(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147642
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】手書き入力装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04883 20220101AFI20241008BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241008BHJP
G02F 1/1673 20190101ALI20241008BHJP
G02F 1/167 20190101ALI20241008BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20241008BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G06F3/04883
G09F9/00 366Z
G02F1/1673
G02F1/167
G02F1/13 102
G02F1/1333
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024110955
(22)【出願日】2024-07-10
(62)【分割の表示】P 2021565375の分割
【原出願日】2020-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2019227249
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】小野田 直人
(72)【発明者】
【氏名】大川 健一
(57)【要約】
【課題】手書き入力に基づいて表示される情報と、その表示される情報に対応する電子データとを対応付けて確実に管理することができる手書き入力装置を提供する。
【解決手段】手書き入力された情報を表示する表示部と、手書き入力された情報に対応した位置を検出する位置検出センサと、手書き入力された情報に対応した電子データを記憶するメモリと、メモリに記憶された電子データを外部装置に送出する送信回路と、制御回路を備える。手書き入力された情報は、使用者の所定の操作に対応して、一括して視覚的に消去可能とされている。制御回路は、所定の操作に対応してメモリに記憶されている電子データを送信回路を介して外部装置に送信し、送信後、メモリから電子データを消去する。電子データが外部装置へ送信ができないときには、電子データに対して、区切り情報を設定し、区切り情報が設定された電子データは消去されないように制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面を備え、前記表示面上で手書き入力された情報を表示する表示部と、
位置検出領域が前記表示面の表示領域と重畳するように配置された、前記手書き入力された情報に対応した位置を検出する位置検出センサと、
前記位置検出センサで検出された前記手書き入力された情報に対応した位置に基づいた電子データを記憶するメモリと、
前記メモリに記憶された電子データを外部装置に送出する送信回路と、
前記メモリに記憶された電子データを前記送信回路を介して前記外部装置に送出する制御を行う制御回路を備えた手書き入力装置であって、
前記表示部は、前記表示面上での手書き入力操作に対応して前記手書き入力された情報を前記表示面に表示するように構成されているとともに、前記表示面に表示された前記手書き入力された情報は、使用者の所定の操作に対応して、一括して視覚的に消去可能に構成されており、
前記制御回路は、前記送信回路を介した前記外部装置への送信が可能かどうかを確認し、前記外部装置への送信が可能である場合に、前記所定の操作に対応して前記メモリに記憶されている電子データを、前記送信回路を介して前記外部装置に送信し、前記送信後、前記メモリから前記電子データを消去するように構成されており、
さらに、
前記制御回路は、前記送信回路を介して前記電子データが前記外部装置へ送信ができないときには、前記表示面上での手書き入力操作に対応した電子データに対して、前記所定の操作に対応した区切り情報を設定し、前記区切り情報が設定された電子データは消去されないように制御する
ことを特徴とする手書き入力装置。
【請求項2】
前記所定の操作は、前記手書き入力装置に設けられた前記手書き入力装置への電源供給を制御する操作子に対する操作である
ことを特徴とする請求項1に記載の手書き入力装置。
【請求項3】
前記手書き入力装置への電源供給を制御する第1の操作子を備えており、
前記所定の操作は、前記電源供給を制御する前記第1の操作子とは異なる第2の操作子による前記表示部の前記表示面に表示された情報を視覚的に消去する操作である
ことを特徴とする請求項1に記載の手書き入力装置。
【請求項4】
前記所定の操作は、前記位置検出センサによる位置検出領域の端部に対して実行される操作である
ことを特徴とする請求項1に記載の手書き入力装置。
【請求項5】
前記所定の操作は、ジェスチャ操作である
ことを特徴とする請求項4に記載の手書き入力装置。
【請求項6】
前記手書き入力装置に電源が供給されている状態において、前記手書き入力装置への電源供給制御のための前記操作子の操作とは異なる前記操作子の操作によって前記所定の操作が実行される
ことを特徴とする請求項2に記載の手書き入力装置。
【請求項7】
前記操作子を第1の時間長操作することで前記手書き入力装置への電源供給が制御されるように構成されており、
前記操作子を前記第1の時間長よりも短い第2の時間長操作することで前記所定の操作が実行される
ことを特徴とする請求項6に記載の手書き入力装置。
【請求項8】
前記第2の操作子への操作は、前記位置検出センサによって検出される
ことを特徴とする請求項3に記載の手書き入力装置。
【請求項9】
前記位置検出センサは所定の圧力を検出可能なセンサであり、前記第2の操作子への操作は前記所定の圧力が検出されることで認識される
ことを特徴とする請求項8に記載の手書き入力装置。
【請求項10】
前記位置検出センサによって検出される前記第2の操作子への操作は、前記位置検出センサによる位置検出領域の端部に対して実行される
ことを特徴とする請求項8に記載の手書き入力装置。
【請求項11】
前記表示部の前記表示面に対応して微小磁石が配設されており、
手書き入力操作に対応して前記微小磁石の配向を変化させることで前記表示面に表示された情報を視覚的に表示可能とするとともに、前記微小磁石の配向を同一の方向に変化させる表示消去操作子を備えており、
前記所定の操作とは、前記表示消去操作子による操作である
ことを特徴とする請求項1に記載の手書き入力装置。
【請求項12】
前記表示消去操作子とは異なる、前記位置検出センサへの電源供給を制御する操作子が備えられている
ことを特徴とする請求項11に記載の手書き入力装置。
【請求項13】
前記表示部には前記表示面に対向して液晶層が配設されており、
前記表示面に印加された圧力に対応した前記液晶層の液晶分子の配列変化によって前記情報が前記表示面に形成及び保持されるように構成されており、
前記液晶層に対して所定の電圧を印加することで前記液晶層の液晶分子を所定の配列に整列させて前記表示面に表示された情報を消去する情報消去操作子が備えられており、
前記操作子の操作とは、前記情報消去操作子による操作である
ことを特徴とする請求項1に記載の手書き入力装置。
【請求項14】
前記制御回路は、前記メモリに記憶されている電子データが前記送信回路を介して前記外部装置へ送信できない状態であるときには、前記所定の操作に対応して前記表示面に表示された情報を視覚的に保持するように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の手書き入力装置。
【請求項15】
前記送信回路を介した前記外部装置への送信が可能かどうかの確認は、前記送信回路と前記外部装置との間で行われるペアリング手続に基づいて行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の手書き入力装置。
【請求項16】
前記制御回路は、前記所定の操作に対応して、前記メモリに記憶されている電子データに区切り情報を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の手書き入力装置。
【請求項17】
前記手書き入力装置の状態を報知する少なくとも1個の半導体発光素子を含んで構成された状態報知回路を備えており、
前記1つの半導体発光素子は複数の発色が可能な構成及び複数種類の点灯態様が選択可能な構成の少なくとも1つの構成を備えており、
前記手書き入力装置の動作状態及び前記メモリに記憶される電子データの記憶状態を、前記半導体発光素子の互いに異なった呈示で行うように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の手書き入力装置。
【請求項18】
前記状態報知回路は、前記送信回路を介した前記外部装置への送信が可能かどうかに対応して、前記手書き入力装置の動作状態及び前記メモリに記憶される電子データの記憶状態を、前記半導体発光素子の互いに異なった呈示で行うように構成されていることを特徴とする請求項17に記載の手書き入力装置。
【請求項19】
前記状態報知回路で呈示される前記メモリに記憶される電子データの記憶状態とは、メモリに記憶された電子データが外部機器に送出された状態及び電子データがメモリに保持されている状態である
ことを特徴とする請求項17または請求項18に記載の手書き入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、手書き入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙にボールペンや鉛筆などの筆記具で手書き入力を行う代わりに、電子ペンによる指示位置を検出する位置検出センサを備えた位置検出装置部を有するタブレット端末などの入力装置に、電子ペンを用いて入力することで、入力した手書き情報を電子データとして記憶することが、ペーパーレス化の要求に伴い、一般的になってきている。
【0003】
この場合に、電子ペンにより入力された手書き情報が、使用者により視認で確認できるようにすることが求められる。そのため、タブレット端末では、位置検出センサに重畳して表示パネルを配設すると共に表示制御回路を設け、表示制御回路が、位置検出装置部で検出した電子ペンの指示位置の座標データに対応する表示画像(筆記軌跡等)を表示パネルに確認表示するように制御する。
【0004】
この場合に、表示パネルとしては、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electroluminescence)ディスプレイが用いられる。
【0005】
