(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014761
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】穴を整列させる装置
(51)【国際特許分類】
F03D 13/10 20160101AFI20240125BHJP
F03D 13/20 20160101ALI20240125BHJP
E04H 12/08 20060101ALI20240125BHJP
F16B 1/02 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
F03D13/10
F03D13/20
E04H12/08
F16B1/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023108980
(22)【出願日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】22382708.0
(32)【優先日】2022-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】513131419
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック レノバブレス エスパーニャ, エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】アレキシ・トラヴェール
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA22
3H178AA43
3H178BB77
3H178CC23
3H178DD12Z
3H178DD67X
(57)【要約】
【課題】第1のフランジ130の第1の穴131と第2のフランジ140の第2の穴141とを位置合わせするように構成された装置100を提供する。
【解決手段】装置100は、ベース101と、ベース101から延びるシャフト110と、第1及び第2のプッシャ115、116とを備える。シャフト110は、引き込み位置と伸長位置との間を移動できるように構成されている。伸長位置にあるシャフト110は、第1の穴131から第2の穴141へと延びている。第1及び第2のプッシャ115、116はまた、第1及び第2の穴131、141の内壁に対して圧力を及ぼすために、シャフト110から半径方向外側に移動するように構成される。第1及び第2の穴130、140を位置合わせする方法も提供される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフランジ(130)の第1の穴(131)と第2のフランジ(140)の第2の穴(141)とを位置合わせするための方法(400)であって、
装置(100)のシャフト(110)が前記第1のフランジ(131)の前記第1の穴(131)内に延びるように、前記装置(100)のベース(101)を前記第1のフランジ(130)に取り付ける(401)ステップであって、前記シャフト(110)が、第1のプッシャ(115)と第2のプッシャ(116)とを備える、前記ステップと、
前記第1のプッシャ(115)が前記第1の穴(130)の内側に配置され、前記第2のプッシャ(116)が前記第2の穴(141)の内側に配置されるように、前記シャフト(110)を前記第1の穴(131)を通して前記第2の穴(141)内に延在させる(402)ステップと、
前記シャフト(110)から半径方向外側に前記第1及び第2のプッシャ(115、116)を動かして(403)、それぞれ前記第1の穴(131)の内側及び前記第2の穴(141)の内側に押し付け、前記第1の穴(131)と前記第2の穴(141)とを位置合わせするステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のフランジ(130)と前記シャフト(110)との間の相対運動が、前記第2のフランジ(140)と前記シャフト(110)との間の相対運動よりも大きくなるように、前記装置(100)の前記シャフト(110)を後退させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法(400)。
【請求項3】
前記装置(100)の前記シャフト(110)を後退させるステップが、前記第1のプッシャ(115)を前記第1の穴(131)の内壁に沿ってスライドさせるステップ、又は前記シャフト(110)に沿って、前記第1のプッシャ(115)をスライドさせるステップを含む、請求項2に記載の方法(400)。
【請求項4】
前記第1のフランジ(130)は、風力タービンタワー(15)の上部タワー部(151)の下部取付けフランジであり、前記第2のフランジ(140)は、前記風力タービンタワー(15)の下部タワー部(152)の上部取付けフランジである、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法(400)。
【請求項5】
前記第1及び第2の穴(131、141)はセンタリング穴であり、前記第1及び第2のフランジ(130、140)は締結穴をさらに備える、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法(400)。
【請求項6】
吊り上げ装置を用いて、前記下部タワー部(152)の前記上部取り付けフランジ(140)が前記上部タワー部(151)の前記下部取り付けフランジ(130)と実質的に整列するように前記上部タワー部(151)を前記下部タワー部(152)の実質的に上に吊り上げて位置決めするステップと、
前記吊り上げ装置が前記上部タワー部(151)を実質的に支持している間に、前記シャフト(110)を延ばし(402)、前記第1及び第2プッシャ(115、116)を移動させ(403)ることを実施するステップとをさらに含む、請求項4又は5のいずれかに記載の方法(400):。
【請求項7】
前記装置(100)が前記第1の穴(131)と前記第2の穴(141)とを一旦整列させた後、吊り具を取り外すステップをさらに含み、前記方法は、その後、前記第1及び第2のフランジ(130、140)を一緒に固定するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法(400)。
【請求項8】
前記整列装置は、前記上部タワー部を吊り上げる前に前記上部タワー部に取り付けられる、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
第1のフランジ(130)の第1の穴(131)と第2のフランジ(140)の第2の穴(141)とを位置合わせするための装置(100)であって、
ベース(101)と、
ベース(101)から延びるシャフト(110)と、
第1及び第2のプッシャ(115、116)とを含み、
