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特開2024-14771ペロブスカイト膜形成方法およびペロブスカイト膜形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014771
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ペロブスカイト膜形成方法およびペロブスカイト膜形成装置
(51)【国際特許分類】
   B05D 3/00 20060101AFI20240125BHJP
   B05C 5/02 20060101ALI20240125BHJP
   B05C 9/12 20060101ALI20240125BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240125BHJP
   H10K 30/50 20230101ALI20240125BHJP
   H10K 30/40 20230101ALI20240125BHJP
【FI】
B05D3/00 D
B05C5/02
B05C9/12
B05C11/00
H10K30/50
H10K30/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111187
(22)【出願日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】P 2022116031
(32)【優先日】2022-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三好 貴之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊文
(72)【発明者】
【氏名】筏 敏晃
【テーマコード(参考)】
4D075
4F041
4F042
5F251
【Fターム(参考)】
4D075AC02
4D075AC88
4D075BB24Z
4D075BB56Z
4D075BB57Z
4D075BB91Z
4D075CA21
4D075CA47
4D075CA48
4D075CB01
4D075DA06
4D075DC24
4D075EA07
4F041AA02
4F041AA05
4F041AB01
4F041CA03
4F041CA16
4F042AA02
4F042AA06
4F042AB00
4F042DC00
4F042DH09
5F251AA11
5F251CB13
5F251CB30
5F251KA09
5F251XA01
5F251XA61
(57)【要約】
【課題】安定した発電効率を有するペロブスカイト型太陽電池を得ることができるペロブスカイト膜形成方法およびペロブスカイト膜形成装置を提供する。
【解決手段】基板にペロブスカイト膜を形成させる膜形成工程と、基板上のペロブスカイト膜の結晶状態を測定により確認する結晶状態確認工程と、結晶状態確認工程における測定結果をもとに、次回以降の基板に対する膜形成工程における実施条件を調節する条件調節工程と、を有し、結晶状態確認工程では、測定位置を基板上のペロブスカイト膜の全体にわたって複数点設け、各測定位置で数値データを取得することによってペロブスカイト膜全体における結晶状態の数値データ分布を取得する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板にペロブスカイト膜を形成させる膜形成工程と、
基板上の前記ペロブスカイト膜の結晶状態を測定により確認する結晶状態確認工程と、
前記結晶状態確認工程における測定結果をもとに、次回以降の基板に対する前記膜形成工程における実施条件を調節する条件調節工程と、
を有し、
前記結晶状態確認工程では、測定位置を基板上の前記ペロブスカイト膜の全体にわたって複数点設け、各測定位置で数値データを取得することによって前記ペロブスカイト膜全体における結晶状態の数値データ分布を取得することを特徴とする、ペロブスカイト膜形成方法。
【請求項2】
前記条件調節工程では、次回以降の結晶状態確認工程において取得される前記数値データ分布が前記ペロブスカイト膜全体にわたって所定の数値範囲内となることを目標として、前記膜形成工程の実施条件を調節することを特徴とする、請求項1に記載のペロブスカイト膜形成方法。
【請求項3】
過去の前記結晶状態確認工程における前記数値データ分布が前記膜形成工程の実施条件の情報とともに蓄積されてデータ群が形成されており、
前記条件調節工程では、前記データ群の情報も利用することにより、次回以降の基板に対する前記膜形成工程における実施条件を調節することを特徴とする、請求項1に記載のペロブスカイト膜形成方法。
【請求項4】
前記結晶状態確認工程では、前記ペロブスカイト膜に照射した光の吸収スペクトルを取得し、当該吸収スペクトルの長波長側の端部の波長を前記数値データとして取得することを特徴とする、請求項1に記載のペロブスカイト膜形成方法。
【請求項5】
前記結晶状態確認工程では、前記ペロブスカイト膜に照射した光の吸収スペクトルを取得し、当該吸収スペクトルの短波長域での吸光度を前記数値データとして取得することを特徴とする、請求項1に記載のペロブスカイト膜形成方法。
【請求項6】
前記結晶状態確認工程では、前記ペロブスカイト膜の表面粗さを前記数値データとして取得することを特徴とする、請求項1に記載のペロブスカイト膜形成方法。
【請求項7】
前記結晶状態確認工程では、フォトルミネッセンス法を実施することによって前記ペロブスカイト膜から発した光のピーク波長を前記数値データとして取得することを特徴とする、請求項1に記載のペロブスカイト膜形成方法。
【請求項8】
前記膜形成工程は、塗布により基板上にペロブスカイトを含む塗布膜を形成する塗布工程と、基板上に形成された前記塗布膜を乾燥させて前記ペロブスカイト膜を形成させる乾燥工程と、を有し、
前記条件調節工程では、前記塗布工程における前記塗布膜の形成条件と前記乾燥工程における前記塗布膜の乾燥条件の少なくとも一方の調節を行うことを特徴とする、請求項1に記載のペロブスカイト膜形成方法。
【請求項9】
前記結晶状態確認工程および前記条件調節工程は、前記膜形成工程を実施する毎に実施することを特徴とする、請求項1に記載のペロブスカイト膜形成方法。
【請求項10】
塗布により基板上にペロブスカイトを含む塗布膜を形成する塗布工程と、基板上に形成された前記塗布膜を乾燥させてペロブスカイト膜を形成させる乾燥工程と、を含む膜形成工程と、
基板上の前記塗布膜の結晶状態を測定により確認する結晶状態確認工程と、
前記結晶状態確認工程における測定結果をもとに、前記膜形成工程における実施条件を調節する条件調節工程と、
を有し、
前記結晶状態確認工程では、測定位置を基板上の前記塗布膜の全体にわたって複数点設け、各測定位置で数値データを取得することによって前記塗布膜全体における結晶状態の数値データ分布を取得するペロブスカイト膜形成方法であって、