しかし、以上のようなタブレット端末は、手書き筆記情報を、位置検出装置部で検出した電子ペンによる指示位置の座標情報に基づいて表示する表示パネルと表示制御回路を設ける必要があるので、コスト高となるいう問題があった。
【0006】
一方、例えば特許文献1(特開2018-37033号公報)には、位置検出センサを備えた位置検出装置部を内部に収納した板状のボードの上に、位置検出センサと重畳するように用紙をクリップ止めできるように構成したボード装置と、ボールペン機能などの筆記具機能を備えると共に、位置検出センサと信号をインタラクションする電子ペンとからなる手書き入力装置が提案されている。
【0007】
この手書き入力装置においては、電子ペンの筆記具機能により用紙に手書き入力すると、その手書き入力された筆記軌跡の座標情報が、位置検出センサを通じて位置検出装置部で検出され、その検出された座標情報は、例えばパソコンなどに出力されて利用される。
【0008】
この手書き入力装置によれば、電子ペンの筆記具機能が用いられて手書き入力された筆記軌跡は用紙に描かれるので、上述したような手書き情報の確認表示のための表示パネルは不要になり、コストを低減することができて、非常に便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の手書き入力装置では、電子ペンがボールペン機能などの筆記具の機能を、電子ペンの機能の他に別途備える必要があり、電子ペンの構成が複雑かつ、高コストになるという問題がある。また、特許文献1の手書き入力装置では、手書き入力による筆記跡が形成された用紙を保存する用途には便利であるが、用紙の保存を必要としない用途の場合には、適宜、用紙の交換が必要となり、面倒であるという問題がある。
【0011】
ところで、手書き入力された文字や描画像などの情報(画像情報)を表示面に表示することが可能であると共に、その表示されている情報を、電気的に消去可能な手書き入力対応の表示ボードが知られている。例えば、感圧コレステリック液晶を用いた表示ボードが既に市販されている(例えば、Improv Electrinics社製の感圧コレステリック液晶タブレット「Boogie Board(登録商標)」など)。
【0012】
この表示ボードは、コレステリック液晶層に低電圧パルス電圧を印可するボタンを押すことで、表示面に表示されている画像を、瞬時に一括して消去することができるという利点を有する。すなわち、ボタンを押下することで、用紙を交換したのと同様の効果を得ることが可能である。
【0013】
そして、この表示ボードを用いれば、電子ペンに特許文献1のような筆記具の機能を設けなくなくても、電子ペンのペン先で第1の基板に圧力を加えることで、つまり、筆記入力あるいは描画入力をすることで、表示面に手書き入力された情報を表示することができる。
【0014】
そこで、この種の表示ボードを、電子ペンによる指示位置を検出する位置検出センサと組み合わせることで、特許文献1の手書き入力装置のような用紙の交換が不要になり、また、電子ペンの構成として筆記具の機能を設けることが不要となる手書き入力装置を実現できる。
【0015】
この場合に、この手書き入力装置は、位置検出センサで検出した電子ペンにより表示ボードに筆記したり描画したりしたときの電子データを一時的に記憶するメモリを備え、適宜のタイミングで、メモリに記憶している電子データを、パソコンなどの外部装置に転送するようにする。電子データには、電子ペンにより表示面上で筆記したり描画したりしたときの表示面上の位置座標データや、筆圧データなどが含まれる。
【0016】
この種の手書き入力装置では、表示ボードの1ページ分の表示情報と、その表示情報に対応する電子データとを対応付けて管理できるようにすることが重要であるが、それをどのようにして実現するかが問題となる。
【0017】
例えば、上記の表示情報の消去用の操作ボタンと、メモリに記憶している電子データの送信ボタンとを別々に設けた場合、表示情報の1ページ分と、送信されるメモリの電子データとの対応が取れなくなる場合が生じる。すなわち、消去用の操作ボタンを操作して、表示面の表示情報を消去した後、その電子データを送信する前に、表示ボードに手書き入力を開始してしまうと、その入力された画像に対応する電子データが、メモリに記憶されて、前のページの画像に対応する電子データに重畳されて記憶されてしまう。
【0018】
また、消去用の操作ボタンを操作して、表示面に表示されていた情報を消去したが、送信ボタンの操作をし忘れてしまうこともある。さらに、送信ボタンを操作して、メモリに記憶していた電子データを送信したつもりで、メモリ内容を消去したが、通信状況に不具合があったり、送信相手との通信の接続ができておらず、通信相手のパソコンなどに送信データが届いていないという状況が生じる場合も考慮する必要がある。そのような事態になると、表示ボードに表示されていた情報に対応する電子データは消失してしまい、復元が不可能となってしまう。
【0019】
この発明は、以上の問題点に鑑み、手書き入力に基づいて表示される情報と、その情報に対応する電子データとを対応付けて確実に管理することができるようにした手書き入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の課題を解決するために、
表示面を備え、前記表示面上で手書き入力された情報を表示する表示部と、
位置検出領域が前記表示面の表示領域と重畳するように配置された、前記手書き入力された情報に対応した位置を検出する位置検出センサと、
前記位置検出センサで検出された前記手書き入力された情報に対応した位置に基づいた電子データを記憶するメモリと、
前記メモリに記憶された電子データを外部装置に送出する送信回路と、
前記メモリに記憶された電子データを前記送信回路を介して前記外部装置に送出する制御を行う制御回路を備えた手書き入力装置であって、
前記表示部は、前記表示面上での手書き入力操作に対応して前記手書き入力された情報を前記表示面に表示するように構成されているとともに、前記表示面に表示された前記手書き入力された情報は、使用者の所定の操作に対応して、一括して視覚的に消去可能に構成されており、
前記制御回路は、前記送信回路を介した前記外部装置への送信が可能かどうかを確認し、前記外部装置への送信が可能である場合に、前記所定の操作に対応して前記メモリに記憶されている電子データを、前記送信回路を介して前記外部装置に送信し、前記送信後、前記メモリから前記電子データを消去するように構成されており、
さらに、
前記制御回路は、前記送信回路を介して前記電子データが前記外部装置へ送信ができないときには、前記表示面上での手書き入力操作に対応した電子データに対して、前記所定の操作に対応した区切り情報を設定し、前記区切り情報が設定された電子データは消去されないように制御する
ことを特徴とする手書き入力装置を提供する。
【0021】
上述の構成の手書き入力装置においては、使用者が表示面で手書き入力を行うと、その手書き入力された情報が、表示面に表示される。そして、この表示面に表示された手書き入力情報は、使用者の所定の操作に基づいて、一括して視覚的に消去可能とされている。
【0022】
そして、表示部の表示面の表示領域と重畳するように位置検出センサが配設されているので、使用者により手書き入力された位置が当該位置検出センサで検出され、その検出された位置の情報に基づいた電子データがメモリに記憶される。
【0023】
そして、使用者により、表示部に表示されている情報を視覚的に消去するための所定の操作がなされたときには、制御回路は、送信回路を通じた外部装置への送信が可能である場合には、メモリに記憶されている電子データを送信回路を通じて送信する。そして、送信後に、メモリに記憶されている電子データを消去する。
【0024】
上述の構成の手書き入力装置によれば、表示面に表示されている情報を視覚的に消去するための所定の操作がなされたことに基づき、メモリの電子データは、外部装置に送信された後に消去される。したがって、その後、表示面に新たに手書き入力されたときには、メモリには、それ以前の手書き入力情報の電子データが消去されて存在しないので、前の手書き入力情報に対応する電子データに、新たな手書き入力情報の電子データが重畳されてしまうことが回避される。
【0025】
そして、外部装置では、手書き入力装置での所定の操作に基づいて送られてくる電子データを、当該手書き入力装置の表示面に表示されていた情報の電子データとして、容易に管理することができる。例えば、外部装置では、電子データにページ番号を付与するなどして、ページ単位で管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】この発明による手書き入力装置の第1の実施形態を用いたシステムの構成例を説明するための図である。
【
図2】この発明による手書き入力装置の第1の実施形態の表示部の構成例を説明するための図である。
【
図3】この発明による手書き入力装置の第1の実施形態の構成例を説明するための分解斜視図である。
【
図4】この発明による手書き入力装置の第1の実施形態の電気的構成例を説明するための図である。
【
図5】この発明による手書き入力装置の第1の実施形態の動作の流れを説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図6】この発明による手書き入力装置の第1の実施形態の動作の流れを説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図7】この発明による手書き入力装置の第1の実施形態の動作の流れを説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図8】この発明による手書き入力装置の第1の実施形態の動作の流れを説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図9】この発明による手書き入力装置の第2の実施形態の構成例を説明するための図である。
【
図10】この発明による手書き入力装置の実施形態を用いたシステムの構成例を説明するための図である。
【
図11】この発明による手書き入力装置の実施形態の表示部の他の構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明による手書き入力装置の実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0028】
[第1の実施形態]
図1は、この発明による手書き入力装置の実施形態を含む手書き情報管理システムの一例の構成例の概要を示す図である。この手書き情報管理システムは、この発明の第1の実施形態の手書き入力装置1と、この手書き入力装置1に対して手書き情報を入力するための電子ペン2と、手書き入力装置1と通信を行うことが可能なモバイル端末3と、モバイル端末3と通信が可能であり、手書き入力情報を管理するサーバ装置を構成するパーソナルコンピュータ(以下パソコンという)4とからなる。
