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特開2024-147590装飾体、装飾体の製造方法、装身具、および時計
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147590
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】装飾体、装飾体の製造方法、装身具、および時計
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/00 20060101AFI20241008BHJP
   G04B 45/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
A44C5/00 E
G04B45/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024105925
(22)【出願日】2024-07-01
(62)【分割の表示】P 2021013026の分割
【原出願日】2021-01-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【弁理士】
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】横尾 一将
(57)【要約】
【課題】 装飾性の高い装飾体、その装飾体の製造方法、その装飾体を備えた装身具、および時計を提供する。
【解決手段】 光透過性を有する脆性素材で形成された装飾部材7と、この装飾部材7が嵌め込まれて固定される嵌着凹部10を有する保持部材8と、を備え、装飾部材7は、保持部材8の嵌着凹部10内に複数積層されている。従って、複数の装飾部材7が光透過性を有する脆性素材で形成されているので、複数の装飾部材7を積層させても、これら積層された複数の装飾部材7を透かして見ることができ、これにより積層された複数の装飾部材7によって立体的な装飾表現ができるので、装飾性の高いものを提供することができる。
【選択図】 図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する脆性素材で形成された装飾部材を備え、
前記装飾部材は、複数積層されている
ことを特徴とする装飾体。
【請求項2】
請求項1に記載の装飾体において、
前記装飾部材が固定される固定部を有する保持部材を備え、
前記装飾部材は、前記保持部材の前記固定部内に複数積層されている
ことを特徴とする装飾体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の装飾体において、
前記複数の装飾部材は、表裏面に加飾が施されている
ことを特徴とする装飾体。
【請求項4】
請求項2に記載の装飾体において、
前記保持部材は、金属板を折り曲げ加工することによって前記固定部が形成されている
ことを特徴とする装飾体。
【請求項5】
請求項2または請求項4に記載の装飾体において、
前記固定部の内面は、着色されている
ことを特徴とする装飾体。
【請求項6】
請求項2、請求項4、請求項5のいずれかに記載の装飾体において、
前記複数の装飾部材を前記保持部材の前記固定部内に固定する部材固定部を備えている
ことを特徴とする装飾体。
【請求項7】
請求項6に記載の装飾体において、
前記部材固定部は、前記固定部の内面に設けられた係止部と、前記装飾部材の外周面に設けられて前記係止部が係合する係合部と、を備えている
ことを特徴とする装飾体。
【請求項8】
請求項6に記載の装飾体において、
前記部材固定部は、前記固定部内に前記複数の装飾部材を固定するクランプ部である
ことを特徴とする装飾体。
【請求項9】
請求項2、請求項4~請求項8のいずれかに記載の装飾体において、
前記複数の装飾部材は、前記保持部材の前記固定部内に光透過性を有する光硬化性樹脂によって固定されている
ことを特徴とする装飾体。
【請求項10】
請求項2、請求項4~請求項9のいずれかに記載の装飾体において、
前記固定部は、前記装飾部材が嵌め込まれて固定される嵌着凹部である
ことを特徴とする装飾体。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれかに記載の装飾体において、
前記装飾部材は、装身具本体に複数積層されている
ことを特徴とする装飾体。
【請求項12】
金属板を折り曲げ加工することによって固定部が形成された保持部材を形成する第1の工程と、
前記保持部材の前記固定部に光透過性を有する脆性素材からなる複数の装飾部材を積層させて固定する第2の工程と、
を備えていることを特徴とする装飾体の製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の装飾体の製造方法において、
前記第2の工程では、前記固定部の内面に光透過性を有する光硬化性樹脂を塗布した後、前記固定部内に前記複数の装着部材を積層させて嵌め込み、この状態で前記複数の装飾部材を通して光を前記光硬化性樹脂に照射させて前記光硬化性樹脂を硬化させて、前記積層された複数の装着部材を前記固定部内に固定する
ことを特徴とする装飾体の製造方法。
【請求項14】
請求項2、請求項4~請求項10のいずれかに記載された装飾体と、