前記乾燥工程は、ペロブスカイトの結晶核を増やす第一の乾燥工程と、前記第一の乾燥工程後、前記結晶核を中心にペロブスカイトの結晶を成長させる第二の乾燥工程と、を有し、前記結晶状態確認工程が前記第一の乾燥工程中もしくは前記第一の乾燥工程後前記第二の乾燥工程前に行われることを特徴とする、ペロブスカイト膜形成方法。
【請求項11】
前記第一の乾燥工程は、前記塗布膜を減圧環境下で保持する減圧乾燥工程であることを特徴とする、請求項10に記載のペロブスカイト膜形成方法。
【請求項12】
前記結晶状態確認工程は、前記第一の乾燥工程開始後所定の時間経過後に実施されることを特徴とする、請求項10に記載のペロブスカイト膜形成方法。
【請求項13】
前記結晶状態確認工程では、複数点の前記測定位置における測定を略同時に実施することを特徴とする、請求項10に記載のペロブスカイト膜形成方法。
【請求項14】
基板にペロブスカイト膜を形成させる膜形成部と、
基板上の前記ペロブスカイト膜の結晶状態を測定により確認する結晶状態確認部と、
を有し、
前記結晶状態確認部では、測定位置を基板上の前記ペロブスカイト膜の全体にわたって複数点設け、各測定位置で数値データを取得することによって前記ペロブスカイト膜全体における結晶状態の数値データ分布を取得することを特徴とする、ペロブスカイト膜形成装置。
【請求項15】
塗布により基板上にペロブスカイトを含む塗布膜を形成する塗布部と、基板上に形成された前記塗布膜を乾燥させてペロブスカイト膜を形成させる乾燥部と、を含む膜形成部と、
基板上の前記塗布膜の結晶状態を測定により確認する結晶状態確認部と、
を有し、
前記結晶状態確認部では、測定位置を基板上の前記塗布膜の全体にわたって複数点設け、各測定位置で数値データを取得することによって前記塗布膜全体における結晶状態の数値データ分布を取得するペロブスカイト膜形成装置であって、
前記乾燥部は、ペロブスカイトの結晶核を増やす第一の乾燥部と、前記第一の乾燥部による第一乾燥工程後、前記結晶核を中心にペロブスカイトの結晶を成長させる第二の乾燥部と、を有し、前記結晶状態確認部が前記第一の乾燥部による乾燥工程中もしくは前記第一乾燥工程後であって前記第二の乾燥部による第二の乾燥工程前に前記塗布膜の結晶状態の確認を行うことを特徴とする、ペロブスカイト膜形成装置。
【請求項16】
前記第一の乾燥部は、前記塗布膜を減圧環境下で保持する減圧乾燥部であることを特徴とする、請求項15に記載のペロブスカイト膜形成装置。
【請求項17】
前記結晶状態確認部は複数の測定手段を有し、それぞれの当該測定手段がそれぞれの前記測定位置における測定を実施することを特徴とする、請求項15に記載のペロブスカイト膜形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペロブスカイト型太陽電池の製造にかかるペロブスカイト膜形成方法およびペロブスカイト膜形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
持続可能な社会の実現に向けて太陽電池の普及が進む中、従来のシリコン系太陽電池に置き換わる技術としてペロブスカイト型太陽電池が注目されている。
【0003】
ペロブスカイト型太陽電池とは、たとえば特許文献1に開示されている通り、太陽の光エネルギーを電気に変換する結晶構造を有するペロブスカイトを用いたペロブスカイト半導体を使用した太陽電池であり、厚みが薄くても従来のシリコン系太陽電池と同等の変換効率を実現可能であるためフレキシブルな形態にも対応可能であるのに加え、レアメタルを必要としない点、塗布によって製造可能であって比較的低温のプロセスで安価に形成可能である点、などの利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-190928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、ペロブスカイトは結晶成長時の安定性に乏しく、塗布、乾燥などのペロブスカイト膜の形成条件のわずかな違いによって結晶状態が大きく変化してしまうおそれがあった。このペロブスカイト膜の結晶状態はペロブスカイト型太陽電池の発電性能に直結するため、ペロブスカイト膜全体にわたって所望の結晶状態が得られなければペロブスカイト型太陽電池が所望の発電性能を有することができないという問題があった。
【0006】
本願発明は、上記問題点を鑑み、安定した発電効率を有するペロブスカイト型太陽電池を得ることができるペロブスカイト膜形成方法およびペロブスカイト膜形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明のペロブスカイト膜形成方法は、基板にペロブスカイト膜を形成させる膜形成工程と、基板上の前記ペロブスカイト膜の結晶状態を測定により確認する結晶状態確認工程と、前記結晶状態確認工程における測定結果をもとに、次回以降の基板に対する前記膜形成工程における実施条件を調節する条件調節工程と、を有し、前記結晶状態確認工程では、測定位置を基板上の前記ペロブスカイト膜の全体にわたって複数点設け、各測定位置で数値データを取得することによって前記ペロブスカイト膜全体における結晶状態の数値データ分布を取得することを特徴としている。
【0008】
本発明のペロブスカイト膜形成方法では、結晶状態確認工程において結晶状態の数値データ分布を取得することによってペロブスカイト膜全体の結晶状態を把握することができ、次回以降の基板で全体的に結晶状態が改善されるように条件調節工程で膜形成工程の条件を即座に見直すことができる。
【0009】
また、前記条件調節工程では、次回以降の結晶状態確認工程において取得される前記数値データ分布が前記ペロブスカイト膜全体にわたって所定の数値範囲内となることを目標として、前記膜形成工程の実施条件を調節すると良い。
【0010】
こうすることにより、安定した発電効率のペロブスカイト型太陽電池を容易に得ることができる。
【0011】
また、過去の前記結晶状態確認工程における前記数値データ分布が前記膜形成工程の実施条件の情報とともに蓄積されてデータ群が形成されており、前記条件調節工程では、前記データ群の情報も利用することにより、次回以降の基板に対する前記膜形成工程における実施条件を調節すると良い。
【0012】
こうすることにより、効率的に条件調節工程を実施することができる。
【0013】
また、前記結晶状態確認工程では、前記ペロブスカイト膜に照射した光の吸収スペクトルを取得し、当該吸収スペクトルの長波長側の端部の波長を前記数値データとして取得すると良い。
【0014】
こうすることにより、ペロブスカイト型太陽電池の発電効率に直結したパラメータを各測定位置で取得し、それをもとに条件調節工程を行うことができる。
【0015】
また、前記結晶状態確認工程では、前記ペロブスカイト膜に照射した光の吸収スペクトルを取得し、当該吸収スペクトルの短波長域での吸光度を前記数値データとして取得すると良い。
【0016】
こうすることにより、結晶の疎密を評価することができる。
【0017】
