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特開2024-147695生体信号処理装置および心電図解析用データの生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147695
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】生体信号処理装置および心電図解析用データの生成方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/339 20210101AFI20241008BHJP
   A61B 5/349 20210101ALI20241008BHJP
【FI】
A61B5/339
A61B5/349
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024113590
(22)【出願日】2024-07-16
(62)【分割の表示】P 2020161258の分割
【原出願日】2020-09-25
(71)【出願人】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉 弘敏
(57)【要約】
【課題】深層学習を用いた心電図の自動解析により不整脈を効率的に検出することが可能な心電図解析用データを生成する生体信号処理装置および心電図解析用データの生成方法を提供すること。
【解決手段】深層学習を利用した心電図解析に用いる心電図解析用データを生成する生体信号処理装置である。生体信号処理装置は、複数種の誘導に関する心電図データを取得する取得手段と、心電図データに基づいて心電図解析用データを生成する生成手段と、を有し、生成手段は、複数種の誘導に関する波形の情報を表す波形画像領域と、複数種の誘導のうち所定の誘導に関するリズム情報を表すリズム画像領域とを有する2次元画像を表すデータを、心電図解析用データとして生成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
深層学習を利用した心電図解析に用いる心電図解析用データを生成する生体信号処理装置であって、
複数種の誘導に関する心電図データを取得する取得手段と、
前記心電図データに基づいて前記心電図解析用データを生成する生成手段と、を有し、
前記生成手段は、複数種の誘導に関する波形の情報を表す波形画像領域と、前記複数種の誘導のうち所定の誘導に関するリズム情報を表すリズム画像領域とを有する2次元画像を表すデータを、前記心電図解析用データとして生成することを特徴とする生体信号処理装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記2次元画像の一辺を時間軸として、前記リズム情報に応じて定まる前記時間軸の方向における位置や長さを有する画像パターンを前記リズム画像領域に配置した2次元画像を表すデータを、前記心電図解析用データとして生成することを特徴とする請求項1に記載の生体信号処理装置。
【請求項3】
前記リズム情報が、1心拍の心電図における予め定められた特徴点の時間間隔を含み、
前記生成手段は、前記特徴点を示す画像パターンを前記時間間隔に対応した間隔で前記リズム画像領域に配置した2次元画像を表すデータを、前記心電図解析用データとして生成することを特徴とする請求項1または2に記載の生体信号処理装置。
【請求項4】
前記特徴点がP波のピークおよびR波のピークの少なくとも1つであることを特徴とする、請求項3に記載の生体信号処理装置。
【請求項5】
前記リズム情報が、1心拍内の心電図における予め定められた区間の長さを含み、
前記生成手段は、前記長さに対応した長さを有する画像パターンを前記リズム画像領域に配置した2次元画像を表すデータを、前記心電図解析用データとして生成することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の生体信号処理装置。
【請求項6】
前記予め定められた区間が、QRS区間およびQT区間の少なくとも1つであることを特徴とする、請求項5に記載の生体信号処理装置。
【請求項7】
前記生成手段は、前記リズム画像領域に、前記所定の誘導に関する心電図データに含まれる各心拍におけるQRS区間の長さに応じた長さを有する画像パターンを、隣接する心拍間におけるR-R間隔に応じた間隔で配置した2次元画像を表すデータを、前記心電図解析用データとして生成することを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の生体信号処理装置。
【請求項8】
前記生成手段は、前記リズム画像領域に、前記QRS区間の長さに応じた長さを有する画像パターンにおけるR波のタイミングを表す位置から、P-R間隔に応じた間隔を持たせてP波のタイミングを示す画像パターンを配置した2次元画像を表すデータを、前記心電図解析用データとして生成することを特徴とする、請求項7に記載の生体信号処理装置。
【請求項9】
前記生成手段は、前記リズム画像領域に、QT区間に応じた長さを有する画像パターンを、前記QRS区間の長さに応じた長さを有する画像パターンと同じ位置でQ波のタイミングを表すように、かつ前記QRS区間の長さに応じた長さを有する画像パターンと重複しないように配置した2次元画像を表すデータを、前記心電図解析用データとして生成することを特徴とする、請求項7または8に記載の生体信号処理装置。
