(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147637
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】心臓マップのセグメント化
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20241008BHJP
A61B 34/20 20160101ALI20241008BHJP
【FI】
A61B18/12
A61B34/20
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024110818
(22)【出願日】2024-07-10
(62)【分割の表示】P 2020025945の分割
【原出願日】2020-02-19
(31)【優先権主張番号】16/280,195
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・リー
(72)【発明者】
【氏名】モリス・ジブ-アリ
(72)【発明者】
【氏名】ノーム・セケル・ガフニ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】心臓アブレーションシステムを提供する。
【解決手段】心臓アブレーションシステムは、少なくとも1つのアブレーション適用要素を含むアブレーションプローブと、アブレーション適用要素の位置を追跡するための追跡モジュールと、心臓の室のマップを格納し室の各異なる領域に対して、異なるそれぞれの初期設定のアブレーションパラメータセットを格納するためのメモリと、処理回路機構とを含み、処理回路機構が、室のマップを異なる領域にセグメント化すること、アブレーション処置の開始を示すユーザ入力を受信すること、追跡された位置に応答して、少なくとも1つのアブレーション適用要素が接触している室の領域を識別すること、識別された領域に割り当てられたそれぞれの初期設定のアブレーションパラメータセットを回収すること、及びアブレーション処置を制御する際に、回収された初期設定のアブレーションパラメータセットを適用することを行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓アブレーションシステムであって、
生存被験者の心臓の室内の組織を電力によりアブレーションするように構成された少なくとも1つのアブレーション適用要素を含む、アブレーションプローブと、
前記心臓内の前記少なくとも1つのアブレーション適用要素の位置を追跡するように構成された追跡モジュールと、
前記心臓の前記室のマップを格納するように、かつ前記室の複数の異なる領域の各々に対して、異なるそれぞれの初期設定のアブレーションパラメータセットを格納するように構成されたメモリと、
処理回路機構と、を備え、前記処理回路機構が、
前記室の前記マップを前記異なる領域にセグメント化することと、
アブレーション処置の開始を示すユーザ入力を受信することと、
追跡された前記位置に応答して、前記少なくとも1つのアブレーション適用要素が接触している前記室の領域を識別することと、
前記ユーザ入力に応答して、識別された前記領域に割り当てられた前記それぞれの初期設定のアブレーションパラメータセットを前記メモリより取得することと、
取得された前記初期設定のアブレーションパラメータセットを用いて、アブレーションパラメータを計算することなく、識別された前記領域における前記組織の前記アブレーションプローブによるアブレーションを行うように構成されており、
前記アブレーションパラメータセットは、領域の組織厚さ、アブレーション処置中に温度を追跡するかどうか、アブレーションモード、灌注速度、電力レベル、アブレーションプローブと組織の接触力、アブレーション持続時間、アブレーションインデックス、標的電力、及び標的温度のうちのいずれか又は組み合わせをアブレーション対象領域に応じて設定されたものである、心臓アブレーションシステム。
【請求項2】
前記処理回路機構が、心室のセグメント化されたモデルを前記室の前記マップに適用して、前記室のセグメント化されたマップをもたらすように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理回路機構が、
前記セグメント化されたマップのセグメント化に対する少なくとも1つのユーザ補正を受信することと、
受信された前記少なくとも1つのユーザ補正に応答して、前記セグメント化されたマップを改正することと、を行うように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理回路機構が、
ユーザによる前記マップのセグメント指定であるユーザマークアップに基づき、前記マップを前記異なる領域にセグメント化することと、を行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記処理回路機構が、
前記異なる領域の各々に対して、ユーザ定義された初期設定のアブレーションパラメータセットを受信することと、
受信した前記ユーザ定義された初期設定のアブレーションパラメータセットの各々の領域指定に応答して、前記ユーザ定義された初期設定のアブレーションパラメータセットを前記異なる領域に割り当てることと、を行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理回路機構が、
取得された前記初期設定のアブレーションパラメータセットに対するユーザ更新を受信して、更新されたアブレーションパラメータセットをもたらすことと、
前記更新されたアブレーションパラメータセットを用いて、アブレーションパラメータを計算することなく、識別された前記領域における前記組織の前記アブレーションプローブによるアブレーションを行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記処理回路機構が、
前記アブレーションプローブのプローブタイプを受信することと、
複数の異なるプローブタイプについて、プローブ固有の初期設定のアブレーションパラメータセットを前記異なる領域の各々に割り当てることと、
前記ユーザ入力に応答して、受信した前記アブレーションプローブのプローブタイプに基づいて、識別された前記領域に割り当てられた前記プローブ固有の初期設定のアブレーションパラメータセットを取得することと、を行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記アブレーションプローブが、多数のアブレーション適用要素を含み、
前記処理回路機構が、
追跡された前記位置に応答して、前記多数のアブレーション適用要素のうちの少なくとも第1の要素が接触している前記室の第1の領域を識別することと、
追跡された前記位置に応答して、前記多数のアブレーション適用要素のうちの少なくとも第2の要素が接触している前記室の第2の領域を識別することと、
前記第1の領域に割り当てられた前記初期設定のアブレーションパラメータセット、及び前記第2の領域に割り当てられた前記初期設定のアブレーションパラメータセットを取得することと、
前記多数のアブレーション適用要素のうちの前記第1の要素及び前記第2の要素をそれぞれ使用して、前記第1及び第2の領域において前記アブレーション処置を実施するために、前記第1及び第2の領域の取得された前記初期設定のアブレーションパラメータセットを適用することと、を行うように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記アブレーションモードが、アブレーションインデックスモード、測定された温度に従ってアブレーション電力を制御すること、交流電流を前記少なくとも1つのアブレーション適用要素に適用すること、直流電流を前記少なくとも1つのアブレーション適用要素に適用すること、レーザアブレーション、電気穿孔法、冷凍アブレーション、高周波電力アブレーション、のうちのいずれか1つ又は2つ以上から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
プログラム命令が格納される非一時的なコンピュータ可読媒体を含むソフトウェア製品であって、前記命令が中央処理装置(CPU)によって読み取られると、前記CPUに、
生存被験者の心臓の室内の組織を電力によりアブレーションするように構成されたアブレーションプローブの少なくとも1つのアブレーション適用要素の位置を追跡することと、
前記心臓の前記室のマップを格納することと、
前記室の複数の異なる領域の各々に対して、異なるそれぞれの初期設定のアブレーションパラメータセットをメモリに格納することと、
前記室の前記マップを前記異なる領域にセグメント化することと、
アブレーション処置の開始を示すユーザ入力を受信することと、
追跡された前記位置に応答して、前記少なくとも1つのアブレーション適用要素が接触している前記室の領域を識別することと、
前記ユーザ入力に応答して、識別された前記領域に割り当てられた前記それぞれの初期設定のアブレーションパラメータセットを前記メモリより取得することと、
取得された前記初期設定のアブレーションパラメータセットを用いて、アブレーションパラメータを計算することなく、識別された前記領域における前記組織の前記アブレーションプローブによるアブレーションを行わせ、
前記アブレーションパラメータセットは、領域の組織厚さ、アブレーション処置中に温度を追跡するかどうか、アブレーション処置中に使用するためのアブレーションモード、アブレーション処置中に使用するための灌注速度、アブレーション処置中に適用するための電力レベル、アブレーション処置中に適用するための力、アブレーション処置のアブレーション持続時間、アブレーション処置中に使用するためのアブレーションインデックス、標的電力、及び標的温度のうちのいずれか又は組み合わせをアブレーション対象領域に応じて設定されたものである、ソフトウェア製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アブレーションシステムに関し、具体的に言えば、アブレーションパラメータに関する。
【背景技術】
【0002】
心臓内の低侵襲的なアブレーションは、様々な種類の不整脈の治療の選択肢である。このような治療を実施するために、医師は、典型的には、血管系を介して心臓にカテーテルを挿入し、異常な電気活動の区域においてカテーテルの遠位端を心筋組織と接触させ、続いて、組織壊死を生じさせるために、遠位端の又は遠位端の近傍の1つ又は2つ以上の電極に通電する。
【0003】
Biosense Webster Inc.(カリフォルニア州Irvine)により提供されるCARTO(登録商標)3システムのような、心臓内アブレーション療法のための数多くのシステムが市販されている。CARTOはカテーテルの遠位端の位置及び動作パラメータを追跡し、その情報を電子的に心臓の3次元(three-dimensional、3D)生体構造マップに表示する。CARTOは、システムオペレータがアブレーションされた場所をマップ上に電子的にタグ付けすることを可能にし、ひいては、処置の進行を追跡する。