また、結晶状態確認工程では、前記ペロブスカイト膜の表面粗さを前記数値データとして取得すると良い。
【0018】
こうすることにより、各測定位置でのペロブスカイト膜の結晶の大きさを推定することから結晶状態を把握でき、それをもとに条件調節工程を行うことができる。
【0019】
また、前記結晶状態確認工程では、フォトルミネッセンス法を実施することによって前記ペロブスカイト膜から発した光のピーク波長を前記数値データとして取得すると良い。
【0020】
こうすることにより、各測定位置でのペロブスカイト膜の発電効率を容易に把握し、それをもとに条件調節工程を行うことができる。
【0021】
また、前記膜形成工程は、塗布により基板上にペロブスカイトを含む塗布膜を形成する塗布工程と、基板上に形成された前記塗布膜を乾燥させて前記ペロブスカイト膜を形成させる乾燥工程と、を有し、前記条件調節工程では、前記塗布工程における前記塗布膜の形成条件と前記乾燥工程における前記塗布膜の乾燥条件の少なくとも一方の調節を行うと良い。
【0022】
また、前記結晶状態確認工程および前記条件調節工程は、前記膜形成工程を実施する毎に実施すると良い。
【0023】
こうすることにより、結晶形成が不安定であるペロブスカイト膜の形成において先の基板でのペロブスカイト膜の結晶状態の情報を次回以降の基板へのペロブスカイト膜の形成にすかさずフィードバックでき、多くの基板において安定した発電効率を有するペロブスカイト型太陽電池を得ることができる。
【0024】
また、上記課題を解決するために本発明のペロブスカイト膜形成方法は、塗布により基板上にペロブスカイトを含む塗布膜を形成する塗布工程と、基板上に形成された前記塗布膜を乾燥させてペロブスカイト膜を形成させる乾燥工程と、を含む膜形成工程と、基板上の前記塗布膜の結晶状態を測定により確認する結晶状態確認工程と、前記結晶状態確認工程における測定結果をもとに、前記膜形成工程における実施条件を調節する条件調節工程と、を有し、前記結晶状態確認工程では、測定位置を基板上の前記塗布膜の全体にわたって複数点設け、各測定位置で数値データを取得することによって前記塗布膜全体における結晶状態の数値データ分布を取得するペロブスカイト膜形成方法であって、前記乾燥工程は、ペロブスカイトの結晶核を増やす第一の乾燥工程と、前記第一の乾燥工程後、前記結晶核を中心にペロブスカイトの結晶を成長させる第二の乾燥工程と、を有し、前記結晶状態確認工程が前記第一の乾燥工程中もしくは前記第一の乾燥工程後前記第二の乾燥工程前に行われることを特徴としている。
【0025】
本発明のペロブスカイト膜形成方法では、結晶状態確認工程において結晶状態の数値データ分布を取得することによって塗布膜全体の結晶状態を把握することができ、次回以降の基板で全体的に結晶状態が改善されるように条件調節工程で膜形成工程の条件を即座に見直すことができる。また、第二の乾燥工程によるペロブスカイト膜の形成の前に結晶状態確認工程が行われることによって、特に第一の乾燥工程がペロブスカイト膜の結晶状態に大きく影響する場合において第二の乾燥工程と切り分けて乾燥条件を検証することができる。
【0026】
また、前記第一の乾燥工程は、前記塗布膜を減圧環境下で保持する減圧乾燥工程であっても良い。
【0027】
減圧乾燥工程ではわずかな乾燥時間の違いがペロブスカイト膜の結晶密度に大きく影響するため、第二の乾燥工程前に結晶状態確認工程を実施することが特に有効である。
【0028】
また、前記結晶状態確認工程は、前記第一の乾燥工程開始後所定の時間経過後に実施されると良い。
【0029】
こうすることにより複数回のペロブスカイト膜の形成における結晶状態確認においてタイミングを均一にすることによって、ペロブスカイト膜の結晶状態に対する乾燥条件の影響を正確に検証することができる。
【0030】
また、前記結晶状態確認工程では、複数点の前記測定位置における測定を略同時に実施すると良い。
【0031】
こうすることにより、各測定位置における結晶状態確認のタイミングを均一にすることができ、ペロブスカイト膜の結晶状態に対する乾燥条件の影響を正確に検証することができる。
【0032】
また、上記課題を解決するために本発明のペロブスカイト膜形成装置は、基板にペロブスカイト膜を形成させる膜形成部と、基板上の前記ペロブスカイト膜の結晶状態を測定により確認する結晶状態確認部と、を有し、前記結晶状態確認部では、測定位置を基板上の前記ペロブスカイト膜の全体にわたって複数点設け、各測定位置で数値データを取得することによって前記ペロブスカイト膜全体における結晶状態の数値データ分布を取得することを特徴としている。
【0033】
本発明のペロブスカイト膜形成装置では、結晶状態確認部において結晶状態の数値データ分布を取得することによってペロブスカイト膜全体の結晶状態を把握することができ、次回以降の基板で全体的に結晶状態が改善されるように膜形成部の動作条件を即座に見直すことができる。
【0034】
また、上記課題を解決するために本発明のペロブスカイト膜形成装置は、塗布により基板上にペロブスカイトを含む塗布膜を形成する塗布部と、基板上に形成された前記塗布膜を乾燥させてペロブスカイト膜を形成させる乾燥部と、を含む膜形成部と、基板上の前記塗布膜の結晶状態を測定により確認する結晶状態確認部と、を有し、前記結晶状態確認部では、測定位置を基板上の前記塗布膜の全体にわたって複数点設け、各測定位置で数値データを取得することによって前記塗布膜全体における結晶状態の数値データ分布を取得するペロブスカイト膜形成装置であって、前記乾燥部は、ペロブスカイトの結晶核を増やす第一の乾燥部と、前記第一の乾燥部による第一乾燥工程後、前記結晶核を中心にペロブスカイトの結晶を成長させる第二の乾燥部と、を有し、前記結晶状態確認部が前記第一の乾燥部による乾燥工程中もしくは前記第一乾燥工程後であって前記第二の乾燥部による第二の乾燥工程前に前記塗布膜の結晶状態の確認を行うことを特徴としている。
【0035】
本発明のペロブスカイト膜形成装置では、結晶状態確認部において結晶状態の数値データ分布を取得することによって塗布膜全体の結晶状態を把握することができ、次回以降の基板で全体的に結晶状態が改善されるように膜形成部の動作条件を即座に見直すことができる。また、第二の乾燥によるペロブスカイト膜の形成の前に結晶状態の確認が行われることによって、特に第一の乾燥工程がペロブスカイト膜の結晶状態に大きく影響する場合において加熱乾燥工程と切り分けて乾燥条件を検証することができる。
【0036】
また、前記第一の乾燥部は、前記塗布膜を減圧環境下で保持する減圧乾燥部であっても良い。
【0037】
減圧乾燥工程ではわずかな乾燥時間の違いがペロブスカイト膜の結晶密度に大きく影響するため、第二の乾燥工程前に結晶状態確認を実施することが特に有効である。
【0038】
また、前記結晶状態確認部は複数の測定手段を有し、それぞれの当該測定手段がそれぞれの前記測定位置における測定を実施すると良い。
【0039】
