(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147566
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】浴室システム
(51)【国際特許分類】
A47K 4/00 20060101AFI20241008BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20241008BHJP
F21S 8/02 20060101ALI20241008BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241008BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20241008BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20241008BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20241008BHJP
A61H 33/00 20060101ALI20241008BHJP
F21W 131/30 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
A47K4/00
F21V33/00 200
F21V33/00 430
F21S8/02 400
F21S2/00 300
H05B47/165
H05B47/105
H05B47/16
A61H33/00 Z
F21W131:30
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024099372
(22)【出願日】2024-06-20
(62)【分割の表示】P 2020114952の分割
【原出願日】2020-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】家守 輝幸
(72)【発明者】
【氏名】松本 健一
(72)【発明者】
【氏名】高野 枝里子
(72)【発明者】
【氏名】浜田 真宏
(57)【要約】
【課題】使用者の空間演出を利用する利便性を向上させると共に使用者が長時間にわたって空間演出を利用することを抑制でき、使用者が比較的短時間で集中して心身のリラックス効果を享受しやすくされている浴室システムを提供する。
【解決手段】本発明の浴室システムは、浴室4と、浴室に隣接する脱衣室6と、映像表示、音声出力、照明制御のうちの少なくとも1つを実行することにより浴室の空間演出を行う演出手段8と、使用者による操作により、演出手段による浴室の空間演出を開始させる開始操作部10と、演出手段を制御する制御部22と、を備え、制御部22は、開始操作部への操作に基づき浴室の空間演出を開始させた後、空間演出を所定時間以内に自動的に終了させる自動終了モードを備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室システムであって、
浴室と、
上記浴室に隣接する脱衣室と、
映像表示、音声出力、照明制御のうちの少なくとも1つを実行することにより上記浴室の空間演出を行う演出手段と、
使用者による操作により、上記演出手段による上記浴室の空間演出を開始させる開始操作部と、
上記演出手段を制御する制御部と、を備え、
上記制御部は、上記開始操作部への操作に基づき上記浴室の空間演出を開始させた後、空間演出を所定時間以内に自動的に終了させる自動終了モードを備える、浴室システム。
【請求項2】
上記演出手段は、上記脱衣室に設けられるプロジェクタと、
上記プロジェクタにより投射された映像が表示される映像表示部であって、上記映像表示部は上記脱衣室と上記浴室との間に配置される共に投射された映像を上記浴室から視認できるように構成される、上記映像表示部と、を備え、
上記演出手段は、上記プロジェクタにより投射された映像を上記映像表示部に表示させる映像表示を少なくとも実行することにより上記浴室の空間演出を行う、請求項1記載の浴室システム。
【請求項3】
さらに、上記浴室と上記脱衣室との間に設けられる浴室ドアの開閉を検知するドア開閉検知センサ、を備え、
上記映像表示部は、上記浴室ドアに設けられ、
上記制御部は、上記演出手段による空間演出の実行中に、上記ドア開閉検知センサが上記浴室ドアの開放を検知した場合、上記プロジェクタによる映像の投射を中断状態とさせる中断モードを備える、請求項2に記載の浴室システム。
【請求項4】
上記演出手段は、さらに、上記浴室内に設けられるスピーカーを備え、
上記演出手段は、上記スピーカーから音を出力させる音声出力を少なくとも実行することにより上記浴室の空間演出を行い、
上記制御部の上記中断モードは、上記スピーカーによる音の出力も中断させる、請求項3に記載の浴室システム。
【請求項5】
上記演出手段は、さらに、上記浴室及び上記脱衣室の少なくとも一方に設けられる照明を備え、
上記演出手段は、上記照明から発する光を制御する照明制御を少なくとも実行することにより上記浴室の空間演出を行い、
上記制御部は、上記浴室及び上記脱衣室内の上記照明が全て消灯された状態と上記映像表示部に映像が表示されていない状態とが同時に生じないように、上記映像表示部に映像が表示されていない状態となる場合には事前に又は同時に上記照明を点灯状態とし且つ上記浴室及び上記脱衣室内の上記照明が全て消灯された状態となる場合には事前に又は同時に上記映像表示部に映像が表示された状態とする安全点灯モードを備える、請求項2乃至4の何れか1項に記載の浴室システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、家庭内の浴室において入浴中の利用者が瞑想などのマインドフルネスを実践するのを補助する浴室マインドフルネス実践補助システムが開示されている。浴室マインドフルネス実践補助システムは、光及び音の少なくとも1つを含むマインドフルネス出力を出力するマインドフルネス出力手段を備えている。浴室マインドフルネス実践補助システムの利用者は、利用者のシステム利用入力によりシステムの動作を開始させ、システム利用停止入力によりシステムの動作を停止させ、システムを自由に利用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるような浴室マインドフルネス実践補助システム等の心身のリラックス効果を与える浴室につき、使用者が長時間にわたって浴室を利用し、使用者以外の第3者が利用できなくなるという課題があり、使用者以外の第3者が使用する機会も確保したいという課題が生じている。特に、近年のライフスタイルや働き方の変革に伴い、浴室がオフィス等の使用者以外の第3者も利用する施設内に設けられている場合には、この課題が顕著となる。また、浴室がオフィス等の施設内に設けられる場合には、使用者の浴室利用の利便性や自由度を確保しつつも長時間にわたる利用を抑制し、比較的短時間で集中して心身のリラックス効果を与えたいという新たな課題も生じている。
【0005】
従って、本発明は、使用者の空間演出を利用する利便性を向上させると共に使用者が長時間にわたって空間演出を利用することを抑制でき、使用者が比較的短時間で集中して心身のリラックス効果を享受しやすくされている浴室システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一実施形態は、浴室システムであって、浴室と、上記浴室に隣接する脱衣室と、映像表示、音声出力、照明制御のうちの少なくとも1つを実行することにより上記浴室の空間演出を行う演出手段と、使用者による操作により、上記演出手段による上記浴室の空間演出を開始させる開始操作部と、上記演出手段を制御する制御部と、を備え、上記制御部は、上記開始操作部への操作に基づき上記浴室の空間演出を開始させた後、空間演出を所定時間以内に自動的に終了させる自動終了モードを備える、ことを特徴としている。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、使用者による開始操作部の操作により、演出手段による浴室の空間演出を開始させることができ、例えば浴室への入室により自動的に空間演出が開始される場合に比べて、使用者の空間演出を利用するタイミングを調整できる等の利便性を向上させると共に使用者が空間演出をどのように利用するか等を決定する自由度を向上させることができる。さらに、制御部は、開始操作部への操作に基づき浴室の空間演出を開始させた後、空間演出を所定時間以内に自動的に終了させる自動終了モードを備えるので、制御部の自動終了モードにより、使用者が長時間にわたって空間演出を利用することを抑制でき、使用者が比較的短時間で集中して心身のリラックス効果を享受しやすくする。
