(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147606
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】新規なイントロン断片
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20241008BHJP
C12N 15/67 20060101ALI20241008BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20241008BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20241008BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20241008BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20241008BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241008BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20241008BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20241008BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20241008BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241008BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20241008BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20241008BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20241008BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
C12N15/11 Z ZNA
C12N15/67 Z
C12N15/86 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N7/01
C12N15/864 100Z
C12N15/12
A61K48/00
A61P3/10
A61P27/02
A61K35/76
A61K31/7088
C12N15/11 Z
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024108166
(22)【出願日】2024-07-04
(62)【分割の表示】P 2022563904の分割
【原出願日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】10-2020-0084038
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】17/365,884
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520288331
【氏名又は名称】ニューラクル ジェネティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】コン,フン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン-ムク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ソンファ
(72)【発明者】
【氏名】イ,キョンウォン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ジュ ソク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】外来遺伝子の発現量を増加させることができる新規なイントロン断片を提供する。
【解決手段】本発明のイントロン断片は、様々な種類のプロモーター及びスプライシングドナーと組み合わせた場合でも、遺伝子発現を増加させる能力を維持しながら、全長イントロンによって達成されるレベルと同等又はそれより高いレベルで遺伝子発現を増加させることができる。特に、前記イントロン断片は、サイズが制限された遺伝情報伝達システム、例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)及びラブドウイルスで使用される場合、より大きな外来遺伝子の担持を可能にする。したがって、前記イントロン断片の使用は治療用遺伝子の範囲を広げることが期待される。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外来遺伝子配列とスプライシングドナー配列及びイントロン断片配列を含む非翻訳核酸配列とを含み、前記イントロン断片配列は、長さが51ヌクレオチド~117ヌクレオチドであり、前記イントロン断片配列は、配列番号57に示したヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
【請求項2】
前記イントロン断片配列が、(i)配列番号1の871~924番目のヌクレオチド(配列番号58)、(ii)配列番号1の861~924番目のヌクレオチド(配列番号59)、(iii)配列番号1の852~924番目のヌクレオチド(配列番号3)、(iv)配列番号1の851~924番目のヌクレオチド(配列番号61)、(v)配列番号1の830~924番目のヌクレオチド(配列番号2)、(vi)配列番号1の821~924番目のヌクレオチド(配列番号63)、(vii)配列番号1の811~924番目のヌクレオチド(配列番号64)、又は(viii)配列番号1の808~924番目のヌクレオチド(配列番号65)と少なくとも70%の配列同一性を有することを特徴とする、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記イントロン断片配列が、(i)配列番号1の871~924番目のヌクレオチド(配列番号58)、(ii)配列番号1の861~924番目のヌクレオチド(配列番号59)、(iii)配列番号1の852~924番目のヌクレオチド(配列番号3)、(iv)配列番号1の851~924番目のヌクレオチド(配列番号61)、(v)配列番号1の830~924番目のヌクレオチド(配列番号2)、(vi)配列番号1の821~924番目のヌクレオチド(配列番号63)、(vii)配列番号1の811~924番目のヌクレオチド(配列番号64)、又は(viii)配列番号1の808~924番目のヌクレオチド(配列番号65)を含むことを特徴とする、請求項2に記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
前記イントロン断片配列が、(i)配列番号1の871~924番目のヌクレオチド(配列番号58)、(ii)配列番号1の861~924番目のヌクレオチド(配列番号59)、(iii)配列番号1の852~924番目のヌクレオチド(配列番号3)、(iv)配列番号1の851~924番目のヌクレオチド(配列番号61)、(v)配列番号1の830~924番目のヌクレオチド(配列番号2)、(vi)配列番号1の821~924番目のヌクレオチド(配列番号63)、(vii)配列番号1の811~924番目のヌクレオチド(配列番号64)、又は(viii)配列番号1の808~924番目のヌクレオチド(配列番号65)からなることを特徴とする、請求項3に記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記イントロン断片配列は、長さが54ヌクレオチド、64ヌクレオチド、73ヌクレオチド、74ヌクレオチド、95ヌクレオチド、104ヌクレオチド、114ヌクレオチド、または117ヌクレオチドであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
(i)プロモーター、(ii)エンハンサー、(iii)エクソン配列、(iv)microRNA(miRNA)に対するターゲット配列、(v)ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節要素(WPRE)配列、(vi)ポリアデニル化(pA)配列、又は(vii)それらの組み合わせをさらに含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
(i)前記外来遺伝子が野生型ポリペプチド又はその任意の変異体、融合タンパク質、抗体又はその抗原結合断片、RNAベースの分子又はそれらの任意の組み合わせをコーディングすること;
(ii)前記プロモーターがサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、EF-1αプロモーター、β-アクチンプロモーター、GAPDHプロモーター、HSP70プロモーター、GRP78プロモーター、eIF4aプロモーター、AATプロモーター、TTRプロモーター、GFAPプロモーター、SV40プロモーター、SYN1プロモーター、GRKプロモーター、Rhoプロモーター又はそれらの任意の組み合わせを含むこと;
(iii)前記エンハンサーがサイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー、SV40初期エンハンサー、アデノウイルス5 E1Aエンハンサー、HBVエンハンサー-1調節領域(Eh-1)、HPV-16又は-18E6/7長い調節領域(LCR)、HIV-1長い反復末端(LTR)又はそれらの任意の組み合わせを含むこと;
(iv)前記スプライシングドナー配列が前記イントロン断片配列の上流に連結されていること;
(v)前記エクソン配列が、EF-1αエクソン2(E2)ヌクレオチド配列、サイトメガロウイルス(CMV)エクソン1(E1)配列、EF-1α E1配列、β-アクチンE1配列、又はそれらの任意の組み合わせを含むこと;
(vi)前記miRNAに対するターゲット配列は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アンタゴミア、短ヘアピンRNA(shRNA)分子、短干渉RNA(siRNA)分子、リボザイム、ペプチド核酸(PNA)オリゴヌクレオチド、ロックド核酸(LNA)オリゴヌクレオチド又はそれらの任意の組み合わせを含むこと;又は
(vii)(i)~(vi)の任意の組み合わせ、
を特徴とする、請求項6に記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
(i)配列番号23に示した外来遺伝子及び(ii)前記外来遺伝子に作動可能に連結された調節要素を含むポリヌクレオチドであって、前記調節要素が(5’から3’方向に):
(1)配列番号4に示したCMVエンハンサー;
(2)配列番号8に示したチキンβ-アクチンプロモーター配列;
(3)配列番号15に示したチキンβ-アクチンE1配列;
(4)配列番号10に示したスプライシングドナー配列;
(5)配列番号2又は配列番号3に示したヌクレオチド配列からなるイントロン断片配列;及び
(6)配列番号11に示したEF-1α E2配列
を含むことを特徴とする、請求項7に記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
【請求項10】
ウイルスベクターであることを特徴とする、請求項9に記載のベクター。
【請求項11】
遺伝子治療に使用するための、請求項9または10に記載のベクター。
【請求項12】
前記外来遺伝子によってコーディングされるポリペプチドの発現に使用するための、請求項9または10に記載のベクター。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド又は請求項9または10に記載のベクターを含む、試験管内の細胞。
【請求項14】
請求項9または10に記載のベクター及びrep及びcap遺伝子を含む構築物で細胞を形質導入することを含む、組換えウイルス粒子を産生するための方法(ただし、ヒト体内の細胞へ形質導入することを除く)。
【請求項15】
(a)キャプシドタンパク質及び(b)請求項9または10に記載のベクターを含む、組換えウイルス粒子。
【請求項16】
アデノ随伴ウイルス(AAV)であることを特徴とする、請求項15に記載の組換えウイルス粒子。
【請求項17】
前記AAVの血清型がAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9又はAAVrh10であることを特徴とする、請求項16に記載の組換えウイルス粒子。
【請求項18】
(a)請求項1~8のいずれかに記載のポリヌクレオチド、請求項9または10に記載のベクター、請求項13に記載の細胞又は請求項15に記載の組換えウイルス粒子;及び
(b)薬学的に許容される賦形剤
を含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本開示内容は、外来遺伝子の発現量を増加させることができる新規なイントロン断片(すなわち、非翻訳(untranslated)核酸配列)に関する。
【0002】
〔背景技術〕
真核生物のpre-mRNAは、実際の遺伝情報を含むエクソン(exon)とエクソンとの間に存在するイントロン(intron)から構成され、3’-末端にはポリA配列が存在する。イントロンは、mRNA代替スプライシング(alternativesplicing)に影響を及ぼし、タンパク質生産量を調節する(Huh,GS,et al.,“Regulation of Alternative pre-mRNA Splicing by a Novel Repeated Hexanucleotide Element,”Genes Dev 8(13):1561-74(Jul.1994);Parenteau,J.,et al.,“Introns Within Ribosomal Protein Genes Regulate the Production and Function of Yeast Ribosomes,”Cell 147(2):320-31(Oct.2011))。また、イントロンを含む外来遺伝子(transgenes)は、マウスにおいてイントロンがない場合に比べて10倍~100倍より効率的に転写され、さらに生存に影響を与えると報告されている(Brinster,RL,et al.,“Introns Increase Transcriptional Efficiency in Transgenic Mice,”Proc.Natl.Acad.Sci.USA.85(3):836-40(Feb.1988);Parenteau,J.,et al.,“Introns Are Mediators of Cell Response to Starvation,”Nature 565(7741):612-617(Jan.2019))。このうち、イントロンによるタンパク質産生量の増加は、イントロン媒介増強(IME:intron-mediated enhancement)と呼ばれるが、このようなIME効果のために使用されるイントロンはほとんどかなり長いため、実際の使用において制約がある。一例として、最近、遺伝子治療用の伝達体として注目されているアデノ随伴ウイルス(AAV:adeno-associated virus)の場合、最大4.7kbp長の遺伝情報のみを挿入できるので、長い長さのイントロンを使用すれば、伝達できる遺伝子の範囲が非常に限られる。したがって、タンパク質発現増加能力は維持しながら、短いイントロン断片を発掘してAAVベクターに適用することができれば、非常に好ましいかもしれない。
【0003】
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
〔関連出願についての相互参照事項〕
本出願は、2020年7月8日に出願された韓国特許出願第10-2020-0084038号及び2021年7月1日に出願された米国特許出願第17/365,884号の優先権を主張し、その全文が本明細書に参照として含まれる。
【0004】
本明細書は、配列番号1の874~924番目のヌクレオチドと少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する非翻訳核酸配列を含み、前記非翻訳核酸配列が配列番号1を含まない単離されたポリヌクレオチドを提供する。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号57に示したヌクレオチド配列を含む。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号57に示したヌクレオチド配列からなる。
【0005】
本明細書は、配列番号1の852~924番目のヌクレオチドと少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する非翻訳核酸配列を含み、前記非翻訳核酸配列が配列番号1を含まない単離されたポリヌクレオチドを提供する。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号3に示したヌクレオチド配列を含む。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号3に示したヌクレオチド配列からなる。
【0006】
本明細書は、配列番号1の830~924番目のヌクレオチドと少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する非翻訳核酸配列を含み、前記非翻訳核酸配列が配列番号1を含まない単離されたポリヌクレオチドを提供する。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号2に示したヌクレオチド配列を含む。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号2に示したヌクレオチド配列からなる。
【0007】
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、前記非翻訳核酸配列の5’末端(「5’領域」)に少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも5つ、少なくとも約10個、少なくとも約15個、少なくとも約20個、少なくとも約25個、少なくとも約30個、少なくとも約40個、少なくとも約50個、少なくとも約60個、少なくとも約70個、少なくとも約80個、少なくとも約90個又は少なくとも約100個のヌクレオチドをさらに含む。一部の様態において、前記ポリヌクレオチドは、前記非翻訳核酸配列の5’領域で配列番号1の1~873番目の位置に該当する1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドを含む。一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、前記非翻訳核酸配列の3’末端(「3’領域」)に少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも5つ、少なくとも約10個、少なくとも約15個、少なくとも約20個、少なくとも約25個、少なくとも約30個、少なくとも約40個、少なくとも約50個、少なくとも約60個、少なくとも約70個、少なくとも約80個、少なくとも約90個又は少なくとも約100個のヌクレオチドをさらに含む。一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドの非翻訳核酸配列は、(i)配列番号1の871~924番目(すなわち、配列番号58)、(ii)配列番号1の861~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号59)、(iii)配列番号1の852~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号60)、(iv)配列番号1の851~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号61)、(v)配列番号1の830~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号2)、(vi)配列番号1の821~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号63)、(vii)配列番号1の811~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号64)、(viii)配列番号1の808~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号65)、(ix)配列番号1の801~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号66)、(x)配列番号1の751~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号67)、(xi)配列番号1の721~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号68)、(xii)配列番号1の701~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号69)、(xiii)配列番号1の651~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号70)、(xiv)配列番号1の601~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号71)、(xv)配列番号1の570~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号72)、(xvi)配列番号1の551~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号73)又は(xvii)配列番号1の501~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号74)と少なくとも約70%、少なくとも約80%、約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。
【0008】
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは外来遺伝子をさらに含む。一部の様態において、前記外来遺伝子はポリペプチドとして翻訳され得る。
【0009】
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドの非翻訳核酸配列は、翻訳時に基準発現と比較して前記外来遺伝子の発現を増加させることができ、前記基準発現は非翻訳核酸配列のない状態及び/又は配列番号1に示したヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列が存在する状態で、翻訳時に該当外来遺伝子の発現を含む。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、外来遺伝子の発現を基準発現より少なくとも約1倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍又は少なくとも約10倍、増加させることができる。
【0010】
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドはプロモーターをさらに含む。一部の様態において、前記プロモーターは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、EF-1αプロモーター、β-アクチンプロモーター、GAPDHプロモーター、HSP70プロモーター、GRP78プロモーター、eIF4aプロモーター、AATプロモーター、TTRプロモーター、GFAPプロモーター、SV40プロモーター、SYN1プロモーター、GRKプロモーター、Rhoプロモーター又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0011】
いくつかの様態において、前記プロモーターはEF-1αプロモーターである。一部の様態において、前記EF-1αプロモーターは、配列番号7に示したヌクレオチド配列と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の様態において、前記プロモーターはCMVプロモーターを含む。一部の様態において、前記CMVプロモーターは、配列番号5又は配列番号6に示したヌクレオチド配列と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の様態において、前記プロモーターはβ-アクチンプロモーターを含む。一部の様態において、前記β-アクチンプロモーターは、配列番号8に示したヌクレオチド配列と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0012】
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドはエンハンサーをさらに含む。一部の様態において、前記エンハンサーはサイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー、SV40初期エンハンサー、アデノウイルス5 E1Aエンハンサー、HBVエンハンサー-1調節領域(Eh-1)、HPV-16又は-18E6/7長い調節領域(LCR:long control region)、HIV-1長い反復末端(LTR:long terminal repeat)又はそれらの任意の組み合わせを含む。一部の様態において、前記ヱンハンサーはCMVエンハンサーである。一部の様態において、前記CMVエンハンサーは、配列番号4に示したヌクレオチド配列と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0013】
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、スプライシングドナー(splicing donor)配列をさらに含む。一部の様態において、前記スプライシングドナー配列は、前記非翻訳核酸配列の上流に連結される。一部の様態において、前記スプライシングドナー配列は、配列番号9又は配列番号10に示したヌクレオチド配列と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0014】
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、EF-1αエクソン2(E2)ヌクレオチド配列をさらに含む。一部の様態において、前記EF-1αエクソン2(E2)ヌクレオチド配列は、配列番号11に示したヌクレオチド配列と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。
【0015】
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、サイトメガロウイルス(CMV)エクソン1(E1)配列、EF-1α E1配列、β-アクチンE1配列、又はそれらの任意の組み合わせをさらに含む。一部の様態において、前記CMV E1配列は、配列番号12に示したヌクレオチド配列と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記EF-1α E1配列は、配列番号13に示したヌクレオチド配列と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記β-アクチンE1配列は、配列番号14又は配列番号15に示したヌクレオチド配列と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。
【0016】
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、免疫細胞に特異的なmicroRNA(miRNA)の少なくとも1つのターゲット配列(target sequence)をさらに含む。一部の様態において、前記miRNAはmiR142-3p、miR142-5p、又はその両方を含む。一部の様態において、前記miRNAのターゲット配列は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アンタゴミア(antagomir)、短ヘアピンRNA(shRNA:short hairpin RNA)分子、短干渉RNA(siRNA:small interfering RNA)分子、リボザイム、ペプチド核酸(PNA)オリゴヌクレオチド、ロックド核酸(LNA:locked
nucleic acid)オリゴヌクレオチド又はそれらの任意の組み合わせを含む。一部の様態において、前記miRNAのターゲット配列は、miR142-3p又はmiR142-5pの全長又は一部の配列に相補的である。一部の様態において、前記miRNAのターゲット配列は、配列番号16又は配列番号17に示したヌクレオチド配列を含む。
【0017】
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、少なくとも2つのターゲット配列、少なくとも3つのターゲット配列、少なくとも4つのターゲット配列、少なくとも5つのターゲット配列、少なくとも6つのターゲット配列、少なくとも7つのターゲット配列、少なくとも8つのターゲット配列、ターゲット配列、少なくとも9個のターゲット配列又は少なくとも10個のターゲット配列を含む。一部の様態において、前記ターゲット配列のうち2つ以上は同じである。一部の様態において、前記ターゲット配列は互いに異なる。
【0018】
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節要素(WPRE:Woodchuck hepatitis virus
posttranscriptional regulatory element)配列をさらに含む。一部の様態において、前記WPRE配列は、配列番号18に示したヌクレオチド配列と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。
【0019】
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、1つ以上のポリアデニル化(pA)配列をさらに含む。一部の様態において、前記pA配列は、配列番号19~22のいずれかに記載のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。
【0020】
前記ポリヌクレオチドが外来遺伝子を含む場合、一部の様態において、前記外来遺伝子は野生型ポリペプチド又はその任意の変異体、融合タンパク質、抗体又はその抗原結合断片、RNAベースの分子、又はそれらの任意の組み合わせを含むコーディングする。一部の様態において、前記外来遺伝子は、配列番号23に示したヌクレオチド配列と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一部の様態において、前記外来遺伝子は融合タンパク質をコーディングする。一部の様態において、前記融合タンパク質は血管内皮細胞成長因子(「VEGF」)の阻害剤を含む。一部の様態において、前記VEGFの阻害剤はアフリバーセプト(aflibercept)を含む。前記外来遺伝子がRNAベースの分子である場合、一部の様態において、前記RNAベースの分子は、miRNA、shRNA、siRNA、リボザイム、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0021】
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは組換え発現構築物である。
【0022】
本明細書では、また、(i)外来遺伝子及び(ii)前記外来遺伝子に作動可能に連結された調節要素を含むポリヌクレオチドであって、前記調節要素が(5’から3’方向に):(1)配列番号4に示したCMVエンハンサー;(2)配列番号5又は配列番号6に示したCMVプロモーター配列、配列番号7に示したEF-1αプロモーター配列、又は配列番号8に示したチキンβ-アクチンプロモーター配列から選択されるプロモーター;(3)配列番号12に示したCMV
