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特開2024-14767バランスばねと温度補償手段を備える計時器用調速機構
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  • 特開-バランスばねと温度補償手段を備える計時器用調速機構 図1
  • 特開-バランスばねと温度補償手段を備える計時器用調速機構 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014767
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】バランスばねと温度補償手段を備える計時器用調速機構
(51)【国際特許分類】
   G04B 17/22 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
G04B17/22
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023109748
(22)【出願日】2023-07-04
(31)【優先権主張番号】22186309.5
(32)【優先日】2022-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャンニ・ディ ドメニコ
(72)【発明者】
【氏名】バティスト・イノー
(72)【発明者】
【氏名】モハマド フセイン・カーロバイヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-リュック・エルフェ
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・ウィンクレ
(57)【要約】
【課題】 精密な温度補償手段がある、バランスばねを備える計時器用調速機構を提供する。
【解決手段】 本発明は、バランスばねとを備える計時器用ムーブメントのための調速機構(1、10)に関し、バランスのような振動錘と、バランスばねとを備え、バランスばねは、自身のまわりに複数の回転分巻かれたフレキシブル細長材(2)を備え、細長材(2)は、振動錘が回転振動運動を行うことを可能にする所定の剛性を有し、細長材(2)には、外端(9)があり、調速機構(1、10)は、温度に応じて剛性を適応させて、調速機構(1、10)に対する温度の影響を補償するように構成する温度補償弾性デバイスを備え、弾性補償デバイスは、計時器用ムーブメントに対して不動な第1の固定支持体(7)に外端(9)を接続する弾性要素(5)と、温度に応じて弾性要素(5)に可変の力又はトルクを与えるためのプリロード手段(6)とを備える。本発明は、さらに、このような調速機構(1)を備える計時器用ムーブメントに関する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バランスばねとを備える計時器用ムーブメントのための調速機構(1、10)であって、
バランスのような振動錘と、バランスばねとを備え、
前記バランスばねは、自身のまわりに複数の回転分巻かれたフレキシブル細長材(2)を備え、
前記細長材(2)は、前記振動錘が回転振動運動を行うことを可能にする所定の剛性を有し、
前記細長材(2)には、外端(9)があり、
前記調速機構(1、10)は、温度に応じて剛性を適応させて、前記調速機構(1、10)に対する温度の影響を補償するように構成する温度補償弾性デバイスを備え、
前記弾性補償デバイスは、前記計時器用ムーブメントに対して不動な第1の固定支持体(7)に前記外端(9)を接続する弾性要素(5)と、温度に応じて前記弾性要素(5)に可変の力又はトルクを与えるためのプリロード手段(6)とを備える
ことを特徴とする調速機構。
【請求項2】
前記プリロード手段(6)は、前記弾性要素(5)に接続されるばね部を備え、
前記ばね部は、力又はトルクを前記弾性要素(5)に伝達する
ことを特徴とする請求項1に記載の調速機構。
【請求項3】
前記プリロード手段(6)は、温度に応じて変形体(15)を備え、
前記変形体(15)は、変形中に少なくとも部分的に前記ばね部と接触する
ことを特徴とする請求項1に記載の調速機構。
【請求項4】
前記変形体(15)は、細長いバイメタルアタッチメントである
ことを特徴とする請求項3に記載の調速機構。
【請求項5】
前記ばね部は、前記弾性要素(5)に接続される第1のフレキシブルブレード(11)を備える
ことを特徴とする請求項4に記載の調速機構。
【請求項6】
前記ばね部は、前記第1のフレキシブルブレード(11)に接続される変換ステージを備え、