【0029】
手書き入力装置1は、電子ペン2を用いた使用者による手書き入力情報を受け付けるもので、手書き入力された情報を、筆記軌跡画像や描画画像などの画像として使用者に視覚的に提示(表示)すると共に、手書き入力された情報の電子データを生成してメモリに一時記憶し、適時のタイミングでメモリに記憶されている電子データをモバイル端末3に転送する機能を備える。
【0030】
手書き入力装置1は、外観が矩形の薄型の板状形状に構成されている。
図3は、この実施形態の手書き入力装置1のハードウエア構成例を説明するための分解構成図である。
図3に示すように、手書き入力装置1は、手書き入力される面側を上面側として、上面に直交する方向において、上から順番に、表示ボード部11(
図3(A))と、電子ペン2によって指示される位置を検出するための位置検出センサ12(
図3(B))と、シールドシート13(
図3(C))と、ケース14(
図3(D))とを備える。
【0031】
ケース14は、例えば合成樹脂や金属などにより形成され、上面は開口部となっている収納空間14aを備える薄い箱型に構成される。このケース14の収納空間14a内に、表示ボード部11、位置検出センサ12及びシールドシート13が、互いに重ねられるように収納される。
【0032】
表示ボード部11は、表示部の例であり、使用者により手書き入力された筆記情報や描画情報などの情報を、当該手書き入力に応じた物理的な現象変化により画像として表示する表示面11Dを備える。以下の説明では、表示面11Dに表示される情報は、表示面11Dに表示される画像と称する。
【0033】
この表示ボード部11の表示面11Dに表示されていた画像は、手書き入力装置1に対して所定の操作がなされると、表示面11Dの全表示領域に表示されていた画像を視覚的に一括して消去することができる構成とされている。
【0034】
この実施形態では、表示ボード部11は、感圧コレステリック液晶層を用いた構成とされている。
図2は、表示ボード部11の一部断面図を示すものである。表示ボード部11においては、2枚の可撓性の透明基板111及び112が所定の空隙を介して配設されている。これらその2枚の透明基板111及び112の互いに対向する面には、それぞれ、電極113及び114が配設されている。そして、2枚の透明基板111及び112の電極113及び114の間の空隙に、感圧コレステリック液晶層115が配設されて構成されている。表示面11Dは、この例では、透明基板111の上面となる。したがって、感圧コレステリック液晶層115は、表示面11Dに対向して配設されている。
【0035】
この表示ボード部11において、表示面11Dに、
図2に示すように電子ペン2のペン先などにより圧力が印可されると、可撓性の透明基板111及び112がひずみ、印可された圧力に対応してコレステリック液晶層115の液晶分子の配列変化を引き起こす。すると、圧力が印可されて配列変化が生じた位置の液晶の反射率が変化して、目に見える画像として表示ボード部11に形成及び保持され、表示面11Dに視覚的に視認可能な画像として現れる。こうして、表示ボード部11には、圧力が印可された部位の液晶の反射率が変化することで、電力消費無して、画像が形成されて、表示面11Dに表示され、液晶の双安定性により維持される。なお、表示ボード部11は、電子ペン2以外のもので表示面11Dに圧力が印可されることによっても、画像を形成して表示するものである。
【0036】
そして、この表示ボード部11は、電極113及び114間に低パルス電圧を印可すると、感圧コレステリック液晶層115の液晶分子が所定の配列に整列させられ、これにより、表示面11Dに保持されていた画像が一括して視覚的に消去される。
【0037】
位置検出センサ12は、この例では、表示ボード部11の裏側に、表示面11Dの表示領域と、位置検出センサ12の位置検出領域が互いに重なる状態で重畳されて設けられる。したがって、表示ボード部11の表示面11Dは、位置検出センサ12に対する位置指示入力の入力面も兼用する。
【0038】
位置検出センサ12は、手書き入力されたときの電子ペン2のペン先の位置を検出し、その位置検出座標を時系列データとして、手書き入力された情報に対応する電子データを生成するように構成されている。位置検出センサ12は、この例では、電磁誘導方式の位置検出センサが用いられる。この位置検出センサ12の構成の詳細については後述するが、電子ペン2に対して信号を送信したり、電子ペン2からの信号を受信したりする多数のループコイルを備えて構成されている。
【0039】
シールドシート13は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化亜鉛、酸化錫などにより形成された導電性シートに磁性材料で構成される電磁シートが張り合わされているもので、位置検出センサ12への不要な信号の混入を防止すると共に、位置検出センサ12から発生する磁束の漏れをなくす役割をする。シールドシート13は、位置検出センサ12の、指示入力面を兼用する表示面11D側とは反対側の面の全面を覆うように設けられる。
【0040】
そして、
図3(C)において、シールドシート13と共に示したように、シールドシート13の位置検出センサ12と反対側には、電子回路部を構成する位置検出回路30と装置コントロール回路40とが設けられる。位置検出回路30は、位置検出センサ12からの出力に基づいて、電子ペン2により指示された位置の座標データや筆圧情報等を含む電子データを形成するものである。
【0041】
装置コントロール回路40は、位置検出回路30で生成された電子データを、メモリに一時格納し、適時のタイミングで、記憶している電子データをモバイル端末3に送出する制御機能を実現する。このため、装置コントロール回路40は、後述するように、メモリと送信回路とを含み、その送信回路に対して送信アンテナATが設けられている。送信回路は、この例では、ブルートゥース(登録商標)規格の近距離無線通信を行う通信部の構成とされ、手書き入力装置1とモバイル端末3とは、この近距離無線通信により無線通信路を通じた通信を行う。送信アンテナATは、モバイル端末3に対して電子データを適切に送信できるように、シールドシート13によって覆われる領域の外に設けられる。
【0042】
また、装置コントロール回路40は、表示ボード部11の表示面11Dに表示されている画像を消去するための低電圧パルスを発生する消去用回路を備え、この消去用回路からの低電圧パルスによる表示面11Dに表示されている画像の消去タイミングを制御する。
【0043】
そして、この第1の実施形態の手書き入力装置1は、
図1及び
図3(A)に示すように、操作ボタン21を備える。この操作ボタン21は、この第1の実施形態の手書き入力装置1においては、表示ボード部11の表示面11Dに表示されている画像を視覚的に一括して消去を行う所定の操作をするための手段を構成する。
【0044】
そして、この実施形態では、操作ボタン21は、手書き入力装置1の電源ボタンとしての機能をも有し、操作ボタン21を押下する毎に、手書き入力装置1の電源がオンと、オフとを繰り返すように構成されている。
【0045】
また、この実施形態の手書き入力装置1では、操作ボタン21は、メモリに記憶されている電子データをモバイル端末3に送信(転送)するトリガを発生する転送ボタンの役割も備えるように構成されている。
【0046】
この操作ボタン21は、
図1及び
図3(A)に示すように、表示ボード部11の表示領域外の、この例では、表示ボード部11の上部の領域のパネル20に設けられている。
【0047】
そして、この実施形態では、このパネル20には、電源のオン、オフを使用者に報知するパワーインジケータ22と、モバイル端末3との通信状況を報知するための通信インジケータ23と、電源オフ時にメモリに電子データが記憶保持されたままとなっている否かを報知するメモリインジケータ24が設けられている。これらのインジケータ22,23及び24は、この例では、発光表示により電源オン、オフの状態の表示を行う半導体発光素子の例であるLED(Light Emiting Diode)により構成されている。さらに、パネル20には、この例では、通信状況やメモリの記憶保持状況を音で報知するための放音手段の例としてのビープスピーカ25が設けられている。
【0048】
そして、このパネル20に設けられた操作ボタン21、インジケータ22,23,24及びビープスピーカ25は、接続用コネクタ15を通じて装置コントロール回路40に接続されている(
図3(C))。
【0049】
次に、モバイル端末3は、手書き入力装置1から送信されてくる電子データを受信し、パソコン4に転送する機能を備える。なお、この実施形態では、モバイル端末3では、予め定められた処理、例えば電子データに区切り情報に基づいて、ページ番号を付与するなどの処理を、手書き入力装置1から受け取った電子データに施した後、パソコン4に転送するようにする。モバイル端末3とパソコン4とは、通信ネットワーク5を通じて接続される。通信ネットワーク5は、インターネットや携帯電話網を含む公衆網を含むもので構成することができる。また、通信ネットワーク5は、Wi-Fi(登録商標)を用いる無線LANであってもよい。また、通信ネットワーク5は、パソコン4とモバイル端末3との間を有線で接続するLANの構成であってもよい。
【0050】
なお、手書き入力装置1からパソコン4に対して、直接に、電子データを送信するように構成してもよい。その場合には、モバイル端末3での処理機能は、手書き入力装置1あるいはパソコン4のいずれかが備えればよい。
【0051】
[手書き入力装置1の電気的な構成例]
図4は、この実施形態における電子ペン2の等価回路と、この電子ペン2と電磁誘導方式により位置検出及び筆圧検出を行う手書き入力装置1の電子回路構成例とを示す図である。なお、この実施形態の手書き入力装置1は、電源としてバッテリー(
図4では、図示を省略)を搭載し、前述したように、操作ボタン21の押下操作により、電源オンと電源オフとを交互に繰り返す構成を備える。
【0052】
この
図4の例の手書き入力装置1は、上述したように、表示ボード部11と、位置検出センサ12と、操作ボタン21と、インジケータ22,23,24と、ビープスピーカ25を備えると共に、位置検出センサ12に接続される位置検出回路30と、装置コントロール回路40とを備えている。
【0053】
位置検出センサ12は、X軸方向ループコイル群121と、Y軸方向ループコイル群122とが積層されて形成されていると共に、2つのループコイル群121,122のうちの一のループコイルを順次選択する選択回路123を備えている。
【0054】
電子ペン2は、IC200で構成される信号制御回路を備えていると共に、このIC200を駆動するための駆動電圧を、手書き入力装置1の位置検出センサ12に備えられた励磁コイル124から送信された励磁信号から取得するように構成されている。なお、