【請求項10】
前記生成手段は、前記複数種の誘導ごとに、前記心電図データの値を波形として表した画像を前記波形画像領域に配置した2次元画像を表すデータを、前記心電図解析用データとして生成する、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の生体信号処理装置。
【請求項11】
前記生成手段は、前記心電図データの値を非線形圧縮した値に基づいて前記心電図データの値を波形として表した画像を生成することを特徴とする請求項10に記載の生体信号処理装置。
【請求項12】
前記生成手段は、前記非線形圧縮した値を誘導ごとに正規化してから前記心電図データの値を波形として表した画像を生成することを特徴とする請求項11に記載の生体信号処理装置。
【請求項13】
前記生成手段は、前記正規化された値を有する心電図データに対し、ダウンサンプリングを適用してから前記心電図データの値を波形として表した画像を生成することを特徴とする請求項12に記載の生体信号処理装置。
【請求項14】
前記ダウンサンプリングが、心電図の1心拍期間を分割した区間に応じたサンプリングレートを有することを特徴とする請求項13に記載の生体信号処理装置。
【請求項15】
前記生成手段は、前記2次元画像の後処理により、画素数を低減して前記心電図解析用データとすることを特徴とする請求項10から14のいずれか1項に記載の生体信号処理装置。
【請求項16】
深層学習を利用した心電図解析に用いる心電図解析用データの生成方法であって、
複数種の誘導に関する心電図データを取得する取得工程と、
前記心電図データに基づいて前記心電図解析用データを生成する生成工程と、を有し、
前記生成工程では、複数種の誘導に関する波形の情報を表す波形画像領域と、前記複数種の誘導のうち所定の誘導に関するリズム情報を表すリズム画像領域とを有する2次元画像を表すデータを、前記心電図解析用データとして生成することを特徴とする心電図解析用データの生成方法。
【請求項17】
コンピュータを、請求項1から15のいずれか1項に記載の生体信号処理装置が有する各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項18】
深層学習を利用した心電図解析に用いる心電図解析用データであって、
複数種の誘導に関する波形の情報を表す波形画像領域と、前記複数種の誘導のうち所定の誘導に関するリズム情報を表すリズム画像領域とを有する2次元画像を表すデータであることを特徴とする心電図解析用データ。
【請求項19】
前記複数種の誘導のそれぞれについて、時系列データの値を波形として表す2次元画像を含むことを特徴とする請求項18に記載の心電図解析用データ。
【請求項20】
請求項18または19に記載の心電図解析用データを用いることを特徴とする、ニューラルネットワークの学習方法。
【請求項21】
請求項18または19に記載の心電図解析用データを用いて学習したニューラルネットワークを用いて心電図の自動解析を行う心電図解析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体信号処理装置および心電図解析用データの生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、AI技術の実用化が急速に進み、心電図波形を時系列データまたは画像として取扱い、機械学習や深層学習のモデルを用いて自動解析する手法が提案されている。また、出願人は先に、心電図における複数種の波形情報と誘導間の関係を効率的に深層学習させることを可能とする心電図解析用データの生成手法を提案した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-130772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、複数種の誘導波形の画像を並べた2次元画像を心電図解析用データとして生成することにより、波形情報や誘導間の相互関係に関して効率的な深層学習を実現した。しかしながら、引用文献1で提案した心電図解析用データには心電図の時間軸方向の情報、より具体的には心拍のリズムに関する情報が含まれていない。そのため、不整脈のように心拍のリズムに関する情報を必要とする自動解析には利用することができない。
【0005】
一方、心電図波形を画像ではなく時系列データとして深層学習を行おうとすると、ある程度の長さ(例えば10秒)のデータを学習するために、かなり層数の多いモデルを構築する必要がある。そのため、多くのメモリが必要になるほか、演算負荷が非常に大きく、例えば心電計などの医療機器に実装することは現実的でない。
【0006】
