(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147728
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】内視鏡外科用具を用いて膵臓から物質を除去するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3205 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
A61B17/3205
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024114773
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2020567124の分割
【原出願日】2019-05-31
(31)【優先権主張番号】62/679,559
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/682,634
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514136646
【氏名又は名称】インタースコープ, インク.
【氏名又は名称原語表記】INTERSCOPE, INC.
【住所又は居所原語表記】200 Commerce Dr, 2nd Floor Northbridge, MA 01534 (US).
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】ライアン, ジュニア, ジェフェリー ビー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】膵臓貯留および膵周囲貯留から内視鏡用具を使って物質を除去するシステムを提供する。
【解決手段】被験者から物質を除去する方法は、被験者の食道を介して内視鏡を被験者に挿入する段階と;被験者の胃の外部で被験者内の部位に到達するために前記胃の腔壁を介して、内視鏡と結合された内視鏡用具を導入する段階と;この部位で物質を切断するため内視鏡用具の切断アセンブリを作動させる段階であって、物質は、被験者の膵臓内の膵液体貯留または膵臓外部の膵外液体貯留の少なくとも一方に関連付けられている、作動させる段階と;内視鏡用具の吸入チャンネルを介して物質を除去するため、吸入チャンネルの第1端に吸引力を印加する段階であって、吸入チャンネルは、第1端から切断アセンブリの開口部における第2端まで延伸する、印加する段階とを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者から物質を除去するためのシステムであって:
前記物質に到達可能とするため少なくとも1つの嚢胞胃開口を形成するよう構成された少なくとも1つのステントであって、前記物質は、前記被験者の膵臓内の膵液体貯留または前記膵臓外部の膵外液体貯留の少なくとも一方に関連付けられている、少なくとも1つのステントと;
器具チャンネルおよびアクセサリチャンネルを含む内視鏡と;
前記内視鏡と結合された内視鏡用具であって:
外側カニューレおよび当該外側カニューレ内に配置された内側カニューレを含む切断アセンブリであって、前記被験者の胃の外部で膵周囲および膵臓空間内における部位で物質を切断するよう構成された切断アセンブリと;
前記外側カニューレに結合された柔軟性外側チュービングと;
柔軟性トルクコイルまたは柔軟性トルクロープを含む柔軟性トルク要素であって、前記内側カニューレに結合されると共に、前記物質を除去するために、前記外側カニューレに対して前記内側カニューレに回転または往復運動の少なくとも一方を行わせるよう構成された柔軟性トルク要素と;
真空源に係合するよう構成された吸入ポートを備えた吸入チャンネルであって、前記内側カニューレの内壁により部分的に形成されると共に前記内側カニューレに形成された少なくとも1つの開口部から前記吸入ポートまで延伸する吸入チャンネルと、を含んだ内視鏡用具とを含む、システム。
【請求項2】
前記内視鏡用具は、前記器具チャンネルまたは前記アクセサリチャンネルの少なくとも一方を介して用意され、前記少なくとも1つの開口部を通過するよう寸法決めされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記内視鏡用具の直径は、3mmより大きく7mm未満である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのステントは、内腔対向金属ステント(LAMS)、全カバー付き金属ステント、または少なくとも1つのプラスチック・ピッグテール・ステントの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記内視鏡用具を通って延伸するチャンネルを含む外装であって、前記内視鏡に対する前記内視鏡用具の移動範囲を増大させるため、前記内視鏡器具用具を前記内視鏡の外部で前記内視鏡に結合するよう構成された外装をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
少なくとも1つのギアに結合されたブッシングを含む往復運動器をさらに含み、前記ブッシングは、前記柔軟性トルク要素に結合され、前記往復運動器は、前記柔軟性トルク要素の回転に応答して前記内側カニューレを往復運動させるよう構成されている、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年6月1日付けで提出された「内視鏡外科用具を用いて膵臓から物質を除去するための方法」と題した米国仮特許出願第62/679,559号および2018年6月8日付けで提出された「内視鏡外科用具を用いて膵臓から物質を除去するための方法」と題した米国仮特許出願第62/682,634号の利益および優先権を主張し、その全体は、ここに引用してあらゆる目的のため援用する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概して膵臓の処置に関する。より具体的には、本開示は、膵臓貯留および膵周囲貯留から内視鏡用具を使って物質を除去するシステムおよび方法に係わる。
【0003】
膵壊死が感染すると、急性膵炎は重篤な経過をたどることがある。既存の処置では、一般的には、被験者に対する侵襲性処置が行われている。既存の内視鏡処置は、壊死組織を除去する能力が限られている場合があり、結果として多くの時間を要する処置となり、限定的な成果しか得られないため、しばしば複数回の処置が必要となる。
【発明の概要】
【0004】
本解決策は、マサチューセッツ州ホワイティンズビル所在のインタースコープ社(Interscope, Inc.)が製造するエンドローターなどの内視鏡用具を用いて、被験者体内の壊死性膵臓炎を備えた組織小片を吸引、切断、かつ除去する。
【0005】
少なくとも1つの側面は、被験者から物質を除去するための方法に関する。前記方法は、前記被験者の食道を介して内視鏡を前記被験者に挿入する段階と;前記被験者の胃の外部で前記被験者内の部位に到達するために、膵周囲流体貯留または膵臓流体貯留を前記被験者の前記胃の壁に接続または吻合する嚢胞胃開口術と呼ばれる経管腔的内視鏡手術(NOTES)を介して、内視鏡を導入する段階であって、内視鏡用具が前記内視鏡と結合されている、導入する段階と;前記部位で物質を切断するため前記内視鏡用具の切断アセンブリを作動させる段階であって、前記物質は、前記被験者の膵臓の膵液体貯留/膵周囲液体貯留の少なくとも一方に関連付けられている、作動させる段階と;前記内視鏡用具の吸入チャンネルを介して前記物質を除去するため、前記吸入チャンネルの第1端に吸引力を印加する段階であって、前記吸入チャンネルは、前記第1端から前記切断アセンブリの開口部における第2端まで延伸する、印加する段階とを含むことができる。
【0006】
少なくとも1つの側面は、被験者から物質を除去するためのシステムに関する。前記システムは、前記物質への到達を可能とするため少なくとも1つの開口部を形成するよう構成された少なくとも1つのステントおよび嚢胞胃開口を含むことができる。前記物質は、前記被験者の膵臓内の膵液体貯留または前記膵臓外部の膵外液体貯留の少なくとも一方に関連付けることができる。前記システムは、内視鏡であって、当該内視鏡の外部に配置された器具チャンネルおよび/またはアクセサリチャンネルを含む内視鏡を含むことができる。前記システムは、前記内視鏡と結合された内視鏡用具を含むことができる。前記内視鏡用具は、外側カニューレおよび当該外側カニューレ内に配置された内側カニューを含む切断アセンブリと;前記外側カニューレに結合された柔軟性外側チュービングと;柔軟性トルクコイルまたは柔軟性トルクロープを含む柔軟性トルク要素であって、前記内側カニューレに結合されると共に、前記物質を除去するために、前記内側カニューレに前記外側カニューレに対する回転または往復運動の少なくとも一方を行わせるよう構成された柔軟性トルク要素と;真空源に係合するよう構成された吸入ポートを備えた吸入チャンネルであって、前記内側カニューレの内壁により部分的に形成されると共に、前記内側カニューレに形成された開口部から前記吸入ポートまで延伸する吸入チャンネルとを含むことができる。
【0007】
以下、上記およびそれ以外の側面ならびに実装例をより詳細に説明する。上述の情報および次の詳細な説明は、様々な側面および実装例の説明的な実例を含み、請求項に記載された側面および実装例の性質ならびに特徴を理解するための全体像および枠組みを提供する。図面は、説明図ならびに上記の様々な側面および実装例のより一層の理解をもたらし、本明細書に組み込まれてその一部を成すものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付の図面は一定の縮尺を意図して描かれてはいない。これら様々な図面中の類似番号および記号は、類似の構成要素を示す。明確性のため、全ての図面で全ての構成要素には参照番号を付加していない。図面は次の通り。
