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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147605
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】SiC半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20241008BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20241008BHJP
   H01L 29/47 20060101ALI20241008BHJP
   H01L 21/329 20060101ALI20241008BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20241008BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20241008BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20241008BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20241008BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20241008BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20241008BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20241008BHJP
   B23K 26/53 20140101ALI20241008BHJP
【FI】
H01L21/78 B
H01L21/78 L
H01L21/78 V
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/48 D
H01L29/48 E
H01L29/48 F
H01L29/48 P
H01L29/78 652D
H01L29/78 652F
H01L29/78 652H
H01L29/78 652J
H01L29/78 652K
H01L29/78 652M
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652T
H01L29/78 653C
H01L29/78 655A
H01L29/86 301D
H01L29/86 301E
H01L29/86 301F
H01L29/86 301P
H01L27/04 T
H01L21/66 Y
H01L21/302 105A
B23K26/53
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024108028
(22)【出願日】2024-07-04
(62)【分割の表示】P 2023018942の分割
【原出願日】2020-06-16
(31)【優先権主張番号】P 2019112287
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 真吾
(57)【要約】      (修正有)
【課題】モニタパターンに起因する形状不良を抑制できるSiC半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】SiC半導体装置1の製造方法は、第1ウエハ主面63を有するSiCウエハ62を用意する工程と、SiCウエハの主面に第1チップ領域71A(メインチップ領域)及び第2チップ領域(ダミーチップ領域)を含む複数のチップ領域71を区画する工程と、各チップ領域に第1主面電極32を形成する工程と、各主面電極を部分的に被覆し、各チップ領域の外周をダイシングラインとして露出させる絶縁層40を形成する工程と、ダイシングラインに沿ってレーザ光を照射し、SiCウエハの内部にダイシングラインに沿う改質領域93を形成する工程と、SiCウエハに外力を加え、改質領域を起点にSiCウエハを劈開する工程と、を含み、第1主面電極は、ダイシングラインを避けた領域に形成される。
【選択図】図10P
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiC半導体層、前記SiC半導体層の上に形成された主面電極、および、前記SiC半導体層の上において前記主面電極を部分的に被覆する絶縁層を備えたSiC半導体装置の製造方法であって、
主面を有するSiCウエハを用意する工程と、
前記SiCウエハの前記主面にメインチップ領域およびダミーチップ領域を含む複数のチップ領域を区画する工程と、
各チップ領域に主面電極を形成する工程と、
各前記主面電極を部分的に被覆し、各前記チップ領域の外周をダイシングラインとして露出させる絶縁層を形成する工程と、
前記ダイシングラインに沿ってレーザ光を照射し、前記SiCウエハの内部に前記ダイシングラインに沿う改質領域を形成する工程と、
前記SiCウエハに外力を加え、前記改質領域を起点に前記SiCウエハを劈開する工程と、を含み、
前記主面電極は、前記ダイシングラインを避けた領域に形成される、SiC半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記ダミーチップ領域において各前記チップ領域で実施される各工程の適否を評価するテスト工程をさらに含む、請求項1に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記絶縁層を形成する工程において、金属パターンが存在しない前記ダイシングストリートが露出される、請求項1または2に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記チップ領域の区画工程は、平面視において四隅にアライメントパターンがそれぞれ形成された四角形状の複数の前記チップ領域を区画する工程を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記アライメントパターンは、前記ダイシングラインにおいてレーザ光が照射される位置を避けて配置される、請求項4に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記アライメントパターンは、エッチング法によって、前記SiCウエハの前記主面を除去することによって形成される、請求項4または5に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SiC半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザ照射劈開法を用いたSiC半導体装置の製造方法が注目されている。レーザ照射劈開法では、SiCウエハにレーザ光が照射された後、レーザ光が照射された部分に沿ってSiCウエハが劈開される。この方法によれば、SiCウエハを容易に切断できるので、製造時間を短縮できる。
【0003】
一方、SiC半導体装置の製造方法では、SiCウエハの任意の領域にPCM(Process Control Monitor)と称されるモニタパターンが形成される。モニタパターンによれば、当該モニタパターンの物理的特性および電気的特性に基づいて、SiCウエハで実施される各工程の適否を間接的に評価できる。物理的特性は、たとえば、モニタパターンに形成された構造物の寸法である。電気的特性は、たとえば、モニタパターンに形成された半導体領域等の抵抗値や容量値である。
【0004】
特許文献1は、レーザ照射領域(切断予定ライン)と重なる位置に集中配置されたアクセサリパターン(モニタパターン)を備えたSiCウエハを用いたSiC半導体装置の製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-134427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に係るSiCウエハでは、モニタパターンによってレーザ光が遮蔽されるため、モニタパターンによって隠蔽された領域に改質領域が存在しない非改質部が形成される。SiCウエハの劈開工程では、モニタパターンの直下の非改質部において原子配列(SiCの結晶構造)を保持する力が働く。その結果、SiCウエハの劈開部にモニタパターンを起点とする蛇行が形成される。
【0007】
本発明の一実施形態は、モニタパターンに起因する形状不良を抑制できるSiC半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、SiC半導体層、前記SiC半導体層の上に形成された主面電極、および、前記SiC半導体層の上において前記主面電極を部分的に被覆する絶縁層を備えたSiC半導体装置の製造方法であって、主面を有するSiCウエハを用意する工程と、前記SiCウエハの前記主面にメインチップ領域およびダミーチップ領域を含む複数のチップ領域を区画する工程と、各チップ領域に主面電極を形成する工程と、各前記主面電極を部分的に被覆し、各前記チップ領域の外周をダイシングラインとして露出させる絶縁層を形成する工程と、前記ダイシングラインに沿ってレーザ光を照射し、前記SiCウエハの内部に前記ダイシングラインに沿う改質領域を形成する工程と、前記SiCウエハに外力を加え、前記改質領域を起点に前記SiCウエハを劈開する工程と、を含み、前記主面電極は、前記ダイシングラインを避けた領域に形成される、SiC半導体装置の製造方法を提供する。
【0009】
このSiC半導体装置の製造方法によれば、主面電極によるレーザ光の干渉を抑制できる。これにより、SiCウエハにおける所望の領域に改質領域を適切に形成できる。その結果、SiCウエハを適切に劈開できる。
【0010】
本発明における上述の、またはさらに他の目的、特徴および効果は、添付図面を参照して次に述べる実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、4H-SiC単結晶の単位セルを示す図である。
図2図2は、図1に示す単位セルのシリコン面を示す平面図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態に係るSiC半導体装置の斜視図である。
図4図4は、図3に示すSiC半導体装置を別の方向から見た斜視図である。
図5図5は、図3に示すSiC半導体装置の平面図である。
図6図6は、図3に示すVI-VI線に沿う断面図である。
図7図7は、図3に示す領域VIIの拡大図である。
図8図8は、図7に示すVIII-VIII線に沿う断面図である。
図9図9は、図3に示すSiC半導体装置の製造に用いられるSiCウエハを示す図である。
図10A図10Aは、SiCウエハの一部の領域を示す断面図であって、図3に示すSiC半導体装置の製造方法の一例を示している。
図10B図10Bは、図10Aの後の工程を示す断面図である。
図10C図10Cは、図10Bの後の工程を示す断面図である。
図10D図10Dは、図10Cの後の工程を示す断面図である。
図10E図10Eは、図10Dの後の工程を示す断面図である。
図10F図10Fは、図10Eの後の工程を示す断面図である。
図10G図10Gは、図10Fの後の工程を示す断面図である。
図10H図10Hは、図10Gの後の工程を示す断面図である。
図10I図10Iは、図10Hの後の工程を示す断面図である。
図10J図10Jは、図10Iの後の工程を示す断面図である。
図10K図10Kは、図10Jの後の工程を示す断面図である。
図10L図10Lは、図10Kの後の工程を示す断面図である。
図10M図10Mは、図10Lの後の工程を示す断面図である。
図10N図10Nは、図10Mの後の工程を示す断面図である。
図10O図10Oは、図10Nの後の工程を示す断面図である。
図10P図10Pは、図10Oの後の工程を示す断面図である。
図11A図11Aは、SiCウエハの一部の領域を示す平面図であって、図3に示すSiC半導体装置の製造方法の一例を示している。
図11B図11Bは、図11Aの後の工程を示す平面図である。
図11C図11Cは、図11Bの後の工程を示す平面図である。
図11D図11Dは、図11Cの後の工程を示す平面図である。
図11E図11Eは、図11Dの後の工程を示す平面図である。
図11F図11Fは、図11Eの後の工程を示す平面図である。
図11G図11Gは、図11Fの後の工程を示す平面図である。
図11H図11Hは、図11Gの後の工程を示す平面図である。
図11I図11Iは、図11Hの後の工程を示す平面図である。
図11J図11Jは、図11Iの後の工程を示す平面図である。
図11K図11Kは、図11Jの後の工程を示す平面図である。
図11L図11Lは、図11Kの後の工程を示す平面図である。
図11M図11Mは、図11Lの後の工程を示す平面図である。
図11N図11Nは、図11Mの後の工程を示す平面図である。
図11O図11Oは、図11Nの後の工程を示す平面図である。
図11P図11Pは、図11Oの後の工程を示す平面図である。
図12図12は、参考例に係るSiCウエハの劈開部を示す拡大平面図である。
図13図13は、本発明の第2実施形態に係るSiC半導体装置を示す平面図である。
図14図14は、図13示す領域XIVの内部構造を示す拡大平面図である。
図15図15は、図14に示すXV-XV線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、4H-SiC単結晶の単位セル(以下、単に「単位セル」という。)を示す図である。図2は、図1に示す単位セルのシリコン面を示す平面図である。
【0013】
本発明の実施形態では、六方晶からなるSiC単結晶の一例として4H-SiC単結晶が適用された例について説明する。六方晶からなるSiC単結晶は、原子配列の周期に応じて、2H(Hexagonal)-SiC単結晶、4H-SiC単結晶および6H-SiC単結晶を含む複数種のポリタイプを有している。本発明の実施形態は、4H-SiC単結晶以外のポリタイプを除外するものではない。
【0014】
図1および図2を参照して、単位セルは、1つのSi原子に対して4つのC原子が四面体配列の関係で結合された四面体構造を含む。単位セルは、四面体構造が4層周期で積層された原子配列を有している。単位セルは、六角形のシリコン面、六角形のカーボン面、ならびに、シリコン面およびカーボン面を接続する6つの側面を有する六角柱構造を有している。
【0015】
シリコン面は、Si原子によって終端された終端面である。シリコン面では、六角形の6つの頂点に1つのSi原子がそれぞれ位置し、六角形の中心に1つのSi原子が位置している。カーボン面は、C原子によって終端された終端面である。カーボン面では、六角形の6つの頂点に1つのC原子がそれぞれ位置し、六角形の中心に1つのC原子が位置している。
【0016】
単位セルの結晶面は、a1軸、a2軸、a3軸およびc軸を含む4つの座標軸(a1、a2、a3、c)によって定義される。4つの座標軸のうちのa3の値は、-(a1+a2)の値をとる。以下、シリコン面を基準に、4H-SiC単結晶の構造を説明する。
【0017】
a1軸、a2軸およびa3軸は、シリコン面をc軸から見た平面視において、中心に位置するSi原子を基準に、最近接するSi原子の配列方向(以下、単に「最近接原子方向」という。)に沿ってそれぞれ設定されている。a1軸、a2軸およびa3軸は、それぞれ、Si原子の配列に倣って120°ずつ角度をずらして設定されている。
【0018】
c軸は、中心に位置するSi原子を基準に、シリコン面の法線方向に設定されている。シリコン面は、(0001)面である。カーボン面は、(000-1)面である。六角柱の側面は、シリコン面をc軸から見た平面視において、最近接原子方向に沿う6つの結晶面を含む。六角柱の側面は、具体的には、最近接する複数のSi原子をそれぞれ有する6つの結晶面を含む。
【0019】
単位セルの側面は、シリコン面をc軸から見た平面視において、a1軸の先端から時計回りに(1-100)面、(0-110)面、(-1010)面、(-1100)面、(01-10)面および(10-10)面を含む。
【0020】
単位セルにおいて中心を通過しない対角面は、シリコン面をc軸から見た平面視において最近接原子方向の交差方向に沿う6つの結晶面を含む。中心に位置するSi原子を基準に見たとき、最近接原子方向の交差方向は、最近接原子方向の直交方向となる。六角柱において中心を通過しない対角面は、具体的には、最近接しない複数のSi原子をそれぞれ有する6つの結晶面を含む。
【0021】
単位セルにおいて中心を通らない対角面は、シリコン面をc軸から見た平面視において、(11-20)面、(1-210)面、(-2110)面、(-1-120)面、(-12-10)面および(2-1-10)面を含む。
【0022】
単位セルの結晶方向は、結晶面の法線方向によって定義される。(1-100)面の法線方向は[1-100]方向である。(0-110)面の法線方向は[0-110]方向である。(-1010)面の法線方向は[-1010]方向である。(-1100)面の法線方向は[-1100]方向である。(01-10)面の法線方向は[01-10]方向である。(10-10)面の法線方向は[10-10]方向である。
【0023】
(11-20)面の法線方向は[11-20]方向である。(1-210)面の法線方向は[1-210]方向である。(-2110)面の法線方向は[-2110]方向である。(-1-120)面の法線方向は[-1-120]方向である。(-12-10)面の法線方向は[-12-10]方向である。(2-1-10)面の法線方向は[2-1-10]方向である。
【0024】
六方晶は6回対称であり、60°毎に等価な結晶面および等価な結晶方向を有している。たとえば、(1-100)面、(0-110)面、(-1010)面、(-1100)面、(01-10)面および(10-10)面は、等価な結晶面を形成している。また、(11-20)面、(1-210)面、(-2110)面、(-1-120)面、(-12-10)面および(2-1-10)面は、等価な結晶面を形成している。
【0025】
また、[1-100]方向、[0-110]方向、[-1010]方向、[-1100]方向、[01-10]方向および[10-10]方向は、等価な結晶方向を形成している。また、[11-20]方向、[1-210]方向、[-2110]方向、[-1-120]方向、[-12-10]方向および[2-1-10]方向は、等価な結晶方向を形成している。
【0026】
[0001]方向および[000-1]方向は、c軸と称される。(0001)面および(000-1)面は、c面と称される。[11-20]方向および[-1-120]方向は、a軸と称される。(11-20)面および(-1-120)面は、a面と称される。[1-100]方向および[-1100]方向は、m軸と称される。(1-100)面および(-1100)面は、m面と称される。
【0027】
図3は、本発明の第1実施形態に係るSiC半導体装置1の斜視図である。図4は、図3に示すSiC半導体装置1を別の方向から見た斜視図である。図5は、図3に示すSiC半導体装置1の平面図である。図6は、図3に示すVI-VI線に沿う断面図である。図7は、図3に示す領域VIIの拡大図である。図8は、図7に示すVIII-VIII線に沿う断面図である。
【0028】
図3図8を参照して、SiC半導体装置1は、4H-SiC単結晶からなるSiCチップ2を含む。SiCチップ2は、直方体形状に形成されている。SiCチップ2は、40μm以上300μm以下の厚さTCを有していてもよい。厚さTCは、40μm以上100μm以下、100μm以上150μm以下、150μm以上200μm以下、200μm以上250μm以下、または、250μm以上300μm以下であってもよい。厚さTCは、60μm以上150μm以下であることが好ましい。
【0029】
