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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147679
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】浴槽用循環具
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
A47K3/00 E
A47K3/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024113014
(22)【出願日】2024-07-15
(62)【分割の表示】P 2020120232の分割
【原出願日】2020-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(72)【発明者】
【氏名】二ツ谷 伸
(72)【発明者】
【氏名】堀 敬太
(57)【要約】
【課題】新規な樹脂製エルボ継手を提供する。
【解決手段】浴槽用循環具1は、外側筒体2、内側筒体3、及び区画部材4を備える。外側筒体2は、浴槽6の外側に配置される。内側筒体3は、浴槽6に設けられた貫通孔7に挿通された状態で外側筒体2に組み付けられることにより、外側筒体2との間に浴槽6を挟み込む。区画部材4は、浴槽6の内側から内側筒体3に組み付けられることにより、吐出用通路11及び吸入用通路12を浴槽用循環具1に形成する。区画部材4は、吐出用通路11に繋がるとともに浴槽6の内側に対し開口する吐出用開口部13、及び、吸入用通路12に繋がるとともに浴槽6の内側に対し開口する吸入用開口部14を有している。区画部材4の吐出用開口部13及び吸入用開口部14を覆うフィルターカバー5が、内側筒体3に組み付けられている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の外側に配置されており、且つ給湯器に繋がる往き側配管及び戻り側配管が接続される外側筒体と、
前記浴槽に設けられた貫通孔に挿通された状態で前記外側筒体に組み付けられることによって前記外側筒体との間に前記浴槽を挟み込む内側筒体と、
前記内側筒体に組み付けられることにより、前記浴槽内と前記往き側配管とを接続する吐出用通路、及び、前記浴槽内と前記戻り側配管とを接続する吸入用通路を形成する区画部材と、を備え、
前記区画部材は、前記吐出用通路に繋がるとともに前記浴槽の内側に対し開口する吐出用開口部、及び、前記吸入用通路に繋がるとともに前記浴槽の内側に対し開口する吸入用開口部を有しており、
前記区画部材の前記吐出用開口部及び前記吸入用開口部を覆うフィルターカバーが、前記内側筒体に組み付けられている浴槽用循環具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽用循環具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示される浴槽の給湯システムは、給湯器から浴槽への給湯を行う湯張り機能だけでなく、浴槽内の湯を給湯器に吸い込んで加熱した後に浴槽内に戻す追い焚き機能も備えている。この給湯システムでは、浴槽内に対し湯を吐出したり同浴槽内から湯を吸入したりするための浴槽用循環具が用いられる。浴槽用循環具は、次のような外側筒体、内側筒体、及び区画部材を備えている。
【0003】
外側筒体は、浴槽の外側に配置されている。この外側筒体には、給湯器に繋がる往き側配管及び戻り側配管が接続される。内側筒体は、浴槽に設けられた貫通孔に挿通された状態で外側筒体に組み付けられる。これにより、内側筒体と外側筒体との間に浴槽が挟み込まれ、同浴槽に浴槽用循環具が組み付けられる。区画部材は、浴槽の内側から内側筒体に組み付けられることにより、浴槽内と往き側配管とを接続する吐出用通路、及び、浴槽内と戻り側配管とを接続する吸入用通路を浴槽用循環具に形成する。上記区画部材は、吐出用通路に繋がるとともに浴槽の内側に対し開口する吐出用開口部、及び、吸入用通路に繋がるとともに浴槽の内側に対し開口する吸入用開口部を有している。
【0004】
そして、浴槽内の湯を追い焚きする際には、その湯を浴槽用循環具(区画部材)の吸入用開口部から吸い込む。このように浴槽用循環具に吸い込まれた湯は、吸入用通路及び戻り配管を介して給湯器に戻される。更に、給湯器で加熱された湯は、往き側配管を介して浴槽用循環具に流され、同浴槽用循環具(区画部材)の吐出用通路を通過して吐出用開口部から浴槽内に吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-178862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、新規な浴槽用循環具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する浴槽用循環具は、次のような外側筒体、内側筒体、及び区画部材を備える。外側筒体は、浴槽の外側に配置されており、且つ給湯器に繋がる往き側配管及び戻り側配管が接続される。内側筒体は、浴槽に設けられた貫通孔に挿通された状態で外側筒体に組み付けられることにより、外側筒体との間に浴槽を挟み込む。区画部材は、内側筒体に組み付けられることにより、浴槽内と往き側配管とを接続する吐出用通路、及び、浴槽内と戻り側配管とを接続する吸入用通路を浴槽用循環具に形成する。区画部材は、吐出用通路に繋がるとともに浴槽の内側に対し開口する吐出用開口部、及び、吸入用通路に繋がるとともに浴槽の内側に対し開口する吸入用開口部を有している。区画部材の吐出用開口部及び吸入用開口部を覆うフィルターカバーが、内側筒体に組み付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】浴槽用循環具を示す断面図。
図2】浴槽用循環具を示す背面図。
図3】浴槽用循環具を示す分解斜視図。
図4】内側筒体及びシール部材を示す斜視図。
図5】内側筒体を示す正面図。
図6】内側筒体のフランジ回りを示す側面図。
