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特開2024-147750ポリリボヌクレオチドの送達のための組成物、方法、及びキット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147750
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ポリリボヌクレオチドの送達のための組成物、方法、及びキット
(51)【国際特許分類】
   A61K 48/00 20060101AFI20241008BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241008BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20241008BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20241008BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20241008BHJP
   A61K 38/04 20060101ALI20241008BHJP
   A61K 38/18 20060101ALI20241008BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20241008BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20241008BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20241008BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20241008BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20241008BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20241008BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20241008BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
A61K48/00
A61K9/08 ZNA
A61K47/10
A61K47/38
A61K47/34
A61K38/04
A61K38/18
A61K47/26
A61P17/02
A61K31/7088
A61K47/14
A61K9/06
A61K9/107
A61K9/12
A61K9/08
A61K48/00 ZNA
C12N15/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024115650
(22)【出願日】2024-07-19
(62)【分割の表示】P 2021551747の分割
【原出願日】2020-03-01
(31)【優先権主張番号】62/812,763
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】520445473
【氏名又は名称】フラッグシップ パイオニアリング イノベーションズ シックス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アバク カーベジアン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・マッカートニー プルギス
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドラ・ソフィー デ ブール
(72)【発明者】
【氏名】エレーセ・マリー カルモナ
(72)【発明者】
【氏名】モラグ・ヘレン スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー・ジョセフ ハジャール
(57)【要約】
【課題】ポリリボヌクレオチドの送達のための方法及び組成物を提供すること。
【解決手段】いくつかの場合において、本明細書で提供される方法及び組成物は、ポリリボヌクレオチドのインビボ送達に好適である。ある種の態様において、本明細書では、生物学的効果を有するポリリボヌクレオチドの送達のための医薬組成物も開示される。本明細書に記載される本発明は、ポリリボヌクレオチドの送達のための組成物、医薬組成物、及び方法を含む。ある種の実施形態では、組成物及び医薬組成物は、エタノール及びポリリボヌクレオチドを含む。他の実施形態では、組成物及び医薬組成物は、アルコール及びポリリボヌクレオチドを含む。別の実施形態では、組成物及び医薬組成物は、細胞透過剤及びポリリボヌクレオチドを含む。方法は、これらの組成物及び医薬組成物を対象の表面領域に適用することを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月1日に出願された米国仮特許出願第62/812,763号
に対する優先権及び利益を主張するものであり、その全内容は、参照により本明細書に組
み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ポリリボヌクレオチドは、遺伝子発現、遺伝子調節、及び細胞性シグナル伝達などの生
物活性のための重要な生体分子である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書に記載される本発明は、ポリリボヌクレオチドの送達のための組成物、医薬組
成物、及び方法を含む。ある種の実施形態では、組成物及び医薬組成物は、エタノール及
びポリリボヌクレオチドを含む。他の実施形態では、組成物及び医薬組成物は、アルコー
ル及びポリリボヌクレオチドを含む。別の実施形態では、組成物及び医薬組成物は、細胞
透過剤及びポリリボヌクレオチドを含む。方法は、これらの組成物及び医薬組成物を対象
の表面領域に適用することを含む。
【0004】
本明細書に記載される本発明は、いずれの担体も含まない組成物を含み、且つポリリボ
ヌクレオチド及び希釈剤を含む。組成物は、ポリリボヌクレオチドの送達のために上皮細
胞に適用され得る。組成物は、表面領域への殺菌剤の適用の後に表面領域に適用され得る
【0005】
いくつかの態様では、医薬組成物は、ポリリボヌクレオチド及びエタノールの混合物を
含み、エタノールは、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占める。
いくつかの実施形態では、エタノールは、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約70
%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約60%v/v、少なくとも約0.3%v/v
~約50%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約40%v/v、少なくとも約30%
v/v~約20%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約15%v/v、少なくとも約
0.3%v/v~約10%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約5%v/v、少なく
とも約0.3%v/v~約1%v/v、又は少なくとも約0.3%v/v~約0.5%v
/vを占める。いくつかの実施形態では、エタノールは、混合物の少なくとも約0.5%
v/v~約75%v/v、少なくとも約1%v/v~約75%v/v、少なくとも約5%
v/v~約75%v/v、少なくとも約10%v/v~約75%v/v、少なくとも約1
5%v/v~約75%v/v、少なくとも約20%v/v~約75%v/v、少なくとも
約30%v/v~約75%v/v、少なくとも約40%v/v~約75%v/v、少なく
とも約50%v/v~約75%v/v、少なくとも約60%v/v~約75%v/v、又
は少なくとも約70%v/v~約75%v/vを占める。
【0006】
いくつかの態様では、医薬組成物は、ポリリボヌクレオチド及びアルコールの混合物を
含み、アルコールは、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占める。
いくつかの実施形態では、アルコールは、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約70
%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約60%v/v、少なくとも約0.3%v/v
~約50%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約40%v/v、少なくとも約30%
v/v~約20%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約15%v/v、少なくとも約
0.3%v/v~約10%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約5%v/v、少なく
とも約0.3%v/v~約1%v/v、又は少なくとも約0.3%v/v~約0.5%v
/vを占める。いくつかの実施形態では、アルコールは、混合物の少なくとも約0.5%
v/v~約75%v/v、少なくとも約1%v/v~約75%v/v、少なくとも約5%
v/v~約75%v/v、少なくとも約10%v/v~約75%v/v、少なくとも約1
5%v/v~約75%v/v、少なくとも約20%v/v~約75%v/v、少なくとも
約30%v/v~約75%v/v、少なくとも約40%v/v~約75%v/v、少なく
とも約50%v/v~約75%v/v、少なくとも約60%v/v~約75%v/v、又
は少なくとも約70%v/v~約75%v/vを占める。いくつかの実施形態では、アル
コールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、セ
チルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、変性アルコール、ベンジ
ルアルコール、特別変性アルコール、グリコール、ステアリルアルコール、セテアリルア
ルコール、メントール、ポリエチレングリコール(PEG)-400、エトキシ化脂肪酸
、及びヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される。
【0007】
いくつかの態様では、医薬組成物は、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤の混合物を
含み、細胞透過剤は、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占める。
いくつかの実施形態では、細胞透過剤は、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約70
%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約60%v/v、少なくとも約0.3%v/v
~約50%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約40%v/v、少なくとも約30%
v/v~約20%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約15%v/v、少なくとも約
0.3%v/v~約10%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約5%v/v、少なく
とも約0.3%v/v~約1%v/v、又は少なくとも約0.3%v/v~約0.5%v
/vを占める。いくつかの実施形態では、細胞透過剤は、混合物の少なくとも約0.5%
v/v~約75%v/v、少なくとも約1%v/v~約75%v/v、少なくとも約5%
v/v~約75%v/v、少なくとも約10%v/v~約75%v/v、少なくとも約1
5%v/v~約75%v/v、少なくとも約20%v/v~約75%v/v、少なくとも
約30%v/v~約75%v/v、少なくとも約40%v/v~約75%v/v、少なく
とも約50%v/v~約75%v/v、少なくとも約60%v/v~約75%v/v、又
は少なくとも約70%v/v~約75%v/vを占める。いくつかの実施形態では、細胞
透過剤は、アルコールである。いくつかの実施形態では、アルコールは、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、セチルアルコール、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、変性アルコール、ベンジルアルコール、特別変性ア
ルコール、グリコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、メントール、ポ
リエチレングリコール(PEG)-400、エトキシ化脂肪酸、及びヒドロキシエチルセ
ルロースからなる群から選択される。
【0008】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、タンパク質をコードする。いくつ
かの実施形態では、タンパク質は、治療用タンパク質である。いくつかの実施形態では、
タンパク質は、創傷治癒タンパク質である。いくつかの実施形態では、創傷治癒タンパク
質は、増殖因子である。いくつかの実施形態では、増殖因子は、EGF、PDGF、TG
Fβ、又はVEGFである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、液体、ゲル、ロー
ション、ペースト、クリーム、泡、又は粘着物質である。いくつかの実施形態では、ポリ
リボヌクレオチドは、直鎖状ポリリボヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、ポ
リリボヌクレオチドは、mRNAである。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチ
ドは、キャップ又はポリAテールを欠く。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチ
ドは、免疫原性である。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、非免疫原性
である。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチド
である。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、修飾リボヌクレオチドを含
む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約7のpHを有する。いくつかの実施形態
では、医薬組成物は、水とほぼ同じである粘度を有する。いくつかの実施形態では、医薬
組成物は、疎水性又は親油性基を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、医薬組成
物は、炭化水素を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、カチオン
性リポソームを実質的に含まない。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、脂肪酸、脂
質、リポソーム、コレステロール、又はその任意の組合せを実質的に含まない。いくつか
の実施形態では、細胞透過剤は、極性溶媒に可溶性である。いくつかの実施形態では、細
胞透過剤は、極性溶媒に不溶性である。
【0009】
いくつかの態様では、治療用組成物は、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含み、
細胞透過剤は、局所投与のために構成される。いくつかの態様では、治療用組成物は、ポ
リリボヌクレオチド及びアルコールを含み、アルコールは、局所投与のために構成される
【0010】
いくつかの態様では、治療用組成物は、ポリリボヌクレオチド及びアルコールを含み、
ポリリボヌクレオチドは、ペイロード又はペイロードをコードする配列を含み、且つペイ
ロードは、細胞に対する生物学的効果を有する。いくつかの態様では、治療用組成物は、
ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含み、ポリリボヌクレオチドは、ペイロード又は
ペイロードをコードする配列を含み、且つペイロードは、細胞に対する生物学的効果を有
する。
【0011】
いくつかの態様では、治療用組成物は、ポリリボヌクレオチド及びアルコールを含み、
ポリリボヌクレオチドは、細胞又は組織に対する生物学的効果を有するのに有効な量で存
在し、且つアルコールは、細胞又は組織に対する生物学的効果を有するのに有効な量で存
在する。いくつかの態様では、治療用組成物は、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を
含み、ポリリボヌクレオチドは、細胞又は組織に対する生物学的効果を有するのに有効な
量で存在し、且つ細胞透過剤は、細胞又は組織に対する生物学的効果を有するのに有効な
量で存在する。
【0012】
いくつかの態様では、創傷を治療する方法は、創傷又は創傷の周囲の組織を、ポリリボ
ヌクレオチド及びエタノールの混合物を含む組成物に接触させることを含み、エタノール
は、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占める。いくつかの態様で
は、創傷を治療する方法は、創傷又は創傷の周囲の組織を、ポリリボヌクレオチド及びア
ルコールの混合物を含む組成物に接触させることを含み、アルコールは、混合物の少なく
とも約0.3%v/v~約75%v/vを占める。いくつかの態様では、創傷を治療する
方法は、創傷又は創傷の周囲の組織を、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤の混合物を
含む組成物に接触させることを含み、細胞透過剤は、混合物の少なくとも約0.3%v/
v~約75%v/vを占める。
【0013】
いくつかの態様では、治療用組成物は、ポリリボヌクレオチド、アルコール、及び局所
送達賦形剤を含み、局所送達賦形剤は、安定剤を含む。いくつかの態様では、治療用組成
物は、ポリリボヌクレオチド、細胞透過剤、及び局所送達賦形剤を含み、局所送達賦形剤
は、安定剤を含む。いくつかの実施形態では、安定剤は、グルコース(4.5g/L)を
含む。
【0014】
いくつかの態様では、坐剤又は他の脂質系製剤は、ポリリボヌクレオチド及びアルコー
ルを含む。いくつかの態様では、坐剤又は他の脂質系製剤は、ポリリボヌクレオチド及び
細胞透過剤を含む。
【0015】
いくつかの態様では、吸入可能な組成物は、ポリリボヌクレオチド、アルコール、及び
噴霧剤の混合物を含む。いくつかの態様では、吸入可能な組成物は、ポリリボヌクレオチ
ド、細胞透過剤、及び噴霧剤の混合物を含む。
【0016】
いくつかの態様では、治療用組成物は、ポリリボヌクレオチド及びアルコールで負荷さ
れた生分解性の足場を含む。いくつかの態様では、治療用組成物は、ポリリボヌクレオチ
ド及び細胞透過剤で負荷された生分解性の足場を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、細胞透過剤は、アルコールを含む。いくつかの実施形態では
、アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノー
ル、セチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、変性アルコール、
ベンジルアルコール、特別変性アルコール、グリコール、ステアリルアルコール、セテア
リルアルコール、メントール、ポリエチレングリコール(PEG)-400、エトキシ化
脂肪酸、及びヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される。いくつかの実施形
態では、アルコールは、エタノールである。
【0018】
いくつかの態様では、ポリリボヌクレオチドを対象に送達する方法は、a)殺菌剤を対
象の表面領域に適用すること;b)いずれの担体も含まないポリリボヌクレオチド及び希
釈剤を含む組成物を表面領域に適用することを含む。いくつかの実施形態では、殺菌剤は
、アルコール、UV光、レーザー光、又は熱である。
【0019】
いくつかの態様では、ポリリボヌクレオチドを対象に送達する方法は、a)アルコール
を対象の表面領域に適用すること;b)いずれの担体も含まないポリリボヌクレオチド及
び希釈剤を含む組成物を表面に適用することを含む。
【0020】
いくつかの態様では、ポリリボヌクレオチドを上皮細胞に送達する方法は、いずれの担
体も含まない希釈剤及び修飾されていないポリリボヌクレオチドを含む組成物を上皮細胞
に適用することを含む。
【0021】
いくつかの態様では、ポリリボヌクレオチドを対象に送達する方法は、ポリリボヌクレ
オチド及びエタノールの混合物を含む組成物を対象の表面領域に局所的に適用することを
含み、エタノールは、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占める。
いくつかの態様では、ポリリボヌクレオチドを対象に送達する方法は、ポリリボヌクレオ
チド及びアルコールの混合物を含む組成物を対象の表面領域に局所的に適用することを含
み、アルコールは、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占める。い
くつかの態様では、ポリリボリボヌクレオチドを対象に送達する方法は、ポリリボヌクレ
オチド及び細胞透過剤の混合物を含む組成物を対象の表面領域に局所的に適用することを
含み、細胞透過剤は、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占める。
いくつかの実施形態では、組成物は、ポリリボヌクレオチドを対象の真皮又は上皮組織に
送達する。いくつかの実施形態では、組成物は、ポリリボヌクレオチドを対象の真皮又は
上皮組織にイオン泳動を伴わずに送達する。
【0022】
いくつかの態様では、ポリリボヌクレオチドを細胞又は組織に送達する方法は、細胞又
は組織を、ポリリボヌクレオチド及びアルコールを含む混合物に接触させることを含み、
アルコールは、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占める。いくつ
かの態様では、ポリリボヌクレオチドを細胞又は組織に送達する方法は、細胞又は組織を
、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含む混合物に接触させることを含み、細胞透過
剤は、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占める。
【0023】
いくつかの態様では、治療用組成物を細胞又は組織に送達する方法は、細胞又は組織を
、ポリリボヌクレオチド及びアルコールを含む治療用組成物に接触させることを含み、ア
ルコールは、局所投与のために構成される。いくつかの態様では、治療用組成物を細胞又
は組織に送達する方法は、細胞又は組織を、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含む
治療用組成物に接触させることを含み、細胞透過剤は、局所投与のために構成される。
【0024】
いくつかの態様では、ポリリボヌクレオチドのインビボ送達の方法は、ポリリボヌクレ
オチド及びアルコールを含む混合物を、対象の表面領域に適用することを含む。いくつか
の態様では、ポリリボヌクレオチドのインビボ送達の方法は、ポリリボヌクレオチド及び
細胞透過剤を含む混合物を、対象の表面領域に適用することを含む。
【0025】
いくつかの態様では、ポリリボヌクレオチドの局所送達の方法は、ポリリボヌクレオチ
ド及びアルコールを含む混合物を、対象の表面領域に適用することを含む。いくつかの態
様では、ポリリボヌクレオチドの局所送達の方法は、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過
剤を含む混合物を、対象の表面領域に適用することを含む。
【0026】
いくつかの態様では、治療用ポリリボヌクレオチドを対象に送達する方法は、治療用ポ
リリボヌクレオチド及びアルコールを含む混合物を上皮表面、内皮表面、露出された組織
、又は開放創に局所的に接触させることを含む。いくつかの態様では、治療用ポリリボヌ
クレオチドを対象に送達する方法は、治療用ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含む
混合物を上皮表面、内皮表面、露出された組織、又は開放創に局所的に接触させることを
含む。
【0027】
いくつかの態様では、治療の方法は、ポリリボヌクレオチド及びアルコールを含む混合
物を、病態又は疾患を有する対象の表面領域に適用することを含む。いくつかの態様では
、治療の方法は、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含む混合物を、病態又は疾患を
有する対象の表面領域に適用することを含む。いくつかの実施形態では、細胞透過剤は、
アルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルコールは、メタノール、エタノール、
イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、セチルアルコール、エチレングリコール
、プロピレングリコール、変性アルコール、ベンジルアルコール、特別変性アルコール、
グリコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、メントール、ポリエチレン
グリコール(PEG)-400、エトキシ化脂肪酸、及びヒドロキシエチルセルロースか
らなる群から選択される。いくつかの実施形態では、アルコールは、エタノールを含む。
いくつかの実施形態では、エタノール、アルコール、又は細胞透過剤は、混合物の少なく
とも約0.3%v/v~約70%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約60%v/v
、少なくとも約0.3%v/v~約50%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約40
%v/v、少なくとも約30%v/v~約20%v/v、少なくとも約0.3%v/v~
約15%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約10%v/v、少なくとも約0.3%
v/v~約5%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約1%v/v、又は少なくとも約
0.3%v/v~約0.5%v/vを占める。いくつかの実施形態では、エタノール、ア
