(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147634
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】流体サンプル分配システムおよび方法における消耗部品
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20241008BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G01N1/00 101K
G01N1/28 V
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024110666
(22)【出願日】2024-07-10
(62)【分割の表示】P 2021560420の分割
【原出願日】2020-04-06
(31)【優先権主張番号】62/830,294
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】521441939
【氏名又は名称】エーエスピー ヘルス インク.
(71)【出願人】
【識別番号】500041019
【氏名又は名称】ノースウェスタン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ハリハラン スブラマニアン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ベルレイエ
(72)【発明者】
【氏名】ミカフ リトウ
(72)【発明者】
【氏名】チェスター ヘンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】レベッカ バーテル
(72)【発明者】
【氏名】ペニー ホー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ スチューデント
(72)【発明者】
【氏名】ベン ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー ホワイト
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ヘニング
(72)【発明者】
【氏名】ボルカ スースーザー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ターナー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数のターゲットの各々に流体サンプルを分配するためのシステム、デバイス、および方法が開示される。
【解決手段】サンプル材料を投入するための入口ポートと、サンプル材料を排出するために入口ポートに流体結合された第1のサンプルノズルおよび第2のサンプルノズルとを含み、管状接合部は、入口ポートを、第1のサンプルノズルで終端する第1の管状流体経路と、第2のサンプルノズルで終端する第2の管状流体経路とに流体結合し、管状接合部の断面積は、第1の管状流体経路および第2の管状流体経路の平均断面積よりも小さく、管状接合部の断面積は、毛細管作用を介して入口ポートから管状接合部にサンプル材料を引き込むように選択される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に同じ容積の液体ベースのサンプル材料を複数のターゲットに分配するためのサ
ンプルディスペンサであって、
前記液体ベースのサンプル材料を受容する入口ポートと、
第1の内容積および第1の内側周囲を有する第1の管状構造であって、
(i)前記第1の管状構造の第1の開口部が、第1のガスノズルと第1のターゲット
との間に配置され、前記第1のガスノズルが、前記第1のターゲットに向けてガスを排出
するように構成され、
(ii)前記第1の内側周囲が、前記第1の管状構造の第2の開口部を介して前記液
体ベースのサンプル材料で前記第1の管状構造を充填するよう毛細管作用を誘発すること
ができるよう選択される、前記第1の管状構造と、
第2の内容積および第2の内側周囲を有する第2の管状構造であって、
(i)前記第2の管状構造の第1の開口部が、第2のガスノズルと第2のターゲット
との間に配置され、前記第2のガスノズルが、前記第2のターゲットに向けてガスを排出
するよう構成され、
(ii)前記第2の内側周囲が、前記第2の管状構造の第2の開口部を介して前記液
体ベースのサンプル材料で前記第2の管状構造を充填するよう毛細管作用を誘発すること
ができるよう選択される、前記第2の管状構造と、
前記入口ポートを前記第1の管状構造および前記第2の管状構造に流体結合する管状接
合部と、を備え、
前記管状接合部の平均断面積は、前記第1の管状構造および前記第2の管状構造の平均
断面積よりも小さく、
前記第1の内容積および前記第2の内容積が、実質的に同じであり、かつ
前記第1の管状構造の前記第2の開口部および前記第2の管状構造の前記第2の開口部
が、前記液体ベースのサンプル材料を受容するための共通のリザーバに機械的に結合され
ている、前記サンプルディスペンサ。
【請求項2】
前記第1および第2の管状構造の前記第2の開口部が、実質的に同じ方向に配向されて
いる、請求項1に記載のサンプルディスペンサ。
【請求項3】
前記第1および第2の管状構造の前記第1の開口部の間の角度が、90度~180度で
ある、請求項1に記載のサンプルディスペンサ。
【請求項4】
前記第1のガスノズルおよび前記第1の管状構造の前記第1の開口部が、前記第1のガ
スノズルがガスを排出するとき、前記第1の管状構造内の前記液体ベースのサンプル材料
が実質的に全て空けられ前記第1のターゲットに向かうように配置される、請求項1に記
載のサンプルディスペンサ。
【請求項5】
前記第2のガスノズルおよび前記第2の管状構造の前記第1の開口部が、前記第2のガ
スノズルがガスを排出するとき、前記第2の管状構造内の前記液体ベースのサンプル材料
が実質的に全て空けられ前記第2のターゲットに向かうように配置される、請求項1に記
載のサンプルディスペンサ。
【請求項6】
前記第1の管状構造の断面形状が、円形、楕円形、および多角形のうちの1つである、
請求項1に記載のサンプルディスペンサ。
【請求項7】
前記第1および第2の管状構造が、互いに平行である、請求項1に記載のサンプルディ
スペンサ。
【請求項8】
サンプル分析用のシステムであって、
第1のターゲットに向けてガスを排出するように構成された第1のガスノズルと、
第2のターゲットに向けてガスを排出するように構成された第2のガスノズルと、
前記第1および第2のターゲットを保持するように配置されたターゲットホルダと、
前記第1および第2のターゲットに実質的に同じ容積の液体ベースのサンプル材料を分
配するサンプルディスペンサと、を備え、前記サンプルディスペンサが、
液体ベースのサンプル材料を受容する入口ポートと、
第1の内容積および第1の内側周囲を有する第1の管状構造であって、
(i)前記第1の管状構造の第1の開口部が、前記第1のガスノズルと前記第1の
ターゲットとの間に配置され、
(ii)前記第1の内側周囲が、前記第1の管状構造の第2の開口部を介して前記
液体ベースのサンプル材料で前記第1の管状構造を充填するように毛細管作用を誘発する
ことができるように選択される、前記第1の管状構造と、
第2の内容積および第2の内側周囲を有する第2の管状構造であって、
(i)前記第2の管状構造の第1の開口部が、前記第2のガスノズルと前記第2の
ターゲットとの間に配置され、
(ii)前記第2の内側周囲が、前記第2の管状構造の第2の開口部を介して前記
液体ベースのサンプル材料で前記第2の管状構造を充填するよう毛細管作用を誘発するこ
とができるよう選択される、前記第2の管状構造と、
前記入口ポートを前記第1の管状構造および前記第2の管状構造に流体結合する管状
接合部と、を備え、
前記管状接合部の平均断面積は、前記第1の管状構造および前記第2の管状構造の平
均断面積よりも小さく、
前記第1の内容積および前記第2の内容積が、実質的に同じであり、かつ
前記第1の管状構造の前記第2の開口部および前記第2の管状構造の前記第2の開口
部が、前記液体ベースのサンプル材料を受容するための共通のリザーバに機械的に結合さ
れている、前記システム。
【請求項9】
前記第1および第2のターゲット上で前記サンプルディスペンサを保持するように配置
されたサンプルディスペンサホルダをさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記サンプルディスペンサが、交換可能である、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1および第2の管状構造の前記第2の開口部が、実質的に同じ方向に配向されて
いる、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1および第2の管状構造の前記第1の開口部の間の鋭角が、90度~180度で
ある、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のガスノズルおよび前記第1の管状構造の前記第1の開口部が、前記第1のガ
