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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147529
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】荷物受け渡しサービスシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20240101AFI20241008BHJP
【FI】
G06Q10/08
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024060143
(22)【出願日】2024-04-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-15
(31)【優先権主張番号】P 2023060272
(32)【優先日】2023-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】523124175
【氏名又は名称】株式会社ボクサーネット
(74)【代理人】
【識別番号】100089026
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 高明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 明宏
【テーマコード(参考)】
5L010
【Fターム(参考)】
5L010AA16
(57)【要約】
【課題】宅配事業を行う大規模事業者のみならず、通信販売事業者や小規模事業者なども、ブロック装置を利用した荷物受け渡しサービスを容易に実施できるようにして、ブロック装置を利用した荷物受け渡しサービスの普及を促進する。
【解決手段】荷物受け渡しサービスシステム10は、荷物を収容可能な複数のボックス30を備えるブロック装置20を有する。ボックス30は、各々複数のシステム利用事業者をサブスクライバーとして設定可能な通信装置33を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を収容可能な複数のボックスを備えるブロック装置を有する荷物受け渡しサービスシステムであって、
前記ボックスは、各々複数のシステム利用事業者をサブスクライバーとして設定可能な通信装置を備えることを特徴とする荷物受け渡しサービスシステム。
【請求項2】
前記ボックスは、前記システム利用事業者が使用権原を有する事業者サーバと前記通信装置を介して通信可能なボックス管理装置を有し、
前記ボックス管理装置は、自装置を備える前記ボックスの使用状態に変化が生じたことをトリガにして、当該ボックスの使用状態に関する情報を送信することを特徴とする請求項1記載の荷物受け渡しサービス提供システム。
【請求項3】
前記通信装置は、遠隔操作によりサブスクライバーを設定可能なSIM、Sigfox,LoRaWANなどの通信装置、又はソフトウェアモジュールを備え、当該SIM、Sigfox,LoRaWANなどの通信装置、又はソフトウェアモジュールに複数のシステム利用事業者がサブスクライバーとして設定されていることを特徴とする請求項2記載の荷物受け渡しサービスシステム。
【請求項4】
前記荷物受け渡しサービスシステムは、
前記ボックスによる荷物受け渡しを管理する管理サーバを有し、
前記ブロック装置は、前記ボックスの使用に際し、所定の操作を受け付ける操作受付部を有し、
前記ボックス管理装置は、前記通信装置を介して前記管理サーバ及びエンドユーザのユーザ端末と通信可能であり、
前記事業者サーバは、
前記ユーザ端末から、前記エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用する前記ブロック装置の指定及び前記荷物の指定を含む荷物関連情報を受信する荷物関連情報受信部と、
前記荷物関連情報受信部が受信した荷物関連情報に基づいて、前記エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用する前記ブロック装置の指定及び前記ボックスのサイズの指定を含む荷物受渡関連情報を前記管理サーバに送信する荷物受渡関連情報送信部を有し、
前記管理サーバは、前記荷物受渡関連情報を受信する荷物受渡受付部と、
前記荷物受渡受付部が受信した前記荷物受渡関連情報に基づいて、荷物受け渡しに使用する前記ブロック装置の前記ボックスを選定するボックス選定部と、
前記ボックス選定部が選定した前記ボックスが備える前記ボックス管理装置に、前記ユーザIDに紐づけられた前記ユーザ端末の情報を含む使用予約情報を送信する使用予約送信部と、を有し、
前記ボックス管理装置は、
前記操作受付部が前記所定の操作を受け付けた後に自装置を備える前記ボックスが施錠されたことに基づいて、自装置を備える前記ボックスが使用中であると判定する使用状態判定部と、
前記使用状態判定部が、自装置を備える前記ボックスが使用中であると判定したことに基づいて、前記荷物の前記ボックスへの格納があった旨、前記荷物の受け取り場所及び前記荷物の受け取り方法を含むボックス格納通知を前記エンドユーザのユーザ端末に送信するボックス格納通知送信部と、を有することを特徴とする請求項3記載の荷物受け渡しサービスシステム。
【請求項5】
前記ブロック装置は、
前記ブロック装置及びその周辺を監視するための監視装置と、
前記操作受付部による受付情報及び前記監視装置による監視情報を送信するブロック装置用通信装置と、を備えていることを特徴とする請求項4記載の荷物受け渡しサービスシステム。
【請求項6】
荷物を収容可能な複数のボックスを備えるブロック装置を有する荷物受け渡しサービスシステムであって、
前記ボックスは、各々複数のシステム利用事業者をサブスクライバーとして設定可能な通信装置と、前記システム利用事業者が使用権原を有する事業者サーバと前記通信装置を介して通信可能なボックス管理装置と、を有し、
前記ボックス管理装置は、自装置を備える前記ボックスの使用状態に変化が生じたことをトリガにして、当該ボックスの使用状態に関する情報を送信可能であり、
前記通信装置は、遠隔操作によりサブスクライバーを設定可能なSIM、Sigfox,LoRaWANなどの通信装置、又はソフトウェアモジュールを備え、当該SIM、Sigfox,LoRaWANなどの通信装置又はソフトウェアモジュールに複数のシステム利用事業者がサブスクライバーとして設定されており、
前記ボックスに配備されている、前記SIM、Sigfox,LoRaWANなどの通信装置若しくはソフトウェアモジュールがイベント駆動のプログラミングにより、それぞれのボックスに対して前記システム利用事業者から予約が入るというイベント、荷物が前記ボックスに格納され「使用中」の状態になるというイベント、又は荷物が前記ボックスから排出されボックスが「空き」の状態になるイベントのいずれかが発生した場合には、その都度、前記イベントがあったことをパブリッシング(発行)し、それぞれのボックスにサブスクライブ(加入)している前記システム利用事業者に対して前記イベントが発生した旨が通知されることを特徴とする荷物受け渡しサービスシステム。
【請求項7】
複数の前記ブロック装置の前記ボックスの使用状態に関する情報をリアルタイムで収集し、前記ボックスの大きさなどのカテゴリ別の空き情報を格納するボックス空き情報格納装置を有することを特徴とする請求項4記載の荷物受け渡しサービスシステム。
【請求項8】
前記ボックスの使用状態に関する情報に基づいて、前記ボックスの使用状態に基づく課金処理を行う課金サーバを有することを特徴とする請求項4記載の荷物受け渡しサービスシステム。
【請求項9】
前記ボックスは、当該ボックスに格納された荷物を撮影し、撮影により得られた立体画像データに基づいて、当該荷物に関する料金を計算する料金計算装置を有することを特徴とする請求項8記載の荷物受け渡しサービスシステム。
【請求項10】
前記荷物関連情報受信部は、
前記ボックス格納通知が前記エンドユーザのユーザ端末に送信された後においても、当該ボックス格納通知に係る前記荷物に対する再度の荷物受関連情報を受信可能であり、前記荷物受渡関連情報送信部は、
前記荷物関連情報受信部が受信した再度の荷物関連情報に基づいて、前記エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用する前記ブロック装置の指定及び前記ボックスのサイズの指定を含む再度の荷物受渡関連情報を前記管理サーバに送信可能であることを特徴とする請求項4記載の荷物受け渡しサービスシステム。
【請求項11】
前記エンドユーザのユーザIDを照会するためのユーザID照会手段を有することを特徴とする請求項4記載の荷物受け渡しサービスシステム。
【請求項12】
前記ボックス管理装置は、自装置を備える前記ボックスの施錠及び解錠の指示をネットワーク経由で受け付ける遠隔錠操作受付部と、前記遠隔錠操作受付部が受け付けた指示に基づいて、自装置を備える前記ボックスを施錠又は解錠する錠装置と、を備えることを特徴とする請求項4記載の荷物受け渡しサービスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック装置を利用した荷物受け渡しサービスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
荷物を収容可能な複数のボックス(ロッカーとも称される)を備えるブロック装置(ハコポス、宅配ボックス、宅配ステーション、等とも称される)を駅などの公共施設や集合住宅のロビーなどに設置することにより、エンドユーザと荷物配送者との間で、ブロック装置を介して荷物の受け渡し、すなわち荷送り、着荷及び荷受けを行うことができるができるようにした荷物受け渡しサービスが知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-000378号公報
【特許文献2】特開2023-007209号公報
【特許文献3】特開2020-095720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したブロック装置を利用した荷物受け渡しサービスを普及させるためには、ブロック装置を各所に設置する必要がある。しかし、ブロック装置を各所に設置するためには、設置場所の不動産所有者との交渉や契約などを、ブロック装置ごとに行う必要があるため、多額の資金と労力を必要とする。
このため、現在、ヤマト運輸株式会社、日本郵政株式会社といった、宅配事業を行う大規模事業者がこの種のサービスに参加しているのみであり、通信販売事業者や小規模事業者が参加できる状況には至っていない。すなわち、中小のロジスティクス企業がブロック装置を利用した荷物受け渡しサービスを実施することは、現状では容易ではない。
また、現在の荷物受け渡しサービスにあっては、再配達に要する労力が問題となっており、特に、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることにより発生する、いわゆる「2024年問題」を解決する必要があるが、従来の荷物受け渡しサービスでは有効に対応できない可能性がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、宅配事業を行う大規模事業者のみならず、通信販売事業者や小規模物流事業者、小売店なども、ブロック装置を利用した荷物受け渡しサービスを容易に実施できるようにして、ブロック装置を利用した荷物受け渡しサービスの普及を促進することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステムは、荷物を収容可能な複数のボックスを備えるブロック装置を有する荷物受け渡しサービスシステムであって、前記ボックスは、各々複数のシステム利用事業者をサブスクライバーとして設定可能な通信装置を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、ブロック装置を構成する各ボックスが各々複数のシステム利用事業者をサブスクライバーとして設定可能な通信装置を備えることにより、同一ボックスを複数のシステム利用事業者が共同して利用できるようになる。すなわち、各システム利用事業者は、自身がサブスクライバーとして設定されている通信装置を利用して、当該通信装置を備える数十から数十万個に達する膨大な数量のボックスの利用状況(空き状況)を、一定の期間毎に同期することをせずに、リアルタイムで確認し、当該利用状況に基づいて、荷物受け渡しサービスを実施できる。
【0008】
よって、請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、システム利用事業者は、ブロック装置の設置に関する不動産所有者などとの交渉や契約などを行うことなく、システム運営者とボックス単位で利用契約をすることにより、容易に荷物受け渡しサービスを実施できる。
【0009】
したがって、請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、宅配事業を行う大規模事業者のみならず、二次受け、三次受けの運送会社、通信販売事業者や小規模事業者なども、ブロック装置を利用した荷物受け渡しサービスを容易に実施できるようにして、ブロック装置を利用した荷物受け渡しサービスの普及を促進することができる。
【0010】
請求項2記載の荷物受け渡しサービスシステムは、請求項1記載の荷物受け渡しサービス提供システムにおいて、前記ボックスは、前記通信装置を介して前記システム利用事業者が使用権原を有する事業者サーバと通信可能なボックス管理装置を有し、前記ボックス管理装置は、自装置を備える前記ボックスの使用状態に変化が生じたことをトリガにして、当該ボックスの使用状態に関する情報を送信することを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、各ボックス管理装置は、自装置を備えるボックスの使用状態に変化する毎に、すなわち使用状態が「空き」から「使用中」になる毎に及び「使用中」から「空き」になる毎に、当該ボックスの使用状態に関する情報を通信装置を介して発信する。
システム利用事業者は、自身がシステム利用事業者に設定されている通信装置を備えるボックスの使用状態に変化が生じる毎に、当該通信装置から送られてくる情報を受信する。これにより、各システム利用事業者は、自身がシステム利用事業者に設定されている通信装置を備えるボックスの使用状態をリアルタイムで確認し、当該使用状態に基づいて、自事業者の荷物受け渡しサービスを実施できる。
【0012】
請求項3記載の荷物受け渡しサービスシステムは、請求項2記載の荷物受け渡しサービスシステムにおいて、前記通信装置は、遠隔操作によりサブスクライバーを設定可能なSIM、Sigfox,loRaWANなどの通信装置又はソフトウェアモジュールを備え、当該SIM等の通信モジュール又はソフトウェアモジュールに複数のシステム利用事業者がサブスクライバーとして設定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、各ボックスの通信装置のSIM等又はソフトウェアモジュールの一部又は全部のサブスクライバーの設定を遠隔操作により行うことができるので、システム利用事業者毎の利用可能ボックスを、遠隔操作により容易に設定できる。
【0014】
請求項4記載の荷物受け渡しサービスシステムは、請求項3記載の荷物受け渡しサービスシステムであって、前記荷物受け渡しサービスシステムは、前記ボックスによる荷物受け渡しの処理工程を行う管理サーバと、を有し、前記ブロック装置は、前記ボックスの使用に際し、所定の操作を受け付ける操作受付部を有し、前記ボックス管理装置は、前記通信装置を介して前記管理サーバ及びエンドユーザのユーザ端末と通信可能であり、前記事業者サーバは、前記ユーザ端末から、前記エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用する前記ブロック装置の指定及び前記荷物の指定を含む荷物関連情報を受信する荷物関連情報受信部と、前記荷物関連情報受信部が受信した荷物関連情報に基づいて、前記エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用する前記ブロック装置の指定及び前記ボックスのサイズの指定を含む荷物受渡関連情報を前記管理サーバに送信する荷物受渡関連情報送信部を有し、前記管理サーバは、前記荷物受渡関連情報を受信する荷物受渡受付部と、前記荷物受渡受付部が受信した前記荷物受渡関連情報に基づいて、荷物受け渡しに使用する前記ブロック装置の前記ボックスを選定するボックス選定部と、前記ボックス選定部が選定した前記ボックスが備える前記ボックス管理装置に、前記ユーザIDに紐づけられた前記ユーザ端末の情報を含む使用予約情報を送信する使用予約送信部と、を有し、前記ボックス管理装置は、前記操作受付部が前記所定の操作を受け付けた後に自装置を備える前記ボックスが施錠されたことに基づいて、自装置を備える前記ボックスが使用中であると判定する使用状態判定部と、前記使用状態判定部が、自装置を備える前記ボックスが使用中であると判定したことに基づいて、前記荷物の前記ボックスへの格納があった旨、荷物の受け取り場所及び荷物の受け取り方法を含むボックス格納通知を前記エンドユーザのユーザ端末に送信するボックス格納通知送信部と、を有することを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の荷物受け渡しサービスシステムでは、ユーザ端末は、エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用するブロック装置の指定及び荷物の指定を含む荷物関連情報を事業者サーバに送信し、事業者サーバは、荷物関連情報をユーザ端末から受信し、荷物受け渡しに使用するブロックの指定及びボックスのサイズの指定を含む荷物受渡関連情報を管理サーバに送信する。
【0016】
管理サーバは、事業者サーバから荷物受渡関連情報を受信し、荷物受け渡しに使用するボックスが備えるボックス管理装置に、ユーザIDに紐づけられたユーザ端末の情報を含む使用予約情報を送信する。ボックス管理装置は、管理サーバから荷物受渡関連情報を受信し、自装置を備えるボックスが使用中であると判定したことに基づいて、荷物のボックスへの格納があった旨、荷物の受け取り場所(ブロック装置の場所、ブロック装置の番号、等)及び荷物の受け取り方法を含むボックス格納通知(配送された荷物が格納されているボックスの番号、開錠用のパスコード、QRコード(登録商標)等を含む通知)をエンドユーザのユーザ端末に送信する。
【0017】