ルコール、又は細胞透過剤は、混合物の少なくとも約0.5%v/v~約75%v/v、
少なくとも約1%v/v~約75%v/v、少なくとも約5%v/v~約75%v/v、
少なくとも約10%v/v~約75%v/v、少なくとも約15%v/v~約75%v/
v、少なくとも約20%v/v~約75%v/v、少なくとも約30%v/v~約75%
v/v、少なくとも約40%v/v~約75%v/v、少なくとも約50%v/v~約7
5%v/v、少なくとも約60%v/v~約75%v/v、又は少なくとも約70%v/
v~約75%v/vを占める。いくつかの実施形態では、方法はさらに、ポリリボヌクレ
オチドを細胞透過剤又はアルコールと混合することを含む。いくつかの実施形態では、ポ
リリボヌクレオチドは、混合の前に固体形態で存在する。いくつかの実施形態では、ポリ
リボヌクレオチドは、混合の前に凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、ポリリボヌ
クレオチドは、混合の前に液体形態で存在する。いくつかの実施形態では、ポリリボヌク
レオチドは、混合の前に溶媒中で溶解される。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレ
オチドは、ペイロード又はペイロードをコードする配列を含み、且つペイロードは、細胞
又は組織に対する生物学的効果を有する。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチ
ドは、細胞に対する生物学的効果を有するのに有効な量で存在し、且つ細胞透過剤は、細
胞又は組織に対する生物学的効果を有するのに有効な量で存在する。いくつかの実施形態
では、ポリリボヌクレオチドは、タンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、タ
ンパク質は、治療用タンパク質である。いくつかの実施形態では、タンパク質は、創傷治
癒タンパク質である。いくつかの実施形態では、創傷治癒タンパク質は、増殖因子である
。いくつかの実施形態では、増殖因子は、EGF、PDGF、TGFβ、又はVEGFで
ある。いくつかの実施形態では、組成物は、液体、ゲル、ローション、ペースト、クリー
ム、泡、又は粘着物質である。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、直鎖
状ポリリボヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、m
RNAである。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、キャップ又はポリA
テールを欠く。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、免疫原性である。い
くつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、非免疫原性である。いくつかの実施形
態では、ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドである。いくつかの実施形
態では、ポリリボヌクレオチドは、修飾リボヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態で
は、組成物は、約7のpHを有する。いくつかの実施形態では、組成物は、水とほぼ同じ
である粘度を有する。いくつかの実施形態では、組成物は、疎水性又は親油性基を実質的
に含まない。いくつかの実施形態では、組成物は、炭化水素を実質的に含まない。いくつ
かの実施形態では、組成物は、カチオン性リポソームを実質的に含まない。いくつかの実
施形態では、組成物は、脂肪酸、脂質、リポソーム、コレステロール、又はその任意の組
合せを実質的に含まない。いくつかの実施形態では、細胞透過剤は、極性溶媒に可溶性で
ある。いくつかの実施形態では、細胞透過剤は、極性溶媒に不溶性である。いくつかの実
施形態では、組成物はさらに、薬学的に許容される賦形剤を含む。いくつかの実施形態で
は、送達は、全身性である。いくつかの実施形態では、送達は、局所的である。いくつか
の実施形態では、表面領域は、皮膚、口腔、鼻腔、耳腔、胃腸管、気道、膣、子宮頸部、
子宮内、尿路、及び眼の表面領域からなる群から選択される。表面領域が、口腔、鼻腔、
胃腸管、気道、膣、子宮頸部、子宮内、尿路、及び眼である場合、送達は、非侵襲性の手
段によるそのような表面領域の上皮内層に対するものである。いくつかの実施形態では、
適用は、混合物の液滴を表面領域に直接的に置くことを含む。いくつかの実施形態では、
適用は、表面領域を、混合物が包埋されたパッチ、ゲル、又はフィルムにより拭くことを
含む。いくつかの実施形態では、適用は、混合物を表面領域に噴霧することを含む。いく
つかの実施形態では、適用は、混合物をエアロゾル化により対象に投与することを含む。
いくつかの実施形態では、適用は、混合物を坐剤により対象に投与することを含む。いく
つかの実施形態では、適用は、混合物を、混合物を含有するカプセルの経口摂取を介して
対象に投与することを含み、カプセルは、混合物を対象の胃腸管内部に放出するように構
成される。いくつかの実施形態では、細胞は、上皮細胞を含む。いくつかの実施形態では
、環状ポリリボヌクレオチドは、直鎖状対応物より少なくとも5%、少なくとも10%、
少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくと
も50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%
、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なく
とも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なく
とも9倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、又は少なくとも1
00倍高い翻訳効率を有する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、
直鎖状対応物より少なくとも5倍高い翻訳効率を有する。いくつかの実施形態では、ポリ
リボヌクレオチドは、短期間の生物学的効果を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、長期間の生物学的効果を有する。
いくつかの実施形態では、混合物中のポリリボヌクレオチドの濃度は、少なくとも約50
ng/mL、少なくとも約100ng/mL、少なくとも約500ng/mL、少なくと
も約1μg/mL、少なくとも約2μg/mL、少なくとも約3μg/mL、少なくとも
約4μg/mL、少なくとも約5μg/mL、少なくとも約10μg/mL、少なくとも
約20μg/mL、少なくとも約50μg/mL、少なくとも約100μg/mL、少な
くとも約200μg/mL、少なくとも約500μg/mL、少なくとも約1mg/mL
、少なくとも約2mg/mL、少なくとも約5mg/mL、少なくとも約10mg/mL
、少なくとも約20mg/mL、少なくとも約50mg/mL、又は少なくとも約100
mg/mLである。
【0029】
本発明はまた、本明細書に記載される医薬組成物を含むキットを提供する。いくつかの
態様では、キットは、適用ツール及び前述の実施形態のいずれか1つの医薬組成物を含み
、適用ツールは、医薬組成物を対象の表面領域に適用するように構成される。
【0030】
いくつかの態様では、キットは、第1の適用ツール、第2の適用ツール、殺菌剤、及び
いずれの担体も含まないポリリボヌクレオチド及び希釈剤を含む組成物を含み、第1の適
用ツールは、殺菌剤を対象の表面領域に適用するように構成され、且つ第2の適用ツール
は、組成物を対象の表面領域に適用するように構成される。いくつかの実施形態では、殺
菌剤は、アルコール、UV光、レーザー光、又は熱である。いくつかの実施形態では、ア
ルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、
セチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、変性アルコール、ベン
ジルアルコール、特別変性アルコール、グリコール、ステアリルアルコール、セテアリル
アルコール、メントール、ポリエチレングリコール(PEG)-400、エトキシ化脂肪
酸、及びヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される。いくつかの実施形態で
は、第1の適用ツールは、ワイプである。いくつかの実施形態では、ワイプは、殺菌剤を
含む。いくつかの実施形態では、第1の適用ツールは、UV光又はレーザー光を適用する
デバイスである。いくつかの実施形態では、第1の適用ツールは、熱を適用するデバイス
である。
【0031】
いくつかの態様では、キットは、適用ツール並びにポリリボヌクレオチド及び細胞透過
剤を含む混合物を含み、その適用ツールは、混合物を対象の表面領域に適用するように構
成される。いくつかの実施形態では、その適用ツール又は第2の適用ツールは、ピペット
を含む。いくつかの実施形態では、その適用ツール又は第2の適用ツールは、基材を含み
、基材は、混合物が包埋される。いくつかの実施形態では、基材は、天然又は人工繊維で
作られる。
【0032】
ある種の実施形態では、キットは、坐剤を含む。いくつかの実施形態では、その適用ツ
ール又は第2の適用ツールは、パッチを含む。いくつかの実施形態では、その適用ツール
又は第2の適用ツールは、噴霧器を含む。いくつかの実施形態では、その適用ツール又は
第2の適用ツールは、ネブライザーを含む。いくつかの実施形態では、その適用ツール又
は第2の適用ツールは、混合物を対象の胃腸管内部に放出するように構成されるカプセル
を含む。いくつかの実施形態では、その適用ツール又は第2の適用ツールは、混合物を制
御された様式で放出するように構成される。いくつかの実施形態では、表面領域は、皮膚
、口腔、鼻腔、胃腸管、及び気道の表面領域、並びにその任意の組合せからなる群から選
択される。
【0033】
別の態様では、キットは、本明細書に記載される組成物及びアルコールワイプを含む。
別の態様では、キットは、本明細書に記載される組成物及び対象の表面領域への適用のた
めのアルコールを含有するバイアルを含む。
【0034】
定義
本発明は、特定の実施形態及び特定の図面に関して記載されることになるが、本発明は
、それに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。下記の用語は一般に、別
段の指定がない限り、それらの一般的な意味において理解されることになる。
【0035】
本明細書で使用する場合、用語「ポリヌクレオチド」は、1つ以上の核酸サブユニット
、又はヌクレオチドを含む分子を意味し、「核酸」又は「オリゴヌクレオチド」と互換的
に使用され得る。ポリヌクレオチドは、アデノシン(A)、シトシン(C)、グアニン(
G)、チミン(T)及びウラシル(U)、又はその変種から選択される1つ以上のヌクレ
オチドを含み得る。ヌクレオチドは、ヌクレオシド及び少なくとも1、2、3、4、5、
6、7、8、9、10個、又はそれ以上のリン酸(PO)基を含み得る。ヌクレオチド
は、核酸塩基、五炭糖(リボース又はデオキシリボースのいずれか)、及び1つ以上のリ
ン酸基を含み得る。リボヌクレオチドは、糖がリボースであるヌクレオチドである。ポリ
リボヌクレオチド若しくはリボ核酸、又はRNAは、ホスホジエステル結合を介して重合
される複数のリボヌクレオチドを含む高分子を指し得る。デオキシリボヌクレオチドは、
糖がデオキシリボースであるヌクレオチドである。
【0036】
ポリデオキシリボヌクレオチド又はデオキシリボ核酸、又はDNAは、ホスホジエステ
ル結合を介して重合される複数のデオキシリボヌクレオチドを含む高分子を意味する。ヌ
クレオチドは、ヌクレオシド一リン酸又はヌクレオシドポリリン酸であり得る。ヌクレオ
チドは、発光タグ又はマーカー(例えば、フルオロフォア)などの検出可能なタグを含む
、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシシチジン三リン酸(dCTP)、
デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)、ウリジン三リン酸(dUTP)及びデオキシ
チミジン三リン酸(dTTP)dNTPから選択され得る、例えば、デオキシリボヌクレ
オシド三リン酸(dNTP)などのデオキシリボヌクレオシドポリリン酸を意味する。ヌ
クレオチドは、伸長している核酸鎖に組み込まれ得る任意のサブユニットを含み得る。そ
のようなサブユニットは、A、C、G、T、若しくはU、又は1つ以上の相補的なA、C
、G、T若しくはUに特異的であるか、プリン(すなわち、A若しくはG、又はその変種
)又はピリミジン(すなわち、C、T若しくはU、又はその変種)に相補的な任意の他の
サブユニットであり得る。いくつかの例において、ポリヌクレオチドは、デオキシリボ核
酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、又はその誘導体若しくは変種である。いくつかの場
合において、ポリヌクレオチドは、いくつか例を挙げると、短い干渉RNA(siRNA
)、マイクロRNA(miRNA)、プラスミドDNA(pDNA)、短いヘアピンRN
A(shRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA
)、前駆体mRNA(プレ-mRNA)、アンチセンスRNA(asRNA)であり、ヌ
クレオチド配列及び一本鎖、二本鎖、三本鎖、らせん状、ヘアピンなどの任意のその構造
実施形態の両方を包含する。いくつかの場合において、ポリヌクレオチド分子は、環状で
ある。ポリヌクレオチドは、様々な長さを有し得る。核酸分子は、少なくとも10塩基、
20塩基、30塩基、40塩基、50塩基、100塩基、200塩基、300塩基、40
0塩基、500塩基、1キロ塩基(kb)、2kb、3kb、4kb、5kb、10kb
、50kb、又はそれ以上の長さを有し得る。ポリヌクレオチドは、細胞又は組織から単
離され得る。本明細書で具体化されるとおり、ポリヌクレオチド配列は、単離され且つ精
製されたDNA/RNA分子、合成DNA/RNA分子、及び合成DNA/RNA類似体
を含み得る。
【0037】
ポリヌクレオチド、例えば、ポリリボヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチド
は、非標準ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、及び/又は修飾ヌ
クレオチドを含む1つ以上のヌクレオチド変種を含み得る。修飾ヌクレオチドの例として
は、ジアミノプリン、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル
、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カ
ルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオ
ウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ-D
-ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグ
アニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メ
チルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチル
グアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラ
シル、ベータ-D-マンノシルキューオシン、5’-メトキシカルボキシメチルウラシル
、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-D46-イソペンテニルアデニン、ウラシル
-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、キューオシン、2-チ
オシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5
-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢
酸(v)、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシ
プロピル)ウラシル、(acp3)w、2,6-ジアミノプリンなどが挙げられるが、こ
れらに限定されない。いくつかの場合において、ヌクレオチドは、三リン酸部分への修飾
を含む、それらのリン酸部分における修飾を含み得る。そのような修飾の非限定的な例と
しては、より長いリン酸鎖(例えば、4、5、6、7、8、9、10以上のリン酸部分を
有するリン酸鎖)及びチオール部分を有する修飾(例えば、アルファ-チオ三リン酸及び
ベータ-チオ三リン酸)が挙げられる。核酸分子はまた、塩基部分(例えば、通常、相補
的なヌクレオチドと水素結合を形成するために利用可能な1つ以上の原子及び/又は通常
、相補的なヌクレオチドと水素結合を形成できない1つ以上の原子)、糖部分又はリン酸
骨格で修飾され得る。核酸分子はまた、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHS
)などのアミン反応性部分の共有結合を可能にするアミノアリル-dUTP(aa-dU
TP)及びアミノヘキシルアクリルアミド-dCTP(aha-dCTP)などのアミン
修飾基を含有し得る。本開示のオリゴヌクレオチドにおける標準的なDNA塩基対又はR
NA塩基対に対する代替物は、ビット毎立方mm単位のより高い密度、より高い安全性(
天然の毒素の偶発的又は意図的な合成に対して耐性)、光でプログラムされたポリメラー
ゼにおけるより容易な識別、又は二次構造の低減を提供し得る。デノボ及び/又は増幅合
成のための天然並びに変異体ポリメラーゼと適合性のそのような代替の塩基対は、全ての
目的のために参照により本明細書に組み込まれるBetz K,Malyshev DA
,Lavergne T,Welte W,Diederichs K,Dwyer T
J,Ordoukhanian P,Romesberg FE,Marx A.Nat
.Chem.Biol.2012 Jul;8(7):612-4において記載される。
【0038】
ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。本明細書で
使用する場合、用語「直鎖状RNA」又は「直鎖状ポリリボヌクレオチド」は、互換的に
使用され、遊離5’及び3’末端を有するポリリボヌクレオチドを意味する。いくつかの
実施形態では、直鎖状RNAは、遊離5’末端又は3’末端を有する。いくつかの実施形
態では、直鎖状RNAは、非共有結合的に連結した5’又は3’末端を有する。本明細書
で使用する場合、用語「circRNA」又は「環状ポリリボヌクレオチド」又は「環状
RNA」は、互換的に使用され、共有結合又は非共有結合により環状構造を形成するポリ
リボヌクレオチドを意味する。いくつかの場合において、環状ポリリボヌクレオチドは、
対応する直鎖状ポリリボヌクレオチドの典型的な遊離5’及び3’末端が、共有結合若し
くは非共有結合、又は非核酸リンカー(例えば、非核酸ポリマー又はタンパク質)のいず
れかを介して合わせて結合される連続的なループを有する。いくつかの場合において、本
明細書で提供される環状ポリリボヌクレオチドは、共有結合又は非共有結合を介して、連
続的なループ構造を形成するように合わせて結合される2つ以上の直鎖状ポリリボヌクレ
オチドによって形成され得る。理論によって束縛されるものではないが、RNAの複数の
セグメントは、1つの5’及び1つの3’遊離末端のみが残存しているときに最終的に環
化され得る、RNAの「糸」を生成するためにアニールされるDNA並びにそれらの5’
及び3’遊離末端から生成され得る。
【0039】
本明細書で使用する場合、「ポリペプチド」は、ほとんどの場合ペプチド結合によって
合わせて連結されたアミノ酸残基(天然又は非天然)のポリマーを意味する。本明細書で
使用する場合、その用語は、任意のサイズ、構造、又は機能のタンパク質、ポリペプチド
、及びペプチドを指す。ポリペプチドは、遺伝子産物、天然に存在するポリペプチド、合
成ポリペプチド、ホモログ、オルソログ、パラログ、断片及び他の等価物、バリアント、
並びに前述の類似体を含み得る。ポリペプチドは、単一の分子であってもよいし、二量体
、三量体又は四量体などの多分子複合体であってもよい。それらはまた、一本鎖又は抗体
若しくはインスリンなどの複数鎖のポリペプチドを含んでもよく、且つ会合され得るか又
は連結され得る。最も一般的なジスルフィド結合は、複数鎖のポリペプチドにおいて見出
される。ポリペプチドという用語は、1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然に存在す
るアミノ酸の人工的な化学的類似体であるアミノ酸ポリマーにも適用され得る。
【0040】
本明細書で使用する場合、用語「混合物」は、混合される2種以上の異なる物質で作ら
れた材料を意味する。いくつかの場合において、本明細書に記載される混合物は、2種以
上の異なる物質の均一な混合物であってもよく、例えば、混合物は、混合物の任意の所与
の試料全体にわたって同じ割合のその成分(例えば、2種以上の物質)を有してもよい。
いくつかの場合において、本明細書で提供されるとおりの混合物は、2種以上の異なる物
質の不均一な混合物であってもよく、例えば、混合物の成分(例えば、2種以上の物質)
の割合は、混合物全体にわたって変動してもよい。いくつかの場合において、混合物は、
液体溶液であり、例えば、混合物は、液相中に存在する。いくつかの場合において、液体
溶液は、液体溶媒及び溶質を含むとみなされ得る。液体溶媒中で溶質を混合することは、
「溶解」プロセスと呼ばれ得る。いくつかの場合において、液体溶液は、液体中の液体溶
液(例えば、液体溶媒中で溶解される液体溶質)、液体中の固体溶液(例えば、液体溶媒
中で溶解される固体溶質)、又は液体中の気体溶液(例えば、液体溶媒中で溶解される固
体溶質)である。いくつかの場合において、2種以上の溶媒及び/又は2種以上の溶質が
存在する。いくつかの場合において、混合物は、コロイド、液体懸濁液、又はエマルショ
ンである。いくつかの場合において、混合物は、固体混合物であり、例えば、混合物は、
固相中に存在する。
【0041】
本明細書で使用する場合、用語「細胞透過剤」は、細胞に接触されるとき、細胞内への
移行を促進する薬剤を意味する。いくつかの場合において、細胞透過剤は、例えば、細胞
膜の負に荷電したリン脂質との直接的な静電相互作用、又は膜タンパク質若しくはリン脂
質二重層において立体配置の変化を誘導することによる一過性の孔形成を介して、細胞膜
の直接的な透過を促進する。いくつかの場合において、細胞透過剤は、エンドサイトーシ
スに媒介される細胞内への移行を促進する。例えば、ある種の状況下で、細胞透過剤は、
エンドサイトーシスプロセスを起こすように細胞を刺激することができ、それにより細胞
膜は、細胞内に内向きに折り畳むことができる。ある種の実施形態では、細胞透過剤は、
細胞膜を横切って輸送する一過性の構造を形成するのを助ける。特定の理論に束縛される
ことなく、本明細書で提供されるとおりの細胞透過剤は、細胞膜の透過性を増大させるこ
とができるか又は分子の細胞内への内部移行を増大させることができ、その結果として、
細胞内への送達は、細胞が細胞透過剤と同時に接触されるとき、細胞透過剤を伴わない他
の同一の送達と比較して、より効率的であり得る。
【0042】
本明細書で使用する場合、用語「ペイロード」は、本明細書で開示されるとおりのポリ
リボヌクレオチドによって送達される任意の分子を意味する。いくつかの場合において、
ペイロードは、核酸、タンパク質、化学物質、リボ核タンパク質、又はその任意の組合せ
である。いくつかの場合において、ペイロードは、本明細書で開示されるとおりのポリリ
ボヌクレオチド内に直接的に含有される核酸配列である。いくつかの場合において、ペイ
ロードは、例えば、相補的なハイブリダイゼーション、又はタンパク質-核酸相互作用を
介して、本明細書で開示されるとおりのポリリボヌクレオチドに結合されるか又はそれと
会合される。ある特定の場合において、ペイロードは、ポリリボヌクレオチド内に含有さ
れるか、それに結合されるか、又はそれと会合される核酸配列によってコードされるタン
パク質である。いくつかの場合において、「結合」は、2つの分子間の共有結合又は非共
有結合性の相互作用を意味する。いくつかの場合において、ペイロードとポリリボヌクレ
オチドの間の相互作用の文脈において使用されるとき、「会合」は、ペイロードが、間に
ある1つ以上の他の分子を介してポリリボヌクレオチドに間接的に連結されることを意味
する。いくつかの場合において、結合又は会合は、一過性であり得る。いくつかの場合に
おいて、ペイロードは、例えば、周囲のpH条件又は刺激若しくは結合パートナーの有無
に依存して、ある条件下でポリリボヌクレオチドに結合されるか又はそれと会合されるが
、別の条件ではそのようにならない。
【0043】
用語「細胞に対する生物学的効果」は、変化、例えば、細胞上又は細胞中における形態
学的変化又は機能的変化を引き起こし得る細胞に対する任意の効果を意味する。例えば、
細胞に対する生物学的効果は、細胞増殖の加速若しくは減速、生存、アポトーシス、又は
細胞の壊死、遺伝子転写及びmRNA翻訳、並びに特定の分化された細胞の機能性(例え
ば、免疫細胞の活性化、ニューロンの興奮若しくは抑制、ホルモン分泌細胞からのホルモ
ン分泌、又はマクロファージによる貪食活性)などであるがこれらに限定されない細胞機
能に影響する細胞内部のシグナル伝達における変化、又は外来分子の細胞内への移行の効
率における変化、例えば、外来分子に対する細胞透過性の増大若しくは低減を含み得るが
、これらに限定されない。細胞に対する生物学的効果は、対象が罹患している疾患の1つ
以上の症状の寛解、又は対象における疾患の治療若しくは根絶をもたらし得る。
【0044】
用語「組織に対する生物学的効果」は、変化、例えば、組織上又は組織中における形態
学的変化又は機能的変化を引き起こし得る組織に対する任意の効果を意味する。例えば、
組織に対する生物学的効果は、組織中の細胞増殖の加速若しくは減速、組織生存、組織中
の細胞のアポトーシス、又は組織の壊死、組織中の細胞の遺伝子転写及びmRNA翻訳、
並びに特定の分化された組織の機能性などであるがこれらに限定されない細胞機能に影響
するか又は組織機能に影響する組織内部のシグナル伝達における変化、又は外来分子の組
織内への移行の効率における変化、例えば、外来分子に対する組織透過性の増大若しくは
低減を含み得るが、これらに限定されない。組織に対する生物学的効果は、対象が罹患し
ている疾患の1つ以上の症状の寛解、又は対象における疾患の治療若しくは根絶をもたら
し得る。
【0045】
用語「アルコール」は、ヒドロキシル官能基(-OH)が炭素に結合されている任意の
