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特開2024-147723シースのための調節可能なバルーン固定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147723
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】シースのための調節可能なバルーン固定
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20241008BHJP
   A61M 25/04 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
A61B34/20
A61M25/04
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024114670
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2019235834の分割
【原出願日】2019-12-26
(31)【優先権主張番号】16/237,056
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シラン・エリヤフ
(72)【発明者】
【氏名】アラー・ゾービ
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・プレスマン
(57)【要約】
【課題】医療ツールを位置決めすること。
【解決手段】患者の臓器の一部内の標的ツール位置にナビゲートされるように構成された医療ツールを含む、医療処置で使用するためのツール位置決めシステムが提供される。医療ツールは、シース壁によって画定された管を有するシースであって、近位遠位方向に、ある長さを延在するシースと、シースに連結され、かつ近位遠位方向にシースの長さに沿って移動するように構成された膨張可能なバルーンと、を含む。膨張可能なバルーンが、シースの長さに沿った標的バルーン位置で膨張されると、膨張したバルーンは、標的バルーン位置に固定される。ツール位置決めシステムはまた、3次元(3D)空間内のツールの位置を記憶するように構成されたメモリと、3D空間内のツールの位置を表示するためのマッピング情報を生成するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療処置で使用するためのツール位置決めシステムであって、
患者の脈管系から挿入し、前記患者の心臓の一部内の標的ツール位置にナビゲートされるように構成された医療ツールであって、
シース壁によって画定された管を有するシースであって、近位遠位方向に、ある長さを延在する、シースと、
前記シースに連結され、前記近位遠位方向に前記シースの前記長さに沿って移動するように構成された膨張可能なバルーンであって、前記膨張可能なバルーンが、前記シースの前記長さに沿った標的バルーン位置で膨張されると、前記膨張したバルーンが、前記標的バルーン位置に固定される、膨張可能なバルーンと、を備える、医療ツールと、
前記患者の前記心臓を含む3次元(3D)空間内の前記医療ツールの位置を示す、取得された位置信号に対応する位置データを記憶するように構成されたメモリと、
前記位置データから、前記3D空間内の前記医療ツールの位置を表示するためのマッピング情報を生成するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、を備える、ツール位置決めシステム。
【請求項2】
前記医療ツールが、
前記膨張可能なバルーンに連結され、拡張及び収縮し、かつ前記膨張可能なバルーンを前記シースの前記長さに沿って移動させるように構成された、少なくとも1つのバネ要素と、
回転可能なハンドルであって、前記回転可能なハンドル内に配置されたねじを備え、前記ねじに沿って回転するように構成された、回転可能なハンドルと、
前記少なくとも1つのバネ要素と前記回転可能なハンドルとの間に連結された少なくとも1つのワイヤと、を更に備え、
前記回転可能なハンドルの回転により、前記少なくとも1つのバネ要素が、拡張又は収縮し、前記シースの前記長さに沿って前記近位遠位方向に前記膨張可能なバルーンを移動させる、請求項1に記載のツール位置決めシステム。
【請求項3】
前記医療ツールが、
前記膨張可能なバルーンに連結された少なくとも1つのバルーンワイヤと、
前記シース及び前記膨張可能なバルーンのうちの一方の上に配置された少なくとも1つの折り畳み式突出部と、
前記シース及び前記膨張可能なバルーンのうちの他方の上に配置された少なくとも1つの空洞と、を更に備え、
前記少なくとも1つのバルーンワイヤの移動が、前記シースの前記長さに沿って前記近位遠位方向に前記膨張可能なバルーンを移動させ、
前記膨張したバルーンは、前記少なくとも1つの折り畳み式突出部が前記少なくとも1つの空洞に係合すると、前記標的バルーン位置に固定される、請求項1に記載のツール位置決めシステム。
【請求項4】
前記膨張したバルーンは、前記少なくとも1つの折り畳み式突出部が前記少なくとも1つの空洞に係合するまで、突出部ワイヤを引っ張ることと、前記少なくとも1つの折り畳み式突出部が前記少なくとも1つの空洞に係合すると、前記突出部ワイヤを解放することと、によって、前記標的バルーン位置に固定される、請求項3に記載のツール位置決めシステム。
【請求項5】
前記医療ツールが、
前記シース壁上に配置された複数の第1の波形状突出部と、
前記膨張したバルーンに連結され、前記複数の第1の波形状突出部に対向する複数の第2の波形状突出部を備える、第1のバルーンワイヤと、
前記複数の第1の波形状突出部及び前記複数の第2の波形状突出部のうちの少なくとも1つに連結されたロック機構と、
前記ロック機構に連結されたロックワイヤと、を更に備え、
前記第1のバルーンワイヤが移動すると、前記膨張可能なバルーンが移動し、
前記ロックワイヤが移動すると、前記複数の第1の波形状突出部及び前記複数の第2の波形状突出部は、互いに向かって移動させられ、互いに係合させられ、前記膨張したバルーンを前記標的バルーン位置に固定させる、請求項1に記載のツール位置決めシステム。
【請求項6】
前記医療ツールが、
前記シース壁上に配置された複数の第1の波形状突出部と、
前記膨張したバルーンに連結され、前記複数の第1の波形状突出部に対向する複数の第2の波形状突出部を備える、第1のバルーンワイヤと、
前記複数の第1の波形状突出部及び前記複数の第2の波形状突出部のうちの少なくとも1つに連結され、第1の位置と第2の位置との間で移動するように構成されたロック機構と、を更に備え、
前記ロック機構が前記第1の位置にあるとき、前記複数の第1の波形状突出部は、前記複数の第2の波形状突出部から離間され、これによって、前記膨張可能なバルーンが前記近位遠位方向に移動することを可能にし、
前記ロック機構が前記第2の位置にあるとき、前記複数の第1の波形状突出部及び前記複数の第2の波形状突出部は、互いに係合し、かつ前記膨張したバルーンが前記近位遠位方向に移動するのを防止するように構成されている、請求項1に記載のツール位置決めシステム。
【請求項7】
前記膨張可能なバルーンが、前記シースの周りに配置され、膨張可能な部分及び膨張不可能な部分を備え、前記医療ツールが、
前記膨張可能なバルーンに連結された少なくとも1つのバルーンワイヤと、
前記膨張可能なバルーンの周りに配置され、前記近位遠位方向に互いに離間している一対のリングと、を更に備え、
前記膨張可能なバルーンが膨張されると、前記膨張可能なバルーンの前記膨張部分の対向する側のうちの各1つは、前記一対のリングのうちの異なる1つと接触し、前記膨張したバルーンを前記標的バルーン位置に固定する、請求項1に記載のツール位置決めシステム。
