(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147517
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】密度勾配を有する多結晶シリコンカーバイド基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 35/569 20060101AFI20241008BHJP
H01L 21/304 20060101ALN20241008BHJP
H01L 21/683 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
C04B35/569
H01L21/304 621B
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024054138
(22)【出願日】2024-03-28
(31)【優先権主張番号】2350378-2
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】18/614,522
(32)【優先日】2024-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】312014443
【氏名又は名称】エスティーマイクロエレクトロニクス インターナショナル エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】マグヌソン リンドグレン,ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】リーバ,カルロ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】より高い密度、より平滑な表面を有するシリコンカーバイド基板を提供する。
【解決手段】多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第1の側102と、第1の側とは反対の、多結晶SiC基板の第2の側104との間に密度勾配を有する、多結晶SiC基板。多結晶SiC基板の第1の側における第1の密度は、多結晶SiC基板の第2の側における第2の密度よりも小さい。密度勾配を有する多結晶SiC基板は、焼結プロセス、続いての焼結後プロセスによって多結晶SiCベース基板を形成することによって形成され得る。例えば、焼結後プロセスは、多結晶SiC基板の第1の側に第1の温度を適用し、第2の側に第2の温度を適用すること、及び化学蒸着(CVD)プロセスを実行して、多結晶SiCベース基板に更なるケイ素(Si)及び炭素(C)の原子を含浸させることのうちの少なくとも1つであり得る。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側と、前記第1の側と反対の第2の側と、を含む多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハと、
前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハの前記第1の側における第1の密度と、
前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハの前記第2の側における第2の密度であって、前記第2の密度は前記第1の密度よりも大きい、第2の密度と、
前記第1の側と前記第2の側との間の密度勾配であって、前記密度勾配の密度は、前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハの前記第1の側から前記第2の側に向かう密度勾配方向に増加する、密度勾配と、
を含む、デバイス。
【請求項2】
前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハは、5オングストローム(Å)未満の粗さを有する表面を前記第2の側に更に含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハの前記第2の側における抵抗率は、20ミリオームセンチメートル(mohm-cm)以下である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハの前記第2の側における抵抗率は、20ミリオームセンチメートル(mohm-cm)未満である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハの前記第1の側から前記第2の側まで延在する厚さを更に含み、前記厚さは、800マイクロメートル(μm)以下である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハの前記第2の側に結合された、単結晶シリコンカーバイド(SiC)層を更に含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハは、前記第1の側から前記第2の側まで延在する第1の厚さを有し、
前記単結晶シリコンカーバイド(SiC)層は、
前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハの反対側に面する表面と、
前記第2の側から前記単結晶シリコンカーバイド(SiC)層の表面まで延在する第2の厚さであって、前記第2の厚さは前記第1の厚さよりも薄い、第2の厚さと、を含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第2の厚さは1マイクロメートル(μm)以下である、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1の厚さは800マイクロメートル(μm)以下である、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板を形成することと、
前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板を形成した後に、多結晶シリコンカーバイドベース基板の第1の側から、前記第1の側と反対の第2の側に向かう物質輸送方向に方向付けられた物質輸送を誘導することによって、前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の前記第1の側と、前記第1の側と反対の、前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の前記第2の側との間に密度勾配を生成することであって、前記物質輸送を誘導することは、
前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の前記第1の側から離れるように物質を輸送する第1の温度に、前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の前記第1の側を曝露することと、
前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の前記第2の側に向かって物質を輸送する第2の温度に、前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の前記第2の側を曝露することと、を含み、前記第2の温度は前記第1の温度よりも低い、密度勾配を生成することと、
前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板を冷却して、前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の前記第1の側における第1の密度と、前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の前記第2の側における、前記第1の密度よりも大きい第2の密度と、前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の前記第1の側と前記第2の側との間の前記密度勾配と、を生成することと
を含む、方法。
【請求項11】
前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板を形成することは、
シリコンカーバイド(SiC)粉末、並びに
ケイ素(Si)及び炭素(C)の粉末混合物