E1配列、配列番号13に示したEF-1α E1配列又は配列番号14又は配列番号15に示したチキンβ-アクチンE1配列から選択されるエクソン1(E1)配列;(4)配列番号9又は配列番号10に示したスプライシングドナー配列;(5)配列番号2、配列番号3又は配列番号57に示したヌクレオチド配列を含むか、前記ヌクレオチド配列から必須になるか、又は前記ヌクレオチド配列からなる非翻訳核酸配列;及び(6)配列番号11に示したEF-1α E2配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0023】
本明細書は、本開示内容のポリヌクレオチドのうち任意のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。一部の様態において、前記ベクターはウイルスベクターである。一部の様態において、前記ウイルスベクターは、アデノウイルス(例えば、遺伝子操作されたアデノウイルス)、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レンチウイルス、SV40型ウイルス、ポリオマウイルス、エプスタインバーウイルス、乳頭腫ウイルス、ヘルペスシンプレックスウイルス(HSV)、ワクシニアウイルス、ポリオウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス、ボックスウイルス、又はそれらの任意の組み合わせを含む。一部の様態において、前記ウイルスベクターはAAVである。
【0024】
一部の様態において、本明細書に記載のウイルスベクターは遺伝子治療に使用するためのものである。一部の様態において、ウイルスベクターは、本明細書に記載のポリヌクレオチドの外来遺伝子によってコーディングされるポリペプチドの発現に使用するためのものである。一部の様態において、前記外来遺伝子は、配列番号23に示したヌクレオチド配列を含む。
【0025】
本明細書は、本明細書に記載のポリヌクレオチド又はベクターのうち任意のポリヌクレオチド又はベクターを含む細胞を提供する。
【0026】
本明細書は、また、本明細書に記載のベクターのうち任意のベクター及びrepとcap遺伝子を含む構築物に細胞を形質導入することを含む組換えウイルス粒子を産生するための方法を提供する。一部の様態において、前記方法は、産生された組換えウイルス粒子を分離することをさらに含む。
【0027】
本明細書は、前記方法によって産生された組換えウイルス粒子を提供する。本明細書は、また、(a)キャプシドタンパク質及び(b)本明細書に記載のベクターのうち任意のベクターを含む組換えウイルス粒子を提供する。一部の様態において、前記組換えウイルス粒子はアデノ随伴ウイルス(AVV)である。一部の様態において、前記AAVの血清型は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9又はAAVrh10である。一部の様態において、前記AAVの血清型はAAV2である。一部の様態において、前記AAVの血清型はAAV8である。一部の様態において、AAVの血清型はAAV5である。一部の様態において、前記AAVの血清型はAAV9である。
【0028】
本開示内容は、さらに、(a)本明細書に記載のポリヌクレオチド、ベクター、細胞又は組換えウイルス粒子のうち任意のポリヌクレオチド、ベクター、細胞又は組換えウイルス粒子;及び(b)薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0029】
本明細書は、さらに、組換えアデノ随伴ウイルス粒子及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物であって、前記組換えアデノ随伴ウイルス粒子が(a)AAV8型キャプシドタンパク質及び(b)(i)配列番号23に示したヌクレオチド配列を含む外来遺伝子及び(ii)前記外来遺伝子に作動可能に連結され(5’から3’方向に):(1)配列番号4に示したサイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー配列;(2)配列番号8に示したチキンβ-アクチンプロモーター配列;(3)配列番号15に示したチキンβ-アクチンエクソン1(E1)配列;(4)配列番号10に示したチキンβ-アクチンイントロンのスプライシングドナー配列;(5)配列番号2、配列番号3又は配列番号57に示したヌクレオチド配列を含むか、前記ヌクレオチド配列から必須になるか、又は前記ヌクレオチド配列からなる非翻訳核酸配列;及び(6)配列番号11に示したEF-1αエクソン2(E2)配列;を含む調節要素を含むポリヌクレオチドを含む医薬組成物を提供する。
【0030】
本明細書は、組換えアデノ随伴ウイルス粒子及び薬学的に許容される担体を含む眼科疾患を予防又は治療するための医薬組成物であって、前記組換えアデノ随伴ウイルス粒子が(a)AAV8型キャプシドタンパク質及び(b)(i)配列番号23に示したヌクレオチド配列を含む外来遺伝子及び(ii)前記外来遺伝子に作動可能に連結され(5’から3’方向に):(1)配列番号4に示したサイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー配列;(2)配列番号8に示したチキンβ-アクチンプロモーター配列;(3)配列番号15に示したチキンβ-アクチンエクソン1(E1)配列;(4)配列番号10に示したチキンβ-アクチンイントロンのスプライシングドナー配列;(5)配列番号2、配列番号3又は配列番号57に示したヌクレオチド配列を含むか、前記ヌクレオチド配列から必須になるか、又は前記ヌクレオチド配列からなる非翻訳核酸配列;及び(6)配列番号11に示したEF-1αエクソン2(E2)配列;を含む調節要素を含むポリヌクレオチドを含む医薬組成物を提供する。
【0031】
一部の様態において、前記眼科疾患は、糖尿病性網膜症、脈絡膜新生血管形成、黄斑変性、網膜変性、黄斑浮腫、網膜浮腫、黄斑腫脹、又はそれらの組み合わせを含む。一部の様態において、前記黄斑変性は年齢関連黄斑変性(AMD)を含む。
【0032】
本明細書は、細胞における外来遺伝子の発現を増加させる方法であって、前記細胞を本明細書に記載のポリヌクレオチド、ベクター、又は組換えウイルス粒子のうち任意のポリヌクレオチド、ベクター、又は組換えウイルス粒子と接触させることを含む方法を提供する。一部の様態において、前記接触は生体内で進行する。一部の様態において、前記方法は、接触前に前記ポリヌクレオチド、ベクター又は組換えウイルス粒子を対象に投与することを含む。一部の様態において、前記接触はエクスビボで進行する。一部の様態において、前記外来遺伝子の発現は、基準細胞における該当発現と比較して、少なくとも約1倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍又は少なくとも約10倍増加し、前記基準細胞は、前記非翻訳核酸配列が欠けているか、配列番号1に示したヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、ベクター、又は組換えウイルス粒子と接触する。
【0033】
本明細書は、必要な対象において疾患又は障害を治療する方法であって、本明細書に記載のポリヌクレオチド、ベクター又は組換えウイルス粒子のうち任意のポリヌクレオチド、ベクター又は組換えウイルス粒子を前記対象に投与することを含む方法を提供する。一部の様態において、前記疾患又は障害は眼科疾患を含む。一部の様態において、前記眼科疾患は、糖尿病性網膜症、脈絡膜新生血管形成、黄斑変性、網膜変性、黄斑浮腫、網膜浮腫、黄斑腫脹又はそれらの組み合わせを含む。一部の様態において、前記黄斑変性は年齢関連黄斑変性(AMD)を含む。一部の様態において、前記方法は、追加の治療薬を前記対象に投与することを含む。
【0034】
〔様態〕
第1様態
配列番号1に示したEF-1αイントロン配列内のヌクレオチドのうち連続又は非連続ヌクレオチドが欠失した(truncated)配列を含む外来遺伝子発現用の伸長因子-1α(EF-1α)イントロン断片であって、(a)前記EF-1αイントロン断片が配列番号1に示した配列内の874~924番目の位置のヌクレオチドを必須に含み、(b)前記EF-1αイントロン断片が発現構築物中に存在する場合の配列番号1に示した配列内の874~924番目の位置のヌクレオチドのみからなるイントロン断片と比較して外来遺伝子発現を増加させるEF-1αイントロン断片。
【0035】
第2様態
第1様態において、前記連続又は非連続ヌクレオチドの欠失が、配列番号1に示した配列内の1~873番目の位置のヌクレオチドのうち、連続ヌクレオチドの欠失、前記欠失したヌクレオチドの間に欠失していないまま残っている非連続ヌクレオチドの欠失又は前記欠失した連続又は非連続ヌクレオチドの位置に相異なる種類のヌクレオチドの挿入を含む、EF-1αイントロン断片。
【0036】
第3様態
第2様態において、前記連続又は非連続ヌクレオチドの欠失が、配列番号1に示した配列内の1~870番目の位置のヌクレオチドのうち、連続ヌクレオチドの欠失、前記欠失したヌクレオチドの間に欠失していないまま残っている非連続ヌクレオチドの欠失又は前記欠失した連続又は非連続ヌクレオチドの位置に相異なる種類のヌクレオチドの挿入を含む、EF-1αイントロン断片。
【0037】
第4様態
第3様態において、前記連続又は非連続ヌクレオチドの欠失が、配列番号1に示した配列内の1~860番目の位置のヌクレオチドのうち、連続ヌクレオチドの欠失、前記欠失したヌクレオチドの間に欠失していないまま残っている非連続ヌクレオチドの欠失又は前記欠失した連続又は非連続ヌクレオチドの位置に相異なる種類のヌクレオチドの挿入を含む、EF-1αイントロン断片。
【0038】
第5様態
第4様態において、前記連続又は非連続ヌクレオチドの欠失が、配列番号1に示した配列内の1~851番目の位置のヌクレオチドのうち、連続ヌクレオチドの欠失、前記欠失したヌクレオチドの間に欠失していないまま残っている非連続ヌクレオチドの欠失又は前記欠失した連続又は非連続ヌクレオチドの位置に相異なる種類のヌクレオチドの挿入を含む、EF-1αイントロン断片。
【0039】
第6様態
第5様態において、前記連続又は非連続ヌクレオチドの欠失が、配列番号1に示した配列内の1~850番目の位置のヌクレオチドのうち、連続ヌクレオチドの欠失、前記欠失したヌクレオチドの間に欠失していないまま残っている非連続ヌクレオチドの欠失又は前記欠失した連続又は非連続ヌクレオチドの位置に相異なる種類のヌクレオチドの挿入を含む、EF-1αイントロン断片。
【0040】
第7様態
第6様態において、前記連続又は非連続ヌクレオチドの欠失が、配列番号1に示した配列内の1~829番目の位置のヌクレオチドのうち、連続ヌクレオチドの欠失、前記欠失したヌクレオチドの間に欠失していないまま残っている非連続ヌクレオチドの欠失又は前記欠失した連続又は非連続ヌクレオチドの位置に相異なる種類のヌクレオチドの挿入を含む、EF-1αイントロン断片。
【0041】
第8様態
第7様態において、前記連続又は非連続ヌクレオチドの欠失が、配列番号1に示した配列内の1~820番目の位置のヌクレオチドのうち、連続ヌクレオチドの欠失、前記欠失したヌクレオチドの間に欠失していないまま残っている非連続ヌクレオチドの欠失又は前記欠失した連続又は非連続ヌクレオチドの位置に相異なる種類のヌクレオチドの挿入を含む、EF-1αイントロン断片。
【0042】
第9様態
第8様態において、前記連続又は非連続ヌクレオチドの欠失が、配列番号1に示した配列内の1~810番目の位置のヌクレオチドのうち、連続ヌクレオチドの欠失、前記欠失したヌクレオチドの間に欠失していないまま残っている非連続ヌクレオチドの欠失又は前記欠失した連続又は非連続ヌクレオチドの位置に相異なる種類のヌクレオチドの挿入を含む、EF-1αイントロン断片。
【0043】
第10様態
第9様態において、前記連続又は非連続ヌクレオチドの欠失が、配列番号1に示した配列内の1~800番目の位置のヌクレオチドのうち、連続ヌクレオチドの欠失、前記欠失したヌクレオチドの間に欠失していないまま残っている非連続ヌクレオチドの欠失又は前記欠失した連続又は非連続ヌクレオチドの位置に相異なる種類のヌクレオチドの挿入を含む、EF-1αイントロン断片。
【0044】
第11様態
第10様態において、前記連続又は非連続ヌクレオチドの欠失が、配列番号1に示した配列内の1~750番目の位置のヌクレオチドのうち、連続ヌクレオチドの欠失、前記欠失したヌクレオチドの間に欠失していないまま残っている非連続ヌクレオチドの欠失又は前記欠失した連続又は非連続ヌクレオチドの位置に相異なる種類のヌクレオチドの挿入を含む、EF-1αイントロン断片。
【0045】
第12様態
第11様態において、前記連続又は非連続ヌクレオチドの欠失が、配列番号1に示した配列内の1~720番目の位置のヌクレオチドのうち、連続ヌクレオチドの欠失、前記欠失したヌクレオチドの間に欠失していないまま残っている非連続ヌクレオチドの欠失又は前記欠失した連続又は非連続ヌクレオチドの位置に相異なる種類のヌクレオチドの挿入を含む、EF-1αイントロン断片。
【0046】
第13様態
第12様態において、前記連続又は非連続ヌクレオチドの欠失が、配列番号1に示した配列内の1~700番目の位置のヌクレオチドのうち、連続ヌクレオチドの欠失、前記欠失したヌクレオチドの間に欠失していないまま残っている非連続ヌクレオチドの欠失又は前記欠失した連続又は非連続ヌクレオチドの位置に相異なる種類のヌクレオチドの挿入を含む、EF-1αイントロン断片。
【0047】
第14様態
第13様態において、前記連続又は非連続ヌクレオチドの欠失が、配列番号1に示した配列内の1~650番目の位置のヌクレオチドのうち、連続ヌクレオチドの欠失、前記欠失したヌクレオチドの間に欠失していないまま残っている非連続ヌクレオチドの欠失又は前記欠失した連続又は非連続ヌクレオチドの位置に相異なる種類のヌクレオチドの挿入を含む、EF-1αイントロン断片。
【0048】
第15様態
第14様態において、前記連続又は非連続ヌクレオチドの欠失が、配列番号1に示した配列内の1~600番目の位置のヌクレオチドのうち、連続ヌクレオチドの欠失、前記欠失したヌクレオチドの間に欠失していないまま残っている非連続ヌクレオチドの欠失又は前記欠失した連続又は非連続ヌクレオチドの位置に相異なる種類のヌクレオチドの挿入を含む、EF-1αイントロン断片。
【0049】
第16様態
第15様態において、前記連続又は非連続ヌクレオチドの欠失が、配列番号1に示した配列内の1~569番目の位置のヌクレオチドのうち、連続ヌクレオチドの欠失、前記欠失したヌクレオチドの間に欠失していないまま残っている非連続ヌクレオチドの欠失又は前記欠失した連続又は非連続ヌクレオチドの位置に相異なる種類のヌクレオチドの挿入を含む、EF-1αイントロン断片。
【0050】
第17様態
第16様態において、前記連続又は非連続ヌクレオチドの欠失が、配列番号1に示した配列内の1~550番目の位置のヌクレオチドのうち、連続ヌクレオチドの欠失、前記欠失したヌクレオチドの間に欠失していないまま残っている非連続ヌクレオチドの欠失又は前記欠失した連続又は非連続ヌクレオチドの位置に相異なる種類のヌクレオチドの挿入を含む、EF-1αイントロン断片。
【0051】
第18様態
第17様態において、前記連続又は非連続ヌクレオチドの欠失が、配列番号1に示した配列内の1~500番目の位置のヌクレオチドのうち、連続ヌクレオチドの欠失、前記欠失したヌクレオチドの間に欠失していないまま残っている非連続ヌクレオチドの欠失又は前記欠失した連続又は非連続ヌクレオチドの位置に相異なる種類のヌクレオチドの挿入を含む、EF-1αイントロン断片。
【0052】
第19様態
第7様態において、前記EF-1αイントロン断片が、配列番号2に示したヌクレオチド配列を含む、EF-1αイントロン断片。
【0053】
第20様態
第5様態において、前記EF-1αイントロン断片が、配列番号3に示したヌクレオチド配列を含む、EF-1αイントロン断片。
【0054】
第21様態
(a)外来遺伝子及び(b)前記外来遺伝子に作動可能に連結され、エンハンサー、プロモーター及び第1様態によるEF-1αイントロン断片を含む調節要素を含む外来遺伝子発現用の組換え発現構築物であって、前記外来遺伝子が宿主細胞から転写及び翻訳される組換え発現構築物。
【0055】
第22様態
第21様態において、前記エンハンサーはサイトメガロウイルス(CMV)エンハンサーである、組換え発現構築物。
【0056】
第23様態
第22様態において、前記サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサーが配列番号4に示したヌクレオチド配列を含む、組換え発現構築物。
【0057】
第24様態
第21様態において、前記プロモーターがサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、EF-1αプロモーター及びβ-アクチンプロモーターからなる群から選択される、組換え発現構築物。
【0058】
第25様態
第24様態において、前記CMVプロモーターが、配列番号5又は配列番号6に示したヌクレオチド配列を含む、組換え発現構築物。
【0059】
第26様態
第24様態において、前記EF-1αプロモーターが配列番号7に示したヌクレオチド配列を含む、組換え発現構築物。
【0060】
配列番号7の配列
第27様態
第24様態において、前記β-アクチンプロモーターが配列番号8に示したヌクレオチド配列を含む、組換え発現構築物。
【0061】
第28様態
第21様態において、前記EF-1αイントロン断片の上流にスプライシングドナー配列が連結されている、組換え発現構築物。
【0062】
第29様態
第28様態において、前記スプライシングドナー配列が、配列番号9又は配列番号10に示したヌクレオチド配列を含む、組換え発現構築物。
【0063】
第30様態
第21様態において、前記組換え発現構築物がEF-1αエクソン2(E2)配列を含む、組換え発現構築物。
【0064】
第31様態
第30様態において、前記EF-1α E2配列が配列番号11に示したヌクレオチド配列を含む、組換え発現構築物。
【0065】
第32様態
第21様態において、前記組換え発現構築物がサイトメガロウイルス(CMV)、EF-1α又はβ-アクチンエクソン1(E1)配列を含む、組換え発現構築物。
【0066】
第33様態
第32様態において、前記CMV E1配列が配列番号12に示したヌクレオチド配列を含む、組換え発現構築物。
【0067】
第34様態
第32様態において、前記EF-1α E1配列が配列番号13に示したヌクレオチド配列を含む、組換え発現構築物。
【0068】
第35様態
第32様態において、前記β-アクチンE1配列が、配列番号14又は配列番号15に示したヌクレオチド配列を含む、組換え発現構築物。
【0069】
第36様態
第21様態において、免疫細胞に特異的なmicroRNA(miRNA)に対する1つ以上のターゲット配列をさらに含む、組換え発現構築物。
【0070】
第37様態
第36様態において、前記miRNAがmiR142-3p又はmiR142-5である、組換え発現構築物。
【0071】
第38様態
第36様態において、前記miRNAに対するターゲット配列が、miR142-3p又はmiR142-5pの全長又は一部の配列に相補的な配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンタゴミア、短ヘアピンRNA(shRNA)分子、短干渉RNA(siRNA)分子、リボザイム、ペプチド核酸(PNA)オリゴヌクレオチド及びロックド核酸(LNA)オリゴヌクレオチドからなる群から選択される組換え発現構築物。
【0072】
第39様態
第38様態において、前記miR142-3pに対するターゲット配列が配列番号16に示したヌクレオチド配列を含む、組換え発現構築物。
【0073】
第40様態
第38様態において、前記miRNAのターゲット配列の数が2~6個である、組換え発現構築物。
【0074】
第41様態
第40様態において、前記miR142-3pに対するターゲット配列が配列番号17に示したヌクレオチド配列を含む、組換え発現構築物。
【0075】
第42様態
第21様態において、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節要素(WPRE)配列をさらに含む、組換え発現構築物。
【0076】
第43様態
第42様態において、前記WPRE配列が配列番号18に示したヌクレオチド配列を含む、組換え発現構築物。
【0077】
第44様態
第21様態において、1つ以上のポリアデニル化(pA)配列をさらに含む、組換え発現構築物。
【0078】
第45様態
第44様態において、前記ポリアデニル化配列が、配列番号19~22に示したヌクレオチド配列からなる群から選択される、組換え発現構築物。
【0079】
第46様態
第21様態において、前記調節要素が、(1)配列番号4に示したCMVエンハンサー配列;(2)配列番号5又は配列番号6に示したCMVプロモーター配列、配列番号7に示したEF-1αプロモーター配列又は配列番号8に示したチキンβ-アクチンプロモーター配列から選択されるプロモーター配列;(3)配列番号12に示したCMV E1配列、配列番号13に示したEF-1α E1配列又は配列番号14又は配列番号15に示したチキンβ-アクチンE1配列;(4)配列番号9又は配列番号10に示したスプライシングドナー配列;(5)請求項1に記載のEF-1αイントロン断片配列;及び(6)配列番号11に示したEF-1α E2配列を含む組換え発現構築物。
【0080】
第47様態
第21様態において、前記外来遺伝子が配列番号23に示したヌクレオチド配列を含む、組換え発現構築物。
【0081】
第48様態
第21様態による組換え発現構築物に形質導入された宿主細胞。
【0082】
第49様態
第21様態による組換え発現構築物及びrepとcap遺伝子を含む構築物に宿主細胞を形質導入することを含む組換えウイルスを産生するための方法。
【0083】
第50様態
(a)キャプシドタンパク質及び(b)第21様態による組換え発現構築物を含む組換えウイルス。
【0084】
第51様態
第50様態において、前記組換えウイルスがアデノ随伴ウイルス(AVV)である、組換えウイルス。
【0085】
第52様態
第51様態において、前記アデノ随伴ウイルスの血清型がAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9又はAAVrh10である、 組換えウイルス。
【0086】
第53様態
第21様態による組換え発現構築物又は第50様態による組換えウイルスを含む医薬組成物。
【0087】
第54様態
第53様態において、前記組成物が眼科疾患を予防又は治療するために使用される、医薬組成物。
【0088】
第55様態
第54様態において、前記眼科疾患が、糖尿病性網膜症、脈絡膜新生血管形成、黄斑変性、網膜変性、黄斑浮腫、網膜浮腫及び黄斑腫脹からなる群から選択される、医薬組成物。
【0089】
第56様態
第21様態による組換え発現構築物又は第50様態による組換えウイルスの治療用の用途。
【0090】
第57様態
組換えアデノ随伴ウイルス及び薬学的に許容される担体を含む眼科疾患を予防又は治療するための医薬組成物であって、前記組換えアデノ随伴ウイルスが(a)AAV8型キャプシドタンパク質及び(b)配列番号23に示したヌクレオチド配列を含む外来遺伝子及び前記外来遺伝子に作動可能に連結され:(1)配列番号4に示したサイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー配列;(2)配列番号8に示したチキンβ-アクチンプロモーター配列;(3)配列番号15に示したチキンβ-アクチンエクソン1(E1)配列;(4)配列番号10に示したチキンβ-アクチンイントロンのスプライシングドナー配列;(5)配列番号1に示した配列内の1~829番目の位置のヌクレオチドのうち、連続又は非連続ヌクレオチドが欠失しており、配列番号1に示した配列内の830~924番目のヌクレオチドが必須に存在するEF-1αイントロン断片;及び(6)配列番号11に示したEF-1αエクソン2(E2)配列;を含む調節要素を含む外来遺伝子発現用の組換え発現構築物を含む医薬組成物。
【0091】
〔課題を解決するための手段〕
本開示内容は、一般に、非翻訳核酸配列(本明細書では「イントロン」とも呼ばれる)及び外来遺伝子発現のためのそのような配列の用途に関する。本明細書に記載されているように、出願人は、EF-1αイントロン配列の特定の断片が外来遺伝子発現を増加させる優れた能力を示すことを確認した。本明細書に示されているように、一部の様態において、これらのEF-1αイントロン断片は、外来遺伝子発現を増加させることにおいて全長EF-1αイントロンと同等のレベル又はそれ以上である。本開示内容のさらなる様態は、本出願の全体を通して提供されている。
【0092】
本明細書に開示された開示内容の理解を容易にするために多数の用語及び句を定義する。さらなる定義は詳細な説明を通して説明されている。
【0093】
I.定義
本開示内容の全体を通して、用語「1つ」又は「任意の」実体は、その実体の1つ以上を指すものである。例えば、「1つのポリペプチド」は、1つ以上のポリペプチドを表すと理解される。このように、用語「1つ」(又は「任意の」)、「1つ以上」及び「少なくとも1つ」は、本明細書で混用されることができる。
【0094】
さらに、本明細書で使用される「及び/又は」は、2つの特定の特徴又は構成要素のそれぞれを、残りの他の特徴又は構成要素と共に又は単独で具体的な開示と見なすべきである。したがって、本明細書において「A及び/又はB」などの語句で使用される用語「及び/又は」は、「A及びB」、「A又はB」、「A」(単独)及び「B」(単独)を含むことが意図されている。同様に、「A、B及び/又はC」などの語句で使用される用語「及び/又は」は、以下の様態のそれぞれを含むことが意図される:A、B及びC;A、B又はC;A又はB;B又はC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);及びC(単独)。
【0095】
1つの数字又は一連の数字の前の用語「少なくとも」は、用語「少なくとも」の後に続く数字及び文脈上明らかに論理的に含めることができるすべての後続の数字又は整数を含むことと理解される。例えば、核酸分子内のヌクレオチドの数は整数でなければならない。例えば、「21個のヌクレオチド核酸分子の少なくとも18個のヌクレオチド」は、18個、19個、20個又は21個のヌクレオチドが所定の特性を有することを意味する。一連の数字又は範囲の前に「少なくとも」がある場合、「少なくとも」が前記一連の又は範囲の数字のそれぞれを修飾することができることと理解される。「少なくとも」は整数に限定されない(例えば、「少なくとも5%」は有効数字の数を考慮することなく、5.0%、5.1%、5.18%を含む)。
【0096】
本明細書において様態を用語「含む」と記載すると、「なる」及び/又は「必須になる」という観点で記載された他の同様の様態も提供されることと理解される。
【0097】
他に定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術及び科学用語は、本開示内容に関連する技術分野の通常の技術者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nded.,2002,CRC Press;Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed,1999,Academic Press;及びOxford Dictionary Of Biochemistry and Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、当業者に本開示内容で使用されている用語の多くの一般的な辞書を提供する。
【0098】
単位、接頭辞及び記号は、それらのSysteme International de Unites(SI)で認められた形式で表示される。数値範囲は、その範囲を定義する数値を含む。特に明記しない限り、アミノ酸配列は、アミノからカルボキシル方向に左から右に書かれる。本明細書で提供される見出しは開示内容の様々な様態の制限ではなく、それらは全体として明細書を参照したものであり得る。したがって、直下に定義された用語は、明細書を全体的に参照してより完全に定義される。
【0099】
本明細書において、「約」という用語は、ほぼ、おおよ、ほど、又はその領域内を意味するものとして使用される。用語「約」が数値範囲と共に使用される場合に記載されている数値の上と下に境界を拡張して該当範囲を変更する。一般に、用語「約」は、指定された値の上と下の数値を、例えば、上又は下(より高い又はより低い)の10%の変化量だけ変更することができる。
【0100】
本明細書で使用される「アデノ随伴ウイルス」(AAV)という用語は、AAV1型、AAV2型、AAV3型(3A型及び3B型を含む)、AAV4型、AAV5型、AAV6型、AAV7型、AAV8型、AAV9型、AAV10型、AAV11型、AAV12型、AAV13型、AAVrh.74、ヘビAAV、鳥類AAV、牛AAV、犬AAV、馬AAV、羊AAV、ヤギAAV、エビAAV、Gaoなど(J. Virol.78:6381(2004))及びMorisなど(Virol.33:375(2004))が開示しているAAV血清型及び系統分岐、及び他の現在知られているか後に発見された他のAAVを含むが、これらに限定されない。例えば、FIELDSなど、VIROLOGY,volume2,chaptor69(4th ed.,Lippincott-Raven Publishers)を参照。一部の様態において、「AAV」は公知のAAVの派生物を含む。一部の様態において、「AAV」は、変形又は人工AAVを含む。
【0101】
用語「投与」、「投与する」、及びそれらの文法的変形形態は、薬学的に許容される経路を介して対象に組成物(例えば、本明細書に記載の外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含むポリヌクレオチド)を導入することを指す。組成物は、腫瘍内、経口、肺内、鼻腔内、非経口(静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内又は皮下)、直腸、リンパ内、脊椎腔内、眼球の周囲又は局所投与を含む任意の適切な経路によって対象に導入される。投与には、自己投与及び他人による投与が含まれる。組成物又は製剤は適切な投与経路を介してその意図された機能を発揮する。例えば、適切な経路が静脈内である場合、組成物は、組成物又は製剤を対象の静脈に導入することによって投与される。
【0102】
本明細書で使用される「CEE」構築物は、CMVエンハンサー、EF-1αプロモーター及びEF-1αイントロン断片を含む。「CE」構築物は、CMVエンハンサー及びEF-1αプロモーターを含むが、イントロン断片を含まない(例えば、EF-1αイントロン断片を含まない)。「CAE」構築物は、CMVエンハンサー、チキンβ-アクチンプロモーター及びEF-1αイントロン断片を含む。本明細書で使用される「CAG」構築物は、CMVエンハンサー、チキンβ-アクチンプロモーター及びチキンβ-アクチン/ウサギβ-グロビンハイブリッドイントロン断片を含む。「CA」構築物は、CMVエンハンサー及びチキンβ-アクチンプロモーターを含むが、イントロン断片を含まない(例えば、EF-1αイントロン断片を含まない)。
図4A、5A及び5Cを参照する。
【0103】
本明細書で使用される「保存された」という用語は、比較される2つ以上の配列の同じ位置で変わらずに現れるものであるポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列のそれぞれのヌクレオチド又はアミノ酸残基を指す。相対的に保存されるヌクレオチド又はアミノ酸は、配列内の他の位置に現れるヌクレオチド又はアミノ酸よりも関連する配列の中で保存されるものである。
【0104】
一部の様態において、2つ以上の配列が互いに100%同一である場合、「完全に保存された」又は「同じ」ものであると言う。一部の様態において、2つ以上の配列が互いに少なくとも70%同一、少なくとも80%同一、少なくとも90%同一又は少なくとも95%同一である場合、「高度に保存された」ものと言う。一部の様態において、2つ以上の配列が互いに約70%同一、約80%同一、約90%同一、約95%、約98%又は約99%同一である場合に「高度に保存された」ものと言う。一部の様態において、2つ以上の配列が互いに少なくとも30%同一、少なくとも40%同一、少なくとも50%同一、少なくとも60%同一、少なくとも70%同一、少なくとも80%同一又は少なくとも90%同一又は少なくとも95%同一である場合に「保存された」ものと言う。一部の様態において、2つ以上の配列が互いに約30%同一、約40%同一、約50%同一、約60%同一、約70%同一、約80%同一、約90%同一、約95%同一、約98%同一又は約99%同一の場合に「保存された」ものと言う。配列の保存は、ポリヌクレオチド又はポリペプチドの全長に適用されるか、その一部、領域又は特徴部に適用されることができる。