本発明はこのような従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、深層学習を用いた心電図の自動解析により不整脈を効率的に検出することが可能な心電図解析用データを生成する生体信号処理装置および心電図解析用データの生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的は、深層学習を利用した心電図解析に用いる心電図解析用データを生成する生体信号処理装置であって、複数種の誘導に関する心電図データを取得する取得手段と、心電図データに基づいて心電図解析用データを生成する生成手段と、を有し、生成手段は、複数種の誘導に関する波形の情報を表す波形画像領域と、複数種の誘導のうち所定の誘導に関するリズム情報を表すリズム画像領域とを有する2次元画像を表すデータを、心電図解析用データとして生成することを特徴とする生体信号処理装置によって達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明による生体信号処理装置および心電図解析用データの生成方法によって得られる心電図解析用データは、心電図波形の特徴のみならず、所定時間分のリズム変化の特徴も効率よく表すことができる。そのため、深層学習を用いた心電図の自動解析により不整脈を効率的に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る生体信号処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る心電図解析用データ生成処理に関するフローチャートである。
図3】実施形態に係る心電図解析用データ生成処理に関するフローチャートである。
図4】実施形態に係る心電図解析用データ生成処理に関するフローチャートである。
図5】実施形態に係る前処理の具体例を示す図である。
図6】実施形態に係る心電図解析用データの具体例を示す図である。
図7】実施形態に係る心電図解析用データの具体例を示す図である。
図8】実施形態に係る心電図解析用データを用いた学習モデルの評価結果の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明をその例示的な実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は本発明をいかなる意味においても限定しない。また、実施形態で説明される構成の全てが本発明に必須とは限らない。また、明らかに不可能である場合や、それが否定されている場合を除き、異なる実施形態に含まれる構成を組み合わせたり、入れ替えたりしてもよい。また、重複した説明を省略するために、添付図面においては全体を通じて同一もしくは同様の構成要素には同一の参照番号を付してある。
【0011】
図1は、本実施形態に係る生体信号処理装置100の機能構成例を示すブロック図である。生体信号処理装置100は、例えばプログラマブルプロセッサにより、後述する動作を実現するアプリケーションプログラムを実行することによって実現することができる。したがって、生体信号処理装置は、プログラマブルプロセッサを有する電子機器一般で実施することができる。
【0012】
生体信号処理装置100は、複数種の誘導を含んだ心電図の時系列データ(以下、心電図データと呼ぶ)から、ニューラルネットワークの深層学習および学習済みニューラルネットワークを用いた自動解析に適したデータ(心電図解析用データ)を生成する。特に、本実施形態の生体信号処理装置100は、ニューラルネットワークを用いた自動解析により、不整脈の検出を可能にする心電図解析用データを生成する。生体信号処理装置が生成する心電図解析用データは、ニューラルネットワークの学習時および、学習済みのニューラルネットワークを用いた自動解析時に用いられる。
【0013】
制御部110は、プログラマブルプロセッサ、ROM、RAMを有し、ROMや記録部130に記憶されているプログラムをRAMに読み込んで実行することにより、後述する心電図解析用データ生成処理を含む、生体信号処理装置100の処理を実現する。
【0014】
外部I/F120は生体信号処理装置100が外部装置と有線および/または無線通信するためのインタフェースである。生体信号処理装置100は、外部I/F120を通じて、解析結果を外部機器へ出力したり、外部機器から解析対象の心電図データなどのデータを取得したりすることができる。外部I/F120は例えば、USB、無線LAN、有線LAN、bluetooth(登録商標)など、機器間の通信に関する規格の1つ以上に準じた構成を有することができる。
【0015】
記録部130は解析対象の心電図データ、心電図データの解析結果などを保持するための装置であり、SSD、HDDなどの内蔵記憶装置、および/またはUSBメモリ、メモリカードなどの着脱可能な記憶装置であってよい。制御部110は、記録部130にデータを記録したり、記録部130に記録されたデータを読み出したりする。
【0016】
信号処理部140は、心電図データを始めとした生体信号に対して予め定められた処理を適用する。信号処理部140は例えばプログラマブルプロセッサと、プロセッサが実行可能なプログラムを記憶するROM、プログラムの実行に用いられるRAMから構成することができる。信号処理部140が用いるプログラマブルプロセッサは一般的なCPUであってよいが、信号処理やニューラルネットワークに関する処理(深層学習および学習済みニューラルネットワークの適用)を高速に実行するために、GPUやDSPなどを少なくとも補助的に用いてもよい。
【0017】
信号処理部140は、学習用の心電図データから生成した心電図解析用データを用いたニューラルネットワークの深層学習処理と、解析対象の心電図データから生成した心電図解析用データを深層学習済のニューラルネットワークに適用する自動解析処理とを実行する。なお、本明細書において、深層学習とは、複数層を有するニューラルネットワークの学習を意味するものとする。
