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特開2024-147535限界サイズ脂質ナノ粒子および関連方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147535
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】限界サイズ脂質ナノ粒子および関連方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/08 20060101AFI20241008BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20241008BHJP
   B01F 33/301 20220101ALI20241008BHJP
   B01J 13/04 20060101ALI20241008BHJP
   A61K 9/127 20060101ALN20241008BHJP
   A61K 47/24 20060101ALN20241008BHJP
   A61K 47/14 20170101ALN20241008BHJP
   A61K 47/28 20060101ALN20241008BHJP
   A61K 31/704 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
B01J19/08 J
B01J19/00 321
B01F33/301
B01J13/04
A61K9/127
A61K47/24
A61K47/14
A61K47/28
A61K31/704
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024087769
(22)【出願日】2024-05-30
(62)【分割の表示】P 2022106829の分割
【原出願日】2012-10-25
(31)【優先権主張番号】61/551,366
(32)【優先日】2011-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】508282568
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ ブリティッシュ コロンビア
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・アール.・カリース
(72)【発明者】
【氏名】イゴール・ブイ.・ジガルトセフ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・アール.・テイラー
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・リーバー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ・ワイルド
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン・モーリス・ベリーベウ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】限界サイズ脂質ナノ粒子を生成するためのデバイス、生成する方法、及びシステムを提供する。
【解決手段】デバイスは、(a)第1の溶媒を含む第1の溶液を受容するための第1の入口102と、(b)第1の溶媒を含む第1のストリームを提供するように第1の入口と流体連通する第1の入口マイクロチャネル104と、(c)第2の溶媒中に脂質粒子形成材料を含む第2の溶液を受容するための第2の入口106と、(d)第2の溶媒中の脂質粒子形成材料を含む第2のストリームを提供するように第2の入口と流体連通する第2の入口マイクロチャネル108と、(e)第1のストリーム及び第2のストリームを受容するための第3のマイクロチャネル110と、を備え、第3のマイクロチャネルは、第1のストリーム及び第2のストリームの内容物を混合するように適合された第2の領域114を有して限界サイズ脂質ナノ粒子を含む第3のストリ-ムを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約10nmから約100nmの直径を有する、限界サイズ脂質ナノ粒子。
【請求項2】
水性コアを包囲する脂質二重層を含む、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項3】
前記脂質二重層が、リン脂質を含む、請求項2に記載のナノ粒子。
【請求項4】
前記リン脂質が、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン、セファリン、およびセレブロシドからなる群から選択される、請求項3に記載のナノ粒子。
【請求項5】
前記リン脂質が、C8~C20脂肪酸ジアシルホスファチジルコリンである、請求項3に記載のナノ粒子。
【請求項6】
前記リン脂質が、1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)である、請求項3に記載のナノ粒子。
【請求項7】
約50モルパーセントから約99モルパーセントのリン脂質を含む、請求項3に記載のナノ粒子。
【請求項8】
ステロールをさらに含む、請求項2~7のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項9】
前記ステロールが、コレステロールである、請求項8に記載のナノ粒子。
【請求項10】
約10モルパーセントから約35モルパーセントのコレステロールを含む、請求項8に記載のナノ粒子。
【請求項11】
PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、およびPEG修飾ジアルキルグリセロールからなる群から選択されるポリエチレングリコール-脂質をさらに含む、請求項2~10のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項12】
前記ポリエチレングリコール-脂質が、DLPE-PEG、DMPE-PEG、DPPC-PEG、およびDSPE-PEGからなる群から選択される、請求項11に記載のナノ粒子。
【請求項13】
前記ポリエチレングリコール-脂質が、DSPE-PEGである、請求項11に記載のナノ粒子。
【請求項14】
約1モルパーセントから約10モルパーセントのポリエチレングリコール-脂質を含む、請求項11に記載のナノ粒子。
【請求項15】
疎水性コアを包囲する脂質単分子層を含む、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項16】
前記脂質単分子層が、リン脂質を含む、請求項15に記載のナノ粒子。
【請求項17】
前記リン脂質が、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン、セファリン、およびセレブロシドからなる群から選択される、請求項16に記載のナノ粒子。
【請求項18】
前記リン脂質が、C8~C20脂肪酸ジアシルホスファチジルコリンである、請求項16に記載のナノ粒子。
【請求項19】
前記C8~C20脂肪酸ジアシルホスファチジルコリンが、1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)である、請求項16に記載のナノ粒子。
【請求項20】
約10モルパーセントから約70モルパーセントのリン脂質を含む、請求項16に記載のナノ粒子。
【請求項21】
前記疎水性コアが、脂肪酸トリグリセリドを含む、請求項15~20のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項22】
前記脂肪酸トリグリセリドが、C8~C20脂肪酸トリグリセリドである、請求項21に記載のナノ粒子。
【請求項23】
前記脂肪酸トリグリセリドが、オレイン酸トリグリセリド(トリグリセリドトリオレイン)である、請求項21に記載のナノ粒子。
【請求項24】
約30モルパーセントから約90モルパーセントの脂肪酸トリグリセリドを含む、請求項21に記載のナノ粒子。
【請求項25】
診断薬をさらに含む、請求項1~24のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項26】
治療薬をさらに含む、請求項1~24のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項27】
治療薬剤および診断薬剤をさらに含む、請求項1~24のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項28】
前記治療薬が、化学治療薬(すなわち抗腫瘍薬)、麻酔薬、ベータアドレナリン遮断薬、抗高血圧薬、抗鬱薬、抗痙攣薬、制吐薬、抗ヒスタミン薬、抗不整脈薬、および抗マラリア薬からなる群から選択される、請求項25~27のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項29】
前記治療薬が、抗腫瘍薬である、請求項25~27のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項30】
前記抗腫瘍薬が、ドキソルビシンである、請求項29に記載のナノ粒子。
【請求項31】
水性コアを包囲する脂質二重層を含むナノ粒子であって、
前記二重層は、
(a)リン脂質と、
(b)ステロールと、
(c)ポリエチレングリコール-脂質とを含み、
前記コアは、治療または診断薬を含む、ナノ粒子。
【請求項32】
限界サイズナノ粒子である、請求項31に記載のナノ粒子。
【請求項33】
約10nmから約50nmの直径を有する、請求項31に記載のナノ粒子。
【請求項34】
疎水性コアを包囲する脂質単分子層を含むナノ粒子であって、
前記単分子層は、リン脂質を含み、
前記コアは、脂肪酸トリグリセリド、および/または治療もしくは診断薬を含む、ナノ粒子。
【請求項35】
限界サイズナノ粒子である、請求項34に記載のナノ粒子。
【請求項36】
約10nmから約80nmの直径を有する、請求項34に記載のナノ粒子。
【請求項37】
治療薬を対象に投与するための方法であって、請求項26~36のいずれか一項に記載のナノ粒子を、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
【請求項38】
診断薬を対象に投与するための方法であって、請求項25、27、または31~36のいずれか一項に記載のナノ粒子を、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
【請求項39】
治療薬を投与することにより治療可能な疾患または状態を治療するための方法であって、治療有効量の請求項26~36のいずれか一項に記載のナノ粒子を、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
【請求項40】
診断薬を投与することにより診断可能な疾患または状態を診断するための方法であって、請求項25、27、または31~36のいずれか一項に記載のナノ粒子を、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
【請求項41】
第1および第2の隣接するストリームの流動のために構成された第1の領域と、前記ストリームを混合するための第2の領域とを有するデバイスにおいて、限界サイズ脂質ナノ粒子を作製するための方法であって、
(a)第1の溶媒を含む第1のストリームを、第1の流量で前記デバイスに導入することと、
(b)第2の溶媒中の脂質粒子形成材料を含む第2のストリームを、第2の流量で前記デバイスに導入し、第1および第2の隣接するストリームを提供することであって、前記第1および第2の溶媒は、同じではなく、前記第1の流量対前記第2の流量の比は、約2.0から約10.0である、ことと、
(c)前記第1および第2のストリームを、前記第1の領域から前記第2の領域に流動させることと、
(d)前記第1および第2のストリームを、前記デバイスの前記第2の領域内で混合し、脂質ナノ粒子を含む第3のストリームを提供することとを含む方法。
【請求項42】
前記デバイスが、マイクロ流体デバイスである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第1および第2のストリームを混合することが、カオス的移流を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記第1および第2のストリームを混合することが、マイクロミキサーによる混合を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記第1および第2のストリームを混合することが、前記第1の領域内でバリアにより防止される、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記バリアが、チャネル壁、シース液、または同心管である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記第3のストリームを水性緩衝液で希釈することをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項48】
前記第3のストリームを希釈することは、前記第3のストリームおよび水性緩衝液を、第2の混合構造内に流動させることを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
限界サイズ脂質ナノ粒子を含む前記水性緩衝液を透析して、前記第2の溶媒の量を低減することをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記第1の溶媒が、水性緩衝液である、請求項41に記載の方法。
【請求項51】
前記第1のストリームが、診断薬を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項52】
前記第1のストリームが、治療薬を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項53】
前記第1のストリームが、治療薬および診断薬を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項54】
前記治療薬が、化学治療薬、麻酔薬、ベータアドレナリン遮断薬、抗高血圧薬、抗鬱薬、抗痙攣薬、制吐薬、抗ヒスタミン薬、抗不整脈薬、および抗マラリア薬からなる群から選択される、請求項52または53に記載の方法。
【請求項55】
前記治療薬が、抗腫瘍薬である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記抗腫瘍薬が、ドキソルビシンである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記第2の溶媒が、水混和性溶媒である、請求項41に記載の方法。
【請求項58】