図7】区画部材を示す斜視図。
図8】区画部材を示す斜視図。
図9】区画部材を示す正面図。
図10】区画部材を図9の矢印B-B方向から見た状態を示す断面図。
図11】フィルターカバーを示す斜視図。
図12】フィルターカバーを示す正面図。
図13】フィルターカバーを示す背面図。
図14】内側筒体の横スリットに対する閉塞部材の取付片の挿入状態を示す拡大断面図。
図15】浴槽用循環具を図1の矢印A-A方向から見た状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、浴槽用循環具の一実施形態について、図1図15を参照して説明する。
図1図3に示す浴槽用循環具1は、浴槽に対する湯張り機能及び追い焚き機能を有する給湯システムで用いられる。浴槽用循環具1は、給湯システムの給湯器からの湯を浴槽内に対し吐出したり、浴槽内の湯を給湯器に送る際に同湯を浴槽内から吸入したりするためのものである。
【0010】
浴槽用循環具1は、浴槽6の外側(図1の右側)に配置される外側筒体2を備えている。外側筒体2には、給湯器8(図2)に繋がる往き側配管9及び戻り側配管10が接続される。浴槽6には貫通孔7が設けられており、その貫通孔7には浴槽6の内側(図1の左側)から内側筒体3が挿通されている。内側筒体3は、貫通孔7に挿通された状態で、外側筒体2に組み付けられる。これにより、内側筒体3と外側筒体2との間に浴槽6が挟み込まれる。その結果、浴槽6に浴槽用循環具1が組み付けられる。
【0011】
内側筒体3には、浴槽6の内側から区画部材4が組み付けられる。これにより、浴槽用循環具1には、浴槽6内と往き側配管9とを接続する吐出用通路11、及び、浴槽6内と戻り側配管10とを接続する吸入用通路12が形成される。また、区画部材4は、吐出用通路11に繋がるとともに浴槽6の内側に対し開口する吐出用開口部13(図3)、及び、吸入用通路12に繋がるとともに浴槽6の内側に対し開口する吸入用開口部14(図3)を有している。
【0012】
内側筒体3には、浴槽6の内側からフィルターカバー5も組み付けられる。このフィルターカバー5は、内側筒体3に組み付けられた区画部材4の吐出用開口部13及び吸入用開口部14を覆っており、浴槽6内の湯が吸入用開口部14に吸入されるとき、湯以外の物が吸入用開口部14に吸入されないようにするためのものである。
【0013】
次に、浴槽用循環具1が備える外側筒体2、内側筒体3、区画部材4、及びフィルターカバー5について、それぞれ個別に詳しく説明する。
[外側筒体2]
図1に示すように、外側筒体2は円筒状に形成されている。外側筒体2の開口端には円環状のフランジ15が形成されている。このフランジ15には円環状をなすシール部材16が被せられている。外側筒体2のシール部材16は、浴槽6の貫通孔7の開口周りを囲むように同浴槽6の外壁面6bに対し当接されている。外側筒体2の内周面には、内側筒体3を組み付けるための雌ねじ17が形成されている。外側筒体2の底部2a、すなわち開口端と反対側の端部には、外側筒体2の中心線に沿って延びる円筒状の内筒部18が形成されている。図2に示すように、外側筒体2の底部2aには、往き側配管9及び戻り側配管10を接続するためのねじ式の継手19,20が設けられている。内筒部18(図1)の内部は継手19を介して往き側配管9と繋がっており、内筒部18の外周面と外側筒体2の内周面との間の部分は継手20を介して戻り側配管10と繋がっている。
【0014】
[内側筒体3]
図1に示すように、内側筒体3は円筒状に形成されており、浴槽6の貫通孔7を貫通している。内側筒体3の外周面における浴槽6の内側に位置する部分には、外側筒体2の雌ねじ17と噛み合う雄ねじ21が形成されている。また、内側筒体3における浴槽6の外側に位置する開口端にはフランジ22が形成されている。このフランジ22と浴槽6の内壁面6aとの間には、リング状のシール部材23が設けられている。そして、内側筒体3の雄ねじ21を外側筒体2の雌ねじ17にねじ込むことにより、内側筒体3が外側筒体2に組み付けられる。更に、内側筒体3のフランジ22と外側筒体2のフランジ15との間に浴槽6が挟み込まれる。このときにはシール部材16が浴槽6の外壁面6bに押し付けられるとともに、シール部材23が浴槽6の内壁面6aに押し付けられる。内側筒体3におけるフランジ22側の開口部3aは、浴槽6の内側に向けて開口しており、区画部材4を収容することが可能な収容部として機能する。
【0015】
図4に示すように、内側筒体3の開口部3aの内周面には、区画部材4を組み付けるための複数の突起24が形成されている。突起24は、内側筒体3の軸線周りにおける区画部材4の右回転(図4の矢印Y1方向の回転)を規制する規制面24a、及び、開口部3aからの区画部材4の抜き出しを規制する規制面24bを有している。また、内側筒体3のフランジ22における浴槽6の内側に向かう面には、内側筒体3の軸線周りにおける区画部材4の左回転(図4の矢印Y1と逆方向の回転)を生じにくくさせるための複数の穴25が形成されている。更に、上記面には、図4の矢印Y1方向に延びて穴25に繋がる斜面26が形成されている。斜面26は、各穴25にそれぞれ対応するように形成されており、図4の矢印Y1方向において穴25に近づくほど同穴25の底側に近づくよう傾斜している。図5に示すように、各突起24、各穴25、及び各斜面26は、内側筒体3の周方向に等間隔をおいて形成されている。
【0016】
図4及び図6に示すように、内側筒体3のフランジ22の外周面には、フィルターカバー5を内側筒体3に組み付けるための複数の縦スリット27及び横スリット28が形成されている。縦スリット27は、内側筒体3の軸線方向に延びている。横スリット28は、縦スリット27に対し雄ねじ21側の端部で繋がっており、且つ内側筒体3の周方向(図4の矢印Y1方向)に延びている。複数の縦スリット27及び横スリット28は、フランジ22の外周面の周方向に等間隔をおいて形成されている。
【0017】
[区画部材4]
