(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147743
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】麻酔誘発性神経毒性の処置のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7088 20060101AFI20241008BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241008BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20241008BHJP
【FI】
A61K31/7088 ZNA
A61P25/00
C12N15/113 Z
A61K31/7088
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024115160
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2020573116の分割
【原出願日】2019-06-28
(31)【優先権主張番号】62/692,460
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】519318030
【氏名又は名称】マンセル、ジョン
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンセル、ジョン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】麻酔誘発性神経毒性の処置のための組成物及び方法を提供する。
【解決手段】特定の配列を有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるオリゴヌクレオチド、又はその変異体を含む製剤。また、麻酔誘発性神経毒性を処置する方法。当該方法は、製剤を投与することを含んでよい。製剤は、フッ化化合物を含む全身麻酔薬の投与の前に、投与と同時に、投与の後に、又はそれらの組合せで投与されてよい。オリゴヌクレオチドは、キャリア系、例えば、リポソーム、生分解性ポリマー、ヒドロゲル、シクロデキストリン、核酸複合体、ウイロソーム、又はそれらの組合せ中に組み込まれてもよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1~配列番号42の1つを有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるオリゴヌクレオチド、又はその変異体を含む、製剤。
【請求項2】
オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の配列の1つに対して少なくとも75%の配列同一性を有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の配列の1つに対して少なくとも85%の配列同一性を有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の配列の1つに対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の配列の1つを含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
オリゴヌクレオチドが、キャリア系中に組み込まれている、請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
キャリア系がリポソームを含む、請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
キャリア系が、生分解性ポリマー、ヒドロゲル、又はシクロデキストリンを含む、請求項6に記載の製剤。
【請求項9】
キャリア系が核酸複合体を含む、請求項6に記載の製剤。
【請求項10】
キャリア系がウイロソームを含む、請求項6に記載の製剤。
【請求項11】
以下を含む、麻酔誘発性神経毒性を処置する方法:
配列番号1~配列番号42の配列の1つを有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるオリゴヌクレオチド、又はその変異体を含む製剤を対象に投与すること、前記製剤は、フッ化化合物を含む全身麻酔薬の投与の前に、投与と同時に、投与の後に、又はそれらの組合せで投与される。
【請求項12】
オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の配列の1つに対して少なくとも75%の配列同一性を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の配列の1つに対して少なくとも85%の配列同一性を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の配列の1つに対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の配列の1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
オリゴヌクレオチドが、キャリア系中に組み込まれている、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
キャリア系がリポソームを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
キャリア系が、生分解性ポリマー、ヒドロゲル、又はシクロデキストリンを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
キャリア系が核酸複合体を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
キャリア系がウイロソームを含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表の参照
「4983_01300_Sequence_Listing.txt」と題される、6,380バイトのサイズの配列表のASCIIテキストファイルの内容を、2018年6月18日にPatentInバージョン3.5を用いて作成して、USPTOの「EFS-Web」特許出願を介して電子的に提出した。これによる文書提出系は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。組み込まれる配列表は、配列番号1~配列番号42を含む。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、John Mansell博士による2018年6月29日出願の米国仮特許出願第62/692,460号明細書(表題「麻酔誘発性神経毒性の処置のための組成物及び方法(Compositions and Methods for the Treatment of Anesthesia-Induced Neurotoxicity)」)の優先権を主張する。この出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、一般に、麻酔誘発性神経毒性の処置のための組成物及び方法論に関する。より詳細には、本開示は、小児対象における麻酔誘発性神経毒性の処置のためのオリゴヌクレオチドの予防的かつ/又は治療的利用に関する。
【背景技術】
【0004】
