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  • 特開-電源切替システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147694
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】電源切替システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20241008BHJP
   H02H 5/00 20060101ALI20241008BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20241008BHJP
   H02B 1/40 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
H02J9/06
H02H5/00
H02J3/38 110
H02B1/40 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024113585
(22)【出願日】2024-07-16
(62)【分割の表示】P 2019105565の分割
【原出願日】2019-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 昌幸
(57)【要約】
【課題】 商用電源が停電して分散電源で負荷が稼働している状態で地震が発生しても、負荷を電源から遮断できる電源切替システムを提供する。
【解決手段】 商用電源4と蓄電池3とを切り替えて特定の負荷に供給する切替開閉器21と、感震器23と、電源を遮断する制御ユニット24とを備え、切替開閉器21は商用電源4が一次側に接続された主幹ブレーカ11の二次側が接続されると共に、切替開閉器21の出力側には漏電遮断器22を介して特定の負荷が接続されている。制御ユニット24は地震を感知したら主幹ブレーカ11及び漏電遮断器22の双方を遮断動作させるリレー32と、切替開閉器21を切替制御する制御部35とを有し、制御ユニット24は商用電源4及び蓄電池3の双方から電源の供給を受け、切替開閉器21が商用電源4に接続された状態で商用電源4が停電したら、蓄電池3に接続を切り替える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の負荷に供給する電力を商用電源と分散電源との間で切り替える切替開閉器を備えると共に、地震を感知する機能を有して地震が発生したら全負荷の電源を遮断する感震制御手段を備えた電源切替システムであって、
前記切替開閉器には、前記商用電源が一次側に接続された主幹ブレーカの二次側が接続されて商用電力が供給されると共に、前記切替開閉器の出力側には漏電遮断器を介して前記特定の負荷が接続されて成り、
更に前記感震制御手段は、地震を感知したら前記主幹ブレーカ及び前記漏電遮断器の双方を遮断動作させる遮断操作部と、前記切替開閉器を切替制御する切替制御部とを有すると共に、前記感震制御手段は前記商用電源及び前記分散電源の双方から電源の供給を受け、前記切替開閉器が商用電源に接続された状態で商用電源が停電したら、前記特定の負荷の電源を前記分散電源に切り替える制御を実施することを特徴とする電源切替システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷の電源を商用電源と分散電源との間で切り替える電源切替システムに関し、特に感震遮断機能を備えた電源切替システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一部の負荷の電源を商用電源と分散電源との間で切り替え可能とし、更に感震リレー(感震器)を備えて地震が発生したら負荷を電源から遮断し、電気火災の発生を防止するよう構成した電源切替システムがある。
例えば特許文献1では、商用電源が接続された主幹ブレーカ及び感震リレーが組み付けられた分電盤と、電源を商用電源と分散電源の間で切り替える開閉器を備えた分散電源回路部とを備えて、感震リレーが地震を感知したら主幹ブレーカと開閉器との双方を遮断動作させた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-177660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の電源切替システムは、地震発生を受けて負荷を電源から遮断でき、電気火災の防止には有効であったが、感震リレーの電源は商用電源から供給されているため、商用電源が停電している時に地震が発生したら、感震リレーは動作しなかった。そのため、商用電源が停電して分散電源で負荷が駆動している時に地震が発生したら電源が遮断されない状況が発生した。