(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147614
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】滑走路整備装置、滑走路整備システムおよび滑走路整備方法
(51)【国際特許分類】
B64F 1/36 20240101AFI20241008BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20241008BHJP
E01H 15/00 20060101ALI20241008BHJP
G05D 1/242 20240101ALN20241008BHJP
G05D 1/243 20240101ALN20241008BHJP
G05D 1/648 20240101ALN20241008BHJP
【FI】
B64F1/36
G05D1/43
E01H15/00
G05D1/242
G05D1/243
G05D1/648
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024108981
(22)【出願日】2024-07-05
(62)【分割の表示】P 2021531367の分割
【原出願日】2019-11-29
(31)【優先権主張番号】1819471.2
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】521234836
【氏名又は名称】ロボクシ エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】スタイネ,ケン エリク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】滑走路および誘導路の状態を監視して滑走路または誘導路の状況を遠隔的に報告するための飛行場整備装置を提供する。
【解決手段】装置は、飛行場の滑走路または誘導路の表面での装置の自己制御式転動移動を提供するように作動可能な駆動ユニットと、表面の一以上のパラメータを検出するように構成される一以上のセンサを包含する検出ユニットと、検出ユニットから導出されたデータを装置から遠隔サーバへ転送するように設定される送受信器を包含する通信ユニットとを包含する。装置は、使用時に表面上を移動して、表面の一以上のパラメータを表すデータを遠隔サーバへ転送するように設定される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑走路および誘導路の状態を監視して前記滑走路または誘導路の状況を遠隔的に報告するための飛行場整備装置であって、
前記飛行場の滑走路または誘導路の表面での装置の自己制御式転動移動を提供するように作動可能な駆動ユニットと、
前記表面の一以上のパラメータを検出するように構成される一以上のセンサを包含する検出ユニットと、
前記検出ユニットから導出されたデータを装置から遠隔サーバへ転送するように設定される送受信器を包含する通信ユニットと、
を包含する装置であり、
使用時に前記表面を移動して前記表面の一以上のパラメータを表すデータを前記遠隔サーバへ転送するように設定される、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空港滑走路および誘導路を監視して整備を実施するための自動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空港滑走路および誘導路の整備は、空港運営における主要な安全上の課題である。パイロットおよび航空交通管制が現在の滑走路状態についての情報を常に得て安全な航空業務に必要な決定および調節を行いうることを保証するように、滑走路の状態は綿密に監視されなければならない。
【0003】
例えば、過酷な気象条件により滑走路表面が濡れるか凍った時には、滑走路表面での制御および制動力の低下についてパイロットおよび航空交通管制に勧告するように滑走路摩擦測定が一般的に行われなければならない。滑走路視程(RVR)および風速など、他の滑走路状態も測定されなければならない。このような測定は時間がかかり労働集約的である。
【0004】
空港に影響する別の主要な問題は、滑走路でのゴムの堆積である。航空機が滑走路に着陸する時に、着陸装置は路面から相当な摩擦力を受け、これによりタイヤのゴムが重合化して滑走路表面に付着する。着陸時の航空機からのゴムが時間とともに蓄積すると、滑走路表面の摩擦係数が低下して、制動および路面ハンドリング性能における重大な損失が結果的に生じる。表面へのゴムの蓄積量を最小にするように、空港滑走路および誘導路は定期的に整備されなければならない。実際には、このような整備は費用と時間を要する。
【0005】
さらなる安全上の課題は、滑走路および誘導路の表面での異物破片(FOD)についてのものである。車両からの破片、故障設備、そして場合によっては鳥や齧歯動物などの動物を含む路面上の物体は、高速移動中の航空機に悪影響を与えうる。誘導路および滑走路のFODは、タイヤ破裂、職員の怪我、そして進路妨害など、多くの深刻な問題を引き起こす。例えばジェットエンジンに吸い込まれた時に、FODは、致命的なエンジン故障につながることの多い深刻で相当な損害を引き起こしうる。異物損害は一般的に、空港スタッフによる飛行場の定期的かつ頻繁な点検の実施により軽減される。このような点検作業では、滑走路および誘導路の広大なエリアが清掃されFODについて綿密に点検されなければならず、飛行場が物理的に横断されなければならないので、時間と手間のかかるプロセスであることが多い。
【0006】
手作業で測定を行って航空交通管制へ報告する、滑走路および誘導路状態を監視する空港スタッフの配備は、不確実であって費用および時間を要する。滑走路および誘導路の悪条件が発見されて、整備スタッフが専用の整備装置とともに配備されなければならない時には、問題が増幅される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それゆえ、滑走路および誘導路の状態が効率的に監視および整備されうる解決策が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一の態様によれば、滑走路および誘導路の状態を監視して前記滑走路または誘導路の状況を遠隔的に報告するための飛行場整備装置が提供され、この装置は、前記飛行場の滑走路または誘導路の表面での装置の自己制御式転動移動を提供するように作動可能な駆動ユニットと、前記表面の一以上のパラメータを検出するように構成される一以上のセンサを包含する検出ユニットと、前記検出ユニットから導出されたデータを装置から遠隔サーバへ転送するように設定される送受信器を包含する通信ユニットとを包含し、装置は、使用時に前記表面を移動して、前記表面の一以上のパラメータを表すデータを前記遠隔サーバへ転送するように設定される。
【0009】
第一の態様による装置は、飛行場路面を走行して動き回り、検出ユニットを介して滑走路および誘導路状態に関するデータを収集することが可能である。データは通信ユニットを介して例えば遠隔サーバへ転送され、ここでデータが処理または解釈されて、例えば航空交通管制へ送られる。動き回って飛行場データを収集する性能を備える遠隔装置を有することにより、パイロットと航空交通管制とは、滑走路および誘導路の状態について確実に更新された状態を保つことが可能である。このようなアプローチにより、有人車両が配備されて手動で測定を行うとともに滑走路の状況を手動で通信する面倒なプロセスの必要性が取り除かれる。装置により収集されたデータは場所情報を含むかこれと関連しうる。特に、装置により収集された各データ点は、データ点が収集された地理的場所を表す場所データと関連付けられうる。装置により収集された滑走路に関するデータは、滑走路内の場所に関する情報のマッピングを作成または更新するのに使用されうる。好ましくは、事前作成された地図が装置に搭載のメモリに記憶され、装置により収集された各データ点は、このデータ点と関連する場所データを使用して事前作成地図にマッピングされうる。
【0010】
駆動ユニットは飛行場表面での装置の移動を提供するための適切な手段を包含し、一般的に駆動ユニットは一以上のモータにより動力供給される複数の独立駆動輪を包含しうる。
【0011】
駆動ユニットの動作を通した装置の移動は、手動で制御されうる。例えば、装置は遠隔制御装置により遠隔的に制御されうる。遠隔制御装置は、装置の周囲および予定動作についての知識を有する人間または機械によって操作されうる。代替的に、装置は搭載センサを有しうる。前記検出ユニットは、装置を囲繞する地形を走査および検出するように作動可能な地形センサを包含しうる。
【0012】
地形センサは、周囲の地形を照らして装置と周囲の障害物との間の距離の測定値を提供するように設定される回転レーザビームを有するLidar(ライダー)モジュールを包含しうる。Lidarモジュールにより、装置は周囲の実時間3D表示を自律的に計算しうるので、装置は周囲の環境内で安全に走行しうる。地形センサは光学的光カメラを包含しうる。光学的光カメラは、装置の周囲の地形についての静止または動画像を捕捉するように設定および配向されうる。カメラからの画像は装置上で処理されるか、画像が処理または解析されうる遠隔サーバへ送信されうる。