図7及び図8に示すように、区画部材4には、円盤状の本体29が設けられており、且つ、その本体29から同本体29の中心線の延びる方向に突出する接続筒30が設けられている。接続筒30における突出方向の先端部の外周面には、シールリング31が取り付けられている。また、接続筒30における本体29側の端部の外周面には、一対の突出片32が互いに反対方向に突出するように形成されている。一対の突出片32は、区画部材4を内側筒体3(図4)に組み付けるためのものである。
【0018】
本体29における浴槽6の内側に対応する面29aには、板状の回り止め部材33が本体の径方向に延びるように設けられている。回り止め部材33の両端部はそれぞれ、本体29からその径方向外側に向けて突出している。回り止め部材33の両端部における浴槽6の外側に向いている面には、内側筒体3(図4)におけるフランジ22の穴25に嵌め込むことが可能な突部34が形成されている。
【0019】
図9に示すように、本体29の面29aには、上記吐出用開口部13及び上記吸入用開口部14が形成されている。吐出用開口部13と吸入用開口部14とは、それら二つで一組となっている。吐出用開口部13と吸入用開口部14との組は、合計で二組設けられている。回り止め部材33の一方の端部における浴槽6の内側に向かう面には、その一方の端部の適正位置を表すために「上」を示す表示35が付けられている。そして、回り止め部材33の両端部のうち表示35が付けられた方の端部が上に位置するように、且つ、回り止め部材33が上下に延びるように区画部材4を配置したとき、吐出用開口部13は本体29の径方向外側且つ斜め下方に向けて開口するよう指向されている。すなわち、そうなるように吐出用開口部13が本体29に形成されている。
【0020】
区画部材4は、内側筒体3に対し、次のように組み付けられる。すなわち、図3に示すように、浴槽6の内側で内側筒体3を接続筒30側から内側筒体3内に挿入する。更に、区画部材4の突出片32(図7)が内側筒体3の突起24(図5)の間に位置するようにし、その状態で区画部材4の本体29が内側筒体3の開口部3aに収容されるよう同区画部材4を内側筒体3に押し込む。これにより、回り止め部材33の突部34(図7)が内側筒体3のフランジ22の斜面26(図4)に当接する。その後、区画部材4を内側筒体3に対し、その軸線回りにおける図4の矢印Y1方向に相対回動させることにより、区画部材4の突出片32が突起24の規制面24a,24bに当接する。また、区画部材4(回り止め部材33)の突部34は、内側筒体3におけるフランジ22の穴25に嵌め込まれる。
【0021】
このときには、区画部材4における内側筒体3に対する図4の矢印Y1方向についての相対回動が、突起24の規制面24aに対する突出片32の当接によって規制される。更に、区画部材4における内側筒体3からの抜き出しは、突起24の規制面24bに対する突出片32の当接によって規制される。また、区画部材4における内側筒体3に対する図4の矢印Y1と逆方向についての相対回動は、突部34の穴25に対する嵌め込みによって生じにくくされる。従って、突部34を備える回り止め部材33は、内側筒体3のフランジ22(穴25)と係合することにより、内側筒体3に対する上記相対回動をある程度阻止するものとして機能する。
【0022】
以上のように、区画部材4が内側筒体3に対し取り外し可能に組み付けられる。区画部材4の内側筒体3に対する組み付けは、図9に示すように回り止め部材33が上下に延びるように、且つ、表示35が上になるように行われる。すなわち、そうなるように区画部材4を内側筒体3に組み付ける際に突出片32を当接させる突起24が選択される。
【0023】
なお、区画部材4を内側筒体3から取り外す際には、区画部材4が内側筒体3に対する図4の矢印Y1と逆方向について相対回動される。これにより、突出片32が隣合う突起24の間に位置するようになるとともに、穴25に嵌め込まれていた突部34が斜面26に乗り上げ、それに伴って区画部材4が内側筒体3に対し抜き出し方向に移動する。このように区画部材4が内側筒体3に対し移動することにより、その区画部材4を手でつまんで内側筒体3から取り外すことが容易になる。
【0024】
区画部材4が内側筒体3に組み付けられたときには、図1に示すように区画部材4における本体29の外周部が内側筒体3の開口部3a(収容部)に収容される。この例では、本体29の外周部全体が内側筒体3の開口部3aに収容される。本体29の外周部における内側筒体3の開口部3aに収容される部分の外周面には、シールリング36が開口部3aの内周面に接するよう取り付けられている。また、このときには区画部材4の接続筒30が外側筒体2の内筒部18に挿入される。そして、内筒部18の内周面には、接続筒30の外周面に取り付けられたシールリング31が接する。
【0025】
区画部材4が内側筒体3に組み付けられることにより、内筒部18の内部、接続筒30の内部、及び本体29(図10)の内部に上記吐出用通路11が形成される。この吐出用通路11は、二組の吐出用開口部13及び吸入用開口部14のうち、一方の組(図10の右側の組)の吐出用開口部13及び吸入用開口部14に繋がっている。図1に示すように、区画部材4が内側筒体3に組み付けられることにより、内筒部18の外周面と内側筒体3の内周面との間、及び本体29(図10)の内部に上記吸入用通路12が形成される。この吸入用通路12は、二組の吐出用開口部13及び吸入用開口部14のうち、他方の組(図10の左側の組)の吐出用開口部13及び吸入用開口部14に繋がっている。
【0026】
図10に示すように、吐出用通路11における区画部材4の本体29を通過する部分には、支持軸37を中心として回動する切換弁38が設けられている。支持軸37は、その中心線が本体29の中心線と直交する平面内において、同本体29の中心線と直交する方向(図10の紙面と直交する方向)に対し、所定の角度(例えば15°)をもって傾斜して延びるよう配置されている。この切換弁38は、吐出用通路11と繋がる吸入用開口部14と対向して位置しており、支持軸37を中心とする回動を通じて吐出用開口部13を開放する開位置(実線)と吐出用開口部13を閉塞する閉位置(二点鎖線)との間で変位する。吐出用通路11における吸入用開口部14の近傍であって、吸入用開口部14及び吐出用開口部13から離れた位置には、吐出用通路11の流体流通断面積を小さくするオリフィス39が形成されている。