【請求項8】
前記膨張可能なバルーンが前記標的バルーン位置で膨張されると、前記膨張可能なバルーンが前記心臓の隔膜と係合して、前記医療ツールが前記心臓の前記隔膜を越えて移動することを防止するように構成されている、請求項1に記載のツール位置決めシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
シースと、シースに連結された膨張可能なバルーンとを含む医療ツールを、患者の臓器の一部内の標的ツール位置に位置決めすることを含むツール位置決め方法が提供される。本方法はまた、膨張可能なバルーンを、シースの長さに沿って近位遠位方向に標的バルーン位置まで移動させることと、バルーンがシースの長さに沿った標的バルーン位置に位置決めされたときに、膨張可能なバルーンを膨張させることと、を含む。本方法は、シースの長さに沿った標的バルーン位置に膨張したバルーンを固定して、医療ツールが標的ツール位置から移動することを防止することと、を更に含む。
【0002】
シース壁によって画定された管を有するシースを含む、医療処置で使用するための医療ツールが提供される。シースは、近位遠位方向に、ある長さを延在する。医療ツールはまた、シースに連結された膨張可能なバルーンと、膨張可能なバルーンに連結されたバルーン移動機構と、を含む。バルーン移動機構は、シースの長さに沿った異なるバルーン位置に膨張可能なバルーンを移動させるように構成されている。医療ツールはまた、膨張可能なバルーンを、膨張したときに、シースの長さに沿った標的バルーン位置に固定して、医療ツールが患者の臓器の一部内の標的ツール位置から移動することを防止するように構成されたバルーン固定機構を含む。
【0003】
患者の臓器の一部内の標的ツール位置にナビゲートされるように構成された医療ツールを含む、医療処置で使用するためのツール位置決めシステムが提供される。医療ツールは、シース壁によって画定された管を有するシースであって、近位遠位方向に、ある長さを延在するシースと、シースに連結され、かつ近位遠位方向にシースの長さに沿って移動するように構成された膨張可能なバルーンと、を含む。膨張可能なバルーンが、シースの長さに沿った標的バルーン位置で膨張されると、膨張したバルーンは、標的バルーン位置に固定される。ツール位置決めシステムはまた、3次元(three dimensional、3D)空間内のツールの位置を記憶するように構成されたメモリと、3D空間内のツールの位置を表示するためのマッピング情報を生成するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、を含む。
【0004】
これら及びその他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面と関連付けて解釈されるべき、その例示的実施形態に関する以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
添付の図面と共に一例として与えられる以下の説明から、より詳細な理解が可能になる。
図1】本明細書で開示される実施形態を実行可能な3D空間内のツールのナビゲートの例示的な医療システムを示す図である。
図2】本明細書で説明される実施形態と共に用いる例示的な医療システムの部品を示すブロック図である。
図3】本明細書で説明される実施形態と共に用いる、心臓の一部と共に位置決めされた例示的な医療ツールを示す図である。
図4】一実施形態による、例示的な医療ツールの部品を示す図である。
図5】一実施形態による、患者の解剖学的構造の標的位置に図4に示されるツールを位置決めする例示的な方法を示すフロー図である。
図6A】一実施形態による、シース、バルーン、及び折り畳み式要素を有する例示的な医療ツールの一部を示す図である。
図6B】バルーンの内側に配置された空洞に対して、折り畳まれた位置及び係合位置にある例示の折り畳み式突出部を示す図である。
図7】一実施形態による、図6Aに示されるシースを患者の解剖学的構造内の標的位置に固定する例示的な方法を示すフロー図である。
図8A】一実施形態による、ロック機構を有するツールの一部を示す。
図8B】閉鎖位置にあるロック機構を示す、図8Aに示されるツールの一部のn断面図である。
図8C】開放位置にあるロック機構を示す、図8Aに示されるツールの一部の拡大断面図である。
図9】一実施形態による、シースと、膨張可能な部分及び膨張不可能な部分を有する膨張可能なバルーンと、一対のリングと、を有するツールの一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
シースは、血管内、心臓内、又は任意の腔内侵襲性医療処置で使用されてもよい。例えば、シースは、医療処置中に3D空間内のシースの位置を決定するために使用される電磁ナビゲーションシステムのツール又はツールの一部であってもよい。このシースにより、デバイス(カテーテル、ガイドワイヤ、及び針など)が、シースを通過すること、並びに患者の解剖学的構造の特定の位置で吸引することが可能になる。シースは、患者の解剖学的構造を通じたナビゲーションを容易にし、シースを決定された方向に通過するデバイスを湾曲させ、剛性と可撓性(と場合によっては力)との間の所望の均衡を維持して、患者の身体内の特定の位置にデバイスを方向付け、安定化させ、及び使用する。
【0007】
医療処置中に患者の標的位置(例えば、心臓内)にシースを位置決めするとき、シースは、典型的には、穿刺孔又は既存の窩(即ち、経中隔穿刺)を通過する。処置中、シースの位置は、標的位置へのアクセスポイントとして機能する。
【0008】
状況によっては、シースが標的位置に位置決めされた後、シースは、その標的位置から移動(例えば、スリップ)してもよく、標的位置へのアクセス及び/又はシースの再位置決めを必要とする。例えば、シースが右心房内に(例えば、心臓医師によって)位置決めされるとき、シースは、隔膜内の卵円窩を通って左心房に入る。卵円窩は、隔膜の組織内のくぼみであり、これは、シースを右心房から隔膜を通して左心房内に挿入することができる場所を医師に指示するための標識として使用される。シースが左心房に入るとき、シースは、右心房に逆流し、シースへのアクセスの損失を生じ得る。しかしながら、シースへのアクセスを取り戻すこと及び/又はシースを再位置決めすることは、時間がかかり、患者の追加の危険性(例えば、外傷の危険性)をもたらす。
【0009】
本明細書に開示される実施形態は、患者の解剖学的構造の臓器(例えば、左心房)内部の標的ツール位置(例えば、臓器サイズ及び解剖学的構造に好適な位置)に医療ツールの一部(例えば、シース)を位置決めし、標的ツール位置にツールの一部を固定する(標的位置でバルーンを膨張させて、臓器内の標的位置におけるツールの移動を防止又は制限することによって)、膨張可能なバルーンを有する医療ツールを使用する装置及び方法を提供する。
【0010】
本明細書に開示される実施形態は、ツール上(例えば、ツールのシース上)のバルーンの位置を調節し、ツール上の位置で膨張可能なバルーンを固定(例えば、ロック)するためのシステム、ツール、及び方法を提供する。
【0011】
本明細書に開示される実施形態は、情報(例えば、チャート、患者の一部の解剖学的モデル、及び信号情報)を生成し表示するために使用される医療システムのツール又はツールの一部であってもよいシースを提供する。いくつかの実施形態では、医療システムは、医療処置中に3D空間内のツール及び/又はシースの位置を決定するために使用される電磁ナビゲーションシステムであってもよい。これらの医療処置中、医療ツールは、信号(例えば、磁界の振幅と位相に基づく電気信号)の生成及び送信を行い、それらの位置の決定を容易にする。
【0012】
