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特開2024-147578空気入口の内部に配置されるフローガイドを備える圧縮機
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  • 特開-空気入口の内部に配置されるフローガイドを備える圧縮機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147578
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】空気入口の内部に配置されるフローガイドを備える圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20241008BHJP
   F04D 29/58 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
F04D29/44 P
F04D29/58 Q
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024102747
(22)【出願日】2024-06-26
(62)【分割の表示】P 2022514731の分割
【原出願日】2020-08-19
(31)【優先権主張番号】1912783.6
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225543
【弁理士】
【氏名又は名称】上原 真
(72)【発明者】
【氏名】ハンナ バーネス
(72)【発明者】
【氏名】ニゲル ダイモンド
(72)【発明者】
【氏名】アダム ジャニツェウスキ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】圧縮機を通る気流が構成要素を効果的に通過できる構成を提供する。
【解決手段】圧縮機(10)は、ステータアセンブリと、ロータアセンブリと、内部にステータアセンブリ及びロータアセンブリが配置されるハウジング(18)と、を有する。ハウジング(18)は、第1の端部と、第2の端部と、第1の端部と第2の端部の間に設けられる空気入口(92)と、を有する。圧縮機(10)は、空気入口(92)の内部に配置されるフローガイド(100)を有する。フローガイド(100)は、使用中に空気入口(92)を流れる空気を、ハウジング(18)の第1の端部に向かう第1の気流と、ハウジング(18)の第2の端部に向かう第2の気流とに分割するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータアセンブリと、ロータアセンブリと、内部に前記ステータアセンブリ及び前記
ロータアセンブリが配置されるハウジングと、を備える圧縮機であって、
前記ハウジングは、第1の端部と、第2の端部と、前記第1の端部及び前記第2の端部
の間に設けられる空気入口と、を備え、前記圧縮機は、前記空気入口の内部に配置される
フローガイドを備え、前記フローガイドは、使用中の前記空気入口を流れる空気を、前記
ハウジングの前記第1の端部に向かう第1の気流と、前記ハウジングの前記第2の端部に
向かう第2の気流に分割するように構成される、圧縮機。
【請求項2】
前記空気入口は、前記ハウジングの第1の端部及び第2の端部から離隔している、請求
項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記ハウジングの第1の端部が閉じる、請求項1又は請求項2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記ハウジングの第1の端部は、前記圧縮機の制御回路によって閉じられる、請求項3
に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記ロータアセンブリは、前記ハウジングの第1の端部の内部に配置される少なくとも
1つの磁石を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記少なくとも1つの磁石は、前記少なくとも1つの磁石が前記空気入口と少なくとも
部分的に位置ずれするように、前記ハウジングの第1の端部の内部に配置される、請求項
6に記載の圧縮機。
【請求項7】
前記ハウジングは全体的に略円筒形状であり、前記空気入口は、前記ハウジングの曲面
上に配置される、請求項1~6のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項8】