【0004】
Passeriniらの米国特許公開第2015/0294082号は、心不整脈療法の画像ベースの患者固有の誘導のための方法及びシステムを記載している。患者固有の解剖学的心臓モデルは、患者の医用画像データから生成される。患者固有の心臓電気生理学モデルは、患者固有の解剖学的心臓モデル及び患者の電気生理学的測定値に基づいて生成される。1つ又は2つ以上の仮想電気生理学的介入は、患者固有の心臓電気生理学的モデルを使用して実施される。1つ又は2つ以上の仮想電気生理学的介入に基づく1つ又は2つ以上のペーシング標的又はアブレーション標的が表示される。
【0005】
Thakurらの米国特許公開第2015/0065836号は、解剖学的構造をマッピングするためのシステム及び方法を記載しており、解剖学的構造内又は解剖学的構造の近くに配設された複数のマッピング電極で生理学的活性の活性化信号を検知することを含む。検知された活性化信号間のパターンは、対応する対の類似性測定間の相関に基づいてグループに分類される、識別されたパターンの各一意の対の間で生成された類似性測定に基づいて識別される。特性表現は、類似性測定のグループごとに決定され、特性表現の要約プロットとして表示される。
【0006】
Ben-Haimらへの米国特許第6,317,631号は、心臓を有する被験者を提供することと、活性化を有する少なくとも一部を備えることと、活性化後の遅延において、所与の持続時間を有する無励磁電界を、収縮の力を少なくとも5%増加させる部分に適用することと、を含む、心室の少なくとも一部の収縮の力を修正する方法を記載している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、心臓アブレーションシステムであって、生存被験者の心臓の室内の組織をアブレーションするように構成された少なくとも1つのアブレーション適用要素を含む、アブレーションプローブと、心臓内の少なくとも1つのアブレーション適用要素の位置を追跡するように構成された追跡モジュールと、心臓の室のマップを格納し、室の複数の異なる領域の各々に対して、異なるそれぞれの初期設定のアブレーションパラメータセットを格納するように構成されたメモリと、処理回路機構と、を含み、処理回路機構が、室のマップを異なる領域にセグメント化すること、アブレーション処置の開始を示すユーザ入力を受信すること、追跡された位置に応答して、少なくとも1つのアブレーション適用要素が接触している室の領域を識別すること、ユーザ入力に応答して、識別された領域に割り当てられたそれぞれの初期設定のアブレーションパラメータセットを回収すること、及びアブレーション処置を制御する際に、回収された初期設定のアブレーションパラメータセットを適用すること、を行うように構成されている、心臓アブレーションシステムが提供される。
【0008】
更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路機構は、心室のセグメント化されたモデルを室のマップに適用して、室のセグメント化されたマップをもたらすように構成されている。
【0009】
なお更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路機構は、セグメント化されたマップのセグメント化に対する少なくとも1つのユーザ補正を受信することと、受信した少なくとも1つのユーザ補正に応答して、セグメント化されたマップを改正することと、を行うように構成されている。
【0010】
更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路機構は、室のマップのユーザマークアップを受信して、マップを異なる領域に分割することと、受信したユーザマークアップに応答して、室のマップを異なる領域にセグメント化することと、を行うように構成されている。
【0011】
更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路機構は、異なる領域の各々に対して、ユーザ定義された初期設定のアブレーションパラメータセットを受信することと、受信したユーザ定義された初期設定のアブレーションパラメータセットの各々の領域指定に応答して、ユーザ定義された初期設定のアブレーションパラメータセットを異なる領域に割り当てることと、を行うように構成されている。
【0012】
更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路機構は、回収された初期設定のアブレーションパラメータセットに従って、識別された領域における組織のアブレーションプローブによるアブレーションを制御するように構成されている。
【0013】
なお更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路機構は、回収された初期設定のアブレーションパラメータセットに対するユーザ更新を受信して、更新されたアブレーションパラメータセットをもたらすことと、更新されたアブレーションパラメータセットに従って、識別された領域における組織のアブレーションプローブによるアブレーションを制御することと、を行うように構成されている。
【0014】
更に、本開示の一実施形態によれば、処理回路機構は、複数の異なるプローブタイプについて、プローブ固有の初期設定のアブレーションパラメータセットを異なる領域の各々に割り当てることと、ユーザ入力に応答して、アブレーションプローブのプローブタイプについて、識別された領域に割り当てられたプローブ固有の初期設定のアブレーションパラメータセットを回収することと、を行うように構成されている。
【0015】
更に、本開示の一実施形態によれば、アブレーションプローブは、多数のアブレーション適用要素を含み、処理回路機構は、追跡された位置に応答して、多数のアブレーション適用要素のうちの少なくとも第1の要素が接触している室の第1の領域を識別することと、追跡された位置に応答して、多数のアブレーション適用要素のうちの少なくとも第2の要素が接触している室の第2の領域を識別することと、第1の領域に割り当てられた初期設定のアブレーションパラメータセット、及び第2の領域に割り当てられた初期設定のアブレーションパラメータセットを回収することと、多数のアブレーション適用要素のうちの第1の要素及び第2の要素をそれぞれ使用して、第1及び第2の領域においてアブレーション処置を実施するように、第1及び第2の領域の回収された初期設定のアブレーションパラメータセットを適用することと、を行うように構成されている。
【0016】
更に、本開示の一実施形態によれば、異なる領域のうちの1つの領域のための初期設定のアブレーションパラメータセットは、1つの領域の組織厚さ、アブレーション処置中に温度を追跡するかどうか、アブレーション処置中に使用するためのアブレーションモード、アブレーション処置中に使用するための灌注速度、アブレーション処置中に適用するための電力レベル、アブレーション処置中に適用するための力、アブレーション処置のアブレーション持続時間、アブレーション処置中に使用するためのアブレーションインデックス、標的電力、及び標的温度、のうちのいずれか1つ又は2つ以上を含む。
【0017】
なお更に、本開示の一実施形態によれば、アブレーションモードは、アブレーションインデックスモード、測定された温度に従ってアブレーション電力を制御すること、交流電流を少なくとも1つのアブレーション適用要素に適用すること、直流電流を少なくとも1つのアブレーション適用要素に適用すること、レーザアブレーション、電気穿孔法、冷凍アブレーション、高周波電力アブレーション、のうちのいずれか1つ又は2つ以上から選択される。
【0018】
本開示の別の実施形態によれば、心臓アブレーション方法であって、生存被験者の心臓の室内の組織をアブレーションするように構成されたアブレーションプローブの少なくとも1つのアブレーション適用要素の位置を追跡することと、室の複数の異なる領域の各々に対して、異なるそれぞれの初期設定のアブレーションパラメータセットを格納することと、室のマップを異なる領域にセグメント化することと、アブレーション処置の開始を示すユーザ入力を受信することと、追跡された位置に応答して、少なくとも1つのアブレーション適用要素が接触している室の領域を識別することと、ユーザ入力に応答して、識別された領域に割り当てられたそれぞれの初期設定のアブレーションパラメータセットを回収することと、アブレーション処置を制御する際に、回収された初期設定のアブレーションパラメータセットを適用することと、を含む、心臓アブレーション方法もまた提供される。
【0019】
更に、本開示の一実施形態によれば、本方法は、心室のセグメント化されたモデルを室のマップに適用して、室のセグメント化されたマップをもたらすことを含む。
【0020】
更に、本開示の一実施形態によれば、本方法は、セグメント化されたマップのセグメント化に対する少なくとも1つのユーザ補正を受信することと、少なくとも1つのユーザ補正を受信することに応答して、セグメント化されたマップを改正することと、を含む。
【0021】
更に、本開示の一実施形態によれば、本方法は、室のマップのユーザマークアップを受信して、マップを異なる領域に分割することと、ユーザマークアップを受信することに応答して、室のマップを異なる領域にセグメント化することと、を含む。
【0022】
なお更に、本開示の一実施形態によれば、本方法は、異なる領域の各々に対して、ユーザ定義された初期設定のアブレーションパラメータセットを受信することと、受信したユーザ定義された初期設定のアブレーションパラメータセットの各々の領域指定に応答して、ユーザ定義された初期設定のアブレーションパラメータセットを異なる領域に割り当てることと、を含む。
【0023】
更に、本開示の一実施形態によれば、本方法は、回収された初期設定のアブレーションパラメータセットに従って、識別された領域における組織のアブレーションプローブによるアブレーションを制御することを含む。
【0024】
更に、本開示の一実施形態によれば、本方法は、回収された初期設定のアブレーションパラメータセットに対するユーザ更新を受信して、更新されたアブレーションパラメータセットをもたらすことと、更新されたアブレーションパラメータセットに従って、識別された領域における組織のアブレーションプローブによるアブレーションを制御することと、を含む。
【0025】
更に、本開示の一実施形態によれば、本方法は、複数の異なるプローブタイプについて、プローブ固有の初期設定のアブレーションパラメータセットを異なる領域の各々に割り当てることと、ユーザ入力に応答して、アブレーションプローブのプローブタイプについて、識別された領域に割り当てられたプローブ固有の初期設定のアブレーションパラメータセットを回収することと、を含む。
【0026】