【0007】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記演出手段は、上記脱衣室に設けられるプロジェクタと、上記プロジェクタにより投射された映像が表示される映像表示部であって、上記映像表示部は上記脱衣室と上記浴室との間に配置される共に投射された映像を上記浴室から視認できるように構成される、上記映像表示部と、を備え、上記演出手段は、上記プロジェクタにより投射された映像を上記映像表示部に表示させる映像表示を少なくとも実行することにより上記浴室の空間演出を行う。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、演出手段は、プロジェクタにより投射された映像を映像表示部に表示させる映像表示を少なくとも実行することにより浴室の空間演出を行う。これにより、演出手段は、映像表示を含む演出により空間演出の演出効果を向上させることができる。
【0008】
本発明の一実施形態において、好ましくは、さらに、上記浴室と上記脱衣室との間に設けられる浴室ドアの開閉を検知するドア開閉検知センサ、を備え、上記映像表示部は、上記浴室ドアに設けられ、上記制御部は、上記演出手段による空間演出の実行中に、上記ドア開閉検知センサが上記浴室ドアの開放を検知した場合、上記プロジェクタによる映像の投射を中断状態とさせる中断モードを備える。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、制御部は、演出手段による空間演出の実行中に、ドア開閉検知センサが浴室ドアの開放を検知した場合、プロジェクタによる映像の投射を中断状態とさせる中断モードを備える。これにより、演出手段による空間演出の実行中に、使用者が浴室から出ようとしてドア開閉検知センサが浴室ドアの開放を検知した場合、中断モードによりプロジェクタによる映像の投射が中断状態とされる。よって、制御部がこのような中断モードを備えることにより、プロジェクタから投射された画像の光が、中断モードが実行されていない状態で、浴室から出ようとする使用者の目に入り、使用者に眩しい感覚を与える可能性を低減できる。
【0009】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記演出手段は、さらに、上記浴室内に設けられるスピーカーを備え、上記演出手段は、上記スピーカーから音を出力させる音声出力を少なくとも実行することにより上記浴室の空間演出を行い、上記制御部の上記中断モードは、上記スピーカーによる音の出力も中断させる。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、演出手段は、スピーカーから音を出力させる音声出力を少なくとも実行することにより浴室の空間演出を行う。これにより、演出手段は、スピーカーから出力される音を含む演出により空間演出の演出効果をより向上させることができる。演出手段が、スピーカーから音を出力させる音声出力を少なくとも実行することにより上記浴室の空間演出を行う場合に、制御部の中断モードが、スピーカーによる音の出力も中断させる。これにより、演出手段による空間演出の実行中に、使用者が浴室から出ようとしてドア開閉検知センサが浴室ドアの開放を検知した場合、中断モードによりスピーカーによる音の出力が中断される。よって、制御部がこのような中断モードを備えることにより、浴室ドアが開放された場合に、スピーカーによる音が浴室及び脱衣室からさらに外側まで音漏れを生じさせることを抑制できる。
【0010】
本発明の一実施形態において、好ましくは、上記演出手段は、さらに、上記浴室及び上記脱衣室の少なくとも一方に設けられる照明を備え、上記演出手段は、上記照明から発する光を制御する照明制御を少なくとも実行することにより上記浴室の空間演出を行い、上記制御部は、上記浴室及び上記脱衣室内の上記照明が全て消灯された状態と上記映像表示部に映像が表示されていない状態とが同時に生じないように、上記映像表示部に映像が表示されていない状態となる場合には事前に又は同時に上記照明を点灯状態とし且つ上記浴室及び上記脱衣室内の上記照明が全て消灯された状態となる場合には事前に又は同時に上記映像表示部に映像が表示された状態とする安全点灯モードを備える。
このように構成された本発明の一実施形態によれば、演出手段は、照明から発する光を制御する照明制御を少なくとも実行することにより浴室の空間演出を行う。これにより、演出手段は、照明の光を含む演出により空間演出の演出効果をより向上させることができる。また、制御部は、浴室内の照明が全て消灯された状態と上記映像表示部に映像が表示されていない状態とが同時に生じないように、映像表示部に映像が表示されていない状態となる場合には照明を点灯状態とし且つ浴室内の照明が全て消灯された状態となる場合には上記映像表示部に映像が表示された状態とする安全点灯モードを備える。このような制御部の安全点灯モードにより、浴室の空間演出に伴って使用者の意図しないタイミングで映像表示部に映像が表示されていない状態と浴室内の照明が全て消灯された状態とが同時に生じ使用者が浴室及び脱衣室内を視認できなくなることで使用者の安全性が低下する可能性を抑制できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、使用者の空間演出を利用する利便性を向上させると共に使用者が長時間にわたって空間演出を利用することを抑制でき、使用者が比較的短時間で集中して心身のリラックス効果を享受しやすくされている浴室システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による浴室システムを示す側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による浴室システムの上面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による浴室システムのシャワールームの内部を示す側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による浴室システムのオーバーヘッドシャワーの縦断面図である。
【
図5】
図4のオーバーヘッドシャワーの一部の分解斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態による浴室システムにおいて実行される第1空間演出モード、第2空間演出モード及び第3空間演出モードのイメージを示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態による浴室システムにおいて、制御部による空間演出が所定時間の経過により終了されるまで実行される場合について、開始操作部、浴室ドア、ドア開閉検知センサ、プロジェクタ、照明、及び音出力の動作の状態を時間経過に沿って示すタイミングチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態による浴室システムにおいて、制御部による空間演出が所定時間の経過により終了される前に中断される場合について、開始操作部、浴室ドア、ドア開閉検知センサ、プロジェクタ、照明、及び音出力の動作の状態を時間経過に沿って示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による浴室システムを説明する。
図1は、本発明の一実施形態による浴室システムを示す側面図であり、
図2は本発明の一実施形態による浴室システムの上面図であり、
図3は本発明の一実施形態による浴室システムのシャワールームの内部を示す側面図である。
【0014】
図1に示すように、本発明の一実施形態による浴室システム1は、ハンドシャワー等の使用者が水又は湯を浴びる機器が設けられている浴室であるシャワールーム4と、シャワールーム4に隣接する脱衣室6とを備えている。シャワールーム4は、使用者がシャワーを浴びるシャワールームである。なお、シャワールーム4は、浴槽が設けられたバスルームであってもよい。例えば、シャワールーム4がバスルームとされる場合には、このバスルーム内に後述するようなハンドシャワー等が設けられている。シャワールーム4には、水洗大便器が配置されていてもよい。なお、シャワールーム4に入った使用者はシャワー12の使用者とされる。また、シャワールーム4は、バスルーム等と比べて浴槽を配置していない分、空間の広さ(シャワールームの空間容積)がバスルームの空間の広さよりも小さくなっている。従って、シャワールーム4は、バスルーム等と比べて音が響きやすく音漏れが大きくなりやすい構造となっている。シャワールーム4及び脱衣室6は、オフィス、コワーキングスペース、ジム、漫画喫茶、病院等の使用者以外の第3者も利用する施設内に設けられている。なお、シャワールーム4及び脱衣室6は、家庭用住居内に設けられ、使用者以外の家族も使用する浴室及び脱衣室でもよい。このとき、脱衣室6は廊下、洗面室等の他の部屋の一部により構成されることも可能である。
