(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147654
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】廃水処理施設で生じる汚泥を減少させるためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C02F 3/12 20230101AFI20241008BHJP
C02F 3/34 20230101ALI20241008BHJP
【FI】
C02F3/12 B
C02F3/34 Z
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024111622
(22)【出願日】2024-07-11
(62)【分割の表示】P 2022076694の分割
【原出願日】2022-05-06
(71)【出願人】
【識別番号】512197755
【氏名又は名称】ジー・ロバート・ホワイトマン
【氏名又は名称原語表記】G.Robert WHITEMAN
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】ジー・ロバート・ホワイトマン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】水処理能力が高い汚泥除去および排出水質の維持方法の提供。
【解決手段】活性汚泥法または散水濾床法を用いる汚泥除去および排出水質の維持方法であって:
(a)オンサイトシステムにおいて増殖させたシュードモナス属およびバチルス属のいずれか1つ以上の機能性微生物を含む処理バッチを、適用時点で10
3~10
4cfu/ml以上の濃度で接種されるように添加することによって廃水流を処理することを含み、該処理バッチの強度は2.5ポンドであり;
(b)前記(a)の処理工程は、処理生物汚泥を生じ、該処理生物汚泥は、(a)の処理工程前のシステムにより生じる生物汚泥と比較して、改善された沈降特性を有し;
(c)これにより、処理生物汚泥中の固形物は、(a)の処理工程前のシステムにより生じる生物汚泥の固形物よりも100%以上増加した、方法である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性汚泥法または散水濾床法を用いる汚泥除去および排出水質の維持方法であって:
(a)オンサイトシステムにおいて増殖させたシュードモナス属およびバチルス属のいずれか1つ以上の機能性微生物を含む処理バッチを、適用時点で103~104cfu/ml以上の濃度で接種されるように添加することによって廃水流を処理することを含み、該処理バッチの強度は2.5ポンドであり;
(b)前記(a)の処理工程は、処理生物汚泥を生じ、該処理生物汚泥は、(a)の処理工程前のシステムにより生じる生物汚泥と比較して、改善された沈降特性を有し;
(c)これにより、処理生物汚泥中の固形物は、(a)の処理工程前のシステムにより生じる生物汚泥の固形物よりも100%以上増加した、
方法。
【請求項2】
栄養、水および微生物を含む接種物をオンサイトシステムに送り込む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
オンサイトシステムがメインタンク、水の流入装置、処理バッチの排出装置、混合装置、および温度制御装置を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
微生物を含む処理バッチの少なくとも一部が、直接、汚染廃水に用いられ、増殖工程と利用工程の間、微生物が単離、濃縮または凍結乾燥されない、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
処理バッチが、調整池に加えられる、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
処理バッチが、第一清澄槽に加えられる、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
生活用水および工業用水から生じる廃水は、水の受容体に排出される前に、通常、種々の物理的、化学的、生物学的汚染物質を除去する処理施設に送られ、回収される。必要な処理を行うために、多くの官民の処理施設が、物理的および生物学的処理法の両方を用いている。物理的な方法(スクリーニング、グライディングおよび物理的沈降法を含む)は、廃水中のより大きく重い固形物の除去に効果的である。しかしながら、廃水中のより軽くより小さい固形物および他の可溶性汚染物質は、物理的な方法により除去することができない。これらの汚染物質については、活性汚泥法および散水濾床法等の生物学的処理法が、通常用いられている。
【0002】
都市廃水処理システムからの汚染物質の排出規制は、近年、より厳しくなってきている。これに応じて、多くの自治体が、新規廃水処理システムを配備するか、または、既存のシステムを、汚染物質の排出が減少するように改良している。汚染物質には、多くの形態があり、最も一般的には生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、総懸濁固体量(TSS)、アンモニア、総窒素、硝酸、亜硝酸およびリンが挙げられる。
【0003】
従来の活性汚泥システムおよび膜バイオリアクターのような生物学的処理システムは、流入廃水中の汚染物質を減少させる一つの方法である。「流入」なる用語は、リザーバー、ベースン(basin)、処理プロセスもしくは処理プラントまたは処理施設に流れる(生(未処理)または一部処理された)廃水または他の液体を意味する。生物学的処理システムは、適切な量の活性汚泥が保持され、システムにより処理される水中に含まれる汚濁負荷が適切に減少するように設計および運転される。生じる余剰活性汚泥の正味の量(重さとして定義される)は、システムの固形物滞留時間(SRT)に関連する。種々の条件下での種々の汚染物質の処理に要求される最小限のSRTが、一般的によく知られている。活性汚泥流の濃度および沈降ベースンまたは清澄槽に向かう活性汚泥の沈降性が、沈降ベースンまたは清澄槽の面積および活性汚泥の特徴に応じた設計パラメーターにより設定された合理的限界内にある限り、従来の活性汚泥システムは、沈降または清澄デバイスの使用により活性汚泥を保持し、汚染物質を処理するのに適切なSRTを維持することができる。膜バイオリアクターシステムは、膜濾過装置の使用により活性汚泥を保持し、従来の活性汚泥システムにおける典型的な活性汚泥濃度よりも有意に高い活性汚泥濃度で操作することが可能であるが、偶発的な高い流量を処理する能力が限定される。
【0004】
汚濁負荷または水処理能力が限界に達した場合、処理施設は、許容限度違反、連邦政府または州の執行行為の可能性、その回収システムの処理が有効なサービスエリア内における国内成長および産業発達の制限または停止といったリスクに直面する。典型的には、廃水処理施設は、増加した水量負荷のニーズを満たすように、物理的に拡張される。しかしながら、物理的な拡張は費用がかかり、また、時には土地の追加が必要となり、都市においては、そのような土地が、既存の施設に隣接して入手できるとは限らないし、また、そのような土地はより高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、物理的な設備拡張の必要なしに、容積または質量汚濁負荷および水処理能力を増加させる方法の発見が望まれている。従来の汚泥法に対する本発明の大きな利点は、生物発酵槽を既存の設備に付加することにより、容積汚染物質負荷を実質的に増加させることができることである。加えて、強化汚泥法により、沈降特性が改善された生物汚泥が生じることもまた、本発明の特徴および利点である。沈降特性が改善されることにより、正味の汚泥廃棄量および/または発生量がより低くなるので、活性汚泥システムの物理的要素のサイズを大きくする必要性なく水量負荷を増大することが可能になる。