前記装飾体の前記保持部材が取り付けられる取付部が設けられた装身具本体と、
を備えていることを特徴とする装身具。
【請求項15】
請求項1~請求項11のいずれかに記載された装飾体を備えている
ことを特徴とする時計。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、腕時計やブレスレット、ブローチなどの装身具に用いられる装飾体、その装飾体の製造方法、その装飾体を備えた装身具、および時計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、装身具である腕時計においては、特許文献1に記載されているように、腕時計ケースに取付凹部を設け、この取付凹部に宝石などの脆性素材からなる複数の装飾部材を平面的に配列させて嵌め込んだ構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-323735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような腕時計では、腕時計ケースの取付凹部に複数の装飾部材を平面的に配列させて嵌め込んだだけあるから、平面的な装飾表現しかできないため、装飾性に乏しいという問題がある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、装飾性の高い装飾体、その装飾体の製造方法、その装飾体を備えた装身具、および時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、光透過性を有する脆性素材で形成された装飾部材を備え、前記装飾部材は、複数積層されていることを特徴とする装飾体である。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、装飾性の高いものを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明を適用した腕時計の拡大斜視図である。
図2図1に示された腕時計のA-A矢視における拡大断面図である。
図3図2示された腕時計ケースの要部を示した拡大断面図である。
図4図3示された腕時計ケースに装飾体を取り付ける状態を分解して示した要部の拡大断面図である。
図5図4に示された装飾体の保持部材に複数の装飾部材を積層させて嵌め込む状態を分解して示した要部の拡大断面図である。
図6図5に示された装飾体の保持部材を示し、(a)はその拡大斜視図、(b)はその拡大展開図である。
図7】この発明を適用した腕時計における装飾体の変形例を示した要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図6を参照して、この発明を適用した腕時計の一実施形態について説明する。
この腕時計は、腕に取り付けて使用する装身具であり、図1および図2に示すように、装身具本体である腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1は、下部ケース1a上に上部ケース1bが防水リング1cを介して取り付けられた構造になっている。
【0010】
この腕時計ケース1の下部ケース1aにおける12時側と6時側とには、図1および図2に示すように、時計バンド(図示せず)が取り付けられるバンド取付部2がそれぞれ設けられている。この腕時計ケース1の下部ケース1aにおける2時側、3時側、4時側、8時側、および10時側(8時側と10時側とは図示せず)には、スイッチ部3がそれぞれ設けられている。
【0011】
また、この腕時計ケース1の上側開口部、つまり上部ケース1bの上側開口部には、図1および図2に示すように、時計ガラス4がパッキン4aを介して取り付けられている。この腕時計ケース1の下部には、裏蓋(図示せず)が取り付けられている。この腕時計ケース1の内部には、時計モジュール(図示せず)が設けられている。
【0012】
ところで、この腕時計ケース1の上部、つまり上部ケース1bの上部には、図1図3に示すように、装飾体5が取り付けられる取付部である装着凹部6が、腕時計ケース1の外周に沿ってリング状に形成されている。この場合、腕時計ケース1の上部ケース1bの上面は、内周部側から外周部側に向けて次第に低くなるように緩やかに傾斜する傾斜面に形成されている。このため、装着凹部6は、断面形状がほぼ四角形状で、腕時計ケース1の内周部側が外周部側よりも少し深く形成されている。
【0013】
装飾体5は、図3図6に示すように、光透過性を有する脆性素材からなる複数の装飾部材7と、これら複数の装飾部材7が積層されて嵌め込まれる保持部材8と、を備えている。保持部材8は、ステンレス、チタン合金、アルミ合金などの厚みの薄い金属板9(図6(b)参照)、例えば0.1mm程度の厚みの金属板9で、全体がリング形状に形成されている。
【0014】
すなわち、この保持部材8は、図4図6に示すように、リング形状の金属板9の内周部と外周部とを折り曲げ加工して立ち上げることにより、断面形状が凹部形状の嵌着凹部10(固定部)が形成されている。この嵌着凹部10は、保持部材8の底部8aと、保持部材8の内周側の立上り部8bと、保持部材8の外周側の立上り部8cとによって、上方に開放されて形成されている。
【0015】