【0105】
「相補的」及び「相補性」という用語は、ワトソン-クリック(Watson-Crick)塩基対規則によって互いに関連する2つ以上のオリゴマー(すなわち、それぞれ核塩基配列を含む)又はオリゴマーとターゲット遺伝子との間を指す。例えば、核塩基配列「TGA(5’→3’)」は核塩基配列「ACT(3’→5’)」に相補的である。塩基対の規則に従って、所定の核塩基配列の全ての核塩基より少ない数が他の核塩基配列と一致する場合、相補性は「部分的」であり得る。例えば、一部の様態において、所定の核塩基配列と他の核塩基配列との間の相補性は、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%又は約95%であり得る。したがって、特定の様態では、用語「相補的」は、ターゲット核酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の一致又は相補性を指す。あるいは、例示を続けるために、所定の核塩基配列と他の核塩基配列との間の「完全な」又は「100%」の相補性があり得る。一部の様態において、核塩基配列間の相補性の程度は、配列間ハイブリダイゼーションの効率及び強度に著しい影響を及ぼす。
【0106】
本明細書で使用される表現「連続又は非連続ヌクレオチドが欠失する」は、野生型(又は元の)配列と比較して欠失の結果として残る連続又は非連続ヌクレオチド配列を含むことを意図するが、任意の欠失プロセスを含むことを意図するものではない。前記用語は、「連続ヌクレオチドの欠失」、「欠失したヌクレオチドの間に欠失していないまま残っている非連続ヌクレオチドの欠失」、及び「欠失した連続又は非連続ヌクレオチドの位置に相異なる種類のヌクレオチドの挿入」を含むことができる。例えば、ヌクレオチド配列「A-T-G-C-C-G-T-C」の場合、連続ヌクレオチドの欠失は、「A-_-_-_-C-G-T-C」のように1つ以上の連続ヌクレオチドの欠失を含み、非連続ヌクレオチドの欠失は「A-_-G-_-C-G-T-_」のように、1つ以上のヌクレオチドが欠失したヌクレオチド間に欠失していないまま残っていることを意味し、欠失した連続又は非連続ヌクレオチドの位置に相異なる種類のヌクレオチドの挿入は、「A-A-G-_-C-G-T-G」のように元のヌクレオチドとは相異なる1つ以上のヌクレオチドが欠失したヌクレオチドの位置に挿入されることを意味する。
【0107】
「下流」という用語は、基準ヌクレオチド配列に対して3’に位置するヌクレオチド配列を指す。特定の様態では、下流のヌクレオチド配列は転写の開始点以降の配列と関連している。例えば、遺伝子の翻訳開始コドンは転写開始部位の下流に位置している。
【0108】
本明細書で使用される「エンハンサー」という用語は、増強された転写を提供することができる配列を含み、場合によっては他の調節配列に対するその配向とは無関係に作用することができるDNAの部分を指す。エンハンサーは、プロモーター及び/又は他のエンハンサー要素と協働して又は追加に作用することができる。
【0109】
「賦形剤」及び「担体」という用語は互換的に使用され、医薬組成物に添加されて、複合体、例えば、本明細書に記載の外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含むポリヌクレオチドの投与をさらに容易にする不活性物質を指す。
【0110】
「エクソン」という用語は、タンパク質をコーディングする核酸の所定の部分又は前処理された(又は前駆体)RNAのいずれかの部分をスプライシングによって除去した後にRNA分子の成熟形態で現れる核酸配列を指す。前記成熟RNA分子はメッセンジャーRNA(mRNA)であってもよく、rRNA又はtRNAなどの非コーディングRNAの機能的形態であってもよい。
【0111】
本明細書で使用される「発現」という用語は、ポリヌクレオチドが遺伝子産物、例えば、RNA又はポリペプチドを生成するプロセスを指す。これは、ポリヌクレオチドをメッセンジャーRNA(mRNA)に転写し、mRNAをポリペプチドに翻訳することを含むが、これらに限定されない。発現は「遺伝子産物」を生成する。本明細書で使用される遺伝子産物は、例えば、遺伝子の転写によって産生されたRNAのような核酸であり得る。本明細書で使用される遺伝子産物は、転写物から翻訳される核酸又はポリペプチドであり得る。本明細書に記載の遺伝子産物は、転写後変形、例えば、ポリアデニル化又はスプライシングによる核酸又は翻訳後変形、例えば、リン酸化、メチル化、グリコシル化、脂質追加、他のタンパク質小単位体との会合、又はタンパク質加水分解切断によるポリペプチドをさらに含む。
【0112】
本明細書で使用される「同一性」という用語は、ポリマー分子、例えば、ポリヌクレオチド分子の間における全モノマーの保存を指す。いかなる追加の修飾語も使用しない用語「同一」、例えば、ポリヌクレオチドAは、ポリヌクレオチドBと同一であるということは、ポリヌクレオチド配列が100%同一(100%の配列同一性)であることを意味する。2つの配列が、例えば、「70%同一」であると記載することは、それらを例えば「70%の配列同一性」を有すると記載するのと同じである。
【0113】
例えば、2つのポリペプチド又はポリヌクレオチド配列の同一性(パーセント)計算は、最適な比較目的のために前記2つの配列を整列させることによって行うことができる(例えば、最適な整列のために第1及び第2ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列のうち1つ又は2つの両方にギャップを導入することができ、比較目的で同一でない配列は無視することができる)。特定の様態では、比較目的で整列した配列の長さは、基準配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%又は100%である。その後、対応するアミノ酸位置のアミノ酸を、又はポリヌクレオチドの場合には塩基を比較する。
【0114】
第1配列内の特定の位置を第2配列内の該当位置と同じアミノ酸又はヌクレオチドが占める場合、前記分子はその位置で同じである。2つの配列間の同一性(パーセント)は、前記2つの配列の最適な整列のために導入する必要があるギャップの数及び前記ギャップのそれぞれの長さを考慮して前記配列が共有する同じ位置の数の関数である。配列比較及び2つの配列間同一性(パーセント)の決定は、数学アルゴリズムを用いて行うことができる。
【0115】
相異なる配列(例えば、ポリヌクレオチド配列)を整列させるために使用することができる適切なソフトウェアプログラムは、いくつかの供給元から得ることができる。配列同一性(パーセント)を決定するのに適した1つのプログラムは、米国政府の国立バイオテクノロジー情報センターBLASTウェブサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から得ることのできるBLASTプログラム製品群の一部であるbl2seqである。bl2seqはBLASTN又はBLASTPアルゴリズムを用いて2つの配列間の比較を行う。BLASTNは核酸配列を比較するために使用されるのに対し、BLASTPはアミノ酸配列を比較するために使用される。他の適切なプログラムは、例えば、生物情報学プログラムEMBOSS製品群の一部であり、www.ebi.ac.uk/Tools/psaから欧州生物情報学研究所(EBI)から得ることができるNeedle、Stretcher、Water又はMatcherを含む。
【0116】
配列整列は、MAFFT、Clustal(Clustal W、Clustal X又はClustal Omega)、MUSCLEなどのように当技術分野で公知の方法を用いて行うことができる。
【0117】
ポリヌクレオチド又はポリペプチド基準配列と整列している単一のポリヌクレオチド又はポリペプチドターゲット配列内の相異なる領域は、それぞれそれら自体の配列同一性(パーセント)を有することができる。配列同一性(パーセント)値は、最も近い小数点の最初の桁に丸め/切り捨てすることに注意すべきである。たとえば、80.11、80.12、80.13及び80.14は80.1に切り捨てられ、80.15、80.16、80.17、80.18及び80.19は80.2に丸められる。また、長さの値は常に整数であることに注意すべきである。
【0118】
特定の様態では、第1アミノ酸配列(又は核酸配列)の第2アミノ酸配列(又は核酸配列)に対する同一性(%、%ID)は、%ID=100×(Y/Z)として計算される。ここで、 Yは前記第1及び第2配列の整列において(目視検査又は特定配列整列プログラムにより整列したとき)、同じ一致としてスコア化したアミノ酸残基(又は核塩基)の数であり、Zは前記第2配列内の残基の総数である。第1配列の長さが第2配列よりも長い場合、前記第2配列に対する第1配列の同一性(パーセント)は、第1配列に対する第2配列の同一性(パーセント)よりも高いであろう。
【0119】
当業者であれば、配列同一性(パーセント)を計算するための配列整列の生成が、一次配列データによって完全に処理される二元(binary)配列-配列比較に限定されないことを理解する。さらに、配列データを構造データ(例えば、結晶学的タンパク質構造)、機能データ(例えば、突然変異の位置)又は系統発生データなどの異種ソースからのデータと統合することによって配列整列が行われることができることが理解されるであろう。異種のデータを 統合して多重配列整列を達成するための適切なプログラムは、www.tcoffee.orgで利用可能であり、それとは対照的に、例えばEBIからも利用可能なT-Coffeeである。さらに、配列同一性(パーセント)を計算するために使用される最終整列は、自動又は手動で体系化され得ることが理解される。
【0120】
本明細書で使用される「イントロン」という用語は、遺伝子が産生するタンパク質の一部をコーディングすることなく、細胞核からエクスポートする前に遺伝子から転写されるmRNAからスプライシングされる遺伝子内DNAの部分(介在配列)を指す。「イントロン配列」は、イントロンの核酸配列を指す。そのような配列は、本明細書では「非翻訳核酸配列」とも呼ばれる。これにより、イントロンは、コーディング配列(エクソン)と共に転写されるが、成熟mRNAの形成中に除去されるDNA配列の領域である。
【0121】
本明細書で使用される「イントロン断片」という用語は、全長EF-1αイントロンA配列に由来する断片(すなわち、例えば配列番号1に示したようなEF-1αの第1イントロン)を指す。前記断片は、全長EF-1αイントロンを除く意味である。一部の様態において、前記「イントロン断片」は、EF-1αイントロンAのすべてのヌクレオチドが欠けている対応する構築物で達成される発現レベルを超える発現レベルを達成するのに必要な最小数のヌクレオチド又は構成を含む。したがって、本開示内容のイントロン断片(本明細書では「非翻訳核酸配列」とも呼ばれる)は、EF-1αイントロンの断片を含み、外来遺伝子の発現を増加させることができる限り特に限定されない。本明細書で証明していることのように、一部の様態において、イントロン断片(すなわち、非翻訳核酸配列)は外来遺伝子の転写を増加させて前記外来遺伝子の発現を増加させることができる。したがって、一部の様態において、本明細書に記載のイントロン断片は非翻訳調節要素であり得る。
【0122】
本明細書で使用する用語「単離された」、「精製された」、「抽出された」及びそれらの文法的変形形態は互換的に使用され、1つ以上の精製手順を経た本開示内容の所望の組成物、例えば、外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含むポリヌクレオチドの製剤の状態をいう。一部の様態において、本明細書で使用する単離又は精製は、汚染物質を含む試料から本開示内容の組成物、例えば、本明細書に記載のポリヌクレオチドを除去又は一部除去する(例えば、画分)プロセスである。
【0123】
一部の様態において、単離された組成物は、検出可能な望ましくない活性を有さないか、又はそれとは異なり、望ましくない活性のレベル又は量が許容されるレベル又は量以下である。他の様態では、単離された組成物は、許容される量及び/又は濃度及び/又は活性以上に本開示内容の所望の組成物の量及び/又は濃度を有する。他の様態では、前記単離された組成物は、前記組成物が得られる出発材料と比較して濃縮されたものである。この濃縮は、出発物質と比較して少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99.99%、少なくとも約99.999%、少なくとも約99.9999%又は99.9999%より大きいことがある。
【0124】
一部の様態において、単離された製剤には実質的に残留生物学的生成物がない。一部の様態において、前記単離された製剤には、任意の生物学的汚染物質が100%、少なくとも約99%、少なくとも約98%、少なくとも約97%、少なくとも約96%、少なくとも約95%、少なくとも約95%、少なくとも約94%、少なくとも約93%、少なくとも約92%、少なくとも約91%又は少なくとも約90%ない。残留生物学的生成物は、非生物学的(abiotic)物質(化学物質を含む)又は望ましくない核酸、タンパク質、脂質又は代謝産物を含み得る。
【0125】
本明細書で使用される「連結された」という用語は、第2アミノ酸配列又はポリヌクレオチド配列にそれぞれ共有又は非共有結合された第1アミノ酸配列又はポリヌクレオチド配列を指す。第1アミノ酸又はポリヌクレオチド配列は、第2アミノ酸又はポリヌクレオチド配列に直接結合又は並置されてもよく、あるいは、介在配列が第1配列を第2配列に共有結合してもよい。「連結された」という用語は、5’-末端又は3’-末端で第2ポリヌクレオチド配列への第1ポリヌクレオチド配列の融合を意味するだけでなく、第1ポリヌクレオチド全配列(又は第2ポリヌクレオチド配列)を第2ポリヌクレオチド配列(又は第1ポリヌクレオチド配列)内の任意の2つのヌクレオチドにそれぞれ挿入することを含む。前記第1ポリヌクレオチド配列は、ホスホジエステル結合又はリンカーによって第2ポリヌクレオチド配列に連結することができる。前記リンカーは、例えば、ポリヌクレオチドであり得る。
【0126】
本明細書で使用される「黄斑変性」という用語は、黄斑が変性したり機能的活性を失ったりする任意の数の障害及び病態を指す。前記変性又は機能的活性の喪失は、例えば、アポトーシス、細胞増殖の減少、正常な生物学的機能の喪失、又はそれらの組み合わせの結果として起こり得る。黄斑変性は、細胞及び/又は黄斑の細胞外の基質の構造的完全性の変化、正常細胞及び/又は細胞外の基質構成の変化及び/又は黄斑細胞の機能喪失につながることがあり/又はそれらとして発現され得る。前記細胞は、RPE細胞、光受容体及び/又は毛細血管内皮細胞を含む黄斑内又は近傍に通常存在する任意の細胞型であり得る。年齢関連黄斑変性は黄斑変性の中で最も一般的ですが、「黄斑変性」という用語は高齢者ではない患者の黄斑変性を必ずしも排除するわけではない。黄斑変性の非限定的な例は:年齢関連黄斑変性(湿性又は乾性);ベスト(Best)黄斑異栄養症、ソルスビー(Sorsby)眼底異栄養症、マラティアレベンチネス(Malattia Leventinese)、ドイン(Doyne)ハニカム網膜異栄養症、スターガルト病(Stargardt disease)(スターガルト黄斑異栄養症、青少年黄斑変性又は黄色点眼底(fundus flavimaculatus)とも呼ばれる)及び色素上皮剥離関連黄斑変性を含む。
【0127】
本明細書で使用される「年齢関連黄斑変性」(AMD)という用語は、一般に、高齢者に影響を及ぼし、網膜の中央部(すなわち、黄斑)損傷による中心視の喪失に関連する網膜症を意味する。AMDは、一般に、黄斑(主に網膜色素上皮(RPE)とその下にある脈絡膜との間)内のドルーゼン(アミロイドベータのような細胞外タンパク質及び脂質の蓄積)という黄色を示す不溶性細胞外の沈着物の漸進的な蓄積又は凝集を特徴とする。黄斑内のこれらの沈着物の蓄積又は凝集は、黄斑を徐々に悪化させて、中心視に損傷を与える可能性がある。本明細書で使用する「黄斑」という用語は、中央の高解像度色覚を担う網膜の中心部を意味する。
【0128】
酸化ストレス、ミトコンドリア機能障害及び炎症過程を含むいくつかの理論が提案されているが、年齢関連黄斑変性症の病因はよく知られていない。損傷した細胞成分の生成と分解との間の不均衡は、例えば、細胞内のリポフシン及び細胞外のドルーゼンのような有害生成物の蓄積につながる。初期萎縮は、AMDの初期段階で地図状萎縮に先行する網膜色素上皮(RPE)薄層化又は脱色の領域によって区別される。AMDの進行段階においてRPEの萎縮(地図状萎縮)及び/又は新しい血管の発達(血管新生)は、光受容体の死及び中心視の喪失をもたらす。乾性(非滲出性)AMDでドルーゼンという細胞破片が網膜と脈絡膜との間に蓄積し、網膜に萎縮と傷跡が生じる。より重症である湿性(滲出性)AMDでは、血管が網膜の後ろの脈絡膜で成長して(血管新生)、滲出物と体液が漏液して出血を引き起こす可能性がある。
【0129】
存在するドルーゼンの程度に応じて、AMDは3つの主要な段階に分類することができる:(i)初期、(ii)中期及び(iii)進行期又は後期。初期のAMDは、いくつかの小さな(例えば、直径が約63ミクロン未満の)ドルーゼン又はいくつかの中間サイズの(例えば、直径が約63~124ミクロンの)ドルーゼンが存在することを特徴とする。初期段階で、患者は視力喪失がなく、明らかな症状がない。中期は、多くの中間サイズのドルーゼン又は1つ以上の大きい(例えば、直径が約125ミクロンを超える)ドルーゼンが存在することを特徴とする。この段階で、いくつかの患者は視野の中央にぼやけた斑点を経験し始めることがある。進行期又は後期のAMDは、網膜組織の広い面積の損傷により、中央の死角地帯と結局には中心視の喪失を引き起こすことを特徴とする。損傷の種類(例えば、血管新生の有無)に基づいて、進行期又は後期のAMDは、以下の2つのサブタイプにさらに分けることができる:(i)地図状萎縮(萎縮性AMDともいう)及び(ii)湿性AMD(新生血管性又は滲出性AMDともいう)。
【0130】
AMDには2つの主要な形態である(i)乾燥性AMD及び(ii)湿性AMDがある。特に明記しない限り、「年齢関連黄斑変性」という用語は、乾性AMDと湿性AMDの両方を含む。本明細書で使用される「年齢関連黄斑変性」という用語は、原因にかかわらず、あらゆる種類の年齢関連黄斑変性及び年齢関連黄斑変性の任意及びすべての症状を含む。黄斑変性(例えば、年齢関連黄斑変性)に関連する症状の非限定的な例は:中心視の喪失、歪み、造影剤の感度の低下、霧視、低照度の適応の難しさ、突然の発症及び症状の急速な悪化及び色覚の減少を含む。一部の様態において、黄斑変性(例えば、年齢関連黄斑変性)は、黄斑浮腫(すなわち、黄斑の上又は下に体液とタンパク質沈着物の捕集による黄斑腫脹)を引き起こす可能性がある。
【0131】
本明細書で使用される「乾性AMD」という用語(萎縮性年齢関連黄斑変性又は非滲出性AMDとも呼ばれる)は、湿性(血管新生性)AMDではない、あらゆる形態のAMDを指す。これは、初期及び中期形態のAMDだけでなく、地図形状の萎縮として知られる進行期形態の乾性AMDを含む。乾性AMD患者は、初期に最小症状を有する傾向があり、視覚機能の喪失は徴候が地図状の萎縮に進行する場合、より頻繁に起こる。
【0132】
本明細書で使用される用語「湿性AMD」(血管新生年齢関連黄斑変性又は滲出性AMDとも呼ばれる)は、網膜血管新生の存在を特徴とする網膜症状を指すものであり、最も進行した形態のAMDである。湿性AMDで、血管は、ブルッフ膜(Bruch’s membrane)の欠陥を介して脈絡膜毛細血管及び一部の場合には下部の網膜色素上皮(脈絡膜新生血管の形成又は血管新生)から成長する。これらの血管から出る腸液性又は出血性滲出物の組織化は、神経網膜の付随的変性、網膜色素上皮の剥離及び破裂、硝子体の出血及び中心視の永久損傷と共に黄斑部位の線維血管瘢痕の生成を引き起こす可能性がある。
【0133】
「miRNA」、「miR」及び「microRNA」という用語は互換的に使用され、RNAベースの遺伝子調節に関与する真核生物で見られるmicroRNA分子を指す。この用語は、前駆体から処理された一本鎖RNA分子を指すために使用される。一部の様態において、「アンチセンスオリゴマー」という用語は、本開示内容のmicroRNA分子を説明するために使用され得る。本開示内容に関連するmiRNA及びその配列の名称は本明細書に提供されている。microRNAは、不完全な塩基対を介してターゲットmRNAを認識し、ターゲットmRNAに結合して、前記ターゲットmRNAの不安定化又は翻訳阻害をもたらすことによって、ターゲット遺伝子の発現を下向き制御する。逆に、miRNA結合部位を含む分子(通常、miRNAのシード領域(seed region)に相補的な配列を含む分子)を介したmiRNAターゲット化は、miRNA誘導翻訳阻害を減少又は阻害して、ターゲット遺伝子の上向き制御として現れることがある。
【0134】
「核酸」、「核酸分子」、「ヌクレオチド配列」、「ポリヌクレオチド」及びそれらの文法的変形形態は互換的に使用され、ホスホジエステル結合によって連結されたヌクレオチドの配列を指す。ポリヌクレオチドは、本明細書において5’から3’方向に示されている。本開示内容のポリヌクレオチドは、デオキシリボ核酸(DNA)分子又はリボ核酸(RNA)分子であり得る。ヌクレオチド塩基は、本明細書では、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)、イノシン(I)及びウラシル(U)などの単一文字コーディングで表される。
【0135】
本明細書で使用する「作動的に連結された」又は「作動可能に連結された」という用語は、連結されるDNA配列が所望の機能を果たすように隣接して位置することを意味する。例えば、特定のプロモーターがコーディング配列(例えば、外来遺伝子)の転写を開始するのを助ける場合、そのようなプロモーターはコーディング領域と作動的に連結され得る。このような機能的関係が維持される限り、プロモーターとコーディング領域が必ずしも隣接して位置する必要はない。
【0136】
用語「薬学的に許容される担体」、「薬学的に許容される賦形剤」及びそれらの文法的変形形態は、米国連邦政府の規制当局によって承認されるか、ヒトを含む動物で使用するための米国薬局方に記載されているすべての製剤に加えて、対象への組成物の投与を妨げるほど望ましくない生理学的効果の発生を引き起こすことなく、投与された複合体の生物学的活性及び特性を排除しないすべての担体又は希釈剤を含む。医薬組成物の製造に有用であり、一般に安全で無毒性であり、好ましい賦形剤及び担体が含まれる。
【0137】
本明細書で使用する「医薬組成物」という用語は、薬学的に許容される担体及び賦形剤のような1つ以上の他の化学成分と混合するか、その化学成分に懸濁した本明細書に記載の組成物(例えば、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞及び/又は組換えウイルス)のうち1つ以上を指す。
【0138】
本明細書で使用される「プロモーター」及び「プロモーター配列」という用語は、互換的であり、コーディング配列又は機能的RNAの発現を調節することができるDNA配列を指す。一般に、コーディング配列はプロモーター配列に対して3’に位置する。プロモーターは、全体が天然遺伝子に由来するか、天然に発見される相異なるプロモーターから由来する相異なる要素から構成されてもよく、又は合成DNA部分を含んでもよい。当業者は、相異なるプロモーターが、相異なる組織又は細胞型で、又は相異なる発生段階で、又は相異なる環境又は生理的条件に応答して遺伝子の発現を導くことができることを理解する。ほとんどの宿主細胞型で遺伝子の大部分を発現させるプロモーターは、通常、「構成的(constitutive)プロモーター」と呼ばれる。特定の細胞型で遺伝子を発現させるプロモーターは、通常、「細胞特異的プロモーター」又は「組織特異的プロモーター」と呼ばれる。特定の発生又は細胞分化段階で遺伝子を発現させるプロモーターは、通常、「発生特異的プロモーター」又は「細胞分化特異的プロモーター」と呼ばれる。プロモーターを誘導する作用剤、生物学的分子、化学物質、リガンド、光などで細胞を露出又は処理した後に誘導されて遺伝子を発現させるプロモーターは、通常、「誘導性プロモーター」又は「調節性プロモーター」と呼ばれる。さらに、ほとんどの場合、調節配列の正確な境界が完全に定義されていないので、相異なる長さのDNA断片は同じプロモーター活性を有し得ることと認識されている。
【0139】
前記プロモーター配列は、典型的に、その3’末端で転写開始部位と境界を形成し、背景以上の検出可能なレベルで転写を開始するのに必要な最小数の塩基又は要素を含むように上流方向(5’方向)に延びている。前記プロモーター配列内には、RNA重合酵素の結合を担うタンパク質結合ドメイン(共通配列)だけでなく、転写開始部位(例えば、ヌクレアーゼS1とのマッピングによって都合よく定義される)も見出されるであろう。一部の様態において、本開示内容で使用することができるプロモーターは組織特異的プロモーターを含む。
【0140】
本明細書で使用される「遺伝子調節領域」又は「調節領域」という用語は、コーディング領域の上流(5’非コーディング配列)内又は下流(3’非コーディング配列)に位置して関連コーディング領域の転写、RNA処理、安定性又は翻訳に影響を及ぼすヌクレオチド配列を指す。調節領域は、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNA処理部位、エフェクター結合部位又はステムループ(stem-loop)構造を含み得る。コーディング領域が真核細胞で発現用として意図されている場合、ポリアデニル化信号及び転写終結配列は、通常、コーディング配列に対して3’に位置するであろう。
【0141】
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含む)は、プロモーター及び/又は1つ以上のコーディング領域に作動可能に関連する他の発現(例えば、転写)調節要素を含むことができる。作動可能な関連において、遺伝子産物のためのコーディング領域は、前記遺伝子産物の発現が調節領域(群)の影響又は制御下に置かれるように1つ以上の調節領域に関連する。例えば、コーディング領域とプロモーターは、プロモーター機能の誘導が前記コーディング領域によってコーディングされる遺伝子産物をコーディングするmRNAの転写を引き起こし、前記プロモーターとコーディング領域間の連結特性が遺伝子産物の発現を指示するプロモーターの能力を妨害しないか、転写されるべきDNA鋳型の能力を妨害しない場合、「作動可能に関連する」。プロモーター外の他の発現調節要素、例えば、エンハンサー、オペレーター、リプレッサー及び転写終結信号も、遺伝子産物の発現を指示するコーディング領域と作動可能に関連することができる。
【0142】
本明細書で使用される「対象」、「患者」、「個体」及び「宿主」という用語、及びそれらの変異体は互換性があり、本明細書に記載の組成物(例えば、ポリヌクレオチド、組換え発現構築物、細胞、医薬組成物又は組換えウイルス)のうち任意の組成物が投与される任意の哺乳類対象を指す。非限定的な例としては、診断、処置又は治療を必要とするヒト、家畜(例えば、犬、猫など)、農場動物(例えば、牛、羊、豚、馬など)及び実験室動物(例えば、サル、ラット、マウス、ウサギ、モルモットなど)、特にヒトを含む。本明細書に記載の方法は、ヒトの治療及び獣医学的用途の両方に適用可能である。
【0143】
本明細書で使用される用語「必要とする対象」は、本明細書に記載の組成物の投与利益を有する哺乳類対象のような対象を含む。
【0144】
本明細書で使用される「治療有効量」という用語は、必要とする対象に対して所望の治療効果、薬理学的及び/又は生理学的効果を得るのに十分な本開示内容の組成物(例えば、外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含むポリヌクレオチド)を含む試薬又は薬学的複合体の量である。治療有効量は、予防を治療と見なすことができるので、「予防有効量」であり得る。
【0145】
本明細書で使用される「外来遺伝子」という用語は、組換え発現構築物でコーディングされる少なくとも1つのポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド領域又は前記ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチド領域の発現産物、ポリペプチド又はマルチポリペプチドをコーディングするポリヌクレオチド又は促進又は調節核酸を指す。一部の様態において、前記外来遺伝子は、挿入(又は形質導入)される細胞に対して異種(すなわち、細胞において自然に発現されない)であり得る。
【0146】
本明細書で使用される「治療する」、「治療」又は「治療している」という用語は、例えば、疾患又は病態の重症度の減少、疾患の経過期間の減少、疾患又は病態に関連する1つ以上の症状の改善又は排除、疾患又は病態を必ずしも治癒せずに疾患又は病態のある対象に有益な効果を提供することを指す。前記用語は、また、疾患、病態又はその症状を予防又は防止することを含む。
【0147】
「上流」という用語は、基準ヌクレオチド配列に対して5’に位置するヌクレオチド配列を意味する。
【0148】
本明細書で使用される「ベクター」又は「構築物」という用語は、核酸又は遺伝子が挿入され得る任意のビヒクル(vehicle)、例えば、核酸配列が挿入され複製され得る細胞内に導入され得る送達ビヒクルをいう。ベクターに挿入され得る前記核酸配列は外生又は異種であり得る。前記核酸配列は外来遺伝子であり得る。構築物の例には、プラスミド、コスミド、及びウイルス(例えば、AAV)を含むが、これらに限定されない。当業者は、標準的な組換え技術によって前記ベクター又は構築物を作製することができる(Maniatis,et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY,1988;及びAusubel et al.,In:Current Protocols in Molecular Biology,John,Wiley&Sons,Inc,NY,1994など)。本明細書で使用する「発現ベクター」又は「発現構築物」という用語は、転写される遺伝子産物のうち少なくとも一部をコーディングするヌクレオチド配列を含むベクター又は構築物を意味する。一部の場合には、その後にRNA分子がタンパク質、ポリペプチド又はペプチドに翻訳される。発現構築物には様々な調節要素を含み得る。転写及び翻訳を調節する調節配列と共に、ベクター及び発現ベクターには、他の機能も提供するヌクレオチド配列も含まれることができる。
【0149】
ベクターは、前記ベクターを混入した細胞を選択又は識別するために提供される選択性マーカー又はレポーターをコーディングするように操作されることができる。選択性マーカー又はレポーターの発現は、ベクターに含まれる他のコーディング領域を統合及び発現する宿主細胞の識別及び/又は選択を可能にする。当技術分野で公知で使用されている選択性マーカー遺伝子の例は、アンピシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ハイグロマイシン、バイアラフォス除草剤、スルホンアミドなどに対する耐性を提供する遺伝子;及び表現型マーカーとして使用される遺伝子、すなわち、アントシアニン調節遺伝子、イソペンタニルトランスフェラーゼ遺伝子などを含む。当技術分野で公知で使用されているレポーターの例は、ルシフェラーゼ(Luc)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-ガラクトシダーゼ(LacZ)、β-グルクロニダーゼ(Gus)などを含む。選択性マーカーはレポーターであると見なすことができる。
【0150】
II.ポリヌクレオチド
II.A.非翻訳核酸配列
本開示内容は、非翻訳核酸配列を含むポリヌクレオチドであって、前記非翻訳核酸配列が翻訳時に外来遺伝子の発現を増加させ得るポリヌクレオチドに関する。具体的には、本明細書は、全長EF-1αイントロンより短い伸長因子-1α(EF-1α)イントロン配列を提供する。
【0151】