前記水混和性溶媒が、水性アルコールである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記水性アルコールが、エタノールである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記第2のストリームが、リン脂質を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項61】
前記リン脂質が、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン、セファリン、およびセレブロシドからなる群から選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記リン脂質が、C8~C20脂肪酸ジアシルホスファチジルコリンである、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記C8~C20脂肪酸ジアシルホスファチジルコリンが、1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記第2のストリームが、約10モルパーセントから約99モルパーセントのリン脂質を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記第2のストリームが、ステロールをさらに含む、請求項41~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記ステロールが、コレステロールである、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記第2のストリームが、約10モルパーセントから約35モルパーセントのコレステロールを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記第2のストリームが、ポリエチレングリコール-脂質をさらに含む、請求項41~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記ポリエチレングリコール-脂質が、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、およびPEG修飾ジアルキルグリセロールからなる群から選択される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記ポリエチレングリコール-脂質が、DLPE-PEG、DMPE-PEG、DPPC-PEG、およびDSPE-PEGからなる群から選択される、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記ポリエチレングリコール-脂質が、DSPE-PEGである、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
約1モルパーセントから約10モルパーセントのポリエチレングリコール-脂質を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項73】
前記第2のストリームが、脂肪酸トリグリセリドをさらに含む、請求項60に記載の方法。
【請求項74】
前記脂肪酸トリグリセリドが、C8~C20脂肪酸トリグリセリドである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記脂肪酸トリグリセリドが、オレイン酸トリグリセリド(トリグリセリドトリオレイン)である、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
約30モルパーセントから約90モルパーセントの脂肪酸トリグリセリドを含む、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
請求項41~76のいずれか一項に記載の方法により得ることができるナノ粒子。
【請求項78】
限界サイズ脂質ナノ粒子を生成するためのデバイスであって、
(a)第1の溶媒を含む第1の溶液を受容するための第1の入口と、
(b)前記第1の入口と流体連通して、前記第1の溶媒を含む第1のストリームを提供する、第1の入口マイクロチャネルと、
(c)第2の溶媒中の脂質粒子形成材料を含む第2の溶液を受容するための第2の入口と、
(d)前記第2の入口と流体連通して、前記第2の溶媒中の前記脂質粒子形成材料を含む第2のストリームを提供する、第2の入口マイクロチャネルと、
(e)前記第1および第2のストリームを受容するための第3のマイクロチャネルであって、前記第1および第2のストリームを流動させるように構成された第1の領域と、前記第1および第2のストリームの内容物を混合して、限界サイズ脂質ナノ粒子を含む第3のストリームを提供するように構成された第2の領域とを有する、第3のマイクロチャネルと
を含むデバイス。
【請求項79】
前記マイクロチャネルの前記第2の領域が、浅浮き彫り構造を含む、請求項78に記載のデバイス。
【請求項80】
前記マイクロチャネルの前記第2の領域が、主要流動方向と、少なくとも1つの溝または突起が画定された1つ以上の表面とを有し、前記溝または突起が、前記主要方向と角度を形成する方位を有する、請求項78に記載のデバイス。
【請求項81】
前記第2の領域が、マイクロミキサーを含む、請求項78に記載のデバイス。
【請求項82】
前記第1および第2のストリームの流量を変動させるための手段をさらに含む、請求項78に記載のデバイス。
【請求項83】
各マイクロチャネルが、約20μmから約300μmの水力直径を有する、請求項78に記載のデバイス。
【請求項84】
10ms未満で完全混合が生じる、請求項78に記載のデバイス。
【請求項85】
加熱領域をさらに含む、請求項78に記載のデバイス。
【請求項86】
脂質ナノ粒子を生成するためのデバイスであって、
(a)第1の溶媒を含む第1の溶液を受容するための第1の入口と、
(b)前記第1の入口と流体連通して、前記第1の溶媒を含む第1のストリームを提供する、第1の入口マイクロチャネルと、
(c)第2の溶媒中の脂質粒子形成材料を含む第2の溶液を受容するための第2の入口と、
(d)前記第2の入口と流体連通して、前記第2の溶媒中の前記脂質粒子形成材料を含む第2のストリームを提供する、第2の入口マイクロチャネルと、
(e)前記第1および第2のストリームを受容するための複数のマイクロチャネルであって、それぞれ、前記第1および第2のストリームを流動させるように構成された第1の領域と、前記第1および第2のストリームの内容物を混合して、脂質ナノ粒子に影響する複数のストリームを提供するように構成された第2の領域とを有する、複数のマイクロチャネルと、
(f)脂質ナノ粒子を含む前記複数のストリームを受容し、組み合わせるための第4のマイクロチャネルと
を含むデバイス。
【請求項87】
前記第1および第2のストリームを受容するための前記複数のマイクロチャネルのそれぞれが、
(a)前記第1の入口マイクロチャネルと流体連通して、前記第1の溶媒を含む前記第1のストリームを受容する、第1のマイクロチャネルと、
(b)前記第2の入口マイクロチャネルと流体連通して、前記第2の溶媒を含む前記第2の入口ストリームを受容する、第2のマイクロチャネルと、
(c)前記第1および第2のストリームを受容するための第3のマイクロチャネルであって、それぞれ、前記第1および第2のストリームを流動させるように構成された第1の領域と、前記第1および第2のストリームの内容物を混合して、脂質ナノ粒子に影響する複数のストリームを提供するように構成された第2の領域とを有する、第3のマイクロチャネルと
を含む、請求項86に記載のデバイス。
【請求項88】
前記第1および第2のストリームを受容するための2個から約40個のマイクロチャネルを含み、2乃至1600mL/分の全流量を有する、請求項86または87に記載のデバイス。
【請求項89】
前記第2の領域が、それぞれ約20μmから約300μmの水力直径を有する、請求項86または87に記載のデバイス。
【請求項90】
前記第2の領域が、それぞれ約1乃至40ml/分の流体流量を有する、請求項86または87に記載のデバイス。
【請求項91】
前記第1および第2のマイクロチャネル内の前記第1および第2のストリームの温度を、それらが前記第3のマイクロチャネルに進入する前に所定の温度に上昇させるために効果的な加熱要素をさらに含む、請求項86または87に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が明示的にここに組み込まれる、2011年10月25日出願の米国特許出願第61/551,366号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、治療および/または診断薬の送達のための限界サイズナノ粒子、脂質ナノ粒子を使用するための方法、ならびに脂質ナノ粒子を作製するための方法およびシステムに関する。
【発明の背景】
【0003】
脂質成分から可能な限り小さい(「限界サイズ」)粒子を生成する能力は、薬物送達から化粧品製造に至る用途において重要である。たとえば、薬物送達の領域では、サイズは、静脈(i.v.)注射後の脂質ナノ粒子(LNP)の生体内分布の重要な決定因子である。直径100nm以下の長期循環LNPは、疾患部位、たとえば腫瘍ならびに感染および炎症部位において漏出性の脈管を通して浸出するそれらの能力により、そのような領域に優先的に蓄積することができる。直径約50nm未満のLNPは、リンパ管を通して浸透して、組織、たとえば骨髄に蓄積することができ、一方30nm以下の粒子は、体内のより多くの組織に進行的に到達することができる。直径約8nm未満の粒子は、腎臓により排出される。したがって、10~50nmのサイズ範囲内の粒子は、血管外標的組織に到達する可能性が最も高いため、これらの粒子を生成できることが特に重要である。
【0004】
限界サイズLNPを作製する方法は、ほぼ30年間、実質的に進化していない。方法は全て、「トップダウン」式アプローチを採用しており、脂質の水中への分散によってより大きな構造が形成され、続いて機械的破砕によってより小さい系が生成される。100nmサイズ範囲内の二重層ベシクルを作製するための好ましい方法は、100nm以下の細孔径を有するポリカーボネートフィルタを通した予形成多重層ベシクル(ミクロンサイズ範囲)の押出しを含み、約50nm未満の系の生成には有用ではない。通常、限界サイズ系を作製するための主流となる方法は、多重層ベシクルの超音波照射、通常はチップ超音波照射を含んでいるが、これは、試料汚染、試料分解、および最も重要なことには拡張性の欠如という制限を有する。二重層形成脂質、たとえばホスファチジルコリン(PC)を含有する脂質系の場合、超音波照射は、直径20nmという微小な限界サイズのベシクルLNPをもたらし、一方PC/コレステロール(Chol)系は、それより幾分大きいLNPをもたらす。あるいは、PCおよび非極性脂質、たとえばトリグリセリドからなるナノエマルジョンの生成には、超音波照射または他の乳化技術が適用されている。しかしながら、50nm未満のサイズ範囲を有する安定な系の生成は困難であることが分かっている。
【0005】
有用なサイズのLNPは、従来のトップダウン式の方法により調製され得るが、これらのLNPの拡張可能な調製を促進する改善された方法が必要とされている。本発明は、この必要性を満たすことを目指し、さらなる関連した利点を提供する。
【発明の概要】
【0006】
一側面において、本発明は、治療および/または診断薬剤の送達に有用な限界サイズ脂質ナノ粒子を提供する。一態様において、限界サイズ脂質ナノ粒子は、約10nmから約100nmの直径を有する。ある特定の態様において、脂質ナノ粒子は、水性コアを包囲する脂質二重層を有する。脂質二重層は、リン脂質を含む。他の態様において、脂質ナノ粒子は、疎水性コアを包囲する脂質単分子層を有する。脂質単分子層は、リン脂質を含む。ある特定の態様において、ナノ粒子は、水性コアを包囲する脂質二重層を含み、二重層は、リン脂質、ステロール、およびポリエチレングリコール-脂質を含み、コアは、治療または診断薬剤を含む。他の態様において、ナノ粒子は、疎水性コアを包囲する脂質単分子層を含み、単分子層は、リン脂質を含み、コアは、脂肪酸トリグリセリドならびに治療および/または診断薬剤を含む。
【0007】
他の側面において、ナノ粒子を使用する方法が提供される。一態様において、本発明は、治療薬剤を対象に投与するための方法であって、本発明のナノ粒子を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。別の態様において、本発明は、診断薬剤を対象に投与するための方法であって、本発明のナノ粒子を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。さらなる態様において、本発明は、治療薬剤を投与することにより処置可能な疾患または状態を処置するための方法であって、治療有効量の本発明のナノ粒子を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。別の態様において、本発明は、診断薬剤を投与することにより診断可能な疾患または状態を診断するための方法であって、本発明のナノ粒子を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0008】
本発明のさらなる側面において、限界サイズナノ粒子を作製するための方法が提供される。一態様において、方法は、第1および第2の隣接するストリームの流動のために構成された第1の領域と、ストリームを混合するための第2の領域とを有するデバイスにおいて、限界サイズ脂質ナノ粒子を作製することを含み、
(a)第1の溶媒を含む第1のストリームを、第1の流量でデバイスに導入することと、(b)第2の溶媒中の脂質粒子形成材料を含む第2のストリームを、第2の流量でデバイスに導入し、第1および第2の隣接するストリームを提供することであって、第1および第2の溶媒は、同じではなく、第1の流量対第2の流量の比は、約2.0から約10.0である、ことと、
(c)第1および第2のストリームを、第1の領域から第2の領域に流動させることと、(d)第1および第2のストリームを、デバイスの第2の領域内で混合し、脂質ナノ粒子を含む第3のストリームを提供することと
を含む。
【0009】
別の側面において、本発明は、限界サイズ脂質ナノ粒子を作製するためのデバイスを提供する。
【0010】
一態様において、デバイスは、
(a)第1の溶媒を含む第1の溶液を受容するための第1の入口と、
(b)第1の入口と流体連通して、第1の溶媒を含む第1のストリームを提供する、第1の入口マイクロチャネルと、
(c)第2の溶媒中の脂質粒子形成材料を含む第2の溶液を受容するための第2の入口と、
(d)第2の入口と流体連通して、第2の溶媒中の脂質粒子形成材料を含む第2のストリームを提供する、第2の入口マイクロチャネルと、
(e)第1および第2のストリームを受容するための第3のマイクロチャネルであって、第1および第2のストリームを流動させるように構成された第1の領域と、第1および第2のストリームの内容物を混合して、限界サイズ脂質ナノ粒子を含む第3のストリームを提供するように構成された第2の領域とを有する、第3のマイクロチャネルとを含む。
【0011】
別の態様において、デバイスは、
(a)第1の溶媒を含む第1の溶液を受容するための第1の入口と、
(b)第1の入口と流体連通して、第1の溶媒を含む第1のストリームを提供する、第1の入口マイクロチャネルと、