前記フローガイド及び前記ハウジングは、固定手段によって互いに取り付けられる別個
の構成要素を備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項9】
前記固定手段は、前記フローガイド及び/又は前記ハウジングに形成される少なくとも
1つの留め具を備える、請求項8に記載の圧縮機。
【請求項10】
前記空気入口は、前記ハウジング内に形成される窓を備え、前記窓は、少なくとも2つ
の対向縁部を有し、前記フローガイドは、少なくとも2つの留め具を備え、前記少なくと
も2つの留め具は、前記フローガイドが前記空気入口の内部に配置されるように、前記少
なくとも2つの対向縁部と係合可能である、請求項8又は請求項9に記載の圧縮機。
【請求項11】
前記フローガイドはガイド面を備え、前記ガイド面は前記少なくとも2つの留め具に対
して傾斜する、請求項10に記載の圧縮機。
【請求項12】
前記ロータアセンブリは、ロータ磁石と、少なくとも1つの軸受と、を備え、前記ロー
タ磁石及び前記少なくとも1つの軸受は、前記ハウジングの内部において、前記空気入口
と前記ハウジングの前記第2の端部の間に少なくとも部分的に配置される、請求項1~1
1のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項13】
前記ロータアセンブリは、前記ハウジングの前記第1の端部に配置される第1の軸受と
、前記ハウジングの前記第2の端部に配置される第2の軸受と、を備える、請求項1~1
2のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項14】
前記ステータアセンブリは、少なくとも1つのステータ鉄心と、前記少なくとも1つの
ステータ鉄心の周りに巻き付けられる少なくとも1相の巻線と、を備え、前記少なくとも
1つステータ鉄心及び前記少なくとも1相の巻線は、前記ハウジングの内部において、前
記空気入口と前記ハウジングの前記第2の端部の間に少なくとも部分的に配置される、請
求項1~13のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項15】
前記ハウジングは、複数の空気入口と、単一のフローガイドを備え、前記単一のフロー
ガイドは、単一の空気入口の内部に配置される、請求項1~14のいずれか1項に記載の
圧縮機。
【請求項16】
前記ハウジングは、複数の空気入口と、複数のフローガイドを備え、各フローガイドは
、各空気入口の内部に配置される、請求項1~14のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の圧縮機を備える、真空掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機及び圧縮機を備える真空掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
真空掃除機に見られる圧縮機等は、多くの点で改善が広く望まれている。特に、サイズ
、重量、製造コスト、性能、効率、信頼性及びノイズの点で改善が望まれることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電気モータが直面している最大の課題の1つは、使用中に電気モータの構成要素を低温
に保つことである。圧縮機の場合、モータの構成要素の一部を冷却するために、圧縮機に
よって生成される気流を利用することができる。しかし、圧縮機を通る気流が制限され、
すべての構成要素を効果的に通過できないことはよくある。そのため、冷却が制限されて
少数の構成要素にしか利用できないせいで、圧縮機の効率及び性能が制限されることがあ
る。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、ステータアセンブリと、ロータアセンブリと、内部にス
テータアセンブリ及びロータアセンブリが配置されるハウジングと、を備える圧縮機が提
供される。この圧縮機において、ハウジングは、第1の端部と、第2の端部と、第1の端
部及び第2の端部の間に設けられる空気入口と、を備える。圧縮機は、空気入口の内部に
配置されるフローガイドを備え、フローガイドは、使用中に空気入口を流れる空気を、ハ
ウジングの第1の端部に向かう第1の気流と、ハウジングの第2の端部に向かう第2の気
流に分割するように構成される。
【0005】
本発明の第1の態様による圧縮機は、主に、ハウジングが、第1の端部と、第2の端部
と、第1の端部及び第2の端部の間に設けられる空気入口と、を備え、圧縮機が、空気入