こうすることにより、各測定位置における結晶状態確認のタイミングを均一にすることができ、ペロブスカイト膜の結晶状態に対する乾燥条件の影響を正確に検証することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明のペロブスカイト膜形成方法およびペロブスカイト膜形成装置により、安定した発電効率を有するペロブスカイト型太陽電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の一実施形態におけるペロブスカイト膜形成装置を説明する図である。
図2】本実施形態のペロブスカイト膜形成方法における結晶状態確認工程で得られる測定結果の例を説明する図である。
図3】本実施形態のペロブスカイト膜形成方法における結晶状態確認工程を説明する図である。
図4】記憶装置に蓄積されるデータ群の例を説明する図である。
図5】本発明の他の実施形態におけるペロブスカイト膜形成装置における結晶状態確認部を説明する図である。
図6】本発明の他の実施形態におけるペロブスカイト膜形成装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
(実施形態1)
本発明の一実施形態におけるペロブスカイト膜形成方法を実施するためのペロブスカイト膜形成装置について、図1を参照して説明する。
【0043】
ペロブスカイト膜形成装置1は、膜形成部2と結晶状態確認部3とを有し、膜形成部2においてペロブスカイト結晶構造を有するヨウ化鉛メチルアンモニウム(MAPbI3)などの組成物(ペロブスカイト)からなるペロブスカイト膜Pを基板W上に形成し、結晶状態確認部3において、基板W上に形成されたペロブスカイト膜Pの結晶状態を測定により確認する。この結晶状態確認部3により確認された結果は、膜形成部2による次回以降の基板Wへのペロブスカイト膜Pの形成条件設定に反映され、より良い結晶状態のペロブスカイト膜Pを形成させる。
【0044】
基板Wは、ペロブスカイト型太陽電池の一部であり、石英ガラスなど太陽光を透過する材料からなる支持体に透明導電層が形成された透明電極に正孔輸送層が積層されている。その上にペロブスカイト膜形成装置1によってペロブスカイト膜Pが形成される。その後、ペロブスカイト膜P上にさらに電子輸送層および裏面電極が形成されることにより、ペロブスカイト型太陽電池が得られる。
【0045】
膜形成部2は、本実施形態では塗布により基板W上にペロブスカイトを含む塗布膜Mを形成する塗布部10と、基板W上に形成された塗布膜Mを乾燥させる乾燥部20とを有しており、基板W上で塗布膜Mを乾燥させることによってペロブスカイト膜Pを形成させる。
【0046】
塗布部10は、スリットノズル11、ガントリ12、およびステージ13を有しており、スリットノズル11がステージ13に保持された基板Wに対して相対移動しながら、溶媒中にペロブスカイトの材料が溶解した溶液である塗布液を基板Wに向けて吐出することより、基板Wに塗布膜Mを形成する。
【0047】
ステージ13は、基板Wを載置するための水平面である基板保持面を有する。この基板保持面には図示しない減圧手段と連結された吸引孔が複数箇所にわたって設けられており、基板保持面に基板Wが載置された状態で減圧手段が動作することによって、ステージ13は基板Wを吸着保持する。なお、基板Wのうち正孔輸送層が積層されている方の面とは反対側の面が基板保持面に対向するように基板Wが載置され、そのため、正孔輸送層が積層されている方の面が上向きになるよう、基板Wは吸着保持される。
【0048】
スリットノズル11は、ステージ13の上方に位置して水平方向に延びる吐出口11aを有し、この吐出口11aから塗布液を吐出する。なお、この吐出口11aの長手方向(図1における紙面奥行き方向)を本説明ではY軸方向と呼び、水平方向のうちY軸方向と直交する方向をX軸方向、鉛直方向をZ軸方向と呼ぶ。
【0049】
スリットノズル11内には、塗布液を溜める空間であって吐出口11aと同様にY軸方向に長いマニホールド11bと、マニホールド11bと吐出口11aをつなぐスリット11cとが形成されている。マニホールド11bは、塗布液が貯留される図示しないタンクと配管を介してつながっており、図示しないポンプによってタンクからマニホールド11bに送液された塗布液は、マニホールド11b内でY軸方向に広がってからスリット11cを経て吐出口11aから吐出される。これにより、Y軸方向にわたって略均一の吐出量で塗布液が吐出される。
【0050】
スリットノズル11は、Y軸方向にステージ13をまたぐ門型のガントリ12に取り付けられている。このガントリ12は、X軸方向に延びる直動機構を有し、この直動機構が動作することによってスリットノズル11がX軸方向に移動する。そして、ステージ13に基板Wが保持された状態において、スリットノズル11が吐出口11aから塗布液を吐出しながら基板Wの上方をX軸方向に移動することにより、基板W上にはXY方向に広がる塗布膜Mが形成される。
【0051】
また、吐出口11aのY軸方向の長さは、ステージ13に保持されている基板WのY軸方向の長さとほぼ同等であり、そのため、スリットノズル11およびガントリ12が動作することにより、基板Wの吐出口11aと対向する面(正孔輸送層が積層されている方の面)のほぼ全体に塗布膜Mを形成する。
【0052】
また、スリットノズル11は図示しないZ軸方向の直動機構を介してガントリ12に取り付けられており、この直動機構の動作によって吐出口11aと基板Wの間隔(ギャップ)が調節される。また、ガントリ12によるスリットノズル11の移動速度も調節可能であり、このギャップ、スリットノズル11の移動速度、タンクからマニホールド11bへの塗布液の送液速度などを制御することによって、スリットノズル11から基板Wへの塗布液の塗布条件が調節される。
【0053】
乾燥部20は、本実施形態では、基板Wへの塗布直後に乾燥空気24を塗布膜Mに吹き付けるエアナイフ21と、減圧により塗布膜M中の溶剤を揮発させる減圧乾燥部22と、塗布膜Mを焼成させて最終的にペロブスカイト膜Pを得る加熱乾燥部23の3つの乾燥手段から構成されている。塗布部10によって塗布膜Mが形成された基板Wは、エアナイフ21、減圧乾燥部22、加熱乾燥部23の順に通されて塗布膜Mの乾燥がなされ、各乾燥手段において塗布膜M中の溶媒が揮発することによって、塗布膜M中でペロブスカイトの結晶化が進行する。
【0054】
エアナイフ21は、下向きに乾燥空気24を吹き付ける装置であり、スリットノズル11とともにガントリ12に取り付けられている。
【0055】
このエアナイフ21は、スリットノズル11の移動方向(X軸方向)においてスリットノズル11より上流側でスリットノズル11と近接するように配置されており、スリットノズル11、エアナイフ21、ガントリ12が同時に動作することにより、スリットノズル11から吐出された塗布液が基板Wに着液した直後に乾燥空気24によって初期の乾燥を行いながら基板W上への塗布膜Mの形成を進行させることができる。
【0056】