【0018】
表示部150は液晶表示装置(LCD)などの表示装置であり、生体信号処理装置100のユーザインタフェース(GUI)、心電図波形などの生体情報、心電図データの自動解析結果などを表示する。表示部150は外部表示装置であってもよい。
【0019】
操作部160はキーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、スイッチ、ボタンなど、ユーザが生体信号処理装置100に指示を入力するための入力デバイスの総称である。表示部150がタッチディスプレイの場合、表示部150に表示されたソフトウェアキーは操作部160の一部を構成する。
【0020】
図2は、生体信号処理装置100が実行する心電図解析用データ生成処理のフローチャートである。
S210で制御部110は、複数種の誘導に関する心電図データ(例えば12誘導心電図のデータ)を、例えば記録部130から取得する。なお、ここでは予め計測され、記録部130に保存された心電図データを取得するものとするが、生体信号処理装置100が心電計に組み込まれる場合などにはリアルタイムで心電図データを取得してもよい。
【0021】
詳細は後述するが、本実施形態では、各誘導に関する波形を表す画像領域(波形画像領域)と、所定の1つの誘導に関するリズム情報を表す画像領域(リズム画像領域)とを有する2次元画像のデータを、心電図解析用データとして生成する。S210では、波形画像を生成するための心電図データを取得する。
【0022】
各誘導について1心拍分の波形画像を生成するため、S210で制御部110は1心拍分の心電図データを取得する。あるいは、制御部110は、所定時間分の心電図データを1心拍分ずつ分割し、それらを加算平均することにより1心拍分の心電図データを生成してもよい。また、制御部110は、所定時間分の心電図データのうち、最も品質が良いと判定される1心拍分の心電図データを抽出してもよい。S210において得られる、各誘導の心電図データを、代表心電図データと呼ぶ。なお、代表心電図データは各誘導について1心拍分より長くてもよい。
【0023】
なお、心電図データを1心拍ずつ分割したり、1心拍内を複数の区間に分割したりするための区分点は、複数種の誘導のうちの1つを用いて決定し、全誘導について共通に使用することができる。区分点の決定に用いる誘導は予め定めておいてもよいし、最大振幅が一番大きな誘導を用いてもよい。公知の任意の方法を用いて、心電図データを1心拍分単位に分割することができる。
【0024】
S220で制御部110は、各誘導の1心拍分の心電図データに対して前処理を適用する。前処理は、波形の特徴を残しつつ、心電図データの量を削減する処理である。前処理の詳細については後述する。前処理は必須ではないが、実施した方が深層学習および自動解析の演算負荷を低減でき、また波形の特徴を抽出する効率を高めることができる。
【0025】
S230で制御部110は、前処理された各誘導の心電図データの画像(誘導画像)を2次元配置した合成波形画像を生成する。また、制御部110は、複数種の誘導のうち1つの誘導について、所定時間分の心電図データを取得し、予め定められたリズム情報を抽出する。そして、抽出したリズム情報を表すリズム画像を生成する。リズム情報は、心電図の1心拍内における特定区間の長さや、特徴点の隣接心拍間における間隔などである。リズム情報の抽出およびリズム画像の詳細については後述する。
【0026】
そして、制御部110は、合成波形画像を波形画像領域に、リズム画像をリズム画像領域にそれぞれ配置した2次元画像のデータを生成する。S230における画像データ生成処理の詳細については後述する。
【0027】
S240で制御部110は、S230で生成した心電図解析用データに対し、必要に応じて後処理を適用する。後処理は例えばバイキュービック法のような公知の手法を用いた画素圧縮処理であってよい。なお、信号処理部140の処理能力が十分高い場合などには、後処理は必ずしも行わなくてもよい。したがって、S230で生成した2次元画像のデータ、あるいはS240で後処理が適用された2次元画像のデータが、心電図解析用データとなる。制御部110は、生成した心電図解析用データを、例えば記録部130に記録する。なお、上述した処理のうち、少なくとも一部は制御部110の代わりに信号処理部140が実施してもよい。
【0028】
信号処理部140が実現するニューラルネットワークの深層学習(または検証)を行う場合、制御部110は、学習用(または検証用)の心電図データ(既知の心電図データ)から生成した心電図解析用データを信号処理部140に供給する。また、信号処理部140が実現する学習済みのニューラルネットワークを用いた自動解析処理を行う場合、制御部110は、解析用の心電図データ(未知の心電図データ)から生成した心電図解析用データを信号処理部140に供給する。
【0029】
次に、図3に示すフローチャートを用いて、図2のS220で行う前処理の詳細について説明する。前処理は、S210で得られた各誘導の代表心電図データに対して適用される。
【0030】