なお更に、本開示の一実施形態によれば、アブレーションプローブは、多数のアブレーション適用要素を含み、本方法は、追跡された位置に応答して、多数のアブレーション適用要素のうちの少なくとも第1の要素が接触している室の第1の領域を識別することと、追跡された位置に応答して、多数のアブレーション適用要素のうちの少なくとも第2の要素が接触している室の第2の領域を識別することと、第1の領域に割り当てられた初期設定のアブレーションパラメータセット、及び第2の領域に割り当てられた初期設定のアブレーションパラメータセットを回収することと、多数のアブレーション適用要素のうちの第1の要素及び第2の要素をそれぞれ使用して、第1及び第2の領域においてアブレーション処置を実施するように、第1及び第2の領域の回収された初期設定のアブレーションパラメータセットを適用することと、を更に含む。
【0027】
更に、本開示の一実施形態によれば、異なる領域のうちの1つの領域のための初期設定のアブレーションパラメータセットは、1つの領域の組織厚さ、アブレーション処置中に温度を追跡するかどうか、アブレーション処置中に使用するためのアブレーションモード、アブレーション処置中に使用するための灌注速度、アブレーション処置中に適用するための電力レベル、アブレーション処置中に適用するための力、アブレーション処置のアブレーション持続時間、アブレーション処置中に使用するためのアブレーションインデックス、標的電力、及び標的温度、のうちのいずれか1つ又は2つ以上を含む。
【0028】
更に、本開示の一実施形態によれば、アブレーションモードは、アブレーションインデックスモード、測定された温度に従ってアブレーション電力を制御すること、交流電流を少なくとも1つのアブレーション適用要素に適用すること、直流電流を少なくとも1つのアブレーション適用要素に適用すること、レーザアブレーション、電気穿孔法、冷凍アブレーション、高周波電力アブレーション、のうちのいずれか1つ又は2つ以上から選択される。
【0029】
本開示の更に別の実施形態によれば、プログラム命令が格納される非一時的なコンピュータ可読媒体を含むソフトウェア製品であって、命令が中央処理装置(central processing unit、CPU)によって読み取られると、CPUに、生存被験者の心臓の室内の組織をアブレーションするように構成されたアブレーションプローブの少なくとも1つのアブレーション適用要素の位置を追跡することと、心臓の室のマップを格納することと、室の複数の異なる領域の各々に対して、異なるそれぞれの初期設定のアブレーションパラメータセットを格納することと、室のマップを異なる領域にセグメント化することと、アブレーション処置の開始を示すユーザ入力を受信することと、追跡された位置に応答して、少なくとも1つのアブレーション適用要素が接触している室の領域を識別することと、ユーザ入力に応答して、識別された領域に割り当てられたそれぞれの初期設定のアブレーションパラメータセットを回収することと、アブレーション処置を制御する際に、回収された初期設定のアブレーションパラメータセットを適用することと、を行わせる、ソフトウェア製品もまた提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明は、添付の図面と併せると、以下の詳細な説明から理解されよう。
【
図1】本発明の一実施形態による、装置を使用した侵襲的医療処置の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、
図1の装置で使用されるプローブの遠位端の概略図である。
【
図3】
図1の装置で使用するための調製方法における例示的なステップを含むフローチャートである。
【
図4】
図1の装置で使用するためのマップセグメント化の概略図である。
【
図5】
図1の装置で使用するための領域指定の概略図である。
【
図6】
図1の装置で使用するためのセグメント化及び領域指定方法における例示的なステップを含むフローチャートである。
【
図7】
図1の装置で使用するための代替的なセグメント化及び領域指定方法における例示的なステップを含むフローチャートである。
【
図8】
図1の装置で使用するためのアブレーション方法における例示的なステップを含むフローチャートである。
【
図9】
図1の装置で使用するためのバルーンカテーテルの概略図である。
【
図10】
図1の装置で使用するための、心臓の室内に配設されたバルーンカテーテルの断面図である。
【
図11】
図1の装置で使用するためのマルチアブレーション要素プローブを使用するアブレーション方法における例示的なステップを含むフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
概論
アブレーション処置中、医師は、ほんの一例として、電力、アブレーション持続時間、冷却流体の灌注速度、アブレーションカテーテルとアブレーションされている組織との間の接触力などのアブレーションパラメータを設定することができる。パラメータを設定するために、医師は、アブレーション装置による誘導なしに、必要なパラメータ設定を知的に管理し、設定を手動で行う必要がある。
【0032】
パラメータ設定プロセスは時間がかかり、医療上の問題及びアブレーション装置の制御に関して医師が、各アブレーションの前、最中、及び後に、その意思決定をすることを必要とする。
【0033】
このプロセスは、必要とされる決定の数に起因して、エラーにつながる場合がある。加えて、時間は、心臓処置においては一般的に非常に重要なものである。
【0034】
上記の問題は、アブレーション機器がより多様になるにつれて拡大され得る。例えば、カテーテルは、各々がその固有の電極を有する、局所アブレーションカテーテル又はバルーンタイプのカテーテルであってもよい。かかる状況では、アブレーションパラメータの設定は、個々の患者の解剖学的構造を考慮に入れることを含むことができ、より厄介で、エラーが起きやすくなる。
【0035】
本発明の実施形態は、アブレーションプローブの追跡された位置に従って、アブレーション処置で使用される初期設定のアブレーションパラメータセットを提供する。そのため、例えば、アブレーションプローブが心臓組織の1つの領域と接触している場合、その領域のための初期設定のアブレーションパラメータセットが、その領域内のアブレーション処置で使用するために回収される。アブレーションプローブが心臓組織の第2の領域と接触している場合、第2の領域のための異なるアブレーションパラメータセットが、その第2の領域におけるアブレーション処置で使用されるために回収される。
【0036】
医師に、アブレーションプローブを用いてアブレーションを実施する前に、回収された初期設定のアブレーションパラメータセット内の1つ又は2つ以上の設定を改正するオプションを提供することができる。
【0037】
アブレーション処置を開始する前に、患者の心臓の室のマップは、心臓の画像から(例えば、CT若しくはMRIから)取得されるか、又は患者の心室に挿入されたマッピングツールを使用して実施されるマッピングから取得される。
【0038】
心臓の室のマップは、心室のセグメント化されたモデルを患者の心臓の室のマップに適用することによって自動的にセグメント化され、患者の心臓の室のセグメント化されたマップをもたらし得る。セグメント化されたマップはまた、心臓の様々な領域、例えば、後壁、前壁などを標識する標識を含み得る。
【0039】
セグメント化されたマップは、医師によって検査され、所望により使用前に医師によって補正され得る。いくつかの実施形態では、セグメント化されたマップは、前の検査なしに使用され得る。
【0040】
他の実施形態では、患者の心臓の室のマップは、好適なユーザインターフェースを使用して医師によって提供され得るマップのユーザマークアップ及び標識に基づいてセグメント化され得る。
【0041】
初期設定のアブレーションパラメータセットは、様々な領域の標識に従って、セグメント化されたマップの様々な異なる領域に割り当てられ得る。例えば、後壁のための初期設定のアブレーションパラメータセットは、後壁と標識された領域に割り当てられる。代替的に、初期設定のアブレーションパラメータセットは、医師によって手動で異なる領域に割り当てられ得る。他の実施形態では、初期設定のアブレーションパラメータセットは、システムによって自動的に割り当てられてもよく、医師は、様々な自動的に割り当てられた設定を検査し、補正するためのオプションを与えられる。
【0042】
領域のための初期設定のアブレーションパラメータセットは、ほんの一例として、領域の組織厚さ、アブレーション処置中に温度を追跡するかどうか、アブレーション処置中に使用するためのアブレーションモード、アブレーション処置中に使用するための灌注速度、アブレーション処置中に適用するための電力レベル、アブレーション処置中に適用するための力、アブレーション処置のアブレーション持続時間、アブレーション処置中に使用するための(
図1を参照してより詳細に記載される)アブレーションインデックス、標的電力、及び/又は標的温度、のうちのいずれか1つ又は2つ以上を含み得る。
【0043】
アブレーションモードは、ほんの一例として、アブレーションインデックスモード、測定された温度に従ってアブレーション電力を制御すること、交流電流を少なくとも1つのアブレーション適用要素に適用すること、直流電流を少なくとも1つのアブレーション適用要素に適用すること、レーザアブレーション、電気穿孔法、冷凍アブレーション、及び/又は高周波電力アブレーション、のうちのいずれか1つ又は2つ以上から選択され得る。
【0044】
例えば、後壁については、後壁が、アブレーション中に熱によって傷つき得る食道の近くにあるため、前壁よりも低い電力設定が示唆され得る。同様に、監視された組織温度に従ってアブレーション電力を調節しながらアブレーションを実施することが後壁に対して示唆され得る一方、アブレーションインデックスを使用することが前壁に対して示唆され得る。他の要因及び例は、以下に含まれるシステムの説明を参照してより詳細に記載される。
【0045】
初期設定のアブレーションパラメータセットは、異なるアブレーションプローブタイプの異なる特性及び能力を考慮に入れるプローブ固有のものであり得る。したがって、ある領域のための初期設定のアブレーションパラメータセットが回収されると、その領域のためのプローブ固有の初期設定のアブレーションパラメータセットが回収され得る。例えば、局所カテーテルは、領域のアブレーションインデックス閾値又は温度誘導アブレーション設定に対して初期設定のままであってもよいが、バルーンカテーテルについては、様々な電極の電力設定は、領域及びその領域内の各電極の現在の場所に基づいて設定され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、2つ又は3つ以上の初期設定のアブレーションパラメータセットは、多電極カテーテルから回収することができる。例えば、多電極カテーテルの電極のうちのいくつかが組織の第1の領域と接触しているが、多電極カテーテルの他の電極は組織の第2の領域と接触している場合、第1の領域の多電極カテーテルのための初期設定のアブレーションパラメータセット及び第2の領域の多電極カテーテルのための初期設定のアブレーションパラメータセットは、第1の領域及び第2の領域の組織と接触する電極を用いてアブレーションに使用するためにそれぞれ回収される。本明細書に記載される多電極カテーテルは、任意の好適なアブレーション方法、例えば、限定するものではないが、レーザアブレーション、電気穿孔法、及び/又は冷凍アブレーションを使用する、マルチアブレーション適用要素カテーテルに概括され得る。同様に、上に記載されるプローブは、任意の好適なアブレーション方法、例えば、限定するものではないが、レーザアブレーション、電気穿孔法、冷凍アブレーション、及び/又は高周波アブレーションを利用し得る。