口の内部に配置されるフローガイドを備え、フローガイドが、使用中に空気入口を流れる
空気を、ハウジングの第1の端部に向かう第1の気流と、ハウジングの第2の端部に向か
う第2の気流に分割するように構成されるため、有利であろう。
【0006】
特に、フローガイドは、使用中の圧縮機を流れる気流を、ハウジングの第1の端部と第
2の端部の両方に分散させる構成としてもよい。これにより、ハウジング内に収容されて
いるより多数の構成要素に対して、供給する気流を増大させることができ、その結果、圧
縮機のハウジング内に収容されている構成要素の冷却を向上させることができ、例えば、
軸受及び/又は磁石及び/又は電子機器等の構成要素の冷却を向上させることができる。
このため、圧縮機は、例えば空気ガイドを有さない同様の圧縮機よりも大きな動作電力で
作動させることができる。
【0007】
さらに、フローガイドは、ハウジング内の圧縮機の構成要素の位置の自由度を高めるこ
とができる。例えば、フローガイドは、使用中に空気入口を流れる空気を、ハウジングの
第1の端部に向かう第1の気流と、ハウジングの第2の端部に向かう第2の気流に分割す
るように構成されているので、ハウジングの第1の端部と第2の端部の両方に冷却気流が
存在するときの設計の自由度を高めることができる。
【0008】
フローガイドは、ハウジング内への空気入口の位置の自由度を高めることができる。特
に、フローガイドを使用して、気流をハウジングの第1の端部と第2の端部の両方に分流
させることができるので、空気入口は、例えばハウジングの第1の端部及び第2の端部か
ら離れた領域に配置することができる。これにより、例えば空気入口がハウジングの端部
又は端部付近に配置される圧縮機よりも、構造的剛性を高めることができる。
【0009】
空気入口は、ハウジングの第1の端部及び第2の端部から離隔してもよい。これにより
、例えば空気入口がハウジングの端部又は端部の非常に近くに配置される構成よりも、機
械的強度を高めることができる。
【0010】
フローガイドは、第1の気流及び第2の気流の方向が互いにほぼ反対方向になるように
構成されてもよい。例えば、フローガイドは、第1の気流及び第2の気流が互いに傾斜す
るように構成されてもよい。フローガイドは、第1の気流及び第2の気流が45°を超え
る角度、60°を超える角度、又は90°を超える角度で互いに傾くように構成されても
よい。
【0011】
空気入口は、使用中のハウジングを通る気流の主方向に対して実質的に直交してもよい
【0012】
ハウジングの第1の端部は閉じてもよく、例えば圧縮機の外部環境から実質的に密封さ
れてもよい。第1の端部が閉じている圧縮機と共にフローガイドを使用すると、フローガ
イドは第1の気流をハウジングの第1の端部に向けて方向転換させることができ、さもな
ければ第1の端部が閉鎖されることで生じる気流を受けることはないので、有益であろう
【0013】
ハウジングの第1の端部は、圧縮機の制御回路によって閉じてもよい。第1の気流が使
用中の制御回路の少なくとも一部、例えば下面に向かって及び/又は下面にわたって流れ
ることができ、それによって、制御回路に冷却効果を与えるので、これは有益であろう。
ハウジングの第1の端部は、プリント回路基板(PCB)によって閉じてもよい。
【0014】
ロータアセンブリは、ハウジングの第1の端部の内部に配置される少なくとも1つの磁
石、例えばセンサ磁石等を備えてもよい。磁石は、特に温度に敏感な構成要素を含むこと
ができるので、これは有益であろう。フローガイドは第1の気流を磁石に向けて方向転換
させることができ、これにより、磁石に冷却効果を与え、それによって磁石の寿命を延ば
すことができる。少なくとも1つの磁石は、少なくとも1つの磁石が空気入口と少なくと
も部分的に位置ずれするように、ハウジングの第1の端部の内部に配置されてもよい。磁
石は、空気入口から離れることができ、それでもなお、第1の気流をハウジングの第1の
端部に向けて方向転換させるフローガイドによって冷却気流を受け取ることができるので
、これは有益であろう。少なくとも1つの磁石は、少なくとも1つの磁石が圧縮機の軸方
向において空気入口と少なくとも部分的に位置ずれするように、ハウジングの第1の端部
の内部に配置されてもよい。例えば、少なくとも1つの磁石は、少なくとも1つの磁石の
本体が空気入口から軸方向にずれるように、空気入口から軸方向にずれていてもよい。
【0015】
ロータアセンブリはインペラを備えてもよく、インペラは、例えばハウジングの第2の
端部の内部に配置されてもよい。インペラは、使用中にハウジングを通る気流を発生させ
るように構成されてもよい。使用中にハウジングを通る気流の主方向は、ハウジングの第