よって、請求項4記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、エンドユーザ(荷受人)は、システム利用事業者に対し、荷物の受け取りを希望するブロック装置及び荷物を指定(例えば、荷物を配送依頼、荷物である商品を購入、等)し、システム利用事業者は、ブロック装置及びボックスのサイズを指定して荷物を発送し、エンドユーザは、ボックス格納通知に基づいて、ボックスから荷物を受け取る、という一連の手続きにより、荷物の受け渡しが完結する。
【0018】
このシステムによれば、エンドユーザの名前及び住所を使用することなく、換言すれば、エンドユーザの住所が不明であっても、あるいは、荷物の発送後であっても希望する場所で荷物の受け渡しを完結させることが可能であるので、エンドユーザの個人情報をVPN等により極めて高い情報セキュリティレベルで保護しつつ、荷物の受け渡しを行い得る。
【0019】
請求項5記載の荷物受け渡しサービスシステムは、請求項4記載の荷物受け渡しサービスシステムであって、前記ブロック装置は、前記ブロック装置及びその周辺を監視するための監視装置と、前記操作受付部による受付情報及び前記監視装置による監視情報を送信するブロック装置用通信装置と、を備えていることを特徴とする。
【0020】
請求項5記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、操作受付装置及び監視装置からの情報に基づいて、前記ボックスの操作状況及びブロック装置及びその周辺の監視状況を、管理サーバなどにより確認することが可能となる。ボックスの操作状況に基づいて、エンドユーザにボックスの使用に役立ち得る情報を提供したり、ブロック装置及びその周辺の監視状況に基づいて、不正行為などに対処したりすることで、利便性及び安全性の高いサービスを提供し得る。
【0021】
請求項6記載の荷物受け渡しサービスシステムは、荷物を収容可能な複数のボックスを備えるブロック装置を有する荷物受け渡しサービスシステムであって、前記ボックスは、各々複数のシステム利用事業者をサブスクライバーとして設定可能な通信装置を備え、前記ボックスは、前記システム利用事業者が使用権原を有する事業者サーバと前記通信装置を介して通信可能なボックス管理装置を有し、前記ボックス管理装置は、自装置を備える前記ボックスの使用状態に変化が生じたことをトリガにして、当該ボックスの使用状態に関する情報を送信し、前記通信装置は、遠隔操作によりサブスクライバーを設定可能なSIM、Sigfox,LoRaWANなどの通信装置、又はソフトウェアモジュールを備え、当該SIM、Sigfox,LoRaWANなどの通信装置等又はソフトウェアモジュールに複数のシステム利用事業者がサブスクライバーとして設定されており、前記ボックスに配備されている、前記SIM、Sigfox,LoRaWANなどの通信装置若しくはソフトウェアモジュールがイベント駆動のプログラミングにより、それぞれのボックスに対して前記システム利用事業者から予約が入るというイベント、荷物が前記ボックスに格納され「使用中」の状態になるというイベント、又は荷物が前記ボックスから排出されボックスが「空き」の状態になるイベントのいずれかが発生した場合には、その都度、前記イベントがあったことをパブリッシング(発行)し、それぞれのボックスにサブスクライブ(加入)している前記システム利用事業者に対して前記イベントが発生した旨が通知されることを特徴とする。
【0022】
請求項6記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、本荷物受け渡しシステムのユーザであるシステム利用事業者は、リアルタイムで、自分がサブスクライブ(加入)している各ブロックの各ボックスの利用状況を把握できることにより、空いているボックスに予約し利用をすることが可能となる。
【0023】
請求項7記載の荷物受け渡しサービスシステムは、請求項4記載の荷物受け渡しサービスシステムにおいて、複数の前記ブロック装置の前記ボックスの使用状態に関する情報をリアルタイムで収集し、前記ボックスの大きさなどのカテゴリ別の空き情報を格納するボックス空き情報格納装置を有することを特徴とする。
【0024】
請求項7記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、事業者サーバ及びユーザ端末は、ボックス空き情報格納装置にアクセスすることにより得られる情報に基づいて、或いは、ボックス空き情報格納装置から配信される情報に基づいて、地域別、ブロック装置別、ボックスの大きさ別といったカテゴリ別に、ボックスの空き情報をリアルタイムでディスプレイに表示させることが可能となる。
【0025】
請求項8記載の荷物受け渡しサービスシステムは、請求項4記載の荷物受け渡しサービスシステムにおいて、前記ボックスの使用状態に関する情報に基づいて、前記ボックスの使用状態に基づく課金処理を行う課金サーバを有することを特徴とする。
【0026】
請求項8記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、システム利用事業者は、エンドユーザからボックスの事前予約があった場合や、ボックスに荷物を収納後一定期間を経過しても引き取りがない場合などに、当該エンドユーザに対して課金を行うことが可能となる。
【0027】
請求項9記載の荷物受け渡しサービスシステムは、請求項8記載の荷物受け渡しサービスシステムにおいて、前記ボックスは、当該ボックスに格納された荷物を撮影し、撮影により得られた立体画像データに基づいて、当該荷物に関する料金を計算する料金計算装置を有することを特徴とする。
【0028】
請求項9記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、エンドユーザが送りたい荷物を開いているボックスに収納すると、当該ボックスは自ボックス内の荷物を撮影して、大きさを自動計測するなどして、その場で当該荷物に関する料金を計算することができる。これにより、当該ボックスを有するブロック装置のディスプレイに料金を即時に表示したり、メッセージを即時に送信したりして、例えばエンドユーザの承諾を得た後に、当該エンドユーザに対し課金を行い、配送許可を行うことが可能となる。
【0029】
請求項10記載の荷物受け渡しサービスシステムは、請求項4記載の荷物受け渡しサービスシステムにおいて、前記荷物関連情報受信部は、前記ボックス格納通知がエンドユーザのユーザ端末に送信された後においても、当該ボックス格納通知に係る前記荷物に対する荷物受関連情報を再度受信可能であり、前記荷物受渡関連情報送信部は、前記荷物関連情報受信部が再度受信した荷物関連情報に基づいて、当該エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用する前記ブロック装置の指定及び前記ボックスのサイズの指定を含む荷物受渡関連情報を前記管理サーバに再度送信可能であることを特徴とする。
【0030】
請求項10記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、当初指定したボックスに荷物が格納されたこと通知するボックス格納通知がエンドユーザ(受取人)に送信された後に、何らかの事情により、エンドユーザ(受取人)が当初指定したボックスとは別の場所のボックスで当該荷物を受け取る必要が生じた場合に、エンドユーザ(受取人)は、当該別の場所のボックスを指定する荷物関連情報を再送信することにより、当初指定したボックスから再指定したボックスへの転送指定を、ユーザ端末からリモートで行うことができる。
【0031】
請求項11記載の荷物受け渡しサービスシステムは、請求項4記載の荷物受け渡しサービスシステムにおいて、エンドユーザのユーザIDを照会し得るユーザID照会手段を有することを特徴とする。
【0032】
請求項11記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、例えば、エンドユーザの携帯電話番号、メールアドレス、生年月日、住所、登録パスワードなどの中から1又は複数の項目の情報を指定することにより、当該エンドユーザのユーザIDを照会することができるので、当該照会により判明したユーザIDを使用して、当該ユーザIDに該当するエンドユーザ(送付先)宛てに住所を指定せず、送付先のID宛に荷物などを送付することができる。受診人は、自分のIDに荷物の発送されたことをSMSなどで通知を受け、自らが希望するブロックのボックスや住所に配達指定を行うことができる。
【0033】
請求項12記載の荷物受け渡しサービスシステムは、請求項4記載の荷物受け渡しサービスシステムにおいて、前記ボックス管理装置は、自装置を備える前記ボックスの扉の施錠及び解錠の指示をネットワーク経由で受け付ける遠隔錠操作受付部と、前記遠隔錠操作受付部が受け付けた指示に基づいて、自装置を備える前記ボックスを施錠又は解錠する錠装置と、を備えることを特徴とする。
【0034】
請求項12記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、例えば、エンドユーザからシステム利用事業者に対し、当該システム利用事業者がサブスクライブ(加入)している特定のボックスの利用に関する要望、クレーム、等があった場合に、当該システム利用事業者のオペレータは、当該特定のボックスの扉を遠隔で施錠又は解錠することができる。
【発明の効果】
【0035】
請求項1に係る発明によれば、宅配事業を行う大規模事業者のみならず、通信販売事業者や小規模事業者なども、ブロック装置を利用した荷物受け渡しサービスを容易に実施できるようにして、ブロック装置を利用した荷物受け渡しサービスの普及を促進することができる。
以上に加え、本発明によれば、システム利用事業者は、現行のサービスでは不可能な、事前に各ボックスの空き状況を確認して各ボックスを予約でき、予約したボックスに対して配達指定をするように構成されていることから、理論上は、再配達を撲滅することが可能となる。
その結果、これにより、物流業界で危惧される「2024年問題」を解決する有力な切り札になり得る。更には、再配達の撲滅は、無駄な労力の削減ばかりでなく無駄なエネルギーの消費も抑制し、CO2の増加を防ぐことにより、環境にも優しいソリューションとなりうる。
【0036】
請求項2に係る発明によれば、更に、各システム利用事業者は、自身がシステム利用事業者に設定されている通信装置を備えるボックスの使用状態をリアルタイムで確認し、当該使用状態に基づいて、自事業者の荷物受け渡しサービスを実施できる。
【0037】
請求項3に係る発明によれば、更に、システム管理者は、システム利用事業者毎の利用可能ボックスを、遠隔操作により容易に設定できる。
【0038】
請求項4に係る発明によれば、更に、エンドユーザの名前及び住所を使用することなく、換言すれば、エンドユーザの住所が不明であっても、荷物の受け渡しを完結させることが可能であるので、エンドユーザの個人情報を極めて高い情報セキュリティレベルで保護しつつ、荷物の受け渡しを行い得る。
【0039】
請求項5に係る発明によれば、更に、ボックスの操作状況及びブロック装置及びその周辺の監視状況を、管理サーバなどにより確認することが可能となるので、利便性及び安全性の高いサービスを提供し得る。
【0040】
請求項6に係る発明によれば、荷物受け渡しシステムのユーザであるシステム利用事業者は、リアルタイムで、自分がサブスクライブ(加入)している各ブロックの各ボックスの利用状況が把握することができることにより、空いているボックスに確実に予約し利用をすることが可能となり、当該ブロックに空きがない場合は、近隣のブロックを検索機能で検知し、利用状況を確認できるため、荷物を確実に荷物の受取人であるエンドユーザに引き渡すことが可能となり、いわゆる再配達問題を有効に解決することが可能となる。
その結果、再配達問題が内包する、宅配ドライバーの宅配効率、労働生産性の低下、及び、再配達のためのトラック稼働によるエネルギーの無駄使い、二酸化炭素排出量の上昇、という問題を有効に解決することができる。
【0041】
請求項7記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、事業者サーバ及びユーザ端末は、ボックス空き情報格納装置にアクセスすることにより得られる情報に基づいて、或いは、ボックス空き情報格納装置から配信される情報に基づいて、地域別、ブロック装置別、ボックスの大きさ別といったカテゴリ別に、ボックスの空き情報をリアルタイムでディスプレイ(不図示)に表示させることが可能となる。
【0042】
請求項8記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、システム利用事業者は、エンドユーザからボックスの事前予約があった場合や、ボックスに荷物を収納後一定期間を経過しても引き取りがない場合などに、当該エンドユーザに対して課金を行うことが可能となる。
【0043】
請求項9記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、エンドユーザが送りたい荷物を空いているボックスに収納すると、当該ボックスは自ボックス内の荷物を撮影して、大きさを自動計測するなどして、その場で当該荷物に関する料金を計算することができる。
これにより、当該ボックスを有するブロック装置のディスプレイに料金を即時に表示したり、メッセージを即時に送信したりして、例えばエンドユーザの承諾を得た後に、当該エンドユーザに対し課金を行うことが可能となる。
【0044】
請求項10記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、当初指定したボックスに荷物が格納されたこと通知するボックス格納通知がエンドユーザ(受取人)に送信された後に、何らかの事情により、エンドユーザ(受取人)が当初指定したボックスとは別の場所のボックスで当該荷物を受け取る必要が生じた場合に、エンドユーザ(受取人)は、当該別の場所のボックスを指定する荷物関連情報を再送信することにより、当初指定したボックスから再指定したボックスへの転送指定を、ユーザ端末からリモートで行うことができる。
【0045】
請求項11記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、例えば、エンドユーザの携帯電話番号、メールアドレス、生年月日、住所、登録パスワードなどの中から1又は複数の項目の情報を指定することにより、当該エンドユーザのユーザIDを照会することができるので、当該照会により判明したユーザIDを使用して、当該ユーザIDに該当するエンドユーザ(送付先)宛てに荷物などを送付することができる。
【0046】
請求項12記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、例えば、エンドユーザからシステム利用事業者に対し、当該システム利用事業者がサブスクライブ(加入)している特定のボックスの利用に関する要望、クレーム、等があった場合に、当該システム利用事業者のオペレータは、当該特定のボックスの扉を遠隔で写真撮影、同写真の伝送、更には当該ボックスの施錠又は解錠することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステムを示すブロック図である。
図2】第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステムに使用されるボックスの機能ブロック図である。
図3】第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステムにおける使用状態表示画面の表示例を示す説明図である。
図4】第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステムのフロー図である。
図5】第2実施形態の荷物受け渡しサービスシステムを示すブロック図である。
図6】第3実施形態の荷物受け渡しサービスシステムを示すブロック図である。
図7】第4実施形態の荷物受け渡しサービスシステムに使用されるボックスの機能ブロック図である。
図8】第5実施形態の荷物受け渡しサービスシステムのフロー図である。
図9】第6実施形態の荷物受け渡しサービスシステムを示すブロック図である。
図10】第7実施形態の荷物受け渡しサービスシステムに使用されるボックスの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明を実施するための形態について、添付図面を用いて説明する。
[第1実施形態]
[構成]
図1に示すように、第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10は、複数のブロック装置20と、複数の事業者サーバ70と、管理サーバ80と、を有する。ブロック装置20(より正確には、後述する通信装置33及びブロック専用通信装置60)と、事業者サーバ70と、管理サーバ80は、ネットワーク100を介して互いに通信可能に接続されている。
また、ネットワーク100には、荷物の受取人であるエンドユーザのユーザ端末90が接続される。ユーザ端末90は、ネットワーク100を介して、ブロック装置20(より正確には、後述する通信装置33)、事業者サーバ70及び管理サーバ80と互いに通信可能である。ネットワーク100には、インターネット、WAN、LAN、移動体通信網、等が含まれる。
【0049】
[ブロック装置の構成]
ブロック装置20は、荷物受け渡しサービスシステム10の運営事業者により、駅などの公共施設や集合住宅のロビーなど各所に設置される。ブロック装置20は、荷物を収容可能な複数のボックス30と、ボックス30の操作を行うための操作受付装置40と、ブロック装置20及びその周辺を監視するための監視装置50と、操作受付装置40による受付情報及び監視装置50による監視情報を送信するブロック装置用通信装置60と、を備える。
ブロック装置20は、複数種類のサイズ(例えば、レターボックスサイズ、Mサイズ、Lサイズの3種類のサイズ)のボックス30を備えている。
【0050】
[ボックスの構成]
各ボックス30は、荷物出入口を開閉可能な扉31と、扉31を開施錠可能な電子錠装置32と、各々複数のシステム利用事業者を設定可能な通信装置33と、通信装置33を介して事業者サーバ70、管理サーバ80及びエンドユーザのユーザ端末90と通信可能なボックス管理装置34とを備える。
通信装置33は、図2に示すように、遠隔操作によりサブスクライバーを設定可能なSIM等又はソフトウェアモジュール33aを備え、当該SIM等又はソフトウェアモジュール33aに複数のシステム利用事業者がサブスクライバーとして設定されている。システム利用事業者には、例えば、宅配事業を行う大規模事業者のみならず、所謂ネット通販を行う大規模通信販売事業者や小規模事業者(中小零細企業、個人事業者)などが含まれる。