SiCチップ2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、ならびに、第1主面3および第2主面4を接続する4つの側面5A、5B、5C、5Dを有している。側面5A~5Dは、第1側面5A、第2側面5B、第3側面5Cおよび第4側面5Dを含む。第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状にそれぞれ形成されている。第1主面3および第2主面4は、平面視において長方形状に形成されていてもよい。
【0030】
第1主面3および第2主面4は、SiC単結晶のc面に面している。第1主面3は、SiC単結晶のシリコン面に面している。第2主面4は、SiC単結晶のカーボン面に面している。第1主面3および第2主面4は、c面に対してオフ方向に所定の角度で傾斜したオフ角を有していてもよい。オフ方向は、SiC単結晶のa軸方向であることが好ましい。オフ角を有する場合、SiC単結晶のc軸は、法線方向Zに対してオフ角分だけ傾斜する。オフ角は、0°を超えて10°以下であってもよい。
【0031】
オフ角は、0°以上6°以下であってもよい。オフ角は、0°以上2°以下、2°以上4°以下、または、4°以上6°以下であってもよい。オフ角は、0°を超えて4.5°以下であることが好ましい。オフ角は、3°以上4.5°以下であってもよい。この場合、オフ角は、3°以上3.5°以下、または、3.5°以上4°以下であることが好ましい。オフ角は、1.5°以上3°以下であってもよい。この場合、オフ角は、1.5°以上2°以下、または、2°以上2.5°以下であることが好ましい。
【0032】
第2主面4は、研削痕およびアニール痕(具体的にはレーザ照射痕)のいずれか一方または双方を有する粗面からなっていてもよい。アニール痕は、非晶質化したSiC、および/または、金属とシリサイド化(合金化)したSiC(具体的にはSi)を含んでいてもよい。第2主面4は、少なくともアニール痕を有するオーミック面からなることが好ましい。
【0033】
側面5A~5Dは、劈開面からそれぞれなる。第1側面5Aおよび第2側面5Bは、第1方向Xに延び、第1方向Xに交差する第2方向Yに対向している。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、第2方向Yに延び、第1方向Xに対向している。第2方向Yは、具体的には、第1方向Xに直交している。第1方向Xは、m軸方向である。第2方向Yは、a軸方向である。したがって、第1側面5Aおよび第2側面5Bは、SiC単結晶のa面によって形成されている。また、第3側面5Cおよび第4側面5Dは、SiC単結晶のm面によって形成されている。
【0034】
第1側面5Aおよび第2側面5Bは、法線方向Zを基準にしたとき、法線方向Zに対してSiC単結晶のc軸方向に向けて傾斜した傾斜面を形成していてもよい。第1側面5Aおよび第2側面5Bは、法線方向Zを0°としたとき、法線方向Zに対してオフ角に応じた角度で傾斜していてもよい。オフ角に応じた角度は、オフ角と等しくてもよいし、0°を超えてオフ角未満の角度であってもよい。一方、第3側面5Cおよび第4側面5Dは、第2方向Y(a軸方向)および法線方向Zに平面的に延びている。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、具体的には、第1主面3および第2主面4に対して略垂直に形成されている。
【0035】
各側面5A~5Dの長さは、0.1mm以上15mm以下であってもよい。各側面5A~5Dの長さは、0.1mm以上1mm以下、1mm以上5mm以下、5mm以上10mm以下、または、10mm以上15mm以下であってもよい。各側面5A~5Dの最大蛇行幅(絶対値)は、10μm以下である。各側面5A~5Dの最大蛇行幅は、具体的には、5μm以下である。各側面5A~5Dの最大蛇行幅は、平面視において、各側面5A~5Dの法線方向に関して、SiCチップ2の外側に向けて最も隆起した箇所およびSiCチップ2の内側に向けて最も窪んだ箇所の間の距離で定義される。
【0036】
SiCチップ2は、この形態では、第2主面4側から第1主面3側にこの順に形成されたn+型のSiC基板6およびn型のSiCエピタキシャル層7を含む積層構造を有している。SiC基板6は、第2主面4および側面5A~5Dの一部を形成している。SiCエピタキシャル層7は、第1主面3および側面5A~5Dの一部を形成している。
【0037】
SiC基板6のn型不純物濃度は、1.0×1018cm-3以上1.0×1021cm-3以下であってもよい。SiC基板6は、40μm以上250μm以下の厚さを有していてもよい。SiC基板6の厚さは、40μm以上100μm以下、100μm以上150μm以下、150μm以上200μm以下、または、200μm以上250μm以下であってもよい。SiC基板6の厚さは、40μm以上150μm以下であることが好ましい。SiC基板6を薄化することにより、SiC基板6の抵抗値を低減できる。
【0038】
SiCエピタキシャル層7は、SiC基板6のn型不純物濃度未満のn型不純物濃度を有している。SiCエピタキシャル層7のn型不純物濃度は、1.0×1015cm-3以上1.0×1018cm-3以下であってもよい。SiCエピタキシャル層7は、SiC基板6の厚さ未満の厚さを有していてもよい。SiCエピタキシャル層7の厚さは、1μm以上50μm以下であってもよい。SiCエピタキシャル層7の厚さは、1μm以上5μm以下、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、15μm以上20μm以下、20μm以上30μm以下、30μm以上40μm以下、または、40μm以上50μm以下であってもよい。SiCエピタキシャル層7の厚さは、5μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0039】
図3および図4を参照して、SiC半導体装置1は、側面5A~5Dにそれぞれ形成された複数の改質領域8A、8B、8C、8Dを含む。複数の改質領域8A~8Dは、第1改質領域8A、第2改質領域8B、第3改質領域8Cおよび第4改質領域8Dを含む。
【0040】
改質領域8A~8Dは、SiC単結晶において側面5A~5Dを形成する部分がSiC単結晶とは異なる性質に改質された領域である。改質領域8A~8Dは、密度、屈折率もしくは機械的強度(結晶強度)、または、その他の物理的特性がSiC単結晶とは異なる性質に改質された領域である。
【0041】
改質領域8A~8Dは、溶融再硬化層、欠陥層、絶縁破壊層および屈折率変化層のうちの少なくとも1つの層を含んでいてもよい。溶融再硬化層は、SiC単結晶の一部が溶融した後再度硬化した層である。欠陥層は、SiC単結晶に形成された空孔や亀裂等を含む層である。絶縁破壊層は、SiC単結晶の一部が絶縁破壊した層である。屈折率変化層は、SiC単結晶の一部がSiC単結晶とは異なる屈折率に変化した層である。
【0042】
複数の改質領域8A~8Dは、第1主面3から第2主面4側に間隔を空けて側面5A~5Dにそれぞれ形成されている。複数の改質領域8A~8Dは、第2主面4から第1主面3側に間隔を空けて側面5A~5Dにそれぞれ形成されている。
【0043】
複数の改質領域8A~8Dは、SiC基板6に形成されていることが好ましい。複数の改質領域8A~8Dは、SiCエピタキシャル層7から第2主面4側に間隔を空けてSiC基板6に形成されていることがさらに好ましい。これにより、複数の改質領域8A~8Dに起因するSiCエピタキシャル層7の物理的性質および電気的性質の変動を抑制できる。つまり、SiCエピタキシャル層7に機能デバイスを適切に形成できる。
【0044】
第1~第4改質領域8A~8Dは、この形態では、側面5A~5Dに複数段(この形態では4段)ずつ形成されている。第1~第4改質領域8A~8Dの段数は、法線方向Zに関して側面5A~5Dに存する第1~第4改質領域8A~8Dの本数である。
【0045】
第1~第4改質領域8A~8Dの段数は、SiCチップ2の厚さTCに応じて調整される。とりわけ、150μm以下の厚さTCを有するSiCチップ2によれば、SiCチップ2の劈開厚を低減できるため、第1~第4改質領域8A~8Dの段数を少なくできる。この場合、工数を削減できるから、生産性を向上させることができる。SiCチップ2の厚さTCを小さくすることは、SiCチップ2の抵抗値を低減する上でも有効である。
【0046】
複数の第1改質領域8Aは、第1側面5Aにおいて、法線方向Zに間隔を空けて形成され、第1方向X(m軸方向)に延びる帯状にそれぞれ形成されている。複数の第1改質領域8Aは、第3側面5C側の角部から第4側面5D側の角部までそれぞれ延びている。
【0047】
各第1改質領域8Aは、複数の第1改質部分9Aを含む。各第1改質部分9Aは、レーザ光の照射によって形成されたレーザ照射痕である。複数の第1改質部分9Aは、法線方向Zに延びるライン状にそれぞれ形成され、第1方向X(m軸方向)に間隔を空けて形成されている。複数の第1改質部分9Aは、点状にそれぞれ形成されていてもよい。複数の第1改質部分9Aを第1方向X(m軸方向)に結ぶ帯状の領域によって1つの第1改質領域8Aが形成されている。複数の第1改質部分9Aは、この形態では、第1方向X(m軸方向)および法線方向Zに間隔を空けて行列状に形成され、第1方向X(m軸方向)および法線方向Zに互いに対向している。
【0048】
複数の第2改質領域8Bは、第2側面5Bにおいて、法線方向Zに間隔を空けて形成され、第1方向X(m軸方向)に延びる帯状にそれぞれ形成されている。複数の第2改質領域8Bは、第3側面5C側の角部から第4側面5D側の角部までそれぞれ延びている。
【0049】
各第2改質領域8Bは、複数の第2改質部分9Bを含む。各第2改質部分9Bは、レーザ光の照射によって形成されたレーザ照射痕である。複数の第2改質部分9Bは、法線方向Zに延びるライン状にそれぞれ形成され、第1方向X(m軸方向)に間隔を空けて形成されている。複数の第2改質部分9Bは、点状にそれぞれ形成されていてもよい。複数の第2改質部分9Bを第1方向X(m軸方向)に結ぶ帯状の領域によって1つの第2改質領域8Bが形成されている。複数の第2改質部分9Bは、この形態では、第1方向X(m軸方向)および法線方向Zに間隔を空けて行列状に形成され、第1方向X(m軸方向)および法線方向Zに互いに対向している。
【0050】
複数の第3改質領域8Cは、第3側面5Cにおいて、法線方向Zに間隔を空けて形成され、第2方向Y(a軸方向)に延びる帯状にそれぞれ形成されている。複数の第3改質領域8Cは、第1側面5A側の角部から第2側面5B側の角部までそれぞれ延びている。
【0051】
各第3改質領域8Cは、第1側面5Aおよび第3側面5Cを接続する角部において、各第1改質領域8Aに連なっていてもよい。各第3改質領域8Cは、第1側面5Aおよび第3側面5Cを接続する角部において、各第1改質領域8Aから間隔を空けて形成されていてもよい。各第3改質領域8Cは、第2側面5Bおよび第3側面5Cを接続する角部において、各第2改質領域8Bに連なっていてもよい。各第3改質領域8Cは、第2側面5Bおよび第3側面5Cを接続する角部において、各第2改質領域8Bから間隔を空けて形成されていてもよい。
【0052】
各第3改質領域8Cは、複数の第3改質部分9Cを含む。各第3改質部分9Cは、レーザ光の照射によって形成されたレーザ照射痕である。複数の第3改質部分9Cは、法線方向Zに延びるライン状にそれぞれ形成され、第2方向Y(a軸方向)に間隔を空けて形成されている。複数の第3改質部分9Cは、点状にそれぞれ形成されていてもよい。複数の第3改質部分9Cを第2方向Y(a軸方向)に結ぶ帯状の領域によって1つの第3改質領域8Cが形成されている。複数の第3改質部分9Cは、この形態では、第2方向Y(a軸方向)および法線方向Zに間隔を空けて行列状に形成され、第2方向Y(a軸方向)および法線方向Zに互いに対向している。
【0053】
複数の第4改質領域8Dは、第4側面5Dにおいて、法線方向Zに間隔を空けて形成され、第2方向Y(a軸方向)に延びる帯状にそれぞれ形成されている。複数の第4改質領域8Dは、第1側面5A側の角部から第2側面5B側の角部までそれぞれ延びている。
【0054】
各第4改質領域8Dは、第1側面5Aおよび第4側面5Dを接続する角部において、各第1改質領域8Aに連なっていてもよい。各第4改質領域8Dは、第1側面5Aおよび第4側面5Dを接続する角部において、各第1改質領域8Aから間隔を空けて形成されていてもよい。各第4改質領域8Dは、第2側面5Bおよび第4側面5Dを接続する角部において、各第2改質領域8Bに連なっていてもよい。各第4改質領域8Dは、第2側面5Bおよび第4側面5Dを接続する角部において、各第2改質領域8Bから間隔を空けて形成されていてもよい。
【0055】
各第4改質領域8Dは、複数の第4改質部分9Dを含む。各第4改質部分9Dは、レーザ光の照射によって形成されたレーザ照射痕である。複数の第4改質部分9Dは、法線方向Zに延びるライン状にそれぞれ形成され、第2方向Y(a軸方向)に間隔を空けて形成されている。複数の第4改質部分9Dは、点状にそれぞれ形成されていてもよい。複数の第4改質部分9Dを第2方向Y(a軸方向)に結ぶ帯状の領域によって1つの第4改質領域8Dが形成されている。複数の第4改質部分9Dは、この形態では、第2方向Y(a軸方向)および法線方向Zに間隔を空けて行列状に形成され、第2方向Y(a軸方向)および法線方向Zに互いに対向している。
【0056】
第1~第4改質領域8A~8Dは、互いに等しい深さ位置に形成されていてもよいし、互いに異なる深さ位置に形成されていてもよい。第1~第4改質領域8A~8Dは、SiCチップ2の角部で連なることにより、側面5A~5Dを連続的に延びる1つのリング状に形成されていてもよい。
【0057】
側面5A~5Dの改質割合は、必ずしも一致している必要はない。側面5A~5Dの改質割合は、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。側面5A~5Dの改質割合は、第1~第4改質領域8A~8D(第1~第4改質部分9A~9D)の総数や総面積等によって調整できる。
【0058】
SiC単結晶のm面からなる第3側面5C(第4側面5D)は、Siの最近接原子方向に沿って延びていることから、SiC単結晶のa面からなる第1側面5A(第2側面5B)よりも劈開しやすい性質を有している。したがって、第3側面5C(第4側面5D)の改質割合は、第1側面5A(第2側面5B)の改質割合未満であってもよい。
【0059】
第3側面5C(第4側面5D)において隣り合う複数の第3改質領域8C(第4改質領域8D)の間隔は、第1側面5A(第2側面5B)において隣り合う複数の第1改質領域8A(第2改質領域8B)の間隔未満であってもよい。第3側面5C(第4側面5D)の第3改質領域8C(第4改質領域8D)の段数は、第1側面5A(第2側面5B)の第1改質領域8A(第2改質領域8B)の段数未満であってもよい。第3側面5C(第4側面5D)の第3改質領域8C(第4改質領域8D)の厚さ(幅)は、第1側面5A(第2側面5B)の第1改質領域8A(第2改質領域8B)の厚さ(幅)よりも小さくてもよい。
【0060】
SiCチップ2は、アクティブ領域10および外側領域11を含む。アクティブ領域10は、機能デバイスの一例としてのSBD(Schottky Barrier Diode)12を含む領域である。アクティブ領域10は、平面視において側面5A~5Dから内方に間隔を空けてSiCチップ2の中央部に形成されている。アクティブ領域10は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に形成されている。
【0061】
外側領域11は、アクティブ領域10の外側の領域である。外側領域11は、側面5A~5Dおよびアクティブ領域10の間の領域に形成されている。外側領域11は、平面視においてアクティブ領域10を取り囲む環状(具体的には無端状)に形成されている。
【0062】
図6を参照して、SiC半導体装置1は、アクティブ領域10において第1主面3の表層部に形成されたn型のダイオード領域13を含む。ダイオード領域13は、第1主面3の中央部に形成されている。ダイオード領域13の平面形状は任意である。ダイオード領域13は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に形成されていてもよい。
【0063】
ダイオード領域13は、この形態では、SiCエピタキシャル層7の一部を利用して形成されている。ダイオード領域13のn型不純物濃度は、SiCエピタキシャル層7のn型不純物濃度と等しい。ダイオード領域13のn型不純物濃度は、SiCエピタキシャル層7のn型不純物濃度を超えていてもよい。この場合、ダイオード領域13は、SiCエピタキシャル層7の表層部に対するn型不純物の導入によって形成される。
【0064】
外側領域11において第1主面3の表層部には、p型不純物を含むガード領域14が形成されている。ガード領域14のp型不純物は、活性化されていなくてもよいし、活性化されていてもよい。ガード領域14は、平面視においてダイオード領域13に沿って延びる帯状に形成されている。ガード領域14は、具体的には、平面視においてダイオード領域13を取り囲む環状(具体的には無端状)に形成されている。これにより、ガード領域14は、ガードリング領域として形成されている。
【0065】
アクティブ領域10(ダイオード領域13)は、ガード領域14によって画定されている。アクティブ領域10(ダイオード領域13)の平面形状は、ガード領域14の平面形状によって調整される。ガード領域14は、平面視において多角環状や円環状に形成されていてもよい。
【0066】
図5図7および図8を参照して、SiC半導体装置1は、平面視において側面5A~5Dから内方に間隔を空けて第1主面3の周縁部に形成されたアクセサリパターンとしての複数のアライメントパターン20を含む。アクセサリパターンとは、機能デバイス(この形態ではSBD12)から電気的に独立して存在し、SiC半導体装置1の電気的特性に寄与しない金属材料(金属パターン)および/または絶縁材料(絶縁パターン)を含む装飾構造のことを意味する。
【0067】
複数のアライメントパターン20は、外側領域11の第1主面3にそれぞれ形成されている。複数のアライメントパターン20は、平面視において第1主面3の四隅に1つずつ形成されている。複数のアライメントパターン20は、第1主面3の四隅において第1主面3の対角線上にそれぞれ形成されている。複数のアライメントパターン20は、第1主面3の四隅以外の領域には形成されていない。
【0068】
各アライメントパターン20は、平面視において円形状以外の形状に形成されている。各アライメントパターン20は、異なる方向にそれぞれ延びる第1部分21および第2部分22を含む。各アライメントパターン20は、この形態では、第1部分21および第2部分22を含むL字形状に形成されている。第1部分21は、SiC単結晶のm軸方向に沿って延びている。第2部分22は、SiC単結晶のa軸方向に沿って延びている。各アライメントパターン20は、SiC単結晶の結晶方位を示すオリエンテーションマークでもある。
【0069】
各アライメントパターン20の内側コーナ部23は、平面視においてアクティブ領域10に対向している。各アライメントパターン20の外側コーナ部24は、平面視において第1主面3の角部に対向している。各アライメントパターン20は、平面視において第1主面3の角部との間でL字路25を区画している。
【0070】
複数のアライメントパターン20は、第1部分21が同一直線上に位置し、第2部分22が同一直線上に位置するように、第1主面3の四隅にそれぞれ形成されている。外側領域11において複数のアライメントパターン20の第1部分21の延長線上には、当該複数のアライメントパターン20以外のアクセサリパターンは形成されていない。外側領域11において複数のアライメントパターン20の第2部分22の延長線上には、当該複数のアライメントパターン20以外のアクセサリパターンは形成されていない。
【0071】
各アライメントパターン20は、金属材料以外の材料によって形成されている。各アライメントパターン20は、具体的には、アライメントトレンチ26および絶縁体27を含むアライメントトレンチ構造を有している。アライメントトレンチ26は、第1主面3を第2主面4に向けて掘り下げることによって形成されている。アライメントトレンチ26は、側壁および底壁を有している。アライメントトレンチ26の側壁および底壁は、SiCエピタキシャル層7内に位置している。