2の端部に向かっていてもよい。使用中にハウジングを通る気流の主方向は、例えばハウ
ジングの第1の端部からハウジングの第2の端部まで延びる主軸に沿って、インペラに向
かっていてもよい。主軸は、ハウジングの第1及び/又は第2の端部と実質的に直交して
もよい。
【0016】
第2の気流の方向は、インペラに向かう方向であってもよく、第1の気流の方向は、イ
ンペラから離れる方向であってもよい。第1の気流は、第1の気流が使用中のハウジング
の第1の端部に到達した後、ハウジングの第2の端部に向かって向きを変えてもよく、例
えばインペラの作用によってハウジングの第2の端部に向かって向きを変えてもよい。
【0017】
ロータアセンブリは、第1の端部及び第2の端部を有するシャフトを備え、シャフトの
第1の端部及び第2の端部は、ハウジングの第1の端部及び第2の端部のそれぞれの中に
配置される。空気入口は、使用中のシャフトと実質的に直交する方向で空気が空気入口に
流入するように構成されてもよい。使用中の第1の気流は、シャフトの第1の端部に向か
っていてもよく、使用中の第2の気流は、シャフトの第2の端部に向かっていてもよい。
空気入口は、シャフトの第1の端部と第2の端部の間に配置されてもよい。インペラは、
シャフトの第2の端部に配置されてもよい。主軸は、シャフトに対して実質的に平行でも
よい。
【0018】
ハウジングは全体的に略円筒形状であってもよく、空気入口はハウジングの曲面上に配
置されてもよい。例えば空気入口がハウジングの端部に配置される構成よりも、空気入口
の位置の自由度を高めることができるので、これは有益であろう。
【0019】
フローガイドは、第1の気流及び/又は第2の気流を生じさせる形状であってもよい。
例えば、フローガイドは、第1の気流を作り出す形状のガイド面を備えてもよい。
【0020】
フローガイドは、第1の入口開口部及び第2の入口開口部を画定するように、空気入口
の内部に配置されてもよい。第1の入口開口部は、気流をハウジングの第1の端部に誘導
するフローガイドのガイド面によって、少なくとも部分的に閉鎖してもよい。第2の入口
開口部は、実質的に閉鎖していなくてもよい。
【0021】
ガイド面は、ハウジングの第1の端部に対して傾いていてもよい。ガイド面は、ハウジ
ングに対して傾斜してもよく、例えば、ハウジングの曲面に対して傾斜してもよい。ガイ
ド面は、ハウジングの内部曲面に対して傾斜してもよい。
【0022】
フローガイドは、少なくとも部分的に空気入口の内部に配置されてもよい。例えば、フ
ローガイドの少なくとも一部は、ハウジング内に延在してもよい。ガイド面は、ハウジン
グ内に延在してもよい。ガイド面は、ハウジング内に向かって軸方向に延在してもよく、
例えばハウジングの第1の端部に向かって延在してもよい。ガイド面は、空気入口の周囲
縁部を軸方向に越えて延在してもよく、例えば空気入口の周囲縁部を軸方向に越えてハウ
ジングの内部に入り、ハウジングの第1の端部に向かって延在してもよい。
【0023】
フローガイド及びハウジングは、単一の構成要素、例えば、単一の成形手順で形成され
た単一の構成要素を備えてもよい。製造工程の数を減らすことができ、かつ製造工程のコ
ストを低減させることができるので、これは有益であろう。
【0024】
フローガイド及びハウジングは、固定手段によって互いに取り付けられる別個の構成要
素を備えてもよい。例えば同様の構造を有する既存の圧縮機において、フローガイドをハ
ウジングに後付けできるので、これは有益であろう。固定手段は、フローガイド及び/又
はハウジングに形成される少なくとも1つの留め具を備えてもよい。フローガイドをハウ
ジングへ容易に取り付けることができる比較的単純な固定手段を提供できるので、これは
有益であろう。
【0025】
固定手段は、ガイド面を軸方向に越えて第1の方向に延在してもよく、ガイド面は、固
定手段を軸方向に越えて第2の反対方向に延在してもよい。固定手段が空気入口の比較的
大部分に沿って延在でき、同時に、それでもなお第2の気流用の空気入口開口部を形成す
ることができ、かつ、固定手段が空気入口の比較的大部分に沿って延在でき、同時に、そ
れでもなおガイド面がハウジングの内部に延在できるので、これは有益であろう。
【0026】
空気入口は、ハウジング内に形成される窓を備えてもよく、この窓は、少なくとも2つ
の対向縁部を有する。フローガイドは、空気入口の内部にフローガイドを配置するために
、少なくとも2つの対向縁部と係合可能な少なくとも2つの留め具を備えてもよい。例え
ば単一の留め具を利用するアタッチメントよりも強度の増加したアタッチメントを提供で