有機化合物を意味する。本明細書で論じられるとおりのアルコールは、一価アルコール、
多価アルコール、不飽和脂肪族アルコール、及び脂環式アルコールを含み得るが、これら
に限定されない。いくつかの場合において、アルコールは、エタノールを指してもよい。
いくつかの場合において、アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、
ブタノール、ペンタノール、セチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコ
ール、変性アルコール、ベンジルアルコール、特別変性アルコール、グリコール、ステア
リルアルコール、セテアリルアルコール、メントール、ポリエチレングリコール(PEG
)-400、エトキシ化脂肪酸、及びヒドロキシエチルセルロースを含み得るが、これら
に限定されない。
【0046】
本明細書で使用する場合、対象の身体の用語「表面領域」は、外部環境の対象の身体に
曝されているか又は曝される可能性を有する対象の任意の領域を意味する。対象の身体、
例えば、哺乳動物の身体、例えば、ヒトの身体の表面領域は、皮膚、口腔、鼻腔、耳腔、
胃腸管、気道、膣、子宮頸部、子宮内、尿路、及び眼の表面領域を含み得る。いくつかの
場合において、対象の身体の表面領域は、多くの場合、上皮細胞が整列されている外側の
領域を指し得る。例えば、皮膚は、本明細書で論じられるとおりの表面領域の1つの種類
であってもよく、表皮及び真皮から構成され得るが、前者は同類の最外層を形成し、多く
の他の種類の細胞の中で上皮細胞の組織化された集合体を含み得る。
【0047】
本明細書で使用する場合、用語「局所送達」は、非侵襲性の手段、例えば、腸管及び他
の胃腸管(GI)上皮又は膣上皮を通して利用できる皮膚又は上皮層への物質の送達を意
味する。医薬組成物の局所送達は、対象に対する局所的な薬力学的効果を有する場合があ
り、例えば、局所的に送達された医薬組成物は、医薬組成物が送達される身体(例えば、
皮膚)の特定の部分で又はその近傍で薬力学的効果を有する。いくつかの他の実施形態で
は、本明細書で論じられるとおりの医薬組成物の局所送達は、送達様式(例えば、特定の
表面領域への局所的)を指すためにのみ使用されるが、医薬組成物は局所的又は全身的な
薬力学的効果を有することができる。例えば、医薬組成物は、投与部位又はその近傍に局
所的に留まってもよいし、対象の身体の循環系(例えば、血液又はリンパ系)に入っても
よく、それを介して、医薬組成物は、循環系以外の経路を介して医薬組成物によって通常
到達できない身体の遠隔部分に輸送され得る。
【0048】
本明細書で使用する場合、用語「全身送達」又は「全身投与」は、医薬組成物又は他の
物質の循環系(例えば、血液又はリンパ系)への投与経路を意味する。全身投与は、経口
投与、非経口投与、鼻腔内投与、舌下投与、直腸投与、経皮投与、又はその任意の組合せ
を含み得る。本明細書で使用する場合、用語「非全身送達」又は「非全身投与」は、医薬
組成物又は他の物質の全身送達ではない任意の他の投与経路を指してもよく、例えば、送
達される物質は、対象の身体の循環系(例えば、血液及びリンパ系)に入らない。
【0049】
本明細書で使用する場合、用語「発現配列」は、産物、例えば、ペプチド又はポリペプ
チドをコードする核酸配列、又は調節性核酸を意味する。ペプチド又はポリペプチドをコ
ードする例示的な発現配列は、複数のヌクレオチドの三つ組を含んでもよく、その各々は
、アミノ酸をコードすることができ、且つ「コドン」と呼ばれる。
【0050】
本明細書で使用する場合、用語「修飾リボヌクレオチド」は、糖、核酸塩基、又はヌク
レオシド間結合に対して少なくとも1つの修飾を有するヌクレオチドを意味する。
【0051】
本明細書で使用する場合、用語「実質的に耐性」は、基準と比較して少なくとも50%
、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%
、97%、98%又は99%の耐性を有するものを意味する。
【0052】
本明細書で使用する場合、用語「免疫原性」は、物質に対して免疫応答を誘発する潜在
力を意味する。いくつかの場合において、免疫応答は、生物の免疫系又はある種の型の免
疫細胞が、免疫原性物質に曝されるときに誘発され得る。用語「非免疫原性」は、物質に
対する検出可能な閾値を超える免疫応答の欠如又は非存在を指してもよい。いくつかの場
合において、免疫応答は、生物の免疫系又はある種の型の免疫細胞が、非免疫原性物質に
曝されるときに検出可能ではない。いくつかの場合において、本明細書で提供される非免
疫原性ポリリボヌクレオチドは、免疫原性アッセイによって測定されるとき、既定の閾値
を超える免疫応答を誘発しない。例えば、免疫原性アッセイを使用して、環状ポリリボヌ
クレオチドに対して産生される抗体を測定するとき、本明細書で提供されるとおりの非免
疫原性ポリリボヌクレオチドは、既定の閾値より低いレベルで抗体の産生をもたらし得る
。既定の閾値は、例えば、基準となる対照によって産生される抗体の最大で1.5倍、2
倍、3倍、4倍、又は5倍のレベルであり得る。
【0053】
本明細書で使用する場合、用語「複合体」は、互いに親和性を有する少なくとも2つの
部分(例えば、化学物質又は生化学物質)の間の会合を意味する。
【0054】
「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、互換的に使用され、共有結合(例えば、アミ
ド結合)により結合された2つ以上のアミノ酸のポリマーを意味する。本明細書に記載さ
れるとおりのポリペプチドは、全長タンパク質(例えば、完全にプロセシングされたタン
パク質)及びより短いアミノ酸配列(例えば、天然に存在するタンパク質の断片又は合成
ポリペプチド断片)を含み得る。ポリペプチドは、天然に存在するアミノ酸(例えば、天
然で合成されるペプチドにおいて一般に見出され、且つ1文字の略称A、R、N、C、D
、Q、E、G、H、I、L、K、M、F、P、S、T、W、Y及びVによって知られる2
0種のアミノ酸のうちの1つ)及び天然に存在しないアミノ酸(例えば、合成アミノ酸、
アミノ酸類似体、修飾アミノ酸、及びアミノ酸模倣物を含む、天然で合成されるペプチド
において一般に見出される20種のアミノ酸のうちの1つではないアミノ酸)を含み得る
【0055】
本明細書で使用する場合、用語「担体」は、環状ポリリボヌクレオチドの共有結合性の
修飾、部分的若しくは完全なカプセル化剤を介して、又はその組合せによって、組成物(
例えば、環状ポリリボヌクレオチド)の細胞内への輸送又は送達を促進する化合物、組成
物、試薬、又は分子を意味する。担体の非限定的な例としては、炭水化物担体(例えば、
無水物で修飾されたフィトグリコーゲン又はグリコーゲン型材料)、ナノ粒子(例えば、
環状ポリリボヌクレオチドをカプセル化するか又はそれに共有結合されるナノ粒子)、リ
ポソーム、フソソーム、エクスビボ分化された網状赤血球、エクソソーム、タンパク質担
体(例えば、環状ポリリボヌクレオチドに共有結合されるタンパク質)、又はカチオン性
担体(例えば、カチオン性リポポリマー又はトランスフェクション試薬)が挙げられる。
【0056】
本明細書で使用する場合、用語「薬学的に許容される」及び「治療的に許容される」は
、互換的に使用される。「薬学的に許容される」成分は、生物学的に又はその他の点で望
ましくない成分ではない成分を意味し、例えば、成分は、本発明の医薬製剤に組み込まれ
てもよいし、本明細書に記載されるとおりの患者に投与されてもよく、いずれの重大な望
ましくない生物学的作用も引き起こさないか又はそれが含有される製剤の他の成分のいず
れかと有害な様式で相互作用しない。用語「治療的に許容される」が、賦形剤を指すため
に使用されるとき、それは、成分が毒性試験及び製造試験の要求される基準を満たしてい
ることを意味するか、又は成分が米国食品医薬品局(U.S.Food and Dru
g Administration)によって作成された不活性成分のガイドに含まれる
ことを意味する。
【0057】
本明細書で使用する場合、用語「裸の送達」又は「裸のRNA」は、担体の助けを借り
ず且つ細胞への送達を助ける部分に対する共有結合性の修飾を伴わない、細胞への送達の
ためのRNAの製剤を意味する。裸の送達製剤は、いずれのトランスフェクション試薬、
カチオン性担体、炭水化物担体、ナノ粒子担体、又はタンパク質担体も含まない。例えば
、環状ポリリボヌクレオチドの裸の送達製剤は、共有結合性の修飾を有しない環状ポリリ
ボヌクレオチドを含み、且つ担体を含まない製剤である。
【0058】
本明細書で使用する場合、用語「希釈剤」は、本明細書に記載される組成物(例えば、
環状ポリリボヌクレオチドを含む組成物)が、希釈され得るか又は溶解され得る不活性溶
媒を含む媒体を意味する。希釈剤は、RNA可溶化剤、緩衝液、等張化剤、又はその混合
物であり得る。希釈剤は、液体希釈剤又は固体希釈剤であり得る。液体希釈剤の非限定的
な例としては、水又は他の溶媒、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソ
プロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル
、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特
に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ
油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及び
ソルビタンの脂肪酸エステル、並びに1,3-ブタンジオールが挙げられる。固体希釈剤
の非限定的な例としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、第二リ
ン酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウム、ラクトー
ス、スクロース、セルロース、結晶セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール
、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、トウモロコシデンプン、又は粉砂糖が
挙げられる。
【0059】
本明細書で使用する場合、用語「殺菌剤」は、静菌性、殺菌性であり、且つ/又は積極
的に微生物を殺すか、微生物を不活性化するか、又は微生物の増殖を妨げる任意の薬剤を
意味する。微生物を殺す殺菌剤は、抗菌剤及び/又は防腐剤であり得る。いくつかの実施
形態では、殺菌剤は、アルコール、ヨウ素、又は過酸化水素などの液体である。いくつか
の実施形態では、殺菌剤は、UV光又はレーザー光である。いくつかの実施形態では、殺
菌剤は、電気的に送達されるか又は他の手段(例えば、蒸気、接触)による熱である。
【0060】
参照による組込み
本明細書において言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各々の個々の刊行物
、特許、又は特許出願が具体的且つ個別に参照により組み込まれることが示された場合と
同程度に参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
本発明の実施形態の以下の詳細な説明は、添付した図面とともに読む場合により十分に
理解されることになる。本発明を説明するために、本明細書で例示される実施形態が図面
において示される。しかしながら、本発明は、図面に示される実施形態の正確な配置及び
手段に限定されないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】例示的な直鎖状及び環状RNAの両方が、マウスの耳の皮膚に局所的に送達され、耳組織におけるそれらのRNAレベルが送達後6時間~3日間にわたって試験された例を示す。
図2図2Aおよび2Bは、Boost(エタノール)の助けを借りた直鎖状又は環状RNAの局所的な送達後6時間、1日、3日、又は12日のマウスの耳パンチからのqPCR結果を要約しているプロットである。図2Aは、直鎖状及び環状RNAの両方の検出のためのプライマーを使用するqPCRアッセイからの結果を示す。図2Bは、直鎖状RNAではなく環状RNAの検出のためのプライマーを使用するqPCRアッセイからの結果を示す。
図3図3Aおよび3Bは、Boost(エタノール)及びTransIT mRNA試薬(Mirus Bio,LLC)、カチオン性、非リポソームポリマー脂質移行薬剤の両方の助けを借りた直鎖状又は環状RNAの局所的な送達後6時間、1日、3日、又は12日のマウスの耳パンチからのqPCR結果を要約しているプロットである。図3Aは、直鎖状及び環状RNAの両方の検出のためのプライマーを使用するqPCRアッセイからの結果を示す。図3Bは、直鎖状RNAではなく環状RNAの検出のためのプライマーを使用するqPCRアッセイからの結果を示す。
図4】DMSOゲル(RNA)又はDMSOゲル単独(溶媒)を使用して局所的に投与されたRNAからのタンパク質発現を示す。
図5】Johnson & Johnsonベビーローション(RNA)又はJohnson & Johnsonベビーローション単独(溶媒)で製剤化された局所的に投与されたRNAからのタンパク質発現を示す。
図6】エタノール(RNA)又はエタノール単独(溶媒)により局所的に投与されたRNAからのタンパク質発現を示す。
図7】circRNA-Cy5の局所投与により組織へのRNA送達がもたらされる蛍光画像(B/W)を示す。
図8】circRNA-Cy5の局所投与により組織へのRNA送達がもたらされる蛍光画像の定量化を示す。
図9】mRNA-Cy5の局所投与により組織へのRNA送達がもたらされる蛍光画像(B/W)を示す。
図10】mRNA-Cy5の局所投与により組織へのRNA送達がもたらされる蛍光画像の定量化を示す。
図11】組織が適用の前にエタノールワイプで拭かれるとき、mRNAの局所投与が、投与後の1日目及び4日目に組織へのRNA送達をもたらすことを示す。
図12】組織が適用の前にイソプロピルアルコールワイプで拭かれるとき、mRNAの局所投与が、投与後の1日目及び4日目に組織へのRNA送達をもたらすことを示す。
図13】組織が適用の前にエタノールワイプで拭かれるとき、環状RNAの局所投与が、投与後の1日目及び4日目に組織へのRNA送達をもたらすことを示す。
図14】10%エタノールと混合された環状RNAの局所投与が、投与後の1日目及び4日目に組織へのRNA送達をもたらすことを示す。
図15】10%イソプロピルアルコールと混合された環状RNAの局所投与が、投与後の1日目及び4日目に組織へのRNA送達をもたらすことを示す。
図16】組織が適用の前にイソプロピルアルコールワイプで拭かれるとき、環状RNAの局所投与が、投与後の1日目及び4日目に組織へのRNA送達をもたらすことを示す。
図17】PBS、PBS及び10%エタノール、又はPBS及び10%イソプロピルアルコールと混合された直鎖状mRNAの局所投与が、投与後の1日目に組織へのRNA送達をもたらし、PBS及び10%エタノール又はPBS及び10%イソプロピルアルコールと混合された直鎖状mRNAの局所投与が、投与後の4日目に組織へのRNA送達をもたらすことを示す。
図18】組織が適用の前にエタノールワイプで拭かれるとき、circRNAの局所投与が、組織における機能性タンパク質の発現をもたらすことを示す。
図19】circRNAが10%エタノールとともに投与されるとき、circRNAの局所投与が、組織へのRNA送達をもたらすことを示す。
図20】circRNAが10%イソプロピルアルコールとともに投与されるとき、circRNAの局所投与が、組織へのRNA送達をもたらすことを示す。
図21】皮膚が適用の前にエタノールワイプで拭かれるとき、mRNAの局所投与が、組織へのRNA送達をもたらすことを示す。
図22】mRNAがPBSのみと投与されるとき、mRNAの局所投与が、組織へのRNA送達をもたらすことを示す。
図23】mRNAが10%イソプロピルアルコールとともに投与されるとき、mRNAの局所投与が、組織へのRNA送達をもたらすことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本開示は一般に、ポリリボヌクレオチドの医薬組成物、調製物、及び送達並びにその適
用に関する。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状ポリリボヌクレオチド、環状ポリリボヌク
レオチド(circRNA)、又はその組合せであり得る。
【0064】
いくつかの態様では、本開示は、ポリリボヌクレオチドを細胞に送達するための組成物
及び方法を提供する。いくつかの場合において、本明細書で提供される組成物及び方法は
、ポリリボヌクレオチドをエクスビボ又はインビボで細胞内に送達する。ある種の実施形
態では、本明細書で提供される組成物及び方法は、対象の細胞内へのポリリボヌクレオチ
ドの局所送達に特に有用である。いくつかの場合において、本明細書で提供される組成物
及び方法は、対象における疾患の予防又は治療などの治療適用のためにポリリボヌクレオ
チドを送達する。
【0065】
本明細書で開示される組成物は、ポリリボヌクレオチド及びエタノールなどのアルコー
ルの混合物を含み得る。本明細書で開示される方法は、ポリリボヌクレオチド及びエタノ
ールなどのアルコールの混合物を含む組成物においてポリリボヌクレオチドを送達するこ
とを含み得る。いくつかの態様では、本開示は、ポリリボヌクレオチド及びポリリボヌク
レオチドを細胞内に送達するためのアルコール(例えば、エタノール)を含むキットを提
供する。いくつかの実施形態では、キットは、殺菌剤を含む。特定の実施形態では、キッ
トは、ポリリボヌクレオチド及びアルコールワイプ(例えば、エタノールワイプ、イソプ
ロピルワイプ)を含む。
【0066】
本明細書で開示される組成物は、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤の混合物を含み
得る。本明細書で開示される方法は、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤の混合物を含
む組成物においてポリリボヌクレオチドを送達することを含み得る。いくつかの態様では
、本開示は、ポリリボヌクレオチド及びポリリボヌクレオチドの細胞内への送達のための
細胞透過剤を含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは、殺菌剤を含む
【0067】
本明細書で開示される組成物は、いずれの担体も含まないポリリボヌクレオチド及び希
釈剤を含む組成物であり得る。この組成物は、上皮細胞への送達の方法において使用され
得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物、治療用組成物、又は医薬組成
物は、表面領域(例えば、局所表面領域)に直接的に投与される。いくつかの実施形態で
は、本明細書に記載される組成物、治療用組成物、又は医薬組成物は、殺菌剤の適用の後
に対象の表面領域に適用される。
【0069】
本明細書で提供される組成物、方法、及びキットは、ポリリボヌクレオチドを細胞内に
送達するための単純且つ効果的な解決策を提供することができる。ポリリボヌクレオチド
は、細胞透過剤の非存在下より細胞透過剤の存在下でより効率的に細胞内に送達され得る
。いくつかの場合において、本明細書に記載される細胞透過剤は、細胞透過剤の非存在下
でのポリヌクレオチドの送達の効率と比較して、少なくとも約10%、15%、20%、
30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、120%、15
0%、200%、250%、300%、400%、500%、600%、700%、80
0%、900%、1000%、2000%、5000%、8000%、10,000%、
20,000%、又は50,000%ポリヌクレオチドの送達の効率を増大させることが
できる。
【0070】
ポリリボヌクレオチド送達のための組成物
いくつかの態様では、本開示は、ポリリボヌクレオチドを送達するための組成物又は医
薬組成物を提供する。組成物又は医薬組成物は、ポリリボヌクレオチドを細胞に送達する
ためのアルコール(例えば、エタノール)を含み得る。組成物又は医薬組成物は、細胞透
過剤を含み得る。細胞透過剤は、ポリリボヌクレオチドの細胞内への送達を高めるように
構成される。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0071】
いくつかの場合において、本明細書で提供される組成物又は医薬組成物は、治療適用に
好適であり、例えば、ポリリボヌクレオチドは、組成物が対象に投与されるときに治療効
果を有する治療用ポリリボヌクレオチドである。いくつかの態様では、ポリリボヌクレオ
チドは、創傷治癒を促進するタンパク質をコードする。
【0072】
ある種の態様では、本開示は、治療用組成物及び本明細書に記載される組成物、治療用
組成物、又は医薬組成物を投与する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書
に記載される組成物、治療用組成物、又は医薬組成物は、表面領域(例えば、局所表面領
域)に直接的に投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物、治
療用組成物、又は医薬組成物は、殺菌剤の適用の後に対象の表面領域に適用される。
【0073】
細胞透過剤は、ポリリボヌクレオチドの細胞内への送達を高めるように構成される。い
くつかの場合において、本明細書で提供される組成物は、治療適用に好適であり、例えば
、ポリリボヌクレオチドは、組成物が対象に投与されるときに治療効果を有する治療用ポ
リリボヌクレオチドである。態様において、本開示は、治療用組成物及び本明細書に記載
される治療用組成物を投与する方法を提供する。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又は環
状のいずれかの形態で存在し得る。
【0074】
本明細書に記載されるとおりの組成物又は医薬組成物は、創傷治療のために使用され得
る。例えば、創傷を治療する方法は、創傷、又は創傷の周囲の組織を、本明細書に記載さ
れるとおりの組成物又は医薬組成物に接触させることを含み得る。いくつかの実施形態で
は、組成物又は医薬組成物のポリリボヌクレオチドは、EGF、PDGF、TGFβ、又
はVEGFなどの増殖因子をコードする配列を含む。
【0075】
アルコール
本明細書に記載されるとおりのアルコールは、ポリリボヌクレオチドの細胞内への送達
のために使用され得る。アルコールは、ポリリボヌクレオチドの細胞内への送達のために
、本明細書に記載されるとおりのポリリボヌクレオチドとの混合物中に存在し得る。混合
物は、アルコールを少なくとも約0.3%v/v~約75%v/v含み得る。アルコール
は、エタノールであってもよい。いくつかの実施形態では、混合物は、対象の表面領域に
適用される。いくつかの実施形態では、混合物は、医薬組成物である。
【0076】
アルコールは、1つ以上のヒドロキシル官能基を含む任意のアルコールであり得る。い
くつかの場合において、アルコールは、一価アルコール、多価アルコール、不飽和脂肪族
アルコール、又は脂環式アルコールであるが、これらに限定されない。アルコールは、メ
タノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、セチルアルコー
ル、エチレングリコール、プロピレングリコール、変性アルコール、ベンジルアルコール
、特別変性アルコール、グリコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、メ
ントール、ポリエチレングリコール(PEG)-400、エトキシ化脂肪酸、又はヒドロ
キシエチルセルロースのうちの1つ以上を含み得る。ある種の実施形態では、アルコール
は、エタノールである。
【0077】
他の場合において、本明細書で提供される組成物、医薬組成物、及び方法は、アルコー
ルを含むだけであり、ポリリボヌクレオチドの細胞内への送達を高めるいずれの他の薬剤
も有しないか又は使用しない。いくつかの場合において、アルコールはエタノールであり
、組成物、医薬組成物、及び方法は、ポリリボヌクレオチドの細胞内への送達を高めるい
ずれの他の薬剤も有しないか又は使用しない。いくつかの場合において、アルコールは、
細胞透過剤である。いくつかの場合において、アルコールは、細胞透過剤ではない。
【0078】
本明細書で開示される組成物は、アルコール及びポリリボヌクレオチドの混合物を含み
得る。いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、アルコールと予め混合された
混合物中に存在する。いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、細胞への接触
の前にアルコールとは別々に提供される。これらの場合において、ポリリボヌクレオチド
は、細胞に適用されるときにアルコールと接触され、ポリリボヌクレオチドの細胞内への
送達のために合わせて混合される。特定の理論に束縛されることなく、混合物中のアルコ
ールの濃度は、送達の効率に寄与し得る。したがって、いくつかの場合において、アルコ
ールは、混合物中において既定の濃度で提供される。いくつかの他の場合において、アル
コール及びポリリボヌクレオチドが、最初は別々であるが、送達のために適用されている
ときに合わせて混合されるとき、アルコールは、ポリリボヌクレオチドに対して十分な量
で提供され、混合物中で最小の既定濃度に達することを確保することになる。
【0079】
いくつかの場合において、アルコールは、混合物の少なくとも約0.01%、少なくと
も約0.02%、少なくとも約0.03%、少なくとも約0.04%、少なくとも約0.
05%、少なくとも約0.06%、少なくとも約0.07%、少なくとも約0.08%、
少なくとも約0.09%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約
0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少な
くとも約0.7%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少な
くとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約
7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約20%
、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%
、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%
、又は少なくとも約98%の体積当たりの体積(v/v)を占める。いくつかの場合にお
いて、アルコールは、混合物の最大約0.01%、最大約0.02%、最大約0.03%
、最大約0.04%、最大約0.05%、最大約0.06%、最大約0.07%、最大約
0.08%、最大約0.09%、最大約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.