【0047】
初期設定のアブレーションパラメータセットを、アブレーションプローブによって使用されている異なるアブレーションモードに適合させることもできる。例えば、プローブがアブレーションインデックスを使用している場合には、1つの初期設定のアブレーションパラメータセットを回収することができ、プローブが別のアブレーションモードを使用している場合には、別の初期設定のアブレーションパラメータセットを回収することができる。代替的に、各領域のための初期設定のアブレーションパラメータセットは、多数のアブレーションモード及び/又はプローブのための初期設定のアブレーションパラメータを含む、全体的なパラメータセットであり得、その結果、関連する初期設定のアブレーションパラメータは、使用されているアブレーションモード及び/又はプローブタイプに従って、全体的なパラメータセットから抽出され得る。
【0048】
医師は初期設定の設定をオーバーライドすることができるが、本発明の実施形態は、手動介入を必要とせずに、安全性の追加の層を自動的に追加する。
【0049】
システムの説明
参照により本明細書に援用される文書は本出願の一体部分とみなされるべきであり、いずれかの用語が、それらの援用された文書内で、本明細書で明示的又は暗示的に行われる定義と相反するように定義される場合を除き、本明細書における定義のみが考慮されるべきである。
【0050】
ここで、本発明の一実施形態による、心臓アブレーション装置12を使用した侵襲性医療処置の概略図である
図1を参照する。また、本発明の一実施形態による、装置12で用いられるプローブ20の遠位端22の概略図である
図2も参照する。この処置は、医師14によって行われ、これ以降の説明において、この処置は、ヒトの患者18の心臓の心筋16の組織15の一部のアブレーションを含むと想定されている。
【0051】
処置を実施するために、医師14は、プローブ20が心臓の室内に挿入されるように、患者18の内腔内に予め位置決めされたシース21内にプローブ20を挿入する。シース21は、プローブ20の遠位端22が患者18の心臓に入るように位置決めされている。遠位端22は、遠位端22の場所及び配向を追跡することを可能にする位置センサ24、遠位端22が心筋16に接触したときに遠位端22によって印加される力を測定する力センサ26、及び遠位端22のそれぞれの場所での温度を測定する1つ以上の温度センサ28を含む。遠位端22は更に、心室内で心筋16に高周波電力を加えて心筋16をアブレーションするために使用される1つ以上の電極30を備える。電極(複数可)30は、心筋16から電極電位を取得するためにも使用され得る。
【0052】
装置12は、装置の操作コンソール48内に位置するシステムプロセッサ46により制御される。操作コンソール48は、医師14がプロセッサ46と通信するために使用される、少なくとも1つのユーザ入力デバイス49の制御用つまみ類を含む。プロセッサ46用のソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的な形態でプロセッサ46にダウンロードすることができる。代替的に又は更に、ソフトウェアは、光学的、磁気的、又は電子的記憶媒体などの非一過性有形媒体で提供され得る。
【0053】
プロセッサ46は、典型的にはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として構成されるリアルタイムノイズ低減回路45、続いてアナログ-デジタル(A/D)信号変換集積回路47を備え得る。このプロセッサ46は、信号をA/D信号変換集積回路47から別のプロセッサに伝えることができ、かつ/又は、本明細書において開示されている少なくとも1つのアルゴリズムを実行するようにプログラムすることができる。なお、このアルゴリズムは、本明細書において以下に説明されているステップを含む。このプロセッサ46は、アルゴリズムを実行するために、ノイズ低減回路45及びA/D信号変換集積回路47、並びに以下でより詳細に説明されているモジュールの機能部を使用する。メモリ43は、プロセッサ46によって使用されるデータを格納するように構成されている。
【0054】
装置12を操作するために、プロセッサ46のアルゴリズムは、装置12を操作するためにプロセッサ46により使用される多数のモジュールを有するモジュールバンク50と通信する。したがって、モジュールバンク50は、ECG信号をプロセッサ46に提供するために、身体表面電極31及び/又は電極30から信号を受信するように連結された心電図(ECG)モジュール56を備える。身体表面電極31及び/又は電極(複数可)30は、対象(例えば、患者18)の身体に適用されるように構成され、かつ対象の心臓の電気的活動に応答して信号を出力するように構成される。電極(複数可)30は、プローブ20を介して身体の心臓に適用される。モジュールバンク50はまた、位置センサ24からの信号を受信して分析し、信号分析を使用して遠位端22の場所及び配向を生成する追跡モジュール58を含む。一部の実施形態では、位置センサ24は、コイルを横切る磁界に応じてセンサ信号を提供する、1つ以上のコイルを含む。これらの実施形態では、追跡モジュール58は、位置センサ24から信号を受信及び解析することに加えて、位置センサ24を横切る磁界を放射する放射器32、34、及び36を制御する。放射器32、34、及び36は、心筋16に近接して配置されており、心筋16に近接する領域内に交番磁界を放射するように構成されている。複数のワイヤ接続部35は、操作コンソール48を身体表面電極(body the surface electrodes)31及び他の構成要素(放射器32、34、36、及びセンサ24など)と連結して、追跡モジュール58がプローブ20の場所及び配向座標を測定することを可能にする。いくつかの実施形態では、追跡モジュール58は、プローブ20の、心臓に対する相対的な場所及び相対的な配向を計算するように構成される。磁気による場所及び配向追跡については、米国特許第7,756,576号及び同第7,536,218号(ともに参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。Biosense Webster社(33 Technology Drive,Irvine,CA 92618 USA)によって製造されているCARTOシステムは、上記のような磁気追跡システムを使用する。追跡モジュール58は、磁気ベースの場所及び配向追跡を使用することに限定されない。インピーダンスに基づく追跡又は画像に基づく追跡など、任意の好適な場所及び配向追跡を使用することができる。
【0055】
装置12は、MRIユニット、CTユニットなどのような外部の画像診断モダリティからの画像データを受信することができ、画像を生成及び表示するために、プロセッサ46に組み込まれ得る又はプロセッサ46によって呼び出され得る画像プロセッサを含む。画像データは追跡モジュール58に登録されてもよく、受信されたデータとプローブ20の位置とを組み合わせるユーザインターフェース画面70が、医師14に向けてディスプレイ61上に表示されてもよい。例えば、プローブ20の遠位端22の軌跡が、ディスプレイ61上に表示される患者18の心臓の三次元(3D)表現上に示されてもよい。いくつかの実施形態では、心臓の3D表現は、プローブ20によって実行されたマッピングに基づいて少なくとも部分的に計算されてもよい。
【0056】
電極(複数可)30及び身体表面電極31は、参照により本明細書に組み込まれる、Govariらに発行された米国特許第7,536,218号に教示されるように、アブレーション部位における組織インピーダンスを測定するために使用され得る。
【0057】
モジュールバンク50はまた、力モジュール60、電源モジュール62、灌注モジュール64、及び温度モジュール66を含む。これらモジュールの機能を、以下に説明する。モジュールバンク50におけるモジュール、及びプロセッサ46は、本明細書においては、処理回路51と呼ばれる。
【0058】
力モジュール60は、力センサ26からの信号を受信し、その信号から、遠位端部22によって組織15に及ぼされる接触力の大きさ(本明細書ではグラム単位で測定されることを前提とする)を生成する。一部の実施形態では、力センサ26は、力センサ26が力モジュール60に提供する信号によって、力モジュール60が、遠位端22により組織15に及ぼされる力の方向を評価することができるように構成されている。
【0059】
電源モジュール62は、心筋16の組織15をアブレーションするために電極(複数可)30によって印加される高周波電力を発生させる高周波(RF)信号発生器63を備える。プロセッサ46及び電源モジュール62は、電極(複数可)30によって送達される電力レベル(本明細書ではワット単位で測定されることを前提とする)、及び秒単位で測定される、電力が送達されている間の時間の長さを調節することが可能である。
【0060】
灌注モジュール64は、操作コンソール48内に配設されたポンプ65によって遠位端22に供給される、典型的には生理食塩水である灌注流体の流量(本明細書ではmL/分で測定されることを前提とする)を制御する。プローブ20は、内部を通じて心筋16を灌注する潅注チャネルを含む。灌注流体は、遠位端22にある灌注孔69から放出される。ポンプ65は、アブレーション処置の状態に従って、アイドル速度で、かつ1つ以上の非アイドル速度(アイドル速度よりも高速度)で灌注流体を選択的に、灌注チャネル内に送り込むように構成されている。
【0061】
温度モジュール66は、温度センサ28によって(又は各温度センサ28によって)提供される温度信号を受信する。温度信号は、複数の異なる時点における心筋の温度を示す。温度モジュール66は、センサ28のそれぞれによって登録された温度を決定する。通常、複数のセンサ28の場合、温度モジュール66は、遠位端22の平均温度を判定する。更に、複数のセンサが存在する場合、温度モジュール66は、遠位端22の温度分布のマップを作成することができる。
【0062】