他の利点は、典型的には廃水処理施設の運用コストの40~50%を占める、汚泥処理プロセスにおいて処理されるべき生物汚泥および廃棄される生物汚泥がより少ないことから、化学物質費、人件費、エネルギー費および運送費といった運用コストが少なくなる点である。同様の理由から、新規廃水処理プラントを、汚泥処理施設の必要性を大きく低減してより小さい規模で、すなわち、公知のシステムよりもより低い資本コストで、構築することができる。改良が求められている既存の廃水処理システムについては、増資の必要性を排除し、または拡張の一部またはすべてを遅らせることができる可能性がある。加えて、生物汚泥を廃棄する時間間隔を、活性汚泥プロセスから好気性または嫌気性消化槽まで25~50%延長し、およびそのプロセスから脱水工程、例えば乾燥床、加圧濾過または遠心分離まで25~50%延長することができる。この付加的な時間は、より少ない労働力要求、より少ない装置、より少ないエネルギー使用量およびより少ない化学物質の使用量を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、汚泥除去の改善および排出水質の維持方法に関する。この方法は、流入廃水流を処理施設に誘導すること:ここに、該流入廃水流は、少なくとも1日あたり20,000ガロン(75,708L)の流量であり、該流入廃水流は、少なくとも50mg/Lの固形物および100mg/LのBODを有する;処理施設において、固形物およびBODを流入廃水流から除去して、最終排出流を得ること:ここに、最終排出流は、廃水流の10%未満の固形物および廃水流の10%未満のBODを有する;固形物およびBODの除去により、除去BOD1kgあたり、約0.25kg未満の二次汚泥を生じさせることを含む。この方法において、流入廃水流は、少なくとも約100mg/Lの固形物および200mg/LのBODを有していてもよく、除去固形物は、除去BOD1kgあたり、約0.25kg未満の二次汚泥であってもよい。この方法において、流入廃水流は、少なくとも約100mg/Lの固形物および400mg/LのBODを有していてもよく、除去固形物は、除去BOD1kgあたり、約0.25kg未満の二次汚泥であってもよい。この方法において、流入廃水流は、少なくとも約50mg/Lの固形物および100mg/LのBODを有していてもよく、除去固形物は、除去BOD1kgあたり、約0.125kg未満の二次汚泥であってもよい。この方法において、流入廃水流は、少なくとも約100mgLの固形物および200mg/LのBODを有していてもよく、除去固形物は、除去BOD1kgあたり、約0.125kg未満の二次汚泥であってもよい。
【0007】
他の具体例において、本発明は、汚泥除去の改善および排出水質の維持方法に関する。この方法は、流入廃水流を処理施設に誘導すること:ここに、該流入廃水流は、少なくとも1日あたり20,000ガロン(75,708L)の流量であり、流入廃水流が、少なくとも50mg/Lの固形物および100mg/LのBODを有する;処理施設において、固形物およびBODを流入廃水流から除去して、最終排出流を得ること:ここに、該最終排出流は、廃水流の10%未満の固形物および廃水流の10%未満のBODを有する;固形物およびBODの除去により、除去BOD1kgあたり、約0.25kg未満の生物汚泥を生じさせることを含む。この方法において、流入廃水流は、少なくとも約100mg/Lの固形物および200mgLのBODを有していてもよく、除去固形物は、除去BOD1kgあたり、約0.25kg未満の生物汚泥であってもよい。この方法において、流入廃水流は、少なくとも約100mgLの固形物および400mg/LのBODを有していてもよく、除去固形物は、除去BOD1kgあたり、約0.25kg未満の生物汚泥であってもよい。この方法において、流入廃水流は、少なくとも約50mg/Lの固形物および100mg/LのBODを有していてもよく、除去固形物は、除去BOD1kgあたり、約0.125kg未満の生物汚泥であってもよい。この方法において、流入廃水流は、少なくとも約100mg/Lの固形物および200mg/LのBODを有していてもよく、除去固形物は、除去BOD1kgあたり、約0.125kg未満の生物汚泥であってもよい。
【0008】
他の具体例において、本発明は、汚泥除去の改善および排出水質の維持方法に関する。この方法は、流入廃水流を処理施設に誘導すること:ここに、該流入廃水流は、少なくとも1日あたり20,000ガロン(75,708L)の流量であり、流入廃水流が、少なくとも50mg/Lの固形物および100mg/LのBODを有する;処理施設において、固形物およびBODを流入廃水流から除去して、第1の最終排出流を得ること:ここに、該第1の最終排出流は、廃水流の10%未満の固形物および廃水流の10%未満のBODを有する;排水流を、生物発酵槽からの処理バッチを添加することにより処理し、これにより、最終排出流中の固形物およびBODを増加させることなく、除去汚泥の重量を、少なくとも約10%減少させることを含む方法。この方法において、処理バッチは、嫌気性消化槽、調整池および/または一次清澄槽に加えることができる。この方法において、最終排出流中の固形物およびBODを増加させることなく、除去汚泥の重量を、少なくとも約25%減少させることができる。この方法において、最終排出流中の固形物およびBODを増加させることなく、除去汚泥の重量を、少なくとも約50%減少させることができる。
【0009】
さらに別の具体例において、本発明は、汚泥除去の改善および排出水質の維持方法に関する。この方法は、流入廃水流を処理施設に誘導すること:ここに、該流入廃水流は、少なくとも1日あたり20,000ガロン(75,708L)の流量であり、流入廃水流が、少なくとも50mg/Lのバイオソリッドおよび100mg/LのBODを有する;処理施設において、バイオソリッドおよびBODを流入廃水流から除去して、最終排出流を得ること:ここに、該最終排出流は、廃水流の10%未満のバイオソリッドおよび廃水流の10%未満のBODを有する;固形物およびBODの除去により、除去BOD1kgあたり、約0.25kg未満のバイオソリッドを生じさせることを含む。この方法において、汚泥は、一次汚泥、生物汚泥であってもよく、および/または汚泥は、一次汚泥および生物汚泥を含んでいてもよい。この方法において、流入廃水流は、少なくとも約100mg/Lの固形物および200mg/LのBODを有していてもよく、除去固形物は、除去BOD1kgあたり、約0.25kg未満のバイオソリッドであってもよい。この方法において、流入廃水流は、少なくとも約100mg/Lの固形物および400mg/LのBODを有していてもよく、除去固形物は、除去BOD1kgあたり、約0.25kg未満のバイオソリッドであってもよい。この方法において、流入廃水流は、少なくとも約50mgLの固形物および100mg/LのBODを有していてもよく、除去固形物は、除去BOD1kgあたり、約0.125kg未満のバイオソリッドであってもよい。この方法において、流入廃水流は、少なくとも約100mg/Lの固形物および200mg/LのBODを有していてもよく、除去固形物は、除去BOD1kgあたり、約0.125kg未満のバイオソリッドであってもよい。
【0010】