【0027】
上記吐出用通路11内を上記吐出用開口部13に向けて湯が流れる際、オリフィス39の下流側であって上記吸入用開口部14の近傍で圧力が低下し、浴槽6内の湯が上記吸入用開口部14から吐出用通路11内に引き込まれる。このため、吐出用通路11内をオリフィス39よりも下流側に流れた湯は、吸入用開口部14を介して浴槽6内に流出することなく、吐出用開口部13を介して浴槽6内に流出する。なお、このときには切換弁38が開位置(実線)に位置するようになる。
【0028】
また、吸入用通路12における区画部材4の本体29を通過する部分には、支持軸40を中心として回動する切換弁41が設けられている。支持軸40は、その中心線が本体29の中心線と直交する平面内において、同本体29の中心線と直交する方向(図10の紙面と直交する方向)に対し、所定の角度(例えば15°)をもって傾斜して延びるよう配置されている。この切換弁41は、吸入用通路12と繋がる吸入用開口部14と対向して位置しており、支持軸40を中心とする回動を通じて吐出用開口部13を開放する開位置(実線)と吐出用開口部13を閉塞する閉位置(二点鎖線)との間で変位する。吸入用通路12における吸入用開口部14の近傍であって、吸入用開口部14及び吐出用開口部13から離れた位置には、吐出用通路11の流体流通断面積を小さくするオリフィス42が形成されている。
【0029】
浴槽6内の湯を上記吸入用通路12内に吸入する際には、吸入用通路12内の圧力が低下するため、それに伴って切換弁41が閉位置(二点鎖線)に位置するようになる。その結果、上記吐出用開口部13が切換弁41によって閉塞され、浴槽6内の湯が吐出用開口部13から吸入用通路12内には吸入されずに上記吸入用開口部14から吸入用通路12内に吸入される。
【0030】
[フィルターカバー5]
図11及び図12に示すように、フィルターカバー5は、円筒部43と、その円筒部43の一方の開口を閉塞する蓋部44と、を備えている。円筒部43には、吐出口45が形成されている。また、蓋部44には、多数の細孔46からなる吸入口47が形成されている。
【0031】
蓋部44における区画部材4の本体29(図4)と対向する面及び円筒部43の内周面には、板状の閉塞部材48が組み付けられている。閉塞部材48は、多数の細孔46のうち区画部材4の本体29における吐出用開口部13と対向する細孔46を閉塞する第1領域49aを有している。この第1領域49aは、上記吐出用開口部13から吐出された流体(湯)の流れをフィルターカバー5の円筒部43の吐出口45に向かわせるものとなる。更に、閉塞部材48は、多数の細孔46のうち区画部材4の本体29における吸入用開口部14と対向する細孔46を開放する第2領域49bも有している。
【0032】
図13に示すように、閉塞部材48の外縁であってフィルターカバー5の円筒部43に対応する部分の内周面には、フィルターカバー5の中心に向けて突出する複数の取付片50が、円筒部43の周方向に所定の間隔をおいて形成されている。これら取付片50は、フィルターカバー5を内側筒体3に組み付けるためのものである。また、閉塞部材48にはフィルターカバー5の中心を通過し且つ同カバー5の径方向に延びる切り欠き部51が形成されている。この切り欠き部51は、フィルターカバー5が内側筒体3(図4)に組み付けられたとき、区画部材4の回り止め部材33(図4)を収容するためのものである。区画部材4における切り欠き部51の幅方向両側(図13の左右方向両側)には、上記第2領域49bが位置している。
【0033】
フィルターカバー5は、内側筒体3に対し、次のように組み付けられる。すなわち、図3に示すように、浴槽6の内側でフィルターカバー5を閉塞部材48側が内側筒体3及び区画部材4を向くように配置する。更に、フィルターカバー5(閉塞部材48)の取付片50(図13)が内側筒体3の縦スリット27(図4)に対応して位置するようにし、その状態でフィルターカバー5を内側筒体3に接近させる。これにより、取付片50が縦スリット27を通って横スリット28に対応して位置するようになる。その後、フィルターカバー5を内側筒体3に対し、その軸線回りにおける図4の矢印Y1方向に相対回動させることにより、取付片50が横スリット28に挿入される。図14は、横スリット28に対する取付片50の挿入状態を示している。
【0034】
取付片50が横スリット28に挿入されることにより、フィルターカバー5が内側筒体3に対し組み付けられる。このときには、フィルターカバー5によって区画部材4(図3)の吐出用開口部13及び吸入用開口部14が覆われるとともに、図1に示すように回り止め部材33が閉塞部材48の切り欠き部51に収容される。ちなみに、フィルターカバー5を内側筒体3に組み付けたとき、フィルターカバー5における浴槽6の内壁面6aに対する突出高さは10mm未満とされている。上記突出高さは、フィルターカバー5の直径に対する上記突出高さの比率が所定の範囲、例えば0.08~0.16という範囲内の値になるようにも設定されている。なお、上記範囲については、0.09~0.14とすることが好ましく、0.10~0.12とすることがより好ましい。また、フィルターカバー5の高さ(フィルターカバー5の中心線方向の厚さ)は、フィルターカバー5の直径に対する上記高さの比率が所定の範囲、例えば0.05~0.13という範囲内の値になるよう設定されている。なお、上記範囲については、0.06~0.11とすることが好ましく、0.07~0.09とすることがより好ましい。
【0035】
上述した内側筒体3に対するフィルターカバー5の組み付け動作は、内側筒体3及び区画部材4に対するフィルターカバー5の図4の矢印Y1方向についての相対位置を、次のように定めたときのみ行えるようにされている。すなわち、閉塞部材48の第1領域49a(図13)が区画部材4の吐出用開口部13(図9)に対応して位置するとともに、閉塞部材48の第2領域49bが区画部材4の吸入用開口部14に対応して位置するよう、上記相対位置を定めたときに上記組み付け動作を行うことが可能になる。すなわち、そのように閉塞部材48における切り欠き部51及び第2領域49bの全体形状が定められている。