【
図1】
図1Aは、本開示の実施形態による内視鏡用具と、当該内視鏡用具を駆動するよう構成された駆動アセンブリの一部分との透視図を示す。
図1Bは、本開示の実施形態による
図1Aに示した内視鏡用具および当該内視鏡用具を駆動するよう構成された駆動アセンブリの部分の透視図を示す。
【
図2】本開示の実施形態による
図1A~1Bに示した内視鏡用具の上面図と、駆動アセンブリの部分の上部露出図とを示す。
【
図3】本開示の実施形態によるA-A断面についての
図1A~1Bに示した内視鏡用具と駆動アセンブリの部分の断面図である。
【
図4】本開示の実施形態による
図1A~1Bに示した内視鏡の駆動コネクタおよび駆動アセンブリの部分の拡大図を示す。
【
図5】本開示の実施形態による
図1A~1Bに示した内視鏡用具および駆動アセンブリの一部分の透視図を示す。
【
図6】本開示の実施形態によるB-B断面についての内視鏡用具と駆動アセンブリの部分の断面図である。
【
図7】本開示の実施形態による内視鏡用具の回転結合器部分の拡大断面図を示す。
【
図8】
図8Aおよび
図8Bは、本開示の実施形態による内視鏡用具の回転結合器の上面図および断面図を示す。
【
図9】本開示の実施形態による駆動アセンブリ内で動作するため挿入される内視鏡用具の一部の透視図である。
【
図21】内視鏡的膵臓処置を実行可能な被験者のトルソ領域の概略図である。
【
図22】内視鏡用具を使って内視鏡的膵臓処置を実行するための方法のフローチャートである。
【
図23】内視鏡器具を内視鏡に結合する外装の概略図である。
【
図24】内視鏡器具の内側切断器を往復運動させるための往復運動器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A. 内視鏡器具システムおよび方法
本明細書で記載する技術は、患者から単一および複数のポリープならびに新生物の標本を正確かつ効率的に採取できる改良型の軟性内視鏡器具に関する。特に、この改良型内視鏡器具は、患者の体内の治療部位からこの内視鏡器具を除去することなく、1つまたは複数のポリープおよび壊死性物質から標本のデブリードマンを行いかつデブリードマンを行った標本を取り出すことができる。
【0010】
本開示は、図面と組み合わせて読まれるべき次の記載を介すれば完全に理解されるはずである。この記載では、類似の番号は本開示の異なる実施形態においても類似の要素を示す。この記載において、請求項は実施形態に関連して説明する。当業者であれば、本明細書に記載された方法、装置、およびシステムは例示的なものにすぎず、本開示の趣旨と範囲を逸脱することなく変更可能であることは容易に理解するはずである。
【0011】
本開示は、任意種類の内視鏡と共に使用するよう適合された内視鏡器具に関するものだが、本開示の教示は、便宜上、結腸鏡のような下部消化管鏡と共に使用する内視鏡器具に関するものとする。しかし、本開示の検査鏡は、消化管鏡と共に使用する内視鏡器具に限定されるものではなく、気管支鏡、胃鏡および喉頭鏡または患者を治療するために使用できる他種類の医療用具を含むがそれらに限定されない任意種類の軟性内視鏡に及ぶことは理解されるべきである。
【0012】
内視鏡器具は、概してポリープのデブリードマンを行うよう構成可能なデブリードマン要素を含むことができる。デブリードマンは、例えば、患者身体の表面からポリープまたはポリープの一部を切り離す動作を含むことができる。従って、全体的または部分的な切断、スネアリング、細断、薄く切ること、粉砕することに限定されないがそれらを含む動作もデブリードマンの例である。従って、デブリードマン要素は、患者身体の表面からポリープを切断し、スネアし、細断し、薄切りし、または粉砕できる構成要素でよい。従って、デブリードマン要素は、鉗子、挟み、ナイフ、スネア、シュレッダー、またはデブリードマンを実行できる他の任意要素でよい。幾つかの実施形態では、デブリードマン要素が操作者によって発生された機械的力の伝達により動作されるようにデブリードマン要素は手動で作動させてもよいし、或いは、デブリードマン要素を作動させるためタービン、電動モーター、もしくは他の任意の力発生要素を用いて自動的に作動されるようにしてもよい。例えば、デブリードマン要素は、液圧、空気圧、または電気により作動させればよい。様々な実施形態では、内視鏡のチュービングまたはチャンネルを通過する別の導管を用いて、電動モーターなどの電動アクチュエータに給電するための電線を配線できるように構成してもよい。
【0013】
デブリードマン要素は、手動で動作するか或いは物質に対してデブリードマンを行う他の任意手段を用いてよく、デブリードマンされた物質は上述の吸引導管を介して手術部位から回収できる。従って、デブリードマン要素の例は、スニップ、ブレード、ソー、もしくはタービンアセンブリに駆動されうるまたはされない他の任意の鋭利な工具を含むことができるがそれらに限定されない。小片に切断された物質は、内視鏡から内視鏡器具を除去することなく吸引導管を介して回収できるので、物質を小片に切断可能なデブリードマン要素の使用が望ましいことがあることは理解すべきである。
【0014】
内視鏡は、一回の操作で、容易に、1つまたは複数の物質および壊死性物質のデブリードマンを行い、関連したデブリードマンされた物質を除去するよう設計できる。様々な実施形態では、この内視鏡は、デブリードマンされた物質を除去し、洗浄流体を供給し、空気圧または液圧流体の少なくとも一方を供給しかつ除去するための1つまたは複数の別個のチャンネルを含むことができる。さらに、この内視鏡は、当該内視鏡の一端に固定的または着脱可能に結合できるデブリードマン要素を含むことができる。様々な実施形態では、このデブリードマン要素の動作に基づいて、別個のデブリードマン要素チャンネルをデブリードマン要素用に設計してもよい。さらに、この内視鏡は光源およびカメラを含むことができる。一実施形態では、内視鏡は、デブリードマン要素を作動するために、既存のチャンネルを利用して空気圧または液圧流体を内視鏡器具のアクチュエータに供給してもよい。
【0015】
様々な実施形態では、内視鏡器具は、組織の一定の層の存在を検出するよう構成できる。これは、医師がポリープのデブリードマンを行う場合に、特に用心して腸の穿孔を防止するのに有効となりうる。幾つかの実施形態では、内視鏡器具は、組織間の異なるインピーダンスに基づいて組織の種類を特定するため、内視鏡の外部にあるセンサ処理構成要素と通信可能なセンサを備えてもよい。このセンサは、密度情報に加え温度情報も収集し、こうした情報に対応した信号を、感知した組織の種類を識別可能なセンサ処理ユニットに与えることができる。幾つかの実装例では、このセンサは電気センサでよい。
【0016】
さらに、この内視鏡器具は、医師が患者体内の特定の領域に印をつけられるようにする注入可能染料要素を備えていてもよい。他の実施形態では、医師は、注入可能染料を利用しなくてもデブリードマン要素を使用して特定の領域に印を付けることができる。
【0017】
本開示は、内視鏡の先端部に取り付けられる工具および内視鏡の全長にわたって送り込むことができる工具を含むがそれらに限定されないものを含む内視鏡器具の様々な実施形態を開示するが、本開示の範囲はそうした実施形態または内視鏡器具一般に限定することを意図したものでない。本開示の範囲は、むしろ単一の工具を使って患者の体内からポリープおよび壊死性物質のデブリードマンを行いかつ除去できる任意の装置まで拡張される。従って、本開示の範囲は、本明細書に記載された内視鏡器具の幾つかまたはすべての構成要素を用いて作製できる改良型内視鏡にまで拡張される。例えば、一体型タービンアセンブリを備えかつデブリードマン要素に結合されるよう構成された改良型内視鏡も本明細書に開示されている。さらに、この内視鏡は、その全長を延伸する予め形成した導管も含むことができ、吸引導管だけを使い捨てチュービングにより形成して、空気進入および排出導管ならびに洗浄導管は改良型内視鏡内に永続的に形成してもよい。他の実施形態では、吸引導管も予め形成されているが、複数の患者に対して使用できるように洗浄かつ清浄にできるよう作製できる。同様に、デブリードマン要素も内視鏡の一部としてもよいが、複数の患者に対して使用できるように洗浄かつ清浄可能としてもよい。さらに、当業者であれば、内視鏡器具を構成する構成要素の一部または全部を、患者の体内からポリープのデブリードマンを行いかつ除去するのに使用する既存の内視鏡または新たに設計した内視鏡に組み込んでよいことは理解するはずである。
【0018】
幾つかの実装例では、内視鏡の単一の器具チャンネル内に挿入できる内視鏡器具は、被験者内の部位で物質を切除するよう構成された動力駆動器具ヘッドまたは切断アセンブリを含むことができる。この切断アセンブリは、外側カニューレと、当該外側カニューレ内に配置された内側カニューレとを含む。この外側カニューレは、切除される物質が切断アセンブリに入る際に通過する開口部を形成する。この内視鏡器具は、外側カニューレに結合された柔軟性外側チュービングであって、外側カニューレを内側カニューレに対して回転させるよう構成された柔軟性外側チュービングも含む。柔軟性外側チュービングの外径は、内視鏡器具を挿入できる器具チャンネルよりも小さくできる。内視鏡器具は、柔軟性外側チュービング内に配置された部分を備えた柔軟性トルクコイルも含む。柔軟性トルクコイルは、内側カニューレに結合された遠位端を含み。柔軟性トルクコイルは、内側カニューレを外側カニューレに対して回転させるよう構成されている。さらに、内視鏡器具は、柔軟性トルクコイルの近位端に結合されると共に駆動アセンブリと係合するよう構成された近位コネクタを含み、この駆動アセンブリは、作動すると近位コネクタと、柔軟性トルクコイルと、内側カニューレとを回転させるよう構成されている。さらに内視鏡器具は、真空源に係合するよう構成された吸入ポートを備えた吸入チャンネルを含む。吸入チャンネルは、柔軟性トルクコイルの内壁および内側カニューレの内壁により部分的に形成されており、内側カニューレに形成された開口部から吸入ポートまで延伸する。さらに、この内視鏡器具は、柔軟性トルクコイルの外壁と柔軟性外側チュービングの内壁との間に形成された第1部分を備えた洗浄チャンネルであって、吸入チャンネルに洗浄流体を運ぶよう構成された洗浄チャンネルを含む。