伸長因子1α(EF-1α)は、6番染色体に位置する遺伝子である(GenBank受託番号NC_000006.12の73,489,308~73,525,587番目のヌクレオチド;陰性鎖方向)。EF-1α遺伝子は、8個のエクソンと7個のイントロンを含み、mRNA翻訳において重要な役割を果たす(例えば、アミノアシル-tRNAを三元複合体eEF1A1-GTP-aa-tRNAとしてリボソームのA部位に運ぶ)真核生物伸長因子1A(eEF1A1及びeEF1Aとも呼ばれる)タンパク質をコーディングする。Scaggiante et al.,Atlas Genet Cytogenet Oncol Haematol 19(4):256-265(2015年3月)を参照。前記全長EF-1αイントロンのヌクレオチド配列は、配列番号1(924個のヌクレオチド長)に記載されている。本明細書に記載されているように、本開示内容の非翻訳核酸配列(すなわち、EF-1αイントロン断片配列)は、全長EF-1αイントロン(又は当技術分野で知られている他のイントロン)と比較して明らかな利点を提供する。例えば、一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列は、全長EF-1αイントロンよりも外来遺伝子の発現を大幅に増加させることができる。さらに、本開示内容の非翻訳核酸配列が全長の対応物よりも短いので、一部の様態において、それらをより大きな外来遺伝子と組み合わせて使用することができる。例えば、AAVキャプシド(本明細書に記載のものなど)は、最大約4.7kbの核酸を収容することができる。したがって、一部の様態において、遺伝子発現をさらに増加させるために、より大きな外来遺伝子及び/又は追加のシス要素(cis-elements)を本明細書に記載のEF-1αイントロン断片(すなわち、非翻訳核酸配列)と統合することができる。
【0152】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列(すなわち、EF-1αイントロン断片)は、配列番号1に示した配列の874~924番目の位置のヌクレオチドを含むが、配列番号1は含まない。一部の様態において、非翻訳核酸配列は、配列番号1の874~924番目のヌクレオチドから必須になる。一部の様態において、非翻訳核酸配列は、配列番号1の874~924番目のヌクレオチドからなる。このようなEF-1αイントロン断片は、本明細書では「T3.2断片」とも呼ばれ、配列番号57に示されている。一部の様態において、非翻訳核酸配列は、配列番号1の874~924番目のヌクレオチドと少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有するが、前記非翻訳核酸配列は配列番号1を含まない。
【0153】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列(すなわち、EFー1αイントロン断片)は、配列番号1の852~924番目のヌクレオチドを含むが、配列番号1を含まない。一部の様態において、本開示内容の非翻訳核酸配列は、配列番号1の852~924番目のヌクレオチドから必須になる。一部の様態において、非翻訳核酸配列は、配列番号1の852~924番目のヌクレオチドからなる。このようなEF-1αイントロン断片は、本明細書では「T3.1.2断片」とも呼ばれ、配列番号3に記載されている。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号1の852~924番目のヌクレオチドと少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有するが、前記非翻訳核酸配列は配列番号1を含まない。
【0154】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列(すなわち、EF-1αイントロン断片)は、配列番号1の830~924番目のヌクレオチドを含むが、配列番号1を含まない。一部の様態において、本開示内容の非翻訳核酸配列は、配列番号1の830~924番目のヌクレオチドから必須になる。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号1の830~924番目のヌクレオチドからなる。このようなEF-1αイントロン断片は、本明細書では「T3.1.1断片」とも呼ばれ、配列番号2に記載されている。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号1の830~924番目のヌクレオチドと少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有するが、前記非翻訳核酸配列は配列番号1を含まない。
【0155】
本開示内容から明らかなように、上述したヌクレオチド(すなわち、配列番号1の874~924番目、852~924番目及び830~924番目の位置、すなわち、それぞれ配列番号57、配列番号3及び配列番号2)に加えて、一部の様態において、本開示内容の非翻訳核酸配列は、配列番号1に示したように、5’領域にEF-1αイントロン配列の連続又は非連続ヌクレオチドをさらに含むことができる。例えば、一部の様態において、5’領域に追加された連続又は非連続ヌクレオチドは、配列番号1の874~924番目、852~924番目又は830~924番目のヌクレオチドの上流のどこにも追加されることができる。一部の様態において、前記5’領域に追加された連続又は非連続ヌクレオチドは、全長EF-1αイントロン配列、すなわち、配列番号1から由来する。一部の様態において、前記5’領域及び/又は3’領域に追加された連続又は非連続ヌクレオチドは、全長EF-1αイントロン配列、すなわち、配列番号1に異種である任意の配列から由来する。
【0156】
したがって、一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列は、配列番号1に示した配列内の1~873番目のヌクレオチド位置から由来する任意の連続又は非連続ヌクレオチドをさらに含まない(結果的に配列番号1の874~924番目のヌクレオチドを含むか、前記ヌクレオチドから必須になるか、又は前記ヌクレオチドからなるEF-1αイントロン断片;「T3.2断片」;配列番号57)。
【0157】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列は、配列番号1に示した配列内の1~870番目の位置のヌクレオチドから由来する任意の連続又は非連続ヌクレオチドを含まない(結果的に配列番号1の871~924番目のヌクレオチドを含むか、前記ヌクレオチドから必須になるか、又は前記ヌクレオチドからなるEF-1αイントロン断片;すなわち、配列番号58)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、配列番号1の1~870番目のヌクレオチド位置内から由来する1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドを含み得るが、前記一つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドは、配列番号1の1~870番目のヌクレオチド位置の全長ではない(例えば、配列番号1の1~870番目のヌクレオチドよりも短い)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、前記非翻訳核酸配列の5’末端及び/又は3’末端に1つ以上の相異なる種類のヌクレオチド(すなわち、配列番号1の1~870番目のヌクレオチド位置から由来しないヌクレオチド)を含み得る。
【0158】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列は、配列番号1に示した配列内の1~860番目の位置のヌクレオチドから由来する任意の連続又は非連続ヌクレオチドを含まない(結果的に配列番号1の861~924番目のヌクレオチドを含むか、前記ヌクレオチドから必須になるか、又は前記ヌクレオチドからなるEF-1αイントロン断片;すなわち、配列番号59)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、配列番号1の1~860番目のヌクレオチド位置内から由来する1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドを含むことができるが、前記1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドは、配列番号1の1~860番目のヌクレオチド位置の全長ではない(例えば、配列番号1の1~860番目のヌクレオチドよりも短い)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、前記非翻訳核酸配列の5’末端及び/又は3’末端に1つ以上の相異なる種類のヌクレオチド(すなわち、配列番号1の1~860番目のヌクレオチド位置から由来しないヌクレオチド)を含み得る。
【0159】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列は、配列番号1に示した配列内の1~851番目の位置のヌクレオチドから由来する任意の連続又は非連続ヌクレオチドを含まない(結果的に配列番号1の852~924番目のヌクレオチドを含むか、前記ヌクレオチドから必須になるか、又は前記ヌクレオチドからなるEF-1αイントロン断片;すなわち、配列番号60)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、配列番号1の1~851番目のヌクレオチド位置内から由来する1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドを含み得るが、前記1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドは、配列番号1の1~851番目のヌクレオチド位置の全長ではない(例えば、配列番号1の1~851番目のヌクレオチドよりも短い)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、前記非翻訳核酸配列の5’末端及び/又は3’末端に1つ以上の相異なる種類のヌクレオチド(すなわち、配列番号1の1~851番目のヌクレオチド位置から由来しないヌクレオチド)を含み得る。
【0160】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列は、配列番号1に示した配列内の1~850番目の位置のヌクレオチドから由来する任意の連続又は非連続ヌクレオチドを含まない(結果的に配列番号1の851~924番目のヌクレオチドを含むか、前記ヌクレオチドから必須になるか、又は前記ヌクレオチドからなるEF-1αイントロン断片;すなわち、配列番号61)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、配列番号1の1~850番目のヌクレオチド位置内から由来する1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドを含み得るが、前記1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドは、配列番号1の1~850番目のヌクレオチド位置の全長ではない(例えば、配列番号1の1~850番目のヌクレオチドよりも短い)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、前記非翻訳核酸配列の5’末端及び/又は3’末端に1つ以上の相異なる種類のヌクレオチド(すなわち、配列番号1の1~850番目のヌクレオチド位置から由来しないヌクレオチド)を含み得る。
【0161】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列は、配列番号1に示した配列内の1~829番目の位置のヌクレオチドから由来する任意の連続又は非連続ヌクレオチドを含まない(結果的に配列番号1の830~924番目のヌクレオチドを含むか、又は前記ヌクレオチドから必須になるか、又は前記ヌクレオチドからなるEF-1αイントロン断片;すなわち、配列番号2)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、配列番号1の1~829番目のヌクレオチド位置内から由来する1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドを含み得るが、前記1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドは、配列番号1の1~829番目のヌクレオチド位置の全長ではない(例えば、配列番号1の1~829番目のヌクレオチドよりも短い)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、前記非翻訳核酸配列の5’末端及び/又は3’末端に1つ以上の相異なる種類のヌクレオチド(すなわち、配列番号1の1~829番目のヌクレオチド位置から由来しないヌクレオチド)を含み得る。
【0162】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列は、配列番号1に示した配列内の1~820番目の位置のヌクレオチドから由来する任意の連続又は非連続ヌクレオチドを含まない(結果的に配列番号1の821~924番目のヌクレオチドを含むか、前記ヌクレオチドから必須になるか、又は前記ヌクレオチドからなるEF-1αイントロン断片:すなわち、配列番号63)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、配列番号1の1~820番目のヌクレオチド位置内から由来する1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドを含み得るが、前記1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドは、配列番号1の1~820番目のヌクレオチド位置の全長ではない(例えば、配列番号1の1~820番目のヌクレオチドよりも短い)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、前記非翻訳核酸配列の5’末端及び/又は3’末端に1つ以上の相異なる種類のヌクレオチド(すなわち、配列番号1の1~820番目のヌクレオチド位置から由来しないヌクレオチド)を含み得る。
【0163】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列は、配列番号1に示した配列内の1~810番目の位置のヌクレオチドから由来する任意の連続又は非連続ヌクレオチドを含まない(結果的に配列番号1の811~924番目のヌクレオチドを含むか、前記ヌクレオチドから必須になるか、又は前記ヌクレオチドからなるEF-1αイントロン断片;すなわち、配列番号64)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、配列番号1の1~810番目のヌクレオチド位置内から由来する1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドを含み得るが、前記1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドは、配列番号1の1~810番目のヌクレオチド位置の全長ではない(例えば、配列番号1の1~810番目のヌクレオチドよりも短い)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、前記非翻訳核酸配列の5’末端及び/又は3’末端に1つ以上の相異なる種類のヌクレオチド(すなわち、配列番号1の1~810番目のヌクレオチド位置から由来しないヌクレオチド)を含み得る。
【0164】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列は、配列番号1に示した配列内の1~807番目の位置のヌクレオチドから由来する任意の連続又は非連続ヌクレオチドを含まない(結果的に配列番号1の808~924番目のヌクレオチドを含むか、ヌクレオチドから必須になるか、又は前記ヌクレオチドからなるEF-1αイントロン断片;すなわち、配列番号65)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、配列番号1の1~807番目のヌクレオチド位置内から由来する1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドを含み得るが、前記1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドは、配列番号1の1~807番目のヌクレオチド位置の全長ではない(例えば、配列番号1の1~807番目のヌクレオチドよりも短い)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、前記非翻訳核酸配列の5’末端及び/又は3’末端に1つ以上の相異なる種類のヌクレオチド(すなわち、配列番号1の1~807番目のヌクレオチド位置から由来しないヌクレオチド)を含み得る。
【0165】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列は、配列番号1に示した配列内の1~800番目の位置のヌクレオチドから由来する任意の連続又は非連続ヌクレオチドを含まない(結果的に配列番号1の801~924番目のヌクレオチドを含むか、又は前記ヌクレオチドから必須になるか、又は前記ヌクレオチドからなるEF-1αイントロン断片;すなわち、配列番号66)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、配列番号1の1~800番目のヌクレオチド位置内から由来する1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドを含み得るが、前記1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドは、配列番号1の1~800番目のヌクレオチド位置の全長ではない(例えば、配列番号1の1~800番目のヌクレオチドよりも短い)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、前記非翻訳核酸配列の5’末端及び/又は3’末端に1つ以上の相異なる種類のヌクレオチド(すなわち、配列番号1の1~800番目のヌクレオチド位置から由来しないヌクレオチド)を含み得る。
【0166】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列は、配列番号1に示した配列内の1~750番目の位置のヌクレオチドから由来する任意の連続又は非連続ヌクレオチドを含まない(結果的に配列番号1の751~924番目のヌクレオチドを含むか、前記ヌクレオチドから必須になるか、又は前記ヌクレオチドからなるEF-1αイントロン断片;すなわち、配列番号67)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、配列番号1の1~750番目のヌクレオチド位置内から由来する1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドを含み得るが、前記1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドは、配列番号1の1~750番目のヌクレオチド位置の全長ではない(例えば、配列番号1の1~750番目のヌクレオチドよりも短い)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、前記非翻訳核酸配列の5’末端及び/又は3’末端に1つ以上の相異なる種類のヌクレオチド(すなわち、配列番号1の1~750番目のヌクレオチド位置から由来しないヌクレオチド)を含み得る。
【0167】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列は、配列番号1に示した配列内の1~720番目の位置のヌクレオチドから由来する任意の連続又は非連続ヌクレオチドを含まない(結果的に配列番号1の721~924番目のヌクレオチドを含むか、前記ヌクレオチドから必須になるか、又は前記ヌクレオチドからなるEF-1αイントロン断片;すなわち、配列番号68)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、配列番号1の1~720番目のヌクレオチド位置内から由来する1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドを含み得るが、前記1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドは、配列番号1の1~720番目のヌクレオチド位置の全長ではない(例えば、配列番号1の1~720番目のヌクレオチドよりも短い)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、前記非翻訳核酸配列の5’末端及び/又は3’末端に1つ以上の相異なる種類のヌクレオチド(すなわち、配列番号1の1~720番目のヌクレオチド位置から由来しないヌクレオチド)を含み得る。
【0168】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列は、配列番号1に示した配列内の1~700番目の位置のヌクレオチドから由来する任意の連続又は非連続ヌクレオチドを含まない(結果的に配列番号1の701~924番目のヌクレオチドを含むか、前記ヌクレオチドから必須になるか、又は前記ヌクレオチドからなるEF-1αイントロン断片;すなわち、配列番号69)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、配列番号1の1~700番目のヌクレオチド位置内から由来する1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドを含み得るが、前記1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドは、配列番号1の1~700番目のヌクレオチド位置の全長ではない(例えば、配列番号1の1~700番目のヌクレオチドよりも短い)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、前記非翻訳核酸配列の5’末端及び/又は3’末端に1つ以上の相異なる種類のヌクレオチド(すなわち、配列番号1の1~700番目のヌクレオチド位置から由来しないヌクレオチド)を含み得る。
【0169】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列は、配列番号1に示した配列内の1~650番目の位置のヌクレオチドから由来する任意の連続又は非連続ヌクレオチドを含まない(結果的に配列番号1の651~924番目のヌクレオチドを含むか、前記ヌクレオチドから必須になるか、又は前記ヌクレオチドからなるEF-1αイントロン断片;すなわち、配列番号70)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、配列番号1の1~650番目のヌクレオチド位置内から由来する1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドを含み得るが、前記1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドは、配列番号1の1~650番目のヌクレオチド位置の全長ではない(例えば、配列番号1の1~650番目のヌクレオチドよりも短い)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、前記非翻訳核酸配列の5’末端及び/又は3’末端に1つ以上の相異なる種類のヌクレオチド(すなわち、配列番号1の1~650番目のヌクレオチド位置から由来しないヌクレオチド)を含み得る。
【0170】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列は、配列番号1に示した配列内の1~600番目の位置のヌクレオチドから由来する任意の連続又は非連続ヌクレオチドを含まない(結果的に配列番号1の601~924番目のヌクレオチドを含むか、前記ヌクレオチドから必須になるか、又は前記ヌクレオチドからなるEF-1αイントロン断片;すなわち、配列番号71)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、配列番号1の1~600番目のヌクレオチド位置内から由来する1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドを含むことができるが、前記1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドは、配列番号1の1~600番目のヌクレオチド位置の全長ではない(例えば、配列番号1の1~600番目のヌクレオチドよりも短い)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、前記非翻訳核酸配列の5’末端及び/又は3’末端に1つ以上の相異なる種類のヌクレオチド(すなわち、配列番号1の1~600番目のヌクレオチド位置から由来しないヌクレオチド)を含み得る。
【0171】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列は、配列番号1に示した配列内の1~569番目の位置のヌクレオチドから由来する任意の連続又は非連続ヌクレオチドを含まない(結果的に配列番号1の570~924番目のヌクレオチドを含むか、前記ヌクレオチドから必須になるか、又は前記ヌクレオチドからなるEF-1αイントロン断片;すなわち、配列番号72)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、配列番号1の1~569番目のヌクレオチド位置内から由来する1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドを含み得るが、前記1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドは、配列番号1の1~569番目のヌクレオチド位置の全長ではない(例えば、配列番号1の1~569番目のヌクレオチドよりも短い)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、前記非翻訳核酸配列の5’末端及び/又は3’末端に1つ以上の相異なる種類のヌクレオチド(すなわち、配列番号1の1~569番目のヌクレオチド位置から由来しないヌクレオチド)を含み得る。
【0172】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列は、配列番号1に示した配列内の1~550番目の位置のヌクレオチドから由来する任意の連続又は非連続ヌクレオチドを含まない(結果的に配列番号1の551~924番目のヌクレオチドを含むか、前記ヌクレオチドから必須になるか、又は前記ヌクレオチドからなるEF-1αイントロン断片;すなわち、配列番号73)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、配列番号1の1~550番目のヌクレオチド位置内から由来する1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドを含み得るが、前記1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドは、配列番号1の1~550番目のヌクレオチド位置の全長ではない(例えば、配列番号1の1~550番目のヌクレオチドよりも短い)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、前記非翻訳核酸配列の5’末端及び/又は3’末端に1つ以上の相異なる種類のヌクレオチド(すなわち、配列番号1の1~550番目のヌクレオチド位置から由来しないヌクレオチド)を含み得る。
【0173】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列は、配列番号1に示した配列内の1~500番目の位置のヌクレオチドから由来する任意の連続又は非連続ヌクレオチドを含まない(結果的に配列番号1の501~924番目のヌクレオチドを含むか、前記ヌクレオチドから必須になるか、又は前記ヌクレオチドからなるEF-1αイントロン断片;すなわち、配列番号74)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、配列番号1の1~500番目のヌクレオチド位置内から由来する1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドを含み得るが、前記1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドは、配列番号1の1~500番目のヌクレオチド位置の全長ではない(例えば、配列番号1の1~500番目のヌクレオチドよりも短い)。一部の様態において、そのような非翻訳核酸配列は、前記非翻訳核酸配列の5’末端及び/又は3’末端に1つ以上の相異なる種類のヌクレオチド(すなわち、配列番号1の1~500番目のヌクレオチド位置から由来しないヌクレオチド)を含み得る。
【0174】
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列は、(i)配列番号1の871~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号58)、(ii)配列番号1の861~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号59)、(iii)配列番号1の852~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号60)、(iv)配列番号1の851~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号61)、(v)配列番号1の830~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号2)、(vi)配列番号1の821~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号63)、(vii)配列番号1の811~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号64)、(viii)配列番号1の808~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号65)、(ix)配列番号1の801~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号66)、(x)配列番号1の751~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号67)、(xi)配列番号1の721~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号68)、(xii)配列番号1の701~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号69)、(xiii)配列番号1の651~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号70)、(xiv)配列番号1の601~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号71)、(xv)配列番号1の570~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号72)、(xvi)配列番号1の551~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号73)又は(xvii)配列番号1の501~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号74)と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。
【0175】