【0036】
従って、上記相対位置以外の位置で内側筒体3に対するフィルターカバー5の組み付け動作を行おうとしても、回り止め部材33が閉塞部材48に接触して上記組み付け動作を行うことができなくなる。このため、閉塞部材48の第1領域49a及び第2領域49bが区画部材4の吐出用開口部13及び吸入用開口部14に対応して位置していない状態で、フィルターカバー5が内側筒体3に組み付けられることはない。
【0037】
次に、浴槽用循環具1を用いた浴槽6内からの湯の吸入及び浴槽6内への湯の吐出について説明する。
図15は、浴槽用循環具1を図1の矢印A-A方向から見た状態を示している。浴槽6内の湯を給湯器8(図2)に送る際には、その湯がフィルターカバー5における多数の細孔46のうち図15の左側の吸入用開口部14に対応する細孔46(吸入口47)、及び、その吸入用開口部14を介して浴槽用循環具1内の吸入用通路12に吸入される。このときには、切換弁41が閉位置に位置することにより、図14の左側の吐出用開口部13が閉塞される。そして、吸入用通路12に吸入された湯は、図2に示す継手20及び戻り側配管10を介して給湯器8に送られる。
【0038】
一方、給湯器8から浴槽6内に湯を吐出する際には、その湯が往き側配管9及び継手19を介して、浴槽用循環具1内の吐出用通路11(図14)に送られる。このときには、切換弁41が開位置に位置することにより、図14の右側の吐出用開口部13が開放される。そして、吐出用通路11を通過した湯は、上記吐出用開口部13及びフィルターカバー5の吐出口45を介して、浴槽6内に吐出される。
【0039】
次に、本実施形態の浴槽用循環具1の作用効果について説明する。
(1)図1及び図3に示すように、上記浴槽用循環具1では、浴槽6の貫通孔7を貫通した状態の内側筒体3に対し浴槽6の内側から区画部材4が組み付けられるとき、区画部材4の本体29の外周部全体が内側筒体3の開口部3aに収容される。このように区画部材4の本体29が内側筒体3の開口部3aに収容される分、浴槽6の内壁面6aに対する区画部材4の突出高さを小さく抑えることができる。
【0040】
(2)吐出用開口部13及び吸入用開口部14が区画部材4の本体29における浴槽6の内側に対応する面29aに位置しているため、本体29の外周部全体が内側筒体3の開口部3aに収容されていても、吐出用開口部13及び吸入用開口部14を浴槽6の内側に対し開口させることができる。
【0041】
(3)区画部材4の本体29に設けられた吐出用開口部13及び吸入用開口部14がフィルターカバー5によって覆われているため、その吸入用開口部14に浴槽6内の異物が吸い込まれることを上記フィルターカバー5によって抑制することができる。このフィルターカバー5は内側筒体3に組み付けられているため、区画部材4の本体29の外周部全体が内側筒体3の開口部3aに収容されているとしても、浴槽用循環具1におけるフィルターカバー5の組み付けを実現することができる。
【0042】
(4)フィルターカバー5は、円筒部43と、その円筒部43の一方の開口を閉塞する蓋部44と、を備えている。円筒部43には吐出口45が形成されており、蓋部44には多数の細孔46からなる吸入口47が形成されている。蓋部44における区画部材4の本体29と対向する面には閉塞部材48が組み付けられる。
【0043】
この閉塞部材48は、多数の細孔46のうち区画部材4の本体29における吸入用開口部14と対向する細孔46を開放する第2領域49bを有している。従って、フィルターカバー5における多数の細孔46のうち、閉塞部材48の第2領域49bに対応して位置する細孔46を介して、浴槽6内の湯が効率よく区画部材4の吸入用開口部14に吸い込まれる。
【0044】
また、閉塞部材48は、多数の細孔46のうち区画部材4の本体29における吐出用開口部13と対向する細孔46を閉塞するとともに吐出用開口部13から吐出された流体(湯)の流れをフィルターカバー5の円筒部43の吐出口45に向かわせる第1領域49aを有している。従って、区画部材4の吐出用開口部13から吐出された湯は、閉塞部材48の第1領域49aによってフィルターカバー5の円筒部43の吐出口45に向かうようにされる。そして、フィルターカバー5の円筒部43の吐出口45から浴槽6内に吐出された湯は、同浴槽6の内壁面6aに沿って流れるようになる。従って、上記吐出口45から浴槽6内に吐出された湯がユーザーに直接当たることは抑制される。
【0045】
(5)フィルターカバー5は、多数の細孔46のうちの一部を、蓋部44及び円筒部43とは別体の閉塞部材48によって閉塞する構造となっている。このため、多数の細孔46を蓋部44の中心線を中心とする放射状など規則的に位置するよう形成し、且つ、閉塞する必要のある細孔46については閉塞部材48で閉塞することができる。この場合、多数の細孔46が蓋部44に対し規則的に位置しているため、フィルターカバー5の美観を保つうえで有利となる。また、閉塞する必要のある細孔46については閉塞部材48で閉塞することができるため、美観を保ちつつフィルターカバー5に必要な機能を実現することができる。
【0046】
(6)区画部材4は、内側筒体3に対し、その軸線上での同軸線を中心とする相対回動によって取り外し可能に組み付けられる。区画部材4の本体29における浴槽6の内側に対応する面には設けられた回り止め部材33は、その突部34が内側筒体3の穴25に嵌め込まれることによって内側筒体3と係合される。これにより、回り止め部材33は、内側筒体3に対する区画部材4の上記相対回動をある程度阻止するものとして機能する。この回り止め部材33は、区画部材4に対し浴槽6の内側に向けて突出した状態となる。ただし、フィルターカバー5を内側筒体3に組み付けたとき、フィルターカバー5に設けられた閉塞部材48の切り欠き部51に上記回り止め部材33が収容される。このように回り止め部材33が閉塞部材48の切り欠き部51に収容される分、フィルターカバー5を内側筒体3に組み付けたとき、同フィルターカバー5が浴槽6の内壁面6aに対し突出して位置するようになることを抑制できる。