図4では、一例として、位置検出センサ12のループコイル群121,122は電子ペン2からの電磁結合信号の受信にのみ用いられるものとして説明するが、電子ペン2との間で電磁結合することで、励磁コイル124に代えて電子ペン2に備えられた信号制御回路を駆動することもできる。また、電子ペン2に備えられた信号制御回路に対して所定の制御データなどの信号が送信される。
【0055】
この
図4の例の位置検出センサ12においては、X軸方向ループコイル群121と、Y軸方向ループコイル群122とを取り囲むようにして、励磁コイル124が配設されている。
図4の例においては、励磁コイル124は、2ターンとなっているが、実際的には、より多くのターン数、例えば8~10ターンとされている。
図4に示すように、励磁コイル124は、ドライブ回路32に接続され、ドライブ回路32は、所定の周波数foで発振する発振回路31に接続されている。
【0056】
ドライブ回路32は、位置検出回路30に設けられる例えばマイクロプロセッサで構成される位置検出制御部300により制御される。位置検出制御部300は、ドライブ回路32を制御して、発振回路31からの周波数foの発振信号の、励磁コイル124への供給を制御して、励磁コイル124からの電子ペン2への信号送信を制御する。
【0057】
選択回路123は、位置検出制御部300により選択制御されて一つのループコイルを選択する。この選択回路123により選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、位置検出回路30に供給される。この位置検出回路30においては、電子ペン2による指示位置の座標(X座標及びY座標)を検出する処理を、位置検出制御部300の制御の下に行い、位置検出制御部300は、電子ペン2による指示位置の座標データを生成する。
【0058】
位置検出制御部300は、また、電子ペン2による指示位置の検出とは別に、電子ペン2からの信号の断続を、数ビットのデジタル信号として検出して、筆圧を検出する。そして、位置検出制御部300は、検出した電子ペン2による指示位置の情報と、検出した筆圧の情報とを、互いに対応付けて電子データを生成して、装置コントロール回路40に供給する。
【0059】
装置コントロール回路40は、位置検出回路30からの電子データを記憶保持するメモリ41と、モバイル端末3と無線通信するための近距離通信部42と、表示ボード部11の表示面11Dの画像を消去する低電圧パルスを発生する消去用回路43と、例えばマイクロプロセッサで構成される制御回路44とを備える。そして、装置コントロール回路40には、上述したように、操作ボタン21と、インジケータ22,23,24と、ビープスピーカ25とが接続されている。
【0060】
装置コントロール回路40の制御回路44には、バッテリーから常時電源電圧が供給されている。ただし、電源オフ時には、制御回路44はスタンバイ状態となっており、省電力化されている。また、メモリ41は、消去しない限り、記憶されている電子データを記憶保持する不揮発性メモリの構成とされている。なお、メモリ41は揮発性メモリとして、バッテリーから常時電源をバックアップするように構成してもよい。
【0061】
装置コントロール回路40の制御回路44は、操作ボタン21の押下操作を監視し、その押下操作に応じて、電源オン・オフ制御、表示ボード部11の表示面11Dの画像の消去制御及びメモリ41た処理を実行する。その場合に、制御回路44は、操作ボタン21の押下操作時における近距離通信部42を通じたモバイル端末3との通信状況や、メモリ41の電子データの記憶状況をも監視し、その監視結果に応じて、異なる処理を実行するようにする。
【0062】
そして、制御回路44は、操作ボタン21の押下操作の監視結果に基づいて、パワーインジケータ22の発光状態を制御すると共に、近距離通信部42を通じたモバイル端末3との通信状況の監視結果に基づいて、通信インジケータ23の発光状態を制御する。また、制御回路44は、近距離通信部42を通じたモバイル端末3との通信状況と、メモリ41の電子データの記憶状況とに基づいて、メモリインジケータ24の発光態様を制御する。さらに、制御回路44は、インジケータ22~24の発光態様の制御を行うと共に、必要なタイミングにおいてビープスピーカ25からビープ音を放音する制御も行う。
【0063】
電子ペン2の回路構成は、
図4において点線で囲んで示すようなものとなっている。すなわち、インダクタンス素子としてのコイル201に並列にコンデンサ202が接続されて、共振回路203が構成される。そして、この共振回路203に並列に、スイッチ204が接続されている。このスイッチ204は、IC200によりオン・オフ制御されるように構成されている。このスイッチ204がオフのときには、共振回路203による位置検出センサ12からの信号に対する共振動作がなされる。しかし、スイッチ204がオンのときには、コイル201に並列に接続されているコンデンサ202が短絡されて、共振回路203による位置検出センサ12からの信号に対する共振動作がオフとなる。
【0064】
そして、IC200は、共振回路203にて手書き入力装置1の位置検出センサ12から電磁誘導により受信した交流信号を、ダイオード205及びコンデンサ206からなる整流回路(電源供給回路)207にて整流して得られる電源電圧Vccにより動作するように構成されている。IC200は、共振回路203とはコンデンサ208を介して接続されており、共振回路203の動作状況をモニターしている。IC200は、共振回路203の動作状況をモニターすることで、位置検出センサ12の励磁コイル124との電磁結合状況、あるいは、この例では説明を省略するが、2つのループコイル群121,122を使用して位置検出センサ12から送信された制御データなどの信号を検出し、所望の動作制御を行うことができるようになっている。
【0065】
この実施形態の電子ペン2は、そのペン先に印加される筆圧を、例えば、容量可変コンデンサの静電容量Cvとして検出する感圧素子からなる筆圧検出回路を備えている。IC200には、
図4に示すように、この容量可変コンデンサが接続されており、IC200は筆圧に応じた静電容量Cvを検出することができるように構成されている。IC200は、静電容量Cvの値から電子ペン2における筆圧を検出する。そして、IC200は、検出した筆圧を、例えば8ビットのデジタル信号に変換し、その筆圧に対応するデジタル信号により、スイッチ204を制御することにより、筆圧の情報を付加情報として手書き入力装置1の位置検出センサ12に送信する。
【0066】
以上のように構成された電子ペン2及び手書き入力装置1の位置検出回路30の位置検出動作及び筆圧情報の検出動作について説明する。
【0067】
位置検出制御部300は、先ず、ドライブ回路32を駆動して励磁コイル124から、所定時間、信号を電子ペン2に送信する。次に、位置検出制御部300は、選択回路123をX軸方向ループコイル群121のうちの一つのループコイルを順次に選択して、バースト状信号を電子ペン2に送信する。電子ペン2は、そのバースト状信号を共振回路203で受信し、手書き入力装置1の位置検出センサ12に返送するようにする。位置検出制御部300は、その返送されたバースト状信号を位置検出用信号として検出することで、電子ペン2により指示された位置のX座標値を求める。次に、位置検出制御部300は、Y軸方向ループコイル群122について同様の処理を行って、電子ペン2により指示された位置のY座標値を求める。
【0068】
そして、位置検出回路30の位置検出制御部300は、電子ペン2の指示位置を検出した後に、電子ペン2からの付加情報としての筆圧情報を検出するため、励磁コイル124から所定時間以上継続した送信を行った後、座標検出の際と同様なタイミングで送受信を付加情報のデジタル信号のビット数に応じた回数継続して行う。
【0069】
一方、電子ペン2のIC200は、筆圧検出手段を構成する容量可変コンデンサの静電容量Cvに対応して得られた筆圧情報からなる付加情報のデジタル信号により、手書き入力装置1の位置検出センサ12からの信号の送受信に同期してスイッチ204をオン・オフ制御する。スイッチ204がオフであるときには、共振回路203は、位置検出センサ12から送信された信号を位置検出センサ12に返送することができるので、位置検出センサ12のループコイルはこの信号を受信する。これに対して、スイッチ204がオンであるときには共振回路203は共振動作が禁止された状態にあり、このために、共振回路203から位置検出センサ12に信号は返送されず、位置検出センサ12のループコイルは信号を受信しない。
【0070】
位置検出回路30の位置検出制御部300は、付加情報のデジタル信号のビット数に対応した回数で、受信信号の有無の判別を行うことにより、筆圧情報に応じた複数ビットのデジタル信号を受信し、電子ペン2からの筆圧情報を検出することができる。したがって、電子ペン2は、筆圧情報を、ASK(Amplitude Shift Keying)変調した信号として、手書き入力装置1の位置検出センサ12に送信する。
【0071】
[手書き入力装置1の処理動作例]
<動作の概要>
以上のような手書き情報管理システムにおける動作の概要について説明する。この実施形態の手書き入力装置1においては、電源がオフの状態で、操作ボタン21が押されると、電子回路に電源が投入され、電源投入がパワーインジケータ22により使用者に報知される。
【0072】
そして、手書き入力装置1において、電源がオンの状態で、電子ペン2により表示面11Dにおいて手書き入力されると、その手書き入力に応じた画像が表示ボード部11の表示面11Dに形成されて表示されると共に、電子ペン2のペン先の位置が位置検出センサ12で検出されて、その検出された位置情報の時系列データからなる、表示面11Dの表示画像に対応する電子データがメモリ41に記憶保持される。
【0073】
使用者は、手書き入力が終了したと判断したときには、再度、手書き入力装置1の操作ボタン21を押下操作する。すると、手書き入力装置1は、この例では、モバイル端末3と、自装置とが近距離無線通信が可能であるか否か判別する。この例では、前述したように、ブルートゥース(登録商標)規格の近距離無線通信を用いているので、通信の際のペアリングが取れたか否かにより、手書き入力装置1は、モバイル端末3との近距離無線通信が可能であるか否か判別する。
【0074】
手書き入力装置1は、モバイル端末3との間での通信が可能であると判別(モバイル端末3との間での通信が可能であることを確認)したときには、メモリ41に記憶している電子データに区切り情報、例えば改ページを情報を付与して、モバイル端末3に送信する。このとき、近距離無線通信が可能の状態は、通信インジケータ23を点灯させることで使用者に報知する。
【0075】