図1は、例示的な医療システム20の示す図であり、それを使用して、情報52(例えば、チャート、患者の一部の解剖学的モデル、及び信号情報)を生成し表示することができる。図1に示したシステム20及びツール22は、一例にすぎない。ツール22等の医療ツールは、患者28の心臓26内の電位マッピング等の診断又は治療上の処置に用いられる任意のツールであってもよい。代替的に、ツールは、必要な変更を加えて、心臓、肺、又はその他の人体臓器内(例えば、耳、鼻、及び咽喉(ear, nose, and throat、ENT))等の様々な解剖学的部分の他の治療目的及び/又は診断目的で使用されてもよい。ツールとしては、例えば、シース、プローブ、カテーテル、切断ツール、及び吸引デバイスを挙げることができる。
【0013】
操作者30は、ツール22の先端56が心臓26の腔に入るように、患者の解剖学的構造の一部(例えば、患者28の脈管系等)にツール22を挿入することができる。制御コンソール24は、心臓26内部にあるツールの3次元位置座標(例えば、先端56の座標)を決定するために、磁気位置検出を用いてもよい。位置座標を決定するために、制御コンソール24内の駆動回路34は、コネクタ44を介して磁場発生装置36を駆動して、患者28の解剖学的構造内に磁場を生成することができる。
【0014】
磁場発生装置36は、患者28の外部の既知の位置に配置された1つ又は2つ以上のエミッタコイル(図1には図示せず)を含み、当該コイルは、患者の解剖学的構造の対象部分が入っている既定の作業範囲内に磁場を生成するように構成されている。エミッタコイルのそれぞれは、様々な周波数で駆動されて一定の磁場を放射することができる。例えば、図1に示す例示の医療システム20では、1つ又は2つ以上のエミッタコイルは、患者28の胴部の下に配置することができ、それぞれが患者の心臓26が入っている既定の作業範囲内に磁場を生成するように構成されている。
【0015】
図1に示したように、磁場位置センサ38がツール22の先端56に配置されている。磁場位置センサ38は、磁場の振幅及び位相に基づいて、ツールの3次元位置座標(例えば、先端56の位置座標)を示す電気信号を生成する。電気信号は、ツールの位置座標を決定するために、制御コンソール24に伝達され得る。電気信号は、ワイヤ45を介して制御コンソール24に伝達されてもよい。
【0016】
代替的に、又は有線通信に加えて、電気信号は、例えば、制御コンソール24の入力/出力(input/output、I/O)インターフェース42と通信することができるツール22の無線通信インターフェース(図示せず)を介して、制御コンソール24に無線通信されてもよい。例えば、開示内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,266,551号は、とりわけ、信号処理装置及び/又は計算装置に物理的に接続されていないワイヤレスカテーテルについて記載しており、当該ワイヤレスカテーテルは参照により本明細書に組み込まれる。もっと正確に言えば、送受信器はカテーテルの近位端に取り付けられている。送受信器は、例えばIR送信、RF送信、ブルートゥース送信、又は音響送信等の無線通信方法を使用して、信号処理装置及び/又はコンピュータ装置と通信する。無線デジタルインターフェース及びI/Oインターフェース42は、当該技術分野で既知である、例えば、IR、RF、ブルートゥース、IEEE 802.11規格ファミリーの1つ(例えば、Wi-Fi)、又はHiperLAN規格等の任意の好適な無線通信規格に従って動作することができる。
【0017】
図1は、ツール22の先端56に配置された単一の磁場位置センサ38を示しているが、ツールは、それぞれがツールの任意の部分に配置された1つ又は2つ以上の磁場位置センサを含み得る。磁場位置センサ38は、1つ又は2つ以上の小型コイル(図示されず)を含んでもよい。例えば、磁場位置センサは、異なる軸に沿って方向付けられた多数の小型コイルを含んでもよい。代替的に、磁場位置センサは、別のタイプの磁気センサ又は他のタイプの位置検出器(例えば、インピーダンスに基づく位置センサ若しくは超音波位置センサ)のいずれかを含んでもよい。
【0018】
信号プロセッサ40は、信号を処理することによって位置及び向きの座標の両方を含むツール22の位置座標を決定するように構成されている。上述した位置検知方法は、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar,Calif.)製のCARTOマッピングシステムにおいて実施されており、本明細書に引用される特許及び特許出願において詳細に説明されている。
【0019】
ツール22はまた、遠位端部32内に収容された力センサ54を含み得る。力センサ54は、ツール22(例えば、ツールの先端56)によって心臓26の心内膜組織に加えられる力を測定し、制御コンソール24に送信される信号を生成することができる。力センサ54は、遠位端部32のバネによって接続された磁場送信器及び受信器を含んでもよく、バネのたわみの測定に基づいて力の指標を生成してもよい。この種のプローブ及び力センサの更なる詳細は、米国特許出願公開第2009/0093806号及び同第2009/0138007号に記載されており、これらの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。また、遠位端部32は、例えば、光ファイバー又はインピーダンス測定を使用し得る別の種類の力センサを含んでもよい。
【0020】
ツール22は、先端56に連結され、かつインピーダンスに基づく位置検出器として機能するように構成された、電極48を含んでもよい。追加的に又は代替的に、電極48は、特定の生理学的性質、例えば、1つ又は2つ以上の位置における局所表面電位(例えば、心組織の電位)等を測定するように構成されてもよい。電極48は、RFエネルギーを印加して心臓26の心内膜組織をアブレーションするように構成され得る。
【0021】
例示の医療システム20は、磁気に基づくセンサを使用してツール22の位置を測定するように構成され得るが、他の位置追跡技術を用いてもよい(例えば、インピーダンスに基づくセンサ)。磁気位置追跡技術は、例えば、米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号、同第6,788,967号、同第6,690,963号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,177,792号に記載されており、これらの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。インピーダンスに基づく位置追跡技術は、例えば、米国特許第5,983,126号、同第6,456,828号、及び同第5,944,022号に記載されており、これらの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
I/Oインターフェース42により、制御コンソール24と、ツール22、体表面電極46、及び任意のその他のセンサ(図示されず)との相互作用が可能になる。信号プロセッサ40は、体表面電極46から受信した電気インパルス、並びに医療システム20のI/Oインターフェース42及び他の構成要素を介してツール22から受信した電気信号に基づいて、3D空間内のツールの位置を決定し、また表示情報52を生成することができ、この情報は表示部50に示され得る。
【0023】