【0019】
幾つかの実装例では、近位コネクタは中空であり、近位コネクタの内壁は吸入チャンネルの一部を形成する。幾つかの実装例では、近位コネクタは硬質の円柱構造体であり、駆動アセンブリの駆動レセプタクル内に配置されるよう構成されている。近位コネクタは、駆動アセンブリに係合するよう構成された結合器と、内側カニューレを外側カニューレの遠位端に向けて付勢するよう構成された張力調整バネとを含むことができる。幾つかの実装例では、張力調整バネが内側カニューレの切断部分を外側カニューレの開口部に隣接して位置決めするように、張力調整バネは寸法決めかつ付勢されている。幾つかの実装例では、近位コネクタは、柔軟性トルクコイルに回転可能に流体結合されている。幾つかの実装例では、内側カニューレの遠位端が外側カニューレの内側遠位壁に接触するよう、張力調整バネは寸法決めかつ付勢されている。これにより、柔軟性トルクコイルの回転による内側カニューレの遠位端でのむち打ち(whip)により発生される横方向または望ましくない動きを制限できる。
【0020】
幾つかの実装例では、内視鏡器具は、洗浄進入ポートを含む潅注コネクタと、当該潅注コネクタおよび柔軟性外側チュービングに結合された管状部材とをさらに含む。管状部材の内壁および柔軟性トルクコイルの外壁は、洗浄チャンネルの第1部分に流体結合される洗浄チャンネルの第2部分を形成できる。幾つかの実装例では、内視鏡器具は、柔軟性外側チュービングを管状部材に結合させる回転結合器であって、柔軟性外側チュービングを管状部材に対して回転させかつ外側カニューレに形成された開口部を内側カニューレに対して回転させるよう構成された回転結合器も含む。幾つかの実装例では、潅注コネクタは、柔軟性トルクコイルが内部に配置された内側穴を形成する。
【0021】
幾つかの実装例では、内視鏡器具は、柔軟性トルクコイルが内部に配置されたライニングも含み、当該ライニングの外壁は、洗浄チャンネルの一部を形成するよう構成されている。幾つかの実装例では、内側カニューレは、当該内側カニューレの長手方向軸を中心にかつ外側カニューレに対して回転するよう構成されており、吸入チャンネルは、内側カニューレの開口部で吸引力を掛けるよう構成されている。
【0022】
幾つかの実装例では、柔軟性トルクコイルは、複数のスレッドを含む。複数のスレッドそれぞれは、当該複数のスレッドの1つまたは複数の隣接するスレッドが巻かれている方向とは反対方向に巻くことができる。幾つかの実装例では、柔軟性トルクコイルは複数の層を含む。複数の層それぞれは、当該複数の層の1つまたは複数の隣接する層が巻かれている方向とは反対方向に巻くことができる。幾つかの実装例では、各層は、1つまたは複数のスレッドを含むことができる。幾つかの実装例では、この柔軟ケーブルは、3つの別々のスレッドまたはワイヤから作製できる。内側ワイヤは左巻き(left-hand wound)とすることができ、中央ワイヤは右巻きとすることができ、外側ワイヤは左巻きとすることができる。幾つかの実装例では、内側ワイヤは右巻きとすることができ、中央ワイヤは左巻きとすることができ、外側ワイヤは右巻きとすることができる。幾つかの実装例では、この柔軟ケーブルは、2つの別々のスレッドまたはワイヤから作製できる。そうした幾つかの実装例では、内側ワイヤは左巻きとすることができ、外側ワイヤは右巻きとすることができる。他の幾つかの実装例では、内側ワイヤは右巻きとすることができ、外側ワイヤは左巻きとすることができる。幾つかの実装例では、ワイヤロープのストランドは、Z撚りまたはS撚りで撚ることができる。柔軟性ケーブルの例としては、アサヒ・インテック製のワイヤロープおよびトルクコイルが含まれる。幾つかの実装例では、トルクロープまたはコイルの外径は、内視鏡用具が組み合わせて使用される内視鏡の作動チャンネルのサイズによって限定される。計算に入れる必要がある他のサイズ考慮点には、吸入チャンネルや洗浄チャンネルなどに十分に空間を確保することが含まれる。幾つかの実装例では、トルクコイルまたはトルクロープの外径は0.1 mmと4 mmとの間とすればよい。幾つかの実装例では、トルクコイルまたはロープの外径は0.5 mm~2.0 mmとすればよい。
【0023】
幾つかの実装例では、柔軟性外側チュービングは、内視鏡器具が挿入される内視鏡の長さを超える長さを備えている。幾つかの実装例では、柔軟性外側チュービングは、当該柔軟性外側チュービングの外径より少なくとも100倍の長さを備えている。幾つかの実装例では、柔軟部は、切断アセンブリの少なくとも40倍の長さである。
【0024】
図1A~1Bは、内視鏡用具100および当該内視鏡用具を駆動するよう構成された駆動アセンブリ150の一部分の透視図を示す。
図1Bは、
図1A~1Bに示した内視鏡用具および当該内視鏡用具を駆動するよう構成された駆動アセンブリの部分の透視図を示す。
図2、3、および4もここで参照すると、
図2は、
図1A~1Bに示した内視鏡用具100の上面図と、駆動アセンブリ150の部分の上部露出図とを示す。
図3は、A-A断面についての内視鏡用具100と駆動アセンブリ150の部分の断面図を示す。
図4は、内視鏡の駆動コネクタおよび駆動アセンブリ150の部分の拡大図を示す。
図5は、
図1A~1Bに示した内視鏡用具100および駆動アセンブリの一部分の透視図を示す。
図6は、B-B断面についての内視鏡用具と駆動アセンブリの部分の断面図を示す。
図7は、この内視鏡用具の回転結合器部分の拡大断面図を示す。
図8Aおよび
図8Bは、この内視鏡用具の回転結合器の上面図および断面図を示す。
【0025】
内視鏡用具100は、
図1A~8Bに示したように、内視鏡の器具チャンネル内に挿入されるよう構成できる。内視鏡の例は、結腸鏡などの胃鏡、喉頭鏡または他の軟性内視鏡を含むことができる。こうした内視鏡用具は、器具チャンネル内に挿入されるよう成形、寸法決め、かつ構成された柔軟部102を含むことができる一方で、内視鏡用具100の残りの部分は、内視鏡の器具チャンネルの外部に残るよう構成できる。柔軟部102は、器具チャンネル内に嵌合するよう成形かつ寸法決めでき、内視鏡が患者に挿入されているときは器具チャンネルにより形成された蛇行状経路を通るよう構成できる。結腸鏡の場合は、結腸鏡は少なくとも60度、場合によっては90度を超える一連の湾曲部を形成できる。
【0026】
内視鏡用具100は、被験者体内の部位で物質を切除するよう構成された切断アセンブリ110を含むことができる。幾つかの実装例では、切断アセンブリ110は、外側カニューレと、当該外側カニューレ内に配置された内側カニューレとを含むことができる。この外側カニューレは、切除すべき物質が切断アセンブリ110に入る際に通過する開口部112を形成できる。幾つかの実装例では、開口部112は、外側カニューレの半径方向壁の一部を貫通して形成されている。幾つかの実装例では、この開口部は、外側カニューレの半径範囲の一部のみ、例えば半径方向壁の円周の最大3分の1を延伸するようにしてよい。吸入チャンネル190は、吸入ポート192と開口部112との間を延伸しているので、吸入ポート192で吸引力を掛けると、開口部112で吸引力が掛けられることになる。この吸引力によって、物質が、外側カニューレの開口部内に導入され、次いで切断アセンブリの内側カニューレにより切断可能となる。
【0027】
この内側カニューレは、開口部112に隣接して配置されるように構成された切断部を含むことができ、開口部112を介して切断アセンブリに入る切除対象の物質は、内側カニューレの切断部によって切除できる。内側カニューレは中空でよく、内側カニューレの内壁は、内視鏡用具の全長にわたり延伸可能な吸入チャンネルの一部を形成できる。内側カニューレの遠位端は、切断部を含むことができる一方、内側カニューレの近位端は開口させることができ、切断部を介して内側カニューレの遠位端に入る物質は、内側カニューレの近位端を通過できる。幾つかの実装例では、内側カニューレの遠位端は、外側カニューレの遠位端の内側表面と接触できる。これによって、幾つかの実装例では、内側カニューレが概ね長手方向軸に沿って外側カニューレに対して回転でき、内側カニューレの回転時に内側カニューレをより安定させる。幾つかの実装例では、開口部の大きさが、内側カニューレにより切断または切除される物質の大きさを決定できる。よって、開口部の大きさは、柔軟性トルクコイルの内周により形成される吸入チャンネルのサイズに部分的に基づいて決定される。
【0028】
内視鏡器具100は、柔軟性トルクコイル180を含むことができ、当該柔軟性トルクコイル180は、その遠位端において内側カニューレの近位端に結合するよう構成されている。この柔軟性トルクコイルは、多数のスレッドおよび多数の層を備えた微細なコイルを含み、これが柔軟性トルクコイルの一端の回転を柔軟性トルクコイルの反対端に伝えることができる。この柔軟性トルクコイルのスレッドの層それぞれは、そのスレッドの層に隣接するスレッドの層それぞれが巻かれている方向とは反対方向に巻くことができる。幾つかの実装例では、この柔軟性トルクコイルは、時計回り方向に巻かれた第1のスレッドの層と、反時計回りに巻かれた第2のスレッドの層と、時計回り方向に巻かれた第3のスレッドの層とを含むことができる。幾つかの実装例では、第1のスレッドの層は、第2のスレッドの層によって第3のスレッドの層から分離されている。幾つかの実装例では、各スレッドの層は、1つまたは複数のスレッドを含むことができる。幾つかの実装例では、これらスレッドの層は、異なる材料製としたり、厚さ、長さなどの異なる特徴を備えたりすることができる。
【0029】