のうちの少なくとも1つを焼結することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の温度は摂氏2000度以上である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の温度は摂氏2000度以下である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の温度は摂氏2000度に等しく、前記第2の温度は摂氏2100度以上である、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
単結晶シリコンカーバイド(SiC)基板を前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)ベース基板の前記第2の側に結合させることを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記密度勾配は、前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の前記第1の側から前記第2の側に向かう前記物質輸送方向に増加する、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第1の側と、前記第1の側と反対の、前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第2の側との間に密度勾配を生成することを含み、前記第1の側と前記第2の側との間に前記密度勾配を生成することは、
前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の前記第2の側を化学蒸着プロセスに曝露して、前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の前記第2の側にケイ素(Si)及び炭素(C)を含浸させることを含む、方法。
【請求項18】
単結晶シリコンカーバイド(SiC)基板を前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の前記第2の側に結合させることを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の前記第1の側と前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の前記第2の側との間に前記密度勾配を生成する前に、
シリコンカーバイド(SiC)粉末、並びに
ケイ素(Si)及び炭素(C)の粉末混合物
のうちの少なくとも1つを焼結することによって、前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板を形成することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記密度勾配は、前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の前記第1の側から離れて前記多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の前記第2の側に向かう密度勾配方向に増加する、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、第1の側における第1の密度と、第1の側と反対の第2の側における第2の密度と、第2の側から第1の側に向かって増加する密度勾配と、を含む多結晶シリコンカーバイド(polycrystalline silicon carbide、SiC)ベース基板又はウェハに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業は、シリコンカーバイド(SiC)、特に電子デバイス又は電子部品(例えば、ダイオード、トランジスタ、又は他の同様の電力用途)の製造用SiCに相当な関心を示している。
【0003】
シリコンカーバイドベースの電子デバイスの開発及び製造は、シリコンカーバイドウェハの形成による電気的特性及び機械的特性などの要因による制限を受ける。多くのシリコンカーバイドウェハは、ウェハの全長、幅、及び厚さにわたって均一の(例えば、同じ又は実質的に同じ)密度を有する。
【0004】
シリコンカーバイドウェハの表面は、シリコンカーバイドウェハ上で更なる層を結合又は形成する前に、表面が平坦かつ平滑になるように平坦化され、研磨され得る。例えば、より高い密度を有するシリコンカーバイドウェハの場合、より小さいボイドが存在し、潜在的にはより少ないボイドが存在し、その結果、より平滑な表面が得られる。しかしながら、より高密度のウェハは、密度を増加させるためにより多くの材料を使用しており、このことは製造コストを増加させる。しかしながら、より高い密度は、後の製造工程に利益をもたらす。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、第1の側と第2の側との間に密度勾配を有する、多結晶SiCウェハであり得るシリコンカーバイド(SiC)ウェハの実施形態を提供することを対象とする。SiCウェハは、焼結プロセス、続いての密度勾配を形成するための温度処理を使用して形成され得る。あるいは、焼結プロセスを化学蒸着と組み合わせて、密度勾配を形成することができる。
【0006】
少なくとも1つの実施形態は、第1の側と、第1の側と反対の第2の側と、を有する多結晶SiCウェハ又は基板を含む。第1の密度は、多結晶シリコンカーバイド(SiC)材料の第1の側における密度である。第2の密度は、多結晶シリコンカーバイド(SiC)材料の第2の側における密度であり、第2の密度は第1の密度よりも大きい。密度勾配は、第1の側と第2の側との間に存在する。密度勾配の密度は、多結晶SiCウェハの第1の側から第2の側に向かう密度勾配方向に増加し得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
実施形態をより良く理解するために、ここで、例として添付の図面を参照する。図面において、同一の参照番号は、文脈上他を意味しない限り、同一又は類似の要素又は動作を特定する。図面中の要素のサイズ及び相対的比率は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。例えば、これらの要素の一部は、図面の読みやすさを改善するために拡大され、位置付けられ得る。
【
図1A】密度勾配を有する多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の一実施形態の側面斜視図である。
【
図1B】
図1Aの多結晶SiC基板の実施形態の断面1B-1Bの拡大図である。
【
図1C】
図1Aの多結晶SiC基板の実施形態の断面1C-1Cの拡大図である。
【
図1D】
図1Aの多結晶SiC基板の実施形態の断面1D-1Dの拡大図である。
【
図2A】単結晶層を含む、
図1A~
図1Dに示す多結晶SiC基板の実施形態の側面斜視図である。
【
図2B】
図1A~
図1Dに示す多結晶SiC基板の実施形態の表面に単結晶層が結合される位置における、
図2Aに示す断面2B-2Bの拡大図である。
【
図3】
図1A~
図1Dに示す多結晶SiC基板の実施形態を製造する方法のフロー図である。
【
図4A】
図1A~
図1Dにおいて製造するための、
図3に示す製造方法の実施形態の少なくとも一部のそれぞれのステップの側面図である。
【
図4B】
図1A~
図1Dにおいて製造するための、
図3に示す製造方法の実施形態の少なくとも一部のそれぞれのステップの側面図である。
【
図5】
図2A及び
図2Bの多結晶SiC基板の実施形態の上に単結晶層を製造する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、デバイス、方法、及び物品の様々な実施形態の完全な理解をもたらすために、特定の詳細が記載されている。しかしながら当業者は、他の実施形態がこれらの詳細を伴わずに実践され得ることを理解されよう。他の例では、実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるために、例えば、シリコンカーバイド基板又は層(例えば、多結晶シリコンカーバイド、単結晶シリコンカーバイドなど)、半導体製造プロセスなどに関連する周知の構造及び方法は、一部の図において詳細に示されていないか、又は説明されていない。
