を環状プレナム206と流体接続してターボ機械の運転中に壁208を冷却するための空気を環状プレナム206に供給するため、インサート186の第2の部分190に画成することができる。
【0062】
これに代えて或いは加えて、
図17に示すように、冷却回路108は、複数の入口流路194と、プレナム195と、出口流路196とを含んでいてもよい。プレナム195とろう付継手106との間に継手境界壁211を配置してもよく、継手境界壁211のインピンジメント面212はプレナム195を部分的に画成する。各入口流路194は、突出部72の内面204に画成された入口202からプレナム195まで延在し、出口流路196は、プレナム195から内面204に画成される出口まで延在する。特に、入口流路194は、離散ジェットの空気がインピンジメント面212に衝突するように空気を導くサイズ及び配向にすることができる。空気の離散ジェットはインピンジメント面212に衝突して、空気とろう付継手106との間で熱伝達が起こるようになる。
【0063】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲と文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と非本質的な差しかない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【0064】
本発明のその他の態様を、以下の実施態様に示す。
[実施態様1]
第1の態様では、ステータベーンは、開口を画成するプラットフォームと、前縁、後縁、負圧側壁及び正圧側壁を有する翼形部であって、翼形部が半径方向に基部と先端の間に延在し、基部又は先端の少なくとも一方が突出部を含んでいて、プラットフォームが翼形部の突出部を取り囲むように突出部がプラットフォームの開口内に延在する翼形部と、プラットフォームと翼形部の突出部との間に配設されてそれらを接合するろう付継手と、ろう付継手を冷却するため突出部又はプラットフォームの少なくとも一方に画成された冷却回路とを備える。
[実施態様2]
冷却回路が、プレナムまで延在しかつ冷却剤を継手境界壁に衝突させるように構成された1以上の入口流路を備えており、継手境界壁が、ろう付継手と接触し、かつプレナムを部分的に画成する、実施態様1に記載のステータベーン。
[実施態様3]
冷却回路が、継手境界壁内に画成されかつプレナムと流体連通する1以上の出口流路をさらに備える、実施態様1又は実施態様2に記載のステータベーン。
[実施態様4]
1以上の出口流路の各出口流路が、半径方向及び突出部の周囲に沿って延在する方向の両方向で、1以上の入口流路の各入口流路からオフセットしている、実施態様1乃至実施態様3のいずれか1項に記載のステータベーン。
[実施態様5]
プラットフォームが、内壁、外壁及び内壁と外壁との間に延在する隆起壁を含んでおり、ろう付継手が、プラットフォームの隆起壁と翼形部の突出部との間に配設されてそれらを接合する、実施態様1乃至実施態様4のいずれか1項に記載のステータベーン。
[実施態様6]
1以上の入口流路、1以上の出口流路及びプレナムが、プラットフォームの隆起壁及び内壁内に画成される、実施態様1乃至実施態様5のいずれか1項に記載のステータベーン。
[実施態様7]
冷却回路が突出部内に画成される、実施態様1乃至実施態様6のいずれか1項に記載のステータベーン。
[実施態様8]
翼形部の突出部が、前縁部、後縁部、正圧側部及び負圧側部を含んでおり、冷却回路が、前縁部の入口から、後縁部、正圧側壁又は負圧側壁のいずれかに画成された出口まで延在する冷却通路を備える、実施態様1乃至実施態様7のいずれか1項に記載のステータベーン。
[実施態様9]
ステータベーンがキャビティを画成しており、インサートが突出部に結合しているとともにキャビティ内に延在しており、キャップが突出部に結合しているとともにキャビティを横断して延在する、実施態様1乃至実施態様8のいずれか1項に記載のステータベーン。
[実施態様10]
キャップ及びインサートが、ステータベーンのキャビティ内に出口プレナムを画成しており、冷却回路が出口プレナムと流体連通している、実施態様1乃至実施態様9のいずれか1項に記載のステータベーン。
[実施態様11]
環状プレナムがインサートと翼形部の壁との間に画成され、環状プレナムがインサート孔を介して出口プレナムと流体接続している、実施態様1乃至実施態様10のいずれか1項に記載のステータベーン。
[実施態様12]
別の態様では、ターボ機械は、圧縮機セクションと、燃焼セクションと、1以上のステータベーンを含むタービンセクションとを備えており、1以上のステータベーンは、開口を画成するプラットフォームと、前縁、後縁、負圧側壁及び正圧側壁を有する翼形部であって、翼形部が半径方向に基部と先端の間に延在し、基部又は先端の少なくとも一方が突出部を含んでいて、プラットフォームが翼形部の突出部を取り囲むように突出部がプラットフォームの開口内に延在する翼形部と、プラットフォームと翼形部の突出部との間に配設されてそれらを接合するろう付継手と、ろう付継手を冷却するため突出部又はプラットフォームの少なくとも一方に画成された冷却回路とを備える。
[実施態様13]
冷却回路が、プレナムまで延在しかつ冷却剤を継手境界壁に衝突させるように構成された1以上の入口流路を備えており、継手境界壁が、ろう付継手と接触し、かつプレナムを部分的に画成する、実施態様12に記載のターボ機械。
[実施態様14]
冷却回路が、継手境界壁内に画成されかつプレナムと流体連通する1以上の出口流路をさらに備える、実施態様12又は実施態様13に記載のターボ機械。
[実施態様15]
1以上の出口流路の各出口流路が、半径方向及び突出部の周囲に沿って延在する方向の両方向で、1以上の入口流路の各入口流路からオフセットしている、実施態様12乃至実施態様14のいずれか1項に記載のターボ機械。
[実施態様16]
プラットフォームが、内壁、外壁及び内壁と外壁との間に延在する隆起壁を含んでおり、ろう付継手が、プラットフォームの隆起壁と翼形部の突出部との間に配設されてそれらを接合する、実施態様12乃至実施態様15のいずれか1項に記載のターボ機械。
[実施態様17]
1以上の入口流路、1以上の出口流路及びプレナムが、プラットフォームの隆起壁及び内壁内に画成される、実施態様12乃至実施態様16のいずれか1項に記載のターボ機械。
[実施態様18]
冷却回路が突出部内に画成される、実施態様12乃至実施態様17のいずれか1項に記載のターボ機械。
[実施態様19]
翼形部の突出部が、前縁部、後縁部、正圧側部及び負圧側部を含んでおり、冷却回路が、前縁部の入口から、後縁部、正圧側壁又は負圧側壁のいずれかに画成された出口まで延在する冷却通路を備える、実施態様12乃至実施態様18のいずれか1項に記載のターボ機械。
[実施態様20]
ステータベーンがキャビティを画成しており、インサートが突出部に結合しているとともにキャビティ内に延在しており、キャップが突出部に結合しているとともにキャビティを横断して延在する、実施態様12乃至実施態様19のいずれか1項に記載のターボ機械。
【符号の説明】
【0065】
10 ガスタービン
12 圧縮機セクション
18 燃焼セクション
22 タービンセクション
26 ステータベーン
52 内側プラットフォーム
54 外側プラットフォーム
56 翼形部
60 前縁
62 後縁
64 正圧側壁
66 負圧側壁
68 基部
70 先端
72 突出部
80 隆起壁
92 キャビティ
102 プラットフォームの開口
106 ろう付継手
108 冷却回路
【外国語明細書】