米国では毎年、150万人の乳児を含む約600万人の子供が、全身麻酔を伴う外科手術を受けており、多くの場合、繰返しの曝露を必要とする。全身麻酔は、鎮痛作用、鎮静作用、及び筋弛緩作用を誘導する薬剤の投与を包含する。全身麻酔薬の作用機序はまだ完全には理解されていないが、最近のデータによれば、麻酔薬が、N-メチル-D-アスパルタート(NMDA)受容体を阻害することによって、又は逆にγ-アミノ酪酸(GABA)受容体を活性化することによって、2つの主要な神経伝達物質受容体群を主に調節することが示唆されている。活動依存型可塑性(activity-dependent plasticity)の崩壊に対してより感受性の高い発達中の脳においては、この一過性の阻害が、神経発達に長期的な影響を及ぼす場合がある。前臨床研究から蓄積されてきた報告によれば、新生児の発達中の脳において、麻酔薬が、アポトーシス及び神経変性が挙げられる細胞毒性を引き起こすことが示されている。重要なことに、動物研究及び臨床研究によれば、全身麻酔薬への曝露が、CNSの発達に影響を及ぼして、学習障害及び記憶障害等の長期にわたる認知欠陥及び行動欠陥、ならびに社会的記憶及び社会的活動の異常をもたらす虞があることが示されている。
【0005】
遺伝子発現分析によれば、観察される麻酔誘発性神経毒性の潜在的な原因の1つとして、オートファジー促進タンパク質の発現の増大が示唆されている。例えば、Ras/PI3K/PTEN/Akt/mTOR経路におけるシグナル伝達の調節不全が、多くの場合、アポトーシス誘導剤に対する感受性の増大をもたらす。麻酔誘発性神経毒性(AIN)を緩和するための方法及び組成物が、継続して必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
一部の実施形態は、配列番号1~配列番号42の1つを有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるオリゴヌクレオチド、又はその変異体を含む製剤である。例えば、オリゴヌクレオチドは、配列番号1~配列番号42の1つに対して少なくとも75%の配列同一性、配列番号1~配列番号42の1つに対して少なくとも85%の配列同一性、又は配列番号1~配列番号42の1つに対して少なくとも95%の配列同一性を有してもよいし、配列番号1~配列番号42の1つを含んでもよい。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、キャリア系、例えば、リポソーム、生分解性ポリマー、ヒドロゲル、シクロデキストリン、核酸複合体、ウイロソーム、又はそれらの組合せ中に組み込まれてもよい。
【0007】
加えて、一部の実施形態は、麻酔誘発性神経毒性を処置する方法である。当該方法は、配列番号1~配列番号42の1つを有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるオリゴヌクレオチド、又はその変異体を含む製剤を対象に投与することを含んでもよい。例えば、オリゴヌクレオチドは、配列番号1~配列番号42の1つに対して少なくとも75%の配列同一性、配列番号1~配列番号42の1つに対して少なくとも85%の配列同一性、又は配列番号1~配列番号42の1つに対して少なくとも95%の配列同一性を有してもよいし、配列番号1~配列番号42の1つを含んでもよい。製剤は、フッ化化合物を含む全身麻酔薬の投与の前に、投与と同時に、投与の後に、又はそれらの組合せで投与されてよい。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、キャリア系、例えば、リポソーム、生分解性ポリマー、ヒドロゲル、シクロデキストリン、核酸複合体、ウイロソーム、又はそれらの組合せ中に組み込まれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】Ras/PI3K/PTEN/Akt/mTOR経路の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書中で開示されるのは、AINを処置する方法である。一態様において、AINは、麻酔、典型的には全身麻酔への曝露の結果である。一態様において、麻酔は吸入麻酔薬である。一態様において、麻酔は静脈内麻酔薬である。例えば、以下に限定されないが、麻酔は、イソフルラン、セボフルラン、ハロタン、又はそれらの組合せを含む。
【0010】
本明細書中で用いられる用語「処置する」又は「処置」は、疾患もしくは症状、又はそれらの病徴を緩和、軽減、又は改善すること;疾患もしくは症状、又はそれらの病徴を管理すること;更なる病徴を予防すること;病徴の根本的な代謝の原因を改善又は予防すること;疾患又は症状を阻害すること、例えば、疾患又は症状の進行を阻止すること;疾患又は症状を和らげること;疾患又は症状の退行を引き起こすこと;疾患又は症状によって引き起こされる病徴を和らげること;かつ/あるいは疾患又は症状の病徴を止めることを含む。また、本明細書中で用いられる処置は、本明細書中での組成物のあらゆる医薬的又は医学的使用を包含する。
【0011】
本明細書中で用いられる用語「対象」は、処置、観察、又は実験の対象である動物を指す。ほんの一例として、対象は、哺乳動物であってよいが、これに限定されず、ヒトが挙げられるが、これに限定されない。一態様において、対象は、医療専門家によって吸入麻酔薬が投与される小児患者である。
【0012】
一態様において、対象は、本明細書中に開示される組成物が、AINの1つ以上の病徴を処置、予防、かつ/又は改善するのに十分な、治療的に有効な量で投与される。本明細書中で用いられる、本明細書中に開示されるタイプの特定の組成物の投与によるAINの病徴の改善は、持続的であるか一過性であるかに拘わらない、あらゆる軽減を指し、これは、本明細書中に開示されるタイプの組成物の投与に起因又は関連し得る。治療的に有効な量は、対象に影響を及ぼす特定の要因を考慮して、1人以上の医療専門家によって最適化され得ることが意図される。
【0013】
本明細書中で用いられる用語「RNA干渉」又は「RNAi」は、サイレンシングされる遺伝子の配列と相補的なiRNAガイド鎖内にシード領域配列を有するiRNA剤(例えば、siRNA、miRNA、shRNA)によって開始される、動植物における配列特異的な転写後遺伝子サイレンシングのプロセスを介した、iRNA剤による遺伝子発現のサイレンシング又は低下を指す。本明細書中で用いられる用語「iRNA剤」(「干渉RNA剤」の略語)は、標的遺伝子の発現を下方制御することができるRNA剤、又は化学的に修飾されたRNAを指す。本明細書中で用いられるフレーズ「化学修飾」は、その、当該技術において一般的に受け入れられている意味を引用する。本開示の例示的な核酸分子に関して、当該用語は、天然のsiRNA又は一般的なRNAのヌクレオチドとは異なるヌクレオチドの化学構造のあらゆる修飾を指す。用語「化学修飾」は、本明細書中に記載されるような、又はそうでなければ当該技術において知られているような、糖、塩基、又はヌクレオチド間結合での天然のsiRNA又はRNAの付加、置換、又は修飾を包含する。特定の態様において、用語「化学修飾」は、特定の生体系において天然に存在するRNAの特定の形態、例えば、2’-O-メチル修飾又はイノシン修飾を指し得る。理論によって拘束されることを望むものではないが、iRNA剤は、標的mRNAの転写後切断、又は転写前もしくは翻訳前機構が挙げられるいくつかの機構の1つ以上によって作用し得る。iRNA剤は、一本鎖(ss)を含んでも、複数の鎖を含んでもよく、例えば二本鎖(ds)IRNA剤であってもよい。本明細書中で用いられる用語「siRNA」は、低分子干渉RNAを指す。