一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号1の871~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号58)と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号1の861~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号59)と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号1の852~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号60)と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号1の851~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号61)と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号1の830~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号2)と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号1の821~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号63)と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号1の811~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号64)と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号1の808~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号65)と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号1の801~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号66)と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号1の751~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号67)と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号1の721~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号68の配列)と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号1の701~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号69)と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号1の651~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号70)と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号1の601~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号71)と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号1の570~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号72)と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号1の551~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号73)と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記非翻訳核酸配列は、配列番号1の501~924番目のヌクレオチド(すなわち、配列番号74)と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。
【0176】
前記開示内容から明らかなように、一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列を含むポリヌクレオチドは、前記非翻訳核酸配列の5’末端(「5’領域」)に少なくとも約1つ、少なくとも約2つ、少なくとも約3つ、少なくとも約4つ、少なくとも約5つ、少なくとも約10個、少なくとも約15個、少なくとも約20個、少なくとも約25個 、少なくとも約30個、少なくとも約40個、少なくとも約50個、少なくとも約60個、少なくとも約70個、少なくとも約80個、少なくとも約90個又は少なくとも約100個のヌクレオチドをさらに含む。一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、前記非翻訳核酸配列の3’末端(「3’領域」)に少なくとも約1つ、少なくとも約2つ、少なくとも約3つ、少なくとも約4つ、少なくとも約5つ、少なくとも約10個、少なくとも約15個、少なくとも約20個、少なくとも約25個、少なくとも約30個、少なくとも約40個、少なくとも約50個、少なくとも約60個、少なくとも約70個、少なくとも約80個、少なくとも約90個又は少なくとも約100個のヌクレオチドをさらに含む。一部の様態において、非翻訳核酸配列を含むポリヌクレオチドは、前記非翻訳核酸配列の5’末端(「5’領域」)及び3’末端(「3’領域」)の両方に少なくとも約1つ、少なくとも約2つ、少なくとも約3つ、少なくとも約4つ、少なくとも約5つ、少なくとも約10個、少なくとも約15個、少なくとも約20個、少なくとも約25個、少なくとも約30個、少なくとも約40個、少なくとも約50個、少なくとも約60個、少なくとも約70個、少なくとも約80個、少なくとも約90個又は少なくとも約100個のヌクレオチドをさらに含む。
【0177】
一部の様態において、ポリヌクレオチドは、前記非翻訳核酸配列の5’領域内の配列番号1の1~873番目の位置に該当する1つ以上の連続又は非連続ヌクレオチドを含む。
【0178】
II.B.外来遺伝子
一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列を含むポリヌクレオチドは、外来遺伝子をさらに含む。したがって、一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含むものであって、前記非翻訳核酸配列は配列番号1の874~924番目のヌクレオチドを含むか、前記ヌクレオチドから必須になるが、又は前記ヌクレオチドからなるが、配列番号1は含まない(例えば、配列番号57)。一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含み、前記非翻訳核酸配列は配列番号1の852~924番目のヌクレオチドを含むか、前記ヌクレオチドから必須になるか、又は前記ヌクレオチドからなるが、配列番号1は含まない(例えば、配列番号3)。一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含み、前記非翻訳核酸配列は配列番号1の830~924番目のヌクレオチドを含むか、前記ヌクレオチドから必須になるか、又は前記ヌクレオチドからなるが、配列番号1は含まない(例えば、配列番号2)。
【0179】
本開示内容に有用な外来遺伝子は、前記外来遺伝子が細胞に形質導入時にポリペプチドに翻訳され得る限り、特に限定されない。したがって、任意の適切な目的の外来遺伝子を本開示内容の非翻訳核酸配列で使用することができる。一部の様態において、外来遺伝子は、ポリペプチド(又はその任意の変異体)、融合タンパク質、抗体又はその抗原結合断片、RNAベースの分子(例えば、miRNA、shRNA、リボザイム、siRNA)又はそれらの任意の組み合わせをコーディングする。
【0180】
一部の様態において、外来遺伝子は、本明細書に記載されるものなどの疾患又は障害の治療に有用なタンパク質をコーディングする。一部の様態において、前記外来遺伝子は、対象又は患者の体内で持続的な発現を目的とする特定の疾患の治療用ペプチドをコーディングする。一部の様態において、外来遺伝子は、配列番号23と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記外来遺伝子は融合タンパク質をコーディングするが、前記融合タンパク質は血管内皮細胞成長因子(「VEGF」)の阻害剤である。一部の様態において、VEGFの阻害剤は、アップリバーセプト(EYLEA(登録商標)及びZALTRAP(登録商標))を含む。
【0181】
II.C.調整要素
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは調節要素をさらに含む。したがって、一部の様態において、ポリヌクレオチドは、(1)調節要素、(2)本明細書に記載の非翻訳核酸配列、及び(3)外来遺伝子を含む。
【0182】
本明細書で使用される「調節要素」という用語は、作動可能に連結された核酸の発現を調節する(例えば、増加又は減少させる)核酸配列を指す。本開示内容に有用な調節要素は、エンハンサー(例えば、CMVエンハンサー)、プロモーター(例えば、CMVプロモーター、EF-1αプロモーター又はβ-アクチンプロモーター)、エクソン(例えば、エクソン1又はエクソン2)、スプライシンドナー配列、受容体配列、又はそれらの組み合わせを含む。一部の様態において、前記調節要素は、転写終結のための配列(例えば、ポリA)、外来遺伝子を安定的に発現させるための配列(例えば、WPRE配列)、外来遺伝子特異的免疫の発生を減少させるための配列(例えば、miRNAターゲット配列)又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0183】
II.C.1.エンハンサー
一部の様態において、前記調節要素はエンハンサーである。したがって、一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、(特定の順序なし)(1)エンハンサー、(2)非翻訳核酸配列、及び(3)外来遺伝子を含む。一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、(5’から3’方向に):(1)エンハンサー、(2)非翻訳核酸配列、及び(3)外来遺伝子を含む。
【0184】
当技術分野で知られている任意の適切なエンハンサーを本開示内容で使用することができる。適切なエンハンサーの非限定的な例は:サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー、SV40初期エンハンサー、アデノウイルス5 E1Aエンハンサー、HBVエンハンサー-1調節領域(Eh-1)、HPV-16又は-18E6/7長い調節領域(LCR)、HIV-1長い反復末端(LTR)又はそれらの任意の組み合わせを含む。一部の様態において、前記エンハンサーはサイトメガロウイルス(CMV)エンハンサーである。一部の様態において、前記CMVエンハンサーは、配列番号4と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の様態において、前記サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサーは、配列番号4に示したヌクレオチド配列を含む。
【0185】
II.C.2.プロモーター
一部の様態において、前記調節要素はプロモーターである。したがって、一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、(特定の順序なし)(1)プロモーター、(2)非翻訳核酸配列、及び(3)外来遺伝子を含む。一部の様態において、ポリヌクレオチドは(5’から3’方向に):(1)プロモーター、(2)非翻訳核酸配列、及び(3)外来遺伝子を含む。一部の様態において、前記調節要素はエンハンサー及びプロモーターの両方を含む。そのような様態では、ポリヌクレオチドは、(特定の順序なし)(1)エンハンサー、(2)プロモーター、(3)非翻訳核酸配列、及び(4)外来遺伝子を含み得る。一部の様態において、ポリヌクレオチドは(5から3’方向に):(1)エンハンサー、(2)プロモーター、(3)非翻訳核酸配列、及び(4)外来遺伝子を含む。当技術分野で知られている任意の適切なプロモーターを本開示内容で使用することができる。
【0186】
一部の様態において、前記プロモーターはサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、EF-1αプロモーター、β-アクチンプロモーター、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、70-kDa熱ショックタンパク質(HSP70)プロモーター、78-kDaグルコース調節タンパク質(GRP78)プロモーター、真核生物開始因子-4A(eIF4a)プロモーター、α-1-抗トリプシン(AAT)プロモーター、トランススチレチン(TTR)プロモーター、神経膠線維酸性タンパク質(GFAP)プロモーター、サルホラーウイルス40(SV40)プロモーターの初期プロモーター、シナプシンI(SYN1)プロモーター、Gタンパク質結合受容体キナーゼ(GRK)プロモーター、ロドプシン(Rho)プロモーター又はそれらの組み合わせを含む。
【0187】
一部の様態において、本開示内容に有用なプロモーターはCMVプロモーターである。したがって、一部の様態において、ポリヌクレオチドは、(1)エンハンサー(例えば、CMVエンハンサー)、(2)CMVプロモーター、(3)非翻訳核酸配列、及び(4)外来遺伝子を含む。一部の様態において、前記CMVプロモーターは、配列番号5又は配列番号6と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の様態において、前記CMVプロモーターは、配列番号5又は配列番号6に示したヌクレオチド配列を含む。
【0188】
一部の様態において、本開示内容で使用することができるプロモーターはEF-1αプロモーターである。一部の様態において、ポリヌクレオチドは、(1)エンハンサー(例えば、CMVエンハンサー)、(2)EF-1αプロモーター、(3)非翻訳核酸配列、及び(4)外来遺伝子を含む。一部の様態において、前記EF-1αプロモーターは、配列番号7と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の様態において、前記EF-1αプロモーターは、配列番号7に示したヌクレオチド配列を含む。
【0189】
一部の様態において、前記プロモーターはβ-アクチンプロモーターである。したがって、一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、(1)エンハンサー(例えば、CMVエンハンサー)、(2)β-アクチンプロモーター、(3)非翻訳核酸配列、及び(4)外来遺伝子を含む。一部の様態において、前記β-アクチンプロモーターは、配列番号8と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する配列を含む。一部の様態において、前記β-アクチンプロモーターは、配列番号8に示したようなチキンβ-アクチンプロモーターである。
【0190】
本明細書に示されているように(
図4Aを参照)、一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含む)は多重プロモーターを含み得る。例えば、一部の様態において、ポリヌクレオチドは、CMVプロモーター、EF-1αプロモーター及び/又はβ-アクチンプロモーターの組み合わせを含む。一部の様態において、ポリヌクレオチドはCMVプロモーター及びEF-1αプロモーターの両方を含む。このような様態では、前記CMVプロモーターは、配列番号5に示した配列(すなわち、配列番号6の5’末端からの最初の31個のヌクレオチド)のように全長CMVプロモーターの一部であり得る。
【0191】
II.C.3.スプライシングドナー配列
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチド(すなわち、非翻訳核酸配列を含む)はスプライシングドナー配列を含む。本明細書で使用する「スプライシングドナー配列」又は「スプライシングドナー部位」という用語は、イントロン(例えば、EF-1αイントロン)の5’末端に存在するグアニン-チミン(GT)が豊富なドメインを指す(イントロンとエクソンとの境界を暗示する)。本明細書に示されているように、そのような配列は、本開示内容の非翻訳核酸配列を生成するようにターゲット化され得る。一部の様態において、スプライシングドナー配列は、EF-1αイントロン断片(すなわち、非翻訳核酸配列)の上流に連結される。例えば、一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、(特定の順序なし)(1)エンハンサー(例えば、CMVエンハンサー)、(2)プロモーター(例えば、CMVプロモーター、EF-1αプロモーター及び/又はβ-アクチンプロモーター)、(3)スプライシングドナー配列、(4)非翻訳核酸配列、及び(5)外来遺伝子を含む。一部の様態において、ポリヌクレオチドは(5’から3’方向に):(1)エンハンサー(例えば、CMVエンハンサー)、(2)プロモーター(例えば、CMVプロモーター、EF-1αプロモーター及び/又はβ-アクチンプロモーター)、(3)スプライシングドナー配列、(4)非翻訳核酸配列及び(5)外来遺伝子を含む。
【0192】
一部の様態において、本開示に有用なスプライシングドナー配列は、配列番号9又は配列番号10に示したヌクレオチド配列と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記スプライシングドナー配列は、配列番号9又は配列番号10に示したヌクレオチド配列を含む。
【0193】
II.C.4.エクソン配列
本明細書に示されているように、一部の様態において、本開示内容のポリヌクレオチドは1つ以上のエクソン配列をさらに含む。例えば、一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドはEF-1αエクソン2(E2)配列を含む。したがって、一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、以下の特徴部を含む(特定の順序なし):(1)エンハンサー(例えば、CMVエンハンサー)、(2)プロモーター(例えば、CMVプロモーター、EF-1αプロモーター及び/又はβ-アクチンプロモーター)、(3)スプライシングドナー配列、(4)非翻訳核酸配列、(5)EF-1α E2配列、及び(6)外来遺伝子。一部の様態において、そのようなポリヌクレオチドは(5’から3’方向に):(1)エンハンサー(例えば、CMVエンハンサー)、(2)プロモーター(例えば、CMVプロモーター、EF-1αプロモーター及び/又はβ-アクチンプロモーター)、(3)スプライシングドナー配列、(4)非翻訳核酸配列、(5)EF-1α E2配列、及び(6)外来遺伝子を含む。一部の様態において、前記EF-1α E2配列は、配列番号11と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記EF-1α E2配列は、配列番号11に示したヌクレオチド配列を含む。
【0194】
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドに含まれ得る1つ以上のエクソン配列は、サイトメガロウイルス(CMV)、EF-1α又はβ-アクチンエクソン1(E1)配列を含む。一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、E1及びE2配列の両方を含み得る。例えば、一部の様態において、ポリヌクレオチドは(特定の順序なし):(1)エンハンサー(例えば、CMVエンハンサー)、(2)プロモーター(例えば、CMVプロモーター、EF-1αプロモーター及び/又はβ-アクチンプロモーター)、(3)E1配列(例えば、CMV E1配列、EF-1α E1配列及び/又はβ-アクチンE1配列)、(4)スプライシングドナー配列、(5)非翻訳核酸配列、(6)EF-1α E2配列、及び(7)外来遺伝子を含む。一部の様態において、ポリヌクレオチドは(5’から3’方向に):(1)エンハンサー(例えば、CMVエンハンサー)、(2)プロモーター(例えば、CMVプロモーター、EF-1αプロモーター及び/又はβ-アクチン)、(3)E1配列(例えば、CMV E1配列、EF-1α
E1配列及び/又はβ-アクチンE1配列)、(4)スプライシングドナー配列、(5)非翻訳核酸配列、(6)EF-1α E2配列、及び(7)外来遺伝子を含む。
【0195】
一部の様態において、本開示内容で使用することができるE1配列はCMV E1配列である。一部の様態において、CMV E1配列は、配列番号12と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、CMV E1配列は、配列番号12に示したヌクレオチド配列を含む。
【0196】
一部の様態において、前記E1配列はEF-1α E1配列である。一部の様態において、前記EF-1α E1配列は、配列番号13と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記EF-1α E1配列は、配列番号13に示したヌクレオチド配列を含む。一部の様態において、前記E1配列はβ-アクチンE1配列である。一部の様態において、前記β-アクチンE1配列は、配列番号14又は配列番号15と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記β-アクチンE1配列は、配列番号14又は配列番号15に示したヌクレオチド配列を含む。
【0197】
II.C.5。miRNAターゲット配列
本明細書に記載されているように、一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドの調節要素は、免疫細胞に特異的なmicroRNA(miRNA)に対する1つ以上のターゲット配列(「miRNAターゲット配列」)を含む。したがって、一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、以下の特徴部を含む(特定の順序なし):(1)エンハンサー(例えば、CMVエンハンサー)、(2)プロモーター(例えば、CMVプロモーター、EF-1αプロモーター及び/又はβ-アクチンプロモーター)、(3)E1配列(例えば、CMV E1配列、EF-1α E1配列及び/又はβ-アクチンE1配列)、(4)スプライシングドナー配列、(5)非翻訳核酸配列、(6)EF-1α E2配列、(7)外来遺伝子、及び(8)以上のmiRNAターゲット配列を含む。一部の様態において、ポリヌクレオチドは(5’から3’方向に):(1)エンハンサー(例えば、CMVエンハンサー)、(2)プロモーター(例えば、CMVプロモーター、EF-1αプロモーター及び/又はβ-アクチンプロモーター)、(3)E1配列(例えば、CMV E1配列、EF-1α E1配列及び/又はβ-アクチンE1配列)、(4)スプライシングドナー配列、(5)非翻訳核酸配列、(6)EF-1α E2配列、(7)外来遺伝子、及び(8)1つ以上のmiRNAターゲット配列を含む。
【0198】
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個以上のmiRNAターゲット配列を含む。一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドに含まれ得るmiRNAに対する前記ターゲット配列の数は、約2~約6個(例えば、2~6個)である。一部の様態において、前記多重miRNAターゲット配列は同じである。一部の様態において、前記多重miRNAターゲット配列のうち1つ以上は互いに異なる。
【0199】
本開示から明らかなように、1つ以上のmiRNAターゲット配列を含むと、本明細書に記載のポリヌクレオチドの特異性を向上させることができる。例えば、特定の細胞型(例えば、免疫細胞)において前記外来遺伝子の阻害が望まれる場合、免疫細胞に特異的なmiRNAに対するターゲット配列を用いて、免疫細胞内で外来遺伝子の発現を抑制することができる。その結果、免疫細胞による外来遺伝子特異的免疫の発生を遮断することができる。したがって、相異なるmiRNAターゲット配列を使用することによって、相異なる細胞/組織における外来遺伝子の発現を調節することができる。
【0200】
当技術分野で知られている任意の適切なmiRNAターゲット配列を本開示内容で使用することができる。一部の様態において、前記miRNAターゲット配列は、miR142-3p又はmiR142-5pに特異的である。一部の様態において、前記miRNAに対するターゲット配列は、miR142-3p又はmiR142-5pの全長又は一部の配列に相補的な配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンタゴミア、短ヘアピンRNA(shRNA)分子、短干渉RNA(siRNA)分子 、リボザイム、ペプチド核酸(PNA)オリゴヌクレオチド、ロックド核酸(LNA)オリゴヌクレオチド、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0201】
一部の様態において、前記miRNAターゲット配列は、配列番号16と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記miRNAターゲット配列は、配列番号17と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記miRNAターゲット配列は、配列番号16又は配列番号17に示したヌクレオチド配列を含む。
【0202】
II.C.6.WPRE配列
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチド(すなわち、非翻訳核酸配列を含む)は、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節要素(WPRE)配列をさらに含む。したがって、一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは(特定の順序なし)(1)エンハンサー(例えば、CMVエンハンサー)、(2)プロモーター(例えば、CMVプロモーター、EF-1αプロモーター及び/又はβ-アクチンプロモーター)、(3)E1配列(例えば、CMV E1配列、EF-1α E1配列及び/又はβ-アクチンE1配列)、(4)スプライシングドナー配列、(5)非翻訳核酸配列、(6)EF-1α E2配列、(7)外来遺伝子、(8)1つ以上のmiRNAターゲット配列、及び(9)WPRE配列を含む。一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、(5’から3’方向に):(1)エンハンサー(例えば、CMVエンハンサー)、(2)プロモーター(例えば、CMVプロモーター、EF-1αプロモーター及び/又はβ-アクチンプロモーター)、(3)E1配列(例えば、CMV E1配列、EF-1α E1配列及び/又はβ-アクチンE1配列)、(4)スプライシングドナー配列、(5)非翻訳核酸配列、(6)EF-1α E2配列、(7)外来遺伝子、(8)1つ以上のmiRNAターゲット配列、及び(9)WPRE配列を含む。
【0203】
一部の様態において、前記WPRE配列は、配列番号18と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記WPRE配列は、配列番号18に示したヌクレオチド配列を含む。
【0204】
II.C.7.ポリアデニル化配列
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチド(すなわち、非翻訳核酸配列を含む)は、1つ以上のポリアデニル化(pA)配列をさらに含む。したがって、一部の様態において、ポリヌクレオチドは(特定の順序なし)(1)エンハンサー(例えば、CMVエンハンサー)、(2)プロモーター(例えば、CMVプロモーター、EF-1αプロモーター及び/又はβ-アクチンプロモーター)、(3)E1配列(例えば、CMV E1配列、EF-1α E1配列及び/又はβ-アクチンE1配列)、(4)スプライシングドナー配列、(5)非翻訳核酸配列、(6)EF-1α E2配列、(7)外来遺伝子、(8)1つ以上のmiRNAターゲット配列、(9)WPRE配列、及び(10)1つ以上のpA配列を含む。一部の様態において、ポリヌクレオチドは(5’から3’方向に):(1)エンハンサー(例えば、CMVエンハンサー)、(2)プロモーター(例えば、CMVプロモーター、EF-1αプロモーター及び/又はβ-アクチン)、(3)E1配列(例えば、CMV E1配列、EF-1α E1配列及び/又はβ-アクチンE1配列)、(4)スプライシングドナー配列、(5)非翻訳核酸配列、(6)EF-1α E2配列、(7)外来遺伝子、(8)1つ以上のmiRNAターゲット配列、(9)WPRE配列、及び(10)1つ以上のpA配列を含む。
【0205】
当技術分野で知られている任意の適切なpA配列を本開示内容で使用することができる。一部の様態において、ポリアデニル化配列の例は、ヒト成長ホルモン(hGH)pA配列、ウシ成長ホルモン(bGH)pA配列、サルホラーウイルス40(SV40)初期pA配列、及びSV40後期pA配列を含むが、これらに限定されない。
【0206】
一部の様態において、前記pA配列は、配列番号19と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記pA配列は、配列番号20と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記pA配列は、配列番号21と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記pA配列は、配列番号22と少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の配列同一性を有する。一部の様態において、前記ポリアデニル化配列は、配列番号19~22に示したヌクレオチド配列からなる群から選択される。
【0207】
上述したように、一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドは、(i)外来遺伝子(例えば、配列番号23)及び(ii)外来遺伝子に作動可能に連結された調節要素を含むが、前記調整要素は(5’から3’方向に):(1)配列番号4に示したCMVエンハンサー配列、(2)配列番号5又は配列番号6に示したCMVプロモーター配列、配列番号7に示したEF-1αプロモーター配列又は配列番号8に示したチキンβ-アクチンプロモーター配列、(3)配列番号12に示したCMV E1配列、配列番号13に示したEF-1α E1配列又は配列番号14又は配列番号15に示したチキンβ-アクチンE1配列、(4)配列番号9又は配列番号10に示したスプライシングドナー配列、(5)配列番号2、配列番号3又は配列番号57に示したヌクレオチド配列を含むか、前記ヌクレオチド配列から必須になるか、又は前記ヌクレオチド配列からなるEF-1αイントロン断片配列(すなわち、非翻訳核酸配列)、及び(6)配列番号11に示したEF-1α E2配列を含む。
【0208】
III.ベクター
一部の様態において、本明細書は、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含む)のうち任意のポリヌクレオチドを含むベクター(例えば、発現ベクター)を提供する。本明細書に記載されているように、そのようなベクターは、宿主細胞及び治療的介入をターゲットとする細胞における組換え発現に有用である。一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチドの送達に有用なベクター(例えば、外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含む)はウイルスベクターを含む。本開示内容でベクターとして使用することができるウイルスの例には、レトロウイルス、ヘルペスシンプレックスウイルス、レンチウイルス、ボックスウイルス、ワクシニアウイルス、ラブドウイルス、アデノウイルス、ヘルパー依存性アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV))、バキュロウイルス、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。一部の様態において、本開示内容で使用することができるベクターは非ウイルスベクターを含む。そのようなベクターの非限定的な例には、プラスミド、コスミド、酵母人工染色体(YAC)、バクテリオファージ、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0209】