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、商用電源が停電して分散電源で負荷が稼働している状態で地震が発生しても、負荷を電源から遮断できる電源切替システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、特定の負荷に供給する電力を商用電源と分散電源との間で切り替える切替開閉器を備えると共に、地震を感知する機能を有して地震が発生したら全負荷の電源を遮断する感震制御手段を備えた電源切替システムであって、切替開閉器には、商用電源が一次側に接続された主幹ブレーカの二次側が接続されて商用電力が供給されると共に、切替開閉器の出力側には漏電遮断器を介して特定の負荷が接続されて成り、更に感震制御手段は、地震を感知したら主幹ブレーカ及び漏電遮断器の双方を遮断動作させる遮断操作部と、切替開閉器を切替制御する切替制御部とを有すると共に、感震制御手段は商用電源及び分散電源の双方から電源の供給を受け、切替開閉器が商用電源に接続された状態で商用電源が停電したら、特定の負荷の電源を分散電源に切り替える制御を実施することを特徴とする。
この構成によれば、感震制御手段は商用電源及び分散電源の双方から電源が供給されるため、商用電源が停電して特定の負荷が分散電源により稼働していても、地震が発生したら感震制御手段がそれを感知して遮断制御する。よって、商用電源が停電中に地震が発生しても全負荷を電源から遮断でき、安全を確保できる。
加えて、商用電源の停電を受けて、切替開閉器が切替動作して電源が商用電源から分散電源に切り替わるため、切替開閉器に商用電源の状態を監視する機能が無くても切替動作し、特定の負荷に電力を引き続き供給できる。
【0007】
尚、上記構成において、遮断操作部は、漏電遮断器を漏電遮断動作させる第1疑似漏電発生回路と、主幹ブレーカを漏電遮断動作させる第2疑似漏電発生回路とを具備し、疑似漏電を発生させて遮断動作させる構成を採用することも考えられる。
この構成を採用することにより、主幹ブレーカ、漏電遮断器の機能を利用して遮断動作させるため、簡易な制御で済む。
また上記構成において、感震制御手段は、地震の発生を受けて即時或いは一定時間後に第1疑似漏電発生回路を通電動作させる一方、第2疑似漏電発生回路を遅延させて通電動作させる漏電制御部を有する構成を採用することも考えられる。
この構成を採用することにより、地震発生を受けてまず切替開閉器の出力側の負荷が遮断されるため、揺れに対して危険な電気機器を切替開閉器の出力側に配置すれば瞬時にオフさせることができる。一方で、主幹ブレーカはすぐに遮断動作しないため、避難路の確保が可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、感震制御手段は切替開閉器の出力側から電源が供給されるため、商用電源が停電して特定の負荷が分散電源により稼働していても、地震が発生したら感震制御手段がそれを感知して遮断制御する。よって、商用電源が停電中に地震が発生しても全負荷を電源から遮断でき、安全を確保できる。
加えて、商用電源の停電を受けて、切替開閉器が切替動作して電源が商用電源から分散電源に切り替わるため、切替開閉器に商用電源の状態を監視する機能が無くても切替動作し、特定の負荷に電力を引き続き供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る電源切替システムの一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る電源切替システムの一例を示す構成図であり、商用電源4を電源として負荷に電力を供給する分電盤1、切替開閉器21を備えて特定の負荷に切替開閉器21により選択された電源の電力を供給する切替盤2、分散電源としての蓄電池3を備えて構成されている。
【0011】
分電盤1は、主幹ブレーカ11、複数の分岐ブレーカ12が組み付けられている。主幹ブレーカ11に単相3線から成る商用電源4が接続され、その二次側に分岐ブレーカ12が接続されている。分岐ブレーカ12の二次側はそれぞれ図示しない負荷が接続されている。
尚、主幹ブレーカ11は、過電流遮断機能に加えて漏電遮断機能を有するELBである。
【0012】
切替盤2には、切替開閉器21に加えて、漏電遮断器(ELB)22、地震を感知する感震器23、制御ユニット24、複数の分岐ブレーカ25が組み付けられている。この分岐ブレーカ25に図示しない特定の負荷が接続されており、切替開閉器21により選択された電力が供給される。
切替開閉器21は、2つの入力端子21a、1つの出力端子21bを備え、図示しない切替ハンドルの操作で2入力の切り替えが行われ、一方が出力端子21bに接続される。
また、外部からの切替信号を受けて入力を切り替える切替制御部21cを備えており、商用電源4が停電しても、分岐ブレーカ25に接続されている特定の負荷は蓄電池3を電源として継続して稼働てするよう構成されている。
【0013】
感震器23は加速度センサを内蔵し、例えば震度5以上の揺れを感知したら、地震感知信号を出力する。この地震感知信号は伝送線S1を介して制御ユニット24に送信される。尚、感震器23は漏電遮断器22の二次側に電源線S4が接続され、電源の供給を受けている。
【0014】
制御ユニット24は、遮断操作部を構成する2つのリレー32(第1リレー32a,第2リレー32b)、感知信号が入力される信号入力部33、電路電圧を検出するセンサ部34、リレー32及び切替開閉器21を制御するマイコンから成る制御部35等を備えている。