スノズルがガスを排出するとき、前記第1の管状構造内の前記液体ベースのサンプル材料
が、実質的に全て空けられ前記第1のターゲットに向かうように配置される、請求項8に
記載のシステム。
【請求項14】
前記第2のガスノズルおよび前記第2の管状構造の前記第1の開口部が、前記第2のガ
スノズルがガスを排出するとき、前記第2の管状構造内の前記液体ベースのサンプル材料
が、実質的に全て空けられ前記第2のターゲットに向かうように配置される、請求項8に
記載のシステム。
【請求項15】
前記第1の管状構造の断面形状が、円形、楕円形、または多角形のうちの1つである、
請求項8に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1および第2の管状構造が、互いに平行である、請求項8に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月5日に出願された米国仮特許出願第62/830,294号
の優先権を主張するものであり、その全内容が参照により本明細書に組み込まれ、それに
依拠する。
【0002】
本開示は、所定の量の流体サンプルを分配するためのシステム、デバイス、および方法
における消耗部品に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞学技術は低侵襲性に発展し、医療の実践に革命をもたらした。不快感をほとんど伴
わずに高品質のサンプルを迅速に取得することができるため、一般的にこのような処置は
、より許容可能になっている。より最近では、サンプル収集技術は、最終的にはより良い
患者ケアを提供しながら、検査室の慣行を改善するように設計された消耗部品の使用を採
用している。消耗部品を使用することで、相互汚染を低減し、信頼性を改善する。
【発明の概要】
【0004】
複数のターゲットの各々に実質的に同量の流体サンプルを分配するためのシステム、デ
バイス、および方法における消耗部品が開示される。1つの例示的な実施形態では、実質
的に同じ容積の液体ベースのサンプル材料を複数のターゲットに分配するためのサンプル
ディスペンサであって、ディスペンサは、第1の内容積および第1の内側周囲を有する第
1の管状構造であって、(i)第1の管状構造の第1の開口部は、第1のガスノズルと第
1のターゲットとの間に配置され、第1のガスノズルは、第1のターゲットに向けてガス
を排出するように構成され、(ii)第1の周囲は、第1の管状構造の第2の開口部を介
して液体ベースのサンプル材料で第1の管状構造を充填するよう毛細管作用を誘発するこ
とができるよう選択される、第1の管状構造と、第2の内容積および第2の内側周囲を有
する第2の管状構造であって、(i)第2の管状構造の第1の開口部は、第2のガスノズ
ルと第2のターゲットとの間に配置され、第2のガスノズルは、第2のターゲットに向け
てガスを排出するよう構成され、(ii)第2の周囲は、第2の管状構造の第2の開口部
を介して液体ベースのサンプル材料で第2の管状構造を充填するよう毛細管作用を誘発す
ることができるよう選択される、第2の管状構造と、を備え、第1の内容積および第2の
内容積は実質的に同じであり、第1の管状構造の第2の開口部は第2の管状構造の第2の
開口部に近接している、ディスペンサ。
【0005】
別の例示的な実施形態では、サンプル分析用のシステムであって、第1のターゲットに
向けてガスを排出するように構成された第1のガスノズルと、第2のターゲットに向けて
ガスを排出するように構成された第2のガスノズルと、第1および第2のターゲットを保
持するように配置されたターゲットホルダと、複数のターゲットに実質的に同じ容積の液
体ベースのサンプル材料を分配するサンプルディスペンサと、を備え、ディスペンサは、
第1の内容積および第1の内側周囲を有する第1の管状構造であって、(i)第1の管状
構造の第1の開口部は、第1のガスノズルと第1のターゲットとの間に配置され、(ii
)第1の周囲は、第1の管状構造の第2の開口部を介して液体ベースのサンプル材料で第
1の管状構造を充填するよう毛細管作用を誘発することができるよう選択される、第1の
管状構造と、第2の内容積および第2の内側周囲を有する第2の管状構造であって、(i
)第2の管状構造の第1の開口部は、第2のガスノズルと第2のターゲットとの間に配置
され、(ii)第2の周囲は、第2の管状構造の第2の開口部を介して液体ベースのサン
プル材料で第2の管状構造を充填するよう毛細管作用を誘発することができるよう選択さ
れる、第2の管状構造と、を備え、第1の内容積および第2の内容積は実質的に同じであ
り、第1の管状構造の第2の開口部は第2の管状構造の第2の開口部に近接している、シ
ステム。
【0006】
さらに別の例示的な実施形態では、流体サンプルを分配するための装置であって、サン
プル材料を投入するための入口ポートと、サンプル材料を排出するために入口ポートに流
体結合された第1のサンプルノズルおよび第2のサンプルノズルとを備え、管状接合部は
、入口ポートを、第1のサンプルノズルで終端する第1の管状流体経路と、第2のサンプ
ルノズルで終端する第2の管状流体経路とに流体結合し、管状接合部の断面積は、第1の
管状流体経路および第2の管状流体経路の平均断面積よりも小さく、管状接合部の断面積
は、毛細管作用を介して入口ポートから管状接合部にサンプル材料を引き込むように選択
される、装置。
【0007】
さらなる別の例示的な実施形態では、サンプル分析システムにおけるターゲットへのサ
ンプル材料の堆積を改善するためのフードであって、フードは、上部パネル、前面パネル
、左パネル、右パネル、および背面パネルを備える本体を備え、上部パネルは、サンプル
材料を受容するように構成された第1の開口部を備え、上部パネルに平行で背面パネルに
垂直な、背面パネルに隣接して位置決めされた下部パネルであって、下部パネルは、ター
ゲットへのサンプル材料の堆積後の染料または着色剤を受容するための第2の開口部を備
え、本体および下部パネルを支持する底リムであって、底リムは、堆積前にターゲットに
付着するように構成されている、フード。
【0008】
上述のおよび他の態様、ならびに、その実装形態は、図面、明細書、および特許請求の
範囲においてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【
図3】
図1Aのサンプルディスペンサの別の例を示す。
【0013】
【
図4】
図1Aのサンプルディスペンサのさらに別の例を示す。
【0014】
【0015】
【
図6A-B】サンプルディスペンサの別の例を示す。
【0016】
【
図7A-B】サンプルディスペンサのさらに別の例を示す。
【0017】
【
図8】
図6Aおよび
図6Bに示されるサンプルディスペンサを使用してサンプルを噴霧する例を示す。
【0018】
【
図9A】サンプルディスペンサ上の入口ポートの例を示す。
【0019】
【0020】
【
図10A】サンプルディスペンサ上の入口ポートの別の例を示す。
【0021】
【0022】
【
図11】サンプルディスペンサの入口ポートとサンプルノズルを接続する管状構造の例を示す。
【0023】
【
図12】サンプルディスペンサの入口ポートとサンプルノズルを接続する管状構造の別の例を示す。
【0024】
【
図13A-B】サンプル分析システムの有効性を改善するフードの例を示す。
【0025】
【0026】
【
図15A】サンプル分析システムの一部に対するサンプルディスペンサとフードの相対位置の例を示す。
【0027】
【
図15B】サンプル分析システムに接続されたフードを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
生物学的組織サンプルは、臨床、診断、および研究用途のための顕微鏡的および分子的
診断分析のために患者から収集される。これらのサンプルは、様々な研究所、診療所、お
よび他の医療または医学研究の場で収集される。例えば、細胞/組織は、生検用のブラシ
、綿棒、または切削ツールなどの収集デバイスを使用して患者から収集され、サンプル容
器内の液体に入れられ得る。スクリーニングおよび/または診断用の顕微鏡スライドの準
備が整うと、フィルタを通してサンプル液体を真空によって引き込む。顕微鏡スライドを
フィルタに押し付けて、細胞をスライドに移して、観察し、分析する。代替的に、サンプ
ル液体は、ピペットまたは他の吸引タイプのデバイスを介して、サンプルバイアルからガ
ラススライドに移されてもよい。顕微鏡下で細胞を観察するための他の非液体ベースのア
プローチ法は、収集デバイスを用いてスライドの表面に細胞または組織を直接塗り付ける
ことを含む。
【0029】
特定の状況では、実質的に同じように複数のスライドを準備することが望ましい場合が
ある。例えば、同じようにして2つ以上のスライドを準備することにより、ユーザは分析
またはテストを繰り返して、結果の信頼性を改善することができる。別の例では、準備さ
れたスライドの1つを制御スライドとして使用することができる。さらに別の例では、ス
ライドは、同じ処理または異なる処理を経た後、異なる時間に処理することができる。さ
らに別の例では、スライドの1つに従来の組織学的染色を行うことができ、他のスライド