トルクコイル180の柔軟性により、コイルは、トルクコイル180の曲がった部分でも性能を維持できる。柔軟性トルクコイル180の例としては、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタアナ所在のアサヒ・インテック・ユーエスエー社(ASAHI INTECC USA, INC)製のトルクコイルが含まれる。幾つかの実装例では、柔軟性トルクコイル180は、外装またはライニングで囲んで、柔軟性トルクコイル180の外側表面と他の表面との摩擦接触を避けることができる。幾つかの実装例では、柔軟性トルクコイル180は、ポリテトラフルオロエチレン(PFTE)で被覆して、柔軟性トルクコイル180の外側表面と他の表面との摩擦接触を減少させることができる。柔軟性トルクコイル180は、内視鏡用具が挿入される内視鏡の器具チャンネルの直径より小さい外径となるよう寸法決め、成形、または構成できる。例えば、幾つかの実装例では、この柔軟性トルクコイルの外径は、1~4ミリメートルの範囲内とすることができる。この柔軟性トルクコイルの長さは、内視鏡の長さを超えるように寸法決めできる。幾つかの実装例では、柔軟性トルクコイル180の内壁は、切断アセンブリ110の内側カニューレの内壁により形成された吸入チャンネルの部分に流体結合される吸入チャンネルの別の部分を形成するよう構成できる。柔軟性トルクコイル180の近位端は、近位コネクタアセンブリ170に結合でき、その詳細は後述する。
【0030】
内視鏡用具100は、外側カニューレの近位端に結合可能な柔軟性外側チュービング186を含むことができる。幾つかの実装例では、柔軟性外側チュービング186の遠位端は、結合構成要素を用いて、外側カニューレの近位端に結合できる。幾つかの実装例では、外側カニューレは、柔軟性外側チュービングの回転に応答して回転するように構成できる。幾つかの実装例では、柔軟性外側チュービング186は、内視鏡器具100が挿入される内視鏡の器具チャンネルよりも小さい外径を備えた中空の編組チュービングとすることができる。幾つかの実装例では、柔軟性外側チュービング186の長さは、内視鏡の長さを超えるように寸法決めできる。柔軟性外側チュービング186は、柔軟性外側チュービング186の一部分が延伸する穴を形成できる。柔軟性外側チュービング186は、当該柔軟性外側チュービング186内に部分的に配置される柔軟性トルクコイルに対する柔軟性外側チュービング186の回転を促進する編組、スレッド、または他の特徴を含むことができる。
【0031】
内視鏡器具100は、柔軟性外側チュービング186の近位端に結合するよう構成された回転結合器130を含むことができる。回転結合器130は、内視鏡用具の操作者が、回転結合器130に結合されたまたはその一体部分である回転タブ132を介して柔軟性外側チュービング186を回転できるよう構成してよい。回転タブ132を回転させることで、操作者は、柔軟性外側チュービングおよび外側カニューレを内視鏡の長手方向軸に沿ってかつ内視鏡および切断アセンブリ110の内側カニューレに対して回転できる。幾つかの実装例では、内視鏡が患者体内に留置された状態で、内視鏡器具が内視鏡に挿入されているときに、操作者は、外側カニューレを回転させたいと望むことがある。操作者が、開口部を介して切除のために内視鏡器具に入る物質を見ることができるように、操作者は、外側カニューレを回転させて、外側カニューレの開口部を、開口部が形成された外側カニューレの半径方向壁の部分が内視鏡のカメラに位置合わせできる位置に配置したいと望むことがある。これが可能になるのは、開口部が、外側カニューレの軸方向壁に形成された開口部でなく、外側カニューレの側部に延伸する半径方向壁に沿って形成されていることが部分的な理由である。
【0032】
幾つかの実装例では、回転結合器130の近位端134は、潅注コネクタ140に結合できる。幾つかの実装例では、回転結合器130は、回転結合器130の遠位端136を回転結合器130の近位端134に対して回転可能とする回転ルアー構成要素でよい。こうすることで、柔軟性外側チュービング186が回転する際に、回転結合器130の近位端が結合された構成要素は回転されない。幾つかの実装例では、回転結合器130の近位端134は、当該回転結合器130の近位端134を潅注コネクタ140に結合するよう構成された外側管状部材144に結合できる。回転結合器130は、柔軟性トルクコイル180の一部がその内部を延伸する回転結合器130の中央部に沿った穴を形成できる。幾つかの実装例では、回転結合器130は、オス・オス回転ルアー結合器とすることができる。幾つかの実装例では、この回転結合器は、1200 psiまでの圧力を扱うよう構成できる。
【0033】
潅注コネクタ140は、洗浄流体を内視鏡用具100内に導入するよう構成できる。潅注コネクタ140は、水容器のような洗浄源と係合するよう構成された潅注ポート142を含む。幾つかの実装例では、潅注コネクタ140は、流体送出システムで使用されかつ医療機器業界の標準に準拠するYポートであって、柔軟性外側チュービング186に、または潅注コネクタ140の遠位端148を回転結合器130の近位端134に結合する役目を果たす外側管状部材144に、結合するよう寸法決めされたYポートでよい。幾つかの実装例では、この潅注コネクタは、潅注コネクタ140の近位端146と遠位端148との間に中空チャンネルを形成でき、当該中空チャンネルは、柔軟性トルクコイル180が、潅注コネクタ140内に形成されたこの中空チャンネルを通過できるよう寸法決めされている。
【0034】
上述のように、近位コネクタアセンブリ170は、柔軟性トルクコイル180の近位端に結合されるよう構成されている。近位コネクタアセンブリ170は、トルクを、近位コネクタアセンブリ170および柔軟性トルクコイル180を介して内側カニューレに与えるよう構成された駆動アセンブリ150と係合するよう構成できる。近位コネクタアセンブリ170は、吸入チャンネルの一部をさらに形成でき、かつ吸入チャンネルに入る物質が容易に除去されるように、吸入チャンネルを真空源に流体接続するよう構成できる。幾つかの実装例では、近位コネクタアセンブリ170の近位端は、内視鏡用具100に入る物質が内視鏡用具100から回収されうる吸入ポート192を含むことができる。
【0035】
幾つかの実装例では、内視鏡用具100は、駆動アセンブリ150により駆動されるように構成できる。駆動アセンブリ150は、エネルギー源からの回転エネルギーを内視鏡用具100に与えるように構成されている。駆動アセンブリ150は、第1かさ歯車154および第2かさ歯車156を収容できるハウジング160を含むことができ、これらかさ歯車は、第1かさ歯車154の回転が第2かさ歯車156を回転させるよう位置決めされている。第2かさ歯車156は、内視鏡用具100の近位コネクタアセンブリ170を収容しかつ係合するよう寸法決めされ、成形された駆動レセプタクルに結合できる。幾つかの実装例では、第1かさ歯車154は、回転入力シャフト152を介してモーター(図示しない)または他の回転源に結合できる。
【0036】
近位コネクタアセンブリ170は、中空駆動シャフト172と、中空駆動シャフト172が貫通する結合器176と、中空駆動シャフト172に結合された張力調整バネ174とを含むことができる。駆動シャフト172の遠位端は、柔軟性トルクコイル180の近位端に結合できる。幾つかの実装例では、駆動シャフト172および柔軟性トルクコイル180は、互いに永久的に結合できる。幾つかの実装例では、駆動シャフト172および柔軟性トルクコイル180の結合には、駆動シャフト172の回転時に柔軟性トルクコイル180の回転を許容しかつ柔軟性トルクコイル180を通過する物質の駆動シャフト172の通過を許容する結合器、圧入、突合わせ溶接などの溶接または他の任意の取り付け手段を用いればよい。駆動シャフト172の近位端は、吸入ポート192を形成できる。幾つかの実装例では、吸入ポート192は真空源に係合して、開口部112に入る物質を、吸入チャンネル190を通過させかつ吸入ポート192を介して内視鏡用具から排出させることができる。
【0037】
六角形結合器などの結合器176は、中空駆動シャフトと結合するよう構成できる。幾つかの実装例では、この六角形結合器は、中空駆動シャフトの一部である。結合器176は、駆動レセプタクル158の内壁と係合するよう構成された外壁を含むことができる。駆動レセプタクル158は、第2かさ歯車156に結合され、かつ第2かさ歯車156の回転時に回転するよう構成されている。幾つかの実装例では、駆動レセプタクル158は、中空の円柱形チューブでよい。幾つかの実装例では、駆動レセプタクル158の近位端159は、当該駆動レセプタクル158の近位端の内壁により形成された開口部を含むことができ、その直径は駆動レセプタクル158の残り部分の内径より小さい。幾つかの実装例では、駆動レセプタクル158の近位端159を通過する開口部の直径は、駆動シャフト172を受け入れる大きさはあるが、駆動シャフト172に結合された張力調整バネ174が、その開口部を通過できないほどには小さい。幾つかの実装例では、駆動レセプタクルの残り部分の内径は、結合器176に係合するよう寸法決めされる。
【0038】
張力調節バネ174を付勢することによって、内視鏡用具100の動作時に、張力調節バネ174は、駆動シャフト172と、柔軟性トルクコイル180と、内側カニューレとが内視鏡用具100の近位端に向かって摺動するのを防止できる。幾つかの実装例では、張力調節バネ174がない場合、内側カニューレが、内視鏡用具100の遠位端から離れる方向に摺動することがある。これは、開口部112で切除される物質によって掛けられる力が原因である場合がある。幾つかの実装例では、張力調節バネ174は、内側カニューレが開口部112で切除される物質に接触する際に、内側カニューレが遠位端から離れる方向に摺動するのを防止する反対力(countering force)を与える。幾つかの実装例では、張力調節バネ174は、内側カニューレの遠位端を付勢して、外側カニューレの遠位端の内壁に接触させるよう構成できる。幾つかの実装例では、内側カニューレの遠位端が外側カニューレの内側遠位壁に接触するよう、張力調整バネ174を寸法決めかつ付勢させることができる。これにより、柔軟性トルクコイルの回転による内側カニューレの遠位端でのむち打ち(whip)により発生される横方向または望ましくない動きを制限できる。