III.A.アデノ随伴ウイルス(AAV)
一部の様態において、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含む)は、AAVを用いて、例えば、細胞に送達される。一本鎖DNAウイルスとしてのアデノ随伴ウイルス(AAV)はヘルパー依存性ヒトパルボウイルスである。AAVゲノムは約4.7kbpの大きさを有し、ウイルス複製及びウイルス遺伝子の発現に関与するrep遺伝子をコーディングするN末端、前記ウイルスのキャプシドタンパク質をコーディングするcap遺伝子をコーディングするC末端及び各末端に約145個の塩基が挿入された逆反復末端(ITR)からなる。前記145bpの逆反復末端(ITR)はT字状の構造を有し、ウイルス誘電体の複製時の複製原点の機能を果たし、一次的なパッケージング信号として作用する。前記ITRは、組換えAAV(rAAV)構築物を作製する際に唯一必要なシス作用(cis-acting)塩基配列である。前記IRTは、Repタンパク質の存在下ではエンハンサー活性を有するが、Repタンパク質が存在しない場合には非常に弱い活性を有する。組換えAAV構築物に外来遺伝子をクローニングする際に、これらの特徴を考慮してエンハンサー、プロモーター、pA等を適切に構成して発現構築物を作製する(RJ Samulski and N Muzycka,Annu.Rev.Virolo.2014.1:427-451)。4つのタンパク質がrep遺伝子から翻訳される。これらのタンパク質は、その分子量に応じてrep78、rep68、rep52及びrep40に分けられ、AAV DNA複製に重要な機能を果たす。cap遺伝子からは4つのタンパク質が翻訳される。このうち、VP1、VP2、VP3タンパク質はAAV粒子を構成する構造タンパク質であり、アセンブリ活性化タンパク質(AAP、assembly-activating protein)は前記構造タンパク質によるAAV粒子の形成を促進する。アデノ随伴ウイルスの効率的な複製のために、アデノウイルス又はヘルペスシンプレックスウイルスなどのヘルパーウイルスから由来する一部のタンパク質及びRNAを必要とする(Muzyczka N.Curr Top Microbiol Immunol 158、97-129、1992)。
【0210】
AAVは細胞に外来DNAを伝達するためのベクターとして魅力的にする独特の特徴を持っている。培養物中の細胞のAAV感染は一般に非細胞変性であり、ヒト及び他の動物の自然感染は無症候性で無症状である。さらに、AAVはさまざまな種類の多くの哺乳類細胞に感染し、invivoでさまざまな多くの組織を標的にする可能性がある。AAVは、また、他の形態の遺伝子送達と比較して弱い免疫応答を促進し、分裂と静止細胞の両方で非統合エピソームベクターDNA(non-integrating,episomal vector DNA) に基づいて持続的に発現することを含んで遺伝子送達のために特に魅力的なウイルスシステムにする追加の利点がある。さらに、AAVはアデノウイルスを不活化するために使用される条件(数時間の間56℃~65℃)に耐えるので、rAAVベースのワクチンの低温保存はそれほど重要ではなくなる。
【0211】
本開示内容で使用することのできるアデノ随伴ウイルスの種類又は血清型は、AAVrh.10(AAVrh10)、AAV-DJ(AAVDJ)、AAV-DJ8(AAVDJ8)、AAV1、AAV2、AAV2G9、AAV3、AAV3a、AAV3b、AAV3-3、AAV4、AAV4-4、AAV5、AAV6、AAV6.1、AAV6.2、AAV6.1.2、AAV7、AAV7.2、AAV8、AAV9、AAV9.11、AAV9.13、AAV9.16、AAV9.24、AAV9.45、AAV9.47、AAV9.61、AAV9.68、AAV9.84、AAV9.9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV16.3、AAV24.1、AAV27.3、AAV42.12、AAV42-1b、AAV42-2、AAV42-3a、AAV42-3b、AAV42-4、AAV42-5a、AAV42-5b、AAV42-6b、AAV42-8、AAV42-10、AAV42-11、AAV42-12、AAV42-13、AAV42-15、AAV42-aa、AAV43-1、AAV43-12、AAV43-20、AAV43-21、AAV43-23、AAV43-25、AAV43-5、AAV44.1、AAV44.2、AAV44.5、AAV223.1、AAV223.2、AAV223.4、AAV223.5、AAV223.6、AAV223.7、AAV1-7/rh.48、AAV1-8/rh.49、AAV2-15/rh.62、AAV2-3/rh.61、AAV2-4/rh.50、AAV2-5/rh.51、AAV3.1/hu.6、AAV3.1/hu.9、AAV3-9/rh.52、AAV3-11/rh.53、AAV4-8/r11.64、AAV4-9/rh.54、AAV4-19/rh.55、AAV5-3/rh.57、AAV5-22/rh.58、AAV7.3/hu.7、AAV16.8/hu.10、AAV16.12/hu.11、AAV29.3/bb.1、AAV29.5/bb.2、AAV106.1/hu.37、AAV114.3/hu.40、AAV127.2/hu.41、AAV127.5/hu.42、AAV128.3/hu.44、AAV130.4/hu.48、AAV145.1/hu.53、AAV145.5/hu.54、AAV145.6/hu.55、AAV161.10/hu.60、AAV161.6/hu.61、AAV33.12/hu.17、AAV33.4/hu.15、AAV33.8/hu.16、AAV52/hu.19、AAV52.1/hu.20、AAV58.2/hu.25、AAVA3.3、AAVA3.4、AAVA3.5、AAVA3.7、AAVC1、AAVC2、AAVC5、AAVF3、AAVF5、AAVH2、AAVrh.72、AAVhu.8、AAVrh.68、AAVrh.70、AAVpi.1、AAVpi.3、AAVpi.2、AAVrh.60、AAVrh.44、AAVrh.65、AAVrh.55、AAVrh.47、AAVrh.69、AAVrh.45、AAVrh.59、AAVhu.12、AAVH6、AAVLK03、AAVH-1/hu.1、AAVH-5/hu.3、AAVLG-10/rh.40、AAVLG-4/rh.38、AAVLG-9/hu.39、AAVN721-8/rh.43、AAVCh.5、AAVCh.5R1、AAVcy.2、AAVcy.3、AAVcy.4、AAVcy.5、AAVCy.5R1、AAVCy.5R2、AAVCy.5R3、AAVCy.5R4、AAVcy.6、AAVhu.1、AAVhu.2、AAVhu.3、AAVhu.4、AAVhu.5、AAVhu.6、AAVhu.7、AAVhu.9、AAVhu.10、AAVhu.11、AAVhu.13、AAVhu.15、AAVhu.16、AAVhu.17、AAVhu.18、AAVhu.20、AAVhu.21、AAVhu.22、AAVhu.23.2、AAVhu.24、AAVhu.25、AAVhu.27、AAVhu.28、AAVhu.29、AAVhu.29R、AAVhu.31、AAVhu.32、AAVhu.34、AAVhu.35、AAVhu.37、AAVhu.39、AAVhu.40、AAVhu.41、AAVhu.42、AAVhu.43、AAVhu.44、AAVhu.44R1、AAVhu.44R2、AAVhu.44R3、AAVhu.45、AAVhu.46、AAVhu.47、AAVhu.48、AAVhu.48R1、AAVhu.48R2、AAVhu.48R3、AAVhu.49、AAVhu.51、AAVhu.52、AAVhu.54、AAVhu.55、AAVhu.56、AAVhu.57、AAVhu.58、AAVhu.60、AAVhu.61、AAVhu.63、AAVhu.64、AAVhu.66、AAVhu.67、AAVhu.14/9、AAVhu.t19、AAVrh.2、AAVrh.2R、AAVrh.8、AAVrh.8R、AAVrh.12、AAVrh.13、AAVrh.13R、AAVrh.14、AAVrh.17、AAVrh.18、AAVrh.19、AAVrh.20、AAVrh.21、AAVrh.22、AAVrh.23、AAVrh.24、AAVrh.25、AAVrh.31、AAVrh.32、AAVrh.33、AAVrh.34、AAVrh.35、AAVrh.36、AAVrh.37、AAVrh.37R2、AAVrh.38、AAVrh.39、AAVrh.40、AAVrh.46、AAVrh.48、AAVrh.48.1、AAVrh.48.1.2、AAVrh.48.2、AAVrh.49、AAVrh.51、AAVrh.52、AAVrh.53、AAVrh.54、AAVrh.56、AAVrh.57、AAVrh.58、AAVrh.61、AAVrh.64、AAVrh.64R1、AAVrh.64R2、AAVrh.67、AAVrh.73、AAVrh.74、AAVrh8R、AAVrh8R A586R変異体、AAVrh8R R533A変異体、AAAV、BAAV、ヤギAAV、ウシAAV、AAVhE1.1、AAVhEr1.5、AAVhER1.14、AAVhEr1.14、AAVhEr1.18、AAVhEr1.16、AAVhEr1.18、AAVhEr1.35、AAVhEr1.7、AAVhEr1.36、AAVhEr2.29、AAVhEr2.4、AAVhEr2.16、AAVhEr2.16、AAVhEr2.30、AAVhEr2.31、AAVhEr2.31、AAVhEr2.36、AAVhER1.23、AAVhEr3.1、AAVhEr2.5T、AAV-PAEC、AAV-LK01、AAV-LK02、 AAV-LK03、AAV-LK04、AAV-LK05、AAV-LK06、AAV-LK07、AAV-LK08、AAV-LK09、AAV-LK10、AAV-LK11、AAV-LK12、AAV-LK13、AAV-LK14、AAVLK15、AAV-LK16、AAV-LK17、AAV-LK18、AAV-LK19、AAV-PAEC2、AAV-PAEC4、AAV-PAEC6、AAV-PAEC7、AAV-PAEC8、AAV-PAEC11、AAV-PAEC12、AAV-2-pre-miRNA-101、AAV-8h、AAV-8b、AAV-h、AAV-b、AAV SM10-2、AAV Shuffle100-1、AAV Shuffle100-3、AAV Shuffle100-7、AAV Shuffle10-2、AAV Shuffle10-6、AAV Shuffle10-8、AAV Shuffle100-2、AAV
SM10-1、AAV SM10-8、AAV SM100-3、AAV SM100-10、BP61 AAV、BP62 AAV、BP63 AAV、AAVrh.50、AAVrh.43、AAVrh.62、AAVrh.48、AAVhu.19、AAVhu.11、AAVhu.53、AAV4-8/rh.64、AAVLG-9/hu.39、AAV54.5/hu.23、AAV54.2/hu.22、AAV54.7/hu.24、AAV54.1/hu.21、AAV54.4R/hu.27、AAV46.2/hu.28、AAV46.6/hu.29、AAV128.1/hu.43、true type AAV(ttAAV)、UPENN AAV 10及び日本AAV10血清型を含むが、これらに限定されない。
【0212】
一部の様態において、前記アデノ随伴ウイルスの血清型は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9又はAAVrh10である。一部の様態において、前記AAVの血清型はAAV2である。一部の様態において、前記AAVの血清型はAAV5である。一部の様態において、前記AAVの血清型はAAV8である。一部の様態において、前記AAVの血清型はAAV9である。
【0213】
III.B.非AAVベクター
本明細書は、また、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含む)を含む非AAVベクターを提供する。
【0214】
一部の様態において、前記ベクターは、プラスミド、コスミド、酵母人工染色体(YAC)、バクテリオファージ又は真核生物ウイルスDNAであり得る。前記AAVベクターに加えて、タンパク質の発現に有用であり、当技術分野で知られている多数の他のベクターバックボーン(vector backbone)を使用することができる。これらのベクターには、アデノウイルスベクター、レトロウイルスベクター、ボックスウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、サルウイルス40(SV40)、サイトメガロウイルス(CMV)、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)、及びモロニーラット白血病ウイルスを含むが、これに限定されない。さらに、1つのクラスのベクターは、ウシパピローマウイルス、ポリオマウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス又はセムリキ森林ウイルスのようなウイルスから由来するDNA要素を含む。そのようなベクターは市販されているか、又は当技術分野で周知の方法によって記載された配列から組み立てられることができる。
【0215】
本明細書に記載のAAVベクターに関する特定の開示内容を非AAVベクターに等しく適用できることは当業者には明らかであろう。したがって、特に明記しない限り、「ベクター」という用語は、AAV及び非AAVベクターの両方を含む。
【0216】
IV.セル
一部の様態において、本明細書は、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、非翻訳核酸配列を含む)のうち任意のポリヌクレオチドを含む細胞を提供する。例えば、一部の様態において、本明細書に記載の細胞は、外来遺伝子及び外来遺伝子発現用の非翻訳核酸配列を含む組換え発現構築物に形質導入、形質感染又は形質転換される。
【0217】
いかなる理論に拘束されることではないが、一部の様態において、本明細書に記載の細胞(例えば、非翻訳核酸配列を含むポリヌクレオチドに形質導入される)は、本明細書に記載の外来遺伝子によってコーディングされるもの(例えば、VEGF阻害剤)のようなタンパク質を産生するのに有用である。本明細書に記載されているように、一部の様態において、本明細書に記載の非翻訳核酸配列(すなわち、EF-1αイントロン断片)は、細胞における前記外来遺伝子によってコーディングされるタンパク質(「コーディングされたタンパク質」)の発現を向上させることができる。したがって、一部の様態において、本明細書に記載の細胞(例えば、外来遺伝子及び本開示内容の非翻訳核酸配列を含むポリヌクレオチドに形質導入される)は、基準細胞と比較して前記コーディングされたタンパク質のより大きな発現を引き起こす。一部の様態において、前記基準細胞は該当ポリヌクレオチドに形質導入されるが、非翻訳核酸配列が欠けている。
【0218】
一部の様態において、本明細書に記載の細胞は、試験管内で前記外来遺伝子によってコーディングされたタンパク質を産生することができる。特定の様態において、本明細書に記載の細胞は、生体内で(例えば、本明細書に記載のポリヌクレオチドを投与された対象において)コーディングされたタンパク質を産生することができる。一部の様態において、本明細書に記載の細胞は、試験管内及び生体内の両方でコーディングされたタンパク質を生産することができる。
【0219】
一部の様態において、(例えば、試験管内で)外来遺伝子によってコーディングされるタンパク質を産生するために使用することができる細胞は宿主細胞を含む。本明細書で使用される「宿主細胞」という用語は、前記発現構築物(例えば、ベクター)に形質導入されて、発現構築物を複製するか、発現構築物によってコーディングされる遺伝子を発現することができる任意の生物の細胞を含むことが意図される。そのような細胞は真核細胞及び原核細胞を含む。本明細書で使用される「形質導入」という用語は、形質感染及び形質転換を含むことが意図される。前記宿主細胞は、前記発現構築物によって形質導入、形質感染又は形質転換されることができる。このプロセスは、外生の核酸分子が宿主細胞内に送達又は導入されることを意味する。一部の様態において、前記宿主細胞は真核細胞である。一部の様態において、前記宿主細胞は、哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵母細胞、トランスジェニック哺乳動物細胞及び植物細胞からなる群から選択される。一部の様態において、前記宿主細胞は原核細胞である。一部の様態において、前記原核細胞は細菌細胞である。
【0220】
一部の様態において、前記宿主細胞は昆虫細胞である。一部の様態において、前記昆虫細胞はSf9である。一部の様態において、前記宿主細胞は哺乳動物細胞である。本開示内容で使用できる哺乳動物細胞の非限定的な例は、HEK293、HeLa、ARPE-19、RPE-1、HepG2、Hep3B、Huh-7、C8D1a、Neuro2A、CHO、MES13、BHK-21、COS7、COP5,A549,MCF-7,HC70,HCC1428,BT-549,PC3,LNCaP,Capan-1,Panc-1,MIAPaCa-2,SW480,HCT166,LoVo,A172,MKN-45,MKN-74,Kato-III、NCI-N87、HT-144、SK-MEL-2、SH-SY5Y、C6、HT-22、PC-12、NIH3T3細胞及びそれらの組み合わせを含む。
【0221】
一部の様態において、(例えば、生体内で)本明細書に記載の外来遺伝子によってコーディングされるタンパク質を産生するために使用することができる細胞はヒト細胞を含む。一部の様態において、前記ヒト細胞は、本明細書に記載の核酸分子を投与された対象の細胞である。特定の実施形態では、前記ヒト細胞はドナー(例えば、健康なヒト対象)から由来する。
【0222】
V.医薬組成物
本明細書に開示されている様々な核酸分子、細胞及びベクター(本明細書では「活性複合体(active compounds)」とも呼ばれる)は、投与に適した医薬組成物に混入されることができる。したがって、一部の様態において、本開示内容は、そのような医薬組成物に関する。
【0223】
一部の様態において、本明細書は、(a)本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含む)のうち任意のポリヌクレオチド及び(b)1つ以上の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を開示する。一部の様態において、本明細書は、(a)本明細書に記載のベクター(例えば、rAAV)及び(b)1つ以上の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を開示する。一部の様態において、本明細書は、(a)本明細書に記載の細胞及び(b)1つ以上の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を開示する。
【0224】
一部の様態において、本明細書に記載の医薬組成物は、組換えアデノ随伴ウイルス及び薬学的に許容される担体を含むが、前記組換えアデノ随伴ウイルスが(a)AAV8型キャプシドタンパク質及び(b)(i)配列番号23に示したヌクレオチド配列を含む外来遺伝子と、(ii)前記外来遺伝子に作動可能に連結された調節要素を含むポリヌクレオチドとを含み、前記調節要素が(5’から3’方向に):(1)配列番号4に示したCMVエンハンサー配列;(2)配列番号8に示したチキンβ-アクチンプロモーター配列;(3)配列番号15に示したチキンβ-アクチンエクソン1(E1)配列;(4)配列番号10に示したチキンβ-アクチンイントロンのスプライシングドナー配列;(5)配列番号2、配列番号3又は配列番号57に示したヌクレオチド配列を含むか、前記ヌクレオチド配列から必須になるか、又は前記ヌクレオチド配列からなる非翻訳核酸配列;及び(6)配列番号11に示したEF-1αエクソン2(E2)配列を含む。
【0225】
本開示内容で使用することができる薬学的に許容される担体は、製剤中に通常使用されるものである。前記薬学的に許容される担体の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシ安息香酸塩、プロピルヒドロキシ安息香酸塩、タルク、ステアリン酸マグネシウム、鉱油などを含むが、これらに限定されない。本開示内容の医薬組成物は、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤及び保存剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤をさらに含み得る。適切な薬学的に許容される担体及び製剤の詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(19th ed.、1995)で見出すことができる。
【0226】
本開示内容の医薬組成物は、その意図された投与経路と適合するように製剤化される。適切な非経口投与経路の例は、静脈内注入、経皮投与、皮下注入、筋肉内注入、硝子体内注入、網膜下注入、脈絡膜空間注入、点眼投与、脳室内注入、脊椎腔内注入、羊膜内注入、動脈内注入、関節腔内注入、心臓内注入、陰茎海綿体内注入、脳内注入、大槽内注入、冠状内注入、頭蓋内注入、硬膜内注入、硬膜外注入、海馬内注入、鼻腔内注入、骨腔内注入、腹腔内注入、胸腔内注入、脊髄内注入、胸腔内注入、胸腺内注入、子宮内注入、膣内注入、心室内注入、膀胱内注入、結膜下注入、腫瘍内注入、局所注入、腹腔注入及びそれらの組み合わせを含む。
【0227】
一部の様態において、前記医薬組成物は、0.0001~100mg/kgの1日用量で投与される。
【0228】
本開示内容の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤と共に製剤化することができる。前記医薬組成物は単位投与形態で提供されてもよく、又は多用量容器に分配されてもよい。前記製剤は、油又は水性媒体中の溶液、懸濁液又は乳化剤の形態、又はX剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤又はカプセル剤の形態であり得る。前記製剤は分散剤又は安定剤をさらに含み得る。
【0229】
VI.キット
本明細書は、また、本明細書に開示された1つ以上のポリヌクレオチド(例えば、外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含む)、本明細書に開示された1つ以上のベクター(例えば、rAAV)、本明細書に開示された1つ以上の細胞、本明細書に開示される任意の医薬組成物又はそれらの任意の組み合わせを含むキットを開示する。一部の様態において、前記キットは、また、上述したもののうち任意のもの又はそれらの組み合わせを必要とする対象に投与するための説明書を含む。
【0230】
本明細書で使用する「キット」及び「システム」という用語は、一部の様態において、1つ以上の他の種類の要素又は成分(例えば、他の種類の生化学的試薬、容器、市販のパッケージングのようなパッケージ、使用説明書など)と組み合わせる本明細書に開示される少なくとも1つ以上のポリヌクレオチド、本明細書に開示された1つ以上のベクター(例えば、rAAV)、本明細書に開示された1つ以上の宿主細胞、本明細書に開示された任意の医薬組成物、又はそれらの任意の組み合わせを指すように意図される。
【0231】
VII.用途及び方法
VII.A.生産方法
本明細書は、また、外来遺伝子によってコーディングされるポリペプチドを産生する方法を開示する。一部の様態において、そのような方法は、適切な条件下で本明細書に記載の細胞(例えば、外来遺伝子及び非翻訳核酸分子を含むポリヌクレオチドに形質導入される)を培養し、コーディングされたタンパク質を回収することを含む。特定の様態では、外来遺伝子によってコーディングされるポリペプチドを産生する方法は、本開示内容のポリヌクレオチド(例えば、外来遺伝子及び非翻訳核酸分子を含む)を必要とする対象に投与して前記対象においてコーディングされたポリペプチドを生産することを含む。ポリペプチドを産生するそのような生体内方法に関するさらなる開示内容は、本開示内容の他のところに提供されている(例えば、治療的用途を参照)。
【0232】
一部の様態において、本開示内容は、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含む)を含む組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法を提供する。一部の様態において、そのような組換えAAVを産生する方法は、本明細書に記載のAAVベクターに形質感染された細胞を組換えAAVを産生する条件で培養することを含む。一部の様態において、前記方法は、細胞培養物の上清から組換えAAVを回収することをさらに含む。
【0233】
一部の様態において、前記組換えアデノ随伴ウイルスベクターは、(i)前記外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含むAAV構築物(例えば、
図6C参照)、(ii)rep及びcap遺伝子を含む構築物、及び(iii)外来遺伝子を宿主細胞に形質導入するためのヘルパー構築物を使用して製作することができる。この様態では、前記ヘルパー構築物は、AAVゲノム複製及び遺伝子転写を促進するE2A遺伝子、AAVmRNAが核から細胞質に移動することを可能にするE4遺伝子、及び翻訳を調節する役割を果たす2つのVA RNAを生成するVA領域を含むことができる。
【0234】
一部の様態において、上述した3つの構築物は、宿主細胞に形質導入のための2つの構築物によって置き換えることができる。このような様態では、AAV構築物は外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含み、別個の構築物は前記rep及びcap遺伝子、E2A遺伝子、E4遺伝子及びVA領域を含む。本明細書に記載のAAV粒子を生産するためのさらなる方法は一般に当技術分野で知られている。例えば、それぞれその全文が本明細書に参照として組み込まれる、Clement et al., Mol Ther Methods Clin Dev 3:16002(2016年3月);Clark,Kidney
Int.61:S9-15(2002年1月);及びXiao et al., J Virol 72(3):2224-32(1998年3月)を参照。
【0235】
VII.B.治療的用途
本明細書に記載の核酸分子(例えば、外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含む)、そのような核酸分子を有するベクター及び組換えウイルス(例えばrAAV)、及び本明細書に記載の方法は、多くの試験管内及び生体内での有用性を有する。例えば、本明細書に記載のポリヌクレオチド、例えば、ベクター、例えば、AAVベクターは、培養物、試験管内又は生体外で細胞に又はヒト対象、例えば、生体内に投与されて疾患を治療することができる。したがって、一部の様態において、本開示内容は、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含む)のうち任意のポリヌクレオチド、本明細書に記載の組換え発現構築物、本明細書に記載の細胞、本明細書に記載の医薬組成物又は本明細書に記載の組換えウイルスの治療のための使用を提供する。
【0236】
一部の様態において、本明細書は、必要な対象において外来遺伝子を発現する方法であって、前記対象に本明細書に開示されたポリヌクレオチド(例えば、外来遺伝子及び非翻訳核酸配列を含む)、本明細書に開示されたベクター、本明細書に開示された組換えウイルス(例えば、rAAV)、本明細書に開示された細胞又は本明細書に開示された医薬組成物を投与することを含むが、前記投与後の対象における外来遺伝子の発現が増加する方法を開示する。
【0237】
本明細書に記載されているように、本開示内容の非翻訳核酸配列は、前記外来遺伝子が翻訳されるときに外来遺伝子の発現を増加させることができる。したがって、一部の様態において、本開示内容は、細胞における外来遺伝子の発現を増加させる方法であって、前記細胞を本明細書に開示されたポリヌクレオチド、ベクター又は組換えウイルス(例えば、rAAV)のうち任意のポリヌクレオチド、ベクター又は組換えウイルスと接触させることを含む方法に関する。前記接触を生体外又は生体内で行うことができる。前記接触を生体内で進行させる場合、前記方法は、接触前に対象に前記ポリヌクレオチド、ベクター又は組換えウイルスのうち任意のポリヌクレオチド、ベクター又は組換えウイルスを投与することをさらに含み得る。
【0238】
一部の様態において、前記接触後の外来遺伝子の発現は、基準発現と比較して少なくとも約1倍、少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.6倍、少なくとも約1.7倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約1.9倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍又は少なくとも約10倍以上増加する。一部の様態において、前記基準発現は、接触前の細胞内の外来遺伝子の発現である。一部の様態において、前記基準発現は、本明細書に記載のポリヌクレオチド、ベクター又は組換えウイルス(例えば、非翻訳核酸配列が欠けているか、配列番号1に示したヌクレオチド配列を含む)と接触しない該当細胞内の外来遺伝子の発現である。
【0239】
本開示内容のさらに他の様態は、必要な対象における疾患を治療するための方法であって、前記対象に前記ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、組換えウイルス又は医薬組成物のうち任意のポリヌクレオチド、ベクター、細胞、組換えウイルス又は医薬組成物の有効量を投与することを含む方法を提供する。本開示内容から明らかなように、本明細書に記載の組成物(例えば、ポリヌクレオチド、組換え発現構築物、細胞、医薬組成物又は組換えウイルス)は、例えば、外来遺伝子を変形させることによって、任意の対象疾患を治療するために使用されることができる。
【0240】
本開示内容によって予防、改善又は治療することができる疾患は限定されず、薬物の投与回数を減らす必要があるすべての疾患を含む。そのような疾患の非限定的な例は、眼科疾患を含む。一部の様態において、前記眼科疾患は、糖尿病性網膜症、脈絡膜新生血管形成、黄斑変性、網膜変性、黄斑浮腫、網膜浮腫、黄斑腫脹、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0241】
一部の様態において、本開示内容によって治療することができる眼科疾患は黄斑変性を含む。一部の様態において、前記黄斑変性は年齢関連黄斑変性(AMD)を含む。年齢関連黄斑変性は、乾性(萎縮性)黄斑変性と湿性(新生血管性又は滲出性)黄斑変性に分けることができる。年齢関連黄斑変性は、初期AMD、中期AMD、及び後期又は進行性AMD(マップ状萎縮)に分けることができる。一部の様態において、本開示内容によって治療することができる眼科疾患は、糖尿病性網膜症を含む。一部の様態において、糖尿病性網膜症は非増殖性糖尿病性網膜症(NPDR)である。一部の様態において、糖尿病性網膜症は増殖性糖尿病性網膜症(PDR)である。一部の様態において、糖尿病性網膜症は糖尿病性黄斑病である。一部の様態において、糖尿病性網膜症は糖尿病性黄斑浮腫である。一部の様態において、糖尿病性網膜症は、網膜内の虚血性損傷に関連する任意の網膜症である。特に明記しない限り、本開示内容は、あらゆる形態のAMD及び/又は糖尿病性網膜症を治療するために使用することができる。
【0242】
本開示内容のさらに他の様態は、持続的な外来遺伝子の発現を達成することができる遺伝子治療剤又は疾患治療用の方法を提供する。
【0243】
本明細書に記載のウイルス送達システムを使用すると、約1週間、約2週間、約3週間、約1ヶ月、約2ヶ月、約3ヶ月、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、又は約1年以上の間隔で本明細書に記載の組成物を投与することが可能である。一部の様態において、前記間隔は約2~約3ヶ月である。一部の様態において、前記間隔は約6ヶ月である。一部の様態において、前記間隔は約1年である。一部の様態において、前記間隔は少なくとも約1年である。すなわち、本明細書に記載のウイルス送達システムを使用すると、組成物の投与回数を大幅に減少させて、医師、患者又は対象が前記組成物の繰り返し投与によって引き起こされる不快感を回避することができる。患者の症状又は必要に応じて、前記組成物を最初に1~2週間の間隔で少なくとも2~3回投与することができ、その後、2~3ヶ月ごと、6ヶ月ごと、又は1年以上毎に1回投与することができる。