【0072】
アライメントトレンチ26の側壁は、法線方向Zに延びていてもよい。SiCエピタキシャル層7内においてアライメントトレンチ26の側壁が第1主面3に対して成す角度は、90°以上95°以下(たとえば91°以上93°以下)であってもよい。アライメントトレンチ26の側壁は、第1主面3に対してほぼ垂直に形成されていてもよい。アライメントトレンチ26は、第1主面3から底壁に向けて開口幅が狭まる先細り形状に形成されていてもよい。
【0073】
アライメントトレンチ26の底壁は、SiC単結晶のc面に面している。アライメントトレンチ26の底壁は、SiC単結晶のc面に対してa軸方向に傾斜したオフ角を有している。アライメントトレンチ26の底壁は、第1主面3に対して平行に形成されていてもよい。アライメントトレンチ26の底壁は、第2主面4に向かう湾曲状に形成されていてもよい。
【0074】
アライメントトレンチ26の深さDTは、0.01μm以上10μm以下であってもよい。深さDTは、0.01μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。
【0075】
アライメントトレンチ26の幅WTは、1μm以上100μm以下であってもよい。幅WTは、アライメントトレンチ26が延びる方向に直交する方向の幅である。幅WTは、1μm以上20μm以下、20μm以上40μm以下、40μm以上60μm以下、60μm以上80μm以下、または、80μm以上100μm以下であってもよい。
【0076】
L字路25の幅WLは、0μmを超えて200μm以下であってもよい。幅WLは、L字路25が延びる方向に直交する方向の幅である。幅WLは、0μmを超えて10μm以下、10μm以上20μm以下、20μm以上50μm以下、50μm以上100μm以下、100μm以上150μm以下、または、150μm以上200μm以下であってもよい。
【0077】
絶縁体27は、アライメントトレンチ26に一体物として埋設されている。絶縁体27は、透明な絶縁材料からなる。絶縁体27は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タンタルのうちの少なくとも1つを含む。絶縁体27は、この形態では、酸化シリコンからなる。
【0078】
SiC半導体装置1は、第1主面3の上に形成された層間絶縁層30を含む。層間絶縁層30は、透明な絶縁材料からなる。層間絶縁層30は、酸化シリコン層および窒化シリコン層を含む積層構造を有していてもよい。層間絶縁層30は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる単層構造を有していてもよい。層間絶縁層30は、この形態では、酸化シリコン層からなる。
【0079】
層間絶縁層30は、アクティブ領域10においてダイオード領域13を露出させるコンタクト開口31を含む。コンタクト開口31は、ガード領域14の内周縁も露出させている。コンタクト開口31の平面形状は任意である。コンタクト開口31は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に形成されていてもよい。
【0080】
層間絶縁層30は、外側領域11においてアライメントパターン20を被覆している。層間絶縁層30の周縁は、側面5A~5Dから露出している。層間絶縁層30の周縁は、この形態では、側面5A~5Dに連なっている。層間絶縁層30の周縁は、側面5A~5Dから内方に間隔を空けて形成されていてもよい。この場合、層間絶縁層30の周縁は、第1主面3においてアライメントパターン20を露出させていてもよい。
【0081】
層間絶縁層30の厚さは、0.1μm以上10μm以下であってもよい。層間絶縁層30の厚さは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。層間絶縁層30の厚さは、0.5μm以上5μm以下であることが好ましい。
【0082】
SiC半導体装置1は、第1主面3の上に形成された第1主面電極32を含む。第1主面電極32は、コンタクト開口31内においてダイオード領域13およびガード領域14に接続されている。第1主面電極32は、コンタクト開口31から層間絶縁層30の上に引き出されている。
【0083】
第1主面電極32の周縁は、側面5A~5Dから内方に間隔を空けて層間絶縁層30の上に形成されている。第1主面電極32の周縁は、平面視においてアライメントパターン20を露出させている。第1主面電極32の周縁は、この形態では、層間絶縁層30を介してアライメントパターン20を露出させている。
【0084】
第1主面電極32は、第1主面3側からこの順に積層されたバリア層33および本体層34を含む積層構造を有している。バリア層33は、第1主面3および層間絶縁層30に沿って膜状に形成されている。バリア層33は、ダイオード領域13との間でショットキー接合を形成する。これにより、第1主面電極32をアノードとし、ダイオード領域13をカソードとするSBD12が形成されている。つまり、第1主面電極32は、SBD12のアノード電極である。
【0085】
バリア層33は、Ti層、Pd層、Cr層、V層、Mo層、W層、Pt層およびNi層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。バリア層33の厚さは、0.01μm以上5μm以下であってもよい。バリア層33の厚さは、0.01μm以上0.1μm以下、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。
【0086】
本体層34は、バリア層33の上に形成されている。本体層34は、バリア層33に沿って膜状に形成されている。本体層34は、バリア層33の主面の全域を被覆している。第1主面電極32の周縁は、バリア層33および本体層34によって形成されている。本体層34は、純Al層(純度が99%以上のAlからなるAl層の事をいう。)、AlSi合金層、AlCu合金層およびAlSiCu合金層のうちの少なくとも1つを含む。
【0087】
本体層34の厚さは、バリア層33の厚さを超えている。本体層34の厚さは、0.05μm以上10μm以下であってもよい。本体層34の厚さは、0.05μm以上0.1μm以下、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。本体層34の厚さは、1μm以上8μm以下であることが好ましい。
【0088】
SiC半導体装置1は、第1主面3の上において第1主面電極32を被覆する絶縁層40を含む。図5では、絶縁層40がハッチングによって示されている。絶縁層40は、具体的には、層間絶縁層30の上に形成されている。
【0089】
絶縁層40は、第1主面電極32を露出させるパッド開口41を有している。パッド開口41は、この形態では、平面視においてコンタクト開口31によって取り囲まれた領域内において第1主面電極32を露出させている。パッド開口41は、平面視においてコンタクト開口31外の領域でコンタクト開口31を取り囲んでいてもよい。パッド開口41の平面形状は任意である。パッド開口41は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に形成されていてもよい。
【0090】
パッド開口41の内壁は、絶縁層40の主面から層間絶縁層30に向けて下り傾斜した傾斜面42を有している。傾斜面42は、第1主面3側に向けて窪んだ湾曲状に形成されていてもよい。
【0091】
傾斜面42の角度θ1は、30°以上60°以下であってもよい。角度θ1は、傾斜面42の始点および終点を結ぶ直線が第1主面3との間で成す鋭角である。角度θ1は、30°以上35°以下、35°以上40°以下、40°以上45°以下、45°以上50°以下、50°以上55°以下、または、55°以上60°以下であってもよい。角度θ1は、40°以上50°以下であることが好ましい。
【0092】
絶縁層40の周縁は、側面5A~5Dから内方に間隔を空けて形成されている。絶縁層40の周縁は、平面視においてアライメントパターン20を露出させている。絶縁層40は、この形態では、平面視において層間絶縁層30を介してアライメントパターン20を露出させている。
【0093】
絶縁層40の周縁は、側面5A~5Dとの間でダイシングストリート43を区画している。各アライメントパターン20の第1部分21および第2部分22は、ダイシングストリート43が延びる方向を示すストリートマークでもある。ダイシングストリート43から露出する部分には、アライメントパターン20以外のアクセサリパターンは形成されていない。つまり、層間絶縁層30の上においてダイシングストリート43から露出する部分にはアクセサリパターンは形成されていない。
【0094】
ダイシングストリート43の幅WDは、1μm以上50μm以下であってもよい。幅WDは、ダイシングストリート43が延びる方向に直交する方向の幅である。幅WDは、1μm以上10μm以下、10μm以上20μm以下、20μm以上30μm以下、30μm以上40μm以下、または、40μm以上50μm以下であってもよい。
【0095】
幅WDは、SiCチップ2の厚さTCの5%以上25%以下であることが好ましい。幅WDは、厚さTCの5%以上7.5%以下、7.5%以上10%以下、10%以上12.5%以下、12.5%以上15%以下、15%以上17.5%以下、17.5%以上20%以下、20%以上22.5%以下、または、22.5%以上25%以下であってもよい。幅WDは、厚さTCの5%以上15%以下であることが好ましい。
【0096】
絶縁層40の周縁は、絶縁層40の主面から層間絶縁層30に向けて下り傾斜した傾斜面44を有している。傾斜面44は、第1主面3側に向けて窪んだ湾曲状に形成されていてもよい。
【0097】
傾斜面44の角度θ2は、30°以上60°以下であってもよい。角度θ2は、傾斜面44の始点および終点を結ぶ直線が第1主面3との間で成す鋭角である。角度θ2は、30°以上35°以下、35°以上40°以下、40°以上45°以下、45°以上50°以下、50°以上55°以下、または、55°以上60°以下であってもよい。角度θ2は、40°以上50°以下であることが好ましい。
【0098】
傾斜面44の角度θ2は、傾斜面42の角度θ1を超えていてもよいし、傾斜面42の角度θ1未満であってもよい。傾斜面44の角度θ2は、傾斜面42の角度θ1と等しくてもよい。角度θ2が角度θ1と等しいとは、角度θ2が角度θ1の±1°の範囲内に位置することを意味する。
【0099】
傾斜面44を有する絶縁層40によれば、SiCチップ2(具体的には、後述するSiCウエハ62)の内部にレーザ光を照射する際に、絶縁層40によるレーザ光の干渉を抑制できる。特に、角度θ2を30°以上60°にすることにより、絶縁層40によるレーザ光の干渉を適切に抑制できる。これにより、絶縁層40および空気の屈折率の差に起因するレーザ光の不所望な屈折を抑制し、SiCチップ2(SiCウエハ62)における適切な領域にレーザ光を集光させることができる。その結果、側面5A~5Dに適切に形成された第1~第4改質領域8A~8Dを有するSiCチップ2を形成できる。
【0100】
a軸方向に延びるダイシングストリート43の幅WDは、m軸方向に延びるダイシングストリート43の幅WDと等しくてもよいし、異なっていてもよい。たとえば、a軸方向に延びるダイシングストリート43の幅WDは、m軸方向に延びるダイシングストリート43の幅WD未満であってもよい。この場合、a軸方向に延びる第3側面5C(第4側面5D)の改質割合は、m軸方向に延びる第1側面5A(第2側面5B)の改質割合未満であってもよい。
【0101】
第1~第4改質領域8A~8D(第1~第4改質部分9A~9D)は、前述の通りレーザ照射痕によって形成されている。幅WDは、SiCチップ2や層間絶縁層30に入射されるレーザ光の屈折率を考慮して設定される。第1~第4改質領域8A~8D(第1~第4改質部分9A~9D)が等しい深さ位置に形成される場合には、ダイシングストリート43は、一様な幅WDで形成されることが好ましい。
【0102】
第1改質領域8A(第2改質領域8B)と比較して第3改質領域8C(第4改質領域8D)を深い位置に形成しない場合には、a軸方向に延びるダイシングストリート43の幅WDを、m軸方向に延びるダイシングストリート43の幅WDよりも狭めることができる。
【0103】
絶縁層40は、この形態では、第1主面3側からこの順に積層されたパッシベーション層45および樹脂層46を含む積層構造を有している。パッシベーション層45は、酸化シリコン層および窒化シリコン層のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。パッシベーション層45は、酸化シリコン層および窒化シリコン層を含む積層構造を有していてもよい。パッシベーション層45は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる単層構造を有していてもよい。
【0104】
パッシベーション層45は、層間絶縁層30とは異なる絶縁材料を含むことが好ましい。パッシベーション層45は、この形態では、窒化シリコン層からなる。パッシベーション層45は、層間絶縁層30および第1主面電極32に沿って膜状に形成されている。パッシベーション層45は、第1主面電極32の一部を露出させる第1開口47を有している。第1開口47の平面形状は任意である。第1開口47は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に形成されていてもよい。
【0105】
パッシベーション層45の厚さは、0.1μm以上20μm以下であってもよい。パッシベーション層45の厚さは、0.1μm以上1μm以下、1μm以上5μm以下、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、または、15μm以上20μm以下であってもよい。
【0106】
樹脂層46は、パッシベーション層45の主面に沿って膜状に形成されている。樹脂層46は、感光性樹脂を含んでいてもよい。感光性樹脂は、ネガティブタイプまたはポジティブタイプであってもよい。樹脂層46は、ポリイミド、ポリアミドおよびポリベンゾオキサゾールのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。樹脂層46は、この形態では、ポリベンゾオキサゾールを含む。
【0107】
樹脂層46の周縁は、この形態では、パッシベーション層45の周縁を露出させている。絶縁層40の周縁は、樹脂層46およびパッシベーション層45によって形成されている。樹脂層46は、パッシベーション層45の周縁を被覆していてもよい。この場合、絶縁層40の周縁は、樹脂層46によって形成される。
【0108】
樹脂層46は、第1主面電極32の一部を露出させる第2開口48を有している。第2開口48の平面形状は任意である。第2開口48は、平面視において側面5A~5Dに平行な4辺を有する四角形状に形成されていてもよい。第2開口48は、パッシベーション層45の第1開口47に連通し、第1開口47との間で1つのパッド開口41を形成している。
【0109】
第2開口48の内壁は、第1開口47の内壁に面一に形成されていてもよい。第2開口48の内壁は、第1開口47の内壁に対して側面5A~5D側に位置していてもよい。第2開口48の内壁は、第1開口47の内壁に対してSiCチップ2の内方に位置していてもよい。つまり、樹脂層46は、第1開口47の内壁を被覆していてもよい。この場合、パッド開口41は、樹脂層46(第2開口48)によって形成される。
【0110】
樹脂層46の厚さは、1μm以上50μm以下であってもよい。樹脂層46の厚さは、1μm以上10μm以下、10μm以上20μm以下、20μm以上30μm以下、30μm以上40μm以下、または、40μm以上50μm以下であってもよい。
【0111】
SiC半導体装置1は、第1主面電極32の上に形成されたパッド電極49を含む。パッド電極49は、パッド開口41内において第1主面電極32の上に形成されている。パッド電極49は、第1主面電極32に電気的に接続されている。パッド電極49は、パッド開口41の傾斜面42を被覆している。パッド電極49は、導線(たとえばボンディングワイヤ)に外部接続される端子面50を有している。
【0112】
端子面50は、絶縁層40(樹脂層46)の主面に対して第1主面電極32側に位置している。端子面50は、絶縁層40(樹脂層46)の主面よりも上方に突出していてもよい。端子面50は、パッド開口41の傾斜面42を被覆し、絶縁層40(樹脂層46)の主面を被覆するオーバラップ部を有していてもよい。
【0113】
パッド電極49は、第1主面電極32とは異なる金属材料を含む。パッド電極49は、Ni層、Pd層およびAu層のうちの少なくとも1つを含む。パッド電極49は、Ni層、Pd層およびAu層のうちの少なくとも2つを任意の順序で積層した積層構造を有していてもよい。パッド電極49は、Ni層、Pd層またはAu層からなる単層構造を有していてもよい。
【0114】
パッド電極49は、Au層によって形成された端子面50を有していることが好ましい。パッド電極49は、第1主面電極32側からこの順に積層されたNi層、Pd層およびAu層を含む積層構造を有していてもよい。パッド電極49は、この形態では、第1主面電極32側からこの順に積層されたNi層およびAu層を含む積層構造を有している。
【0115】
SiC半導体装置1は、第2主面4の上に形成された第2主面電極51を含む。第2主面電極51は、SBD12のカソード電極として形成されている。第2主面電極51は、第2主面4との間でオーミック接触を形成している。第2主面電極51は、Ti層、Ni層、Pd層、Au層およびAg層のうちの少なくとも1つを含む。
【0116】
第2主面電極51は、Ti層、Ni層、Pd層、Au層およびAg層のうちの少なくとも2つを任意の順序で積層した積層構造を有していてもよい。第2主面電極51は、Ti層、Ni層、Pd層、Au層およびAg層からなる単層構造を有していてもよい。第2主面電極51は、オーミック電極としてのTi層を含むことが好ましい。第2主面電極51は、この形態では、第2主面4側からこの順に積層されたTi層、Ni層、Pd層、Au層およびAg層を含む積層構造を有している。
【0117】
以上、SiC半導体装置1は、SiCチップ2、第1~第4改質領域8A~8D、アライメントパターン20、第1主面電極32および絶縁層40を含む。SiCチップ2は、平面視において四角形状にそれぞれ形成された第1主面3、第2主面4、および、劈開面からなる側面5A~5Dを有している。
【0118】
第1~第4改質領域8A~8Dは、側面5A~5Dにそれぞれ形成されている。アライメントパターン20は、平面視において側面5A~5Dから内方に間隔を空けて第1主面3の周縁部(外側領域11)に形成されている。第1主面電極32は、平面視において側面5A~5Dから内方に間隔を空けて第1主面3の上に形成され、アライメントパターン20を露出させている。
【0119】
絶縁層40は、平面視において第1主面電極32を部分的に被覆している。絶縁層40は、側面5A~5Dから内方に間隔を空けて第1主面電極32の上に形成され、側面5A~5Dとの間でアライメントパターン20を露出させるダイシングストリート43を区画している。平面視においてダイシングストリート43内に位置する第1主面3の周縁部には、アライメントパターン20以外のアクセサリパターンは形成されていない。
【0120】
このような構造によれば、側面5A~5Dの平坦性がアクセサリパターンによって低下することを防止できる。よって、アクセサリパターンに起因する形状不良が抑制された構造を有するSiC半導体装置1を提供できる。
【0121】
また、ダイシングストリート43によれば、SiCウエハ62からSiC半導体装置1を切り出す際に、絶縁層40を物理的に切断せずに済む。これにより、SiCウエハ62からSiC半導体装置1を円滑に切り出すことができる。また、絶縁層40の剥離や劣化に起因するSiCチップ2のクラックを抑制できる。よって、絶縁層40に起因するSiCチップ2の形状不良を抑制できる。