前記シャフト(110)は、引き込み位置と伸長位置との間を移動するように構成され、前記シャフト(110)は、前記伸長位置において、前記第1の穴(131)から前記第2の穴(141)内へ延び、
前記第1のプッシャ(115)は、前記第1の穴(131)内に配置されるように構成され、
前記第2のプッシャ(116)は、前記第2の穴(141)内に配置されるように構成され、
前記シャフト(110)が伸長位置にあるときに、前記第1及び第2のプッシャ(115、116)は、それぞれ、前記第1及び第2の穴(131、141)の内壁に対して圧力を加えるために、前記シャフト(110)から半径方向外側に移動するように構成される、装置(100)。
【請求項10】
前記第1のプッシャ(115)は、前記第1の穴(131)の内壁に沿ってスライドするようにさらに構成され、前記第2のプッシャ(116)は、前記シャフト(110)が前記伸長位置から前記引き込み位置に向かって移動されるとき、前記第2の穴(141)の内壁に対して実質的に固定されるように構成され、前記第1及び第2のフランジ(130、140)間の相対運動が促進されるように構成されていることを特徴とする、請求項9に記載の装置(100)。
【請求項11】
前記第1のプッシャ(115)は、前記シャフト(110)に沿ってスライドするようにさらに構成され、前記第2のプッシャ(116)は、前記シャフト(110)が前記伸長位置から前記引込位置に向かって移動されるときに、前記第2の穴(141)の内壁に対して実質的に固定されるように構成され、前記第1及び第2のフランジ(130、140)間の相対運動が促進されるように構成されている、請求項9又は10のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項12】
前記第1のプッシャ(115)及び前記第2のプッシャ(116)が外面を含み、前記第1のプッシャ(115)の外面と前記第1の穴(131)の内壁との間の摩擦係数が、前記第2のプッシャ(116)の外面と前記第2の穴(141)の内壁との間の摩擦係数よりも低い、請求項9乃至11のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項13】
前記ベース(101)が、前記装置を前記第1のフランジ(130)に取り付けるためのリムを備える、請求項9乃至12のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項14】
前記第1及び第2のプッシャ(115、116)の少なくとも一方が、直径方向に対向する一対の楔を含む、請求項9乃至13のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項15】
前記ベース(101)は、前記シャフト(110)及び前記第1及び第2のプッシャ(115、116)の少なくとも一方を作動させるアクチュエータアセンブリを備える、請求項9乃至14のいずれかに記載の装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、穴を整列させる装置(devices for aligning holes)に関する。より詳細には、本開示は、それぞれのフランジの2つの穴を位置合わせするように構成された装置に関する。本開示はさらに、2つのフランジを整列させ、1つのフランジを別のフランジに接合するための方法及びシステムに関し、具体的には、タワー部のフランジを別のタワー部のフランジに接合するための方法及びシステムに関する。本開示はさらに、風力タービンタワーのタワー部分のフランジの接合に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の風力タービンは、電力網(electrical grid)に電力を供給するために一般的に使用されている。この種の風力タービンは一般に、タワーと、タワー上に配置されたロータを含む。ロータは通常、ハブと複数のブレードから成り、ブレードにかかる風の影響を受けて回転する。この回転によりトルクが発生し、通常、ロータシャフトを介して発電機に直接(「直接駆動」又は「ギアレス」)又はギアボックスを使用して伝達される。こうして発電機は電力を生成し、電力網に供給することができる。
【0003】
風力タービンはここ数十年の間に急速な進化を遂げ、明らかに大型化の傾向にある。風力タービンが発電する電力はロータの掃引面積(rotor swept area)に比例し、したがってブレードの長さの2乗に比例する。そのため、風からより多くのエネルギーを引き出し、より高い発電量を得ることを目的として、より高いタワーとより長いブレードが使用されてきた。長年にわたる大型化は、風力タービンの部品に作用する荷重の大幅な増加につながり、機械工学、電気工学、材料工学、土木工学など幅広い分野に新たな課題を突きつけている。
【0004】
最新の高層風力タービンは、増大する荷重に耐えるように構成された大型の管状タワーを備えている。そのため、管状タワーは、肉厚で直径が大きい実質的に管状のセクションで製造されることがある。場合によっては、管状部分は、互いに取り付けられた複数のセグメントから作られることもある。このような大きな部品はまた、より複雑で高価な組立工程をもたらす。本明細書において、タワー部分は一般に管状と記載されることがあるが、タワー部分は実質的に円筒状(一定の直径又は一定の断面寸法)又は円錐状であってもよく、タワー部分の下端における直径又は断面寸法は、部分の上端における直径又は断面寸法よりも大きいことは明らかであろう。
【0005】
一般に、タワーセクションはコンクリート製又は鋼製である。セクションは、下端にフランジ(より低いタワーセクション又は基礎に接合するため)、上端にフランジ(より高いタワーセクション又はヨーベアリングに接合するため)を含むことができる。これらのフランジは、スタッド、ボルト、ロッドなどの締結具と組み合わせることで、隣接するタワーセクション間の確実な連結を実現することができる。タワーの取り付け作業をさらに容易にするためには、実質的に円形断面の管状部を維持することが重要であり、そのため、管状部が接続される相手の管状部の形状に合わせる。このため、あるフランジを別のフランジに結合する締結具の穴は、他のフランジの穴とよりよく整列させることができる。適切な位置合わせは、締結具の応力を低減することができる。
【0006】
円形断面を持つ管状断面を生成するための製造努力にもかかわらず、長期間の保管は、タワー断面の自重によって断面に大きな力が持続的に作用することにつながる可能性がある。実際、断面自体の重量力によって、フランジを含む円形断面が楕円化することが判明している。
【0007】
タワー部分の変形は、位置ずれ(misalignment:ミスアライメント)を引き起こす可能性がある。これは、締結具(fasteners:ファスナ)への張力の増加につながるだけでなく、タワーの取り付け工程に支障をきたし、工程が長引いたり、コストが高くなったりする可能性がある。