この場合、保持部材8の内周側の立上り部8bと外周側の立上り部8cとには、図6(a)および図6(b)に示すように、金属板9の内周部と外周部とを折り曲げ加工しやすくするための複数の切欠き部8dが円周方向に沿って所定の間隔で設けられている。この保持部材8は、内周側の立上り部8bの外面と外周側の立上り部8cの外面との間隔、つまり底部8aの円周方向と直交する径方向の長さが、腕時計ケース1の装着凹部6の円周方向と直交する径方向の長さと同じ長さで形成されている。
【0016】
また、この保持部材8は、図3図5に示すように、内周側の立上り部8bが外周側の立上り部8cよりも少し高く形成されている。すなわち、この保持部材8は、内周側の立上り部8bの高さが腕時計ケース1の内周部側に位置する装着凹部6の内周面の高さよりも少し低い高さで形成され、外周側の立上り部8cの高さが腕時計ケース1の外周部側に位置する装着凹部6の内周面の高さと同じか、それよりも少し低い高さで形成されている。
【0017】
これにより、保持部材8は、図3に示すように、腕時計ケース1の装着凹部6内に上方から嵌め込まれた際に、底部8aが腕時計ケース1の装着凹部6内の底面に密接し、内周側の立上り部8bが腕時計ケース1の内周部側に位置する装着凹部6の内周面に少し低い高さで接近し、外周側の立上り部8cが腕時計ケース1の外周部側に位置する装着凹部6の内周面に同じ高さか、それよりも少し低い高さで接近するように形成されている。
【0018】
この場合、保持部材8は、図3および図4に示すように、腕時計ケース1の装着凹部6内に接着剤11によって接着されて固定されるように構成されている。すなわち、この接着剤11は、腕時計ケース1の装着凹部6内の底部に少し厚い厚みで塗布され、装着凹部6内に保持部材8が装着された際に、保持部材8の底部8aの下面から保持部材8の内周側の立上り部8bと保持部材8の外周側の立上り部8cとの各外面に回り込んで、保持部材8を装着凹部6内に接着させて固定する。
【0019】
このため、この装着凹部6内の内周面における上下方向の中間部よりも下側の箇所には、図3および図4に示すように、保持部材8の底部8aの下面から保持部材8の内周側の立上り部8bと保持部材8の外周側の立上り部8cとの各外面に回り込んだ接着剤11を溜めるための接着剤溜り部6aが設けられている。
【0020】
これにより、接着剤11は、図3および図4に示すように、装着凹部6内に保持部材8が装着されて、保持部材8の底部8aの下面から保持部材8の内周側の立上り部8bと保持部材8の外周側の立上り部8cとの各外面に回り込んだ際に、装着凹部6の接着剤溜り部6aに溜まって、装着凹部6の上側に漏れ出さないようになっている。
【0021】
また、この保持部材8の嵌着凹部10の内面には、図3図5に示すように、複数の装飾部材7を着色するための着色層10aが設けられている。すなわち、この着色層10aは、嵌着凹部10内の底面および両側面の全域に設けられていても良く、また嵌着凹部10内の底面および両側面における一部に設けられていても良い。また、この着色層10aは、図示しないが、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫などの7色、あるいは12色などのうちの1つの色であっても良く、また部分的に異なる色であっても良い。
【0022】
例えば、この着色層10aは、図示しないが、嵌着凹部10の内面において、12時と6時とを結ぶ線を境にして、左右方向で異なる色にしても良く、3時と9時とを結ぶ線を境にして、上下方向で異なる色にしても良く、また嵌着凹部10の内面を複数に分割し、この分割された部分を異なる色にしても良い。この場合、着色層10aは、例えば、1時から12時を表す時字に対応する箇所とそれ以外の箇所とで異なる色であっても良く、また時字ごとに異なる色であっても良い。
【0023】
一方、複数の装飾部材7は、図3図5示すように、サファイア、エメラルド、ルビー、ダイヤモンドなどの宝石、透明性の高い石英ガラスなどのガラス、またはセラミックスなどの脆性素材で、且つ透明または半透明の光透過性を有する脆性素材によって形成されている。これら複数の装飾部材7それぞれは、保持部材8の嵌着凹部10と同じ大きさのリング形状のほぼ平板状に形成されている。この場合、この実施形態では、複数の装飾部材7が2枚積層されているが、3枚以上積層されていても良い。
【0024】
これら複数の装飾部材7の表面(上面)および裏面(下面)には、図3図5に示すように、加飾層7aがそれぞれ設けられている。これら加飾層7aは、カットグラスなどの切子層、または模様や図形などの光透過性を有する印刷層や蒸着層などの薄膜層である。これにより、複数の装飾部材7は、積層された際に、各加飾層7aが上方から見えることにより、立体的な加飾表現が得られるように構成されている。この場合、加飾層7aは、複数の装飾部材7の各上下面のすべてに設けられていても良いが、複数の装飾部材7の各上下面のいずれかに部分的に設けられていても良い。
【0025】
また、これら複数の装飾部材7それぞれは、図3図5に示すように、上下面の各角部に面取り部7bが設けられている。この場合、複数の装飾部材7のうち、最上部の装飾部材7は、その上面が腕時計ケース1の上面と同様、内周部側から外周部側に向けて次第に低くなるように緩やかに傾斜する傾斜面に形成されている。これにより、複数の装飾部材7は、上下に重ね合わせて積層させた際に、内周部側の高さが外周部側の高さよりも高くなるように形成されている。