に分子的染色処理を行うことができる。さらに別の例では、スライドの1つは、サンプル
の妥当性をすばやく確認するために、オンサイトで調べることができ、他のスライドは、
試料の詳細な細胞学的分析のために、実験室で処理することができる。上記の方法のいず
れかを使用して複数のスライドを準備することは、典型的には、相互汚染を低減し、信頼
性を改善するために消耗部品を使用する。
【0030】
様々な実施形態において、スライドなどの複数のターゲットの各々に実質的に同じ量の
流体サンプルを自動的かつ同時に堆積することができるシステム、デバイス、および方法
のための消耗部品が説明される。消耗部品は、流体サンプルをターゲットに堆積させるこ
とを可能にする試料投入ポート(SIP)と、ターゲット領域内に堆積されるべきサンプ
ルを含み、エアロゾル化されたサンプルの意図しない分散を排除するフードと、を含む。
【0031】
サンプル分析システムの例
【0032】
図1Aは、サンプル分析システム100の例を示す。そこに示されるように、サンプル
分析システム100は、2つのターゲット106および108を所定の位置に保持するタ
ーゲットホルダ110を含む。
図1Aでは、例えば、ターゲットホルダ110は、ターゲ
ット106および108が一旦領域内に置かれると横方向に移動することを防止する陥凹
した領域を含む。ターゲットは、例えば、ガラススライド、カバースリップ、プラスチッ
ク基板、帯電した細胞学的スライド、コーティングされた細胞学的スライドであり得る。
いくつかの実施形態では、サンプルホルダ110は、2つ以上の異なるタイプのターゲッ
トを保持することができる。サンプル分析システム100は、複数のガスノズル102お
よび104を含む。これらのガスノズルは、1つ以上の加圧ガス源に接続されており、ノ
ズルが作動されると、ガスがノズルからターゲット106および108に向かって排出さ
れる。ガスは、例えば、圧縮空気、窒素、二酸化炭素、亜酸化窒素、ヘリウム、アルゴン
などであり得る。
【0033】
さらに、サンプル分析システム100は、サンプルディスペンサ120(試料投入ポー
トまたはSIPとも称される)を含む。サンプルディスペンサ120は、サンプルリザー
バ122(入口ポートまたはウェルとも称される)と、それぞれサンプルノズル134お
よび136で終端する少なくとも2つの流体経路124および126とを含む。
図1Aに
示されるように、サンプルリザーバ122は、それぞれ流体経路124および126を介
して、両方のサンプルノズル134および136に流体結合されている。
【0034】
さらに、サンプル分析システム100は、サンプルディスペンサホルダ112を含む。
サンプルディスペンサホルダ112は、サンプルノズル134および136がそれぞれガ
スノズル102および104とターゲット106および108との間に位置決めされるよ
うにサンプルディスペンサ120を保持するように配置されている。特に、サンプルノズ
ル134および136は、それぞれガスノズル102および104によって排出されるガ
スの経路内にあるように位置決めされる。いくつかの実施形態では、サンプルディスペン
サ120は、サンプルディスペンサホルダ112によってサンプル分析システム100に
固定されてもよい。他の実施形態では、サンプルディスペンサ120は、サンプル分析シ
ステム100から取り外し可能であり得、サンプルディスペンサホルダ112は、サンプ
ルディスペンサ120がサンプル分析システム100に挿入された後、サンプルディスペ
ンサ120をガスノズル102/104および/またはターゲット106/108に対し
て受動的および/または能動的に整合させ得る。サンプルディスペンサ120は、典型的
には、1回(または所定の回数)使用された後に廃棄される消耗部品である。
【0035】
動作中、ユーザは、流体サンプルをサンプルディスペンサ120のサンプルリザーバ1
22に送達してもよい。例えば、ユーザは、注射器を使用して、流体サンプルを収集し、
収集された流体サンプルをサンプルリザーバ122内に排出してもよい。別の例では、サ
ンプル分析システム100は、(例えば、サンプルディスペンサ120の存在を検出した
後)、流体サンプルをサンプルリザーバ122に自動的に送達してもよい。さらに別の例
では、ユーザは、流体サンプルがサンプルリザーバ122に送られるように、流体サンプ
ルをサンプル分析システム100の別の部分に送達してもよい。
【0036】
流体サンプルが、例えば、毛細管作用によってサンプルリザーバ122に送達された後
、流体サンプルは、サンプルノズル134および136に輸送される。いくつかの実施形
態では、サンプルディスペンサ120は、ガスノズル102および104がそれぞれ作動
されない限り、流体サンプルが流体経路124および126を通って流れないように構成
される。
【0037】
流体サンプルがサンプルリザーバ122に送達された後、ガスノズル102および10
4は、ユーザによって(および/またはサンプル分析システム100によって自動的に)
作動され得る。ノズルからのガスにより、流体サンプルはエアロゾル化され、ターゲット
106および108の表面に堆積される。いくつかの実施形態では、サンプルディスペン
サ120は、ガスノズル102および104がそれぞれ作動された場合に、所定量の流体
サンプルが各サンプルノズル134および136から排出されるように構成され得る。有
利には、これにより、サンプル分析システム100は、所定量の流体サンプルを各ターゲ
ットに一貫して堆積することができる。いくつかの実施形態では、サンプルディスペンサ
120は、ガスノズル102/104が作動された場合に、実質的に同じ量の流体サンプ
ルが各サンプルノズル134/136から排出されるように構成されてもよい。これによ
り、サンプル分析システム100は、同じ所定量の流体サンプルを各ターゲットに一貫し
て堆積することができる。いくつかの実施形態では、各サンプルノズルから排出される流
体サンプルの量は、少なくとも部分的に、ガスノズルの作動持続時間および/またはノズ
ルでのガス圧力に基づくことができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、流体サンプルがサンプルリザーバ122に送達された後、サ
ンプル分析システム100は、サンプルの容積を拡大するためにいくらかの流体(または
緩衝液)をサンプルリザーバ122に送達してもよい。そのような流体は、例えば、蒸留
水、生理食塩水、異なる濃度のエタノール、緩衝液、等張液などのうちの少なくとも1つ
の組み合わせを含み得る。
【0039】
図1Aでは、サンプル分析システム100は、2つのターゲットを保持するターゲット
ホルダ、2つのサンプルノズルを有するサンプルディスペンサ120、および2つのガス
ノズルを含む。いくつかの実施形態では、サンプル分析システム100は、追加のターゲ
ットホルダおよび/または3つ以上のターゲットを保持するターゲットホルダを含み得る
。これらの実施形態では、サンプルディスペンサ120は、サンプルノズルの数がシステ
ム分析システム100によって保持され得るサンプルの数と一致するように、追加のサン
プルノズル(および対応する数の追加のガスノズル)を含み得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、各ターゲットは、2つ以上のサンプルノズルから分配された
サンプルを受容することができる。これらの実施形態では、各ターゲットは、その表面に
分配された2つ以上のサンプルのパッチを有し得る。
【0041】
図1Bは、サンプルディスペンサホルダ112がサンプル分析システムに統合され、サ
ンプルノズル(例えば、それぞれエアノズル104およびサンプルノズル136)に対す
るエアノズルの正しい整合および有効性を確実にする、サンプル分析システム100の別
の例を示す。
【0042】
消耗試料投入ポート(SIP)の例
【0043】
図2~
図12は、試料投入ポート(SIP)またはサンプルディスペンサ(例えば、図
1Aおよび
図1Bのサンプルディスペンサ120)の様々な実施形態および特徴を示す。
異なる実施形態として示され、説明されているが、任意の実施形態で説明される特徴は、
その特定の実施形態に限定されず、別の実施形態で説明されるサンプルディスペンサと組
み合わせることができる。
【0044】
図2は、
図1Aのサンプルディスペンサ120およびガスノズル102および104の
例を示す。
図2に示されるように、サンプルディスペンサ220は、第1のサンプルノズ
ル234で終端する第1の管状構造224(例えば、
図1Aの流体経路124)、第2の
サンプルノズル236で終端する第2の管状構造226(例えば、
図1Aの流体経路12
6)、およびサンプルリザーバ222(例えば、
図1Aおよび
図1Bの入口ポート122
)を含む。サンプルディスペンサ220は、管状構造224をサンプルリザーバ222に
流体結合する第1のリストリクタ(これも管状構造)225をさらに含む。同様に、サン
プルディスペンサ220は、管状構造226をサンプルリザーバ222に流体結合する第