【0039】
ハウジング160は、吸入端部キャップ162およびロッキングカラー164に係合するよう構成できる。幾つかの実装例では、吸入端部キャップ162の構成によって、真空源は、駆動シャフト192の吸入ポート172と確実に接続を維持できる。幾つかの実装例では、吸入端部キャップ162の構成によって、真空源と駆動シャフト172の吸入ポート192との間で確実な接続が維持される一方で、駆動シャフト172が回転可能となる。幾つかの実装例では、吸入端部キャップ162の開口部を介して駆動シャフト172の吸入ポートへの到達が可能(accessible)となるような様態で、吸入端部キャップ162は、ハウジング160の一部に固定されるよう構成できる。幾つかの実装例では、真空源が、駆動シャフト172の近位端と共に回転しないように、真空源は、端部キャップ162に結合できる。幾つかの実装例では、1つまたは複数のベアリングまたはブッシングを使用することで、真空源を駆動シャフト172と共に回転させることなく、駆動シャフト172の吸入ポート192と真空源との間の流体結合を促進できる。
【0040】
ロッキングカラー164は、潅注コネクタ140を近位コネクタアセンブリ170に固定するよう構成できる。幾つかの実装例では、ロッキングカラー164は、潅注コネクタ140の近位端146を駆動アセンブリ150のハウジング160に固定するよう構成できる。ロッキングカラー164は、近位コネクタアセンブリ170が、駆動レセプタクル158から分離して内視鏡用具100の遠位端方向に移動するのを防止するようさらに構成できる。幾つかの実装例では、ロッキングカラー164は、その内部に柔軟性トルクコイル180が配置されたライニング182を、柔軟性トルクコイル180、駆動シャフト172、またはハウジング160に固定するよう構成できる。幾つかの実装例では、ライニング182は、熱シュリンクとして作用して、柔軟性トルクコイルで発生する熱の内視鏡用具の他の構成要素への放散を減少させる。幾つかの実装例では、ライニング182の外壁は、洗浄チャンネルの一部を形成できる一方、ライニング182の内壁は、吸入チャンネルを通過する物質が柔軟性トルクコイルの壁から漏れ出すのを防止するのに役立つことができる。幾つかの実装例では、ライニング182は、さらに、洗浄チャンネルを通過する洗浄流体が、柔軟性トルクコイル180の壁を通って吸入チャンネル190に流入するのを防止するのに役立つ。
【0041】
潅注コネクタ140の遠位端148は、外側チュービング144の内壁に係合するよう構成できる。幾つかの実装例では、潅注コネクタ140の遠位端148は、外側チュービング144の近位端に圧入できる。幾つかの実装例では、潅注コネクタ140の遠位端148と外側チュービングとを接続するコネクタを使用できる。外側チュービング144の内壁およびライニング182の外壁は、洗浄チャンネル196の一部を形成できる。外側チュービング144は、潅注コネクタ140の遠位端148から回転結合器130の近位端134に延伸できる。外側チュービング144の遠位端は、回転結合器130の近位端134に係合するよう構成できる。
【0042】
幾つかの実装例では、洗浄チャンネルは、洗浄進入ポートから外側カニューレの開口部まで延伸できる。洗浄チャンネルは、外側管状部材の内壁と、回転結合器と、外側チュービングの内壁と、外側カニューレの内壁とにより形成できる。幾つかの実装例では、洗浄チャンネルは、内側カニューレの外壁および柔軟性トルクコイル180の外壁によっても形成できる。幾つかの実装例では、内視鏡器具100は、柔軟性トルクコイル180の周囲に装着されるよう寸法決めされた中空ライニング182も含むことができる。幾つかの実装例では、中空ライニング182は、洗浄チャンネル196と吸入チャンネル190との間のバリアとして作用できる。幾つかの実装例では、中空ライニング182は、空気または他の流体が柔軟性トルクコイル180のスレッドを介して浸出するのを防止できる。さらに、この中空ライニングによって、空気が、柔軟性トルクコイル180のスレッドを介して逃げまたは進入することを防止することで、吸入チャンネルは、当該吸入チャンネルの全長にわたって吸引力を維持できる。
【0043】
上述のように、切断アセンブリ110は、外側カニューレを含む。編組チュービング186は、外側カニューレに結合されており、回転結合器130の回転タブ132の回転が、外側カニューレを回転させることになる。この外側カニューレは、当該外側カニューレの遠位端に開口部112を含んでいる。この開口部は、外側カニューレの半径方向壁の一部に形成されており、さらに外側カニューレの半径範囲の一部のみにわたって延伸させてもよい。吸入チャンネル190は、吸入ポート192と開口部112との間を延伸しているので、吸入ポート192で吸引力を掛けると、開口部112で吸引力が掛けられることになる。この吸引力によって、物質が、外側カニューレの開口部内に導入され、次いで切断アセンブリの内側カニューレにより切断可能となる。幾つかの実装例では、吸入された物質は、収集カートリッジ内に収集できる。幾つかの実装例では、この収集カートリッジは、吸入チャンネルの近位端に流体結合できる。
【0044】
内側カニューレは、外側カニューレ内に配置されると共に、吸入チャンネル190内の吸引力により開口部112内に吸引されまたはそれ以外の様態で入る物質を切除するよう構成されている。内側カニューレは、切断面と開口部を形成する外側カニューレの壁との相互作用に部分的には基づいて、開口部112で物質を切断、切除、切り取り、デブリードマン、または削り落とすことができる。幾つかの実装例では、開口部112に対する切断面の回転運動が、物質の切断、切除、切り取り、または削り落としを可能にする。この柔軟性トルクコイルは、内側カニューレに結合され、内側カニューレを内側カニューレの長手方向軸に沿って回転させる。外側カニューレが外側チュービングに結合され、かつ内側カニューレまたは柔軟性トルクコイルに回転可能に結合されていないので、内側カニューレは外側カニューレに対して回転する。内側カニューレの外壁と外側カニューレの内壁との間のギャップは、洗浄流体が、潅注コネクタ140から、外側チュービング144と、回転結合器130と、柔軟性外側チュービング186とによって部分的に形成される洗浄チャンネル部分を介して内側カニューレの切断面に向かって流れる洗浄チャンネルの一部分を形成する。内側カニューレは、切り取られたまたは切除された物質および洗浄流体が、内側カニューレの切断面から吸入ポート192に向けてその内部で流動できる吸入チャンネルの一部を形成できる。
【0045】
切断アセンブリ110の長さは、内視鏡が患者に挿入されているときに内視鏡器具100が内視鏡の全長を通過できるように寸法決めできる。幾つかの実装例では、内視鏡は、患者体内に留置でき、さらに内視鏡は60度を上回る湾曲部を含むことができる。また、切断アセンブリ110の長さは数センチメートルを超えないようにしてよい。幾つかの実装例では、切断アセンブリ110の長さは、内視鏡用具100の長さまたは内視鏡用具を挿入できる内視鏡の柔軟部の長さの1%未満でよい。上述したように、組織感知能力を切断アセンブリに実装でき、組織センサの一部として機能させることができる。
【0046】
1つまたは複数のシール、ベアリング、および他の構成要素を使用できることは理解すべきである。シールを用いて圧力を維持し、流体の漏れを防ぎ、または構成要素同士をしっかりと係合させることができる。幾つかの実装例では、ベアリングを用いれば、内視鏡用具の構成要素または性能に悪影響を与えることなく構成要素を互いに対して回転させることができる。
【0047】
図6は、B-B断面についての内視鏡用具と駆動アセンブリの部分の断面図を示す。
図6に示したように、第2かさ歯車156は、駆動アセンブリ150の駆動レセプタクル158と係合するよう構成できる。内視鏡用具100の近位コネクタ170は、結合器176および駆動シャフト172を含み、駆動レセプタクル158内部に挿入配置できる。結合器176の外壁は、駆動レセプタクル158の内壁に係合するよう寸法決めされており、駆動レセプタクル158が回転すると、結合器176も回転する。結合器176は、駆動シャフト172に結合されているので、駆動レセプタクル172が回転すると、駆動シャフト158も回転する。駆動シャフトの内壁は、吸入チャンネル190の一部を形成する。
【0048】
図7は、この内視鏡用具の回転結合器部分の拡大断面図を示す。
図8Aおよび
図8Bは、この内視鏡用具の回転結合器の上面図および断面図を示す。
【0049】
図7~8Bに示したように、外側チュービング144は、回転結合器130に係合するよう構成されている。外側チュービング144は、ライニング182を囲み、当該ライニングは、柔軟性トルクコイル180を囲んでいる。柔軟性トルクコイル180の内壁は、吸入チャンネル190の一部を形成できる。外側チュービング144の内壁とライニング182の外壁または外面との間のギャップは、洗浄チャンネルの一部を形成できる。タブ132は、この内視鏡用具の操作者により回転されるよう構成できる。幾つかの実装例では、内視鏡用具が、内視鏡の器具チャンネル内に挿入されている間に、操作者は、タブ132を回転させ、外側カニューレを内側カニューレおよび内視鏡に対して回転させることができる。こうすることで、操作者は、外側カニューレを所望の位置まで回転させることで、外側カニューレを貫通して形成された開口部を位置決めできる。幾つかの実装例では、外側カニューレが内視鏡に対して回転可能とする機構を用意することによって、内視鏡用具が内視鏡の器具チャンネル内に挿入されている間は、操作者は、開口部の位置を懸念する必要はなく、それは、内視鏡用具が内視鏡に挿入されている間は、操作者が、外側カニューレを回転させることによって開口部の位置を調節できるからである。