【0244】
以下、実施例を参照して本開示内容をより具体的に説明する。本開示内容の要旨によって、本開示内容の範囲がこれらの実施例によって限定されないことは当業者には明らかであろう。
〔図面の簡単な説明〕
本開示内容のこれら及び/又は他の様態及び利点は、添付図面を参照して前記様態の以下の説明から明らかでありより容易に理解される:
図1は、本明細書に記載のpAAV-eGFP発現構築物の開裂マップを示す。
【0245】
図2A及び2Bは、EF-1αプロモーター(「CEE-FL」)と共に全長EF-1αイントロンを含む発現構築物に形質導入された細胞におけるeGFPの発現増加を示す。対照群細胞は、EF-1αイントロン(「CE」)が欠けている当該発現構築物に形質導入された。
図2Aでは、ITR欠失動物細胞発現構築物を使用した。
図2Bでは、ITR含有pAAV発現構築物を使用した。
図2A及び2Bの両方において、次のように形質導入された細胞株(HEK293、HeLa、ARPE-19、RPE-1、Huh-7及びHep3B)内のeGFP発現が示されている。
【0246】
図3A、3B及び3Cは、様々なプロモーター(「CCE-FL」)と共に、全長EF-1αイントロンを含む発現構築物に形質導入された細胞におけるeGFPの発現を示す。対照群細胞は、EF-1αイントロンが欠けている当該発現構築物に形質導入された。
図3Aでは、CMVエンハンサーとCMVプロモーターの組み合わせを動物細胞発現構築物(すなわち、ITR欠失)に挿入して前記細胞を形質導入するために使用した。
図3Bでは、CMVエンハンサーとCMVプロモーターの組み合わせをpAAV発現構築物に挿入して細胞を形質導入するために使用した。
図3Cでは、前記細胞をCMVエンハンサー及びチキン-βアクチンプロモーターの組み合わせを含む動物細胞発現構築物に形質導入した。
図3A、3B及び3Cのそれぞれにおいて、次のように形質導入された細胞株(HEK293、HeLa、ARPE-19、RPE-1、Huh-7及びHep3B)内のeGFP発現が示されている。
【0247】
図4A及び4Bは、遺伝子発現に対する様々なEF-1αイントロン断片配列(すなわち、本明細書に記載の非翻訳核酸配列)の増加又は減少の効果を示す。
図4Aは、EF-1αイントロン配列を順次に欠失することによって製造された一連のCEE構築物を概略的に示す。示された各構築物は以下を含んでいた:(1)CMVエンハンサー(380個の塩基対);(2)CMVプロモーターの一部(5’末端から最初の31個の塩基対)及びEF-1αプロモーター(201個の塩基対)を含むプロモーター;(3)EF-1αエクソン1(E1)配列(29塩基対)。対照群「CE」構築物は、EF-1アルファイントロン配列を含んでいかなる追加の成分も含まなかった。他の構築物は、以下の追加成分をさらに含んでいた:(4)全長EF-1アルファイントロン配列(すなわち、配列番号1)の5’末端から最初の19個の塩基対からなるスプライスドナー配列;(5)EF-1αイントロン配列;及び(6)EF-1αエクソン2(E2)配列(9個の塩基対)。前記EF-1αイントロン配列は、全長配列(924個の塩基対)(「CEE-FL」)又は;(ii)配列番号1の570~924番目のヌクレオチド(355個の塩基対)(「CEE-T2」);(iii)配列番号1の721~924番目のヌクレオチド(204個の塩基対)(「CEE-T3」);(iv)配列番号1の808~924番目のヌクレオチド(117塩基対)(「CEE-T3.1」);(v)配列番号1の830~924番目のヌクレオチド(95個の塩基対)(「CEE-T3.1.1」);(vi)配列番号1の852~924番目のヌクレオチド(73個の塩基対)(「CEE-T3.1.2」);(vii)配列番号1の874~924番目のヌクレオチド(51個の塩基対)(「CEE-T3.2」);及び(viii)配列番号1の896~924番目のヌクレオチド(29個の塩基対)(「CEE-T4」)を含んでいた。前記構築物の各々の全長は右側に提供されている。
図4Bは、5つの相異なる細胞株(HeLa、Hep3B、Huh-7、ARPE-19及びRPE-1)におけるeGFP(すなわち、外来遺伝子)発現に対する相異なるEF-1αイントロン配列(全長又は欠失)の効果を見せている。ARPE-19及びRPE-1細胞は網膜から由来した。Huh-7及びHep3B細胞は肝臓から由来した。HeLa細胞は子宮頸部から由来した。eGFP発現は、CEE-FL構築物を使用して外来遺伝子に形質導入された細胞において観察された発現速度(%)として示された。“ns”=有意性なし。“**”=p<0.01及び“***”=p<0.001。
【0248】
図5A、5B、5C及び5Dは、外来遺伝子の発現を増加させるEF-1αイントロン断片T3.1.1(すなわち、配列番号1の830~924番目のヌクレオチド(95個の塩基対)及びT3.1.2(すなわち、配列番号1の852~924番目のヌクレオチド(73個の塩基対)の能力を示している。
図5Aは、以下の追加の成分と共に、EF-1αイントロン断片T3.1.1及びT3.1.2を含む一連のCAE構築物を概略的に示している:(1)CMVエンハンサー(380個の塩基対);(2)チキンβ-アクチンプロモーター(279個の塩基対);(3)チキンβ-アクチンエクソン1(E1)配列(32個の塩基対);(4)EF-1αエクソン1(E1)配列(29個の塩基対);(5)全長EF-1αイントロン配列(すなわち、配列番号1)の5’末端から最初の19個の塩基対からなるスプライシングドナー配列;(6)EF-1αエクソン2(E2)配列(9個の塩基対)。対照群「CA」構築物は、CMVエンハンサー、チキンβ-アクチンプロモーター及びチキンβ-アクチンE1配列のみを含んでいた。対照群「CAE-FL」構築物は全長EF-1αイントロン配列を含んでいた。前記構築物の全長は左側に提供されている。
図5Bは、CAE-T3.1.1及びCAE-T3.1.2構築物を用いて形質導入されたHeLa(左グラフ)及びARPE-19(右グラフ)細胞におけるeGFP(すなわち、外来遺伝子)発現を示している。遺伝子発現は、CA構築物(すなわち、EF-1αイントロン配列の欠失)を用いて形質導入された該当細胞における発現速度(%)として示した。
図5Cは、EF-1αイントロン断片T3.1.1又はT3.1.2及びチキンβ-アクチンイントロン断片の両方を含む一連のハイブリッドイントロンCA構築物(すなわち、CA-T3.1.1及びCA-T3.1.2構築物)を概略的に示している。前記2つの構築物は:(1)CMVエンハンサー;(2)チキンβ-アクチンプロモーター;(3)チキンβ-アクチンE1配列;(4)EF-1α E2配列をさらに含んている。対照群「CAG-FL」構築物は以下を含んでいる:(1)CMVエンハンサー(380個の塩基対);(2)チキンβ-アクチンプロモーター(279個の塩基対);(3)チキンβ-アクチンE1配列(93個の塩基対);(4)キメライントロン(チキンβ-アクチン及びウサギβ-グロビンのイントロンを含む)(924個の塩基対);(5)ウサギβ-グロビンエクソン3(E3)配列(48個の塩基対)。「CA」構築物は、
図5Aに記載されたものと同じである。
図5Dは、構築物CA-T3.1.1及びCA-T3.1.2を用いて形質導入されたHeLa(左グラフ)及びHep3B(右グラフ)細胞におけるeGFPの発現を示している。遺伝子発現は、CA構築物(すなわち、EF-1αイントロン配列の欠失)を用いて形質導入された該当細胞における発現速度(%)として示した。
【0249】
図6A、6B及び6Cは、AAVを用いて遺伝子を送達する場合のEF-1αイントロン断片T3.1.1及びT3.1.2の外来遺伝子(すなわち、アップリバーセプト)発現増加効果を示している。
図6Aは、試験管内の遺伝子伝達においてT3.1.1及びT3.1.2断片による遺伝子発現増加効果を示している。
図6Bは、生体内の遺伝子伝達においてT3.1.1及びT3.1.2断片による遺伝子発現増加効果を示している。
図6Cは、外来遺伝子としてアプリバーセプトを挿入したpAAV-CA-T3.1.1ベクターの開裂マップである。
〔発明を実施するための形態〕
材料及び方法
実施例1.エンハンサー-プロモーター-イントロン配列を含まないpAAV-eGFP構築物の製造
実施例1-1.bGHポリアデニル化信号配列の挿入
pcDNA5/FRT/TO構築物(Invitrogen,USA,Cat No.V6520-20)を鋳型とし、オリゴ#001、#002を用いて重合酵素連鎖反応(PCR)を行い、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化信号A配列(ポリA)断片を確保した。次に、pAAV-MCS-ムプロモータープラスミド(Cellbiolabs,USA,Cat No.VPK-411)のBglII/BstEII部位を用いてヒト成長ホルモン(hGH)ポリAを除去し、bGH poly Aを挿入した。
【0250】
実施例1-2.eGFPの挿入
pUCIDT-KAN-eGFP構築物(GeneArt、Germany)由来のヒトコドン最適化eGFP遺伝子を確保し、これを実施例1-1で製造したpAAV-bGH構築物のBamHI/HindIII部位にクローニングした。
【0251】
実施例1-3.WPRE配列の挿入
pUC57-WPRE構築物(GenScript、USA)からウッドチャック肝炎ウイルス後転写調節エレメント(WPRE)配列を確保し、これを実施例1-2で製造したpAAV-eGFP-bGH構築物のHindIII/BglII部位にクローニングした。
【0252】
実施例1-4.4コピー(copy)のmiRNA142-3pターゲット配列の挿入
oligo#003と#004を、また、#005と#006をそれぞれアニーリングして、それぞれ2コピーのmiRNA142-3pターゲット配列を含む2つのDNA断片を用意した。2つの短いDNA断片を実施例1-3で製造したpAAV-eGFP-WPRE-bGH構築物のHindIII/SalI部位にクローニングして、合計4回のコピーのmiRNA142-3pターゲット配列が挿入されるようにした。これにより、エンハンサー-プロモーター-イントロン配列を含まないpAAV-eGFP構築物を製造した(
図1)。
【0253】
実施例2.様々な種類のエンハンサー-プロモーター-イントロン配列を含む構築物の製造
実施例2-1.CEEシリーズ(CEE-FL、CEE-T2、-T3、-T3、-T3.1、-T3.1.1、-T3.1.2、-T3.2、-T4)及びCE配列を含む構築物の製造
実施例2-1-1.CEE-FL(全長)塩基配列を含む構築物の製造
pMK-RQ3_PEM構築物(GeneArt,Germany)からCEE-FL(CMVエンハンサー(配列番号4)-CMVプロモーターの31bp(配列番号5)-EF-1αプロモーター(配列番号7)-EF-1αエクソン1の29bp(配列番号13)-EF-1αイントロン(配列番号1)-EF-1αエクソン2の9bp(配列番号11)DNA断片を確保し、これを実施例1で製造した構築物のEcoRI/BamHI部位にクローニングした。
【0254】
実施例2-1-2.CEE-T2塩基配列を含む構築物の製造
oligo#007/008の組み合わせと#009/010の組み合わせを用いて実施例2-1-1で製造した構築物を鋳型としてPCRを行い、Gibson Assembly(登録商標)(NEB、USA、Cat No.E2611)を介して2つのDNA断片を連結して、CEE-T2配列を有する構築物を製造した。
【0255】
実施例2-1-3.CEE-T3塩基配列を含む構築物の製造
oligo#011/008の組合せと#012/010の組合せを用いて実施例2-1-1で製造した構築物を鋳型としてPCRを行い、Gibson Assemblyを介して二つのDNA断片を連結してCEE-T3配列を有する構築物を製造した。
【0256】
実施例2-1-4.CEE-T3.1塩基配列を含む構築物の製造
oligo#013/008、#014/010の組み合わせを用いて実施例2-1-1で製造した構築物を鋳型としてPCRを行い、Gibson Assemblyを介して二つのDNA断片を連結してCEE-T3.1配列を有する構築物を製造した。
【0257】
実施例2-1-5.CEE-T3.2塩基配列を含む構築物の製造
oligo#015/008、#016/010の組み合わせを用いて実施例2-1-1で製造した構築物を鋳型としてPCRを行い、Gibson Assemblyを介して二つのDNA断片を連結してCEE-T3.2配列を有する構築物を製造した。
【0258】
実施例2-1-6.CEE-T4塩基配列を含む構築物の製造
oligo#017/008、#018/010の組み合わせを用いて実施例2-1-1で製造した構築物を鋳型としてPCRを行い、Gibson Assemblyを介して二つのDNA断片を連結してCEE-T4配列を有する構築物を製造した。
【0259】
実施例2-1-7.CEE-T3.1.1塩基配列を含む構築物の製造
pUC57-T3.1.1構築物(GenScript,USA)からのCEE-T3.1.1塩基配列を確保して、実施例2-1-1で製造した構築物のEcoRI/BamHI部位にクローニングした。
【0260】
実施例2-1-8.CEE-T3.1.2塩基配列を含む構築物の製造
pUC57-T3.1.2構築物(GenScript、USA)からのCEE-T3.1.2塩基配列を確保して、実施例2-1-1で製造した構築物のEcoRI/BamHI部位にクローニングした。
【0261】
実施例2-1-9.CE塩基配列を含む構築物の製造
oligo#019、#020を用いて実施例2-1-1で製造した構築物からPCRによりCE断片を確保し、これを実施例2-1-1で製造した構築物のEcoRI/BamHI部位にクローニングした。
【0262】
実施例2-2.CCE-FL、CC配列を含む構築物の製造
実施例2-2-1.CCE-FL配列を含む構築物の製造
pMK-RQ4_PME構築物(GeneArt,Germany)からCCE-FL(CMVエンハンサー(配列番号4)-CMVプロモーター(配列番号6)-CMVエクソン1の30bp(配列番号12)-EF-1αエクソン1の29bp(配列番号13)-EF-1αイントロン(配列番号1)-EF-1αエクソン2の9bp(配列番号11)配列のDNA断片を確保して実施例1で確保したpAAV-eGFP構築物のEcoRI/BamHI部位にクローニングした。
【0263】
実施例2-2-2.CC配列を含む構築物の製造
oligo#019、#021を用いて実施例2-2-1で製造した構築物からPCRによりCC断片を確保し、これを実施例2-2-1で製造した構築物のEcoRI/BamHI部位にクローニングした。
【0264】
実施例2-3.CAG-FL、CA-T3.1.1、CA-T3.1.2、CA配列を含む構築物の製造
実施例2-3-1.CAG-FL配列を含む構築物の製造
pCAG-Neo構築物(Wako Pure Chemical Industries,Ltd.,Japan,Cat No.163-25601)からCAG断片を確保し、実施例2-1で確保した構築物のSnaBI/BamHI部位にクローニングした。
【0265】
実施例2-3-2.CA配列を含む構築物の製造
pUC57-CA構築物(GenScript,USA)からCA断片を確保し、実施例2-3-1から製造した構築物のEcoRI/BamHI部位にクローニングした。
【0266】
実施例2-3-3.CA-T3.1.1配列を含む構築物の製造
oligo#022、#023を用いて実施例2-1-7で確保した構築物からPCRによりT3.1.1断片を確保し、これを実施例2-3-1から製造した構築物のAfeI/BamHI部位にクローニングした。
【0267】
実施例2-3-4.CA-T3.1.2配列を含む構築物の製造
オリゴ#024と#025をアニールして確保したT3.1.2断片を確保し、これを実施例2-3-1から製造した構築物のAfeI/BamHI部位にクローニングした。
【0268】
実施例2-4.CAE-FL、CAE-T3.1.1、CAE-T3.1.2配列を含む構築物の製造
実施例2-4-1.CAE-FL配列を含む構築物の製造
pUC57-CAE構築物(GenScript,USA)からCAE(CMVエンハンサー(配列番号4)-チキンβ-アクチンプロモーター(SEQ ID NO:8)-チキンβ-アクチンエクソン1の32bp(SEQ ID NO:14)-EF-1αエクソン1の29bp(SEQ ID NO:13)-EF-1αイントロン924bp(SEQ ID NO:1)-EF-1αエクソン2の9bp(SEQ ID NO:11))断片を確保し、実施例1から製造した構築物のEcoRI/BamHI部位にクローニングした。
【0269】
実施例2-4-2.CAE-T3.1.1配列を含む構築物の製造
oligo#026、#027を用いて実施例2-1-7で製造した構築物からCAE-T3.1.1断片を確保し、実施例2-1-7で製造した構築物のKpnI/BamHI部位にクローニングした。
【0270】
実施例2-4-3.CAE-T3.1.2配列を含む構築物の製造
oligo#026、#027を用いて実施例2-1-8で製造した構築物からCAE-T3.1.2断片を確保し、実施例2-1-8で製造した構築物のKpnI/BamHI部位にクローニングした。
【0271】
実施例2-5.アップリバーセプト遺伝子を含むpAAV構築物の製造
oligo#028、#029を用いてpcDNA3.1(+)-IgG-アップリバーセプト構築物(GenScript,USA)からPCRで確保したアプリバーセプト遺伝子DNA断片を実施例2-3-1、実施例2-3-3、実施例2-3-4、実施例2-4-1、実施例2-4-2、実施例2-4-3から製造した構築物のBamHI/HindIIIサイトにそれぞれクローニングした。
【0272】
実施例2-6.ITR配列が存在しない動物細胞発現構築物の製造
実施例2-6-1.pcDNA3.1(+)-eGFP構築物の製造
実施例1で製造した構築物をBamHI/AfeIで切断して、eGFP遺伝子断片を確保し、これをpcDNA3.1(+)構築物のBamHI/EcoRV部位にクローニングした。
【0273】
実施例2-6-2.CEE配列を含む動物細胞発現構築物の製造
実施例2-1-1から製造した構築物をNdeI/BamHIで切断して確保し、これを実施例2-6-1で製造した構築物のNdeI/BamHI部位にクローニングした。
【0274】
実施例2-6-3.CE配列を含む動物細胞発現構築物の製造
実施例2-1-9から製造した構築物をNdeI/BamHIで切断してCE断片を確保し、これを実施例2-6-1で製造した構築物のNdeI/BamHI部位にクローニングした。
【0275】
実施例2-6-4.CCE配列を含む動物細胞発現構築物の製造
実施例2-2-1から製造した構築物をNdeI/BamHIで切断してCCE断片を確保し、これを実施例2-6-1で製造した構築物のNdeI/BamHI部位にクローニングした。
【0276】
実施例2-6-5.CC配列を含む動物細胞発現構築物の製造
実施例2-2-2から製造した構築物をNdeI/BamHIで切断してCC断片を確保し、これを実施例2-6-1で製造した構築物のNdeI/BamHI部位にクローニングした。
【0277】
実施例2-6-6.CAE配列を含む動物細胞発現構築物の製造
実施例2-4-1から製造した構築物をNdeI/BamHIで切断してCAE断片を確保し、これを実施例2-6-1で製造した構築物のNdeI/BamHI部位にクローニングした。
【0278】
実施例2-6-7.CA配列を含む動物細胞発現構築物の製造
実施例2-3-2から製造した構築物をNdeI/BamHIで切断してCA断片を確保し、これを実施例2-6-1で製造した構築物のNdeI/BamHI部位にクローニングした。
【0279】
実施例2-7.塩基配列の確認
クローニングを用いて確保した全ての構築物は、塩基配列分析(DNA sequencing)(MACROGEN、韓国、または、BIONEER、韓国)を通じて塩基配列を確認した。
【0280】
実施例3.細胞培養
HEK293及びHeLa細胞株はMEM培地(Gibco、USA、Cat No.42360-032)、ARPE-19細胞株はDMERM/F12培地(Gibco、USA、Cat No.11330-032)、RPE-1及びHep3B細胞株はDMEM培地(Gibco、USA、Cat.No.10569-010)を用いて5% CO2、37℃の条件で湿潤培養し、すべての培地に10% ウシ胎児血清(FBS,Gibco,USA,Cat No.16000-044)、1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Gioco,USA,CatNo.15140-163)を加えた。Expi293細胞株は、1%ペニシリン-ストレプトマイシンを添加したExpi293培地(Gibco、USA、Cat.No.A14351-01)を用いて8% CO2、37℃条件で250rpmで振って湿潤培養した。
【0281】
実施例4.形質導入(transduction)
実施例4-1.付着細胞の形質導入
形質導入のために、各細胞株をDPBS(Gibco、USA、Cat No.14190-250)を用いて2回洗浄した後、トリプシン-EDTA(Gibco、USA、Cat No.25200-114)を処理して培養皿から取り出して確保した後、12ウェルプレートに80%飽和度で接種した。24時間培養後、Lipofectamine3000(Thermo Fisher Scientific,USA,Cat No.L300075)を用いて各プラスミド(plasmid)DNAを用いて形質導入した。
【0282】
実施例4-2.AAV生産のための浮遊細胞の形質導入
AAV産生のために、1L エレンマイヤ培養フラスコに6×108細胞を220mlのexpi293培地に接種した。安定化のために約3~4時間培養した後、それぞれ3.73pmoleのpHelperプラスミドDNA、pUC-RC2プラスミドDNA又はpUC-RC8プラスミドDNA、外部遺伝子を含むAAV構築物プラスミドDNAを10mlのOpti-MEM(Gibco、USA、Cat No.51985-034)にそれぞれ溶かした。そして、DNA総量の二倍に該当するポリエチレンアミン(PEI、Polyscience、USA、Cat No.23966-1)を10mlのOpti-MEMで希釈した後、直ちに2つの溶液を混合して形質導入溶液を製造する。室温で30分間反応させた後、培養フラスコに合計20mlの形質導入溶液を入れた。
【0283】
実施例5.AAVの精製
実施例5-1.AAV2の精製
実施例4-2の形質導入72時間後、細胞培養液を回収して遠心分離で培地を除去し、細胞を確保した。DPBSで細胞沈殿物を洗浄し、16mlのDPBSで細胞を再懸濁した。これを3回にわたって凍結/解凍サイクル(freezing/thawing cycle)を行い、細胞を溶解し、これを遠心分離してAAV2を含む上清を確保した。上清とAAVancedTMConcentration Reagent(System Bioscience、USA、Cat No.AAV110A-1)を4:1で混合した後、4℃で16時間混合してから遠心分離して上清を除去し、AAV2を含む沈殿物を確保した。Opti-MEM500μlで沈殿物を洗浄し、全ての上清を除去した後、最終的に氷冷DPBS400μlで再懸濁してAAVを得た。
【0284】
実施例5-2.AAV8の精製
実施例4-2の形質導入72時間後、細胞培養液を回収した。0.45μmのフィルターで細胞の残骸(cell debris)を除去し、アニオン交換法(anion exchange)及びアフィニティークロマトグラフィー法(affinity chromatography)を用いてAAVを得た。
【0285】
実施例6.AAVの力価決定
実施例5で精製したAAV2の力価を決定するためにqPCR(Bio-Rad、USA、CFX96)を行った。DNaseI反応緩衝液(New England Biolab、USA、M0303S)で1時間37℃でANAVにDNaseIを処理した。その後、DNaseIが処理された試料にプロテイナーゼK(Invitrogen、USA、Cat No.AM2548)を55℃で30分間処理し、95℃で15分間反応させてプロテイナーゼKを不活性化した。製造した試料をqPCRの鋳型として使用し、標準曲線を求めるためにAAV構築物を使用し(7.4×108-7.4×104、10倍希釈)、Recombinant Adeno-associated Virus 2 Reference Standard Stock(rAAV2-RSS、ATCC、USA、Cat No.VR-1616)又はRecombinant Adeno-associated Virus 8 Reference Standard Stock(rAAV8-RSS、ATCC、USA、Cat No.VR-1816)を陽性対照群として使用した。力価決定のためのqPCRは2×SsoAdvanced Universal Probe Supermix(Bio-Rad、USA、Cat
No.172-5282)とAAV2-ITR特異的プライマー(#030、#031)及びプローブ(#032、FAM-CACT CCCTCTCTGCGCGCTCG-BHQ1)を使用した。95℃で10分間変性、95℃で30秒間反応、60℃で1分間反応からなる各qPCRサイクルを40回繰り返した。標準曲線と定量は、Bio-Rad CFX Maestro 1.1 software(Bio-Rad、USA)を用いて分析した。
【0286】
実施例7.試験管内でAAV2を用いた形質導入
AAV2形質導入のために、HEK293細胞を24ウェル培養プレートにウェル当たり4×105細胞を接種した。24時間後、各ウェルにMG132(Sigma-Aldrich、USA、Cat No.M7449)を5μMの濃度で8時間処理した。AAV2を25,000 MOI(Multiplicity of Infection)で処理し、72時間培養して形質導入した。
【0287】
実施例8.生体内でAAV8を用いた形質導入
眼球の下部に31G注射針で穿孔後、IOキットの注射針を刺入して、針先端が眼球の壁面に当たる点で刺入を止めて投与を行った。網膜下注射が成功したかどうかは、投与直後にOCT上で網膜水泡(retinal bleb)が形成されたかどうかを確認する方法によって判断した。4週間後に眼球を摘出して、HaltTM Protease Inhibitor Cocktail 100×(Thermo Fisher Scientific、USA、CatNo.78429)を添加したRIPA溶液(Thermo Fisher Scientific、USA、Cat No.89900)200μlを添加して、Axygen tissue grinder(Axygen、cat#14-222-358)で眼球を潰して交換した。4℃で1時間反応した後、4℃で13,000gで15分間遠心分離で上清を確保した試料を分析した。
【0288】
実施例9.流動細胞分析によるGFP遺伝子の発現強度の測定
eGFPの発現は流動細胞分析(Beckman Coulter、USA、CytoFlex)によって測定した。eGFPの測定値は、一緒に形質導入したpCMV-dsRed(Clontech、Japan、Cat No.632416)構築物による赤色蛍光の測定に形質導入の効率を補正して計算した。形質導入72時間後、DPBSで細胞を洗浄し、トリプシンで分離した。1500rpmで5分間遠心分離して細胞を確保し、2%FBSを添加したDPBSを500μl添加して細胞を再懸濁した。流動細胞分析においては、FSC vs SSCプロットを通じて単一細胞領域を区別し、その中でFL1-A(緑色)及びFL2-A(赤色)を測定した。単一の蛍光ベクターがそれぞれ形質導入された試料を用いて(pEGFP-C1、Clontech、Japan、Cat
No.PT3286-1及びpCMV-DsRed-Expression2)補完を進行した後、測定結果に反映した。すべての流動細胞分析の結果は、FlowJo software 10.5.3(Becton Dickinson & Company、USA)を用いて分析した。
【0289】
実施例10.ELISAによるアプリバーセプトの発現量の測定
分泌されるタンパク質の濃度を定量するためにELISAを行った。AAVを用いた形質導入48時間後、細胞培養液を確保して、1500rpmで5分間4℃で遠心分離した後、上清を取り、ELISAの試料として使用する。アップリバーセプトのELISA(Eagle bioscience、USA、Cat No.IG-AA115)は製造社から提供されたプロトコルに従って行った。ELISA結果は、Multiskan Sky Microplate Spectrophotometer(Thermo Fisher Scientific、USA)で測定し、SkanIt software(Thermo Fisher Scientific、USA)で分析した。細胞株を用いた実験は2つを1セットとして2回繰り返し、動物を用いた実験は眼球当たり1回行った。
【0290】
実施例11.統計分析方法
ELISAを除く細胞株を用いた全ての実験は3回繰り返し実験を行った。結果はGraphPad Prism software 8.1.1(GraphPad Software、Inc.、USA)を用いて、2つのグループ間の比較はStudent’s-t-testで、3つのグループ以上の比較はOne-way ANOVAで分析した。動物実験の場合、Wilcoxon matched-pairs signed rank testで分析した。*はp<0.05、**はp<0.01、***はp<0.001を意味する。
【0291】
【0292】
本開示内容で使用したオリゴヌクレオチド配列
実験結果
1.EF-1αプロモーターとの組み合わせにおけるEF-1αイントロンによるeGFP遺伝子の発現増加
サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサーとヒト伸長因子1α(EF-1α)プロモーターの組み合わせによって調節されるeGFP遺伝子発現に対するEF-1αイントロンの効果をテストした。まず、ITRを含まない動物細胞発現構築物で比較した結果、使用したすべての細胞株(HEK293、HeLa、ARPE-19、RPE-1、Huh-7及びHep3B)でEF-1αイントロンによりeGFPの発現が増加した(459.6%、276.3%、181.8%、163.4%、471.1%、494.3%)(
図2A)。同様に、ITRを含むpAAV構築物においてもEF-1αイントロンによりeGFPの発現が増加した(224.0%、167.7%、218.7%、229.5%、202.5%、260.5%)(
図2B)。この結果は、EF-1αプロモーターと組み合わせたEF-1αイントロンが、様々な形態の外部遺伝子発現構築物における遺伝子発現を増加させることができることを提示している。
【0293】
2.様々なプロモーターとの組み合わせにおけるEF-1αイントロンによるeGFP遺伝子の発現増加
EF-1αプロモーターに加えて、他のプロモーターとの組み合わせによっても、EF-1αイントロンによる遺伝子発現の増加が観察されるかどうかを試験した。まず、サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサーとCMVプロモーターの組み合わせによって誘導されるeGFP遺伝子の発現におけるEF-1αイントロンの効果を試験した。まず、ITRを含まない動物細胞発現構築物で比較した結果、eGFPの発現は、使用したすべての細胞株(HEK293、HeLa、ARPE-19、RPE-1、Huh-7及びHep3B)でEF-1αイントロンによって増加する(284.3%、464.0%、217.5%、180.4%、405.7%、370.6%)ことを確認した(
図3A)。
【0294】
同様に、ITRを含むpAAV構築物においても、EF-1αイントロンは、サイトメガロウイルス(CMV)エンハンサーとCMVプロモーターの組み合わせによって調節されるeGFPの発現を増加させる(241.4%、494.8%、266.8%、185.5%、415.5%、367.8%)を確認した(
図3B)。
【0295】
次に、CMVエンハンサーとチキンβ-アクチンプロモーターの組み合わせによって調節されるeGFP遺伝子の発現に対するEF-1αイントロンの効果を確認した。動物細胞発現構築物で比較した結果、使用した全ての細胞株(HEK293、HeLa、ARPE-19、RPE-1、Huh-7及びHep3B)において、EF-1αイントロンがeGFPの発現を増加させる(415.2%、396.7%、233.9%、217.9%、353.7%、297.7%)ことを確認した(