リレー32はa接点を有し、第1リレー32aは漏電遮断器22に並列に配置されて疑似漏電を発生させる第1疑似漏電発生回路W1を形成し、第2リレー32bは主幹ブレーカ11に並列に配置されて疑似漏電を発生させる第2疑似漏電発生回路W2を形成している。こうして、第1リレー32aがオンすると、第1疑似漏電発生回路W1が通電状態となり、漏電遮断器22が漏電発生と判断して漏電遮断動作する。また、第2リレー32bがオンすると、第2疑似漏電発生回路W1が通電状態となり、主幹ブレーカ11が漏電発生と判断して漏電遮断動作する。
【0015】
センサ部34は2つの電源電路の電圧を検出する端子で、商用電源が供給される主幹ブレーカ11の二次側電路S5の所定の線間電圧を検出する検出線S2と、蓄電池3の出力電路S6の所定の線間電圧を検出する検出線S3とが接続されている。
尚、制御ユニット24には、この検出線S2,S3を介して電源が供給される。
【0016】
上記の如く構成された電源切替システムは、地震発生を受けて以下のように動作する。
感震器23は、予め感知設定された震度以上の地震が発生すると、それを感知して地震感知信号を出力する。この地震感知信号は伝送線S1を介して制御ユニット24に送信される。
信号入力部33を介して地震感知信号を制御部35が受信すると、次のような制御を開始する。まず第1リレー32aを即時にオンさせる。この結果、漏電遮断器22の二次側で疑似漏電が発生して漏電遮断器22が遮断動作する。
【0017】
一方で、制御部35はタイマを内蔵しており、感震器23から地震感知信号を受信したらタイマが所定時間をカウントし、所定時間が経過したら第2リレー32bをオンさせる。この結果、主幹ブレーカ11の二次側で疑似漏電が発生して主幹ブレーカ11が遮断動作する。即ち、地震が発生してから一定時間経過したら主幹ブレーカ11が遮断動作する遅延動作を実施する。
【0018】
また、制御部35は、切替開閉器21が商用電源4を選択している状態で、センサ部34が商用電源4の停電を検知したら、切替開閉器21の切替制御部21cに切替信号を出力し、出力端子21bに接続される電源を商用電源4から蓄電池3に切り替える。更に、蓄電池3に切り替えている状態で商用電源4が復電したら、センサ部34によりそれを検知して、切替開閉器21の入力端子21aの接続を商用電源4に戻す制御を実施する。
【0019】
このように、感震器23は切替開閉器21の出力側から電源の供給を受けるため、商用電源4が停電して特定の負荷が蓄電池3により稼働していても、地震が発生したら地震を感知できるし、制御ユニット24は商用電源4及び蓄電池3から電源が供給されるため、感震器23から地震感知信号を受けたら主幹ブレーカ11及び漏電遮断器22を遮断制御する。よって、商用電源4が停電中に地震が発生しても全負荷を電源から遮断でき、安全を確保できる。
また、主幹ブレーカ11、漏電遮断器22の漏電遮断機能を利用して遮断動作させるため、新たな回路組み込む必要が無いし、簡易な制御で済む。
加えて、地震発生を受けてまず切替開閉器21の出力側の負荷が遮断されるため、揺れに対して危険な電気機器を特定の負荷として接続することで瞬時にオフさせることができる。一方で、主幹ブレーカ11はすぐに遮断動作しないため、避難路の確保が可能である。
また、商用電源4の停電を受けて、切替開閉器21が切替動作して特定負荷の電源が商用電源4から蓄電池3に切り替わる。よって、切替開閉器21に商用電源4の状態を監視する機能が無くても切替動作し、特定の負荷に電力を引き続き供給できる。
【0020】
尚、上記実施形態では、感震器23の地震感知信号を受けたら即時に漏電遮断器22を遮断動作させているが、漏電遮断器22も地震が発生してから一定時間後に遮断させても良い。そして、このように漏電遮断器22及び主幹ブレーカ11を遅延遮断動作させる場合は、感震器23自体を遅延動作させて、地震を感知してから一定時間後に地震感知信号を出力させても良い。
また、感震器23と制御ユニット24を別体としているが、一体としても良い。また、主幹ブレーカ11及び漏電遮断器22に別途遮断動作させるための信号入力部がある場合は、第1リレー32a、第2リレー32bの代わりに信号入力部に対して遮断信号を出力する信号出力部を設ければ良い。
また、分散電源を蓄電池3としているが、太陽光発電装置、燃料電池等の発電設備であっても良い。
更に、切替開閉器21、制御ユニット24は分電盤1と分離された切替盤2に収容されているが、切替盤2を分電盤1と一体とし、全て分電盤1に組み付けても良い。
【符号の説明】
【0021】
1・・分電盤、2・・切替盤、3・・蓄電池(分散電源)、4・・商用電源、11・・主幹ブレーカ、12・・分岐ブレーカ、21・・切替開閉器、22・・漏電遮断器、23・・感震器(感震制御手段)、24・・制御ユニット(感震制御手段)、25・・分岐ブレーカ、32・・リレー(遮断操作部)、33・・信号入力部、34・・センサ部、35・・制御部(漏電制御部、切替制御部)、W1・・第1疑似漏電発生回路、W2・・第2疑似漏電発生回路。
図1