信号プロセッサ40は、ツール22から信号を受信しかつ制御コンソール24の他の構成要素を制御するのに好適なフロントエンド回路及びインターフェース回路を有する、汎用コンピュータに含まれ得る。信号プロセッサ40は、本明細書に記載する機能を実行するように、ソフトウェアを使用してプログラムされてもよい。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的形態で制御コンソール24にダウンロードされてもよく、又は光学的、磁気的、若しくは電子的記録媒体等の非一時的有形媒体上に提供されてもよい。あるいは、信号プロセッサ40の機能のうちの一部又は全部が、専用の又はプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素によって実行されてもよい。
【0024】
図1に示す実施例では、制御コンソール24は、ケーブル44を介して体表面電極46に接続されており、体表面電極46のそれぞれは、患者の皮膚に付着するパッチ(例えば、図1では電極46の周りの円として示される)を使用して患者28に取り付けられている。体表面電極46は、可撓性基板上に集積された1つ又は2つ以上の無線センサノードを含み得る。1つ又は2つ以上の無線センサノードは、局所的なデジタル信号処理を可能にする無線送信/受信ユニット(wireless transmit/receive unit、WTRU)、無線リンク、及び小型の再充電可能電池を含み得る。パッチに加えて又はそれに代替して、体表面電極46はまた、患者28によって着用される、体表面電極46を含む物品を使用して患者上に配置されてもよく、また、着用された物品の位置を示す1つ又は2つ以上の位置センサ(図示されず)を含んでもよい。例えば、体表面電極46は、患者28上に配置された物品(例えば、ベスト)内に埋め込むことができる。手術中、体表面電極46は、心組織の分極及び脱分極によって生じる電気インパルスを検出し、ケーブル44を介して情報を制御コンソール24に送信することによって、3D空間内のツール(例えば、膨張可能なバルーンを含むツール)の位置を提供するのに役立つ。体表面電極46は、磁気位置追跡装置を装備していてもよく、患者28の呼吸サイクルを特定し、追跡するのに役立ち得る。有線通信に加えて又はそれに替えて、体表面電極46は、無線インターフェース(図示されず)を介して制御コンソール24と、かつ相互に、通信してもよい。
【0025】
診断処置中、信号プロセッサ40は、表示情報52を提示することができ、情報52を表すデータをメモリ58に格納することができる。メモリ58は、ランダムアクセスメモリ又はハードディスクドライブなど、任意の好適な揮発性及び/又は不揮発性メモリを含んでいてもよい。操作者30は、1つ又は2つ以上の入力デバイス59を使用して表示情報52を操作することが可能であり得る。代替的に、医療システム20は、操作者30がツール22を操作している間に制御コンソール24を操作する第2の操作者を含んでいてもよい。図1に示す構成は例示的なものであることに留意されたい。医療システム20の任意の適当な構成を使用及び実施することができる。
【0026】
図2は、本明細書で説明される実施形態と共に使用するための医療システム200の例示の構成要素を示すブロック図である。図2に示されるように、システム200は、医療ツール222と、処理デバイス204と、表示デバイス206と、メモリ212と、を含む。処理デバイス204、表示デバイス206、及びメモリ212は、計算デバイス214の一部である。いくつかの実施形態では、表示デバイス206は計算デバイス214から分離されていてもよい。計算デバイス214はまた、図1に示されるI/Oインターフェース42などのI/Oインターフェースを含んでもよい。
【0027】
ツール222は、各々が、臓器(例えば、心臓)のある領域の電気的活動(電気信号)を経時的に検出するよう構成された、電極208の配列を含む。ECGが実施される際、各電極は、電極に接触している臓器の領域の電気的活動を検出する。ツール222はまた、複数のセンサ208を有している。センサ208は、例えば、ツール222の3D位置座標を示す位置信号を提供するための磁場位置センサ(例えば、図1のセンサ38)を含む。いくつかの処置では、例示のシステム200に示されるように、ツール222から分離された1つ又は2つ以上の追加のセンサ210がまた、位置信号を提供するために使用される。追加のセンサ210はまた、心臓などの臓器の電気生理的パターンによる皮膚上の電気的変化を検出することにより、臓器の電気的活動を検出するのを支援するために使用される、センサ(例えば、患者の皮膚上の電極)を含み得る。ツール222はまた、以下により詳細に記載されるように、患者の臓器内の標的位置で調節及び膨張されて、標的位置におけるツール222の移動を防止又は制限することによって、ツール222を標的位置に固定してもよい膨張可能なバルーン202を含む。
【0028】
処理デバイス204は、それぞれが、ECG信号を処理する、ECG信号を経時的に記録する、ECG信号をフィルタリングする、ECG信号を単一成分(例えば、傾斜、波、複合体)に分割する、並びにECG信号情報を生成及び結合するように構成された、複数の電気信号を表示デバイス206に表示するための1つ又は2つ以上のプロセッサを含み得る。また、処理デバイス204は、心臓の3Dマップを表示デバイス206上に表示するためのマッピング情報を生成し、補間することができる。処理デバイス204は、位置及び向きの両方の座標を含む、ツール222の位置座標を決定するために、センサ(例えば、追加のセンサ210及びセンサ216)から取得した位置情報を処理するように構成された1つ又は2つ以上のプロセッサ(例えば、信号プロセッサ40)を含み得る。
【0029】
加えて、処理デバイス204は、マップ上での臓器(例えば、心臓)の解剖学的領域の位置を決定し、どの電気信号が、臓器の解剖学的領域内に位置する臓器の領域に対応するのかを決定し、臓器の解剖学的領域内に位置する臓器の領域に対応すると判定された(即ち、臓器の対応する領域に配置された電極(即ち、ポール)により取得された電気信号であると判定された)電気信号を表示するための信号情報(例えば、相関付けられたECG情報)を生成する。処理デバイス204は、マッピング情報及び信号情報を使用して臓器の動的マップ(即ち、時空間マップ)及び臓器の電気的活動を表示するための表示デバイス206を駆動する。処理デバイス204はまた、相関付けられた信号情報を使用して、臓器の解剖学的領域内に位置すると判定された信号を表示するように、表示デバイス206を駆動する。
【0030】
表示デバイス206は、臓器の電気的活動の経時的な時空間的発現を表す臓器の3Dマップを表示し、かつ臓器から経時的に取得された電気信号を表示するように各々が構成された、1つ又は2つ以上の表示部を含み得る。例えば、特定の時間間隔に対する臓器の電気的活動を表す臓器の3Dマップと、その時間間隔の間に臓器から取得された電気信号とを、同じ表示デバイスに同時に表示させることができる。代替的に、同じ時間間隔中に取得した臓器の3Dマップと電気信号とを、別個の表示デバイス上に表示させることができる。
【0031】
電極208、センサ(複数可)216、及び追加のセンサ(複数可)210は、処理デバイス204と有線又は無線通信してもよい。表示デバイス206もまた、処理デバイス204と有線又は無線通信してもよい。
【0032】
図3は、本明細書で説明される実施形態と共に用いる、心臓の一部と共に位置決めされた例示的な医療ツールを示す図である。図3に示される例では、医療ツール322は、シース301(シャフト又はチューブを備える)と、シース301に連結された(例えば、直接的又は間接的に接続された)膨張可能なバルーン302と、を備える。図3は、右心房304から左心房303に入った後の心臓の左心房303内に位置決めされたシース301及びバルーン302を示す。バルーン302は、左心房303内部で膨張状態で示されており、シース301が右心房304内に移動(例えば、逆流)することを防止することによって安定性を提供する。