【0013】
このような地形センサは、装置の周囲の状態についての情報を遠隔的に集めるのに使用され、この情報は遠隔サーバへ送信されうる。さらに、センサにより、装置はその環境を自己充足的に検知し、これに従って周囲の地形での走行が可能である。例えば、前記駆動ユニットは、使用時に、前記地形センサから導出されたデータを使用して、前記表面上を走行して装置の移動を自律的に実行するように設定されうる。周囲を検知し、それに従って移動するように設定される装置を有することにより、簡単に始動して飛行場を動き回り、制御装置が装置に付随する必要なく機能を実施できる効率的な飛行場整備装置を提供することが可能である。前記地形センサは、装置の周囲を走査および検出して装置の前記周囲を表すデータを出力するように設定されるLIDARモジュールを包含しうる。
【0014】
装置が航空交通管制と、また近くの航空機のパイロットと通信できるようにするレーダ送受信モジュールを装置は装備しうる。レーダ送受信モジュールは通信ユニットの送受信器を利用しうる。レーダモジュールは、装置が近くの航空機を検出して航空機を回避するように自律的に操舵できるように設定されうる。
【0015】
場合によっては、装置の手動制御のための手段を提供すると特に有利でありうる。通信ユニットの送受信器は、遠隔サーバから指示情報を受信するように作動可能でありうる。通信ユニットは、使用時に駆動ユニットと検出ユニットのうち一以上に指示情報を通信するように設定されうる。こうして駆動ユニットおよび検出ユニットは遠隔サーバから遠隔的に操作されて装置の明確な制御を行う。
【0016】
装置は、滑走路状態に関するデータを収集するための一以上の測定機器を包含すると有利でありうる。
【0017】
例えば、前記検出ユニットの前記一以上のセンサは、前記表面の摩擦レベルを表すデータを測定および出力するように設定される摩擦計を包含しうる。搭載の摩擦計により、装置は、滑走路または誘導路表面の測定を行って、滑走路および誘導路表面での制動力および設備制御可能性を評価するための表面滑り性の正確な表示をパイロットおよび航空交通管制に提供することが可能である。
【0018】
摩擦計は、摩擦を測定する何らかの適切な方法を採用しうるが、一般的に、摩擦計は、使用時に飛行場の滑走路または誘導路の表面との接触状態にあるように設定される摩擦測定輪を包含しうる。摩擦測定輪は一般的に装置が動作中に配備され、路面との接触状態となって、車輪の回転移動を発生させうる。摩擦測定輪の回転移動は表面の摩擦レベルを算出するのに使用されうる。表面の摩擦レベルは摩擦係数μにより表されうる。前記駆動ユニットの一以上の前記駆動輪は、前記検出ユニットの摩擦測定輪として使用されうる。このような設定は、コンポーネント数の少ない効率的な設計を提供する一方で、滑走路での安全な航空機稼働を保証する。前記摩擦計は、前記滑走路表面摩擦の測定を行うように設定される光学モジュールを包含しうる。好ましくは、前記光学モジュールは赤外線源を包含しうる。光源は、滑走路表面に向けられ反射して装置に戻り、装置に搭載のセンサまたは検出器により検出される放射を伝達するように構成されうる。光源はレーザ源でありうる。
【0019】
前記検出ユニットの前記一以上のセンサは、使用時に前記表面上の異物破片FODの存在を検出するように設定されるFODセンサを包含しうる。装置にFODセンサを装備することにより、滑走路および誘導路でのFODの存在を監視する効率的な手法を提供することが可能である。FODが装置により検出された時に、FODを表すデータが遠隔サーバへ送信されるので、パイロットおよび航空交通管制は危険に気付きうる。前記FOD検知性能を備える遠隔操作装置は、有人清掃機を配備する必要なく飛行場での安全な作業を保証する。前記FODセンサは、X線センサ、可視光センサ、そして金属検出センサを包含する群から選択される一以上の何らかのセンサを包含しうる。FODセンサは、滑走路または誘導路の路面を調査するように構成されうる。これは、例えば表面に向かって配向されたFODセンサを有することにより達成されうる。表面の異常は、装置により自動的に、またはFODセンサからのデータを調査する観察者により検出されうる。
【0020】
装置は、飛行場での視界の測定を行うように設定されうる。一般的に、装置は、滑走路視界(RVR)を測定するように構成されうる。すなわち、滑走路の中心線上の航空機のパイロットが、滑走路を画定するか中心線を特定する滑走路表面の標識または灯火を視認できる距離である。前記検出ユニットは、光の大気減衰を測定して滑走路視程を表すデータを出力するように作動可能な透過率計を包含しうる。検出ユニットは代替的に、RVRを測定するように作動可能な散乱計を包含しうる。他の例では、観察者によるRVRの測定を可能にするように、搭載の光学センサが利用されうる。視程を測定するための手段を装備することにより、装置は、飛行場での視程を遠隔的に測定する効率的な手法を提供できる。透過率計はジャイロスコープまたはジンバルを介して装置に取り付けられ、装置が動作中であっても透過率計の配向を安定化させうる。
【0021】
装置は、一以上の火災検出器を包含しうる。滑走路および誘導路での火災は飛行場安全性における別の主要な危険となる。前記検出ユニットは、使用時に大気の熱放射を監視して火災を検出するように設定される赤外線センサを有する火災検出器を包含しうる。代替的に、火災検出器は、煙検出器、火炎検出器、または飛行場での火災の存在を検出する他の手段を包含しうる。
【0022】
異常状態の存在または不在を検出ユニットから検出すると、装置は一般的にこの検出を受けて操作されうる。好ましくは、駆動ユニットは、使用時に、検出ユニットから導出されたデータに基づいて装置の移動を自律的に実行するように設定される。装置は、飛行場の滑走路および誘導路を自律的に動き回り、潜在危険または異常状態を発見および報告し、(必要であれば)これらの状態の原因に向かって移動する性能を有する。これは、滑走路監視整備作業の効率を大きく向上させる。
【0023】
検出ユニットは、滑走路灯の存在を検出して前記滑走路での灯火の正常機能を確認するように設定される滑走路灯検出器を包含しうる。灯火の正常機能の検出および確認は、滑走路灯が予想および/または検出される領域の光度を測定することにより実行されうる。測定された光度に基づいて、―例えば光度が閾値を超えるかどうかを確認することにより、または履歴データと比較することにより―滑走路灯の正常機能が確認されうる。
【0024】
装置はさらに、使用時に飛行場の滑走路または誘導路の表面において整備作業を実施するように設定される整備ユニットを包含しうる。飛行場滑走路および誘導路での危険を検出して遠隔サーバへ報告する能力に加えて、整備作業を実施する性能を装置自体が有しうる。
【0025】
前記整備ユニットは、使用時に前記表面からゴムを除去するように設定されるゴム除去モジュールを包含しうる。ゴム除去モジュールにより、装置は、航空機着陸装置からのゴムの滑走路および誘導路への蓄積の問題に対処し、これにより遠隔操作による解決策を提供できる。
【0026】
ゴム除去モジュールは、蓄積したゴムを除去するための何らかの適切なアプローチを採用しうるが、一般的に前記ゴム除去モジュールは、水保管タンクと高圧水のジェットを表面に出力するように作動可能な高圧ノズルとを包含する高圧水モジュールと、薬品保管タンクと除去薬品を表面に塗布するように作動可能な薬品アプリケータとを包含する薬品除去モジュールと、使用時に高速研磨粒子を前記表面に吹き付けるように設定されるインパクタと、使用時に表面から層を平削りするように設定されるカッタを包含する機械的リムーバとのうち一以上を包含しうる。
【0027】
ゴム除去モジュールは手動で操作されうるが、除去モジュールは、滑走路または誘導路でのゴムの存在を装置が検出した時にも作動するように設定されうる。一般的に、前記ゴム除去モジュールは、前記検出ユニットからの測定による表面摩擦レベルに従って前記表面からのゴムの除去を行うように設定されうる。
【0028】
ゴムが表面から除去されると、ゴムは装置により片側へ掃き寄せられるか、装置内での一時的保管のために回収されうる。それゆえ整備ユニットは清掃機を包含しうる。清掃機は、表面上で、または表面から、破片を効果的に清掃するためのブラシまたは他の手段を包含しうる。代替的に、または組み合わせで、整備ユニットは保管タンクを包含しうる。保管タンクは、装置筐体の内部または装置筐体の外部に収容されうる。整備ユニットは、表面からの破片を保管タンクへ回収する吸引力を提供するように作動可能な高出力吸引モジュールをさらに包含しうる。保管タンクは、装置により回収された破片を保管するのに使用されうる。保管タンクの包囲壁のうち一以上は、点検窓部を包含しうる。点検窓部は、タンクの中身を外側から点検できるようにする透明または半透明の窓部を包含しうる。保管タンクは、タンクが一杯になった時を検出して通知するように設定されるセンサを包含しうる。
【0029】