S222で制御部110は、心電図データに対して非線形増幅処理を適用する。非線形増幅処理は、心電図データの振幅値(基線レベルとの差)が小さい部分に大きなゲインを、振幅値が大きい部分に小さなゲインを適用する。非線形増幅の特性には特に制限はないが、対数関数的な利得曲線を用いることができる。非線形増幅は心電図データのダイナミックレンジの非線形圧縮ということもできる。
【0031】
S224で制御部110は、非線形増幅した心電図データを正規化する。例えば全誘導の最大値を用いて各誘導の心電図データを正規化してもよいし、誘導ごとに、その誘導の最大値で正規化してもよい。正規化により各誘導の心電図データは-1から1までの値を有するようになる。
【0032】
S226で制御部110は、各誘導の正規化後の心電図データにダウンサンプリングを適用して時間軸方向のデータ(サンプル)数を削減する。ダウンサンプリングは必須ではないが、学習や解析の負荷を軽減する効果がある。
【0033】
ダウンサンプリングを実施する場合には、サンプリングレートを一定とするよりも、波形の変化が大きい区間は変化の小さい区間よりも高いサンプリングレートとして、サンプル数の減少を抑制することが好ましい。例えば制御部110は、1心拍の期間をQRS区間(例えばR波のピークを基準として前後所定サンプル数(時間)の第1の区間と、P区間(例えばQRS区間の前の所定サンプル数(時間)の第2の区間と、他の第3の区間とに分割する。そして、間引かれるサンプルの割合が多い方から第3の区間>第2の区間>第1の区間となるように、ダウンサンプリングのサンプリングレートを異ならせることができる。また、区間内において、等間隔にサンプルを間引かずに、例えば値の差が大きい隣接サンプルについては間引かないよう、間引くサンプルを調整してもよい。なお、ここでは単純にサンプルを間引く構成としたが、補間を伴うサブサンプリングを実施してもよい。
【0034】
S228で制御部110は、必要に応じて、心電図データのうち重要でない区間のデータをトリミング(削除)する。例えば制御部110は、1心拍期間のうち、T波終了後からP波開始前の区間においてデータを削除することができる。なお、トリミングは必須ではないが、トリミングを行うことによりデータ量が削減できるため、学習時や自動解析時の演算負荷が低減できるという効果がある。なお、トリミングはダウンサンプリングの前に実行してもよい。
【0035】
前処理におけるサブサンプリングレートやトリミングするサンプル数は、心電図解析用データにおける波形画像領域の大きさと、波形画像領域に波形画像を含める誘導数によって定まる1誘導あたりの波形画像の大きさによって定めることができる。こうすることにより、波形画像を効率的に生成することができる。
【0036】
このような前処理が行われた後、S230で実施される画像データ生成処理の詳細について、図4のフローチャートを用いて説明する。
S232で制御部110は、誘導ごとに、前処理された代表心電図データから画像データ(誘導画像データ)を生成する。本実施形態では、予め定められた共通の大きさ(水平および垂直方向の画素数)を有する矩形状の誘導画像データを、各誘導の心電図データから生成する。
【0037】
心電図データを構成する各サンプルの値(すなわち、誘導の波形に関する情報)をどのように表現した誘導画像データとするかに特に制限はなく、様々な方法が考えられる。ここでは、矩形領域の水平方向を時間軸、垂直方向を振幅軸として、各サンプル値に応じて定まる座標の画素値を、背景の画素値と異ならせることにより、直交座標空間に波形がプロットされた誘導画像データを生成するものとする。
【0038】
説明を簡単にするため、誘導画像の水平方向のサイズが、心電図データのサンプル数に等しい画素数であるものとする。前処理において心電図データが正規化されている場合、誘導画像の垂直方向のサイズを+1から-1の値の範囲に割り当てて、各サンプル値に対応する垂直方向の座標を決定する。水平方向の座標はサンプルごとに1ずつ加算すればよい。このようにして決定された各サンプル値の座標に該当する画素の値を1、他の座標に該当する画素の値を0とすることで、黒の背景にサンプル値が白でプロットされた、誘導画像データが生成される。なお、誘導画像データは多値画像であってもよい。
【0039】
なお、生成する画像の水平方向の大きさ(画素数)よりも心電図データのサンプル数が少ない場合には、画像の水平方向をサンプル数に合わせて小さくしてもよいし、サンプルがプロットされない領域は背景のままとしてもよい。前処理を行う場合には、サブサンプリングのサンプリングレートやトリミングするサンプル数を調整して、心電図データのサンプル数を、生成する画像の水平方向の大きさ(画素数)に合わせることが好ましい。
【0040】
以上のようにして、各誘導の心電図データから同じ画像サイズの誘導画像データを生成したら、S234で制御部110は、誘導画像を2次元配置した合成波形画像のデータを生成する。合成波形画像のサイズは、リズム画像と合わせた自動解析用データが正方形状の画像となるように決定されている。これは、一般的に利用可能なニューラルネットワークのプログラムライブラリは正方形状の画像を取り扱うことを前提としているものが多いためである。
【0041】