【0122】
図9は、図3に示すSiC半導体装置1の製造に用いられるSiCウエハ62を示す図である。
【0123】
図9を参照して、SiC半導体装置1の製造方法では、4H-SiC単結晶からなる板状(この形態では円板状)のSiCウエハ62が使用される。SiCウエハ62は、SiCチップ2のベースとなる。SiCウエハ62は、SiC基板6およびSiCエピタキシャル層7を含む積層構造を有している。SiCエピタキシャル層7は、SiC基板6からSiCをエピタキシャル成長させることによって形成されている。
【0124】
SiCウエハ62は、一方側の第1ウエハ主面63、他方側の第2ウエハ主面64、ならびに、第1ウエハ主面63および第2ウエハ主面64を接続するウエハ側面65を有している。第1ウエハ主面63および第2ウエハ主面64は、SiCチップ2のオフ角に対応したオフ角を有している。
【0125】
ウエハ側面65には、結晶方位を示す目印の一例としてのオリエンテーションフラット66が形成されている。オリエンテーションフラット66は、ウエハ側面65に形成された切欠部である。オリエンテーションフラット66は、この形態では、SiC単結晶のa軸方向に沿って直線状に延びている。
【0126】
ウエハ側面65には、SiC単結晶のm軸方向に延びるオリエンテーションフラット66、および、SiC単結晶のa軸方向に延びるオリエンテーションフラット66が形成されていてもよい。ウエハ側面65には、オリエンテーションフラット66に代えて、SiCウエハ62の中央部に向かって窪んだ切欠部からなるオリエンテーションノッチが形成されていてもよい。
【0127】
SiCウエハ62は、第1ウエハ角部67および第2ウエハ角部68を含む。第1ウエハ角部67は、第1ウエハ主面63およびウエハ側面65を接続している。第2ウエハ角部68は、第2ウエハ主面64およびウエハ側面65を接続している。
【0128】
第1ウエハ角部67は、第1ウエハ主面63からウエハ側面65に向かって下り傾斜した第1面取り部69を有している。第1面取り部69は、湾曲状に形成されていてもよい。第2ウエハ角部68は、第2ウエハ主面64からウエハ側面65に向かって下り傾斜した第2面取り部70を有している。第2面取り部70は、湾曲状に形成されていてもよい。
【0129】
SiCウエハ62は、SiCチップ2の厚さTCを超える厚さTWを有している。厚さTWは、100μm以上1000μm以下であってもよい。厚さTWは、100μm以上200μm以下、200μm以上400μm以下、400μm以上600μm以下、600μm以上800μm以下、または、800μm以上1000μm以下であってもよい。
【0130】
第1ウエハ主面63には、後の工程において複数のチップ領域71を区画する切断予定ライン72が設定される。切断予定ライン72は、SiC単結晶のm軸方向およびa軸方向に沿って延びる格子状に設定される。
【0131】
切断予定ライン72は、具体的には、複数の第1切断予定ライン72Aおよび複数の第2切断予定ライン72Bを含む。複数の第1切断予定ライン72Aは、SiC単結晶のm軸方向に沿ってそれぞれ延びている。複数の第2切断予定ライン72Bは、SiC単結晶のa軸方向に沿ってそれぞれ延びている。
【0132】
複数のチップ領域71は、切断予定ライン72によってSiC単結晶のm軸方向およびa軸方向に沿う行列状に設定される。複数のチップ領域71は、SiC単結晶のm軸方向に沿う辺、および、SiC単結晶のa軸方向に沿う辺をそれぞれ有している。複数のチップ領域71は、複数の第1チップ領域71A、および、1つまたは複数の第2チップ領域71Bを含む。図9では、第2チップ領域71Bが塗りつぶしハッチングによって示されている。
【0133】
第1チップ領域71Aは、機能デバイス(この形態ではSBD12)が形成される領域である。第2チップ領域71Bは、ダミーチップ領域であり、第1チップ領域71Aのプロセス管理を行うモニタパターン73が形成される領域である。モニタパターン73は、PCM(Process Control Monitor)とも称される。モニタパターン73は、第2チップ領域71Bのみに形成される。モニタパターン73は、第1チップ領域71Aの上や切断予定ライン72の上には形成されない。
【0134】
モニタパターン73は、第1チップ領域71Aのプロセス管理を行う上で必要な種々の構造物を含み、特定の形態に限定されない。モニタパターン73は、バイポーラトランジスタ、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)、pn接合ダイオード、SBD、MISキャパシタ、絶縁膜、配線膜、トレンチおよびビア電極のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0135】
第1チップ領域71Aで実施される各工程の適否は、任意のタイミングで、モニタパターン73に形成された構造物の物理的特性および電気的特性から間接的に評価される。物理的特性は、たとえば、モニタパターン73に形成された構造物の寸法である。電気的特性は、たとえば、モニタパターン73に形成された半導体領域等の抵抗値や容量値である。モニタパターン73の物理的特性および電気的特性を一定の水準に保ちながら各工程を実施することによって、機能デバイスを第1チップ領域71Aに適切に作りこむことができる。
【0136】
第1チップ領域71Aの個数は、100個以上10000個以下であってもよい。第1チップ領域71Aの個数は、100個以上1000個以下、1000個以上2500個以下、2500個以上5000個以下、5000個以上7500個以下、または、7500個以上10000個以下であってもよい。
【0137】
第2チップ領域71Bの個数は、第1チップ領域71Aの個数未満である。第2チップ領域71Bの個数は、1個以上20個以下であってもよい。第2チップ領域71Bの個数は、1個以上5個以下、5個以上10個以下、10個以上15個以下、または、15個以上20個以下であってもよい。
【0138】
第1チップ領域71Aの個数に対する第2チップ領域71Bの個数の領域割合は、0.001以上0.01以下であってもよい。領域割合は、0.001以上0.002以下、0.002以上0.004以下、0.004以上0.006以下、0.006以上0.008以下、または、0.008以上0.01以下であってもよい。
【0139】
第2チップ領域71Bの平面面積は、第1チップ領域71Aの平面面積と等しい。第2チップ領域71Bの平面面積が第1チップ領域71Aの平面面積と等しいとは、第2チップ領域71Bの平面面積が第1チップ領域71Aの平面面積の±1%の範囲内に位置することを意味する。
【0140】
複数のチップ領域71は、複数の第2チップ領域71Bを含むことが好ましい。これにより、第1チップ領域71Aで実施される各工程を適切に評価できる。複数のチップ領域71は、SiCウエハ62の中央部に設定された1つの第2チップ領域71Bを含むことが好ましい。複数のチップ領域71は、中央の第2チップ領域71BからSiCウエハ62の周縁(ウエハ側面65)側に間隔を空けて設定された1つまたは複数の第2チップ領域71Bを含むことが好ましい。これにより、1枚のSiCウエハ62の中央部および周縁部におけるプロセス誤差を適切に評価できる。
【0141】
複数のチップ領域71は、奇数個の第2チップ領域71Bを含むことが好ましい。複数のチップ領域71は、この形態では、9個の第2チップ領域71Bを含む。むろん、複数のチップ領域71は、偶数個の第2チップ領域71Bを含んでいてもよい。
【0142】
複数の第2チップ領域71Bは、1つまたは複数(この形態では複数)の第1チップ領域71Aを挟んでSiC単結晶のa軸方向に対向している。複数の第2チップ領域71Bは、1つまたは複数(この形態では複数)の第1チップ領域71Aを挟んでSiC単結晶のm軸方向に対向している。複数の第2チップ領域71Bは、この形態では、SiC単結晶のa軸方向およびm軸方向に間隔を空けて行列状に配列されている。
【0143】
複数のチップ領域71に所定の構造が作り込まれた後、SiCウエハ62が切断予定ライン72に沿って切断される。これにより、第1チップ領域71AがSiC半導体装置1として切り出され、第2チップ領域71BがダミーSiC半導体装置として切り出される。ダミーSiC半導体装置は、処分されてもよい。
【0144】
図10A図10Pは、SiCウエハ62の一部の領域を示す断面図であって、図3に示すSiC半導体装置1の製造方法の一例を示している。図11A図11Pは、SiCウエハ62の一部の領域を示す平面図であって、図3に示すSiC半導体装置1の製造方法の一例を示している。図11A図11Pでは、3つの第1チップ領域71Aおよび1つの第2チップ領域71Bを含む領域の平面図が示されている。
【0145】
図10Aおよび図11Aを参照して、SiCウエハ62が用意される。次に、複数のアライメントトレンチ26が、第1ウエハ主面63に形成される。この工程では、まず、所定パターンを有するハードマスク(図示せず)が、第1ウエハ主面63の上に形成される。ハードマスクは、酸化シリコンからなる。
【0146】
ハードマスクは、熱酸化処理法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって形成される。ハードマスクは、アライメントトレンチ26を形成すべき領域を露出させる複数の開口を有している。複数の開口は、平面視においてL字形状にそれぞれ形成されている。複数の開口は、エッチング法によって形成されている。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。
【0147】
次に、ハードマスクを介するエッチング法によって、SiCウエハ62の不要な部分が除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。エッチング法は、ドライエッチング法であることが好ましい。これにより、平面視においてL字形状からなる複数のアライメントトレンチ26が、第1ウエハ主面63に形成される。
【0148】
切断予定ライン72は、複数のアライメントトレンチ26によって画定される。複数のアライメントトレンチ26は、具体的には、切断予定ライン72の交点をそれぞれ示す複数の交点パターン群83を形成している。複数の交点パターン群83は、SiC単結晶のa軸方向およびm軸方向に間隔を空けて行列状に形成されている。
【0149】
各交点パターン群83は、最近接する4つのアライメントトレンチ26を含む。最近接する4つのアライメントトレンチ26は、SiC単結晶のa軸方向およびm軸方向に間隔を空けて形成されている。最近接する4つのアライメントトレンチ26は、第1ウエハ主面63において、外側コーナ部24によってSiC単結晶のa軸方向およびm軸方向に沿って延びる十字路84を区画している。十字路84は、四分割されることによってSiCチップ2のL字路25となる。
【0150】
十字路84の幅は、0μmを超えて400μm以下であってもよい。十字路84の幅は、0μmを超えて20μm以下、20μm以上40μm以下、40μm以上100μm以下、100μm以上200μm以下、200μm以上300μm以下、または、300μm以上400μm以下であってもよい。
【0151】
これにより、平面視において各交点パターン群83の十字路84を通る格子状の切断予定ライン72が画定される。また、平面視において四隅にアライメントトレンチ26を1つずつ有する複数の第1チップ領域71Aが、切断予定ライン72によって区画される。また、平面視において四隅にアライメントトレンチ26を1つずつ有する複数の第2チップ領域71Bが、切断予定ライン72によって区画される。
【0152】
次に、図10Bおよび図11Bを参照して、絶縁体27のベースとなるベース絶縁層85が、第1ウエハ主面63の上に形成される。ベース絶縁層85は、複数のアライメントトレンチ26を埋めて第1ウエハ主面63を被覆する。ベース絶縁層85は、熱酸化処理法および/またはCVD法によって形成される。
【0153】
次に、ベース絶縁層85において第1ウエハ主面63を被覆する部分が、エッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、アライメントトレンチ26および絶縁体27を含むアライメントパターン20が形成される。
【0154】
次に、図10Cおよび図11Cを参照して、第1チップ領域71AにSBD12の主要部(ここではダイオード領域13およびガード領域14)が形成され、第2チップ領域71Bにモニタパターン73の半導体部分(たとえばSBDやMISFETの半導体部分等)が形成される。この工程は、第1チップ領域71Aおよび第2チップ領域71Bにn型不純物および/またはp型不純物を選択的に導入する工程を含んでいてもよい。n型不純物および/またはp型不純物は、イオン注入マスク(図示せず)を介するイオン注入法によってSiCウエハ62に導入されてもよい。
【0155】
次に、図10Dおよび図11Dを参照して、第1ウエハ主面63の上に、層間絶縁層30が形成される。層間絶縁層30は、第1チップ領域71Aおよび第2チップ領域71Bを被覆する。層間絶縁層30は、酸化シリコンを含む。層間絶縁層30は、熱酸化処理法および/またはCVD法によって形成される。
【0156】
次に、図10Eおよび図11Eを参照して、複数のコンタクト開口31および複数のモニタコンタクト開口86が、層間絶縁層30に形成される。複数のコンタクト開口31は、層間絶縁層30において第1チップ領域71Aを被覆する部分にそれぞれ形成される。複数のモニタコンタクト開口86は、層間絶縁層30において第2チップ領域71Bを被覆する部分にそれぞれ形成される。各第2チップ領域71Bにおけるモニタコンタクト開口86の個数は任意であり、第2チップ領域71Bに形成されるモニタパターン73に応じて調整される。
【0157】
複数のコンタクト開口31および複数のモニタコンタクト開口86は、レジストマスク(図示せず)を介するエッチング法によって層間絶縁層30の不要な部分を除去することによって形成される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。
【0158】
次に、図10Fおよび図11Fを参照して、第1ベース主面電極87が、第1ウエハ主面63の上に形成される。第1ベース主面電極87は、バリア層33および本体層34を含む積層構造を有している。バリア層33および本体層34は、スパッタ法および/または蒸着法によってそれぞれ形成されてもよい。
【0159】
次に、図10Gおよび図11Gを参照して、第1ベース主面電極87の不要な部分が除去されて、複数の第1主面電極32が複数のチップ領域71にそれぞれ形成される。以下、第2チップ領域71Bに形成された第1主面電極32をモニタ主面電極88という。第1ベース主面電極87の不要な部分は、レジストマスク(図示せず)を介するエッチング法によって除去されてもよい。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。
【0160】
複数の第1主面電極32は、切断予定ライン72を露出させるように複数の第1チップ領域71Aをそれぞれ被覆する。複数の第1主面電極32は、複数のアライメントトレンチ26(交点パターン群83)も露出させる。複数の第1主面電極32は、対応する第1チップ領域71Aにおいてダイオード領域13およびガード領域14に電気的に接続される。
【0161】
複数のモニタ主面電極88は、切断予定ライン72を露出させるように複数の第2チップ領域71Bをそれぞれ被覆する。複数のモニタ主面電極88は、複数のアライメントトレンチ26(交点パターン群83)も露出させる。複数のモニタ主面電極88は、対応する第2チップ領域71Bにおいて半導体部分等に電気的に接続される。各第2チップ領域71Bにおけるモニタ主面電極88の個数は任意であり、第2チップ領域71Bに形成されるモニタパターン73に応じて調整される。
【0162】
次に、図10Hおよび図11Hを参照して、絶縁層40のベースとなるベース絶縁層89が、第1ウエハ主面63の上に形成される。絶縁層40は、パッシベーション層45および樹脂層46を含む積層構造を有している。パッシベーション層45は、窒化シリコンを含む。パッシベーション層45は、CVD法によって形成されてもよい。樹脂層46は、感光性樹脂(この形態ではポリベンゾオキサゾール)を含む。樹脂層46は、感光性樹脂をパッシベーション層45の上に塗布することによって形成されてもよい。
【0163】
次に、図10Iおよび図11Iを参照して、ベース絶縁層89に複数のパッド開口41、複数のモニタパッド開口90およびダイシングストリート91が形成されると同時に、ベース絶縁層89が複数の絶縁層40に分割される。
【0164】
この工程では、まず、樹脂層46が、選択的に露光された後、現像される。これにより、第2開口48およびダイシングストリート91が、樹脂層46に形成される。次に、パッシベーション層45において樹脂層46から露出する部分が、エッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、第1開口47およびダイシングストリート91が、パッシベーション層45に形成される。また、これにより、ベース絶縁層89が複数の絶縁層40に分割される。
【0165】
複数のパッド開口41は、第1開口47および第2開口48によってそれぞれ形成される。複数のパッド開口41は、対応する第1主面電極32を露出させる。複数のモニタパッド開口90は、第1開口47および第2開口48によってそれぞれ形成される。複数のモニタパッド開口90は、対応するモニタ主面電極88をそれぞれ露出させる。モニタパッド開口90の個数は任意であり、第2チップ領域71Bに形成されるモニタパターン73(モニタ主面電極88)に応じて調整される。
【0166】
ダイシングストリート91は、複数の絶縁層40の周縁によって区画され、平面視において切断予定ライン72に沿って延びる格子状に形成されている。ダイシングストリート91は、平面視において切断予定ライン72を露出させている。ダイシングストリート91は、さらに、平面視において複数のアライメントトレンチ26(交点パターン群83)を露出させている。
【0167】
第1ウエハ主面63においてダイシングストリート91から露出する部分には、複数のアライメントトレンチ26(交点パターン群83)以外のアクセサリパターンは形成されていない。また、層間絶縁層30においてダイシングストリート91から露出する部分にはアクセサリパターンは形成されていない。
【0168】
ダイシングストリート91の幅WD2は、2μm以上100μm以下であってもよい。幅WD2は、ダイシングストリート91が延びる方向に直交する方向の幅である。幅WD2は、2μm以上20μm以下、20μm以上40μm以下、40μm以上60μm以下、60μm以上80μm以下、または、80μm以上100μm以下であってもよい。
【0169】
幅WD2は、SiCウエハ62の最終的な厚さTWの10%以上50%以下であることが好ましい。幅WD2は、SiCウエハ62の最終的な厚さTWの10%以上15%以下、15%以上20%以下、20%以上25%以下、25%以上30%以下、30%以上35%以下、35%以上40%以下、40%以上45%以下、または、45%以上50%以下であってもよい。幅WD2は、SiCウエハ62の最終的な厚さTWの10%以上30%以下であることが好ましい。
【0170】
ダイシングストリート91によれば、SiCウエハ62の内部にレーザ光を照射する際に、絶縁層40によるレーザ光の干渉を抑制できる。特に、ダイシングストリート91の幅WD2をSiCウエハ62の最終的な厚さTWの10%以上50%以下とすることにより、絶縁層40によるレーザ光の干渉を適切に抑制できる。これにより、絶縁層40および空気の屈折率の差に起因するレーザ光の不所望な屈折を抑制し、SiCウエハ62における適切な領域にレーザ光を集光させることができる。その結果、後の工程において第1~第4改質領域8A~8Dを適切に形成できる。
【0171】