【0008】
一般に、予め作成された(prefabricated)管状部分を備える風力タービンの架設には、重量のある移動式クレーンが使用される。この種の移動式クレーンは比較的高価であるため、所定の風力タービンにこれらのクレーンを使用する時間を短縮することが関心事である。さらに、安全衛生上の理由から、風力タービンを建設するための既知の方法は、後続のセクションが取り付けられる際に、一般に、タワー内部に人員を配置する必要がある。したがって、風力タービンの管状セクションの遠隔設置を容易にする装置及び関連方法も、当技術分野では歓迎されている。
【0009】
本開示は、前述の欠点のいくつかを少なくとも部分的に克服する方法とシステムを提供する。
【発明の概要】
【0010】
本開示の一態様では、第1のフランジの第1の穴と第2のフランジの第2の穴とを位置合わせするための装置が提供される。この装置は、ベースと、ベースから延びるシャフトと、第1及び第2のプッシャとを備える。シャフトは、引き込み位置と伸長位置との間(between a retracted position and an extended positio)を移動するように構成されている。シャフトは、伸長位置において、第1の穴から第2の穴へと延びる。さらに、シャフトが伸長位置にあるとき、第1及び第2のプッシャは、それぞれ第1及び第2の穴内に位置するように構成される。また、第1及び第2のプッシャは、それぞれ第1及び第2の穴の内壁に対して圧力を及ぼすようにシャフトから半径方向外側に移動するように構成されている。
【0011】
この態様によれば、装置が第1及び第2の穴に配置されるように構成された第1及び第2のプッシャを含むという事実は、フランジの第1及び第2の穴の正確な位置合わせを提供することができる。実際、第1及び第2のプッシャは、第1及び第2の穴に対する装置の位置合わせも行うため、装置と第1の穴との間の事前位置合わせは必要ない。従って、風力タービンタワーの構造体を建てる際などのフランジの連結が大幅に簡素化される。これにより、設置時の時間が短縮され、遠隔で便利な位置合わせ作業が可能になる。
【0012】
さらなる態様では、第1のフランジの第1の穴と第2のフランジの第2の穴とを位置合わせする方法が開示される。この方法は、装置のシャフトが第1のフランジの第1の穴の中に延びるように、装置のベースを第1のフランジに取り付けることを含む。装置のシャフトは、第1のプッシャと、第2のプッシャとを含む。さらに、本方法は、第1のプッシャが第1の穴の内側に配置され、第2のプッシャが第2の穴の内側に配置されるように、シャフトを第1の穴を通って第2の穴の中に伸ばすことを含む。本方法はまた、第1及び第2のプッシャがそれぞれ第1及び第2の穴の内壁に対して圧力を及ぼすように、シャフトから第1及び第2のプッシャを半径方向外側に移動させることを含む。
【0013】
この追加的な態様によれば、2つのフランジ間の位置合わせを改善することができる。シャフトは、第1及び第2の穴に移動させることができ、これらの穴が完全に位置合わせされていなくても、すなわち、穴間の重なりがシャフトの厚さよりも大きくなければならない。さらに、第1及び第2のプッシャによって位置合わせを強化することができる。第1のフランジからの穴と第2のフランジからの対応する穴との間の位置合わせも改善される可能性があり、したがって、結合工程が簡略化され、全体的な取り付け時間が短縮される可能性がある。
【0014】
したがって、本装置及び本方法が風力タービン部品の設置に使用される場合、クレーンやその他の吊り具の使用が、従来の方法よりも効率的になり、組立工程がより迅速かつ安価になる可能性がある。
【0015】
本開示全体を通じて、「整列:align」という用語は、2つ以上の構成要素を1つの線上に並べる(components into a line)こととして理解されるべきである。例えば、2つ以上の穴は、それぞれの穴の中心点又は中心軸を1つの線上に(一直線に)することによって整列させることができる。いくつかの例では、穴の形状や大きさが類似している場合があり、このように整列させることで、穴が実質的に互いに一致するようになる。
【0016】
本開示において、プッシャは、能動的又は受動的に穴の内面に向かって圧力を加えるのに適した任意の要素とみなすことができる。プッシャは、1つ又は複数のクランプ、ウェッジ、又は他の適切な要素(clamps, wedges, or other suitable elements)として構成することができる。
【0017】
本開示全体を通じて、摩擦係数(coefficient of friction)という用語は、接触している2つの表面の運動に抵抗する摩擦力と、2つの表面を互いに押し付ける垂直抗力(normal force pressing the two surfaces together)との比として理解されるべきである。特に断らない限り、使用される摩擦係数は静止摩擦係数、すなわち2つの表面間の相対運動を開始する前の摩擦係数を指す。「低摩擦材料」及び「高摩擦材料」という場合、これらの用語は、広範な材料との摩擦係数が一般に低い、すなわち0.5未満、又は高い、すなわち0.5を超える材料を指すと理解すべきである。
【0018】
本開示の実施形態の付加的な目的、利点及び特徴は、本明細書を検討することにより当業者に明らかになるか、又は実施により知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】風力タービンの一例を模式的に示す透視図である。
【
図2】風力タービンのハブとナセルの一例を示している。
【
図3】本開示による装置をフランジに備えた風力タービンタワーの断面を概略的に示す。
【
図4】本開示による例示的な装置が第1の位置にある2つのフランジの断面図を概略的に示す。
【
図5】本開示による例示的な装置が第2の位置にある2つのフランジの断面図を概略的に示す。
【
図6】本開示による例示的な装置が第3の位置にある2つのフランジの断面図を概略的に示す。
【
図7】第1のフランジの第1の穴と第2のフランジの第2の穴とを位置合わせする方法の一例を示すフローチャートである。
【
図8】複数のタワー部を含む風力タービンタワーの架設方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本開示の実施形態を詳細に参照するが、その1つ以上の例が図面に示されている。各例は、説明のために提供されるものであり、限定として提供されるものではない。実際、当業者には、教示の範囲又は精神から逸脱することなく、本開示において様々な修正及び変形を行うことができることが明らかであろう。例えば、1つの実施形態の一部として図示又は説明された特徴は、別の実施形態と共に使用され、さらなる実施形態を得ることができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内に入るような修正及び変形をカバーすることが意図される。