【0050】
図9は、駆動アセンブリ内で動作させるために挿入される内視鏡用具の一部の透視図である。駆動アセンブリ900は、内視鏡用具100の近位コネクタ170を受け入れるよう構成された駆動インターフェース910を含む。近位コネクタ170は、駆動インターフェース910の駆動レセプタクルに係合して、駆動アセンブリ900が発生した回転エネルギーを内視鏡用具100の切断アセンブリに伝達できる。駆動アセンブリ900は、内視鏡用具100の潅注ポート142への洗浄流体の流入を制御するためのポンプ920または他の流体変位装置を含むことができる。幾つかの実装例では、ポンプ920は、蠕動ポンプでよい。幾つかの実装例では、このポンプは、容積式流体ポンプでよい。幾つかの実装例では、ポンプ920と潅注ポート142との間にバルブを配置して、内視鏡用具に入る洗浄流体の量を制御できる。幾つかの実装例では、ポンプ920の動作速度が、内視鏡用具に洗浄流体が入る割合を決定できる。この駆動アセンブリは、ピンチ弁930も含むことができる。幾つかの実装例では、このピンチ弁は、吸入チャンネルに掛けられる吸引力の印加を制御するよう構成できる。
【0051】
幾つかの実装例では、制御スイッチのようなアクチュエータを用いて、駆動アセンブリ900を作動させることができる。幾つかの実装例では、このアクチュエータは、駆動アセンブリ900を制御するためのフットペダル、ハンドスイッチ、または他の任意の作動手段でよい。幾つかの実装例では、このアクチュエータは、ポンプ920などの駆動手段に結合でき、このアクチュエータが作動されると、ポンプ920が、回転を開始してトルクを発生し、それが駆動インターフェース910を介して内視鏡用具の近位コネクタに伝達される。近位コネクタに印加されたトルクは、柔軟性トルクコイルを介して内側カニューレに伝達されることで、内側カニューレを外側カニューレに対して回転させることができる。幾つかの実装例では、このアクチュエータは、ピンチ弁930などのピンチ弁に結合でき、吸入チャンネルに印加される吸引力の量を制御できる。幾つかの実装例では、このアクチュエータは、駆動手段およびピンチ弁を同時に作動させるよう構成できるので、吸引力が吸入チャンネルを介して掛けられている間、内側カニューレは回転することになる。幾つかの実装例では、このアクチュエータは、洗浄進入ポート142を介した洗浄流体の内視鏡用具内への流れを制御する洗浄制御スイッチまたは弁に結合してもよい。幾つかの実装例では、このアクチュエータは、駆動手段と、吸入のためのピンチ弁と、洗浄のための洗浄制御スイッチとを同時に作動させるよう構成できるので、吸引力が、吸入チャンネルを介して印加されており、かつ洗浄流体が、内視鏡用具に供給されている間、内側カニューレは回転することになる。
【0052】
幾つかの実装例では、洗浄流体の内視鏡用具の吸入チャンネル内を通過する流れを制御できるように、別個の洗浄制御スイッチを構成してもよい。操作者は、洗浄チャンネルに供給される洗浄流体の量を、洗浄制御スイッチを介して制御できる。
【0053】
図1A~9に示した駆動アセンブリの構成は、駆動アセンブリの一構成例である。内視鏡用具100は、他の駆動アセンブリ構成により駆動されるよう構成できることは理解すべきである。幾つかの実装例では、他の駆動アセンブリ構成と係合させるため、内視鏡用具100の近位コネクタ部分を改造してもよい。幾つかの実装例では、内視鏡用具400は、内視鏡の器具チャンネル内にこの内視鏡用具を挿入する前に組み立てできる1つまたは複数の異なる構成要素としてひとまとめで提供されるよう構成できる。幾つかの実装例では、内視鏡用具100の近位コネクタは、当該内視鏡用具の1つまたは複数構成要素が、駆動アセンブリの構成要素と係合された後に、その内視鏡用具の操作者によって組み立て可能である。
【0054】
内視鏡器具の外径は、内視鏡が被験者に挿入されているときに、当該内視鏡の器具チャンネルに挿入できるように寸法決めすればよいことは理解すべきである。さらに、内視鏡用具が、器具チャンネルの様々な位置で器具チャンネルの内壁に接触して内視鏡器具の安定性を維持するのに十分な大きさとなるように、内視鏡器具を寸法決めできる。内視鏡器具の外径が、器具チャンネルの内径よりかなり小さい場合は、内視鏡器具と器具チャンネルの内径との間に大きなスペースができることがあり、これにより内視鏡器具は、動作時に動いたり、振動したり、それ以外の態様である程度の不安定性が生じたりすることがある。
【0055】
B. 内視鏡外科用具を用いて膵臓から物質を除去するためのシステムおよび方法
膵臓手術を行って、膵臓の被包化壊死などの、膵臓内部または外部の液体貯留に至る可能性がある壊死組織に対処できる。急性膵炎を患う被験者の約20パーセントが、壊死性膵炎を発症し、そのうち約3分の1が感染性壊死に進行する。感染性壊死は、保存的治療には応答しないことがあり、侵襲性または介入治療が必要となることがある。幾つかの内視鏡処置を用いることで、これらの症状が治療されてきた。しかし、これら処置は、物質を把持しかつ保持はできるが壊死組織の把持力が十分でない砕石術バスケット、回収ネット、ポリープ切除スネア、および把持鉗子などの、他の適応症用に設計された機器に依存する場合がある。これによってこの処置が、煩雑になり、時間を要し、かつその効果が制限されることになりかねず、処置を完了するのに、組織切除および吸引にしばしば多数のサイクルを要することになる(例えば、1回の通過で少量の壊死組織しか引き出されない)。
【0056】
本開示の様々な側面によれば、膵臓の被包化壊死を患っている被験者を、内視鏡用具を使用して内視鏡的に治療できる。治療は、意識のある状態またはプロポフォール鎮静状態で実行できる。内視鏡用具を、内視鏡の器具チャンネルまたはアクセサリチャンネル内で前進させるため内視鏡と結合させたり、シースによって内視鏡に結合させたりできる。内視鏡用具の切断アセンブリを駆動させて(例えば、回転または往復運動させて)、感染組織などの物質を除去でき、こうした物質は、内視鏡用具の吸入チャンネルに吸引力を印加することによって直ちに除去できる。切断アセンブリを用いて、膵臓内部および膵臓外部における液体貯留に関連した物質を除去できる。内視鏡用具は、被験者の胃の中に案内され(例えば、内視鏡と組み合わせて)、胃の腔壁(cavity wall)における、例えばステントを用いて形成した嚢胞胃開口などの開口部を介してその物質を除去する部位まで導入できる。例えば、ステントを用いて、膵臓の内部が内視鏡用具によって到達可能となる瘻孔を形成できる。
【0057】
本開示に従って実行される処置の幾つかの実施形態では、平均的な処置の時間的長さは、46.5分(32-80分の範囲)であった。膵壊死を完全に除去するために必要な処置の中央回数は、患者一人当たり2回であった(1-7の範囲)。処置に関連した有害事象は発生しなかった。内視鏡検査医は、エンドローター(ENDOROTOR)の使いやすさと、壊死組織の効果的な除去とに関して意見が一致しており、10段階評価で両方とも8.3に評価している。内視鏡検査医は、なかでも壊死組織を制御された方法で除去する能力に満足している(10ポイントのスケールで8.6)。
【0058】
この内視鏡用具は、良性新生物または前癌組織を除去するために、介入胃腸病専門医および胃腸外科医が胃腸管内で使用できる。この内視鏡用具は、内視鏡の器具生検チャンネルを介して、単一の装置を使って組織の切開および切除の両方を実行できる。電子制御コンソールによって駆動される電動式回転切断用具は、組織切除を行うことができる。このシステムは、毎分1000回乃至1750回、自動的に吸引および切断が可能であり、切除された組織は、切除部位から直ちに吸引され、ミクロンフィルタに収集できる。フィルタに収集された組織を使用して、標準的方法を用いて病理検査を実行できる。
図10-20は、膵壊死に対処するための内視鏡処置の実行に関連付けられた様々な操作を図示する。
【0059】
感染性被包化壊死(WON)は、急性膵炎の合併症である。直接内視鏡的介入は、壊死を除去し、患者の回復を改善できる。既存の処置は、内視鏡スネア/ジャンボ鉗子で壊死を分解し、続いて内視鏡的回収バスケットによる壊死組織片の除去などの、こうした処置用には設計されていない器具を使用する。この内視鏡用具の組織を切除する能力によって、除去の速度が増大し、患者集団における内視鏡的処置が減少する。
【0060】
急性膵炎は、インスリンおよび食物の消化のための酵素を作る役割を果たす膵腺の急な炎症と定義できる。急性膵炎の原因は患者によって大きく異なるが、重症な例は、被包化膵臓壊死(WOPN)などの命を脅かす合併症の発症に至ることがある。膵壊死は、腺の30%を上回る部分が壊死の影響を受けている場合にそう定義でき、患者の20%が、厳格な臨床経過を必要とする。その20%のうち3分の1(33.3%)の症例が、感染性壊死へと進行し、患者の死亡率は、15-30%の範囲である。急性壊死性貯留の進行が継続するようであれば、4週間後にはWOPNの発症に至ることがある。
【0061】
この内視鏡用具は、膵壊死の安全で効果的な除去が可能となるが、それは、組織の回転切除および吸引を1つの包括的装置に組み込んだ自動化機械特性によるものである。幾つかの実施形態では、この内視鏡用具は、マサチューセッツ州ホワイティンズビル所在のインタースコープ社が製造するエンドローターである。この処置は、壊死部摘除術でこの内視鏡用具を使用して、内腔対向金属ステント(luminal apposing metal stents) (LAMS)およびプラスチック・ピッグテール・ステントによって形成された経胃的瘻孔を介して到達したWOPNを切除または除去できる。この内視鏡用具を用いて腔内で壊死組織を切除する際に、穿孔は、膵臓の壁部と相互作用する恐れはなく、さらに、シリーズにおける出血の形跡もなかった。この内視鏡用具は、穿孔または出血を伴うことなく、様々な網状(anastomosing)ステントを介して膵壊死の完全な除去を実行できる。