この場合、各ボックスに全てSIMを搭載してボックス30を構成する場合には、各SIMのIDを管理サーバ80に登録することによりSIMをボックス30を構成する要素として認識せしめることが可能となる。従って、この場合には、有線の電源ケーブルはボックス30には不要である。
一方、各ボックス30にSIMではなくソフトウェアモジュールを設置する場合は、有線の電源ケーブルによりソフトウェアモジュールを管理サーバと接続して連携させるように構成する必要がある。
【0051】
遠隔操作により複数のサブスクライバーを設定可能なSIM33aとして利用可能な技術として、例えば、株式会社ソラコム(登録商標)が提供するSORACOM(登録商標)IoT SIMを挙げることができる。すなわち、例えば、SORACOM(登録商標)IoT SIMのサブスクリプションコンテナ機能と称される機能により、所定数までの複数のシステム利用事業者をサブスクライバーとして設定することができる。
ボックス管理装置34は、使用状態判定部34aと、使用状態送信部34bと、ボックス格納通知送信部34cとを有する。使用状態判定部34a、使用状態送信部34b及びボックス格納通知送信部34cは、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
【0052】
使用状態判定部34aは、ボックス30の使用状態を判定する。具体的には、使用状態判定部34aは、自装置34を備えるボックス30の使用を開始するための所定の操作を操作受付装置40が受け付けた後に自装置34を備えるボックス30が施錠されたことに基づいて、自装置34を備えるボックス30が使用中であると判定する。
また、使用状態判定部34aは、自装置34を備えるボックス30から荷物を受け取るための所定の操作を操作受付装置40が受け付けた後に自装置34を備えるボックス30が開錠されたことに基づいて、自装置34を備えるボックス30が使用中ではなくなった、すなわち空きになったと判定する。
【0053】
使用状態送信部34bは、自装置34を備えるボックス30の使用状態に変化が生じたことをトリガにして、当該ボックス30の使用状態に関する情報(以下、「使用状態情報」とも称す)を、通信装置33を介して事業者サーバ70、管理サーバ80及びユーザ端末90に送信する、所謂イベント駆動型の機能ブロックである。
この場合、使用状態送信部34bは、個別のブロック装置20のボックス30の個数状況により以下のような異なる送信制御を行う。
一つのブロック装置20が、所定個数以下(例えば5個程度)のボックスであるような場合には、使用状態送信部34bは、使用状態が「空き」から「使用中」になる毎に及び「使用中」から「空き」になる毎に、当該ボックスの使用状態情報を、事業者サーバ70、管理サーバ80及びユーザ端末90に送信する。
一方、上記のように。一つのブロック装置20に所定個数以上の多数のボックス30、例えば、30個程度のボックス30があり、かつ、各ボックス30のサイズも、レターボックスサイズ、Mサイズ、Lサイズ等の複数種類があるような場合には、ボックス30の使用状態情報が非常に多岐にわたることとなる。
従って、このような場合には、使用状態送信部34bは、先ず、使用状態情報を事業者サーバ70へ送信する。この場合、後述のように、事業者サーバ70はこの使用状態情報に基づき多数のボックス30の使用状態の計算、集計を行う。
使用状態送信部34bの機能は、例えば、PUB/SUBと称されるリアルタイムにメッセージをやりとりできるメッセージングサービスを利用することにより実現され得る。
【0054】
ボックス格納通知送信部34cは、使用状態判定部34aが、自装置34を備えるボックス30が使用中となったと判定した場合には、直ちに、ボックス30への格納があった旨、荷物の受け取り場所及び荷物の受け取り方法を含むボックス格納通知をエンドユーザのユーザ端末90に送信する。
なお、ボックス30にはボックスIDを設定し、ブロック装置20に設定されるIDと共に、ボックス30に表示するように構成してもよい。
【0055】
[操作受付装置、監視装置及びブロック装置用通信装置の構成]
操作受付装置40は、ブロック装置20の前面部に設けられる。操作受付装置40は、例えば、タッチパネルディスプレイ41を有する。
操作者は、操作受付装置40のタッチパネルディスプレイ41の表示内容を見ながら、テンキーなど操作子の表示位置をタッチすることにより、各種指示及び情報の入力を行うことができる。タッチパネルディスプレイ41には、ブロック装置20のID(ブロックID)及びボックス30のID(ボックスID)が表示され得る。エンドユーザは、タッチパネルディスプレイ41に表示されたQRコード(登録商標)をユーザ端末90で読み取ることにより、荷物受け渡しサービスシステム10に関連するウエブサイトなどにアクセスして、各種情報を入手したり各種サービスを利用したりすることができる。
【0056】
監視装置50は、ブロック装置20の上部、ブロック装置20が設置された部屋の天井、等に設けられる。監視装置50は、カメラを有し、ブロック装置20及びその近辺を撮影する。
【0057】
ブロック装置用通信装置60は、操作受付装置40に入力された情報を、ボックス管理装置34及び管理サーバ80に送信する。また、ブロック装置用通信装置60は、監視装置250による撮影情報を、管理サーバ80に送信する。
【0058】
[事業者サーバの構成]
事業者サーバ70は、システム利用事業者が使用権原を有するコンピュータである。事業者サーバ70は、使用状態受信部71と、使用状態表示制御部72と、荷物関連情報受信部73と、荷物受渡関連情報送信部74とを有する。使用状態受信部71、使用状態表示制御部72、荷物関連情報受信部73及び荷物受渡関連情報送信部74は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
【0059】
使用状態受信部71は、ボックス管理装置34(換言すれば、使用状態送信部34b)から使用状態情報を受信する機能ブロックである。
【0060】
使用状態表示制御部72は、使用状態受信部71が受信した使用状態情報に基づいて、現在の各ブロック20のボックス使用状態の表示を制御する機能ブロックである。使用状態表示制御部72は、事業者サーバ70に付属するディスプレイ(不図示)に表示させる使用状態表示画面(ウエブページデータ)を生成する。
使用状態表示制御部72が生成する使用状態表示画面は、事業者サーバ70にアクセスする権限を有する事業者端末(不図示)にも表示させ得る。ボックス管理装置34からは、その装置34を備えるボックス30の使用状態が変化すると直ちに、使用状態情報が送られてくるので、使用状態表示画面に表されるボックス使用状態は、当該ボックス30の使用状態の変化に応じてリアルタイムで変化する。
この場合、上記のように、一つのブロック装置20が所定個数以下、例えば、5個程度のボックス30であって、それらが単一のサイズであるような場合には、使用状態送信部34bから送信された、使用状態が「空き」から「使用中」になる毎に及び「使用中」から「空き」になった場合の情報に基づき、図3に示すように、事業者サーバ70のディスプレイ(不図示)に、各ブロック30毎に視認できるように図形的に表示する。
一方、一つのブロック装置20に所定個数以上の、多数のボックス30、例えば、30個程度のボックス30があり、かつ、各ボックス30のサイズも、上記のように、レターボックスサイズ、Mサイズ、Lサイズの3種類がありボックス30の使用状態情報が非常に多岐にわたるような場合には、事業者サーバ70は各ブロック装置20の各ボックス30の空き情報を上記サイズ毎に計算し、それぞれのサイズ毎のボックス30の空き状況を集計して、集計結果を、事業者サーバ70と共に設置される管理コンソール上においてディスプレイに数字により表示すると共に、事業者の関係者が所有するスマホ等の事業者端末(不図示)のディスプレイに表示するように構成されている。
【0061】
荷物関連情報受信部73は、ユーザ端末90から、エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用するブロック装置30の指定及び荷物の指定を含む荷物関連情報を受信する機能ブロックである。
【0062】
荷物受渡関連情報送信部74は、荷物関連情報受信部71が受信した荷物関連情報に基づいて、エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用するブロック装置30の指定及びブロック30のサイズの指定を含む荷物受渡関連情報を管理サーバ80に送信する機能ブロックである。
【0063】
[管理サーバの構成]
管理サーバ80は、荷物受け渡しサービスシステム10の運営者又はそれに準ずる者が使用権原を有し、ボックス30による荷物受け渡しを管理するコンピュータである。管理サーバ80は、荷物受渡受付部81aと、ボックス選定部81bと、使用予約送信部81cと、を有する。荷物受渡受付部81a、ボックス選定部81b及び使用予約送信部81cは、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
【0064】
荷物受渡受付部81aは、事業者サーバ70から荷物受渡関連情報を受信する。ボックス選定部81bは、荷物受渡受付部81aが受信した荷物受渡関連情報に基づいて、荷物受け渡しに使用するブロック装置20のボックス30を選定する。使用予約送信部81cは、ボックス選定部81bが選定したボックス30が備えるボックス管理装置34に、ユーザIDに紐づけられたユーザ端末90の情報を含む使用予約情報を送信する。
【0065】
[作用効果]
上記のように構成された第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、ブロック装置20を構成する各ボックス30が各々複数のシステム利用事業者をサブスクライバーとして設定可能な通信装置33を備えることにより、同一ボックス30を複数のシステム利用事業者が利用できるようになる。すなわち、各システム利用事業者は、自身がサブスクライバーとして設定されている通信装置33を利用して、当該通信装置33を備えるボックス30の利用状況(空き状況)を確認し、当該利用状況に基づいて、荷物受け渡しサービスを実施できる。
【0066】
よって、第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、システム利用事業者は、ブロック装置20の設置に関する不動産所有者などとの交渉や契約などを行うことなく、システム運営者とボックス30単位で利用契約をすることにより、容易に荷物受け渡しサービスを実施できる。
【0067】
したがって、第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、宅配事業を行う大規模事業者のみならず、所謂ネット通販を行う大規模通信販売事業者や小規模事業者(中小零細企業、個人事業者)も、ブロック装置20を利用した荷物受け渡しサービスを容易に実施できるようにして、ブロック装置20を利用した荷物受け渡しサービスの普及を促進することができる。
現行のサービスでは、特定エリアのブロック装置のみ使用するなどができないため、全システムのシェアリングになり小規模事業者には利用ができない。
【0068】
また、第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、各ボックス30が備えるボックス管理装置34は、自装置34を備えるボックス30の使用状態が変化する毎に、すなわち使用状態が「空き」から「使用中」になる毎に及び「使用中」から「空き」になる毎に、当該ボックスの使用状態に関する情報を通信装置33を介して送信する。
各システム利用事業者は、自身がシステム利用事業者に設定されている通信装置33を備えるボックス30の使用状態に変化が生じる毎に、当該通信装置33から送られてくる情報を受信する。これにより、各システム利用事業者は、自身がシステム利用事業者に設定されている通信装置33を備えるボックス30の使用状態を、事業者サーバ70又は事業者端末(不図示)に表示される使用状態表示画面によりボックス使用状態をリアルタイムで確認し、自事業者の荷物受け渡しサービスを実施できる。
【0069】
図3に例示する使用状態表示画面GA、GB、GCは、同一ブロック装置20を利用するシステム利用事業者(サブスクライバー)A、B、Cが各々使用権原を有する事業者サーバ70のディスプレイに各々表示される使用状態表示画面である。
【0070】
システム利用事業者Aは、ブロック装置20の12個すべてのボックス30(1)~30(12)がそれぞれ備える通信装置33にサブスクライバーとして設定されている。このため、図3(a)に示すように、システム利用事業者Aの事業者サーバのディスプレイに表示される使用状態表示画面GAには、ブロック装置20の12個すべてのボックス30(1)~30(12)の使用状態が表示されている。
【0071】
システム利用事業者Bは、ブロック装置20が備える12個のボックス30のうち、4個のボックス30(1)~30(4)がそれぞれ備える通信装置33にサブスクライバーとして設定されている。このため、図3(b)に示すように、システム利用事業者Bの事業者サーバ70のディスプレイに表示される使用状態表示画面GBには、4個のボックス30(1)~30(4)の使用状態が表示されている。
【0072】
システム利用事業者Cは、ブロック装置20が備える12個のボックス30のうち、6個のボックス30(5)~30(10)がそれぞれ備える通信装置33にサブスクライバーとして設定されている。このため、図3(c)に示すように、システム利用事業者Cの事業者サーバ70のディスプレイに表示される使用状態表示画面GCには、6個のボックス30(5)~30(10)の使用状態が表示されている。
【0073】
このように、使用状態表示画面GA、GB、GCに使用状態が表示されるボックスの数は、各システム利用事業者A、B、Cがサブスクライバーとして設定されている通信装置33を備えるボックス30の数によって異なる。
すなわち、各システム利用事業者A、B、Cが見得る使用状態表示画面GA、GB、GCには、自事業者がサービスに利用するボックス30の使用状態のみが表示される。これにより、各システム利用事業者A、B、Cは、自事業者がサービスに利用するボックス30の使用状態を容易且つ正確に確認して、自事業者の荷物受け渡しサービスを実施できる。
【0074】
また、第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、各ボックス30が備えるボックス管理装置34の使用状態送信部34bが、ボックス30の使用状態が変化する毎に当該ボックス30の使用状態情報を送信する、イベント駆動型の機能ブロックであることにより、システム利用事業者及びエンドユーザは、多数のボックス30の利用状況をリアルタイムで確認することが可能となる。
また、個々のボックス30の使用状態の変化を非同期通信により確認できることで、ネットワーク及びコンピュータ(ボックス管理装置34、事業者サーバ70、管理サーバ80、等)の負荷を抑制し得る。
【0075】
これに対し、従来技術におけるようにポーリング通信によりボックス30の使用状態を確認するようにした場合、一定期間ごとにすべてのボックス30に対し使用状態の変化の有無を照会するための通信が往復で発生する。例えば、照会対象のボックス30の数が10,000個である場合、3分間、5分間といった一定期間ごとに、10,000個すべてのボックス30に対し、使用状態の変化の有無を照会する通信が往復で発生する。
このため、ポーリング通信は、所謂イベント駆動型の通信に比べ数千倍、数万倍の通信が発生し、ネットワークとコンピュータに莫大な負荷がかかるのみならず、リアルタイム性が担保されていないため商業環境での運用に適さない。
本実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10は、これを克服し、社会的インフラを形成するレベルの規模の、非常に多数のボックス30を利用した荷物受け渡しサービスを実現可能とするものである。
【0076】
また、第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、各ボックス30の通信装置33のSIM等又はソフトウェアモジュールの一部又は全部のサブスクライバーの設定を遠隔操作により行うことができるので、システム利用事業者毎の利用可能ボックスを、遠隔操作により容易に設定できる。
【0077】
また、第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10では、図4に示すように、ユーザ端末90は、エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用するブロック装置20の指定及び荷物の指定を含む荷物関連情報Iを事業者サーバ70に送信し、事業者サーバ70は、荷物関連情報Iをユーザ端末90から受信し、荷物受け渡しに使用するブロック30の指定及びボックスのサイズの指定を含む荷物受渡関連情報IIを管理サーバに送信する。
管理サーバ80は、事業者サーバ70から荷物受渡関連情報IIを受信し、荷物受け渡しに使用するボックス30が備えるボックス管理装置34に、ユーザIDに紐づけられたユーザ端末90の情報を含む使用予約情報IIIを送信する。
ボックス管理装置34は、管理サーバ80から使用予約情報IIIを受信し、自装置34を備えるボックス30が使用中であると判定したことに基づいて、ボックス30への格納があった旨、荷物の受け取り場所及び荷物の受け取り方法を含むボックス格納通知IVをエンドユーザのユーザ端末90に送信する。
【0078】
よって、第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、エンドユーザ(荷受人)は、システム利用事業者に対し、荷物の受け取りを希望するブロック装置20及び荷物を指定(例えば、荷物を配送依頼、荷物である商品を購入、等)し、システム利用事業者は、ブロック装置20及びボックス30のサイズを指定して荷物を発送し、エンドユーザは、ボックス格納通知IVに基づいて、ボックス30から荷物を受け取る、という一連の手続きにより、荷物の受け渡しが完結する。
【0079】
このシステム10によれば、エンドユーザの名前及び住所を使用することなく、換言すれば、エンドユーザの住所が不明であっても、荷物の受け渡しを完結させることが可能であるので、エンドユーザの個人情報を極めて高い情報セキュリティレベルで保護しつつ、荷物の受け渡しを行い得る。