ここで、ペロブスカイトを含む塗布膜Mは、基板W上に形成された直後から溶媒の揮発にともなって結晶化が開始する。このとき溶媒の揮発にムラがあった場合にはペロブスカイト膜Pの結晶状態の不均一に直結するため、本実施形態の通りエアナイフ21によって塗布直後に塗布膜Mの乾燥の挙動を制御することが有用である。また、エアナイフ21から吹き付ける気体は本実施形態では乾燥空気24であるが、これに限らず、窒素、アルゴンなど空気以外のガスでも構わない。
【0057】
また、エアナイフ21は、スリットノズル11が取り付けられているZ軸方向の直動機構とは別のZ軸方向の直動機構を介してガントリ12に取り付けられており、スリットノズル11とエアナイフ21を別個にZ軸方向に移動させることができる。そのため、基板Wとスリットノズル11のギャップとは別個に基板Wとエアナイフ21のギャップを調節することができ、基板Wとエアナイフ21のギャップ、エアナイフ21から吹き出される乾燥空気24の風量、温度などを制御することによって、エアナイフ21による塗布膜Mの乾燥条件が調節される。
【0058】
減圧乾燥部22は、基板W上の塗布膜Mを減圧乾燥させる装置であって、内部に減圧空間25aが形成される減圧チャンバ25と、配管27を介して減圧チャンバ25の外部から減圧空間25aと接続されている真空ポンプなどの減圧手段26を有している。
【0059】
減圧チャンバ25は図示しないシャッタを有し、このシャッタが開状態である時に減圧チャンバ25の外部から減圧空間25aへ基板Wが搬送され、シャッタが閉状態となることにより減圧空間25aが外気から遮断される。
【0060】
減圧チャンバ25のシャッタが閉状態である時に減圧手段26が動作することによって、減圧空間25aが減圧される。そして、基板Wが減圧空間内に載置されている時に減圧空間25aが減圧されることによって、基板W上の塗布膜M内の溶媒の沸点が下がり、溶媒が揮発する。すなわち、減圧チャンバ25内で塗布膜Mが減圧乾燥される。
【0061】
この減圧乾燥部22では、減圧乾燥時の減圧空間25aの温度、減圧手段26による減圧速度などを制御することによって、塗布膜Mの乾燥条件が調節される。本説明では、減圧乾燥部22を第一の乾燥部とも呼び、この減圧乾燥部22による塗布膜Mの乾燥工程を第一の乾燥工程と呼ぶ。この第一の乾燥工程では所定温度(たとえば130℃)未満の条件下で塗布膜Mの溶媒を揮発させることによって塗布膜M中にペロブスカイトの結晶核が形成される(増える)現象が主に生じ、乾燥時間が長くなるほど塗布膜M内に結晶核が多く形成される。そのため、本説明では第一の乾燥工程を結晶核形成工程とも呼ぶ。
【0062】
加熱乾燥部23は、減圧乾燥部22によって減圧乾燥された塗布膜Mを焼成させてペロブスカイト膜Pを得る装置であり、基板Wを載置するステージ28とステージ28を加熱するヒータ29とを有している。このヒータ29により塗布膜Mを焼成可能な温度以上まで加熱することによって、塗布膜M内の溶媒がさらに揮発して塗布膜Mの乾燥が進行するとともに最終的に塗布膜Mが焼成され、ペロブスカイト膜Pが形成される。
【0063】
この加熱乾燥部23では、加熱乾燥部23内の設定温度、基板Wの加熱時間などを調節することにより、塗布膜Mの乾燥条件が調節される。本説明では、加熱乾燥部23を第二の乾燥部とも呼び、この加熱乾燥部23による塗布膜Mの乾燥工程を第二の乾燥工程と呼ぶ。この第二の乾燥工程において塗布膜M内のペロブスカイトの結晶を所定温度(たとえば130℃)以上にすると、上記結晶核を中心にペロブスカイトの結晶が成長し、大きくなる現象が主に生じる。そのため、本説明では第二の乾燥工程を結晶成長工程とも呼ぶ。これら結晶核形成工程および結晶成長工程の条件を調節することにより、ペロブスカイト膜Pを形成するペロブスカイトの結晶の大きさ、密度を調節することができる。
【0064】
以上の膜形成部2(塗布部10および乾燥部20)の動作により、基板W上にペロブスカイト膜Pが形成される。このように基板W上にペロブスカイト膜Pを形成する工程を、本説明では膜形成工程と呼ぶ。また、本実施形態のように膜形成工程の中で塗布により基板W上にペロブスカイトを含む塗布膜Mを形成する工程を塗布工程と呼び、また、基板W上に形成された塗布膜Mを乾燥させてペロブスカイト膜Pを形成させる工程を乾燥工程と呼ぶ。
【0065】
結晶状態確認部3は、本実施形態では光源31、スペクトル検出器32、ステージ33を有し、ステージ33に保持された基板W上のペロブスカイト膜Pに光源31から光34を照射し、ペロブスカイト膜Pによって反射された光34をスペクトル検出器32が取り込み、測定を行う。スペクトル検出器32によって測定された結果データは、ケーブル36を介して記憶装置35へ伝送される。
【0066】
ステージ33は、基板Wの外周部を載置するための水平面である基板保持面を有し、上下方向に見てこの基板保持面の内側は空洞となっている。この基板保持面には図示しない減圧手段と連結された吸引孔が複数箇所にわたって設けられており、基板保持面に基板Wが載置された状態で減圧手段が動作することによって、ステージ33は基板Wの外周部を吸着保持する。なお、基板Wのうちペロブスカイト膜Pが形成されている方の面とは反対側の面が基板保持面に対向するように基板Wが載置され、そのため、ペロブスカイト膜Pが上向きになるよう、基板Wは吸着保持される。
【0067】
光源31は、所定の波長範囲の光を含む光34を下方からペロブスカイト膜Pに向けて出射するものであり、光源31から出射された光34はステージ33の空洞部を抜けて基板Wの下面に到達する。そして、光34は基板Wを透過して、ペロブスカイト膜Pに到達する。
【0068】
光源31から出射される光34は、紫外域から近赤外域までの全ての光を含むものが最も好ましいが、太陽電池向けのペロブスカイト膜Pの結晶状態の確認を行う本実施形態においては、少なくともλ=400nm~1000nm程度の波長の光(紫色光~近赤外光)を含むものであれば良い。
【0069】
スペクトル検出器32は、本実施形態ではステージ33の上方に設けられた公知の分光器であり、入射した光を分光測定し、スペクトル分布を得る。また、本実施形態ではこのスペクトル検出器32は、上記のλ=400nm~1000nm程度の波長の光の測定が可能な性能を少なくとも有する。
【0070】
ここで、本実施形態では、光源31から出射した光34が基板W、ペロブスカイト膜Pを透過してスペクトル検出器32に入射する位置関係となるように光源31およびスペクトル検出器32が配置されている。
【0071】
また、光源31およびスペクトル検出器32は、X軸方向およびY軸方向に移動可能な図示しない移動手段に取り付けられており、光源31はステージ33の下方を、スペクトル検出器32はステージ33の上方をそれぞれが連動するようにXY方向に移動する。これにより、光源31およびスペクトル検出器32は、光源31から出射された光34がスペクトル検出器32に入射する位置関係を維持しながら基板Wに対して相対移動する。
【0072】