【0047】
(7)フィルターカバー5における浴槽6の内壁面6aに対する突出高さが10mm未満と小さくされているため、フィルターカバー5が浴槽6の内壁面6aから大きく突出して入浴の際に邪魔になることを抑制できる。
【0048】
(8)フィルターカバー5の直径に対するフィルターカバー5の浴槽6の内壁面6aに対する突出高さの比率が0.08~0.16となるよう、上記突出高さが設定されている。また、フィルターカバー5の直径に対する同フィルターカバー5の高さ(フィルターカバー5の中心線方向の厚さ)の比率が0.05~0.13となるよう、上記高さが設定されている。このため、フィルターカバー5の直径に対するフィルターカバー5の浴槽6の内壁面6aに対する突出高さを小さく抑えることができる。従って、フィルターカバー5が浴槽6の内壁面6aから大きく突出して入浴の際に邪魔になることを抑制できる。また、フィルターカバー5の直径に対するフィルターカバー5の浴槽6の内壁面6aに対する突出高さの比率には外観上好ましい範囲があり、その比率を上述した0.08~0.16という範囲の値とすることにより、浴槽用循環具1を浴槽6に取り付けたときの美観を向上させることができる。
【0049】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・フィルターカバー5における浴槽6の内壁面6aに対する突出高さが10mm以上であってもよい。
【0050】
・フィルターカバー5の直径に対する同フィルターカバー5の浴槽6の内壁面6aに対する突出高さの比率が0.08~0.16以外の値となるよう、上記突出高さが設定されていてもよい。
【0051】
・フィルターカバー5の直径に対する同フィルターカバー5の高さ(フィルターカバー5の中心線方向の厚さ)の比率が0.05~0.13以外の値となるよう、上記高さが設定されていてもよい。
【0052】
・内側筒体3の開口部3aには、必ずしも本体29の外周部全体が収容されている必要はなく、その外周部における少なくとも浴槽6の外側寄りの部分(接続筒30寄りの部分)が収容されていればよい。
【0053】
・往き側配管9と戻り側配管10との位置関係が上記実施形態と逆になっていてもよい。この場合、浴槽用循環具1における吐出用通路11と吸入用通路12との位置関係も上記実施形態と逆になる。そして、浴槽6内の湯を吸入用通路12に吸入する際には、切換弁38が閉位置に位置するようになる。また、吐出用通路11から浴槽6内に湯を吐出する際には、切換弁41が開位置に位置するようになる。
【0054】
・フィルターカバー5としては、蓋部44に形成された多数の細孔46のうち閉塞する必要のある細孔46を閉塞部材48で閉塞するものとしたが、必ずしもこうした構造である必要はない。例えば、閉塞部材48を設ける代わりに、フィルターカバー5をその蓋部44における細孔46を形成する必要のある箇所のみに同細孔46が形成されるステンレスのプレス加工品や樹脂成形品としてもよい。
【0055】
次に、上記実施形態から把握できる技術思想について記載する。
(A)
浴槽の外側に配置されており、且つ給湯器に繋がる往き側配管及び戻り側配管が接続される外側筒体と、
前記浴槽に設けられた貫通孔に挿通された状態で前記外側筒体に組み付けられることによって前記外側筒体との間に前記浴槽を挟み込む内側筒体と、
前記内側筒体に組み付けられることにより、前記浴槽内と前記往き側配管とを接続する吐出用通路、及び、前記浴槽内と前記戻り側配管とを接続する吸入用通路を形成する区画部材と、を備え、
前記区画部材は、前記吐出用通路に繋がるとともに前記浴槽の内側に対し開口する吐出用開口部、及び、前記吸入用通路に繋がるとともに前記浴槽の内側に対し開口する吸入用開口部を有しており、
前記区画部材の前記吐出用開口部及び前記吸入用開口部を覆うフィルターカバーが、前記内側筒体に組み付けられていることを特徴とする浴槽用循環具。
【0056】
上記構成によれば、区画部材の吸入用開口部に異物が吸い込まれることをフィルターカバーによって抑制することができる。このフィルターカバーが内側筒体に組み付けられるため、区画部材全体が内側筒体の収容部に収容されるものであったとしても、浴槽用循環具におけるフィルターカバーの組み付けを実現することができる。
【0057】
(B)
浴槽の外側に配置されており、且つ給湯器に繋がる往き側配管及び戻り側配管が接続される外側筒体と、
前記浴槽に設けられた貫通孔に挿通された状態で前記外側筒体に組み付けられることによって前記外側筒体との間に前記浴槽を挟み込む内側筒体と、
前記内側筒体に組み付けられることにより、前記浴槽内と前記往き側配管とを接続する吐出用通路、及び、前記浴槽内と前記戻り側配管とを接続する吸入用通路を形成する区画部材と、を備え、
前記区画部材は、前記吐出用通路に繋がるとともに前記浴槽の内側に対し開口する吐出用開口部、及び、前記吸入用通路に繋がるとともに前記浴槽の内側に対し開口する吸入用開口部を有しており、
前記区画部材の前記吐出用開口部及び前記吸入用開口部がフィルターカバーによって覆われており、
前記フィルターカバーにおける前記浴槽の内壁面に対する突出高さが10mm未満とされていることを特徴とする浴槽用循環具。
【0058】
上記構成によれば、フィルターカバーにおける浴槽の内壁面に対する突出高さが10mm未満と小さくされているため、フィルターカバーが浴槽の内壁面から大きく突出して入浴の際に邪魔になることを抑制できる。
【0059】
(C)
浴槽の外側に配置されており、且つ給湯器に繋がる往き側配管及び戻り側配管が接続される外側筒体と、
前記浴槽に設けられた貫通孔に挿通された状態で前記外側筒体に組み付けられることによって前記外側筒体との間に前記浴槽を挟み込む内側筒体と、
前記内側筒体に組み付けられることにより、前記浴槽内と前記往き側配管とを接続する吐出用通路、及び、前記浴槽内と前記戻り側配管とを接続する吸入用通路を形成する区画部材と、を備え、
前記区画部材は、前記吐出用通路に繋がるとともに前記浴槽の内側に対し開口する吐出用開口部、及び、前記吸入用通路に繋がるとともに前記浴槽の内側に対し開口する吸入用開口部を有しており、