5%、0.6%、0.7%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8
%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は9
0%v/vを占める。いくつかの場合において、アルコールは、混合物の約10%、約2
0%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約9
5%、約98%、又は約100%v/vを占める。
【0080】
いくつかの場合において、アルコールは、混合物の少なくとも約0.01%、少なくと
も約0.02%、少なくとも約0.03%、少なくとも約0.04%、少なくとも約0.
05%、少なくとも約0.06%、少なくとも約0.07%、少なくとも約0.08%、
少なくとも約0.09%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約
0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少な
くとも約0.7%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少な
くとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約
7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約20%
、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%
、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%
、又は少なくとも約98%の重量当たりの重量(w/w)を占める。いくつかの場合にお
いて、アルコールは、混合物の最大約0.01%、最大約0.02%、最大約0.03%
、最大約0.04%、最大約0.05%、最大約0.06%、最大約0.07%、最大約
0.08%、最大約0.09%、最大約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.
5%、0.6%、0.7%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8
%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は9
0%w/wを占める。いくつかの場合において、細胞透過剤は、混合物の約10%、約2
0%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約9
5%、又は約98%w/wを占める。いくつかの場合において、アルコールは、混合物の
約10%v/vを占める。
【0081】
いくつかの実施形態では、アルコールは、混合物の少なくとも約0.5%v/v~約7
5%v/v、少なくとも約1%v/v~約75%v/v、少なくとも約5%v/v~約7
5%v/v、少なくとも約10%v/v~約75%v/v、少なくとも約15%v/v~
約75%v/v、少なくとも約20%v/v~約75%v/v、少なくとも約30%v/
v~約75%v/v、少なくとも約40%v/v~約75%v/v、少なくとも約50%
v/v~約75%v/v、少なくとも約60%v/v~約75%v/v、若しくは少なく
とも約70%v/v~約75%v/v、又はそれらの間の任意のパーセンテージv/vを
占める。いくつかの実施形態では、アルコールは、混合物の少なくとも約0.3%v/v
~約70%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約60%v/v、少なくとも約0.3
%v/v~約50%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約40%v/v、少なくとも
約30%v/v~約20%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約15%v/v、少な
くとも約0.3%v/v~約10%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約5%v/v
、少なくとも約0.3%v/v~約1%v/v、若しくは少なくとも約0.3%v/v~
約0.5%v/v、又はそれらの間の任意のパーセンテージv/vを占める。
【0082】
いくつかの場合において、本明細書に記載される混合物は、液体溶液である。例えば、
アルコールは、液体物質そのものである。これらの場合において、ポリリボヌクレオチド
もまた、液体溶液中で溶解され得る。
【0083】
いくつかの場合において、エタノールは、混合物の少なくとも約0.1%、少なくとも
約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少
なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1%
、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なく
とも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約1
0%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約5
0%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約9
0%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%の体積当たりの体積(v/v)を占
める。いくつかの場合において、エタノールは、混合物の最大約0.1%、0.2%、0
.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.9%、1%、2%、3%、4%
、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、
70%、80%、又は90%v/vを占める。いくつかの場合において、エタノールは、
混合物の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約
80%、約90%、約95%、約98%、又は約100%v/vを占める。いくつかの場
合において、エタノールは、混合物の約10%v/vを占める。
【0084】
いくつかの実施形態では、エタノールは、混合物の少なくとも約0.5%v/v~約7
5%v/v、少なくとも約1%v/v~約75%v/v、少なくとも約5%v/v~約7
5%v/v、少なくとも約10%v/v~約75%v/v、少なくとも約15%v/v~
約75%v/v、少なくとも約20%v/v~約75%v/v、少なくとも約30%v/
v~約75%v/v、少なくとも約40%v/v~約75%v/v、少なくとも約50%
v/v~約75%v/v、少なくとも約60%v/v~約75%v/v、若しくは少なく
とも約70%v/v~約75%v/v、又はそれらの間の任意のパーセンテージv/vを
占める。いくつかの実施形態では、エタノールは、混合物の少なくとも約0.3%v/v
~約70%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約60%v/v、少なくとも約0.3
%v/v~約50%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約40%v/v、少なくとも
約30%v/v~約20%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約15%v/v、少な
くとも約0.3%v/v~約10%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約5%v/v
、少なくとも約0.3%v/v~約1%v/v、若しくは少なくとも約0.3%v/v~
約0.5%v/v、又はそれらの間の任意のパーセンテージv/vを占める。
【0085】
細胞透過剤
本明細書に記載される細胞透過剤は、ポリリボヌクレオチドの細胞内への送達を高める
任意の物質を含み得る。細胞透過剤は、有機化合物又は無機分子を含み得る。いくつかの
場合において、細胞透過剤は、アルカン、アルケン、及びアレン;ハロゲン置換アルカン
、アルケン、及びアレン;アルコール、フェノール(ベンゼンの誘導体)、エーテル、ア
ルデヒド、ケトン、及びカルボン酸;アミン及びニトリルなどであるが、これらに限定さ
れない1つ以上の官能基を有する有機化合物である。いくつかの実施形態では、細胞透過
剤は、極性溶媒に可溶性である。いくつかの実施形態では、細胞透過剤は、極性溶媒に不
溶性である。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0086】
細胞透過剤は、1つ以上のヒドロキシル官能基を有するアルコールなどの有機化合物を
含み得る。いくつかの場合において、細胞透過剤は、一価アルコール、多価アルコール、
不飽和脂肪族アルコール、及び脂環式アルコールなどであるがこれらに限定されないアル
コールを含む。細胞透過剤は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール
、ペンタノール、セチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、変性
アルコール、ベンジルアルコール、特別変性アルコール、グリコール、ステアリルアルコ
ール、セテアリルアルコール、メントール、ポリエチレングリコール(PEG)-400
、エトキシ化脂肪酸、又はヒドロキシエチルセルロースのうちの1つ以上を含み得る。あ
る種の実施形態では、細胞透過剤は、エタノールを含む。
【0087】
他の場合において、本明細書で提供される組成物及び方法は、細胞透過剤としてアルコ
ールを含むだけであり、ポリリボヌクレオチドの細胞内への送達を高めるいずれの他の薬
剤も有しないか又は使用しない。いくつかの場合において、細胞透過剤は、エタノール及
びポリリボヌクレオチドの細胞内への送達を高めることができる任意の他のアルコールを
含む。いくつかの場合において、細胞透過剤は、エタノール及びポリリボヌクレオチドの
細胞内への送達を高めることができる任意の他の有機又は無機分子を含む。いくつかの場
合において、細胞透過剤は、エタノール並びに各々が全体として参照により本明細書に組
み込まれる国際公開第2013006825号パンフレット、国際公開第2016036
735号パンフレット、国際公開第2018112282A1号パンフレット、及び国際
公開第2012031043A1号パンフレットにおいて記載されるものなどのリポソー
ム又はナノ粒子を含む。いくつかの場合において、細胞透過剤は、エタノール並びに各々
が全体として参照により本明細書に組み込まれるBechara et al,Cell
-penetrating peptides:20 years later,whe
re do we stand?FEBS Letters 587(12):1693
-1702(2013);Langel,Cell-Penetrating Pept
ides:Processes and Applications(CRC Pres
s,Boca Raton FL,2002);El-Andaloussi et a
l.,Curr.Pharm.Des.11(28):3597-611(2003);
Deshayes et al,Cell.Mol.Life Sci.62(16):
1839-49(2005)、米国特許出願公開第20130129726号明細書、米
国特許出願公開第20130137644号明細書及び米国特許出願公開第201301
64219号明細書において記載されるものなどの細胞浸透ペプチド又はタンパク質を含
む。いくつかの場合において、エタノールと他の細胞透過剤の比は、約1:0.001、
1:0.002、1:005、1:008、1:0.01、1:0.02、1:0.05
、1:0.08、1:0.1、1:0.2、1:0.3、1:0.4、1:0.5、1:
0.6、1:0.7、1:0.8、1:0.9、1:1、1:1.2、1:1.5、1:
1.8、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:5、1:6、1:7、
1:8、1:9、1:10、1:15、1:20、1:30、1:40、1:50、1:
60、1:70、1:80、1:90、1:100、1:120、1:150、1:20
0、1:250、1:500、又は1:1000である。いくつかの場合において、エタ
ノールと他の細胞透過剤の比は、少なくとも約1:0.001、1:0.002、1:0
05、1:008、1:0.01、1:0.02、1:0.05、1:0.08、1:0
.1、1:0.2、1:0.3、1:0.4、1:0.5、1:0.6、1:0.7、1
:0.8、1:0.9、1:1、1:1.2、1:1.5、1:1.8、1:2、1:2
.5、1:3、1:3.5、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:1
0、1:15、1:20、1:30、1:40、1:50、1:60、1:70、1:8
0、1:90、1:100、1:120、1:150、1:200、1:250、又は1
:500である。
【0088】
本明細書で開示される組成物は、細胞透過剤及びポリリボヌクレオチドの混合物を含み
得る。いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、細胞透過剤と予め混合された
混合物中に存在する。いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、細胞への接触
の前に細胞透過剤とは別々に提供される。これらの場合において、ポリリボヌクレオチド
は、細胞に適用されるときに細胞透過剤と接触され、ポリリボヌクレオチドの細胞内への
送達のために合わせて混合される。特定の理論に束縛されることなく、混合物中の細胞透
過剤の濃度は、送達の効率に寄与し得る。したがって、いくつかの場合において、細胞透
過剤は、混合物中において既定の濃度で提供される。いくつかの他の場合において、細胞
透過剤及びポリリボヌクレオチドが、最初は別々であるが、送達のために適用されている
ときに合わせて混合されるとき、細胞透過剤は、ポリリボヌクレオチドに対して十分な量
で提供され、混合物中で最小の既定濃度に達することを確保することになる。
【0089】
いくつかの場合において、細胞透過剤は、混合物の少なくとも約0.01%、少なくと
も約0.02%、少なくとも約0.03%、少なくとも約0.04%、少なくとも約0.
05%、少なくとも約0.06%、少なくとも約0.07%、少なくとも約0.08%、
少なくとも約0.09%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約
0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少な
くとも約0.7%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少な
くとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約
7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約20%
、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%
、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%
、又は少なくとも約98%の体積当たりの体積(v/v)を占める。いくつかの場合にお
いて、細胞透過剤は、混合物の最大約0.01%、最大約0.02%、最大約0.03%
、最大約0.04%、最大約0.05%、最大約0.06%、最大約0.07%、最大約
0.08%、最大約0.09%、最大約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.
5%、0.6%、0.7%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8
%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は9
0%v/vを占める。いくつかの場合において、細胞透過剤は、混合物の約10%、約2
0%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約9
5%、約98%、又は約100%v/vを占める。
【0090】
いくつかの場合において、細胞透過剤は、混合物の少なくとも約0.01%、少なくと
も約0.02%、少なくとも約0.03%、少なくとも約0.04%、少なくとも約0.
05%、少なくとも約0.06%、少なくとも約0.07%、少なくとも約0.08%、
少なくとも約0.09%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約
0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少な
くとも約0.7%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少な
くとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約
7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約20%
、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%
、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%
、又は少なくとも約98%の重量当たりの重量(w/w)を占める。いくつかの場合にお
いて、細胞透過剤は、混合物の最大約0.01%、最大約0.02%、最大約0.03%
、最大約0.04%、最大約0.05%、最大約0.06%、最大約0.07%、最大約
0.08%、最大約0.09%、最大約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.
5%、0.6%、0.7%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8
%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は9
0%w/wを占める。いくつかの場合において、細胞透過剤は、混合物の約10%、約2
0%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約9
5%、又は約98%w/wを占める。いくつかの場合において、細胞透過剤は、混合物の
約10%v/vを占める。
【0091】
いくつかの場合において、本明細書に記載される混合物は、液体溶液である。例えば、
細胞透過剤は、液体物質そのものである。或いは、細胞透過剤は、固体、液体、又は気体
物質であり、液体担体、例えば、水中に溶解される。これらの場合において、ポリリボヌ
クレオチドもまた、液体溶液中で溶解され得る。
【0092】
いくつかの場合において、エタノールは、混合物の少なくとも約0.1%、少なくとも
約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少
なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1%
、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なく
とも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約1
0%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約5
0%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約9
0%、少なくとも約95%、又は少なくとも約98%の体積当たりの体積(v/v)を占
める。いくつかの場合において、エタノールは、混合物の最大約0.1%、0.2%、0
.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.9%、1%、2%、3%、4%
、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、
70%、80%、又は90%v/vを占める。いくつかの場合において、エタノールは、
混合物の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約
80%、約90%、約95%、約98%、又は約100%v/vを占める。いくつかの場
合において、エタノールは、混合物の約10%v/vを占める。
【0093】
ポリリボヌクレオチド
本開示の態様は、エクスビボ又はインビボのいずれかで、ポリリボヌクレオチドを細胞
内に送達するための組成物及び方法に関する。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状ポリリボ
ヌクレオチド又は環状ポリリボヌクレオチドのいずれかであり得る。いくつかの場合にお
いて、ポリリボヌクレオチドは、ポリリボヌクレオチドが投与される細胞又は対象に対す
る生物学的効果を有する。本開示の態様は、組成物が対象における細胞内に送達されると
き(例えば、直接的な投与)、又は対象に投与されることになる細胞内に送達されるとき
(例えば、細胞移植又は細胞注入)、対象に対して治療効果を有するポリリボヌクレオチ
ドを含む医薬組成物を提供する。本明細書に記載されるとおりのポリリボヌクレオチドは
、医薬組成物中でアルコール(例えば、エタノール)と混合され得る。本明細書に記載さ
れるとおりのポリリボヌクレオチドは、いずれの担体も含まない組成物中で希釈剤と混合
され得る。
【0094】
ポリリボヌクレオチドは、発現産物のための配列を含み得る。或いは又は加えて、ポリ
リボヌクレオチドは、核酸(例えば、RNA、DNA、RNA-DNAハイブリッド)、
小分子(例えば、薬物)、アプタマー、ポリペプチド、タンパク質、脂質、リン脂質(例
えば、PI(4,5)P)、炭水化物、抗体、ウイルス、ウイルス粒子、膜、多成分複
合体、細胞、他の細胞部分、その任意の断片、及びその任意の組合せなどの他の実体(例
えば、標的)に結合するための配列を含む。ポリリボヌクレオチドに由来する配列の発現
及び/又は標的へのポリリボヌクレオチドの結合は、様々な生物学的効果を有し得る。い
くつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、細胞機能を、例えば、一過性に又は長
期間調節する。ある種の実施形態では、細胞機能は、少なくとも約1時間~約30日間、
又は少なくとも約2時間、6時間、12時間、18時間、24時間、2日間、3日間、4
日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13
日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21
日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29
日間、30日間、60日間、若しくはそれ以上又はその間の任意の時間持続する調節など
、安定に改変される。ある種の実施形態では、細胞機能は、例えば、約30分~約7日間
以下、又は約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時
間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時
間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、24時間、36時間、48時
間、60時間、72時間、4日間、5日間、6日間、7日間以下、又はその間の任意の時
間持続する調節など、一過性に改変される。
【0095】
ポリリボヌクレオチドは、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオ
チド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、少なくとも約7
5ヌクレオチド、少なくとも約100ヌクレオチド、少なくとも約200ヌクレオチド、
少なくとも約300ヌクレオチド、少なくとも約400ヌクレオチド、少なくとも約50
0ヌクレオチド、又は少なくとも約1,000ヌクレオチドであり得る。いくつかの場合
において、ポリリボヌクレオチドは、ポリリボヌクレオチドに由来する配列の発現に関す
るリボソームのための結合部位を収容するのに十分なサイズのものである。いくつかの場
合において、ポリリボヌクレオチドは、標的mRNAの翻訳の阻害、標的mRNAの分解
、標的RNAのスプライシングの調節、及び標的受容体とそのリガンドの間の結合の促進
などのポリリボヌクレオチドの調節機能を示すための標的に関する結合部位を収容するの
に十分なサイズのものである。当業者は、直鎖状又は環状ポリリボヌクレオチドの最大サ
イズが、直鎖状又は環状ポリリボヌクレオチドを生成し、且つ/又は環状ポリリボヌクレ
オチドを使用することの技術的制約の範囲内の大きさであり得ることを認識し得る。いく
つかの場合において、本明細書で提供される直鎖状又は環状ポリリボヌクレオチドの最大
サイズは、RNAをパッケージ化し且つ標的に送達する能力によって制限され得る。いく
つかの場合において、ポリリボヌクレオチドのサイズは、有用なポリペプチドをコードす