そして、手書き入力装置1は、メモリ41に記憶保持されていた電子データの送信が完了したら、通信インジケータ23を消灯し、メモリ41の電子データを消去する。この実施形態では、このメモリ41の電子データの消去の後、手書き入力装置1は、消去用回路43から低電圧パルスを表示ボード部11に供給して、表示面11Dに形成されて表示されていた画像を、当該表示面全体について一括して視覚的に消去するようにする。その後、この実施形態では、手書き入力装置1は、電源をオフにする。
【0076】
また、手書き入力装置1は、この実施形態では、モバイル端末3との間での通信が可能ではないと判別した(モバイル端末3との間での通信が可能であることが確認できない)ときには、区切り情報を付与した電子データはメモリ41から消去せずに、メモリ41に保持したままとする。そして、この実施形態では、手書き入力装置1は、モバイル端末3との近距離無線通信が不可であることを、通信インジケータ23を点滅させることで報知すると共に、メモリインジケータ24を点滅させて、送信されずにメモリ41に電子データが記憶保持されていることとを使用者に報知する。
【0077】
その後、手書き入力装置1は、消去用回路43から低電圧パルスを表示ボード部11に供給して、表示面11Dに形成されて表示されていた画像を、当該表示面全体について一括して視覚的に消去するようにする。そして、電源をオフとして、位置検出センサ12、位置検出回路30及び装置コントロール回路40への電源の供給をオフとする。なお、電源がオフされた後にも、通信インジケータ23を点滅させると共に、メモリインジケータ24を点滅させる表示制御を維持するように制御回路44を構成するようにしてもよい。
【0078】
このメモリ41に保持されたままとなっている電子データは、メモリ41に、新たな手書き入力による新たな電子データが追加格納された後、操作ボタン21が押下されたときに、あるいは、メモリ41に新たな電子データが格納される前に操作ボタン21が押下されたときに、通信可能であれば、新たな電子データがあれば、その新たな電子データと共に、手書き入力装置1からモバイル端末3に送信される。そして、その送信完了後、メモリ41から消去されるように構成されている。
【0079】
なお、この実施形態の手書き入力装置1では、操作ボタン21が押下されることに基づいて、新たな手書き入力による画像の電子データにも、新たな区切り情報が付与され、送信されずにメモリに保持されたままとなっていた電子データと区別することが可能となっている。
【0080】
そして、メモリ41に電子データが保持されたままとなっている状態において操作ボタン21が押下されたときに、通信不可であるときには、メモリ41の残容量に余裕があれば、区切り情報が付与されている新たな電子データが、さらにメモリ41に保持される。このとき、メモリ41に、モバイル端末3に転送されずに、電子データが保持されたままであることは、前述したのと同様にして、通信インジケータ23及びメモリインジケータ24の点滅により表示される。
【0081】
そして、この実施形態の手書き入力装置1では、操作ボタン21を押下操作して電源をオンとしたときに、メモリ41に古い電子データが保持されたままであるときには、その状態がメモリインジケータ24の点滅により報知されるので、新たな電子データが記憶される前に、操作ボタン21を通常の操作態様と異なる操作態様、例えば操作ボタン21の長押しを使用者から受け付けるようにし、当該操作ボタン21の長押しの操作があったときには、通信状況を確認した後、メモリ41に保持されている古い電子データをモバイル端末3に送信することができるように構成されている。この場合に長押し操作とは、操作ボタン21の第1の時間長以下の短時間の押下操作は所定の操作としたときに、第1の時間長よりも長い第2の時間長の押下操作とされる。この操作ボタン21の長押しのときには、表示ボード部11の画像の消去処理は不要であるので行わず、また、電源はオンのままを維持する。
【0082】
また、この実施形態の手書き入力装置1では、操作ボタン21が押下されたときに、通信不可であるときには、メモリ41の残容量に余裕がなく、かつ、新たな電子データの記憶が困難となるような状況となっているかどうかを判別し、そのような状況になっていることを判別したときには、表示ボード部11の表示面11Dに表示されている画像は、消去しないようにすると共に、手書き入力装置1の電源はオンのままとし、メモリインジケータ24及びビープスピーカ25を用いて、その旨を使用者に報知する。
【0083】
使用者は、この報知を受けると、手書き入力装置1とモバイル端末3との間での通信が可能であるような状況を作る。すると、手書き入力装置1は、通信可能になったことを通信インジケータ23により、使用者に報知するので、使用者が操作ボタン21をこの例では長押しすることで、メモリ41に記憶保持されている電子データをモバイル端末3に送信することができるように構成している。
【0084】
なお、この場合に、操作ボタン21の長押しであっても、電源をオンのままにせずに、表示面11Dの画像を消去することなく、電源をオフとしてもよい。その場合には、メモリ41に電子データが保持されていることがメモリインジケータ24で報知されるので、次に、操作ボタン21を通常の押下操作をして電源をオンにしたときに、表示面11Dに画像が表示されてをいることと相まって、メモリ41の電子データを送信する必要があることが分かるので、使用者が、通信可能な環境を作り、操作ボタン21を長押して、メモリ41の電子データをモバイル端末3に送信して、表示画像を消去することができるように構成してもよい。
【0085】
<第1の実施形態の手書き入力装置1の動作の流れの説明>
次に、第1の実施形態の手書き入力装置1の処理動作の流れの例を、
図5~
図8のフローチャートについて説明する。なお、この
図5~
図8の各ステップの処理は、装置コントロール回路40の制御回路44が、ソフトウェアプログラムに従って実行する場合として説明する。
【0086】
図5~
図8に示すフローチャートの例は、手書き入力装置1の電源がオフの状態からスタートする場合として示している。
【0087】
図5に示すように、制御回路44は、まず、操作ボタン21が押下されたか否か判別し(ステップS101)、押下されていないと判別したときには、押下されるのを待つ。ステップS101で、操作ボタン21が押下されたと判別したときには、制御回路44は、手書き入力装置1に電源を投入し、パワーインジケータ22を点灯させる(ステップS102)。
【0088】
次に、制御回路44は、メモリ41に電子データが記憶保持されているか否か判別し(ステップS103)、メモリ41に電子データが記憶保持されていると判別したときには、メモリインジケータ24を点滅させると共に、ビープスピーカ25からビープ音を放音させる(ステップS104)。
【0089】
次に、制御回路44は、操作ボタン21が長押しされたか否か判別し(ステップS105)、操作ボタン21が長押しされてはいないと判別したときには、電子ペン2による表示面11D上での指示入力を検知したか否か判別する(ステップS106)。このステップS106で、電子ペン2による表示面11D上での指示入力を検知してはいないと判別したときには、制御回路44は、処理をステップS105に戻す。
【0090】
ステップS105で、操作ボタン21が長押しされたと判別したときには、制御回路44は、近距離通信部42とモバイル端末3との間の通信のペアリングを確認できたか否かにより、モバイル端末3との間の無線通信が可能となっているかを確認し(
図6のステップS121)、モバイル端末3との間の無線通信が可能となっているか否かを判別する(ステップS122)。
【0091】
そして、ステップS122で、モバイル端末3との間の無線通信が可能であると判別したときには、制御回路44は、メモリ41に記憶されている電子データを、モバイル端末3に送信する(ステップS123)。そして、制御回路44は、送信が完了したか否か判別し(ステップS124)、送信が完了したと判別したときには、メモリ41に記憶されていた電子データを消去する(ステップS125)。また、制御回路44は、点滅していたメモリインジケータ24を消灯する(ステップS126)。
【0092】
また、ステップS124で、電子データの送信が完了してはいないと判別したときには、制御回路44は、送信開始から所定時間以上経過したか否か判別し(ステップS127)、送信開始から所定時間以上は経過してはいないと判別したときには、処理をステップS123に戻して、メモリ41に記憶されている電子データの送信を継続する。
【0093】
そして、ステップS127で、送信開始から所定時間以上経過したと判別したときには、制御回路44は、電子データの送信を失敗したと判断して送信を停止し(ステップS128)、通信インジケータ23を点滅させると共に、ビープスピーカ25からビープ音を放音する(ステップS129)。
【0094】
ステップS122で、モバイル端末3との間の無線通信が可能ではないと判別したときにも、制御回路44は、モバイル端末3との間の無線通信が不可であると判断して、ステップS129に進み、通信インジケータ23を点滅させると共に、ビープスピーカ25からビープ音を放音する。そして、制御回路44は、メモリ41に記憶されている電子データを保持したままとする(ステップS130)。
【0095】
そして、制御回路44は、ステップS126及びステップS130の次には、
図5のステップS107に進み、電子ペン2による表示面11D上での指示入力を検知したか否か判別する。また、
図5のステップS103で、メモリ41には電子データが記憶保持されてはいないと判別したときには、制御回路44は、ステップS107に進み、電子ペン2による表示面11D上での指示入力を検知したか否か判別する。
【0096】
そして、
図5のステップS106で、電子ペン2による表示面11D上での指示入力を検知したとき、また、ステップS107で、電子ペン2による表示面11D上での指示入力を検知したときには、制御回路44は、当該電子ペン2による指示入力は、前に入力された部分に重ねた2重線などの抹消入力であるか否か判別する(ステップS108)。
【0097】
このステップS108で、抹消入力ではないと判別したときには、制御回路44は、電子ペン2により指示入力された位置の座標データを検出して、当該座標データ及び筆圧データを含む電子データをメモリ41に記憶保持する(ステップS109)。また、ステップS108で、抹消入力であると判別したときには、制御回路44は、2重線などの抹消入力が重ねられている前の指示入力についての電子データをメモリ41から削除する(ステップS110)。
【0098】
そして、ステップS109あるいはステップS110の次には、制御回路44は、操作ボタン21が押下されたか否か判別する(ステップS111)。ステップS107で、電子ペン2による表示面11D上での指示入力を検知してはいないと判別したときにも、このステップS111に進んで、操作ボタン21が押下されたか否か判別する。そして、このステップS111で、操作ボタン21が押下されてはいない判別したときには、制御回路44は、処理をステップS107に戻して、このステップS107以降の処理を繰り返す。