表面からのゴムの除去と同様に、手動で、または装置により自律的に破片の回収が行われうる。好ましくは、前記整備ユニットは、前記検出ユニットのFODセンサから導出されたデータに従って、前記表面からのゴムの除去または破片の回収を実施するように設定されうる。整備ユニットは、滑走路または誘導路表面から破片を回収するように作動可能な破片回収モジュールを包含しうる。破片回収モジュールは、高出力吸引モジュールを利用して表面から破片を回収しうる。代替的に、破片回収モジュールは、表面から破片を回収するように作動可能な磁気回収器を包含しうる。幾つかの状況において、ボルトまたは他の機械的コンポーネントが航空機または他の設備から離脱して、滑走路上のFODとなることがある。装置1が滑走路を横断してこのような離脱コンポーネントを発見すると、装置がその上を進む際にボルトまたはコンポーネントを回収するように磁石が操作される。代替的に、磁石は永久磁石または持続性の電磁石であるので、装置1が上を進む際に、未検出時であっても金属FODが回収されうる。
【0030】
前記整備ユニットはさらに、使用時に前記表面の近位の野生動物を駆除するように設定される野生動物駆除器を包含しうる。前記駆除器は、レーザ光を発するように作動可能なレーザ源と、高周波音を発するように作動可能なスピーカと、野生動物駆除薬品のスプレーを出力するように作動可能なスプレーノズルとのうち一以上を包含しうる。上記のように、飛行場安全性における別の主要な問題は、滑走路および誘導路での鳥などの野生動物による航空業務への妨害である。野生動物を追い払う手段を設けることにより、装置は、―バードストライクとして知られる―ジェットエンジンでの鳥などの航空業務への妨害のリスクを低減できる。移動装置にこの設備を設けることにより、駆除手段が野生動物に向かって移動して、固定の駆除器と比較してより良好な散布効果を得ることができる。装置に設置されるレーザユニットは、ジャイロスコープまたはジンバルを介して装置に取り付けられて、凹凸があるか滑らかな地形を装置が動作中でも配向を安定させてレーザのビームを出力しうる。
【0031】
前記整備ユニットの前記レーザ源は、光の大気減衰を測定して滑走路視程を表すデータを出力するように作動可能な透過率計のレーザ源としても作動しうる。
【0032】
前記整備ユニットはさらに、前記消火剤タンクと、消火剤タンクから消火剤を制御可能に放出するように作動可能な消火器ノズルとを包含する火災消火器を包含しうる。前記火災消火器は、前記検出ユニットの赤外線センサから導出されるデータに従って前記消火剤タンクからの前記消火剤の放出を起動させるように設定されうる。このような設定により、装置は、火災を自律的に検出し、火災に接近し、消火剤タンクから消火剤を放出することにより火災を消すことが可能になる。
【0033】
装置は何らかの適当な手段により動力供給されうるが、一般的に装置は、充電式電源を有する動力ユニットを包含する。充電式電源は、ケーブル接続、誘導充電、または他の何らかの適当な手段により充電されうる。好ましくは、太陽エネルギーを獲得して、使用時に電源に充電を行うように設定されるソーラーパネルモジュールを装置が包含しうる。
【0034】
第二の態様によれば、第一の態様による装置と、使用時に有線または無線接続を介して装置の通信モジュールへ、または前記通信モジュールからデータを転送するように設定される遠隔サーバとを包含する、滑走路および誘導路状態を監視および整備するためのシステムが提供される。
【0035】
そのうえ、システムはドッキングステーションをさらに包含し、前記ドッキングステーションは、使用時にその筐体内に装置を受容するように設定される。ドッキングステーションは、飛行場の滑走路または誘導路の表面に配置されうる。一般的に、ドッキングステーションは飛行場の滑走路または誘導路に隣接して配置されうる。ドッキングステーションは装置の「拠点」として作用して、装置が撤退して保管されるための安全シェルタとなる。
【0036】
一般的に、前記ドッキングステーションは装置に電力を提供するように作動可能でありうる。装置は、作業が完了するとドッキングステーションへ自動的に戻るように設定されうる。装置はまた、電源の充電が少ない時にドッキングステーションへ自動的に戻るように設定されうる。
【0037】
第三の態様によれば、第一の態様による装置を滑走路または誘導路に配備するステップと、装置の検出ユニットを通して滑走路状態データを収集するステップと、前記検出ユニットから導出されたデータを遠隔サーバへ転送するステップであって、遠隔サーバでデータが処理および表示されうるステップとを包含する、飛行場滑走路および誘導路状態を監視する方法が提供される。
【0038】
装置を配備する前記ステップは、前記遠隔サーバから装置の通信ユニットへ指示を送信することにより装置を遠隔的に制御することを包含しうる。装置を配備する前記ステップは、装置が表面を自律的に走行することを包含しうる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の態様は、検出と通信と整備の性能を有する自律的または遠隔的制御装置を利用することにより、空港滑走路および誘導路の効率的な監視および整備を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0040】
空港整備装置の例が、添付図面を参照して例としてこれから記載される。
【
図2】飛行場滑走路での使用時における空港整備装置の例を概略的に図示する。
【
図3】飛行場滑走路での使用時における空港整備装置の例を概略的に図示する。
【
図4】飛行場滑走路での使用時における空港整備装置の例を概略的に図示する。
【
図5】飛行場滑走路での使用時における空港整備装置の例を概略的に図示する。
【
図6】飛行場滑走路での使用時における空港整備装置の例を概略的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の例は、滑走路および誘導路の監視および整備性能を有する装置の一般的な実行例を図示している。
【0042】
空港整備装置1の例が
図1に概略的に図示されている。装置1は、駆動ユニット10と検出ユニット20と通信ユニット30と整備ユニット40とを包含する。
【0043】
駆動ユニット10は、装置1の動作に必要な構成部品を包含する。この例で、駆動ユニット10は、一以上のモータ12に接続される複数の独立車輪11を包含する。車輪は一般的に装置1の下側に配設されて、飛行場の滑走路または誘導路の路面(以下では単純に「表面」または「路面」と呼ばれる)と接触する。
【0044】
車輪11および駆動モータ12は、路面の平面における装置1の全動作範囲を提供するように設定される。「全動作範囲」により、独立動力供給および操舵可能な車輪11の使用を通して装置1が路面の平面上で回転し、360度回転でのいかなる配向も可能であるという意味を持つことを我々は意図している。
【0045】
幾つかの例で、駆動ユニット10は、モータ12および車輪11に信号を出力するように構成される駆動プロセッサ13も包含しうる。幾つかの例で、駆動プロセッサ13は通信ユニット30に接続されて、ルート情報および場所情報などの駆動データを受信および送信する。駆動ユニット10は、装置1が動作中である時に装置1に搭載された他のコンポーネントに安定性を提供するように、可変サスペンションなどの安定化機構も包含しうる。
【0046】
駆動ユニット10は、遠隔サーバ(
図1では不図示)から手動で操作されて、装置1の位置および移動に対する手動遠隔制御を提供する。代替的に、駆動ユニット10は自律的に作動するように構成されうる。自律的に作動する時に、駆動ユニット10による装置1の動作は、検出された周囲の地形に依存する。そのため、駆動ユニット10のプロセッサ13は一般的に検出ユニット20に接続される。
【0047】
検出ユニット20は、路面の一以上のパラメータを検出するように構成される一以上のセンサを包含する。一態様において、検出ユニット20は、装置1の周囲の地形を走査および検出するように作動可能な地形センサ21を包含する。この例で、地形センサ21は、回転レーザビームを出力するように設定されるレーザ源を有するLidarモジュールを包含する。使用時に、レーザ源は、周囲の地形および障害物により反射されて装置1へ戻るレーザビームを発する。Lidarモジュールは、反射されたビームを受容するのに要した時間を測定して、この方向において最も近い物体または地形までの距離を計算する。全ての方位角にわたってこのような計算を実施することにより、Lidarモジュールはその周囲の2Dまたは3D表示を出力できる。こうして装置は、飛行場内で障害物を検出および回避して安全に走行することができる。Lidarモジュールにより作成されるデータは、装置1上で、または遠隔サーバにより処理されて、周囲の実時間地図を構築する。データは、既存の地図を更新および維持するのにも使用されうる。装置により作成および/または維持される地図は、周囲の地形と、この地形上で検出された何らかの障害物または車両とを含みうる。後で説明するように、地図は、FOD検出器または摩擦計など、装置に搭載される他のコンポーネントにより収集される情報を含むように更新されうる。装置1は路面から離れた周囲についての情報も収集することができ、装置1の近くの空域の地図を装置1が作成できることを意味する。Lidarモジュールからの情報は、検出ユニット20から、駆動ユニット10または通信ユニット30など他のユニットへ送られうる。
【0048】