【0009】
文脈上他の意味に要求されない限り、以下の明細書及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という語及びその変形、例えば「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」は、オープンで包括的な意味で、すなわち「含むが、限定されない」と解釈されるべきである。
【0010】
本明細書を通して「1つの実施形態」又は「一実施形態」に言及することは、実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における「1つの実施形態では」又は「一実施形態では」という句の出現は、必ずしも同じ実施形態又は全ての実施形態を指すわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、更なる実施形態を得るために、1つ以上の実施形態で任意の好適な方法で組み合わされ得る。
【0011】
見出しは便宜上のためだけに設けられており、本開示又は特許請求の範囲の範囲又は意味を解釈するものではない。
【0012】
図面中の要素のサイズ及び相対的な位置は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。例えば、様々な要素の形状及び角度は、一定の縮尺で描かれていないことがあり、これらの要素の一部は、図面の読みやすさを改善するために拡大され、位置付けられていることがある。
【0013】
「横方向である」の使用は、表面、側壁、又は類似若しくは同様の構造若しくは特徴が、別のそれぞれの表面、側壁、又は類似若しくは同様のそれぞれの構造若しくは特徴に対してある角度にあることを意味する。例えば、第1の表面が第1の側壁に対して横方向である場合、第1の表面は、25度、35度、45度、75度、90度、120度などに等しい角度であり得る。
【0014】
概して、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板、ウェハ、又は層は、様々な電子デバイス及び電子部品(例えば、半導体ダイ、半導体パッケージ、半導体トランジスタなど)内で利用されてきた。これらの多結晶SiC基板は、多結晶SiC基板を通過する電気経路に沿って存在する抵抗をもたらす抵抗率を有する。この抵抗は、電気信号が電気経路を通過する際に電気信号を妨げるものであり、オン抵抗(Ron)として知られている。多結晶SiC基板のこのオン抵抗(Ron)は、多結晶SiC基板から作製される電子デバイスの効率特性又は電気特性を制限する。例えば、オン抵抗(Ron)が高い場合、電気信号は、多結晶SiC基板を完全に通過してその目的地に到達することを妨げられることがあり、その結果、電子デバイス又は電子部品内で機能エラーが生じる。
【0015】
多結晶SiC基板が形成されるにつれて、密度は、ボイドの形成に影響を与えるか、又は後続の層若しくはデバイスが形成される表面の粗さに別様に影響を及ぼす。本開示は、より安価であり、より少ないボイドをもたらす、平坦な表面を備えた多結晶SiC基板を製造することを対象とする。これは、最初に焼結プロセスを利用して形成され、より大きなボイドが粒子間に存在する、従来の多結晶SiC基板とは対照的である。これらのボイドは、平坦化され、研磨される(すなわち、平らにされる)従来の多結晶SiC基板の表面に、又はそれに隣接して存在し得る。平坦化され、研磨される前の従来の多結晶SiC基板の表面は、異なる粒径及び結晶構造に一部起因して、比較的粗く、平坦ではないことがある。
【0016】
平坦化され、研磨された後の従来の多結晶SiC基板の表面は、平坦であり(すなわち、水平であり)、平滑である(すなわち、研磨されている)。しかしながら、この平坦化及び研磨プロセス中に、従来の多結晶SiC基板の表面に、又はそれに隣接して存在するボイドは、窪み又は凹部を形成する。表面が平坦化され、研磨された後に、概して別の層が従来の多結晶SiC基板の表面に形成される。窪み及び凹部を有する、従来の多結晶SiC基板の表面にこの層が形成されると、層と表面との間に欠陥ボイドが形成される。これらの欠陥ボイドは、上述したように、オン抵抗(Ron)を増加させ、この層及び従来の多結晶SiC基板を含む半導体パッケージ又はデバイスを効率許容範囲内で動作させないことがある。
【0017】
低密度を有するように従来の多結晶SiC基板を製造することにより、コストを低減することができる。しかしながら、低密度は、欠陥ボイドの数が多いために比較的粗い表面を形成する。この結果、低密度多結晶SiC基板の表面を研磨し、平坦化した後であっても、リッジ及び隆起領域が依然として残る。
【0018】
本開示は、基板の第1の表面における第1の密度が、第1の表面の反対側の基板の第2の表面における第2の密度よりも小さくなるような密度勾配を有する多結晶SiC基板の1つ以上の実施形態を対象とする。第2の表面における第2の密度は、第2の表面がより効果的に研磨され、平坦化されて、第2の表面に後で形成される材料(例えば、半導体材料、シリコン材料など)の層間の接合強度を増加させることを可能にし得る。一方それと同時に、密度勾配を有する多結晶SiC基板の製造コストは、従来の高密度多結晶SiCを製造する場合と比較して、製造コスト全体で低減される。換言すると、密度勾配を有する多結晶SiC基板は、従来の低密度多結晶SiC基板よりも平坦で、かつ粗さが小さく、従来の高密度多結晶SiC基板よりも安価な表面を有するように製造されるという利点を有する。
【0019】
本開示のデバイスの少なくとも1つの実施形態は、以下のように要約される。本デバイスは、第1の側と、第1の側と反対の第2の側と、を含む多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハを含む。第1の密度は、多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハの第1の側における密度であり、第2の密度は、多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハの第2の側における密度である。第2の密度は第1の密度よりも大きい。密度勾配は、第1の側と第2の側との間に存在し、この密度勾配の密度は、多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハの第1の側から第2の側に向かう密度勾配方向に増加する。
【0020】
本開示の方法の少なくとも1つの実施形態は、以下のように要約される。本方法は、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板を形成することを含む。多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板を形成した後に、多結晶シリコンカーバイドベース基板の第1の側から、第1の側と反対の第2の側に向かう物質輸送方向(マストランスポート方向)に方向付けられた物質輸送を誘導することによって、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第1の側と、第1の側と反対の、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第2の側との間に密度勾配を生成すること。物質輸送を誘導することは、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第1の側から物質が離れるように輸送する第1の温度に、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第1の側を曝露することと、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第2の側に向かって物質を輸送する第2の温度に、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第2の側を曝露することと、を含み、第2の温度は第1の温度より低い。多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板を冷却して、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第1の側における第1の密度と、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第2の側における、第1の密度よりも大きい第2の密度と、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第1の側と第2の側との間の密度勾配と、を生成すること。