【0099】
そして、ステップS111で、操作ボタン21が押下されたと判別したときには、制御回路44は、メモリ41に記憶保持されている電子データが有るか否か判別する(
図7のステップS141)。このステップS141で、メモリ41には、記憶されている電子データは無いと判別したときには、制御回路44は、処理をステップS148に進め、消去用回路43から低電圧パルスを表示ボード部11に供給して、その表示面11Dに表示されている画像を一括消去し、その後、手書き入力装置1を電源オフの状態にする(ステップS149)。
【0100】
ここで、ステップS141で、メモリ41に記憶データが無いときにも表示ボード部11の表示面11Dの画像の消去を行うようにしたのは、電子ペン2による指示入力により、抹消入力があったときには、当該抹消入力で指示される位置の電子データがメモリ41から消去され、電子データがメモリ41に無くても、表示ボード部11の表示面11Dには、抹消入力で抹消指示された画像が表示されたままとなることがあるからである。
【0101】
次に、ステップS141で、メモリ41に記憶保持されている電子データが有ると判別したときには、制御回路44は、操作ボタン21が押下されて電源オンとされた後に新規に記憶保持された電子データについて改ページマークなどの区切り情報を付与する(ステップS142)。
【0102】
次に、制御回路44は、近距離通信部42とモバイル端末3との間の通信のペアリングを確認できたか否かにより、モバイル端末3との間の無線通信が可能となっているかを確認し(ステップS143)、モバイル端末3との間の無線通信が可能となっているか否かを判別する(ステップS144)。
【0103】
そして、ステップS144で、モバイル端末3との間の無線通信が可能であると判別したときには、制御回路44は、メモリ41に記憶されている電子データを、モバイル端末3に送信する(ステップS145)。そして、制御回路44は、送信が完了したか否か判別し(ステップS146)、送信が完了したと判別したときには、メモリ41に記憶されていた電子データを消去する(ステップS147)。
【0104】
次に、制御回路44は、処理をステップS148に進め、消去用回路43から低電圧パルスを表示ボード部11に供給して、その表示面11Dに表示されている画像を一括消去し、その後、手書き入力装置1を電源オフの状態にする(ステップS149)。
【0105】
また、ステップS146で、電子データの送信が完了してはいないと判別したときには、制御回路44は、送信開始から所定時間以上経過したか否か判別し(ステップS150)、送信開始から所定時間以上は経過してはいないと判別したときには、処理をステップS145に戻して、メモリ41に記憶されている電子データの送信を継続する。
【0106】
そして、ステップS150で、送信開始から所定時間以上経過したと判別したときには、制御回路44は、電子データの送信を失敗したと判断して送信を停止し(ステップS151)、通信インジケータ23を点滅させると共に、ビープスピーカ25からビープ音を放音する(ステップS152)。そして、制御回路44は、メモリ41に記憶されている電子データを保持したままとし(
図8のステップS161)、メモリインジケータ24を点滅させる(ステップS162)。
【0107】
次に、制御回路44は、メモリ41の残容量が予め定めた残容量値以下かどうかにより、残容量が無いかどうか判別する(ステップS163)。ここで、予め定めた残容量値は、新たに電子データを追加すると、メモリ41の容量が足りなくなる恐れを生じる値であり、余裕を持って定められれている。
【0108】
このステップS163で、メモリ41の残容量が予め定めた残容量値以下ではないと判別したときには、制御回路44は、処理を
図7のステップS148に進めて、消去用回路43から低電圧パルスを表示ボード部11に供給して、その表示面11Dに表示されている画像を一括消去し、その後、手書き入力装置1を電源オフの状態にする(ステップS149)。
【0109】
また、ステップS163で、メモリ41の残容量が予め定めた残容量値以下であると判別したときには、制御回路44は、表示ボード部11の表示面11Dの画像を消去せず、メモリ41の容量不足を、例えばメモリインジケータ24を、メモリ41に電子データが記憶保持されていることを報知する点滅周期よりも早い点滅周期で点滅させると共に、ビープスピーカ25から、他の場合とは区別される態様のビープ音を放音させる(ステップS164)。これにより、使用者に、メモリ41の残容量が不足しているため、メモリ41の電子データをモバイル端末3に転送するように促され、使用者は、手書き入力装置1をモバイル端末3と通信が可能となる環境に移動させるようにする。
【0110】
制御回路44は、モバイル端末3と通信することが可能な環境になったか否かを判別し(ステップS165)、モバイル端末3と通信することが可能な環境になるのを待つ。そして、ステップS165で、モバイル端末3と通信することが可能な環境になったと判別したときには、制御回路44は、通信インジケータ23を点灯状態にして、そのことを使用者に報知する(ステップS166)。
【0111】
そして、使用者による操作ボタン21の長押し操作を監視し(ステップS167)、使用者による操作ボタン21の長押し操作を判別したときには、メモリ41に記憶保持されていた電子データの全てをモバイル端末3に送信する(ステップS168)。このとき、メモリ41に記憶保持されていた電子データは、区切り情報で区切られた複数ページ分のデータとなっている。換言すれば、メモリ41に記憶保持されていた電子データは、複数ページ分であるが、区切り情報により区切られているので、モバイル端末3で、あるいはパソコン4で、それぞれのページに別のページ番号を付与して、区別することができる。
【0112】
ステップS168で、メモリ41に記憶保持されていた電子データをモバイル端末3に送信したら、制御回路44は、メモリ41に記憶保持されていた電子データをメモリ41から消去する(ステップS169)。そして、制御回路44は、メモリインジケータ24を消灯する(ステップS170)。このステップS170の次には、制御回路44は、処理を
図7のステップS148に進めて、消去用回路43から低電圧パルスを表示ボード部11に供給して、その表示面11Dに表示されている画像を一括消去し、その後、手書き入力装置1を電源オフの状態にする(ステップS149)。
【0113】
[第1の実施形態の効果]
上述の第1の実施形態の手書き入力装置によれば、表示ボード部11の表示面11Dに表示されている画像が視覚的に消去される所定の操作が、操作ボタン21の操作としてなされたことに基づき、メモリ41に記憶されている電子データは、外部装置であるモバイル端末3に送信された後に消去される。したがって、その後、表示ボード部11の表示面11Dに対して、新たに手書き入力されたときには、メモリ41には、それ以前の手書き入力の画像の電子データが消去されて存在しないので、以前の手書き入力の画像に対応する電子データに、新たな手書き入力の画像の電子データが重畳されてしまうことが回避される。
【0114】
そして、この第1の実施形態では、外部装置であるモバイル端末3では、手書き入力装置1から、操作ボタン21の操作に基づいて送られてくる電子データを、当該手書き入力装置1の表示面11Dに表示されていた画像の電子データとして、容易に管理することができる。すなわち、モバイル端末3では、手書き入力装置1から受信した電子データに区切り情報が付加されていなくても、当該受信した電子データにページ番号を付与するなどして、手書き入力装置1の表示面11Dに表示されていた画像に対応するページの単位のデータとして処理することができる。
【0115】
もっとも、上述した第1の実施形態では、操作ボタン21が操作される毎に、メモリ41の電子データには、区切り情報が付与されるように構成されているので、モバイル端末3では、この区切り情報を頼りにページ番号を付与することが容易にできる。
【0116】
そして、上述の第1の実施形態の手書き入力装置1によれば、メモリ41の電子データは、操作ボタン21の押下という所定の操作があったときに、外部装置であるモバイル端末3への送信が可能であることを確認してから送信を実行し、その送信後、メモリ41から電子データを消去するように構成しているので、手書き入力画像に対応する電子データが送信されずに消去されてしまうことが回避される。
【0117】
そして、上述の第1の実施形態の手書き入力装置1によれば、使用者が、操作ボタン21の押下操作により、表示ボード部11の表示面11Dに表示されている画像を視覚的に消去する所定の操作をするだけで、以上の動作を実行する。したがって、使用者は、表示ボード部11の表示面11Dに表示されている画像を消去するのと、メモリ41に記憶されている電子データを送信するのとを、別々の操作で行う必要がない。このため、表示ボード部11の表示面11Dに表示されている画像が視覚的に消去される所定の操作と、メモリに記憶されている電子データを送信するための操作とを別々に行う場合のように、表示面に表示されている手書き入力された画像を消去したが、電子データを送信し忘れるなどというミスを防止することができる。
【0118】
また、手書き入力装置1に、表示ボード部11の表示面11Dに表示されている画像を視覚的に消去する所定の操作用の操作手段と、メモリ41に記憶されている電子データを送信するための操作用の操作手段とを別々に設ける必要がないため、手書き入力装置1の構成が簡単になるという効果もある。
【0119】
また、上述の第1の実施形態の手書き入力装置1においては、操作ボタン21の押下操作による所定の操作時に、外部装置であるモバイル端末3に、メモリ41の電子データを送信できなかったときには、表示ボード部11の表示面11Dに表示されている画像の消去は実行しても、メモリ41の電子データを消去することなく、区切り情報を付与した上で、メモリ41に記憶保持するようにしている。そして、手書き入力装置1は、その時の通信が不可であった状況や、メモリ41に電子データが記憶されたままであることを、インジケータ23,24及びビープスピーカ25を用いて使用者に報知するようにする。
【0120】
この報知により、使用者は、手書き入力装置1とモバイル端末3との通信状況や、メモリ41の記憶状態を把握することができるので、手書き入力装置1とモバイル端末3との通信状況を通信可の状態にすると共に、操作ボタン21を長押しするなどして、メモリ41の電子データを送信するなどの適切な処置をすることができる。
【0121】