きるので、これは有益であろう。ガイド面は、少なくとも2つの留め具に対して傾斜して
もよい。少なくとも2つの留め具が空気入口の対向縁部と係合しながら、ガイド面がハウ
ジングに対して傾斜できるので、これは有益であろう。
【0027】
ハウジングは、複数の空気入口及び単一のフローガイドを備えてもよく、当該単一のフ
ローガイドは単一の空気入口の内部に配置される。単一のフローガイドで十分な冷却が達
成できるので、これは有益であろう。これにより、複数のフローガイドを使用する構成よ
りも単純で、かつ使用する部品が少なくて済み、その結果、製造コストを低減させること
ができる。複数の空気入口を有しながら、単一のフローガイドを使用すると、例えば、複
数の空気入口のそれぞれの内部に配置されるフローガイドを利用する構成よりも、圧力降
下を低くすることもできる。圧縮機が真空掃除機で使用される場合、このような構成によ
り、例えば複数の空気入口のそれぞれの内部に配置されるフローガイドを利用する構成よ
りも、吸い込み仕事率(airwatt)の降下を少なくでき、同時に、それでもなお十分な冷
却レベルを与える。
【0028】
ハウジングは、複数の空気入口及び複数のフローガイドを備えてもよく、各フローガイ
ドは、各空気入口の内部に配置される。例えば単一のフローガイドを利用する構成よりも
、ハウジングの第2の端部に向けてより多くの気流を誘導することができ、冷却を向上さ
せることができるので、これは有益であろう。
【0029】
ロータアセンブリは、ロータ磁石と、少なくとも1つの軸受を備えてもよい。ロータ磁
石及び少なくとも1つの軸受は、ハウジングの内部において、空気入口とハウジングの第
2の端部の間に少なくとも部分的に配置されてもよい。第2の気流が使用中のロータ磁石
及び少なくとも1つの軸受にわたって流れ、それによってロータ磁石及び少なくとも1つ
の軸受を冷却することができるので、これは有益であろう。
【0030】
ロータアセンブリは、ハウジングの第1の端部に配置される第1の軸受と、ハウジング
の第2の端部に配置される第2の軸受と、を備えてもよい。例えば、第1の軸受は、空気
入口とハウジングの第1の端部の間に配置されてもよく、第2の軸受は、ハウジングの空
気入口と第2の端部の間に配置されてもよい。第1の気流は使用中の第1の軸受にわたっ
て流れることができ、また第2の気流は使用中の第2の軸受にわたって流れることができ
、それによって第1の軸受と第2の軸受の両方を冷却することができるので、これは有益
であろう。ロータ磁石は、第1の軸受と第2の軸受の間に配置されてもよい。
【0031】
ステータアセンブリは、少なくとも1つのステータ鉄心と、少なくとも1つのステータ
鉄心の周りに巻き付けられる少なくとも1相の巻線と、を備えてもよい。少なくとも1つ
のステータ鉄心及び少なくとも1相の巻線は、ハウジングの内部において、空気入口とハ
ウジングの第2の端部の間に少なくとも部分的に配置されてもよい。第2の気流が使用中
の少なくとも1つのステータ鉄心及び少なくとも1つの巻線にわたって流れることができ
、それによって、少なくとも1つのステータ鉄心及び少なくとも1つの巻線を冷却するこ
とができるので、これは有益であろう。
【0032】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様による圧縮機を備える真空掃除機が
提供される。
【0033】
本発明の第3の態様によれば、圧縮機用のフローガイドが提供される。このフローガイ
ドは、フローガイドを圧縮機の空気入口内に固定する固定手段と、使用中の空気入口を流
れる空気を第1の気流及び第2の気流に分割するガイド面と、を備える。
【0034】
ガイド面は、固定手段に対して傾斜してもよい。固定手段は、ガイド面を軸方向に越え
て第1の方向に延在してもよく、ガイド面は、固定手段を軸方向に越えて第2の反対方向
に延在してもよい。固定手段は、少なくとも1つの留め具を備えてもよい。例えば、固定
手段は、フローガイドの側面に配置される少なくとも2つの留め具を備えてもよい。
【0035】
本発明の態様の任意選択的な特徴は、必要に応じて、本発明の他の態様に等しく適用す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明をより良く理解し、本発明をどのように実施できるかより明確に示すために、以
下の図面を参照して、例として本発明を説明する。
【0037】
図1】本発明による圧縮機の斜視図である。
図2図1の圧縮機の分解斜視図である。
図3図1の圧縮機のステータ要素を単独で示す斜視図である。
図4図1の圧縮機のロータアセンブリを単独で示す斜視図である。