【0026】
また、これら複数の装飾部材7は、図3および図4に示すように、上下に重ね合わせる際に、各上下面に設けられた加飾層7aを位置合わせさせた状態で、透明または半透明の接着剤(図示せず)によって仮固定されている。このため、複数の装飾部材7は、上下に重ね合わせた状態で、保持部材8の嵌着凹部10内に嵌め込んだ際に、最上部の装飾部材7の上面が傾斜した状態で、最上部の装飾部材7における上面側の面取り部7bに対応する部分が嵌着凹部10の上側に突出して配置されるように構成されている。
【0027】
すなわち、複数の装飾部材7は、図3および図4に示すように、保持部材8の嵌着凹部10内に積層されて嵌め込まれた際に、最上部の装飾部材7の上面における内周部の面取り部7bに対応する上端部分が嵌着凹部10の内周部側の立上り部8bの上側に突出して配置されるように構成されている。
【0028】
同様に、複数の装飾部材7は、図3および図4に示すように、保持部材8の嵌着凹部10内に積層されて嵌め込まれた際に、最上部の装飾部材7の上面における外周部の面取り部7bにほぼ対応する上端部分が嵌着凹部10の外周部側の立上り部8cの上側に突出して配置されるように構成されている。
【0029】
これにより、装飾体5は、図2および図3に示すように、保持部材8が腕時計ケース1の装着凹部6内に装着された際に、保持部材8の嵌着凹部10の上側に突出した最上部の装飾部材7の上面が、腕時計ケース1の上面とほぼ同一面上で傾斜して配置されるように構成されている。すなわち、この装飾体5は、保持部材8の高さが腕時計ケース1の装着凹部6の深さよりも少し低くても、最上部の装飾部材7の上面が腕時計ケース1の上面とほぼ同一面上に配置されるように構成されている。
【0030】
ところで、複数の装飾部材7は、図3図5に示すように、保持部材8の嵌着凹部10内に積層されて嵌め込まれた際に、部材固定部である固定部12によって嵌着凹部10内に固定されるように構成されている。すなわち、この固定部12は、嵌着凹部10の内面である保持部材8の外周側の立上り部8cに設けられて嵌着凹部10の内部に向けて突出する係止凸部12aと、最上部の装飾部材7の外周面にその円周方向に沿って設けられて嵌着凹部10の係止凸部12aが係合する係合凹部12bと、を備えている。
【0031】
これにより、固定部12は、図3図5に示すように、複数の装飾部材7が保持部材8の嵌着凹部10内に積層された状態で嵌め込まれた際に、嵌着凹部10にその内部に向けて突出して設けられた係止凸部12aが、最上部の装飾部材7の外周面に設けられた係合凹部12bに係合することにより、嵌着凹部10内に複数の装飾部材7を積層させた状態で固定するように構成されている。
【0032】
また、複数の装飾部材7は、図3図5に示すように、保持部材8の嵌着凹部10内に積層されて嵌め込まれた状態で、接着剤として光硬化性樹脂である紫外線硬化樹脂13によっても嵌着凹部10内に固定されるように構成されている。すなわち、この紫外線硬化樹脂13は、透明または半透明などの光透過性を有し、紫外線が照射されることにより硬化するものであり、保持部材8の嵌着凹部10における内面のほぼ全域に塗布されている。
【0033】
このため、この紫外線硬化樹脂13は、図3図5に示すように、保持部材8の嵌着凹部10内に複数の装飾部材7が積層されて嵌め込まれた状態で、最上部の装飾部材7の上方から紫外線が照射されると、その照射された紫外線が複数の装飾部材7を透過して紫外線硬化樹脂13に照射されることにより、紫外線硬化樹脂13が硬化して、積層された複数の装飾部材7を嵌着凹部10内に固定し、複数の装飾部材7における円周方向のガタツキによる位置ずれを防ぐように構成されている。
【0034】
次に、このような腕時計の製造方法について説明する。
この腕時計の製造方法は、金属板9を折り曲げ加工することによって嵌着凹部10を形成して保持部材8を形成する第1の工程と、この保持部材8の嵌着凹部10に複数の装飾部材7を積層させて嵌め込んで固定することにより、装飾体5を形成する第2の工程と、この装飾体5を腕時計ケース1の装着凹部6に装着する第3の工程と、を備えている。
【0035】
すなわち、第1の工程では、図6(a)および図6(b)に示すように、予め、リング形状の金属板9における底部8aの外周部側に位置する外周側の立上り部8cに対応する箇所に固定部12の係止凸部12a(図5参照)をプレス加工によって形成する。また、これと同時に、金属板9における底部8aの内周部側と外周部側とに位置する内周側の立上り部8bと外周側の立上り部8cとに対応する各箇所に複数の切欠き部8dをそれぞれ円周方向に沿って所定の間隔で設ける。
【0036】
そして、図5および図6に示すように、金属板9の内周部と外周部とをプレス加工などの折り曲げ加工によって立ち上げることにより、金属板9の底部8aに対応する箇所の内周部と外周部とにそれぞれ立上り部8b、8cを形成する。このときには、金属板9における底部8aの内周部側と外周部側とに位置する内周側の立上り部8bと外周側の立上り部8cとに対応する各箇所にそれぞれ設けられた複数の切欠き部8dによって、金属板9の内周側の立上り部8bと外周側の立上り部8cとが容易に且つ良好に折り曲げられる。
【0037】