2のリストリクタ227(これも管状構造)を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、管状構造224の断面積は、リストリクタ225の断面積よ
りも大きく、管状構造226の断面積は、リストリクタ227の断面積よりも大きい。い
くつかの実施形態では、管状構造224/226およびリストリクタ226/227は、
以下の断面形状のうちの少なくとも1つを有し得る:円形、楕円形、長方形、および多角
形。いくつかの実施形態では、サンプルリザーバ222は、5μL(マイクロリットル)
~150μLの容積を有し得る。いくつかの実施形態では、サンプルリザーバ222は、
2ミリリットル未満の容積を有し得る。
【0046】
図2に示されるように、管状構造224、管状構造226、リストリクタ225、およ
びリストリクタ227は、それらの長さ全体にわたって同じ断面形状および面積を有する
ことが示されている。しかしながら、いくつかの実施形態では、管状構造224、管状構
造226、リストリクタ225、およびリストリクタ227のうちの少なくとも1つは、
(例えば、
図12に示される例に記載されるように)その長さにわたって変化する断面を
有し得る。これらの実施形態では、管状構造224の平均断面積は、リストリクタ225
の平均断面積よりも大きく、管状構造226の平均断面積は、リストリクタ227の平均
断面積よりも大きい。
【0047】
いくつかの実施形態では、リストリクタ225および227は、各々、約0.1mm~
約2mmの長さであり得、例えば、0.1mmの増分を有し得る。いくつかの実施形態で
は、管状構造224と226との間の距離は、約1mm~約2mmであり得、例えば、0
.1mmの増分を有し得る。いくつかの実施形態では、リストリクタ225および227
の断面は、約0.5mm~約1.5mmの直径を有し、例えば、0.1mmの増分を有し
得る円であり得る。いくつかの実施形態では、リストリクタ225および227の断面は
、0.8mm未満の直径を有する円であり得る。いくつかの実施形態では、管状構造22
4および226は、各々約10mmの長さであり得る。いくつかの実施形態では、管状構
造224および226の断面は、直径0.8mmの円であり得る。
【0048】
図2に示されるように、管状構造224および226は、それぞれ、サンプルディスペ
ンサ220から突出するサンプルノズル234および236で終端する。サンプルノズル
の突出部により、ガスノズルを管状構造224および226の外部開口部に近接させるこ
とができる。さらに、突出部により、空気が他の表面によって乱されるのではなく、スム
ーズな気流を空気流内のサンプルに直接適用することができる。したがって、管出口に対
するエアノズルの場所および安定性は、生成される噴霧パターンに影響を及ぼし、空気が
乱されることなく管の端部を通って直接流れることができるようにノズルを位置決めする
ことができる。いくつかの実施形態では、突出部の長さは、約1mmであり得る。いくつ
かの実施形態では、サンプルノズルの長さは、0.1mm~1mmであり得、例えば、0
.1mmの増分を有し得る。いくつかの実施形態では、サンプルノズルの長さは、1mm
~10mmであり得、例えば、1mmの増分を有し得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、管状構造224、管状構造226、リストリクタ225、お
よび/またはリストリクタ227の内面は、疎水性材料、親水性材料、および/または既
知の親水性/疎水性を有する材料によりコーティング(および/または作製)され得る。
例えば、材料は、内管を通って流れる流体の抵抗を制限するためにテフロンまたは同様の
ものであり得る。
【0050】
図2に示されるように、サンプルリザーバ222は、円錐形(またはピラミッド形)の
形状を有し、リザーバの狭い円錐形の端部でリストリクタ225および227に接続され
得る。他の実施形態では、サンプルリザーバ222は、プリズム形または円筒形の形状を
有し得る。これらの実施形態では、サンプルリザーバ222は、プリズム形または円筒形
のサンプルリザーバ222上の穴を介してリストリクタ225および227に接続され得
る。
【0051】
動作中、ユーザは、収集された流体サンプルをサンプルリザーバ222に送達してもよ
い。例えば、ユーザは、注射器を使用して、流体サンプルを収集し、収集された流体サン
プルをサンプルリザーバ222内に排出することができる。流体サンプルがサンプルリザ
ーバ222に送達された後、毛細管作用が起こり、流体サンプルをリストリクタ225お
よび227のエッジに輸送するが、流体サンプルは管状構造224および226内に流れ
込まない。
【0052】
リストリクタ225および227の比較的小さい断面積は、それらを通って流体を輸送
するのに必要な力の量を増加させる。したがって、リストリクタ225および227は、
重力によって流体サンプルに作用する力の少なくとも一部を打ち消すことができる。リス
トリクタ225および227がないと、重力により、流体サンプルは管状構造224およ
び226を通過し、流体サンプルがサンプルリザーバ222に送達されるときにサンプル
ディスペンサ220から排出されることになる。しかしながら、リストリクタ225およ
び227があると、流体サンプルは、リストリクタ225および227のエッジに輸送さ
れるが、管状構造224および225に流入せず、それぞれサンプルノズル234および
236から流出しない(ガスノズル202および204がそれぞれ作動されない限り)。
【0053】
いくつかの実施形態では、流体サンプルがサンプルリザーバ222に送達され、流体サ
ンプルが毛細管作用によってリストリクタ225および227のエッジに輸送される前、
最中、または後に、ガスノズル202および204は、ユーザによって(および/または
サンプル分析システムによって自動的に)作動され得る。ノズルからのガスにより、流体
サンプルは最初に管状構造224および226に入り、次にサンプルノズル234および
236を介してガス流に出て、管状構造224および226内の流体サンプルが枯渇する
までターゲットに向けてエアロゾル化される。特に、ノズルからのガスは、サンプルノズ
ル234および236に負圧を加えて、流体サンプルを管状構造224および226から
排出させ得る。
【0054】
続いて、排出された流体サンプルは、ガスノズルによってターゲットの表面(例えば、
スライド)にエアロゾル化される。いくつかの実施形態では、ガスノズルは、約0.1秒
~0.5秒、例えば、0.1秒の増分で、ノズルごとに最大200kPa圧力の正圧で作
動され得る。いくつかの実施形態では、ガスノズルは、10kPa~190kPaの範囲
の圧力で作動されてもよい。いくつかの実施形態では、ガスノズルは、1mmの開口直径
を有し得る。いくつかの実施形態では、ガスノズルは、0.2mm~2.0mmの、例え
ば、0.1mmの増分で、開口直径を有し得る。
【0055】
有利には、ターゲットの表面に堆積される流体サンプルの量は、サンプルノズル234
および236に適用されるガスの持続時間および圧力に基づく。
【0056】
さらに、管状構造224および226ならびに/またはリストリクタ225および22
7の相対容積は、サンプル堆積の相対速度に影響を及ぼし得る。したがって、システムが
実質的に同量のサンプルの堆積を必要とする場合、リストリクタ225/227および管
状構造224/226は、入口ポート222に関して対称であるように設計され得る。し
たがって、いくつかの実施形態では、ターゲット上に堆積されたサンプルの容積は、ガス
圧、ノズル作動の持続時間、および管状構造の寸法に依存し得る。
【0057】
図2に示される例では、管状構造224および226、ならびにリストリクタ225お
よび227は、真っ直ぐであるように示されている。いくつかの実施形態では、管状構造
224、管状構造226、リストリクタ225、および/またはリストリクタ227の少
なくとも一部は、それぞれ、サンプルノズル234および236に向かっておよび/また
は離れて湾曲してもよい。
【0058】
図3は、サンプルディスペンサの別の例を示す。サンプルディスペンサ320は、
図3
の第1および第2の管状構造324および326が互いに対して鈍角または鋭角(シータ
)にあることを除いて、
図2のサンプルディスペンサ220と同様である。これらの実施
形態では、ノズルからの噴霧パターンは、いくつかの用途にとって好ましい場合がある。
いくつかの実施形態では、
図3の角度シータは、180°~30°の範囲であり得る。い
くつかの実施形態では、
図3の角度シータは、第1および第2の管状構造324および3
26の両方が実質的に同じ方向(すなわち、ターゲットに向かって)および/または平行
に配向されるように、0度であり得る。さらに、または代替的に、第1および第2の管状
構造324および326は、ターゲットに垂直な平面に対して角度付けられてもよい。
【0059】
図4は、サンプルディスペンサのさらに別の例を示す。サンプルディスペンサ420は
、サンプル分析システムのエアノズル402および404とインターフェースするための
エアノズルインターフェース422および424をサンプルディスペンサ420が含むこ
とを除いて、