各絶縁層40の周縁は、絶縁層40の主面から層間絶縁層30に向けて下り傾斜した傾斜面44を有している。傾斜面44は、SiCウエハ62側に向けて窪んだ湾曲状に形成されていてもよい。傾斜面44の角度θ2は、30°以上60°以下であってもよい。角度θ2は、傾斜面44の始点および終点を結ぶ直線が絶縁層40内において第1主面3との間で成す角度である。
【0172】
角度θ2は、30°以上35°以下、35°以上40°以下、40°以上45°以下、45°以上50°以下、50°以上55°以下、または、55°以上60°以下であってもよい。角度θ2は、40°以上50°以下であることが好ましい。
【0173】
絶縁層40の周縁を傾斜面44とすることにより、SiCウエハ62の内部にレーザ光を照射する際に、絶縁層40によるレーザ光の干渉を抑制できる。特に、絶縁層40の角度θ2を30°以上60°以下にすることにより、絶縁層40によるレーザ光の干渉を適切に抑制できる。これにより、絶縁層40および空気の屈折率の差に起因するレーザ光の不所望な屈折を抑制し、SiCウエハ62における適切な領域にレーザ光を集光させることができる。その結果、後の工程において第1~第4改質領域8A~8Dを適切に形成できる。
【0174】
a軸方向に延びるダイシングストリート91の幅WD2は、m軸方向に延びるダイシングストリート91の幅WD2と等しくてもよいし、異なっていてもよい。たとえば、a軸方向に延びるダイシングストリート91の幅WD2は、m軸方向に延びるダイシングストリート91の幅WD2未満であってもよい。この場合、チップ領域71の総数を増加させることができる。
【0175】
次に、図10Jおよび図11Jを参照して、複数のパッド電極49が対応する第1主面電極32の上にそれぞれ形成され、複数のモニタパッド電極92が対応するモニタ主面電極88の上にそれぞれ形成される。パッド電極49およびモニタパッド電極92は、めっき法によってそれぞれ形成されてもよい。
【0176】
次に、図10Kおよび図11Kを参照して、第2ウエハ主面64が研削される。第2ウエハ主面64は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって研削されてもよい。これにより、SiCウエハ62が所望の厚さになるまで薄化される。
【0177】
次に、図10Lおよび図11Lを参照して、第2主面電極51が、第2ウエハ主面64の上に形成される。第2主面電極51は、スパッタ法、蒸着法および/またはめっき法によって形成されてもよい。第2主面電極51の形成工程に先立って、または、第2主面電極51の形成工程中に、第2ウエハ主面64に対してアニール処理が実施されてもよい。第2ウエハ主面64に対するアニール処理は、レーザ照射法によって実施されてもよい。
【0178】
次に、図10Mおよび図11Mを参照して、伸縮性の支持テープ93が、第2ウエハ主面64に貼着される。
【0179】
次に、図10Nおよび図11Nを参照して、SiCウエハ62の切断予定ライン72にレーザ光が照射される。これにより、第1~第4改質領域8A~8Dのベースとなる複数の改質領域94が、SiCウエハ62に形成される。
【0180】
レーザ光は、第1ウエハ主面63側からダイシングストリート91から露出する層間絶縁層30を介してSiCウエハ62に照射される。層間絶縁層30の厚さはSiCウエハ62の厚さTWと比較して極めて小さいため、層間絶縁層30がSiCウエハ62に入射されるレーザ光の妨げとなることはない。また、ダイシングストリート91は、複数の絶縁層40の傾斜面44によって区画されている。ダイシングストリート91を絶縁層40の傾斜面44で区画することにより、レーザ光が絶縁層40によって遮蔽されることを抑制できる。
【0181】
レーザ光の焦点、レーザエネルギ、レーザパルスデューティ比、レーザ照射速度は、それぞれ、形成すべき改質領域94の個数(段数)、位置、大きさ、形状、厚さ等に応じて任意の値に設定される。また、SiCウエハ62の改質割合は、改質領域94の個数、位置、大きさ、形状、厚さ等によって調整される。
【0182】
この工程では、レーザ光が、切断予定ライン72上の1つの照射位置においてSiCウエハ62の異なる深さ位置に多段階(この工程では4段階)に照射される。1つの照射位置に対するレーザ光の照射が終わると、レーザ光の照射位置が、切断予定ライン72上の別の位置に移動され、再度多段階的にレーザ光が照射される。これにより、複数段(この工程では4段)の改質領域94が、法線方向Zに間隔を空けてSiCウエハ62の内部に形成される。
【0183】
複数の改質領域94は、第1ウエハ主面63から第2ウエハ主面64側に間隔を空けてSiCウエハ62の内部にそれぞれ形成される。複数の改質領域94は、第2ウエハ主面64から第1ウエハ主面63側に間隔を空けてSiCウエハ62の内部にそれぞれ形成される。
【0184】
複数の改質領域94は、SiC基板6に形成されることが好ましい。複数の改質領域94は、SiCエピタキシャル層7から第2ウエハ主面64側に間隔を空けてSiC基板6に形成されることがさらに好ましい。これにより、複数の改質領域94に起因するSiCエピタキシャル層7の物理的性質および電気的性質の変動を抑制できる。つまり、SiCエピタキシャル層7に機能デバイスを適切に形成できる。
【0185】
複数の第2切断予定ライン72Bは、SiC単結晶のa軸方向に沿って延びていることから、SiC単結晶のm軸方向に沿って延びる複数の第1切断予定ライン72Aよりも劈開しやすい性質を有している。
【0186】
したがって、複数の第2切断予定ライン72Bの改質割合は、複数の第1切断予定ライン72Aの改質割合未満であってもよい。たとえば、第1切断予定ライン72Aと比較して第2切断予定ライン72Bにおいて深い位置に改質領域94を形成しない場合には、a軸方向に延びるダイシングストリート91の幅WD2を、m軸方向に延びるダイシングストリート91の幅WD2よりも狭めることができる。
【0187】
第1切断予定ライン72Aに沿う複数の改質領域94が形成された後、第2切断予定ライン72Bに沿う複数の改質領域94が形成されてもよい。第2切断予定ライン72Bに沿う複数の改質領域94が形成された後、第1切断予定ライン72Aに沿う複数の改質領域94が形成されてもよい。第1切断予定ライン72Aに沿う複数の改質領域94、および、第2切断予定ライン72Bに沿う複数の改質領域94が交互に形成されてもよい。
【0188】
次に、図10Oおよび図11Oを参照して、SiCウエハ62が、複数の改質領域94を起点に切断予定ライン72に沿って劈開される。SiCウエハ62は、層間絶縁層30と共に劈開される。層間絶縁層30の厚さは極めて小さいため、劈開の支障にはならない。
【0189】
SiCウエハ62は、剪断式、3点曲げ式、折り曲げ式および/またはローラ押し当て式のブレーキング法によって劈開されてもよい。図10Oでは、一例として3点曲げ式のブレーキング法が示されている。
【0190】
3点曲げ式のブレーキング法では、一例として、第2ウエハ主面64側からSiCウエハ62を支持する2つの支持部材95、および、第1ウエハ主面63側からSiCウエハ62に劈開力を付与する1つのブレード部材96が使用される。2つの支持部材95は、平面視において劈開すべき切断予定ライン72を挟んで対向するように配置される。ブレード部材96は、劈開すべき切断予定ライン72に対して劈開力を付与する。
【0191】
これにより、SiCウエハ62が切断予定ライン72に沿って劈開され、複数の第1チップ領域71Aが複数のSiC半導体装置1となり、複数の第2チップ領域71Bが複数のダミーSiC半導体装置97となる。また、SiCウエハ62の十字路84は、SiC半導体装置1のL字路25となる。また、SiCウエハ62のダイシングストリート91は、SiC半導体装置1のダイシングストリート43となる。
【0192】
この工程では、第1ウエハ主面63側からSiCウエハ62に劈開力が付与される例について説明した。しかし、第2ウエハ主面64側からSiCウエハ62に劈開力が付与されてもよい。この場合、支持テープ93は、第1ウエハ主面63側に貼着されてもよい。
【0193】
SiCウエハ62は、複数の第1切断予定ライン72Aに沿って劈開された後、第2切断予定ライン72Bに沿って劈開されてもよい。つまり、SiCウエハ62は、最近接原子方向の交差方向に劈開された後、最近接原子方向に劈開されてもよい。第1切断予定ライン72Aの劈開工程では、最近接原子方向の交差方向にSiCウエハ62が劈開されるが、SiCウエハ62に加えられる応力は連続的に継続するため、劈開部における蛇行の発生は抑制される。
【0194】
一方、第2切断予定ライン72Bの劈開工程では、既にm軸方向に沿ってSiCウエハ62が劈開されているため、SiCウエハ62に加えられる応力は不連続になる。しかし、最近接原子方向に沿って応力を加えることができるから、劈開部における蛇行の発生は抑制される。特に、第1切断予定ライン72Aに沿う劈開部および第2切断予定ライン72Bに沿う劈開部の接続部を起点とする蛇行の発生が抑制される。このように、SiCウエハ62の物理的性質を利用して、蛇行の発生を抑制することもできる。
【0195】
次に、図10Pおよび図11Pを参照して、支持テープ93が、SiCウエハ62の中心から周縁に向かう方向に伸張固定される。これにより、複数のSiC半導体装置1の間の距離が一定に保たれる。また、SiC半導体装置1およびダミーSiC半導体装置97の間の距離が一定に保たれる。これにより、ハンドリング時の衝突に起因するSiC半導体装置1のクラックを抑制できる。SiC半導体装置1等の形状不良を抑制することは、不所望な衝突を回避する上でも有効である。
【0196】
図12は、参考例に係るSiCウエハ98の劈開部を示す拡大平面図である。SiCウエハ98においてSiCウエハ62に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0197】
SiCウエハ98は、第1ウエハ主面63においてダイシングストリート91に形成されたモニタパターン73を含む。図12では、モニタパターン73がハッチングによって示されている。モニタパターン73は、切断予定ライン72の上に形成されている。SiCウエハ98では、改質領域94の形成工程時において、レーザ光がモニタパターン73によって遮蔽される。
【0198】
そのため、SiCウエハ98においてモニタパターン73によって隠蔽された領域に改質領域94が存在しない非改質部が形成される。SiCウエハ98の劈開工程時では、モニタパターン73の直下の非改質部において原子配列を保持する力が働く。特に、SiC単結晶は、Si単結晶等と比較して原子配列を保持する力が強い物性を有している。そのため、SiCウエハ98の劈開部にモニタパターン73を起点とする蛇行99が形成される。平面視における蛇行99の最大蛇行幅(絶対値)は、10μmを超える。
【0199】
モニタパターン73を含む第1チップ領域71Aを形成することによって、このような問題を解決することができる。しかし、この場合には、第1チップ領域71Aの平面面積が増加する結果、1枚のSiCウエハ62から取得可能なSiC半導体装置1の取れ数が減少する。また、第1チップ領域71Aの平面面積が増加するため、SiC半導体装置1が大型化する結果、SiC半導体装置1の微細化の要請に応えることができない。また、モニタパターン(アクセサリパターン)が金属パターンからなる場合には、当該モニタパターンに起因してSiC半導体装置1の電気的特性が変動する可能性もある。
【0200】
これに対して、SiCウエハ62によれば、第2チップ領域71B以外の領域にモニタパターン73は形成されない。つまり、SiCウエハ62によれば、モニタパターン73専用の第2チップ領域71Bが設定される。したがって、モニタパターン73が、レーザ光に対する遮蔽物となることはない。
【0201】
また、アライメントパターン20は、平面視においてダイシングストリート91から間隔を空けて第1ウエハ主面63の上に形成される。しかも、アライメントパターン20は、金属材料以外の材料によって形成されている。アライメントパターン20は、具体的には、アライメントトレンチ26および絶縁体27を含むアライメントトレンチ構造を有している。また、ダイシングストリート91内に位置する第1ウエハ主面63には、複数のアライメントパターン20以外のアクセサリパターンは形成されない。したがって、アクセサリパターンが、レーザ光に対する遮蔽物となることはない。
【0202】
また、第1主面電極32およびモニタ主面電極88は、平面視においてダイシングストリート91から間隔を空けて第1ウエハ主面63の上に形成される。したがって、第1主面電極32およびモニタ主面電極88が、レーザ光に対する遮蔽物となることはない。
【0203】
また、改質領域94は、複数のアライメントパターン20から間隔を空けて切断予定ライン72に沿って形成される。したがって、複数のアライメントパターン20が、SiCウエハ62の劈開の妨げにならない。これにより、切断予定ライン72に改質領域94を適切に形成できると同時に、切断予定ライン72に対して劈開力を適切に付与できる。
【0204】
よって、第1主面電極32、モニタ主面電極88、アライメントパターン20およびモニタパターン73に起因する劈開部の形状不良を抑制できるから、SiCウエハ62の劈開部の蛇行を適切に抑制できる。これにより、SiCウエハ62の劈開部の最大蛇行幅(絶対値)を10μm以下(具体的には、5μm以下)に抑えることができる。
【0205】
また、劈開部の蛇行を抑制することによって、蛇行を考慮したマージンを小さくできるから、チップ領域71を縮小できる。また、第1チップ領域71Aにモニタパターン73を形成する必要がないから、チップ領域71を縮小できる。よって、SiC半導体装置1の小型化の要請に応えることができると同時に、1枚のSiCウエハ62から取得可能なSiC半導体装置1の取れ数を増加させることができる。
【0206】
また、SiCウエハ62によれば、絶縁層40を物理的に切断せずに済む。これにより、SiCウエハ62を円滑に劈開できると同時に、絶縁層40の剥離や劣化を抑制できる。その結果、絶縁層40に起因するSiCウエハ62の劈開部の形状不良を抑制できる。
【0207】
図13は、第2実施形態に係るSiC半導体装置101を示す平面図である。図14は、図13示す領域XIVの内部構造を示す拡大平面図である。図15は、図14に示すXV-XV線に沿う断面図である。以下では、SiC半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0208】
図13図15を参照して、SiC半導体装置101は、SBD12に代えて、機能デバイスの一例としてのMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)102が、アクティブ領域10に形成されたスイッチングデバイスである。つまり、SiC半導体装置101は、SiCウエハ62の第1チップ領域71AにMISFET102を形成することによって製造されている。
【0209】
SiC半導体装置101は、SiCチップ2、第1~第4改質領域8A~8D(第1~第4改質部分9A~9D)、アライメントパターン20、層間絶縁層30、第1主面電極32、絶縁層40、パッド電極49および第2主面電極51を含む。図13では、絶縁層40がハッチングによって示されている。
【0210】
SiC基板6は、MISFET102のドレイン領域として形成されている。SiCエピタキシャル層7は、MISFET102のドリフト領域として形成されている。第2主面電極51は、MISFET102のドレイン電極として形成されている。
【0211】
SiCエピタキシャル層7は、この形態では、法線方向Zに沿って異なるn型不純物濃度を有している。SiCエピタキシャル層7は、具体的には、n型不純物濃度が高い高濃度領域103、および、高濃度領域103よりもn型不純物濃度が低い低濃度領域104を含む。
【0212】
高濃度領域103は、第1主面3側の領域に形成されている。低濃度領域104は、高濃度領域103に対して第2主面4側の領域に形成されている。高濃度領域103の厚さは、低濃度領域104の厚さ未満である。高濃度領域103の厚さは、SiCエピタキシャル層7の総厚さの2分の1未満である。
【0213】
高濃度領域103のn型不純物濃度のピーク値は、1.0×1016cm-3以上1.0×1018cm-3以下であってもよい。低濃度領域104のn型不純物濃度のピーク値は、1.0×1015cm-3以上1.0×1016cm-3以下であってもよい。むろん、SiCエピタキシャル層7のn型不純物濃度は、1.0×1015cm-3以上1.0×1018cm-3以下の範囲で、SiC基板6から第1主面3に向けてn型不純物濃度が漸減する濃度勾配を有していてもよい。
【0214】
SiC半導体装置101は、アクティブ領域10において第1主面3に形成された複数のトレンチゲート構造111を含む。複数のトレンチゲート構造111は、第1方向Xに延びる帯状にそれぞれ形成され、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。複数のトレンチゲート構造111は、平面視において全体として第1方向Xに延びるストライプ状に形成されている。
【0215】
複数のトレンチゲート構造111は、この形態では、アクティブ領域10において一方側(第3側面5C側)の周縁部から他方側(第4側面5D側)の周縁部に向けて帯状に延びている。複数のトレンチゲート構造111は、アクティブ領域10において一方側の周縁部および他方側の周縁部の間の中間部を横切っている。
【0216】
各トレンチゲート構造111の長さは、1mm以上10mm以下であってもよい。各トレンチゲート構造111の長さは、1mm以上2mm以下、2mm以上4mm以下、4mm以上6mm以下、6mm以上8mm以下、または、8mm以上10mm以下であってもよい。各トレンチゲート構造111の長さは、2mm以上6mm以下であることが好ましい。1つのトレンチゲート構造111の単位面積当たりの総延長は、0.5μm/μm2以上0.75μm/μm2以下であってもよい。
【0217】
各トレンチゲート構造111は、ゲートトレンチ112、ゲート絶縁層113およびゲート電極114を含む。図14では、ゲート絶縁層113およびゲート電極114がハッチングによって示されている。
【0218】
ゲートトレンチ112は、SiCエピタキシャル層7に形成されている。ゲートトレンチ112は、側壁および底壁を含む。ゲートトレンチ112の長辺を形成する側壁は、SiC単結晶のa面によって形成されている。ゲートトレンチ112の短辺を形成する側壁は、SiC単結晶のm面によって形成されている。
【0219】
ゲートトレンチ112の側壁は、法線方向Zに延びていてもよい。SiCチップ2内においてゲートトレンチ112の側壁が第1主面3に対して成す角度は、90°以上95°以下(たとえば91°以上93°以下)であってもよい。ゲートトレンチ112の側壁は、第1主面3に対してほぼ垂直に形成されていてもよい。ゲートトレンチ112は、第1主面3から底壁に向けて開口幅が狭まる先細り形状に形成されていてもよい。
【0220】
ゲートトレンチ112の底壁は、高濃度領域103に位置している。ゲートトレンチ112の底壁は、SiC単結晶のc面に面している。ゲートトレンチ112の底壁は、SiC単結晶のc面に対してa軸方向に傾斜したオフ角を有している。ゲートトレンチ112の底壁は、第1主面3に対して平行に形成されていてもよい。ゲートトレンチ112の底壁は、第2主面4に向かう湾曲状に形成されていてもよい。
【0221】
ゲートトレンチ112は、第1深さD1を有している。第1深さD1は、0.5μm以上3μm以下であってもよい。第1深さD1は、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、または、2.5μm以上3μm以下であってもよい。
【0222】
ゲートトレンチ112の第2方向Yに沿う幅は、0.1μm以上2μm以下であってもよい。ゲートトレンチ112の幅は、0.1μm以上0.5μm以下、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。
【0223】