(c)第2の溶媒中の脂質粒子形成材料を含む第2の溶液を受容するための第2の入口と、
(d)第2の入口と流体連通して、第2の溶媒中の脂質粒子形成材料を含む第2のストリームを提供する、第2の入口マイクロチャネルと、
(e)第1および第2のストリームを受容するための複数のマイクロチャネルであって、それぞれ、第1および第2のストリームを流動させるように構成された第1の領域と、第1および第2のストリームの内容物を混合して、脂質ナノ粒子に影響する複数のストリームを提供するように構成された第2の領域とを有する、複数のマイクロチャネルと、(f)脂質ナノ粒子を含む複数のストリームを受容し、組み合わせるための第4のマイクロチャネルと
を含む。この態様において、第1および第2のストリームを受容するための複数のマイクロチャネルのそれぞれは、
(a)第1の入口マイクロチャネルと流体連通して、第1の溶媒を含む第1のストリームを受容する、第1のマイクロチャネルと、
(b)第2の入口マイクロチャネルと流体連通して、第2の溶媒を含む第2の入口ストリームを受容する、第2のマイクロチャネルと、
(c)第1および第2のストリームを受容するための第3のマイクロチャネルであって、それぞれ、第1および第2のストリームを流動させるように構成された第1の領域と、第1および第2のストリームの内容物を混合して、脂質ナノ粒子に影響する複数のストリームを提供するように構成された第2の領域とを有する、第3のマイクロチャネルとを含んでもよい。
【0012】
本発明の上記側面およびそれに付随する利点の多くは、添付の図面と関連して考慮されると、以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されるため、本発明の上記側面およびそれに付随する利点の多くは、より容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の代表的システム、連続流スタガ型ヘリンボーンマイクロミキサー(continuous-flow staggered herringbone micromixer)の概略図である。2つの別個のストリームの混合は、パターニングされた中央チャネル内で生じ、注入された流体をカオス的に撹拌する溝付きの壁が交互の二次流を形成させる。カオス的混合は、界面面積の指数関数的増加をもたらし、したがって2つの流体間の拡散距離を低減する。2つの相(水およびエタノールを含有する完全溶媒和脂質)の急速な相互拡散が、LNPの自己集合をもたらし、そのサイズは、主としてその脂質組成および水/エタノール流量比に依存する。
図2A図2Aは、水/エタノール流量比(FRR)を増加させることにより生成された、限界サイズLNPベシクル(図A)およびリン脂質安定化固体コアナノスフェア(図B)を示す。FRRは、エタノールチャネルにおいて一定流量(0.5ml/分)を維持し、水チャネルの流量を0.5ml/分から4.5ml/分に増加させることにより変動させた。サイズ測定値は、DLS(数加重)を使用して得られた。
図2B図2Bは、水/エタノール流量比(FRR)を増加させることにより生成された、限界サイズLNPベシクル(図A)およびリン脂質安定化固体コアナノスフェア(図B)を示す。FRRは、エタノールチャネルにおいて一定流量(0.5ml/分)を維持し、水チャネルの流量を0.5ml/分から4.5ml/分に増加させることにより変動させた。サイズ測定値は、DLS(数加重)を使用して得られた。
図3A図3Aは、Mn2+の非存在下(上のパネル)および2mM Mn2+の存在下(下のパネル)で分散させた、POPC(図3A);POPC/Chol、55/45モル/モル(図3B)およびPOPC/トリオレイン(TO)、60/40モル/モル(図3C)LNPの31P-NMRスペクトルを示す。FRR=3(水ストリームに対して3ml/分、エタノールストリームに対して1ml/分、エタノール相における全脂質濃度10mg/ml)でLNPを生成した。
図3B図3Bは、Mn2+の非存在下(上のパネル)および2mM Mn2+の存在下(下のパネル)で分散させた、POPC(図3A);POPC/Chol、55/45モル/モル(図3B)およびPOPC/トリオレイン(TO)、60/40モル/モル(図3C)LNPの31P-NMRスペクトルを示す。FRR=3(水ストリームに対して3ml/分、エタノールストリームに対して1ml/分、エタノール相における全脂質濃度10mg/ml)でLNPを生成した。
図3C図3Cは、Mn2+の非存在下(上のパネル)および2mM Mn2+の存在下(下のパネル)で分散させた、POPC(図3A);POPC/Chol、55/45モル/モル(図3B)およびPOPC/トリオレイン(TO)、60/40モル/モル(図3C)LNPの31P-NMRスペクトルを示す。FRR=3(水ストリームに対して3ml/分、エタノールストリームに対して1ml/分、エタノール相における全脂質濃度10mg/ml)でLNPを生成した。
図4A図4Aは、FRR=3(水ストリームに対して3ml/分、エタノールストリームに対して1ml/分、エタノール相における全脂質濃度10mg/ml)で生成された、POPC(図4A)、POPC/Chol(図4B)、およびPOPC/TO(図4C)LNPの低温TEM顕微鏡写真である。
図4B図4Bは、FRR=3(水ストリームに対して3ml/分、エタノールストリームに対して1ml/分、エタノール相における全脂質濃度10mg/ml)で生成された、POPC(図4A)、POPC/Chol(図4B)、およびPOPC/TO(図4C)LNPの低温TEM顕微鏡写真である。
図4C図4Cは、FRR=3(水ストリームに対して3ml/分、エタノールストリームに対して1ml/分、エタノール相における全脂質濃度10mg/ml)で生成された、POPC(図4A)、POPC/Chol(図4B)、およびPOPC/TO(図4C)LNPの低温TEM顕微鏡写真である。
図5図5は、LNPのサイズに対するPOPC/TOモル比の効果を示す。異なるPOPC/TO比(表1を参照されたい)に基づくナノエマルジョンを、FRR=3(水ストリームに対して3ml/分、エタノールストリームに対して1ml/分、エタノール相における全脂質濃度10mg/ml)で生成した。DLSで測定したLNPサイズのデータ点(丸)は、3回の実験の平均±SDを表す。理論値は、説明されるように計算し、計算値を使用して曲線フィッティング(二次指数関数的減衰)をプロットした。
図6A図6Aは、0.1モル/モル(図6A)および0.2モル/モル(図6B)のD/L比でドキソルビシンを投入したPOPC LNPの低温TEM顕微鏡写真である。
図6B図6Bは、0.1モル/モル(図6A)および0.2モル/モル(図6B)のD/L比でドキソルビシンを投入したPOPC LNPの低温TEM顕微鏡写真である。
図7A図7Aは、限界サイズ脂質ナノ粒子の作製に有用な本発明の代表的平行流体構造の三次元図である。
図7B図7Bは、図7Aに示される代表的平行流体構造の上面図および側面図を示す。上面図は、平行な2つの平面ヘリンボーン構造を示す。側面図は、流体平行流体構造が3つの層を有し、全体で6つのヘリンボーン構造を形成することを示す。
図7C図7Cは、限界サイズ脂質ナノ粒子の作製に有用な本発明の第2の代表的平行流体構造の三次元図である。
図8図8は、図7Aに示される代表的平行流体構造の、入口ポートと各層の第1のセクションとの間の擬似圧力降下の画像である。より高い下流側の抵抗に起因して、各層における下流側の抵抗は本質的に同一である。
図9図9は、ホルダに装着されたマイクロ流体拡張デバイス(チップ)の画像である。デバイスは、背面境界プレートに対して押し付けられ、ポートはOリングでシールされている。
図10図10は、拡張システム(平行流体デバイス)および単一ミキサーデバイスにより調製された、代表的POPC/コレステロールベシクル(最終脂質濃度は8mg/mLであった)の平均ベシクル直径を比較している。
図11図11は、拡張システム(平行流体デバイス)および単一ミキサーデバイスにより調製された、代表的DSPC/コレステロールベシクル(最終脂質濃度は3mg/mLであった)の平均ベシクル直径を比較している。
図12図12は、加熱チャンバを有する本発明の代表的温度制御流体デバイスである。
図13図13は、加熱チャンバを有する本発明の代表的温度制御流体デバイスである。
図14図14は、加熱チャンバを有する本発明の代表的温度制御流体デバイスである。
図15図15は、本発明の代表的脂質二重層ナノ粒子におけるモルパーセントコレステロール(Chol)の関数としての粒径(nm)を比較している。
図16図16は、共にCD-1マウスの血漿中6.5%のDSPE-PEG2000(PEG)を含有するPOPCおよびPOPC/Chol(7:3)DOX投入系の保持特性を評価する、in vivo薬物動態学的(PK)試験の結果を比較している。
図17図17は、50%FBS:POPC/PEG(D/L 0.1)、POPC/Chol/PEG 70/30/6.5(D/L 0.1)、POPC/Chol/PEG 70/30/6.5(D/L 0.15)、POPC/Chol/PEG 65/35/6.5(D/L 0.1)、およびPOPC/Chol/PEG 65/35/6.5(D/L 0.15)の存在下で行った、in vitro放出試験の結果を比較している。
【発明の詳細な説明】
【0014】
本発明は、限界サイズ脂質ナノ粒子、ナノ粒子を使用するための方法、ならびにナノ粒子を作製するための方法およびシステムを提供する。
【0015】
限界サイズ脂質ナノ粒子
本発明の一側面において、限界サイズ脂質ナノ粒子が提供される。ここで使用される場合、「限界サイズ」という用語は、粒子において可能な最も低いサイズ限界を指す。粒子の限界サイズは、粒子の組成、すなわち粒子の成分および粒子中のそれらの量の両方に依存する。限界サイズ脂質ナノ粒子は、分子構成成分の充填特性に基づいて調製され得る、最小のエネルギー的に安定な脂質ナノ粒子として定義される。
【0016】
一側面において、脂質ナノ粒子が約10nmから約100nmの直径を有する限界サイズ脂質ナノ粒子が提供される。
【0017】
本発明の限界サイズ脂質ナノ粒子は、コアと、コアを包囲するリン脂質を含むシェルとを含む。ある特定の態様において、コアは、脂質(たとえば脂肪酸トリグリセリド)を含み、半固体または固体である。他の態様において、コアは、液体(たとえば水性)である。一態様において、コアを包囲するシェルは、単分子層である。別の態様において、コアを包囲するシェルは、二重層である。
【0018】
ある特定の態様において、限界サイズナノ粒子は、水性コアを包囲する脂質二重層を含む。ナノ粒子は、有利には、水溶性薬剤、たとえば水溶性治療および診断薬剤が投入され、薬物送達ビヒクルとして機能し得る。
【0019】
脂質二重層(またはシェル)ナノ粒子は、リン脂質を含む。好適なリン脂質は、ジアシルホスファチジルコリンを含み、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン、セファリン、およびセレブロシドを含む。一態様において、リン脂質は、C8~C20脂肪酸ジアシルホスファチジルコリンである。代表的なリン脂質は、1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)である。これらの態様において、ナノ粒子は、約50モルパーセントから約99モルパーセントのリン脂質を含む。
【0020】
ある特定の態様において、ナノ粒子は、ステロールをさらに含む。これらの態様において、ナノ粒子は、約10モルパーセントから約35モルパーセントのステロールを含む。代表的なステロールは、コレステロールを含む。一態様において、リン脂質対ステロール(たとえばコレステロール)の比は、55:45(モル:モル)である。別の態様において、リン脂質対ステロールの比は、60:40(モル:モル)である。さらなる態様において、リン脂質対ステロールの比は、65:35(モル:モル)である。さらなる態様において、リン脂質対コレステロールの比は、70:30(モル:モル)である。
【0021】
本発明のナノ粒子は、ポリエチレングリコール-脂質(PEG-脂質)をさらに含んでもよい。好適なポリエチレングリコール-脂質は、PEG修飾脂質、たとえばPEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、およびPEG修飾ジアルキルグリセロールを含む。代表的なポリエチレングリコール-脂質は、DLPE-PEG、DMPE-PEG、DPPC-PEG、およびDSPE-PEGを含む。一態様において、ポリエチレングリコール-脂質は、DSPE-PEG(たとえばDSPE-PEG2000)である。これらの態様において、ナノ粒子は、約1モルパーセントから約10モルパーセントのポリエチレングリコール-脂質を含む。
【0022】
代表的な態様において、ナノ粒子は、55~100%のPOPCおよび10モル%までのPEG-脂質(水性コアLNP)を含む。
【0023】
他の態様において、本発明の脂質ナノ粒子は、ホスホグリセリドを含む1種以上の他の脂質を含んでもよく、その代表例は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、およびジリノレオイルホスファチジルコリンを含む。リンが欠乏した他の化合物、たとえばスフィンゴ脂質およびグリコスフィンゴ脂質ファミリーが有用である。トリアシルグリセロールもまた有用である。
【0024】
本発明の代表的な粒子は、約10nmから約50nmの直径を有する。下限直径は、約10nmから約15nmである。
【0025】
他の態様において、限界サイズナノ粒子は、疎水性コアを包囲する脂質単分子層を含む。これらのナノ粒子は、有利には、疎水性薬剤、たとえば疎水性または難水溶性治療および診断薬剤が投入されてもよい。
【0026】
ある特定の態様において、疎水性コアは、脂質コアである。代表的な脂質コアは、脂肪酸トリグリセリドを含む。これらの態様において、ナノ粒子は、約30モルパーセントから約90モルパーセントの脂肪酸トリグリセリドを含む。好適な脂肪酸トリグリセリドは、C8~C20脂肪酸トリグリセリドを含む。一態様において、脂肪酸トリグリセリドは、オレイン酸トリグリセリド(トリグリセリドトリオレイン)である。
【0027】
脂質単分子層は、リン脂質を含む。好適なリン脂質は、上述のものを含む。この態様において、ナノ粒子は、約10モルパーセントから約70モルパーセントのリン脂質を含む。
【0028】
ある特定の態様において、リン脂質対脂肪酸トリグリセリドの比は、20:80(モル:モル)から60:40(モル:モル)である。好ましくは、トリグリセリドは、約40%未満および約80%以下の割合で存在する。
【0029】
本発明の限界サイズ脂質ナノ粒子は、1種以上の治療および/または診断薬剤を含み得る。これらの薬剤は、典型的には、粒子コア内に含有される。本発明の粒子は、広範な治療および/診断薬剤を含み得る。
【0030】
好適な治療薬は、化学治療薬(すなわち抗腫瘍薬)、麻酔薬、ベータアドレナリン遮断薬、抗高血圧薬、抗鬱薬、抗痙攣薬、制吐薬、抗ヒスタミン薬、抗不整脈薬、および抗マラリア薬を含む。
【0031】