前記変形体は、前記変換ステージに接触する
ことを特徴とする請求項5に記載の調速機構。
【請求項7】
前記ばね部は、前記熱変形体に接続される第2のフレキシブルブレード(21)を備える
ことを特徴とする請求項5に記載の調速機構。
【請求項8】
前記調速機構(1、10)は、実質的に同じ1つの平面内で延在している
ことを特徴とする請求項1に記載の調速機構。
【請求項9】
前記弾性要素(5)は、懸架集中体(3)と、前記懸架集中体(3)を前記第1の固定支持体(7)に接続する非交差ブレード対(4)とを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の調速機構。
【請求項10】
前記プリロード手段(6)は、前記懸架集中体(3)に力又はトルクを与えるように前記懸架集中体(3)に接続される
ことを特徴とする請求項9に記載の調速機構。
【請求項11】
可変の力(59)を前記プリロード手段(6)に、例えば、前記第1の可動要素(22)に、与えるように、前記プリロード手段(6)を調整する手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の調速機構。
【請求項12】
請求項1に記載の調速機構(1、10)を備える
ことを特徴とする計時器用ムーブメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バランスばねと温度補償手段を備える調速機構に関し、特に計時器の分野向けのものに関する。
【背景技術】
【0002】
今日の機械式の携行型時計(例、腕時計、懐中時計)の多くは、ばね仕掛けバランスとスイス式レバーエスケープを搭載している。ばね仕掛けバランスは、携行型時計のタイムベースを構成する。ばね仕掛けバランスは、共振器や調速機構とも呼ばれる。
【0003】
エスケープには、以下の2つの主な機能がある。
- 共振器の往復運動を維持すること
- この往復運動をカウントすること
【0004】
機械式共振器を構成するためには、慣性要素と、ガイドと、弾性戻し要素が必要である。伝統的に、慣性要素がバランスによって形成される場合、バランスばねが弾性戻し要素として機能する。このバランスは、概してルビー製のプレーンベアリング内において回転する、ピボットによって回転ガイドされる。
【0005】
機械式共振器に対して、計時器用ムーブメントの所定のレートが得られるように振動数が決められて選択される。
【0006】
しかし、このような機械式共振器には、その動作中に、外部パラメーターの変化に起因する干渉が発生して、共振器の振動数が変動してしまうおそれがある。これらのパラメーターは、例えば、温度、圧力、湿度、重力である。共振器の振動数が変動すると、時間測定において誤差を発生し、したがって、計時器用ムーブメントのレートに誤差を発生してしまう。
【0007】
スイス特許文献704687には、バランスばねと、スタッドの位置を変えるためのメンバーとを備える調速機構であって、特定のパラメーター、特に温度、に起因するバランスばねの変形に対して補償するものが記載されている。
【0008】
しかし、このような補正メンバーは、所望の精度レベルを達成することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、精密な温度補償手段を備える、バランスばねを備える計時器用調速機構を提供することによって、前記課題の一部又は全部を克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このために、本発明は、バランスばねとを備える計時器用ムーブメントのための回転運動の調速機構に関し、この調速機構は、バランスのような振動錘と、バランスばねとを備え、前記バランスばねは、自身のまわりに複数の回転分巻かれたフレキシブル細長材を備え、前記細長材は、前記振動錘が回転振動運動を行うことを可能にする所定の剛性を有し、前記細長材には、外端がある。
【0011】
本発明は、前記調速機構が、温度に応じて剛性を適応させて、前記調速機構に対する温度の影響を補償するように構成する温度補償弾性デバイスを備え、前記弾性補償デバイスが、前記計時器用ムーブメントに対して不動な第1の固定支持体に前記外端を接続する弾性要素と、温度に応じて前記弾性要素に可変の力又はトルクを与えるためのプリロード手段とを備えるという点で画期的である。
【0012】