siRNAとして、長さが約15~60、15~50、もしくは15~40(二重鎖)ヌクレオチド、より典型的には長さが約15~30、15~25、もしくは19~25(二重鎖)ヌクレオチド、又は長さが約20~24、約21~22、もしくは21~23(二重鎖)ヌクレオチドである短い干渉RNAが挙げられる(例えば、二本鎖siRNAの各相補配列は、長さが15~60、15~50、15~40、15~30、15~25、もしくは19~25ヌクレオチド、又は長さが約20~24、約21~22、もしくは21~23ヌクレオチド、又は長さが19~21ヌクレオチドであり、二本鎖siRNAは、長さが約15~60、15~50、15~40、15~30、15~25、もしくは19~25、又は約20~24、約21~22、19~21、もしくは21~23塩基対である)。siRNA二重鎖は、約1~約4ヌクレオチド、又は約2~3ヌクレオチドの3’オーバーハング、及び5’ホスファート末端(5’ phosphate termini)を含んでもよい。一部の態様において、siRNAは、末端ホスファートを欠いている。一部の態様において、siRNAの一方の端部又は双方の端部は、例えば、標的配列と相補的でないデオキシチミジン(dTdT)又はウラシル(UU)といった、長さが2又は3ヌクレオチドである一本鎖3’オーバーハングを含んでもよい。一部の態様において、siRNA分子は、ヌクレアーゼ耐性の強化、二重鎖安定性の強化、細胞取込みの強化、又は細胞標的化に役立つ、ヌクレオチド類似体(例えば、チオホスファート又はG-クランプヌクレオチド類似体)、代替の塩基結合(例えば、ホスホロチオアート、ホスホノアセタート、又はチオホスホノアセタート)、及び他の修飾を含んでもよい。
【0014】
一態様において、本明細書中に開示されるオリゴヌクレオチドは、小児AINを処置するのに用いられるので、PAINと呼ばれる。本明細書中で用いられるPAINは、RNAのみを含有する分子に限定される必要はなく、化学的に修飾されたヌクレオチド及び非ヌクレオチドを更に包含してもよい。特定の態様において、本開示のPAINは、別個のセンス配列又は領域及びアンチセンス配列又は領域を含み、センス領域及びアンチセンス領域は、当該技術において知られているように、ヌクレオチドリンカー分子もしくは非ヌクレオチドリンカー分子によって共有結合され、又はイオン相互作用、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、及び/もしくはスタッキング相互作用によって非共有結合的に結合される。特定の態様において、本開示のPAINは、標的遺伝子のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を含む。別の態様において、本開示のPAINは、標的遺伝子の発現の阻害を引き起こすように、標的遺伝子のヌクレオチド配列と相互作用する。
【0015】
本明細書中で用いられる「修飾パーセント」は、PAIN(例えば、iRNA、siRNAの各鎖、又は集合的dsRNA)内の修飾されたヌクレオチドの数を指す。例えば、PAINのアンチセンス鎖の19%の修飾は、21ヌクレオチド配列(21mer)内での最大4ヌクレオチド/bpの修飾を指す。100%の修飾とは、完全に修飾されたdsRNAを指す。化学修飾の程度は、例えば、標的mRNA、オフ標的サイレンシング、エンドヌクレアーゼ分解の程度といった種々の要因によって決まることとなる。
【0016】
本明細書中で用いられる用語「shRNA」又は「ショートヘアピンRNA」は、RNAi機構によってsiRNAにプロセシングされるステムループ構造を採用している個々の転写物を指す。典型的なshRNA分子は、ループ配列によって分離されているセンス標的配列及びアンチセンス標的配列を含有する2つの逆向き反復を含む。塩基対セグメントは、17~29ヌクレオチドで変動し得、塩基対形成されたステムの一方の鎖が、標的遺伝子のmRNAと相補的である。shRNAステムループ構造のループは、インビボでの標的遺伝子の不活化を可能にする、適切なあらゆる長さであってよい。ループは長さが3~30ヌクレオチドであってよいが、典型的には1~10ヌクレオチドの長さである。塩基対形成されたステムは、完全に塩基対形成されてもよいし、1つ又は2つのミスマッチ塩基対を有してもよい。二重鎖部分は、典型的には含有しないが、1つ以上の対形成されないヌクレオチドからなる1つ以上のバルジを含有してもよい。shRNAは、塩基対形成されたステムから伸長する塩基対形成されない5’配列及び3’配列を有してもよい。しかしながら、典型的には、5’伸長はない。shRNAの5’末端の最初のヌクレオチドはGである。なぜなら、ポリメラーゼIIIによって転写される最初のヌクレオチドであるからである。Gが標的配列内の最初の塩基として存在しなければ、Gが、特定の標的配列の前に付加されてもよい。5’Gは典型的に、塩基対形成されたステムの一部を形成する。典型的には、shRNAの3’末端は、ポリUセグメントである。これは、転写終結シグナルであり、塩基対形成される構造を形成しない。本出願において記載され、そして当業者に知られているように、shRNAは、保存された細胞RNAi機構によってsiRNAにプロセシングされる。ゆえに、shRNAは、siRNAの前駆体であり、そして一般に、標的mRNA転写物の発現を同様に阻害することができる。
【0017】
本明細書中で用いられる用語、単離された核酸分子(例えば、PAIN)の文脈における「単離された」は、ヒトの介入によって自然状態から変更され、又は取り出されているものである。例えば、生きている動物に自然に存在するRNAは、「単離」されていない。自然状態の共存材料から部分的に、又は完全に分離されている合成RNA、dsRNA、又はマイクロRNA分子は、「単離」されている。
【0018】
本明細書中で用いられる用語「相補的」は、標準的なワトソン-クリック相補則に従って塩基対形成することができる核酸配列を指す。すなわち、より大きなプリンは、より小さなピリミジンと塩基対形成して、グアニンとシトシン(G:C)の塩基対形成の組合せ、そしてアデニンとチミン(A:T)(DNAの場合)の塩基対形成の、又はアデニンとウラシル(A:U)(RNAの場合)の塩基対形成の組合せを形成することとなる。
【0019】
本明細書中で用いられる用語「遺伝子」は、RNA及び/もしくはポリペプチド、又はその前駆体の産生に必要なコード配列、ならびに当該コード配列の5’末端及び3’末端を包囲する非コード配列(非翻訳領域)を含む核酸(例えば、DNA又はRNA)配列を指す。用語「遺伝子」は、遺伝子のcDNA形態及びゲノム形態の双方を包含する。機能的ポリペプチドは、ポリペプチドの所望の活性又は機能的特性(例えば、酵素活性、リガンド結合、シグナル伝達、抗原提示)が保持されている限り、完全長のコード配列によって、又はコード配列のいずれかの部分によってコードされ得る。コード領域の5’に位置決めされており、そしてmRNA上に存在する配列は、5’非翻訳配列(「5’UTR」)と呼ばれる。コード領域の3’又は下流に位置決めされており、そしてmRNA上に存在する配列は、3’非翻訳配列(又は「3’UTR」)と呼ばれる。
【0020】