次に、S236で制御部110は、リズム画像データを生成する。制御部110は、記録部130から所定の1つの誘導の心電図データを、所定時間分取得し、リズム情報を抽出する。ここで取得する心電図データは、S210で誘導画像の生成のために取得した心電図データのうち、いずれか1つの誘導に関する心電図データである。どの誘導に関する心電図データを取得してもよいが、複数の誘導のうち、ドミナント心拍を有する誘導を選択してもよいし、予めどの誘導を用いるかが設定されていてもよい。
【0042】
例えばS210で各誘導について同時に計測された10秒分の心電図データを取得し、代表心電図データを生成したとする。この場合、S236において制御部110は、1つの誘導についてS210で取得したものと同じ10秒分の心電図データを取得し、リズム情報を抽出する。
【0043】
リズム情報は1心拍内の特定区間の長さや、特徴点の隣接心拍間における間隔といった、心電図のタイミングに関する情報である。本実施形態では特に不整脈の検出に有用なリズム情報を抽出する。このようなリズム情報としては、例えばR-R間隔、P-R間隔、QRS区間の長さ、QT区間の長さなどがあるが、これらに限定されない。R-R間隔は隣接心拍におけるR波ピークの間隔である。P-R間隔は、1心拍内におけるP波とR波のピーク間隔である。QRS区間の長さは1心拍内におけるQ波からS波までの長さである。QT区間の長さは1心拍内におけるQ波からT波ピークまでの長さである。心電図データを1拍分ずつ分割する方法や、特徴点を検出したりする方法は、公知の方法を利用できるため、詳細については説明を省略する。
【0044】
制御部110は、抽出したリズム情報を表すリズム画像のデータを生成する。リズム画像のサイズは、波形画像と合成した際に所定のサイズの画像となるように定められている。リズム画像の具体例については後述する。リズム画像データを生成すると、制御部110は処理をS238に進める。
【0045】
S238で制御部110は、S234で生成した波形画像データとS236で生成したリズム画像データを合成して、合成画像データを生成する。合成画像内の波形画像とリズム画像の位置や配分は自由に調整可能である。上述したように、S238で生成する合成画像のデータは、そのまま心電図解析用データとして用いてもよいし、後処理を適用したものを心電図解析用データとして用いてもよい。
【0046】
図5は、前処理の具体例を示している。図5(a)は取得した1心拍分の心電図データを示しており、サンプル数は500である。この心電図データに対して、非線形増幅を適用し、全誘導の最大値で正規化した結果を図5(b)に示す。この状態ではサンプル数は変化していない。
【0047】
ダウンサンプリングに際して、P波区間、QRS区間、T波区間、および他の区間に分割し、それぞれサンプリングレートをDSR2、DSR3、DSR4、DSR1に設定する。ここで、ダウンサンプリングによって間引かれるサンプルの割合は、DSR1>DSR4>=DSR2>DSR3という関係を有する。ここでは、ダウンサンプリングレートDSR1の区間についてはトリミングによって削除するものとし、DSR3を1/2、DSR2を1/6、DSR4を1/6とした。ここでダウンサンプリングレート1/nは、ダウンサンプリングによってサンプル数がもとの1/nに減少することを示す。図5(c)は、サブサンプリングおよびトリミング後の心電図データを示している。サンプル数が500から84に削減されているが、誘導に関する波形の特徴は保持されている。
【0048】
図6(a)は、生体信号処理装置100が生成する心電図解析用データが表す2次元画像の例を示す図である。2次元画像400は、波形画像領域401と、リズム画像領域402とを有する。図6(a)に示す例では2次元画像400が正方形状であるが、矩形状であってもよい。ただし、正方形状の方が2次元ニューラルネットワークへの適用性が高い。
【0049】
まず、波形画像領域401について、図7をさらに用いて説明する。図7は、標準12誘導の代表心電図データに図5に示した前処理を適用したのち、誘導ごとに生成した波形画像を合成した波形画像領域の例を示している。ここでは、図6(a)に示した2次元画像400の、後処理適用前の大きさを360×360画素、波形画像領域401の大きさを縦252×横360画素、リズム画像領域402の大きさを縦108×横360画素とした。波形画像領域401における各誘導の波形画像の大きさは、縦252×横360画素を横に3分割、縦に4分割した縦63×横120画素である。
【0050】
図6(b)は、図6(a)のリズム画像領域402の拡大図である。ここでは図の見やすさのために、リズム画像をグレーで示している。図6に示すリズム画像は、10秒間の心電図データから、リズム情報として、R-R間隔、P-R間隔、QRS区間の長さ、QT区間の長さの4つを画像化した例を示している。
【0051】
ここでは、3種類の矩形若しくは線上の画像パターン403~405を用いて、4つのリズム情報を画像化している。画像パターン403~405に共通するのは、リズム画像の一辺(ここでは水平方向に延びる辺)を時間軸として、その一辺に沿う方向での位置が定まることである。
【0052】