本発明のおかげで、プリロード手段は、温度に応じて弾性要素に可変の力又はトルクを与えて、大きな温度変化にもかかわらず調速機構が相当に正確なレートを維持するようにする。これは、温度が変わったときに、プリロード手段が弾性要素に与える力又はトルクを変えて、弾性要素とバランスばねを含むアセンブリーの剛性が変わるようにするためである。このアセンブリーの剛性を変えることによって、調速機構のレートが調整される。この結果、温度が変わったときに、この変化に合わせてバランスばねのレートが調整されるように弾性補償デバイスが機械的に作用される。
【0013】
この弾性要素は、取り付け箇所の剛性を変え、共振器のフレキシブル性を高くする。したがって、共振器の実効的な剛性は、細長材の剛性と弾性要素の剛性によって構成される。可変の力又はトルクのおかげで、好ましくは細長材にプリロードを与えたり細長材の端を変位させたりすることなく、弾性要素にプリロードを与えることができる。弾性要素にプリロードを与えることで、その剛性は変わるが、細長材の剛性は、変わらないままである。なぜなら、細長材にはプリロードが与えられておらず、また、細長材の端が変位しないからである。
【0014】
弾性要素のフレキシブル性を変えることによって、共振器の剛性(細長材の剛性と弾性要素の剛性)が変わり、これによって、共振器のレートが変わる。弾性要素の剛性は、好ましくは細長材よりも高いので、全体の剛性に占める弾性要素の剛性の寄与の割合は、細長材の剛性の寄与の割合よりも低い。この結果、弾性要素の剛性が変わると、共振器全体の剛性が変わり、そのために、共振器のレートを精密に調整することができ、これによって、タイムベースの振動数を精密に調整することができる。これによって、温度が変化してもレートを維持する精度を向上させることができる。
【0015】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記プリロード手段は、前記弾性要素に接続されるばね部を備え、前記ばね部は、力又はトルクを前記弾性要素に伝達する。
【0016】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記プリロード手段は、温度に応じて変形体を備え、前記変形体は、変形中に少なくとも部分的に前記ばね部と接触する。
【0017】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記変形体は、細長いバイメタルアタッチメントである。
【0018】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記ばね部は、前記弾性要素に接続される第1のフレキシブルブレードを備える。
【0019】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記ばね部は、前記第1のフレキシブルブレードに接続される変換ステージを備え、前記変形体は、前記変換ステージに接触する。
【0020】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記ばね部は、前記熱変形体に接続される第2のフレキシブルブレードを備える。
【0021】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記調速機構は、実質的に同じ1つの平面内で延在している。
【0022】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記弾性要素は、懸架集中体と、前記懸架集中体を前記第1の固定支持体に接続する非交差ブレード対とを備える。
【0023】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記プリロード手段は、前記懸架集中体に力又はトルクを与えるように前記懸架集中体に接続される。
【0024】
本発明の1つの特定の実施形態において、前記調速機構は、可変の力を前記プリロード手段に、例えば、前記第1の可動要素に、与えるように、前記プリロード手段を調整する手段を備える。
【0025】
本発明は、さらに、このような調速機構を有する計時器用ムーブメントに関する。
【0026】
添付の図面を参照しながら例としてのみ与えられるいくつかの実施形態についての説明を読むことによって、本発明の目的、利点及び特徴が明らかになる。この説明は、説明のためにのみ与えられるものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1の実施形態に係る調速機構を示す上面図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る調速機構を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1及び2は、本発明に係る調速機構の2つの実施形態を示している。