さらなる具体例において、本発明は、汚泥除去の改善および排出水質の維持方法に関する。この方法は、流入廃水流を処理施設に誘導すること:ここに、該流入廃水流は、少なくとも1日あたり20,000ガロン(75,708L)の流量であり、流入廃水流が、少なくとも50mg/Lの固形物および100mg/LのBODを有する;処理施設において、固形物およびBODを流入廃水流から除去して、最終排出流を得ること:ここに、該最終排出流は、廃水流の10%未満の固形物および廃水流の10%未満のBODを有する;固形物およびBODの除去により、除去BOD1kgあたり、約0.25kg未満の二次汚泥を生じさせることを含む。この方法において、流入廃水流は、少なくとも約100mg/Lの固形物および200mgLのBODを有していてもよく、除去固形物は、除去BOD1kgあたり、約0.25kg未満の二次汚泥であってもよい。この方法において、流入廃水流は、少なくとも約100mg/Lの固形物および400mg/LのBODを有していてもよく、除去固形物は、除去BOD1kgあたり、約0.25kg未満の二次汚泥であってもよい。この方法において、流入廃水流は、少なくとも約50mg/Lの固形物および100mgLのBODであってもよく、除去固形物は、除去BOD1kgあたり、約0.125kg未満の二次汚泥であってもよい。この方法において、流入廃水流は、少なくとも約100mg/Lの固形物および200mg/LのBODを有していてもよく、除去固形物は、除去BOD1kgあたり、約0.125kg未満の二次汚泥であってもよい。
【0011】
さらに別の具体例において、本発明は、汚泥除去の改善および排出水質の維持方法に関する。この方法は、流入廃水流を処理施設に誘導すること:ここに、該流入廃水流は、少なくとも1日あたり20,000ガロン(75,708L)の流量であり、流入廃水流が、少なくとも50mg/Lの固形物および100mg/LのBODを有する;処理施設において、固形物およびBODを流入廃水流から除去して、最終排出流とすること:ここに、該最終排出流は、廃水流の10%未満の固形物および廃水流の10%未満のBODを有する;固形物およびBODの除去により、除去BOD1kgあたり、約0.25kg未満の生物汚泥を生じさせることを含む。この方法において、流入廃水流は、少なくとも約100mg/Lの固形物および200mgLのBODを有していてもよく、除去固形物は、除去BOD1kgあたり、約0.25kg未満の生物汚泥であってもよい。この方法において、流入廃水流は、少なくとも約100mg/Lの固形物および400mg/LのBODを有していてもよく、除去固形物は、除去BOD1kgあたり、約0.25kg未満の生物汚泥であってもよい。この方法において、流入廃水流は、少なくとも約50mg/Lの固形物および100mg/LのBODを有していてもよく、除去固形物は、除去BOD1kgあたり、約0.125kg未満の生物汚泥であってもよい。この方法において、流入廃水流は、少なくとも約100mg/Lの固形物および200mg/LのBODを有していてもよく、除去固形物は、除去BOD1kgあたり、約0.125kg未満の生物汚泥であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、従来の活性汚泥プロセスのフローダイヤグラムである。
【
図2】
図2は、従来の廃水処理法を説明する概略図である。
【
図3】
図3は、例示的な廃水処理順序およびプロセスを説明する概略図である。
【
図4】
図4は、例示的な廃水処理順序およびプロセスを説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の種々の具体例により、廃水処理のシステムおよび方法を提供する。本発明の多くの具体例は、BOD、COD、TSS、アンモニア、硝酸、亜硝酸、総窒素、およびリンレベルに関する制限を含む、1つまたはそれ以上の環境基準を超えた流入水を受け入れ、現在の環境基準を満たした廃水を排出することができる。かかる排出環境基準は、国家汚染物質排出防止システム(National Pollutant Discharge Elimination System)(NPDES)により管理されている。本発明の態様は、処理効率を最大限にし、「通常」の運転における運用コストを最小限にし、さらに、高流入期間であっても同じシステムで許容できる排出水質とするように選択され得る。
【0014】
具体的には、本発明は、廃棄または発生する正味の生物汚泥が低減された廃水処理方法に関する。
【0015】
概説
本発明の実施においては、特記されない限り、クラス1またはクラスAの資格を有する者または学位を有する環境工学者の通常の技術の範囲内である、従来の廃水処理工学の技術を利用する。かかる技術および技術用語の定義は、以下の技術者認定用の文献に十分に説明されている:Operation of Wastewater Treatment Plants Manuals,A Field Study Training Program,4th Edition,Volume 1 and 2,California State University,Sacramento,1998; Industrial Waste Treatment,A Field Study Training Program,California State University,Sacramento,1991; Advanced Waste Treatment,A Field Study Training Program,Second Edition,California State University,Sacramento,1993;およびOperation and Maintenance Wastewater Collection Systems,A Field Study Training Program,Fourth Edition,Volumes 1 and 2,California State University,Sacramento,1993。
【0016】
廃水は、それが生じた場所の近くで処理することができるか(浄化槽、生物濾過器または好気性処理システにおいて)、あるいは、廃水回収システムと言われるパイプ網とポンプ場を経て、処理プラントに輸送し、回収することができる。廃水の回収および処理は、典型的には、地方、州および連邦政府の規制および規格の対象である。産業を発生源とする廃水は、特別な処理プロセスを必要とすることがある。
【0017】
典型的には、廃水処理は、一次、二次および三次処理と呼ばれる3つのステージを含む。
【0018】
一次または沈降処理/段階は、流入廃水を、一時的に静穏なベースンに保持することからなり、そこで重い固形物は底に沈み得るが、油脂、オイル、グリースおよび軽い固形物は表面に浮く。沈降した物質および浮遊物質は除去され、残った液体は、排出されるか、二次処理に付され得る。
【0019】
「流入」なる用語は、リザーバー、ベースン(basin)、処理プロセスもしくは処理プラントまたは処理施設に流れる(生(未処理)または一部処理された)廃水または他の液体を意味する。
【0020】
一次ステージにおいて、廃水は、一般的に「第一清澄槽」または「第一沈降タンク」と称される大きなタンクに流れる。「清澄槽」なる用語は、重い固形物が底に沈降し、軽い物質が水面に浮上するまでの間、廃水を保持する沈降タンクまたは沈降ベースンを意味する。タンクは、汚泥を沈降させ、グリースおよびオイルのような浮遊物質を表面に浮上させ、すくい取るのに十分な大きさを有する。一次沈降ステージの主な目的は、生物学的に処理することができるほぼ均一な液体および別途処理することができる汚泥を生産することである。一次沈降タンクは、通常、機械的に駆動するスクレーパーを備え、これは回収した汚泥をタンクの底のホッパーに連続的に押し出し、ホッパーからさらなる汚泥処理段階に送り出すことができる。
【0021】
「汚泥」なる用語は、「一次汚泥」、「二次汚泥」または「生物汚泥」および様々な「固形物」を包含し、これらの3つの単語は、本明細書において、内容に応じて相互に用いられ、二次(生物学的)処理の間、有機物の生分解により生じる過剰バイオマスを意味する。
【0022】
「一次汚泥」なる用語は、一次処理を用いる沈降処理から得られ、さらなる処理がなされていない、半液体廃棄物を意味する。これは、典型的には、第一清澄槽の底に沈降し、除去されたか、あるいは前処理または調整池から浚渫された、有機物、紙、糞便/固体を含む。一次汚泥はまた、二次汚泥を含み、二次および一次汚泥の共沈降が、第一清澄槽において行われる。
【0023】
「二次汚泥」または「生物汚泥」は、二次処理(生物学的処理)の間に有機物の生分解から生じる、余剰バイオマスを意味する。二次汚泥は、活性汚泥、混合汚泥、および凝集沈殿汚泥を含む。