垂直方向に長い矩形状の画像パターン403は、時間軸方向の長さでQRS区間の長さを表し、時間軸方向の位置でR波のタイミングを表している。画像パターン403が時間軸方向に10個並んでいるのは、リズム情報を抽出した10秒間の心電図データに10心拍分のQRS区間が含まれていたためである。したがって、隣接する画像パターン403の間隔はR-R間隔に相当する。なお、画像パターン403は、時間軸方向の中心間距離がR-R間隔を表すように配置されてもよいし、時間軸方向の一端(図6(b)の例であれば左端)間の距離がR-R間隔を表すように配置されてもよい。なお、画像パターン403の垂直方向のサイズに特に意味は無いが、不整脈の検出においてR-R間隔やQRS区間の長さはP-R間隔やQT区間の長さよりも重要であると考えられるため、画像パターン404、405よりも垂直方向のサイズを大きくしている。
【0053】
時間軸方向に長い矩形状の画像パターン404は、時間軸方向の長さでQT区間の長さを表している。画像パターン404は、同じ心拍に関する画像パターン403と時間軸方向における開始位置が揃えられている。これは、画像パターン403と画像パターン404の開始位置は、同一のQ波の開始タイミングに相当するためである。画像パターン404の垂直方向のサイズは固定であり、特に意味を表していない。
【0054】
垂直方向に長く、時間軸方向の長さが固定の線状もしくは矩形状の画像パターン405は、時間軸方向の位置によってP波のタイミングを表している。画像パターン405は、同じ心拍に関する画像パターン403との時間軸方向における間隔でP-R間隔を表すように、時間軸方向における位置が決定されている。画像パターン405の垂直方向のサイズは固定であり、特に意味を表していない。
【0055】
ここでは、P波のタイミングを表す画像パターン405と、QT区間の長さを表す画像パターン404とが時間軸方向に隣接して配置されるため、両者が種類の画像パターンと誤認されないように、一方の画像パターンを垂直方向に長い形状とし、他方の画像パターンを水平方向に長い形状としている。しかし、他の方法を用いて画像パターンの誤認を抑制してもよい。例えば、図6(c)に示すように、画像パターン404と405とを、画像パターン403と404とのように、垂直方向に離間させて配置してもよい。
【0056】
なお、リズム情報を画像化する方法は図6を用いて説明した方法に限定されない。複数心拍分のリズム情報(数値)が、通知に応じて異なる画像として表現できれば、他の方法でリズム画像を生成することができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の誘導に関する波形画像に加え、所定時間分の心電図に関するリズム情報を画像化したリズム画像をまとめた1つの2次元画像を心電図解析用データとして生成する。本実施形態によって生成した心電図解析用データを用いることにより、誘導波形とリズム情報とに基づいた不整脈の検出を深層学習を利用した自動解析によって効率よく実施することが可能になる。
【0058】
以下、本実施形態による心電図解析用データを、2次元の畳み込みニューラルネットワーク(2D CNN)に適用した例について説明する。ここで、評価に用いた2D CNNに関するパラメータは以下の通りである。
層数:10~16層
カーネルサイズ:3×3
活性化関数:ReLU
バッチサイズ:64
Epoch数:20~60
Dropout割合:0.5
【0059】
図8は、12誘導心電図データとして、洞調律(Sinus)と不整脈(Arrhythmia)の心電図データをそれぞれ767件用意し、上述した実施形態の手法によって自動解析用データを生成した。そして、それぞれ537件分の自動解析用データを用いて学習を行った後、それぞれ230件分の心電図解析用データについて検証を行った結果を示している。
【0060】
心電図解析用データは、360×360画素の2次元画像のデータを作成した後、後処理により120×120画素に縮小したものと、90×90画素に縮小したものを用いた。図8において、学習モデルの評価は、適合率(Precision)、再現率(Recall)、およびF1スコアで行った。F1スコアは、2×適合率×再現率/(適合率+再現率)である。
【0061】
図8に示した評価結果は学習モデルの最適化が十分行われていない段階(loss=0.1~0.2)であるにもかかわらず、不整脈の心電図データを精度良く検出可能であることを示している。また、心電図解析用データのサイズを小さくしても性能の低下は見られず、演算能力やメモリ容量などが高くない実行環境でも十分実用に耐えうる速度で判別が可能である。一般的なパーソナルコンピュータでの実施において、90×90画素の心電図解析用データを用いた場合、モデルサイズは4.5MB、230件分の心電図解析用データの判別に要する時間は0.13秒程度であった。したがって、1所見あたりの心電図解析用データの判別時間は約0.57ミリ秒であり、心電図解析用データの生成に要する時間を考慮しても、リアルタイムもしくはそれに近い処理が実現可能である。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、深層学習を利用した心電図解析用データとして、複数種の誘導に関する波形画像と、所定の誘導に関するリズム情報に基づくリズム画像とを含んだ2次元画像のデータを生成するようにした。これにより、波形情報からは判別できない不整脈の検出を、深層学習モデルを利用した自動解析によって精度よく、また高速に実施することが可能になる。
【0063】