即ち、第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、エンドユーザのユーザIDを利用して、エンドユーザの住所地と荷物の受け取り場所を切り離し、さらに、受取人であるエンドユーザの都合、事情に合わせて荷物の配送先であるボックスを30を適宜指定、変更することができるため、ユーザーフレンドリーな荷物受け渡しサービスを実現することが可能となる。
【0080】
[第2実施形態]
つぎに、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、既に説明した構成要素と同一又は共通する構成要素については、同一符号を付してその説明を適宜省略する。
図5に示すように、第2実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10は、第1実施形態の構成に加えて、ボックス空き情報格納装置110を有する。
【0081】
ボックス空き情報格納装置110は、例えば、ETLにより実現することが可能である。
ETLは「Extract(抽出)、Transform(変換・加工)、Load(格納)」の頭文字をとった言葉で、システム内に散在するデータを統合的に管理するための仕組みであり、データの抽出・取得、取得したデータの変換や加工、変換・加工されたデータの格納といった一連の流れを提供する。
【0082】
上記のように構成された第2実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、事業者サーバ70及びユーザ端末90は、ボックス空き情報格納装置110にアクセスすることにより得られる情報に基づいて、或いは、ボックス空き情報格納装置110から配信される情報に基づいて、地域別、ブロック装置別、ボックスの大きさ別といったカテゴリ別に、ボックスの空き情報をリアルタイムでディスプレイ(不図示)に表示させることが可能となる。
【0083】
[第3実施形態]
つぎに、本発明の第3実施形態について説明する。図6に示すように、第3実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10は、第1実施形態の構成に加えて、課金サーバ120を有する。課金サーバ120は、ボックス30の使用状態に関する情報に基づいて、ボックス30の使用状態に基づく課金処理を行うコンピュータである。課金サーバ120は、事業者サーバ70及びユーザ端末90とネットワーク100を介して通信可能に接続されている。
【0084】
上記のように構成された第3実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、システム利用事業者は、エンドユーザからボックス30の事前予約があった場合や、ボックス30に荷物を収納後一定期間を経過しても引き取りがない場合などに、当該エンドユーザに対して課金を行うことが可能となる。
宅配ボックスは、配達業者が利用料を負担する仕組みが主流となるであろうが、コインロッカーのような利用形態は、配達事業者が入らず、当事者同士がやり取りする場合はロッカーの利用料金を当事者間で負担する必要があり、課金機能が必要となる。
【0085】
[第4実施形態]
つぎに、本発明の第4実施形態について説明する。図7に示すように、第4実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10における各ボックス30は、図2の構成に加えて、料金計算装置35を有する。料金計算装置35は、ボックス30に収納された荷物を撮影するための荷物撮影部35aと、撮影により得られた画像データに基づいて、当該荷物に関する料金を計算する料金計算部35bとを有する。
荷物撮影部35aは、例えば、ボックス30に荷物が収納されたことを検知するセンサ(図示省略)と、当該センサが荷物を検知したことに基づいて、ボックス30に収納された荷物を撮影するカメラ(図示省略)とを有する。料金計算部35bは、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。料金計算部35bにより計算された料金の情報は、例えば、ブロック装置20の操作受付装置40のタッチパネルディスプレイ41に即時表示可能であり、且つ、エンドユーザのユーザ端末90に送信可能である。
【0086】
上記のように構成された第4実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、エンドユーザが送りたい荷物を開いているボックス30に収納されたことを契機に、当該ボックス30内の荷物を自動で立体撮影し、当該荷物の大きさ、重さを自動計測するなどして、その場で当該荷物に関する料金を計算することが可能であり、当該ボックス30を有するブロック装置20の操作受付装置40のタッチパネルディスプレイ41に送料を即時に表示し、或いは、送料の情報を即時に送信して、エンドユーザに送料を知らせること
が可能となる。
【0087】
[第5実施形態]
つぎに、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10は、第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10における事業者サーバ70に、更なる機能を付加することにより実現される。
【0088】
より詳細には、第5実施形態における事業者サーバ70の荷物関連情報受信部73は、ボックス格納通知がエンドユーザのユーザ端末90に送信された後においても、当該ボックス格納通知に係る荷物に対する荷物受関連情報を再度受信可能である。
そして、荷物受渡関連情報送信部74は、荷物関連情報受信部73が再度受信した荷物関連情報に基づいて、当該エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用するブロック装置20の指定及びボックス30のサイズの指定を含む荷物受渡関連情報を管理サーバ80に再度送信可能である。
【0089】
すなわち、第5実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10では、図8に示すように、ボックス管理装置34と当該エンドユーザのユーザ端末90との間でのボックス格納通知IVの送受信が実行された後においても、当該ボックス格納通知IVに係る荷物すなわち、当該エンドユーザが当初指定したボックス30に届いた荷物について、当該エンドユーザのユーザ端末90から事業者サーバ70へ、再度の荷物関連情報Vを送信可能である。当該再度15の荷物関連情報Vは、当該エンドユーザが当初指定したボックス30とは別の場所のボックス30を再指定する情報(転送先指定情報)を含むものであり得る。
【0090】
事業者サーバ70は、再度の荷物関連情報Vを受信した場合、例えば、有料サービス確認通知VIをユーザ端末90に送信する。有料サービス確認通知VIは、エンドユーザに対し、荷物を受け取ったボックス30から別のボックス30へ転送するサービスは有料であることの承諾を求める通知であり、これを受信したユーザ端末90にはその通知の内容が表示される。有料サービス確認通知VIの内容に承諾したエンドユーザは、ユーザ端末90上で承諾操作を行う。これにより、ユーザ端末90から事業者サーバ70へ有料承諾通知VIIが送信される。
【0091】
事業者サーバ70は、有料承諾通知VIIを受信したならば、再度の荷物関連情報Vに基づいて、転送先のボックス30の指定を含む再度の荷物受渡関連情報VIIIを管理サーバ80に送信する。管理サーバ80は、事業者サーバ70から再度の荷物受渡関連情報VIIIを受信し、転送先のボックス30が備えるボックス管理装置34に、ユーザIDに紐づけられたユーザ端末90の情報を含む再度の使用予約情報VIIIIを送信する。ボックス管理装置34は、管理サーバ80から再度の使用予約情報VIIIIを受信し、自装置34を備えるボックス30が使用中であると判定したことに基づいて、転送先のボックス30への格納があった旨、荷物の受け取り場所及び荷物の受け取り方法を含む再度のボックス格納通知Xをエンドユーザのユーザ端末90に送信する。
【0092】
このように、第5実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、当初指定したボックス30に荷物が格納されたこと通知するボックス格納通知IVがエンドユーザ(受取人)に送信された後に、何らかの事情により、エンドユーザ(受取人)が当初指定したボックス30とは別の場所のボックス30で当該荷物を受け取る必要が生じた場合に、エンドユーザ(受取人)は、当該別の場所のボックス30を指定する再度の荷物関連情報Vを送信することにより、当初指定したボックス30から再指定したボックス30への転送指定を、ユーザ端末90からリモートで行うことができる。
このような転送サービスを有料サービスとし、エンドユーザ(受取人)の承諾を条件に提供することで、エンドユーザ(受取人)の利便性向上とシステム利用事業者の収益確保との両立に寄与しうる。なお、有料サービスの決算手段としては、クレジット、デービット、電子マネーなど、公知のオンライン決済手段を利用することができる。
【0093】
[第6実施形態]
つぎに、本発明の第6実施形態について説明する。図9に示すように、第6実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10は、第1実施形態の構成に加えて、ユーザID照会装置(ユーザID照会手段)130を有する。ユーザID照会装置130は、ネットワーク100に接続されている。ユーザID照会装置130は、エンドユーザのユーザIDを照会するためのコンピュータであり、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
エンドユーザはユーザ端末90を操作することにより、ネットワーク100経由でユーザID照会装置130にアクセスし、1又は複数の項目の情報を指定することにより、荷物を送付したいエンドユーザのユーザIDを照会し得る。
【0094】
上記のように構成された第6実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、例えば、エンドユーザの携帯電話番号、メールアドレス、生年月日、住所、登録パスワードなどの中から1又は複数の項目の情報を指定することにより、当該エンドユーザのユーザIDを照会することができるので、当該照会により判明したユーザIDを使用して、当該ユーザIDに該当するエンドユーザ(送付先)宛てに荷物などを送付することができる。
【0095】
なお、ユーザID照会装置130により照合可能なユーザIDは、一定の条件の下でユーザIDの照合が行われることにつき事前に承諾を得たエンドユーザのユーザIDに限定される。エンドユーザの個人情報などを保護するためである。
【0096】
また、上記の例では、ユーザID照会装置(ユーザID照会手段)130は、事業者サーバ70とは別体として構成されているが、事業者サーバ70と一体の装置として構成されてもよい。すなわち、事業者サーバ70は、図1の構成に加えて、エンドユーザのユーザIDを照会するためのユーザID照会部(ユーザID照会手段)を備えてもよい。
【0097】
[第7実施形態]
つぎに、本発明の第7実施形態について説明する。図10に示すように、第7実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10における各ボックス30のボックス管理装置34は、図2の構成に加えて、自装置34を備えるボックス30の扉31の施錠及び解錠の指示をネットワーク100経由で受け付ける遠隔錠操作受付部34dと、遠隔錠操作受付部34dが受け付けた指示に基づいて、自装置34を備えるボックス30を施錠又は解錠する錠装置34eとを有する。
【0098】
上記のように構成された第7実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、例えば、エンドユーザからシステム利用事業者に対し、当該システム利用事業者がサブスクライブ(加入)している特定のボックス30の利用に関する要望、クレーム、等があった場合に、当該システム利用事業者のオペレータは、当該特定のボックス30の扉を遠隔で施錠又は解錠することができる。
【0099】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前述した実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0100】
例えば、宅配事業等を行ういわゆるロジスティックス会社以外の、一般の商品、サービスの提供者である小規模な商店やサービス提供店等も、本実施形態に係る荷物受け渡しサービスシステム10のシステム利用事業者となることにより、販売した商品である荷物を顧客であるエンドユーザに、ボックス30を使用してエンドユーザの受け取り事情に合わせた形で届けることが可能となる。
【0101】
また、荷物をボックス30に収納する場合には公開鍵により格納することが望ましい。
この場合、格納した後、エンドユーザが受け取り時に使用する秘密鍵に相当するパスワード、QRコード(登録商標)を受取人にメール、SNS、自動音声電話で通知するように構成してもよい。
さらに、使用した公開鍵、秘密鍵に関する情報は、本実施の形態に係る荷物受け渡しサービスシステム10の運営者のオペレーションセンターにおいて、管理サーバ80と共に設置される管理コンソール上において、必要に応じてディスプレイに表示されるように構成してもよい。また、上記管理コンソールのディスプレイ上においては、各ボックス30の利用状況(空き状況)、各ボックス30の利用経過時間などがリアルタイムで閲覧できるようにすることが望ましい。また、BOX30をオペレーションセンターから遠隔操作により開閉できるように構成してもよい。
【0102】
また、例えば、あるボックス30に収納した荷物に関し、エンドユーザが指定した受け取り日から事前に取り決めた時間(例えば、3日間)を経過した場合には、当該エンドユーザに対してリマインダーメールを発信するように構成してもよい。
【0103】
また、本実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、操作受付装置40及び監視装置50からの情報に基づいて、ボックス30の操作状況及びブロック装置20及びその周辺の監視状況を、管理サーバ80などにより確認することが可能となる。ボックス30の操作状況に基づいて、エンドユーザにボックス30の使用に役立ち得る情報を提供したり、ブロック装置20及びその周辺の監視状況に基づいて、不正行為などに対処できるようにすることで、利便性及び安全性の高いサービスを提供し得る。
【0104】
たとえば、上記実施形態では、通信装置33は、遠隔操作によりサブスクライバーを設定可能なSIM又はソフトウェアモジュール33aを備え、当該SIM又はソフトウェアモジュールに複数のシステム利用事業者がサブスクライバーとして設定されていることとしたが、遠隔操作によりサブスクライバーを設定可能な複数のSIM又はソフトウェアモジュールを備え、システム利用事業者がサブスクライバーとして各SIM又はソフトウェアモジュールに設定されていることとしてもよい。
この場合、各ボックス30の通信装置33が複数のSIM又はソフトウェアモジュールを備えるので、各ボックス30の通信装置33の一部又は全部のSIM又はソフトウェアモジュールのサブスクライバーの設定を遠隔操作により行うことができるので、システム利用事業者毎の利用可能ボックスを、遠隔操作により容易に設定できる。
【0105】
また、上記実施形態において、ブロック装置20単位でサーバを設置してもよい。また、ボックス30の使用状態を検知するためには、ボックス30の扉31が閉まっている必要があるので、ボックス30の扉31が開け放しなることを防ぐために、扉31が開いているときには、音楽や所定のメッセージを流して扉31を閉めるようにエンドユーザなどに促すことが望ましい。また、監視装置50のカメラで撮影した画像は、日中はブロック装置20が備える記憶装置に保存しておき、夜間等、通信料金の安い時間帯に管理サーバ80等に送信し保存することが望ましい。
【0106】
また、上記実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10は、ロッカーシステムとしても利用可能である。より詳細には、荷物受け渡しサービスシステム10のブロック装置20を空港や駅の構内等に設置しておき、当該空港や駅に到着した旅行者等(エンドユーザ)がボックス30に荷物を格納する(預ける)と、当該ボックス30のサブスクライバーとして登録されたシステム利用事業者或いは当該システム利用事業者と業務提携した現地の輸送業者が、当該荷物を現地の宿泊先に運搬するサービスを実現することができる。
その際、ボックス30を宅配ボックスとして利用するか又はロッカーとして使用するかの選択を、旅行者等(エンドユーザ)が、例えば、システム利用事業者が提供するマイページ画面上で選択できるようにしておくことで、宅配ボックスとしてもロッカーとしても使用可能な利便性の高い荷物受け渡しサービスシステム10を実現できる。
【0107】
より具体的には、旅行者等(エンドユーザ)がボックス30をロッカーとして使用することを選択し、使用したいボックス30を指定(予約)し、クレジットその他で支払いを行うと、システム利用事業者から、ボックス30の扉31を開ける鍵(パスワード)としてのQRコード(登録商標)が発行され、旅行者等(エンドユーザ)がそのQRコード(登録商標)をたとえばブロック装置20にかざすと、当該ボックス30が開く。
そして、旅行者等(エンドユーザ)が当該ボックス30に荷物を入れ、当該ボックス30の扉31を閉め、施錠後、そのキー(QRコード(登録商標))を運搬業者にメール、SNSなどで送付すると、運搬業者がその荷物をピックアップして、ホテルや旅館など指定した場所に運搬するといった、新規なロッカーシステムの実現が可能となる。
【0108】
さらに、本システムにおいて以下のような構成とすることも可能である。
i:本システムを利用課金制として本システムに決済機能を付加し、事業者が決済登録することにより決済できるようにしてもよい。
ii:エンドユーザの利用料に関しては、クレジットカード、ICカードポイントによる支払いも可能なようにして構成してもよい。
iii:本システムを利用する事業者(ロジスティクス会社、ECサイト、EC販売業者、商店、サービス提供店等)は、本システム運営者に対して、本システム設置運営料金の一部をワンタイムで支払うと共に、利用料をトランザクションごとに毎月清算するようにしてもよい。