【0015】
浴室システム1は、映像表示、音声出力、照明制御のうちの少なくとも1つを実行することによりシャワールーム4の空間演出を行う演出手段8と、使用者による操作により、演出手段8によるシャワールーム4の空間演出を開始させる開始操作部10と、シャワールーム4内に湯又は水を吐水するシャワー12と、シャワー12の吐水を制御するように使用者による操作を受け付けるシャワー操作部14と、シャワールーム4内で立っている使用者が背をあててもたれるようにして休むことができる背もたれ部16と、使用者による操作を受けても、スピーカー40からの音の出力を変更させない無効操作部18と、シャワールーム4と脱衣室との間に設けられる浴室ドア15の開閉を検知するドア開閉検知センサ20と、上記演出手段を制御する制御部22とを備えている。
【0016】
図1に示すように、シャワー12には、オーバーヘッドシャワー17と、ボディシャワー32と、ハンドシャワー34とが含まれている。シャワー12には、これらのうち少なくともいずれかが含まれていればよく、これらのうちいずれかの組合せが含まれていてもよい。シャワー12には少なくともオーバーヘッドシャワー17が含まれるように構成されてもよい。また、シャワー12には少なくともボディシャワー32が含まれるように構成されてもよい。さらに、シャワー12には少なくともハンドシャワー34が含まれるように構成されてもよい。
【0017】
次に、
図1、
図4及び
図5を参照して、オーバーヘッドシャワー17について説明する。
図1に示すように、オーバーヘッドシャワー17は、シャワールーム4の天井面4aに下向きに設けられている。オーバーヘッドシャワー17は、散水板を省略すると共に吐水された湯又は水が一本の水流にまとまるような整流部材を備える。
【0018】
図4及び
図5に示すように、オーバーヘッドシャワー17は、吐水口19(
図4において下方側に開口している)を形成する吐水口形成部材21を備えている。吐水口形成部材21の内部には、水の流れを整流する整流部材として、第1整流部材24と、第2整流部材25と、露出整流部材26とが設けられている。オーバーヘッドシャワー17は、散水板を省略した流路構造を形成している。
【0019】
特に
図5に示すように、第1整流部材24は、ディスク状部材によって構成されており、中心部分が遮蔽部43となっていて、外周領域に水の流れ方向に延びる16個の通水孔44が周方向に整列するように設けられ、略半分の直径の同心円上に水の流れ方向に延びる8個の通水孔45が周方向に整列するように設けられている。
【0020】
また、第2整流部材25は、メッシュの網からなる4枚の整流網51が積層されることによって構成されている。第2整流部材25は、第1整流部材24の下流側に隣接するように配置されている。
【0021】
一方、
図4に示すように、第1整流部材24の上流側には、水を供給する給水路23が設けられている。本実施形態では、吐水口形成部材21の上流側に隣接して配置された給水路形成部材31の内部に給水路23が形成されている。給水路23から供給される水は、遮蔽部43に衝突して第1滞留室41に滞留することができるようになっている。
【0022】
図4及び
図5に示すように、露出整流部材26は、弾性材料によって形成されている。露出整流部材26は、吐水口19側の領域に、筒状の外周整流面61を有している。露出整流部材26は、水の流れの方向に延設された隔壁64によって分離された複数の筒状の中空空間65を有している。複数の筒状の中空空間65は、本実施形態では、断面視で同心の円環状の領域の各々が更に周方向に複数に分割された態様となっている。
【0023】
そして、外周整流面61は、吐水口形成部材21との間に、円環状の整流空間66を形成している。所定の寸法条件が採用されることにより、水流が環状の整流空間66に入って縮流したとしても、当該整流空間66内で十分に整流されるため、全体としての整流性能を維持することができる。
【0024】
給水路23から供給される水は、第1整流部材24の遮蔽部43と衝突した後、第1滞留室41内に一旦滞留する。これにより、第1滞留室41内部に水圧が篭るような状態となる。その後、第1滞留室41に滞留した水は、上流方向からの水に押し出され、通水孔44及び通水孔45を介して下流側へ流出していく。
【0025】
通水孔44及び通水孔45から流出した水は、第2整流部材25を経て吐水口19へ直進する流れと、表面張力や内部に発生する負圧により第2滞留室47の中心方向へ向かう流れと、に分かれる。後者の中心方向への流れは、中心部で集約された後、第2整流部材25を経て吐水口19へと流出していく。
【0026】
第2整流部材25の4枚の整流網51を通過する際、水流の速度ベクトルは進行方向に揃えられる。その後、水流は、露出整流部材26の複数の筒状の中空空間65と露出整流部材26の外周の環状の整流空間66とを経て、吐水口19から吐水される。この結果、吐水口19から吐水された湯又は水は、一本の水流となる。オーバーヘッドシャワー17のこのような水流は、着水時に人体に沿って水膜を形成し、全身を包み込み、水流が温水流である場合には深部体温の上昇に効果的である。
【0027】
特に、露出整流部材26の吐水口側2の領域に、筒状の外周整流面61が設けられていて、当該外周整流面61と吐水口形成部材21との間に環状の整流空間66が形成されているため、吐水割れの発生が顕著に抑制され、極めて高い整流性能を実現することができる。
【0028】
オーバーヘッドシャワー17の吐水口19から吐水された水流は、一本の水流としてまとまりを維持しながら天井面から床面まで鉛直方向に流下する。オーバーヘッドシャワー17の吐水口19には散水板が設けられていないので、吐水口19から吐水された水流は、散水板によって散水されない。よって、散水板により吐水が複数の水流に分かれて吐水される際に生じる吐水音や、複数の水流が使用者に着水される際に生じる着水音、複数の水流が床面4bに着水される際に生じる着水音の比較的大きな音に比べて、本実施形態のように一筋の柱状の水流が床面4bに着水される際に生じる着水音が比較的小さな音に抑制される。さらに、
図2に示すように、オーバーヘッドシャワー17から吐水された水流のシャワールーム4の床面4bへの着水位置と、床面4bに設けられた排水口部28とが、上面視にて重ならないように配置されている。排水口部28は排水口がカバーにより覆われて形成されているがカバーが省略された排水口であってもよい。
【0029】
次に、
図1乃至
図3を参照して、ボディシャワー32について説明する。
ボディシャワー32は、シャワールーム4の側壁面4cに設けられ、側方に向けて水流を吐水するようになっている。ボディシャワー32は、吐水の角度、すなわち吐水方向を調整する角度調整機能を備えている。ボディシャワー32は、角度調整機能により、吐水の軌跡の位置、吐水の方向、吐水の使用者への着水範囲等を調整可能である。ボディシャワー32は、例えば、背もたれ部16と平行な横向きに水流を吐水することができる。ボディシャワー32は、角度調整機能により、背もたれ部16と平行な横向きに限らず、別のさまざまな角度で吐水を行うことができる。ボディシャワー32の角度調整機能は、吐水の軌跡、及び/又は吐水の使用者への着水位置が中央領域C2及び下方領域C3の領域内に収まるように構成されている。ボディシャワー32は、側壁面4cを上下方向に3等分することにより規定される上方領域C1、中央領域C2、及び下方領域C3のうち、中央領域C2内又は下方領域C3内、又は中央領域C2及び下方領域C3の両方の領域内の位置に設けられる。例えば、ボディシャワー32は、中央領域C2内に少なくとも一つ設けられてもよい。また、例えば、ボディシャワー32は、下方領域C3内に少なくとも一つ設けられてもよい。また、例えば、ボディシャワー32は、中央領域C2及び下方領域C3の両方の領域に跨るように少なくとも一つ設けられることにより中央領域C2及び下方領域C3の両方の領域内の位置に設けられてもよい。さらに、例えば、ボディシャワー32は、中央領域C2内に設けられるとともに及び下方領域C3内にも別に設けられ、ボディシャワー32が中央領域C2及び下方領域C3の両方の領域の位置にそれぞれ設けられてもよい。ここで、ボディシャワー32は、上方領域C1以外の領域に設けられている。
【0030】
ハンドシャワー34は、シャワールーム4の側壁面4cに設けられる。ハンドシャワー34には、側壁面4cから延びるシャワーホース34aの先端にシャワーヘッド34bが設けられている。
【0031】