前記区画部材の前記吐出用開口部及び前記吸入用開口部が有蓋円筒状のフィルターカバーによって覆われており、
前記フィルターカバーの直径に対する前記フィルターカバーの前記浴槽の内壁面に対する突出高さの比率が0.08~0.16となるよう、前記突出高さが設定されていることを特徴とする浴槽用循環具。
【0060】
上記構成によれば、フィルターカバーの直径に対するフィルターカバーの浴槽の内壁面に対する突出高さの比率が0.08~0.16となるよう、上記突出高さが設定されているため、その突出高さを小さく抑えることができる。従って、フィルターカバーが浴槽の内壁面から大きく突出して入浴の際に邪魔になることを抑制できる。
【0061】
(D)
浴槽の外側に配置されており、且つ給湯器に繋がる往き側配管及び戻り側配管が接続される外側筒体と、
前記浴槽に設けられた貫通孔に挿通された状態で前記外側筒体に組み付けられることによって前記外側筒体との間に前記浴槽を挟み込む内側筒体と、
前記内側筒体に組み付けられることにより、前記浴槽内と前記往き側配管とを接続する吐出用通路、及び、前記浴槽内と前記戻り側配管とを接続する吸入用通路を形成する区画部材と、を備え、
前記区画部材は、前記吐出用通路に繋がるとともに前記浴槽の内側に対し開口する吐出用開口部、及び、前記吸入用通路に繋がるとともに前記浴槽の内側に対し開口する吸入用開口部を有しており、
前記区画部材の前記吐出用開口部及び前記吸入用開口部が有蓋円筒状のフィルターカバーによって覆われており、
前記フィルターカバーの直径に対する前記フィルターカバーの高さの比率が0.05~0.13となるよう、前記高さが設定されていることを特徴とする浴槽用循環具。
【0062】
上記構成によれば、フィルターカバーの直径に対するフィルターカバーの高さの比率が0.05~0.13となるよう、上記高さが設定されているため、その高さを小さく抑えることができる。従って、フィルターカバーが浴槽の内壁面から大きく突出して入浴の際に邪魔になることを抑制できる。
【0063】
(E)
浴槽の外側に配置されており、且つ給湯器に繋がる往き側配管及び戻り側配管が接続される外側筒体と、
前記浴槽に設けられた貫通孔に挿通された状態で前記外側筒体に組み付けられることによって前記外側筒体との間に前記浴槽を挟み込む内側筒体と、
前記内側筒体に組み付けられることにより、前記浴槽内と前記往き側配管とを接続する吐出用通路、及び、前記浴槽内と前記戻り側配管とを接続する吸入用通路を形成する区画部材と、を備え、
前記区画部材は、前記吐出用通路に繋がるとともに前記浴槽の内側に対し開口する吐出用開口部、及び、前記吸入用通路に繋がるとともに前記浴槽の内側に対し開口する吸入用開口部を有しており、
前記区画部材の前記吐出用開口部及び前記吸入用開口部がフィルターカバーによって覆われており、
前記フィルターカバーは、円筒部と、その円筒部の一方の開口を閉塞する蓋部と、を備えており、
前記円筒部には吐出口が形成されており、
前記蓋部には多数の細孔からなる吸入口が形成されており、
前記蓋部における前記区画部材の本体と対向する面には閉塞部材が組み付けられており、
前記閉塞部材は、前記多数の細孔のうち前記区画部材の本体における吐出用開口部と対向する細孔を閉塞するとともに前記吐出用開口部から吐出された流体の流れを前記フィルターカバーの円筒部の吐出口に向かわせる第1領域、及び、前記多数の細孔のうち前記区画部材の本体における前記吸入用開口部と対向する細孔を開放する第2領域を有していることを特徴とする浴槽用循環具。
【0064】
上記構成によれば、フィルターカバーにおける多数の細孔のうち、閉塞部材の第2領域に対応して位置する細孔を介して、浴槽内の湯が効率よく浴槽用循環具(区画部材)の吸入用開口部に吸い込まれる。また、浴槽用循環具(区画部材)の吐出用開口部から吐出された湯は、閉塞部材の第1領域によってフィルターカバーの円筒部の吐出口に向かうようにされる。そして、フィルターカバーの円筒部の吐出口から浴槽内に吐出された湯は、同浴槽の内壁面に沿って流れるようになる。従って、上記吐出口から浴槽内に吐出された湯がユーザーに直接当たることは抑制される。
【0065】
(F)
浴槽の外側に配置されており、且つ給湯器に繋がる往き側配管及び戻り側配管が接続される外側筒体と、
前記浴槽に設けられた貫通孔に挿通された状態で前記外側筒体に組み付けられることによって前記外側筒体との間に前記浴槽を挟み込む内側筒体と、
前記内側筒体に組み付けられることにより、前記浴槽内と前記往き側配管とを接続する吐出用通路、及び、前記浴槽内と前記戻り側配管とを接続する吸入用通路を形成する区画部材と、を備え、
前記区画部材には、前記吐出用通路に繋がるとともに前記浴槽の内側に対し開口する吐出用開口部、及び、前記吸入用通路に繋がるとともに前記浴槽の内側に対し開口する吸入用開口部を有する円盤状の本体が設けられており、
前記内側筒体には、前記浴槽の内側に向けて開口する収容部が形成されており、
前記内側筒体の収容部には、前記区画部材の本体の外周部における少なくとも前記浴槽の外側寄りの部分が収容されており、
前記内側筒体の収容部には前記区画部材の本体の外周部全体が収容され、その本体における前記浴槽の内側に対応する面に前記吐出用開口部及び前記吸入用開口部が位置しており、
前記区画部材の本体に設けられた前記吐出用開口部及び前記吸入用開口部を覆うフィルターカバーが、前記内側筒体に組み付けられており、
前記フィルターカバーは、円筒部と、その円筒部の一方の開口を閉塞する蓋部と、を備えており、
前記円筒部には吐出口が形成されており、
前記蓋部には多数の細孔からなる吸入口が形成されており、
前記蓋部における前記区画部材の本体と対向する面には閉塞部材が組み付けられており、
前記閉塞部材は、前記多数の細孔のうち前記区画部材の本体における吐出用開口部と対向する細孔を閉塞するとともに前記吐出用開口部から吐出された流体の流れを前記フィルターカバーの円筒部の吐出口に向かわせる第1領域、及び、前記多数の細孔のうち前記区画部材の本体における前記吸入用開口部と対向する細孔を開放する第2領域を有しており、