これにより、第1の工程では、金属板9の底部8aと金属板9の内周側の立上り部8bと金属板9の外周側の立上り部8cとによって上側に開放された嵌着凹部10が形成された保持部材8が形成される。このときには、嵌着凹部10の内面である保持部材8の外周側の立上り部8cに係止凸部12aが嵌着凹部10の内部に向けて突出して設けられる。
【0038】
そして、この第1の工程では、保持部材8の嵌着凹部10の内面に複数の装飾部材7を着色するための着色層10aを設ける。この着色層10aは、嵌着凹部10内の底面および両側面の全域に設けても良く、また嵌着凹部10内の底面および両側面における一部に設けても良い。この場合、着色層10aは、単一色であっても良く、また部分的に異なる色であっても良い。
【0039】
例えば、この着色層10aは、嵌着凹部10の内面において、12時と6時とを結ぶ線を境にして、左右方向で異なる色にしても良く、3時と9時とを結ぶ線を境にして、上下方向で異なる色にしても良く、また嵌着凹部10の内面を複数に分割し、この分割された部分を異なる色にしても良い。この場合、着色層10aは、例えば、1時から12時を表す時字に対応する箇所とそれ以外の箇所とで異なる色であっても良く、また時字ごとに異なる色であっても良い。
【0040】
第2の工程では、保持部材8の嵌着凹部10に複数の装飾部材7を嵌め込む際に、予め、最上部の装飾部材7の外周面に係合凹部12bを形成して、複数の装飾部材7を積層させる。このときには、複数の装飾部材7の上下面に設けられた各加飾層7aを位置合わせさせて、各加飾層7aによる加飾模様や加飾図形などが立体的に表現されるように複数の装飾部材7を積層させる。この状態で、積層させた複数の装飾部材7を透明または半透明などの光透過性を有する接着剤(図示せず)によって接着させて仮固定する。
【0041】
そして、積層された複数の装飾部材7を保持部材8の嵌着凹部10に嵌め込む際には、予め、嵌着凹部10の内面のほぼ全域に光透過性を有する光硬化性樹脂である紫外線硬化樹脂13を塗布する。この状態で、積層された複数の装飾部材7を保持部材8の嵌着凹部10に嵌め込む。すると、積層された複数の装飾部材7のうち、最上部の装飾部材7の外周面に設けられた係合凹部12bに保持部材8の外周側の立上り部8cに設けられた係止凸部12aが係合して、積層された複数の装飾部材7が保持部材8の嵌着凹部10内に固定される。
【0042】
このときには、嵌着凹部10の内面のほぼ全域に塗布された紫外線硬化樹脂13が硬化しおらず、流動性を有しているので、積層された複数の装飾部材7を保持部材8の嵌着凹部10内に嵌め込む際に、紫外線硬化樹脂13の影響を受けずに、円滑に且つ良好に積層された複数の装飾部材7が保持部材8の嵌着凹部10内に嵌め込まれる。
【0043】
この状態で、最上部の装飾部材7の上方から紫外線を照射すると、照射された紫外線が積層された複数の装飾部材7を透過して、嵌着凹部10の内面に塗布された紫外線硬化樹脂13に照射される。すると、照射された紫外線によって紫外線硬化樹脂13が硬化し、この硬化した紫外線硬化樹脂13によって積層された複数の装飾部材7が保持部材8の嵌着凹部10内に固定されて、複数の装飾部材7における円周方向のガタツキによる位置ずれが防げる。これにより、装飾体5が形成される。
【0044】
第3の工程では、装飾体5を腕時計ケース1の装着凹部6に装着させて固定する。このときには、予め、図4に示すように、腕時計ケース1の装着凹部6の内面における底部側に接着剤11を厚く塗布し、この状態で装飾体5の保持部材8を腕時計ケース1の装着凹部6内に嵌め込む。すると、接着剤11が、保持部材8の底部8aの下面から保持部材8の内周側の立上り部8bと保持部材8の外周側の立上り部8cとの各外面に回り込む。
【0045】
この回り込んだ接着剤11は、図3に示すように、装着凹部6内の内周面における上下方向の中間部よりも下側の箇所に設けられた接着剤溜り部6aに溜まる。これにより、保持部材8が装着凹部6内に装着されて接着剤11によって固定される。このときには、接着剤11が保持部材8の底部8aの下面から保持部材8の内周側の立上り部8bと保持部材8の外周側の立上り部8cとの各外面に回り込んでも、装着凹部6の接着剤溜り部6aに溜まるので、接着剤11が装着凹部6の上側に漏れ出すことがない。
【0046】
次に、このような腕時計の装飾体5の作用について説明する。
この装飾体5は、光透過性を有する脆性素材からなる複数の装飾部材7が保持部材8の嵌着凹部10内に積層されて配置されているので、複数の装飾部材7の各上下面に設けられた加飾層7aが上方から透けて見えることにより、立体的な加飾表現が得られる。これにより、装飾性が高められる。
【0047】
この場合には、保持部材8の嵌着凹部10の内面に着色層10aが設けられていることにより、この着色層10aによって保持部材8の嵌着凹部10内に積層された複数の装飾部材7が着色される。これによっても、装飾性が高められる。この場合、着色層10aを嵌着凹部10の内面のほぼ全体に単一色で設けて、複数の装飾部材7を単一色で着色しても良く、また着色層10aを嵌着凹部10の内面に異なる色で部分的に設けて、複数の装飾部材7を部分的に異なる色で着色しても良い。
【0048】
例えば、着色層10aを嵌着凹部10の内面において12時と6時とを結ぶ線を境にして、左右方向で異なる色にして、複数の装飾部材7を左右方向で異なる色で着色しても良く、また着色層10aを3時と9時とを結ぶ線を境にして、上下方向で異なる色にして、複数の装飾部材7を上下方向で異なる色で着色しても良い。また、着色層10aは、嵌着凹部10の内面を複数に分割し、この分割された部分を異なる色にして、複数の装飾部材7を部分的に異なる色で着色しても良い。これらによっても、装飾性が高められる。