【0021】
本開示の方法の少なくとも1つの実施形態は、以下のように要約される。本方法は、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第1の側と、第1の側と反対の、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第2の側との間に密度勾配を生成することを含む。第1の側と第2の側との間に密度勾配を生成することは、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第2の側を化学蒸着プロセスに曝露して、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第2の側にケイ素(Si)及び炭素(C)を含浸させることを含む。
【0022】
図1Aは、密度勾配を有する多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板100の側面斜視図を対象とし、これは、本明細書では以下のように基板100と称されることがある。基板100はウェハであり得、
図1Aに示すように円筒形であり得る。
【0023】
基板100は、第1の表面102と、第1の表面102の反対である第2の表面104と、を含む。第1の側壁106は、第1の表面102及び第2の表面104に対して横方向であり、第1の表面102から第2の表面104まで延在する。第2の表面104は、5オングストローム(Å)以下の粗さを有し、第2の表面104が平坦である(すなわち、研磨され、平滑であり、平坦化され、水平である)ように水平である。第1の表面102は、
図1Aに示す基板100の向きに基づいて、後面、背面、底面、又は下面であり得、第2の表面104は、
図1Aに示す基板100の向きに基づいて、前面、頂面、又は上面であり得る。
【0024】
基板100の第1の密度は第1の表面102における密度であり、基板100の第2の密度は第2の表面104における密度である。基板100の第1の密度は、基板100の第2の密度とは異なる。例えば、第1の密度は、第2の密度よりも小さい。密度勾配を有する基板100は、第1の表面102から離れて第2の表面104に向かう方向に方向付けられた矢印108によって表される密度勾配方向を含む。基板100の密度勾配は、第1の表面102と第2の表面104との間の基板100に沿って、密度勾配方向108に増加する。密度勾配は、第1の表面102における第1の密度が密度勾配の最低密度であり、第2の表面104における第2の密度が密度勾配の最高密度であるように、密度勾配方向108に増加する。少なくとも1つの実施形態では、第1の密度は、2.75~3.05グラム/立方センチメートル(すなわち、2.75~3.05g/cm3)の範囲内であるか、又はこの範囲の上端及び下端に等しい(すなわち、2.75g/cm3に等しいか、又は3.05g/cm3に等しい)。少なくとも1つの実施形態では、第2の密度は、3.05~3.20グラム/立方センチメートル(すなわち、3.05~3.20g/cm3)の範囲内であるか、又はこの範囲の上端及び下端に等しい(すなわち、3.05g/cm3に等しいか、又は3.20g/cm3に等しい)。いくつかの実施形態では、第2の密度は、3.10~3.20グラム/立方センチメートル(すなわち、3.10~3.20g/cm3)の範囲であってよいか、又はこの範囲の上端及び下端に等しくてよい(すなわち、3.10g/cm3に等しくてよいか、又は3.20g/cm3に等しくてよい)。いくつかの実施形態では、第2の密度は、3.10~3.26グラム/立方センチメートル(すなわち、3.10g/cm3~3.26g/cm3)の範囲であってよいか、又はこの範囲の上端及び下端に等しくてよい(すなわち、3.10g/cm3に等しくてよいか、又は3.26g/cm3に等しくてよい)。
【0025】
いくつかの実施形態では、基板100の第1の表面102における第1の密度は、2.5~3.0g/cm3の範囲内であってよく、第2の表面における第2の密度は、3.0~3.3g/cm3の範囲内であってよい。いくつかの実施形態では、基板100の第2の表面104における第2の密度は、3.2~3.3g/cm3の範囲内であってよい。基板100の第1の表面102に、又はそれにごく近接して存在するボイドの割合は、20%~25%の範囲であるか、又はこの範囲の上端及び下端に等しくてよい。基板100の第2の表面104に、又はそれにごく近接して存在するボイドの割合は、2%~0.5%の範囲であるか、又はこの範囲の上限及び下限に等しくてよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、基板100の第1の表面102における第1の密度から第2の表面104へと密度が増加するにつれて、密度は直線的に増加する。
【0027】
基板100は、第1の厚さ110を含む。第1の厚さ110は、200マイクロメートル(μm)~1.2ミリメートル(mm)の範囲内であってよいか、又はこの範囲の上端及び下端に等しくてよい(すなわち、200マイクロメートル(μm)に等しいか、又は1.2ミリメートル(mm)に等しくてよい)。いくつかの実施形態では、第1の厚さ110は、1.2ミリメートル(mm)よりも大きくてよいか、又は200マイクロメートル(μm)よりも小さくてよい。いくつかの実施形態では、第1の厚さ110は、1ミリメートル(mm)に実質的に等しくてよい。
【0028】
基板102の第1の表面102における、又は第1の表面102にごく近接する(例えば、第1の密度を有する領域内の)それぞれの粒子は、1マイクロメートル(μm)~20マイクロメートル(μm)の範囲のサイズ、又はこの範囲の上端及び下端に等しいサイズを有してよい。基板100の第2の表面104における、又は第2の表面104にごく近接する(例えば、第2の密度を有する領域内の)それぞれの粒子は、10マイクロメートル(μm)~30マイクロメートル(μm)の範囲のサイズ、又はこの範囲の上端及び下端に等しいサイズを有してよい。第1の表面102と第2の表面104との中間点におけるそれぞれの粒子は、5マイクロメートル(μm)~25マイクロメートル(μm)の範囲のサイズ、又はこの範囲の上端及び下端に等しいサイズを有してよい。基板100の第1の表面102における、又は1の表面102にごく近接するそれぞれの粒界は、1マイクロメートル(μm)~20マイクロメートル(μm)の範囲のサイズ、又はこの範囲の上端及び下端に等しいサイズを有してよい。基板100の第2の表面104における、又は第2の表面104にごく近接するそれぞれの粒子は、10マイクロメートル(μm)~30マイクロメートル(μm)の範囲のサイズ、又はこの範囲の上端及び下端に等しいサイズを有してよい。基板100の第1の表面102における、又は第1の表面102にごく近接する(例えば、第1の密度を有する領域内の)それぞれのボイドは、5マイクロメートル(μm)~50マイクロメートル(μm)の範囲であってよいか、又はこの範囲の上端及び下端に等しくてよく、好ましくは、基板100の第1の表面102における、又は第1の表面102にごく近接する(例えば、第1の密度を有する領域内の)それぞれのボイドは、25マイクロメートル(μm)~40マイクロメートル(μm)の範囲であってよいか、又はこの好ましい範囲の上端及び下端に等しくてよい。基板100の第2の表面104における、又は第2の表面104にごく近接するそれぞれのボイドは、5マイクロメートル(μm)以下のサイズを有してよい。基板100の第1の表面102における、又は第1の表面102にごく近接するそれぞれのボイドは、10マイクロメートル(μm)以下のサイズを有してよい。
【0029】
図1Bは、
図1Aにおいて囲まれた断面1B-1Bの拡大図である。基板100の第1の部分112が
図1Bに示されており、これは、基板100の第2の表面104にごく近接している。したがって、基板100の第1の部分112は、第1の表面102における第1の密度よりも大きく、第2の表面104における第2の密度よりも小さい、それぞれの密度を有する。