るのに十分な長さであり、したがって、約20,000ヌクレオチド未満、約15,00
0ヌクレオチド未満、約10,000ヌクレオチド未満、約7,500ヌクレオチド未満
、又は約5,000ヌクレオチド未満、約4,000ヌクレオチド未満、約3,000ヌ
クレオチド未満、約2,000ヌクレオチド未満、約1,000ヌクレオチド未満、約5
00ヌクレオチド未満、約400ヌクレオチド未満、約300ヌクレオチド未満、約20
0ヌクレオチド未満、約100ヌクレオチド未満の長さが有用であり得る。
【0096】
本明細書で提供されるポリリボヌクレオチドは、参照配列、特に、親ポリリボヌクレオ
チドと比較して、置換、挿入及び/又は付加、欠失、並びに共有結合性の修飾などの1つ
以上の修飾を有し得る。例えば、ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の転写後修飾(例え
ば、キャップ形成、切断、ポリアデニル化、スプライシング、ポリA配列、メチル化、ア
シル化、リン酸化、リジン及びアルギニン残基のメチル化、アセチル化、並びにチオール
基及びチロシン残基のニトロシル化など)を含む。ポリリボヌクレオチドは、ピリジン-
4-オン リボヌクレオシド、5-アザ-ウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2
-チオウリジン、4-チオ-プソイドウリジン、2-チオ-プソイドウリジン、5-ヒド
ロキシウリジン、3-メチルウリジン、5-カルボキシメチル-ウリジン、1-カルボキ
シメチル-プソイドウリジン、5-プロピニル-ウリジン、1-プロピニル-プソイドウ
リジン、5-タウリノメチルウリジン、1-タウリノメチル-プソイドウリジン、5-タ
ウリノメチル-2-チオ-ウリジン、1-タウリノメチル-4-チオ-ウリジン、5-メ
チル-ウリジン、1-メチル-プソイドウリジン、4-チオ-1-メチル-プソイドウリ
ジン、2-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、1-メチル-1-デアザ-プソイドウ
リジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-プソイドウリジン、ジヒドロウリジン、ジ
ヒドロプソイドウリジン、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-ジヒドロプソイドウ
リジン、2-メトキシウリジン、2-メトキシ-4-チオ-ウリジン、4-メトキシ-プ
ソイドウリジン、及び4-メトキシ-2-チオ-プソイドウリジンからなる群から選択さ
れる少なくとも1つのヌクレオシドを含み得る。いくつかの場合において、mRNAは、
5-アザ-シチジン、プロイドイソシチジン、3-メチル-シチジン、N4-アセチルシ
チジン、5-ホルミルシチジン、N4-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン
、1-メチル-プロイドイソシチジン、ピロロ-シチジン、ピロロ-プロイドイソシチジ
ン、2-チオ-シチジン、2-チオ-5-メチル-シチジン、4-チオ-プロイドイソシ
チジン、4-チオ-1-メチル-プロイドイソシチジン、4-チオ-1-メチル-1-デ
アザ-プロイドイソシチジン、1-メチル-1-デアザ-プロイドイソシチジン、ゼブラ
リン、5-アザ-ゼブラリン、5-メチル-ゼブラリン、5-アザ-2-チオ-ゼブラリ
ン、2-チオ-ゼブラリン、2-メトキシ-シチジン、2-メトキシ-5-メチル-シチ
ジン、4-メトキシ-プロイドイソシチジン、及び4-メトキシ-1-メチル-プロイド
イソシチジンからなる群から選択される少なくとも1つのヌクレオシドを含む。いくつか
の場合において、mRNAは、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、7-デアザ
-アデニン、7-デアザ-8-アザ-アデニン、7-デアザ-2-アミノプリン、7-デ
アザ-8-アザ-2-アミノプリン、7-デアザ-2,6-ジアミノプリン、7-デアザ
-8-アザ-2,6-ジアミノプリン、1-メチルアデノシン、N6-メチルアデノシン
、N6-イソペンテニルアデノシン、N6-(cis-ヒドロキシイソペンテニル)アデ
ノシン、2-メチルチオ-N6-(cis-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、N
6-グリシニルカルバモイルアデノシン、N6-スレオニルカルバモイルアデノシン、2
-メチルチオ-N6-スレオニルカルバモイルアデノシン、N6,N6-ジメチルアデノ
シン、7-メチルアデニン、2-メチルチオ-アデニン、及び2-メトキシ-アデニンか
らなる群から選択される少なくとも1つのヌクレオシドを含む。いくつかの場合において
、mRNAは、イノシン、1-メチル-イノシン、ワイオシン、ワイブトシン、7-デア
ザ-グアノシン、7-デアザ-8-アザ-グアノシン、6-チオ-グアノシン、6-チオ
-7-デアザ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-8-アザ-グアノシン、7-メチル
-グアノシン、6-チオ-7-メチル-グアノシン、7-メチルイノシン、6-メトキシ
-グアノシン、1-メチルグアノシン、N2-メチルグアノシン、N2,N2-ジメチル
グアノシン、8-オキソ-グアノシン、7-メチル-8-オキソ-グアノシン、1-メチ
ル-6-チオ-グアノシン、N2-メチル-6-チオ-グアノシン、及びN2,N2-ジ
メチル-6-チオ-グアノシンからなる群から選択される少なくとも1つのヌクレオシド
を含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、キャップを欠く。いくつか
の実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、ポリAテールを欠く。いくつかの実施形態で
は、ポリリボヌクレオチドは、非免疫原性である。いくつかの実施形態では、ポリリボヌ
クレオチドは、免疫原性である。
【0097】
ポリリボヌクレオチドは、糖、核酸塩基、又はヌクレオシド間結合(例えば、結合して
いるリン酸/ホスホジエステル結合/ホスホジエステル骨格)に対するものなどの任意の
有用な修飾を含み得る。ピリミジン核酸塩基の1つ以上の原子は、任意選択により置換さ
れたアミノ、任意選択により置換されたチオール、任意選択により置換されたアルキル(
例えば、メチル又はエチル)、又はハロ(例えば、クロロ又はフルオロ)で置き換えられ
得るか又は置換され得る。ある種の実施形態では、修飾(例えば、1つ以上の修飾)は、
糖及びヌクレオシド間結合の各々において存在する。修飾は、デオキシリボ核酸(DNA
)、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、
ロックド核酸(LNA)又はそのハイブリッドに対するリボ核酸(RNA)の修飾であっ
てもよい。さらなる修飾が本明細書に記載される。
【0098】
異なる糖修飾、ヌクレオチド修飾、及び/又はヌクレオシド間結合(例えば、骨格構造
)は、本明細書で提供されるポリリボヌクレオチド中の様々な部位で存在し得る。当業者
は、ヌクレオチド類似体又は他の修飾が、ポリリボヌクレオチドの機能が実質的に低減さ
れないように、ポリリボヌクレオチドの任意の部位で位置してもよいことを認識すること
になる。ポリリボヌクレオチドは、約1%~約100%の修飾ヌクレオチド(全体的なヌ
クレオチド含量に関して、又はヌクレオチドの1つ以上の種類、例えば、A、G、U、又
はCの任意の1つ以上に関して)又は間にある任意のパーセンテージ(例えば、1%~2
0%、1%~25%、1%~50%、1%~60%、1%~70%、1%~80%、1%
~90%、1%~95%、10%~20%、10%~25%、10%~50%、10%~
60%、10%~70%、10%~80%、10%~90%、10%~95%、10%~
100%、20%~25%、20%~50%、20%~60%、20%~70%、20%
~80%、20%~90%、20%~95%、20%~100%、50%~60%、50
%~70%、50%~80%、50%~90%、50%~95%、50%~100%、7
0%~80%、70%~90%、70%~95%、70%~100%、80%~90%、
80%~95%、80%~100%、90%~95%、90%~100%、及び95%~
100%)を含み得る。
【0099】
いくつかの場合において、混合物中のポリリボヌクレオチドの濃度は、少なくとも約0
.1ng/mL、少なくとも約0.2ng/mL、少なくとも約0.5ng/mL、少な
くとも約1ng/mL、少なくとも約5ng/mL、少なくとも約10ng/mL、少な
くとも約20ng/mL、少なくとも約50ng/mL、少なくとも約100ng/mL
、少なくとも約200ng/mL、少なくとも約500ng/mL、少なくとも約1μg
/mL、少なくとも約2μg/mL、少なくとも約3μg/mL、少なくとも約4μg/
mL、少なくとも約5μg/mL、少なくとも約10μg/mL、少なくとも約20μg
/mL、少なくとも約30μg/mL、少なくとも約40μg/mL、少なくとも約50
μg/mL、少なくとも約100μg/mL、少なくとも約200μg/mL、少なくと
も約300μg/mL、少なくとも約400μg/mL、少なくとも約500μg/mL
、少なくとも約1mg/mL、少なくとも約2mg/mL、少なくとも約5mg/mL、
少なくとも約10mg/mL、少なくとも約20mg/mL、少なくとも約50mg/m
L、又は少なくとも約100mg/mLである。いくつかの場合において、混合物中のポ
リリボヌクレオチドの濃度は、最大約0.1ng/mL、最大約0.2ng/mL、最大
約0.5ng/mL、最大約1ng/mL、最大約5ng/mL、最大約10ng/mL
、最大約20ng/mL、最大約50ng/mL、最大約100ng/mL、最大約20
0ng/mL、最大約500ng/mL、最大約1μg/mL、最大約2μg/mL、最
大約3μg/mL、最大約4μg/mL、最大約5μg/mL、最大約10μg/mL、
最大約20μg/mL、最大約30μg/mL、最大約40μg/mL、最大約50μg
/mL、最大約100μg/mL、最大約200μg/mL、最大約300μg/mL、
最大約400μg/mL、最大約500μg/mL、最大約1mg/mL、最大約2mg
/mL、最大約5mg/mL、最大約10mg/mL、最大約20mg/mL、最大約5
0mg/mL、又は最大約100mg/mLである。
【0100】
いくつかの場合において、混合物中のポリリボヌクレオチドの濃度は、約0.1ng/
mL、約0.2ng/mL、約0.5ng/mL、約1ng/mL、約5ng/mL、約
10ng/mL、約20ng/mL、約50ng/mL、約100ng/mL、約200
ng/mL、約500ng/mL、約1μg/mL、約2μg/mL、約3μg/mL、
約4μg/mL、約5μg/mL、約10μg/mL、約20μg/mL、約30μg/
mL、約40μg/mL、約50μg/mL、約100μg/mL、約200μg/mL
、約300μg/mL、約400μg/mL、約500μg/mL、約1mg/mL、約
2mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約20mg/mL、約50mg/m
L、又は約100mg/mLである。
【0101】
組成物は、ポリリボヌクレオチド及びアルコール(例えば、エタノール)を含み得る。
ある種の特定の実施形態では、組成物は、直鎖状ポリリボヌクレオチド及びアルコールを
含む。ある種の特定の実施形態では、組成物は、環状ポリリボヌクレオチド(circR
NA)及びアルコールを含む。環状構造に起因して、circRNAは、対応する直鎖状
RNAと比較して、安定性の向上、半減期の増大、免疫原性の低減、及び/又は機能性(
例えば、本明細書に記載される機能の)の向上を有する。
【0102】
組成物は、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含み得る。ある種の特定の実施形態
では、組成物は、直鎖状ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含む。ある種の特定の実
施形態では、組成物は、環状ポリリボヌクレオチド(circRNA)及び細胞透過剤を
含む。環状構造に起因して、circRNAは、対応する直鎖状RNAと比較して、安定
性の向上、半減期の増大、免疫原性の低減、及び/又は機能性(例えば、本明細書に記載
される機能の)の向上を有する。
【0103】
いくつかの場合において、本明細書で提供される環状ポリリボヌクレオチドは、直鎖状
対応物、例えば、直鎖状発現配列、又は直鎖状環状ポリリボヌクレオチドの少なくともそ
の半減期を有する。いくつかの場合において、環状ポリリボヌクレオチドは、直鎖状対応
物のものより増大されている半減期を有する。いくつかの場合において、半減期は、約5
%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、又は
それ以上増大される。いくつかの場合において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくと
も約1時間~約30日間、又は少なくとも約2時間、6時間、12時間、18時間、24
時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、
11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、
19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、
27日間、28日間、29日間、30日間、60日間、若しくはそれ以上又はその間の任
意の時間の細胞中での半減期又は持続性を有する。ある種の実施形態では、環状ポリリボ
ヌクレオチドは、約10分~約7日間以下、又は約1時間、2時間、3時間、4時間、5
時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、1
4時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、2
2時間、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、4日間、5日間、6日間
、7日間以下、又はその間の任意の時間の細胞中での半減期又は持続性を有する。
【0104】
ペイロード及び生物学的効果
いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、細胞又は対象への送達時又は送達
後に細胞又は対象に対する生物学的効果を有する少なくとも1つのペイロードを含む。ペ
イロードは、ポリリボヌクレオチドにおいてコードされる1つ以上の配列であってもよく
、これらは、発現され、標的分子(例えば、タンパク質、核酸、小分子、又はリボザイム
)、又は標的細胞などの標的実体に結合する。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又は環状
のいずれかの形態で存在し得る。細胞に対する生物学的効果は、変化、例えば、細胞上又
は細胞中における形態学的変化又は機能的変化を引き起こす細胞に対する様々な分子及び
細胞性の変化を含み得る。例えば、細胞に対する生物学的効果は、細胞増殖の加速若しく
は減速、生存、アポトーシス、又は細胞の壊死、遺伝子転写及びmRNA翻訳、並びに特
定の分化された細胞の機能性(例えば、免疫細胞の活性化、ニューロンの興奮若しくは抑
制、ホルモン分泌細胞からのホルモン分泌、又はマクロファージによる貪食活性)などで
あるがこれらに限定されない細胞機能に影響する細胞内部のシグナル伝達における変化、
又は外来分子の細胞内への移行の効率における変化、例えば、外来分子に対する細胞透過
性の増大若しくは低減を含み得るが、これらに限定されない。対象に対する生物学的効果
はまた、対象の生理機能に対する様々な変化、例えば、任意の1つ以上の組織又は器官に
対する構造的又は機能的変化を含み得る。対象に対する生物学的効果は、ECG、血糖、
血圧、体温、血球数、HbCO、及びMetHbなどの、対象から測定され得る1つ以上
の生理学的パラメーターにおける変化を引き起こし得る。生物学的効果はまた、対象が罹
患している疾患の1つ以上の症状の寛解、又は対象における疾患の治療若しくは根絶も含
み得る。生物学的効果はまた、創傷治癒を含み得る。
【0105】
発現配列
いくつかの場合において、本明細書に記載されるとおりのポリリボヌクレオチドは、ペ
プチド又はポリペプチドをコードする少なくとも1つの発現配列を含む。ペプチドは、タ
ンパク質、小さいペプチド、ペプチド模倣物(例えば、ペプトイド)、アミノ酸、及びア
ミノ酸類似体を含み得るが、これらに限定されない。ペプチドは、直鎖状又は分岐状であ
り得る。ペプチドは、1モル当たり分子量約500,000グラム未満、1モル当たり分
子量約200,000グラム未満、1モル当たり分子量約100,000グラム未満、1
モル当たり分子量約50,000グラム未満、1モル当たり分子量約20,000グラム
未満、1モル当たり分子量約10,000グラム未満、1モル当たり分子量約5,000
グラム未満、1モル当たり分子量約2,000グラム未満、1モル当たり分子量約1,0
00グラム未満、1モル当たり分子量約500グラム未満、並びにそのような化合物の塩
、エステル、及び他の薬学的に許容される形態を有し得る。ペプチドは、例えば、神経伝
達物質、ホルモン、薬物、毒素、ウイルス又は微生物粒子、合成分子、及びそのアゴニス
ト又はアンタゴニストを含み得る。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又は環状のいずれか
の形態で存在し得る。
【0106】
本明細書で提供されるポリリボヌクレオチドにより発現されるペプチド又はポリペプチ
ドのいくつかの例は、蛍光タグ又はマーカー、抗原、ペプチド治療薬、天然の生理活性ペ
プチドに由来する合成又は類似体ペプチド、アゴニスト又はアンタゴニストペプチド、抗
微生物ペプチド、孔形成ペプチド、二環式ペプチド、標的化又は細胞傷害性ペプチド、分
解又は自己破壊ペプチド、及び分解又は自己破壊ペプチド(複数)を含む。本明細書に記
載されるペプチドはまた、抗原結合ペプチド、例えば、抗原結合抗体又は一本鎖抗体、ナ
ノボディ(例えば、Steeland et al.2016.Nanobodies
as therapeutics:big opportunities for sm
all antibodies.Drug Discov Today:21(7):1
076-113を参照のこと)などの抗体様断片を含み得る。そのような抗原結合ペプチ
ドは、サイトゾル抗原、核抗原、オルガネラ内抗原に結合し得る。
【0107】
いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、タンパク質、例えば、治療用タン
パク質をコードする発現配列を含む。治療用タンパク質のいくつかの例としては、タンパ
ク質の置き換え、タンパク質補給、ワクチン投与、抗原(例えば、腫瘍抗原、ウイルス、
細菌)、ホルモン、サイトカイン、抗体、免疫療法(例えば、癌)、細胞初期化/分化転
換因子、転写因子、キメラ抗原受容体、トランスポサーゼ又はヌクレアーゼ、免疫エフェ
クター(例えば、免疫応答/シグナルに対する感受性に影響を及ぼす)、調節されたデス
エフェクタータンパク質(例えば、アポトーシス又は壊死の誘導因子)、腫瘍の非溶解性
阻害剤(例えば、腫瘍性タンパク質の阻害剤)、エピジェネティック修飾剤、エピジェネ
ティック酵素、転写因子、DNA又はタンパク質修飾酵素、DNA挿入剤、排出ポンプ阻
害剤、核内受容体活性化剤又は阻害剤、プロテアソーム阻害剤、酵素についての競合的阻
害剤、タンパク質合成エフェクター又は阻害剤、ヌクレアーゼ、タンパク質断片又はドメ
イン、リガンド又は受容体、及びそのCRISPRシステム又は成分が挙げられるが、こ
れらに限定されない。いくつかの実施形態では、タンパク質又は治療用タンパク質は、増
殖因子などの創傷治癒タンパク質である。例えば、増殖因子は、EGF、PDGF、TG
Fβ、又はVEGFである。
【0108】
いくつかの実施形態では、タンパク質又は治療用タンパク質は、創傷治癒の方法におい
て使用される。例えば、創傷を治療する方法は、創傷、又は創傷の周囲の組織を、本明細
書に記載されるとおりの組成物又は医薬組成物に接触させることを含むことができ、組成
物又は医薬組成物のポリリボヌクレオチドは、EGF、PDGF、TGFβ、又はVEG
Fなどの増殖因子をコードする配列を含む。
【0109】
いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、調節エレメント、例えば、環状ポ
リリボヌクレオチド又は直鎖状ポリリボヌクレオチド内の発現配列の発現を修飾する配列
を含む。調節エレメントは、発現産物をコードする発現配列に隣接して位置する配列をコ
ードし得る。調節エレメントは、隣接配列に作動可能に連結され得る。調節エレメントは
、調節エレメントの存在を伴わずに発現された産物の量と比較して、発現される産物の量
を増加させることができる。加えて、1つの調節エレメントは、直列に結合された複数の
発現配列に関して発現される産物の量を増加させることができる。したがって、1つの調
節エレメントは、1つ以上の発現配列の発現を増強できる。複数の調節エレメントが、当
業者によく知られている。
【0110】
いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、翻訳開始配列、例えば、開始コド
ンを含む。いくつかの場合において、翻訳開始配列は、コザック又はシャイン・ダルガー
ノ配列である。
【0111】
いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、第1の開始コドンではないコドン
、例えば、AUGで開始する。ポリリボヌクレオチドの翻訳は、ACG、AGG、AAG
、CTG/CUG、GTG/GUG、ATA/AUA、ATT/AUU、TTG/UUG
などであるが、これらに限定されない代替的な翻訳開始配列で開始し得る。いくつかの場
合において、翻訳は、真核生物開始因子4A(eIF4A)によって開始される。他の実
施形態では、翻訳は、ポリリボヌクレオチドの配列内リボソーム進入部位(IRES)エ
レメントから開始される。IRESエレメントは、真核生物リボソームを結合できるRN
A配列を含み得る。いくつかの場合において、IRESエレメントは、少なくとも約5n
t、少なくとも約8nt、少なくとも約9nt、少なくとも約10nt、少なくとも約1
5nt、少なくとも約20nt、少なくとも約25nt、少なくとも約30nt、少なく
とも約40nt、少なくとも約50nt、少なくとも約100nt、少なくとも約200
nt、少なくとも約250nt、少なくとも約350nt、又は少なくとも約500nt
である。一実施形態では、IRESエレメントは、ウイルス、哺乳動物、及びショウジョ
ウバエ(Drosophila)を含むが、これらに限定されない生物のDNAに由来す
る。そのようなウイルスDNAは、脳心筋炎ウイルス(EMCV)cDNA及びポリオウ
イルスcDNAとともに、ピコルナウイルス相補的DNA(cDNA)に由来し得るが、
これに限定されない。一実施形態では、IRESエレメントが由来するショウジョウバエ
(Drosophila)DNAは、キイロショウジョウバエ(Drosophila
melanogaster)由来のアンテナペディア遺伝子を含むが、これに限定されな
い。
【0112】
いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、各発
現配列は、終結エレメントを有してもよいし、有しなくてもよい。いくつかの場合におい
て、ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、発現配列は、終結エレメント
を欠く。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチド
が持続的に翻訳されるように終結エレメントを欠く環状ポリリボヌクレオチドである。い
くつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列の末端で終結エレ
メントを含む。いくつかの場合において、1つ以上の発現配列は、終結エレメントを欠く
。一般に、終結エレメントは、翻訳の終結を合図するインフレームのヌクレオチドトリプ
レット、例えば、UAA、UGA、UAGを含む。
【0113】
ポリリボヌクレオチドは、例えば、内在性遺伝子及び/又は外来遺伝子の発現を修飾す
る調節核酸を含み得る。いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、調節核酸を
コードする(例えば、それに相補的である)1つ以上の発現配列を含む。調節核酸として
は、tRNA、lncRNA、miRNA、rRNA、snRNA、マイクロRNA、s
iRNA、piRNA、snoRNA、snRNA、exRNA、scaRNA、Y R
NA、及びhnRNAなどであるがこれらに限定されない、非コードRNAが挙げられ得
るが、これらに限定されない。
【0114】
一例において、調節核酸は、宿主遺伝子を標的化する。調節核酸としては、内在性遺伝
子にハイブリダイズする核酸(例えば、本明細書の他の箇所に記載されるとおりのmiR
NA、siRNA、mRNA、lncRNA、RNA、DNA、アンチセンスRNA、g
RNA)、ウイルスDNA又はRNAなどの外来核酸にハイブリダイズする核酸、RNA
にハイブリダイズする核酸、遺伝子転写を妨害する核酸、RNA翻訳を妨害する核酸、分