【0021】
図1は、風力タービン10の一例を示す透視図である。この例では、風力タービン10は水平軸風車である。あるいは、風力タービン10は垂直軸風車であってもよい。本実施例では、風力タービン10は、地面12上の支持システム14から延びるタワー15と、タワー15に取り付けられたナセル16と、ナセル16に結合されたロータ18とを含む。ロータ18は、回転可能なハブ20と、ハブ20に結合され、ハブ20から外側に延びる少なくとも1つのロータブレード22とを含む。この例では、ロータ18は3つのロータブレード22を有する。代替実施形態では、ロータ18は3枚より多いか少ないロータブレード22を含む。タワー15は、支持システム14とナセル16との間に空洞(
図1には示されていない)を画定するために、管状鋼から製造することができる。代替実施形態では、タワー15は、任意の適切な高さを有する任意の適切なタイプのタワーである。代替案によれば、タワーは、コンクリート製部分と鋼管製部分を備えるハイブリッド・タワーとすることができる。また、部分的又は全体的な格子タワー(lattice tower:ラティスタワー)とすることもできる。
【0022】
ロータブレード22は、ロータ18を回転させて運動エネルギーを風から利用可能な機械エネルギー、ひいては電気エネルギーに変換できるようにするため、ハブ20に対して間隔をあけて配置されている。ロータブレード22は、複数の荷重伝達領域26でブレード根元部分24をハブ20に結合することにより、ハブ20に嵌合される。荷重伝達領域26は、ハブ荷重伝達領域とブレード荷重伝達領域(両方とも
図1には示されていない)を有することができる。ロータブレード22に誘導された荷重は、荷重伝達領域26を介してハブ20に伝達される。
【0023】
例では、ロータブレード22は、約15メートル(m)から約90m以上の範囲の長さを有することができる。ロータブレード22は、風力タービン10が本明細書に記載されるように機能することを可能にする任意の適切な長さを有することができる。例えば、ブレードの長さの非限定的な例としては、20m以下、37m、48.7m、50.2m、52.2m、又は91mを超える長さが挙げられる。風が風向28からロータブレード22に当たると、ロータ18はロータ軸30を中心に回転する。ロータブレード22が回転して遠心力を受けると、ロータブレード22も様々な力とモーメントを受ける。そのため、ロータブレード22は、中立位置、すなわち非偏向位置から偏向位置まで偏向及び/又は回転する可能性がある。
【0024】
さらに、ロータブレード22のピッチ角、すなわち風向きに対するロータブレード22の向きを決定する角度は、風ベクトルに対する少なくとも1つのロータブレード22の角度位置を調整することによって風力タービン10によって生成される負荷及び電力を制御するために、ピッチシステム32によって変更することができる。ロータブレード22のピッチ軸34が示されている。風力タービン10の運転中、ピッチシステム32は、特に、ロータブレード(の一部)の迎え角を減少させるようにロータブレード22のピッチ角を変更することができ、これにより、回転速度を減少させることを容易にし、かつ/又はロータ18の失速を容易にする。
【0025】
本実施例では、各ロータブレード22のブレードピッチは、風力タービン制御装置36又はピッチ制御システム80によって個別に制御される。あるいは、全てのロータブレード22のブレードピッチは、これらの制御システムによって同時に制御されてもよい。
【0026】
さらに、本実施例では、風向28が変化すると、ナセル16のヨー方向をヨー軸38を中心に回転させて、ロータブレード22を風向28に対して位置決めすることができる。
【0027】
本実施例では、風力タービン制御装置36は、ナセル16内に集中配置されているように示されているが、風力タービン制御装置36は、風力タービン10全体、支持システム14上、風力発電所内(ウインドファーム内)、及び/又は遠隔制御センターに分散配置されたシステムであってもよい。風力タービン制御装置36は、本明細書で説明する方法及び/又はステップを実行するように構成されたプロセッサ40を含む。さらに、本明細書で説明する他の構成要素の多くは、プロセッサを含む。
【0028】
本明細書で使用される場合、「プロセッサ」という用語は、当該技術分野でコンピュータと呼ばれる集積回路に限定されず、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、特定用途向け、集積回路、及び他のプログラマブル回路を広く指し、これらの用語は本明細書で互換的に使用される。プロセッサ及び/又は制御システムは、メモリ、入力チャネル、及び/又は出力チャネルを含むこともできることを理解されたい。
【0029】
図2は、風力タービン10の一部の拡大断面図である。この例では、風力タービン10は、ナセル16と、ナセル16に回転可能に結合されたロータ18とを含む。より具体的には、ロータ18のハブ20は、メインシャフト44、ギアボックス46、高速シャフト48、及びカップリング50によって、ナセル16内に配置された発電機42に回転可能に結合されている。実施例では、メインシャフト44は、ナセル16の長手方向軸(図示せず)と少なくとも部分的に同軸上に配置されている。メインシャフト44の回転によりギアボックス46が駆動され、ロータ18及びメインシャフト44の比較的遅い回転運動を高速シャフト48の比較的速い回転運動に変換することにより、高速シャフト48が駆動される。後者は、カップリング50の助けを借りて、電気エネルギーを生成するための発電機42に接続されている。さらに、400V~1000Vの電圧を有する発電機42によって生成された電気エネルギーを中電圧(10~35KV)を有する電気エネルギーに変換するために、変圧器90及び/又は適切な電子機器、スイッチ、及び/又はインバータをナセル16内に配置することができる。前記電気エネルギーは、ナセル16からタワー15に電力ケーブルを介して伝導される。
【0030】
ギアボックス46、発電機42及び変圧器90は、任意にメインフレーム52として具現化される、ナセル16の主支持構造フレームによって支持されてもよい。ギアボックス46は、1つ又は複数のトルクアーム103によってメインフレーム52に連結されるギアボックスハウジングを含むことができる。実施例では、ナセル16はまた、主前方支持ベアリング60及び主後方支持ベアリング62を含む。さらに、発電機42は、特に、発電機42の振動がメインフレーム52に導入され、それによって騒音放出源を引き起こすことを防止するために、デカップリング支持手段54によってメインフレーム52に取り付けることができる。
【0031】