【0049】
このように、この腕時計の装飾体5によれば、光透過性を有する脆性素材で形成された装飾部材7と、この装飾部材7が嵌め込まれて固定される嵌着凹部10を有する保持部材8と、を備え、装飾部材7は、保持部材8の嵌着凹部10内に複数積層されていることにより、装飾性の高いものを提供することができる。
【0050】
すなわち、この腕時計の装飾体5では、複数の装飾部材7が光透過性を有する脆性素材で形成されているので、複数の装飾部材7を積層させても、これら積層された複数の装飾部材7を透かして見ることができ、これにより積層された複数の装飾部材7によって立体的な装飾表現ができるので、装飾性の高いものを提供することができる。
【0051】
この場合、この腕時計の装飾体5では、複数の装飾部材7の表裏面(上下面)に加飾層7aが設けられていることにより、積層された各装飾部材7ごとに異なる加飾表現ができると共に、積層された複数の装飾部材7の全体で立体的な加飾表現ができる。これにより、複数の装飾部材7の各上下面に設けられた複数の加飾層7aによって、立体的な加飾表現ができるので、より一層、装飾性の高いものを提供することができる。
【0052】
また、この腕時計の装飾体5では、保持部材8が金属板9を折り曲げ加工することによって嵌着凹部10が形成されていることにより、金属板9の厚みを薄くして、保持部材8の肉厚を薄くすることができると共に、嵌着凹部10を容易に製作することができる。すなわち、保持部材8は、リング形状の金属板9における内周側の立上り部8bと外周側の立上り部8cとに対応する箇所に複数の切欠き部8dを円周方向に沿って所定の間隔で設けることにより、保持部材8がリング形状であっても、保持部材8の内周側と外周側との各立上り部8b、8cを折り曲げ加工によって容易に形成することができる。
【0053】
また、この腕時計の装飾体5では、嵌着凹部10の内面が着色層10aによって着色されていることにより、光透過性を有する複数の装飾部材7の全体を着色させることができ、これによっても装飾性を高めることができる。この場合、この腕時計では、着色層10aを嵌着凹部10の内面のほぼ全体に単一色で設けて、積層された複数の装飾部材7を単一色で着色させても良く、また嵌着凹部10の内面に異なる色で部分的に設けて、積層された複数の装飾部材7を部分的に異なる色で着色させても良い。
【0054】
すなわち、この腕時計の装飾体5では、例えば、着色層10aを嵌着凹部10の内面において12時と6時とを結ぶ線を境にして、左右方向で異なる色にして、積層された複数の装飾部材7を左右方向で異なる色に着色させても良く、また3時と9時とを結ぶ線を境にして、着色層10aを上下方向で異なる色にして、積層された複数の装飾部材7を上下方向で異なる色に着色させても良い。また、着色層10aは、嵌着凹部10の内面を複数に分割し、この分割された複数の部分を異なる色にして、積層された複数の装飾部材7を部分的に異なる色に着色させても良い。これらによっても、装飾性を高めることができる。
【0055】
また、この腕時計の装飾体5では、複数の装飾部材7を保持部材8の嵌着凹部10内に固定する固定部12を備えていることにより、この固定部12によって複数の装飾部材7を積層させた状態で保持部材8の嵌着凹部10内に確実に且つ良好に固定させることができる。
【0056】
すなわち、この腕時計の装飾体5では、固定部12が、嵌着凹部10の内面に設けられた係止凸部12aと、複数の装飾部材7のうち、最上部の装飾部材7の外周面に設けられて係止凸部12aが係合する係合凹部12bと、を備えていることにより、複数の装飾部材7を嵌着凹部10内に積層させて嵌め込んだ際に、嵌着凹部10の係止凸部12aを最上部の装飾部材7の係合凹部12bに係合させることができるので、積層された複数の装飾部材7を保持部材8の嵌着凹部10内に簡単に且つ確実に固定させることができる。
【0057】
さらに、この腕時計の装飾体5では、複数の装飾部材7が積層されて保持部材8の嵌着凹部10内に光硬化性樹脂である紫外線硬化樹脂13によって固定されていることにより、この紫外線硬化樹脂13によって積層された複数の装飾部材7を保持部材8の嵌着凹部10内に固定させることができるので、複数の装飾部材7における円周方向のガタツキによる位置ずれを防ぐことができる。この場合、紫外線硬化樹脂13は、透明または半透明の光透過性を有しているので、嵌着凹部10の内面に着色層10aを設けても、紫外線硬化樹脂13を通して積層された複数の装飾部材7を着色することができる。
【0058】
また、この腕時計における装飾体5の製造方法では、金属板9を折り曲げ加工することによって嵌着凹部10が形成された保持部材8を形成する第1の工程と、この保持部材8の嵌着凹部10に光透過性を有する脆性素材からなる複数の装飾部材7を積層させて嵌め込んで固定する第2の工程と、を備えていることにより、保持部材8の構造が簡単で、保持部材8を容易に製作することができると共に、複数の装飾部材7を保持部材8に簡単に且つ良好に積層させて取り付けることができる。
【0059】