解のための標的化を介するものなど、RNAを安定化するか又はRNAを不安定化する核
酸、及びDNA又はRNA結合因子を調節する核酸が挙げられ得るが、これらに限定され
ない。一実施形態では、配列は、miRNAである。
【0115】
いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、ガイドRNA(gRNA)などの
調節核酸を含む。いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、ガイドRNAを含
むか又はガイドRNAをコードする。gRNAは、ユーザーによって定義されたゲノム標
的のための約20個のヌクレオチド標的化配列に結合するのに必要な「足場」配列で構成
される短い合成RNAであり得る。gRNAは、特定のDNA配列(例えば、遺伝子のプ
ロモーター、エンハンサー、サイレンサー、又はリプレッサーに隣接するか又はその内部
にある配列)を認識できる。gRNAは、遺伝子編集のためのCRISPRシステムの一
部であり得る。遺伝子編集のために、ポリリボヌクレオチドは、所望の標的DNA配列に
対応する1つ又は複数のガイドRNA配列を含むように設計され得る;例えば、各々が全
体として参照により本明細書に組み込まれるCong et al.(2013)Sci
ence,339:819-823;Ran et al.(2013)Nature
Protocols,8:2281-2308を参照されたい。
【0116】
ポリリボヌクレオチドは、内在性遺伝子又は遺伝子産物(例えば、mRNA)の全て又
は断片に実質的に相補的であるか、又は完全に相補的である調節核酸をコードし得る。調
節核酸は、特定の遺伝子の新たに生成された核RNA転写物の転写のためのmRNAへの
成熟を妨げるイントロンとエクソン間の境界、エクソン間、又はエクソンの隣の配列に相
補的であり得る。特定の遺伝子に相補的である調節核酸は、当該遺伝子に関するmRNA
とハイブリダイズすることができ、且つその翻訳を妨げることができる。アンチセンス調
節核酸は、DNA、RNA、又はその誘導体若しくはハイブリッドであり得る。いくつか
の場合において、調節核酸は、内在性遺伝子又は外来遺伝子の発現の調節に関与するタン
パク質に結合するタンパク質結合部位を含む。
【0117】
いくつかの場合において、本明細書で提供されるとおりの環状ポリリボヌクレオチドの
翻訳効率は、参照、例えば、直鎖状対応物、直鎖状発現配列、又は直鎖状環状ポリリボヌ
クレオチドより高い。いくつかの場合において、本明細書で提供されるとおりの環状ポリ
リボヌクレオチドは、参照のものより少なくとも約5%、10%、15%、20%、25
%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75
%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、175%、20
0%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、600%、70
%、800%、900%、1000%、2000%、5000%、10000%、100
000%、又はそれ以上高い翻訳効率を有する。いくつかの場合において、環状ポリリボ
ヌクレオチドは、直鎖状対応物のものより10%高い翻訳効率を有する。いくつかの場合
において、環状ポリリボヌクレオチドは、直鎖状対応物のものより300%高い翻訳効率
を有する。
【0118】
いくつかの場合において、環状ポリリボヌクレオチドは、化学量論的な比の発現産物を
生成する。ローリングサークル翻訳は、実質的に同じ比で発現産物を連続的に生成する。
いくつかの場合において、環状ポリリボヌクレオチドは、化学量論的な翻訳効率を有し、
その結果、発現産物は、実質的に同じ比で生成される。いくつかの場合において、環状ポ
リリボヌクレオチドは、複数の発現産物、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、1
0、11、12、又はそれ以上の発現配列からの産物の化学量論的な翻訳効率を有する。
【0119】
いくつかの場合において、環状ポリリボヌクレオチドの翻訳が開始されると、環状ポリ
リボヌクレオチドに結合されたリボソームは、環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも1
ラウンドの翻訳が終わる前に環状ポリリボヌクレオチドから離脱しない。いくつかの場合
において、本明細書に記載されるとおりの環状ポリリボヌクレオチドは、ローリングサー
クル翻訳の能力を有する。いくつかの場合において、ローリングサークル翻訳の間、環状
ポリリボヌクレオチドの翻訳が開始されると、環状ポリリボヌクレオチドに結合されたリ
ボソームは、環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも2ラウンド、少なくとも3ラウンド
、少なくとも4ラウンド、少なくとも5ラウンド、少なくとも6ラウンド、少なくとも7
ラウンド、少なくとも8ラウンド、少なくとも9ラウンド、少なくとも10ラウンド、少
なくとも11ラウンド、少なくとも12ラウンド、少なくとも13ラウンド、少なくとも
14ラウンド、少なくとも15ラウンド、少なくとも20ラウンド、少なくとも30ラウ
ンド、少なくとも40ラウンド、少なくとも50ラウンド、少なくとも60ラウンド、少
なくとも70ラウンド、少なくとも80ラウンド、少なくとも90ラウンド、少なくとも
100ラウンド、少なくとも150ラウンド、少なくとも200ラウンド、少なくとも2
50ラウンド、少なくとも500ラウンド、少なくとも1000ラウンド、少なくとも1
500ラウンド、少なくとも2000ラウンド、少なくとも5000ラウンド、少なくと
も10000ラウンド、少なくとも10ラウンド、又は少なくとも10ラウンドの翻
訳が終わる前に環状ポリリボヌクレオチドから離脱しない。
【0120】
いくつかの場合において、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル翻訳は、環
状ポリリボヌクレオチドの2ラウンド以上の翻訳から翻訳されるポリペプチド産物(「連
続的な」発現産物)の生成をもたらす。いくつかの場合において、環状ポリリボヌクレオ
チドは、交互交替的なエレメント(例えば、翻訳中にリボソームの休止をもたらすエレメ
ント)を含み、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル翻訳は、環状ポリリボヌ
クレオチドの1ラウンドの翻訳又は1ラウンド未満の翻訳から生成されるポリペプチド産
物の生成をもたらす(「別個の」発現産物の生成を可能にする)。いくつかの場合におい
て、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル翻訳
の間に生成される全ポリペプチドの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%
、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なく
とも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99
%、又は100%(モル濃度/モル濃度)が、別個のポリペプチドであるように構成され
る。いくつかの場合において、全ポリペプチドに対する別個の産物の量の比は、インビト
ロ翻訳系において試験される。いくつかの場合において、量の比の試験のために使用され
るインビトロ翻訳系は、ウサギ網状赤血球のライセートを含む。いくつかの場合において
、量の比は、真核細胞又は原核細胞、培養細胞又は生物中の細胞などのインビボ翻訳系に
おいて試験される。
【0121】
いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、非翻訳領域(UTR)を含む。遺
伝子を含むゲノム領域のUTRは、転写され得るが、翻訳されない。いくつかの場合にお
いて、UTRは、本明細書に記載される発現配列の翻訳開始配列の上流にあり得る。いく
つかの場合において、UTRは、本明細書に記載される発現配列の下流に含まれ得る。い
くつかの場合において、第1の発現配列に関するあるUTRは、第2の発現配列に関する
別のUTRと同じであるか、連続的であるか、又は重複している。いくつかの場合におい
て、イントロンは、ヒトイントロンである。いくつかの場合において、イントロンは、完
全長ヒトイントロン、例えば、ZKSCAN1である。
【0122】
いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、アデノシン及びウリジンが埋め込
まれた1つ以上の区間を有するUTRを含む。これらのAUに富む特性は、発現産物の回
転率を増大させ得る。
【0123】
UTRのAUに富むエレメント(ARE)の導入、除去、又は修飾は、ポリリボヌクレ
オチドの安定性又は免疫原性を調節するのに有用であり得る。特定のポリリボヌクレオチ
ドを設計するとき、AREの1つ以上のコピーがポリリボヌクレオチドに導入されてもよ
く、AREのコピーは、発現産物の翻訳及び/又は生成を調節し得る。同様に、AREは
、同定され且つ除去され得るか、又は細胞内安定性を調節し、したがって、結果として生
じるタンパク質の翻訳及び生成に影響を及ぼすようにポリリボヌクレオチド内に設計され
得る。
【0124】
任意の遺伝子に由来する任意のUTRは、ポリリボヌクレオチドのそれぞれの隣接領域
に組み込まれ得ることが理解されるべきである。非限定的な例として、組み込まれ得るU
TR又はその断片は、各々の内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる米国仮
特許出願第61/775,509号明細書及び同第61/829,372号明細書、又は
国際特許出願番号PCT/US2014/021522号明細書において列挙されるUT
Rである。さらに、任意の既知の遺伝子の複数の野生型UTRが利用され得る。野生型遺
伝子のバリアントではない人工的なUTRを提供することも本発明の範囲内である。これ
らのUTR又はその部分は、それらが方向づけ又は位置において選択されたか又は改変さ
れ得る転写物におけるものと同じ方向づけにおいて配置され得る。したがって、5’又は
3’UTRは、反転され得るか、短縮され得るか、延長され得るか、1つ以上の他の5’
UTR又は3’UTRとキメラが作製され得る。本明細書で使用する場合、用語「改変さ
れる」は、それがUTR配列に関する場合、UTRが参照配列に対していくつかの方法で
変えられていることを意味する。例えば、3’又は5’UTRは、上で教示されるとおり
の方向づけ又は位置における変化によって野生型又は天然のUTRに対して改変されても
よいし、追加のヌクレオチドの包含、ヌクレオチドの欠失、ヌクレオチドの交換又は転位
によって改変されてもよい。「改変された」UTR(3’又は5’)を生成するこれらの
変化のいずれかは、バリアントUTRを含む。
【0125】
一実施形態では、5’又は3’UTRなどの二重、三重、又は四重UTRが使用されて
もよい。本明細書で使用する場合、「二重」UTRは、同じUTRの2つのコピーが連続
して又は実質的に連続してコードされるものである。例えば、二重ベータ-グロビン3’
UTRは、内容が全体として本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2010012
9877号明細書において記載されるとおりに使用され得る。
【0126】
いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、ポリA配列を含み得る。いくつか
の場合において、ポリA配列の長さは、10を超えるヌクレオチド長である。一実施形態
では、ポリA配列は、15を超えるヌクレオチド長(例えば、少なくとも約10、15、
20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、100、
120、140、160、180、200、250、300、350、400、450、
500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,
300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、
2,000、2,500、及び3,000又はこれらを超えるヌクレオチド)である。い
くつかの場合において、ポリA配列は、約10~約3,000ヌクレオチド(例えば、3
0~50、30~100、30~250、30~500、30~750、30~1,00
0、30~1,500、30~2,000、30~2,500、50~100、50~2
50、50~500、50~750、50~1,000、50~1,500、50~2,
000、50~2,500、50~3,000、100~500、100~750、10
0~1,000、100~1,500、100~2,000、100~2,500、10
0~3,000、500~750、500~1,000、500~1,500、500~
2,000、500~2,500、500~3,000、1,000~1,500、1,
000~2,000、1,000~2,500、1,000~3,000、1,500~
2,000、1,500~2,500、1,500~3,000、2,000~3,00
0、2,000~2,500、及び2,500~3,000)である。
【0127】
一実施形態では、ポリA配列は、全体的なポリリボヌクレオチドの長さに対して設計さ
れる。この設計は、コード領域の長さ、特定の特徴又は領域(第1の領域又は隣接領域な
ど)の長さに基づいてもよいし、ポリリボヌクレオチドから発現される最終産物の長さに
基づいてもよい。この文脈において、ポリA配列は、環状ポリリボヌクレオチド又はその
特徴より10、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100%長い長
さであってもよい。ポリA配列はまた、それが属するポリリボヌクレオチドの部分として
設計され得る。この文脈において、ポリA配列は、コンストラクトの全長又はコンストラ
クトの全長からポリA配列を除いたものの10、20、30、40、50、60、70、
80、又は90%以上であり得る。さらに、ポリA結合タンパク質のための環状ポリリボ
ヌクレオチドの操作された結合部位及びコンジュゲーションは、発現を増強し得る。
【0128】
一実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、ポリA-Gカルテットを含むように設計さ
れる。Gカルテットは、DNA及びRNAの両方におけるGに富む配列によって形成され
得る4つのグアニンヌクレオチドの環状の水素結合された配列であり得る。一実施形態で
は、Gカルテットは、ポリA配列の末端に組み込まれる。いくつかの場合において、ポリ
A-Gカルテットは、120ヌクレオチドのポリA配列を単独で使用して見られるものの
少なくとも75%に相当するタンパク質生成をもたらす。
【0129】
いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、ポリAを含むか、ポリAを欠くか
、又はポリリボヌクレオチドの1つ以上の特徴を調節するための改変されたポリAを有す
る。いくつかの場合において、ポリAを欠くか又は改変されたポリAを有するポリリボヌ
クレオチドは、1つ以上の機能的な特徴、例えば、免疫原性、半減期、発現効率などを向
上させる。
【0130】
足場
いくつかの場合において、本明細書で提供されるポリリボヌクレオチドは、1つ以上の
標的に結合する。一実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、DNA標的及びタンパク質
標的の両方に結合し、且つ例えば、転写を媒介する。別の実施形態では、ポリリボヌクレ
オチドは、タンパク質複合体を引き合わせ、且つ例えば、シグナル伝達を媒介する。別の
実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、タンパク質などの2つ以上の異なる標的に結合
し、且つ例えば、これらのタンパク質を細胞質に輸送する。ポリリボヌクレオチドは、直
鎖状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、DNA、RNA、及びタンパク質
のうちの少なくとも1つに結合し、それにより細胞プロセスを調節する(例えば、タンパ
ク質発現を変化させる)。いくつかの実施形態では、合成ポリリボヌクレオチドは、少な
くとも1つの部分、例えば、選択されたDNA、RNA、又はタンパク質の結合部分との
相互作用のための結合部位を含み、それにより内在性の対応物との結合において競合する
【0132】
一実施形態では、合成ポリリボヌクレオチドは、miRNAに結合し且つ/又はそれを
捕捉する。別の実施形態では、合成ポリリボヌクレオチドは、タンパク質に結合し且つ/
又はそれを捕捉する。一実施形態では、合成ポリリボヌクレオチドは、mRNAに結合し
且つ/又はそれを捕捉する。一実施形態では、合成ポリリボヌクレオチドは、リボソーム
に結合し且つ/又はそれを捕捉する。別の実施形態では、合成ポリリボヌクレオチドは、
ポリリボヌクレオチドに結合し且つ/又はそれを捕捉する。別の実施形態では、合成ポリ
リボヌクレオチドは、長い非コードRNA(lncRNA)又は任意の他の非コードRN
A、例えば、miRNA、tRNA、rRNA、snoRNA、ncRNA、siRNA
、長い非コードRNA、shRNAに結合し且つ/又はそれを捕捉する。結合及び/又は
捕捉部位に加えて、ポリリボヌクレオチドは、結合され且つ/又は捕捉されたRNA及び
/又はタンパク質の分解をもたらす分解エレメントを含み得る。
【0133】
一実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、lncRNA又はlncRNAの配列を含
み、例えば、ポリリボヌクレオチドは、天然に存在する非環状lncRNA又はその断片
の配列を含む。一実施形態では、lncRNA又はlncRNAの配列は、スペーサー配
列を伴って又は伴わずに環状化されて、合成環状ポリリボヌクレオチドを形成する。
【0134】
一実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、リボザイム活性を有する。一実施形態では
、ポリリボヌクレオチドは、リボザイムとして作用し、且つ病原性又は内在性RNA、D
NA、小分子又はタンパク質を切断する。一実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、酵
素活性を有する。一実施形態では、合成ポリリボヌクレオチドは、RNA(例えば、ウイ
ルスRNA)を特異的に認識し、且つ切断する。別の実施形態では、ポリリボヌクレオチ
ドは、タンパク質を特異的に認識し、且つ切断する。別の実施形態では、ポリリボヌクレ
オチドは、小分子を特異的に認識し、且つ分解する。
【0135】
一実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、破壊、自己切断、又は切断可能ポリリボヌ
クレオチドである。一実施形態では、ポリリボヌクレオチドを使用して、RNA、例えば
、miRNA、tRNA、rRNA、snoRNA、ncRNA、siRNA、長い非コ
ードRNA、shRNAを送達することができる。一実施形態では、合成ポリリボヌクレ
オチドは、(1)自己切断可能エレメント(例えば、ハンマーヘッド型スプライシングエ
レメント)、(2)切断動員部位(例えば、ADAR)、(3)分解性リンカー(グリセ
ロール)、(4)化学的リンカー、及び/又は(5)スペーサー配列によって隔てられた
マイクロRNAで作られる。別の実施形態では、合成ポリリボヌクレオチドは、(1)自
己切断可能エレメント(例えば、ハンマーヘッド型スプライシングエレメント)、(2)
切断動員部位(例えば、ADAR)、(3)分解性リンカー(グリセロール)、(4)化
学的リンカー、及び/又は(5)スペーサー配列によって隔てられたsiRNAで作られ
る。
【0136】
一実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、転写/複製能があるポリリボヌクレオチド
である。このポリリボヌクレオチドは、任意の型のRNAをコードできる。一実施形態で
は、合成ポリリボヌクレオチドは、アンチセンスmiRNA及び転写エレメントを含む。
一実施形態では、転写の後、直鎖状の機能性miRNAが、環状ポリリボヌクレオチドか
ら生成される。
【0137】
一実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、翻訳エレメントと組み合わせて上の属性の
うちの1つ以上を含む。
【0138】
ポリリボヌクレオチドは、標的の結合部分のための少なくとも1つの結合部位を含み得
る。標的としては、核酸(例えば、RNA、DNA、RNA-DNAハイブリッド)、小
分子(例えば、薬物)、アプタマー、ポリペプチド、タンパク質、脂質、炭水化物、抗体
、ウイルス、ウイルス粒子、膜、多成分複合体、細胞、他の細胞部分、その任意の断片、
及びその任意の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。(例えば、Fredri
ksson et al.,(2002)Nat Biotech 20:473-77
;Gullberg et al.,(2004)PNAS,101:8420-24を
参照されたい)。例えば、標的は、一本鎖RNA、二本鎖RNA、一本鎖DNA、二本鎖
DNA、1つ以上の二本鎖領域及び1つ以上の一本鎖領域を含むDNA若しくはRNA、
RNA-DNAハイブリッド、小分子、アプタマー、ポリペプチド、タンパク質、脂質、
炭水化物、抗体、抗体断片、抗体の混合物、ウイルス粒子、膜、多成分複合体、細胞、細
胞部分、その任意の断片、又はその任意の組合せである。
【0139】
いくつかの実施形態では、標的は、ポリペプチド、タンパク質、又はその任意の断片で
ある。例えば、標的は、精製されたポリペプチド、単離されたポリペプチド、融合タグ付
きポリペプチド、細胞若しくはウイルス若しくはビリオンの膜に結合されたか又はそれを
架橋しているポリペプチド、細胞質タンパク質、細胞内タンパク質、細胞外タンパク質、
キナーゼ、ホスファターゼ、アロマターゼ、ヘリカーゼ、プロテアーゼ、オキシドレダク
ターゼ、レダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、
グリコシラーゼ、細胞外マトリックスタンパク質、リガーゼ、イオントランスポーター、
チャネル、孔、アポトーシスタンパク質、細胞接着タンパク質、病原性タンパク質、異常
に発現されたタンパク質、転写因子、転写調節因子、翻訳タンパク質、シャペロン、分泌
タンパク質、リガンド、ホルモン、サイトカイン、ケモカイン、核タンパク質、受容体、
膜貫通受容体、シグナルトランスデューサー、抗体、膜タンパク質、膜内在性タンパク質
、表在性膜タンパク質、細胞壁タンパク質、球状タンパク質、繊維状タンパク質、糖タン
パク質、リポタンパク質、染色体タンパク質、その任意の断片、又はその任意の組合せで
ある。いくつかの実施形態では、標的は、異種ポリペプチドである。いくつかの実施形態
では、標的は、トランスフェクションなどの分子的技術を使用して細胞において過剰発現
されたタンパク質である。いくつかの実施形態では、標的は、組換えポリペプチドである
。例えば、標的は、細菌(例えば、E.コリ(E.coli))、酵母、哺乳動物、又は
昆虫細胞から生成される試料中に存在する(例えば、生物によって過剰発現されるタンパ
ク質)。いくつかの実施形態では、標的は、変異、挿入、欠失、又は多型を有するポリペ
プチドである。いくつかの実施形態では、標的は、生物を免疫化するか又は抗体産生のた
めなど、生物において免疫応答を引き起こすために使用されるポリペプチドなどの抗原で
ある。
【0140】
いくつかの実施形態では、標的は、抗体である。抗体は、別の分子の特定の空間的且つ
極性の構成に特異的に結合できる。抗体は、モノクローナル、ポリクローナル、又は組換
え抗体であってもよく、宿主の免疫化及び血清の回収(ポリクローナル)などの当該技術
分野においてよく知られる技術によって、又は持続的なハイブリッド細胞株を調製し、分
泌タンパク質(モノクローナル)を回収することによって、又は天然抗体の特異的な結合
に必要となるアミノ酸配列を少なくともコードするヌクレオチド配列、若しくはその変異
誘発されたバージョンをクローニングし、発現することによって調製され得る。天然に存
在する抗体は、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2つの重(H)鎖及
び2つの軽(L)鎖を含むタンパク質であり得る。各重鎖は、重鎖可変領域(V)及び
重鎖定常領域を含み得る。重鎖定常領域は、3つのドメインであるCH1、CH2及びC
H3を含み得る。各軽鎖は、軽鎖可変領域(V)及び軽鎖定常領域を含み得る。軽鎖定
常領域は、1つのドメインであるCで構成され得る。V及びV領域はさらに、フレ
ームワーク領域(FR)と称される、より保存されている領域が挿入された、相補性決定
領域(CDR)と称される超可変領域に細分され得る。各V及びVは、次の順序でア
ミノ末端からカルボキシ末端に整列した、3つのCDR及び4つのFRを含み得る:FR
、CDR、FR、CDR、FR、CDR、及びFR。抗体の定常領域は、
免疫グロブリンの宿主組織への結合、又は免疫系の様々な細胞(例えばエフェクター細胞
)及び古典的補体系の第1の成分(C1q)を含む因子への結合を媒介し得る。抗体は、
任意のアイソタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、