図5図1の圧縮機のフレームを単独で示す斜視図である。
図6図1の圧縮機のハウジングを単独で示す斜視図である。
図7図1の圧縮機のフローガイドを単独で示す斜視図である。
図8図1の圧縮機の中にあるフローガイドの位置の拡大図である。
図9図1の圧縮機を通る気流を示す概略断面図である。
図10図1の圧縮機を組み込んだ真空掃除機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1及び図2は、本発明による圧縮機10を示す。
【0039】
圧縮機10は、ステータアセンブリ12、ロータアセンブリ14、フレーム16、ハウ
ジング18、ディフューザ20、及びフローガイド100を備える。
【0040】
ステータアセンブリ12は、4つのステータ要素22、24、26、28を備える。各
ステータ要素22、24、26、28は、図3に示すように、ステータ鉄心30、ボビン
32、及び巻線34を備える。
【0041】
ロータアセンブリ14は、図4に単独で示されており、シャフト36を備える。シャフ
ト36には、ロータ磁石38、第1のバランスリング40及び第2のバランスリング42
、第1の軸受44及び第2の軸受46、並びにインペラ48が取り付けられる。
【0042】
シャフト36は、第1の端部50及び第2の端部52を有する。ロータ磁石38は、シ
ャフト36に、第1の端部50と第2の端部52の間で取り付けられ、第1のバランスリ
ング40及び第2のバランスリング42は、シャフト36においてロータ磁石38の両側
に配置される。第1の軸受44は、シャフト36に、第1の端部50の方で取り付けられ
、第2の軸受46は、シャフト36に、第2の端部52の方で取り付けられる。インペラ
48は、シャフト36に、シャフト36の第2の端部52で取り付けられる。
【0043】
フレーム16は、図5に単独で示されており、本体54とシュラウド56を備える。本
体54は、略円筒形状かつ中空状であり、第1の端部58及び第2の端部60を有する。
本体54の第1の端部58は、第1の軸受44を受け入れる第1の軸受座62を画定し、
本体54の第2の端部60は、第2の軸受46を受け入れる第2の軸受座64を画定する
。第1の軸受44及び第2の軸受46の外輪がそれぞれ第1の軸受座62及び第2の軸受
座64と係合することによって、ロータアセンブリ14はフレーム16内に保持される。
【0044】
第1の軸受座62は、使用中にセンサ磁石66がシャフト36と共に回転自在であるよ
うに、シャフト36の第2の端部52に取り付けられるセンサ磁石66も隙間と共に受け
入れる寸法に設定される。第1の軸受座62の外面の内部には、ホールセンサ(図示せず
)を受け入れる空洞68が形成される。センサ磁石66及びホールセンサは、使用中に相
互に作用して、ロータ磁石38の位置を示す。
【0045】
本体54は4つの取付開口部72を有し、取付開口部72は、本体54の第1の端部5
8と第2の端部60の間で、本体54の周囲に均等に間隔を空けて配置される。各取付開
口部72は、対応するステータ要素22、24、26、28を受け入れ、ステータ要素2
2、24、26、28は、ステータ鉄心30が各取付開口部72を少なくとも部分的に貫
通して延在するように、本体54に取り付けられる。取付開口部72は、組み立てたとき
にステータ鉄心30がロータ磁石38とほぼ整列するように、本体54上に配置される。
【0046】
シュラウド56は、略円錐台形状かつ中空状であり、4つの支柱74によって、第2の
軸受座64の領域で本体54の第2の端部60に取り付けられる。シュラウド56は、シ
ュラウド56がインペラ48を覆うように配置される。
【0047】
ハウジング18は、図6に単独で示されており、略円筒形状かつ中空状であり、第1の
端部76及び第2の端部78を有する。ハウジング18の第1の端部76はほぼ開口して
おり、フレーム16の第1の軸受座62用の取付部82を画定するように交わる4つの支
柱80を有する。ハウジング18の第1の端部76の周囲は、使用中の圧縮機10を制御
するために使用されるプリント回路基板86を受け入れる回路基板取付部84を画定する
形状である。プリント回路基板86は、ハウジング18の第1の開口端部76がプリント
回路基板86によって密封され、かつプリント回路基板86の下面がハウジング18の内
部と流体連通するように、回路基板取付部84に取り付けられる。
【0048】
ハウジング18の第2の端部78はほぼ開口しており、シュラウド56の上縁部88を
受け入れる。ハウジング18は、フレーム16に、シュラウド56の上縁部88及び第2