記憶装置35は、コンピュータに設けられたハードディスク、RAMまたはROMなどのメモリ等であり、スペクトル検出器32で得られた測定結果データがケーブル36を介してスペクトル検出器32から伝送され、それを記憶する。また、本実施形態では後述の通り記憶装置35にはスペクトル検出器32が測定を行ったペロブスカイト膜Pの形成工程の実施条件の情報もあらかじめ記憶されており、測定結果データと実施条件の上方とでデータ群が形成される。
【0073】
また、この記憶装置35を備えるコンピュータが膜形成部2および結晶状態確認部3の各構成機器の動作の制御に用いられても良い。
【0074】
次に、本実施形態における結晶状態確認部3によるペロブスカイト膜Pの結晶状態の確認動作について説明する。
【0075】
ペロブスカイト膜Pはいわゆる半導体であり、パラメータとしてバンドギャップEgを有する。そして、このペロブスカイト膜Pに入射する光の光子エネルギーhν(=hc/λ=1239.8/λ)(hはプランク定数、cは光速、νは光の振動数)がバンドギャップEgよりも大きければ、その光を吸収してペロブスカイト膜P内で電子の移動が生じる。すなわち、電気が生じる。
【0076】
一方、光子エネルギーhνがバンドギャップEgより小さければその光は吸収されない。したがって、ペロブスカイト膜Pに入射させる光が所定の波長範囲の光を含み、その波長の範囲内に下記の式(1)を満たす波長λが入っていれば、そのλより短い波長の光はペロブスカイト膜Pに吸収され、λより長い波長の光はペロブスカイト膜Pでは吸収されない。
【0077】
Eg=1239.8/λ・・・(1)
上記の特性を利用するため、本実施形態では上記の通り光源31から光34を出射させ、ペロブスカイト膜Pで反射させてからスペクトル検出器32に入射させることによって、吸収スペクトルを測定している。このときのスペクトル検出器32における吸収スペクトルの測定結果のイメージを図2に示す。
【0078】
たとえば、ペロブスカイト膜Pのある位置における吸収スペクトルの測定結果が図2の実線で示すような曲線を描いていた場合、この曲線の長波長側の端部(切れ目)にあたる波長λaが上記式(1)を満たす波長であり、この波長λaのような吸収スペクトルの端部を本説明では吸収端と呼ぶ。
【0079】
ここで、ペロブスカイト膜PのバンドギャップEgは、ペロブスカイト膜Pの結晶状態(特に結晶の大きさ)により変化する。その場合、式(1)から吸収端の波長も変化する。そのため、ペロブスカイト膜P内で結晶状態が不均一であった場合、ある位置では図2の実線で示すように吸収端の波長が波長λaであったとしても、別の位置では図2の鎖線で示すように吸収端の波長が波長λaとは異なる波長λbとなる。
【0080】
また、バンドギャップEgは太陽電池の発電効率と相関がある値であり、仮にペロブスカイト膜P内でバンドギャップEgが不均一であった場合、一部分においてバンドギャップEgを測定した結果が良好であったとしても、ペロブスカイト膜P全体としては良好な発電効率が得られない可能性があり、好ましくない。
【0081】
そこで、本実施形態ではペロブスカイト膜P全体において結晶状態が略均一であるか否かを把握するための指標として、結晶状態確認部3はペロブスカイト膜P全体において吸収端の波長が略均一であるか否かを測定により確認している。具体的には、結晶状態確認部3は光源31およびスペクトル検出器32をXY方向に移動させながらペロブスカイト膜P上の複数点において吸収スペクトルの測定を実施することによって、図3に示すようにペロブスカイト膜Pの全体にわたる複数の測定位置37における吸収端の波長を測定し、これで得られた複数の吸収端の波長(数値データ)をまとめたものをペロブスカイト膜Pおける結晶状態の数値データ分布として取得している。そして、このように取得された数値データ分布は、そのペロブスカイト膜Pの形成における膜形成工程で用いた各パラメータ情報とともに記憶装置35に記憶される。
【0082】
以上の結晶状態確認部3の動作によりペロブスカイト膜Pの結晶状態を確認する工程を、本説明では結晶状態確認工程と呼ぶ。
【0083】
ここで、特に結晶形成過程が不安定であるペロブスカイト膜Pの形成においては、全面にわたって均一な条件で塗布工程、乾燥工程を行ってペロブスカイト膜Pを形成した場合であっても結晶状態にムラが生じる可能性がある。そのため、形成したペロブスカイト膜Pを用いたペロブスカイト型太陽電池の発電効率の良否を知る上で、上記の通り結晶状態確認工程においてペロブスカイト膜Pの一部分だけでなく全体における結晶状態の分布を把握することが求められる。
【0084】
また、前述の通り、ペロブスカイト型太陽電池の発電効率とバンドギャップEgは相関があることが知られている。ここで、一例として、ある構造のペロブスカイト型太陽電池ではバンドギャップEgが約1.4~1.5eVのときに発電効率が高くなるとする。この場合、式(1)によれば、Egが1.4eVであるときの光の波長λは約890nm、Egが1.5eVであるときの光の波長λは約840nmと計算され、この結果から、ペロブスカイト膜Pの各測定位置37において吸収端の測定結果が約840nm~890nmとなれば、理想的な発電効率を有するペロブスカイト型太陽電池となりうる。
【0085】
このように、ペロブスカイト膜Pの各位置での吸収スペクトルの吸収端波長を求める本実施形態の結晶状態確認工程は、ペロブスカイト膜P全体において結晶状態が略均一であるかどうかを確認できるだけでなく、ペロブスカイト型太陽電池の発電効率に直結するパラメータ(バンドギャップEg)を算出することも可能である。
【0086】
一方、結晶の疎密もペロブスカイト膜Pの結晶状態の評価指標としうる。ペロブスカイト型太陽電池を製造するにあたり、ペロブスカイト膜Pの結晶状態は密であることが望ましく、仮に結晶間の空隙が大きく結晶状態が疎であった場合、密である場合と比較して発電効率は低下し、そのペロブスカイト膜Pは太陽電池を形成するにふさわしくない。
【0087】
このようにペロブスカイト膜Pの結晶状態が疎であった場合、上記の結晶状態確認部3により吸収スペクトルを取得することにより、図2の破線で示す曲線が示すように吸光度が全体的に低く測定される。特に吸光度が横ばいである短波長域(たとえば、λ=400nm~500nm(紫~青色光))では、結晶の疎密による吸光度の差が顕著に確認できる。したがって、結晶状態確認工程においてこの短波長域での吸光度を各測定位置37における数値データとして取得し、この短波長域での吸光度がペロブスカイト膜P全体において比較的高い値であるか否か、そして略均一であるか否かを評価することにより、ペロブスカイト膜Pの結晶状態の確認を行うことができる。そしてもちろん、前述の吸収端の波長とともに各測定位置37における数値データとして短波長域での吸光度が取得されても構わない。
【0088】
また、本実施形態では、結晶状態確認工程で得られた数値データ分布は、そのときの膜形成工程で用いた各パラメータ(すなわち、実施条件)に紐付けられて1つの膜形成データとして記憶装置35に蓄積され、過去に蓄積された膜形成データとともに図4に示すようなデータ群を形成している。具体的には、図4に示すマトリクスの各行の情報が1つの膜形成データであり、この膜形成データが複数蓄積されることによって、複数行にわたるデータ群が形成される。なお、図4において記載を省略した”分布図”の部分には、結晶状態確認工程で得られた数値データ分布をもとに作成された二次元の塗り分けマップが保存されている。