iv:事業者は、本システム利用にあたっては、ブロック20ごとに選択できるようにしてもよい。これにより、普及の一番の障害である設置交渉と設置費用の負担を公平に加盟事業者で負担する仕組みを構築できるので、普及が進むことが期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、広く荷物受け渡しサービスシステムに適用することができるので、産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0110】
10 荷物受け渡しサービスシステム
20 ブロック装置
30 ボックス
33 通信装置
33a SIM等又はソフトウェアモジュール
34 ボックス管理装置
34a 使用状態判定部
34b 使用状態送信部
34c ボックス格納通知送信部
35 料金計算装置
35a 荷物撮影部
35b 料金計算部
34d 遠隔錠操作受付部
34e 錠装置
40 操作受付装置
50 監視装置
60 ブロック装置用通信装置
70 事業者サーバ
71 使用状態受信部
72 使用状態表示制御部
73 荷物関連情報受信部
74 荷物受渡関連情報送信部
80 管理サーバ
81a 荷物受渡受付部
81b ボックス選定部
81c 使用予約送信部
90 ユーザ端末
100 ネットワーク
110 ボックス空き情報格納装置
120 課金サーバ
130 ユーザID照会装置(ユーザID照会手段)
GA 使用状態表示画面
GB 使用状態表示画面
GC 使用状態表示画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-06-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を収容可能な複数のボックスを備えるブロック装置を有する荷物受け渡しサービスシステムであって、
前記ボックスは、各々複数のシステム利用事業者をサブスクライバーとして設定可能な通信装置を備え、
前記ボックスは、前記システム利用事業者が使用権原を有する事業者サーバと前記通信装置を介して通信可能なボックス管理装置を有し、
前記ボックス管理装置は、自装置を備える前記ボックスの使用状態に変化が生じたことをトリガにして、当該ボックスの使用状態に関する情報を送信し、
前記通信装置は、遠隔操作によりサブスクライバーを設定可能なSIM、Sigfox,LoRaWANなどの通信装置、又はソフトウェアモジュールを備え、当該SIM、Sigfox,LoRaWANなどの通信装置、又はソフトウェアモジュールに複数のシステム利用事業者がサブスクライバーとして設定され、
前記荷物受け渡しサービスシステムは、
前記ボックスによる荷物受け渡しを管理する管理サーバを有し、
前記ブロック装置は、前記ボックスの使用に際し、所定の操作を受け付ける操作受付部を有し、
前記ボックス管理装置は、前記通信装置を介して前記管理サーバ及びエンドユーザのユーザ端末と通信可能であり、
前記事業者サーバは、
前記ユーザ端末から、前記エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用する前記ブロック装置の指定及び前記荷物の指定を含む荷物関連情報を受信する荷物関連情報受信部と、
前記荷物関連情報受信部が受信した荷物関連情報に基づいて、前記エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用する前記ブロック装置の指定及び前記ボックスのサイズの指定を含む荷物受渡関連情報を前記管理サーバに送信する荷物受渡関連情報送信部を有し、
前記管理サーバは、前記荷物受渡関連情報を受信する荷物受渡受付部と、
前記荷物受渡受付部が受信した前記荷物受渡関連情報に基づいて、荷物受け渡しに使用する前記ブロック装置の前記ボックスを選定するボックス選定部と、
前記ボックス選定部が選定した前記ボックスが備える前記ボックス管理装置に、前記ユーザIDに紐づけられた前記ユーザ端末の情報を含む使用予約情報を送信する使用予約送信部と、を有し、
前記ボックス管理装置は、
前記操作受付部が前記所定の操作を受け付けた後に自装置を備える前記ボックスが施錠されたことに基づいて、自装置を備える前記ボックスが使用中であると判定する使用状態判定部と、
前記使用状態判定部が、自装置を備える前記ボックスが使用中であると判定したことに基づいて、前記荷物の前記ボックスへの格納があった旨、前記荷物の受け取り場所及び前記荷物の受け取り方法を含むボックス格納通知を前記エンドユーザのユーザ端末に送信するボックス格納通知送信部と、を有することを特徴とする荷物受け渡しサービスシステム。
【請求項2】
前記ブロック装置は、
前記ブロック装置及びその周辺を監視するための監視装置と、
前記操作受付部による受付情報及び前記監視装置による監視情報を送信するブロック装置用通信装置と、を備えていることを特徴とする請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステム。
【請求項3】
前記ボックスに配備されている、前記SIM、Sigfox,LoRaWANなどの通信装置若しくはソフトウェアモジュールがイベント駆動のプログラミングにより、それぞれのボックスに対して前記システム利用事業者から予約が入るというイベント、荷物が前記ボックスに格納され「使用中」の状態になるというイベント、又は荷物が前記ボックスから排出されボックスが「空き」の状態になるイベントのいずれかが発生した場合には、その都度、前記イベントがあったことをパブリッシング(発行)し、それぞれのボックスにサブスクライブ(加入)している前記システム利用事業者に対して前記イベントが発生した旨が通知されることを特徴とする請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステム。
【請求項4】
複数の前記ブロック装置の前記ボックスの使用状態に関する情報をリアルタイムで収集し、前記ボックスの大きさなどのカテゴリ別の空き情報を格納するボックス空き情報格納装置を有することを特徴とする請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステム。
【請求項5】
前記ボックスの使用状態に関する情報に基づいて、前記ボックスの使用状態に基づく課金処理を行う課金サーバを有することを特徴とする請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステム。
【請求項6】
前記ボックスは、当該ボックスに格納された荷物を撮影し、撮影により得られた立体画像データに基づいて、当該荷物に関する料金を計算する料金計算装置を有することを特徴とする請求項5記載の荷物受け渡しサービスシステム。
【請求項7】
前記荷物関連情報受信部は、
前記ボックス格納通知が前記エンドユーザのユーザ端末に送信された後においても、当該ボックス格納通知に係る前記荷物に対する再度の荷物受関連情報を受信可能であり、前記荷物受渡関連情報送信部は、
前記荷物関連情報受信部が受信した再度の荷物関連情報に基づいて、前記エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用する前記ブロック装置の指定及び前記ボックスのサイズの指定を含む再度の荷物受渡関連情報を前記管理サーバに送信可能であることを特徴とする請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステム。
【請求項8】
前記エンドユーザのユーザIDを照会するためのユーザID照会手段を有することを特徴とする請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステム。
【請求項9】
前記ボックス管理装置は、自装置を備える前記ボックスの施錠及び解錠の指示をネットワーク経由で受け付ける遠隔錠操作受付部と、前記錠操作受付部が受け付けた指示に基づいて、自装置を備える前記ボックスを施錠又は解錠する錠装置と、を備えることを特徴とする請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック装置を利用した荷物受け渡しサービスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
荷物を収容可能な複数のボックス(ロッカーとも称される)を備えるブロック装置(ハコポス、宅配ボックス、宅配ステーション、等とも称される)を駅などの公共施設や集合住宅のロビーなどに設置することにより、エンドユーザと荷物配送者との間で、ブロック装置を介して荷物の受け渡し、すなわち荷送り、着荷及び荷受けを行うことができるができるようにした荷物受け渡しサービスが知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-000378号公報
【特許文献2】特開2023-007209号公報
【特許文献3】特開2020-095720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したブロック装置を利用した荷物受け渡しサービスを普及させるためには、ブロック装置を各所に設置する必要がある。しかし、ブロック装置を各所に設置するためには、設置場所の不動産所有者との交渉や契約などを、ブロック装置ごとに行う必要があるため、多額の資金と労力を必要とする。
このため、現在、ヤマト運輸株式会社、日本郵政株式会社といった、宅配事業を行う大規模事業者がこの種のサービスに参加しているのみであり、通信販売事業者や小規模事業者が参加できる状況には至っていない。すなわち、中小のロジスティクス企業がブロック装置を利用した荷物受け渡しサービスを実施することは、現状では容易ではない。
また、現在の荷物受け渡しサービスにあっては、再配達に要する労力が問題となっており、特に、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることにより発生する、いわゆる「2024年問題」を解決する必要があるが、従来の荷物受け渡しサービスでは有効に対応できない可能性がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、宅配事業を行う大規模事業者のみならず、通信販売事業者や小規模物流事業者、小売店なども、ブロック装置を利用した荷物受け渡しサービスを容易に実施できるようにして、ブロック装置を利用した荷物受け渡しサービスの普及を促進することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、荷物を収容可能な複数のボックスを備えるブロック装置を有する荷物受け渡しサービスシステムであって、前記ボックスは、各々複数のシステム利用事業者をサブスクライバーとして設定可能な通信装置を備え、前記ボックスは、前記システム利用事業者が使用権原を有する事業者サーバと前記通信装置を介して通信可能なボックス管理装置を有し、前記ボックス管理装置は、自装置を備える前記ボックスの使用状態に変化が生じたことをトリガにして、当該ボックスの使用状態に関する情報を送信し、前記通信装置は、遠隔操作によりサブスクライバーを設定可能なSIM、Sigfox,LoRaWANなどの通信装置、又はソフトウェアモジュールを備え、当該SIM、Sigfox,LoRaWANなどの通信装置、又はソフトウェアモジュールに複数のシステム利用事業者がサブスクライバーとして設定され、前記荷物受け渡しサービスシステムは、前記ボックスによる荷物受け渡しを管理する管理サーバを有し、前記ブロック装置は、前記ボックスの使用に際し、所定の操作を受け付ける操作受付部を有し、前記ボックス管理装置は、前記通信装置を介して前記管理サーバ及びエンドユーザのユーザ端末と通信可能であり、前記事業者サーバは、前記ユーザ端末から、前記エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用する前記ブロック装置の指定及び前記荷物の指定を含む荷物関連情報を受信する荷物関連情報受信部と、前記荷物関連情報受信部が受信した荷物関連情報に基づいて、前記エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用する前記ブロック装置の指定及び前記ボックスのサイズの指定を含む荷物受渡関連情報を前記管理サーバに送信する荷物受渡関連情報送信部を有し、前記管理サーバは、前記荷物受渡関連情報を受信する荷物受渡受付部と、前記荷物受渡受付部が受信した前記荷物受渡関連情報に基づいて、荷物受け渡しに使用する前記ブロック装置の前記ボックスを選定するボックス選定部と、前記ボックス選定部が選定した前記ボックスが備える前記ボックス管理装置に、前記ユーザIDに紐づけられた前記ユーザ端末の情報を含む使用予約情報を送信する使用予約送信部と、を有し、前記ボックス管理装置は、前記操作受付部が前記所定の操作を受け付けた後に自装置を備える前記ボックスが施錠されたことに基づいて、自装置を備える前記ボックスが使用中であると判定する使用状態判定部と、前記使用状態判定部が、自装置を備える前記ボックスが使用中であると判定したことに基づいて、前記荷物の前記ボックスへの格納があった旨、前記荷物の受け取り場所及び前記荷物の受け取り方法を含むボックス格納通知を前記エンドユーザのユーザ端末に送信するボックス格納通知送信部と、を有することを特徴とする荷物受け渡しサービスシステムである。
【0007】
請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、ブロック装置を構成する各ボックスが各々複数のシステム利用事業者をサブスクライバーとして設定可能な通信装置を備えることにより、同一ボックスを複数のシステム利用事業者が共同して利用できるようになる。
すなわち、各システム利用事業者は、自身がサブスクライバーとして設定されている通信装置を利用して、当該通信装置を備える数十から数十万個に達する膨大な数量のボックスの利用状況(空き状況)を、一定の期間毎に同期することをせずに、リアルタイムで確認し、当該利用状況に基づいて、荷物受け渡しサービスを実施できる。
【0008】
よって、請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、システム利用事業者は、ブロック装置の設置に関する不動産所有者などとの交渉や契約などを行うことなく、システム運営者とボックス単位で利用契約をすることにより、容易に荷物受け渡しサービスを実施できる。
【0009】
したがって、請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、宅配事業を行う大規模事業者のみならず、二次受け、三次受けの運送会社、通信販売事業者や小規模事業者なども、ブロック装置を利用した荷物受け渡しサービスを容易に実施できるようにして、ブロック装置を利用した荷物受け渡しサービスの普及を促進することができる。
【0010】
請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、各ボックス管理装置は、自装置を備えるボックスの使用状態に変化する毎に、すなわち使用状態が「空き」から「使用中」になる毎に及び「使用中」から「空き」になる毎に、当該ボックスの使用状態に関する情報を通信装置を介して発信する。
【0011】
システム利用事業者は、自身がシステム利用事業者に設定されている通信装置を備えるボックスの使用状態に変化が生じる毎に、当該通信装置から送られてくる情報を受信する。これにより、各システム利用事業者は、自身がシステム利用事業者に設定されている通信装置を備えるボックスの使用状態をリアルタイムで確認し、当該使用状態に基づいて、自事業者の荷物受け渡しサービスを実施できる。
【0012】
請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、各ボックスの通信装置のSIM等又はソフトウェアモジュールの一部又は全部のサブスクライバーの設定を遠隔操作により行うことができるので、システム利用事業者毎の利用可能ボックスを、遠隔操作により容易に設定できる。
【0013】
請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステムは、ユーザ端末は、エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用するブロック装置の指定及び荷物の指定を含む荷物関連情報を事業者サーバに送信し、事業者サーバは、荷物関連情報をユーザ端末から受信し、荷物受け渡しに使用するブロックの指定及びボックスのサイズの指定を含む荷物受渡関連情報を管理サーバに送信する。
【0014】
管理サーバは、事業者サーバから荷物受渡関連情報を受信し、荷物受け渡しに使用するボックスが備えるボックス管理装置に、ユーザIDに紐づけられたユーザ端末の情報を含む使用予約情報を送信する。ボックス管理装置は、管理サーバから荷物受渡関連情報を受信し、自装置を備えるボックスが使用中であると判定したことに基づいて、荷物のボックスへの格納があった旨、荷物の受け取り場所(ブロック装置の場所、ブロック装置の番号、等)及び荷物の受け取り方法を含むボックス格納通知(配送された荷物が格納されているボックスの番号、開錠用のパスコード、QRコード(登録商標)等を含む通知)をエンドユーザのユーザ端末に送信する。
【0015】
よって、請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、エンドユーザ(荷受人)は、システム利用事業者に対し、荷物の受け取りを希望するブロック装置及び荷物を指定(例えば、荷物を配送依頼、荷物である商品を購入、等)し、システム利用事業者は、ブロック装置及びボックスのサイズを指定して荷物を発送し、エンドユーザは、ボックス格納通知に基づいて、ボックスから荷物を受け取る、という一連の手続きにより、荷物の受け渡しが完結する。
【0016】
このシステムによれば、エンドユーザの名前及び住所を使用することなく、換言すれば、エンドユーザの住所が不明であっても、あるいは、荷物の発送後であっても希望する場所で荷物の受け渡しを完結させることが可能であるので、エンドユーザの個人情報をVPN等により極めて高い情報セキュリティレベルで保護しつつ、荷物の受け渡しを行い得る。
【0017】
請求項2記載の発明にあっては、前記ブロック装置は、前記ブロック装置及びその周辺を監視するための監視装置と、前記操作受付部による受付情報及び前記監視装置による監視情報を送信するブロック装置用通信装置と、を備えていることを特徴とする請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステムである。
【0018】