図1Aのサンプルディスペンサ120と同様である。エアノズルインターフ
ェース422および424は、管状構造424および426に対してそれぞれ位置的およ
び角度的に固定されている。例えば、エアノズルインターフェース422および424な
らびに管状構造424および426は、同じ剛性構造の一部であり得る(
図4には示され
ていない)。
【0060】
有利には、管状構造424および426に対して位置的および角度的に固定されたエア
ノズルインターフェース422および424は、それぞれ、エアノズル402および40
4と管状構造424および426との間の不整合から生じる堆積変動を低減し得る。例え
ば、エアノズルインターフェース422および424は、エアノズル402および404
によって排出されたガスを、所定の位置および角度で正確にサンプルノズル434および
436と交差するように案内する。エアノズル402および404と管状構造424およ
び426との間の不整合は、例えば、サンプルディスペンサホルダ(例えば、
図1Aおよ
び
図1Bのサンプルディスペンサホルダ112)および/またはサンプルディスペンサ(
例えば、120、220、320、または420)の不正確な製造から生じ得る。場合に
よっては、不整合は、サンプルディスペンサホルダに対するノズルの不正確な場所および
/または位置決めからも生じ得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、
図4に示されるように、エアノズルインターフェース422
および/または424は、サンプルノズル434および436よりもエアノズルに面する
端部に(例えば、円錐形またはピラミッド状の開口部を有することによって)より広い開
口部を有してもよい。有利には、より広い開口部は、エアノズルインターフェース422
/424が、エアノズル402/404とサンプルディスペンサ420との間のより大き
な不整合を補償することを可能にし得る。
【0062】
図5Aおよび
図5Bは、サンプルディスペンサのさらに別の例を示す。
図5Aおよび図
5Bに示されるサンプルディスペンサ520は、
図1Bのサンプルディスペンサ120と
同様である。入口ポート522は、それぞれ流体経路524および526を介してサンプ
ルノズル534および536に流体結合されている。
図5Bに示されるように、サンプル
ディスペンサ520は、サンプルディスペンサの入口ポートおよびサンプルノズルとは反
対側の端部にくぼみをさらに含み、これにより、ユーザは、サンプルディスペンサをサン
プル分析システム(
図5Aおよび
図5Bには示されていない)に正しく置くためにサンプ
ルディスペンサをしっかりと握ることができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、くぼみは、通常片手でSIPを握り、例えば、穿刺吸引処理
から針を使用してサンプル材料を入口ポート522に堆積するユーザまたは技術者の指を
保護するためのカバー(
図5Aおよび
図5Bには示されていない)を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、サンプルディスペンサ520のサンプルノズル534および
536は、エアロゾル化されたサンプルが反対方向に出て、次にターゲット(例えば、図
5Aおよび
図5Bに示されていないスライド)に堆積されるように位置決めされる。入口
ポート522は、
図5Aおよび
図5Bに示されるように、狭い開口部であるように構成さ
れ得、サンプルノズル534および536は、単層のターゲット上に円形にサンプルを堆
積するように構成され得る。すなわち、サンプルノズルは、サンプルがターゲット上に堆
積された場合に、重なり合うサンプルセルが最小限にされ、好ましくは排除されることを
確実にするように構成され得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、入口ポート522は、緩衝液を試料材料に受動的に加えるこ
とを可能にするノッチ(
図5Aおよび
図5Bには明示的に示されていない)を含み得る。
緩衝液を加えることにより、サンプル材料をターゲット上に均一に分配させることが有利
に可能になる。一例では、緩衝液はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)であり、これは、リ
ン酸水素二ナトリウム、塩化ナトリウム、ならびに、配合によっては、塩化カリウムおよ
びリン酸二水素カリウムを含む水性塩溶液である。
【0066】
いくつかの実施形態において、緩衝液は、以下のうちの1つ以上として選択され得る:
TAPS([トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパンスルホン酸)、ビシン
(2-(ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)酢酸)、トリス(トリス(ヒドロキシメ
チル)アミノメタン)または(2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3
-ジオール)、トリシン(N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン)、TA
PSO(3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパ
ンスルホン酸)、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンス
ルホン酸)、TES(2-[[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)プロパ
ン-2-イル]アミノ]エタンスルホン酸)、MOPS(3-(N-モルホリノ)プロパ
ンスルホン酸)、PIPES(ピペラジン-N、N’-ビス(2-エタンスルホン酸))
、カコジル酸(ジメチルヒ素酸)、およびMES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホ
ン酸)。
【0067】
いくつかの実施形態では、緩衝液と試料材料は、入口ポート522に送達されるときに
能動的に混合され得る。一例では、試料材料と緩衝液を能動的に合するために、マイクロ
スケールファンが入口ポートに隣接して設置され得る。別の例では、音響または超音波混
合を使用して、能動的な混合を実行し得る。さらに別の例では、流れの脈動を使用して、
能動的な混合を実行し得る。さらに別の例では、混合操作を実行するために、圧力を上げ
て緩衝液が入口ポートに加えられ得る。
【0068】
図6Aおよび
図6Bは、サンプルディスペンサのさらに別の実施形態を示す。サンプル
ディスペンサ620は、
図5に示される試料投入ポート(SIP)と同様であるが、サン
プルノズル634および636は、互いに平行になるように構成されている。
図5A/図
5Bおよび
図6A/
図6Bに示される両方のSIPは、ガスノズルが作動されたとき、サ
ンプル材料を順方向に(サンプル分析システムにおけるSIPの配置に対して)排出する
ように構成されている。しかしながら、
図6Aおよび
図6Bに示されるように、サンプル
ノズルのこの構成は、
図5に示すSIPによって生成されたターゲット上の円形の堆積フ
ットプリントと比較して、ターゲット上に楕円形の堆積フットプリント(
図8の文脈でさ
らに説明される)を結果として生じる。
【0069】
図6Aおよび
図6Bに示される実施形態では、入口ポート622は、SIP620内に
埋め込まれた流体経路によってサンプルノズル634および636に流体結合されている
。一例では、埋め込まれた流体経路は、直線でもあってもよい。別の例では、埋め込まれ
た流体経路は、流体経路、および入口ポート622とサンプルノズル634および636
との間でサンプル材料が横断する距離を最小限にするように湾曲されていてもよい。
【0070】
図7Aおよび
図7Bは、SIPのさらに別の実施形態を示す。試料投入ポート720は
、ガスノズルが作動されたとき、サンプルノズル734および736がサンプル材料を逆
方向に(サンプル分析システムにおけるSIPの配置に対して)排出するように構成され
ていることを除いて、
図6に示されるサンプルディスペンサ620と同様である。
図6A
および
図6Bに示される実施形態と同様に、平行なサンプルノズルにより、ガスノズルが
作動されると、ターゲット上に楕円形の堆積フットプリントが結果として生じる。
【0071】
開示された技術の実施形態は、多数のサンプルノズル(例えば、
図5~
図7のサンプル
ノズル534/536、634/636、および734/736)を同時に使用し、これ
により、多数のターゲット上に一貫した堆積を有利に行うことができる。一例では、
図5
Aおよび
図5Bに示されるSIP(ターゲット上に円形のフットプリントを堆積する反対
方向に面しているサンプルノズルを含む)を使用すると、細胞の50%~70%がスライ
ド上に堆積されることになるが、ターゲット上に楕円形のフットプリントを堆積するよう
に構成された平行なノズルを含む
図6A/
図6Bまたは
図7A/
図7Bの構成を使用する