図1Bに示す基板100の第1の部分112は、第1の表面102と第2の表面104との間にあるので、第1の部分112のそれぞれの密度は、第1の部分112よりも第2の表面104に近い、基板100のそれぞれの部分のそれぞれの密度よりも小さく、第1の部分112よりも第1の表面102に近い、基板100のそれぞれの部分のそれぞれの密度よりも大きい。換言すると、第1の部分112は、第1の表面102よりも第2の表面104に近い。
【0030】
密度は、第2の表面104における、基板100の第2の密度よりもわずかに低いので、基板100の第1の部分112においては、基板100の粒子116間に非常に小さいか、又は非常に少ないボイド114が存在する。ボイド114は非常に小さいか、又は数が少ないので、基板100の第1の部分112は、第1の部分112が基板100の第2の表面104にごく近接しているために比較的高い密度を有する。ボイド114は、粒子116のうちの隣接する粒子間に存在し得、ボイド114のうちの少なくとも一部は、基板100の粒子116間の粒界118に沿って存在し得る。
【0031】
図1Cは、
図1Aにおいて囲まれた断面1C-1Cの拡大図である。基板100の第2の部分120が
図1Cに示されており、これは、基板100の第1の表面102にごく近接している。したがって、基板の第2の部分112は、第1の表面における第1の密度よりも大きく、第2の表面104における第2の密度よりも小さい、それぞれの密度を有する。
図1Cに示す基板100の第2の部分は、第1の表面102と第2の表面104との間にあるので、第2の部分120のそれぞれの密度は、第2の部分よりも第2の表面104に近い、基板100のそれぞれの部分のそれぞれの密度よりも小さく、基板100の第1の部分102により近い、基板100のそれぞれの部分のそれぞれの密度よりも大きい。換言すると、第2の部分120は、第2の表面104よりも第1の表面102に近い。
【0032】
図1B及び
図1Cの実施形態に示すように、
図1Bに示す第2の部分120内の粒子116間に、粒界118に沿って存在するそれぞれのボイド114は、第1の部分112内で粒子116間に、粒界118に沿って存在するそれぞれのボイド114よりも大きい。第2の部分120内のそれぞれのボイド114が第1の部分112内のそれぞれのボイドよりも大きいことは、第2の部分120が第1の部分112のそれぞれの密度よりも小さい、それぞれの密度を有することを意味する。
【0033】
基板100のいくつかの実施形態では、第1の部分112に存在するそれぞれのボイド114の第1の数は、第2の部分120におけるそれぞれのボイド114の第2の数よりも少なくてよい。それぞれのボイド114は、第2の部分120において、第1の部分112内に存在する、これらのそれぞれのボイド114と比較して、概して大きく、数が多いので、基板100の第1の部分112は、基板100の第2の部分120のそれぞれの密度よりも大きい、それぞれの密度を有する。
【0034】
図1Dは、
図1Aに示す多結晶SiC基板100の実施形態の断面1D-1Dの拡大図である。
図1Dに示すように、第2の表面104は、第2の表面104に沿って存在する、わずかな窪み122を含む。ボイド114は、第2の表面104が平坦化され、研磨された後に、第2の表面104にわずかな窪み122を生じさせ得る。第2の表面104の平坦化及び研磨の詳細は、本明細書において後で詳述する。しかしながら、これらのわずかな窪み122は、従来の低密度多結晶SiC基板の類似又は同様の表面が平坦化され、研磨された場合の窪みと比較して、はるかに小さい。例えば、従来の低密度多結晶SiC基板の類似又は同様の表面が平坦化され、研磨される場合、それぞれの窪みがはるかに大きくなり、したがって、より大きいリッジ及び隆起部分が従来の低密度多結晶SiC基板の類似又は同様の表面に存在するであろう。換言すると、平坦化され、研磨された、基板100の第2の表面104の窪み122は、従来の高密度多結晶SiC基板の平坦化され、研磨された、類似又は同様の表面に存在した窪みにより類似するか、又は同様であり、一方それと同時に、基板100は、従来の高密度多結晶SiC基板と比較してより安価に製造される。換言すると、基板100は、従来の低密度多結晶SiC基板を製造するよりも低コストであり、かつ従来の高密度多結晶SiC基板よりも良好な表面仕上げである。
【0035】
図2Aは、基板100の第2の表面104の実施形態に結合され、その上に存在する単結晶層124の斜視側面図である。単結晶層124は、シリコンカーバイド(SiC)であり得る。単結晶層124は、単結晶層124と基板100との間である結合領域又は接合領域128において、基板100の第2の表面104に結合されるか、又は接合される。単結晶層124は、基板100の第2の表面104の反対方向に面し、かつ基板100の反対方向に面する表面128を有する。単結晶層124は、基板100の第2の表面104から単結晶層124の表面128まで延在する第2の厚さ130を有する。基板100の第2の表面104は、単結晶層124で覆われており、単結晶層124は、第2の側壁132を含み、第2の側壁132は、表面128及び第2の表面104に対して横方向であり、第2の表面104から表面128まで延在し、基板100の第1の側壁106と同一平面上にある。
【0036】
第2の厚さ130は、1マイクロメートル(μm)以下であり得る。いくつかの実施形態では、第2の厚さ130は、1マイクロメートル(μm)よりも大きくてよい。
【0037】
図2Bは、
図2Aにおいて囲まれた断面2B-2Bの拡大図である。
図2Bに示すように、接合領域において、1つ以上のキャビティ134が単結晶層124と基板100との間に存在する。1つ以上のキャビティ134は、単結晶層124が基板100の第2の表面104に形成、結合、又は接合されるとき、基板100の第2の表面104において窪み122が存在するために、第2の表面104と単結晶層124との間に存在する。いくつかの実施形態では、1つ以上のキャビティ134が全く存在しないことがある。これは、窪み122が全く存在し得ないか、又は窪み122が十分に小さいので、単結晶層124が基板100の第2の表面104に形成、結合、若しくは接合されるときに、基板100の第2の表面104において小さい窪み122を充填するためである。
【0038】
平坦化及び研磨後の基板100の第2の表面104における小さな窪み122に起因して1つ以上のキャビティ134が存在する場合であっても、1つ以上のキャビティ134は、基板100及び単結晶層124を通過するそれぞれの電気信号のインピーダンスに対して、1つ以上のキャビティ134がほとんど影響を及ぼさないように十分に小さい。平坦化及び研磨後の基板100の第2の表面104における小さな窪み122に起因して1つ以上のキャビティ134が存在する場合であっても、基板100及び単結晶層124を通過するそれぞれの電気信号のインピーダンスに対して、1つ以上のキャビティがほとんど影響を及ぼさないように、ごく少数の1つ以上のキャビティが存在し得る。
【0039】
図5は、
図1A~
図1Dに示す基板100の実施形態を製造する方法のフロー
図200である。フロー
図200は、第1のステップ202と、第2のステップ204と、第3のステップ206と、を含む。
【0040】
第1のステップ202において、ベース基板208と称され得る多結晶シリコンカーバイド(SiC)ベース基板208を形成する。例えば、ベース基板208は、炉を利用して、ベース基板208を形成する粉末ケイ素(Si)と粉末炭素(C)との混合物を一緒に焼結することによって、又は炉を利用して、ベース基板208を形成する粉末シリコンカーバイド(SiC)を一緒に焼結することによって形成され得る。換言すると、ベース基板208は、シリコンカーバイド(SiC)基板形成産業内で既知の焼結プロセスを利用して形成され得る。形成後、ベース基板208は、第1の表面102に対応する第1の表面210と、第1の表面210の反対側の第2の表面104に対応する第2の表面212と、を含む。ベース基板208は、第1の表面210から第2の表面212まで延在し、第1の表面210及び第2の表面212に対して横方向の側壁214を含む。
【0041】