任意選択で、メインフレーム52は、ロータ18及びナセル16の構成部品の重量、並びに風荷重及び回転荷重によって引き起こされる荷重全体を担持し、更に、これらの荷重を風力タービン10のタワー15に導入するように構成される。ロータシャフト44、発電機42、ギアボックス46、高速シャフト48、カップリング50、並びに支持体52、及び前方支持ベアリング60及び後方支持ベアリング62を含むがこれらに限定されない任意の関連する締結、支持、及び/又は固定装置は、駆動列(ドライブトレイン)64と呼ばれることがある。
【0032】
一部の実施例では、風力タービンはギアボックス46のない直接駆動風力タービンであってもよい。発電機42は、直接駆動風力タービンのロータ18と同じ回転速度で動作する。したがって、一般に、ギアボックス46を有する風力タービンと同程度の電力を供給するために、ギアボックス46を有する風力タービンで使用される発電機よりもはるかに大きな直径を有する。
【0033】
ナセル16はまた、風向28に対するロータブレード22の遠近を制御するために、ヨー軸38を中心にナセル16を回転させ、それによってロータ18も回転させるために使用されるヨー駆動機構56を含むことができる。
【0034】
風向28に対してナセル16を適切に位置決めするために、ナセル16は、風向計及び風速計を含む少なくとも1つの気象測定システム58を含むこともできる。気象測定システム58は、風向28及び/又は風速を含む情報を風力タービン制御装置36に提供することができる。本実施例では、ピッチシステム32は、少なくとも部分的に、ハブ20内にピッチアセンブリ66として配置されている。ピッチアセンブリ66は、1つ以上のピッチ駆動システム68と、少なくとも1つのセンサ70とを含む。各ピッチ駆動システム68は、ピッチ軸34に沿ってロータブレード22のピッチ角を変調するために、それぞれのロータブレード22(
図1に示す)に結合されている。
図2には、3つのピッチ駆動システム68のうちの1つだけが示されている。
【0035】
本実施例では、ピッチアセンブリ66は、それぞれのロータブレード22をピッチ軸34を中心に回転させるために、ハブ20及びそれぞれのロータブレード22(
図1に示す)に結合された少なくとも1つのピッチベアリング72を含む。ピッチ駆動システム68は、ピッチ駆動モータ74、ピッチ駆動ギアボックス76、及びピッチ駆動ピニオン78を含む。ピッチ駆動モータ74は、ピッチ駆動モータ74がピッチ駆動ギアボックス76に機械的な力を与えるように、ピッチ駆動ギアボックス76に結合されている。ピッチ駆動ギアボックス76は、ピッチ駆動ピニオン78がピッチ駆動ギアボックス76によって回転されるように、ピッチ駆動ピニオン78に結合されている。ピッチベアリング72は、ピッチ駆動ピニオン78の回転がピッチベアリング72の回転を引き起こすように、ピッチ駆動ピニオン78に結合されている。
【0036】
ピッチ駆動システム68は、風力タービン制御装置36からの1つ又は複数の信号を受けてロータブレード22のピッチ角を調整するために、風力タービン制御装置36に連結されている。本実施例では、ピッチ駆動モータ74は、ピッチアセンブリ66が本明細書で説明するように機能することを可能にする、電力及び/又は油圧システムによって駆動される任意の適切なモータである。あるいは、ピッチアセンブリ66は、油圧シリンダ、バネ、及び/又はサーボ機構(ただし、これらに限定されない)などの任意の適切な構造、構成、配置、及び/又は構成要素を含むことができる。特定の実施形態では、ピッチ駆動モータ74は、ハブ20の回転慣性及び/又は風力タービン10の構成要素にエネルギーを供給する蓄積エネルギー源(図示せず)から抽出されたエネルギーによって駆動される。
【0037】
ピッチアセンブリ66はまた、特定の優先された状況の場合及び/又はロータ18の過速時に、風力タービン制御装置36からの制御信号に従ってピッチ駆動システム68を制御するための1つ以上のピッチ制御システム80を含むことができる。実施例では、ピッチアセンブリ66は、風力タービン制御装置36から独立してピッチ駆動システム68を制御するために、それぞれのピッチ駆動システム68に通信可能に結合された少なくとも1つのピッチ制御システム80を含む。実施例では、ピッチ制御システム80は、ピッチ駆動システム68及びセンサ70に結合されている。風力タービン10の通常運転中、風力タービン制御装置36は、ロータブレード22のピッチ角を調整するためにピッチ駆動システム68を制御することができる。
【0038】
一実施形態によれば、例えばバッテリ及び電気コンデンサを含む発電機84が、ハブ20に、又はハブ20内に配置され、センサ70、ピッチ制御システム80、及びピッチ駆動システム68に結合されて、これらの構成要素に電力源を供給する。本実施例では、発電機84は、風力タービン10の運転中、ピッチアセンブリ66に継続的な電力源を供給する。代替実施形態では、発電機84は、風力タービン10の電力損失事象の間だけピッチアセンブリ66に電力を供給する。電力損失事象には、電力網の損失又はディップ、風力タービン10の電気システムの誤動作、及び/又は風力タービン制御装置36の故障が含まれる場合がある。電力喪失事象の間、発電機84は、ピッチアセンブリ66が電力喪失事象の間作動できるように、ピッチアセンブリ66に電力を供給するために作動する。
【0039】
この例では、ピッチ駆動システム68、センサ70、ピッチ制御システム80、ケーブル、及び発電機84はそれぞれ、ハブ20の内面88によって画定された空洞86内に配置されている。代替実施形態では、これらの構成要素はハブ20の外側ルーフ面に対して位置決めされ、外側ルーフ面に直接的又は間接的に結合されてもよい。
【0040】
図3は、建設中の風力タービンタワー15の概略断面図である。特に、
図3は、取付けフランジ130、140を含む円錐形の2つのタワー部分151、152を示している。この例では、上部タワー部151は、下部タワー部152の上部取付けフランジ140と実質的に位置合わせされた下部取付けフランジ130を含む。取付フランジの穴を位置合わせするように構成された2つの装置100が概略断面図に図示されているが、この目的のために他の数の装置100を使用してもよい。また、装置100は、実質的に一定の直径を有する円形断面を有するタワー部など、他のタイプのタワー部に使用することもできる。
図3の切断面(cut surfaces)は、単純化の理由から斜線で図示されていないことに留意されたい。
【0041】
図4から
図6は、
図3に示した装置100の動作原理(working principle)をより詳細に示している。
【0042】