ゲートトレンチ112の開口エッジ部は、第1主面3からゲートトレンチ112の内方に向かって下り傾斜した傾斜部を含む。ゲートトレンチ112の開口エッジ部は、第1主面3およびゲートトレンチ112の側壁を接続する部分である。ゲートトレンチ112の傾斜部は、SiCチップ2の内方に向かう湾曲状に形成されている。ゲートトレンチ112の傾斜部は、ゲートトレンチ112の内方に向かう湾曲状に形成されていてもよい。ゲートトレンチ112の傾斜部は、ゲートトレンチ112の開口エッジ部に対する電界集中を緩和する。
【0224】
ゲート絶縁層113は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムおよび酸化タンタルのうちの少なくとも1つを含む。ゲート絶縁層113は、酸化シリコン層および窒化シリコン層が任意の順で積層された積層構造を有していてもよい。ゲート絶縁層113は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる単層構造を有していてもよい。ゲート絶縁層113は、この形態では、酸化シリコン層からなる単層構造を有している。
【0225】
ゲート絶縁層113は、ゲートトレンチ112の内壁に沿って膜状に形成され、ゲートトレンチ112内においてリセス空間を区画している。ゲート絶縁層113は、第1領域115、第2領域116および第3領域117を含む。第1領域115は、ゲートトレンチ112の側壁に沿って形成されている。第2領域116は、ゲートトレンチ112の底壁に沿って形成されている。第3領域117は、第1主面3に沿って形成されている。
【0226】
第1領域115の厚さは、第2領域116の厚さおよび第3領域117の厚さ未満である。第1領域115の厚さは、0.01μm以上0.2μm以下であってもよい。第2領域116の厚さは、0.05μm以上0.5μm以下であってもよい。第3領域117の厚さは、0.05μm以上0.5μm以下であってもよい。
【0227】
ゲート絶縁層113は、開口エッジ部においてゲートトレンチ112内に向けて膨出した膨出部118を含む。膨出部118は、ゲート絶縁層113の第1領域115および第3領域117の接続部に形成されている。膨出部118は、ゲートトレンチ112の内方に向かう湾曲状に形成されている。膨出部118は、開口エッジ部においてゲートトレンチ112の開口を狭めている。膨出部118を有さないゲート絶縁層113が形成されていてもよい。一様な厚さを有するゲート絶縁層113が形成されていてもよい。
【0228】
ゲート電極114は、ゲート絶縁層113を挟んでゲートトレンチ112に埋設されている。ゲート電極114は、具体的には、ゲートトレンチ112内においてゲート絶縁層113によって区画されたリセス空間に埋設されている。ゲート電極114は、ゲートトレンチ112の開口から露出する電極面を有している。ゲート電極114の電極面は、ゲートトレンチ112の底壁に向かって窪んだ湾曲状に形成されている。ゲート電極114の電極面は、ゲート絶縁層113の膨出部118によって狭められている。
【0229】
ゲート電極114は、金属材料以外の導電材料からなる。ゲート電極114は、導電性ポリシリコンからなることが好ましい。ゲート電極114は、この形態では、p型不純物が添加されたp型ポリシリコンを含む。
【0230】
ゲート電極114のp型不純物濃度は、1.0×1018cm-3以上1.0×1022cm-3以下であってもよい。ゲート電極114のp型不純物は、ホウ素、アルミニウム、インジウムおよびガリウムのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。ゲート電極114のシート抵抗は、10Ω/□以上500Ω/□以下(この形態では200Ω/□程度)であってもよい。ゲート電極114の厚さは、0.5μm以上3μm以下であってもよい。
【0231】
SiC半導体装置101は、ゲート電極114を被覆する第1低抵抗層119を含む。第1低抵抗層119は、ゲートトレンチ112内においてゲート電極114を被覆している。第1低抵抗層119は、トレンチゲート構造111の一部を形成している。
【0232】
第1低抵抗層119は、ゲート電極114のシート抵抗未満のシート抵抗を有する導電材料を含む。第1低抵抗層119のシート抵抗は、0.01Ω/□以上10Ω/□以下であってもよい。法線方向Zに関して、第1低抵抗層119の厚さは、ゲート電極114の厚さ未満であることが好ましい。第1低抵抗層119の厚さは、0.01μm以上3μm以下であってもよい。
【0233】
第1低抵抗層119は、具体的には、ポリサイド層を含む。ポリサイド層は、ゲート電極114の表層部を金属材料によってシリサイド化することによって形成されている。つまり、ゲート電極114の電極面は、第1低抵抗層119によって形成されている。ポリサイド層は、具体的には、ゲート電極114に添加されたp型不純物を含むp型ポリサイド層からなる。ポリサイド層は、10μΩ・cm以上110μΩ・cm以下の比抵抗を有していることが好ましい。
【0234】
ゲート電極114および第1低抵抗層119が埋め込まれたゲートトレンチ112内のシート抵抗は、ゲート電極114単体のシート抵抗以下である。ゲートトレンチ112内のシート抵抗は、n型不純物が添加されたn型ポリシリコンのシート抵抗以下であることが好ましい。ゲートトレンチ112内のシート抵抗は、第1低抵抗層119のシート抵抗に近似される。ゲートトレンチ112内のシート抵抗は、0.01Ω/□以上10Ω/□以下であってもよい。ゲートトレンチ112内のシート抵抗は、10Ω/□未満であることが好ましい。
【0235】
第1低抵抗層119は、TiSi、TiSi2、NiSi、CoSi、CoSi2、MoSi2およびWSi2のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。とりわけ、これらの種のうちのNiSi、CoSi2およびTiSi2は、比抵抗の値および温度依存性が比較的小さいことから、第1低抵抗層119を形成するポリサイド層として適している。第1低抵抗層119は、他の領域への拡散が少ない性質を有するCoSi2からなることが最も好ましい。
【0236】
第1低抵抗層119は、ゲート絶縁層113に接する接触部を含む。第1低抵抗層119の接触部は、具体的には、ゲート絶縁層113の第3領域117(膨出部118)に接している。これにより、第1低抵抗層119およびSiCエピタキシャル層7の間の電流パスを抑制できる。特に、第1低抵抗層119の接触部を、ゲート絶縁層113において比較的厚い角部に接続させる設計は、電流パスのリスクを低減する上で有効である。
【0237】
n型ポリシリコンとは相異なる仕事関数を有するp型ポリシリコンをゲートトレンチ112に埋め込むことにより、ゲート閾値電圧Vthを1V程度増加させることができる。しかし、p型ポリシリコンは、n型ポリシリコンのシート抵抗よりも数十倍(おおよそ20倍)高いシート抵抗を有している。そのため、p型ポリシリコンをゲート電極114の材料として採用した場合、ゲートトレンチ112内の寄生抵抗(以下、単に「ゲート抵抗」という。)の増加に伴ってエネルギ損失が増大する。
【0238】
そこで、SiC半導体装置101では、ゲート電極114(p型ポリシリコン)の上に第1低抵抗層119(p型ポリサイド)を形成している。第1低抵抗層119によれば、ゲート閾値電圧Vthの増加を許容させながら、ゲートトレンチ112内のシート抵抗を低減できる。
【0239】
たとえば、第1低抵抗層119を有する構造によれば、第1低抵抗層119を有さない構造と比較してシート抵抗を100分の1以下に低下させることができる。また、第1低抵抗層119を有する構造によれば、n型ポリシリコンを含むゲート電極114と比較してシート抵抗を5分の1以下に低下させることができる。
【0240】
これにより、ゲート抵抗を低減できるから、トレンチゲート構造111に沿って電流を効率的に拡散させることができる。つまり、第1低抵抗層119は、ゲートトレンチ112内に電流を拡散する電流拡散層として形成されている。特に、ミリメートルオーダの長さ(1mm以上の長さ)を有するゲートトレンチ112の場合には電流の伝達に時間を要するが、第1低抵抗層119によればスイッチング遅延を適切に抑制できる。
【0241】
また、第1低抵抗層119を有する構造によれば、ゲート閾値電圧Vthを高める上でSiCエピタキシャル層7内のp型不純物濃度を増加させなくて済む。よって、チャネル抵抗の増加を抑制しながら、ゲート閾値電圧Vthを適切に増加させることができる。
【0242】
SiC半導体装置101は、互いに隣り合う複数のトレンチゲート構造111の間の領域にそれぞれ形成された複数のトレンチソース構造121を含む。複数のトレンチソース構造121は、1つのトレンチゲート構造111を挟み込む態様で、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。
【0243】
複数のトレンチソース構造121は、第1方向Xに延びる帯状にそれぞれ形成されている。複数のトレンチソース構造121は、平面視において全体として第1方向Xに延びるストライプ状に形成されている。
【0244】
第2方向Yに関して、互いに隣り合うトレンチソース構造121の中央部間のピッチPSは、1μm以上5μm以下であってもよい。ピッチPSは、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、3μm以上4μm以下、または、4μm以上5μm以下であってもよい。ピッチPSは、1.5μm以上3μm以下であることが好ましい。
【0245】
各トレンチソース構造121は、ソーストレンチ122、ソース絶縁層123およびソース電極124を含む。図14では、ソース電極124がハッチングによって示されている。ソーストレンチ122は、SiCエピタキシャル層7に形成されている。ソーストレンチ122は、側壁および底壁を含む。ソーストレンチ122の長辺を形成する側壁は、SiC単結晶のa面によって形成されている。ソーストレンチ122の短辺を形成する側壁は、SiC単結晶のm面によって形成されている。
【0246】
ソーストレンチ122の底壁は、高濃度領域103に位置している。ソーストレンチ122の底壁は、ゲートトレンチ112の底壁に対して第2主面4側の領域に位置している。ソーストレンチ122の底壁は、法線方向Zに関して、ゲートトレンチ112の底壁および低濃度領域104の間の領域に位置している。
【0247】
ソーストレンチ122の底壁は、SiC単結晶のc面に面している。ソーストレンチ122の底壁は、SiC単結晶のc面に対してa軸方向に傾斜したオフ角を有している。ソーストレンチ122の底壁は、第1主面3に対して平行に形成されていてもよい。ソーストレンチ122の底壁は、第2主面4に向かう湾曲状に形成されていてもよい。
【0248】
ソーストレンチ122は、ゲートトレンチ112の第1深さD1を超える第2深さD2を有している。第1深さD1に対する第2深さD2の比DS/DGは、ソーストレンチ122が高濃度領域103内に位置するという条件において、1.5以上であってもよい。比DS/DGは、2以上であることが好ましい。
【0249】
第2深さD2は、0.5μm以上10μm以下であってもよい。第2深さD2は、0.5μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。第1深さD1とほぼ等しい第2深さD2を有するソーストレンチ122が形成されてもよい。
【0250】
ソーストレンチ122は、第1トレンチ部125および第2トレンチ部126を含む。第1トレンチ部125は、ソーストレンチ122の開口側に形成されている。第1トレンチ部125は、第2方向Yに関して第1幅W1を有している。第1トレンチ部125は、第1主面3から底壁側に向かって第1幅W1が狭まる先細り形状に形成されていてもよい。
【0251】
法線方向Zに関して、ゲートトレンチ112の底壁を横切る第1トレンチ部125が形成されていてもよい。つまり、第1トレンチ部125の深さは、ゲートトレンチ112の第1深さD1を超えていてもよい。
【0252】
第1トレンチ部125は、ゲートトレンチ112の底壁に対して第1主面3側の領域に形成されていることが好ましい。つまり、第1トレンチ部125の深さは、ゲートトレンチ112の第1深さD1未満であることが好ましい。第1トレンチ部125の深さは、0.1μm以上2μm以下であってもよい。第1トレンチ部125の深さは、0.1μm以上0.5μm以下、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。
【0253】
第1トレンチ部125の第1幅W1は、ゲートトレンチ112の幅以上であってもよいし、ゲートトレンチ112の幅未満であってもよい。第1幅W1は、ゲートトレンチ112の幅を超えていることが好ましい。第1幅W1は、0.1μm以上2μm以下であってもよい。第1幅W1は、0.1μm以上0.5μm以下、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。
【0254】
第2トレンチ部126は、ソーストレンチ122の底壁側に形成されている。第2トレンチ部126は、法線方向Zに関して、第1トレンチ部125およびSiCエピタキシャル層7の底部の間の領域に形成され、ゲートトレンチ112の底壁を横切っている。法線方向Zに関して、第1トレンチ部125を基準とした第2トレンチ部126の深さは、ゲートトレンチ112の第1深さD1を超えていることが好ましい。
【0255】
第2トレンチ部126は、第2方向Yに関して第1幅W1未満の第2幅W2を有している。第2幅W2は、第1幅W1未満という条件下において、ゲートトレンチ112の幅以上であってもよいし、ゲートトレンチ112の幅未満であってもよい。
【0256】
第2幅W2は、0.1μm以上2μm未満であってもよい。第2幅W2は、0.1μm以上2μm未満であってもよい。第2幅W2は、0.1μm以上0.5μm以下、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm未満であってもよい。むろん、第1幅W1とほぼ等しい第2幅W2を有する第2トレンチ部126が形成されてもよい。
【0257】
ソーストレンチ122の全体的な開口幅は、ゲートトレンチ112の開口幅と同程度に形成されていることが好ましい。ソーストレンチ122の開口幅がゲートトレンチ112の開口幅と同程度であるとは、ソーストレンチ122の開口幅が、ゲートトレンチ112の開口幅の±20%の範囲内に収まっていることをいう。
【0258】
第2トレンチ部126の側壁は、法線方向Zに延びていてもよい。SiCチップ2内において第2トレンチ部126の側壁が第1主面3に対して成す角度は、90°以上95°以下(たとえば91°以上93°以下)であってもよい。第2トレンチ部126の側壁は、第1主面3に対してほぼ垂直に形成されていてもよい。第2トレンチ部126は、第1トレンチ部125から底壁側に向かって第2幅W2が狭まる先細り形状に形成されていてもよい。
【0259】
ソース絶縁層123は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムまたは酸化タンタルのうちの少なくとも1つを含む。ソース絶縁層123は、酸化シリコン層および窒化シリコン層が任意の順で積層された積層構造を有していてもよい。ソース絶縁層123は、酸化シリコン層または窒化シリコン層からなる単層構造を有していてもよい。ソース絶縁層123は、この形態では、酸化シリコン層からなる単層構造を有している。
【0260】
ソース絶縁層123は、ソーストレンチ122の内壁に沿って膜状に形成され、ソーストレンチ122内においてリセス空間を区画している。ソース絶縁層123は、具体的には、第1トレンチ部125を露出させ、第2トレンチ部126を被覆するようにソーストレンチ122の内壁に沿って膜状に形成されている。
【0261】
これにより、ソース絶縁層123は、ソーストレンチ122の第2トレンチ部126内においてリセス空間を区画している。また、ソース絶縁層123は、ソーストレンチ122の第1トレンチ部125を露出させる側壁窓部127を有している。
【0262】
ソース絶縁層123は、第1領域128および第2領域129を含む。第1領域128は、ソーストレンチ122の側壁に沿って形成されている。第2領域129は、ソーストレンチ122の底壁に沿って形成されている。第1領域128の厚さは、第2領域129の厚さ未満である。第1領域128の厚さは、0.01μm以上0.2μm以下であってもよい。第2領域129の厚さは、0.05μm以上0.5μm以下であってもよい。
【0263】
第1領域128の厚さは、ゲート絶縁層113の第1領域128の厚さとほぼ等しくてもよい。第2領域129の厚さは、ゲート絶縁層113の第2領域129の厚さとほぼ等しくてもよい。一様な厚さを有するソース絶縁層123が形成されていてもよい。
【0264】
ソース電極124は、ソース絶縁層123を挟んでソーストレンチ122に埋設されている。ソース電極124は、具体的には、ソース絶縁層123を挟んでソーストレンチ122の第1トレンチ部125および第2トレンチ部126に埋設されている。
【0265】
ソース電極124は、ソーストレンチ122の底壁側において第2トレンチ部126によって区画されたリセス空間に埋設されている。ソース電極124は、ソーストレンチ122の開口側において側壁窓部127から露出する第1トレンチ部125の側壁に接する側壁コンタクト部130を有している。
【0266】
ソース電極124は、ソーストレンチ122の開口から露出する電極面を有している。ソース電極124の電極面は、ソーストレンチ122の底壁に向かって窪んだ湾曲状に形成されている。ソース電極124の電極面は、第1主面3に対して平行に形成されていてもよい。
【0267】
法線方向Zに関して、ソース電極124の厚さは、0.5μm以上10μm以下であってもよい。ソース電極124の厚さは、0.5μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。
【0268】
ソース電極124は、金属材料以外の導電材料からなる。ソース電極124は、導電性ポリシリコンからなることが好ましい。ソース電極124は、この形態では、p型不純物が添加されたp型ポリシリコンを含む。
【0269】
ソース電極124のp型不純物濃度は、1.0×1018cm-3以上1.0×1022cm-3以下であってもよい。ソース電極124のp型不純物濃度は、ゲート電極114のp型不純物濃度と等しいことが好ましい。ソース電極124のp型不純物は、ホウ素、アルミニウム、インジウムおよびガリウムのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0270】
SiC半導体装置101は、ソース電極124を被覆する第2低抵抗層131を含む。第2低抵抗層131は、ソーストレンチ122内においてソース電極124を被覆している。第2低抵抗層131は、トレンチソース構造121の一部を形成している。第2低抵抗層131は、第1低抵抗層119と同様の構造を有している。第2低抵抗層131の説明については、第1低抵抗層119の説明が準用される。
【0271】
SiC半導体装置101は、アクティブ領域10において第1主面3の表層部に形成されたp型のボディ領域141を含む。ボディ領域141は、アクティブ領域10を画定している。ボディ領域141のp型不純物濃度は、ゲート電極114のp型不純物濃度未満である。ボディ領域141のp型不純物濃度は、ソース電極124のp型不純物濃度未満である。ボディ領域141のp型不純物濃度のピーク値は、1.0×1017cm-3以上1.0×1019cm-3以下であってもよい。
【0272】
ボディ領域141は、第1主面3の表層部において、ゲートトレンチ112の側壁およびソーストレンチ122の側壁を被覆している。ボディ領域141は、ゲートトレンチ112の底壁に対して第1主面3側の領域に形成されている。ボディ領域141は、ゲート絶縁層113を挟んでゲート電極114に対向している。
【0273】