幾つかの例において、検出ユニット20は、周囲の静止画像または動画像を捕捉するように設定された光学センサを包含する可視光カメラを包含する。それゆえ可視光カメラは装置1の周囲の視程を提供する。カメラは例えば周囲の地形を検出するように設定され、検知された地形に応じた方向に装置1を誘導して移動させることのできる駆動ユニット10へ、カメラからのデータが送信されうる。さらに、下に記載されるように、カメラからの画像は通信ユニット30へ送られて遠隔サーバへ送信されうる。カメラは、可視光センサ、赤外線センサ、その他、またはこれらの組み合わせを利用できる。
【0049】
装置1に搭載のカメラの有利な用途の一つは、滑走路での灯火の存在および正常機能を検出することである。灯火の不具合は、照明の全体的な(または周期的な)不在、あるいは滑走路灯からの照明の強度の低下(または不足)として検出されうる。装置1は、滑走路を動き回るか飛行場の特定領域まで誘導され、ここで滑走路上の灯火の存在(または存在予想)をカメラが検出できる。そして滑走路上の灯火の正常機能を確認するのにカメラが使用され、灯火不具合が検出されると、これが報告されうる。装置1の一例において、検出された灯火不具合の場所が記録され、これらの不具合の正確な場所を追跡するようにマッピングされる。そして装置1は、例えば通信ユニット30を介して、不具合の存在について航空交通管制に警告できる(警告は灯火不具合の正確な場所を含む)ので、灯火は正しく修繕されうる。灯火のマッピングが装置1内で維持されるので、装置は、記録された灯火不具合の場所へ周期的に戻り、(例えば修理の前後の灯火の強度を測定することにより)灯火が修繕されたかどうかと修理の有効性とを確認する。履歴データと比較して変化を特定するのに、装置1に搭載のプロセッサにより、または遠隔的にデータが使用されうる。それゆえ比較的単純なシステムを使用して正常機能について滑走路が経時的に追跡されうる。上の例では可視光カメラの使用が記載されているが、例えば赤外線カメラによる他の光検出手段を使用して同じ原理が適用されうる。
【0050】
カメラ(または検出ユニット20の類似の検知コンポーネント)の別の有利な用途では、表面の亀裂について装置1が滑走路表面を走査できる。装置1が滑走路内を走行する際に、凹凸について滑走路表面を監視するのにカメラが使用されうる。滑走路表面の亀裂が検出されると、検出ユニット20は搭載プロセッサへ、または遠隔サーバへ、信号を送り、表面の不具合が検出されたと警告できる。装置1は、場所情報にデータ点を記録することにより、不具合の正確な位置をマッピングできる。
【0051】
滑走路表面地図を作成するのにいかなる検知装置が使用されてもよいと上で言及したが、好適な実施形態では、滑走路の表面の熱についての地図を作成するのに熱撮像センサが使用されうる。同様に、滑走路の表面の異常を表すこの表面と車両の固定点との間の距離を特定するのに距離センサが使用されうる。
【0052】
滑走路表面上の特定位置が不具合(例えば構造的脆弱性、亀裂、または他の凹凸)を有することが分かっている時に、装置1は、この位置へ周期的に移動してカメラで撮影し、得られた視覚情報を記録するようにプログラムされうる。装置1は同じ位置に戻り、記録写真を撮影し、不具合の経時的な進行を観察できる。同様に、特定された不具合エリアにおいて、上に特定した滑走路表面地図が周期的に、またはより頻繁に更新されてもよい。こうして、例えば装置1(または装置1を制御する人物)が不具合の経時的な進展を観察して、潜在危険の外観を監視することができる。不具合を経時的にマッピングすることにより、滑走路表面での潜在的な不具合または危険の全てについて実時間地図を用意することが可能である。装置1による測定から導出されたデータにより作成される地図は、前回の地図と比較して状態の相違または変化に注目するのに使用されうる。これらの変化は通信ユニット30を介してユーザまたは遠隔サーバへ警告されうる。滑走路表面の不具合に加えて、滑走路の他の特性―例えば、下に記載するように装置1により測定されうる滑走路摩擦―もマッピングされうる。
【0053】
検出ユニット20はさらに、FODセンサ22を包含する。FODセンサ22は、使用時に、路面でのFODの存在を検出するように設定される。この例で、FODセンサ22はX線カメラを包含する。X線カメラは、X線放射を使用して周囲の静止または動画像を捕捉するように設定されるX線センサを包含する。
【0054】
様々な光学および放射検出器に加えて、検出ユニット20は測定機器も包含して、様々な滑走路パラメータの物理的測定を実施できる。この例で、検出ユニット20は摩擦計23を包含する。摩擦計23は、使用時に路面との接触状態になるように設定される車輪23aを包含する。摩擦計23は車輪23aの反応を測定して、摩擦レベルを直接的に測定および計算する。一般的に、摩擦計23は路面と車輪との間の測定による摩擦係数(μ)を出力する。幾つかの例で、摩擦計23に使用される車輪は、駆動ユニット10の一以上の車輪11と同じである。他の例で、摩擦計23は、幾つかのケースでは非接触温度測定技術を使用して表面摩擦を測定するための他の手段を包含する。単純な粗さ測定を使用する例では、レーザとセンサのペアは、例えば(反射光線の距離・時間測定を介して)表面粗さを測定するように設定され、粗さは、表面粗さを導出するのに使用されうる。他の例では、滑走路表面摩擦の非接触測定を行うのに、より複雑な技術が採用されうる。例えば、摩擦計23は、表面摩擦の測定を行うように設定された赤外線センサを包含しうる。これは、例えば摩擦によるエネルギー損失の大部分が熱エネルギーとして放出されるという事実を用いて達成されうる。それゆえ赤外線センサは表面からの熱エネルギー損失を測定し、例えば校正モデルを使用して表面摩擦レベルを導出するのに採用されうる。赤外線センサは、装置1が動作中である時にアライメント損失を伴わずにレーザが使用されうるように、ジンバルを介して装置1に固定される赤外線レーザを包含しうる。使用時に、レーザは、反射して装置へ戻る赤外線(または他の)放射の発生源となりうる。赤外線センサは、反射した放射に関するパラメータ(例えば強度)を測定して赤外線センサデータを作成できる。赤外線センサからのデータは搭載プロセッサへ供給されるか、遠隔サーバへ送られ、ここでデータは表面摩擦レベルを導出するように処理されうる。幾つかの例で、装置1は、滑走路表面摩擦を測定するための多数の技術―例えば測定輪23aと赤外線レーザ源の両方―を包含しうる。装置1は、車輪23aとレーザの両方からの測定を同時的に記録しうる。
【0055】
例えば滑走路表面での着氷または着霜の存在による危険な(低い)レベルの摩擦が滑走路で検出された時には、通常は薬品が滑走路表面に塗布されて滑走路表面での牽引力の欠如を軽減または相殺する。滑走路での着氷のケースでは、通常は滑走路薬品塗布車両により除氷剤が塗布される。当該技術における既存の問題は、危険に適切に対処するのに充分または過剰なレベルの薬品が塗布されたかどうかを知ることが必ずしも可能ではないということである。一つの装置例では、滑走路表面に塗布される薬品の量を監視するための一以上の薬品トレーサを検出ユニットが備える。一般的に、薬品トレーサは赤外線カメラを包含する(または装置の別のコンポーネントの赤外線カメラを利用する)。薬品トレーサから導出されるデータは、検出ユニットの他のコンポーネント、例えば摩擦計23から導出されるデータとともに、適切な量の薬品が滑走路表面に塗布されたかどうかを判断するように搭載プロセッサ(または遠隔サーバ)により処理されうる。測定による摩擦レベルと、表面に塗布される薬品のレベルとは、塗布された所与の量の薬品についての予測摩擦レベルを指す、予め記録された履歴データと比較されうる。塗布された薬品の量が不充分である(つまり薬品の塗布後に滑走路がまだ過度に滑りやすい)と判断された場合に、装置は、通知ユニットを介してアラームを発出して、例えば航空交通管制に警告できる。塗布車両による塗布の直後に薬品トレーサで測定を行うように、装置1は空港滑走路薬品塗布車両に後続するようにプログラムされうる。幾つかの例では、装置1自体が整備ユニット40を通して滑走路に薬品を塗布するように設定されうる。
【0056】
摩擦測定に関する上記の機能性に加えて、または代替例として、装置に搭載の赤外線センサは周囲の熱のレベルを検出するように、例えば飛行場での火災を検出するように設定されうる。例えば、設定された閾値温度が搭載のプロセッサに(または遠隔サーバに)記憶されうる。赤外線センサにより収集されるデータが設定の閾値温度を超える場合に、装置1は潜在的な火災について知らせる警告を発生できる。幾つかの例で、装置1が潜在火災を検出した時に、装置1は動作を実行する―例えば駆動ユニット10により火災まで移動し、整備ユニット40(後で記載)の搭載の消火機能性により火災を消す。
【0057】
上の機能性に加えて、検出ユニット20は滑走路上の薬品パラメータを検出する機能性も包含しうる。例えば、滑走路表面の薬品分析を実施するのに、接触および/または非接触技術が採用されうる。検出ユニット20は、例えば搭載カメラなどによる非侵襲的技術を使用して滑走路表面を走査し、表面におけるある薬品のレベルに関するデータを提供できる。作成されるデータは複雑な化合物、または水などの単純な構造のレベルに関しうる。検出ユニット20の薬品分析モジュールにより作成されるデータは搭載のプロセッサへ(または遠隔サーバへ)送られ、装置1は処理後の薬品分析データに応じた動作を行う。例えば、滑走路表面の一部で検出された低レベルの添加剤または薬品に反応して、装置1は必要な添加剤/薬品の新たな層を滑走路表面のこの部分に塗布できる。