図4は、第1の位置にある本開示の実施例による装置100を備えた2つのフランジの概略断面図を示す。装置100は、第1のフランジ130の第1の穴131と第2のフランジ140の第2の穴141とを位置合わせするように構成されている。装置100は、ベース101と、ベース101から延びるシャフト110と、第1及び第2のプッシャ115、116とを備える。シャフト110は、引き込み位置と伸長位置との間を移動するように構成されている。シャフト110は、伸長位置にあるとき、第1の穴131から第2の穴141へと延びる。さらに、シャフト110が伸長位置にあるとき、第1及び第2のプッシャ115、116は、それぞれ第1及び第2の穴131、141内に位置するように構成される。第1及び第2のプッシャ115、116はまた、シャフト110から半径方向外側に移動して、第1及び第2の穴131、141の内壁に対してそれぞれ圧力を及ぼすように構成される。この態様については、
図5及び
図6に関連してさらに詳しく説明する。
【0043】
ベース101は第1のフランジ130に取り付けられてもよい。したがって、いくつかの実施例では、ベース101は、ベース101を第1のフランジ130に接続するための締結要素を含んでいてもよい。締結要素は、ねじ要素、クランプ要素又は他のものであってよい。
【0044】
図4の例で分かるように、プッシャ115、116は、これらが作動していないとき、すなわち、シャフト110が第1及び第2の穴131、141に挿入される前及び挿入中に、シャフト110の内部に少なくとも部分的に位置することができる。従って、シャフト110の直径が小さくなり、穴131、141の間の比較的大きなずれを伴う挿入が可能になる。
図4では、装置は伸長位置にあり、すなわちシャフト110は少なくとも部分的に第1及び第2の穴131、141に導入されている。
【0045】
本実施例のベース101は
図4に概略的に示されていることに留意されたい。ベース101は、異なる形状及び寸法であってもよく、すなわち、内部に他の装置構成要素を構成するような寸法であってもよい。例えば、ベース101は、装置を第1のフランジ130に取り付けるためのリムを含んでいてもよい。実施例では、リムは、フランジ130上の装置100の安定性を高めるように、シャフトの断面よりも実質的に大きい断面を有してもよい。いくつかの実施例では、ベース101は、シャフト110と第1及び第2のプッシャ115、116の少なくとも一方を作動させるためのアクチュエータアセンブリを含んでいてもよい。
【0046】
複数の実施例では、アクチュエータアセンブリは、空気圧アクチュエータ、油圧アクチュエータ、電気アクチュエータ、ステッピングモータ、回転アクチュエータ、又はアクチュエータの組合せのうちの1つ又は複数から構成されてもよい。例えば、アクチュエータアセンブリは、シャフト110を引き込み位置と伸長位置との間(between a retracted position and an extended position)で移動させるための空気圧式アクチュエータ又は油圧式アクチュエータで構成することができる。さらに、アクチュエータアセンブリは、シャフトに沿って本体を長手方向に変位させ、第1及び第2のプッシャ115、116をそれぞれの穴131、141の内壁に対して移動させる別のアクチュエータから構成される場合もある。
【0047】
複数の実施例において、装置100は、受信機又は受信機ユニットとコントローラを含む場合がある。受信ユニットは、遠隔制御の信号を受信するように構成されてもよい。受信ユニットは、遠隔制御装置からの信号を受信するように構成されていてもよい。この装置は、例えばフランジの第3の穴と第4の穴とを位置合わせするための他の装置であってもよい。さらに、この装置は、マスターコントローラ又はオペレータに情報を送信するためのインターフェーズ装置のような他のタイプの装置であってもよい。さらに、コントローラは、受信した信号に従ってアクチュエータアセンブリを動作させるように構成されていてもよい。
【0048】
図5は、
図4の実施例による装置が第2の位置にある2つのフランジの概略断面図である。
図5において、第1及び第2のプッシャ115、116は、シャフト110から半径方向外側に移動している。プッシャ115、116は、穴131、141の内壁に接触し、それぞれの第1及び第2の穴131、141の内壁に対して圧力を及ぼす。従って、プッシャ115、116が作動すると、シャフト110と穴131、141の内壁との間の半径方向の隙間が修正され、穴131、141が整列される。いくつかの例では、シャフト110と穴131、141が円筒形である場合、プッシャ115、116は、穴131、141の内壁とシャフト110の外面との間にほぼ均一な半径方向の隙間を形成することができる。
【0049】
さらに、
図5は、プッシャ115、116が複数の楔(wedges:ウエッジ)であってもよいことを示す。プッシャは、特に、楔のような直径方向に対向する一対の要素であってもよい。他の例では、プッシャは、一対の実質的に半円形の部品又は他の要素を含んでいてもよい。プッシャ115、116、すなわち楔は、先に開示されたアクチュエータアセンブリに接続されてもよい。従って、プッシャ115、116は、半径方向に動かされるとき、フランジ130、140の重量及び隣接する要素とのフランジの摩擦に由来する抵抗に打ち勝つことができる。実施例では、プッシャ115、116及び関連するアクチュエータは、それらが作用するフランジ130、140の局所的な変形を引き起こすように構成され得る。従って、プッシャ115、116は、先に開示したように、第1及び第2の穴131、141をうまく整列させることができる。
【0050】
図5に見られるように、プッシャ115、116が一旦展開されると、それぞれのフランジ130、140の第1及び第2の穴131、141は整列される。
【0051】
プッシャ115、116は、高い機械的特性を有する材料、すなわち、フランジの横方向の抵抗を克服するのに十分な強度を有する材料、すなわち、フランジを横方向に移動させるか、又は起こり得るフランジの一定レベルの楕円化を克服するのに十分な強度を有する材料で作られてもよく、任意に、塑性変形を起こすことなく作られてもよい。実施例では、プッシャ115、116は金属又は金属合金、例えばステンレス鋼で作られてもよい。
【0052】
図6は、本開示による例示的な装置が第3の位置にある2つのフランジの概略断面図である。
図6に示すように、2つのフランジ130、140は接触している。これは、シャフト110を伸長位置から引き込み位置に少なくとも部分的に移動させることによって達成され得る。図示の例では、シャフト110は引き込み位置、すなわちベース101内に引き込まれた位置に移動している。さらに、第1のプッシャ115は、シャフト100が伸長位置から引き込み位置に向かって移動されるときに、第1の穴131の内壁に沿ってスライドするように構成されていてもよい。さらに、第2のプッシャ116は、第2の穴141の内壁に対して実質的に固定されるように構成されていてもよい。従って、第1のフランジ130(第1のプッシャ116及びシャフト110にスライド可能に結合)と第2のフランジ140(第2のプッシャ116及びシャフト110に強固に結合)との間の相対運動が促進される。このようにして、フランジを互いに固定することができる。