代表的な抗腫瘍薬は、ドキソルビシン、ダウノルビシン、マイトマイシン、ブレオマイシン、ストレプトゾシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、メクロレタミン、塩酸塩、メルファラン、シクロホスファミド、トリエチレンチオホスホルアミド、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、フルオロウラシル、ヒドロキシウレア、チオグアニン、シタラビン、フロクスウリジン、ダカルバジン、シスプラチン、プロカルバジン、ビノレルビン、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エトポシド、ベキサロテン、テニポシド、トレチノイン、イソトレチノイン、シロリムス、フルベストラント、バルルビシン、ビンデシン、ロイコボリン、イリノテカン、カペシタビン、ゲムシタビン、塩酸ミトキサントロン、オキサリプラチン、アドリアマイシン、メトトレキセート、カルボプラチン、エストラムスチン、およびそれらの薬学的に許容される塩を含む。
【0032】
ある特定の態様において、治療薬剤は、抗腫瘍薬である。一態様において、抗腫瘍薬は、ドキソルビシンである。
【0033】
一態様において、本発明は、水性コアを包囲する脂質二重層を含むナノ粒子を提供し、二重層は、リン脂質、ステロール、およびポリエチレングリコール-脂質を含み、コアは、治療または診断薬剤を含む。ある特定の態様において、ナノ粒子は、限界サイズナノ粒子である。ある特定の態様において、ナノ粒子は、約10nmから約50nmの直径を有する。
【0034】
一態様において、本発明は、疎水性コアを包囲する脂質単分子層を提供し、単分子層は、リン脂質を含み、コアは、脂肪酸トリグリセリドならびに/または治療もしくは診断薬剤を含む。ある特定の態様において、ナノ粒子は、限界サイズナノ粒子である。ある特定の態様において、ナノ粒子は、約10nmから約80nmの直径を有する。
【0035】
本発明の脂質ナノ粒子は、治療および/または診断薬剤の送達に有用である。
【0036】
別の側面において、本発明は、治療および/または診断薬剤を対象に投与するための方法を提供する。方法において、治療および/または診断薬剤を含む本発明のナノ粒子が、対象に投与される。
【0037】
別の側面において、本発明は、疾患または状態を処置するのに効果的な治療薬剤を投与することにより処置可能な疾患または状態を処置するための方法を提供する。方法において、治療薬剤を含む本発明のナノ粒子が、それを必要とする対象に投与される。
【0038】
限界サイズ脂質ナノ粒子を作製するための方法
さらなる側面において、本発明は、限界サイズ脂質ナノ粒子を作製するための方法を提供する。一態様において、本発明は、第1および第2の隣接するストリームの流動のために構成された第1の領域と、ストリームを混合するための第2の領域とを有するデバイスにおいて、脂質ナノ粒子を作製するための方法であって、
(a)第1の溶媒(たとえば水ストリーム)を含む第1のストリームを、第1の流量でデバイスに導入することと、
(b)第2の溶媒中の脂質粒子形成材料を含む第2のストリームを、第2の流量でデバイスに導入し、第1および第2の隣接するストリームを提供することであって、第1および第2の溶媒は、同じではなく、第1の流量対第2の流量の比は、約2.0から約10.0である、ことと、
(c)第1および第2のストリームを、第1の領域から第2の領域に流動させることと、(d)第1および第2のストリームを、デバイスの第2の領域内で混合し、脂質ナノ粒子を含む第3のストリームを提供することと
を含む方法を提供する。
【0039】
一態様において、デバイスは、マイクロ流体デバイスである。ある特定の態様において、流動予混合は、層流である。ある特定の態様において、混合中の流動は、層流である。
【0040】
一態様において、脂質ナノ粒子は、限界サイズ脂質ナノ粒子である。
【0041】
方法において、限界サイズ脂質ナノ粒子は、第1および第2のストリームの急速混合により調製される。限界サイズナノ粒子の形成は、他の因子の中でも、脂質粒子形成材料を含有する溶液の極性を変更する速度(たとえば、異なる極性を有する2つのストリームの急速混合)に依存する。ある特定の態様において、急速混合は、流動制御、すなわち第1の流量対第2の流量の比の制御により達成される。ある特定の態様において、第1の流量対第2の流量の比は、1:1を超える(たとえば、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1であり、中間の比を含む)。他の態様において、急速混合は、ストリームの組成を制御することにより達成される。臨界点を超える溶媒極性の急速な変化は、限界サイズナノ粒子形成をもたらす。たとえば、第2のストリームにおけるエタノール含量を100%未満に低減する(水含量を0%超に増加させる)ことにより、1:1に近い流量比でストリームを急速混合することができる。
【0042】
ある特定の態様において、第1および第2のストリームを混合することは、カオス的移流を含む。他の態様において、第1および第2のストリームを混合することは、マイクロミキサーによる混合を含む。ある特定の態様において、第1および第2のストリームを混合することは、第1の領域内でバリア(たとえば、チャネル壁、シース液、または同心管)により防止される。ある特定の態様において、方法は、第3のストリームを水性緩衝液で希釈すること(たとえば、第3のストリームおよび水性緩衝液を第2の混合構造内に流動させること、または、脂質粒子を含む水性緩衝液を透析して、第2の溶媒の量を低減すること)をさらに含む。
【0043】
方法において、第1の溶媒は、水性緩衝液であり、第2の溶媒は、水混和性溶媒(たとえばアルコール、たとえばエタノール)である。一態様において、第2の溶媒は、水性アルコールである。
【0044】
上述のように、ある特定の態様において、第2のストリームは、脂質粒子形成材料(たとえば、上述のような脂質)を含む。一態様において、第2のストリームは、脂肪酸トリグリセリドを含む。この態様において、脂肪酸トリグリセリドは、約30モルパーセントから約90モルパーセントの量で第2のストリーム中に存在してもよい。好適な脂肪酸トリグリセリドは、C8~C20脂肪酸トリグリセリドを含む。代表的な脂肪酸トリグリセリドは、オレイン酸トリグリセリド(トリグリセリドトリオレイン)である。
【0045】
ある特定の態様において、第2のストリームは、リン脂質を含む。リン脂質は、約10モルパーセントから約99モルパーセントの量で第2のストリーム中に存在してもよい。一態様において、リン脂質は、ジアシルホスファチジルコリンである。好適なリン脂質は、上述のもの、たとえばC8~C20脂肪酸ジアシルホスファチジルコリンを含む。代表的なリン脂質は、1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)である。
【0046】
ある特定の態様において、リン脂質対脂肪酸トリグリセリドの比は、20:80(モル:モル)から60:40(モル:モル)である。
【0047】
ある特定の態様において、第2のストリームは、ステロール(たとえばコレステロール)を含む。ステロールは、約10モルパーセントから約35モルパーセントの量で第2のストリーム中に存在してもよい。一態様において、ステロールは、コレステロールである。いくつかの態様において、リン脂質対コレステロールの比は、55:45(モル:モル)である。
【0048】
ある特定の態様において、第2のストリームは、ポリエチレングリコール-脂質を含む。好適なポリエチレングリコール-脂質は、上述のものを含む。ポリエチレングリコール-脂質は、約1モルパーセントから約10モルパーセントの量で第2のストリーム中に存在してもよい。代表的なポリエチレングリコール-脂質は、DSPE-PEG(たとえばDSPE-PEG2000)である。
【0049】
一態様において、方法は、脂質ナノ粒子に治療および/または診断薬剤を投入して、治療および/または診断薬剤を含む脂質ナノ粒子を提供することをさらに含む。代替として、第1または第2のストリームは、薬剤の溶解度に基づいて治療および/または診断薬剤を含むことができる。
【0050】
本発明は、水性コアベシクル系と、TO等の疎水性脂肪を含有する固体コア系の両方に対して、高流量比において限界サイズのLNP系を生成することができるマイクロ流体混合アプローチを提供する。
【0051】
制御可能な様式で均質エマルジョンを生成するためにマイクロ流体デバイスを使用した報告がいくつかある。これらの研究は、2つの非混和性の相(油および水)を使用し、ミクロンサイズの液滴の形成をもたらしたが、これらの方法を使用してナノサイズの系は達成されなかった。マイクロメートル以下のサイズのリポソーム分散液の制御された形成のためのマイクロ流体アプローチが行われており、水混和性有機溶媒(イソプロピルアルコール)中に溶解した脂質のストリームを、2つの水ストリームの間のマイクロ流体チャネルに流体力学的に集中させた時に、リポソームが形成された。50nmから150nmの範囲の直径を有する微小単層ベシクルが形成されたが、そのサイズは、緩衝液対アルコールの比に依存していた。ベシクルのサイズは、アルコール濃度を低下させると増加し、60:1という高い緩衝液対アルコールの比を使用して、最小ベシクルが達成された。
【0052】
本発明は、スタガ型ヘリンボーンマイクロミキサーを使用して、20nmという微小なサイズを有するLNPの形成を提供する。流動集中アプローチ(flow-focused approach)の場合のように、LNP自己集合は、2つの混和性相の相互拡散により生じる。ヘリンボーンミキサーの存在により、移動距離に伴う2つの流体間の表面積の指数関数的増加がもたらされ、はるかに速い相互拡散がもたらされる。これにより、3という低い水性緩衝液対アルコール流量比で、限界サイズベシクルおよび固体コアLNPを形成することができる。
【0053】
直径20~40nmのサイズ範囲の限界サイズベシクルは、以前には、大きな多重層系の強力な超音波照射を使用することによってのみ達成されていた。超音波照射は、試料分解および汚染を含む数々の不利点を有する。以前に形成された構造を破砕するためのエネルギーの相当な入力を伴わないマイクロ流体アプローチは、極めてより穏やかであり、そのような効果をもたらす可能性が低い。さらに、超音波照射とは対照的に、限界サイズベシクルLNPの生成は、複数のミキサーを並列に組み付けることにより、マイクロ流体アプローチを使用して容易に拡張することができる。
【0054】
直径100nm以下のサイズ範囲内の疎水性脂質コアを含有する固体コアナノエマルジョンLNP系を生成することを試みた、超音波照射および他の技術を使用した数々の研究がなされている。直径約60nm未満の固体コアLNPの生成の報告は少ない。50nm未満の直径を有するナノエマルジョンは、現行の技術を使用して達成することが困難である。さらに、超音波照射を使用して、PC/TO混合物のサイズを、これらの成分の割合を変動させることにより変動させる取り組みが以前になされているが、これらの取り組みは、油滴およびリポソームの生成により難航している。本発明のマイクロ流体アプローチは、これまで到達不可能であったサイズ範囲内の安定な脂質ナノエマルジョンを生成する能力を提供する。
【0055】
上述のように、10~50nmのサイズ範囲内のLNPは、より大きな系よりもはるかに血管外標的組織に浸透することができるため、薬物送達用途において特別な利点を提供する。抗がん剤を含有するLNP系(直径80~100nmのサイズ範囲内)の大きな不利点は、それらが腫瘍の領域において浸出することができる一方で、腫瘍組織自体への浸透が僅かであることである。同様に、現在利用可能なLNP系は、「有窓」内皮を示す組織、たとえば肝臓、脾臓または骨髄に浸透し得るが、他の組織に浸透する能力が非常に限られている。本発明のマイクロ流体混合技術により利用可能な限界サイズ系は、LNP送達技術の適用可能性を拡張するための大きな実用性を有する。
【0056】
以下は、本発明の代表的方法および系の説明である。
【0057】
本発明は、「ボトムアップ」式アプローチを使用して限界サイズLNP系を生成するための急速マイクロ流体混合技術を提供する。ここで使用される場合、「ボトムアップ」という語句は、周囲の媒体の極性の急速な増加に応答して、粒子が溶液からの濃縮により生成される方法を指す。一態様において、LNPは、脂質を含有する有機(エタノール)ストリームを水ストリームと急速に混合するためにカオス的移流を達成するヘリンボーン連続流マイクロ流体混合デバイスを使用して形成された。代表的な脂質系は、1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、POPC/コレステロール(Chol)、およびPOPCとトリグリセリドトリオレイン(TO)との混合物を含んでいた。結果は、水ストリームとエタノールストリームとの間の流量比(FRR)を増加させることにより、純粋なPOPCならびにPOPCとCholおよびTOとの混合物に対して、限界サイズLNP系を得ることができることを示している。さらに、限界サイズPOPC/TO分散液のサイズは、POPC/TO比を変動させることにより、20nmから80nmの範囲にわたり変動し得る。
【0058】
マイクロ流体混合は、限界サイズLNP系を高流量比で生成し得る。本発明は、脂質成分の物理的特性および割合と一致され得る最小の安定LNP系を構成する「限界サイズ」系を提供する。LNPは、溶解した脂質を含有するエタノールストリームを水ストリームとマイクロ流体ミキサー内で混合することにより形成された。脂質が経験する媒体の極性を急速に増加させるほど、得られるLNPはある限界サイズに達するまで小さくなるはずであると推論された。(1)混合速度、および(2)混合されている水対エタノール体積の比の2つの因子が、極性の増加速度に影響し得る。ヘリンボーンマイクロミキサー内での混合速度は、全流量と共に増加する。より急速な混合および増加した希釈効果の両方に起因して、水流量対エタノール流量の比(流量比、FRR)が増加するにつれて、より小さいLNPが生成される。さらに、より高い流量比では、最終エタノール濃度が低下し、したがって、完全混合が達成された後、粒子融合および脂質交換(オストワルド熟成)に起因して、より大きなLNPの生成が低減される。
【0059】
ヘリンボーンマイクロ流体混合デバイスを使用してFRRを増加させることにより限界サイズLNP系が形成され得るかを決定するように、第1の組の実験を計画した。エタノール(脂質を含有する)および水(154mM生理食塩水)ストリームを混合することによりLNPを形成したが、1から9の範囲のFRRに対応して、エタノールの流量を一定に保持し(0.5ml/分)、水相の流量を0.5ml/分から4.5ml/分の範囲にわたり増加させた。したがって、全流量は、1ml/分から5ml/分の範囲にわたり変動した。3つの代表的な脂質系を調査した。最初の2つ、POPCおよびPOPC/Chol(55:45;モル/モル)は、水和後に二重層ベシクルを形成することが知られており、一方第3のPOPCおよびトリオレイン(TO)の混合物は、POPCが疎水性TOのコアを包囲する外側単分子層を形成した、「固体コア」エマルジョンを形成し得る。図2Aに示されるように、POPC系では、動的光散乱(DLS;数モード)により分析される約20nmの直径を有する限界サイズLNPが、3以上のFRRに対して観察される。これらの系は、光学的に透明であり、DLSにより示される微小サイズと一致した。POPC/Chol混合物では、約40nmの直径を有する限界サイズLNPが、2を超えるFRRに対して観察された。