【0033】
ツール322が図3の心臓に示されているが、心臓におけるツール322の使用は一例である。ツール322は、患者の解剖学的構造の他の臓器及び他の部分において使用されてもよい。図3に示されるシース301のシャフトの周りのバルーン302の位置も一例である。バルーン302は、異なる処置、使用者、及び解剖学的構造、並びにシース及びカテーテルの操縦戦略に好適な、シース301のシャフトの周りの異なる位置に調節可能である。
【0034】
図4は、一実施形態による、ツール422の部品を示す図である。ツール422は、シース401と、ワイヤ407を介してシースに連結された回転可能なハンドル406とを含む。シース401は、膨張可能なバルーン402と、シース401の壁内のバルーン402に連結され、かつワイヤ407に連結されたバネ要素403とを含む。バネ要素403は、拡張及び収縮して、シース401に沿った異なる位置にバルーン402を調節するように構成されている。各バネ要素403は、螺旋バネを含んでもよい。バネ要素はまた、シース401に沿った異なる位置にバルーン402を調節するように構成された他の種類のバネ状機構を含んでもよい。更に、シースは、シース401に沿った異なる位置にバルーン402を調節するための、単一のバネ要素を含む任意の数のバネ要素を含んでもよい。ツールは、シース401に沿った異なる位置にバルーン402を調節するための、単一のワイヤを含む任意の数のワイヤを含んでもよい。
【0035】
回転可能なハンドル406は、回転可能なハンドル406内に配置されたねじ要素404を含む。ねじ要素404は、例えば、シースの対向可能なねじ山と回転可能に係合するように構成されたねじ山を有するねじであってもよい。バネ要素403、回転可能なハンドル406、ねじ要素404、及びワイヤ407は一緒になって、シース401に沿った異なる位置にバルーン402を移動させるために使用されるバルーン移動機構を形成する。例えば、回転可能なハンドル406は、ねじ要素404を中心に回転されて、力(例えば、回転可能なハンドル406の回転方向に応じた押力又は引力)をワイヤ407に加え、ワイヤ407に連結されたバネ要素403を拡張又は収縮させる。バネ要素403の拡張及び収縮により、バネ要素403に連結されたバルーン402が、シース401に沿って反対方向に移動する。
【0036】
図5は、一実施形態による、患者の解剖学的構造内の標的ツール位置に図4に示されるツール422の一部を位置決め及び固定する例示的な方法500を示すフロー図である。ブロック502に示されるように、方法500は、図3に示される左心房303などの臓器の一部内にツール422(例えば、ツール422のシース401)を位置決めすることを含む。ブロック504に示されるように、方法500は、回転可能なハンドル406を回転させて、シース401に沿った標的バルーン位置にバルーン402を移動させる(即ち、調節する)ことを含む。例えば、回転可能なハンドル406は、ねじ要素404を中心に(例えば、医師によって)回転され、バネ要素403をワイヤ407を介して拡張又は収縮させる。バネ要素403の拡張は、バルーン402をシース401に沿って一方向に移動させ、バネ要素403の収縮により、バルーン402がシース401に沿って反対方向に移動する。
【0037】
バルーンがシース401に沿った標的バルーン位置に到達するとき、ブロック506に示されるように、回転可能なハンドル406の回転が停止し、バルーン402が膨張される。次いで、ブロック508に示されるように、膨張したバルーン502は、シース501に沿った標的バルーン位置に固定される。バルーン402は、例えば、本明細書に記載されるようなロック機構を使用して、バルーン402を標的バルーン位置でロックすることによって、標的バルーン位置に固定される。したがって、シース401は、標的ツール位置から患者の解剖学的構造内の別の位置へと移動することを防止される(例えば、左心房303から滑出することが防止される)。上記の方法500は、超音波、透視撮影、又は当業者に既知の他の技術を使用して容易にしてもよい。
【0038】
図6Aは、一実施形態による、ツール622の部品を示す図である。図6Aに示されるように、ツール622は、シース壁603を有するシース601と、バルーン602と、折り畳み式要素604と、突出ワイヤ605と、第1のバルーンワイヤ606と、第2のバルーンワイヤ607とを含む。
【0039】
第1のバルーンワイヤ及び第2のバルーンワイヤは、患者の標的ツール位置(例えば、心臓の左心房内の標的位置)における、図6Aに示されるシース601の位置決めを容易にするために移動する(引き離す、解放する)ことができる紐状要素である。バルーンワイヤ606及び607は一緒にバルーン移動機構を形成し、これらを使用して、シースのシャフトの長さに沿ってバルーン602の位置を調節し、一方で、突出ワイヤ605を使用して、シース601に沿った標的位置にバルーン602を固定(例えば、ロック)する。例えば、第1のバルーンワイヤ606を使用して、シース601の近位側からシース601の遠位側(先端により近い)にシース601に沿った方向にバルーン602を移動させてもよい。第2のバルーンワイヤ306を使用して、シース601の遠位側からシース601の近位側にシース601に沿って反対方向にバルーン602を移動させてもよい。図6Aに示されるバルーンワイヤの数は、単に例示的である。バルーン移動機構は、シース601に沿ったバルーン602の位置を調節するための任意の数のバルーンワイヤを備えてもよい。
【0040】
図6Bは、バルーン602の内側608に配置された空洞602aに対して折り畳まれた位置及び係合位置にある例示の折り畳み式突出部を示す図である。折り畳み式突出部604a及び604bは、図6Aに示される折り畳み式要素604の例である。図6Bに示されるように、折り畳み式突出部604a及び604b(例えば、歯形状突出部)は、シース壁603上に配置されている。折り畳み式突出部604aは、それらの折り畳まれた位置に示されている。折り畳み式突出部604bは、係合(即ち、延長)位置に示されている。バルーン602は、バルーン602の内側608に配置された空洞602aを含み、空洞602aは、シース壁603上に配置された折り畳み式突出部604a及び604bと係合し、かつそれらから係脱して、シース601の長さに沿った異なる位置にバルーン602を調節し、バルーン602がシース601の長さに沿って移動するのを防止(例えば、ロック)する。図6Bに示される突出部604a及び空洞602aの数及びそれらの位置は、単に例示的である。別の実施形態では、シース壁上に配置された空洞は、バルーンの内側に配置された折り畳み式突出部に係合してもよい。
【0041】
例えば、バルーンの標的位置が近位遠位方向に沿って得られると、バルーン102は膨張され、突出部ワイヤ605は、引っ張られて、突出部604a及び604bがバルーン602の空洞602aと整列及び係合するまで、突出部604a及び604bをそれらの係合位置へと移動させる。突出部604a及び604bが空洞602aに係合すると、突出部ワイヤ605は解放され、バルーン602は、標的位置に固定されるか、又はロックされる。折り畳み式突出部604a及び604bはまた、シース601を図6Aの矢印610によって示される方向に回転させることによって、空洞602aと整列されてもよい。
【0042】
図7は、一実施形態による、図6Aに示されるシース601を患者の解剖学的構造内の標的ツール位置に固定する例示的な方法700を示すフロー図である。ブロック702に示されるように、方法700は、図3に示される左心房303などの臓器の一部内にシース601を位置決めすることを含む。ブロック704に示されるように、方法700は、バルーン602に連結されたバルーンワイヤ606及び607の一方又は両方を移動させて、シース601に沿ってバルーンを移動させる(即ち、調節する)ことを含む。例えば、バルーンワイヤ606及び607を使用して、シース601に沿って反対方向にバルーン602の位置を調節してもよい。