本明細書中で用いられる用語「実質的なサイレンシング」は、標的遺伝子(例えば、PTEN)のmRNAが、導入されたPAINの存在によって、標的遺伝子の発現が、PAINが存在しない場合に見られる発現レベルと比較して、約10%~100%引き下げられるように阻害かつ/又は分解されることを意味する。一般に、遺伝子が実質的にサイレンシングされる場合、PAINが存在しない場合と比較して、発現が少なくとも40%、50%、60%、70%、例えば、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%~79%、一般に少なくとも80%、例えば81%~84%、少なくとも85%、例えば、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は更に100%引き下げられることとなる。本明細書中で用いられる用語「実質的に正常な活性」は、PAINが導入されていない場合の遺伝子の発現レベルを意味する。本明細書中で用いられる用語「阻害する」、「下方制御する」、又は「引き下げる」は、その、当該技術において一般に受け入れられている意味を引用する。本開示の例示的な核酸分子を参照して、当該用語は一般に、遺伝子の発現、1つ以上のタンパク質もしくはタンパク質サブユニットをコードするRNA分子もしくは等価のRNA分子のレベル、又は、本開示の核酸分子(例えば、PAIN)の不在下で観察されるものを下回る、1つ以上のタンパク質もしくはタンパク質サブユニットの活性の引下げを指す。また、下方制御は、RNAi媒介切断等の転写後サイレンシング、又はDNAメチル化パターンもしくはDNAクロマチン構造の変更と関連する場合がある。PAINによる阻害、下方制御、又は引下げは、不活性分子、弱毒化分子、スクランブル配列を有するオリゴヌクレオチド、もしくはミスマッチを有するオリゴヌクレオチドに関連する場合もあるし、代わりにオリゴヌクレオチドの不在下での系に関連する場合もある。
【0021】
一態様において、本明細書中に開示される組成物は、PTENによってコードされるホスファチジルイノシトール-3,4,5-トリスリン酸3の発現の下方制御又は引下げをもたらすPAINを含む。別の態様において、本明細書中に開示される組成物は、AKT1によってコードされるRAC-アルファセリン/スレオニン-プロテインキナーゼ(プロテインキナーゼB又はPKB)の下方制御又は引下げをもたらすPAINを含む。代替の態様において、本明細書中に開示される組成物は、DDIT3によってコードされるC/EBP相同タンパク質(CHOP)の下方制御又は引下げをもたらすPAINを含む。
【0022】
別の態様において、PAINは、AKT1の発現を阻害し、又は代わりにAKT1の発現を実質的にサイレンシングするオリゴヌクレオチドを含む。更に別の態様において、PAINは、DDIT3の発現を阻害し、又は代わりにDDIT3の発現を実質的にサイレンシングするオリゴヌクレオチドを含む。
【0023】
一態様において、PAINは、PTENタンパク質をコードする遺伝子の発現を阻害し、又は代わりにPTENタンパク質をコードする遺伝子の発現を実質的にサイレンシングするオリゴヌクレオチドを含む。ホスファターゼ及びテンシンホモログ(PTEN)は、正常な細胞の維持に不可欠であり、重要な腫瘍抑制因子として十分に特徴付けられている。PTENは、受容体チロシンキナーゼ(RTK)PI-3キナーゼ(PI3K)/Aktシグナル伝達経路の調節において重要であるので、PTEN発現の小さな変化ですら、正常な細胞の機能に大きな影響を及ぼすことが示されている。PTENタンパク質は、核と細胞質の間を移動して、PTENに特有の区分された機能を可能にする。分子レベルでは、PTENの発現及び細胞の存在量は、転写、翻訳後、及び転写後のレベルにて厳密に調節される。PTEN遺伝子は、9つのエクソン内にコードされており、そして1212ヌクレオチド(nt)のオープン・リーディング・フレームを有する。当該遺伝子は、相対分子質量が47kDaである403個のアミノ酸のポリペプチドをコードする。PTENタンパク質は、N末端ホスファターゼ触媒ドメイン(残基7~185)及びC末端ドメイン(残基186~351)の2つの主要ドメインからなる。これらの2つのドメインは、一緒になって最小の触媒ユニットを形成し、そして非常に短いN末端テールのみを除いてほぼ完全なタンパク質を構成する。
【0024】
別の態様において、PAINは、AKT1の発現を阻害し、又は代わりにAKT1の発現を実質的にサイレンシングするオリゴヌクレオチドを含む。PI3K/Akt経路は、癌研究において最も集中的に調査されているシグナル伝達ネットワークの1つである。AKTは、PTENの喪失、PI3Kの触媒サブユニット、p110αを活性化する変異、Aktアイソフォームを活性化する変異、RAS及び成長因子受容体の活性化、ならびにPI3K及びAktの触媒サブユニットをコードする遺伝子の増幅が挙げられる複数の機構によって、癌細胞内で過剰に活性化される。AKT1は、インスリン様成長因子に応答するグリコーゲンシンターゼ(GSK3β)の不活化因子として元々同定された57kDaのセリン/スレオニンキナーゼをコードする。PKBは、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3-キナーゼ)によるアミノ酸Thr308及びSer473のリン酸化によって活性化されると、いくつかの重要な影響(リン酸化によるアポトーシスの阻害、ならびにアポトーシス促進因子Bad及びカスパーゼ-9の不活化が挙げられる)を及ぼす。
【0025】
転写因子CCAATエンハンサ結合タンパク質相同タンパク質(CHOP)は、小胞体(ER)ストレス誘発性アポトーシスに関与する分子として最初に報告された。CHOPの発現は、ストレスのない条件下では低いが、その発現は、ERストレスに応答して、IRE1、PERK、及びATF6に依存する転写誘導を介して著しく増大する。eIF2αのPERK媒介リン酸化によって誘導されるATF4の活性化は、ERストレスに応答したCHOPの誘導において支配的な役割を果たすと考えられている。CHOPの過剰発現は、いくつかの細胞株においてアポトーシスを促進するが、CHOP欠損細胞は、ERストレス誘発性アポトーシスに対して耐性がある。したがって、CHOPは、アポトーシスの誘導において重要な役割を果たす。CHOPの2つのアイソフォームが、そのmRNAから、リボソームスキャン機構によって生成される(14、15)。全長タンパク質は42kDaであり、3つのトランス活性化ドメインを含有する。
【0026】
PTEN、AKT1、DDIT3、又はそれらのそれぞれの遺伝子産物の下方制御の程度は、適切なあらゆるアッセイを用いて判定することができる。適切なアッセイとして、限定されないが、例えば、ドットブロット、ノーザンブロット、インサイチュハイブリダイゼーション、ELISA、マイクロアレイハイブリダイゼーション、免疫沈降、酵素機能、及び当業者に知られている表現型アッセイ等の適切なあらゆる技術を用いたタンパク質又はmRNAレベルの試験が挙げられる。遺伝子サイレンシングの程度を調査するために、試験サンプル(例えば、標的遺伝子を発現する、注目する生物由来の生体サンプル、又は標的遺伝子を発現する、培養下の細胞のサンプル)を、標的遺伝子の発現をサイレンシングし、引き下げ、又は阻害するPAINと接触させる。試験サンプルにおける標的遺伝子の発現を、PAINと接触していない対照サンプル(例えば、標的遺伝子を発現する、注目する生物由来の生体サンプル、又は標的遺伝子を発現する、培養下の細胞のサンプル)における標的遺伝子の発現と比較する。対照サンプル(すなわち、標的遺伝子を発現するサンプル)には、100%の値を割り当てる。一態様において、標的遺伝子の発現の実質的なサイレンシング、阻害、下方制御、又は引下げは、対照サンプルに対する試験サンプルの値が、約95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、又は10%である場合、達成されている。
【0027】
一態様において、PAINは、マイクロRNA(miRNA、miR)である。miRは、遺伝子発現を調節する、一般に長さが21~23ヌクレオチドである一本鎖RNA分子を指す。マイクロRNAは、pri-miRNAとして知られている一次転写物から、前駆体(pre)-miRNAと呼ばれる短いステムループ構造に、そして最終的に、機能的な成熟マイクロRNAにプロセシングされる。成熟マイクロRNA分子は、1つ以上のメッセンジャーRNA分子と部分的に相補的であり、そしてその主な機能は、RNAi経路を介して遺伝子発現を下方制御することである。
【0028】