【0060】
POPC/TO混合物の場合、POPC脂質がTOの固体コアの周囲の単分子層を形成すると仮定すると、限界サイズは、POPC/TO比に敏感であることが予期される。分子当たりのPOPC面積を0.7nm2、単分子層の厚さを2nm、およびTO分子量を885.4、ならびに密度を0.91g/mlと仮定すると、直径約20nmの限界粒径には、60/40(モル/モル)のPOPC/TO比が必要となる。図2Bに示されるように、5以上のFRRに対して、POPC/TO(60/40;モル/モル)混合物において20nmの平均粒径を有するLNP系が得られた。これらの微小系は、光学的に透明であった。LNPサイズは、異なる実験の間で極めて再現性がある(±2nm以内)ことにも留意されたい。25%エタノールの存在下、20℃で少なくとも24時間インキュベートしたPOPC/TOナノエマルジョンの粒径の増加は観察されなかった(データは図示せず)。透析して残留エタノールを除去したら、POPC/TOの20nm系は、少なくとも数カ月間安定なままであった。
【0061】
31P-NMR試験により決定される限界サイズLNP構造。31P-NMR技術を使用して、二重層ベシクル構造に一致して、リン脂質の一部がバルク水性緩衝液から隔離されているかどうかを、または、POPC単分子層により包囲された固体コアに一致して、POPCの全てが外側単分子層内にあるかどうかを決定した。これは、外側単分子層内のリン脂質から生じる31P-NMRシグナルがMn2+を添加することにより除去され得るため、達成するのが容易であった。Mn2+は、到達され得るリン脂質の31P-NMRシグナルを効果的に排除する拡張剤(broadening agent)として機能する。微小単層ベシクルの場合、これは外側単分子層に対応し、31P-NMRシグナルは、Mn2+の添加後に50%以上低減される。一方、リン脂質の全てが外側単分子層上にあるはずである固体コア系の場合、Mn2+への曝露後にシグナルの完全な排除が予期される。
【0062】
図3A~3Cは、2mM Mn2+の非存在下および存在下での、POPC(図3A)、POPC/Chol、55/45モル/モル(図3B)およびPOPC/TO、60/40モル/モル(図3C)LNP系に対して得られた31P NMRスペクトルを示す。予期されるように、緩衝剤がMn2+を含有しない場合、3つ全ての調製物において鋭い「等方性」ピークが観察され(上のパネル)、これは、ベシクルの転動および脂質の側方拡散効果に起因する急速な等方性運動平均化効果(isotropic motional averaging effect)に一致する。Mn2+の添加は、シグナル強度をPOPCおよびPOPC/Chol系の初期シグナルの50%以下のレベルまで低減し(図3Aおよび3B、下のパネル)、極めて小さい単層ベシクルの存在を示している。二重層の厚さおよび脂質分子当たりの面積が既知である場合、ベシクルの外側の脂質対内側の脂質の比(Ro/i)を使用して、ベシクルサイズを決定することができる。POPCおよびPOPC/Chol系のRo/iは、図3Aおよび3Bから計算され、3.5nmの二重層の厚さを仮定して、それぞれ1.7および1.35であることが判明したが、これは直径約30nmおよび50nmのサイズに対応する。これらの値は、DLSにより測定されたものより大きいが、これは、内側単分子層における充填密度の増加、および/または少ない割合の多重層ベシクルに起因して生じ得る。
【0063】
POPC/TO(60/40;モル/モル)LNP系の場合、拡張剤の添加は、31P-NMRシグナルの完全な排除をもたらし(図3C、下のパネル)、全てのPOPCが外側単分子層内に位置するTOコア系と一致する。ベシクル内部におけるPOPCからの残留シグナルは検出されないことから、二重層ベシクルの集団の証拠はない。
【0064】
LNPサイズおよび構造の低温透過型電子顕微鏡観察。異なるサイズおよび形態のLNPの形成を確認するため、低温TEMを使用してPOPC、POPC/Chol、およびPOPC/TO系を可視化した。顕微鏡写真は、POPCおよびPOPC/Chol系が、DLSおよび31P-NMRデータと一致して、15~25nm(図4A)および25~45nm(図4B)のサイズ範囲を有するベシクル形態を有することを示している。POPC/TO分散液の場合、低温TEMは、DLSサイズデータと良く一致して、15nmから25nmの範囲のサイズを有する球状高電子密度粒子の存在を明らかにしている(図4C)。
【0065】
マイクロ流体混合により生成されたLNPの限界サイズに対するPOPC/TO比の影響。上述のように、POPC/TO混合物から生成されたLNPの限界サイズは、リン脂質対トリグリセリドのモル比に依存するはずである。直径20、40、60、および80nmのLNPを形成するために必要なモル比を計算してLNP系を生成するために使用し、DLSによりそのサイズを測定した。図5は、理論値を表す曲線と比較した、POPC/TOモル比の関数としてのPOPC/TO LNPの平均直径の減少を示す。表1は、POPC/TO LNPの予測サイズとDLS推定サイズとの間の直接比較を示す。POPC/TO比に基づく予測サイズと実際のサイズとの間に良好な一致が見られる。
【表1】
【0066】
限界サイズベシクルLNP内にドキソルビシンを投入および保持することができる。本発明の一側面において、限界サイズベシクルLNP系内に治療薬および診断薬剤を投入および保持することができる。そのような系の低いトラップ容積(trapped volume)は、弱塩基性薬物、たとえばドキソルビシンの蓄積をもたらすpH勾配(内部酸性(inside acidic))を形成させるために使用され得る溶質(たとえば硫酸アンモニウム)の封入を制限することが予期される。広く使用されている抗腫瘍薬であるドキソルビシンは、pH勾配を示す従来の100nmリポソーム系内に容易に蓄積され得るため、モデル化合物として選択された。硫酸アンモニウムを含有するPOPCで構成されるLNP系は、以下のように調製された。生理食塩水中で調製されたPOPC系と比較して、サイズの大きな変化は観察されなかった。外部硫酸アンモニウムの除去後、硫酸アンモニウム含有LNPを、様々な量のドキソルビシンの存在下で60℃でインキュベートした(初期薬物/脂質(D/L)比は、0.05、0.1および0.2モル/モルに設定した)。全ての場合において、30分以内に100%に近い薬物投入の有効性が達成された(データは示さず)。投入試料のDLS分析は、空の前駆体(約20nm)と比較して、粒径の増加を示さなかった。
【0067】
薬物投入LNPの形態に対するドキソルビシン投入の効果をさらに調査するために、D/L 0.1および0.2モル/モルで投入されたPOPC LNPに対する低温TEM観察を行った。低温TEM観察からの代表的な画像を、図6Aおよび6Bに示す。リポソームドキソルビシン調合物の以前の低温TEM観察は、「コーヒー豆」形状のリポソーム形態をもたらす封入薬物の直線状沈殿物の存在を示していた。ここで、D/L 0.1で投入されたLNPは、同様の外観を示し、100nm系において観察されるものと同様の薬物沈殿パターンを示している(図6A)。しかしながら、0.2モル/モルというより高いD/L比では、ベシクルの内部は、より均一に高電子密度であるように見え、沈殿したドキソルビシンは、非晶質沈殿物に合体し、明確に画定された構造組織を有さないようであり(図6B);いくつかの粒子は、細長い形状に見える。それにもかかわらず、粒子のほとんどは球状のままであり、これらの顕微鏡写真における粒子のサイズ分析(約150の偏りのない試料に基づく)は、0.1モル/モルおよび0.2モル/モルで投入されたLNPにおいて、それぞれ22±8nmおよび22±10nm(平均±SD)のサイズを示した。
【0068】
高い表面/体積比および非常に小さな膜曲率半径を示す限界サイズ系では、封入薬物を安定に保持する投入LNPの能力が問題となり得る。それに関して、4℃で保存されたドキソルビシン投入LNPの安定性を、8週間の期間監視した。検出可能な薬物放出/粒径変化は観察されなかった。37℃でインキュベートされた試料においては、投入薬物の90%(0.1モル/モル系)および75%(0.2モル/モル系)が、24時間の時点で封入されたままであった(データは示さず)。これらの結果は、難溶性ベシクル内沈殿物を形成する封入薬物の能力が、薬物投入限界サイズLNPに適正な保持力をもたらすのに役立ち得る因子の1つとなり得ることを示している。
【0069】
ある特定の態様において、脂質ナノ粒子中のステロールおよびポリエチレングリコール-脂質の存在が、ナノ粒子のサイズ特性を改善した(たとえば、約15nmから約35nmの有利な粒径を維持した)。図1に概略的に示されるデバイスを使用して、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)を1つの入口(102)に導入し、エタノール中の脂質(DSPE-PEG2000を含む、または含まないDSPC/Chol)を、第2の入口(106)に導入した。それぞれ、デバイスに導入する前に約60℃に加熱した。全流量は4mL/分であり、FRRは5:1(水3.33mL/分、エタノール0.66mL/分)であり、エタノール中の脂質の初期濃度は20mMであった。生成物を、pH7.4のリン酸緩衝生理食塩水中で一晩透析し、Amicon Ultra Centrifugationユニット(10K MWCO)により濃縮した。結果を表2および3に示す。
【表2】
【表3】
【0070】
図15は、本発明の代表的脂質二重層ナノ粒子におけるモルパーセントコレステロール(Chol)の関数としての粒径(nm)を比較している。3%モルDSPE-PEG2000の存在により、POPC/Chol/PEG系のサイズは、35%モルCholまで維持され得る。サイズは、数加重のDLSにより測定した。
【0071】
上述のように、ある特定の態様において、本発明の脂質ナノ粒子は、有利に治療薬剤が投入され得る。代表的な例において、POPC/PEG系(Chol不含)へのドキソルビシン(DOX)の投入は、60℃で行われた。100%に近い薬物投入の有効性が30分以内に達成された。しかしながら、Chol含有系(POPC/Chol/PEG)は、薬物の存在下においてはこの温度で不安定であった(系は崩壊し、粗大凝集物の形成が生じた)。したがって、POPC/Chol/PEG系へのドキソルビシンの投入は、37℃で行われた(3時間、D/L 0.1モル/モル)。形成段階において3%のPEGが調合物に含まれ、投入前に追加の3.5%が後に注入された。系内のコレステロールの存在は、ドキソルビシン保持の改善をもたらした(in vitroとin vivoの両方において)。
【0072】
図16は、共にCD-1マウスの血漿中6.5%のDSPE-PEG2000(PEG)を含有するPOPCおよびPOPC/Chol(7:3)DOX投入系の保持特性を評価する、in vivo薬物動態学的(PK)試験の結果を比較している。結果は、ポリエチレングリコール脂質を含む系が、保持の向上を証明することを示している。
【0073】
図17は、50%FBSの存在下で行われたin vitro放出試験の結果を比較している。評価された系は、POPC/PEG(D/L 0.1)、POPC/Chol/PEG 70/30/6.5(D/L 0.1)、POPC/Chol/PEG70/30/6.5(D/L 0.15)、POPC/Chol/PEG 65/35/6.5(D/L 0.1)、およびPOPC/Chol/PEG 65/35/6.5(D/L 0.15)であった。結果は、30%から35%へのChol含量の増加が、DOX保持の増加を提供すること、および0.15モル/モルへのD/L比の増加が、薬物保持にいかなる改善ももたらさなかったことを証明する。
【0074】
限界サイズナノ粒子を作製するためのデバイスおよびシステム
別の側面において、本発明は、限界サイズナノ粒子を作製するためのデバイスおよびシステムを提供する。一態様において、デバイスは、
(a)第1の溶媒を含む第1の溶液を受容するための第1の入口(102)と、(b)第1の入口と流体連通して、第1の溶媒を含む第1のストリームを提供する、第1の入口マイクロチャネル(104)と、
(c)第2の溶媒中の脂質粒子形成材料を含む第2の溶液を受容するための第2の入口(106)と、
(d)第2の入口と流体連通して、第2の溶媒中の脂質粒子形成材料を含む第2のストリームを提供する、第2の入口マイクロチャネル(108)と、
(e)第1および第2のストリームを受容するための第3のマイクロチャネル(110)であって、第1および第2のストリームを流動させるように構成された第1の領域(112)と、第1および第2のストリームの内容物を混合して、限界サイズ脂質ナノ粒子を含む第3のストリームを提供するように構成された第2の領域(114)とを有する、第3のマイクロチャネル(110)と
を含む。そのように形成された脂質ナノ粒子は、マイクロチャネル116により第2の(混合)領域から出口118に導かれる。
【0075】
上記の参照番号は、図1に概略的に示される代表的デバイスを指す。
【0076】
一態様において、マイクロチャネルの第2の領域は、浅浮き彫り構造を含む。ある特定の態様において、マイクロチャネルの第2の領域は、主要流動方向と、少なくとも1つの溝または突起が画定された1つ以上の表面とを有し、溝または突起は、主要方向と角度を形成する方位を有する。他の態様において、第2の領域は、マイクロミキサーを含む。
【0077】
デバイスおよびシステムにおいて、第1および第2のストリームの流量を変動させるための手段を使用してストリームが急速に混合され、それにより限界サイズナノ粒子が提供される。
【0078】
ある特定の態様において、1つ以上のマイクロチャネルは、約20μmから約300μmの水力直径を有する。
【0079】
ある特定の態様において、本発明のデバイスは10ms未満で生じる完全混合を提供する。
【0080】
一態様において、デバイスは、平行マイクロ流体構造である。
【0081】
ある特定の態様において、デバイスの1つ以上の領域が加熱される。
【0082】
本発明の限界サイズナノ粒子を作製するための他の代表的なデバイスおよびシステムを、以下で説明する。
【0083】
平行流体構造。ある特定の側面において、本発明は、2つ以上の流体混合構造(すなわち、流体構造のアレイ)を含むデバイスを提供する。ある特定の態様において、本発明は、約2mL/分から約1600mL/分の流量で脂質ナノ粒子を生成することができる、2個から約40個の平行流体混合構造を含む単一デバイス(すなわちアレイ)を提供する。これらの態様において、デバイスは、脂質ナノ粒子特性を変化させずに2mLから約20,000mLを生成する。
【0084】
一態様において、脂質ナノ粒子を生成するためのデバイスは、
(a)第1の溶媒を含む第1の溶液を受容するための第1の入口と、
(b)第1の入口と流体連通して、第1の溶媒を含む第1のストリームを提供する、第1の入口マイクロチャネルと、
(c)第2の溶媒中の脂質粒子形成材料を含む第2の溶液を受容するための第2の入口と、
(d)第2の入口と流体連通して、第2の溶媒中の脂質粒子形成材料を含む第2のストリームを提供する、第2の入口マイクロチャネルと、