また、上述の第1の実施形態の手書き入力装置1は、操作ボタン21の押下操作による所定の操作時に、外部装置であるモバイル端末3に、メモリ41の電子データを送信できず、かつ、メモリ41の残容量が新たな手書き入力画像の電子データを記憶するには不足していると判断したときには、表示ボード部11の表示面11Dに表示されている画像の消去を不可として、それを使用者への警告報知とするようにしている。さらに、第1の実施形態の手書き入力装置1では、この時、インジケータ23及び24を点滅表示などの警告表示をさせると共に、ビープスピーカ25によりビープ音を放音して、注意喚起をするようにしている。
【0122】
したがって、使用者は、この警告報知を受けたときには、メモリ41に記憶されている電子データを外部装置に送信して、新たな手書き入力のために、メモリ41の残容量を確保する必要があることを認識することができる。そこで、使用者は、手書き入力装置1とモバイル端末3との通信状況を通信可の状態にすると共に、操作ボタン21を長押しするなどして、メモリ41の電子データを送信するなどの適切な処置をすることができる。
【0123】
[第1の実施形態の変形例]
上述の実施形態では、表示ボード部11の表示面11Dに表示されている画像を消去して、電子データをメモリ41から送信するための所定の操作は、操作ボタン21の押下操作とし、当該所定の操作としての操作ボタン21の操作は、電源オン、オフ操作としても検出するように構成した。しかし、操作ボタン21に対する操作態様を、表示ボード部11の表示面11Dに表示されている画像を消去するための所定の操作と、電源オン、オフ操作とを異なる操作態様とするように構成してもよい。
【0124】
例えば、操作ボタン21の第1の時間長以下の短時間の押下操作は所定の操作とし、第1の時間長よりも長い第2の時間長の押下操作を電源のオン、オフ操作とするようにしてもよい。その場合には、メモリ41に送信されずに記憶されていた電子データを送信するための操作は、電源のオン、オフ操作と区別するために、上述の実施形態のような長押しではなく、例えば、第1の時間長以下の短時間の2回連続の押下操作などとするようにしてもよい。
【0125】
また、上述の実施形態では、表示ボード部11の表示面11Dに表示されている画像を消去するための所定の操作用の操作ボタン21は、電源ボタンをも兼用するように構成したが、電源ボタンは、別の操作ボタンとしてもよい。
【0126】
なお、上述の実施形態では、メモリ41は、手書き入力装置1の表示ボード部11の表示面11Dに表示されている画像の複数ページ分の容量を備えるものとしたが、メモリ41の記憶容量を、手書き入力装置1の表示ボード部11の表示面11Dに表示されている画像の1ページ分とするようにしてもよい。ただし、その場合には、操作ボタン21を押下操作したにも拘わらず、メモリ41の電子データを送信することができなかったときには、その都度、表示ボード部11の表示面11Dに表示されている画像の消去を不可として、それを使用者への警告報知とするようにすると共に、インジケータ23及び24を点滅表示などの警告表示をさせると共に、ビープスピーカ25によりビープ音を放音して、注意喚起をするようにする。
【0127】
このように、メモリ41の記憶容量を手書き入力装置1の表示ボード部11の表示面11Dに表示されている画像の1ページ分とする場合には、モバイル端末3へは、表示面11Dに表示されている画像の1ページ分毎の電子データが送信されるので、モバイル端末3では、電子データに区切り情報が付加されていなくても、当該電子データを受信するごとにページ番号等の区切りを示す情報を付加することが可能である。つまり、手書き入力装置1では、メモリ41の電子データに区切り情報を付与する必要はなくなるというメリットがある。
【0128】
なお、上述の実施形態では、半導体発光素子で構成されるインジケータ22~24は、単色の発光素子として、その点灯、点滅などの発光態様の違いにより、状態報知表示を行うとしたが、複数の発光色が可能な発光素子の構成として、その発光色を異ならせることで発光態様を異ならせて、状態報知表示を行うようにしてもよい。
【0129】
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態では、表示面に表示されている画像を消去するための所定の操作は、操作ボタン21の押下操作とした。第2の実施形態の手書き入力装置は、このような操作ボタンを設けずに、位置検出センサの位置検出領域内の予め定められた位置範囲における電子ペンによる指示入力操作を、所定の操作として用いるように構成した場合の例である。
【0130】
図9は、この第2の実施形態の手書き入力装置1Aを説明するための図である。なお、この第2の実施形態の手書き入力装置1Aは、ハードウエア構成としては、操作ボタン21を設けずに、位置検出センサの位置検出領域内の予め定められた位置範囲における電子ペンによる指示入力操作を、所定の操作として用いるように構成を除くと、第1の実施形態の手書き入力装置1と同様に構成される。そのため、以下の説明においては、第1の実施形態の手書き入力装置1と同様の部分は、同一の参照符号を用いて説明する。
【0131】
図9は、第2の実施形態の手書き入力装置1Aを、その表示面11Dに直交する方向の上方から見た図である。この第2の実施形態の手書き入力装置1Aも、表示ボード部11の裏側に、表示面11Dの表示領域と、位置検出領域とが重なる状態で、位置検出センサ12が配設されている。
【0132】
この第2の実施形態では、
図9に示すように、ケース14の側方に、電源ボタン26が設けられている。装置コントロール回路40の制御回路44は、この電源ボタン26が操作される毎に、手書き入力装置1Aの電源オン、電源オフとを交互に繰り替えるように制御する。
【0133】
そして、この第2の実施形態においても、表示面11Dの表示領域外の、
図9における表示面11Dの上方にパネル20が設けられ、このパネル20に、第1の実施形態と同様にして、パワーインジケータ22、通信インジケータ23、メモリインジケータ24及びビープスピーカ25が設けられている。
【0134】
そして、この第2の実施形態においては、表示面11Dの表示領域内の、この例では、パネル20側の上部の、例えば右端の長方形領域は、表示面11Dに表示されている画像を消去するための所定の操作を、電子ペン2を通じた操作として受け付ける所定の操作受付領域51とされる。この例では、電子ペン2による、所定の操作受付領域51内のいずれかの位置を短時間指示する指示入力、すなわち、電子ペン2によるワンタップ操作を、表示面11Dに表示されている画像を消去するための所定の操作として、装置コントロール回路40の制御回路44は、認識するようにする。
【0135】
そして、この第2の実施形態の手書き入力装置1Aにおいては、上述した第1の実施形態における操作ボタン21の長押し操作に代えて、制御回路44は、所定の操作受付領域51内における、電子ペン2による短時間の指示入力の複数回、例えば2回の連続入力、すなわち、ダブルタップ操作を、メモリ41に送信されずに保持されていた電子データの送信指示操作として認識するようにする。
【0136】
これらの電子ペン2が用いられた指示入力操作に基づく制御回路44の処理動作は、第1の実施形態と同様であるので、ここでは、その説明は省略する。
【0137】
なお、所定の操作受付領域51における電子ペン2による指示操作は、ワンタップやダブルタップに限られるものではなく、制御回路44が、区別が可能な操作入力であれば、どのような操作入力であってもよい。また、電源ボタン26を設けずに、所定の操作受付領域51における電子ペン2による他の指示操作とは区別可能な指示操作を、電源オン、オフ操作として認識するように構成してもよい。
【0138】
また、この第2の実施形態の手書き入力装置1Aでは、装置コントロール回路40の動作、非動作を制御することが可能なように構成されている。すなわち、この第2の実施形態の手書き入力装置1Aでは、装置コントロール回路40の動作、非動作の使用者による制御指示を受け付けるために、この例では、パネル20側の上部の、例えば左端の長方形領域は、前記使用者による制御指示を、電子ペン2を通じた指示操作として受け付ける制御指示受付領域52とされる。
【0139】
そして、この第2の実施形態の手書き入力装置1Aでは、
図9に示すように、パネル20に、装置コントロール回路40の動作状態(オン、オフ)を報知するインジケータ27が設けられている。このインジケータ27も、この例では、インジケータ22~24と同様に、半導体発光素子により構成されている。
【0140】
この第2の実施形態の手書き入力装置1Aでは、装置コントロール回路40の制御回路44は、制御指示受付領域52で電子ペン2により指示入力操作される毎に、装置コントロール回路40への電源電圧の供給を制御して、装置コントロール回路40の動作、非動作を交互に繰り替えるように制御する。なお、制御回路44は、装置コントロール回路40が非動作とされる状態でも、スタンバイ状態となって、常に、電源電圧が供給されているのは、第1の実施形態と同様である。
【0141】
そして、この第2の実施形態の手書き入力装置1Aにおいては、装置コントロール回路40に電源電圧が供給されて動作オンとされるときには、制御回路44によりインジケータ27が点灯され、装置コントロール回路40が動作オフのときには、制御回路44によりインジケータ27が消灯される。
【0142】
これにより、第2の実施形態の手書き入力装置1Aにおいては、表示ボード部11の表示面11Dに画像を形成して表示するが、その画像の電子データを外部装置に転送する必要はない場合には、バッテリーの消費を低減することができる使用態様を実現することができる。
【0143】
[第2の実施形態の変形例]
なお、表示ボード部11の表示面11Dは、所定の操作受付領域51や制御指示受付領域52の部分まで含めず、位置検出センサ12の位置検出領域のみを、所定の操作受付領域51やセンサ制御指示受付領域52を含むように構成してもよい。
【0144】
また、所定の操作受付領域51や制御指示受付領域52への指示入力を位置検出センサ12で検出するように構成するのではなく、これら所定の操作受付領域51や制御指示受付領域52に対応して、圧力センサやタッチセンサなどの、領域に対する操作を検出するセンサを別途に設けるように構成してもよい。その場合には、これら所定の操作受付領域51や制御指示受付領域52への操作入力は、電子ペン2による操作入力だけではなく、使用者の指による操作入力であってもよい。
【0145】
その場合には、操作入力を位置検出センサ12で検出する必要はないので、上述した制御指示受付領域52への制御指示に対応して、装置コントロール回路40のみではなく、位置検出センサ12及び位置検出回路30についても電源供給を制御して、動作のオン、オフを制御することができるので、表示ボード部11の表示面11Dに画像を形成して表示するが、その画像の電子データを外部装置に転送する必要はない場合には、バッテリーの消費を、さらに低減することができる使用態様を実現することができる。