アブレーションは、例えば、限定するものではないが、アブレーションインデックスモード、又はアブレーション電力及び/若しくは灌注速度が、温度センサ28若しくは任意の好適な場所に配設された別の温度センサによって測定される温度若しくは温度の変化率に従って修正される、任意の好適なアブレーションモードに従って実施され得る。これらのいずれのモードも、以下でより詳細に記載される。装置12はまた、RFアブレーションに加えて、非RFアブレーション又は別のタイプのアブレーション、例えば、限定するものではないが、レーザアブレーション、電気穿孔法、及び/又は冷凍アブレーションを実施するように修正されてもよい。
【0063】
当該技術分野において既知のとおり、アブレーションインデックスは、アブレーションが進行するにつれて変化する値を有する関数であり、既知のタイプの組織のアブレーションによって生じる損傷のサイズの推定を提供する。このインデックスによって提供される推定値は、アブレーション中及びアブレーションの時間の間に測定される接触力CF及び電力Pの値に依存する。アブレーションインデックスは、2016 Heart Rhythm Congressで公開された、Husseinらによる「Ablation Index-guided Pulmonary Vein Isolation for Atrial Fibrillation may Improve Clinical Outcomes in Comparison to Contact Force-guided Ablation」と題する記事に、及びBar-Talらによる米国特許出願第2017/0014181号に記載されている。いずれの文書も、参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
以下の式(1)は、アブレーションインデックスを表す。
【0065】
【数1】
式中、Cは、アブレーションされる組織のタイプに応じた値を有する定数である。一実施形態では、Cは、約0.002の値を有し、
αは、典型的には、0.6~0.8の範囲内の値を有する指数であり、
βは、典型的には、1.4~1.8の範囲内の値を有する指数であり、
δは、約0.35の値を有する指数であり、
Dは、時間tの間にアブレーションすることによって達成される損傷の深さの推定値であり、瞬間的接触力CF(τ)及び瞬間的電力P(τ)を用い、ここでは、τは時間変数を表す。
【0066】
接触力及び電力が、一定であると仮定して、時間tを要するアブレーション処置の間のそれぞれの値
【0067】
【数2】
を有する場合、式(1)は、式(2)として書き直すことができる。
【0068】
【0069】
式(2)の左側の値、組織厚さDが(推定、スキャン、又は他の計算から)既知である場合、プロセッサ46は、式(2)の右側を使用して、測定された力CFの値及びCの推定値を使用したアブレーションのための電力P及び時間tの推奨値を医師14に提供することができる。医師14は、組織15をアブレーションするために、電力P及び時間tの推奨値のうちの1つを選択し、これらの値で組織15のアブレーションを終えることができる。
【0070】
アブレーションインデックスは、アブレーション処置の間に使用されるアブレーションの電力及び期間などのパラメータの値を決定する際に、医師を助けるものとして機能する。
【0071】
2018年11月20日に出願されたGovariらの係属中の特許出願第16/196,255号は、測定された温度及び温度の変化率に従って電力及び灌注を調節することを記載している。ここで、複数のサイクルのうちの各サイクルの灌流速度及び電力変化を計算するための例示的な関数を以下に説明する。
【0072】
新しい灌流速度(流量)=currentFlow+deltaFlow(Temp)+deltaFlow(Power)(式1)であり、式中、
currentFlowは、現在の灌流速度であり、
deltaFlow(Temp)=At*ΔT+Bt*TempSlope+Ct*∫ΔT+Dt*avg(ΔT)、かつ
deltaFlow(Power)=Ap*ΔP+Bp*PowerSlope+Cp*∫ΔP+Dp*avg(ΔP)、
ΔTは、TargetTemp(標的温度)とTemp(サンプリングされた温度、なおこれは、サンプルサイクル数サイクル分の平均値であり得る)との間の差であり、
TempSlopeは、サンプリングされた温度の変化率に等しく、平均化されたサンプルから計算することができるものであり、
∫ΔTは、ΔTの積分であり、積分時間範囲は変化してもよく、
avg(ΔT)は、ΔTの平均値であり、
AtはΔTの調整パラメータであり、
Btは、TempSlopeの調整パラメータであり、
Ctは、∫ΔTの調整パラメータであり、
Dtは、avg(ΔT)の調整パラメータであり、
ΔPは、TargetPower(標的電力)とPower(サンプリングされた電力、なお、これはサンプルサイクル数サイクル分の平均値であり得る)との差であり、
PowerSlopeは、サンプリングされた電力の変化率であり、平均化されたサンプルから計算され得るものであり、
∫ΔPは、ΔPの積分であり、積分時間範囲は変化してもよく、
avg(ΔP)は、ΔPの平均値であり、
Apは、ΔPの調整パラメータであり、
Bpは、PowerSlopeの調整パラメータであり、
Cpは、∫ΔPの調整パラメータであり、
Dpは、avg(ΔP)の調整パラメータである。
【0073】
初期灌流速度(流量)は、以下のように計算され得る。
流量=FlowLow+(FlowHigh-FlowLow)/(PowerHigh-PowerLow)*(TargetPower-PowerLow)(式2)であり、式中、
FlowLowは、システムによって提供される最低灌流速度であり、
FlowHighは、システムによって提供される最も高い灌流速度であり、
PowerLowは、システムによって提供される最低電力であり、
PowerHighは、システムによって提供される最高電力である。
【0074】
様々なパラメータの例示的な範囲及び値を以下に示す。しかしながら、値は、以下に示される範囲外であっても、任意の好適な値であってよいということに留意されたい。
【0075】
【0076】
上記の例示的な範囲及び値は、ΔTがTargetTemp(標的温度)からTemp(サンプリングされた温度)を引いたものに等しく、かつΔPがTargetPower(標的電力)からPower(サンプリングされた電力)を減算したものであると仮定したものである。積分のための上記に与えられる例示的な範囲及び値は、積分の下限がゼロ秒である積分のための例示的な上限を指す。Avg(ΔT)及びAvg(ΔP)の例示的な範囲及び値は、平均を算定するための例示的なサンプリング時間範囲を指す。
【0077】
パラメータは浮動小数点数であってもよく、パラメータのいずれも、変化し得る時間的期間にわたって、所望により平均化されていてもよいということに留意されたい。新しい灌流速度は、限定された範囲の浮動小数点数であり得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、アブレーション電力を変化させることができ、その結果、温度センサ(複数可)によって測定される標的温度が維持される。測定された温度に従って異なるアブレーションパラメータを変化させることは、「温度誘導アブレーション」と呼ばれることがある。
【0079】
図3~
図11を参照する以下の説明では、アブレーション処置で使用するための初期設定のアブレーションパラメータセットを提供するための様々な例示的な方法を記載する。アブレーション処置は、
図1及び
図2を参照して上に記載されるように、装置12及びプローブ20を使用して実施され得るか、又は、例えば、1つ若しくは2つ以上のアブレーション電極を含む異なるタイプのアブレーションプローブを使用するか、又はRFアブレーションに加えて若しくはRFアブレーションの代わりに、異なるアブレーション方法を使用して、プローブ20及び操作コンソール48に様々な修正を加えて装置12を使用して実施され得る。追加のアブレーション方法としては、ほんの一例として、レーザアブレーション、電気穿孔法、及び/又は冷凍アブレーションを挙げることができる。アブレーションプローブ20は、生存被験者(例えば、患者18)の心臓の室内の組織15をアブレーションするように構成された少なくとも1つのアブレーション適用要素を含み得る。1つ又は2つ以上のアブレーション適用要素としては、ほんの一例として、アブレーション電極、レーザ装置、及び/又は冷媒チューブを挙げることができる。アブレーションプローブ20は、所望により、
図1及び
図2を参照して上に記載されるように、力センサ、温度センサ、位置センサ、及び灌注システムのうちの1つ又は2つ以上を含み得る。他の実施形態では、アブレーションプローブ20は、
図1及び
図2を参照して上に記載されるセンサに加えて又はその代わりに、他のセンサを含み得る。いくつかの実施形態では、アブレーションプローブ20は、灌注システムを含み得ない。
【0080】
ここで、
図1の装置12で使用するための調製方法における例示的なステップを含むフローチャート70である、
図3を参照する。
【0081】
プロセッサ46は、心臓の室のマップをメモリ43(
図1)に格納する(ブロック72)ように構成されている。マップは、CT、MRI、若しくは他の撮像技術に、又は心臓の室の内側のマッピングプローブを使用して提供されるマッピングに由来し得る。
【0082】
プロセッサ46は、室のマップを異なる領域にセグメント化する(ブロック74)ように構成されている。マップをセグメント化することは、自動的に実施されても、半自動的に実施されても、手動で実施されてもよい。マップをセグメント化することは、
図4~
図7を参照してより詳細に記載される。
【0083】
プロセッサ46は、初期設定のアブレーションパラメータセットを異なる領域の各々に割り当てる(ブロック76)ように構成されている。いくつかの実施形態では、各初期設定のアブレーションパラメータセットは、異なるプローブタイプのための初期設定のアブレーションパラメータ、及び/又はアブレーションプローブ20によって使用される異なるアブレーションモードを含み得る。他の実施形態では、プロセッサ46は、複数の異なるプローブタイプについて、プローブ固有の初期設定のアブレーションパラメータセットを異なる領域の各々に割り当てるように構成されている。初期設定のアブレーションパラメータセットを、アブレーションプローブによって使用されている異なるアブレーションモードに適合させることもできる。例えば、プローブがアブレーションインデックスを使用している場合には、1つの初期設定のアブレーションパラメータセットを回収することができ、プローブが別のアブレーションモードを使用している場合には、別の初期設定のアブレーションパラメータセットを回収することができる。初期設定のアブレーションパラメータセットを異なる領域に割り当てることは、
図6を参照してより詳細に記載される。
【0084】