請求項2記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、操作受付装置及び監視装置からの情報に基づいて、前記ボックスの操作状況及びブロック装置及びその周辺の監視状況を、管理サーバなどにより確認することが可能となる。ボックスの操作状況に基づいて、エンドユーザにボックスの使用に役立ち得る情報を提供したり、ブロック装置及びその周辺の監視状況に基づいて、不正行為などに対処したりすることで、利便性及び安全性の高いサービスを提供し得る。
【0019】
請求項3記載の発明は、前記ボックスに配備されている、前記SIM、Sigfox,LoRaWANなどの通信装置若しくはソフトウェアモジュールがイベント駆動のプログラミングにより、それぞれのボックスに対して前記システム利用事業者から予約が入るというイベント、荷物が前記ボックスに格納され「使用中」の状態になるというイベント、又は荷物が前記ボックスから排出されボックスが「空き」の状態になるイベントのいずれかが発生した場合には、その都度、前記イベントがあったことをパブリッシング(発行)し、それぞれのボックスにサブスクライブ(加入)している前記システム利用事業者に対して前記イベントが発生した旨が通知されることを特徴とする請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステムである。
【0020】
請求項3記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、本荷物受け渡しシステムのユーザであるシステム利用事業者は、リアルタイムで、自分がサブスクライブ(加入)している各ブロックの各ボックスの利用状況を把握できることにより、空いているボックスに予約し利用をすることが可能となる。
【0021】
請求項4記載の発明は、複数の前記ブロック装置の前記ボックスの使用状態に関する情報をリアルタイムで収集し、前記ボックスの大きさなどのカテゴリ別の空き情報を格納するボックス空き情報格納装置を有することを特徴とする請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステムである。
【0022】
請求項4記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、事業者サーバ及びユーザ端末は、ボックス空き情報格納装置にアクセスすることにより得られる情報に基づいて、或いは、ボックス空き情報格納装置から配信される情報に基づいて、地域別、ブロック装置別、ボックスの大きさ別といったカテゴリ別に、ボックスの空き情報をリアルタイムでディスプレイに表示させることが可能となる。
【0023】
請求項5記載の発明は、前記ボックスの使用状態に関する情報に基づいて、前記ボックスの使用状態に基づく課金処理を行う課金サーバを有することを特徴とする請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステムである。
【0024】
請求項5記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、システム利用事業者は、エンドユーザからボックスの事前予約があった場合や、ボックスに荷物を収納後一定期間を経過しても引き取りがない場合などに、当該エンドユーザに対して課金を行うことが可能となる。
【0025】
請求項6記載の発明は、前記ボックスは、当該ボックスに格納された荷物を撮影し、撮影により得られた立体画像データに基づいて、当該荷物に関する料金を計算する料金計算装置を有することを特徴とする請求項5記載の荷物受け渡しサービスシステムである。
【0026】
請求項6記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、エンドユーザが送りたい荷物を開いているボックスに収納すると、当該ボックスは自ボックス内の荷物を撮影して、大きさを自動計測するなどして、その場で当該荷物に関する料金を計算することができる。これにより、当該ボックスを有するブロック装置のディスプレイに料金を即時に表示したり、メッセージを即時に送信したりして、例えばエンドユーザの承諾を得た後に、当該エンドユーザに対し課金を行い、配送許可を行うことが可能となる。
【0027】
請求項7記載の発明は、前記荷物関連情報受信部は、前記ボックス格納通知が前記エンドユーザのユーザ端末に送信された後においても、当該ボックス格納通知に係る前記荷物に対する再度の荷物受関連情報を受信可能であり、前記荷物受渡関連情報送信部は、前記荷物関連情報受信部が受信した再度の荷物関連情報に基づいて、前記エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用する前記ブロック装置の指定及び前記ボックスのサイズの指定を含む再度の荷物受渡関連情報を前記管理サーバに送信可能であることを特徴とする請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステムである。
【0028】
請求項7記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、当初指定したボックスに荷物が格納されたこと通知するボックス格納通知がエンドユーザ(受取人)に送信された後に、何らかの事情により、エンドユーザ(受取人)が当初指定したボックスとは別の場所のボックスで当該荷物を受け取る必要が生じた場合に、エンドユーザ(受取人)は、当該別の場所のボックスを指定する荷物関連情報を再送信することにより、当初指定したボックスから再指定したボックスへの転送指定を、ユーザ端末からリモートで行うことができる。
【0029】
請求項8記載の発明は、前記エンドユーザのユーザIDを照会するためのユーザID照会手段を有することを特徴とする請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステムである。
【0030】
請求項8記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、例えば、エンドユーザの携帯電話番号、メールアドレス、生年月日、住所、登録パスワードなどの中から1又は複数の項目の情報を指定することにより、当該エンドユーザのユーザIDを照会することができるので、当該照会により判明したユーザIDを使用して、当該ユーザIDに該当するエンドユーザ(送付先)宛てに住所を指定せず、送付先のID宛に荷物などを送付することができる。受診人は、自分のIDに荷物の発送されたことをSMSなどで通知を受け、自らが希望するブロックのボックスや住所に配達指定を行うことができる。
【0031】
請求項9記載の発明は、前記ボックス管理装置は、自装置を備える前記ボックスの施錠及び解錠の指示をネットワーク経由で受け付ける遠隔錠操作受付部と、前記錠操作受付部が受け付けた指示に基づいて、自装置を備える前記ボックスを施錠又は解錠する錠装置と、を備えることを特徴とする請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステムである。
【0032】
請求項9記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、例えば、エンドユーザからシステム利用事業者に対し、当該システム利用事業者がサブスクライブ(加入)している特定のボックスの利用に関する要望、クレーム、等があった場合に、当該システム利用事業者のオペレータは、当該特定のボックスの扉を遠隔で施錠又は解錠することができる。
【発明の効果】
【0033】
請求項1に係る発明によれば、宅配事業を行う大規模事業者のみならず、通信販売事業者や小規模事業者なども、ブロック装置を利用した荷物受け渡しサービスを容易に実施できるようにして、ブロック装置を利用した荷物受け渡しサービスの普及を促進するこができる。
【0034】
以上に加え、本発明によれば、システム利用事業者は、現行のサービスでは不可能な、事前に各ボックスの空き状況を確認して各ボックスを予約でき、予約したボックスに対して配達指定をするように構成されていることから、理論上は、再配達を撲滅することが可能となる。
【0035】
その結果、これにより、物流業界で危惧される「2024年問題」を解決する有力な切り札になり得る。更には、再配達の撲滅は、無駄な労力の削減ばかりでなく無駄なエネルギーの消費も抑制し、CO2の増加を防ぐことにより、環境にも優しいソリューションとなりうる。
【0036】
更に、各システム利用事業者は、自身がシステム利用事業者に設定されている通信装置を備えるボックスの使用状態をリアルタイムで確認し、当該使用状態に基づいて、自事業者の荷物受け渡しサービスを実施できる。
【0037】
更に、システム管理者は、システム利用事業者毎の利用可能ボックスを、遠隔操作により容易に設定できる。
【0038】
更に、エンドユーザの名前及び住所を使用することなく、換言すれば、エンドユーザの住所が不明であっても、荷物の受け渡しを完結させることが可能であるので、エンドユーザの個人情報を極めて高い情報セキュリティレベルで保護しつつ、荷物の受け渡しを行い得る。
【0039】
請求項2に係る発明によれば、更に、ボックスの操作状況及びブロック装置及びその周辺の監視状況を、管理サーバなどにより確認することが可能となるので、利便性及び安全性の高いサービスを提供し得る。
【0040】
請求項3に係る発明によれば、荷物受け渡しシステムのユーザであるシステム利用事業者は、リアルタイムで、自分がサブスクライブ(加入)している各ブロックの各ボックスの利用状況が把握することができることにより、空いているボックスに確実に予約し利用をすることが可能となり、当該ブロックに空きがない場合は、近隣のブロックを検索機能で検知し、利用状況を確認できるため、荷物を確実に荷物の受取人であるエンドユーザに引き渡すことが可能となり、いわゆる再配達問題を有効に解決することが可能となる。
その結果、再配達問題が内包する、宅配ドライバーの宅配効率、労働生産性の低下、及び、再配達のためのトラック稼働によるエネルギーの無駄使い、二酸化炭素排出量の上昇、という問題を有効に解決することができる。
【0041】
請求項4記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、事業者サーバ及びユーザ端末は、ボックス空き情報格納装置にアクセスすることにより得られる情報に基づいて、或いは、ボックス空き情報格納装置から配信される情報に基づいて、地域別、ブロック装置別、ボックスの大きさ別といったカテゴリ別に、ボックスの空き情報をリアルタイムでディスプレイ(不図示)に表示させることが可能となる。
【0042】
請求項5記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、システム利用事業者は、エンドユーザからボックスの事前予約があった場合や、ボックスに荷物を収納後一定期間を経過しても引き取りがない場合などに、当該エンドユーザに対して課金を行うことが可能となる。
【0043】
請求項6記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、エンドユーザが送りたい荷物を空いているボックスに収納すると、当該ボックスは自ボックス内の荷物を撮影して、大きさを自動計測するなどして、その場で当該荷物に関する料金を計算することができる。
これにより、当該ボックスを有するブロック装置のディスプレイに料金を即時に表示したり、メッセージを即時に送信したりして、例えばエンドユーザの承諾を得た後に、当該エンドユーザに対し課金を行うことが可能となる。
【0044】
請求項7記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、当初指定したボックスに荷物が格納されたこと通知するボックス格納通知がエンドユーザ(受取人)に送信された後に、何らかの事情により、エンドユーザ(受取人)が当初指定したボックスとは別の場所のボックスで当該荷物を受け取る必要が生じた場合に、エンドユーザ(受取人)は、当該別の場所のボックスを指定する荷物関連情報を再送信することにより、当初指定したボックスから再指定したボックスへの転送指定を、ユーザ端末からリモートで行うことができる。
【0045】
請求項8記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、例えば、エンドユーザの携帯電話番号、メールアドレス、生年月日、住所、登録パスワードなどの中から1又は複数の項目の情報を指定することにより、当該エンドユーザのユーザIDを照会することができるので、当該照会により判明したユーザIDを使用して、当該ユーザIDに該当するエンドユーザ(送付先)宛てに荷物などを送付することができる。
【0046】
請求項9記載の荷物受け渡しサービスシステムによれば、例えば、エンドユーザからシステム利用事業者に対し、当該システム利用事業者がサブスクライブ(加入)している特定のボックスの利用に関する要望、クレーム、等があった場合に、当該システム利用事業者のオペレータは、当該特定のボックスの扉を遠隔で写真撮影、同写真の伝送、更には当該ボックスの施錠又は解錠することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステムを示すブロック図である。
図2】第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステムに使用されるボックスの機能ブロック図である。
図3】第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステムにおける使用状態表示画面の表示例を示す説明図である。
図4】第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステムのフロー図である。
図5】第2実施形態の荷物受け渡しサービスシステムを示すブロック図である。
図6】第3実施形態の荷物受け渡しサービスシステムを示すブロック図である。
図7】第4実施形態の荷物受け渡しサービスシステムに使用されるボックスの機能ブロック図である。
図8】第5実施形態の荷物受け渡しサービスシステムのフロー図である。
図9】第6実施形態の荷物受け渡しサービスシステムを示すブロック図である。
図10】第7実施形態の荷物受け渡しサービスシステムに使用されるボックスの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明を実施するための形態について、添付図面を用いて説明する。
[第1実施形態]
[構成]
図1に示すように、第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10は、複数のブロック装置20と、複数の事業者サーバ70と、管理サーバ80と、を有する。ブロック装置20(より正確には、後述する通信装置33及びブロック専用通信装置60)と、事業者サーバ70と、管理サーバ80は、ネットワーク100を介して互いに通信可能に接続されている。
また、ネットワーク100には、荷物の受取人であるエンドユーザのユーザ端末90が接続される。ユーザ端末90は、ネットワーク100を介して、ブロック装置20(より正確には、後述する通信装置33)、事業者サーバ70及び管理サーバ80と互いに通信可能である。ネットワーク100には、インターネット、WAN、LAN、移動体通信網、等が含まれる。
【0049】
[ブロック装置の構成]
ブロック装置20は、荷物受け渡しサービスシステム10の運営事業者により、駅などの公共施設や集合住宅のロビーなど各所に設置される。ブロック装置20は、荷物を収容可能な複数のボックス30と、ボックス30の操作を行うための操作受付装置40と、ブロック装置20及びその周辺を監視するための監視装置50と、操作受付装置40による受付情報及び監視装置50による監視情報を送信するブロック装置用通信装置60と、を備える。
ブロック装置20は、複数種類のサイズ(例えば、レターボックスサイズ、Mサイズ、Lサイズの3種類のサイズ)のボックス30を備えている。
【0050】
[ボックスの構成]
各ボックス30は、荷物出入口を開閉可能な扉31と、扉31を開施錠可能な電子錠装置32と、各々複数のシステム利用事業者を設定可能な通信装置33と、通信装置33を介して事業者サーバ70、管理サーバ80及びエンドユーザのユーザ端末90と通信可能なボックス管理装置34とを備える。
通信装置33は、図2に示すように、遠隔操作によりサブスクライバーを設定可能なSIM等又はソフトウェアモジュール33aを備え、当該SIM等又はソフトウェアモジュール33aに複数のシステム利用事業者がサブスクライバーとして設定されている。システム利用事業者には、例えば、宅配事業を行う大規模事業者のみならず、所謂ネット通販を行う大規模通信販売事業者や小規模事業者(中小零細企業、個人事業者)などが含まれる。
この場合、各ボックスに全てSIMを搭載してボックス30を構成する場合には、各SIMのIDを管理サーバ80に登録することによりSIMをボックス30を構成する要素として認識せしめることが可能となる。従って、この場合には、有線の電源ケーブルはボックス30には不要である。
一方、各ボックス30にSIMではなくソフトウェアモジュールを設置する場合は、有線の電源ケーブルによりソフトウェアモジュールを管理サーバと接続して連携させるように構成する必要がある。
【0051】
遠隔操作により複数のサブスクライバーを設定可能なSIM33aとして利用可能な技術として、例えば、株式会社ソラコム(登録商標)が提供するSORACOM(登録商標)IoT SIMを挙げることができる。すなわち、例えば、SORACOM(登録商標)IoT SIMのサブスクリプションコンテナ機能と称される機能により、所定数までの複数のシステム利用事業者をサブスクライバーとして設定することができる。
ボックス管理装置34は、使用状態判定部34aと、使用状態送信部34bと、ボックス格納通知送信部34cとを有する。使用状態判定部34a、使用状態送信部34b及びボックス格納通知送信部34cは、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
【0052】
使用状態判定部34aは、ボックス30の使用状態を判定する。具体的には、使用状態判定部34aは、自装置34を備えるボックス30の使用を開始するための所定の操作を操作受付装置40が受け付けた後に自装置34を備えるボックス30が施錠されたことに基づいて、自装置34を備えるボックス30が使用中であると判定する。
また、使用状態判定部34aは、自装置34を備えるボックス30から荷物を受け取るための所定の操作を操作受付装置40が受け付けた後に自装置34を備えるボックス30が開錠されたことに基づいて、自装置34を備えるボックス30が使用中ではなくなった、すなわち空きになったと判定する。
【0053】