一態様において、PAINは、低分子干渉RNA(siRNA)である。天然に存在するRNAi、二本鎖RNA(dsRNA)は、RNase III/ヘリカーゼタンパク質、Dicerによって、低分子干渉RNA(siRNA)分子(19~27ヌクレオチド(nt)のdsRNA、3’末端に2ntのオーバーハングを有する)に切断される。siRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と呼ばれるマルチコンポーネントリボヌクレアーゼ中に組み込まれる。siRNAの一方の鎖は、RISCと結合したままであり、RISC内のガイダーss-siRNAと相補的な配列を有する同族RNAに向けて複合体を誘導する。このsiRNAに誘導されるエンドヌクレアーゼが、RNAを消化することによって、これを不活化する。RISC、siRNA分子、及びRNAiのこれらの、そして他の特性が説明されている。
【0029】
本開示の一態様において、PAINはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)は、相補的な標的に結合して、当該標的の機能を抑制する合成核酸である。典型的には、ASOは、RNA標的、特にメッセンジャーRNA(mRNA)種又はマイクロRNA(miRNA)種の発現を引き下げ、又は変更するのに用いられる。一般的な原則として、ASOは、2つの異なる作用機序を介して遺伝子発現を抑制することができ:1)ASOが標的核酸にしっかりと結合して、その種を不活化して、細胞生物学への関与を妨げる、立体ブロッキングによるもの、又は2)ASOが標的に結合して、標的核酸種を分解する細胞ヌクレアーゼの活性化をもたらす、分解をトリガすることによるものが挙げられる。「標的分解」ASOの一クラスが、「RNase H活性」である;標的RNAの、DNA含有「RNase H活性」ASOとのハイブリダイゼーションによるヘテロ二重鎖核酸の形成が、酵素RNase Hの基質を形成する。RNase Hは、ヘテロ二重鎖分子のRNA部分を分解することによって、その種の発現を引き下げる。標的RNAの分解により、分解されていないASOが放出され、これはその後、自由にリサイクルでき、そして同じ配列の別のRNA標的に結合することができる。
【0030】
一態様において、PAINは、マイクロRNA、siRNA、ASO、iRNA、iRNA剤、shRNA、それらの機能的変異体;又はそれらの組合せを含む。一部の態様において、本明細書中に開示されるオリゴヌクレオチドの機能的変異体は、本明細書中に開示されるいずれかの配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の配列同一性を有する。一般に、「同一性」は、オリゴヌクレオチド配列又はポリヌクレオチド配列の2つのヌクレオチド間の正確な一致を指す。同一性パーセントは、配列をアラインして、2つのアラインされた配列間の正確な一致数を数えて、短い方の配列の長さで割って、結果に100を掛けることによって、2つの分子間の配列情報を直接比較することによって求めることができる。容易に入手可能なコンピュータプログラム、例えばWisconsin Sequence Analysis Package、バージョン8(Genetics Computer Group、ウィスコンシン州マディソン(Madison、Wis.)から入手可能)(例えば、Smith and Watermanアルゴリズムに依拠する、BESTFIT、FASTA、及びGAPプログラム)を用いて、分析を支援することができる。これらのプログラムは、メーカーによって推奨され、かつ先で参照したWisconsin Sequence Analysis Packageに記載されているデフォルトのパラメータにより、容易に利用できる。例えば、Smith and Watermanの相同性アルゴリズムを、デフォルトのスコアリングテーブル、及び6ヌクレオチド位置のギャップペナルティと用いて、基準配列に対する特定のヌクレオチド配列の同一性パーセントを求めることができる。
【0031】
これ以外にも、相同性は、相同領域間で安定した二重鎖を形成する条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションに続く、一本鎖特異的ヌクレアーゼによる消化、及び消化されたフラグメントのサイズ決定によって求めることができる。実質的に相同であるDNA配列は、例えば、特定の系について定義されているストリンジェントな条件下でのサザンハイブリダイゼーション実験で同定することができる。適切なハイブリダイゼーション条件を定義することは、当該技術の範囲内である。
【0032】
以下の配列表に示されているように、配列番号1~配列番号42(すなわち、<210>1~<210>42)は、本明細書中に記載されるPAINの代表的なものである。一態様において、PAINは、配列番号1~配列番号42のいずれか1つを有するオリゴヌクレオチド、又はその機能的変異体を含む。一部の態様において、本開示での使用に適したPAINは、配列番号1~配列番号42(すなわち、<210>1~<210>42)のいずれか1つと少なくとも70%の配列同一性、配列番号1~配列番号42(すなわち、<210>1~<210>42)のいずれか1つと少なくとも75%の配列同一性、配列番号1~配列番号42(すなわち、<210>1~<210>42)のいずれか1つと少なくとも80%の配列同一性、配列番号1~配列番号42(すなわち、<210>1~<210>42)のいずれか1つと少なくとも85%の配列同一性、配列番号1~配列番号42(すなわち、<210>1~<210>42)のいずれか1つと少なくとも90%の配列同一性、又は配列番号1~配列番号42(すなわち、<210>1~<210>42)のいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0033】
一態様において、PAINは、約20%~約90%の修飾、又は約40%~約60%の修飾を有する。
【0034】
一態様において、本開示のPAIN(修飾されている、又は修飾されていない)は、化学的に合成される。オリゴヌクレオチド(例えば、リボヌクレオチドを欠く特定の修飾オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの部分)は、例えば、Caruthersら,1992,Methods in Enzymology 211,3-19、Thompsonら,国際公開第99/54459号パンフレット、Wincottら,1995,Nucleic Acids Res.23,2677-2684、Wincottら,1997,Methods Mol.Bio.,74,59、Brennanら,1998,Biotechnol Bioeng.61,33-45、及びBrennan,米国特許第6,001,311号明細書に記載されているような、当該技術において知られているプロトコルを用いて合成される。オリゴヌクレオチドの合成は、5’末端のジメトキシトリチル、及び3’末端のホスホルアミダイト等の一般的な核酸保護基及びカップリング基を使用する。
【0035】
これ以外にも、PTEN、AKT1、又はDDIT3と相互作用してこれらを下方制御する本開示のPAINは、DNAベクター又はRNAベクター中に挿入された転写物から発現かつ送達されてもよい。組換えベクターは、DNAプラスミドベクターであってもウイルスベクターであってもよい。PAIN発現ウイルスベクターの非限定的な例を、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、又はアルファウイルスに基づいて構築することができる。
【0036】