【0058】
検出ユニット20からのデータは、装置1が配備される滑走路の様子をマッピングするのに使用されうる。例えば、装置1の周囲を走査して地図を作成するのに地形センサ21が使用され(代替的に、事前作成の地図が装置1に提供され)、何らかの破片または障害物の場所を作成済み(あるいは記憶済み)の地図にマッピングするように装置1の周囲を走査するのにFODセンサ22が使用されうる。マッピングは搭載プロセッサにより行われうるか、あるいは代替的に装置1により収集されたデータが遠隔サーバへ送られて、装置1の遠隔においてマッピングが行われうる。上に記載された走査はその場で行われるか、代替的に、滑走路上の特定場所まで行って(または滑走路の有効領域すべてで単純に「動き回る」か「パトロール」して)局所的周囲の定期的または計画的な走査を実施するように装置1がプログラムまたは指示されうる。
【0059】
特に有利な一例では、検出ユニット20の少なくとも一部が、装置1の表面に着脱可能に取り付けられるモジュールとして設けられる。モジュールは例えば装置1の表面に設けられた摺動レールに取り付けられうる。例えば検出ユニットのコンポーネントの全てまたは幾つかが配設されうるバーとして、モジュールが設けられうる。そしてバーは、装置1の縁部―一般的には前縁部―から張り出すように装置1に取り付けられうる。バーのセンサは滑走路表面に向かって下向きであって、装置1の周囲360度の見通し線を有するように設定されうる。
【0060】
一つの装置例では、二以上の検出ユニット20が装置1に設置されうる。例えば、一つの検出ユニット20は装置の前端部に配設されて―装置1の前方で滑走路の状況を確認し―、第2検出ユニット20は装置の後端部に配設されうる。装置の後端部の検出ユニット20は、後で滑走路の状態を確認する手段を提供できる。例えば、第2検出ユニット20は、検出された不具合の上を装置が通過する際に装置1とその機能が滑走路の状態をどのように変化させたかを確認するように設定されうる。
【0061】
検出ユニット20内の一以上のセンサからのデータが通信ユニット30または駆動ユニット10へ送られるように、検出ユニットが通信ユニット30と駆動ユニット10に接続される。
【0062】
通信ユニット30は、装置1へ、そして装置1からの情報の交換を処理するように設定される。通信ユニット30は、遠隔サーバと通信するように設定される送受信器31を包含する。送受信器31は一般的に、検出ユニット20から導出されたデータを装置1から遠隔サーバへ転送するように設定される。送受信器31は、駆動ユニット10の動作に関する移動指示、検出ユニット20の動作に関するデータ収集指示、そして整備ユニット40の動作に関する整備情報などの情報を受信するようにも設定される。送受信器31で受信された遠隔サーバからのデータは一般的に、特定動作のために駆動10、検出20、または整備40のユニットのうち一つへ送られる。一般的に、装置は、装置1自体により収集されるデータまたは遠隔サーバにより装置へ通信されるデータの一時的または永久的な記憶を可能にするように設定されるメモリユニット50を包含する。
【0063】
測定ユニット20により測定されるデータは、メモリユニット50に連続的に記録され、測定ユニット20により行われる新たな測定の各々が履歴データと比較されうる。装置は、アラームの発出、検出頻度の変化、または滑走路での装置の移動計画の変化など、比較結果に基づいて幾つかの動作のうち一つを行いうる。一例では、滑走路の特定の位置で摩擦の測定が行われる時に、測定された摩擦レベルが同じ位置で行われた前回の摩擦測定と比較されうる。別の例では、滑走路表面の品質の評価(例えば表面の亀裂または不具合の確認)時に、所与の位置での滑走路品質について測定が行われるか写真が取られるたびに、測定または写真が同じ位置での前回の測定または写真と比較されうる。滑走路表面での亀裂または不具合の進行を比較が示す場合に、装置は通信ユニット30を介して航空交通管制へ警告を送りうる。履歴比較は、装置1に搭載されたメモリユニット50に記憶されたデータに関して行われうるか、代替的に比較は、遠隔サーバに記憶されたデータに関して行われうる。
【0064】
送受信器31は、装置1と遠隔サーバとの間で長距離または短距離通信を行うように設定されうる。例えば、送受信器31は長距離無線通信を行うように設定されうる。他の例では、Wi-Fiまたはブルートゥース(登録商標)などローカルエリア技術を使用して短距離通信を行うように送受信器31が設定される。
【0065】
この例で、通信ユニット30はさらに、装置1と、航空交通管制塔などの外部レーダ運用者との間でのレーダ通信を可能にするように設定されるレーダモジュール32を包含する。一般的に、レーダモジュール32は、無線周波数の送信器および受信器を包含する。レーダモジュール32は、電波を介して外部の設備または実在物へ装置が通信を行うことを可能にする。レーダ送信が移動車両と航空交通管制との間の主要な通信モードであることの多い飛行場では、これは特に有用である。レーダモジュール32が送受信器31とは別のモジュールであることを例で示したが、幾つかの例では、送受信器31自体がレーダ通信を行うように設定されてもよい。
【0066】
幾つかの例で、通信ユニット30は、装置1により提供される情報を近くのユーザが視認できるようにするスクリーンを包含する。
【0067】
整備ユニット40は、一般的には検出ユニット20により観察されたパラメータを受けて、または通信ユニット30からの指示を受けて、様々な整備作業を装置1が実施できるように設定される。
【0068】
この例で、整備ユニット40は、使用時に装置1の近位の路面エリアからゴムを除去するように設定されるゴム除去モジュール41を包含する。「近位の」により、この文脈では、装置1の下方または下側近くの路面を意味する意図を我々が持っていることは言うまでもない。
【0069】
飛行場表面からのゴムの除去は、幾つかの手法、つまり高圧ハイドロクリーニング、薬品除去、高速衝突除去、または機械的除去のうち一以上で実施されうる。この例の装置1は、上のアプローチのいずれか一つを採用してゴムを除去するための手段を装備する。
【0070】
この例で、ゴム除去モジュール41は高圧水モジュール41aを包含する。水モジュール41aは水保管タンクと、高圧または超高圧水のジェットを発生させるように設定されるジェットアプリケータとして作用する高圧ノズルとを包含する。使用時に、高圧(そして一般的には高温)の水が水モジュール41aのノズルにより路面へ吹き付けられて路面のゴム層に相当な力を印可する。一般的に、水モジュール41aは15,000kPaから300,000kPaの間の圧力を有する水ジェットを発生させる。ゴム層は、高圧水による大きな衝突力を受け、水の衝突により表面からの剥離が加速されることにより除去される。路面から剥離すると、ゴムは装置1により清掃または回収されうる。剥離したゴムの回収は、高出力吸引モジュール42により促進されうる。回収されたゴム片は、保管されたゴムが保管タンク43から排出されて除去ゴムが処分される位置へ装置1が移動するまで保管タンク43に一時的に保管されうる。
【0071】
ゴム除去モジュール41はさらに、薬品除去モジュール41bを包含する。薬品除去モジュールは、薬品保管タンクと、除去薬品を路面に塗布するように作動可能な薬品アプリケータとを包含する。使用時に、薬品保管タンクは除去薬品を薬品アプリケータへ供給し、そして薬品アプリケータは路面に蓄積したゴムへ薬品を塗布する。塗布されると、除去薬品は、飛行場表面に蓄積したゴムと反応してこれを分解する。ゴムが剥離して低圧水で洗浄除去されるか、吸引モジュール42によりタンク43に回収される。
【0072】
ゴム除去モジュール41はさらにインパクタ41cを包含する。インパクタ41cは、近位の路面に研磨粒子を高速で吹き付けるように設定される。使用時に、インパクタ41cにより噴射される研磨粒子は近位の路面のゴムに激突する。ゴムへの研磨剤の高速衝突によりゴムが路面から剥離され、そしてゴムは上に記載したように清掃または回収されうる。
【0073】
ゴム除去モジュール41はさらに機械的リムーバ41dを包含する。機械的リムーバ41dは、使用時に近位の路面の上層を平削りするように設定されるカッタを包含する。機械的リムーバ41dのカッタは一般的に、約3mmから5mmの厚さを有する層を近位の路面から除去するように設定される。路面の層を完全に除去することにより、蓄積したゴムが飛行場から強制的に除去されうる。カッタにより平削りされた路面の層は、上に記載したように清掃または回収されうる。
【0074】
記載した方法のいずれか一つまたはその組み合わせがゴム除去モジュール41により利用されうる。例えば、水モジュール41aは、単独で、または薬品アプリケータ41bと併せて使用されうる。
【0075】
整備ユニット40は、分析のための物理的または化学的試料を取得するという装置1の機能性を提供するコンポーネントも含みうる。例えば、ゴム除去モジュール41は、装置1により、滑走路表面からある量のゴムを抽出してゴムの化学分析を実施するように構成されうる。この分析は装置1上で実施されうるか、代替的に試料が装置上に保管され、試験所へ輸送され、後で分析されてもよい。