【0043】
ブロック706に示されるように、方法700は、シース610に沿った標的バルーン位置が得られると、バルーン602を膨張させることを含む。ブロック708に示されるように、方法700は、シース601に沿った標的位置にバルーン602を固定することを含む。例えば、突出部ワイヤ605は、折り畳み式要素604(例えば、1つ又は2つ以上の折り畳み式突出部604a)が1つ又は2つ以上の対向する空洞602aに係合されるまで引っ張られてもよい。1つ又は2つ以上の折り畳み式突出部604aが1つ又は2つ以上の対向する空洞602aに係合されると、突出部ワイヤ605は解放され、バルーン602は、シース601上の標的位置に固定(例えば、ロック)される。上記の方法700は、超音波、透視撮影、又は当業者に既知の他の技術を使用して容易にしてもよい。
【0044】
図8Aは、一実施形態による、ロック機構804を有する例示的なツール822の一部を示す。図8Aに示されるように、ツール822は、シース壁803有するシース801と、膨張式バルーン802と、ロック機構ワイヤ806と、第1のバルーンワイヤ808と、第2のバルーンワイヤ809とを含む。シース801は、シース壁803上に配置された、図8B及び図8Cに示される波形状突出部810aを備える波形状要素810を含む。第1のバルーンワイヤ808は、シース壁部803上に配置された波形状要素810と対向する、図8B及び図8Cに示される波形状突出部812aを備える波形状要素812を含む。図8Aに示される第2のバルーンワイヤ809は、波形状要素を含まない。いくつかの実施形態は、波形状要素を有する第2のバルーンワイヤ809を含む。実施形態は、単一のバルーンワイヤを含む任意の数のバルーンワイヤを含んでもよい。
【0045】
図8Bは、閉鎖位置にあるロック機構804を示す、図8Aに示されるシース801と、バルーン802との一部の拡大断面図である。図8Cは、開放位置にあるロック機構804を示す、図8Aに示されるシース801と、バルーン802との一部の拡大断面図である。ロック機構は、ロック機構ワイヤ806及び回動アーム814を含む。回動アームは、回動点816を中心に回動するように構成されている。回動アーム814は、回動端部では(連結機構(図示せず)を介して)ロック機構ワイヤ806に、及びバルーン端部ではバルーン802を介して波形状突出部810aに連結される。図8Cに示される開放位置では、シース壁803上の波形状突出部812aは、バルーン802上の対向する波形状突出部810aから離間している。しかしながら、図8Bに示される閉鎖位置では、シース壁803上の波形状突出部812aは、バルーン802上の対向する波形状突出部810aに近づくように移動される。例えば、ロック機構ワイヤ806が移動される(押されるか又は引っ張られる)とき、回動アーム814は、回動点816を中心に回動され、これによって、回動アーム814は、図8B及び図8Cに示される位置の間を移動し、かつ波形状突出部810aは、図8B及び図8Cに示されるそれらの位置の間で移動させられる。加えて、図6A及び図6Bに示される実施形態における突出部604aとは異なり、波形状突出部810a及び812aは、折り畳み式ではない。
【0046】
図8A図8Cに示される突出部810aの各々は、互いに均等に離間している。図8A図8Cに示される突出部812aの各々はまた、互いに均等に離間している。しかしながら、実施形態は、突出部間に不均等な空間を含んでもよい。図8A~8Cに示される突出部810a及び812aの数及び位置は例示的である。実施形態は、任意の数の突出部を含んでもよい。図6A及び6Bと同様に、実施形態は、シース801に沿ってバルーン802の位置を調節するための任意の数のバルーンワイヤを備えるバルーン移動機構を含んでもよい。
【0047】
ツール822が患者の臓器(例えば、左心房103)の標的位置に位置決めされた後、第1のバルーンワイヤ808が引っ張られ、シース801に沿って近位遠位方向(即ち、図8A図8C中の左左方向)にバルーン802を移動させる。波形状突出部810a及び波形状突出部812aは、図8Cのそれらの位置に示されるように、互いから分離されており、これによって、それらは、互いに接触せずに反対方向(即ち、左右方向)に移動することができ、バルーン802が標的位置に移動することを可能にする。バルーン802がシース801に沿った標的位置に到達するとき、ロック機構ワイヤ806は、移動され(例えば、引っ張られ)、波形状突出部810a及び対向する波形状突出部812aを互いに近づくように(即ち、図8A~8C中の上下方向に)移動させ、遂には、ロック機構804は閉鎖され、突出部810a及び812aは、図8Bに示されるそれらの位置に到達し、シース801に沿った標的バルーン位置にバルーン802を固定(例えば、ロック)する。
【0048】
図9は、一実施形態による、ツール922の一部を示す。図9に示されるように、ツール922は、シース壁903を有するシース901と、シース902の遠位部分を覆うバルーン902と、一対のリング904及び905と、シース壁903内に配置されたワイヤ906と、カテーテル907と、塩水管908とを含む。リング904及び905は、バルーン902の各側のバルーン902の周りに配置され、互いから離間され、バルーン902上を摺動するように構成されている。2つのリング904と905との間の距離は、固定要素(図9の2つのリング904と905との間の水平バーとして示される)によって維持され、リング904及び905が、互いに等距離を維持しながら、遠位方向及び近位方向(図9の左右方向)に一緒に移動することを可能にする。バルーン902は、リング904と905との間に配置された膨張可能な部分902aと、リング904及び905の反対側に配置された膨張不可能な部分902b及び902cとを有する。膨張可能な部分902aは、塩水管908を介した塩水流に依存する。したがって、バルーン902の膨張不可能な部分902aの位置及びサイズは、リング904及び905の位置に依存し、リング904及び905は、バルーン902をリング904と905との間で膨張させる塩水流を隔離する。上述した実施形態と同様に、バルーン移動機構は、シース901に沿った異なる位置にバルーン902の位置を調節するための任意の数のバルーンワイヤを備えてもよい。塩水管908は、リング904と905との間のバルーン902に入り、バルーン902の牽引ワイヤに取り付けられて、リング904と905との間のバルーン902の膨張可能な部分902aを塩水で膨張させる。
【0049】
ツール922が患者の臓器(例えば、左心房103)の標的位置に位置決めされた後、ワイヤ906を使用して、バルーン902に沿ったリング904及び905を、シース901に沿った異なる位置に移動させる。バルーンが移動すると、リング904及び905は、シース901のバルーン被覆遠位部分に沿って摺動し得る。バルーン902に沿ったリング904及び905の標的位置が得られると、調節後のリング904及び905の位置に応じてリング904と905との間の部分である、バルーン902の膨張可能な部分902aを膨張させることによって、バルーン902が適所に固定(例えば、ロック)される。
【0050】