【0146】
[手書き入力装置の利用態様の例]
所定の文書フォームが印刷されている透明のシートを用意し、当該透明シートを、上述の実施形態の手書き入力装置1または1Aの表示面11Dに載置して、当該透明シートに印刷されている文書フォームに手書き入力をする用途に用いると便利である。
【0147】
図10は、この利用用途を実現するシステムの構成例を示す図である。このシステムの利用者は、希望する文書フォームFMを作成して、例えばパソコンからなるサーバ装置61に登録する。
【0148】
サーバ装置61では、この登録を受け付けて、受け付けた文書フォームに識別情報(ペーパーID)を付与して、データベースに、文書フォームのデータを記憶する。この場合に、サーバ装置61は、ペーパーIDとしてユニークな識別情報、例えばバーコードを付与する。
【0149】
文書フォームのデータとしてサーバ装置61のデータベースには、手書き情報の入力領域を示す領域座標データ、手書き情報の入力領域に入力すべき情報の属性データなどが含まれる。文書フォームに含まれる手書き情報の入力領域を示す領域座標データは、手書き入力装置1の位置検出センサ12の位置検出領域の座標データに対応するようにされている。
【0150】
そして、登録された文書フォームは、プリンタ62で透明シート63に印刷される。この場合に、この例では、透明シート63には、サーバ装置61で付与されたペーパーIDの例としてのバーコードが所定の位置に印刷されている。この透明シート63は、手書き入力装置1又は1Aの表示面11D上に載置される。この場合に、この例の手書き入力装置1又は1Aには、透明シート63を表示面11D上に係止させる手段、例えばクリップ部材(図示は省略)が備えられており、このクリップ部材により透明シート63を表示面11D上に係止させられる。また、この例の手書き入力装置1又は1Aには、さらに、透明シート63に印刷されているバーコードを読み取るバーコードリーダ(図示は省略)を設けられ、装置コントロール回路40の制御回路44は、このバーコードリーダで読み取ったバーコード情報を、ペーパーIDとして、メモリ41に、電子データに対応して記憶する。
【0151】
この状態で、手書き入力装置1又は1Aの使用者は、電子ペン2を用いて、透明シート63の文書フォームにおける入力が必要な領域に手書き入力を実行する。すると、その手書き入力された画像が表示ボード部11の表示面11Dに形成されて表示されると共に、電子ペン2のペン先の位置が位置検出センサ12で検出されて、メモリ41に、手書き入力された画像に対応する電子データが格納される。
【0152】
そして、使用者が必要な手書き入力を終了して操作ボタン21を押下操作すると、手書き入力装置1の装置コントロール回路40の制御回路44は、モバイル端末3との通信が可能であることを確認した後、メモリ41に記憶されている電子データを、ペーパーIDを付加して、モバイル端末3に送信する。そして、制御回路44は、送信完了後、表示面11Dに表示されている画像を消去する処理をする。すると、透明シート63の文書フォームの入力欄のそれぞれに書き込まれていた手書き入力の画像が消去されて、文書フォームの入力欄のそれぞれは、空欄となる。すなわち、次の使用者が、同じ文書フォームの空欄に手書き入力をすることができる状態となる。
【0153】
モバイル端末3には、これ例では、予め、このシステムにおいて必要な処理をするためのアプリケーションプログラムがインストールされている。モバイル端末3は、手書き入力装置1又は1AからのペーパーID及び電子データを受け取ると、それらをバッファメモリに格納するとともに、受け取ったペーパーID情報を通信ネットワーク64を通じてサーバ装置61に送信する。
【0154】
すると、サーバ装置61からは、ペーパーIDに対応する文書フォームの表示データを送られてくるので、モバイル端末3は、その表示データによる文書フォームを表示画面に表示すると共に、手書き入力装置1又は1Aから受信した電子データに基づいて、文書フォームの空欄に手書き入力された情報を表示する。
【0155】
そして、モバイル端末3は、例えば、当該モバイル端末3の使用者の転送指示に基づいて、バッファメモリに格納している手書き入力装置1又は1Aから受信した電子データを、ペーパーIDを付加して、サーバ装置61に送信し、記入済みデータの格納要求をする。このとき、モバイル端末3からサーバ装置61に送信する電子データにはページ番号やタイムスタンプが付加されている。これにより、サーバ装置61では、同じ文書フォームの手書き入力情報であっても、ページ番号やタイムスタンプに基づいて識別することができる。サーバ装置61は、モバイル端末3から受け取ったペーパーIDに対応付けられた電子データを、手書き情報の格納部に、受信したペーパーIDに対応付けて記憶する。
【0156】
以上のようにして、この実施形態の手書き入力装置を用いた
図10のシステムによれば、表示面11Dの上に所定の文書フォームが印刷された透明シート63を載置することで、その文書フォームにおける必要な入力欄への手書き入力情報を電子データとして収集することができる。その場合に、文書フォームはペーパーIDで認識するようにすると共に、電子データは、ページ番号などの区切り情報で管理することができる。したがって、このシステムは、例えば病院での問診表や、店舗での会員登録用シートなど、特定の文書フォームの所定の入力欄に手書き入力をするような用途に非常に有益である。この場合に、従来は、文書フォームが印刷されていた用紙に記入するようにしていたので、記入用紙を交換する必要があったが、透明シートを用いることで、そのような必要がないというメリットがある。また、従来は、個人情報が記載された用紙の管理が必要となっているが、
図10の例では、手書き入力情報は、表示ボード部の表示面11Dに表示されるが、それは消去されるので、従来の個人情報を保護するための用紙の管理は不要となるというメリットがある。
【0157】
[その他の実施形態又は変形例]
上述の第1の実施形態及び第2の実施形態の手書き入力装置では、表示部は、感圧コレステリック液晶層を用いた表示ボード部により構成したが、表示部は、この例に限られるわけではない。
【0158】
例えば、表示部は、
図11に示すような磁性シート16で構成されるようにしてもよい。この場合に、
図11に示すように、この磁性シート16の下方(裏面側)には、位置検出センサ12が、表示面に直交する方向において、磁性シート16と重畳するように配設される。
【0159】
磁性シート16は、
図11(A)に示すように、磁性材料粉例えば鉄粉163Fe(
図11(A)及び
図11(B)では黒点として示す)が泳動可能に閉じ込められたマイクロカプセル163の多数個が、例えばPET(Polyethylene Terephthalate)からなるシート状樹脂基材161とシート状樹脂基材162との間の隙間に閉じ込められてシート状に構成されたものである。この場合に、少なくともシート状樹脂基材161は透明材料とされている。
【0160】
この実施形態では、この磁性シート16のシート状樹脂基材161の表面161aが、表示面となる。この磁性シート16は、当該磁性シート16に磁極が近接あるいは接触していないときには、各マイクロカプセル163内の鉄粉163Feは、
図11(B)に示すように、不規則な任意の位置に存在する状態となり、磁性シート16の表面、すなわち、表示面は、全体が所定の地色、例えば白色の状態となる。
【0161】
そして、磁性シート16のシート状樹脂基材161の表面161a側に、磁極が近接あるいは接触すると、当該磁極が近接あるいは接触した位置の近傍のマイクロカプセル163内の鉄粉163Feは、
図11(A)に示すように、磁極側に吸引される。このため、磁極が近接あるいは接触した位置においては、磁性シート16の表面、すなわち、表示面は、鉄粉163Feの色、例えば黒色を呈する。マイクロカプセル163内の鉄粉163Feの位置は、磁極が遠ざかっても保持される。したがって、磁性シート16の表面に近接あるいは接触している磁極が移動すると、その移動軌跡が黒色の線となって、磁性シート16の表面に表れることになる。
【0162】
そして、この例では、電子ペン2の芯体2Tは、少なくとも先端部に磁極(例えばN極)を有するもので構成されている。したがって、電子ペン2で、磁性シート16で手書き入力をすると、その移動軌跡が磁性シート16の表面(表示面)に表れ、位置検出センサ12で、その手書き入力位置が検出され、電子データが生成される。
【0163】
なお、この例の手書き入力装置は、表示部の磁性シート16の表面に磁気的に吸引されたマイクロカプセル163内の鉄粉163Feの状態を、
図11(B)に示した不規則な位置の状態に戻すようにするイレーサ(図示は省略)が付属している。イレーサは、この例では、磁性シート16の表示領域の全体を一括して消去することが可能に構成されている。
【0164】
また、
図11の例のような磁性シートではなく、マイクロカプセルに、プラスに帯電した粒子とマイナスに帯電させた粒子を閉じ込め、電気泳動表示法で画像表示を行う電気泳動シート状部材を用いることもできる。
【0165】
この場合には、電気泳動シート部材は、上部電極と下部電極とを備え、それらの電極間に印可された電界に応じて表示画像が形成される。そして、この例の場合には、電子ペンによる指示位置が位置検出センサで検出されたときに、電気泳動シート状部材の、その検出された位置に対応する位置における電界が制御されることで、表示画像が生成される。
【0166】
そして、例えば、消去用の操作ボタンや、位置検出センサの検出領域内の消去用の指示領域への入力操作に応じて、上部電極と下部電極との間に消去用の電界が供給されることで、表示画像は、一括して消去されるように構成される。
【0167】
なお、この電気泳動シート部材を用いる場合には、位置検出センサの検出出力に応じた画像を表示するのとは別に、文書フォームの表示情報を別途表示するようにすることができる。そして、表示画像を一括して消去した後、手書き入力に先立ち、文書フォームを表示することにより、
図10に示したシステムと同様の使用態様を実現することができる。この例の場合には、透明シートも不要となるというメリットがある。
【0168】
なお、以上の実施形態の説明では、位置検出センサは、電磁誘導方式を用いるようにしたが、アクティブ静電結合方式など、他の位置検出方法のセンサを用いることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0169】
1,1A…手書き入力装置、2…電子ペン、3…モバイル端末、4…パソコン、11…表示ボード部、12…位置検出センサ、21…操作ボタン、22~24,27…インジケータ、25…ビープスピーカ、26…電源ボタン、30…位置検出回路、40…装置コントロール回路、41…メモリ、42…近距離通信部、43…消去用回路、44…制御回路