一部の態様において、pol IIIベースの構築体が、本開示のPAINを発現させるのに用いられる。siNA分子配列の転写を、真核生物RNAポリメラーゼI(pol I)、RNAポリメラーゼII(pol II)、又はRNAポリメラーゼIII(pol III)用のプロモータから駆動させることができる(例えば、Thompson,米国特許第5,902,880号明細書及び米国特許第6,146,886号明細書参照)。pol IIプロモータ又はpol IIIプロモータからの転写物が、全細胞内で高レベルにて発現される;所定の細胞型における所定のpol IIプロモータのレベルは、近くに存在する遺伝子調節配列(エンハンサ、サイレンサ等)の性質によって決まる。原核生物RNAポリメラーゼ酵素が適切な細胞内で発現されるならば、原核生物RNAポリメラーゼプロモータを用いることもできる。これらの例示的な転写ユニットは、プラスミドDNAベクター、ウイルスDNAベクター(アデノウイルスベクター又はアデノ随伴ウイルスベクター等)、又はウイルスRNAベクター(レトロウイルスベクター又はアルファウイルスベクター等)が挙げられるがこれらに限定されない、哺乳動物細胞中への導入用の種々のベクター中に組み込むことができる。
【0037】
本開示のPAINを発現させるのに用いられるベクターは、siNA二重鎖の一方又は双方の鎖をコードしてもよいし、siRNA二重鎖に自己ハイブリダイズする単一の自己相補鎖をコードしてもよい。本開示のPAINをコードする核酸配列は、PAINの発現を可能にするように作動可能に連結され得る。一部の態様において、PAINを含む構築体は、レポーター遺伝子(例えば、緑色蛍光タンパク質)及び選択遺伝子(例えば、抗生物質耐性について)を更に含んでもよい。
【0038】
別の態様において、本発明のPAINは、直接加えられ、あるいはカチオン性脂質と複合体化されてもよいし、リポソーム内に、又はPAINを発現する組換えプラスミドベクターもしくは組換えウイルスベクターとしてパッケージされてもよいし、別の方法で標的細胞又は標的組織に送達されてもよい。核酸分子は、細胞に、以下に限定されないが、リポソーム内へのカプセル化、イオントフォレシス、又は他のビヒクル、例えば生分解性ポリマー、ヒドロゲル、シクロデキストリンポリ乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)、及びPLCAミクロスフェア、生分解性ナノカプセル、ならびに生体接着性ミクロスフェア中への組込み、又はタンパク質ベクターが挙げられる適切なあらゆる方法論によって投与することができる。一態様において、本開示は、本明細書中に記載されるPAINを含有するキャリア系を提供する。一部の態様において、キャリア系は、脂質ベースのキャリア系、カチオン性脂質、リポソーム、核酸複合体、リポソーム、ミセル、ウイロソーム、脂質ナノ粒子、又はそれらの混合物である。他の態様において、キャリア系は、カチオン性ポリマー-核酸複合体等のポリマーベースのキャリア系である。更なる態様において、キャリア系は、シクロデキストリンポリマー-核酸複合体等のシクロデキストリンベースのキャリア系である。更なる態様において、キャリア系は、カチオン性ペプチド-核酸複合体等のタンパク質ベースのキャリア系である。
【0039】
他の態様において、PAINは、細胞膜を横切って治療化合物を移動させ、薬物動態を変更し、かつ/又は本開示の核酸分子の局在化を調節することによって、治療活性を付与することができる、提供されるコンジュゲート又は複合体の構成要素である。例えば、コンジュゲートは、ポリエチレングリコール(PEG)を含むことができ、これはPAINに共有結合し得る。結合するPEGは、任意の分子量、例えば約100~約50,000ダルトン(Da)であってよい。
【0040】
更に他の態様において、PAINは、ポリ(エチレングリコール)脂質を含有する表面修飾リポソーム(PEG修飾されているリポソーム、長期循環リポソーム、又はステルスリポソーム)及びPAINを含む組成物又は製剤の構成要素である。一部の態様において、本開示のsiRNA分子を、ポリエチレンイミン及びその誘導体、例えば、ポリエチレンイミン-ポリエチレングリコール-N-アセチルガラクトサミン(PEI-PEG-GAL)又はポリエチレンイミン-ポリエチレングリコール-トリ-N-アセチルガラクトサミン(PEI-PEG-triGAL)誘導体と製剤化又は複合体化することもできる。
【0041】
一態様において、本開示のPAINは、対象への投与用の組成物又は製剤に調製される。本明細書中で用いられる用語「組成物」又は「製剤」は、それらの、当該技術において一般的に受け入れられている意味を引用する。当該用語は、一般に、細胞、又は例えばヒトを含む対象中への投与、例えば全身投与又は局所投与に適した形態の、例えば薬学的に許容されるキャリア又は希釈剤中の組成物又は製剤を指す。適切な形態は、部分的に、使用又はエントリ経路(例えば、経口、経皮、吸入、又は静脈内、筋肉内、もしくは髄腔内注射)によって決まる。そのような形態は、組成物又は製剤が、標的細胞(すなわち、負に帯電した核酸が送達を所望される細胞)に到達するのを妨げるべきでない。例えば、血流中に注入される組成物は、可溶性であるべきである。他の要因として、組成物又は製剤が、その効果を発揮するのを妨げる毒性及び形態等の考慮事項が挙げられる。本開示の核酸分子との製剤化に適した剤の非限定的な例として:脂質ナノ粒子(例えば、Sempleら,2010,ネイチャーバイオテクノロジー(Nat Biotechnol.),2月号;28(2):172-6参照);P糖タンパク質インヒビタ(例えば、Pluronic P85);生分解性ポリマー、例えば徐放送達用のポリ(DL-ラクチド-コグリコリド)ミクロスフェア(Emerich,D Fら,1990,Cell Transplant,8,47-58);及びロードされるナノ粒子、例えばポリブチルシアノアクリラート製のものが挙げられる。本開示の核酸分子についての送達戦略の他の非限定的な例として、Boadoら,1998,J.Pharm.Sci.,87,1308-1315;Tylerら,1999,フェブスレター(FEBS Lett.),421,280-284;Partridgeら,1995,米国科学アカデミー紀要(PNAS USA.),92,5592-5596;Boado,1995,Adv.Drug Delivery Rev.,15,73-107;Aldrian-Herradaら,1998,Nucleic Acids Res.,26,4910-4916;及びTylerら,1999,米国科学アカデミー紀要(PNAS USA.),96,7053-7058に記載される材料が挙げられる。「薬学的に許容される組成物」又は「薬学的に許容される製剤」は、所望される活性について最も適した身体的位置への本開示の核酸分子の効果的な分配を可能にする組成物又は製剤を指し得る。
【0042】
一態様において、製剤は、更なる成分を含有してもよい。本明細書中で用いられる「更なる成分」として、以下の1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない:賦形剤;界面活性剤;分散剤;不活性希釈剤;造粒剤及び崩壊剤;結合剤;潤滑剤;甘味料;香料;着色剤;防腐剤;ゼラチン等の生理学的に分解可能な組成物;水性のビヒクル及び溶媒;油性のビヒクル及び溶媒;懸濁化剤;分散剤又は湿潤剤;乳化剤、粘滑剤;バッファ;塩;増粘剤;フィラー;乳化剤;抗酸化剤;抗生物質;抗真菌剤;安定化剤;ならびに薬学的に許容されるポリマー材料又は疎水性材料。
【0043】
代替の態様において、対象は、対象が全身麻酔薬を投与される外科的処置の前に、外科的処置と同時に、外科的処置の後に、本明細書中に開示される配列を有するPAINを含む医薬製剤を投与される。そのような態様において、全身麻酔薬は、イソフルラン又はセボフルラン等のハロゲン化ガス状化合物を含んでよい。