【0029】
いずれの実施形態においても、調速機構1、10は、自身のまわりに複数の回転分巻かれたフレキシブル細長材2があるバランスばねを備える。フレキシブル細長材2には、外端9と内端8がある。
【0030】
調速機構1、10は、細長材2の内端8に接続される、図示していない振動錘、例えば環状のバランス、を備え、この細長材2は、振動錘が回転振動運動を行うことができるように所定の剛性を有する。例えば、振動錘には、軸方向の回転シャフトがあり、細長材2の内端8は、前記シャフトに接続される。
【0031】
好ましくは、調速機構1、10は、振動錘を除いて、実質的に同じ平面内で延在し、振動錘は、その平面と平行な平面内で、バランスばねの上方で振動する。
【0032】
本発明によると、調速機構1、10は、外部パラメーターに対して補償するための弾性補償デバイス50を備え、このデバイスは、温度に応じて弾性要素5の剛性を適応させて、調速機構1、10に対する温度の影響を補償するように構成する。
【0033】
弾性補償デバイス50は、計時器用ムーブメント、例えばプレート、に対して不動な支持体7に外端9を接続する弾性要素5を備える。弾性補償デバイス50は、さらに、外部パラメーターに応じて可変の力又はトルクを弾性要素5に与えるためのプリロード手段6を備える。
【0034】
弾性要素5は、この場合、点状である懸架集中体3と、懸架集中体3を固定支持体7に接続する非交差ブレード対4とを備える。懸架集中体3は、例えば、高さが直径と実質的に等しい円筒体であり、非交差ブレード4が、懸架集中体3から固定支持体7まで延在している。
【0035】
弾性要素5は、フレキシブル細長材2の続きに配置され、バランスばねと弾性要素5は、振動錘の振動中に接触を避けつつ隣り合っている。
【0036】
プリロード手段6は、懸架集中体3に力又はトルクを与えるように構成する。プリロード手段6は、懸架集中体3に接続されるフレキシブルブレード11を備えるばね部を備える。第1のフレキシブルブレード11は、弾性要素の軸に沿って、バランスばねに対して接線方向に延在し、外端9からわずかにオフセットされている。
【0037】
図1に示している第1の実施形態において、プリロード手段6のばね部は、L字形の第1の可動要素12と、ムーブメントに対して不動な第2固定支持体13とを備える変換ステージを備える。第1の可動要素12は、L字形の第1のアームの一端によってフレキシブルブレード11に接続される。L字形の第2のアームには、外側に、丸まった突起53がある。変換ステージは、第1の可動要素12を第2の固定支持体13に接続する2つの実質的に平行フレキシブルブレード14を備える。
【0038】
プリロード手段6には、さらに、温度に応じて変形する熱変形体15があり、この熱変形体15は、可動要素12に可変の力又はトルクを与える。
【0039】
この例において、熱変形体15は、温度によって変形するバイメタルアタッチメントである。このバイメタルアタッチメントは、長手方向に延在している本体を有し、互いに長手方向にて接合される2つの細長い部分51、52を含む。2つの細長い部分51、52はそれぞれ、互いに異なる熱変形特性を有する異なる材料によって作られる。したがって、熱の影響を受けて、バイメタルアタッチメントは、横方向に変形し、バイメタルアタッチメントの一端55は、保持され、他端は、バイメタルアタッチメントを動かして変形させて一方の側に曲げることができる。
【0040】
バイメタルアタッチメントは、第1の自由部分54がL字形の第2のアームの突起53に接触するように、可動要素12に対して垂直に配置される。保持端55は、第2の可動要素18と、ムーブメントのプレートに対して不動な第3固定支持体19に第2の可動要素18を接続する平行な第2のフレキシブルブレード対17とを備える第2の変換ステージによって保持される。第2の可動要素18は、L字形であり、L字形の一方のアームが、バイメタルアタッチメントの保持端55を支持し、一方、第2の対のブレード17は、第2のアームの内面56を第3の固定支持体19に接続する。第2の対のブレード17は、プリロード手段6が休み位置にあるときに、バイメタルアタッチメントに対して垂直に配置される。
【0041】
温度が変わると、この場合はバイメタルアタッチメントである、変形体15は、曲がったりまっすぐになったりして、第1の自由部分54が、突起に、したがって、第1の変換ステージによってガイドされつつ動く第1の可動要素12に、大きかったり小さかったりする力を与える。したがって、第1のフレキシブルブレード11を介して、弾性要素5は、その剛性、したがって、調速機構1のレート、を変える力又はトルクを受ける。
【0042】