【0024】
「固形物」なる用語は、一次汚泥、二次汚泥またはその両方を意味する。
【0025】
「バイオソリッド(biosolid:生物学的固形物)」なる用語は、廃水処理プロセスにより生産される、一次固体生成物を意味する。
【0026】
嫌気性消化による固形物濃縮/減少還元により、一次および二次汚泥は組み合わされる。好気性プロセスは、通常、単なる二次的処理である。
【0027】
汚泥は、典型的には、生物学的プロセスで蓄積される固形物を維持するために廃水から除去される。汚泥の除去に続いて、汚泥処理プロセスを経る。このプロセスは、好気性または嫌気性消化を用いて汚泥を減容し、ついで、化学薬品(凝集剤またはポリマー)を用い、機械、例えば遠心分離器、ベルトプレスにおいて濃縮する初期処理から、土地利用および焼却および埋め立てによる最終処理まで、様々な形態がある。汚泥廃棄および、続く処理プロセスは、活性汚泥プラントにおける餌(food):微生物比(F:M比)を維持するのに重要である。F:M比は、排出水質の決定および制御において主要なパラメーターである。「F:M比」なる用語は、餌:微生物比を意味し、エアレーションタンクにおいてバクテリアに提供される餌の尺度である。
【0028】
二次処理は、溶解した生物学的物質および懸濁した生物学的物質を除去する。二次処理は、典型的には、管理生息地の常在水性微生物により行われ、すなわち、生物学的廃水処理システムである。二次処理は、排出または三次処理の前に、処理された水から微生物を除去する分離工程を必要とする。
【0029】
三次処理は、しばしば、一次および二次処理以外のものとして定義される。処理された水は、水路、川、湾、ラグーンまたは湿地帯に排出される前に、化学的または物理的(例えば、ラグーン(lagoon)および精密濾過により)に消毒されるか、あるいは、ゴルフコース、緑道または公園の灌漑に用いることができる。これが十分にきれいである場合、また、地下水の涵養または農業目的にも用いることができる。
【0030】
一般的には、流入廃水は、前処理してもよい。前処理は、一次処理清澄槽のポンプおよびスキマーを損傷したり、詰まらせたりする前に、生(raw)廃水から容易に回収することができる大きな物質を除去する。これは、最も一般的には、大規模の現代のプラントにおいては、自動化された機械式のレーキ付きバースクリーンにより行われているが、より小さいか、または現代的でないプラントでは、手動で洗うスクリーンが用いられ得る。機械式バースクリーンの掃き動作は、典型的には、バースクリーン上の堆積および/または流速に応じて調整される。固形物は回収され、埋め立て地に廃棄されるか、焼却処分される。
【0031】
また、前処理は、流入廃水の速度を、注意深く制御して、砂、砂利および石を沈降させる、砂または砂利チャネルまたはチャンバーを含み得る。
【0032】
三次処理に続いて、堆積した汚泥は、安全かつ効果的な方法で、処理し、廃棄しなければならない。消化の目的は、固形物中に存在する微生物の量および病原性微生物の数を減少させることである。最も一般的な処理の選択肢としては、嫌気性消化、好気性消化および堆肥化を含み、また、焼却も用いることができる。
【0033】
廃水固形物処理方法の選択は、生じる固形物の量および場所に特異的な他の条件に依存する。しかしながら、一般的に、小規模での適用には堆肥化が多く用いられ、ついで、好気性消化、大規模な自治体での適用には嫌気性消化が用いられる。
【0034】
嫌気性消化は、酸素の非存在下で行われる生物学的プロセスである。このプロセスは、汚泥が、タンクにおいて55℃以上の温度で発酵する高温消化、または36℃付近の温度での中温消化のいずれでもあり得る。より短い保持時間(および、かくして、より小さいタンク)を許容し得るが、高温消化は、汚泥を加熱するためのエネルギー消費の点でより費用がかかる。
【0035】
嫌気性消化の1つの主な特徴は、バイオガス(最も一般的な成分はメタンである)の発生であり、これは、発電および/またはボイラーの加熱目的に用いることができる。
【0036】
好気性消化は、酸素の存在下で生じる生物学的プロセスである。好気性条件下で、微生物は、すぐに有機物を摂取し、二酸化炭素に変換する。好気性消化の運用コストは、酸素化に自然の空気流を用いるストーンファイバーフィルター法が近年出現したといっても、プロセスに酸素を添加するのに必要なブロワー、ポンプおよびモーターにより使用されるエネルギーのため、有意なものである。好気性消化は、また、ジェットエアレーターを用いて、汚泥を酸化することにより達成することができ、この方法もまた、従来の方法よりは高価ではないが、コストがかかる。
【0037】
堆肥化は、また、汚泥と炭素源、例えば、おがくず、麦わらまたはウッドチップを混合することを含む、好気性プロセスである。酸素の存在下、微生物は、廃水固形物および添加した炭素源の両方を消化し、その間大量の熱を発生する。
【0038】
汚泥の焼却は、排気の問題、および低熱量値汚泥の燃焼および残った水の蒸発に必要な補助燃料(典型的には、天然ガスまたは燃料油)のために、あまり一般的ではない。高滞留時間を要する多段炉焼却炉ならびに流動床式焼却炉は、廃水汚泥を燃焼するのに用いられる最も一般的なシステムである。都市廃棄物-エネルギープラントにおける共燃焼が行われる場合もある。このオプションは、施設が固形廃棄物用に既に存在しており、補助燃料を必要としないと仮定すると、あまり費用がかからない。
【0039】
液体汚泥が生成する場合、最終廃棄に適したものとするために、さらなる処理が必要とされ得る。典型的には、汚泥を、濃縮(脱水)し、廃棄のために隔離地に輸送する量を減少させる。バイオソリッドの廃棄の必要性を完全に排除する方法はない。しかしながら、いくつかの町では、廃水汚泥を過熱し、「ケーキ」を小さなペレット状顆粒に変換するさらなる工程が行われている。これは、窒素および他の有機物含量が高く、肥料として用いられる。ついで、この生成物は、地元の農家および芝生農家に、土壌改質剤または肥料として販売されており、埋め立て地における汚泥の廃棄に必要な土地を低減することができる。遠心分離液(centrate)とも称される除去された液体は、典型的には、廃水プロセスに再び導入される。
【0040】
廃水処理システムおよびプロセスには異なるタイプがある。廃水処理システムの1つの例としては、
図1の流れ図で説明するような活性汚泥法が挙げられる。一般的に、前処理工程の間に、流入廃水は、最初に、スクリーニングされ、根、ぼろきれ、空き缶および大きながれき類が除去される。ついで、これらは埋め立て地に運ばれるか、可能であれば、粉砕して、プラント流に戻される。次に、砂および小石を、砂粒除去工程の間に、流入廃水から除去し、廃水を、予備エアレーションし、活性化させ、油の除去を促進する。ついで、流入廃水をフローメーターに通し、流れを測定および記録する。前処理の後、流入は、沈降および浮遊を含む一次処理に付され、沈降および浮遊物質を除去する。一次処理に続いて、廃水を二次処理(生物学的処理としても知られている)に付して、生分解により、可溶性または溶解有機物が除去し、一方、懸濁している固形物は、ゆっくりと固形物の生分解を行うフロック(floc)中に取り込むことにより除去する。二次処理に続いて、廃水を消毒して、病原性微生物を殺滅し、通常、排水の前に、再び爆気を行う三次処理に送られる。
【0041】
図2は、廃水処理プロセスの別の例を説明する。具体的には、これは、純酸素爆気システムの一例である。純酸素爆気システムは、活性汚泥法の改良法である。主な違いは、溶存酸素を活性汚泥に供給する方法である。他の活性汚泥法では、空気を圧縮し、水面下に放出し、空気-水の界面を生成して、それにより酸素を水中に移動させる(酸素を溶解させる)。圧縮空気を用いない場合、表面エアレーターが、水面を撹拌して、空気を水中に送り込み、酸素輸送を達成する。純酸素爆気システムにおいて、唯一の実質的な違いは、空気ではなく純酸素を水面下に放出するか、または、表面エアレーターにより水中に送り込み、エアレーターに蓋が付いている点である。この方法において、流入廃水は、一次清澄に付される。