(e)第1および第2のストリームを受容するための複数のマイクロチャネルであって、それぞれ、第1および第2のストリームを流動させるように構成された第1の領域と、第1および第2のストリームの内容物を混合して、脂質ナノ粒子に影響する複数のストリームを提供するように構成された第2の領域とを有する、複数のマイクロチャネルと、(f)脂質ナノ粒子を含む複数のストリームを受容し、組み合わせるための第4のマイクロチャネルと
を含む。
【0085】
ある特定の態様において、第1および第2のストリームを受容するための複数のマイクロチャネルのそれぞれは、
(a)第1の入口マイクロチャネルと流体連通して、第1の溶媒を含む第1のストリームを受容する、第1のマイクロチャネルと、
(b)第2の入口マイクロチャネルと流体連通して、第2の溶媒を含む第2の入口ストリームを受容する、第2のマイクロチャネルと、
(c)第1および第2のストリームを受容するための第3のマイクロチャネルであって、それぞれ、第1および第2のストリームを流動させるように構成された第1の領域と、第1および第2のストリームの内容物を混合して、脂質ナノ粒子に影響する複数のストリームを提供するように構成された第2の領域とを有する、第3のマイクロチャネルとを含む。
【0086】
ある特定の態様において、デバイスは、第1および第2のストリームを受容するための、2個から約40個のマイクロチャネルを含む。これらの態様において、デバイスは、2mL/分から約1600mL/分の全流量を有する。
【0087】
ある特定の態様において、第2の領域は、それぞれ約20μmから約300μmの水力直径を有する。ある特定の態様において、第2の領域は、それぞれ1mL/分から約40mL/分の流体流量を有する。
【0088】
加熱要素を含む態様において、加熱要素は、第1および第2のマイクロチャネル内の第1および第2のストリームの温度を、それらが第3のマイクロチャネルに進入する前に所定の温度に上昇させるために効果的である。これらの態様において、入口流体は所望の温度に加熱され、流体温度が脂質ナノ粒子形成の前に認め得るほどに変化しないように、混合は十分急速に生じる。
【0089】
一態様において、本発明は、平行マイクロ流体構造を含む限界サイズナノ粒子を作製するためのシステムを提供する。平行構造において、N×F(Fは非平行化の実装において使用される流量である)の全流量が達成されるようにN個の単一ミキサーが配列される。本発明の代表的な平行マイクロ流体構造を、図7A~7Cに概略的に示す。
【0090】
代表的な平行マイクロ流体構造の斜視図を図7Aに示し、平面図を図7Bに示す。
【0091】
図7Aを参照すると、デバイス200は、1つの第1の溶媒入口(202)、2つの第2の溶媒入口(206および206’)、2つの混合領域(110および110’)、ならびに単一出口(208)を含む各システムに対して垂直に配設された3つの流体システム(100a、100b、および100c)を含む。各システムは、第1および第2のストリームを受容するためのマイクロチャネル(それぞれ202ならびに206および206’)を含む。
【0092】
図7Bを参照すると、各流体システムは、
(a)第1の入口(102a)を介して第1の入口マイクロチャネル(104a)と流体連通して、第1の溶媒を含む第1のストリームを受容する、第1のマイクロチャネル(202)と、
(b)第2の入口(106a)を介して第2の入口マイクロチャネル(108a)と流体連通して、第2の溶媒を含む第2の入口ストリームを受容する、第2のマイクロチャネル(206)と、
(c)第1および第2のストリームを受容するための第3のマイクロチャネル(110a)であって、それぞれ、第1および第2のストリームを流動させるように構成された第1の領域(112a)と、第1および第2のストリームの内容物を混合して、脂質ナノ粒子を含む複数のストリームを提供するように構成された第2の領域(114a)とを有する、第3のマイクロチャネル(110a)と
を含む。図7Bにおいて、マイクロチャネル116aは、デバイスから脂質ナノ粒子を導く出口118aを介して、複数のストリームの1つを、混合領域から第4のマイクロチャネル208に導く。
【0093】
図7Bを参照すると、デバイスのこの態様において、流体システム100aは、第2の第2の溶媒入口(206’)および混合領域(110a’)を含み、構成成分は、参照番号102a’、104a’、106a’、108a’、112a’、114a’、116a’および118a’により示されることが理解される。これらの参照番号は、図7Bにおけるそのダッシュ記号のない相当物(102、104、106、108、112、114、116、および118)に対応する。
【0094】
この構造は、単一ミキサーチップと比較してより高い流量でベシクルを生成し、単一ミキサーチップにより生成されたものと同一のベシクルを生成する。この代表的な態様において、6つのミキサーが、3つの試薬入口を使用して統合される。これは、図7Aおよび7Bに示されるように、平面平行化と垂直平行化の両方を使用して達成される。
【0095】
平面平行化は、同じ水平面上に1つ以上のミキサーを設置することを指す。これらのミキサーは、流体バスチャネル(bus channel)により接続されても、またはされなくてもよい。入口と出口との間に同一流体経路を形成することにより、各ミキサーを通る等しい流動が確保され、または、図7Cに示されるように低インピーダンスバスチャネル(ミキサーの流体インピーダンスより大幅に低い流体インピーダンスを有するチャネル)を使用して入口および出口を接続することにより、効果的に等しい流動が達成される。
【0096】
図7Cは、水平に配設された5つの流体システム(100a、100b、100c、100d、および100e)を含むデバイス300を示し、各システムは、1つの第1の溶媒入口、1つの第2の溶媒入口、1つの混合領域、および単一の出口(208)を含む。デバイス300は、第1および第2のストリームを受容するためのマイクロチャネル(202および206)、ならびにデバイス内で生成された脂質ナノ粒子をデバイスから導くためのマイクロチャネル(208)を含む。
【0097】
図7Cを参照すると、流体システム100aは、
(a)第1の入口(102a)を介して第1の入口マイクロチャネル(104a)と流体連通して、第1の溶媒を含む第1のストリームを受容する、第1のマイクロチャネル(202)(入口203を有する)と、
(b)第2の入口(106a)を介して入口マイクロチャネル(104a)と流体連通して、第2の溶媒を含む第2の入口ストリームを受容する、第2のマイクロチャネル(206)(入口205を有する)と、
(c)第1および第2のストリームを受容するための第3のマイクロチャネル(110a)であって、第1および第2のストリームを流動させるように構成された第1の領域(112a)と、第1および第2のストリームの内容物を混合して、脂質ナノ粒子に影響する第3のストリームを提供するように構成された第2の領域(114a)とを有する、第3のマイクロチャネル(110a)と
を含む。図7Cにおいて、マイクロチャネル116aは、出口118aを介して、第3のストリームを混合領域から第4のマイクロチャネル208に導く。マイクロチャネル208は、出口209を介して、脂質ナノ粒子をデバイスから導く。
【0098】
図7Bを参照すると、デバイスのこの態様において、流体システム100aは、第2の第2溶媒入口(206’)および混合領域(110a’)を含み、構成成分は、参照番号102a’、104a’、106a’、108a’、112a’、114a’、116a’および118a’により示されることが理解される。これらの参照番号は、図7Bにおけるそのダッシュ記号のない相当物(102、104、106、108、112、114、116、および118)に対応する。
【0099】
一態様において、本発明は、n個の流体デバイスを含む、限界サイズ脂質ナノ粒子を生成するためのデバイスを提供し、各流体デバイスは、
(a)第1の溶媒を含む第1の溶液を受容するための第1の入口(102a)と、(b)第1の入口と流体連通して、第1の溶媒を含む第1のストリームを提供する、第1の入口マイクロチャネル(104a)と、
(c)第2の溶媒中の脂質粒子形成材料を含む第2の溶液を受容するための第2の入口(106a)と、
(d)第1および第2のストリームを受容するための第3のマイクロチャネル(110a)であって、第1および第2のストリームを流動させるように構成された第1の領域(112a)と、第1および第2のストリームの内容物を混合して、マイクロチャネル116aにより混合領域から導かれる限界サイズ脂質ナノ粒子を含む第3のストリームを提供するように構成された第2の領域(114a)とを有する、第3のマイクロチャネル(110a)と
を含み、各流体デバイス(100a~100n)の第1の入口(102a~102n)は、第1の溶液を第1の入口のそれぞれに提供する第1のバスチャネル(202)を通して流体連通しており、
各流体デバイス(100a~100n)の第2の入口(106a~106n)は、第2の溶液を第2の入口のそれぞれに提供する第2のバスチャネル(206)を通して流体連通しており、
各流体デバイス(100a~100n)の出口(118a~118n)は、第3のストリームをデバイスから導く第3のバスチャネル(208)を通して流体連通している。参照番号は、図7Cにおける代表的デバイス300を指す。
【0100】
ある特定の態様において、nは、2から40の整数である。
【0101】
垂直平行化は、平面ミキサー(planar mixer)を形成し、それらを互いにスタックして、垂直バスを通して入口および出口を接続することにより達成される。理論的には、入口からより低いミキサーに流動する流体は、一番上のミキサーに流動する流体よりも高い抵抗を受け、したがってより低い流量となる。しかしながら、2つのミキサーを隔てる距離は500ミクロン未満であり、混合構造(各層に対して同一である)の全体的抵抗と比較して、増加する抵抗は無視できる。これは、実験結果と流体流動シミュレーション(図8)の両方から確認される。この条件が成り立つ混合層を隔てる距離は、バスの幅に依存する。
【0102】
平行化デバイスは、まず、平面バスチャネルにより平行に接続された1つ以上のマイクロ流体ミキサーを有する平面平行化ミキサーのポジ型を作製することにより形成される。次いで、これらの型を使用して、平面平行化ミキサーの層がキャスト、エンボス加工、または別様に成形され、次いでその1つ以上の層が、垂直バスチャネルを使用してスタック、接合および接続され得る。ある特定の実装において、平面ミキサーおよびバスは、垂直にスタックする前に、2つの別個の型から形成されてもよい(所望により)。一態様において、標準的リソグラフィーを使用して、シリコンウエハ上の2つの平面構造のポジ型を形成する。次いで、等量比の(on-ratio)PDMSの厚い層を型に流し込み、脱気し、80℃で25分間硬化させる。次いで、硬化したPDMSを剥離し、次いで10:1のPDMSの第2の層を、500rpmで60秒間ウエハ上に回転塗布し、次いで80℃で25分間ベーキングする。ベーキングの後、両方の層を酸素プラズマに曝露し、次いで配列させる。次いで、配列させたチップを80℃で15分間ベーキングする。次いで、このプロセスを繰り返して、所望の数の層を形成する。配列は、チップを切断し、それぞれを個々に配列させることにより、および、硬化中のポリマーの収縮を考慮して、各層に対し個々のウエハを作製することにより促進することができる。
【0103】
カスタムチップホルダを使用して、このチップは、標準的なねじ式コネクタを用いてポンプに接続されている(図9を参照されたい)。これにより、72ml/分という高い流量を達成することが可能となった。以前は、単一要素ミキサーにおいて、ピンがチップからの噴出物を漏出することが多いため、約10ml/分の流動は信頼性がなかった。これらのホルダとの接続のため、チップは、背面側でガラスにシールされ、上面側で、接続穴が予め穿孔されたポリカーボネートまたはガラスのカスタム切断片にシールされる。PCからPDMSへの接合は、シラン処理を使用して達成される。Oリングによる信頼性のあるシールを形成するには、硬質表面が必要である。シラン化学はナノ粒子の形成に影響することが示されているため、ミキサーのシールのためにガラスの裏打ちが維持される。
【0104】
本発明のデバイスおよびシステムは、限界サイズナノ粒子の拡張可能な生成を提供する。以下の結果は、同一平均直径により示唆されるように、図7Aおよび7Bに示されるマイクロ流体ミキサーを使用して同一ベシクルを生成する能力を実証している。
【0105】
平行マイクロ流体構造を使用して生成された代表的な限界サイズナノ粒子(DSPC/コレステロールベシクル)の拡張調合のための平均ベシクル直径(nm)を、図11における単一ミキサーマイクロ流体デバイスを使用して生成されたものと比較する(最終脂質濃度は3mg/mLであった)。DSPC/コレステロールベシクルの調合は、単一マイクロ流体ミキサー内で、3:1の緩衝液:脂質-エタノール体積流量比、12ml/分の全流量で混合することにより、130μm×300μmミキサー(チャネル断面)を使用して行う。72ml/分(6倍の拡張)の処理量を可能とする拡張ミキサーは、6つのオリジナルのミキサーからなり、2つのミキサーの3つの組が垂直にスタックされ、水平に互いに隣接して設置される。マイクロ流体デバイス内での混合後の最終脂質濃度は、3mg/mlである。エラーバーは、マイクロ流体ミキサーで作製された複数の調合物の標準偏差を表す(1×ミキサーに対してn=3、および6×ミキサーに対してn=2)。
【0106】
平行マイクロ流体構造を使用して生成された代表的な限界サイズナノ粒子(DSPC/コレステロールベシクル)の拡張調合の平均ベシクル直径(nm)を、図11における単一ミキサーマイクロ流体デバイスを使用して生成されたものと比較する(最終脂質濃度は3mg/mLであった)。DSPC/コレステロールベシクルの調合は、単一マイクロ流体ミキサー内で、3:1の緩衝液:脂質-エタノール体積流量比、12ml/分の全流量で混合することにより、130μm×300μmミキサー(チャネル断面)を使用して行う。72ml/分(6倍の拡張)の処理量を可能とする拡張ミキサーは、6つのオリジナルのミキサーからなり、3つのミキサーの2つの組が垂直にスタックされ、水平に互いに隣接して設置される。マイクロ流体デバイス内での混合後の最終脂質濃度は、3mg/mlである。エラーバーは、マイクロ流体ミキサーで作製された複数の調合物の標準偏差を表す(1×ミキサーに対してn=3、および6×ミキサーに対してn=2)。
【0107】
温度制御流体構造。別の態様において、本発明は、限界サイズ脂質ナノ粒子を作製するための温度制御流体構造を提供する。これらの構造において、ストリームが高い表面積(加熱器面積)対体積の比を有するチャンバを通って流動する際に、溶液は急速に加熱され得る。COMSOLシミュレーションは、溶液が、1mL/分の流量で10mm×10mm×100μmチャンバを通って流動することにより加熱され得ることを示した。シミュレーションは、溶液がチャンバの最初の5分の1において加熱し、したがって流量はおそらく5mL/分に増加され得ることを示した。
【0108】
代表的な温度制御流体構造を、図12~14に示す。
【0109】
以下の例は、本発明を限定するのではなく例示する目的で提供される。
【0110】
[実施例]
例1
代表的なLNPの調製および特性決定
この例では、代表的なLNPの調製および特性決定を説明する。
【0111】