と、ターゲット上に堆積される細胞の量を増加させ、80%~95%に増加させ、それに
より細胞の喪失が低減される。
【0072】
いくつかの実施形態では、サンプルディスペンサは、第2のターゲットと比較して、第
1のターゲット上に等しくない量のサンプル材料を堆積させるように構成され得る。一例
では、これは、2つのガスノズルで等しくないガス圧力を使用することによって達成され
てもよい。別の例では、これは、第1のガスノズルまたは第1のサンプルノズルを、それ
ぞれ第2のガスノズルまたは第2のサンプルノズルと比較して異なるサイズまたは形状に
することによって達成されてもよい。さらに別の例では、第2の流体経路と比較して、第
1の流体経路に異なる材料コーティングを使用してもよい。さらに別の例では、第1の流
体経路の直径または長さが、第2の流体経路のものとは異なっていてもよい。さらに別の
例では、ブロッカー材料を使用して、一方のターゲットに、他のターゲットと比較して、
より多くの量のサンプル材料を堆積させることを可能にしてもよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、サンプル材料は、穿刺吸引(FNA)に使用され、患者から
収集されたばかりで、検査および/または調査のためにターゲット(スライドなど)に分
配する準備ができている細胞を含む中空針を使用して入口ポート(例えば、それぞれ
図5
~
図7の522、622、または722)に加えられてもよい。他の実施形態では、サン
プル材料を緩衝液と事前に混合してもよく、混合された流体サンプルを、ターゲット上に
分配するために入口ポートに加えてもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、サンプルディスペンサ(またはサンプル材料と接触している
サンプルディスペンサの一部)は、表面エネルギーが低い材料を使用して成形されてもよ
い。材料の表面エネルギーが高い場合、液体は材料の表面全体に広がるが、表面エネルギ
ーが低い材料を使用すると、液体は確実に集められる。後者は、有利には、より多くのサ
ンプル材料(または適切な場合、サンプル材料と緩衝液の混合物)が、流体経路または入
口ポートに留まる代わりに、サンプルノズルを通して排出されることを確実にする。一例
では、作成に使用される材料は、以下に示す表(これは、ミリニュートン/メートル(m
N/m)で表面エネルギーも提供する)から選択されてもよい。
【表1】
【0075】
いくつかの実施形態では、
図5~
図7に示されるSIPは、エアノズルをさらに含むこ
とができる。つまり、消耗品のSIPには、サンプルノズルとエアノズルの両方を含める
ことができ、これらは、製造中に最適に整合され、エアノズル(サンプル分析システムの
一部である圧力源に接続され得る)から排出されたガスが、サンプルノズルを通して流体
経路からすべてのサンプル材料を排出させることを確実にし得る。
【0076】
図8は、
図6Aおよび
図6Bに示されるサンプルディスペンサを使用してサンプルを噴
霧する例を示す。
図8に示されるように、サンプラーディスペンサ820は、入口ポート
822が、サンプルディスペンサの構造内に埋め込まれた湾曲した流体経路824および
826を介して、それぞれサンプルノズル834および836に流体結合されることを含
む。前述のように、サンプルノズルの並列構成により、ターゲット上に楕円形の堆積フッ
トプリントが結果として生じる(例えば、
図8のスライド806および808)。この構
成では、細胞の最大70~80%をターゲットに堆積させることにより、より低いレベル
の細胞損失を実現する。
【0077】
図9Aは、サンプルディスペンサの入口ポートの例を示し、
図9Bは、
図9Aの入口ポ
ートの幾何学的形状を示す。
図10Aは、サンプルディスペンサの入口ポートの別の例を
示し、
図10Bは、
図10Aの入口ポートの幾何学的形状を示す。そこに示されるように
、
図9Bの入口ポート922は、浅くて広い(入口ポートの壁間の角度が大きい)ように
構成されている一方で、
図10Bの入口ポート1022は、深くて狭い(入口ポートの壁
間の角度が小さい)ように構成されている。入口ポートの幾何学的形状は、流体経路への
試料(またはサンプル材料)の引き込みを最大化し、その後、サンプル分析システムのガ
スノズルが作動したときにサンプルノズルから排出されるように構成することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、入口ポートは、5μL~150μLを保持するように構成す
ることができる。一例では、2~10μLのサンプルおよび20μLの緩衝液を入口ポー
トに堆積させることができる。いくつかの実施形態では、入口ポートは、サンプルの容積
(またはサンプルおよび緩衝液の容積)がこのレベルを超えない限り、すべてのオーバー
フローを防止する「最大充填ライン」を含むことができる。いくつかの実施形態では、入
口ポートは、サンプルをサンプルディスペンサに堆積させるためのFNA針の使用を簡略
化する針ガイドを含むことができる。
【0079】
図11は、サンプルディスペンサの入口ポートとサンプルノズルを接続する管状構造(
または流体経路)の断面の例を示す。
図2の文脈において上述したように、リストリクタ
1125および1127は、流体経路1124および1126よりも小さい断面であり、
これにより、入口ポート1122に置かれたサンプル材料が、毛細管作用を介してリスト
リクタのエッジまで流れるが、ガスノズル1102および1004が作動されるまで流体
経路に入らないことを可能にする。
【0080】
図11に示されるように、流体経路1124および1126は、リストリクタ(112
5および1127)でのそれらの開始点からそれらのそれぞれのサンプルノズル1134
および1136まで均一に円筒形である。すなわち、流体経路の断面積は、それらの長さ
にわたって変化しない。
【0081】
図12は、サンプルディスペンサの入口ポートとサンプルノズルを接続する管状構造(
または流体経路)の断面の別の例を示す。
図12に示されるように、流体経路1224お
よび1226は、均一に円筒形ではなく、サンプルノズル1234および1236に到達
する前に、最初のフレアと、それに続くテーパを含む。したがって、流体経路の断面積は
、その長さに沿って変化するが、流体経路1224および1226の平均断面積は、リス
トリクタ1225および1227の断面積よりも大きく、ガスノズルが作動され、サンプ
ルノズルに負の圧力が発生すると、流体サンプルのみが流体経路に入り、そこから排出さ
れることを確実にする。
図12に示される流体経路の変化する断面積は、有利には、複雑
さを低減したデバイスのツーリングを可能にする。
【0082】
図2~
図12は、サンプル分析システムの消耗部品であり、各使用(または所定の使用
回数)後に廃棄されるように構成されるSIPまたはサンプルディスペンサの様々な実施
形態を説明している。本明細書に記載のSIPの特徴は、サンプル材料の単層(重なり合
うセルが最小限)が多数のターゲットにわたって均一にかつ一貫して分配されることを有
利に確実にする。これらの特徴には、入口ポートの幾何学的形状(例えば、サイズおよび
深さ)、流体経路の設計、サンプルノズルチップの形状、ならびにSIPの全体的な形状
が含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
消耗フードの例
【0084】
サンプル分析システムの別の消耗部品は、
図13~
図14に示すフードであり、ターゲ
ット(例えば、スライド)とのシールを提供し、エアロゾル化されたサンプルの意図しな
い分散および相互汚染を防止し、それによりサンプル分析の信頼性および有効性を改善す
る。
【0085】
図13Aおよび
図13Bは、サンプル分析システムの有効性を改善するフードの例を示
す。そこに示されるように、フードは、上部分、中間部分、および下部分を有する本体1
305を備える。上部分は、ホルダ1310およびエアロゾル開口部1315を含み、中
間部分は、染料開口部1320を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、SIPのサンプルノズルは、エアロゾル開口部1315の上
に位置決めされ得、サンプル分析システムのガスノズルが作動すると、エアロゾル化され
たサンプルがターゲット上に堆積され、フードは、サンプルが含まれていることを確実に
し、作業スペースの意図しない分散または相互汚染を防止する。いくつかの実施形態では
、サンプル分析で使用される1つ以上の染料を、染色開口部1320を介してターゲット
上に堆積されたサンプルに加えることができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、
図13Aおよび
図13Bに示されるように、エアロゾル開口
部1315および染料開口部1320の形状は長方形である。他の実施形態では、エアロ
ゾルおよび染料開口部の一方または両方は、円形、楕円形、または多角形であり得る。
【0088】
フードの本体1305は、フードがサンプル分析システムに適切に付設されることを可
能にする第1のノッチ1325を含む。フードの下部分は、シール1330を含み、これ