図2に示されるように、流入廃水は前処理され、ついで、一次清澄槽に付され、純酸素反応器および二次清澄槽に付される。廃水を、塩素に接触させ、受水槽に排出する。汚泥は、純酸素反応器に戻されるか、一次清澄槽からの濃縮汚泥と組み合わされ、一次および二次嫌気性消化槽に付される。ついで、固形物は、脱水され得る。
【0042】
他の廃水処理プロセスが、当該分野で知られており、本発明の方法に従って用いてもよい。
【0043】
廃水の処理方法
一の具体例において、本発明は、廃水の処理方法であって、この方法において廃棄および/または発生する正味の汚泥量を減少させる。
【0044】
この方法において、米国特許公開第2003/0190742号(出典明示により本明細書に組み入れる)に非常に詳細に記載されている生物発酵システムを、廃水処理施設にオンサイト(on-site)で設置する。
【0045】
オンサイトシステムは、汚染廃水の場所で微生物を増殖させる方法であり、一般的には、メインタンク、水の流入装置、処理バッチの排出装置、混合装置、および温度制御装置を含む。栄養、水および微生物を含む接種物を、オンサイトシステムに送り込む。接種物は、オンサイトシステムにおいて増殖して、微生物の数が増加した処理バッチを与える。ついで、微生物を含む処理バッチの少なくとも一部は、直接、汚染廃水に用いられ、増殖工程と利用工程の間、微生物は単離、濃縮または凍結乾燥されない。微生物は、汚染廃水中の汚染物質を減らす。大きな活性汚泥プラントまたは単一パスラグーンにおいて、保持タンクを、処理バッチの輸送用に用いることができ、そこで、処理バッチを連続的に排出できるように、処理バッチは、供給および投入用に大容積に希釈される。
【0046】
重要には、オンサイト生物発酵システムの使用により、機能性微生物(外部源または内部源のいずれか)の十分な繰り返し接種が可能になり、微生物群が早期に確立され、望ましくない常在群、例えば、バルキングの原因である糸状菌またはズーグレア(Zoogloea)タイプの微生物を排除することができる。廃水処理プラントの総運用コストを20~25%程度も増加させ得る糸状菌またはズーグレアバルキングのような問題を解決することは、市場の大きな要求である。第一の処理コストの増加は、沈降補助剤、または二次清澄槽において水を澄ませ、バイオマスを濃縮するための化学物質の使用の必要性により生じる。このような化学物質の例としては、ポリマー、ベントナイト、ミョウバンまたは第二鉄塩が挙げられる。第二の処理コストの増加は、糸状菌およびズーグレアの増殖により脱水性が低くなり、汚泥を処理するのに必要な装置の量および脱水用のポリマーの量が増加し、それによるコストの増加によって生じる。第三の処理コストの増加は、運転の効率が悪くなることにより要求されるマンパワーが多くなり、また、廃棄のための輸送費および手数料が増加することにより生じる。生物発酵システムは、バルキングおよび沈降性の問題を生じさせる望ましくない微生物、例えば糸状菌またはズーグレアタイプの微生物を制御するか、または排除するために用いられる方法を提供する。発酵プロセスは、沈降を増強するためのポリマーの使用を少なくする、または取り除き、脱水のための化学物質の使用を最小限とし、そして、汚泥処理の必要性、マンパワー、廃棄のための輸送費および手数料を最小限とするために使用される。
【0047】
加えて、生物発酵プロセスにより、適用時点で、廃水を有意に処理するのに十分な有効濃度の望ましい微生物を提供することが可能になる。最適には、適用時点で、約103~104cfu/ml(1ミリリットルあたりのコロニー形成単位)である最小限の好ましい接種を達成できるように、接種物を、約108~109cfu/mlの濃度にまで増殖する。
【0048】
接種物中に存在する微生物のタイプは、処理すべき廃水のタイプに依存する。接種物は、解決すべき廃水問題に応じて、単一株または複数株の微生物を含有していてもよい。接種物は、液体または乾燥生成物として提供され得る。乾燥生成物は、通常、凍結乾燥または空気乾燥される。加えて、微生物は、外部由来であってもよく、または常在微生物を、処理中に廃水から単離してもよい。
【0049】
微生物(microorganism、microbe)または有機体なる用語は、本明細書で用いられる場合、互換性があり、真菌、酵母、細菌および他の生分解する小さな単細胞生物を含む。
【0050】
好ましくは、汚泥減容微生物(Advanced Biofermentation Services Inc(フロリダ州フレミング島)から購入可能)が、BOD除去の効率が低く、システムが過負荷である廃水処理施設、および/または典型的には施設の運用コストの約40~50%を占める汚泥処理に関連する運用コストを削減したい処理施設での廃水処理に用いられる。
【0051】
微生物のいくつかの例を、固有の生分解特性と併せて表1に示す。
【表1】
【0052】
特定の廃水に対してどの培養物またはどの製造者処方が最も有効であるかの決定は、標準的な呼吸計測法を用いて行うことができる。呼吸計測法の原理は、試験基質に曝露したバイオマスの活性を、バイオマスおよび結果が予想可能な公知の基質を含む対照と比較して測定することである。試験される基質は、特定の化学物質または廃水流から合流廃水までの範囲に及び得る。代表的な例としては、好気性または嫌気性環境のいずれかを促進するように設定され得る。呼吸計測法の典型的な適用は:生活廃水および工業廃水の処理性能;特定の廃水流または化学物質の毒性;化学物質の生分解性;生物化学的酸素要求量(BOD);および酸素摂取速度(OUR)を評価することを含む。
【0053】
好気性微生物は、増殖および有機基質の代謝に酸素を用いる。好気性微生物については、酸素摂取速度(OUR)が、有機物の安定性に直接関与し、したがって、有機廃水を生分解する能力に関連する。
【0054】
好気性および嫌気性試験に関する呼吸計測装置および処理プロシージャは、米国の製造業者、例えば、Challenge Environmental Systems of Fayetteville(アーカンソー州);Arthur Technology of Fond du Lac(ウィスコンシン州);およびBioscience Management of Bethlehem(ペンシルベニア州)から入手可能である。好気性処理能力試験の例としては、Whiteman,G.R,TAPPI Environmental Conference ”The Application of Selected Microbial Formulations in the Pulp and Paper Industry”,TAPPI Environmental Proceedings,Book 1,pp.235-238,1991年4月;Whiteman,G,R.,Gwinnett industrial Conference ”Optimizing Biological Processes-A Look Inside The Black Box”,1995年4月;およびWhiteman,G.R.,TAPPI EnvironmentalConference ”Improving Treatment Performance with Natural Bioaugmentation”,TAPPI Environmental Proceedings,Vancouver,BC,1998(これらの開示は出典明示により本明細書に組み入れる)のような技術文書に見られる。
【0055】
個々の単離物および/または調製物の効果を、呼吸計測法を用いて比較すると、その後は、本明細書に記載の発酵プロセス用の接種物として最も優れたものを選択することができる。前もって調製された培養物を、Advanced Biofermentation Services Inc.(フロリダ州フレミング島)から購入することができる。
【0056】