シャワー操作部14は、シャワールーム4の側壁面4cに設けられる。シャワー操作部14は、温調及び流調操作部14aと、切換スイッチ14bとを備える。温調及び流調操作部14aは、湯又は水の吐水設定温度を調節できる温度調節ハンドル部分と、湯又は水の吐水設定流量を調節できる流量調節ハンドル部分とを備えている。温調及び流調操作部14aは、給湯器及び水道等の給水源に接続されている。切換スイッチ14bは、温調及び流調操作部14aから、オーバーヘッドシャワー17、ボディシャワー32、及びハンドシャワー34に至る流路の途中に設けられ、3流路の切換スイッチを形成している。すなわち、切換スイッチ14bは、オーバーヘッドシャワー17に至る流路である給水路23(
図4参照)と、ボディシャワー32に至る流路と、ハンドシャワー34に至る流路とを切り替えるように形成されている。従って、使用者は、温調及び流調操作部14aを操作して、シャワー12の吐水温度及び吐水流量を調節できると共に、オーバーヘッドシャワー17、ボディシャワー32、及びハンドシャワー34のいずれかから吐水させるかを選択できる。
【0032】
演出手段8は、シャワールーム4の空間演出を行う。演出手段8は、脱衣室に設けられるプロジェクタ36と、プロジェクタ36により投射された映像が表示される映像表示部38であって、映像表示部38は脱衣室6とシャワールーム4との間に配置される共に投射された映像をシャワールーム4から認識できるように構成される、映像表示部38と、を備える。演出手段8は、プロジェクタ36により投射された映像を映像表示部38に表示させる映像表示を少なくとも実行することによりシャワールーム4の空間演出を行う。
【0033】
プロジェクタ36は、脱衣室6の天井部分に設けられる。プロジェクタ36は、脱衣室6の側壁、床又は棚上等に設けられてもよい。プロジェクタ36は、投射される映像が映像表示部38に表示されるように、映像表示部38に向けられて配置されている。プロジェクタ36は、赤外線通信により制御部22と通信するようになっている。
【0034】
映像表示部38は、映像を表示させるように構成されている。映像表示部38は、動画映像を表示するものに限られず、静止画を表示でき、静止画以外の発光状態も表示できる。映像表示部38は、脱衣室6とシャワールーム4との間の浴室ドア15に設けられる。例えば、浴室ドア15の枠体より内側に半透明の樹脂パネルが設けられ、浴室ドア15の樹脂パネルがプロジェクタ36により投射された映像を表示する映像表示部38として機能する。プロジェクタ36により投射された映像が浴室ドア15に表示されている場合に、使用者は、浴室ドア15の裏側から浴室ドア15に表示されている映像を見ることができる。映像表示部38は、浴室ドア15が半透明又は透明なガラス板又は透明な樹脂パネルにより形成されることにより構成されてもよい。また、映像表示部38は、自身が画像を表示するモニターであってもよい。この場合、浴室ドア15内にモニターが埋設され、プロジェクタ36は省略されることができる。このモニターが制御部22に接続され、直接映像を表示することができる。なお、映像表示部38は、浴室ドア15に限られず、脱衣室6とシャワールーム4との間の境界壁面4dや他の側壁面4cに設けられてもよい。
【0035】
演出手段8は、さらに、シャワールーム4内に設けられるスピーカー40を備える。スピーカー40は、シャワールーム4内に音を出力する。演出手段8は、スピーカー40から音を出力させる音声出力を少なくとも実行することによりシャワールーム4の空間演出を行う。
【0036】
スピーカー40はシャワールーム4の天井面4aに下向きに設けられている。スピーカー40は音出力に必要な音響機器を含んでいる。スピーカー40は、2つ設けられている。スピーカー40の一方は、オーバーヘッドシャワー17の一方側に配置され、スピーカー40の他方は、オーバーヘッドシャワー17の他方側に配置されている。2つのスピーカー40は、オーバーヘッドシャワーから等距離に設けられている。また、2つのスピーカー40は、背もたれ部16に対して平行な線B(
図2参照)上の位置に配置されている。2つのスピーカー40は、背もたれ部16に対して垂直に延び且つオーバーヘッドシャワーを通る線Aに対して対称な位置に配置されている。よって、背もたれ部16を使用する使用者、又はオーバーヘッドシャワー17を浴びる使用者に対し左右対称の方向から音を出力でき、使用者に音を聞こえやすくできると共に音質を向上させることができる。スピーカー40は、後述するような推定される使用者の位置の上方近傍、より好ましくは真上に配置されている。使用者の位置と推定される位置の上方近傍に配置されることにより、使用者により確実に音を聞こえやすくできると共に音質をより向上させることができる。なお、スピーカー40は、2つに限られず、1つ、又は、3つ以上設けられていてもよい。
【0037】
演出手段8は、さらに、シャワールーム4及び脱衣室6の少なくとも一方に設けられる照明を備える。照明は、光をシャワールーム4及び/又は脱衣室6に照射する。例えば、本実施形態においては、演出手段8は、シャワールーム4に設けられるシャワールーム照明42と、脱衣室6に設けられる脱衣室照明46と、背もたれ部16の下部に設けられる間接照明49とを備えている。演出手段8は、シャワールーム照明42及び/又は脱衣室照明46及び/又は間接照明49から発する光を制御する照明制御を少なくとも実行することによりシャワールーム4の空間演出を行う。
【0038】
シャワールーム照明42は、シャワールーム4の天井面4aに下向きに設けられている。例えば、シャワールーム照明42は、ダウンライトである。シャワールーム照明42は、天井面4aに2つ設けられている。シャワールーム照明42の一方は、オーバーヘッドシャワー17の一方側に配置され、シャワールーム照明42の他方は、オーバーヘッドシャワー17の他方側に配置されている。2つのシャワールーム照明42は、オーバーヘッドシャワー17から等距離に設けられている。また、2つのシャワールーム照明42は、背もたれ部16に対して平行な線E(
図2参照)上の位置に配置されている。2つのシャワールーム照明42は、背もたれ部16に対して垂直に延び且つオーバーヘッドシャワー17を通る線Aに対して対称な位置に配置されている。よって、背もたれ部16を使用する使用者、又はオーバーヘッドシャワー17を浴びる使用者に対し左右対称の方向から光を照射でき、使用者の陰により足元が見えにくくなることや、空間演出の光が見えにくくなることを抑制できる。さらに、シャワールーム4内の背もたれ部16の下部には、間接照明49であるダウンライトが設けられている。間接照明49は、使用者に向けて光を直接照射せず、背もたれ部16から下方向きに光を照射して間接的に浴室を明るくするようになっている。間接照明49は、使用者に向けて光を直接投射しないような他の位置に設けられてもよい。間接照明49についても空間演出に用いられない場合には設置を省略できる。
【0039】
シャワールーム照明スイッチ48は、脱衣室6内に設けられている。シャワールーム照明42は、シャワールーム照明スイッチ48と電気的に接続され、使用者がシャワールーム照明スイッチ48を操作することにより、部屋の電気の点灯と消灯との通常の切り替えのためシャワールーム照明42の点灯と消灯とを切換えられるようになっている。
【0040】
脱衣室照明46は、脱衣室6の天井面6aに下向きに設けられている。例えば、脱衣室照明46は、ダウンライトである。脱衣室照明46は、天井面6aに1つ設けられている。また、脱衣室6内には、脱衣室照明スイッチ50が設けられている。脱衣室照明46は、脱衣室照明スイッチ50と電気的に接続され、使用者が脱衣室照明スイッチ50を操作することにより部屋の電気の点灯と消灯との通常の切り替えのため脱衣室照明46の点灯と消灯とを切換えられるようになっている。また、脱衣室照明46は、赤外線通信により制御部22と通信するようになっている。なお、脱衣室照明46は、複数設けられていてもよい。
【0041】
図3に示すように、開始操作部10は、使用者による操作により、スピーカー40からの音の出力を開始させる出力開始操作部として機能する。開始操作部10は、側壁面4c上に設けられている。開始操作部10は、3つの押しボタンの第1スイッチ10a、第2スイッチ10b、及び第3スイッチ10cを備えている。合計3つのスイッチとなる第1スイッチ10a、第2スイッチ10b、及び第3スイッチ10cのそれぞれは、制御部22と電気的に接続されている。第1スイッチ10a、第2スイッチ10b、及び第3スイッチ10cは、第1空間演出モード、第2空間演出モード、第3空間演出モードとそれぞれ対応しており、それぞれの第1スイッチ10a、第2スイッチ10b、及び第3スイッチ10cが押されることにより、制御部22が後述する第1空間演出モード、第2空間演出モード、第3空間演出モードを実行するようになっており、すなわち、予め設定された出力の音を含む空間演出が開始され、スピーカー40からの音の出力が開始されるようになっている。開始操作部10は、2つ又は4つ以上の複数のスイッチを備えていてもよく、又は1つのスイッチのみを備えていてもよい。使用者が、ある空間演出中に他のスイッチを押し操作(スイッチON操作)した場合には、実行中の空間演出モード(例えば第1空間演出モード)の実行を途中で終了させ、別の空間演出モード(例えば第2空間演出モード)を実行できる。