【0076】
整備ユニット40はまた、滑走路表面に薬品を塗布して検出ユニット20による分析を助ける。例えば、整備ユニット40の薬品保管タンクは、指示薬を包含する検査流体を包含しうる。検査流体は、検査対象の滑走路の一部へ装置1により噴霧されうる。流体は滑走路表面に存在する亀裂へ流入し、ある条件下では視認可能となる。そして検出ユニット20は、例えば赤外線条件で滑走路表面の検査対象部分を視認することにより、この部分の走査を実施できる。指示薬は例えば、赤外線条件下で視認された時に発光するか照明を提供するように設定されうる。幾つかの例で、指示薬は磁性粒子を包含しうる。赤外線センサ(またはカメラ)を使用することにより、検査流体が集中している領域を確認することが可能であり、それゆえ滑走路表面で亀裂がどこに存在するかを装置が検出できる。
【0077】
駆動ユニット10と検出ユニット20と通信ユニット30と整備ユニット40とに加えて、装置は動力ユニット60を包含する。動力ユニット60は、充電ポート62に接続される充電式電源61を包含する。この例では、ソーラーパネル63を通して太陽エネルギーを獲得することにより電源が充電されるように、充電式電源61がパネル63のアレイに接続される。他の例では、(運動エネルギー獲得装置:「ダイナモ」など)エネルギーを再生する他の手段が電源61に接続されて搭載充電性能を提供する。
【0078】
特に、装置1が作動構成にない時に、装置1は一般的に、飛行場の滑走路または誘導路に、あるいはこれに隣接して配置されるドッキングステーション2に収容される。ドッキングステーション2は一般的に、その筐体内に装置1を受容するように設定され、気象条件と落下破片から装置1を保護するシェルタとなる。ドッキングステーション2はまた、装置1の動力ユニット60に充電を提供する充電ポートになる。さらにドッキングステーション2は、装置1へ、そして装置1からデータを転送する有線または無線の手段を提供するように作動可能なドッキングステーション通信ユニットも備えうる。ドッキングステーション通信ユニットは、装置1から遠隔サーバへデータを転送するように設定され、遠隔サーバはドッキングステーション内に、またはこれからさらに離れて設けられうる。
【0079】
装置1は、使用後にドッキングステーション2に戻るか「ホームイン」するようにプログラムされる。言い換えると、装置1はドッキングステーション2の位置を把握しており、作動後にドッキングステーション2へ自律的に戻る。単一の飛行場が多数のドッキングステーション2を包含するケースにおいて、装置1は一般的に、最も近いドッキングステーション2または割り当てられたドッキングステーション2へ戻るようにプログラムされる。
【0080】
本明細書でのユニットの各々は、記載された機能性を実施するために適切にプログラムされたメモリに記憶された指示を実行するのに適応したプロセッサを包含しうる。同様に、各ユニットは、ユニットの動作を指示するかあるいは制御するように作動可能な制御ユニットとの通信状態にありうる。各ユニットの機能は互換性があるかモジュール式でありうる。ユニットの各々は、全体的または部分的に、別のユニットまたは装置自体とモジュール式に組み立てられるように設定されうる。例えば、検出ユニットは接続部材を有する部分を包含しうる。接続部材は、それが嵌着できる装置の表面の接続部材に相補的な形状を有しうる。この種の一般的な接続は、装置の表面に設けられる一以上のレールを必要とする。検出ユニット20の一以上の突出部は、カメラフラッシュ用の馬蹄形接続のように、装置に設けられたレールに検出ユニット20をスロットインできる接続部材となりうる。
【0081】
本明細書に記載の方法およびプロセスは、コード(例えばソフトウェアコード)および/またはデータとして具体化されうる。このようなコードおよびデータは一以上のコンピュータ可読媒体に記憶され、これはコンピュータシステムによる使用のためにコードおよび/またはデータを記憶できるデバイスまたは媒体を含みうる。コンピュータ可読媒体に記憶されたコードおよび/またはデータをコンピュータシステムが読み取って実行する時に、コンピュータシステムは、コンピュータ可読記憶媒体内に記憶されるデータ構造およびコードとして具体化される方法およびプロセスを実施する。ある実施形態において、本明細書に記載の方法およびプロセスの一以上のステップは、プロセッサ(例えばコンピュータシステムまたはデータ記憶システムのプロセッサ)により実施されうる。コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、そしてコンピューティングシステム/環境により使用される他のデータなど、情報の記憶に使用されうるリムーバブルおよび非リムーバブルな構造/デバイスをコンピュータ可読媒体が含むことは、当業者に認識されるはずである。コンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM、DRAM、SRAM)などの揮発性メモリ、フラッシュメモリ、様々なリードオンリメモリ(ROM、PROM、EPROM、EEPROM)、磁気および強磁性/強誘電性メモリ(MRAM、FeRAM)、磁気および光学記憶デバイス(ハードドライブ、磁気テープ、CD、DVD)などの不揮発性メモリ、ネットワークデバイス、コンピュータ可読情報/データを記憶可能である現在周知または今後開発予定の他の媒体を含むが、これらに限定されるわけではない。コンピュータ可読媒体は、何らかの伝搬信号を含むと理解または解釈されるべきでない。
【0082】
装置でプロセッサの利用が可能である手法の一つは、走査およびマッピング機能性のためのものである。上記のように、装置1の―特に検出ユニット20の―様々なコンポーネントは、データを収集して、滑走路の危険および特性についての地図を作成するのに使用されうる。
【0083】
飛行場での装置例の一般的な動作について、装置1により提供される機能性の実行例を各々が示す
図2から6を参照してこれから記載する。
【0084】
装置1は一般的に、飛行場の滑走路または誘導路かこれに隣接するドッキングステーション2に、非作動構成で保管される。装置1は遠隔サーバから手動で起動されうる。代替的に、装置1は、予決定されたスケジュールに従って起動される。
【0085】
起動時に、装置1はドッキングステーション2を離れて飛行場の滑走路または誘導路へ前進する。上に記載したように、装置1の移動は遠隔的に制御されるか自律的に実行されうる。この例で、装置1はその検出ユニット20および駆動ユニット10を作動させて自律的移動を実行する。
【0086】
検出ユニット20の地形センサ21は周囲の地形を検出して移動の範囲を計算する。そして駆動ユニット10は一以上のモータ12および車輪11を作動させて、装置1をドッキングユニット2から移動させる。
図2は、飛行場の滑走路にすぐ隣接して配置される、ドッキングユニット2から出動する装置1を図示している。
【0087】
滑走路では、装置1に搭載のFODセンサ22が路面上のFODを調査する。FODセンサ22は滑走路表面を走査して、破片と航空機着陸装置からのゴムの堆積とを検出するように設定される。滑走路で破片が検出されると、装置1は、駆動ユニット10を作動させることにより、破片まで移動して破片を回収し片側へ掃き寄せる。装置1はFODを回収するための手段を装備する。この例では、磁石が保管タンク43へ破片を回収するように作動可能である。
【0088】
例えば、着陸する航空機によるゴムの堆積が飛行場の滑走路に見られると仮定すると、装置1は航空交通管制により滑走路へ誘導されて滑走路を清掃し摩擦のレベルを監視する。装置1が滑走路を横断する際に、FODセンサ22は滑走路上のゴム堆積物と破片について滑走路表面を調査する。摩擦計23は、測定を実施して滑走路表面の摩擦レベルを調査する。(例えば、測定値を閾値集合と比較することにより)滑走路にゴムの過度の堆積が見られると検出ユニット20が判断すると、装置1は通信ユニット30を通してこの情報を遠隔サーバへ報告し、そして遠隔サーバは交通管制に警告できる。それから装置1は、ゴム堆積の領域へ装置1を前進させるように駆動ユニット10を作動させ、整備を開始して表面からゴムを除去する。
【0089】
装置1が滑走路上のゴム堆積領域に接近すると、
図3に示されているように、ゴム除去モジュール41が滑走路表面と嵌合する。ゴム除去モジュール41は、上に記載されたアプローチのいずれか一つを使用して、滑走路表面からゴムを除去するように作動する。
図3から分かるように、同時に摩擦計23が配備されて、ゴム除去モジュール41の動作の結果を装置1が確認できる。摩擦計23の摩擦測定輪23aは、装置1の近位の路面と接触して、表面の摩擦レベルの測定値を生成するように設定される。滑走路上に蓄積されたゴムを削減または排除するようにゴム除去モジュール41が作動するので、駆動ユニット10は、堆積量の多い領域へ装置1を前進させる。表面から除去されたゴムは装置により清掃されるか搭載の高出力吸引モジュール42により保管タンクに回収される。プロセスにおいて、
図4に示されているように、装置1は滑走路表面へのゴム堆積物のうちかなりの割合を除去し、滑走路表面からゴムを効果的に「掃き取る」。装置1は滑走路の横断を続け、破片およびゴム堆積物を検出し、ゴムを除去し、剥離したゴムを回収する。
【0090】