【0044】
理論によって制限されることを望むものではないが、オリゴヌクレオチドのこれらの様々な形態は、PTENタンパク質、プロテインキナーゼB、又はCHOPの効率的な転写を減少させ、ガイド鎖mRNAの、翻訳への首尾良い動きを低下させ、そしてPTENタンパク質、プロテインキナーゼB、又はCHOPを生成するmRNAの効率的な翻訳を妨げるであろう。
【0045】
医学の当業者に知られている従来の方法を用いて、医薬製剤を哺乳動物対象に投与することができる。医薬製剤は、経口、皮下、肺内、経粘膜、腹腔内、子宮内、舌下、髄腔内、又は筋肉内経路を介して投与することができる。
【0046】
PAIN組成物の注射可能な製剤又は本開示の製剤は、種々のキャリアを含有してよい。生理学的に許容される賦形剤として、例えば、5%デキストロース、0.9%生理食塩水、リンゲル液、又は他の適切な賦形剤が挙げられ得る。筋肉内調製物、例えば、本開示の化合物の無菌製剤を、注射用水、0.9%生理食塩水、又は5%グルコース溶液として、医薬賦形剤中に溶解させて投与することができる。
【0047】
一部の態様において、本明細書中に開示される製剤は、麻酔薬への曝露の前、曝露中、そして曝露後の期間、神経組織及び他の罹患組織中に存在するように投与されて、麻酔薬によってトリガされるアポトーシス事象を低下させる、又は妨げるであろう。例えば、本明細書中に開示される製剤は、麻酔薬への曝露の少なくとも約30分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約16時間、少なくとも約24時間、少なくとも約32時間、少なくとも約48時間、少なくとも約60時間、もしくは少なくとも約72時間前に、そして加えて、又は代替的に、麻酔薬への曝露と実質的に同時に、そして加えて、又は代替的に、麻酔薬への曝露の約30分、約1時間、約2時間、約4時間、約8時間、約16時間、約24時間、約32時間、約48時間、約60時間、もしくは約72時間後に、投与されてよい。
【0048】
以下の特定の態様は、本開示の特定の態様として、そしてその実践及び利点を実証するために与えられる。特定の態様は、説明のために与えられており、本明細書又は後に続く請求項を、いかなる方法でも制限することが意図されないことが理解される。
【0049】
実施形態1は、配列番号1~配列番号42の1つを有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるオリゴヌクレオチド、又はその変異体を含む製剤である。
【0050】
実施形態2は、オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の1つに対して少なくとも75%の配列同一性を有する、実施形態1の製剤である。
【0051】
実施形態3は、オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の1つに対して少なくとも85%の配列同一性を有する、実施形態1~2の1つの製剤である。
【0052】
実施形態4は、オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の1つに対して少なくとも95%の配列同一性を有する、実施形態1~3の1つの製剤である。
【0053】
実施形態5は、オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の1つを含む、実施形態1~4の1つの製剤である。
【0054】
実施形態6は、オリゴヌクレオチドがキャリア系中に組み込まれている、実施形態1~5の1つの製剤である。
【0055】
実施形態7は、キャリア系がリポソームを含む、実施形態6の製剤である。
【0056】
実施形態8は、キャリア系が、生分解性ポリマー、ヒドロゲル、又はシクロデキストリンを含む、実施形態6~7の1つの製剤である。
【0057】
実施形態9は、キャリア系が核酸複合体を含む、実施形態6~8の1つの製剤である。
【0058】
実施形態10は、キャリア系がウイロソームを含む、実施形態6~9の1つの製剤である。
【0059】
実施形態11は、麻酔誘発性神経毒性を処置する方法であり、当該方法は、配列番号1~配列番号42の1つを有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるオリゴヌクレオチド、又はその変異体を含む製剤を対象に投与することを含み、製剤は、フッ化化合物を含む全身麻酔薬の投与の前に、投与と同時に、投与の後に、又はそれらの組合せで投与される。
【0060】
実施形態12は、オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の1つに対して少なくとも75%の配列同一性を有する、実施形態11の方法である。
【0061】
実施形態13は、オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の1つに対して少なくとも85%の配列同一性を有する、実施形態11~12の1つの方法である。
【0062】
実施形態14は、オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の1つに対して少なくとも95%の配列同一性を有する、実施形態11~13の1つの方法である。
【0063】
実施形態15は、オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の1つを含む、実施形態11~14の1つの方法である。
【0064】
実施形態16は、オリゴヌクレオチドがキャリア系中に組み込まれている、実施形態11~15の1つの方法である。
【0065】
実施形態17は、キャリア系がリポソームを含む、実施形態16の方法である。
【0066】
実施形態18は、キャリア系が、生分解性ポリマー、ヒドロゲル、又はシクロデキストリンを含む、実施形態16~17の1つの方法である。
【0067】
実施形態19は、キャリア系が核酸複合体を含む、実施形態16~18の1つの方法である。
【0068】
実施形態20は、キャリア系がウイロソームを含む、実施形態16~19の1つの方法である。
【0069】
一部の実施形態において、本明細書中に開示される製剤(特に、配列番号1~配列番号42の1つ以上を有するオリゴヌクレオチド、又はその変異体を含む製剤)の投与が、麻酔の投与と実質的に同時に(例えば、投与の直前に、投与中に、又は投与の直後に)なされて、当該麻酔への曝露に起因する、認知機能に及ぶ影響を軽減する、すなわち、このクラスの臨床薬への曝露を経験している患者において認知機能を維持する。特定の例において、処置されることとなる症状が、認知機能に何らかの影響を及ぼす傾向がある場合等、麻酔への曝露の影響が悪化する(compounded)場合がある。これらの場合、本明細書中に開示される製剤(特に、配列番号1~配列番号42の1つ以上を有するオリゴヌクレオチド、又はその変異体を含む製剤)が、特に有利であり得る。
【0070】
例えば、本明細書中に開示される製剤(特に、配列番号1~配列番号42の1つ以上を有するオリゴヌクレオチド、又はその変異体を含む製剤)の投与は、小児麻酔薬の状況において特に有利であり得る。
【0071】
加えて、又は代替的に、本明細書中に開示される製剤(特に、配列番号1~配列番号42の1つ以上を有するオリゴヌクレオチド、又はその変異体を含む製剤)の投与は、例えば、脳卒中又は心臓発作等の虚血性事象に起因し得る半影又は境界領域(penumbral or watershed)の組織損傷の容量又は重症度を引き下げることにより、そのような事象を患っている、又は患っている疑いがある患者の状況において、特に有利であり得る。
【0072】