本方法は、汎用コンピュータ、プロセッサ、又はプロセッサコアにおいて実施することができる。好適なプロセッサとしては、例として、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、従来型プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと関連する1つ若しくは2つ以上のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)回路、任意の他の種類の集積回路(integrated circuit、IC)、及び/又は状態機械が挙げられる。このようなプロセッサは、処理されたハードウェア記述言語(hardware description language、HDL)命令及びネットリスト等の他の中間データ(このような命令は、コンピュータ可読媒体に格納することが可能である)の結果を用いて製造プロセスを構成することにより、製造することが可能である。このような処理の結果はマスクワークであり得、このマスクワークをその後半導体製造プロセスにおいて使用して、本開示の特徴を実施するプロセッサを製造する。
【0051】
本明細書に提供される方法又はフロー図は、汎用コンピュータ又はプロセッサによる実施のために非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア、又はファームウェアにおいて実施することができる。非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体の例としては、読み取り専用メモリ(read only memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、磁気媒体、例えば、内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスク、磁気光学媒体、並びに光学媒体、例えば、CD-ROMディスク及びデジタル多用途ディスク(digital versatile disk、DVD)が挙げられる。
【0052】
本明細書の開示に基づいて多くの変更例が可能であることを理解されたい。特徴及び要素が特定の組み合わせで上に説明されているが、各特徴又は要素は、他の特徴及び要素を用いずに単独で、又は他の特徴及び要素を用いて若しくは用いずに他の特徴及び要素との様々な組み合わせで使用されてもよい。
【0053】
〔実施の態様〕
(1) ツール位置決め方法であって、
シースと、前記シースに連結された膨張可能なバルーンとを含む医療ツールを、患者の臓器の一部内の標的ツール位置に位置決めすることと、
前記膨張可能なバルーンを、前記シースの長さに沿って近位遠位方向に標的バルーン位置まで移動させることと、
前記バルーンが前記シースの前記長さに沿った前記標的バルーン位置に位置決めされたときに、前記膨張可能なバルーンを膨張させることと、
前記シースの前記長さに沿った前記標的バルーン位置に前記膨張したバルーンを固定して、前記医療ツールが前記標的ツール位置から移動することを防止することと、を含む、ツール位置決め方法。
(2) 前記膨張可能なバルーンを移動させることが、少なくとも1つのバネ要素を介して前記膨張可能なバルーンに連結された回転可能なハンドルを回転させることを含み、前記回転可能なハンドルを回転させることにより、前記少なくとも1つのバネ要素が、拡張又は収縮し、前記膨張可能なバルーンを前記近位遠位方向に移動させる、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記膨張可能なバルーンを移動させることが、前記膨張可能なバルーンに連結された少なくとも1つのバルーンワイヤを移動させることを含み、
前記膨張したバルーンを前記標的バルーン位置に固定することが、前記シース及び前記膨張可能なバルーンのうちの一方の上に配置された少なくとも1つの折り畳み式突出部を、前記シース及び前記膨張可能なバルーンのうちの他方の上に配置された少なくとも1つの空洞に係合させることを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記膨張したバルーンを前記標的バルーン位置に固定することが、
前記少なくとも1つの折り畳み式突出部が前記少なくとも1つの空洞に係合するまで、突出部ワイヤを引っ張ることと、
前記少なくとも1つの折り畳み式突出部が前記少なくとも1つの空洞に係合すると、前記突出部ワイヤを解放することと、を更に含む、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記膨張可能なバルーンを移動させることが、前記膨張可能なバルーンに連結された少なくとも1つのバルーンワイヤを引っ張ることを含み、
前記膨張したバルーンを前記標的位置に固定することが、前記シース上に配置されたスカロップ状突出部を、前記少なくとも1つのバルーンワイヤ上に配置された対向するスカロップ状突出部に近づくように移動させ、かつ前記対向するスカロップ状突出部と係合させることを含む、実施態様1に記載の方法。
【0054】
(6) 前記膨張可能なバルーンを移動させることが、前記膨張可能なバルーンに連結された少なくとも1つのバルーンワイヤを引っ張ることを含み、
前記膨張したバルーンを前記標的位置に固定することが、前記近位遠位方向に互いに離間され、かつ前記膨張可能なバルーンの周りに配置された、一対のリングの間に位置する前記膨張可能なバルーンの膨張可能な部分を膨張させることを含み、これによって、前記膨張可能なバルーンの前記膨張部分の対向する側の各々が、前記一対のリングのうちの異なる1つと接触する、実施態様1に記載の方法。
(7) 医療処置で使用するための医療ツールであって、
シース壁によって画定された管を有するシースであって、近位遠位方向に、ある長さを延在する、シースと、
前記シースに連結された膨張可能なバルーンと、
前記膨張可能なバルーンに連結され、前記シースの前記長さに沿って異なるバルーン位置に前記膨張可能なバルーンを移動させるように構成された、バルーン移動機構と、
前記膨張可能なバルーンを、膨張したときに、前記シースの前記長さに沿った標的バルーン位置に固定して、前記医療ツールが患者の臓器の一部内の標的ツール位置から移動することを防止するように構成されたバルーン固定機構と、を備える、医療ツール。
(8) 前記膨張可能なバルーンに連結され、拡張及び収縮し、かつ前記膨張可能なバルーンを前記シースの前記長さに沿って移動させるように構成された、少なくとも1つのバネ要素と、
回転可能なハンドルであって、前記回転可能なハンドル内に配置されたねじを備え、前記ねじに沿って回転するように構成された、回転可能なハンドルと、
前記少なくとも1つのバネ要素と前記回転可能なハンドルとの間に連結された少なくとも1つのワイヤと、を更に備え、
前記回転可能なハンドルの回転により、前記少なくとも1つのバネ要素が、拡張又は収縮し、前記シースの前記長さに沿って前記近位遠位方向に前記膨張可能なバルーンを移動させる、実施態様7に記載の医療ツール。
(9) 前記膨張可能なバルーンに連結された少なくとも1つのバルーンワイヤと、
前記シース及び前記膨張可能なバルーンのうちの一方の上に配置された少なくとも1つの折り畳み式突出部と、
前記シース及び前記膨張可能なバルーンのうちの他方の上に配置された少なくとも1つの空洞と、を更に備え、
前記少なくとも1つのバルーンワイヤの移動が、前記シースの前記長さに沿って前記近位遠位方向に前記膨張可能なバルーンを移動させ、
前記膨張したバルーンは、前記少なくとも1つの折り畳み式突出部が前記少なくとも1つの空洞に係合すると、前記標的バルーン位置に固定される、実施態様7に記載の医療ツール。
(10) 前記膨張したバルーンは、前記少なくとも1つの折り畳み式突出部が前記少なくとも1つの空洞に係合するまで、突出部ワイヤを引っ張ることと、前記少なくとも1つの折り畳み式突出部が前記少なくとも1つの空洞に係合すると、前記突出部ワイヤを解放することと、によって、前記標的バルーン位置に固定される、実施態様9に記載の医療ツール。