【0042】
無効操作部18は、側壁面4c上に開始操作部10と並んで設けられている。無効操作部18は、スピーカー40からの音の出力が変更できるような音量調整部の外見をしているが、音量調整部として有効に機能しないようになっている。また、無効操作部18は、制御部22と電気的に接続されていない。従って、使用者が無効操作部18を操作しても、操作は無効であり、スピーカー40からの音の出力が変更できないようになっている。この場合、配置されているのは無効操作部18であるので、実質的にシャワールーム4内の使用者が操作しやすい位置にスピーカー40からの音の出力の変更用の音量調整部を配置していない状態となっている。なお、変形例として、無効操作部18は、シャワールーム4内の使用者が操作しやすい位置にスピーカー40からの音の出力の変更用の音量調整部を配置しないことにより、無効操作部18の機能(使用者によるスピーカー40からの音の出力の変更ができないという機能)が達成されてもよい。また、変形例として、無効操作部18は、使用者が無効操作部18を操作しても、操作は無効となるような構造を有すると共に、スピーカー40からの音の出力が変更できるような音量調整部の外見をしないように構成されてもよい。このとき、無効操作部18は、使用者に音量調整部と認識されにくいように設けられ且つ操作入力も無効となるように構成される。さらなる変形例として、無効操作部18が、シャワールーム4内にスピーカー40からの音の出力が変更できるような音量調整部を配置した上で、無効操作部18は、制御部22と電気的に接続され、制御部22の処理により、所定の期間におけるスピーカー40からの音の出力の変更を受け付けない又は変更の制御をしないことにより、無効操作部18の機能が達成されてもよい。
【0043】
ドア開閉検知センサ20は、浴室ドア15が取付けられている壁のドア枠に設けられている。ドア開閉検知センサ20は、浴室ドア15の開閉を検知できる。ドア開閉検知センサ20は、制御部22と電気的に接続され、制御部22は、ドア開閉検知センサ20を介して浴室ドア15の開閉状態を判断できる。
【0044】
制御部22は、スピーカー40による音の出力を制御する制御部22として機能する。音の出力(音出力)には、音声の出力、映像音声の出力、楽曲の音の出力等が含まれる。制御部22は、スピーカー40による音の出力の開始後且つ音の出力の停止前にシャワー12の使用者によるスピーカー40の音の出力の変更を受け付けないように構成されると共に、予め設定された出力によりスピーカー40から音を出力させるように構成されている。「制御部22はシャワー12の使用者によるスピーカー40の音の出力の変更を受け付けないように構成される」には、無効操作部18の配置、又はスピーカー40からの音の出力の変更用のスイッチを配置しない等により、物理的に制御部22にスピーカー40の音の出力の変更のリクエスト信号が受付されないような構成が含まれる。また、「制御部22はシャワー12の使用者によるスピーカー40の音の出力の変更を受け付けないように構成される」には、制御部22のソフトウェア処理等により、制御部22にスピーカー40の音の出力の変更のリクエスト信号が入力されても制御部22が所定の期間においてはこの変更入力を受け付けない又は変更の制御処理をしないような構成が含まれる。この所定の期間は例えばスピーカー40による音の出力の開始後且つ音の出力の停止前の期間であり、他の例では、初期設定やメンテナンス以外の期間としてもよい。
【0045】
上述のように制御部22が構成されることにより、スピーカー40による音の出力の開始後且つ音の出力の停止前、すなわち、制御部22による空間演出が実施されている期間において、シャワー12の使用者の意図によらず、予め設定された出力により、浴室システム1の設置者の意図する音量で音を出力させることができる。
【0046】
予め設定された出力は、シャワーの種類等に応じた吐水位置や吐水形態、シャワールーム4の大きさ、スピーカー40の位置等から生じる吐水音及び/又は着水音の特性に対して、使用者に聞こえやすく、且つ浴室外の人の騒音になりにくい音の出力として設定される。予め設定された出力は、一つの設定として予め設定されていてもよく、複数の設定のうちから選択されてもよい。
【0047】
使用者に聞こえやすくとは、推定される使用者の位置おける使用者の耳の高さ(例えば平均身長の人の耳の高さ)において、スピーカー40による音の大きさが、吐水音及び/又は着水音の大きさよりも大きいことにより規定される。推定される使用者の位置は、例えば、オーバーヘッドシャワー17の真下の位置、背もたれ部16にもたれかかる使用者の位置、ボディシャワー32の吐水方向正面の位置、映像表示部38の映像を見られる位置である。
【0048】
騒音になりにくいとは、脱衣室6の入口扉52を閉じた状態で脱衣室6の外部まで漏れる音の大きさが、好ましくは0dB以上55dB未満(不快に感じにくい音漏れの大きさ未満の範囲)、より好ましくは0dB以上45dB未満(より不快に感じにくい音漏れの大きさ未満の範囲)により規定される。
【0049】
制御部22は、シャワールーム4内のシャワールーム照明42及び/又は脱衣室6内の脱衣室照明46から発する光を制御する制御部として機能する。空間演出を実行する場合には、制御部22は、シャワールーム照明42及び/又は脱衣室照明46を制御する。
【0050】
制御部22は、映像表示部38に表示される映像表示を制御する制御部として機能する。映像表示には、動画映像の表示、静止画映像の表示、静止画以外の他の発光状態の表示(例えば単なる発光表示)が含まれる。
【0051】
制御部22は、開始操作部10と電気的に接続され、開始操作部10での操作による入力信号を受信する。また、制御部22は、スピーカー40、シャワールーム照明42、脱衣室照明46、間接照明49、プロジェクタ36、ドア開閉検知センサ20、と電気的に接続されている。これらの電気的な接続は、その全体又は一部が赤外線通信、その他の方式等の無線通信により接続されていてもよい。従って、制御部22は、インターネットを介してシャワールーム4及び脱衣室6とは物理的に離れた位置に配置されていてもよく、又はインターネットを介したサーバー上にプログラムの形態で設けられていてもよい。すなわち、制御部22は、プログラムの形態で提供されることによりサーバー上に形成されてもよい。本実施形態においては、制御部22は、CPU等の演算装置及びメモリ等の記憶装置を内蔵し、所定の制御プログラム等に基づいて電気的に接続された機器の制御を行うことができる。例えば、制御部22は、第1空間演出モード、第2空間演出モード、第3空間演出モード、その他の空間演出を行うための制御プログラムを記憶装置に記憶している。また、例えば、制御部22は、自動終了モード、中断モード、安全点灯モード等の制御を実行するための制御プログラムを記憶装置に記憶している。
【0052】
次に、
図6を参照して、制御部22により行われる空間演出について説明する。
空間演出は、演出手段8により映像表示、音出力、照明制御のうちの少なくとも1つを実行することにより行われる。
【0053】
制御部22は、例えば、動画映像を再生するような映像表示部38における映像表示を実行し、音楽を再生するようなスピーカー40からの音出力を実行し、且つシャワールーム4内の照明を全灯状態としつつ脱衣室6内の照明を消灯状態とするような照明制御を実行する第1空間演出モードを備える。制御部22は、第1空間演出モードにおいて表示される映像コンテンツデータ、出力される音のコンテンツデータも記憶している。
【0054】
制御部22は、また、例えば、動画映像を再生するような映像表示部38における映像表示を実行し、音楽を再生するようなスピーカー40からの音出力を実行し、且つシャワールーム4内の照明を間接照明49による点灯状態とするような照明制御を実行する第2空間演出モードを備える。制御部22は、第2空間演出モードにおいて表示される映像コンテンツデータ、出力される音のコンテンツデータも記憶している。
【0055】
制御部22は、また、例えば、動画映像を再生するような映像表示部38における映像表示を実行し、音楽を再生するようなスピーカー40からの音出力を実行し、且つシャワールーム4内の照明を消灯状態とするような照明制御を実行する第3空間演出モードを備える。制御部22は、第3空間演出モードにおいて表示される映像コンテンツデータ、出力される音のコンテンツデータも記憶している。
上述のような例示の空間演出モードにとらわれず、制御部22は、映像表示、音出力、照明制御のうちのいずれか1つ、2つの組合せ、又は3つの組合せにより空間演出を実行できる。