加えて、又は代替的に、本明細書中に開示される製剤(特に、配列番号1~配列番号42の1つ以上を有するオリゴヌクレオチド、又はその変異体を含む製剤)の投与は、脳、心臓、内臓、又は四肢の血管再生術の状況において、特に有利であり得る。例えば、開示される製剤の予防的使用は、ストレスの結果として、アポトーシスカスケードのトリガ又は開始に潜在的に関与し得る、そのようなストレスを一時的に受けた組織を保護し得る。
【0073】
本明細書中に開示される原理に従う種々の実施形態が先で示されて説明されてきたが、その改変が、本開示の精神及び教示から逸脱しない範囲で、当業者によってなされてよい。本明細書中に記載される態様は、代表的なものに過ぎず、限定となることは意図されていない。多くの変形、組合せ、及び改変が、本開示の範囲内で可能である。実施形態の特徴を組み合わせ、統合し、かつ/又は省略することから生じる代替の実施形態もまた、本開示の範囲内である。したがって、保護の範囲は、先の説明によって制限されるのではなく、請求項によって定義され、請求項の主題の全ての均等物を含む範囲に従う。いずれの請求項も、更なる開示として本明細書中に組み込まれ、そして請求項は、本開示の主題の実施形態である。更に、上記のあらゆる利点及び特徴は、特定の実施形態に関連し得るが、発行されたそのような請求項の適用を、先の利点のいずれかもしくは全てを達成する、又は先の特徴のいずれかもしくは全てを有するプロセス及び構造に限定するものではない。
【0074】
加えて、本明細書中で用いられているあらゆる見出し部は、構成的手がかりを与えるために記載されている。当該見出しは、本開示から発行され得る請求項のいずれかに記載されている主題を制限したり特徴付けたりするものではない。具体的には、例として、見出しが「分野」に言及している場合でも、請求項は、この見出しの下で選択される文言によって、いわゆる分野を説明すると限定されるべきではない。更に、「背景」における技術の記載は、特定の技術が本開示のあらゆる主題に対する先行技術であることを認めるものとして解釈されるべきでない。「要約」も、発行される請求項に記載されている主題の限定的な特徴と見なされるべきでない。全ての場合において、請求項の範囲は、それ自体のメリットについて、本開示に照らして考慮されるものとし、本明細書に記載される見出しによって制約されるべきでない。
【0075】
「含む」、「挙げられる」、「有する」等のより広い用語の使用は、「からなる」、「から本質的になる」、「で実質的に構成される」等のより狭い用語を支持するものと理解されるべきである。実施形態のあらゆる要素に関する「場合によっては」、「し得る」、「してもよい」、「可能性がある」等の用語の使用は、要素が必要とされない、又は要素が必要とされるという、双方の選択肢が実施形態の範囲内にあることを意味する。また、例への言及は、単に説明の目的で記載されており、排他的であることは意図されていない。
【0076】
本開示においていくつかの態様が記載されてきたが、開示される態様は、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、他の多くの特定の形態で具体化されてよいと理解されるべきである。本開示の例は、実例となるが、限定的ではないと見なされるべきであり、その意図は、本明細書中に与えられる詳細に限定されるべきでない。例えば、種々の要素又は構成要素が、別の系に組み合わされても統合されてもよいし、特定の形状部分が省略されても実装されなくてもよい。
【0077】
また、離散的な、又は別個のものとして種々の実施形態において記載かつ説明されている技術、系、サブシステム、及び方法が、本開示の範囲から逸脱することなく、他の系、モジュール、技術、又は方法と組み合わされても統合されてもよい。相互に直接連結又は連通するものとして示され、又は考察されている他のアイテムが、電気的であるか、機械的であるか、その他の方法であるかに拘わらず、何らかのインターフェース、デバイス、又は中間構成要素を介して間接的に連結又は連通されてもよい。変更、置換、及び改変の他の例が、当業者によって確認可能であり、本明細書中に開示される精神及び範囲から逸脱することなくなされ得る。
【0078】
[請求項1]
配列番号1~配列番号42の1つを有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるオリゴヌクレオチド、又はその変異体を含む、製剤。
[請求項2]
オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の配列の1つに対して少なくとも75%の配列同一性を有する、請求項1に記載の製剤。
[請求項3]
オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の配列の1つに対して少なくとも85%の配列同一性を有する、請求項1に記載の製剤。
[請求項4]
オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の配列の1つに対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項1に記載の製剤。
[請求項5]
オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の配列の1つを含む、請求項1に記載の製剤。
[請求項6]
オリゴヌクレオチドが、キャリア系中に組み込まれている、請求項1に記載の製剤。
[請求項7]
キャリア系がリポソームを含む、請求項6に記載の製剤。
[請求項8]
キャリア系が、生分解性ポリマー、ヒドロゲル、又はシクロデキストリンを含む、請求項6に記載の製剤。
[請求項9]
キャリア系が核酸複合体を含む、請求項6に記載の製剤。
[請求項10]
キャリア系がウイロソームを含む、請求項6に記載の製剤。
[請求項11]
以下を含む、麻酔誘発性神経毒性を処置する方法:
配列番号1~配列番号42の配列の1つを有するオリゴヌクレオチドからなる群から選択されるオリゴヌクレオチド、又はその変異体を含む製剤を対象に投与すること、前記製剤は、フッ化化合物を含む全身麻酔薬の投与の前に、投与と同時に、投与の後に、又はそれらの組合せで投与される。
[請求項12]
オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の配列の1つに対して少なくとも75%の配列同一性を有する、請求項11に記載の方法。
[請求項13]
オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の配列の1つに対して少なくとも85%の配列同一性を有する、請求項11に記載の方法。
[請求項14]
オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の配列の1つに対して少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項11に記載の方法。
[請求項15]
オリゴヌクレオチドが、配列番号1~配列番号42の配列の1つを含む、請求項11に記載の方法。
[請求項16]
オリゴヌクレオチドが、キャリア系中に組み込まれている、請求項11に記載の方法。
[請求項17]
キャリア系がリポソームを含む、請求項16に記載の方法。
[請求項18]
キャリア系が、生分解性ポリマー、ヒドロゲル、又はシクロデキストリンを含む、請求項16に記載の方法。
[請求項19]
キャリア系が核酸複合体を含む、請求項16に記載の方法。
[請求項20]
キャリア系がウイロソームを含む、請求項16に記載の方法。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-08-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】