使用状態送信部34bは、自装置34を備えるボックス30の使用状態に変化が生じたことをトリガにして、当該ボックス30の使用状態に関する情報(以下、「使用状態情報」とも称す)を、通信装置33を介して事業者サーバ70、管理サーバ80及びユーザ端末90に送信する、所謂イベント駆動型の機能ブロックである。
この場合、使用状態送信部34bは、個別のブロック装置20のボックス30の個数状況により以下のような異なる送信制御を行う。
一つのブロック装置20が、所定個数以下(例えば5個程度)のボックスであるような場合には、使用状態送信部34bは、使用状態が「空き」から「使用中」になる毎に及び「使用中」から「空き」になる毎に、当該ボックスの使用状態情報を、事業者サーバ70、管理サーバ80及びユーザ端末90に送信する。
一方、上記のように。一つのブロック装置20に所定個数以上の多数のボックス30、例えば、30個程度のボックス30があり、かつ、各ボックス30のサイズも、レターボックスサイズ、Mサイズ、Lサイズ等の複数種類があるような場合には、ボックス30の使用状態情報が非常に多岐にわたることとなる。
従って、このような場合には、使用状態送信部34bは、先ず、使用状態情報を事業者サーバ70へ送信する。この場合、後述のように、事業者サーバ70はこの使用状態情報に基づき多数のボックス30の使用状態の計算、集計を行う。
使用状態送信部34bの機能は、例えば、PUB/SUBと称されるリアルタイムにメッセージをやりとりできるメッセージングサービスを利用することにより実現され得る。
【0054】
ボックス格納通知送信部34cは、使用状態判定部34aが、自装置34を備えるボックス30が使用中となったと判定した場合には、直ちに、ボックス30への格納があった旨、荷物の受け取り場所及び荷物の受け取り方法を含むボックス格納通知をエンドユーザのユーザ端末90に送信する。
なお、ボックス30にはボックスIDを設定し、ブロック装置20に設定されるIDと共に、ボックス30に表示するように構成してもよい。
【0055】
[操作受付装置、監視装置及びブロック装置用通信装置の構成]
操作受付装置40は、ブロック装置20の前面部に設けられる。操作受付装置40は、例えば、タッチパネルディスプレイ41を有する。
操作者は、操作受付装置40のタッチパネルディスプレイ41の表示内容を見ながら、テンキーなど操作子の表示位置をタッチすることにより、各種指示及び情報の入力を行うことができる。タッチパネルディスプレイ41には、ブロック装置20のID(ブロックID)及びボックス30のID(ボックスID)が表示され得る。エンドユーザは、タッチパネルディスプレイ41に表示されたQRコード(登録商標)をユーザ端末90で読み取ることにより、荷物受け渡しサービスシステム10に関連するウエブサイトなどにアクセスして、各種情報を入手したり各種サービスを利用したりすることができる。
【0056】
監視装置50は、ブロック装置20の上部、ブロック装置20が設置された部屋の天井、等に設けられる。監視装置50は、カメラを有し、ブロック装置20及びその近辺を撮影する。
【0057】
ブロック装置用通信装置60は、操作受付装置40に入力された情報を、ボックス管理装置34及び管理サーバ80に送信する。また、ブロック装置用通信装置60は、監視装置250による撮影情報を、管理サーバ80に送信する。
【0058】
[事業者サーバの構成]
事業者サーバ70は、システム利用事業者が使用権原を有するコンピュータである。事業者サーバ70は、使用状態受信部71と、使用状態表示制御部72と、荷物関連情報受信部73と、荷物受渡関連情報送信部74とを有する。使用状態受信部71、使用状態表示制御部72、荷物関連情報受信部73及び荷物受渡関連情報送信部74は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
【0059】
使用状態受信部71は、ボックス管理装置34(換言すれば、使用状態送信部34b)から使用状態情報を受信する機能ブロックである。
【0060】
使用状態表示制御部72は、使用状態受信部71が受信した使用状態情報に基づいて、現在の各ブロック20のボックス使用状態の表示を制御する機能ブロックである。使用状態表示制御部72は、事業者サーバ70に付属するディスプレイ(不図示)に表示させる使用状態表示画面(ウエブページデータ)を生成する。
使用状態表示制御部72が生成する使用状態表示画面は、事業者サーバ70にアクセスする権限を有する事業者端末(不図示)にも表示させ得る。ボックス管理装置34からは、その装置34を備えるボックス30の使用状態が変化すると直ちに、使用状態情報が送られてくるので、使用状態表示画面に表されるボックス使用状態は、当該ボックス30の使用状態の変化に応じてリアルタイムで変化する。
この場合、上記のように、一つのブロック装置20が所定個数以下、例えば、5個程度のボックス30であって、それらが単一のサイズであるような場合には、使用状態送信部34bから送信された、使用状態が「空き」から「使用中」になる毎に及び「使用中」から「空き」になった場合の情報に基づき、図3に示すように、事業者サーバ70のディスプレイ(不図示)に、各ブロック30毎に視認できるように図形的に表示する。
一方、一つのブロック装置20に所定個数以上の、多数のボックス30、例えば、30個程度のボックス30があり、かつ、各ボックス30のサイズも、上記のように、レターボックスサイズ、Mサイズ、Lサイズの3種類がありボックス30の使用状態情報が非常に多岐にわたるような場合には、事業者サーバ70は各ブロック装置20の各ボックス30の空き情報を上記サイズ毎に計算し、それぞれのサイズ毎のボックス30の空き状況を集計して、集計結果を、事業者サーバ70と共に設置される管理コンソール上においてディスプレイに数字により表示すると共に、事業者の関係者が所有するスマホ等の事業者端末(不図示)のディスプレイに表示するように構成されている。
【0061】
荷物関連情報受信部73は、ユーザ端末90から、エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用するブロック装置30の指定及び荷物の指定を含む荷物関連情報を受信する機能ブロックである。
【0062】
荷物受渡関連情報送信部74は、荷物関連情報受信部71が受信した荷物関連情報に基づいて、エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用するブロック装置30の指定及びブロック30のサイズの指定を含む荷物受渡関連情報を管理サーバ80に送信する機能ブロックである。
【0063】
[管理サーバの構成]
管理サーバ80は、荷物受け渡しサービスシステム10の運営者又はそれに準ずる者が使用権原を有し、ボックス30による荷物受け渡しを管理するコンピュータである。管理サーバ80は、荷物受渡受付部81aと、ボックス選定部81bと、使用予約送信部81cと、を有する。荷物受渡受付部81a、ボックス選定部81b及び使用予約送信部81cは、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
【0064】
荷物受渡受付部81aは、事業者サーバ70から荷物受渡関連情報を受信する。ボックス選定部81bは、荷物受渡受付部81aが受信した荷物受渡関連情報に基づいて、荷物受け渡しに使用するブロック装置20のボックス30を選定する。使用予約送信部81cは、ボックス選定部81bが選定したボックス30が備えるボックス管理装置34に、ユーザIDに紐づけられたユーザ端末90の情報を含む使用予約情報を送信する。
【0065】
[作用効果]
上記のように構成された第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、ブロック装置20を構成する各ボックス30が各々複数のシステム利用事業者をサブスクライバーとして設定可能な通信装置33を備えることにより、同一ボックス30を複数のシステム利用事業者が利用できるようになる。すなわち、各システム利用事業者は、自身がサブスクライバーとして設定されている通信装置33を利用して、当該通信装置33を備えるボックス30の利用状況(空き状況)を確認し、当該利用状況に基づいて、荷物受け渡しサービスを実施できる。
【0066】
よって、第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、システム利用事業者は、ブロック装置20の設置に関する不動産所有者などとの交渉や契約などを行うことなく、システム運営者とボックス30単位で利用契約をすることにより、容易に荷物受け渡しサービスを実施できる。
【0067】
したがって、第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、宅配事業を行う大規模事業者のみならず、所謂ネット通販を行う大規模通信販売事業者や小規模事業者(中小零細企業、個人事業者)も、ブロック装置20を利用した荷物受け渡しサービスを容易に実施できるようにして、ブロック装置20を利用した荷物受け渡しサービスの普及を促進することができる。
現行のサービスでは、特定エリアのブロック装置のみ使用するなどができないため、全システムのシェアリングになり小規模事業者には利用ができない。
【0068】
また、第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、各ボックス30が備えるボックス管理装置34は、自装置34を備えるボックス30の使用状態が変化する毎に、すなわち使用状態が「空き」から「使用中」になる毎に及び「使用中」から「空き」になる毎に、当該ボックスの使用状態に関する情報を通信装置33を介して送信する。
各システム利用事業者は、自身がシステム利用事業者に設定されている通信装置33を備えるボックス30の使用状態に変化が生じる毎に、当該通信装置33から送られてくる情報を受信する。これにより、各システム利用事業者は、自身がシステム利用事業者に設定されている通信装置33を備えるボックス30の使用状態を、事業者サーバ70又は事業者端末(不図示)に表示される使用状態表示画面によりボックス使用状態をリアルタイムで確認し、自事業者の荷物受け渡しサービスを実施できる。
【0069】
図3に例示する使用状態表示画面GA、GB、GCは、同一ブロック装置20を利用するシステム利用事業者(サブスクライバー)A、B、Cが各々使用権原を有する事業者サーバ70のディスプレイに各々表示される使用状態表示画面である。
【0070】
システム利用事業者Aは、ブロック装置20の12個すべてのボックス30(1)~30(12)がそれぞれ備える通信装置33にサブスクライバーとして設定されている。このため、図3(a)に示すように、システム利用事業者Aの事業者サーバのディスプレイに表示される使用状態表示画面GAには、ブロック装置20の12個すべてのボックス30(1)~30(12)の使用状態が表示されている。
【0071】
システム利用事業者Bは、ブロック装置20が備える12個のボックス30のうち、4個のボックス30(1)~30(4)がそれぞれ備える通信装置33にサブスクライバーとして設定されている。このため、図3(b)に示すように、システム利用事業者Bの事業者サーバ70のディスプレイに表示される使用状態表示画面GBには、4個のボックス30(1)~30(4)の使用状態が表示されている。
【0072】
システム利用事業者Cは、ブロック装置20が備える12個のボックス30のうち、6個のボックス30(5)~30(10)がそれぞれ備える通信装置33にサブスクライバーとして設定されている。このため、図3(c)に示すように、システム利用事業者Cの事業者サーバ70のディスプレイに表示される使用状態表示画面GCには、6個のボックス30(5)~30(10)の使用状態が表示されている。
【0073】
このように、使用状態表示画面GA、GB、GCに使用状態が表示されるボックスの数は、各システム利用事業者A、B、Cがサブスクライバーとして設定されている通信装置33を備えるボックス30の数によって異なる。
すなわち、各システム利用事業者A、B、Cが見得る使用状態表示画面GA、GB、GCには、自事業者がサービスに利用するボックス30の使用状態のみが表示される。これにより、各システム利用事業者A、B、Cは、自事業者がサービスに利用するボックス30の使用状態を容易且つ正確に確認して、自事業者の荷物受け渡しサービスを実施できる。
【0074】
また、第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、各ボックス30が備えるボックス管理装置34の使用状態送信部34bが、ボックス30の使用状態が変化する毎に当該ボックス30の使用状態情報を送信する、イベント駆動型の機能ブロックであることにより、システム利用事業者及びエンドユーザは、多数のボックス30の利用状況をリアルタイムで確認することが可能となる。
また、個々のボックス30の使用状態の変化を非同期通信により確認できることで、ネットワーク及びコンピュータ(ボックス管理装置34、事業者サーバ70、管理サーバ80、等)の負荷を抑制し得る。
【0075】
これに対し、従来技術におけるようにポーリング通信によりボックス30の使用状態を確認するようにした場合、一定期間ごとにすべてのボックス30に対し使用状態の変化の有無を照会するための通信が往復で発生する。例えば、照会対象のボックス30の数が10,000個である場合、3分間、5分間といった一定期間ごとに、10,000個すべてのボックス30に対し、使用状態の変化の有無を照会する通信が往復で発生する。
このため、ポーリング通信は、所謂イベント駆動型の通信に比べ数千倍、数万倍の通信が発生し、ネットワークとコンピュータに莫大な負荷がかかるのみならず、リアルタイム性が担保されていないため商業環境での運用に適さない。
本実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10は、これを克服し、社会的インフラを形成するレベルの規模の、非常に多数のボックス30を利用した荷物受け渡しサービスを実現可能とするものである。
【0076】
また、第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、各ボックス30の通信装置33のSIM等又はソフトウェアモジュールの一部又は全部のサブスクライバーの設定を遠隔操作により行うことができるので、システム利用事業者毎の利用可能ボックスを、遠隔操作により容易に設定できる。
【0077】
また、第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10では、図4に示すように、ユーザ端末90は、エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用するブロック装置20の指定及び荷物の指定を含む荷物関連情報Iを事業者サーバ70に送信し、事業者サーバ70は、荷物関連情報Iをユーザ端末90から受信し、荷物受け渡しに使用するブロック30の指定及びボックスのサイズの指定を含む荷物受渡関連情報IIを管理サーバに送信する。
管理サーバ80は、事業者サーバ70から荷物受渡関連情報IIを受信し、荷物受け渡しに使用するボックス30が備えるボックス管理装置34に、ユーザIDに紐づけられたユーザ端末90の情報を含む使用予約情報IIIを送信する。
ボックス管理装置34は、管理サーバ80から使用予約情報IIIを受信し、自装置34を備えるボックス30が使用中であると判定したことに基づいて、ボックス30への格納があった旨、荷物の受け取り場所及び荷物の受け取り方法を含むボックス格納通知IVをエンドユーザのユーザ端末90に送信する。
【0078】
よって、第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、エンドユーザ(荷受人)は、システム利用事業者に対し、荷物の受け取りを希望するブロック装置20及び荷物を指定(例えば、荷物を配送依頼、荷物である商品を購入、等)し、システム利用事業者は、ブロック装置20及びボックス30のサイズを指定して荷物を発送し、エンドユーザは、ボックス格納通知IVに基づいて、ボックス30から荷物を受け取る、という一連の手続きにより、荷物の受け渡しが完結する。
【0079】
このシステム10によれば、エンドユーザの名前及び住所を使用することなく、換言すれば、エンドユーザの住所が不明であっても、荷物の受け渡しを完結させることが可能であるので、エンドユーザの個人情報を極めて高い情報セキュリティレベルで保護しつつ、荷物の受け渡しを行い得る。
即ち、第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、エンドユーザのユーザIDを利用して、エンドユーザの住所地と荷物の受け取り場所を切り離し、さらに、受取人であるエンドユーザの都合、事情に合わせて荷物の配送先であるボックスを30を適宜指定、変更することができるため、ユーザーフレンドリーな荷物受け渡しサービスを実現することが可能となる。
【0080】
[第2実施形態]
つぎに、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、既に説明した構成要素と同一又は共通する構成要素については、同一符号を付してその説明を適宜省略する。
図5に示すように、第2実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10は、第1実施形態の構成に加えて、ボックス空き情報格納装置110を有する。
【0081】
ボックス空き情報格納装置110は、例えば、ETLにより実現することが可能である。
ETLは「Extract(抽出)、Transform(変換・加工)、Load(格納)」の頭文字をとった言葉で、システム内に散在するデータを統合的に管理するための仕組みであり、データの抽出・取得、取得したデータの変換や加工、変換・加工されたデータの格納といった一連の流れを提供する。
【0082】
上記のように構成された第2実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、事業者サーバ70及びユーザ端末90は、ボックス空き情報格納装置110にアクセスすることにより得られる情報に基づいて、或いは、ボックス空き情報格納装置110から配信される情報に基づいて、地域別、ブロック装置別、ボックスの大きさ別といったカテゴリ別に、ボックスの空き情報をリアルタイムでディスプレイ(不図示)に表示させることが可能となる。
【0083】
[第3実施形態]