【0056】
ここで「演出」には、映像表示、音出力、照明制御のうちのいずれか1つが、演出開始後且つ演出終了前に、ON状態からOFF状態及び/又はOFF状態からON状態の状態変化を自動的に行うように制御されること、又は強弱の状態変化を自動的に行うように制御されること、が含まれる。例えば、「演出」には、映像表示及び音出力が実行されず、照明の強弱の状態変化が自動的に行われることが含まれる。また、これらに限られず「演出」には、映像表示又は音出力が単に再生されることが含まれる。例えば、「演出」には、照明制御を行わず、映像表示又は音出力が単に再生されることが含まれる。また、これらに限られず「演出」には、映像表示、音出力、照明制御のうちの少なくとも2つを組合せて実行することが含まれる。例えば、「演出」には、照明を全灯状態に制御した上で、映像表示又は音出力が再生されることが含まれる。なお、制御部22は、このような空間演出の実行中において、上述のように予め設定された出力によりスピーカー40から音を出力させている。
【0057】
制御部22は、開始操作部10への操作に基づきシャワールーム4の空間演出を開始させた後、開始された空間演出を所定時間以内に自動的に終了させる自動終了モードを備える。制御部22は、自動終了モードにより、空間演出開始後、好ましくは15秒間乃至5分間の間の所定時間、より好ましくは30秒間乃至3分間の間の所定時間、例えば2分間の所定時間等の所定時間以内に空間演出を自動的に終了させる。よって、制御部22が、このような比較的短期間の所定時間で空間演出を強制的に終了させることにより、空間演出中は使用者に短期間でリラックスできるような環境を集中的に提供すると共に、空間演出終了時に使用者にシャワールーム4の利用時間の終了を比較的自然な形で印象付け、使用者の長時間利用を抑制し、使用者に短時間利用を促しやすくすることができる。例えば、オフィスやコワーキングスペースに付属したシャワールーム4においては、使用者の長時間利用を抑制し、使用者に短時間利用を促しやすくできると共に、使用者を決められた所定期間で効率的にリフレッシュさせることは、使用者の利便性にも資すると共に、一人の使用者が長期間にわたってシャワールーム4を占有することなく他の使用者にもシャワールーム4を利用しやすくすることができる。なお、なお、制御部22の自動終了モードは、必ずしも所定時間以内に終了するものに限られず、所定時間を経過した時に終了させるように制御されてもよい。
【0058】
制御部22が自動終了モードを備えることにより、使用者が空間演出を通常の使用方法で終了させるために手動操作する演出終了操作ボタンの配置を省略できる。仮に、使用者の演出終了操作ボタンの操作により空間演出が終了される設定とされる場合、使用者が演出終了操作ボタンを操作しない限り、空間演出が継続することとなる。これに対し本実施形態においては、演出終了操作ボタンの配置を省略し、自動終了モードにより空間演出を所定時間以内に自動的に終了させることにより、使用者を決められた所定期間で効率的にリフレッシュさせる。また、自動終了モードのこのような制御により、使用者に所定時間が経過したという意識付けを行うことが可能となり、使用者が時間を有効的に活用してシャワールーム4を利用できる。なお、使用者が、追加で空間演出を利用したい場合には、さらなる開始操作部10の操作により、さらなる空間演出を実行可能である。従って、使用者がよりリフレッシュしたいと思う場合には、使用者に所定時間の経過を意識付けした上で、使用者が空間演出を追加的に利用できる。
【0059】
制御部22は、演出手段8による空間演出の実行中に、ドア開閉検知センサ20が浴室ドア15の開放を検知した場合、プロジェクタ36による映像の投射を中断状態とさせる中断モードを備える。制御部22の中断モードによる中断状態には、プロジェクタ36が停止された状態のみならず、映像の投射が中断され黒画面(画面の大部分が基本的に黒い画面映像)が投射される状態、プロジェクタ36は作動しているがミュート機能により映像の投射が中断され投射映像が消えた状態、も含まれる。制御部22の中断モードによれば、浴室ドア15を開けた使用者に対し、プロジェクタ36からの光が投射されない又は黒い画面映像が投射されることにより、使用者に眩しい感覚を与える可能性を低減できる。中断モードは、プロジェクタ36を中断状態とさせた後、プロジェクタ36の作動を停止させてもよい。制御部22の中断モードによる中断状態には、プロジェクタ36が再開を意図せずに停止される状態も含まれる。
【0060】
中断モードは、スピーカー40による音の出力も中断させる。すなわち、制御部22は、中断モードにより、演出手段8による空間演出の実行中に、ドア開閉検知センサ20が浴室ドア15の開放を検知した場合、スピーカー40による音の出力を中断状態とさせる。よって、制御部がこのような中断モードを備えることにより、浴室ドア15が開放された場合に、スピーカー40による音がシャワールーム4から脱衣室6に漏れ、さらに脱衣室6の入口扉52の外側まで音漏れを生じさせることを抑制できる。
【0061】
制御部22は、シャワールーム4及び脱衣室6の少なくとも一方に設けられる照明が消灯された状態と映像表示部38に映像が表示されていない状態とが同時に生じないように、映像表示部38に映像が表示されていない状態となる場合には事前に又は同時に照明(シャワールーム照明42及び/又は脱衣室照明46)を点灯状態とし且つシャワールーム4及び脱衣室6内の照明が全て消灯された状態となる場合には事前に又は同時に映像表示部38に映像が表示された状態とする安全点灯モードを備える。
【0062】
制御部22は、安全点灯モードにおいて、映像表示部38に映像が表示されていない状態となる場合を判断すると共に、シャワールーム照明42及び脱衣室照明46及び間接照明49(いずれか一つのみ又は2つが設けられている場合にはそれらの照明)の全てが消灯状態となる場合を判断する。なお、安全点灯モードには、照明が消灯された状態と映像表示部38に映像が表示された状態とが必ずしも同時に切り替わるものに限られず、時間的な誤差があってもよい。すなわち、照明が消灯された状態と上記映像表示部38に映像が表示されていない状態とが同時に生じないようになっていれば、制御部22は、空間演出の終了の時点で先にシャワールーム4内の照明を点灯させておき、後に映像表示部38の映像表示を表示されていない状態としてもよい。このような制御部22の安全点灯モードにより、シャワールーム4の空間演出に伴って使用者の意図しないタイミングで映像表示部38に映像が表示されていない状態とシャワールーム4及び脱衣室6内の照明が全て消灯された状態とが同時に生じ使用者がシャワールーム4及び脱衣室6内を視認できなくなることで使用者の安全性が低下する可能性を抑制できる。
【0063】
つぎに、
図7及び
図8を参照して、本発明の一実施形態による浴室システム1の動作(作用)について説明する。
図7は本発明の一実施形態による浴室システムにおいて、制御部による空間演出が所定時間の経過により終了されるまで実行される場合について、開始操作部、浴室ドア15、ドア開閉検知センサ20、プロジェクタ36、照明、及び音出力の動作の状態を時間経過に沿って示すタイミングチャートである。
図8は本発明の一実施形態による浴室システムにおいて、制御部による空間演出が所定時間の経過により終了される前に中断される場合について、開始操作部、浴室ドア15、ドア開閉検知センサ20、プロジェクタ36、照明、及び音出力の動作の状態を時間経過に沿って示すタイミングチャートである。
図7及び
図8においては、縦軸において、開始操作部の開始操作が有ったか無かったか、浴室ドア15が開状態か閉状態か、ドア開閉検知センサ20が検知する浴室ドア15の状態がON状態かOFF状態か、プロジェクタ36の投射がON状態(投射が行われている状態)かOFF状態(投射が行われていない状態)か、照明がON状態(照明が点灯している状態)かOFF状態(照明が点灯していない状態)か、音出力がON状態(音の出力が行われている状態)かOFF状態(音の出力が行われていない状態)かの変化を示し、横軸において時間経過を示している。
【0064】
先ず、
図2及び
図7に示すように、制御部による空間演出が所定時間の経過により終了されるまで実行される場合を説明する。
シャワー12を使用しようとする使用者は、オフィス側の共有空間F(
図2参照)から入口扉52を通って脱衣室6に入る。使用者が脱衣室6に入った後、入口扉52は閉じられた状態とされる。使用者の脱衣室照明スイッチ50の操作により脱衣室照明46が点灯状態とされる。使用者は脱衣室6で脱衣し、浴室ドア15を開けてシャワールーム4に入る。使用者のシャワールーム照明スイッチ48(