「栄養」なる用語は、植物および有機体が生存するのを補助するのに必要とされる基質を意味する。主な栄養は、炭素、水素、酸素、硫黄、窒素およびリンである。栄養は、主要栄養素および微量栄養素の両方を含む。微生物の典型的な組成を表2に示す。ここにおいて、異なる微生物が異なる組成を有することは明らかである。微生物はまた、窒素をアミノ酸、およびタンパク質またはリボ核酸(RNA)およびデオキシリボ核酸(DNA)のプリンもしくはピリミジン塩基の基本構成要素に同化する能力が異なる。したがって、異なる微生物は、発酵プロセスを最適化するための、主要栄養素(窒素およびリン)および微量栄養素(例えば、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、鉄、塩化物および硫黄)の要求が異なる。難培養性(増殖しにくい)微生物に関する濃度を含む主要栄養素および微量栄養素の情報、特定の微量栄養素が必要か否かを決定する方法、および一般的な栄養素の役割の説明に関するLevyらによる、Introductory Microbiology(出典明示によりその開示を本明細書に組み入れる)を参照されたい。
【0057】
【0058】
生物学的処理プラントにおける主にバクテリアから構成される活性バイオマスは、ほとんどの微生物に関して8~15%、最も典型的には12~12.5%の窒素、および2~5%、最も典型的には2.3~2.6%のリンを含有する。リンは、微生物がエネルギーを蓄える手段であるアデノシン三リン酸(ATP)を形成するのに重要である。
【0059】
微生物は、タンパク質、炭水化物、脂質と称される脂肪質、またはこれらの基質の組み合わせから構成され、特に、タンパク質は、生分解プロセスの基礎である酵素の生成に用いられる。特定の有機基質に関する生分解プロセスは、一連の反応により構成される。特定の酵素は、個々の反応を起こす。これらの酵素は、アミノ酸および場合により補因子、通常は、有機基質の生分解および変換が行われる酵素の活性部位を形成する金属から構成される。最適には、微量栄養素は、発酵または生分解プロセスを最適化するために十分な量で存在する。微量栄養素は、ビタミン、補酵素、金属または無機化合物、例えば酵素、補酵素の産生または細胞の増殖に必要な補因子といった基質を含む。例えば、硫黄は、必須アミノ酸、システインおよびメチオニンの同化に必要である。かかる微量栄養素、例えば葉酸、パントテン酸(コエンザイムA)、ビタミンB12(コバミド)、ビオチン、ニコチン酸またはニコチンアミド(NAD)、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB6(ピリドキシン)、リポ酸およびアスコルビン酸を含む補酵素についての情報は、Biochemistry,Second Edition.Albert L.Lehninger,Worth Publishers Inc.,1975,ISBN:0-87901-047-9、およびLevyら、Introductory Microbiology John Wiley & Sons Inc.,1973,ISBN0-471-53155-3(これらの開示は、出典明示により本明細書に組み入れる)に見られる。
【0060】
上記したように、本発明の廃水処理プロセスに用いられる微生物のタイプは、解消すべき廃水問題のタイプに依存する。最もよく用いられる微生物は細菌であり、最も一般的には好気性中温細菌が用いられる。好気性細菌は、有機物の代謝に酸素用い、これは、例えば、生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、全有機体炭素(TOC)、または全炭素(TC)により測定される。また、酸素の有無にかかわらず代謝できる通性細菌、または酸素を用いない嫌気性細菌も用いることができる。また、細菌は、その成長に最適な温度に関して分類される。適当な温度は、高熱性の場合55~75℃;中温性の場合30~45℃;および好冷性:偏性の場合15~18℃である。
【0061】
かかるオンサイト生物発酵プロセスおよびシステムの適用または使用の結果として、官民いずれの廃水処理施設についても、正味の汚泥廃棄量および/または発生量が低くなる。
【0062】
本発明による好ましい廃水処理の手順およびプロセスを、概略的に、
図3および4に説明する。しかしながら、この方法は、図面または上記詳細な記載に説明されるいずれの特定のシステムにも限定されず、本発明の実施を可能にするいずれの装置も代わりに用いることができる。
【0063】
図3を参照して、本発明の方法による廃水処理は、前処理、一次処理(化学的および物理的)、二次処理(溶解した有機物および懸濁した固形物の除去)、三次処理、汚泥処理、汚泥廃棄および液体廃棄を含む。
【0064】
本発明の廃水処理方法の具体的な処理工程を、
図4に示す。
【0065】
前処理工程は、スクリーニングおよび砂粒除去、調整および貯蔵および油分分離を含む。化学的一次処理は、少なくとも2つの中和工程ならびに化学物質添加および凝集工程を含む。物理的一次処理は、多段浮遊、沈降および濾過工程を含む。溶解した有機物の二次処理は、活性汚泥、嫌気性ラグーン、散水濾床、曝気ラグーン、安定化ベースン、回転生物接触、膜バイオリアクター、連続バッチ反応器(SBR)および嫌気性コントラクターおよび濾過処理を含む。二次処理における懸濁している固形物の除去は、固形物の沈降または休止サイクルを有する内部エアレーションベースン(SBR)または膜の使用を含む。次に、廃水は三次処理に付され、これは、凝集および沈降、濾過、炭素吸着、イオン交換および膜処理を含む。処理工程から得られた汚泥は、汚泥処理に利用可能である。具体的には、汚泥は、消化または湿式燃焼により処理することができる。また、汚泥は、重力または浮力により濃縮(脱水)することができ、外部の廃棄場所に輸送される容積にまで減容される。また、汚泥は、加圧濾過、減圧濾過、遠心分離またはラグーンまたは乾燥床により処理することもできる。汚泥処理に続いて、汚泥は、焼却、海洋投棄および埋め立てにより廃棄することができる。処理した希釈廃水はまた、水の受容体への廃棄、制御または輸送排出、海洋投棄、地表散布または地下水浸潤、蒸発および焼却により廃棄することができる。濃縮した有機廃水は、深井戸注入または焼却により廃棄することができる。
【0066】
意外にも、汚泥減容微生物を利用するオンサイト生物発酵システムを組み入れた本発明の廃水処理プロセスにより、汚泥廃棄量および/または発生量が少なくなった。
【0067】
具体的には、典型的には、二次処理により処理されるBOD1kgあたり、0.5kgの汚泥が廃棄および/または発生すると予想されるだろう。多くの生物学的システムによる流入BOD負荷および典型的なBOD除去率90%に基づくと、これは、プラントに流入するBOD1kgあたりに発生する汚泥量0.45kgに相当する。
【0068】
生物汚泥生成速度は、廃水構成物質の違いにより変化し、例えば脂肪油および/またはグリース(FOG)は、BOD減少1kgあたり0.7~0.8kgの汚泥を生じるが、ベンゼンまたはフェノールのような化学物質は、BOD減少1kgあたり0.25kgの汚泥程度に低くなり得る。
【0069】
しかしながら、処理バッチとして、汚泥減容微生物を用いる生物発酵システムが、本発明の方法にしたがって、廃水処理施設にオンサイトで導入される場合、二次システムにより処理されるBOD1kgあたり、0.125kgの汚泥が、廃棄および/または発生する。多くの生物学的システムによる流入BOD負荷および典型的なBOD除去率90%に基づくと、これは、プラントに流入するBOD1kgあたりに発生する汚泥量0.112kgに相当し、処理施設に流入する量に基づいて、当業者が期待するものよりも有意に低いものとなる。
【0070】