つぎに、本発明の第3実施形態について説明する。図6に示すように、第3実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10は、第1実施形態の構成に加えて、課金サーバ120を有する。課金サーバ120は、ボックス30の使用状態に関する情報に基づいて、ボックス30の使用状態に基づく課金処理を行うコンピュータである。課金サーバ120は、事業者サーバ70及びユーザ端末90とネットワーク100を介して通信可能に接続されている。
【0084】
上記のように構成された第3実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、システム利用事業者は、エンドユーザからボックス30の事前予約があった場合や、ボックス30に荷物を収納後一定期間を経過しても引き取りがない場合などに、当該エンドユーザに対して課金を行うことが可能となる。
宅配ボックスは、配達業者が利用料を負担する仕組みが主流となるであろうが、コインロッカーのような利用形態は、配達事業者が入らず、当事者同士がやり取りする場合はロッカーの利用料金を当事者間で負担する必要があり、課金機能が必要となる。
【0085】
[第4実施形態]
つぎに、本発明の第4実施形態について説明する。図7に示すように、第4実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10における各ボックス30は、図2の構成に加えて、料金計算装置35を有する。料金計算装置35は、ボックス30に収納された荷物を撮影するための荷物撮影部35aと、撮影により得られた画像データに基づいて、当該荷物に関する料金を計算する料金計算部35bとを有する。
荷物撮影部35aは、例えば、ボックス30に荷物が収納されたことを検知するセンサ(図示省略)と、当該センサが荷物を検知したことに基づいて、ボックス30に収納された荷物を撮影するカメラ(図示省略)とを有する。料金計算部35bは、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。料金計算部35bにより計算された料金の情報は、例えば、ブロック装置20の操作受付装置40のタッチパネルディスプレイ41に即時表示可能であり、且つ、エンドユーザのユーザ端末90に送信可能である。
【0086】
上記のように構成された第4実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、エンドユーザが送りたい荷物を開いているボックス30に収納されたことを契機に、当該ボックス30内の荷物を自動で立体撮影し、当該荷物の大きさ、重さを自動計測するなどして、その場で当該荷物に関する料金を計算することが可能であり、当該ボックス30を有するブロック装置20の操作受付装置40のタッチパネルディスプレイ41に送料を即時に表示し、或いは、送料の情報を即時に送信して、エンドユーザに送料を知らせること
が可能となる。
【0087】
[第5実施形態]
つぎに、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10は、第1実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10における事業者サーバ70に、更なる機能を付加することにより実現される。
【0088】
より詳細には、第5実施形態における事業者サーバ70の荷物関連情報受信部73は、ボックス格納通知がエンドユーザのユーザ端末90に送信された後においても、当該ボックス格納通知に係る荷物に対する荷物受関連情報を再度受信可能である。
そして、荷物受渡関連情報送信部74は、荷物関連情報受信部73が再度受信した荷物関連情報に基づいて、当該エンドユーザのユーザID並びに荷物受け渡しに使用するブロック装置20の指定及びボックス30のサイズの指定を含む荷物受渡関連情報を管理サーバ80に再度送信可能である。
【0089】
すなわち、第5実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10では、図8に示すように、ボックス管理装置34と当該エンドユーザのユーザ端末90との間でのボックス格納通知IVの送受信が実行された後においても、当該ボックス格納通知IVに係る荷物すなわち、当該エンドユーザが当初指定したボックス30に届いた荷物について、当該エンドユーザのユーザ端末90から事業者サーバ70へ、再度の荷物関連情報Vを送信可能である。当該再度15の荷物関連情報Vは、当該エンドユーザが当初指定したボックス30とは別の場所のボックス30を再指定する情報(転送先指定情報)を含むものであり得る。
【0090】
事業者サーバ70は、再度の荷物関連情報Vを受信した場合、例えば、有料サービス確認通知VIをユーザ端末90に送信する。有料サービス確認通知VIは、エンドユーザに対し、荷物を受け取ったボックス30から別のボックス30へ転送するサービスは有料であることの承諾を求める通知であり、これを受信したユーザ端末90にはその通知の内容が表示される。有料サービス確認通知VIの内容に承諾したエンドユーザは、ユーザ端末90上で承諾操作を行う。これにより、ユーザ端末90から事業者サーバ70へ有料承諾通知VIIが送信される。
【0091】
事業者サーバ70は、有料承諾通知VIIを受信したならば、再度の荷物関連情報Vに基づいて、転送先のボックス30の指定を含む再度の荷物受渡関連情報VIIIを管理サーバ80に送信する。管理サーバ80は、事業者サーバ70から再度の荷物受渡関連情報VIIIを受信し、転送先のボックス30が備えるボックス管理装置34に、ユーザIDに紐づけられたユーザ端末90の情報を含む再度の使用予約情報VIIIIを送信する。ボックス管理装置34は、管理サーバ80から再度の使用予約情報VIIIIを受信し、自装置34を備えるボックス30が使用中であると判定したことに基づいて、転送先のボックス30への格納があった旨、荷物の受け取り場所及び荷物の受け取り方法を含む再度のボックス格納通知Xをエンドユーザのユーザ端末90に送信する。
【0092】
このように、第5実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、当初指定したボックス30に荷物が格納されたこと通知するボックス格納通知IVがエンドユーザ(受取人)に送信された後に、何らかの事情により、エンドユーザ(受取人)が当初指定したボックス30とは別の場所のボックス30で当該荷物を受け取る必要が生じた場合に、エンドユーザ(受取人)は、当該別の場所のボックス30を指定する再度の荷物関連情報Vを送信することにより、当初指定したボックス30から再指定したボックス30への転送指定を、ユーザ端末90からリモートで行うことができる。
このような転送サービスを有料サービスとし、エンドユーザ(受取人)の承諾を条件に提供することで、エンドユーザ(受取人)の利便性向上とシステム利用事業者の収益確保との両立に寄与しうる。なお、有料サービスの決算手段としては、クレジット、デービット、電子マネーなど、公知のオンライン決済手段を利用することができる。
【0093】
[第6実施形態]
つぎに、本発明の第6実施形態について説明する。図9に示すように、第6実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10は、第1実施形態の構成に加えて、ユーザID照会装置(ユーザID照会手段)130を有する。ユーザID照会装置130は、ネットワーク100に接続されている。ユーザID照会装置130は、エンドユーザのユーザIDを照会するためのコンピュータであり、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
エンドユーザはユーザ端末90を操作することにより、ネットワーク100経由でユーザID照会装置130にアクセスし、1又は複数の項目の情報を指定することにより、荷物を送付したいエンドユーザのユーザIDを照会し得る。
【0094】
上記のように構成された第6実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、例えば、エンドユーザの携帯電話番号、メールアドレス、生年月日、住所、登録パスワードなどの中から1又は複数の項目の情報を指定することにより、当該エンドユーザのユーザIDを照会することができるので、当該照会により判明したユーザIDを使用して、当該ユーザIDに該当するエンドユーザ(送付先)宛てに荷物などを送付することができる。
【0095】
なお、ユーザID照会装置130により照合可能なユーザIDは、一定の条件の下でユーザIDの照合が行われることにつき事前に承諾を得たエンドユーザのユーザIDに限定される。エンドユーザの個人情報などを保護するためである。
【0096】
また、上記の例では、ユーザID照会装置(ユーザID照会手段)130は、事業者サーバ70とは別体として構成されているが、事業者サーバ70と一体の装置として構成されてもよい。すなわち、事業者サーバ70は、図1の構成に加えて、エンドユーザのユーザIDを照会するためのユーザID照会部(ユーザID照会手段)を備えてもよい。
【0097】
[第7実施形態]
つぎに、本発明の第7実施形態について説明する。図10に示すように、第7実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10における各ボックス30のボックス管理装置34は、図2の構成に加えて、自装置34を備えるボックス30の扉31の施錠及び解錠の指示をネットワーク100経由で受け付ける遠隔錠操作受付部34dと、遠隔錠操作受付部34dが受け付けた指示に基づいて、自装置34を備えるボックス30を施錠又は解錠する錠装置34eとを有する。
【0098】
上記のように構成された第7実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、例えば、エンドユーザからシステム利用事業者に対し、当該システム利用事業者がサブスクライブ(加入)している特定のボックス30の利用に関する要望、クレーム、等があった場合に、当該システム利用事業者のオペレータは、当該特定のボックス30の扉を遠隔で施錠又は解錠することができる。
【0099】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前述した実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0100】
例えば、宅配事業等を行ういわゆるロジスティックス会社以外の、一般の商品、サービスの提供者である小規模な商店やサービス提供店等も、本実施形態に係る荷物受け渡しサービスシステム10のシステム利用事業者となることにより、販売した商品である荷物を顧客であるエンドユーザに、ボックス30を使用してエンドユーザの受け取り事情に合わせた形で届けることが可能となる。
【0101】
また、荷物をボックス30に収納する場合には公開鍵により格納することが望ましい。
この場合、格納した後、エンドユーザが受け取り時に使用する秘密鍵に相当するパスワード、QRコード(登録商標)を受取人にメール、SNS、自動音声電話で通知するように構成してもよい。
さらに、使用した公開鍵、秘密鍵に関する情報は、本実施の形態に係る荷物受け渡しサービスシステム10の運営者のオペレーションセンターにおいて、管理サーバ80と共に設置される管理コンソール上において、必要に応じてディスプレイに表示されるように構成してもよい。また、上記管理コンソールのディスプレイ上においては、各ボックス30の利用状況(空き状況)、各ボックス30の利用経過時間などがリアルタイムで閲覧できるようにすることが望ましい。また、BOX30をオペレーションセンターから遠隔操作により開閉できるように構成してもよい。
【0102】
また、例えば、あるボックス30に収納した荷物に関し、エンドユーザが指定した受け取り日から事前に取り決めた時間(例えば、3日間)を経過した場合には、当該エンドユーザに対してリマインダーメールを発信するように構成してもよい。
【0103】
また、本実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10によれば、操作受付装置40及び監視装置50からの情報に基づいて、ボックス30の操作状況及びブロック装置20及びその周辺の監視状況を、管理サーバ80などにより確認することが可能となる。ボックス30の操作状況に基づいて、エンドユーザにボックス30の使用に役立ち得る情報を提供したり、ブロック装置20及びその周辺の監視状況に基づいて、不正行為などに対処できるようにすることで、利便性及び安全性の高いサービスを提供し得る。
【0104】
たとえば、上記実施形態では、通信装置33は、遠隔操作によりサブスクライバーを設定可能なSIM又はソフトウェアモジュール33aを備え、当該SIM又はソフトウェアモジュールに複数のシステム利用事業者がサブスクライバーとして設定されていることとしたが、遠隔操作によりサブスクライバーを設定可能な複数のSIM又はソフトウェアモジュールを備え、システム利用事業者がサブスクライバーとして各SIM又はソフトウェアモジュールに設定されていることとしてもよい。
この場合、各ボックス30の通信装置33が複数のSIM又はソフトウェアモジュールを備えるので、各ボックス30の通信装置33の一部又は全部のSIM又はソフトウェアモジュールのサブスクライバーの設定を遠隔操作により行うことができるので、システム利用事業者毎の利用可能ボックスを、遠隔操作により容易に設定できる。
【0105】
また、上記実施形態において、ブロック装置20単位でサーバを設置してもよい。また、ボックス30の使用状態を検知するためには、ボックス30の扉31が閉まっている必要があるので、ボックス30の扉31が開け放しなることを防ぐために、扉31が開いているときには、音楽や所定のメッセージを流して扉31を閉めるようにエンドユーザなどに促すことが望ましい。また、監視装置50のカメラで撮影した画像は、日中はブロック装置20が備える記憶装置に保存しておき、夜間等、通信料金の安い時間帯に管理サーバ80等に送信し保存することが望ましい。
【0106】
また、上記実施形態の荷物受け渡しサービスシステム10は、ロッカーシステムとしても利用可能である。より詳細には、荷物受け渡しサービスシステム10のブロック装置20を空港や駅の構内等に設置しておき、当該空港や駅に到着した旅行者等(エンドユーザ)がボックス30に荷物を格納する(預ける)と、当該ボックス30のサブスクライバーとして登録されたシステム利用事業者或いは当該システム利用事業者と業務提携した現地の輸送業者が、当該荷物を現地の宿泊先に運搬するサービスを実現することができる。
その際、ボックス30を宅配ボックスとして利用するか又はロッカーとして使用するかの選択を、旅行者等(エンドユーザ)が、例えば、システム利用事業者が提供するマイページ画面上で選択できるようにしておくことで、宅配ボックスとしてもロッカーとしても使用可能な利便性の高い荷物受け渡しサービスシステム10を実現できる。
【0107】
より具体的には、旅行者等(エンドユーザ)がボックス30をロッカーとして使用することを選択し、使用したいボックス30を指定(予約)し、クレジットその他で支払いを行うと、システム利用事業者から、ボックス30の扉31を開ける鍵(パスワード)としてのQRコード(登録商標)が発行され、旅行者等(エンドユーザ)がそのQRコード(登録商標)をたとえばブロック装置20にかざすと、当該ボックス30が開く。
そして、旅行者等(エンドユーザ)が当該ボックス30に荷物を入れ、当該ボックス30の扉31を閉め、施錠後、そのキー(QRコード(登録商標))を運搬業者にメール、SNSなどで送付すると、運搬業者がその荷物をピックアップして、ホテルや旅館など指定した場所に運搬するといった、新規なロッカーシステムの実現が可能となる。
【0108】
さらに、本システムにおいて以下のような構成とすることも可能である。
i:本システムを利用課金制として本システムに決済機能を付加し、事業者が決済登録することにより決済できるようにしてもよい。
ii:エンドユーザの利用料に関しては、クレジットカード、ICカードポイントによる支払いも可能なようにして構成してもよい。
iii:本システムを利用する事業者(ロジスティクス会社、ECサイト、EC販売業者、商店、サービス提供店等)は、本システム運営者に対して、本システム設置運営料金の一部をワンタイムで支払うと共に、利用料をトランザクションごとに毎月清算するようにしてもよい。
iv:事業者は、本システム利用にあたっては、ブロック20ごとに選択できるようにしてもよい。これにより、普及の一番の障害である設置交渉と設置費用の負担を公平に加盟事業者で負担する仕組みを構築できるので、普及が進むことが期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、広く荷物受け渡しサービスシステムに適用することができるので、産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0110】
10 荷物受け渡しサービスシステム
20 ブロック装置
30 ボックス
33 通信装置
33a SIM等又はソフトウェアモジュール
34 ボックス管理装置
34a 使用状態判定部
34b 使用状態送信部
34c ボックス格納通知送信部
35 料金計算装置
35a 荷物撮影部
35b 料金計算部
34d 遠隔錠操作受付部
34e 錠装置
40 操作受付装置
50 監視装置
60 ブロック装置用通信装置
70 事業者サーバ
71 使用状態受信部
72 使用状態表示制御部
73 荷物関連情報受信部
74 荷物受渡関連情報送信部
80 管理サーバ
81a 荷物受渡受付部
81b ボックス選定部
81c 使用予約送信部
90 ユーザ端末
100 ネットワーク
110 ボックス空き情報格納装置
120 課金サーバ
130 ユーザID照会装置(ユーザID照会手段)
GA 使用状態表示画面
GB 使用状態表示画面
GC 使用状態表示画面
【手続補正書】
【提出日】2024-07-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項9】
前記ボックス管理装置は、自装置を備える前記ボックスの施錠及び解錠の指示をネットワーク経由で受け付ける遠隔錠操作受付部と、前記遠隔錠操作受付部が受け付けた指示に基づいて、自装置を備える前記ボックスを施錠又は解錠する錠装置と、を備えることを特徴とする請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
請求項9記載の発明は、前記ボックス管理装置は、自装置を備える前記ボックスの施錠及び解錠の指示をネットワーク経由で受け付ける遠隔錠操作受付部と、前記遠隔錠操作受付部が受け付けた指示に基づいて、自装置を備える前記ボックスを施錠又は解錠する錠装置と、を備えることを特徴とする請求項1記載の荷物受け渡しサービスシステムである。