は、ターゲットに付設され、ターゲット上に分配されるエアロゾル化されたサンプル材料
のいかなる漏れも防止する。フードはさらに、染料開口部1320の下に第2のノッチ(
図13Aおよび
図13Bには示されない)を含み、これは(ノッチ1325とともに)フ
ードがサンプル分析システムに適切に置かれるのを助ける。ノッチは、サンプル分析動作
の噴霧および染色処理中にフード(およびフード1305の底部分によってシールされる
ターゲット)が適切に位置決めされることを可能にする。
【0089】
図14Aおよび
図14Bは、
図13Aおよび
図13Bのフードのシーリング機構の例を
示す。上で考察されるように、フード1405のシール1430は、堆積されたサンプル
が漏れることを防止する。
図14Aおよび
図14Bに示されるように、シール1430は
、フードがターゲット(例えば、顕微鏡スライド)と接触するときに押下されて、シール
が単純なゴムガスケットよりも信頼性があり、効果的であることを確実にすることができ
るクランプ1432を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、フードは、以下の材料(またはそれらの組み合わせ)のうち
のいずれか1つから製造され得る:アクリル(ポリ(メチルメタクリレート))、環状オ
レフィンコポリマー、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル、ポリカーボネート、ま
たはポリプロピレン。
【0091】
図15Aは、サンプル分析システムの一部に対するサンプルディスペンサとフードの相
対位置の例を示す。上記のように、SIP1520は、サンプルノズルがフードのエアロ
ゾル開口部の真上にあるように位置決めされ、それにより、サンプル分析システムのガス
ノズルが作動されたときに、エアロゾル化されたサンプルをターゲットに堆積させること
ができる。
図15Aに示されるように、染料開口部は、染料開口部の下のノッチを使用し
て、サンプル分析システムの一部(またはタブ)と連結している。
【0092】
図15Bは、サンプル分析システムのフードとタブの例示的な連結の詳細なバージョン
を示し、タブは、染料または着色剤を含む1つ以上の針を挿入することができる2つのく
ぼみ(1541および1542)を含み、ターゲットに噴霧されたエアロゾル化されたサ
ンプルへの染料または着色剤の堆積を可能にする。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される説明に基づいて、以下の技術的解決策
を実装することができる。
【0094】
A1.実質的に同じ容積の液体ベースのサンプル材料を複数のターゲットに分配するた
めのサンプルディスペンサであって、第1の内容積および第1の内側周囲を有する第1の
管状構造であって、(i)第1の管状構造の第1の開口部が、第1のガスノズルと第1の
ターゲットとの間に配置され、第1のガスノズルが、第1のターゲットに向けてガスを排
出するように構成され、(ii)第1の周囲が、第1の管状構造の第2の開口部を介して
液体ベースのサンプル材料で第1の管状構造を充填するよう毛細管作用を誘発することが
できるよう選択される、第1の管状構造と、第2の内容積および第2の内側周囲を有する
第2の管状構造であって、(i)第2の管状構造の第1の開口部が、第2のガスノズルと
第2のターゲットとの間に配置され、第2のガスノズルが、第2のターゲットに向けてガ
スを排出するよう構成され、(ii)第2の周囲が、第2の管状構造の第2の開口部を介
して液体ベースのサンプル材料で第2の管状構造を充填するよう毛細管作用を誘発するこ
とができるよう選択される、第2の管状構造と、を備え、第1の内容積および第2の内容
積が、実質的に同じであり、第1の管状構造の第2の開口部が、第2の管状構造の第2の
開口部に近接している、サンプルディスペンサ。
【0095】
A2.第1および第2の管状構造の第2の開口部が、サンプル材料を受容するための共
通のリザーバに機械的に結合されている、解決策A1のディスペンサ。
【0096】
A3.第1および第2の管状構造の第2の開口部が、実質的に同じ方向に配向されてい
る、解決策A1のディスペンサ。
【0097】
A4.第1および第2の管状構造の第1の開口部の間の角度が、90度~180度であ
る、解決策A1のディスペンサ。
【0098】
A5.第1のガスノズルおよび第1の管状構造の第1の開口部が、第1のガスノズルが
ガスを排出するとき、第1の管状構造内のサンプル材料が、実質的に全て空けられ第1の
ターゲットに向かうように配置される、解決策A1のディスペンサ。
【0099】
A6.第2のガスノズルおよび第2の管状構造の第1の開口部が、第2のガスノズルが
ガスを排出するとき、第2の管状構造内のサンプル材料が、実質的に全て空けられ第2の
ターゲットに向かうように配置される、解決策A1のディスペンサ。
【0100】
A7.第1の管状構造の断面形状が、円形、楕円形、および多角形のうちの1つである
、解決策A1のディスペンサ。
【0101】
A8.第1および第2の管状構造が、互いに平行である、解決策A1のディスペンサ。
【0102】
A9.サンプル分析のためのシステムであって、第1のターゲットに向けてガスを排出
するように構成された第1のガスノズルと、第2のターゲットに向けてガスを排出するよ
うに構成された第2のガスノズルと、第1および第2のターゲットを保持するように配置
されたターゲットホルダと、複数のターゲットに実質的に同じ容積の液体ベースのサンプ
ル材料を分配するサンプルディスペンサと、を備え、ディスペンサは、第1の内容積およ
び第1の内側周囲を有する第1の管状構造であって、(i)第1の管状構造の第1の開口
部が、第1のガスノズルと第1のターゲットとの間に配置され、(ii)第1の周囲が、
第1の管状構造の第2の開口部を介して液体ベースのサンプル材料で第1の管状構造を充
填するよう毛細管作用を誘発することができるよう選択される、第1の管状構造と、第2
の内容積および第2の内側周囲を有する第2の管状構造であって、(i)第2の管状構造
の第1の開口部が、第2のガスノズルと第2のターゲットとの間に配置され、(ii)第
2の周囲が、第2の管状構造の第2の開口部を介して液体ベースのサンプル材料で第2の
管状構造を充填するよう毛細管作用を誘発することができるよう選択される、第2の管状
構造、を備え、第1の内容積および第2の内容積が、実質的に同じであり、第1の管状構
造の第2の開口部が、第2の管状構造の第2の開口部に近接している、システム。
【0103】
A10.複数のターゲット上でサンプルディスペンサを保持するように配置されたサン
プルディスペンサホルダをさらに備える、解決策A9のシステム。
【0104】
A11.サンプルディスペンサが、交換可能である解決策A9のシステム。
【0105】
A12.第1および第2の管状構造の第2の開口部が、サンプル材料を受容するための
共通のリザーバに機械的に結合されている、解決策A9のシステム。
【0106】
A13.第1および第2の管状構造の第2の開口部が、実質的に同じ方向に配向されて
いる、解決策A9のシステム。
【0107】
A14.第1および第2の管状構造の第1の開口部の間の鋭角が、90度~180度で
ある、解決策A9のシステム。
【0108】
A15.第1のガスノズルおよび第1の管状構造の第1の開口部が、第1のガスノズル
がガスを排出するとき、第1の管状構造内のサンプル材料が、実質的に全て空けられ第1
のターゲットに向かうように配置される、解決策A9のシステム。
【0109】
A16.第2のガスノズルおよび第2の管状構造の第1の開口部が、第2のガスノズル
がガスを排出するとき、第2の管状構造内のサンプル材料が、実質的に全て空けられ第2
のターゲットに向かうように配置される、解決策A9のシステム。
【0110】
A17.第1の管状構造の断面形状が、円形、楕円形、または多角形のうちの1つであ
る、解決策A9のシステム。
【0111】
A18.第1および第2の管状構造が、互いに平行である、解決策A9のシステム。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される説明に基づいて、以下の技術的解決策
を実装することができる。
【0113】
B1.流体サンプルを分配するための装置であって、サンプル材料を投入するための入
口ポートと、サンプル材料を排出するために入口ポートに流体結合された第1のサンプル
ノズルおよび第2のサンプルノズルと、を備え、管状接合部が、入口ポートを、第1のサ
ンプルノズルで終端する第1の管状流体経路と、第2のサンプルノズルで終端する第2の
管状流体経路とに流体結合し、管状接合部の断面積が、第1の管状流体経路および第2の
管状流体経路の平均断面積よりも小さく、管状接合部の断面積が、毛細管作用を介して入
口ポートから管状接合部にサンプル材料を引き込むように選択される、装置。
【0114】
B2.第1のサンプルノズルが、第1のガスノズルと第1のターゲットとの間に配置さ
れ、第1のガスノズルが、作動されて、第1のサンプルノズルに向かってガスを排出する
と、第1のサンプルノズルが、第1のターゲットに向けてサンプル材料を排出する、解決