発明は上述した実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。例えば、上述した実施形態では12誘導心電図データを用いる場合について説明したが、本発明は任意の複数種の誘導に関する心電図データに対して適用可能である。例えば、II誘導、V5誘導、V2誘導の3種類の誘導に関する心電図データから波形画像を生成してもよい。また、ホルターやモニター心電図のような単誘導または少ない誘導の波形画像と、長い記録時間を分割した複数のリズム画像を並べた合成画像を生成することも可能である。
【0064】
なお、本発明に係る生体信号処理装置は、一般的に入手可能な、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末のようなプログラムを実行可能な電子機器で、図2図4に示したフローチャートの動作を実行させるプログラム(アプリケーションソフトウェア)を実行することによっても実現できる。従って、このようなプログラムおよび、プログラムを格納した記憶媒体(CD-ROM、DVD-ROM等の光学記録媒体や、磁気ディスクのような磁気記録媒体、半導体メモリカードなど)もまた本発明を構成する。
【符号の説明】
【0065】
100…生体信号処理装置、110…制御部、140…信号処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-07-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
深層学習を利用した心電図解析に用いる心電図解析用データを生成する生体信号処理装置であって、
1種類以上の誘導に関する心電図データを取得する取得手段と、
前記心電図データに基づいて前記1種類以上の誘導のうち所定の誘導に関するリズム情報を抽出する抽出手段と、
を有することを特徴とする生体信号処理装置。
【請求項2】
前記リズム情報に基づいて前記リズム情報の少なくとも一部を表すリズム画像データを生成する生成手段を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の生体信号処理装置。
【請求項3】
前記リズム画像データは、前記リズム情報を表す矩形状または線状の少なくとも一方の画像パターンを含む
ことを特徴とする請求項2に記載の生体信号処理装置。
【請求項4】
前記リズム情報は、前記心電図データの1心拍内における特定区間の長さ、前記心電図データにおける特徴点の隣接心拍間における間隔、R-R間隔、P-R間隔、QRS区間の長さ、または、QT区間の長さの少なくとも一つを含む
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の生体信号処理装置。
【請求項5】
前記リズム情報に基づく異常を検出する検出手段を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の生体信号処理装置。
【請求項6】
前記検出手段は、前記1種類以上の誘導に関する波形の情報に基づく異常を検出する
ことを特徴とする請求項5に記載の生体信号処理装置。
【請求項7】
前記抽出手段は、前記心電図データに対して、非線形圧縮、正規化、または、ダウンサンプリングの少なくとも一つの処理を実行し、前記リズム情報または前記1種類以上の誘導に関する波形の情報の少なくとも一方を抽出する
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の生体信号処理装置。
【請求項8】
深層学習を利用した心電図解析に用いる心電図解析用データの生成方法であって、
1種類以上の誘導に関する心電図データを取得する取得工程と、
前記心電図データに基づいて前記1種類以上の誘導のうち所定の誘導に関するリズム情報を抽出する抽出工程と、
を有することを特徴とする心電図解析用データの生成方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1からのいずれか一項に記載の生体信号処理装置が有する各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
深層学習を利用した心電図解析に用いる心電図解析用データを用いた、ニューラルネットワークの学習方法であって、
前記心電図解析用データが、1種類以上の誘導のうち所定の誘導に関するリズム情報の少なくとも一部を表すリズム画像データを含む
ことを特徴とするニューラルネットワークの学習方法。
【請求項11】
前記リズム画像データが、前記1種類以上の誘導に関する波形の情報を表す波形画像データに合わせて調整されたものである
ことを特徴とする請求項10に記載のニューラルネットワークの学習方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載のニューラルネットワークの学習方法を用いて学習したニューラルネットワークを用いて心電図の自動解析を行う心電図解析装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上述の目的は、深層学習を利用した心電図解析に用いる心電図解析用データを生成する生体信号処理装置であって、1種類以上の誘導に関する心電図データを取得する取得手段と、心電図データに基づいて1種類以上の誘導のうち所定の誘導に関するリズム情報を抽出する抽出手段と、を有することを特徴とする生体信号処理装置によって達成される。