クラス(例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA及びIgA)、
サブクラス又はその改変されたバージョンのものであり得る。抗体は、完全な免疫グロブ
リン又はその断片を含み得る。抗体断片は、抗原などの結合部分に特異的に結合する能力
を保持する抗体の1つ以上の断片を指すことができる。加えて、免疫グロブリン又はそれ
らの断片の凝集体、ポリマー、及びコンジュゲートもまた、特定の分子に関する結合親和
性が維持される限り含まれる。抗体断片の例としては、Fab断片、V、V、C
びCH1ドメインからなる一価断片;F(ab)断片、ヒンジ領域でジスルフィド結合
によって連結された2つのFab断片を含む二価断片;V及びCH1ドメインからなる
Fd断片;抗体の単一のアームのV及びVドメインからなるFv断片;Vドメイン
からなる単一ドメイン抗体(dAb)断片(Ward et al.,(1989)Na
ture 341:544-46);並びにV及びV領域が対になって、一価分子を
形成する単離されたCDR及び一本鎖断片(scFv)(一本鎖Fv(scFv)として
知られる;例えば、Bird et al.,(1988)Science 242:4
23-26;及びHuston et al.,(1988)PNAS 85:5879
-83を参照のこと)が挙げられる。したがって、抗体断片は、Fab、F(ab)
scFv、Fv、dAbなどを含む。2つのドメインV及びVは、別々の遺伝子によ
ってコードされ得るが、それらは、それらを単一のタンパク質鎖にすることが可能な人工
ペプチドリンカーによって、組換え法を使用して結合され得る。そのような一本鎖抗体は
、1つ以上の抗原結合部分を含む。これらの抗体断片は、当業者に知られる従来の技術を
使用して得ることができ、断片は、インタクトな抗体と同じ様式で有用性についてスクリ
ーニングされ得る。抗体は、ヒト、ヒト化、キメラ、単離されたもの、イヌ、ネコ、ロバ
、若しくはヒツジ、又は任意の植物、動物、若しくは哺乳動物のものであり得る。
【0141】
いくつかの実施形態では、標的は、DNA又はRNA(例えば、mRNA)などのリボ
ヌクレオチド及び/又はデオキシリボヌクレオチド(アデニン、グアニン、チミン、又は
シトシン)のポリマー形態である。DNAは、直鎖状DNA分子(例えば、制限断片)、
ウイルス、プラスミド、及び染色体において見出される二本鎖DNAを含む。いくつかの
実施形態では、ポリヌクレオチド標的は、一本鎖、二本鎖、低分子干渉RNA(siRN
A)、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、染色体
、遺伝子、非コードゲノム配列、ゲノムDNA(例えば、断片化されたゲノムDNA)、
精製されたポリヌクレオチド、単離されたポリヌクレオチド、ハイブリダイズされたポリ
ヌクレオチド、転写因子結合部位、ミトコンドリアDNA、リボソームRNA、真核生物
ポリヌクレオチド、原核生物ポリヌクレオチド、合成ポリヌクレオチド、結合されたポリ
ヌクレオチド、組換えポリヌクレオチド、核酸類似体を含有するポリヌクレオチド、メチ
ル化ポリヌクレオチド、脱メチル化ポリヌクレオチド、その任意の断片、又はその任意の
組合せである。いくつかの実施形態では、標的は、組換えポリヌクレオチドである。いく
つかの実施形態では、標的は、異種ポリヌクレオチドである。例えば、標的は、細菌(例
えば、E.コリ(E.coli))、酵母、哺乳動物、又は昆虫細胞から生成されるポリ
ヌクレオチド(例えば、当該生物に対して異種のポリヌクレオチド)である。いくつかの
実施形態では、標的は、変異、挿入、欠失、又は多型を有するポリヌクレオチドである。
【0142】
いくつかの実施形態では、標的は、アプタマーである。アプタマーは、タンパク質など
の結合部分に対して高い特異性及び親和性を有して結合する単離された核酸分子である。
アプタマーは、その所与の標的に特異的に結合するための化学的接触をもたらすある種の
立体配座において保持された三次元構造である。アプタマーは、核酸に基づく分子である
が、アプタマーと遺伝子及びmRNAなどの他の核酸分子の間には根本的相違が存在する
。後者において、核酸構造は、その直鎖状の塩基配列により情報をコードし、したがって
、この配列は、情報保管の機能に重要である。対照的に、標的分子の特異的な結合に基づ
くアプタマー機能は、保存された直鎖状の塩基配列(非コード配列)に完全に依存してい
るわけではなく、むしろ特定の二次/三次/四次構造に依存する。アプタマーが有し得る
いずれかのコード化潜在力は、全くの偶然であり、アプタマーのその同族標的に対する結
合の際にまったく役割を果たさない。アプタマーはまた、ある種のタンパク質に結合する
天然に存在する核酸配列と区別されなければならない。これらの後者の配列は、生物のゲ
ノム内に埋め込まれた天然に存在する配列であり、天然に存在する核酸の転写、翻訳、及
び輸送に関与するタンパク質の特殊なサブグループ(例えば、核酸結合タンパク質)に結
合する。他方で、アプタマーは、短い単離された天然に存在しない核酸分子である。核酸
結合タンパク質に結合するアプタマーが同定され得るが、ほとんどの場合、そのようなア
プタマーは、天然の核酸結合タンパク質によって認識される配列に対する配列同一性をほ
とんど又は全く有しない。さらに重要なこととして、アプタマーは実質的に任意のタンパ
ク質(核酸結合タンパク質に限らない)及び小分子、炭水化物、ペプチドなどを含むほと
んど全ての目的のパートナーと結合できる。ほとんどのパートナーに関して、タンパク質
であっても、それが結合する天然に存在する核酸配列は存在しない。そのような配列を有
するそれらのパートナー、例えば、核酸結合タンパク質に関して、そのような配列は、天
然で使用される結合親和性が強固に結合するアプタマーと比較して相対的に低いため、ア
プタマーとは異なり得る。アプタマーは、選択されたパートナーに特異的に結合し、且つ
パートナーの活性又は結合相互作用を調節することができ、例えば、結合を通して、アプ
タマーは、パートナーが機能する能力を遮断し得る。パートナーに対する特異的な結合の
機能的特性は、アプタマーに固有の特性である。典型的なアプタマーは、6~35kDa
のサイズ(20~100ヌクレオチド)であり、マイクロモル濃度からナノモル濃度以下
の親和性を有してそのパートナーに結合し、且つ密接に関係する標的に対して識別し得る
(例えば、アプタマーは、同じ遺伝子ファミリーに由来する関連タンパク質に選択的に結
合し得る)。アプタマーは、水素結合、静電相補性、疎水性接触、及び立体排除などの一
般的に見られる分子間相互作用を使用して、特定のパートナーに結合することができる。
アプタマーは、高い特異性及び親和性、低い免疫原性、生物学的有効性、及び優れた薬物
動態特性を含む治療学及び診断学としての使用のためのいくつかの望ましい特徴を有する
。アプタマーは、共有結合される相補的なポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションか
ら形成される分子的なステム及びループ構造(例えば、ヘアピンループ構造)を含み得る
。ステムは、ハイブリダイズされたポリヌクレオチドを含み、ループは、2つの相補的な
ポリヌクレオチドを共有結合する領域である。
【0143】
いくつかの実施形態では、標的は、小分子である。例えば、小分子は、大環状分子、阻
害剤、薬物、又は化学物質であり得る。いくつかの実施形態では、小分子は、5個以下の
水素結合ドナーを含有する。いくつかの実施形態では、小分子は、10個以下の水素結合
アクセプターを含有する。いくつかの実施形態では、小分子は、500ダルトン以下の分
子量を有する。いくつかの実施形態では、小分子は、約180~500ダルトンの分子量
を有する。いくつかの実施形態では、小分子は、5以下のオクタノール/水分配係数lo
p Pを含有する。いくつかの実施形態では、小分子は、-0.4~5.6の分配係数l
og Pを有する。いくつかの実施形態では、小分子は、40~130のモル屈折率を有
する。いくつかの実施形態では、小分子は、約20~70個の原子を含有する。いくつか
の実施形態では、小分子は、140オングストローム以下の極性表面積を有する。
【0144】
いくつかの実施形態では、標的は、細胞である。例えば、標的は、無処置の細胞、化合
物(例えば、薬物)で処理された細胞、固定された細胞、溶解された細胞、又はその任意
の組合せである。いくつかの実施形態では、標的は、単一の細胞である。いくつかの実施
形態では、標的は、複数の細胞である。
【0145】
いくつかの実施形態では、単一の標的又は複数の(例えば、2つ以上の)標的は、複数
の結合部分を有する。一実施形態では、単一の標的は、2、3、4、5、6、7、8、9
、10、又はそれ以上の結合部分を有し得る。一実施形態では、2つ以上の標的は、標的
の混合物又はライブラリーなどの試料中に存在し、試料は、2つ以上の結合部分を含む。
いくつかの実施形態では、単一の標的又は複数の標的は、複数の異なる結合部分を含む。
例えば、複数は、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、3
0、40、50、60、70、80、90、100、200、500、1,000、2,
000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、
9,000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000
、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000、20,0
00、25,000、又は30,000個の結合部分を含み得る。
【0146】
標的は、少なくとも2つの異なる結合部分を含む複数の結合部分を含み得る。例えば、
結合部分は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、
15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、60、70、80、9
0、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1,
000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、
8,000、9,000、10,000、11,000、12,000、13,000、
14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,00
0、20,000、21,000、22,000、23,000、24,000、又は2
5,000個の異なる結合部分を含む複数の結合部分を含み得る。
【0147】
いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、1つの結合部位を含む。いくつか
の場合において、ポリヌクレオチドは、少なくとも2つの結合部位を含む。例えば、ポリ
リボヌクレオチドは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14
、15、16、17、18、19、20、又はそれ以上の結合部位を含み得る。いくつか
の実施形態では、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチドは、1つ以上の標的の1つ
以上の結合部分に結合する分子的な足場である。各標的は、異なるか又は同じ核酸(例え
ば、RNA、DNA、RNA-DNAハイブリッド)、小分子(例えば、薬物)、アプタ
マー、ポリペプチド、タンパク質、脂質、炭水化物、抗体、ウイルス、ウイルス粒子、膜
、多成分複合体、細胞、細胞部分、その任意の断片、及びその任意の組合せであり得るが
、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、1つ以上の結合部位は、同じ標的の
1つ以上の結合部分に結合する。いくつかの実施形態では、1つ以上の結合部位は、異な
る標的の1つ以上の結合部分に結合する。いくつかの実施形態では、circRNAは、
1つ以上の標的の1つ以上の結合部分のための足場として作用する。いくつかの実施形態
では、ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の標的の1つ以上の結合部分に特異的に結合す
ることによって細胞プロセスを調節する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載され
るポリリボヌクレオチドは、目的の1つ以上の特異的な標的のための結合部位を含む。い
くつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、目的の各結合部分のための複数の結合
部位又は結合部位の組合せを含む。例えば、ポリリボヌクレオチドは、DNA又はRNA
などのポリリボヌクレオチド標的のための結合部位を含む。例えば、ポリリボヌクレオチ
ドは、mRNA標的のための結合部位を含む。例えば、ポリリボヌクレオチドは、rRN
A標的のための結合部位を含む。例えば、ポリリボヌクレオチドは、tRNA標的のため
の結合部位を含む。例えば、ポリリボヌクレオチドは、ゲノムDNA標的のための結合部
位を含む。
【0148】
いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、一本鎖DNAに対する結合部分の
ための結合部位を含む。いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、二本鎖DN
Aに対する結合部分のための結合部位を含む。いくつかの場合において、ポリリボヌクレ
オチドは、抗体に対する結合部分のための結合部位を含む。いくつかの場合において、ポ
リリボヌクレオチドは、ウイルス粒子に対する結合部分のための結合部位を含む。いくつ
かの場合において、ポリリボヌクレオチドは、小分子に対する結合部分のための結合部位
を含む。いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、細胞中又は細胞上の結合部
分のための結合部位を含む。いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、RNA
-DNAハイブリッドに対する結合部分のための結合部位を含む。いくつかの場合におい
て、ポリリボヌクレオチドは、メチル化ポリヌクレオチドに対する結合部分のための結合
部位を含む。いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、非メチル化ポリヌクレ
オチドに対する結合部分のための結合部位を含む。いくつかの場合において、ポリリボヌ
クレオチドは、アプタマーに対する結合部分のための結合部位を含む。いくつかの場合に
おいて、ポリリボヌクレオチドは、ポリペプチドに対する結合部分のための結合部位を含
む。いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、ポリペプチド、タンパク質、タ
ンパク質断片、タグ付きタンパク質、抗体、抗体断片、小分子、ウイルス粒子(例えば、
膜貫通タンパク質を含むウイルス粒子)、又は細胞に対する結合部分のための結合部位を
含む。
【0149】
いくつかの場合において、結合部分は、少なくとも2つのアミド結合を含む。いくつか
の場合において、結合部分は、ホスホジエステル結合を含まない。いくつかの場合におい
て、結合部分は、DNA又はRNAではない。
【0150】
本明細書で提供されるポリリボヌクレオチドは、複合体に対する結合部分のための1つ
以上の結合部位を含み得る。本明細書で提供されるポリリボヌクレオチドは、複合体を形
成する標的のための1つ以上の結合部位を含み得る。本明細書で提供されるポリリボヌク
レオチドは、ポリリボヌクレオチドと標的の間で複合体を形成し得る。いくつかの実施形
態では、ポリリボヌクレオチドは、単一の標的と複合体を形成する。いくつかの実施形態
では、circRNAは、2つ以上の標的の複合体と複合体を形成する。いくつかの実施
形態では、ポリリボヌクレオチドは、3つ以上の標的の複合体と複合体を形成する。いく
つかの実施形態では、2つ以上のポリリボヌクレオチドは、単一の標的と複合体を形成す
る。いくつかの実施形態では、2つ以上のポリリボヌクレオチドは、2つ以上の標的と複
合体を形成する。いくつかの実施形態では、第1のcircRNAは、第1の標的の第1
の結合部分及び第2の標的の第2の異なる結合部分と複合体を形成する。いくつかの実施
形態では、第1のポリリボヌクレオチドは、第1の標的の第1の結合部分と複合体を形成
し、第2のポリリボヌクレオチドは、第2の標的の第2の結合部分と複合体を形成する。
【0151】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の抗体-ポリペプチド複
合体、ポリペプチド-ポリペプチド複合体、ポリペプチド-DNA複合体、ポリペプチド
-RNA複合体、ポリペプチド-アプタマー複合体、ウイルス粒子-抗体複合体、ウイル
ス粒子-ポリペプチド複合体、ウイルス粒子-DNA複合体、ウイルス粒子-RNA複合
体、ウイルス粒子-アプタマー複合体、細胞-抗体複合体、細胞-ポリペプチド複合体、
細胞-DNA複合体、細胞-RNA複合体、細胞-アプタマー複合体、小分子-ポリペプ
チド複合体、小分子-DNA複合体、小分子-アプタマー複合体、小分子-細胞複合体、
小分子-ウイルス粒子複合体、及びその組合せに対する1つ以上の結合部分のための結合
部位を含み得る。
【0152】
いくつかの場合において、結合部分は、ポリペプチド、タンパク質、又はその断片上に
ある。いくつかの実施形態では、結合部分は、ポリペプチド、タンパク質、又はその断片
のドメイン、断片、エピトープ、領域、若しくは部分を含む。例えば、結合部分は、単離
されたポリペプチド、細胞のポリペプチド、精製されたポリペプチド、又は組換えポリペ
プチドのドメイン、断片、エピトープ、領域、若しくは部分を含む。例えば、結合部分は
、抗体又はその断片のドメイン、断片、エピトープ、領域、若しくは部分を含む。例えば
、結合部分は、転写因子のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は部分を含む。例えば
、結合部分は、受容体のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は部分を含む。例えば、
結合部分は、膜貫通受容体のドメイン、断片、エピトープ、領域、又は部分を含む。結合
部分は、単離されたポリペプチド、精製されたポリペプチド、及び/又は組換えポリペプ
チドのドメイン、断片、エピトープ、領域、若しくは部分上にあり得るか又はそれを含み
得る。結合部分は、分析物(例えば、ライセート)の混合物のドメイン、断片、エピトー
プ、領域、若しくは部分上にあるか又はそれを含む結合部分を含み得る。例えば、結合部
分は、複数の細胞又は単一の細胞のライセートに由来するドメイン、断片、エピトープ、
領域、若しくは部分上にあるか又はそれを含む。
【0153】
いくつかの場合において、結合部分は、小分子のドメイン、断片、エピトープ、領域、
若しくは部分上にあるか又はそれを含む。例えば、結合部分は、薬物のドメイン、断片、
エピトープ、領域、若しくは部分上にあるか又はそれを含む。例えば、結合部分は、化合
物のドメイン、断片、エピトープ、領域、若しくは部分上にあるか又はそれを含む。例え
ば、結合部分は、有機化合物のドメイン、断片、エピトープ、領域、若しくは部分上にあ
るか又はそれを含む。いくつかの場合において、結合部分は、900ダルトン以下の分子
量を有する小分子のドメイン、断片、エピトープ、領域、若しくは部分上にあるか又はそ
れを含む。いくつかの場合において、結合部分は、500ダルトン以上の分子量を有する
小分子のドメイン、断片、エピトープ、領域、若しくは部分上にあるか又はそれを含む。
結合部分は、例えば、コンビナトリアルの手段を介して生成される化合物のライブラリー
、例えば、多様性コンビナトリアルライブラリーを含む、天然に存在する分子又は合成分
子のライブラリーから得られてもよい。コンビナトリアルライブラリー並びにそれらの生
成及びスクリーニングのための方法は、当該技術分野において知られており、開示が参照
により本明細書に組み込まれる米国特許第5,741,713号明細書;同第5,734
,018号明細書;同第5,731,423号明細書;同第5,721,099号明細書
;同第5,708,153号明細書;同第5,698,673号明細書;同第5,688
,997号明細書;同第5,688,696号明細書;同第5,684,711号明細書
;同第5,641,862号明細書;同第5,639,603号明細書;同第5,593
,853号明細書;同第5,574,656号明細書;同第5,571,698号明細書
;同第5,565,324号明細書;同第5,549,974号明細書;同第5,545
,568号明細書;同第5,541,061号明細書;同第5,525,735号明細書
;同第5,463,564号明細書;同第5,440,016号明細書;同第5,438
,119号明細書;同第5,223,409号明細書において記載される。
【0154】
結合部分は、特異的な結合対のメンバー(例えば、リガンド)のドメイン、断片、エピ
トープ、領域、若しくは部分上にあり得るか又はそれを含み得る。結合部分は、一価(モ
ノエピトープ)又は多価(ポリエピトープ)のドメイン、断片、エピトープ、領域、若し
くは部分上にあり得るか又はそれを含み得る。結合部分は、抗原性又はハプテンであり得
る。結合部分は、単一の分子又は少なくとも1つの共通のエピトープ若しくは決定基部位
を共有する複数の分子のドメイン、断片、エピトープ、領域、若しくは部分上にあり得る
か又はそれを含み得る。結合部分は、細胞(例えば、細菌細胞、植物細胞、又は動物細胞
)の一部のドメイン、断片、エピトープ、領域、若しくは部分上にあり得るか又はそれを
含み得る。結合部分は、自然環境(例えば、組織)、培養細胞、又は微生物(例えば、細
菌、真菌、原生動物、又はウイルス)、又は溶解された細胞のいずれかにおいてあり得る
。結合部分を、修飾して(例えば、化学的に)、色素(例えば、蛍光色素)、リン酸基、
炭化水素基などのポリペプチド修飾部分、又はメチル基などのポリヌクレオチド修飾部分
などであるがこれらに限定されない、1つ以上の追加の結合部位を提供することができる
【0155】
いくつかの場合において、結合部分は、宿主由来の試料において見出される分子のドメ
イン、断片、エピトープ、領域、若しくは部分上にあるか又はそれを含む。宿主由来の試
料は、体液(例えば、尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、糞便、痰、脳脊髄液、涙、粘
液など)を含む。試料は、直接的に試験されてもよいし、結合部分をより容易に検出可能
にするように調製されてもよい。試料は、生物又は生物の死体に由来するある量の物質を
含み得る。試料は、天然、組換え体、合成、又は天然に存在しないものであり得る。結合
部分は、天然に又は組換えで細胞から発現されるもの、細胞ライセート若しくは細胞培養
培地中のもの、インビトロで翻訳された試料、又は試料(例えば、細胞ライセート)から
の免疫沈降である上記のいずれかであり得る。
【0156】
いくつかの場合において、標的の結合部分は、無細胞系又はインビトロで発現される。
例えば、標的の結合部分は、細胞抽出物中にある。いくつかの場合において、標的の結合
部分は、DNA鋳型、並びに転写及び翻訳のための試薬とともに細胞抽出物中にある。使
用され得る細胞抽出物の例示的な供給源としては、コムギ胚芽、エシェリキア・コリ(E
scherichia coli)、ウサギ網状赤血球、超好熱菌、ハイブリドーマ、ア
フリカツメガエル(Xenopus)卵母細胞、昆虫細胞、及び哺乳動物細胞(例えば、
ヒト細胞)が挙げられる。標的ポリペプチドを発現する(例えば、アレイ上で標的ポリペ
プチドを生成する)ために使用され得る例示的な無細胞法としては、タンパク質インサイ
チュアレイ(PISA)、多重スポッティング技術(MIST)、自己組織化mRNA翻
訳、核酸プログラマブルタンパク質アレイ(NAPPA)、ナノウェルNAPPA、DN
A array to protein array(DAPA)、膜のないDAPA、
ナノウェルコピー及びμIP-マイクロインタリオプリンティング、及びpMAC-タン
パク質マイクロアレイコピー(Kilb et al.,Eng.Life Sci.2
014,14,352-364を参照のこと)が挙げられる。
【0157】
いくつかの場合において、標的の結合部分は、DNA鋳型からインサイチュで(例えば
、アレイの固体基材上で)合成される。いくつかの場合において、複数の結合部分は、複
数の対応するDNA鋳型から並行して又は単一の反応においてインサイチュで合成される
。インサイチュでの標的ポリペプチド発現のための例示的な方法としては、Steven
s,Structure 8(9):R177-R185(2000);Katzen
et al.,Trends Biotechnol.23(3):150-6.(20
05);He et al.,Curr.Opin.Biotechnol.19(1)
:4-9.(2008);Ramachandran et al.,Science
305(5680):86-90.(2004);He et al.,Nucleic
Acids Res.29(15):E73-3(2001);Angenendt
et al.,Mol.Cell Proteomics 5(9):1658-66(
2006);Tao et al,Nat Biotechnol 24(10):12
53-4(2006);Angenendt et al.,Anal.Chem.76
(7):1844-9(2004);Kinpara et al.,J.Bioche
m.136(2):149-54(2004);Takulapalli et al.