策B1の装置。
【0115】
B3.入口ポートの深さおよび形状が、管状接合部へのサンプル材料の引き込みを増加
させるように選択される、解決策B1の装置。
【0116】
B4.入口ポートが、サンプル材料に緩衝液を加えることを可能にするノッチを備える
、解決策B1の装置。
【0117】
B5.緩衝液が、能動的な混合手段を使用してサンプル材料と能動的に混合される、解
決策B4の装置。
【0118】
B6.能動的な混合手段が、流れ脈動処理、音響混合処理、超音波混合処理、またはマ
イクロスケールファンのうちの少なくとも1つを含む、解決策B4の装置。
【0119】
B7.緩衝液が、リン酸緩衝生理食塩水である、解決策B4~B6のいずれかの装置。
【0120】
B8.第1のサンプルノズルおよび第2のサンプルノズルが、同じ方向に配向されてい
る、解決策B1の装置。
【0121】
B9.第1の管状流体経路の少なくとも一部が、第2の管状流体経路の少なくとも一部
に平行である、解決策B8の装置。
【0122】
B10.第1の管状流体経路の断面積が、その長さ全体にわたって均一である、解決策
B1の装置。
【0123】
B11.第1の管状流体経路の断面積が、管状接合部から第1の管状経路の中間点まで
増加し、中間点から第1のサンプルノズルまで減少する、解決策B1の装置。
【0124】
B12.第1のサンプルノズルおよび第2のサンプルノズルとは反対側の端部で入口ポ
ートに隣接するグリップ部分をさらに備える、解決策B1の装置。
【0125】
B13.グリップ部分が、くぼみを備える、解決策B12の装置。
【0126】
B14.サンプル分析システムにおけるターゲットへのサンプル材料の堆積を改善する
ためのフードであって、上部パネル、前面パネル、左パネル、右パネル、および背面パネ
ルを含む本体を備え、上部パネルが、サンプル材料を受容するように構成された第1の開
口部を備え、上部パネルに平行で背面パネルに垂直な、背面パネルに隣接して位置決めさ
れた下部パネルであって、下部パネルが、ターゲットへのサンプル材料の堆積に続く、染
料または着色剤を受容するための第2の開口部を備え、本体および下部パネルを支持する
底リムであって、底リムが、堆積前にターゲットに付着するように構成されている、フー
ド。
【0127】
B15.第1の開口部が、上部パネルの上に持ち上げられ、上部パネルが前面パネルを
超えて延在する、解決策B14のフード。
【0128】
B16.背面パネルが、フードをサンプル分析システムにしっかりと付設するように構
成されたノッチを備える、解決策B14のフード。
【0129】
B17.底リムが、底リムとターゲットとの間のシールを改善するように構成されたク
ランプを備える、解決策B14のフード。
【0130】
上記の部品は、いくつかのタイプの可能性を例示することを意図している。前述の例は
単なる実施形態であるため、本技術の範囲をいかなる形でも制限するものではない。
【0131】
前述のことから、本発明の具体的な実施形態が例示を目的として本明細書で説明されて
きたが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更が行われ得ることが理解されよう
。
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
実質的に同じ容積の液体ベースのサンプル材料を複数のターゲットに分配するためのサ
ンプルディスペンサであって、
第1の内容積および第1の内側周囲を有する第1の管状構造であって、
(i)前記第1の管状構造の第1の開口部が、第1のガスノズルと第1のターゲット
との間に配置され、前記第1のガスノズルが、前記第1のターゲットに向けてガスを排出
するように構成され、
(ii)前記第1の周囲が、前記第1の管状構造の第2の開口部を介して前記液体ベ
ースのサンプル材料で前記第1の管状構造を充填するよう毛細管作用を誘発することがで
きるよう選択される、第1の管状構造と、
第2の内容積および第2の内側周囲を有する第2の管状構造であって、
(i)前記第2の管状構造の第1の開口部が、第2のガスノズルと第2のターゲット
との間に配置され、前記第2のガスノズルが、前記第2のターゲットに向けてガスを排出
するよう構成され、
(ii)前記第2の周囲が、前記第2の管状構造の第2の開口部を介して前記液体ベ
ースのサンプル材料で前記第2の管状構造を充填するよう毛細管作用を誘発することがで
きるよう選択される、第2の管状構造と、を備え、
前記第1の内容積および前記第2の内容積が、実質的に同じであり、前記第1の管状構
造の前記第2の開口部は前記第2の管状構造の前記第2の開口部に近接している、ディス
ペンサ。
(態様2)
前記第1および第2の管状構造の前記第2の開口部が、サンプル材料を受容するための
共通のリザーバに機械的に結合されている、態様1に記載のディスペンサ。
(態様3)
前記第1および第2の管状構造の前記第2の開口部が、実質的に同じ方向に配向されて
いる、態様1に記載のディスペンサ。
(態様4)
前記第1および第2の管状構造の前記第1の開口部の間の角度が、90度~180度で
ある、態様1に記載のディスペンサ。
(態様5)
前記第1のガスノズルおよび前記第1の管状構造の前記第1の開口部が、前記第1のガ
スノズルがガスを排出するとき、前記第1の管状構造内のサンプル材料が実質的に全て空
けられ前記第1のターゲットに向かうように配置される、態様1に記載のディスペンサ。
(態様6)
前記第2のガスノズルおよび前記第2の管状構造の前記第1の開口部が、前記第2のガ
スノズルがガスを排出するとき、前記第2の管状構造内のサンプル材料が実質的に全て空
けられ前記第2のターゲットに向かうように配置される、態様1に記載のディスペンサ。
(態様7)
前記第1の管状構造の断面形状が、円形、楕円形、および多角形のうちの1つである、
態様1に記載のディスペンサ。
(態様8)
前記第1および第2の管状構造が、互いに平行である、態様1に記載のディスペンサ。
(態様9)
サンプル分析用のシステムであって、
第1のターゲットに向けてガスを排出するように構成された第1のガスノズルと、
第2のターゲットに向けてガスを排出するように構成された第2のガスノズルと、
前記第1および第2のターゲットを保持するように配置されたターゲットホルダと、
複数のターゲットに実質的に同じ容積の液体ベースのサンプル材料を分配するサンプル
ディスペンサと、を備え、ディスペンサが、
第1の内容積および第1の内側周囲を有する第1の管状構造であって、
(i)前記第1の管状構造の第1の開口部が、前記第1のガスノズルと前記第1の
ターゲットとの間に配置され、
(ii)前記第1の周囲が、前記第1の管状構造の第2の開口部を介して前記液体
ベースのサンプル材料で前記第1の管状構造を充填するように毛細管作用を誘発すること
ができるように選択される、第1の管状構造と、
第2の内容積および第2の内側周囲を有する第2の管状構造であって、
(i)前記第2の管状構造の第1の開口部が、前記第2のガスノズルと前記第2の
ターゲットとの間に配置され、
(ii)前記第2の周囲が、前記第2の管状構造の第2の開口部を介して前記液体
ベースのサンプル材料で前記第2の管状構造を充填するよう毛細管作用を誘発することが
できるよう選択される、第2の管状構造と、を備え、
前記第1の内容積および前記第2の内容積が、実質的に同じであり、前記第1の管状
構造の前記第2の開口部が、前記第2の管状構造の前記第2の開口部に近接している、シ
ステム。
(態様10)
前記複数のターゲット上で前記サンプルディスペンサを保持するように配置されたサン
プルディスペンサホルダをさらに備える、態様9に記載のシステム。
(態様11)
前記サンプルディスペンサが、交換可能である、態様9に記載のシステム。
(態様12)
前記第1および第2の管状構造の前記第2の開口部が、前記サンプル材料を受容するた
めの共通のリザーバに機械的に結合されている、態様9に記載のシステム。
(態様13)
前記第1および第2の管状構造の前記第2の開口部が、実質的に同じ方向に配向されて
いる、態様9に記載のシステム。
(態様14)
前記第1および第2の管状構造の前記第1の開口部の間の鋭角が、90度~180度で
ある、態様9に記載のシステム。
(態様15)
前記第1のガスノズルおよび前記第1の管状構造の前記第1の開口部が、前記第1のガ
スノズルがガスを排出するとき、前記第1の管状構造内のサンプル材料が、実質的に全て
空けられ前記第1のターゲットに向かうように配置される、態様9に記載のシステム。
(態様16)
前記第2のガスノズルおよび前記第2の管状構造の前記第1の開口部が、前記第2のガ
スノズルがガスを排出するとき、前記第2の管状構造内のサンプル材料が、実質的に全て
空けられ前記第2のターゲットに向かうように配置される、態様9に記載のシステム。
(態様17)
前記第1の管状構造の断面形状が、円形、楕円形、または多角形のうちの1つである、
態様9に記載のシステム。
(態様18)
前記第1および第2の管状構造が、互いに平行である、態様9に記載のシステム。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に実質的に記載された、新規な物、方法及び製造方法。