【0089】
上記の通りペロブスカイト膜形成装置1を用いて膜形成工程および結晶状態確認工程が行われることによって基板W上にペロブスカイト膜Pが形成され、そのペロブスカイト膜Pの結晶状態が数値データ分布をもとに確認された後、オペレータもしくはAIは、この数値データ分布の情報をフィードバックすることによって、このペロブスカイト膜Pの形成の際に用いた膜形成条件に対して調節を行い、それを次回以降の基板Wに対する膜形成条件とする。
【0090】
具体的には、まず数値データ分布を構成する各数値データが所定の数値範囲内であるか、所定の数値範囲から外れた数値データがあれば、それはペロブスカイト膜Pのどこの部分の数値データであるか、などを確認する。そして、確認結果に仮に異常箇所があれば、塗布部10における塗布条件、乾燥部20を形成するエアナイフ21、減圧乾燥部22、加熱乾燥部23における乾燥条件の少なくとも一部を変更することによって、次回以降の基板Wにおいて得られる数値データ分布がペロブスカイト膜P全体にわたって所定の数値範囲内(本実施形態では、λ=約840~890nm)となることを目標に、次回以降の基板Wに対する膜形成条件を調節する。
【0091】
このように膜形成工程の実施条件の調節を行う工程を本説明では条件調節工程と呼び、この条件調節工程を行うことにより、次回以降の基板W上のペロブスカイト膜Pでは全体的に結晶状態が改善され得る。
【0092】
特に結晶形成過程が不安定であるペロブスカイト膜Pの形成においては、仮に2つの基板Wに対し同じ塗布条件、同じ乾燥条件でペロブスカイト膜Pを形成しても、たとえば膜形成部2の周辺の温度、湿度の変化が影響して結晶状態に差異が生じる可能性がある。そのため、上記結晶状態確認部3、そしてそれによる結晶状態確認工程がインラインで組み込まれることが好ましい。すなわち、膜形成部2でペロブスカイト膜Pが形成される毎に結晶状態確認部3による結晶状態の確認が行われ、即座にその結果が条件調節工程により次回以降の膜形成の条件にフィードバックされることが好ましい。
【0093】
ここで、本実施形態では前述の通り、結晶状態確認工程で得られた数値データ分布は膜形成工程の実施条件と一緒に膜形成データとして記憶装置35に蓄積され、図4に示すようなデータ群が形成されている。このようにデータ群が形成されておれば、どのパラメータをどのように変化させればペロブスカイト膜Pにおいて相対的にどこの部分の結晶状態がどのように変化するという、パラメータの変更に対するペロブスカイト膜Pの結晶状態の相対的な変化の傾向を、データ群の中の膜形成データ同士を比較することにより把握することができる。
【0094】
そして、その傾向を把握しているオペレータもしくはAIは、結晶状態確認工程で得られた数値データ分布を条件調節工程にてフィードバックするにあたって、このデータ群の情報を利用し、次回以降の基板Wに対する膜形成工程の実施条件を調節する。
【0095】
具体的には、たとえば、オペレータもしくはAIは条件調節工程においてまず結晶状態確認工程で得られた数値データ分布と類似する数値データ分布を有する膜形成データ(膜形成データD1と呼ぶ)をデータ群から抽出する。
【0096】
次に、オペレータもしくはAIはこの膜形成データD1と類似する膜形成データであって膜形成データD1よりも良好な数値データ分布を有する膜形成データD2を抽出して、膜形成データD1と膜形成データD2の膜形成工程の実施条件の比較を行う。
【0097】
そして、この結果から、オペレータもしくはAIは現行の膜形成工程の実施条件に対しどのパラメータをどの程度変更すれば良いかを判断し、それを反映して次回以降の基板Wに対する膜形成工程の実施条件とする。これにより、次回以降の基板Wに形成されるペロブスカイト膜Pの結晶状態を効率よく改善することが可能である。
【0098】
なお、この条件調節工程は結晶状態確認工程が実施される毎に実施される形態に限らず、たとえば結晶状態確認工程で得られた数値データ分布においてたとえば標準偏差が所定の閾値を超えたときにのみ実施される形態であっても良い。
(実施形態2)
次に、本発明の他の実施形態におけるペロブスカイト膜形成装置における結晶状態確認部を、図5を用いて説明する。
【0099】
先に説明した実施形態1における本実施形態における結晶状態確認部3では、図3に示すように1つの測定手段(光源31(不図示)とスペクトル検出器32の組み合わせ)が走査することによって、1つの測定手段が複数点の測定位置におけるペロブスカイト膜Pの結晶状態の確認を行う。これに対し、本実施形態の結晶状態確認部3では、複数の測定手段が設けられており、各々の測定手段は共通する記憶装置35に接続されている。そして、これら複数の測定手段により複数点の測定位置での結晶状態確認を行う。
【0100】
このように複数の測定手段が設けられていることにより、測定手段を移動させることなく、複数点の測定位置における結晶状態確認工程を略同時に実施することができる。
【0101】
加熱乾燥が完了して結晶成長が止まった状態においてペロブスカイト膜Pの観察を行う場合には、各測定位置に対して結晶状態確認の時間差が生じても問題は無い。一方、結晶状態が刻々と変化している状態において結晶状態の確認を行う場合には、このように複数の測定手段によって各測定位置における結晶状態確認が略同時に行えることにより、各測定位置における時間的パラメータを均一にした検証ができるため、好ましい。
【0102】
また、実施形態1ではスペクトル検出器32には基板Wおよびペロブスカイト膜Pを透過した光34が入射しているが、本実施形態のように光源31およびスペクトル検出器32が両方ともペロブスカイト膜Pの上方に配置され、スペクトル検出器32にはペロブスカイト膜Pで反射した光24が入射するものであっても良い。
(実施形態3)
次に、本発明のさらに他の実施形態におけるペロブスカイト膜形成装置を、図6を用いて説明する。
【0103】
本実施形態の結晶状態確認部3における乾燥部20では、第一の乾燥部である減圧乾燥部22内に結晶状態確認部3aが設けられている。結晶状態確認部3aは実施形態2と同様に複数の測定手段を有しており、これら複数の測定手段によって複数点の測定位置における結晶状態確認を略同時に実施する。このときの測定対象は、ペロブスカイト膜Pになる前の、ペロブスカイトを含む塗布膜Mである。
【0104】
発明者は、減圧乾燥工程における10秒単位のわずかな減圧乾燥時間の差で塗布膜Mの色味が大きく異なることを確認している。これより、減圧乾燥工程では塗布膜M内のペロブスカイトの結晶状態(結晶核の密度)が短時間で大きく変化していることが予想され、加熱乾燥(第二の乾燥)の条件と比較して減圧乾燥条件が最終的なペロブスカイト膜P内の結晶の大きさおよび密度に大きく影響することが考えられる。
【0105】