【0062】
最初の内視鏡検査時に、隣接するWOPN部位に直接到達して収集するため、胃から瘻孔を形成することによって、内視鏡超音波(EUS)誘導経胃的ドレナージを実行できる。プラスチック・ピッグテール・ステントおよび鼻嚢胞(nasocystic)洗浄カテーテルまたは内腔対向金属ステント(LAMS)を配置できる。
【0063】
最初のドレナージ処置の概ね24時間後に、被験者を治療できる。2回目の内視鏡検査は、瘻孔がCRETMバルーン拡張器を用いて18mmまで拡張されたときでよく、次いで、従来の器具を用いて最初の壊死部摘除術を試みることができる。従来の器具による壊死部摘除術の実行時には、除去可能な壊死組織の量は不十分であり、臨床的改善は観察されなかった。この内視鏡用具技法で行う壊死部摘除術では、すべての壊死組織を完全に除去でき、それを2回の作業で有害事象を伴わず実行できる。そして、被験者は入院から7日で退院できる。
【0064】
膵壊死を除去するには、平均で2回の作業が必要である。壊死膵臓組織を好適に除去するのに必要な処置が減少すれば、患者は、従来の器具を使用した場合の平均で6.2回の作業およびほぼ12週間に対して、数週間以内で退院できる。
【0065】
ここで
図21を参照すると、本開示の一実施形態による被験者のトルソ領域2100の概略図が示されている。トルソ領域2100は、食道2110と、胃2120と、膵臓2130と、トルソ領域2100内で組織/臓器間の空間によって形成された体腔2140とを含むことができる。
【0066】
膵臓2130は、壊死状態(例えば、WOPN)などの膵炎状態となっていることがある。膵臓2130を治療するために、内視鏡処置を本明細書で記載したように実行できる、例えば、膵臓2130から、炎症性かつ/または壊死性物質(例えば、急性壊死性貯留)などの物質を切除するために、内視鏡用具2180(例えば、エンドローター)を使用することができる。内視鏡用具2180を使用して、膵臓の内部または外部の物質を切除できる。内視鏡用具2180は、内側カニューレおよび外側カニューレを含んだ遠位端2182を含み、当該内側カニューレおよび外側カニューレは、物質を切断するため互いに対して回転可能であり、切断した物質を吸引して内視鏡用具2180を介して回収する。組織除去のために回転切断および吸引を単一の包括的装置に組み込んだこの内視鏡用具の自動化機械特性を用いれば、この処置は、切除用にはスネアまたは鉗子に、そして回収用には内視鏡バスケットに依存する既存の処置よりも効果的に実行できる。内視鏡用具2180は、3 mm以上で7 mm以下(例えば、3.1 mm)の直径を備えることができる。例えば、内視鏡用具2180の直径が大きくなるにつれ、物質の吸引を促進できる。内側カニューレは、毎分700回転数(RPM)以上で毎分2000 RPM以下の回転数(例えば、1000 RPMまたは1700 RPMなどの所定の回転数)で回転させることができ、これによって、内視鏡用具2180は、例えば、壊死組織を小片に細断することにより既存の処置に比べてより効率的に物質を除去できる。吸引力を200 mmHg以上で750 mmHg以下(例えば、620 mmHg)の真空圧で印加して、吸入チャンネルを介して物質を除去できる。
【0067】
瘻孔2150などの複数の嚢胞胃開口を形成することで、胃2120から出た内視鏡用具2180が膵臓2130内に到達できる。幾つかの実施形態では、複数のステント2152を用いてそれぞれの瘻孔2150を形成する。ステント2152は、内腔対向金属ステント(LAMS)、金属ステント(例えば、全カバー付き金属ステント(fully covered metal stents))、またはプラスチック・ピッグテール・ステントの少なくとも1つを含むことができる。
図21に示したように、胃の胃壁2122の開口部および膵臓2130の膵臓壁2132の開口部を通るチャンネルを形成することで、胃2120から膵臓2130へ到達を可能とするため、ステント2152を用いてそれぞれの瘻孔2150を形成する。体腔2140を介して膵臓2130内に到達できるように、1つ以上の瘻孔2154を胃壁2122から離間して形成してもよい。また、膵臓2130の外部の感染組織に到達できるように、1つ以上の瘻孔2154を胃壁2122に形成してもよい。
【0068】
内視鏡用具2180は、瘻孔2152、2154の1つ以上を介して膵臓2130に導入できる。例えば、内視鏡用具2180は、食道2110を介して胃壁2122内に、そして1つ以上の瘻孔2152を介して膵臓2130に導入できる。また、内視鏡用具2180は、食道2110または他の胃腸系経路とは別個に体腔2140内に導入し、次いで1つ以上の瘻孔2154を介して膵臓2130に導入してもよい。内視鏡用具2180は、内視鏡の器具チャンネルまたはアクセサリチャンネル(内視鏡の外部に位置していてもよい)を介して導入したり、例えば内視鏡用具2180と内視鏡とを結合する外装(例えば、
図23を参照して説明する外装2310)を使用することで内視鏡の外部に導入したりできる。
【0069】
内視鏡用具2180は、物質が除去される膵臓2130内の部位などの被験者内の部位に隣接して配置されると、炎症性または壊死性物質(
図10-20)を含む物質を膵臓2130から切断し、除去するよう作動させることができる。例えば、内視鏡用具2180の画像取り込み装置を用いて、内視鏡用具2180を任意物質に向けて案内でき、遠位端2185は、その物質に隣接して配置でき、さらに、内視鏡用具2180を作動させて、この物質を切断できる(例えば、内側カニューレを外側カニューレに対して回転させることによって)。切断された物質を除去するため、遠位端2185を介して吸引力を印加できる。
【0070】
幾つかの実施形態では、遠位端2185は、除去対象の物質の組織平面に接する(tangent)または実質的に接するよう配置される。例えば、切断アセンブリの切断窓を回転させて遠位端2185を配置することによって、切断窓が、内側カニューレ近傍のまたは内側カニューレに直接接触した物質に対向することができ(例えば、遠位端2185が、組織平面から10ミリメートル以下の閾値距離内に位置する)、これが、物質を分解して吸入チャンネルを介して吸引する内視鏡用具2180の能力を向上させることが分かっている(例えば、真空だけでは物質を除去するには十分でない場合がある)。幾つかの実施形態では、切断窓は、組織平面との閾値接線角度以内となるように調節される。この閾値角度は15度でよい。この閾値角度は10度でよい。この閾値角度は5度でよい。切断窓を調節することで、内側カニューレの回転または往復運動軸を組織平面に平行とすることができ、内側カニューレは、閾値角度以内で組織平面に接触する。幾つかの実施形態では、切断窓は、組織平面が腔壁と切断窓との間に位置するように(例えば、壊死組織を腔壁と切断器開口部との間に捕らえるため)配置され、これによって組織の除去およびその後の吸引を容易に行えるようになる。
【0071】
図22を参照すると、内視鏡的膵臓処置を行うための方法2200を示す。方法2200は、エンドローターなどの本明細書で記載される内視鏡用具の様々な実施形態を用いて実行できる。膵臓の内部および外部で除去すべき壊死組織の複数物質を備えた複数の部位に対応するため、方法2200またはその段階を繰り返し実行できる。
【0072】
2210において、少なくとも1つの嚢胞胃開口が形成される。嚢胞胃開口は、被験者の胃の腔壁で形成される開口部でよい。嚢胞胃開口を利用して、胃から患者の膵臓に、または、壊死組織もしくは膵臓からの液体貯留が位置した膵臓に近接した体腔に到達可能となる。例えば、この嚢胞胃開口は、被験者の胃の腔壁および膵臓の膵臓壁を介して形成できる。
【0073】
この少なくとも1つの嚢胞胃開口は、幾つかの実施形態では瘻孔として形成できる。この少なくとも1つの瘻孔は、それぞれステントを用いて形成できる。ステントは、内腔対向金属ステント(LAMS)、ホット・アキソス・ステント(hot axios stent)、またはプラスチック・ピッグテール・ステントの少なくとも1つを含むことができる。幾つかの実施形態では、瘻孔を形成する段階は、胃の胃壁および膵臓壁を介して形成する段階を含む。幾つかの実施形態では、瘻孔を形成する段階は、被験者の体腔を介して(食道を介するなど胃腸系経路を介するのでなく)膵臓に到達可能とするため、胃壁から離れた膵臓壁の箇所に開口部を形成する段階を含む。
【0074】
2220では、被験者から除去すべき物質を備えた部位には、少なくとも1つの嚢胞胃開口を介して内視鏡用具を導入することによって到達する。例えば、内視鏡用具は、少なくとも1つの嚢胞胃開口を介して膵臓に導入できる。幾つかの実施形態では、内視鏡用具は、食道と、胃と、胃から膵臓内部にチャンネルを提供する少なくとも1つの嚢胞胃開口とを介して膵臓に導入される。幾つかの実施形態では、内視鏡用具は、体腔と、胃壁から離れた膵臓壁の嚢胞胃開口とを介して膵臓に導入される。幾つかの実施形態では、この部位は、膵臓の外部にあり(例えば、膵臓を出た液体貯留に関連付けられている)、胃壁に形成された嚢胞胃開口を介して到達できる。
【0075】
2230では、内視鏡用具が物質に案内される。物質は、炎症性または壊死性物質でよい。内視鏡の案内は、内視鏡の画像取り込み装置を用いて物質を特定することと、内視鏡用具の遠位端を物質に隣接して配置するため、物質に向かって移動させることを含むことができる。物質の複数位置まで内視鏡用具を案内できる。この内視鏡用具の構造によって、内視鏡器具は、内視鏡器具(または内視鏡)が破損する可能性を減少させつつ、蛇行状の経路を通って物質まで到達できる。
【0076】