【0055】
(11) 前記シース壁上に配置された複数の第1の波形状突出部と、
前記膨張したバルーンに連結され、かつ前記複数の第1の波形状突出部に対向する複数の第2の波形状突出部を備える、第1のバルーンワイヤと、
前記複数の第1の波形状突出部及び前記複数の第2の波形状突出部のうちの少なくとも1つに連結されたロック機構と、
前記ロック機構に連結されたロックワイヤと、を更に備え、
前記第1のバルーンワイヤが移動すると、前記膨張可能なバルーンが移動し、
前記ロックワイヤが移動すると、前記複数の第1の波形状突出部及び前記複数の第2の波形状突出部は、互いに向かって移動させられ、互いに係合させられ、前記膨張したバルーンを前記標的バルーン位置に固定させる、実施態様7に記載の医療ツール。
(12) 前記シース壁上に配置された複数の第1の波形状突出部と、
前記膨張したバルーンに連結され、かつ前記複数の第1の波形状突出部に対向する複数の第2の波形状突出部を備える、第1のバルーンワイヤと、
前記複数の第1の波形状突出部及び前記複数の第2の波形状突出部のうちの少なくとも1つに連結され、第1の位置と第2の位置との間で移動するように構成された、ロック機構と、を更に備え、
前記ロック機構が前記第1の位置にあるとき、前記複数の第1の波形状突出部は、前記複数の第2の波形状突出部から離間され、これによって、前記膨張可能なバルーンが前記近位遠位方向に移動することを可能にし、
前記ロック機構が前記第2の位置にあるとき、前記複数の第1の波形状突出部及び前記複数の第2の波形状突出部は、互いに係合し、かつ前記膨張したバルーンが前記近位遠位方向に移動するのを防止するように構成されている、実施態様7に記載の医療ツール。
(13) 前記膨張可能なバルーンが、前記シースの周りに配置され、膨張可能な部分及び膨張不可能な部分を備え、前記医療ツールが、
前記膨張可能なバルーンに連結された少なくとも1つのバルーンワイヤと、
前記膨張可能なバルーンの周りに配置され、前記近位遠位方向に互いに離間している一対のリングと、を更に備え、
前記膨張可能なバルーンが膨張されると、前記膨張可能なバルーンの前記膨張部分の対向する側のうちの各1つは、前記一対のリングのうちの異なる1つと接触し、前記膨張したバルーンを前記標的バルーン位置に固定する、実施態様7に記載の医療ツール。
(14) 医療処置で使用するためのツール位置決めシステムであって、
患者の臓器の一部内の標的ツール位置にナビゲートされるように構成された医療ツールであって、
シース壁によって画定された管を有するシースであって、近位遠位方向に、ある長さを延在する、シースと、
前記シースに連結され、前記近位遠位方向に前記シースの前記長さに沿って移動するように構成された膨張可能なバルーンであって、前記膨張可能なバルーンが、前記シースの前記長さに沿った標的バルーン位置で膨張されると、前記膨張したバルーンが、前記標的バルーン位置に固定される、膨張可能なバルーンと、を備える、医療ツールと、
前記患者の前記臓器を含む3次元(3D)空間内の前記ツールの位置を示す、取得された位置信号に対応する位置データを記憶するように構成されたメモリと、
前記位置データから、前記3D空間内の前記ツールの位置を表示するためのマッピング情報を生成するように構成された少なくとも1つのプロセッサと、を備える、ツール位置決めシステム。
(15) 前記医療ツールが、
前記膨張可能なバルーンに連結され、拡張及び収縮し、かつ前記膨張可能なバルーンを前記シースの前記長さに沿って移動させるように構成された、少なくとも1つのバネ要素と、
回転可能なハンドルであって、前記回転可能なハンドル内に配置されたねじを備え、前記ねじに沿って回転するように構成された、回転可能なハンドルと、
前記少なくとも1つのバネ要素と前記回転可能なハンドルとの間に連結された少なくとも1つのワイヤと、を更に備え、
前記回転可能なハンドルの回転により、前記少なくとも1つのバネ要素が、拡張又は収縮し、前記シースの前記長さに沿って前記近位遠位方向に前記膨張可能なバルーンを移動させる、実施態様14に記載のツール位置決めシステム。
【0056】
(16) 前記医療ツールが、
前記膨張可能なバルーンに連結された少なくとも1つのバルーンワイヤと、
前記シース及び前記膨張可能なバルーンのうちの一方の上に配置された少なくとも1つの折り畳み式突出部と、
前記シース及び前記膨張可能なバルーンのうちの他方の上に配置された少なくとも1つの空洞と、を更に備え、
前記少なくとも1つのバルーンワイヤの移動が、前記シースの前記長さに沿って前記近位遠位方向に前記膨張可能なバルーンを移動させ、
前記膨張したバルーンは、前記少なくとも1つの折り畳み式突出部が前記少なくとも1つの空洞に係合すると、前記標的バルーン位置に固定される、実施態様14に記載のツール位置決めシステム。
(17) 前記膨張したバルーンは、前記少なくとも1つの折り畳み式突出部が前記少なくとも1つの空洞に係合するまで、突出部ワイヤを引っ張ることと、前記少なくとも1つの折り畳み式突出部が前記少なくとも1つの空洞に係合すると、前記突出部ワイヤを解放することと、によって、前記標的バルーン位置に固定される、実施態様16に記載のツール位置決めシステム。
(18) 前記医療ツールが、
前記シース壁上に配置された複数の第1の波形状突出部と、
前記膨張したバルーンに連結され、前記複数の第1の波形状突出部に対向する複数の第2の波形状突出部を備える、第1のバルーンワイヤと、
前記複数の第1の波形状突出部及び前記複数の第2の波形状突出部のうちの少なくとも1つに連結されたロック機構と、
前記ロック機構に連結されたロックワイヤと、を更に備え、
前記第1のバルーンワイヤが移動すると、前記膨張可能なバルーンが移動し、
前記ロックワイヤが移動すると、前記複数の第1の波形状突出部及び前記複数の第2の波形状突出部は、互いに向かって移動させられ、互いに係合させられ、前記膨張したバルーンを前記標的バルーン位置に固定させる、実施態様14に記載のツール位置決めシステム。
(19) 前記医療ツールが、
前記シース壁上に配置された複数の第1の波形状突出部と、
前記膨張したバルーンに連結され、前記複数の第1の波形状突出部に対向する複数の第2の波形状突出部を備える、第1のバルーンワイヤと、
前記複数の第1の波形状突出部及び前記複数の第2の波形状突出部のうちの少なくとも1つに連結され、第1の位置と第2の位置との間で移動するように構成されたロック機構と、を更に備え、
前記ロック機構が前記第1の位置にあるとき、前記複数の第1の波形状突出部は、前記複数の第2の波形状突出部から離間され、これによって、前記膨張可能なバルーンが前記近位遠位方向に移動することを可能にし、
前記ロック機構が前記第2の位置にあるとき、前記複数の第1の波形状突出部及び前記複数の第2の波形状突出部は、互いに係合し、かつ前記膨張したバルーンが前記近位遠位方向に移動するのを防止するように構成されている、実施態様14に記載のツール位置決めシステム。
(20) 前記膨張可能なバルーンが、前記シースの周りに配置され、膨張可能な部分及び膨張不可能な部分を備え、前記医療ツールが、
前記膨張可能なバルーンに連結された少なくとも1つのバルーンワイヤと、
前記膨張可能なバルーンの周りに配置され、前記近位遠位方向に互いに離間している一対のリングと、を更に備え、
前記膨張可能なバルーンが膨張されると、前記膨張可能なバルーンの前記膨張部分の対向する側のうちの各1つは、前記一対のリングのうちの異なる1つと接触し、前記膨張したバルーンを前記標的バルーン位置に固定する、実施態様14に記載のツール位置決めシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図9
【外国語明細書】