上に記載したように、鳥や鹿などの野生動物が滑走路および誘導路へ侵入して、安全上の危険となり、望ましくない遅延を引き起こすことが多い。検出ユニット20を通して、装置1は野生動物の侵入について滑走路および誘導路を監視する。これは、FODセンサ22または例えば可視光カメラを利用して、潜在的な物体について誘導路および滑走路を走査することにより達成されうる。FODセンサまたはカメラからのデータは、搭載プロセッサを通して装置自体により分析され、通信ユニット30を介して遠隔サーバへ送信され、ここで例えば交通管制によりデータが分析されうる。
【0091】
検出ユニット20が滑走路上の野生動物の存在を検出すると、装置1は野生動物駆除手段を配備して野生動物を滑走路から駆除する。装置1は、検出ユニット20からのデータに基づいて、駆動ユニット10により何らかの鳥(またはそのうち選択された1羽以上)へ装置1を駆動するように構成されうる。例えば、検出ユニット20のカメラは複数の鳥の存在を検出しうる。(装置1に搭載の決定アルゴリズムにより、あるいは通信ユニット30を介して遠隔サーバにより)1羽以上の鳥が高い優先度を持つものとして選択されうるので、装置1は選択された鳥に最初に接近する。
図5は、搭載のレーザ源を利用して滑走路上の鳥にレーザビームを向けている装置1を図示している。レーザは、鳥を驚かせて滑走路表面からこれらを立ち退かせることにより、バードストライクなど野生動物により引き起こされる飛行問題のリスクを低減させるのに効果的であることが分かっている。レーザ光が不注意により飛行機のコックピットへ向けられることのないようにレーザフードが装置1に装着される。出力ビームおよび/または対応の撮像デバイスを安定化させるように、レーザはジャイロスコープデバイスを備えるか、ジンバルを介して装置1に取り付けられうる。このようなアプローチにより、装置が滑走路上で動作中である時にレーザが使用されうるので、凹凸があるか不均一な地形で装置1が動作中である時でも、レーザデバイスは安定した可干渉ビームを発生できる。
【0092】
例えば、航空機車輪で火災が発生したこと、または航空機車輪が異常な高温であることを装置1が検出したと仮定する。このような状況は、例えば着陸不具合により発生しうる。装置はこのような発生について監視して、これを検出すると、火災または高温の発生源に向かって自動的に出動することになる。代替的に、装置1が火災の発生源へ遠隔的に誘導されるか、消火薬品を配備するように遠隔操作され、こうして飛行場職員にとってのリスクを低減させ、火災反応時間を劇的に改善できる。
図6に図示されているように、装置は、人命のリスクを伴わずに火災危険の近位へ誘導されうる。有利な例では、火災は航空機により報告されて、自動的に準備するかあるいは装置を危険の場所に配備し、潜在危険を解消できる。
【0093】
本発明は、以下の態様を含む。
(条項1)
滑走路および誘導路の状態を監視して前記滑走路または誘導路の状況を遠隔的に報告するための飛行場整備装置であって、
前記飛行場の滑走路または誘導路の表面での装置の自己制御式転動移動を提供するように作動可能な駆動ユニットと、
前記表面の一以上のパラメータを検出するように構成される一以上のセンサを包含する検出ユニットと、
前記検出ユニットから導出されたデータを装置から遠隔サーバへ転送するように設定される送受信器を包含する通信ユニットと、
を包含する装置であり、
使用時に前記表面を移動して前記表面の一以上のパラメータを表すデータを前記遠隔サーバへ転送するように設定される、装置。
(条項2)
前記駆動ユニットが、一以上のモータにより動力供給される複数の独立操舵可能な駆動輪を包含する、条項1に記載の装置。
(条項3)
前記検出ユニットがさらに、装置を囲繞する地形を走査および検出するように作動可能な地形センサを包含する、条項1または条項2に記載の装置。
(条項4)
前記地形センサが、装置の周囲を走査および検出して装置の前記周囲を表すデータを出力するように設定されるLIDARモジュールを包含する、条項3に記載の装置。
(条項5)
前記駆動ユニットが、前記地形センサから導出されたデータを使用して、前記表面で走行して装置の移動を自律的に実行するように設定される、条項3または条項4に記載の装置。
(条項6)
前記通信ユニットの前記送受信器が、遠隔サーバから指示情報を受信するように作動可能であり、使用時に、前記駆動ユニットおよび前記検出ユニットのうち一以上へ前記指示情報を通信するように前記通信ユニットが設定される、条項1から条項5のいずれか一つに記載の装置。
(条項7)
前記検出ユニットの前記一以上のセンサが、前記表面の摩擦レベルを表すデータを測定および出力するように設定される摩擦計を包含する、条項1から条項6のいずれか一つに記載の装置。
(条項8)
前記摩擦計が、使用時に前記表面との接触状態にあるように設定される摩擦測定輪を包含する、条項7に記載の装置。
(条項9)
前記駆動ユニットの前記駆動輪のうち一以上が前記検出ユニットの摩擦測定輪として使用される、条項8に記載の装置。
(条項10)
前記摩擦計が、前記滑走路表面摩擦の測定値を提供するように設定される光学モジュールを包含し、好ましくは前記光学モジュールが赤外線源を包含する、条項7から条項9のいずれか一つに記載の装置。
(条項11)
前記検出ユニットの前記一以上のセンサが、使用時に前記表面での異物破片FODの存在を検出するように設定されるFODセンサを包含する、条項1から条項10のいずれか一つに記載の装置。
(条項12)
前記FODセンサが、X線センサと可視光センサと金属検出センサとを包含する群から選択される一以上のセンサを包含する、条項11に記載の装置。
(条項13)
前記検出ユニットが、光の大気減衰を測定して滑走路視程を表すデータを出力するように作動可能な透過率計を包含する、条項1から条項12のいずれか一つに記載の装置。
(条項14)
前記検出ユニットが、使用時に大気熱放射を監視して火災を検出するように設定される赤外線センサを有する火災検出器を包含する、条項1から条項13のいずれか1項に記載の装置。
(条項15)
前記検出ユニットが、滑走路灯の存在を検出して前記滑走路での灯火の正常機能を確認するように設定される滑走路灯検出器を包含する、条項1から条項14のいずれか一つに記載の装置。
(条項16)
前記検出ユニットが、前記滑走路表面の表面温度を検出するための赤外線熱センサを包含する、条項1から条項15のいずれか一つに記載の装置。
(条項17)
前記駆動ユニットが、前記検出ユニットから導出されたデータに基づいて使用時に装置の移動を自律的に実行するように設定される、条項1から条項16のいずれか一つに記載の装置。
(条項18)
使用時に前記表面で整備作業を実施するように設定される整備ユニット、
をさらに包含する、条項1から条項17のいずれか一つに記載の装置。
(条項19)
前記整備ユニットが、使用時に前記表面からゴムを除去するように設定されるゴム除去モジュールを包含する、条項18に記載の装置。
(条項20)
前記ゴム除去モジュールが、
水保管タンクと、高圧水のジェットを前記表面に出力するように作動可能な高圧ノズルとを包含する高圧水モジュールと、
薬品保管タンクと、除去薬品を前記表面に塗布するように作動可能な薬品アプリケータとを包含する薬品除去モジュールと、
使用時に高速研磨粒子を前記表面に吹き付けるように設定されるインパクタと、
使用時に前記表面から層を平削りするように設定されるカッタを包含する機械的リムーバと、
のうち一以上を包含する、条項19に記載の装置。
(条項21)
前記ゴム除去モジュールが、前記検出ユニットからの測定による表面摩擦レベルに従って前記表面からのゴムの除去を行うように設定される、条項19または条項20に記載の装置。
(条項22)
前記整備ユニットがさらに、
保管タンクと、
前記表面からの破片を前記保管タンクに回収する吸引力を提供するように作動可能な高出力吸引モジュールと、を包含する、条項18から条項21のいずれか一つに記載の装置。
(条項23)
前記整備ユニットが、前記検出ユニットのFODセンサから導出されたデータに従って前記表面からのゴムの除去または破片の回収を行うように設定される、条項18から条項22のいずれか一つに記載の装置。
(条項24)
前記整備ユニットがさらに、使用時に前記表面の近位の野生動物を駆除するように設定される野生動物駆除器を包含し、前記駆除器が、
レーザ光を発するように作動可能なレーザ源と、
高周波音を発するように作動可能なスピーカと、
野生動物駆除薬品のスプレーを出力するように作動可能なスプレーノズルと、
のうち一以上を包含する、条項18から条項23のいずれか一つに記載の装置。
(条項25)
前記整備ユニットの前記レーザ源が、光の大気減衰を測定して滑走路視程を表すデータを出力するように作動可能な透過率計のレーザ源としても作動可能である、条項24に記載の装置。
(条項26)
前記整備ユニットがさらに、消火剤タンクと、前記消火剤タンクから消火剤を制御可能に放出するように作動可能な消火器ノズルとを包含する火災消火器を包含する、条項18から条項25のいずれか一つに記載の装置。
(条項27)
前記火災消火器が、前記検出ユニットの赤外線センサから導出されたデータに従って前記消火剤タンクからの前記消火剤の放出を起動させるように設定される、条項26に記載の装置。
(条項28)
充電式電源を有する動力ユニットと、