図1参照)の操作によりシャワールーム照明42が点灯状態とされる。使用者はシャワールーム4に入った後、浴室ドア15を閉じる。その後、使用者は、シャワー操作部14を操作して、オーバーヘッドシャワー17、ボディシャワー32、及びハンドシャワー34のいずれかの吐水により湯又は水を浴びることができる。
【0065】
このようにシャワールーム4を使用する使用者が空間演出を行う前の時点(例えば時刻T0)においては、
図7に示すように、開始操作部10は開始操作がなされていない開始操作無の状態であり、ドア開閉検知センサ20がOFF状態であり、制御部22は、浴室ドア15が閉状態であると判断しており、プロジェクタ36による映像の投射はOFF状態であり、脱衣室照明46及びシャワールーム照明42は点灯状態であり、スピーカー40による音出力がOFF状態である。
【0066】
使用者は、シャワー12の使用前、使用中及び使用後の任意のタイミングにおいて、演出手段8によるシャワールーム4の空間演出を実行できる。
図7に示すように、空間演出を実行しようとする使用者は、時刻T1において、開始操作部10のうち第1スイッチ10a、第2スイッチ10b、第3スイッチ10cのいずれかを選んで開始操作であるスイッチを押す操作を実行する。制御部22は、開始操作部10が開始操作有となったと判断し、対応する制御を実行する。例えば、開始操作部10の第3スイッチ10cが操作されると、制御部22は、第3空間演出モードを実行させる。以下、制御部22が第3空間演出モードを実行させる例について説明するが、第1空間演出モード、第2空間演出モード、その他の制御モードについても、制御部22の上述の制御プログラムに従って同様に制御を行うことができる。
なお、時刻T1において、制御部22は、ドア開閉検知センサ20がOFF状態であるという信号を受け取っている。これにより、制御部22は、浴室ドア15が閉状態であると判断でき、制御部22は、浴室ドア15が予定通り閉状態であるため、音漏れや映像が使用者に直接投射されることなく空間演出が実行できると判断して空間演出を実行できる。
【0067】
時刻T1において、開始操作部10の第3スイッチ10cが操作されると、制御部22は、第3空間演出モードの実行を開始させる。制御部22は、時刻T1において、プロジェクタ36の投射を開始させ、プロジェクタ36の投射をON状態とさせる。制御部22は、第3空間演出モードに応じた映像コンテンツを再生するように、プロジェクタ36による映像の投射を開始させ、映像表示部38による映像の表示を開始させる。また、制御部22は、時刻T1において、スピーカー40による音出力をOFF状態からON状態とさせる。よって、制御部22は、映像表示部38による映像の表示と合わせて、スピーカー40による音の出力を実行でき、映像と音とを同期させることができる。制御部22は、時刻T1において空間演出を実行させると共に、自動終了モードによる空間演出時間の経過の計測を開始する。時刻T1において、制御部22は、脱衣室照明46及びシャワールーム照明42及び間接照明49をON状態である点灯状態としており、空間演出開始直後に即座にシャワールーム4及び脱衣室6内の上記照明が全て消灯された状態となり使用者がシャワールーム4及び脱衣室6内を視認しにくくなることで使用者の安全性が低下する可能性を抑制できる。
【0068】
制御部22は、第3空間演出モードの実行を開始させるにあたり、制御部22と赤外線通信等の無線通信により接続されている機器、例えばプロジェクタ36、脱衣室照明46等への操作信号を、各操作のタイミングで複数回ずつ送信する制御を行う。これにより、無線通信における通信エラー等が生じる可能性を低下させ、機器が作動しない可能性を低減できる。制御部22は、第1空間演出モードや第2空間演出モード等の他のモードの実行を行う場合においても、同様の制御を行う。
【0069】
制御部22は、また、第3空間演出モードの実行を開始させるにあたり、原点合わせ制御を実行する。例えば、制御部22は、原点合わせ制御により、シャワールーム照明42及び/又は脱衣室照明46及び/又は間接照明49を一旦全灯状態に制御する。その後、脱衣室照明46及びシャワールーム照明42等を消灯状態や任意の点灯状態に変化させる。これにより、制御部22は、制御の開始にあたり脱衣室照明46及びシャワールーム照明42の初期の状態を確認する必要がなく、また、照明を常に全灯状態から目的の状態まで変化させることができるため、制御を簡易にでき且つ確実に行うことができる。制御部22は、第1空間演出モードや第2空間演出モード等の他のモードの実行を行う場合においても、同様の制御を行う。また、制御部22は、また、第3空間演出モードの実行を開始させるにあたり、原点合わせ制御を実行する。例えば、制御部22は、原点合わせ制御により、プロジェクタ36を常に同じメニュー選択画面から制御を開始するように制御する。これにより、制御部22は、制御の開始にあたりメニュー選択画面から各映像コンテンツまで決められた時間で短期間に移行して空間演出モードを実行できる。制御部22は、第1空間演出モードや第2空間演出モード等の他のモードの実行を行う場合においても、同様の制御を行う。
また、制御部22は、また、第3空間演出モードの実行を開始させるにあたり、原点合わせ制御を実行する。例えば、制御部22は、原点合わせ制御により、スピーカー40を常に同じ音の出力から制御を開始するように制御する。これにより、制御部22は、制御の開始にあたり同じ音の出力から各音の出力まで決められた音量等の設定及びタイミングにて短期間で確実に移行して空間演出モードを実行できる。制御部22は、第1空間演出モードや第2空間演出モード等の他のモードの実行を行う場合においても、同様の制御を行う。
なお、このような原点合わせ制御は、各空間演出モードの実行終了時に行われてもよい。終了時の各機器の状態を常に決められたものにしておくことで、次回の機器の作動時の状態が安定して推定でき、短期間に且つ確実に次回の各空間演出モードの実行を行うことが可能になる。
【0070】
時刻T2において、制御部22は、脱衣室照明46及びシャワールーム照明42をOFF状態である消灯状態とさせ、シャワールーム4及び脱衣室6内の上記照明が全て消灯された状態とさせる。これにより、映像、音、照明による演出効果をより高めることができ、使用者へのリラックス効果をより高めることができる。制御部22は、時刻T2以後も、第3空間演出モードにより空間演出を実行する。なお、時刻T2は、時刻T1から数秒から10秒程度の時間経過後の時刻である。
【0071】
時刻T3において、制御部22は、自動終了モードにより、空間演出の開始(時刻T1)から所定時間が経過したと判断して、第3空間演出モードによる空間演出を終了させる。このような自動終了モードにより、所定時間経過時に空間演出が自動的に終了される。これにより、使用者の長時間利用を抑制し、使用者に短時間利用を促しやすくすることができる。
【0072】
制御部22は、空間演出を終了しようとするとき、安全点灯モードにより、脱衣室照明46及びシャワールーム照明42及び間接照明49をOFF状態からON状態である全灯状態とさせ、シャワールーム4及び脱衣室6内の照明が全て点灯された状態とさせている。このとき、安全点灯モードにより、照明が消灯された状態と映像表示部38に映像が表示されていない状態とが同時に生じないように、プロジェクタ36の投射はON状態を継続している。なお、安全点灯モードにより、照明が消灯された状態と上記映像表示部38に映像が表示されていない状態とが同時に生じないようにされていれば、脱衣室照明46及びシャワールーム照明42を全灯状態とさせると同時に、プロジェクタ36の投射がOFF状態とされてもよい。また、時刻T3において、制御部22は、スピーカー40による音出力をON状態からOFF状態とさせている。時刻T3において、第3空間演出モードによる空間演出は終了している。使用者は、依然としてシャワールーム4内におり、浴室ドア15を開状態としていない。
【0073】
時刻T4において、制御部22は、プロジェクタ36の投射をON状態からOFF状態とさせる。時刻T4は、時刻T3から数秒から10秒程度の時間経過後の時刻である。時刻T3において第3空間演出モードによる空間演出は終了しているが、時刻T3から時刻T4までは、映像表示部38に終了画面の映像又は待機状態の画像等が表示されている。使用者は、時刻T4以後、浴室ドア15を開状態としてシャワールーム4を出て脱衣室6に移動する。
【0074】
次に、
図8に示すように、制御部22による空間演出が所定時間の経過により終了される前に中断される場合を説明する。
時刻T0からT2までの制御部22の制御については、
図7に示す制御と同様であるので説明を省略する。
本来であれば、
図7に示すように、時刻T3において、制御部22は、自動終了モードにより、空間演出の開始(時刻T1)から所定時間が経過したと判断して、第3空間演出モードによる空間演出を終了させる。