【0053】
複数の実施例では、第1のフランジ130は上部タワー部151の取り付けフランジであってもよく、第2のフランジ140は下部タワー部152の取り付けフランジであってもよい。
図3に示されるように、タワーの架設中、上部タワー部151は、クレーン(図示せず)又は他の任意のタイプの持ち上げ装置によって保持されてもよい。次に、1つ以上の装置100のシャフト110が、取付けフランジ130、140の一方の第1の穴から取付けフランジ130、140の他方の別の穴まで延び、取付けフランジ130、140が実質的に整列されると(
図6に図示されるように、任意に固定されると)、クレーンを取り外すことができる。このように、フランジ130、140の固定は、クレーンを使用することなく最終的に行うことができる。同じ理由は、タワーの建設中に使用される可能性のある他のあらゆる吊り具(any other lifting equipment)にも適用される。
【0054】
別の実施例では、第1のプッシャ115は、シャフト100が伸長位置から引き込み位置に向かって移動されるときに、シャフト110に沿ってスライドするように構成されてもよい。さらに、第2のプッシャ116は、第2の穴141の内壁に対して実質的に固定されるように構成されてもよい。従って、(シャフト110にスライド可能に結合された)第1のフランジ130と(シャフト110に強固に結合された)第2のフランジ140との間の相対運動が促進される。
【0055】
第1のフランジ130と第2のフランジ140との間の相対運動を促進するために、第1の穴131の内壁の表面と第1のプッシャ115の外面との間の摩擦係数は、第2の穴141の内壁の表面と第2のプッシャ116との間の摩擦係数よりも低くてもよい。複数の実施例では、第1の穴131の内壁の表面と第1のプッシャ115の外面との間の摩擦係数は、0.5以下、具体的には0.35以下、より具体的には0.2以下であってもよい。これは、第1の穴131の内壁と第1のプッシャ115の材料の適切な組を選択すること、適切な材料を使用すること、又は接触面を覆う専用の外皮又はコーティングを使用すること、又は潤滑剤を含むことによって達成され得る。例えば、第1のプッシャ115は、ポリエチレン又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の外皮を有するステンレス鋼製であってもよく、第1の穴131の内壁はステンレス鋼製であってもよい。この材料の組み合わせにより、摩擦係数はおおよそ0.2~0.1となる。さらに、低摩擦材料、すなわち広範囲の材料との摩擦係数が低い材料を、第1のプッシャ115、及び第1の穴131の少なくとも一方に使用してもよい。さらに、第1の穴131の内壁及び第1のプッシャ115の外周面は、比較的滑らかな表面仕上げが達成されるように処理されてもよい。さらに、これらの材料及び他の材料の組み合わせは、植物油、鉱物油、合成液体潤滑剤、グラファイト、二硫化モリブデン又は窒化ホウ素などの液体潤滑剤又は固体潤滑剤と組み合わせ(combination with liquid or solid lubrication, such as vegetable oils, mineral oils, synthetic liquid lubricants, graphite, molybdenum disulfide or boron nitride among others)て使用され得る。
【0056】
複数の実施例では、第2のプッシャ116と第2の穴141の内壁との間の強固な接触点を促進するために、これらの要素間の摩擦係数は0.7以上、具体的には0.8以上、より具体的には1以上であってもよい。先に述べたように、これは適切な材料の組を選択することによって達成することができる。例えば、両方の要素に鋼又はアルミニウム合金を使用する。さらに、高摩擦材料、すなわち広範な材料との摩擦係数が高い材料を、第2のプッシャ116、及び第2の穴141の少なくとも一方に使用してもよい。さらに、第2の穴141の内壁と第2のプッシャ116との間に経験され得る全体的な摩擦は、仕上げられた不規則な表面、すなわち粗い壁、鋸歯状の表面(serrated surface)を有するプッシャ又は他のものによっても強化され得る。
【0057】
本開示の別の態様において、方法400が開示される。方法400は、第1のフランジ130の第1の穴131と第2のフランジ140の第2の穴141とを位置合わせするのに適している。方法400は
図7に概略的に示されている。
【0058】
方法400は、ブロック401において、装置100のシャフト110が第1のフランジ130の第1の穴131内に延びるように、装置100のベース101を第1のフランジ130に取り付ける工程を含み、シャフト110は、第1のプッシャ115と、第2のプッシャ116とを備える。
【0059】
方法400はまた、ブロック402において、第1のプッシャ115が第1の穴131の内側に配置され、第2のプッシャ116が第2の穴141の内側に配置されるように、シャフト110を第1の穴131を通して第2の穴141の中に伸ばす(extend)ことを含む。
【0060】
方法400は、ブロック403において、第1及び第2のプッシャ115、116をシャフト110から半径方向外側に移動させ、それぞれ第1の穴131及び第2の穴141の内側に押し当てることを含む。このステップにより、第1の穴131と第2の穴141との位置合わせが可能となる。
【0061】
複数の実施例において、方法400は、第1のフランジ130とシャフト110との間の相対運動が第2のフランジ140とシャフト110との間の相対運動よりも大きくなるように、装置100のシャフト110を後退(retract)させることを含んでよい。これは、
図6に関連して議論されるように、シャフト110又は第1の穴131の内壁に対する第1のプッシャ115の相対的なスライド(摺動)によって達成され得る。
【0062】
さらに、実施例では、方法400は、第1のフランジ130と第2のフランジ140とを一緒に固定することを含み得る。
【0063】
この態様において、方法400における第1のフランジ130は、風力タービンタワー15の第1のタワー部151の下部取付けフランジであってもよく、第2のフランジ140は、風力タービンタワー15の第2のタワー部152の上部取付けフランジであってもよい。この構成例は
図3に示されている。
【0064】
いくつかの例では、方法400は、第1のタワー部151を第2のタワー部152の上方に吊り上げることと、第1又は第2のタワー部151、152に取り付けられたカメラシステムを用いて第1のタワー部151を第2のタワー部152に対して位置決めすることとをさらに含んでよい。従って、装置100は、シャフト110を引き込み位置から伸長位置に移動させるために、カメラシステムからの情報を含む信号を受信してもよく、その逆も同様である。