ベース基板208を形成する第1のステップ202の後に、ベース基板208内に密度勾配を形成するか、又は生成する第2のステップ204を実行する。密度勾配は、第1の温度214を第1の表面210に適用し、第2の温度216を第2の表面212に適用することによって、ベース基板208内に形成されるか、又は生成される。第1の温度214は、第2の温度216とは異なる。例えば、第1の温度214は、第2の温度216よりも高い。第1の温度214は摂氏2000度以上であり得、第2の温度216は摂氏2000度以下であり得る。いくつかの実施形態では、第1の温度214は摂氏2200度以上であり得、第2の温度216は摂氏2000度以下であり得る。第1の温度214を第1の表面210に適用すること、及び第2の温度216を第2の表面212に適用することが同時に生じ、その結果、ベース基板の原子及び粒子が、矢印218によって表される物質輸送方向に移動されるか、又は輸送される。物質輸送方向218は、第1の表面から離れ、第2の表面212に向かうように方向付けられる。原子及び粒子が物質輸送方向218に移動するにつれて、第1の表面210における第1の密度は減少し、第2の表面212における第2の密度が増加する。換言すると、第2の表面212における第2の密度が、第1の表面210における第1の密度よりも大きくなる。一定期間にわたって第1の温度214が第1の表面210に適用され、第2の温度216が第2の表面212に適用された後に、ベース基板208を冷却する。ベース基板208が、第1の温度214及び第2の温度216によるこれまでの加熱から冷却されると、ベース基板208の第1の表面210における第1の密度、第2の表面212における第2の密度、及び第1の表面210と第2の表面212との間の密度勾配が固定される。ベース基板208を一定期間冷却した後、ベース基板208は、物質輸送方向218に基板に沿って増加する勾配密度を有し、第2の表面212における第2の密度がベース基板208の最大密度であり、第1の表面210における第1の密度がベース基板208の最小密度である。第1の表面210と第2の表面212との間の基板の密度は、第1の表面210における第1の密度よりも大きく、第2の表面212における第2の密度よりも小さい、中間密度である。
【0042】
代替の実施形態では、第1の表面210と第2の表面212との間のベース基板208内の密度勾配は、第1の温度214を第1の表面210に適用し、第2の温度216を第2の表面212に適用する代わりに、化学蒸着(CVD)プロセスを利用して形成され得る。第1の温度214及び第2の温度216をベース基板208に適用する代わりにCVDプロセスが利用される場合、追加のシリコンカーバイド(SiC)又はケイ素(Si)及び炭素(C)の粒子又は原子がベース基板の第2の表面212に導入され、追加のSiC又はSi及びCの粒子及び原子が第2の表面212においてベース基板208に含浸して、ベース基板208内に密度勾配が形成され、第2の表面212における第2の密度は第1の表面210における第1の密度よりも大きく、第1の表面210と第2の表面212との間の中間密度は第1の密度よりも大きく、第2の密度よりも小さい。CVDプロセスが利用される場合、追加のSiC又はSi及びCの粒子及び原子は、ベース基板208に含浸し、それぞれ、第2の表面において、又は第1の表面210から第2の表面212まで延在するベース基板の第3の厚さ220よりも小さい、ベース基板内の深さにおいて、ボイド114を充填することができる。ベース基板208の第3の厚さ220は、基板100の第1の厚さ110より大きくてよい。
【0043】
上記を考慮して、少なくとも1つの実施形態では、CVDプロセスを実行するときに、多孔質である多結晶SiC基板を炉内に配置する。水素ガス流を炉に導入する。水素ガス流中で、シラン及びエテンを水素ガス流に導入する。あるいは、炭素源としてプロパンを水素流に導入し得る。換言すると、炭素及びケイ素が水素ガス流内に存在するように、いくらかの炭素源及びいくらかのケイ素源を水素ガス流に導入する。シラン及びエテンを水素ガス流に導入することによって、遊離ケイ素及び遊離炭素が形成される。次いで、これらの遊離ケイ素及び遊離炭素が、シリコンカーバイドとして多孔質基板に堆積する。遊離ケイ素及び遊離炭素が多孔質基板に堆積している間、炉は実質的に摂氏1600度に等しい温度である。これにより、遊離ケイ素及び遊離炭素がシリコンカーバイド(SiC)として多孔質基板に堆積する。更に、基板が多孔質である(すなわち、7%~23%の範囲の気孔率、又はこの範囲の上端及び下端に等しい気孔率を有する)ので、多孔質基板に堆積するシリコンカーバイド(SiC)は、実際に多孔質基板に含浸し、ベース基板208の第2の表面212において、又は第2の表面212にごく近接して多孔質基板内のボイドを充填する。これによりベース基板208にシリコンカーバイドが含浸して、ベース基板208の第1の表面210と第2の表面212との間に密度勾配が形成される。
【0044】
ベース基板208全体にわたって密度勾配を形成し、生成する第2のステップ204の後に、第3のステップ206が実行する。ここでは、回転してベース基板208の第2の表面212を平坦化し、研磨する化学機械平坦化ツールであり得る平坦化研磨ツール222によって、ベース基板208の第2の表面212が平坦化され(すなわち、水平化され)、研磨される(すなわち、平滑化される)。第2の表面212が平坦化研磨ツール222によって平坦化され、研磨された後に、多結晶SiC基板100が製造される。第2の表面212は、5オングストローム(Å)以下の粗さを有するように研磨され得、それにより、第2の表面212は、本明細書で前述した第2の表面104と同一又は類似になる。
【0045】
図4Aに示す第3のステップ206中に、第2の表面212は、平坦化研磨ツール222によってより容易に平坦化され、効果的に研磨され得る。これは、密度勾配がベース基板内で形成される、第2のステップ204での高密度化プロセスに起因して、第2の表面212において、第2の表面212に隣接して、又は第2の表面212にごく近接してより少数のボイド114が存在し、したがって、第2の表面212における第2の密度(例えば、高密度)が、第1の表面210における第1の密度(例えば、低密度)よりも大きいためである。換言すると、平坦化研磨ツール222による平坦化及び研磨後に第2の表面212に存在する窪み122のいずれかが存在する場合、窪み122は、第2の表面212が20オングストローム(Å)以下の粗さを有するように小さい。いくつかの実施形態では、窪みは、第2の表面212が5オングストローム(Å)以下の粗さを有するように小さい。
【0046】
図4Bに示す第3のステップ206後に、ベース基板208は、
図1A~
図1Cに示す基板100へと変えられている。換言すると、フロー
図200の製造方法の完了後に、基板100が製造される。
【0047】
フロー
図200の製造方法を利用することは、従来の多結晶SiC基板の全体が高密度である、従来の多結晶SiC基板を製造することよりも安価である。これは、基板100の製造と比較して、従来の多結晶SiC基板の全体が高密度である、従来の多結晶SiC基板を製造するためには、より多量の材料が必要とされるためである。また、フロー
図200の製造方法を利用することは、従来の高密度多結晶SiC基板を製造することよりも安価である。これは、従来の高密度多結晶SiC基板を形成するために次に利用される、従来のベース基板の全体が高密度である、従来のベース基板を形成するよりも、ベース基板208を一緒に焼結するためにより少ないエネルギーが必要とされ得るためである。
【0048】
フロー
図200の製造方法を利用して基板100を製造することは、従来の高密度多結晶SiC基板を製造することよりも安価であるが、ベース基板208の第2の表面212における第2の密度が高く、従来の高密度多結晶SiC基板の高密度と同様であることにより、ベース基板208の第2の表面212を効果的かつ一貫して平坦化し、研磨して、窪み122のサイズを低減すること、平坦化及び研磨後に存在する窪み122の数を低減すること、又は窪み122が全く存在しないようにすることが可能になる。
【0049】
上記の説明を考慮すると、基板100の製造方法は、全体が高密度である、従来の高密度多結晶SiC基板を製造するよりも安価であり、更に、従来の高密度多結晶SiC基板のそれぞれの表面が平坦化され、研磨される場合と同様に、第2の表面212が効果的かつ一貫して平坦化され、研磨されることを依然として可能にする。
【0050】