脂質および化学薬品。1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)を、Avanti Polar Lipids(Alabaster、AL)から入手した。1,2,3-トリ(cis-9-オクタデセノイル)グリセロール(トリオレイン酸グリセリル、TO)、コレステロール(Chol)、塩化ナトリウム、硫酸アンモニウム、および塩酸ドキソルビシンは、Sigma-Aldrich Canada Ltd.(Oakville、Ontario、Canada)からのものであった。
【0112】
マイクロミキサーの設計および製造。マイクロミキサーは、回転および伸長局所流の反復シーケンスを誘導し、したがって注入されたストリームの急速混合を誘導する、チャネルの床上の非対称溝のパターンに基づく配置(スタガ型ヘリンボーン設計)を有する連続流システムのためのカオスミキサーであった。デバイスは、ソフトリソグラフィー、すなわちエラストマー中の微細加工マスターのレプリカ成形により製造した。デバイスは、幅200μmおよび高さ79μmの混合チャネルを特徴とし、チャネルのルーフ上に高さ31μmおよび厚さ50μmの特徴によりヘリンボーン構造が形成されている(図1を参照されたい)。流体接続は、シリンジとの接続用の21G1針に取り付けられた、内径1/32”、外径3/32”の配管で行った。入口ストリームには、概して1ml、3ml、および5mlのシリンジを使用した。デュアルシリンジポンプ(KD200、KD Scientific)を使用して、デバイスを通る流量を制御した。
【0113】
LNP形成。脂質(リポソーム系の調製のためのPOPCまたはPOPC/Chol(55/45モル比)、ナノエマルジョンの調製のための異なる比のPOPC/TO)を、10mg/mlの全脂質でエタノールに溶解した。LNPは、エタノール脂質混合物をマイクロミキサーの混合チャネルの第1の入口に、水性水和溶液(生理食塩水、154mM NaCl)を第2の入口に注入することにより調製した(図1を参照されたい)。エタノールチャネルにおいて一定流量を維持し、水チャネルの流量を変動させる(典型的には0.5~4.5ml/分)ことにより、適切な流量比(FRR、水ストリーム体積流量対エタノール体積流量の比)を設定した。このようにして形成されたLNPの水性分散液は、2つの隣接するストリームの混合から得られる出口ストリームから回収し、154mM生理食塩水に対して透析して、残留エタノールを除去した。
【0114】
硫酸アンモニウム勾配を示すPOPC LNPの形成。上述のように硫酸アンモニウムを含有する限界サイズベシクルPOPC LNPを形成したが、但し生理食塩水を300mM硫酸アンモニウム溶液で置きかえた(FRRは3、エタノール溶液中10mg/mlのPOPC)。形成後、LNPを300mM硫酸アンモニウムに対して透析し、Amicon Ultra-15遠心分離フィルタユニット(Millipore)を使用して10mg/mlに濃縮した。Sephadex G-50スピンカラム上でベシクル外溶液(extravesicular solution)を154mM NaCl、pH7.4と交換することにより、硫酸アンモニウム勾配を形成した。
【0115】
ドキソルビシン投入および分析。塩酸ドキソルビシンを5mg/mlで生理食塩水に溶解し、硫酸アンモニウム含有LNPに添加して、0.05、0.1、および0.2の薬物対脂質の比をもたらした。次いで、試料を60℃で30分間インキュベートし、最適投入条件をもたらした。捕捉された薬物の検出の前に、試料をSephadex G-50スピンカラムに通すことにより、捕捉されなかったドキソルビシンを除去した。
【0116】
Perkin-Elmer LS50蛍光光度計(Perkin-Elmer、Norwalk、CT)を用いて、蛍光強度(励起および発光波長はそれぞれ480nmおよび590nm)によりドキソルビシンを分析し、0.5%の最終濃度までの10% Triton X-100の添加により、100%放出に対する値を得た。リン脂質濃度は、標準分析キット(Wako Chemicals、Richmond、VA)を使用した酵素比色法により決定した。投入効率は、Sephadex G-50スピンカラムを使用したサイズ排除クロマトグラフィーによる、LNP封入薬物からの外部薬物の分離前および後に、薬物レベルと脂質レベルの両方を定量し、各薬物/脂質比を比較することにより決定した。
【0117】
粒径測定。LNPを生理食塩水で適切な濃度に希釈し、NICOMPモデル370サブミクロン粒径分析器(Particle Sizing Systems、Santa Barbara、CA)を使用して、動的光散乱(DLS)により平均粒径(数加重)を決定した。粒径分析器は、リポソーム(POPCおよびPOPC/Chol系)および脂質コアナノスフェア(POPC/TO系)のサイズを決定するために、それぞれベシクルおよび固体粒子モードで操作した。
【0118】
核磁気共鳴分光法。162MHzで動作するBruker AVII 400分光計を使用して、プロトンデカップリング31P-NMRスペクトルを得た。1sのパルス間遅延および64kHzのスペクトル幅を有する15μs、55度のパルスで、約10,000スキャンに対応する自由誘導減衰(FID)を得た。50Hzの線幅拡大に対応する指数関数的増加を、フーリエ変換前にFIDに適用した。試料温度は、Bruker BVT 3200温度ユニットを使用して調整した。測定は25℃で行った。
【0119】
低温透過型電子顕微鏡法(低温TEM)。20~40mg/ml(全脂質)でLNPを含有するPBS 3μLを、有孔カーボンフィルムを有する標準電子顕微鏡グリッドに滴下することにより、試料を調製した。Vitrobotシステム(FEI、Hillsboro、OR)で吸い取ることにより過剰の液体を除去し、次いで液体エタン中のLNP懸濁液をプランジ凍結して、アモルファス氷の薄膜内にベシクルを急速凍結させた。AMT HR CCD側方装着カメラを用いて、極低温条件下、29Kの倍率で画像を撮像した。画像コントラストを強調するために、5~8μmのアンダーフォーカスでの低線量条件下で、Gatan 70度低温移送ホルダを用いて、試料をFEI G20 Lab6 200kV TEM内に投入した。
【0120】
本発明の好ましい態様を例示し説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、様々な変更を行うことができることが理解される。
【0121】
独占的な所有権または特権が請求される本発明の態様は、以下に定義される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2024-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
限界サイズ脂質ナノ粒子を生成するためのデバイスであって、
(a)第1の溶媒を含む第1の溶液を受容するための第1の入口と、
(b)前記第1の溶媒を含む第1のストリームを提供するように前記第1の入口と流体連通する第1の入口マイクロチャネルと、
(c)第2の溶媒中に脂質粒子形成材料を含む第2の溶液を受容するための第2の入口と、
(d)前記第2の溶媒中の前記脂質粒子形成材料を含む第2のストリームを提供するように前記第2の入口と流体連通する第2の入口マイクロチャネルと、
(e)前記第1のストリーム及び前記第2のストリームを受容するための第3のマイクロチャネルと、を備え、前記第3のマイクロチャネルは、前記第1のストリーム及び前記第2のストリームを流動させるように適合された第1の領域と、前記第1のストリーム及び前記第2のストリームの内容物を混合するように適合された第2の領域とを有して限界サイズ脂質ナノ粒子を含む第3のストリ-ムを提供し、
前記第3のマイクロチャネルは、前記第1のストリーム及び前記第2のストリームを流量比が2.0から10.0で受容するように構成されており、前記第1の領域は、前記第1のストリーム及び前記第2のストリームを2mL/分から1600mL/分の混合された流量で流動させるように適合されている、デバイス。
【請求項2】
前記第3のマイクロチャネルの前記第2の領域が、79μmから130μmの高さを有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第3のマイクロチャネルの前記第2の領域が、マイクロミキサーを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第3のマイクロチャネルの前記第2の領域が、浅浮き彫り構造を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記浅浮き彫り構造が、複数のヘリンボーン浅浮き彫り構造を含む、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第3のマイクロチャネルの前記第2の領域が、主要流動方向と、少なくとも1つの溝または突起が画定された1つ以上の表面とを有し、少なくとも1つの前記溝または突起が、前記主要流動方向と角度を形成する方位を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1の入口マイクロチャネルと前記第2の入口マイクロチャネルが、それぞれ、20μmから300μmの水力直径を有する部分を少なくとも含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
限界サイズ脂質ナノ粒子を生成する方法であって、
第1のストリームを流体デバイスの第1の入口マイクロチャネルを通して流動させることと、ここで、前記第1のストリームは第1の溶媒を含み、
第2の溶媒中に脂質粒子形成材料を含む第2のストリームを提供するために、前記流体デバイスの第2の入口マイクロチャネルを通して第2のストリームを流動させることと、
前記第1のストリーム及び前記第2のストリームを前記流体デバイスの第3のマイクロチャネルの第1の領域を通して流動させることと、ここで、前記第3のマイクロチャネルは前記第1の入口マイクロチャネル及び前記第2の入口マイクロチャネルと流体連通しており、前記第1のストリームと前記第2のストリームの流量比は2.0から10.0であり、前記第1のストリームと前記第2のストリームの混合された流量は2.0mL/分から1600mL/分であり、
前記第1のストリームと前記第2のストリームを前記第3のマイクロチャネルの第2の領域で混合させることと、ここで、前記第2の領域は前記第1の領域と流体連通しており、
第3のストリームを前記第2の領域から流動させることと、ここで、前記第3のストリームは前記第1のストリームと前記第2のストリームの混合によって形成された限界サイズ脂質ナノ粒子を含み、
を備える、方法。
【請求項9】
前記第3のマイクロチャネルの前記第2の領域が、79μmから130μmの高さを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第3のマイクロチャネルの前記第2の領域が、マイクロミキサーを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第3のマイクロチャネルの前記第2の領域が、浅浮き彫り構造を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記浅浮き彫り構造が、複数のヘリンボーン浅浮き彫り構造を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第3のマイクロチャネルの前記第2の領域が、主要流動方向と、少なくとも1つの溝または突起が画定された1つ以上の表面とを有し、少なくとも1つの前記溝または突起が、前記主要流動方向と角度を形成する方位を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の入口マイクロチャネルと前記第2の入口マイクロチャネルが、それぞれ、20μmから300μmの水力直径を有する部分を少なくとも含む、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
第1の溶液を受容し、前記第1の溶液を含む第1のストリームを提供するように構成された第1の入口マイクロチャネルと、
第2の溶液を受容し、前記第2の溶液を含む第2のストリームを提供するように構成された第2の入口マイクロチャネルと、
前記第1のストリーム及び前記第2のストリームを受容するように構成された第3のマイクロチャネルと、ここで、前記第3のマイクロチャネルは、前記第1のストリーム及び前記第2のストリームを流動させるように適合された第1の領域と、前記第1のストリーム及び前記第2のストリームを混合して前記第1の溶液及び前記第2の溶液の混合物を含む第3のストリ-ムを提供するように適合された第2の領域とを有し、
前記第1の溶液を第1の流量で前記第1の入口マイクロチャネルに提供するように構成された第1のポンプと、
前記第2の溶液を第2の流量で前記第2の入口マイクロチャネルに提供するように構成された第2のポンプと、を備え、
前記第1の流量と前記第2の流量の比は2.0から10.0であり、前記第1の流量と前記第2の流量の混合された流量は2mL/分から1600mL/分である、システム。
【請求項16】
前記第1の流量及び前記第2の流量は、前記第3のマイクロチャネルの前記第2の領域内で1mL/分から40mL/分の流量を提供するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第3のマイクロチャネルの前記第2の領域が、マイクロミキサーを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記第3のマイクロチャネルの前記第2の領域が、浅浮き彫り構造を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記第3のマイクロチャネルの前記第2の領域が、主要流動方向と、少なくとも1つの溝または突起が画定された1つ以上の表面とを有し、少なくとも1つの前記溝または突起が、前記主要流動方向と角度を形成する方位を有する、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の入口マイクロチャネルと前記第2の入口マイクロチャネルが、それぞれ、20μmから300μmの水力直径を有する部分を少なくとも含む、請求項15に記載のシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0121
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0121】
独占的な所有権または特権が請求される本発明の態様は、以下に定義される。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1]
約10nmから約100nmの直径を有する、限界サイズ脂質ナノ粒子。
[2]
水性コアを包囲する脂質二重層を含む、[1]に記載のナノ粒子。
[3]
前記脂質二重層が、リン脂質を含む、[2]に記載のナノ粒子。
[4]
前記リン脂質が、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン、セファリン、およびセレブロシドからなる群から選択される、[3]に記載のナノ粒子。
[5]