この場合、第1の工程では、予め、リング形状の金属板9における底部8aの内周部側と外周部側とに位置する内周側の立上り部8b部と外周側の立上り部8cとに対応する各箇所に複数の切欠き部8dをそれぞれ円周方向に沿って所定の間隔で設け、この状態で金属板9の内周部と外周部とをプレス加工などの折り曲げ加工によって立ち上げるので、金属板9の底部8aに対応する箇所の内周部と外周部とにそれぞれ立上り部8b、8cを容易に且つ良好に形成することができる。
【0060】
すなわち、このときには、金属板9における底部8aの内周部側と外周部側とに位置する内周側の立上り部8bと外周側の立上り部8cとに対応する各箇所にそれぞれ設けられた複数の切欠き部8dによって、金属板9がリング形状の平板状であっても、このリング形状の金属板9の内周側の立上り部8bと外周側の立上り部8cとを容易に且つ良好に折り曲げることができる。これにより、金属板9の底部8aと金属板9の内周側の立上り部8bと金属板9の外周側の立上り部8cとによって上側に開放された嵌着凹部10を精度良く良好に形成することができる。
【0061】
また、第2の工程では、複数の装飾部材7の各表裏面(上下面)に設けられた各加飾層7aを位置合わせさせて、各加飾層7aによる加飾模様や加飾図形などが立体的に表現されるように、複数の装飾部材7を積層させることができ、この状態で複数の装飾部材7を透明または半透明などの光透過性を有する接着剤(図示せず)によって接着させて仮固定することができる。
【0062】
このため、この第2の工程では、積層された複数の装飾部材7を保持部材8の嵌着凹部10に嵌め込むと、積層された複数の装飾部材7のうち、最上部の装飾部材7の外周面に設けられた固定部12の係合凹部12bに保持部材8の外周部の立上り部8cに設けられた固定部12の係止凸部12aを係合させることができるので、積層された複数の装飾部材7を保持部材8の嵌着凹部10内に確実に且つ良好に固定させることができる。
【0063】
また、この腕時計における装飾体5の製造方法では、第2の工程で、嵌着凹部10の内面に光透過性を有する光硬化性樹脂である紫外線硬化樹脂13を塗布した後、嵌着凹部10内に複数の装飾部材7を積層させて嵌め込み、この状態で複数の装飾部材7を通して紫外線を紫外線硬化樹脂13に照射させて紫外線硬化樹脂13を硬化させることができるので、この硬化した紫外線硬化樹脂13によって複数の装飾部材7を嵌着凹部10内に固定させることができ、これにより複数の装飾部材7における円周方向のガタツキによる位置ずれを防ぐことができる。
【0064】
さらに、この腕時計では、保持部材8の嵌着凹部10内に複数の装飾部材7が積層されて嵌め込まれた装飾体5と、この装飾体5の保持部材8が取り付けられる取付部である装着凹部6が設けられた装身具本体である腕時計ケース1と、を備えていることにより、積層された複数の装飾部材7を保持部材8によって腕時計ケース1に簡単に且つ良好に取り付けることができる。
【0065】
なお、上述した実施形態では、積層された複数の装飾部材7を保持部材8の嵌着凹部10内に固定する固定部12が、嵌着凹部10に設けられた係止凸部12aと、最上部の装飾部材7に設けられた係合凹部12bと、を備えている場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば嵌着凹部10に係止凹部を設け、装飾部材7に係合凸部を設けた構造であっても良い。
【0066】
また、上述した実施形態では、固定部12の係止凸部12aと係合凹部12bとの係合によって、積層された複数の装飾部材7を保持部材8の嵌着凹部10内に固定させた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば図7に示す変形例のような部材固定部であるクランプ部15で、積層された複数の装飾部材7を保持部材8の嵌着凹部10内に固定させるように構成しても良い。
【0067】
すなわち、この変形例のクランプ部15は、図7に示すように、保持部材8の外周側の立上り部8bの上端部に設けられたカシメ部である。このカシメ部であるクランプ部15は、複数の装飾部材7を積層させて保持部材8の嵌着凹部10内に嵌め込んだ状態で、保持部材8の外周側の立上り部8bにおける上端部をカシメ加工することにより、複数の装飾部材7を積層させた状態で保持部材8の嵌着凹部10内に固定させるように構成されていても良い。
【0068】
また、この変形例のクランプ部15は、図7に示すように、保持部材8の外周側の立上り部8bの上端部に設けられた板ばね部である。この板ばね部であるクランプ部15は、複数の装飾部材7を積層させて保持部材8の嵌着凹部10内に嵌め込む際に、保持部材8の外周側の立上り部8bにおける上端部の板ばね部のばね力に抗して嵌め込むと、積層された複数の装飾部材7のうち、最上部の装飾部材7を板ばね部のばね力で押え付けて、積層された複数の装飾部材7を保持部材8の嵌着凹部10内に固定させるように構成されていても良い。
【0069】
また、上述した実施形態では、複数の装飾部材7を保持部材8の嵌着凹部10内に固定する光透過性を有する光硬化性樹脂として、紫外線硬化樹脂13を用いた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば光透過性を有する赤外線硬化樹脂を用いても良い。この赤外線硬化樹脂は、赤外線が照射されると、硬化するものである。
【0070】