本明細書に記載のプロセスを利用して基板100が製造された後、基板100は、半導体パッケージ、半導体ダイス、又は何らかの他の同様の電子部品若しくは半導体部品など電子部品を形成する際に利用され得る。例えば、基板100の製造後に、基板100は更に精製されるか、又は処理されて(例えば、個片化、裏面研削など)電子部品を形成し得る。あるいは、例えば、基板100の第2の表面104に(例えば、単結晶層124上に)1つ以上の追加層が形成され得るか、半導体構造が形成され得るか、又は半導体構造が結合され得る。例えば、少なくとも1つの実施形態では、単結晶層124は、第2の表面104に形成される(これについては、本明細書において以下のように
図5に関してより詳細に説明する)。
【0051】
図5は、基板100の第2の表面104に単結晶層124を製造する方法のフロー
図300である。
図5に示すように、基板100を製造する方法の、フロー
図200の第1のステップ202、第2のステップ204、及び第3のステップ206を、本明細書で前述したように実行する。基板100の形成後に、単結晶層124を基板100の第2の表面104に形成するか、結合するか、又は接合する、第4のステップ302を実行する。例えば、単結晶層124は、基板100の第2の表面104に接合されるか、結合されるか、又は接着される基板100よりも薄いウェハであり得る。あるいは、単結晶層124は、堆積法によって基板の第2の表面104に単結晶層124を堆積させることによって、基板100の第2の表面104に形成され得るか、接合され得るか、又は結合され得る。例えば、この堆積法は、スパッタリング法、蒸着法、結晶成長法、又は基板100の第2の表面104に単結晶層124を形成する、接合する、若しくは結合するための何らかの他の技法であり得る。
【0052】
少なくとも1つの実施形態では、第4のステップ302において、単結晶層124を第2の表面212に、直接かつ物理的に結合させる。例えば、単結晶層124は、超高真空中で第2の表面212をアルゴン(Ar)イオン又は中性原子の照射(例えば、アルゴン(Ar)であり得る、中性原子であり得る、又は好適であり得る、何らかの他の類似若しくは同様のタイプの粒子若しくは原子であり得る粒子のビーム)に曝露して、基板100の第2の表面212を洗浄し、活性化することによる、SAB(surface activated bonding、表面活性化接合)法を使用して、最初に単結晶基板(図示せず)を第2の表面104に結合することによって形成され得る。第2の表面104がSAB法によって洗浄され、活性化されると、単結晶基板124が第2の表面104に適用され、その結果、単結晶基板が第2の表面104に直接かつ物理的に結合される。単結晶基板が第2の表面104に直接かつ物理的に結合されると、基板100の第2の表面104に対応する第2の表面212に単結晶層124が残るように、単結晶基板の一部が除去される。第2の表面212がアルゴン(Ar)イオン又は中性原子の照射に曝露される前に、第2の表面212は平坦化され得るか、又は研磨され得る。
【0053】
少なくとも1つの代替実施形態では、第1の導電層(図示せず)が第2の表面212に形成され、第2の導電層(図示せず)が、第2の表面212に結合される単結晶基板の表面に形成される。第1の導電層及び第の2導電層は、スパッタリング法を使用して形成され得る。第1の導電層及び第2の導電層が形成されると、第1の層及び第2の層は、上述したようにSAB法を利用して洗浄され、活性化され、次に単結晶基板のそれぞれの表面を第2の表面212に適用することができる。単結晶基板が第2の表面212に直接かつ物理的に結合された後に、基板の第2の表面104に単結晶層124が残るように、単結晶基板の一部が除去される。第1の導電層及び第2の導電層がアルゴン(Ar)イオン又は中性原子の照射に曝露される前に、第1の導電層及び第2の導電層は平坦化され、研磨され得る。
【0054】
単結晶層124が、第2の表面212に対応する、基板100の第2の表面104に形成、結合、又は接合されるときに、窪み122の少なくとも一部が基板100の第2の表面104に存在する場合、1つ以上のキャビティ134が単結晶層124と基板100との間に形成され、存在し得る。しかしながら、これらの1つ以上のキャビティ134は小さいため、電気信号が基板100及び単結晶層124を通過するときに、1つ以上のキャビティは電気信号に対するインピーダンスをほとんど有しないか、又は全く有しない。あるいは、単結晶層124と基板100との間に1つ以上のキャビティが存在しないように、窪み122が存在しなくてよい。あるいは、窪み122は、単結晶層124を基板100の第2の表面に形成、接合、又は結合するときに完全に充填され得る。1つ以上のキャビティ134を小さく保つことによって、又はそれらを完全に回避することによって、電気信号が基板100及び単結晶層124を通過するときに電気信号に対するインピーダンスがほとんど存在しないか、又は全く存在せず、その結果として、基板100及び単結晶層124が組み込まれた、より効率的かつ精密なデバイスが得られる。
【0055】
1つ以上のキャビティが基板100と単結晶層124との間に存在する場合、1つ以上のキャビティは、10マイクロメートル(μm)以下のサイズを有する。
【0056】
上記の議論を考慮すると、基板100は、全体が低密度である、従来の低密度多結晶SiC基板を製造するのと同様に製造し、従来の高密度多結晶SiC基板のそれぞれの表面を平坦化するか、又は研磨するのと同様に平坦化し、研磨したときに、第2の表面においてより少ない粗さを有する方が安価である。
【0057】
単結晶層124が基板100の第2の表面104に形成、又は結合された後に、単結晶層124は更に精製されるか、又は処理されて(例えば、研磨される、薄膜化されるなど)、電子部品が形成され得る。あるいは、例えば、単結晶層124(例えば、誘電層、導電層、非導電層など)に1つ以上の追加層が形成され得るか、半導体構造が形成され得るか、又は半導体構造が結合され得る。
【0058】
単結晶層124が基板100の第2の表面104に形成されるか、又は結合された後に、基板100及び単結晶層124、1つ以上の追加層(例えば、誘電層、導電層、非導電層など)が、基板100及び単結晶層124上に形成され得る。これらの1つ以上の追加層が形成されると、基板100、単結晶層124、及び1つ以上の追加層は、個々のダイに個片化され得るか、又は更に処理されて、様々な半導体ダイス、半導体パッケージ、半導体部品、又は他の同様の電子部品を形成し得る、個々の積層アセンブリに個片化され得る。半導体ダイス、半導体パッケージ、半導体部品、又は他の同様の電子部品は、電話、タブレット、コンピュータ、又は何らかの他の同様の電子機器内に位置付けられ得る。
【0059】
次いで、基板100から個片化された個々のダイ、単結晶層124、及び1つ以上の追加層を、成形材料、エポキシ、樹脂、又は同様の材料に封入して、それぞれの半導体パッケージ、半導体部品、又は他の同様の電子部品を形成することができる。半導体パッケージは、電話、タブレット、コンピュータ、又は他の類似の電子機器内に位置付けられ得る。
【0060】
基板100の第1の表面102における第1の密度は、単結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の密度と比較して低い密度を有し得、基板100の第2の面102における第2の密度は、単結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の密度と同様の密度を有し得る。しかしながら、基板100の製造は、高密度多結晶SiC基板の製造と比較して、及び単結晶SiC基板の製造と比較して安価であり得る。
【0061】
基板100は、基板100の第2の表面104において、20ミリオームセンチメートル(mohm-cm)以下の抵抗率を有し得る。いくつかの実施形態では、基板100は、基板100の第2の表面104において、5ミリオームセンチメートル(mohm-cm)以下の抵抗率を有し得る。
【0062】
密度勾配を有する基板100上に単結晶層124が存在する場合、単結晶層124は、25mohm-cm未満、又は好ましくは18mohm-cmに等しい、又は15~20mohm-cmの範囲、又はこの範囲の上端及び下端に等しい抵抗率であり得る。
【0063】