特定のメカニズムに縛られるものではないが、この低い正味の汚泥廃棄量および/または発生量は、例えば、米国特許公開第2003/0190742号に記載のように、システムに存在し、生物発酵プロセスに利用可能な微生物数の増加によるものと考えられる。生物学的システムにおける生存微生物の数の増加により、本質的には、F:M比が減少し、このことは、より少ない食物でより多くの微生物が生存することを意味する。すなわち、細胞増殖よりもむしろ細胞維持にBODを用いる微生物の細胞代謝が生じている。したがって、後者は、生物汚泥の発生量が低くなる。加えて、または別に、(活性汚泥システムにおける)糸状微生物の減少により、良好な沈降汚泥が生じ、より多くの汚泥を生物学的システムに運ぶことを可能にし、それにより、F:M比が減少し、SRTが増加するという利益が得られる。F:M比の減少およびSRTの増加は、生物学的システムでの自己消化が進み、正味の汚泥廃棄量がより低くなるので、標準的な正味の汚泥廃棄量の減少方法である。
【実施例0071】
実施例1
【0072】
グレイシティ
【0073】
この研究の目的は、グレイシティの従来の処理システムが、設計した能力では、1日あたりの負荷が、時々過負荷となることから、グレイシティの活性汚泥廃水処理施設におけるBODの処理効率および水処理能力を改善することであった。
【0074】
処理の前に、グレイシティは、統合的な好気性消化装置および4つの乾燥床を備え、1日あたり400,000ガロン(1,514,165L)の生活廃水を処理するように設計された、従来の包括的な活性汚泥廃水処理システムを有していた。典型的には、汚泥は、冬の訪れの前の正常運転である最初の90日後に乾燥床に廃棄された。
【0075】
Advanced Biofermentation Services(フロリダ州フレミング島)から購入でき、米国特許公開第2003/0190742号に記載のように導入されたモデル250生物発酵システムを、処理すべき活性汚泥の隣にオンサイトで設置した。
【0076】
モデル250生物発酵槽を、Advanced Biofermentation Services(フロリダ州フレミング島)から購入することができる商品名「Biobooster for BOD removal」のBOD除去微生物を含む、1日あたり30ガロン(114L)の1/4強度の処理バッチを供給するように設定した。全強度の処理バッチは、10ポンド(4,536g)のバイオ栄養(微生物の増殖に用いられる栄養)を生物発酵槽に加えることと定義される。したがって、1/4強度の処理バッチは、その1/4または2.5ポンド(1134g)と等価である。このプロセスに用いるバイオ栄養は、Advanced Biofermentation Services(フロリダ州フレミング島)から購入することができる。
【0077】
生物発酵プロセスは、最初に、冬の前90日間設定された。処理開始から90日以内に、ピーク流量(時々、1MGDよりも大きい)の間の排出においてTSSのロスなく水処理能力の改善およびより良いBOD除去を含む、処理プロセスの有意な改善が、オペレーターらにより観察された。このような観察は、複数のオペレーターにより視覚的かつ事例的に為された。
【0078】
翌年の春に、意外にも、乾燥床に廃棄する汚泥が発生していないことに気づき、汚泥廃棄プロセスが注目された。
【0079】
数ヶ月後、グレイシティは、乾燥床の使用の減少を基にして、汚泥発生量の75%削減があったと判断した。グレイシティは、すでに、新規のベルトプレスの設置を開始しており、乾燥床と置き換えるために$800,000の建設費を要していた。もしグレイシティが、生物発酵が、正味の汚泥廃棄量および/または発生量を削減できることを認識していれば、グレイシティは、支出を承認しなかったであろう。
【0080】
重要には、グレイシティは、ポリマー使用量が65%低減し、水処理能力が50%増加したことに気付いた。また、すべての発泡問題/消泡剤の使用も排除された。これらはすべて、廃水処理プロセスの改善をもたらすものである。
【0081】
実施例2
【0082】
ダブリンシティの廃水処理プラント(WWTP)は、過去8年の間、最終排出物からの、懸濁固形物および関連するBODの沈殿にミョウバン(Alum)を用いていた。プラントは、再利用水を生産する末端に2つの輸送ブリッジ式(traveling bridge)サンドフィルターを備えた、4.0MGDの散水濾床プラントであった。このWWTPは、3つの認可を有する:
(B1)4MGD,30BOD,30TSS
(B2)4MGD,25BOD,15TSS
(B3)6MGD,25BOD,30TSS
【0083】
BOD除去を改善し、清澄に用いる二次清澄槽で用いるミョウバンを少なくし、プロセスの全能力を実現するためのより健全なバイオロジーを開発するために、本明細書に記載のように、生物発酵プロセスを、ダブリンシティのWWTPで実施した。
【0084】
具体的には、Advanced Biofermentation Services(フロリダ州フレミング島)から購入でき、米国特許公開第2003/0190742号に記載のように導入されたモデル250生物発酵システムを、浸透濾過システムの隣にオンサイトで設置した。モデル250を、Advanced Biofermentation Services(フロリダ州フレミング島)から購入することができる「Biobooster for sludge reduction」と称される汚泥減少のために開発された培養物を用いる、1日あたり60ガロン(227L)の1/4強度の処理バッチを供給するように設定した。
【0085】
処理を45日間行った。
【0086】
生物発酵プロセスを用いて45日後、ダブリンシティは、みょうばんが不要になり、約$100,000を節約できた。
【0087】
また、散水濾床の岩に成長する藻類が繁栄し、排出BODが減少し、TSSは、みょうばんの使用なしに85%除去を満たしていた。また、生物汚泥量の減少が目立ち、1日あたり2つの廃棄物コンテナ(各々、20ヤード(18.3m)のロールオフ型)を生じる週5日のプレスが、1日あたり1つの廃棄物コンテナ(20ヤード(18.3m)のロールオフ型)を生じる週1または2回のプレスになった。
【0088】
生物発酵システムを、恒久的に導入した。
【0089】
顕著には、稼働後6ヶ月で、プレスは、2週間に一度となった。汚泥処理コストが70%強減少したことを意味する。消化汚泥(一次汚泥および二次汚泥を含む)もまた改善された。具体的には、消化槽の汚泥は、1.5%固形物から、3%固形物に変化し、消化槽の上澄みが透明になった。
【0090】
実施例3(予想)
【0091】
嫌気性汚泥消化の改善方法
【0092】
ダブリンでの意外な結果から認識される他の適用は、嫌気性汚泥消化の改善の可能性である。
【0093】
嫌気性消化槽汚泥の処理のために、生物発酵槽(Advanced Biofermentation Services(フロリダ州フレミング島)から購入)を、処理バッチを直接消化槽に加えるために、消化槽にオンサイトで設置する。投入速度は、消化槽の容積に応じて変化し得る。しかしながら、典型的には、1MGV未満の消化槽では、投入速度は、1/4~1/2強度のバッチを1日あたり10~60ガロン(37.9~227L)である。
【0094】
より速い代謝速度を達成するために、投入速度を、所望の結果が得られるように、2倍または4倍とする。
【0095】
顧客に対する費用便益は、消化槽の上澄みの質の改善、および、脱水性を補助し、その結果脱水のための化学的コスト/ポリマーコストを低くする固形物の濃さに依存する。また、運用コストは、マンパワーの低減および廃棄の頻度の低減に依存するだろう。さらに、その消化能力を限定する嫌気性消化槽の効率を改善し、それにより、設備投資を回避し、必要な経費を最小限にする。
【0096】
実施例4(予想)
【0097】
調整池における汚泥消化の改善方法
【0098】
グレイでの意外な結果から認識される他の適用は、包括プラントでの処理の前に、多くの小さな町で典型的に用いられている調整池での汚泥消化の改善の可能性である。また、費用がかかる前処理および/または第一清澄槽を、回避し得る。
【0099】
調整池汚泥の処理に関して、生物発酵槽(Advanced Biofermentation Services(フロリダ州フレミング島)から購入)を、処理バッチを廃水プラントの注入口で、調整池に直接加えるために、調整池にオンサイトで設置する。