しかしながら、使用者がこのような所定時間が経過する時刻T3となる前に、シャワールーム4の使用を終了又は中断し、シャワールーム4を出る場合がある。
【0075】
時刻T5(時刻T3より前の時刻)までにおいて、制御部22は、第3空間演出モードによる空間演出を継続している。時刻T5において、使用者がシャワールーム4を出ようとして浴室ドア15を閉状態から開状態とさせる。ドア開閉検知センサ20は、OFF状態からON状態となり、制御部22は、浴室ドア15が開状態となったことを認識する。これにより、制御部22は、中断モードを実行し、プロジェクタ36による映像の投射を中断状態とさせる。プロジェクタ36の投射は依然としてON状態となっているが、映像画面の投射が中断されると共に黒画面の投射に切り替わる。このような中断モードによれば、浴室ドア15から出ようとする使用者に対し、プロジェクタ36からの光が投射されない又は黒い画面映像が投射されることにより、使用者に眩しい感覚を与える可能性を低減できる。
【0076】
時刻T5において、安全点灯モードにより、照明が消灯された状態と映像表示部38に映像が表示されていない状態とが同時に生じないように、制御部22は、脱衣室照明46及びシャワールーム照明42をOFF状態からON状態である全灯状態とさせ、シャワールーム4及び脱衣室6内の照明が全て点灯された状態とさせる。また、時刻T5において、制御部22は、中断モードにより、スピーカー40による音出力をON状態からOFF状態とさせている。よって、浴室ドア15が開放された場合に、スピーカー40による音がシャワールーム4から脱衣室6に漏れ、さらに脱衣室6の入口扉52の外側まで音漏れを生じさせることを抑制できる。
【0077】
時刻T6において、制御部22は、ミュート機能により投射映像を消去させる。よって、制御部22は、プロジェクタ36の投射をON状態からOFF状態とさせる。このとき、制御部22は、プロジェクタ36の作動を停止させてもよい。以後、使用者は、脱衣室6に移動し、制御部22は、空間演出の実行前の状態に戻る。
【0078】
上述した本発明の一実施形態による浴室システム1によれば、使用者による開始操作部10の操作により、演出手段8によるシャワールーム4の空間演出を開始させることができ、例えばシャワールーム4への入室により自動的に空間演出が開始される場合に比べて、使用者の空間演出を利用するタイミングを調整できる等の利便性を向上させると共に使用者が空間演出をどのように利用するか等を決定する自由度を向上させることができる。さらに、制御部22は、開始操作部10への操作に基づきシャワールーム4の空間演出を開始させた後、空間演出を所定時間以内に自動的に終了させる自動終了モードを備えるので、制御部22の自動終了モードにより、使用者が長時間にわたって空間演出を利用することを抑制でき、使用者が比較的短時間で集中して心身のリラックス効果を享受しやすくする。
【0079】
さらに、本発明の一実施形態による浴室システム1によれば、演出手段8は、プロジェクタ36により投射された映像を映像表示部38に表示させる映像表示を少なくとも実行することによりシャワールーム4の空間演出を行う。これにより、演出手段8は、映像表示を含む演出により空間演出の演出効果を向上させることができる。
【0080】
さらに、本発明の一実施形態による浴室システム1によれば、制御部22は、演出手段8による空間演出の実行中に、ドア開閉検知センサ20が浴室ドアの開放を検知した場合、プロジェクタ36による映像の投射を中断状態とさせる中断モードを備える。これにより、演出手段8による空間演出の実行中に、使用者がシャワールーム4から出ようとしてドア開閉検知センサ20が浴室ドアの開放を検知した場合、中断モードによりプロジェクタ36による映像の投射が中断状態とされる。よって、制御部22がこのような中断モードを備えることにより、プロジェクタ36から投射された画像の光が、中断モードが実行されていない状態で、シャワールーム4から出ようとする使用者の目に入り、使用者に眩しい感覚を与える可能性を低減できる。
【0081】
さらに、本発明の一実施形態による浴室システム1によれば、演出手段8は、スピーカー40から音を出力させる音声出力を少なくとも実行することによりシャワールーム4の空間演出を行う。これにより、演出手段8は、スピーカー40から出力される音を含む演出により空間演出の演出効果をより向上させることができる。演出手段8が、スピーカー40から音を出力させる音声出力を少なくとも実行することによりシャワールーム4の空間演出を行う場合に、制御部22の中断モードが、スピーカー40による音の出力も中断させる。これにより、演出手段8による空間演出の実行中に、使用者がシャワールーム4から出ようとしてドア開閉検知センサ20が浴室ドアの開放を検知した場合、中断モードによりスピーカー40による音の出力が中断される。よって、制御部22がこのような中断モードを備えることにより、浴室ドアが開放された場合に、スピーカー40による音がシャワールーム4及び脱衣室からさらに外側まで音漏れを生じさせることを抑制できる。
【0082】
さらに、本発明の一実施形態による浴室システム1によれば、演出手段8は、照明から発する光を制御する照明制御を少なくとも実行することによりシャワールーム4の空間演出を行う。これにより、演出手段8は、照明の光を含む演出により空間演出の演出効果をより向上させることができる。また、制御部22は、シャワールーム4内の照明が全て消灯された状態と映像表示部38に映像が表示されていない状態とが同時に生じないように、映像表示部38に映像が表示されていない状態となる場合には照明を点灯状態とし且つシャワールーム4内の照明が全て消灯された状態となる場合には映像表示部38に映像が表示された状態とする安全点灯モードを備える。このような制御部22の安全点灯モードにより、シャワールーム4の空間演出に伴って使用者の意図しないタイミングで映像表示部38に映像が表示されていない状態とシャワールーム4内の照明が全て消灯された状態とが同時に生じ使用者がシャワールーム4及び脱衣室内を視認できなくなることで使用者の安全性が低下する可能性を抑制できる。
【符号の説明】
【0083】
1 浴室システム
4 シャワールーム
6 脱衣室
8 演出手段
10 開始操作部
12 シャワー
15 浴室ドア
20 ドア開閉検知センサ
22 制御部
36 プロジェクタ
38 映像表示部
40 スピーカー
【手続補正書】
【提出日】2024-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室と、
上記浴室に隣接する脱衣室と、
上記浴室と上記脱衣室との間に設けられた浴室ドアと、
映像表示、音声出力、照明制御のうちの少なくとも1つを実行することにより上記浴室の空間演出を行う演出手段と、
上記浴室ドアの開閉を検知するドア開閉検知センサと、
上記演出手段を制御する制御部と、を備え、
上記制御部は、上記ドア開閉検知センサによる上記浴室ドアの開閉状況に応じて、上記演出手段による上記空間演出の実行を制御する、浴室システム。
【請求項2】
上記制御部は、上記浴室の空間演出を開始させた後、上記演出手段による空間演出の実行中に上記ドア開閉検知センサが上記浴室ドアの開閉を検知した場合には、上記空間演出の実行を停止する制御を行う、請求項1記載の浴室システム。
【請求項3】
上記演出手段は、上記脱衣室に設けられるプロジェクタと、
上記プロジェクタにより投射された映像が表示される映像表示部であって、上記映像表示部は上記脱衣室と上記浴室との間に配置されると共に投射された映像を上記浴室から視認できるように構成される、上記映像表示部と、を備え、
上記演出手段は、上記プロジェクタにより投射された映像を上記映像表示部に表示させる映像表示を少なくとも実行することにより上記浴室の空間演出を行う、請求項1記載の浴室システム。
【請求項4】
上記映像表示部は、上記浴室ドアに設けられる、請求項2に記載の浴室システム。
【請求項5】
上記演出手段は、上記浴室内に設けられるスピーカーを備え、
上記演出手段は、上記スピーカーから音を出力させる音声出力を少なくとも実行することにより上記浴室の空間演出を行う、請求項1に記載の浴室システム。
【請求項6】
上記演出手段は、上記浴室及び上記脱衣室の少なくとも一方に設けられる照明を備え、
上記演出手段は、上記照明から発する光を制御する照明制御を少なくとも実行することにより上記浴室の空間演出を行い、
上記制御部は、上記浴室及び上記脱衣室内の上記照明が全て消灯された状態と上記映像表示部に映像が表示されていない状態とが同時に生じないように、上記映像表示部に映像が表示されていない状態となる場合には事前に又は同時に上記照明を点灯状態とし且つ上記浴室及び上記脱衣室内の上記照明が全て消灯された状態となる場合には事前に又は同時に上記映像表示部に映像が表示された状態とする安全点灯モードを備える、請求項1に記載の浴室システム。