前記リン脂質が、C8~C20脂肪酸ジアシルホスファチジルコリンである、[3]に記載のナノ粒子。
[6]
前記リン脂質が、1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)である、[3]に記載のナノ粒子。
[7]
約50モルパーセントから約99モルパーセントのリン脂質を含む、[3]に記載のナノ粒子。
[8]
ステロールをさらに含む、[2]~[7]のいずれか一に記載のナノ粒子。
[9]
前記ステロールが、コレステロールである、[8]に記載のナノ粒子。
[10]
約10モルパーセントから約35モルパーセントのコレステロールを含む、[8]に記載のナノ粒子。
[11]
PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、およびPEG修飾ジアルキルグリセロールからなる群から選択されるポリエチレングリコール-脂質をさらに含む、[2]~[10]のいずれか一に記載のナノ粒子。
[12]
前記ポリエチレングリコール-脂質が、DLPE-PEG、DMPE-PEG、DPPC-PEG、およびDSPE-PEGからなる群から選択される、[11]に記載のナノ粒子。
[13]
前記ポリエチレングリコール-脂質が、DSPE-PEGである、[11]に記載のナノ粒子。
[14]
約1モルパーセントから約10モルパーセントのポリエチレングリコール-脂質を含む、[11]に記載のナノ粒子。
[15]
疎水性コアを包囲する脂質単分子層を含む、[1]に記載のナノ粒子。
[16]
前記脂質単分子層が、リン脂質を含む、[15]に記載のナノ粒子。
[17]
前記リン脂質が、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン、セファリン、およびセレブロシドからなる群から選択される、[16]に記載のナノ粒子。
[18]
前記リン脂質が、C8~C20脂肪酸ジアシルホスファチジルコリンである、[16]に記載のナノ粒子。
[19]
前記C8~C20脂肪酸ジアシルホスファチジルコリンが、1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)である、[16]に記載のナノ粒子。
[20]
約10モルパーセントから約70モルパーセントのリン脂質を含む、[16]に記載のナノ粒子。
[21]
前記疎水性コアが、脂肪酸トリグリセリドを含む、[15]~[20]のいずれか一に記載のナノ粒子。
[22]
前記脂肪酸トリグリセリドが、C8~C20脂肪酸トリグリセリドである、[21]に記載のナノ粒子。
[23]
前記脂肪酸トリグリセリドが、オレイン酸トリグリセリド(トリグリセリドトリオレイン)である、[21]に記載のナノ粒子。
[24]
約30モルパーセントから約90モルパーセントの脂肪酸トリグリセリドを含む、[21]に記載のナノ粒子。
[25]
診断薬をさらに含む、[1]~[24]のいずれか一に記載のナノ粒子。
[26]
治療薬をさらに含む、[1]~[24]のいずれか一に記載のナノ粒子。
[27]
治療薬剤および診断薬剤をさらに含む、[1]~[24]のいずれか一に記載のナノ粒子。
[28]
前記治療薬が、化学治療薬(すなわち抗腫瘍薬)、麻酔薬、ベータアドレナリン遮断薬、抗高血圧薬、抗鬱薬、抗痙攣薬、制吐薬、抗ヒスタミン薬、抗不整脈薬、および抗マラリア薬からなる群から選択される、[25]~[27]のいずれか一に記載のナノ粒子。[29]
前記治療薬が、抗腫瘍薬である、[25]~[27]のいずれか一に記載のナノ粒子。[30]
前記抗腫瘍薬が、ドキソルビシンである、[29]に記載のナノ粒子。
[31]
水性コアを包囲する脂質二重層を含むナノ粒子であって、前記二重層は、
(a)リン脂質と、
(b)ステロールと、
(c)ポリエチレングリコール-脂質とを含み、
前記コアは、治療または診断薬を含む、ナノ粒子。
[32]
限界サイズナノ粒子である、[31]に記載のナノ粒子。
[33]
約10nmから約50nmの直径を有する、[31]に記載のナノ粒子。
[34]
疎水性コアを包囲する脂質単分子層を含むナノ粒子であって、前記単分子層は、リン脂質を含み、前記コアは、脂肪酸トリグリセリド、および/または治療もしくは診断薬を含む、ナノ粒子。
[35]
限界サイズナノ粒子である、[34]に記載のナノ粒子。
[36]
約10nmから約80nmの直径を有する、[34]に記載のナノ粒子。
[37]
治療薬を対象に投与するための方法であって、[26]~[36]のいずれか一に記載のナノ粒子を、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
[38]
診断薬を対象に投与するための方法であって、[25]、[27]、または[31]~[36]のいずれか一に記載のナノ粒子を、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
[39]
治療薬を投与することにより治療可能な疾患または状態を治療するための方法であって、治療有効量の[26]~[36]のいずれか一に記載のナノ粒子を、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
[40]
診断薬を投与することにより診断可能な疾患または状態を診断するための方法であって、[25]、[27]、または[31]~[36]のいずれか一に記載のナノ粒子を、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
[41]
第1および第2の隣接するストリームの流動のために構成された第1の領域と、前記ストリームを混合するための第2の領域とを有するデバイスにおいて、限界サイズ脂質ナノ粒子を作製するための方法であって、
(a)第1の溶媒を含む第1のストリームを、第1の流量で前記デバイスに導入することと、
(b)第2の溶媒中の脂質粒子形成材料を含む第2のストリームを、第2の流量で前記デバイスに導入し、第1および第2の隣接するストリームを提供することであって、前記第1および第2の溶媒は、同じではなく、前記第1の流量対前記第2の流量の比は、約2.0から約10.0である、ことと、
(c)前記第1および第2のストリームを、前記第1の領域から前記第2の領域に流動させることと、
(d)前記第1および第2のストリームを、前記デバイスの前記第2の領域内で混合し、脂質ナノ粒子を含む第3のストリームを提供することとを含む方法。
[42]
前記デバイスが、マイクロ流体デバイスである、[41]に記載の方法。
[43]
前記第1および第2のストリームを混合することが、カオス的移流を含む、[41]に記載の方法。
[44]
前記第1および第2のストリームを混合することが、マイクロミキサーによる混合を含む、[41]に記載の方法。
[45]
前記第1および第2のストリームを混合することが、前記第1の領域内でバリアにより防止される、[41]に記載の方法。
[46]
前記バリアが、チャネル壁、シース液、または同心管である、[45]に記載の方法。[47]
前記第3のストリームを水性緩衝液で希釈することをさらに含む、[41]に記載の方法。
[48]
前記第3のストリームを希釈することは、前記第3のストリームおよび水性緩衝液を、第2の混合構造内に流動させることを含む、[47]に記載の方法。
[49]
限界サイズ脂質ナノ粒子を含む前記水性緩衝液を透析して、前記第2の溶媒の量を低減することをさらに含む、[47]に記載の方法。
[50]
前記第1の溶媒が、水性緩衝液である、[41]に記載の方法。
[51]
前記第1のストリームが、診断薬を含む、[41]に記載の方法。
[52]
前記第1のストリームが、治療薬を含む、[41]に記載の方法。
[53]
前記第1のストリームが、治療薬および診断薬を含む、[41]に記載の方法。
[54]
前記治療薬が、化学治療薬、麻酔薬、ベータアドレナリン遮断薬、抗高血圧薬、抗鬱薬、抗痙攣薬、制吐薬、抗ヒスタミン薬、抗不整脈薬、および抗マラリア薬からなる群から選択される、[52]または[53]に記載の方法。
[55]
前記治療薬が、抗腫瘍薬である、[54]に記載の方法。
[56]
前記抗腫瘍薬が、ドキソルビシンである、[55]に記載の方法。
[57]
前記第2の溶媒が、水混和性溶媒である、[41]に記載の方法。
[58]
前記水混和性溶媒が、水性アルコールである、[57]に記載の方法。
[59]
前記水性アルコールが、エタノールである、[58]に記載の方法。
[60]
前記第2のストリームが、リン脂質を含む、[41]に記載の方法。
[61]
前記リン脂質が、ジアシルホスファチジルコリン、ジアシルホスファチジルエタノールアミン、セラミド、スフィンゴミエリン、ジヒドロスフィンゴミエリン、セファリン、およびセレブロシドからなる群から選択される、[60]に記載の方法。
[62]
前記リン脂質が、C8~C20脂肪酸ジアシルホスファチジルコリンである、[60]に記載の方法。
[63]
前記C8~C20脂肪酸ジアシルホスファチジルコリンが、1-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)である、[62]に記載の方法。
[64]
前記第2のストリームが、約10モルパーセントから約99モルパーセントのリン脂質を含む、[60]に記載の方法。
[65]
前記第2のストリームが、ステロールをさらに含む、[41]~[64]のいずれか一に記載の方法。
[66]
前記ステロールが、コレステロールである、[65]に記載の方法。
[67]
前記第2のストリームが、約10モルパーセントから約35モルパーセントのコレステロールを含む、[66]に記載の方法。
[68]
前記第2のストリームが、ポリエチレングリコール-脂質をさらに含む、[41]~[67]のいずれか一に記載の方法。
[69]
前記ポリエチレングリコール-脂質が、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、およびPEG修飾ジアルキルグリセロールからなる群から選択される、[68]に記載の方法。
[70]
前記ポリエチレングリコール-脂質が、DLPE-PEG、DMPE-PEG、DPPC-PEG、およびDSPE-PEGからなる群から選択される、[68]に記載の方法。
[71]
前記ポリエチレングリコール-脂質が、DSPE-PEGである、[70]に記載の方法。
[72]
約1モルパーセントから約10モルパーセントのポリエチレングリコール-脂質を含む、[68]に記載の方法。
[73]
前記第2のストリームが、脂肪酸トリグリセリドをさらに含む、[60]に記載の方法。
[74]
前記脂肪酸トリグリセリドが、C8~C20脂肪酸トリグリセリドである、[73]に記載の方法。
[75]
前記脂肪酸トリグリセリドが、オレイン酸トリグリセリド(トリグリセリドトリオレイン)である、[73]に記載の方法。
[76]
約30モルパーセントから約90モルパーセントの脂肪酸トリグリセリドを含む、[73]に記載の方法。
[77]
[41]~[76]のいずれか一に記載の方法により得ることができるナノ粒子。
[78]
限界サイズ脂質ナノ粒子を生成するためのデバイスであって、
(a)第1の溶媒を含む第1の溶液を受容するための第1の入口と、
(b)前記第1の入口と流体連通して、前記第1の溶媒を含む第1のストリームを提供する、第1の入口マイクロチャネルと、
(c)第2の溶媒中の脂質粒子形成材料を含む第2の溶液を受容するための第2の入口と、
(d)前記第2の入口と流体連通して、前記第2の溶媒中の前記脂質粒子形成材料を含む第2のストリームを提供する、第2の入口マイクロチャネルと、
(e)前記第1および第2のストリームを受容するための第3のマイクロチャネルであって、前記第1および第2のストリームを流動させるように構成された第1の領域と、前記第1および第2のストリームの内容物を混合して、限界サイズ脂質ナノ粒子を含む第3のストリームを提供するように構成された第2の領域とを有する、第3のマイクロチャネルとを含むデバイス。
[79]
前記マイクロチャネルの前記第2の領域が、浅浮き彫り構造を含む、[78]に記載のデバイス。
[80]
前記マイクロチャネルの前記第2の領域が、主要流動方向と、少なくとも1つの溝または突起が画定された1つ以上の表面とを有し、前記溝または突起が、前記主要方向と角度を形成する方位を有する、[78]に記載のデバイス。
[81]
前記第2の領域が、マイクロミキサーを含む、[78]に記載のデバイス。
[82]
前記第1および第2のストリームの流量を変動させるための手段をさらに含む、[78]に記載のデバイス。
[83]
各マイクロチャネルが、約20μmから約300μmの水力直径を有する、[78]に記載のデバイス。
[84]
10ms未満で完全混合が生じる、[78]に記載のデバイス。
[85]
加熱領域をさらに含む、[78]に記載のデバイス。
[86]
脂質ナノ粒子を生成するためのデバイスであって、
(a)第1の溶媒を含む第1の溶液を受容するための第1の入口と、
(b)前記第1の入口と流体連通して、前記第1の溶媒を含む第1のストリームを提供する、第1の入口マイクロチャネルと、
(c)第2の溶媒中の脂質粒子形成材料を含む第2の溶液を受容するための第2の入口と、
(d)前記第2の入口と流体連通して、前記第2の溶媒中の前記脂質粒子形成材料を含む第2のストリームを提供する、第2の入口マイクロチャネルと、
(e)前記第1および第2のストリームを受容するための複数のマイクロチャネルであって、それぞれ、前記第1および第2のストリームを流動させるように構成された第1の領域と、前記第1および第2のストリームの内容物を混合して、脂質ナノ粒子に影響する複数のストリームを提供するように構成された第2の領域とを有する、複数のマイクロチャネルと、
(f)脂質ナノ粒子を含む前記複数のストリームを受容し、組み合わせるための第4のマイクロチャネルとを含むデバイス。
[87]
前記第1および第2のストリームを受容するための前記複数のマイクロチャネルのそれぞれが、
(a)前記第1の入口マイクロチャネルと流体連通して、前記第1の溶媒を含む前記第1のストリームを受容する、第1のマイクロチャネルと、
(b)前記第2の入口マイクロチャネルと流体連通して、前記第2の溶媒を含む前記第2の入口ストリームを受容する、第2のマイクロチャネルと、
(c)前記第1および第2のストリームを受容するための第3のマイクロチャネルであって、それぞれ、前記第1および第2のストリームを流動させるように構成された第1の領域と、前記第1および第2のストリームの内容物を混合して、脂質ナノ粒子に影響する複数のストリームを提供するように構成された第2の領域とを有する、第3のマイクロチャネルとを含む、[86]に記載のデバイス。
[88]
前記第1および第2のストリームを受容するための2個から約40個のマイクロチャネルを含み、2乃至1600mL/分の全流量を有する、[86]または[87]に記載のデバイス。
[89]
前記第2の領域が、それぞれ約20μmから約300μmの水力直径を有する、[86]または[87]に記載のデバイス。
[90]
前記第2の領域が、それぞれ約1乃至40ml/分の流体流量を有する、[86]または[87]に記載のデバイス。
[91]
前記第1および第2のマイクロチャネル内の前記第1および第2のストリームの温度を、それらが前記第3のマイクロチャネルに進入する前に所定の温度に上昇させるために効果的な加熱要素をさらに含む、[86]または[87]に記載のデバイス。
【外国語明細書】