太陽エネルギーを獲得して使用時に前記電源に充電を提供するように設定されるソーラーパネルモジュールと、
をさらに包含する、条項1から条項27のいずれか一つに記載の装置。
(条項29)
装置の表面が、装置にコンポーネントを取り付けるための一以上のインタフェース部品を備える、条項1から条項28のいずれか一つに記載の装置。
(条項30)
前記検出ユニットの少なくとも一部分が、前記一以上のインタフェース部品を介して装置に着脱可能に装着される、条項29に記載の装置。
(条項31)
前記インタフェース部品が、摺動動作によりコンポーネントを装置に取り付けることのできる一以上のレールを包含する、条項29または条項30に記載の装置。
(条項32)
前記検出ユニットが、前記センサにより測定が行われるたびに場所データが記録されて各測定値を装置の場所と関連付けるように設定される、条項1から条項31のいずれか一つに記載の装置。
(条項33)
搭載プロセッサが、前記検出ユニットからデータを受信して前記各測定値を滑走路の地図にマッピングするように設定される、条項32に記載の装置。
(条項34)
滑走路および誘導路状態を監視および整備するためのシステムであって、
条項1から条項33のいずれか一つに記載の装置と、
使用時に有線または無線接続を介して装置の通信モジュールへ、または前記通信モジュールからデータを転送するように設定される遠隔サーバと、
を包含するシステム。
(条項35)
ドッキングステーションをさらに包含し、前記ドッキングステーションが使用時に装置を筐体内に受容するように設定される、条項34に記載のシステム。
(条項36)
前記ドッキングステーションが装置に電力を提供するように作動可能である、条項35に記載のシステム。
(条項37)
飛行場滑走路および誘導路状態を監視する方法であって、
条項1から条項33のいずれか一つに記載の装置を滑走路または誘導路に配備することと、
装置の検出ユニットを通して滑走路状態データを収集することと、
前記検出ユニットから導出されたデータを、前記データが処理および表示されうる遠隔サーバへ転送することと、
を包含する方法。
(条項38)
装置を配備する前記ステップが、前記遠隔サーバからの指示を装置の通信ユニットへ送信することにより装置を遠隔的に制御することを包含する、条項37に記載の方法。
(条項39)
装置を配備する前記ステップが、装置が表面で自律的に走行することを包含する、条項37または条項38に記載の方法。
【符号の説明】
【0094】
2 ドッキングステーション
10 駆動ユニット
11 車輪
12 モータ
13 プロセッサ
20 検出ユニット
21 地形センサ
22 FODセンサ
23 摩擦計
23a 摩擦測定輪
30 通信ユニット
31 送受信器
40 整備ユニット
41 ゴム除去モジュール
41a 高圧水モジュール
41b 薬品除去モジュール
41c インパクタ
41d 機械的リムーバ
42 吸引モジュール
43 保管タンク
60 動力ユニット
62 充電ポート
63 ソーラーパネル
【手続補正書】
【提出日】2024-08-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑走路および誘導路の状態を監視して前記滑走路または誘導路の状況を遠隔的に報告するための飛行場整備装置であって、
前記飛行場の滑走路または誘導路の表面での装置の遠隔制御式転動移動を提供するように作動可能な駆動ユニットと、
前記表面の一以上のパラメータを検出するように構成される一以上のセンサを包含する検出ユニットと、
前記検出ユニットから導出されたデータを装置から遠隔サーバへ転送するように設定される送受信器を包含する通信ユニットと、
を包含する装置であり、
使用時に前記表面を移動して前記表面の一以上のパラメータを表すデータを前記遠隔サーバへ転送するように設定され、
前記一以上のパラメータは、前記装置の周囲の表面の滑走路灯の存在を含む、装置。
【請求項2】
前記検出ユニットは、さらに、前記滑走路灯の前記存在をスキャンするように動作可能なカメラを含み、前記カメラは、前記滑走路灯が正常に適切に機能しているか否かを確認するために動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カメラは、前記滑走路灯に不具合があることを前記滑走路灯の照明の強度の低下に基づいて検出するようにされている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記カメラは、不具合がある前記滑走路灯を検出した場合に、さらに、
前記滑走路灯は、不具合があることを警告する信号を送信するように構成され、
前記信号は、不具合がある前記滑走路灯の位置を含む、
請求項2または請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記検出ユニットは、前記カメラによって不具合がある前記滑走路灯が検出されるたびに、各不具合がある前記滑走路灯の位置を前記装置の位置と関連付けるように位置データが記録される、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
搭載プロセッサは、
前記カメラからデータを受信し、
前記滑走路の地図に、各不具合がある前記滑走路灯をマッピングするように設定されている、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、
定期的に各不具合がある前記滑走路灯の位置に移動し、前記カメラを使用して、各不具合がある前記滑走路灯の位置で前記表面の写真を取得し、
不具合がある前記滑走路灯の更新された視覚データを記録するように構成されている、
請求項5または請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、搭載プロセッサを含み、
前記搭載プロセッサは、
不具合がある前記滑走路灯の現在の状態を、不具合が生じる前の前記滑走路灯の状態と比較し、
前記比較に基づいて、不具合がある前記滑走路灯が修理されたか否かを判定するように構成され、
不具合が生じた前記滑走路灯が修理された場合、前記検出ユニットはさらに、
前記滑走路灯の照明の強度を測定し、かつ、
測定された前記滑走路灯の照明の強度に基づいて、前記滑走路灯が正常に機能しているか否かを判定するように構成されている、
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記カメラは、可視光センサおよび/または赤外線センサを含む、請求項2から請求項8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置の表面には、前記装置にコンポーネントを取り付けるための一以上のインタフェース部品が備えられ、
前記検出ユニットの少なくとも一部分が、一以上の前記インタフェース部品を介して前記装置に着脱可能に装着され、
前記インタフェース部品は、摺動動作によりコンポーネントを前記装置に取り付けることができる一以上のレールを含む、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記装置は、さらに、
使用時に、前記表面において整備作業を実施するように設定された整備ユニットを含み、
前記カメラは、さらに、前記滑走路の上または前記誘導路の上の野生動物の存在を検出するために作動可能であり、
前記整備ユニットは、前記カメラが前記滑走路または前記誘導路上の野生動物の存在を検出した場合に、前記表面付近の野生動物を駆除するように設定される野生動物駆除器を含み、
前記野生動物駆除器は、
レーザー光を発するように作動可能なレーザー源と、
高周波音を発するように作動可能なスピーカーと、
野生動物駆除薬品をスプレーするように作動可能なスプレーノズルと、のうち一以上を含む、
請求項2から請求項10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記駆動ユニットは人間のユーザーまたは機械によって遠隔操作される、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
滑走路および誘導路の状態を監視および維持するためのシステムであって、
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の装置と、
使用時に、有線接続または無線接続を介して、前記装置の通信モジュールへまたは前記通信モジュールから、データを転送するように設定される遠隔サーバと、を含む、システム。
【請求項14】
さらに、ドッキングステーションを含み、
前記ドッキングステーションは、使用時に前記装置を筐体内に収容するように設定され、
前記ドッキングステーションは、前記装置に電力を提供するように作動可能である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の装置を、滑走路または誘導路に配備するステップと、
前記装置の前記検出ユニットを通して滑走路状態データを収集するステップと、
前記検出ユニットから得られた前記表面の位置に関するデータと、前記表面の位置に関する履歴データと、を比較するステップと、
前記表面に亀裂が発生したかどうかを判定するステップと、
を含む、飛行場の滑走路および誘導路の状態を監視する方法。