また、上述した実施形態では、腕時計ケース1の装着凹部6内に装飾体5の保持部材8を接着剤11で接着させて固定した場合について述べたが、この発明は、これに限らず、例えば両面粘着テープで腕時計ケース1の装着凹部6内に装飾体5の保持部材8を接着させて固定させても良い。この場合には、両面粘着テープに流動性がないので、装着凹部6の内面に接着剤溜り部6aを設ける必要がない。
【0071】
さらに、上述した実施形態では、腕時計に適用した場合について述べたが、この発明は必ずしも腕時計である必要はなく、例えばブレスレット、ブローチ、ペンダント、ネックレス、イヤリングなどの装身具にも適用することができる。
【0072】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0073】
(付記)
請求項1に記載の発明は、光透過性を有する脆性素材で形成された装飾部材を備え、前記装飾部材は、複数積層されていることを特徴とする装飾体である。
【0074】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の装飾体において、前記装飾部材が固定される固定部を有する保持部材を備え、前記装飾部材は、前記保持部材の前記固定部内に複数積層されていることを特徴とする装飾体である。
【0075】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の装飾体において、前記複数の装飾部材は、表裏面に加飾が施されていることを特徴とする装飾体である。
【0076】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の装飾体において、前記保持部材は、金属板を折り曲げ加工することによって前記固定部が形成されていることを特徴とする装飾体である。
【0077】
請求項5に記載の発明は、請求項2または請求項4に記載の装飾体において、前記固定部の内面は、着色されていることを特徴とする装飾体である。
【0078】
請求項6に記載の発明は、請求項2、請求項4、請求項5のいずれかに記載の装飾体において、前記複数の装飾部材を前記保持部材の前記固定部内に固定する部材固定部を備えていることを特徴とする装飾体である。
【0079】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の装飾体において、前記部材固定部は、前記固定部の内面に設けられた係止部と、前記装飾部材の外周面に設けられて前記係止部が係合する係合部と、を備えていることを特徴とする装飾体である。
【0080】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の装飾体において、前記部材固定部は、前記固定部内に前記複数の装飾部材を固定するクランプ部であることを特徴とする装飾体である。
【0081】
請求項9に記載の発明は、請求項2、請求項4~請求項8のいずれかに記載の装飾体において、前記複数の装飾部材は、前記保持部材の前記固定部内に光透過性を有する光硬化性樹脂によって固定されていることを特徴とする装飾体である。
【0082】
請求項10に記載の発明は、請求項2、請求項4~請求項9のいずれかに記載の装飾体において、前記固定部は、前記装飾部材が嵌め込まれて固定される嵌着凹部であることを特徴とする装飾体である。
【0083】
請求項11に記載の発明は、請求項1~請求項10のいずれかに記載の装飾体において、前記装飾部材は、装身具本体に複数積層されていることを特徴とする装飾体である。
【0084】
請求項12に記載の発明は、金属板を折り曲げ加工することによって固定部が形成された保持部材を形成する第1の工程と、前記保持部材の前記固定部に光透過性を有する脆性素材からなる複数の装飾部材を積層させて固定する第2の工程と、を備えていることを特徴とする装飾体の製造方法である。
【0085】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の装飾体の製造方法において、前記第2の工程では、前記固定部の内面に光透過性を有する光硬化性樹脂を塗布した後、前記固定部内に前記複数の装着部材を積層させて嵌め込み、この状態で前記複数の装飾部材を通して光を前記光硬化性樹脂に照射させて前記光硬化性樹脂を硬化させて、前記積層された複数の装着部材を前記固定部内に固定することを特徴とする装飾体の製造方法である。
【0086】
請求項14に記載の発明は、請求項2、請求項4~請求項10のいずれかに記載された装飾体と、前記装飾体の前記保持部材が取り付けられる取付部が設けられた装身具本体と、を備えていることを特徴とする装身具である。
【0087】
請求項15に記載の発明は、請求項1~請求項11のいずれかに記載された装飾体を備えていることを特徴とする時計である。
【符号の説明】
【0088】
1 腕時計ケース
2 バンド取付部
3 スイッチ部
4 時計ガラス
5 装飾体
6 装着凹部
6a 接着剤溜り部
7 装飾部材
7a 加飾層
8 保持部材
8a 底部
8b、8c 立上り部
8d 切欠き部
9 金属板
10 嵌着凹部
10a 着色層
12 固定部
12a 係止凸部
12b 係合凹部
13 紫外線硬化樹脂
15 クランプ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7