【0065】
実施例では、第1及び第2の穴131、141はセンタリング穴であってもよく、第1及び第2のフランジ130、140はさらに締結穴(fastening holes)を含んでもよい。
【0066】
別の態様では、複数のタワー部151、152を含む風力タービンタワー15を建てるための方法500が開示される。方法500の各タワー部151、152は、少なくとも1つの取付けフランジ130、140を備える。方法500は、ブロック501において、下部タワー部152の上部取付けフランジ140が上部タワー部151の下部取付けフランジ130と実質的に位置合わせされるように、上部タワー部151を下部タワー部152の上に実質的に位置合わせすることであって、それぞれのタワー部152、151の下部取付けフランジ140及び上部取付けフランジ130の一方がシャフト110を有する位置合わせ装置100を担持し、シャフト110が第1のプッシャ115、及び第2のプッシャ116を含むように、上部タワー部151を下部タワー部152の上に実質的に位置合わせすることを含む。さらに、方法500は、ブロック502において、整列させる装置(アライメント装置)100のシャフト110を、上部又は下部取付けフランジ130、140の一方の第1の穴130を通して、上部又は下部取付けフランジ130、140の他方の第2の穴140内に延ばし、第1のプッシャ115が第1の穴131内に配置され、第2のプッシャ116が第2の穴141内に配置されるようにすることを含む。
【0067】
方法500はまた、ブロック503において、第1及び第2のプッシャ115、116を半径方向外側に動かして、それぞれ第1の穴131の内側及び第2の穴141の内側に押し当て、第1の穴131と第2の穴141とを位置合わせする。
【0068】
本方法500は、位置合わせ工程が比較的単純であるため、風力タービンタワー部の据付時の時間を短縮する。保管中に幾何学的な修正(geometric modifications)を受ける可能性のあるフランジ130、140は、現場で作業者が立ち会うことなく、容易に一致させることができる。さらに、この方法500は、各タワーセクションの接続中にクレーンが費やす時間を短縮することも可能であり、したがって組立プロセスの全体的なコストを削減することができる。
【0069】
実施例では、ブロック501における位置決めステップは、クレーンなどの吊り具を用いて上部タワー部151を吊り上げることを含み、クレーンが上部タワー部151を実質的に支持している間に、シャフト110の延長502及び第1及び第2のプッシャ115、116の半径方向外側への移動503が行われる。
【0070】
幾つかの実施例では、方法500は、装置100が第1の穴131と第2の穴141とを整列させた後、クレーンを取り外すことを含んでいてもよい。付加的な実施例では、方法500は、上側及び下側取付けフランジ130、140を一緒に固定することをさらに含んでよい。取付けフランジの締結は、クレーンがタワー部をもはや持ち上げていない後に行われてもよい。
【0071】
複数の実施例では、タワー部分のフランジが互いに強制的に接触させられた後に、クレーンとの接続を取り外すことができる。すなわち、第1のフランジとシャフトとの間の相対運動が、第2のフランジとシャフトとの間の相対運動よりも大きくなるように、装置のシャフトを後退させた後である。
【0072】
実施例では、整列させる装置100は、上部タワー部151を吊り上げる前に上部タワー部151に取り付けられる。装置100は、隣接するタワー部に対する取り付けの好みに応じて、上部フランジに(下から)取り付けてもよいし、下部フランジに(上から)取り付けてもよいことに留意されたい。
【0073】
いくつかの例では、上部タワー部151を吊り上げる前に、上部タワー部151にカメラシステムを取り付けてもよい。カメラシステムは、隣接するタワー部に対する上部タワー部151の位置決めを補助するために使用されてもよい。例えば、下部タワー部152に対する上部タワー部151の位置決め、及び/又は、上部タワー部151の上方に続いて配置されるタワー部に対する上部タワー部151の位置決めを補助するために使用することができる。
【0074】
第1のフランジ130の第1の穴131と第2のフランジ140の第2の穴141との位置合わせ、及びその逆の位置合わせに適した方法400、500には、装置100のすべての機能を含めることができることに留意されたい。
【0075】
本明細書は、好ましい実施形態を含む教示を開示するため、また、任意の装置又はシステムの製造及び使用、ならびに組み込まれた任意の方法の実行を含め、当業者であれば誰でも教示を実践できるようにするために、実施例を用いて説明する。特許可能な範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者に思いつく他の例を含むことができる。そのような他の例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない等価な構造要素を含む場合、特許請求の範囲に含まれることが意図される。記載された様々な実施形態からの側面、及びそのような各側面に対する他の既知の等価物は、本出願の原理に従って追加の実施形態及び技術を構築するために、当業者によって混合及び適合させることができる。図面に関連する参照符号が請求項において括弧内に配置されている場合、それは単に請求項の分かりやすさを向上させようとするためのものであり、請求項の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【符号の説明】
【0076】
10:風力タービン 12:地面 14:支持システム 15:タワー 16:ナセル 18:ロータ 20:ハブ 22:ロータブレード 23:基準線 24:ブレード根元部分 25:ピッチ角 26:荷重伝達領域 28:風向 30:ロータ軸 32:ピッチシステム 34:ピッチ軸 36:風力タービン制御装置 38:ヨー軸 40:プロセッサ 42:発電機 43:通信モジュール 44:メインシャフト 46:ギアボックス 48:高速シャフト 50:カップリング 52:メインフレーム 54:デカップリング支持手段 56:ヨー駆動機構 58:気象測定システム 60:主前方支持ベアリング 62:後方支持ベアリング 64:駆動列 66:ピッチアセンブリ 68:ピッチ駆動システム 70:センサ 72:ピッチベアリング 78:ピッチ駆動ピニオン 80:ピッチ制御システム 84:発電機 86:空洞 88:内面 90:変圧器 100:装置 101:ベース 103:トルクアーム 110:シャフト 115:第1のプッシャ 116:第2のプッシャ 130、140:取付けフランジ 131:第1の穴 141:第2の穴 151、152:タワー部分
【外国語明細書】