の軸受座64で取り付けられ、その結果、フレーム16とハウジング18の間に環状流路
90(図9により明確に見える)が画定される。各ステータ要素22、24、26、28
の一部は、環状流路90内に配置される。
【0049】
ハウジング18は、ハウジング18の曲面の周囲に均等に間隔を空けて配置される4つ
の空気入口92を有する。4つの空気入口92は、ハウジング18の第1の端部76と第
2の端部78の間に配置され、ハウジング18の第2の端部78よりも第1の端部76に
近接している。
【0050】
各空気入口92は略長方形状であり、第1対の対向縁部94及び第2対の対向縁部96
を有する。空気入口92は、圧縮機を通る流路が空気入口92、環状流路90、及びシュ
ラウド56のディフューザ20内への出口98によって画定されるように、環状流路90
と流体連通する。ディフューザ20の詳細は本発明に関係ないので、簡潔のためにここで
は説明しないが、ディフューザ20が3段ディフューザであることは述べておく。
【0051】
フローガイド20は、図7に単独で示されており、第1の留め具102及び第2の留め
具104を画定する側縁部と、第1の留め具102と第2の留め具104の間に配置され
るガイド面106と、を有する。第1の留め具102及び第2の留め具104はそれぞれ
取付流路を有し、当該取付流路は、空気入口92の第2対の対向縁部96のそれぞれ1つ
と協働して、フローガイド20を当該空気入口92の内部に取り付ける。ガイド面106
は、わずかに湾曲した平面であり、第1の留め具102及び第2の留め具104に対して
傾斜している。第1の留め具102及び第2の留め具104は、ガイド面106を軸方向
に越えてある方向に延在し、一方、ガイド面106は、第1の留め具102及び第2の留
め具104を軸方向に越えて反対方向に延在する。
【0052】
空気入口92の内部に配置されるフローガイド100の拡大図を図8に示す。図から分
かるように、フローガイド100は、ガイド面106がハウジング18の第1の端部76
に対して傾くように配置される。フローガイド100の中に空気入口92が配置され、フ
ローガイド100は、空気入口92を第1の入口開口部108と第2の入口開口部110
に分割する。第1の入口開口部108は、ガイド面106の略平面部分と、空気入口92
の第1対の対向縁部94の第1の縁部112によって画定され、一方、第2の入口開口部
110は、ガイド面106の下縁部114と、空気入口92の第1対の対向縁部94の第
2の縁部116によって画定される。このようにして、第1の入口開口部108はガイド
面106によってほぼ閉鎖し、一方、第2の入口開口部110はほぼ閉鎖していない。
【0053】
使用中には、電流がステータ要素22、24、26、28の巻線34内に押し込まれて
、磁場が誘導される。誘導磁場は、ロータ磁石38と相互作用してシャフト36を回転さ
せ、従ってインペラ48を回転させる。インペラ48は、圧縮機10を通る気流を発生さ
せる。
【0054】
圧縮機10を通る気流は図9に概略的に示されている。通常、空気は、空気入口92を
介してハウジング18に入り、環状流路90を流れ、インペラ48を過ぎ、シュラウド5
6の出口98を通って、ディフューザ20内に流入する。
【0055】
上述のように、フローガイド100は、第1の入口開口部106及び第2の入口開口部
108が画定されるように、空気入口92のうち所与の1つの内部に配置される。所与の
空気入口92において、フローガイド100は、空気入口92を流れる空気を第1の気流
118と第2の気流120に分割する。第1の気流118は、ガイド面106の形状によ
って、ハウジング18の第1の端部76の方へ向けられ、一方、第2の気流120は、イ
ンペラ48の作用によって、ハウジング18の第2の端部78の方へ引き寄せられる。第
1の気流118は、一旦ハウジング18の第1の端部76に到達すると、インペラ48の
作用により、ハウジング18の第2の端部78に向かって向きを変え、ハウジング18の
第2の端部78の方へ引き寄せられることを、当然、当業者は理解するであろう。
【0056】
上述のように、センサ磁石66と第1の軸受44は、両方ともハウジング18の第1の
端部76に配置される。第1の気流118は、フローガイド100によってハウジング1
8の第1の端部76に向かうとき、使用中にセンサ磁石66及び第1の軸受44を通過し
てもよい。これにより、フローガイドがない場合の構成、すなわち、気流がハウジング1
8の第1の端部76に向かわない場合の構成に対して、センサ磁石66及び第1の軸受4
4の冷却を向上させることができる。センサ磁石66及び第1の軸受44の冷却が向上す