バイメタルアタッチメントの長手方向軸と平行に、第2の可動要素18に、特に第2のアーム58の端に、力57を与えるために、ねじのような調速手段を追加することができる。このようにして、バイメタルアタッチメントの有効長を、特に温度に応じて、弾性要素5に対するプリロード手段6の影響を調整するように、調整することができる。第2の変換ステージによってガイドされる第2の可動要素18を変位させることによって、自由部分54と突起53の間の接触が変わり、したがって、バイメタルアタッチメントの有効長が大きくなったり小さくなったりする。したがって、有効長が大きいほど、第1の可動要素12に与えられる力が温度に応じて変わる。
【0043】
変形体15が曲がって変形すると、自由部分54は、第1の可動要素12を押して、第1のフレキシブルブレード11が懸架集中体3に力又はトルクを伝達するようにする。このようにして、非交差ブレード対4の剛性が低下する。逆に、変形体15がまっすぐになると、懸架集中体3に与えられる力又はトルクが減少して、非交差ブレード対4の剛性が増加する。
【0044】
第2の実施形態において、調速機構10は、第1の実施形態と同じである、バランスばね、振動錘(図示せず)、弾性要素5、第1のフレキシブルブレード11を備える。
【0045】
弾性要素5に力又はトルクを与えるために、プリロード手段6のばね部は、フレキシブルブレード11に接続されフレキシブルブレード11の続きに配置される第1の細長い可動要素22を備える。平行なフレキシブルブレード対24は、第1の可動要素22を第2の固定支持体23に接続して、変換ステージを形成し、第1の可動要素22の変位をガイドする。
【0046】
ばね部は、平行な第1のフレキシブルブレード対24と同じ側に配置される平行な第2のフレキシブルブレード対25を備え、第1の可動要素22を第2の可動要素28に接続する。
【0047】
第2の可動要素28は、調速機構10が休み位置にあるときに、第1の可動要素22と実質的に平行な第2のフレキシブルブレード21によって熱変形体15に横方向にて接続される。
【0048】
この実施形態において、変形体は、好ましくは、第2のフレキシブルブレード21及び第1の可動要素22に対して垂直に配置されるバイメタルアタッチメントでもある。第2のフレキシブルブレード21は、バイメタルアタッチメントの自由部分の先端に接続され、バイメタルアタッチメントは、その基部で固定支持体によって保持される。
【0049】
したがって、バイメタルアタッチメントが曲がったりまっすぐになったりするときに、第2のフレキシブルブレード21は、第2の可動要素28に変位を伝達し、その第2の可動要素28は、その変位を、平行な第2のフレキシブルブレード対25を介して第1の可動要素22に伝達する。第1の可動要素22は、第1の変換ステージによってガイドされて、第1のフレキシブルブレード11を通して力又はトルクを弾性要素5に伝達する。
【0050】
第1の実施形態と同様に、温度変化によって熱変形体15が変形し、弾性要素5の剛性が変わり、このことによって、調速機構10のレートが変わる。
【0051】
平行な第3のフレキシブルブレード対26は、第2の可動要素28を第3の可動要素27に接続する。平行な第3のフレキシブルブレード対26と第3の可動要素27は、平行な第2のフレキシブルブレード対25と第2の可動要素28と直列に配置される。
【0052】
ねじのような調速手段を追加して、第3の可動要素27に力59を与えることができる。力59を大きくすると、バイメタルアタッチメントの変位が第1の可動要素22に伝達される度合いが小さくなり、この力59を小さくすると、バイメタルアタッチメントの変位が第1の可動要素22に伝達される度合いが大きくなる。調速手段によって、温度に応じてプリロード手段6の感度を調整することができる。
【0053】
本発明は、さらに、上において説明した回転運動の調速機構1、10を備える計時器用ムーブメント(図示せず)に関する。
【0054】
当然、本発明は、図面を参照しながら説明した実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱せずに代替的形態を考えることができる。
【符号の説明】
【0055】
1、10 調速機構
2 細長材
3 懸架集中体
4 非交差ブレード対
5 弾性要素
6 プリロード手段
7 第1の固定支持体
8 内端
9 外端
11 第1のフレキシブルブレード
12、22 第1の可動要素
13 第2の固定支持体
15 変形体
18、28 第2の可動要素
21 熱変形体に接続される第2のフレキシブルブレード
27 第3の可動要素
53 突起
図1
図2
【外国語明細書】