ボディ領域141は、さらに、ソーストレンチ122の第2トレンチ部126に対して第1トレンチ部125側の領域に形成されている。ボディ領域141は、ソーストレンチ122の第1トレンチ部125を被覆している。
【0274】
ボディ領域141は、ソーストレンチ122の第1トレンチ部125から露出するソース電極124の側壁コンタクト部130に接続されている。これにより、ボディ領域141は、SiCチップ2内においてソース接地されている。ボディ領域141は、第2トレンチ部126の一部を被覆していてもよい。この場合、ボディ領域141は、ソース絶縁層123の一部を挟んでソース電極124に対向していてもよい。
【0275】
SiC半導体装置101は、ボディ領域141の表層部に形成されたn+型のソース領域142を含む。ソース領域142は、ゲートトレンチ112に沿って形成されている。ソース領域142のn型不純物濃度のピーク値は、高濃度領域103のn型不純物濃度のピーク値を超えている。ソース領域142のn型不純物濃度のピーク値は、1.0×1018cm-3以上1.0×1021cm-3以下であってもよい。
【0276】
ソース領域142は、ボディ領域141の表層部においてゲートトレンチ112の側壁およびソーストレンチ122の側壁を被覆している。ソース領域142は、ゲート絶縁層113を挟んでゲート電極114に対向している。ソース領域142は、ゲート絶縁層113を挟んで第1低抵抗層119に対向していることが好ましい。
【0277】
ソース領域142は、さらに、ソーストレンチ122の第2トレンチ部126に対して第1トレンチ部125側の領域に形成されている。ソース領域142は、ソーストレンチ122の第1トレンチ部125を被覆している。ソース領域142は、ソーストレンチ122の第1トレンチ部125から露出するソース電極124の側壁コンタクト部130に接続されている。これにより、ソース領域142は、SiCチップ2内においてソース接地されている。
【0278】
ソース領域142においてゲートトレンチ112の側壁に沿う部分は、ボディ領域141内において高濃度領域103との間でMISFET102のチャネルを画定している。チャネルのON/OFFは、ゲート電極114によって制御される。
【0279】
SiC半導体装置101は、アクティブ領域10において第1主面3の表層部に形成されたp+型の複数のコンタクト領域143を含む。各コンタクト領域143のp型不純物濃度のピーク値は、ボディ領域141のp型不純物濃度のピーク値を超えている。各コンタクト領域143のp型不純物濃度のピーク値は、1.0×1018cm-3以上1.0×1021cm-3以下であってもよい。
【0280】
複数のコンタクト領域143は、複数のソーストレンチ122に沿う領域にそれぞれ形成されている。複数のコンタクト領域143は、具体的には、対応する1つのソーストレンチ122に対して1対複数の関係で形成されている。複数のコンタクト領域143は、対応する1つのソーストレンチ122に間隔を空けてそれぞれ形成されている。複数のコンタクト領域143は、ゲートトレンチ112から間隔を空けてそれぞれ形成されている。
【0281】
各コンタクト領域143は、対応するソーストレンチ122の第1トレンチ部125を被覆している。各コンタクト領域143は、対応するソーストレンチ122の第1トレンチ部125において、ソース電極124の側壁コンタクト部130およびソース領域142の間に介在している。各コンタクト領域143は、さらに、対応するソーストレンチ122の第1トレンチ部125において、ソース電極124の側壁コンタクト部130およびボディ領域141の間に介在している。
【0282】
これにより、各コンタクト領域143は、ソース電極124、ボディ領域141およびソース領域142に電気的に接続されている。また、各コンタクト領域143は、SiCチップ2内においてソース接地されている。
【0283】
各コンタクト領域143において第1トレンチ部125を被覆する部分は、ゲートトレンチ112に向けて引き出されている。各コンタクト領域143においてソーストレンチ122の第1トレンチ部125を被覆する部分は、ボディ領域141の底部に対して第1主面3側の領域に形成されている。各コンタクト領域143において第1トレンチ部125を被覆する部分は、ゲートトレンチ112およびソーストレンチ122の間の中間領域まで延びていてもよい。
【0284】
各コンタクト領域143は、さらに、対応するソーストレンチ122の第2トレンチ部126を被覆している。各コンタクト領域143は、対応するソーストレンチ122の第2トレンチ部126において、ソース絶縁層123を挟んでソース電極124に対向している。
【0285】
各コンタクト領域143は、さらに、対応するソーストレンチ122の底壁を被覆している。各コンタクト領域143は、対応するソーストレンチ122の底壁を挟んでソース電極124に対向している。各コンタクト領域143の底部は、対応するソーストレンチ122の底壁に対して平行に形成されていてもよい。
【0286】
SiC半導体装置101は、アクティブ領域10において第1主面3の表層部に形成されたp型の複数のディープウェル領域144を含む。各ディープウェル領域144のp型不純物濃度のピーク値は、コンタクト領域143のp型不純物濃度のピーク値未満である。
【0287】
各ディープウェル領域144のp型不純物濃度のピーク値は、ボディ領域141のp型不純物濃度のピーク値以上であってもよいし、ボディ領域141のp型不純物濃度のピーク値未満であってもよい。各ディープウェル領域144のp型不純物濃度のピーク値は、1.0×1017cm-3以上1.0×1019cm-3以下であってもよい。
【0288】
複数のディープウェル領域144は、複数のソーストレンチ122に対して1対1対応の関係で形成されている。各ディープウェル領域144は、平面視において対応するソーストレンチ122に沿って延びる帯状に形成されている。
【0289】
各ディープウェル領域144は、高濃度領域103に形成されている。各ディープウェル領域144は、ボディ領域141に対して第2主面4側の領域に形成されている。各ディープウェル領域144は、ボディ領域141に連なっている。
【0290】
各ディープウェル領域144は、対応するソーストレンチ122の第2トレンチ部126を被覆する部分を含む。各ディープウェル領域144は、コンタクト領域143を挟んで対応するソーストレンチ122の第2トレンチ部126を被覆する部分を含む。
【0291】
各ディープウェル領域144は、さらに、対応するソーストレンチ122の底壁を被覆する部分を含む。各ディープウェル領域144は、コンタクト領域143を挟んで対応するソーストレンチ122の底壁を被覆する部分を含む。
【0292】
各ディープウェル領域144は、ゲートトレンチ112の底壁に対して第2主面4側に位置する底部を有している。各ディープウェル領域144の底部は、各ソーストレンチ122の底壁に対して平行に形成されていてもよい。複数のディープウェル領域144は、一定の深さで形成されていることが好ましい。
【0293】
各ディープウェル領域144は、高濃度領域103との間でpn接合部を形成している。このpn接合部からは、ゲートトレンチ112に向けて空乏層が拡がる。空乏層は、ゲートトレンチ112の底壁にオーバラップしてもよい。
【0294】
pn接合ダイオードだけを備えるSiC半導体装置101では、トレンチを備えていないという構造上、SiCチップ2内における電界集中の問題は少ない。各ディープウェル領域144は、トレンチゲート型のMISFET102をpn接合ダイオードの構造に近づける。
【0295】
これにより、トレンチゲート型のMISFET102において、SiCチップ2内における電界を緩和できる。また、ゲートトレンチ112の底壁に対して第2主面4側に底部を有するディープウェル領域144によれば、空乏層によって、ゲートトレンチ112に対する電界集中を適切に緩和できる。互いに隣り合う複数のソーストレンチ122(ディープウェル領域144)の間のピッチPSを狭めることは、電界集中を緩和し、耐圧を向上させる上で有効である。
【0296】
複数のディープウェル領域144は、一定の深さで形成されていることが好ましい。これにより、SiCチップ2の耐圧(たとえば破壊耐量)が各ディープウェル領域144によって制限されることを抑制できるから、耐圧の向上を適切に図ることができる。
【0297】
ソーストレンチ122を利用することにより、SiCチップ2の比較的深い領域にディープウェル領域144を適切に形成できる。また、ソーストレンチ122に沿ってディープウェル領域144を形成できるから、複数のディープウェル領域144の深さにバラツキが生じるのを適切に抑制できる。
【0298】
また、この形態では、高濃度領域103の一部が、互いに隣り合う複数のディープウェル領域144の間の領域に介在している。これにより、互いに隣り合う複数のディープウェル領域144の間の領域において、JFET(Junction Field Effect Transistor)抵抗を低減できる。
【0299】
また、この形態では、各ディープウェル領域144の底部が高濃度領域103に位置している。これにより、高濃度領域103における各ディープウェル領域144の直下の領域において第1主面3に対して平行な横方向に電流経路を形成できる。その結果、電流拡がり抵抗を低減できる。低濃度領域104は、このような構造において、SiCチップ2の耐圧を高める。
【0300】
層間絶縁層30は、この形態では、アクティブ領域10においてソース領域142およびコンタクト領域143を被覆している。層間絶縁層30は、具体的には、アクティブ領域10において第2方向Yに沿う断面視においてソース領域142の全域およびコンタクト領域143の全域を被覆している。また、層間絶縁層30は、平面視においてソース領域142の全域およびコンタクト領域143の全域を被覆している。
【0301】
層間絶縁層30は、さらに具体的には、アクティブ領域10においてソーストレンチ122の第1トレンチ部125を横切ってソース電極124を被覆している。層間絶縁層30は、第1主面3の上においてソース電極124の側壁コンタクト部130を被覆している。
【0302】
層間絶縁層30は、ソース孔151を含む。ソース孔151は、アクティブ領域10においてソース電極124を露出させている。ソース孔151は、トレンチソース構造121に沿って延びる帯状に形成されていてもよい。ソース孔151は、具体的には、平面視においてソーストレンチ122(第1トレンチ部125)の側壁によって取り囲まれた領域内に形成されている。
【0303】
ソース孔151は、ソーストレンチ122(第1トレンチ部125)の側壁からソーストレンチ122の内方に間隔を空けてソース電極124を露出させている。ソース孔151は、ソース電極124のみを露出させている。ソース孔151の開口エッジ部は、ソース孔151内に向かう湾曲状に形成されている。
【0304】
ソース電極124の電極面には、ソーストレンチ122の底壁に向かって窪んだリセス152が形成されている。リセス152は、トレンチソース構造121に沿って延びる帯状に形成されていてもよい。リセス152は、平面視においてソーストレンチ122(第1トレンチ部125)の側壁によって取り囲まれた領域内に形成されている。
【0305】
リセス152は、ソーストレンチ122(第1トレンチ部125)の側壁からソーストレンチ122の内方に間隔を空けて形成されている。リセス152は、第2低抵抗層131を露出させている。リセス152は、第2低抵抗層131を貫通していてもよい。ソース孔151は、ソース電極124のリセス152に連通している。
【0306】
第1主面電極32は、この形態では、SiCチップ2側からこの順に積層されたバリア層153および本体層154を含む積層構造を有している。
【0307】
バリア層153は、Ti層およびTiN層のうちの少なくとも1を含むことが好ましい。バリア層153は、SiCチップ2側からこの順に積層されたTi層およびTiN層を含む積層構造を有していることが好ましい。バリア層153は、Ti層またはTiN層からなる単層構造を有していてもよい。
【0308】
バリア層153の厚さは、0.01μm以上6μm以下であってもよい。バリア層153の厚さは、0.01μm以上0.1μm以下、0.1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、または、4μm以上6μm以下であってもよい。
【0309】
本体層154は、バリア層153の抵抗値未満の抵抗値を有している。本体層154は、純Al層、AlSi合金層、AlCu合金層およびAlSiCu合金層のうちの少なくとも1つを含む。
【0310】
本体層154の厚さは、バリア層153の厚さを超えている。本体層154の厚さは、0.05μm以上10μm以下であってもよい。本体層154の厚さは、0.05μm以上0.1μm以下、0.1μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。
【0311】
第1主面電極32は、ゲート主面電極155およびソース主面電極156を含む。ゲート主面電極155には、ゲート電圧が印加される。ゲート電圧は、10V以上50V以下(たとえば30V程度)であってもよい。ソース主面電極156には、ソース電圧が印加される。ソース電圧は、基準電圧(たとえばGND電圧)であってもよい。
【0312】
ゲート主面電極155は、アクティブ領域10に形成されている。ゲート主面電極155は、ゲートパッド157およびゲートフィンガー158を含む。ゲートパッド157は、平面視において第1側面5A側の領域に形成されている。
【0313】
ゲートパッド157は、具体的には、平面視において第1側面5Aの中央部に沿う領域に沿って形成されている。ゲートパッド157は、平面視において側面5A~5Dのうちの任意の2つを接続する角部に沿う領域に形成されていてもよい。ゲートパッド157は、平面視において四角形状に形成されていてもよい。
【0314】
ゲートフィンガー158は、ゲートパッド157から引き出されており、アクティブ領域10の周縁に沿って帯状に延びている。ゲートフィンガー158は、この形態では、第1側面5A、第3側面5Cおよび第4側面5Dに沿って延び、アクティブ領域10の内方を3方向から区画している。
【0315】
ゲートフィンガー158は、層間絶縁層30を介してゲート電極114に電気的に接続されている。ゲートパッド157からの電気信号は、ゲートフィンガー158を介してゲート電極114に伝達される。
【0316】
ソース主面電極156は、ゲート主面電極155から間隔を空けてアクティブ領域10に形成されている。ソース主面電極156は、ゲート主面電極155によって区画されたC字形状の領域を被覆するように、平面視においてC字形状に形成されている。
【0317】
ソース主面電極156は、ソース孔151を介してソース電極124に電気的に接続されている。つまり、この形態では、金属材料からなるソース主面電極156が導電性ポリシリコンからなるソース電極124に電気的に接続されている。
【0318】
絶縁層40は、この形態では、ゲート主面電極155およびソース主面電極156を選択的に被覆している。絶縁層40のパッド開口41は、ゲートパッド開口159およびソースパッド開口160を含む。ゲートパッド開口159およびソースパッド開口160は、パッシベーション層45の第1開口47および樹脂層46の第2開口48によってそれぞれ形成されている。
【0319】
ゲートパッド開口159は、ゲート主面電極155のゲートパッド157を露出させている。ゲートパッド開口159の平面形状は、任意である。ソースパッド開口160は、ソース主面電極156を露出させている。ソースパッド開口160の平面形状は、任意である。
【0320】
パッド電極49は、この形態では、ゲートパッド電極161およびソースパッド電極162を含む。ゲートパッド電極161は、ゲートパッド開口159内においてゲート主面電極155の上に形成されている。ゲートパッド電極161は、ゲート主面電極155に電気的に接続されている。ゲートパッド電極161は、導線に外部接続されるゲート端子面163を有している。
【0321】
ゲート端子面163は、絶縁層40(樹脂層46)の主面に対してゲート主面電極155側に位置している。ゲート端子面163は、絶縁層40(樹脂層46)の主面よりも上方に突出していてもよい。ゲート端子面163は、絶縁層40(樹脂層46)の主面を被覆するオーバラップ部を有していてもよい。
【0322】
ソースパッド電極162は、ソースパッド開口160内においてソース主面電極156の上に形成されている。ソースパッド電極162は、ソース主面電極156に電気的に接続されている。ソースパッド電極162は、導線に外部接続されるソース端子面164を有している。
【0323】
ソース端子面164は、絶縁層40(樹脂層46)の主面に対してソース主面電極156側に位置している。ソース端子面164は、絶縁層40(樹脂層46)の主面よりも上方に突出していてもよい。ソース端子面164は、絶縁層40(樹脂層46)の主面を被覆するオーバラップ部を有していてもよい。
【0324】
以上、SBD12に代えてMISFET102を含むSiC半導体装置101が製造される場合であっても、SiC半導体装置1と同様の効果を奏することができる。SiC半導体装置101の説明中には明記されていないが、絶縁層40の厚さや傾斜角θ1、θ2、ダイシングストリート43の幅WD、パッド電極49等の構造は、第1実施形態と同様の構成を適用できる。
【0325】
本発明はさらに他の形態で実施できる。
【0326】
前述の各実施形態では、絶縁層40がパッシベーション層45および樹脂層46を含む積層構造を有している例について説明した。しかし、絶縁層40は、パッシベーション層45または樹脂層46からなる単層構造を有していてもよい。
【0327】
前述の第1実施形態では、n型のダイオード領域13が形成された例について説明した。しかし、n型のダイオード領域13に代えてp型のダイオード領域13が採用されてもよい。この場合、SBD12に代えてpn接合ダイオードを提供できる。
【0328】
前述の第2実施形態では、第1低抵抗層119および第2低抵抗層131が形成されたれについて説明した。しかし、第1低抵抗層119および第2低抵抗層131のいずれか一方または双方が形成されていない構造が採用されてもよい。
【0329】
前述の第2実施形態では、p型不純物が添加されたp型ポリシリコンを含むゲート電極114が形成された例について説明した。しかし、ゲート閾値電圧Vthの増加を重視しない場合には、ゲート電極114は、p型ポリシリコンに代えて、n型不純物が添加されたn型ポリシリコンを含んでいてもよい。
【0330】
この場合、第1低抵抗層119は、ゲート電極114(n型ポリシリコン)において表層部を形成する部分を金属材料によってシリサイド化することによって形成されていてもよい。つまり、第1低抵抗層119は、n型ポリサイドを含んでいてもよい。このような構造の場合、ゲート抵抗を低減できる。むろん、第1低抵抗層119は、形成されなくてもよい。
【0331】
前述の第2実施形態では、p型不純物が添加されたp型ポリシリコンを含むソース電極124が形成された例について説明した。しかし、p型ポリシリコンに代えて、n型不純物が添加されたn型ポリシリコンを含んでいてもよい。
【0332】
この場合、第2低抵抗層131は、ソース電極124(n型ポリシリコン)において表層部を形成する部分を金属材料によってシリサイド化することによって形成されていてもよい。つまり、第2低抵抗層131は、n型ポリサイドを含んでいてもよい。むろん、第2低抵抗層131は、形成されなくてもよい。
【0333】
前述の第2実施形態では、MISFET102が形成された例について説明した。しかし、n+型のドレイン領域に代えてp+型のコレクタ領域が採用されてもよい。この構造によれば、MISFET102に代えて、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を提供できる。この場合、前述の各実施形態において、MISFET102の「ソース」がIGBTの「エミッタ」に読み替えられ、MISFET102の「ドレイン」がIGBTの「コレクタ」に読み替えられる。