ると、寿命の向上につながり、圧縮機をより高い出力で作動させることができ、通常、使
用中にハウジング18内でより多くの熱が発生することになる。
【0057】
さらに、上述のように、ハウジング18の第1の開口端部76はプリント回路基板86
によって密封され、プリント回路基板86の下面はハウジング18の内部と流体連通して
いる。特に図9から分かるように、プリント回路基板86の下面は、ハウジング18の第
1の端部76と流体連通している。したがって、使用中に、第1の気流118はプリント
回路基板86の下面に向かうことができ、フローガイドがない場合、すなわち、気流がハ
ウジング18の第1の端部76に向かわない場合の構成に比べて、プリント回路基板86
の冷却レベルを向上させることができる。
【0058】
さらに、フローガイド100を使用することによって、空気入口92の位置の選択の自
由度を高めることができ、例えば、空気入口92をハウジング18の第2の端部78に近
づけることができ、同時に、それでもなおハウジング18の第1の端部76に冷却気流を
供給することができる。
【0059】
図示されていないが、フローガイド100が各空気入口92の内部に配置される実施形
態も考えられる。このような構成では、ハウジング18の第1の端部76に向かう気流を
より大きくすることができるが、圧縮機10を横切る圧力上昇が降下するおそれがある。
特に、圧縮機10が真空掃除機200(このような真空掃除機を図10に示すが、その詳
細は本発明には関係するものでなく、簡潔のために本明細書では説明しない)で使用され
る場合、吸い込み仕事率(airwatt)が低下するおそれがある。したがって、妥協すべき
点がある。単一のフローガイド100を使用すると、圧力上昇を大幅に低減させることな
く、ハウジング18の第1の端部76で十分に冷却することができる。これに対して、複
数のフローガイドを使用すると、冷却を向上できるが、圧力上昇を大きく低減させること
になる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機用のフローガイドであって、前記フローガイドは、前記フローガイドを圧縮機のハウジングの空気入口内に固定する固定手段と、使用中の前記空気入口を流れる空気を第1の気流及び第2の気流に分割するガイド面と、を備え、前記フローガイドは、前記固定手段によって、前記ハウジングに取り付け可能である、フローガイド。
【請求項2】
前記固定手段は、前記ガイド面を軸方向に越えて第1の方向に延在し、前記ガイド面は、前記固定手段を軸方向に越えて第2の反対方向に延在する、請求項1に記載のフローガイド。
【請求項3】
前記固定手段は、少なくとも1つの留め具を備える、請求項1又は請求項2に記載のフローガイド。
【請求項4】
前記少なくとも1つの留め具は、前記フローガイドに形成される、請求項3に記載のフローガイド。
【請求項5】
前記固定手段は、少なくとも2つの留め具を備える、請求項3又は請求項4に記載のフローガイド。
【請求項6】
前記少なくとも2つの留め具は、前記フローガイドの側面に配置される、請求項5に記載のフローガイド。
【請求項7】
前記ガイド面は、前記固定手段に対して傾斜している、請求項1~6のいずれか1項に記載のフローガイド。
【請求項8】
前記ガイド面は、前記少なくとも2つの留め具に対して傾斜している、請求項5又は請求項7に記載のフローガイド。
【請求項9】
前記ハウジングは、ステータアセンブリ及びロータアセンブリを収容するためのものであり、前記ハウジングは、第1の端部と、第2の端部と、前記第1の端部及び前記第2の端部の間に設けられる、前記圧縮機の前記空気入口と、を備え
記フローガイドは、使用中の前記空気入口を流れる空気を、前記ハウジングの前記第1の端部に向かう前記第1の気流と、前記ハウジングの前記第2の端部に向かう前記第2の気流に分割するように構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載のフローガイド
【請求項10】
記フローガイドは、少なくとも2つの留め具を備え、前記少なくとも2つの留め具は、前記フローガイドが前記空気入口の内部に配置されるように、前記ハウジング内に形成される窓の少なくとも2つの対向縁部と係合可能である、請求項9に記載のフローガイド
【請求項11】
前記フローガイドはガイド面を備え、前記ガイド面は前記少なくとも2つの留め具に対して傾斜する、請求項10に記載のフローガイド
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のフローガイドを備える、真空掃除機。
【外国語明細書】