【0100】
投入速度は、調整池の容積または流入量に依存するだろう。しかしながら、典型的には、1~3MGV未満の流入量では、1/4~1/2強度のバッチを1日あたり10~60ガロン(37.9~227L)であるだろう。より大きなプラントへのスケールアップは、比例的であろう。より速い代謝速度を達成するために、投入速度を、所望の結果が得られるように、2倍または4倍とする。
【0101】
顧客に対する費用便益は、調整池でのBOD除去の改善、および固形物の浚渫の必要性の回避または遅延を可能にする固形物の低減に依存するだろう。浚渫は、脱水装置、脱水のための化学物質/ポリマー、マンパワー、輸送および廃棄費用のコストを必要とするので、非常に費用がかかる。さらに、その能力を限定する調整能力の効率を改善し、それにより、設備投資を回避し、必要な経費を最小限にする。
【0102】
実施例5(予想)
【0103】
嫌気性消化槽の前の第一清澄槽における一次汚泥の削減方法
【0104】
ダブリンでの意外な結果から認識される他の適用は、一次汚泥の処理は非常に費用がかかるので、嫌気性消化槽の前に、第一清澄槽での一次汚泥を減少させる可能性であるだろう。
【0105】
第一清澄槽汚泥の処理に関して、生物発酵槽(Advanced Biofermentation Services(フロリダ州フレミング島)から購入)を、処理バッチを、廃水プラントの注入口で、第一清澄槽汚泥に直接加えるために、オンサイトで設置する。
【0106】
投入速度は、廃水処理プラントにより処理される容量に応じて変化し得る。しかしながら、典型的には、1~3MGV未満の排水プラントによる処理容量は、1日あたり10~60ガロン(37.9~227L)の1/4~1/2強度のバッチであるだろう。より大きなプラントへのスケールアップは、比例的であろう。より速い代謝速度を達成するために、投入速度を、所望の結果が得られるように、2倍または4倍とする。
【0107】
顧客に対する費用便益は、一次汚泥の汚泥処理コストの減少、例えば、脱水装置、脱水のための化学物質/ポリマー、マンパワー、輸送および廃棄費用のコストの減少に依存するだろう。さらに、第2の利点は、その能力を限定する汚泥処理プロセスの効率を改善することであり、それにより、設備投資が回避され、必要な経費が最小限になるだろう。
【0108】
本明細書で言及した、または引用したすべての特許、特許出願、仮出願および刊行物は、本明細書の明確な教示に対応しない範囲まで、そのすべての図面および表を含みそのすべてを出典明示により本明細書に組み入れる。
【0109】
本発明の種々の具体例が記載されているが、より多くの具体例および実施形態が本発明の範囲内で可能であることは、当業者には明らかだろう。したがって、本発明は、特許請求の範囲およびその均等物を考慮する以外に限定されるものではない。
本発明は、以下の態様を含む。
1. 汚泥除去および排出水質の維持方法であって:
流入廃水流を処理施設に誘導すること;ここに、該流入廃水流は、少なくとも1日あたり20,000ガロン(75,708L)の流量であり、流入廃水流が、少なくとも50mg/Lの固形物および100mg/LのBODを有する;
処理施設において、固形物およびBODを流入廃水流から除去して、最終排出流を得ること;ここに、固形物およびBODを除去する工程は、生物発酵槽からのシュードモナス種およびバチルス種のいずれか1つ以上の機能性微生物を含む処理バッチを、適用時点で103~104cfu/ml以上の濃度で接種されるように添加することによって廃水流を処理することと、その後に、廃水流を機能性微生物を使用する生物学的廃水処理に付すこととを含み、該最終排出流は、廃水流の10%未満の固形物および廃水流の10%未満のBODを有する;
処理バッチの添加により、処理バッチの中の機能性微生物により糸状菌またはズーグレアタイプの微生物を排除することで、最終排出流中の固形物およびBODを増加させることなく、除去汚泥の重量を、少なくとも10%減少させること
を含む方法。
2. 最終排出流中の固形物およびBODを増加させることなく、除去汚泥の重量を、少なくとも25%減少させる、態様[1]に記載の方法。
3. 最終排出流中の固形物およびBODを増加させることなく、除去汚泥の重量を、少なくとも50%減少させる、態様[1]または[2]に記載の方法。
4. 固形物およびBODの除去により、除去BOD1kgあたり0.25kg未満の二次汚泥を生じさせる、態様[1]~[3]のいずれか1項に記載の方法。
5. 生物発酵槽を廃水処理施設にオンサイトで設置する、態様[1]~[4]のいずれか1項に記載の方法。
6. 栄養、水および微生物を含む接種物をオンサイトシステムに送り込む、態様[5]に記載の方法。
7. 処理バッチの適用時点で、103~104cfu/mlの接種を達成できるように、接種物を、108~109cfu/mlの濃度にまで増殖する、態様[6]に記載の方法。
8. 生物発酵槽がメインタンク、水の流入装置、処理バッチの排出装置、混合装置、および温度制御装置を含む、態様[1]~[7]のいずれか1項に記載の方法。
9. 微生物を含む処理バッチの少なくとも一部が、直接、汚染廃水に用いられ、増殖工程と利用工程の間、微生物が単離、濃縮または凍結乾燥されない、態様[1]~[7]のいずれか1項に記載の方法。
10. 処理バッチが、嫌気性消化槽に加えられる、態様[1]~[9]のいずれか1項に記載の方法。
11. 処理バッチが、調整池に加えられる、態様[1]~[9]のいずれか1項に記載の方法。
12. 処理バッチが、第一清澄槽に加えられる、態様[1]~[9]のいずれか1項に記載の方法。
13. 流入廃水流が、少なくとも100mg/Lの固形物および200mg/LのBODを有し、除去固形物が、除去BOD1kgあたり、0.25kg未満の二次汚泥である、態様[1]~[12]のいずれか1項に記載の方法。
14. 流入廃水流が、少なくとも100mg/Lの固形物および400mg/LのBODを有し、除去固形物が、除去BOD1kgあたり、0.25kg未満の二次汚泥である、態様[1]~[13]のいずれか1項に記載の方法。
15. 流入廃水流が、少なくとも100mg/Lの固形物および200mg/LのBODを有し、除去固形物が、除去BOD1kgあたり、0.125kg未満の二次汚泥である、態様[1]~[13]のいずれか1項に記載の方法。
前記汚泥減少微生物が、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、ノカルジア属(Nocardia spp.)、白色腐朽菌属(White Rot Fungus spp.)、ニトロソモナス属(Nitrosomonas spp.)、ニトロバシエ属(Nitrobacier spp.)、チオスフェラ・パントトロファ(Thiosphera pantotropha)およびメタン生成細菌からなる群から選択される1種以上の微生物である、請求項1に記載の方法。
三次処理ステージが三次汚泥を生成すること、および、工程d)での処理バッチの添加前の三次汚泥の廃棄時間間隔よりも25%~50%長い時間間隔で三次汚泥を廃棄することを含む、請求項8または9に記載の方法。
三次処理ステージが三次汚泥を生成すること、および、工程d)での処理バッチの添加前の三次汚泥の廃棄時間間隔よりも長い時間間隔で三次汚泥を廃棄することを含む、請求項13に記載の方法。
前記汚泥減少微生物が、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、ノカルジア属(Nocardia spp.)、白色腐朽菌属(White Rot Fungus spp.)、ニトロソモナス属(Nitrosomonas spp.)、ニトロバシエ属(Nitrobacier spp.)、チオスフェラ・パントトロファ(Thiosphera pantotropha)およびメタン生成細菌からなる群から選択される1種以上の微生物である、請求項15に記載の方法。