本開示のデバイスの少なくとも1つの実施形態は、第1の側及び第1の側と反対の第2の側を含む多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハと、多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハの第1の側における第1の密度と、多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハの第2の側における第2の密度であって、第2の密度は、第1の密度よりも大きい、第2の密度と、第1の側と第2の側との間の密度勾配であって、密度勾配の密度は、多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハの第1の側から第2の側に向かって密度勾配方向に増加する、密度勾配と、を含むと要約される。
【0064】
多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハは、5オングストローム(Å)未満の粗さを有する表面を、第2の側に更に含み得る。
【0065】
多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハの第2の側における抵抗率は、20ミリオームセンチメートル(mohm-cm)以下であり得る。
【0066】
多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハの第2の側における抵抗率は、5ミリオームセンチメートル(mohm-cm)未満であり得る。
【0067】
多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハの第1の側から第2の側まで延在する厚さは、800マイクロメートル(μm)以下であり得る。
【0068】
デバイスは、多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハの第2の側に結合され得る、単結晶シリコンカーバイド(SiC)層を更に含み得る。
【0069】
多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハは、第1の側から第2の側まで延在する第1の厚さを有し得、単結晶シリコンカーバイド(SiC)層は、多結晶シリコンカーバイド(SiC)ウェハの反対側に面する表面と、第2の側から単結晶シリコンカーバイド(SiC)層の表面まで延在する第2の厚さと、を含み得、第2の厚さは、第1の厚さ未満であり得る。
【0070】
第2の厚さは、1マイクロメートル(μm)以下であり得る。
【0071】
第1の厚さは、800マイクロメートル(μm)以下であり得る。
【0072】
本開示の方法の少なくとも1つの実施形態は、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板を形成することと、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板を形成した後に、多結晶シリコンカーバイドベース基板の第1の側から第1の側と反対の第2の側に向かう物質輸送方向に方向付けられた物質輸送を誘導することによって、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第1の側と第1の側と反対の、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第2の側との間に密度勾配を生成することであって、物質輸送を誘導することは、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第1の側から離れるように物質を輸送する第1の温度に、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第1の側を曝露することと、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第2の側に向かって物質を輸送する第2の温度に、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第2の側を曝露することと、を含み、第2の温度は第1の温度よりも低い、ことと、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板を冷却して、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第1の側における第1の密度と、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第2の側における、第1の密度よりも大きい第2の密度と、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第1の側と第2の側との間の密度勾配と、を生成することと、を含むと要約され得る。
【0073】
多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板を形成することは、シリコンカーバイド(SiC)粉末、並びにケイ素(Si)及び炭素(C)の粉末混合物のうちの少なくとも1つを焼結することを含み得る。
【0074】
第2の温度は、摂氏2000度以上であり得る。
【0075】
第1の温度は、摂氏2000度以下であり得る。
【0076】
第1の温度は摂氏2000度に等しくてよく、第2の温度は摂氏2100度以上であってよい。
【0077】
本方法は、単結晶シリコンカーバイド(SiC)基板を多結晶シリコンカーバイド(SiC)ベース基板の第2の側に結合させることを更に含み得る。
【0078】
密度勾配は、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第1の側から第2の側に向かう物質輸送方向に増加し得る。
【0079】
本開示の方法の少なくとも1つの実施形態は、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第1の側と第1の側と反対の、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第2の側との間に密度勾配を生成することを含み、第1の側と第2の側との間に密度勾配を生成することは、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第2の側を化学蒸着プロセスに曝露して、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第2の側にケイ素(Si)及び炭素(C)を含浸させる、ことを含むと要約され得る。
【0080】
本方法は、単結晶シリコンカーバイド(SiC)基板を多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第2の側に結合させることを更に含み得る。
【0081】
本方法は、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第1の側と多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第2の側との間に密度勾配を生成する前に、シリコンカーバイド(SiC)粉末、並びにケイ素(Si)及び炭素(C)の粉末混合物のうちの少なくとも1つを焼結することによって、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板を形成することを更に含み得る。
【0082】
密度勾配は、多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第1の側から離れて多結晶シリコンカーバイド(SiC)基板の第2の側に向かう密度勾配方向に増加し得る。
【0083】
上で説明される様々な実施形態を組み合わせて、更なる実施形態を提供することができる。実施形態の態様は、必要に応じて、様々な特許、出願、及び刊行物の概念を採用するように変更して、更なる実施形態を提供することができる。
【0084】
これらの変更は、上記の詳細な説明に照らして実施形態に対して行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を本明細書及び特許請求の範囲に開示された特定の実施形態に限定するように解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに全ての可能な実施形態を含むように解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は本開示によって限定されるものではない。
【外国語明細書】