異なる領域のうちの1つの領域のための初期設定のアブレーションパラメータセットは、ほんの一例として、領域の組織厚さ、アブレーション処置中に温度を追跡するかどうか、アブレーション処置中に使用するためのアブレーションモード、アブレーション処置中に使用するための灌注速度、アブレーション処置中に適用するための電力レベル、アブレーション処置中に適用するための力、アブレーション処置のアブレーション持続時間、アブレーション処置中に使用するためのアブレーションインデックス、標的電力、及び/又は標的温度、のうちのいずれか1つ又は2つ以上を含み得る。
【0085】
アブレーションモードは、ほんの一例として、アブレーションインデックスモード、測定された温度に従ってアブレーション電力を制御すること、交流電流を少なくとも1つのアブレーション適用要素に適用すること、直流電流を少なくとも1つのアブレーション適用要素に適用すること、レーザアブレーション、電気穿孔法、冷凍アブレーション、及び/又は高周波電力アブレーション、のうちのいずれか1つ又は2つ以上から選択され得る。
【0086】
例として、後壁の近くに適用されるアブレーション電力は、プローブによって、又は食道の近くに配設されたセンサを使用するかのいずれかによって測定された温度に従って調節され得る。したがって、温度駆動アブレーションモードは、後壁に対してより好適であり得る一方で、他のアブレーション方法、例えば、アブレーションインデックスは、室の他の領域に使用され得る。別の例として、付属器官のアブレーションは、可能な限り回避されるべきであり、そのため、その領域内の電力又はアブレーションインデックスは、低い値に設定され得る。別の例として、アブレーションインデックス値は、前壁に対してはより高く、後壁に対してはより低く設定され得る。概して、アブレーションインデックス値は、それぞれの領域内の組織の推定された厚さ又は実際の厚さに従って設定され得る。ほんの一例として、潅注速度もまた、他の領域と比較して、後壁に対してより高い値に設定され得る。概して、アブレーション技術は、領域に依存し得、その結果、特定の領域に対して最も効果的なアブレーションモードが、その領域のための初期設定のアブレーションパラメータセット内に含まれる。
【0087】
例えば、後壁、前壁、及び蓋領域のための異なる初期設定の設定は、以下のとおりであり得る。
後壁-90Wのアブレーション電力90W、4秒のアブレーション持続時間、2g以上の接触力、
前壁-35Wのアブレーション電力、550個の単位のアブレーションインデックス閾値、15ml/秒の灌注速度、及び5g以上の接触力、並びに
蓋-45Wのアブレーション電力、450個の単位のアブレーションインデックス閾値、15ml/秒の灌注速度、5g以上の接触力。
【0088】
一部のプローブは所与のアブレーションモード(例えば、温度誘導アブレーション)を実施することができる場合があるが、他のプローブは実施することができないため、異なるプローブタイプのために、初期設定のアブレーションパラメータを上に記載されるように適合させることができる。一部のプローブは、要素(例えば、灌注システム、レーザ、又は冷媒チューブ)を含み得るが、他のプローブは要素を含むことができない。
【0089】
マルチアブレーション適用要素(例えば、複数の電極を有するバルーンカテーテル)のための初期設定のアブレーションパラメータは、アブレーション適用要素のうちの異なる要素のために、異なる初期設定の設定を提供し得る。いくつかの実施形態では、異なるアブレーション適用要素のための初期設定の設定は、異なるアブレーションモードでアブレーションを実施する異なるアブレーション適用要素を含み得る。更なる例が
図11を参照して提供される。
【0090】
プロセッサ46は、室の複数の異なる領域の各々(及び所望により各プローブタイプ)のための異なるそれぞれの初期設定のアブレーションパラメータセットをメモリ43に格納し(ブロック78)、初期設定のアブレーションパラメータセットと領域(及びプローブタイプ)との間にリンクを提供するように構成されている。
【0091】
ここで、
図1の装置12で使用するためのマップセグメント化の概略図である
図4を参照する。
図4は、異なる領域88に分割される前と後の、心臓の室のマップ84の前方
図80及び後方
図82を示す(単純化のために一部のみを標識)。前方
図80及び後方
図82は、プロセッサ46によって、ディスプレイ61(
図1)又は任意の他の好適なディスプレイ上に表示するためにレンダリングされ得る。マップ84の前方
図80及び後方
図82は、2つの別個の二次元(two-dimensional、2D)画像として、又は前方
図80及び後方
図82の両方を含む回転可能な三次元(3D)画像の一部としてレンダリングされ得る。プロセッサ46は、入力デバイス49(
図1)を介してユーザマークアップ86を受信し、ユーザマークアップ86でマップ84を更新する。ユーザマークアップ86は、領域境界90で、マップ84を異なる領域88に分割する(単純化のために一部のみを標識)。
【0092】
ここで、
図1の装置12で使用するための領域指定の概略図である
図5を参照する。次いで、セグメント化されたマップ84は、プロセッサ46によって、ディスプレイ61上に表示されるようにレンダリングされる。次いで、医師14(
図1)は、標識(例えば、蓋、隔膜、僧帽弁など)を追加し、入力デバイス49を使用して領域88の各々に領域指定92を提供することができる。標識は、予め埋め込まれたリスト(例えば、プルダウンリスト)から、及び/又は自由形テキストに基づいて選択され得る。
図5に列挙される領域88は、ほんの一例として、左心房用である。室は、
図5に示される領域88の数よりも多いか又は少ない領域88に分割され得る。
図4及び
図5は、左心房を参照しながら説明されている。本方法を任意の好適な心室のために実装することもできる。
【0093】
ここで、
図1の装置12で使用するためのセグメント化及び領域指定方法における例示的なステップを含むフローチャート100である、
図6を参照する。
【0094】
プロセッサ46(
図1)は、ディスプレイ61(
図1)上にマップ84を表示する(ブロック102)ように構成されている。プロセッサ46は、入力デバイス49(
図1)を介して、室のマップ84のユーザマークアップ86(
図4)を受信して(ブロック104)、マップ84を異なる領域88(
図4及び
図5)に分割するように構成されている。プロセッサ46は、受信したユーザマークアップ86に応答して、室のマップ84を異なる領域88にセグメント化する(ブロック106)ように構成されている。プロセッサ46は、セグメント化されたマップ84を表示する(ブロック108)ように構成されている。マップを補正する必要がある場合、医師14は、ブロック104のステップにおいて、補正されたマークアップを再入力することができる(矢印110)。プロセッサ46は、医師14によって指定されたマップ84の異なる領域88の領域指定92(
図5)を受信する(ブロック112)ように構成されている。プロセッサ46は、領域指定92をマップ84の領域88に割り当てる(ブロック114)ように構成されている。
【0095】
ここで以下に記載されるように、初期設定のアブレーションパラメータを領域88の各々に自動的に、半自動的に、又は手動で割り当てることができる。
【0096】
自動モードでは、プロセッサ46は、領域88の各々の領域指定92に基づいて、初期設定のアブレーションパラメータセットを領域88に自動的に割り当てる(ブロック116)ように構成されている。例えば、隔膜のための以前に格納された初期設定のアブレーションパラメータセットを隔膜領域に割り当てることができるか、又はバルーンカテーテル用のLUPV領域のための以前に格納された初期設定のアブレーションパラメータセットを、バルーンカテーテルで使用するためのLUPV領域に割り当てることができる。
【0097】
半自動モードでは、プロセッサ46は、ブロック116のステップを参照して記載されるように、領域88の各々の領域指定92に基づいて、領域88に自動的に割り当てられた初期設定のアブレーションパラメータセットをディスプレイ61に表示する(ブロック118)ように構成されている。次いで、医師14は、自動的に割り当てられた初期設定のアブレーションパラメータセットを審査し、入力デバイス49を使用して初期設定のアブレーションパラメータセットを更新することができる。プロセッサ46は、初期設定のアブレーションパラメータセットに対するユーザ更新を受信し(ブロック120)、ユーザ更新に従って、初期設定のアブレーションパラメータセットを改正する(ブロック122)ように構成されている。
【0098】
手動モードでは、プロセッサ46は、医師14によって定義された異なる領域88の各々のための、ユーザ定義された初期設定のアブレーションパラメータセットを受信する(ブロック124)ように構成されている。プロセッサ46は、受信したユーザ定義された初期設定のアブレーションパラメータセットの各々の領域指定に応答して、ユーザ定義された初期設定のアブレーションパラメータセットを異なる領域88に割り当てるように構成されている。
【0099】
ここで、
図1の装置12で使用するための代替的なセグメント化及び領域指定方法における例示的なステップを含むフローチャート130である、
図7を参照する。
図7は、心室のセグメント化されたモデルに基づいて、マップ84(
図4及び
図5)をセグメント化するための自動方法及び半自動方法を説明する。プロセッサ46(
図1)は、心室のセグメント化されたモデルを室のマップ84に適用し(ブロック132)、室のセグメント化されたマップ84をもたらすように構成されている。セグメント化されたモデルは、典型的には、医療専門家によって以前に調製された、セグメント化され、標識された心室マップを含むか、又は1人若しくは2人以上の医療専門家によって調製された、以前にセグメント化され、標識された心室マップを対照させることに基づく。プロセッサ46は、モデルがマップ84に一致するまで、モデルを垂直及び水平にスケーリングし、所望により、心室モデルの外周を移動させることを含む、画像処理技術を使用し得る。次いで、プロセッサ46は、モデルの領域境界をマップ84に適用して、室のセグメント化されたマップ84をもたらす。プロセッサ46は、モデル内に含まれる領域の領域指定を、マップ84の対応する領域88に適用する(ブロック134)ように構成されている。
【0100】
いくつかの実施形態によれば、プロセッサ46は、所望により、セグメント化されたマップ84を領域指定で表示する(ブロック136)ように構成されている。次いで、医師14は、マップ84を検査して、領域境界90及び/又は領域指定92に対する補正が必要であるかどうかを決定することができる。プロセッサ46は、入力デバイス49から、セグメント化及び/又は領域指定92に対する少なくとも1つのユーザ補正を受信する(ブロック138)ように構成されている。プロセッサ46は、ユーザ補正(複数可)に応答して、マップ84のセグメント化及び/又は領域指定92を改正する(ブロック140)ように構成されている。プロセッサ46は、補正されたセグメント化されたマップ84を表示する(ブロック142)ように構成されている。ブロック138~142のステップは、後続のユーザ補正を提供するために繰り返されてもよい(矢印144)。