【0334】
前述の各実施形態において、各半導体部分の導電型が反転された構造が採用されてもよい。つまり、p型の部分がn型とされ、n型の部分がp型とされてもよい。
【0335】
前述の各実施形態では、第1方向XがSiC単結晶のm軸方向であり、第2方向YがSiC単結晶のa軸方向である例について説明した。しかし、第1方向XがSiC単結晶のa軸方向であり、第2方向YがSiC単結晶のm軸方向である形態が採用されてもよい。
【0336】
前述の各実施形態では、絶縁層40(樹脂層46)によるレーザ光の干渉を抑制するため、ダイシングストリート43の幅WDを、SiCチップ2の厚さTCの5%以上25%以下に設定した。つまり、ダイシングストリート91の幅WD2を、SiCウエハ62の最終的な厚さTWの10%以上50%以下に設定した。
【0337】
しかし、レーザ光が絶縁層40を介してSiCウエハ62(SiCチップ2)に照射されるように、ダイシングストリート43の幅WD(ダイシングストリート91の幅WD2)が設定されてもよい。
【0338】
この場合、ダイシングストリート43の幅WD(ダイシングストリート91の幅WD2)をさらに低減できる。たとえば、SiCウエハ62の劈開部の最大蛇行幅(絶対値)は10μm以下(具体的には、5μm以下)であるため、ダイシングストリート91の幅WD2を5μm以上20μm以下に設定できる。つまり、ダイシングストリート43の幅WDを2.5μm以上10μm以下に設定できる。
【0339】
これにより、SiCウエハ62に占めるチップ領域71を増加させることができるから、1枚のSiCウエハ62から取得可能なSiC半導体装置1の取れ数を増加させることができる。
【0340】
ただし、この場合、互いに隣り合う複数のチップ領域71の間で互いに隣り合う第1主面電極32の間の距離は、SiCチップ2の厚さTC(SiCウエハ62の最終的な厚さTW)の40%以上に設定される必要がある。つまり、第1主面電極32の周縁から側面5A~5Dの距離は、SiCチップ2の厚さTC(SiCウエハ62の最終的な厚さTW)の20%以上に設定される必要がある。
【0341】
第1主面電極32のさらに外側には、第1主面電極32とは異なる金属層の一例としてのフィールドプレート(フィールド電極)や等電位電極等の耐圧構造が形成されていてもよい。この場合、第1主面電極32の形成工程時または第1主面電極32の形成工程前後において、各チップ領域71における第1主面電極32の外側の領域にフィールドプレートや等電位電極等の金属層を形成する工程を実施すればよい。
【0342】
この場合、互いに隣り合う複数のチップ領域71の間で互いに隣り合う複数の金属層の間の距離は、SiCチップ2の厚さTC(SiCウエハ62の最終的な厚さTW)の40%以上に設定される必要がある。つまり、金属層の周縁から側面5A~5Dの距離は、SiCチップ2の厚さTC(SiCウエハ62の最終的な厚さTW)の20%以上に設定される必要がある。
【0343】
この場合、絶縁層40は、平坦な主面を有していることが好ましい。第1主面電極32のさらに外側にフィールドプレートや等電位電極等の耐圧構造が形成されている場合、絶縁層40の主面には、層間絶縁層30やフィールドプレート等を反映させた凹凸構造が形成されるため、レーザ光を所望の位置に精度良く集光することが困難になる虞がある。したがって、絶縁層40の主面を平坦化することによって、このような問題を抑制できる。
【0344】
以下、この明細書および図面から抽出される特徴例を示す。
【0345】
[A1]SiC半導体層、前記SiC半導体層の上に形成された主面電極、および、前記SiC半導体層の上において前記主面電極を部分的に被覆する絶縁層を備えたSiC半導体装置の製造方法であって、主面を有するSiCウエハを用意する工程と、前記SiCウエハの前記主面にメインチップ領域およびダミーチップ領域を含む複数のチップ領域を区画する工程と、各チップ領域に主面電極を形成する工程と、各前記主面電極を部分的に被覆し、各前記チップ領域の外周をダイシングラインとして露出させる絶縁層を形成する工程と、前記ダイシングラインに沿ってレーザ光を照射し、前記SiCウエハの内部に前記ダイシングラインに沿う改質領域を形成する工程と、前記SiCウエハに外力を加え、前記改質領域を起点に前記SiCウエハを劈開する工程と、を含み、前記主面電極は、前記ダイシングラインを避けた領域に形成される、SiC半導体装置の製造方法。
【0346】
このSiC半導体装置の製造方法によれば、主面電極によるレーザ光の干渉を抑制できる。これにより、SiCウエハにおける所望の領域に改質領域を適切に形成できる。その結果、SiCウエハを適切に劈開できる。
【0347】
[A2]前記ダミーチップ領域において各前記チップ領域で実施される各工程の適否を評価するテスト工程をさらに含む、A1に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0348】
[A3]前記絶縁層を形成する工程において、金属パターンが存在しない前記ダイシングストリートが露出される、A1またはA2に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0349】
[A4]前記チップ領域の区画工程は、平面視において四隅にアライメントパターンがそれぞれ形成された四角形状の複数の前記チップ領域を区画する工程を含む、A1~A3のいずれか一つに記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0350】
[A5]前記アライメントパターンは、前記ダイシングラインにおいてレーザ光が照射される位置を避けて配置される、A4に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0351】
[A6]前記アライメントパターンは、エッチング法によって、前記SiCウエハの前記主面を除去することによって形成される、A4またはA5に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0352】
[B1]SiC半導体層、前記SiC半導体層の上に形成された主面電極、および、前記SiC半導体層の上において前記主面電極を部分的に被覆する絶縁層を備えたSiC半導体装置の製造方法であって、主面を有するSiCウエハを用意する工程と、前記SiCウエハの前記主面にメインチップ領域およびダミーチップ領域を含む複数のチップ領域を区画する工程と、各チップ領域に主面電極を形成する工程と、各前記主面電極を部分的に被覆し、各前記チップ領域の外周をダイシングラインとして露出させる絶縁層を形成する工程と、前記ダイシングラインに沿ってレーザ光を照射し、前記SiCウエハの内部に前記ダイシングラインに沿う改質領域を形成する工程と、前記SiCウエハに外力を加え、前記改質領域を起点に前記SiCウエハを劈開する工程と、を含み、前記絶縁層を形成する工程は、前記絶縁層の周縁が斜面となるように前記絶縁層を形成する工程を含む、SiC半導体装置の製造方法。
【0353】
このSiC半導体装置の製造方法によれば、絶縁層によるレーザ光の干渉を抑制できる。これにより、SiCウエハにおける所望の領域に改質領域を適切に形成できる。その結果、SiCウエハを適切に劈開できる。
【0354】
[B2]前記SiCウエハの前記主面に対する前記絶縁層の前記傾斜面の傾斜角度が、30°以上60°以下である、B1に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0355】
[B3]前記SiCウエハの前記主面に対する前記絶縁層の前記傾斜面の傾斜角度が、40°以上50°以下である、B1またはB2に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0356】
[B4]前記絶縁層の前記傾斜面は、前記SiCウエハの前記主面に向かって窪んだ湾曲形状に形成される、B1~B3のいずれか一つに記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0357】
[B5]前記SiCウエハの厚さの20%以上の幅を有する前記ダイシングラインが形成される、B1~B4のいずれか一つに記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0358】
[B6]前記主面電極の上に前記絶縁層の前記傾斜面にオーバラップするパッド電極を形成する工程をさらに含む、B1~B5のいずれか一つに記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0359】
[B7]200μm以下の厚さを有する前記SiCウエハが用意される、B1~B6のいずれか一つに記載のSiC半導体装置の製造方法。SiCウエハの厚さは、SiCウエハの劈開工程時の厚さを意味する。
【0360】
[C1]SiC半導体層、前記SiC半導体層の上に形成された主面電極、および、前記SiC半導体層の上において前記主面電極を部分的に被覆する絶縁層を備えたSiC半導体装置の製造方法であって、主面を有するSiCウエハを用意する工程と、前記SiCウエハの前記主面にメインチップ領域およびダミーチップ領域を含む複数のチップ領域を区画する工程と、各チップ領域に主面電極を形成する工程と、各前記主面電極を部分的に被覆し、各前記チップ領域の外周をダイシングラインとして露出させる絶縁層を形成する工程と、前記ダイシングラインに沿ってレーザ光を照射し、前記SiCウエハの内部に前記ダイシングラインに沿う改質領域を形成する工程と、前記SiCウエハに外力を加え、前記改質領域を起点に前記SiCウエハを劈開する工程と、を含み、前記改質領域の形成工程は、前記絶縁層を介して前記SiCウエハの内部にレーザ光を照射する工程を含む、SiC半導体装置の製造方法。
【0361】
[C2]5μm以上20μm以下の幅を有する前記ダイシングラインが形成される、C1に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0362】
[C3]互いに隣り合う複数の前記チップ領域の間で隣り合う複数の前記主面電極の間の距離は、前記SiCウエハの厚みの40%以上である、C1またはC2に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0363】
[C4]各前記チップ領域において前記主面電極の外側の領域に金属層を形成する工程をさらに含み、互いに隣り合う複数の前記チップ領域の間で隣り合う複数の前記金属層の間の距離は、前記SiCウエハの厚みの40%以上である、C1~C3のいずれか一つに記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0364】
[C5]200μm以下の厚さを有する前記SiCウエハが用意される、C1~C4のいずれか一つに記載のSiC半導体装置の製造方法。SiCウエハの厚さは、SiCウエハの劈開工程時の厚さを意味する。
【0365】
[D1]主面を有し、SiC単結晶からなるSiCウエハを用意する工程と、機能デバイスが形成される第1チップ領域、および、前記第1チップ領域のプロセス管理を行うモニタパターンが形成される第2チップ領域を含む複数のチップ領域を区画する切断予定ラインを前記主面に設定する工程と、前記切断予定ラインを露出させるように複数の前記チップ領域をそれぞれ被覆し、前記機能デバイスの一部および前記モニタパターンの一部をそれぞれ形成する複数の主面電極を前記主面の上に形成する工程と、複数の前記主面電極から露出する前記切断予定ラインにレーザ光を照射し、SiC単結晶とは異なる性質に改質した改質領域を形成する工程と、前記改質領域を起点に前記SiCウエハを劈開する工程と、を含む、SiC半導体装置の製造方法。
【0366】
[D2]前記改質領域の形成工程に先立って、複数の前記主面電極を部分的に被覆し、互いに隣り合う複数の前記チップ領域の間の領域において前記切断予定ラインを露出させるダイシングストリートを区画する複数の絶縁層を前記主面の上に形成する工程をさらに含み、前記レーザ光は、前記ダイシングストリートから露出する前記切断予定ラインに照射される、D1に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0367】
[D3]前記ダイシングストリートを区画する傾斜面をそれぞれ有する複数の前記絶縁層が形成される、D2に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0368】
[D4]複数の前記絶縁層は、湾曲状に窪んだ前記傾斜面をそれぞれ有している、D3に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0369】
[D5]前記ダイシングストリートは、前記SiCウエハの厚さの10%以上50%以下の幅を有している、D2~D4のいずれか一つに記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0370】
[D6]複数の前記絶縁層は、樹脂層を含む、D2~D5のいずれか一つに記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0371】
[D7]前記切断予定ラインの設定工程は、前記切断予定ラインを画定する複数のアライメントパターンを前記主面に形成する工程を含む、D1~D6のいずれか一つに記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0372】
[D8]前記切断予定ラインは、複数の前記アライメントパターンから間隔を空けて、近接する複数の前記アライメントパターンの間の領域に画定される、D7に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0373】
[D9]複数の前記アライメントパターンが配置された周縁部をそれぞれ有する複数の前記チップ領域が設定され、複数の前記アライメントパターンが複数の前記チップ領域に残存するように、前記SiCウエハが劈開される、D7またはD8に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0374】
[D10]前記アライメントパターンの形成工程は、前記主面にトレンチを形成する工程を含む、D7~D9のいずれか一つに記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0375】
[D11]前記切断予定ラインの設定工程の後、前記主面電極の形成工程に先立って、前記主面の上に層間絶縁層を形成する工程をさらに含み、前記主面電極は、前記層間絶縁層の上に形成される、D1~D10のいずれか一つに記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0376】
[D12]前記切断予定ラインを被覆する前記層間絶縁層が形成され、前記レーザ光は、前記層間絶縁層を介して前記SiCウエハに照射され、前記SiCウエハは、前記層間絶縁層と共に劈開される、D11に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0377】
[D13]複数の前記チップ領域を行列状に区画する格子状の前記切断予定ラインが設定される、D1~D12のいずれか一つに記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0378】
[D14]複数の前記チップ領域をSiC単結晶のa軸方向およびm軸方向に整列した行列状に区画し、SiC単結晶のa軸方向およびm軸方向に延びる格子状の前記切断予定ラインが設定され、前記SiCウエハは、SiC単結晶のa軸方向およびm軸方向に沿って劈開される、D1~D13のいずれか一つに記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0379】
[D15]1つまたは複数の前記第1チップ領域を挟んでSiC単結晶のa軸方向に対向する複数の前記第2チップ領域を含む、D14に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0380】
[D16]1つまたは複数の前記第1チップ領域を挟んでSiC単結晶のm軸方向に対向する複数の前記第2チップ領域を含む、D14またはD15に記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0381】
[D17]前記第1チップ領域の個数は、100個以上10000個以下であり、前記第2チップ領域の個数は、1個以上20個以下である、D1~D16のいずれか一つに記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0382】
[D18]前記第1チップ領域は、モニタパターンを有さない、D1~D17のいずれか一つに記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0383】
[D19]SiC基板およびSiCエピタキシャル層を含み、前記SiCエピタキシャル層からなる前記主面を有する前記SiCウエハが用意される、D1~D18のいずれか一つに記載のSiC半導体装置の製造方法。
【0384】
[D20]平面視において四角形状にそれぞれ形成された第1主面および第2主面、ならびに、前記第1主面および前記第2主面をそれぞれ接続し、劈開面からそれぞれなる4つの側面を有するSiCチップと、各前記側面に形成され、SiC単結晶とは異なる性質に改質された改質領域と、平面視において各前記側面から内方に間隔を空けて前記第1主面の周縁部に形成されたアクセサリパターンとしてのアライメントパターンと、各前記側面から内方に間隔を空けて前記第1主面の上に形成され、平面視において前記アライメントパターンを露出させる主面電極と、各前記側面から内方に間隔を空けて前記第1主面の上に形成され、前記主面電極を部分的に被覆し、平面視において前記側面との間で前記アライメントパターンを露出させるダイシングストリートを区画する絶縁層と、を含み、平面視において前記ダイシングストリート内に位置する前記第1主面の周縁部には、前記アライメントパターン以外のアクセサリパターンは形成されていない、SiC半導体装置。
【0385】
[D21]前記アライメントパターンは、平面視において前記第1主面の角部に形成されている、D20に記載のSiC半導体装置。
【0386】
[D22]前記アライメントパターンは、前記第1主面に形成されたトレンチを含む、D20またはD21に記載のSiC半導体装置。
【0387】
[D23]前記アライメントパターンは、前記トレンチに埋設された絶縁体を含む、D22に記載のSiC半導体装置。
【0388】
[D24]前記第1主面の上に形成され、前記アライメントパターンを被覆する層間絶縁層をさらに含み、前記主面電極は、前記層間絶縁層の上に形成され、前記絶縁層は、前記層間絶縁層の上に形成されている、D20~D23のいずれか一つに記載のSiC半導体装置。
【0389】
この出願は、2019年6月17日に日本国特許庁に提出された特願2019-112287号に対応しており、この出願の全開示はここに引用により組み込まれる。本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0390】
1 SiC半導体装置
2 SiCチップ
3 第1主面
4 第2主面
5A 側面
5B 側面
5C 側面
5D 側面
7 SiCエピタキシャル層
8A 改質領域
8B 改質領域
8C 改質領域
8D 改質領域
20 アライメントパターン
26 アライメントトレンチ
27 絶縁体
30 層間絶縁層
32 第1主面電極
41 絶縁層
44 傾斜面
46 樹脂層
62 SiCウエハ
63 第1ウエハ主面
71 チップ領域
71A 第1チップ領域
71B 第2チップ領域
72 切断予定ライン
73 モニタパターン
90 ダイシングストリート
93 改質領域
101 SiC半導体装置
図1
図2
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