そこで、本実施形態のペロブスカイト膜形成装置1において第二の乾燥工程前に結晶状態確認工程を行うことにより、第二の乾燥条件を除外して、ペロブスカイト膜P内の結晶の大きさおよび密度に大きく影響するであろう減圧乾燥条件(第一の乾燥条件)とペロブスカイト膜Pの結晶状態との関連性を検証することができる。
【0106】
また、減圧乾燥工程中は塗布膜M内に結晶状態が刻々と変化するため、本実施形態のように複数の測定手段によって複数点の測定位置における結晶状態確認を略同時に実施することによって各測定位置における結晶状態確認のタイミングを均一にし、ペロブスカイト膜Pの結晶状態に対する減圧乾燥条件の影響を正確に検証することが有効である。
【0107】
ここで、結晶状態確認工程を所定のタイミング、たとえば減圧乾燥開始から所定の時間経過後に結晶状態確認を行うことにより、各測定点における時間的パラメータを均一にして、乾燥時間を除く減圧乾燥パラメータが塗布膜Mの結晶状態へ及ぼす影響を正確に検証することができる。このとき、図6に示す実施形態では結晶状態確認部3aは減圧乾燥部22内に設けられているが、これに限らずたとえば結晶状態確認部3aが減圧乾燥部22外に設けられて第一の乾燥工程後、第二の乾燥工程前に結晶状態確認工程が実施される形態でも構わない。
【0108】
一方、減圧乾燥部22内の結晶状態確認部3aによって減圧乾燥工程中に塗布膜Mの結晶状態を断続的に確認し、その結果をリアルタイムでフィードバックしても良く、これによって各々の基板において塗布膜Mが所定の結晶状態(結晶核密度)となるタイミングを検出することができ、塗布膜Mが任意の結晶状態となった状態で減圧乾燥を終了させることも可能である。
【0109】
また、減圧乾燥部22内の結晶状態確認部3aのほかに、加熱乾燥部23による加熱乾燥の完了後にペロブスカイトPの結晶状態を確認するための結晶状態確認部3bが設けられていても良い。これにより、ペロブスカイト膜Pの結晶状態に対する減圧乾燥条件の影響と加熱乾燥条件の影響とを切り分けて検証することができる。特にペロブスカイト膜形成装置が量産ラインに配置される場合、タクト確保のために加熱乾燥部23が複数台並列に設けられ、そのときそれぞれで温度分布が均一でないことも予想される。そのため、このように加熱乾燥工程前の塗布膜Mの結晶状態を確認する結晶状態確認部3aと加熱乾燥工程後のペロブスカイト膜Pの結晶状態を確認する結晶状態確認部3bが設けられていることが好ましい。
【0110】
以上のペロブスカイト膜形成方法およびペロブスカイト膜形成装置により、安定した発電効率を有するペロブスカイト型太陽電池を得ることが可能である。
【0111】
ここで、本発明のペロブスカイト膜形成方法およびペロブスカイト膜形成装置は、以上で説明した形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。たとえば、上記の説明では結晶状態確認工程はペロブスカイト膜に照射した光の吸収スペクトルを取得し、当該吸収スペクトルの長波長側の端部の波長を前記数値データとして取得するものであるが、それに限られない。たとえば、ペロブスカイト膜の表面粗さを前記数値データとして取得し、その数値データが所定の数値範囲内であるか否かを確認するものであっても良い。こうすることにより、各測定位置でのペロブスカイト膜の結晶の大きさが推定され、そこから結晶状態を把握できるため、それをもとに条件調節工程を行うことができる。
【0112】
また、フォトルミネッセンス法、すなわち、ペロブスカイト膜Pにレーザー光を入射することによってペロブスカイト膜P内の電子を励起させ、この電子が基底状態に戻る際にペロブスカイト膜Pから発する放出光を取得する方式を用いても良い。そして、その放出光のピーク波長を前記数値データとして取得し、その数値データが所定の数値範囲内であるか否かを確認すると良い。こうすることにより、吸収スペクトルを取得する場合と同様に各測定位置でのペロブスカイト膜Pの発電効率を容易に把握し、それをもとに条件調節工程を行うことができる。
【0113】
また、上記の説明における条件調節工程では、次回以降の結晶状態確認工程において取得される数値データがペロブスカイト膜P全体にわたって略均一となることを目標として、ペロブスカイト膜P形成の実施条件を調節しているが、必ずしもそうとは限らず、たとえばあえてペロブスカイト膜Pの外周部のみ、その他の部分と結晶状態が異なるようにペロブスカイト膜P形成の条件を調節するものであっても良い。
【0114】
また、エアナイフ21の吹き出し口をY軸方向に小分けにして個別に乾燥空気24の風量、温度を調節可能にしたり、加熱乾燥部23のステージ28の基板Wが載置されるエリアを小分けにして各エリアで個別に加熱温度を調節可能にしたりすることによって、ペロブスカイト膜Pの小エリア毎に乾燥条件を異ならせても良い。
【0115】
また、上記の説明では結晶状態確認工程および条件調節工程は、膜形成工程を実施する毎に実施するようにしているが、それに限らずたとえば複数回の膜形成工程ごとに結晶状態確認工程および条件調節工程を実施しても良い。
【0116】
また、条件調節工程では、結晶状態確認工程を行ったペロブスカイト膜Pに対する数値データ分布のみをもとに次回以降の膜形成工程の実施条件のフィードバックを行うだけではなく、同じ膜形成条件で膜形成した直近の複数回分のペロブスカイト膜Pに対する数値データ分布も参照し、これら数値データ分布の変化の傾向を判断材料として次回以降の膜形成工程の実施条件のフィードバックを行っても良い。
【0117】
また、上記の説明では膜形成データを蓄積させてデータ群を形成させているが、必ずしもそうでなくても構わない。
【0118】
また、上記の説明では膜形成部2は塗布部10と乾燥部20とで構成され、ペロブスカイト膜Pは塗布工程および乾燥工程により形成されるが、それに限らずたとえば膜形成部2はスパッタリング装置であってスパッタリングによって形成されても良い。
【0119】
また、上記の説明では乾燥部20はエアナイフ21、減圧乾燥部22、加熱乾燥部23を有しているが、減圧乾燥部22に代わって他の方式の結晶核形成工程を行う結晶核形成部(第一の乾燥部)であっても良い。たとえばエアナイフと同様に空気やガスを塗布膜Mに当てるガスクエンチ方式や貧溶媒を塗布して塗布膜M内の溶媒を追い出す方式であっても良い。
【符号の説明】
【0120】
1 ペロブスカイト膜形成装置
2 膜形成部
3 結晶状態確認部
3a 結晶状態確認部
3b 結晶状態確認部
10 塗布部
11 スリットノズル
11a 吐出口
11b マニホールド
11c スリット
12 ガントリ
13 ステージ
20 乾燥部
21 エアナイフ
22 減圧乾燥部
23 加熱乾燥部
24 乾燥空気
25 減圧チャンバ
25a 減圧空間
26 減圧手段
27 配管
28 ステージ
29 ヒータ
31 光源
32 スペクトル検出器
33 ステージ
34 光
35 記憶装置
36 ケーブル
37 測定位置
40 上部配管
M 塗布膜
P ペロブスカイト膜
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6