前記区画部材は、前記内側筒体に対し、その軸線上での同軸線を中心とする相対回動によって取り外し可能に組み付けられるものであり、
前記区画部材の本体における前記浴槽の内側に対応する面には回り止め部材が設けられており、
前記回り止め部材は、前記内側筒体と係合することにより、同内側筒体に対する前記区画部材の相対回動を阻止するものであり、
前記フィルターカバーの蓋部に組み付けられた前記閉塞部材には、前記フィルターカバーが前記内側筒体に組み付けられたとき、前記回り止め部材を収容する切り欠き部が形成されている浴槽用循環具。
【0066】
(G)
浴槽用循環具は、次のような外側筒体、内側筒体、及び区画部材を備える。外側筒体は、浴槽の外側に配置されており、且つ給湯器に繋がる往き側配管及び戻り側配管が接続される。内側筒体は、浴槽に設けられた貫通孔に挿通された状態で外側筒体に組み付けられることにより、外側筒体との間に浴槽を挟み込む。区画部材は、内側筒体に組み付けられることにより、浴槽内と往き側配管とを接続する吐出用通路、及び、浴槽内と戻り側配管とを接続する吸入用通路を浴槽用循環具に形成する。上記区画部材には、吐出用通路に繋がるとともに浴槽の内側に対し開口する吐出用開口部、及び、吸入用通路に繋がるとともに浴槽の内側に対し開口する吸入用開口部を有する円盤状の本体が設けられる。上記内側筒体には、前記浴槽の内側に向けて開口する収容部が形成される。内側筒体の収容部には、区画部材の本体の外周部における少なくとも浴槽側の外側寄りの部分が収容される。
【0067】
上記構成によれば、浴槽の貫通孔を貫通した状態の内側筒体に対し浴槽の内側から区画部材が組み付けられるとき、区画部材の本体の外周部における浴槽の外側寄りの部分が内側筒体の収容部に収容される。このように区画部材の本体が内側筒体の収容部に収容される分、浴槽の内壁面に対する区画部材の突出高さが小さく抑えられる。
【0068】
(H)
上記浴槽用循環具においては、内側筒体の収容部には区画部材の本体の外周部全体が収容され、その本体における浴槽の内側に対応する面に吐出用開口部及び吸入用開口部が位置しているものとすることが考えられる。
【0069】
上記構成によれば、区画部材の本体の外周部全体が内側筒体の収容部に収容されることにより、浴槽の内壁面に対する区画部材の突出高さが小さく抑えられる。また、吐出用開口部及び吸入用開口部が本体における浴槽の内側に対応する面に位置しているため、本体の外周部全体が内側筒体の収容部に収容されていても、吐出用開口部及び吸入用開口部を浴槽の内側に対し開口させることができる。
【0070】
(I)
上記浴槽用循環具においては、区画部材の本体に設けられた吐出用開口部及び吸入用開口部を覆うフィルターカバーが内側筒体に組み付けられているものとすることが考えられる。
【0071】
上記構成によれば、区画部材の本体における吸入用開口部に異物が吸い込まれることをフィルターカバーによって抑制することができる。このフィルターカバーが内側筒体に組み付けられるため、区画部材の本体の外周部全体が内側筒体の収容部に収容されているとしても、浴槽用循環具におけるフィルターカバーの組み付けを実現することができる。
【0072】
(J)
上記浴槽用循環具において、フィルターカバーは、円筒部と、その円筒部の一方の開口を閉塞する蓋部と、を備えるものとすることが考えられる。上記円筒部には吐出口が形成される。上記蓋部には多数の細孔からなる吸入口が形成される。この蓋部における区画部材の本体と対向する面には閉塞部材が組み付けられる。この閉塞部材は、多数の細孔のうち区画部材の本体における吐出用開口部と対向する細孔を閉塞するとともに吐出用開口部から吐出された流体の流れをフィルターカバーの円筒部の吐出口に向かわせる第1領域、及び、多数の細孔のうち区画部材の本体における吸入用開口部と対向する細孔を開放する第2領域を有する。
【0073】
上記構成によれば、フィルターカバーにおける多数の細孔のうち、閉塞部材の第2領域に対応して位置する細孔を介して、浴槽内の湯が効率よく浴槽用循環具(区画部材)の吸入用開口部に吸い込まれる。また、浴槽用循環具(区画部材)の吐出用開口部から吐出された湯は、閉塞部材の第1領域によってフィルターカバーの円筒部の吐出口に向かうようにされる。そして、フィルターカバーの円筒部の吐出口から浴槽内に吐出された湯は、同浴槽の内壁面に沿って流れるようになる。従って、上記吐出口から浴槽内に吐出された湯がユーザーに直接当たることは抑制される。
【0074】
(K)
上記浴槽用循環具において、区画部材は、内側筒体に対し、その軸線上での同軸線を中心とする相対回動によって取り外し可能に組み付けられるものとされる。区画部材の本体における浴槽の内側に対応する面には回り止め部材が設けられる。回り止め部材は、内側筒体と係合することにより、同内側筒体に対する区画部材の相対回動を阻止するものとされる。上記フィルターカバーの蓋部に組み付けられた閉塞部材には、フィルターカバーが内側筒体に組み付けられたとき、回り止め部材を収容する切り欠き部が形成される。
【0075】
上記構成によれば、内側筒体に対し区画部材を回り止めするための回り止め部材が、同区画部材に対し浴槽の内側に向けて突出した状態となる。フィルターカバーを内側筒体に組み付けたとき、フィルターカバーに設けられた閉塞部材の切り欠き部に上記回り止め部材が収容される。このように回り止め部材が閉塞部材の切り欠き部に収容される分、フィルターカバーを内側筒体に組み付けたとき、同フィルターカバーが浴槽の内壁面に対し突出して位置するようになることを抑制できる。
【符号の説明】
【0076】
1…浴槽用循環具、2…外側筒体、3…内側筒体、3a…開口部、4…区画部材、5…フィルターカバー、6…浴槽、7…貫通孔、8…給湯器、9…往き側配管、10…戻り側配管、11…吐出用通路、12…吸入用通路、13…吐出用開口部、14…吸入用開口部、29…本体、33…回り止め部材、43…円筒部、44…蓋部、45…吐出口、46…細孔、47…吸入口、48…閉塞部材、49a…第1領域、49b…第2領域、51…切り欠き部。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15