図3C)。これらの結果は、EF-1αプロモーターに加えて、様々なプロモーターと組み合わせた状態でも、EF-1αイントロンによって遺伝子発現が増加することを提示している。
【0296】
3.遺伝子発現増加効果を示す最小長のEF-1αイントロン断片の決定
3-A.EF-1αイントロンの配列が順次に欠失した一連のCEE構築物の製作
CEE-FL構築物は、CMVエンハンサー及びCMVプロモーターの一部(5’末端31bp)とEF-1αプロモーター、EF-1αエクソン1の29bp、EF-1αイントロン924bp、EF-1αエクソン2の9bpを含むように設計されている。イントロンのスプライシング機能に関連する核心配列には、5’末端側のスプライシングドナーと分岐点部位(BPS:branch point site)を含む3’末端側のスプライシング受容体が位置していた。遺伝子発現を増加させることができる最小長のEF-1αイントロン配列を見つけるために、イントロン5’末端側のスプライシングドナー配列を保存し、その後、順番にイントロン配列を欠失させた。すなわち、EF-1αイントロンのスプライシングドナー共通(consensus)配列と推定されるEF-1αイントロン5’末端の19bpまでを共通に含むが、その後、659bp(T2)、720bp(T3)、807bp(T3.1)、829bp(T3.1.1)、851bp(T3.1.2)、873bp(T3.2)、895bp(T4)が欠失したCEE構築物を実施例2-1と同様に製造した(
図4A)。
【0297】
3-B.EF-1αイントロン配列の逐次欠失による遺伝子発現の増加又は減少の効果
5種類の動物細胞株において、EF-1αイントロン配列が全長であるもの(CEE-FL)と順次欠失したものまで、合計8種類の構築物からのeGFP発現を比較した。まず、HeLa、Hep3B、Huh-7細胞株では、全長EF-1αイントロンAと比較して、CEE-T2からCEE-T3.1.2まではeGFP遺伝子発現が維持されることを確認した。しかしながら、CEE-T3.2及びCEE-T4の場合、遺伝子発現は急激に減少した。次に、ARPE-19及びRPE-1細胞株では、CEE-T2の場合、CEE-FLに比べてeGFP発現が約50%レベルに減少したが、CEE-T3からCEE-T3.1.2まではCEE-FLに類似又は少しより高いeGFPの発現を示した。しかしながら、前記細胞株と同様に、CEE-T3.2及びCEE-T4では発現が急激に減少した。以上の結果は、EF-1αイントロンAにおいて遺伝子発現増加機能を保有するイントロンA断片はT2からT3.1.2までであり、そのうち最も短いものがT3.1.2である(又はT3.2より長い断片を意味する)(
図4B)。
【0298】
4.EF-1αイントロン断片T3.1.1及びT3.1.2による遺伝子発現の増加
4-A.チキンβ-アクチンプロモーターと組み合わせたEF-1αイントロン断片T3.1.1及びT3.1.2の製作
CAE-FL構築物は、CMVエンハンサー及びチキンβ-アクチンプロモーター、チキンβ-アクチンエクソン1の32bp、EF-1αエクソン1の29bp、EF-1αイントロンA924bp、EF-1αエクソン2の9bpを含むように設計されている。CAは、EF-1αイントロン全体が欠失した構築物である。CAE-T3.1.1構築物は、EF-1αイントロン5’末端の19bpと3’末端のT3.1.1配列を含み、その間の829bpが欠失している点以外はCAE-FLと同じである。CAE-T3.1.2構築物は、EF-1αイントロンA5’末端の19bpと3’末端のT3.1.2配列を含み、その間の851bpが欠失している点以外はCAE-FLと同一である(
図5A)。
【0299】
4-B.チキンβ-アクチンプロモーターと組み合わせたEF-1αイントロン断片T3.1.1又はT3.1.2による遺伝子発現の増加
EF-1αイントロンのすべてのヌクレオチドが完全欠失したCAと、部分的に欠失したEF-1αイントロンを含むCAE-T3.1.1とCAE-T3.1.2などの3種類の構築物を用いて、2種類の動物細胞株(HeLa、ARPE-19)でeGFP発現を比較した。CAE-T3.1.1及びCAE-T3.1.2群では、CA構築物群と比較して、HeLaでは330.5%、243.9%、ARPE-19では170.8%、165.9%レベルのeGFP発現が観察された(
図5B)。このような結果は、EF-1αイントロンの断片であるT3.1.1とT3.1.2がチキンβ-アクチンプロモーターとの組み合わせでも遺伝子発現を増加させることができることを提示する。
【0300】
4-C.EF-1αイントロン断片T3.1.1及びT3.1.2とチキンβ-アクチンのスプライシングドナーを組み合わせた構築物の製作
CMVエンハンサー、チキンβ-アクチンプロモーター、チキンβ-アクチンエクソン1の93bpとイントロン43bpを維持した状態で、EF-1αイントロンの3’末端断片95bp(T3.1.1)もしくは73bp(T3.1.2)とEF-1αエクソン2の9bpを含むハイブリッドイントロン構造を有するCA-T3.1.1、CA-T3.1.2構築物を製作した。チキンβ-アクチンエクソン1及びチキンβ-アクチンイントロンの一部はスプライシングドナーの機能を提供し、EF-1αイントロンA断片はスプライシング受容体の機能を有すると予想した。対照群として、イントロン配列を含まないCA構築物を一緒に試験した(
図5C)。
【0301】
4-D.チキンβ-アクチンのスプライシングドナー断片とEF-1αイントロンAの3’末端断片T3.1.1及びT3.1.2がハイブリダイズされたイントロンによる遺伝子発現の増加
CA、CA-T3.1.1、CA-T3.1.2構築物をそれぞれHeLa及びHep3B細胞株に形質導入した後、遺伝子発現精度を比較した結果、イントロンのないCAに比べてCA-T3.1.1、CA-T3.1.2における遺伝子発現の増加(HeLa:215.7%,211.0%,Hep3B:155.0%、167.5%)であることを確認した。この結果は、EF-1αイントロン断片T3.1.1及びT3.1.2が他の遺伝子のスプライシングドナーと一緒に組み合わされた場合でも、遺伝子発現を増加させることができることを提示する(
図5D)。
【0302】
5.AAVを用いて遺伝子を送達する場合のT3.1.1及びT3.1.2断片による遺伝子発現の増加
5-A.AAV2を用いた試験管内の遺伝子送達におけるT3.1.1及びT3.1.2断片による遺伝子発現の増加
AAVを用いて遺伝子を送達する場合でも、EF-1αイントロンの断片であるT3.1.1又はT3.1.2が遺伝子発現を効率的に誘導することができるかを確認するために、前記断片を含むAAV2(CA-T3.1.1、CA-T3.1.2、CAE-T3.1.1、CAE-T3.1.2)を産生した後、遺伝子発現調節部位でCAG-FL又はCAE-FLを含むAAV2と比較した。製作されたAAV2は、細胞外分泌能を有するアプリバーセプトタンパク質を発現するように設計された(シグナルペプチド配列は、hIgGシグナルペプチドをコーディングするヌクレオチド配列を使用した:配列番号26)。MG132を処理したHEK293細胞株に25,000MOI条件でAAV2を感染させ、48時間後、ELISAを進行して細胞培養液中のアプリバーセプトの濃度を測定した。その結果、CAG-FLと比較したとき、CA-T3.1.1あるいはCA-T3.1.2を含むAAV2で感染させた場合、それぞれ200.1%及び213.1%のレベルにアプリバーセプトの発現が増加することを確認した。さらに、CAE-FLと比較した場合、CAE-T3.1.1及びCAE-T3.1.2のAAV2グループにおいて、それぞれ118.2%、166.5%のレベルでアプリバーセプトの発現が増加することを確認した(
図6A)。以上の結果は、プラスミドDNAを用いて遺伝子を送達した場合と同様に、AAV2を用いて遺伝子を送達した場合でも、EF-1αイントロンA断片T3.1.1及びT3.1.2が遺伝子発現を効率的に増加させることができることを提示する。
【0303】
5-B.AAV8を用いた生体内の遺伝子伝達におけるT3.1.1及びT3.1.2断片による遺伝子発現の増加
AAVを用いて生体内に遺伝子を送達する場合でも、EF-1αイントロンの断片であるT3.1.1が遺伝子発現を効率的に誘導できるかを確認するために、前記断片を含むAAV8(CA-T3.1.1、CAE-T3.1.1)を産生した後、遺伝子発現調節部位でCAG-FL又はCAE-FLを含むAAV8と比較した。製作されたAAV8は、細胞外分泌能を有するアプリバーセプトタンパク質を発現するように設計された(シグナルペプチド配列は、hIgGシグナルペプチドをコーディングするヌクレオチド配列を使用した:配列番号26)。ウイルスを産生した後、グループ別にマウス8匹の両眼に網膜下注射を通じてそれぞれ1×10
9vgのAAV8を送達し、28日後に各眼におけるアプリバーセプトの発現をELISAを通じて確認した。その結果、CAE-T3.1.1投与群では、CAE-FLグループに比べて147.6%レベルのアプリバーセプトの発現が観察され、CA-T3.1.1投与群では、CAG-FLグループに比べて118.7%レベルのアプリバーセプトの発現が観察された(
図6B)。この結果は、生体内でもEF-1αイントロン断片T3.1.1が遺伝子発現を効率的に誘導できることを提示する。
【0304】
前記外来遺伝子としてアプリバセプトを挿入したpAAV-CA-T3.1.1ベクターの開裂マップは、
図6Cと同じである。
【0305】
本出願で引用された全ての公報、特許、特許出願及びその他の文献は、それぞれの個別公報、特許、特許出願又は他の文献がすべての目的のために個別に参照として組み込まれると示されていても、同様にすべて目的のために、その全文が本明細書に参照として組み込まれる。
【0306】
以上、上述した様態を参照して本開示内容を説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本開示内容の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除又は挿入によって様々な修正及び変更が可能であることを理解するであろう。このような修正及び変更は、本開示内容の範囲内にあることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0307】
【
図1】本明細書に記載のpAAV-eGFP発現構築物の開裂マップを示す。
【
図2A】EF-1αプロモーター(「CEE-FL」)と共に全長EF-1αイントロンを含む発現構築物に形質導入された細胞におけるeGFPの発現増加を示す。対照群細胞は、EF-1αイントロン(「CE」)が欠けている当該発現構築物に形質導入された。
図2Aでは、ITR欠失動物細胞発現構築物を使用した。
図2Bでは、ITR含有pAAV発現構築物を使用した。
図2A及び2Bの両方において、次のように形質導入された細胞株(HEK293、HeLa、ARPE-19、RPE-1、Huh-7及びHep3B)内のeGFP発現が示されている。
【
図2B】EF-1αプロモーター(「CEE-FL」)と共に全長EF-1αイントロンを含む発現構築物に形質導入された細胞におけるeGFPの発現増加を示す。対照群細胞は、EF-1αイントロン(「CE」)が欠けている当該発現構築物に形質導入された。
図2Aでは、ITR欠失動物細胞発現構築物を使用した。
図2Bでは、ITR含有pAAV発現構築物を使用した。
図2A及び2Bの両方において、次のように形質導入された細胞株(HEK293、HeLa、ARPE-19、RPE-1、Huh-7及びHep3B)内のeGFP発現が示されている。
【
図3A】様々なプロモーター(「CCE-FL」)と共に、全長EF-1αイントロンを含む発現構築物に形質導入された細胞におけるeGFPの発現を示す。対照群細胞は、EF-1αイントロンが欠けている当該発現構築物に形質導入された。
図3Aでは、CMVエンハンサーとCMVプロモーターの組み合わせを動物細胞発現構築物(すなわち、ITR欠失)に挿入して前記細胞を形質導入するために使用した。
図3Bでは、CMVエンハンサーとCMVプロモーターの組み合わせをpAAV発現構築物に挿入して細胞を形質導入するために使用した。
図3Cでは、前記細胞をCMVエンハンサー及びチキン-βアクチンプロモーターの組み合わせを含む動物細胞発現構築物に形質導入した。
図3A、3B及び3Cのそれぞれにおいて、次のように形質導入された細胞株(HEK293、HeLa、ARPE-19、RPE-1、Huh-7及びHep3B)内のeGFP発現が示されている。
【
図3B】様々なプロモーター(「CCE-FL」)と共に、全長EF-1αイントロンを含む発現構築物に形質導入された細胞におけるeGFPの発現を示す。対照群細胞は、EF-1αイントロンが欠けている当該発現構築物に形質導入された。
図3Aでは、CMVエンハンサーとCMVプロモーターの組み合わせを動物細胞発現構築物(すなわち、ITR欠失)に挿入して前記細胞を形質導入するために使用した。
図3Bでは、CMVエンハンサーとCMVプロモーターの組み合わせをpAAV発現構築物に挿入して細胞を形質導入するために使用した。
図3Cでは、前記細胞をCMVエンハンサー及びチキン-βアクチンプロモーターの組み合わせを含む動物細胞発現構築物に形質導入した。
図3A、3B及び3Cのそれぞれにおいて、次のように形質導入された細胞株(HEK293、HeLa、ARPE-19、RPE-1、Huh-7及びHep3B)内のeGFP発現が示されている。
【
図3C】様々なプロモーター(「CCE-FL」)と共に、全長EF-1αイントロンを含む発現構築物に形質導入された細胞におけるeGFPの発現を示す。対照群細胞は、EF-1αイントロンが欠けている当該発現構築物に形質導入された。
図3Aでは、CMVエンハンサーとCMVプロモーターの組み合わせを動物細胞発現構築物(すなわち、ITR欠失)に挿入して前記細胞を形質導入するために使用した。
図3Bでは、CMVエンハンサーとCMVプロモーターの組み合わせをpAAV発現構築物に挿入して細胞を形質導入するために使用した。
図3Cでは、前記細胞をCMVエンハンサー及びチキン-βアクチンプロモーターの組み合わせを含む動物細胞発現構築物に形質導入した。
図3A、3B及び3Cのそれぞれにおいて、次のように形質導入された細胞株(HEK293、HeLa、ARPE-19、RPE-1、Huh-7及びHep3B)内のeGFP発現が示されている。
【
図4A】遺伝子発現に対する様々なEF-1αイントロン断片配列(すなわち、本明細書に記載の非翻訳核酸配列)の増加又は減少の効果を示す。
図4Aは、EF-1αイントロン配列を順次に欠失することによって製造された一連のCEE構築物を概略的に示す。示された各構築物は以下を含んでいた:(1)CMVエンハンサー(380個の塩基対);(2)CMVプロモーターの一部(5’末端から最初の31個の塩基対)及びEF-1αプロモーター(201個の塩基対)を含むプロモーター;(3)EF-1αエクソン1(E1)配列(29塩基対)。対照群「CE」構築物は、EF-1アルファイントロン配列を含んでいかなる追加の成分も含まなかった。他の構築物は、以下の追加成分をさらに含んでいた:(4)全長EF-1アルファイントロン配列(すなわち、配列番号1)の5’末端から最初の19個の塩基対からなるスプライスドナー配列;(5)EF-1αイントロン配列;及び(6)EF-1αエクソン2(E2)配列(9個の塩基対)。前記EF-1αイントロン配列は、全長配列(924個の塩基対)(「CEE-FL」)又は;(ii)配列番号1の570~924番目のヌクレオチド(355個の塩基対)(「CEE-T2」);(iii)配列番号1の721~924番目のヌクレオチド(204個の塩基対)(「CEE-T3」);(iv)配列番号1の808~924番目のヌクレオチド(117塩基対)(「CEE-T3.1」);(v)配列番号1の830~924番目のヌクレオチド(95個の塩基対)(「CEE-T3.1.1」);(vi)配列番号1の852~924番目のヌクレオチド(73個の塩基対)(「CEE-T3.1.2」);(vii)配列番号1の874~924番目のヌクレオチド(51個の塩基対)(「CEE-T3.2」);及び(viii)配列番号1の896~924番目のヌクレオチド(29個の塩基対)(「CEE-T4」)を含んでいた。前記構築物の各々の全長は右側に提供されている。
図4Bは、5つの相異なる細胞株(HeLa、Hep3B、Huh-7、ARPE-19及びRPE-1)におけるeGFP(すなわち、外来遺伝子)発現に対する相異なるEF-1αイントロン配列(全長又は欠失)の効果を見せている。ARPE-19及びRPE-1細胞は網膜から由来した。Huh-7及びHep3B細胞は肝臓から由来した。HeLa細胞は子宮頸部から由来した。eGFP発現は、CEE-FL構築物を使用して外来遺伝子に形質導入された細胞において観察された発現速度(%)として示された。“ns”=有意性なし。“**”=p<0.01及び“***”=p<0.001。
【
図4B】遺伝子発現に対する様々なEF-1αイントロン断片配列(すなわち、本明細書に記載の非翻訳核酸配列)の増加又は減少の効果を示す。
図4Aは、EF-1αイントロン配列を順次に欠失することによって製造された一連のCEE構築物を概略的に示す。示された各構築物は以下を含んでいた:(1)CMVエンハンサー(380個の塩基対);(2)CMVプロモーターの一部(5’末端から最初の31個の塩基対)及びEF-1αプロモーター(201個の塩基対)を含むプロモーター;(3)EF-1αエクソン1(E1)配列(29塩基対)。対照群「CE」構築物は、EF-1アルファイントロン配列を含んでいかなる追加の成分も含まなかった。他の構築物は、以下の追加成分をさらに含んでいた:(4)全長EF-1アルファイントロン配列(すなわち、配列番号1)の5’末端から最初の19個の塩基対からなるスプライスドナー配列;(5)EF-1αイントロン配列;及び(6)EF-1αエクソン2(E2)配列(9個の塩基対)。前記EF-1αイントロン配列は、全長配列(924個の塩基対)(「CEE-FL」)又は;(ii)配列番号1の570~924番目のヌクレオチド(355個の塩基対)(「CEE-T2」);(iii)配列番号1の721~924番目のヌクレオチド(204個の塩基対)(「CEE-T3」);(iv)配列番号1の808~924番目のヌクレオチド(117塩基対)(「CEE-T3.1」);(v)配列番号1の830~924番目のヌクレオチド(95個の塩基対)(「CEE-T3.1.1」);(vi)配列番号1の852~924番目のヌクレオチド(73個の塩基対)(「CEE-T3.1.2」);(vii)配列番号1の874~924番目のヌクレオチド(51個の塩基対)(「CEE-T3.2」);及び(viii)配列番号1の896~924番目のヌクレオチド(29個の塩基対)(「CEE-T4」)を含んでいた。前記構築物の各々の全長は右側に提供されている。
図4Bは、5つの相異なる細胞株(HeLa、Hep3B、Huh-7、ARPE-19及びRPE-1)におけるeGFP(すなわち、外来遺伝子)発現に対する相異なるEF-1αイントロン配列(全長又は欠失)の効果を見せている。ARPE-19及びRPE-1細胞は網膜から由来した。Huh-7及びHep3B細胞は肝臓から由来した。HeLa細胞は子宮頸部から由来した。eGFP発現は、CEE-FL構築物を使用して外来遺伝子に形質導入された細胞において観察された発現速度(%)として示された。“ns”=有意性なし。“**”=p<0.01及び“***”=p<0.001。
【
図5A】外来遺伝子の発現を増加させるEF-1αイントロン断片T3.1.1(すなわち、配列番号1の830~924番目のヌクレオチド(95個の塩基対)及びT3.1.2(すなわち、配列番号1の852~924番目のヌクレオチド(73個の塩基対)の能力を示している。
図5Aは、以下の追加の成分と共に、EF-1αイントロン断片T3.1.1及びT3.1.2を含む一連のCAE構築物を概略的に示している:(1)CMVエンハンサー(380個の塩基対);(2)チキンβ-アクチンプロモーター(279個の塩基対);(3)チキンβ-アクチンエクソン1(E1)配列(32個の塩基対);(4)EF-1αエクソン1(E1)配列(29個の塩基対);(5)全長EF-1αイントロン配列(すなわち、配列番号1)の5’末端から最初の19個の塩基対からなるスプライシングドナー配列;(6)EF-1αエクソン2(E2)配列(9個の塩基対)。対照群「CA」構築物は、CMVエンハンサー、チキンβ-アクチンプロモーター及びチキンβ-アクチンE1配列のみを含んでいた。対照群「CAE-FL」構築物は全長EF-1αイントロン配列を含んでいた。前記構築物の全長は左側に提供されている。
図5Bは、CAE-T3.1.1及びCAE-T3.1.2構築物を用いて形質導入されたHeLa(左グラフ)及びARPE-19(右グラフ)細胞におけるeGFP(すなわち、外来遺伝子)発現を示している。遺伝子発現は、CA構築物(すなわち、EF-1αイントロン配列の欠失)を用いて形質導入された該当細胞における発現速度(%)として示した。
図5Cは、EF-1αイントロン断片T3.1.1又はT3.1.2及びチキンβ-アクチンイントロン断片の両方を含む一連のハイブリッドイントロンCA構築物(すなわち、CA-T3.1.1及びCA-T3.1.2構築物)を概略的に示している。前記2つの構築物は:(1)CMVエンハンサー;(2)チキンβ-アクチンプロモーター;(3)チキンβ-アクチンE1配列;(4)EF-1α E2配列をさらに含んている。対照群「CAG-FL」構築物は以下を含んでいる:(1)CMVエンハンサー(380個の塩基対);(2)チキンβ-アクチンプロモーター(279個の塩基対);(3)チキンβ-アクチンE1配列(93個の塩基対);(4)キメライントロン(チキンβ-アクチン及びウサギβ-グロビンのイントロンを含む)(924個の塩基対);(5)ウサギβ-グロビンエクソン3(E3)配列(48個の塩基対)。「CA」構築物は、
図5Aに記載されたものと同じである。
図5Dは、構築物CA-T3.1.1及びCA-T3.1.2を用いて形質導入されたHeLa(左グラフ)及びHep3B(右グラフ)細胞におけるeGFPの発現を示している。遺伝子発現は、CA構築物(すなわち、EF-1αイントロン配列の欠失)を用いて形質導入された該当細胞における発現速度(%)として示した。
【
図5B】外来遺伝子の発現を増加させるEF-1αイントロン断片T3.1.1(すなわち、配列番号1の830~924番目のヌクレオチド(95個の塩基対)及びT3.1.2(すなわち、配列番号1の852~924番目のヌクレオチド(73個の塩基対)の能力を示している。
図5Aは、以下の追加の成分と共に、EF-1αイントロン断片T3.1.1及びT3.1.2を含む一連のCAE構築物を概略的に示している:(1)CMVエンハンサー(380個の塩基対);(2)チキンβ-アクチンプロモーター(279個の塩基対);(3)チキンβ-アクチンエクソン1(E1)配列(32個の塩基対);(4)EF-1αエクソン1(E1)配列(29個の塩基対);(5)全長EF-1αイントロン配列(すなわち、配列番号1)の5’末端から最初の19個の塩基対からなるスプライシングドナー配列;(6)EF-1αエクソン2(E2)配列(9個の塩基対)。対照群「CA」構築物は、CMVエンハンサー、チキンβ-アクチンプロモーター及びチキンβ-アクチンE1配列のみを含んでいた。対照群「CAE-FL」構築物は全長EF-1αイントロン配列を含んでいた。前記構築物の全長は左側に提供されている。
図5Bは、CAE-T3.1.1及びCAE-T3.1.2構築物を用いて形質導入されたHeLa(左グラフ)及びARPE-19(右グラフ)細胞におけるeGFP(すなわち、外来遺伝子)発現を示している。遺伝子発現は、CA構築物(すなわち、EF-1αイントロン配列の欠失)を用いて形質導入された該当細胞における発現速度(%)として示した。
図5Cは、EF-1αイントロン断片T3.1.1又はT3.1.2及びチキンβ-アクチンイントロン断片の両方を含む一連のハイブリッドイントロンCA構築物(すなわち、CA-T3.1.1及びCA-T3.1.2構築物)を概略的に示している。前記2つの構築物は:(1)CMVエンハンサー;(2)チキンβ-アクチンプロモーター;(3)チキンβ-アクチンE1配列;(4)EF-1α E2配列をさらに含んている。対照群「CAG-FL」構築物は以下を含んでいる:(1)CMVエンハンサー(380個の塩基対);(2)チキンβ-アクチンプロモーター(279個の塩基対);(3)チキンβ-アクチンE1配列(93個の塩基対);(4)キメライントロン(チキンβ-アクチン及びウサギβ-グロビンのイントロンを含む)(924個の塩基対);(5)ウサギβ-グロビンエクソン3(E3)配列(48個の塩基対)。「CA」構築物は、
図5Aに記載されたものと同じである。
図5Dは、構築物CA-T3.1.1及びCA-T3.1.2を用いて形質導入されたHeLa(左グラフ)及びHep3B(右グラフ)細胞におけるeGFPの発現を示している。遺伝子発現は、CA構築物(すなわち、EF-1αイントロン配列の欠失)を用いて形質導入された該当細胞における発現速度(%)として示した。
【
図5C】外来遺伝子の発現を増加させるEF-1αイントロン断片T3.1.1(すなわち、配列番号1の830~924番目のヌクレオチド(95個の塩基対)及びT3.1.2(すなわち、配列番号1の852~924番目のヌクレオチド(73個の塩基対)の能力を示している。
図5Aは、以下の追加の成分と共に、EF-1αイントロン断片T3.1.1及びT3.1.2を含む一連のCAE構築物を概略的に示している:(1)CMVエンハンサー(380個の塩基対);(2)チキンβ-アクチンプロモーター(279個の塩基対);(3)チキンβ-アクチンエクソン1(E1)配列(32個の塩基対);(4)EF-1αエクソン1(E1)配列(29個の塩基対);(5)全長EF-1αイントロン配列(すなわち、配列番号1)の5’末端から最初の19個の塩基対からなるスプライシングドナー配列;(6)EF-1αエクソン2(E2)配列(9個の塩基対)。対照群「CA」構築物は、CMVエンハンサー、チキンβ-アクチンプロモーター及びチキンβ-アクチンE1配列のみを含んでいた。対照群「CAE-FL」構築物は全長EF-1αイントロン配列を含んでいた。前記構築物の全長は左側に提供されている。
図5Bは、CAE-T3.1.1及びCAE-T3.1.2構築物を用いて形質導入されたHeLa(左グラフ)及びARPE-19(右グラフ)細胞におけるeGFP(すなわち、外来遺伝子)発現を示している。遺伝子発現は、CA構築物(すなわち、EF-1αイントロン配列の欠失)を用いて形質導入された該当細胞における発現速度(%)として示した。
図5Cは、EF-1αイントロン断片T3.1.1又はT3.1.2及びチキンβ-アクチンイントロン断片の両方を含む一連のハイブリッドイントロンCA構築物(すなわち、CA-T3.1.1及びCA-T3.1.2構築物)を概略的に示している。前記2つの構築物は:(1)CMVエンハンサー;(2)チキンβ-アクチンプロモーター;(3)チキンβ-アクチンE1配列;(4)EF-1α E2配列をさらに含んている。対照群「CAG-FL」構築物は以下を含んでいる:(1)CMVエンハンサー(380個の塩基対);(2)チキンβ-アクチンプロモーター(279個の塩基対);(3)チキンβ-アクチンE1配列(93個の塩基対);(4)キメライントロン(チキンβ-アクチン及びウサギβ-グロビンのイントロンを含む)(924個の塩基対);(5)ウサギβ-グロビンエクソン3(E3)配列(48個の塩基対)。「CA」構築物は、
図5Aに記載されたものと同じである。
図5Dは、構築物CA-T3.1.1及びCA-T3.1.2を用いて形質導入されたHeLa(左グラフ)及びHep3B(右グラフ)細胞におけるeGFPの発現を示している。遺伝子発現は、CA構築物(すなわち、EF-1αイントロン配列の欠失)を用いて形質導入された該当細胞における発現速度(%)として示した。
【
図5D】外来遺伝子の発現を増加させるEF-1αイントロン断片T3.1.1(すなわち、配列番号1の830~924番目のヌクレオチド(95個の塩基対)及びT3.1.2(すなわち、配列番号1の852~924番目のヌクレオチド(73個の塩基対)の能力を示している。
図5Aは、以下の追加の成分と共に、EF-1αイントロン断片T3.1.1及びT3.1.2を含む一連のCAE構築物を概略的に示している:(1)CMVエンハンサー(380個の塩基対);(2)チキンβ-アクチンプロモーター(279個の塩基対);(3)チキンβ-アクチンエクソン1(E1)配列(32個の塩基対);(4)EF-1αエクソン1(E1)配列(29個の塩基対);(5)全長EF-1αイントロン配列(すなわち、配列番号1)の5’末端から最初の19個の塩基対からなるスプライシングドナー配列;(6)EF-1αエクソン2(E2)配列(9個の塩基対)。対照群「CA」構築物は、CMVエンハンサー、チキンβ-アクチンプロモーター及びチキンβ-アクチンE1配列のみを含んでいた。対照群「CAE-FL」構築物は全長EF-1αイントロン配列を含んでいた。前記構築物の全長は左側に提供されている。
図5Bは、CAE-T3.1.1及びCAE-T3.1.2構築物を用いて形質導入されたHeLa(左グラフ)及びARPE-19(右グラフ)細胞におけるeGFP(すなわち、外来遺伝子)発現を示している。遺伝子発現は、CA構築物(すなわち、EF-1αイントロン配列の欠失)を用いて形質導入された該当細胞における発現速度(%)として示した。
図5Cは、EF-1αイントロン断片T3.1.1又はT3.1.2及びチキンβ-アクチンイントロン断片の両方を含む一連のハイブリッドイントロンCA構築物(すなわち、CA-T3.1.1及びCA-T3.1.2構築物)を概略的に示している。前記2つの構築物は:(1)CMVエンハンサー;(2)チキンβ-アクチンプロモーター;(3)チキンβ-アクチンE1配列;(4)EF-1α E2配列をさらに含んている。対照群「CAG-FL」構築物は以下を含んでいる:(1)CMVエンハンサー(380個の塩基対);(2)チキンβ-アクチンプロモーター(279個の塩基対);(3)チキンβ-アクチンE1配列(93個の塩基対);(4)キメライントロン(チキンβ-アクチン及びウサギβ-グロビンのイントロンを含む)(924個の塩基対);(5)ウサギβ-グロビンエクソン3(E3)配列(48個の塩基対)。「CA」構築物は、
図5Aに記載されたものと同じである。
図5Dは、構築物CA-T3.1.1及びCA-T3.1.2を用いて形質導入されたHeLa(左グラフ)及びHep3B(右グラフ)細胞におけるeGFPの発現を示している。遺伝子発現は、CA構築物(すなわち、EF-1αイントロン配列の欠失)を用いて形質導入された該当細胞における発現速度(%)として示した。
【
図6A】AAVを用いて遺伝子を送達する場合のEF-1αイントロン断片T3.1.1及びT3.1.2の外来遺伝子(すなわち、アップリバーセプト)発現増加効果を示している。
図6Aは、試験管内の遺伝子伝達においてT3.1.1及びT3.1.2断片による遺伝子発現増加効果を示している。
図6Bは、生体内の遺伝子伝達においてT3.1.1及びT3.1.2断片による遺伝子発現増加効果を示している。
図6Cは、外来遺伝子としてアプリバーセプトを挿入したpAAV-CA-T3.1.1ベクターの開裂マップである。
【
図6B】AAVを用いて遺伝子を送達する場合のEF-1αイントロン断片T3.1.1及びT3.1.2の外来遺伝子(すなわち、アップリバーセプト)発現増加効果を示している。
図6Aは、試験管内の遺伝子伝達においてT3.1.1及びT3.1.2断片による遺伝子発現増加効果を示している。
図6Bは、生体内の遺伝子伝達においてT3.1.1及びT3.1.2断片による遺伝子発現増加効果を示している。
図6Cは、外来遺伝子としてアプリバーセプトを挿入したpAAV-CA-T3.1.1ベクターの開裂マップである。
【
図6C】AAVを用いて遺伝子を送達する場合のEF-1αイントロン断片T3.1.1及びT3.1.2の外来遺伝子(すなわち、アップリバーセプト)発現増加効果を示している。
図6Aは、試験管内の遺伝子伝達においてT3.1.1及びT3.1.2断片による遺伝子発現増加効果を示している。
図6Bは、生体内の遺伝子伝達においてT3.1.1及びT3.1.2断片による遺伝子発現増加効果を示している。
図6Cは、外来遺伝子としてアプリバーセプトを挿入したpAAV-CA-T3.1.1ベクターの開裂マップである。 [配列表フリーテキスト]
【0308】
配列番号11の内容は以下に示す通りである。
<210> 11
<211> 9
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> EF-1 alpha exon 2 fragment
<400> 11
gtgtcgtga 9
【配列表】