幾つかの実施形態では、物質に対応する組織平面が特定される。この組織平面は、削除対象の壊死組織が位置する腔壁の一部を含むか、その腔壁から延伸している場合がある。内視鏡用具(例えば、その遠位端)を、除去対象の物質の組織平面に接するまたは実質的に接するよう案内できる。例えば、遠位端における内視鏡用具の切断アセンブリの切断窓を回転させることによって、切断窓が、内側内側カニューレ近傍のまたは内側カニューレに直接接触した物質に対向することができ(例えば、遠位端は、組織平面から10ミリメートル以下の閾値距離内にある)。幾つかの実施形態では、切断窓は、組織平面との閾値接線角度以内となるように調節される。この閾値角度は15度でよい。この閾値角度は10度でよい。この閾値角度は5度でよい。切断窓を調節することで、内側カニューレの回転または往復運動軸を組織平面に平行とすることができ、内側カニューレは、閾値角度以内で組織平面に接触する。幾つかの実施形態では、切断窓は、組織平面が腔壁と切断窓との間に位置するように(例えば、壊死組織を腔壁と切断器開口部との間に捕らえるため)配置される。
【0077】
2240では、物質を切断するため切断アセンブリが作動される。例えば、内側カニューレは、物質を切断するために物質に接触している間に、外側カニューレに対して回転または往復運動させることができる。幾つかの実施形態では、柔軟性トルクコイルまたは柔軟性トルクロープの少なくとも一方を含む内視鏡用具の柔軟性トルク要素は、駆動アセンブリにより回転されて、内側カニューレを回転させるか或いは内側カニューレを往復運動させるよう内側カニューレと結合された往復運動器(reciprocator)を回転させる。外側カニューレを回転させて、切断ウィンドウを調節できる。幾つかの実施形態では、内側カニューレは、例えば毎分1000回転などの、毎分700回転以上で毎分2000回転以下の回転数で回転される。
【0078】
2250では、内視鏡用具は、物質を除去する。内視鏡用具は、内視鏡用具を介して遠位端(例えば、内側カニューレに隣接した遠位端の開口部)に真空を印加する吸入チャンネルを含むことができ、それにより吸入チャンネルを介して物質を除去する。例えば、真空源を吸入チャンネルの第1端(例えば、被験者の外部に位置した第1端)に印加でき、物質が、吸入チャンネルの第2端における内側カニューレの開口部から吸入チャンネルを介して第1端の外部まで引き出される。物質は、膵臓の複数位置からまたは膵臓の外部の複数位置から切除し、除去できる。吸引力は、200 mmHg以上で750 mmHg以下の真空圧で吸入チャンネルに印加できる。幾つかの実施形態では、切断アセンブリが作動されかつ物質に接触している間に、吸引力が印加され、これによって、除去動作と吸引動作が分離されている場合に比べより迅速かつ効率的に物質の除去および吸引が可能となる。
【0079】
ここで
図23を参照すると、本開示の一実施形態による内視鏡用具2180を内視鏡2320に結合するために使用できる外装2310が、図示されている。内視鏡2320に対する内視鏡用具2380の移動範囲を増大させるため、外装2310を用いて、内視鏡用具2380を内視鏡2320の外部に配置してもよい。外装2310は、内視鏡用具2180を収容しかつそれを介して前進させることができる作業チャンネル2312を含むことができる。外装2310および作業チャンネル2312は、プラスチック材料などの柔軟性材料から作製できる。作業チャンネル2312は、3.8mm以上の直径などの比較的大きな直径を備えることができる。
【0080】
ここで
図24を参照すると、内視鏡用具(例えば、内視鏡用具2180)の内側カニューレ2404に往復運動を行わせる往復運動器2400が示されている。往復運動器2400は、内視鏡器具の柔軟性トルク要素2412(例えば、柔軟性トルクコイル、柔軟性トルクロープ)と結合されたブッシング2408と、内側カニューレ2404および柔軟性トルク要素2412にブッシング2408を介して結合された少なくとも1つのギア2416とを含むことができる。少なくとも1つのギア2416は、回転軸2420を中心とした柔軟性トルク要素2412の回転運動を、内側カニューレ2404の直線運動に変換できる。この直線運動は、回転軸2420に沿ったものでもよいし、回転軸2420からオフセットしたものでもよい。
【0081】
幾つかの例示的な実装例を説明してきたが、上記は例示的なものであって限定的ではなく、例証として示したものである。具体的には、本明細書で示した実例の多くは、複数の方法の動作またはシステム要素の具体的な組み合わせを含むが、これら動作およびこれら要素を他の方法で組み合わせても、同一の目的を達成できる。一実施形態に関連して説明した動作、要素、および特徴は、他の実施形態における類似の役割または実施形態から排除されることを意図したものではない。
【0082】
本明細書で使用する語句および用語は、説明を目的とするものであり、限定的に考慮されるべきではない。「を含む」、「を包含する」、「を備える」、「を収容する」、「を伴う」、「を特徴とする」、「の点を特徴とする」および本明細書でのそれらの変形の使用は、それら用語に先行する部材とその等価物や付加的部材に加えて、それら用語に先行する部材のみからなる代替的な実装例も含むことを意図している。一実装例では、本明細書で記載されたシステムおよび方法は、記載した要素、動作、または構成要素のうちの1つ、2つ以上の各組合せ、またはすべてを含む。
【0083】
本明細書で記載されたシステムおよび方法の実装例、要素、または動作の単数形での言及は、それら要素を数個含む実装例も包含でき、さらに、本明細書で記載された実装例、要素、または動作の複数形での言及は、単一の要素のみを含む実装例も包含できる。単数または複数形での言及は、本明細書で開示したシステム若しくは方法、それらの構成要素、動作、または要素を単数または複数構成に限定することを意図するものではない。任意の情報、動作、若しくは要素に基づいた任意動作または要素の言及は、当該動作または要素が、任意情報、動作、または要素に少なくとも部分的に基づいている実装例を含むことができる。
【0084】
本明細書で開示された任意の実装例は、任意の他の実装例または実施形態と組み合わせることができ、さらに、「一実装例」、「幾つかの実装例」、「1つの実装例」などの言及は、必ずしも相互排他的ではなく、その実装例に関連して記載された特定の機能、構造体、または特徴が少なくとも1つの実装例若しくは実施形態に含まれうることを示すことを意図している。本明細書で使用されたそうした用語は、必ずしも同一の実装例を言及していない。任意の実装例は、本明細書で開示された側面および実装例と矛盾しない方法で、包括的または排他的に、任意の他の実装例と組み合わせることができる。
【0085】
図面、詳細な説明、または任意の請求項の技術的特徴の後に参照符号が付加されている場合は、これら参照符号は、それら図面、詳細な説明、および請求項の明瞭性を向上させることを目的として含まれている。従って、これら参照符号が記載されていても、記載されていなくても、請求項の要素の範囲に何の影響も及ぼさない。
【0086】
本明細書で記載したシステムおよび方法は、それらの特徴から逸脱することなく他の具体的な形式で実施できる。相対的に平行の、直角の、垂直の、または他の配置若しくは配向に関する記載は、完全な垂直、平行、または直角配置の10%または10度の変動を含む。「概ね」、「約」、「実質的に」、またはその他の程度への言及は、特段の記載がない限り、所与の測定値、単位、または範囲からの10%変動を含む。結合された要素は、直接的にまたは介在要素を用いて互いと電気的、機械的、または物理的に結合できる。従って、本明細書で記載したシステムおよび方法の範囲は、上述の説明ではなく、添付の請求項によって示されるものであり、請求項の意味および均等物の範囲内での変更は、その中に包含されている。
【0087】
「結合された」という用語およびその変形は、2つの部材を互いに直接または間接的に接続することを含む。そうした接続は、静止していても(例えば、常置または固定されていても)、可動でも(例えば、取り外し可能または解放可能)よい。こうした接続は、これら2つの部材が互いにまたは互いと直接結合されていても、これら2つの部材が、別個の介在部材や互いと結合された複数の付加的な中間部材を用いて互いと結合されていても、またはこれら2つの部材が、単一の一体物としてこれら2つの部材の一方と一体形成された介在部材を用いて結合されていても、達成できる。「結合された」またはその変形例が、付加的な用語によって修飾されている場合は(例えば、「直接的に結合された」)、上述した「結合された」の一般的な定義は、この付加的な用語の明確な言語的意味によって修飾され(例えば、「直接的に結合された」は、別個の介在部材なしで2つの部材が接続されていることを意味する)、上記の「結合された」の一般的な定義より狭い定義をもたらす。そうした接続は、機械的、電気的、または流体的でよい。
【0088】
「または」という語句は、包括的なものと解釈でき、「または」を用いて記載された任意項目は、その記載された項目の1つ、2つ以上、またはすべてを示すことができる。「『A』または『B』の少なくとも一方」という記載は、『A』のみ、または『B』のみを含むこともあり、『A』および『B』の両方を含むこともある。「含む」または他の開放用語と組み合わせた記載は、付加的な項目を含むことができる。
【0089】
様々な要素の大きさ、寸法、構造、形状、および割合、パラメータの値、取り付け配置、材料の使用、色、配向の変動などの、記載された要素および動作の変更は、本明細書で開示された教示および主題の利点から著しく逸脱することなく可能である。例えば、一体形成されたことが示されている要素は、複数の部材または要素で構成でき、要素の配置は反対またはその他の態様で変動させることができ、さらに、別個の要素または位置の性質または数は、変更または変動させることができる開示された要素および動作の設計、動作条件、および仕組みにも、本開示の範囲から逸脱することなく、他の置換、修正、変更、および省略が可能である。
【0090】
要素の配置(例えば、「上部」、「底部」、「上方」、「下方」)への言及は、図面の様々な要素の配向を記載するためのみに使用される。様々な要素の配向は、他の例示的な実施形態によっては異なる場合があり、かつそうした変動は、本開示に包含されることが意図されていることに注目すべきである。
【外国語明細書】