【0101】
初期設定のアブレーションパラメータは、
図6のブロック116~126のステップを参照して上に記載されるように、領域88の各々に自動的に、半自動的に、又は手動で割り当てられ得る。
【0102】
ここで、
図1の装置12で使用するためのアブレーション方法における例示的なステップを含むフローチャート150である、
図8を参照する。
図3を参照して上に記載され、
図4~
図7を参照してより詳細に記載される調製方法を実施した後、アブレーション処置を開始することができる。アブレーションプローブ20の調製及びそれを患者18の心臓の室内に挿入することを、
図1を参照して詳細に説明した。
【0103】
追跡モジュール58は、心臓内のアブレーションプローブ20のアブレーション適用要素(複数可)の位置を追跡する(ブロック152)ように構成されている。追跡モジュール58を、
図1を参照してより詳細に説明した。
【0104】
プロセッサ46は、アブレーション処置の開始を示すユーザ入力を(例えば、入力デバイス49を介して)受信する(ブロック154)ように構成されている。プロセッサ46は、追跡された位置に応答して、アブレーション適用要素(複数可)が接触している室の領域88を識別する(ブロック156)ように構成されている。例えば、アブレーション適用要素(複数可)は、左心房の隔膜と接触し得る。ブロック154のステップのユーザ入力に応答して、プロセッサ46は、識別された領域に割り当てられたそれぞれの初期設定のアブレーションパラメータセットを回収する(ブロック158)ように構成されている。例えば、左心房の隔膜のための初期設定のアブレーションパラメータセットが回収される。いくつかの実施形態では、ブロック154のステップのユーザ入力に応答して、プロセッサ46は、アブレーションプローブのプローブタイプのための識別された領域に割り当てられたプローブ固有の初期設定のアブレーションパラメータセットを回収するように構成されている。例えば、バルーンカテーテルのための左心房の隔膜の初期設定のアブレーションパラメータセットが回収される。
【0105】
プロセッサ46は、アブレーション処置を制御する際に、回収された初期設定のアブレーションパラメータセットを適用する(ブロック160)ように構成されている。ブロック160のステップは、アブレーション処置を制御する際に、回収された初期設定のアブレーションパラメータセットを自動的に許可すること、又はユーザ(例えば、医師14)が、ブロック162及び164のステップを参照して以下により詳細に記載されるアブレーション処置における設定を使用する前に、回収された設定を検査し、設定を改正することを可能にすることを含み得る。
【0106】
したがって、いくつかの実施形態では、プロセッサ46は、ディスプレイ61上に、回収された初期設定のアブレーションパラメータセットを表示し(ブロック162)、入力デバイス49を介して、回収された初期設定のアブレーションパラメータセットに対するユーザ更新を受信して(ブロック164)、更新されたアブレーションパラメータセットをもたらすように構成されている。プロセッサ46は、回収された初期設定のアブレーションパラメータセットに従って(又はブロック164のステップが実施された場合には、更新されたアブレーションパラメータセットに従って)、識別された領域における組織のアブレーションプローブ20によってアブレーションを制御する(ブロック166)ように構成されている。
【0107】
ここで、
図1の装置12で使用するためのバルーンカテーテル168の概略図である、
図9を参照する。バルーンカテーテル168は、バルーンカテーテル168の膨張可能なバルーン172の赤道の周りに配設された多数のアブレーション適用要素170(例えば、アブレーション電極)を含む、アブレーションプローブである。バルーンカテーテル168は、心臓の室内の2つ以上の部位でアブレーションを同時に実施する際に特に効果的である。
【0108】
ここで、
図1の装置12で使用するための、心臓の室内に配設されたバルーンカテーテル168の断面図である、
図10を参照する。アブレーション適用要素170-1のうちのいくつかは、室の第1の組織表面174と共に収縮し、アブレーション適用要素170-2のうちのいくつかは、室の第2の組織表面176と接触しているが、アブレーション適用要素170-3のうちのいくつかは、いずれの組織とも接触していない。更に、第1の組織表面174の組織178は、第2の組織表面176の組織180よりも厚い。したがって、バルーンカテーテル168を作動させてアブレーションを実施する場合、アブレーション適用要素170-1は、アブレーション適用要素170-2よりも高い電力、及び/又はアブレーション適用要素170-2よりも長いアブレーション持続時間で設定されるべきであるが、アブレーション適用要素170-3は一切作動されるべきではない。上記設定を適用することは、医師14にとって非常に困難な場合がある。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態によれば、異なる初期設定のアブレーションパラメータセットは、アブレーション適用要素170の各々の追跡された場所に基づいて、第1の組織表面174と接触しているアブレーションアプリケーション要素170-1、及び第2の組織表面176と接触しているアブレーション適用要素170-2のために回収される。現在いずれの組織とも接触していないアブレーション適用要素170-3は、概して、心室内で追加の熱が生成されることを防止するために作動されない。ここで、上記の方法を、
図11を参照してより詳細に説明する。
【0110】
ここで、
図1の装置で使用するためのマルチアブレーション要素プローブ(例えば、
図9のバルーンカテーテル168、又は任意の他の好適なマルチアブレーション要素プローブ)を使用するアブレーション方法における例示的なステップを含むフローチャート182である、
図11を参照する。
【0111】
追跡モジュール58は、心臓内のマルチアブレーション要素プローブのアブレーション適用要素の各々の位置を追跡する(ブロック184)ように構成されている。プロセッサ46は、アブレーション処置の開始を示すユーザ入力を(例えば、入力デバイス49を介して)受信する(ブロック186)ように構成されている。
【0112】
プロセッサ46は、アブレーション適用要素の各々の追跡された位置に応答して、アブレーション適用要素が接触している室の領域88を識別する(ブロック188)ように構成されている。
【0113】
例えば、プロセッサ46は、追跡された位置に応答して、多数のアブレーション適用要素(例えば、
図10のアブレーション適用要素170-1)のうちの少なくとも第1の要素が接触している室の第1の領域(例えば、第1の組織表面174)を識別するように構成されている。プロセッサ46は、追跡された位置に応答して、多数のアブレーション適用要素(例えば、
図10のアブレーション適用要素170-2)のうちの少なくとも第2の要素が接触している室の第2の領域(例えば、第2の組織表面176)を識別するように構成されている。
【0114】
プロセッサ46は、識別された領域の各々に割り当てられた初期設定のアブレーションパラメータセット(例えば、第1の領域に割り当てられた初期設定のアブレーションパラメータセット、及び第2の領域に割り当てられた初期設定のアブレーションパラメータセット)を回収する(ブロック190)ように構成されている。
【0115】
プロセッサ46は、対応するアブレーション適用要素(例えば、多数のアブレーション適用要素のうちの第1の要素及び第2の要素をそれぞれ)使用して、識別された領域(例えば、第1及び第2の領域)においてアブレーション処置を実施するために、回収された初期設定のアブレーションパラメータセット(例えば、第1及び第2の領域の回収された初期設定のアブレーションパラメータセット)を適用する(ブロック192)ように構成されている。
【0116】
ブロック194及び196のステップは、それぞれ、
図8を参照して上に記載されるブロック162及び164のステップに幅広く対応する。プロセッサ46は、回収された(又は更新された)初期設定のアブレーションパラメータセットに従って、アブレーションを制御する(ブロック198)ように構成されている。
【0117】
本発明の様々に異なる特徴が、明確性のために複数の別個の実施形態として記載されているが、これらが単一の実施形態中に組み合わせて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴が、別々に又は任意の適切な部分的組み合わせとして提供されてもよい。
【0118】
上に記載される実施形態は、例として引用されており、本発明は、上に特に図示及び記載されたものによって限定されない。むしろ、本発明の範囲は、上に記載される様々な特徴の組み合わせ及び副組み合わせの両方、並びに前述の記載を読むと当業者が思い付くであろう先行技術に開示されていないその変形及び修正を含む。
【0119】
〔実施の態様〕
(1) 心臓アブレーションシステムであって、
生存被験者の心臓の室内の組織をアブレーションするように構成された少なくとも1つのアブレーション適用要素を含む、アブレーションプローブと、
前記心臓内の前記少なくとも1つのアブレーション適用要素の位置を追跡するように構成された追跡モジュールと、
前記心臓の前記室のマップを格納するように、かつ前記室の複数の異なる領域の各々に対して、異なるそれぞれの初期設定のアブレーションパラメータセットを格納するように構成されたメモリと、
処理回路機構と、を備え、前記処理回路機構が、
前記室の前記マップを前記異なる領域にセグメント化することと、
アブレーション処置の開始を示すユーザ入力を受信することと、
前記追跡された位置に応答して、前記少なくとも1つのアブレーション適用要素が接触している前記室の領域を識別することと、
前記ユーザ入力に応答して、前記識別された領域に割り当てられた前記それぞれの初期設定のアブレーションパラメータセットを回収することと、
前記アブレーション処置を制御する際に、前記回収された初期設定のアブレーションパラメータセットを適用することと、を行うように構成されている、心臓アブレーションシステム。
(2) 前記処理回路機構が、心室のセグメント化されたモデルを前記室の前記マップに適用して、前記室のセグメント化されたマップをもたらすように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記処理回路機構が、
前記セグメント化されたマップのセグメント化に対する少なくとも1つのユーザ補正を受信することと、
前記受信された少なくとも1つのユーザ補正に応答して、前記セグメント化されたマップを改正することと、を行うように構成されている、実施態様2に記載のシステム。
(4) 前記処理回路機構が、
前記室の前記マップのユーザマークアップを受信して、前記マップを前記異なる領域に分割することと、
前記受信したユーザマークアップに応答して、前記室の前記マップを前記異なる領域にセグメント化することと、を行うように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記処理回路機構が、
前記異なる領域の各々に対して、ユーザ定義された初期設定のアブレーションパラメータセットを受信することと、
前記受信したユーザ定義された初期設定のアブレーションパラメータセットの各々の領域指定に応答して、前記ユーザ定義された初期設定のアブレーションパラメータセットを前記異なる領域に割り当てることと、を行うように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0120】
(6) 前記処理回路機構が、前記回収された初期設定のアブレーションパラメータセットに従って、前記識別された領域における前記組織の前記アブレーションプローブによるアブレーションを制御するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記処理回路機構が、
前記回収された初期設定のアブレーションパラメータセットに対するユーザ更新を受信して、更新されたアブレーションパラメータセットをもたらすことと、
前記更新されたアブレーションパラメータセットに従って、前記識別された領域における前記組織の前記アブレーションプローブによるアブレーションを制御することと、を行うように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記処理回路機構が、
複数の異なるプローブタイプについて、プローブ固有の初期設定のアブレーションパラメータセットを前記異なる領域の各々に割り当てることと、
前記ユーザ入力に応答して、前記アブレーションプローブのプローブタイプについて、前記識別された領域に割り当てられた前記プローブ固有の初期設定のアブレーションパラメータセットを回収することと、を行うように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記アブレーションプローブが、多数のアブレーション適用要素を含み、
前記処理回路機構が、
前記追跡された位置に応答して、前記多数のアブレーション適用要素のうちの少なくとも第1の要素が接触している前記室の第1の領域を識別することと、
前記追跡された位置に応答して、前記多数のアブレーション適用要素のうちの少なくとも第2の要素が接触している前記室の第2の領域を識別することと、
前記第1の領域に割り当てられた前記初期設定のアブレーションパラメータセット、及び前記第2の領域に割り当てられた前記初期設定のアブレーションパラメータセットを回収することと、
前記多数のアブレーション適用要素のうちの前記第1の要素及び前記第2の要素をそれぞれ使用して、前記第1及び第2の領域において前記アブレーション処置を実施するために、前記第1及び第2の領域の前記回収された初期設定のアブレーションパラメータセットを適用することと、を行うように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(10) 前記異なる領域のうちの1つの領域に対する前記初期設定のアブレーションパラメータセットが、前記1つの領域の組織厚さ、前記アブレーション処置中に温度を追跡するかどうか、前記アブレーション処置中に使用するためのアブレーションモード、前記アブレーション処置中に使用するための灌注速度、前記アブレーション処置中に適用するための電力レベル、前記アブレーション処置中に適用するための力、前記アブレーション処置のアブレーション持続時間、前記アブレーション処置中に使用するためのアブレーションインデックス、標的電力、及び標的温度、のうちのいずれか1つ又は2つ以上を含む、実施態様1に記載のシステム。
【0121】
(11) 前記アブレーションモードが、アブレーションインデックスモード、測定された温度に従ってアブレーション電力を制御すること、交流電流を前記少なくとも1つのアブレーション適用要素に適用すること、直流電流を前記少なくとも1つのアブレーション適用要素に適用すること、レーザアブレーション、電気穿孔法、冷凍アブレーション、高周波電力アブレーション、のうちのいずれか1つ又は2つ以上から選択される、実施態様10に記載のシステム。
(12) 心臓アブレーション方法であって、
生存被験者の心臓の室内の組織をアブレーションするように構成されたアブレーションプローブの少なくとも1つのアブレーション適用要素の位置を追跡することと、
前記心臓の前記室のマップを格納することと、
前記室の複数の異なる領域の各々に対して、異なるそれぞれの初期設定のアブレーションパラメータセットを格納することと、
前記室の前記マップを前記異なる領域にセグメント化することと、
アブレーション処置の開始を示すユーザ入力を受信することと、
前記追跡された位置に応答して、前記少なくとも1つのアブレーション適用要素が接触している前記室の領域を識別することと、
前記ユーザ入力に応答して、前記識別された領域に割り当てられた前記それぞれの初期設定のアブレーションパラメータセットを回収することと、
前記アブレーション処置を制御する際に、前記回収された初期設定のアブレーションパラメータセットを適用することと、を含む、心臓アブレーション方法。
(13) 心室のセグメント化されたモデルを前記室の前記マップに適用して、前記室のセグメント化されたマップをもたらすことを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記セグメント化されたマップのセグメント化に対する少なくとも1つのユーザ補正を受信することと、
前記少なくとも1つのユーザ補正を前記受信することに応答して、前記セグメント化されたマップを改正することと、を更に含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記室の前記マップのユーザマークアップを受信して、前記マップを前記異なる領域に分割することと、
前記ユーザマークアップを前記受信することに応答して、前記室の前記マップを前記異なる領域にセグメント化することと、を更に含む、実施態様12に記載の方法。
【0122】
(16) 前記異なる領域の各々に対して、ユーザ定義された初期設定のアブレーションパラメータセットを受信することと、
前記受信したユーザ定義された初期設定のアブレーションパラメータセットの各々の領域指定に応答して、前記ユーザ定義された初期設定のアブレーションパラメータセットを前記異なる領域に割り当てることと、を更に含む、実施態様12に記載の方法。
(17) 前記回収された初期設定のアブレーションパラメータセットに従って、前記識別された領域における前記組織の前記アブレーションプローブによるアブレーションを制御することを更に含む、実施態様12に記載の方法。
(18) 前記回収された初期設定のアブレーションパラメータセットに対するユーザ更新を受信して、更新されたアブレーションパラメータセットをもたらすことと、
前記更新されたアブレーションパラメータセットに従って、前記識別された領域における前記組織の前記アブレーションプローブによるアブレーションを制御することと、を更に含む、実施態様12に記載の方法。
(19) 複数の異なるプローブタイプについて、プローブ固有の初期設定のアブレーションパラメータセットを前記異なる領域の各々に割り当てることと、
前記ユーザ入力に応答して、前記アブレーションプローブのプローブタイプについて、前記識別された領域に割り当てられた前記プローブ固有の初期設定のアブレーションパラメータセットを回収することと、を更に含む、実施態様12に記載の方法。
(20) 前記アブレーションプローブが、多数のアブレーション適用要素を含み、
前記方法が、
前記追跡された位置に応答して、前記多数のアブレーション適用要素のうちの少なくとも第1の要素が接触している前記室の第1の領域を識別することと、
前記追跡された位置に応答して、前記多数のアブレーション適用要素のうちの少なくとも第2の要素が接触している前記室の第2の領域を識別することと、
前記第1の領域に割り当てられた前記初期設定のアブレーションパラメータセット、及び前記第2の領域に割り当てられた前記初期設定のアブレーションパラメータセットを回収することと、
前記多数のアブレーション適用要素のうちの前記第1の要素及び前記第2の要素をそれぞれ使用して、前記第1及び第2の領域において前記アブレーション処置を実施するように、前記第1及び第2の領域の前記回収された初期設定のアブレーションパラメータセットを適用することと、を更に含む、実施態様12に記載の方法。
【0123】
(21) 前記異なる領域のうちの1つの領域に対する前記初期設定のアブレーションパラメータセットが、前記1つの領域の組織厚さ、前記アブレーション処置中に温度を追跡するかどうか、前記アブレーション処置中に使用するためのアブレーションモード、前記アブレーション処置中に使用するための灌注速度、前記アブレーション処置中に適用するための電力レベル、前記アブレーション処置中に適用するための力、前記アブレーション処置のアブレーション持続時間、前記アブレーション処置中に使用するためのアブレーションインデックス、標的電力、及び標的温度、のうちのいずれか1つ又は2つ以上を含む、実施態様12に記載の方法。
(22) 前記アブレーションモードが、アブレーションインデックスモード、測定された温度に従ってアブレーション電力を制御すること、交流電流を前記少なくとも1つのアブレーション適用要素に適用すること、直流電流を前記少なくとも1つのアブレーション適用要素に適用すること、レーザアブレーション、電気穿孔法、冷凍アブレーション、高周波電力アブレーション、のうちのいずれか1つ又は2つ以上から選択される、実施態様21に記載の方法。
(23) プログラム命令が格納される非一時的なコンピュータ可読媒体を含むソフトウェア製品であって、前記命令が中央処理装置(CPU)によって読み取られると、前記CPUに、
生存被験者の心臓の室内の組織をアブレーションするように構成されたアブレーションプローブの少なくとも1つのアブレーション適用要素の位置を追跡することと、
前記心臓の前記室のマップを格納することと、
前記室の複数の異なる領域の各々に対して、異なるそれぞれの初期設定のアブレーションパラメータセットを格納することと、
前記室の前記マップを前記異なる領域にセグメント化することと、
アブレーション処置の開始を示すユーザ入力を受信することと、
前記追跡された位置に応答して、前記少なくとも1つのアブレーション適用要素が接触している前記室の領域を識別することと、
前記ユーザ入力に応答して、前記識別された領域に割り当てられた前記それぞれの初期設定のアブレーションパラメータセットを回収することと、
前記アブレーション処置を制御する際に、前記回収された初期設定のアブレーションパラメータセットを適用することと、を行わせる、ソフトウェア製品。
【外国語明細書】