,J.Proteome Res.11(8):4382-91(2012);He e
t al.,Nat.Methods 5(2):175-7(2008);Chatt
erjee and J.LaBaer,Curr Opin Biotech 17(
4):334-336(2006);He and Wang,Biomol Eng
24(4):375-80(2007);及びHe and Taussig,J.Im
munol.Methods 274(1-2):265-70(2003)において記
載されるものが挙げられる。
【0158】
いくつかの場合において、核酸標的の結合部分は、少なくとも6個のヌクレオチド、例
えば、少なくとも8、9、10、12、15、20、25、30、40、50、又は10
0個のヌクレオチドの区間を含む。いくつかの場合において、タンパク質標的の結合部分
は、連続的な一続きのヌクレオチドを含む。いくつかの場合において、タンパク質標的の
結合部分は、非連続的な一続きのヌクレオチドを含む。いくつかの場合において、核酸標
的の結合部分は、核酸配列におけるヌクレオチドの欠失、付加、交換、又は短縮化を含む
、変異又は機能的変異の部位を含む。
【0159】
いくつかの場合において、タンパク質標的の結合部分は、少なくとも6個のアミノ酸、
例えば、少なくとも8、9、10、12、15、20、25、30、40、50、又は1
00個のアミノ酸の区間を含む。いくつかの場合において、タンパク質標的の結合部分は
、連続的な一続きのアミノ酸を含む。いくつかの場合において、タンパク質標的の結合部
分は、非連続的な一続きのアミノ酸を含む。いくつかの場合において、タンパク質標的の
結合部分は、ポリペプチド配列におけるアミノ酸の欠失、付加、交換、又は短縮化を含む
、変異又は機能的変異の部位を含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、結合部分は、膜結合タンパク質のドメイン、断片、エピトー
プ、領域、若しくは部分上にあるか又はそれを含む。例示的な膜結合タンパク質としては
、GPCR(例えば、アドレナリン受容体、アンジオテンシン受容体、コレシストキニン
受容体、ムスカリン性アセチルコリン受容体、ニューロテンシン受容体、ガラニン受容体
、ドーパミン受容体、オピオイド受容体、エロトニン(erotonin)受容体、ソマ
トスタチン受容体など)、イオンチャネル(例えば、ニコチン性アセチルコリン受容体、
ナトリウムチャネル、カリウムチャネルなど)、受容体チロシンキナーゼ、受容体セリン
/スレオニンキナーゼ、受容体グアニル酸シクラーゼ、増殖因子及びホルモン受容体(例
えば、上皮増殖因子(EGF)受容体)などが挙げられるが、これらに限定されない。結
合部分はまた、膜結合型タンパク質の変異体又は改変されたバリアントのドメイン、断片
、エピトープ、領域、若しくは部分上にあり得るか又はそれを含み得る。例えば、GPC
Rのいくつかの単一又は複数の点変異は、機能を保持し、疾患に関与する(例えば、St
adel et al.,(1997)Trends in Pharmacologi
cal Review 18:430-37を参照のこと)。
【0161】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、他の細胞内分子に結合するための
他の結合モチーフを含み得る。circRNAなどのポリリボヌクレオチドの適用の非限
定的な例は、表1に列挙される。
【0162】
【表1】
【0163】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチドは、細胞プロセ
スを調節する標的、例えば、DNA、RNA、タンパク質、及び他の細胞成分を捕捉する
。目的の標的のための結合部位を有するポリリボヌクレオチドは、内在性の結合パートナ
ーと標的の結合と競合し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリリボ
ヌクレオチドは、miRNAを捕捉する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載され
るポリリボヌクレオチドは、mRNAを捕捉する。いくつかの実施形態では、本明細書に
記載されるポリリボヌクレオチドは、タンパク質を捕捉する。いくつかの実施形態では、
本明細書に記載されるポリリボヌクレオチドは、リボソームを捕捉する。いくつかの実施
形態では、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチドは、他のポリリボヌクレオチドを
捕捉する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチドは、非
コードRNA、lncRNA、miRNA、tRNA、rRNA、snoRNA、ncR
NA、siRNA、又はshRNAを捕捉する。いくつかの実施形態では、本明細書に記
載されるポリリボヌクレオチドは、捕捉された標的、例えば、ポリリボヌクレオチドに結
合されたDNA、RNA、タンパク質、又は他の細胞成分を分解する分解エレメントを含
む。circRNAなどのポリリボヌクレオチドの捕捉適用の非限定的な例は、表2に列
挙される。
【0164】
【表2】
【0165】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチドを使用する方法
のいずれかは、翻訳エレメントと組み合わせることができる。翻訳エレメントを含む本明
細書に記載されるポリリボヌクレオチドは、RNAをタンパク質に翻訳することができる
。例えば、タンパク質発現は、配列特異的RNA結合モチーフ、配列特異的DNA結合モ
チーフ、タンパク質特異的結合モチーフ、及び調節性RNAモチーフを含むポリリボヌク
レオチドによって促進される。調節性RNAモチーフは、RNA転写及びタンパク質発現
を開始することができる。
【0166】
エンクリプトゲン(Encryptogen)
本明細書に記載されるとおり、ポリリボヌクレオチドは、細胞の自然免疫応答を低減す
るか、逃れるか、又は回避するエンクリプトゲンを含み得る。ポリリボヌクレオチドは、
直鎖状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提
供される環状ポリリボヌクレオチドは、参照化合物によって誘発される応答と比較して、
宿主からの免疫応答の低減をもたらし、例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、対応する
直鎖状ポリヌクレオチド又はエンクリプトゲンを含む直鎖状ポリヌクレオチドと比較して
免疫応答の低減をもたらし、エンクリプトゲンを欠く対応する直鎖状ポリリボヌクレオチ
ドと比較して免疫応答の低減をもたらす。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチ
ドは、エンクリプトゲンを欠く対応物より低い免疫原性を有する。
【0167】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、哺乳動物、例えば、ヒトにおいて
非免疫原性である。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、哺乳動物細胞、
例えば、ヒト細胞において複製することができる。
【0168】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、配列又は発現産物を含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、エンクリプトゲンを含むポリリボヌクレオチドは、エンクリ
プトゲンを欠く対応物の半減期と少なくとも同じである。いくつかの実施形態では、ポリ
リボヌクレオチドは、対応物のものより増大した半減期を有する。いくつかの実施形態で
は、半減期は、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、4
5%、50%、又はそれ以上増大される。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチ
ドは、少なくとも約1時間~約30日間、又は少なくとも約2時間、6時間、12時間、
18時間、24時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日
間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日
間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日
間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、60日間、若しくはそれ以上
又はその間の任意の時間の細胞中での半減期又は持続性を有する。ある種の実施形態では
、ポリリボヌクレオチドは、約10分~約7日間以下、又は約1時間、2時間、3時間、
4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、1
3時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、2
1時間、22時間、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、4日間、5日
間、6日間、7日間以下、又はその間の任意の時間の細胞中での半減期又は持続性を有す
る。
【0170】
いくつかの実施形態では、エンクリプトゲンを含むポリリボヌクレオチドは、細胞機能
を、例えば、一過性に又は長期間調節する。ある種の実施形態では、細胞機能は、少なく
とも約1時間~約30日間、又は少なくとも約2時間、6時間、12時間、18時間、2
4時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間
、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間
、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間
、27日間、28日間、29日間、30日間、60日間、若しくはそれ以上又はその間の
任意の時間持続する調節など、安定に改変される。ある種の実施形態では、細胞機能は、
例えば、約30分~約7日間以下、又は約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6
時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、
15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、
24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、4日間、5日間、6日間、7日間
以下、又はその間の任意の時間持続する調節など、一過性に改変される。
【0171】
いくつかの実施形態では、エンクリプトゲンを含むポリリボヌクレオチドは、少なくと
も約20塩基対、少なくとも約30塩基対、少なくとも約40塩基対、少なくとも約50
塩基対、少なくとも約75塩基対、少なくとも約100塩基対、少なくとも約200塩基
対、少なくとも約300塩基対、少なくとも約400塩基対、少なくとも約500塩基対
、又は少なくとも約1,000塩基対である。いくつかの実施形態では、エンクリプトゲ
ンを含むポリリボヌクレオチドは、リボソームのための結合部位を収容するのに十分なサ
イズのものであり得る。当業者は、エンクリプトゲンを含むポリリボヌクレオチドの最大
サイズが、ポリリボヌクレオチドを生成し、且つ/又はポリリボヌクレオチドを使用する
ことの技術的制約の範囲内の大きさであり得ることを認識し得る。
【0172】
いくつかの実施形態では、エンクリプトゲンを含む環状ポリリボヌクレオチドは、直鎖
状対応物、例えば、直鎖状発現配列、又は直鎖状環状ポリリボヌクレオチドの半減期と少
なくとも同じである。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、直鎖状対
応物のものより増大されている半減期を有する。いくつかの実施形態では、半減期は、約
5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、又
はそれ以上増大される。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、少なく
とも約1時間~約30日間、又は少なくとも約2時間、6時間、12時間、18時間、2
4時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間
、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間
、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間
、27日間、28日間、29日間、30日間、60日間、若しくはそれ以上又はその間の
任意の時間の細胞中での半減期又は持続性を有する。ある種の実施形態では、環状ポリリ
ボヌクレオチドは、約10分~約7日間以下、又は約1時間、2時間、3時間、4時間、
5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、
14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、
22時間、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、4日間、5日間、6日
間、7日間以下、又はその間の任意の時間の細胞中での半減期又は持続性を有する。
【0173】
いくつかの実施形態では、エンクリプトゲンを含む環状ポリリボヌクレオチドは、細胞
機能を、例えば、一過性に又は長期間調節する。ある種の実施形態では、細胞機能は、少
なくとも約1時間~約30日間、又は少なくとも約2時間、6時間、12時間、18時間
、24時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10
日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18
日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26
日間、27日間、28日間、29日間、30日間、60日間、若しくはそれ以上又はその
間の任意の時間持続する調節など、安定に改変される。ある種の実施形態では、細胞機能
は、例えば、約30分~約7日間以下、又は約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間
、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時
間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時
間、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、4日間、5日間、6日間、7
日間以下、又はその間の任意の時間持続する調節など、一過性に改変される。
【0174】
いくつかの実施形態では、エンクリプトゲンを含む環状ポリリボヌクレオチドは、少な
くとも約20塩基対、少なくとも約30塩基対、少なくとも約40塩基対、少なくとも約
50塩基対、少なくとも約75塩基対、少なくとも約100塩基対、少なくとも約200
塩基対、少なくとも約300塩基対、少なくとも約400塩基対、少なくとも約500塩
基対、又は少なくとも約1,000塩基対である。いくつかの実施形態では、環状ポリリ
ボヌクレオチドは、リボソームのための結合部位を収容するのに十分なサイズのものであ
り得る。当業者は、環状ポリリボヌクレオチドの最大サイズが、環状ポリリボヌクレオチ
ドを生成し、且つ/又は環状ポリリボヌクレオチドを使用することの技術的制約の範囲内
の大きさであり得ることを認識し得る。理論によって束縛されるものではないが、RNA
の複数のセグメントは、1つの5’及び1つの3’遊離末端のみが残存しているときに最
終的に環化され得る、RNAの「糸」を生成するためにアニールされるDNA並びにそれ
らの5’及び3’遊離末端から生成され得る可能性がある。いくつかの実施形態では、環
状ポリリボヌクレオチドの最大サイズは、RNAをパッケージ化し且つ標的に送達する能
力によって制限され得る。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドのサイズ
は、有用なポリペプチドをコードするのに十分な長さであり、したがって、約20,00
0塩基対未満、約15,000塩基対未満、約10,000塩基対未満、約7,500塩
基対未満、又は約5,000塩基対未満、約4,000塩基対未満、約3,000塩基対
未満、約2,000塩基対未満、約1,000塩基対未満、約500塩基対未満、約40
0塩基対未満、約300塩基対未満、約200塩基対未満、約100塩基対未満の長さが
有用であり得る。
【0175】
切断配列
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの切断配列を含む
。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。いくつかの
実施形態では、切断配列は、発現配列に隣接する。いくつかの実施形態では、ポリリボヌ
クレオチドは、破壊ポリリボヌクレオチド、切断可能ポリリボヌクレオチド、又は自己切
断ポリリボヌクレオチドにおけるものなどの切断配列を含む。いくつかの実施形態では、
ポリリボヌクレオチドは、2つ以上の切断配列を含み、ポリリボヌクレオチドの複数の産
物、例えば、miRNA、直鎖状RNA、より小さい環状ポリリボヌクレオチドなどへの
分離をもたらす。
【0176】
いくつかの実施形態では、切断配列は、リボザイムRNA配列を含む。リボザイム(R
NA酵素又は触媒RNAとも呼ばれるリボ核酸酵素に由来する)は、化学反応を触媒する
RNA分子である。多くの天然のリボザイムは、それら自体のホスホジエステル結合の1
つの加水分解、又は他のRNAにおける結合の加水分解のいずれかを触媒するが、それら
はまた、リボソームのアミノトランスフェラーゼ活性を触媒することが見出されている。
触媒RNAは、インビトロ法によって「進化され」得る。上で論じられるリボスイッチ活
性と同様に、リボザイム及びそれらの反応産物は、遺伝子発現を調節することができる。
いくつかの実施形態では、触媒RNA又はリボザイムは、リボザイムが嵩体積からの分子
の化学変換のために細胞内に多くのコピーで存在するように、より大きい非コードRNA
内に配置され得る。いくつかの実施形態では、アプタマー及びリボザイムは両方ともに、
同じ非コードRNAにおいてコードされ得る。
【0177】
破壊配列
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリリボヌクレオチドは、破壊ポリリ
ボヌクレオチド、切断可能ポリリボヌクレオチド、又は自己切断ポリリボヌクレオチドを
含む。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。ポリリ
ボヌクレオチドは、例えば、RNA、lncRNA、lincRNA、miRNA、tR
NA、rRNA、snoRNA、ncRNA、siRNA、又はshRNAを含む細胞成
分を送達することができる。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、(i)
自己切断可能エレメント;(ii)切断動員部位;(iii)分解性リンカー;(iv)
化学的リンカー;及び/又は(v)スペーサー配列によって隔てられるmiRNAを含む
。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、(i)自己切断可能エレメント;
(ii)切断動員部位(例えば、ADAR);(iii)分解性リンカー(例えば、グリ
セロール);(iv)化学的リンカー;及び/又は(v)スペーサー配列によって隔てら
れるsiRNAを含む。自己切断可能エレメントの非限定的な例としては、ハンマーヘッ
ド、スプライシングエレメント、ヘアピン、デルタ型肝炎ウイルス(HDV)、Vark
udサテライト(VS)、及びglmSリボザイムが挙げられる。circRNAなどの
ポリリボヌクレオチドの無調節適用の非限定的な例は、表3に列挙される。
【0178】
【表3】
【0179】
リボスイッチ
いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のリボスイッチを含む。
ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0180】
リボスイッチは通常、小さい標的分子に直接的に結合できるポリリボヌクレオチドの一
部であり、その標的の結合がRNAの翻訳、発現産物の安定性及び活性に影響を及ぼすと
考えられている(Tucker B J,Breaker R R(2005),Cur
r Opin Struct Biol 15(3):342-8)。したがって、リボ
スイッチを含むポリリボヌクレオチドは、その標的分子の有無に応じて、それ自体の活性
の調節に直接的に関与する。いくつかの場合において、リボスイッチは、別々の分子のた
めのアプタマー様親和性の領域を有する。したがって、本発明のより広い文脈において、
非コード核酸に含まれる任意のアプタマーが、嵩体積からの分子の捕捉のために使用され
得る。「(リボ)スイッチ」活性を介する事象の下流伝達は、特に有利であり得る。
【0181】
いくつかの場合において、リボスイッチは、転写終結、翻訳開始の阻害、mRNA自己
切断、及び真核生物におけるスプライシング経路の改変を含むが、これらに限定されない
遺伝子発現に対する作用を有し得る。リボスイッチは、リボスイッチを含むポリリボヌク
レオチドを、リボスイッチを活性化するか、不活性化するか又は遮断する条件にさらして
発現を変化させることによるものなど、トリガー分子の結合又は除去によって遺伝子発現
を制御する機能を有し得る。発現は、例えば、転写の終結又はRNAに対するリボソーム
結合の遮断の結果として、変化させられる。トリガー分子又はその類似体の結合は、リボ
スイッチの性質に応じて、RNA分子の発現を低減するか若しくは妨げるか又はRNA分
子の発現を促進するか若しくは増加させることができる。リボスイッチのいくつかの例は
、本明細書に記載される。
【0182】
いくつかの場合において、リボスイッチは、アデノシルコバラミン(ビタミンB12
補酵素形態)に結合して、コバラミン及び同様の代謝産物の生合成及び輸送を調節するコ
バラミンリボスイッチ(B12-エレメントでもある)である。
【0183】
いくつかの場合において、リボスイッチは、環状ジ-GMPに結合して、様々な遺伝子
を調節する環状ジ-GMPリボスイッチである。2つの構造的に関連しないクラスが存在
する(環状ジ-GMP-I及び環状ジ-GMP-II)。
【0184】
いくつかの場合において、リボスイッチは、フラビンモノヌクレオチド(FMN)に結
合して、リボフラビン生合成及び輸送を調節するFMNリボスイッチ(RFN-エレメン
トでもある)である。
【0185】
いくつかの場合において、リボスイッチは、十分な濃度のグルコサミン-6-リン酸が
存在するときに自己切断するglmSリボスイッチである。
【0186】
いくつかの場合において、リボスイッチは、グルタミンに結合して、グルタミン及び窒
素代謝に関与する遺伝子を調節するグルタミンリボスイッチである。それらはまた、未知
の機能の短いペプチドに結合する。そのようなリボスイッチは2つのクラスに分類され、
それらは構造的に関連する:glnA RNAモチーフ及び下流-ペプチドモチーフ。
【0187】
いくつかの場合において、リボスイッチは、グリシンに結合して、グリシン代謝遺伝子
を調節するグリシンリボスイッチである。それは、同じmRNAにおいて2つの隣接する
アプタマードメインを含み、協同的な結合を示す唯一の既知の天然RNAである。
【0188】
いくつかの場合において、リボスイッチは、リジンに結合して、リジン生合成、異化及
び輸送を調節するリジンリボスイッチ(L-ボックスでもある)である。
【0189】
いくつかの場合において、リボスイッチは、プレキューオシンに結合して、合成に関与
する遺伝子又はこの前駆体のキューオシンへの輸送を調節するPreQ1リボスイッチで
ある。2つの完全に異なるクラスのPreGIリボスイッチが知られている:PreQ1
-Iリボスイッチ及びPreQ1-IIリボスイッチ。PreQ1-Iリボスイッチの結
合ドメインは、天然に存在するリボスイッチの中でも異常に小さい。ストレプトコッカス
(Streptococcus)属及びラクトコッカス(Lactococcus)属に
おける特定の種においてのみ見出されるPreGI-IIリボスイッチは、完全に異なる
構造を有し、且つより大きい。
【0190】
いくつかの場合において、リボスイッチは、プリンに結合して、プリン代謝及び輸送を
調節するプリンリボスイッチである。プリンリボスイッチの異なる形態は、グアニン(G
-ボックスとして元来知られる形態)又はアデニンに結合する。グアニン又はアデニンの
いずれに関する特異性も、Y74位でのリボスイッチにおける単一のピリミジンとのワト
ソン-クリック相互作用に完全に依存する。グアニンリボスイッチにおいて、この残基は
、シトシン(すなわち、C74)であり、アデニンの残基において、それは常にウラシル
(すなわち、U74)である。同属の型のプリンリボスイッチは、デオキシグアノシンに
結合するが、単一ヌクレオチドの変異より著しい差を有する。
【0191】
いくつかの場合において、リボスイッチは、S-アデノシルホモシステインに結合して
、S-アデノシルメチオニンがメチル化反応において使用されるときに生成されるこの代
謝産物の再利用に関与する遺伝子を調節するSAHリボスイッチである。
【0192】
いくつかの場合において、リボスイッチは、S-アデノシルメチオニン(SAM)に結
合して、メチオニン及びSAMの生合成及び輸送を調節するSAMリボスイッチである。
3つの異なるSAMリボスイッチが知られている:SAM-I(元来S-ボックスと呼ば
れる)、SAM-II及びSKボックスリボスイッチ。SAM-Iは、細菌において一
般的であるが、SAM-IIは、α-、β-及び少数のγ-プロテオバクテリアにおいて
のみ見出される。SKボックスリボスイッチは、ラクトバチルス(Lactobaci
llales)目においてのみ見出される。リボスイッチのこれらの3つの変種は、配列
又は構造に関して明らかな類似性を有しない。4番目の変種であるSAM-IVは、異な
る足場の文脈においてであるが、SAM-Iのものと同様のリガンド結合コアを有するよ
うに見える。
【0193】
いくつかの場合において、リボスイッチは、SAM及びSAHの両方に同様の親和性で
結合するSAM-SAHリボスイッチである。それらは、メチオニンアデノシルトランス
フェラーゼをコードする遺伝子を調節する位置において常に見出されるため、それらのS
AMとの結合のみが、生理学的に適切であることが提案された。
【0194】
いくつかの場合において、リボスイッチは、テトラヒドロ葉酸に結合して、合成及び輸
送遺伝子を調節するテトラヒドロ葉酸リボスイッチである。
【0195】
いくつかの場合において、リボスイッチは、テオフィリン結合リボスイッチ又はチミン
ピロリン酸結合リボスイッチである。
【0196】
いくつかの場合において、リボスイッチは、グルコサミン-6リン酸を感知するT.テ
ングコンジェンシス(T.tengcongensis)glmS触媒リボスイッチであ
る(Klein and Ferre-D’Amare 2006)。
【0197】
いくつかの場合において、リボスイッチは、チアミンピロリン酸(TPP)に結合して
、チアミン生合成及び輸送、並びに同様の代謝産物の輸送を調節するTPPリボスイッチ
(THI-ボックスでもある)である。それは、真核生物においてこれまで見出された唯
一のリボスイッチである。
【0198】
いくつかの場合において、リボスイッチは、モリブデン補助因子に結合して、この補助
因子の生合成及び輸送に関与する遺伝子、並びに補助因子としてそれ又はその誘導体を使
用する酵素を調節するMocoリボスイッチである。
【0199】
いくつかの場合において、リボスイッチは、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio
vulnificus)のアデニンデアミナーゼをコードする遺伝子の5’UTRにお
いて見出されるアデニン感知add-Aリボスイッチである。
【0200】
アプタザイム
いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、アプタザイムを含む。アプタザイ
ムは、アプタマー領域が、アロステリック制御エレメントとして使用され、且つ触媒RN
Aの領域に結合される条件的発現のためのスイッチである。いくつかの場合において、ア
プタザイムは、細胞型に特異的な翻訳において活性である。いくつかの場合において、ア
プタザイムは、細胞状態に特異的な翻訳下で、例えば、ウイルス感染した細胞又はウイル
ス核酸若しくはウイルスタンパク質の存在下で活性である。ポリリボヌクレオチドは、直
鎖状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0201】
リボザイム(RNA酵素又は触媒RNAとも呼ばれるリボ核酸酵素に由来する)は、化
学反応を触媒するRNA分子である。多くの天然のリボザイムは、それら自体のホスホジ
エステル結合の1つの加水分解、又は他のRNAにおける結合の加水分解のいずれかを触
媒するが、それらはまた、リボソームのアミノトランスフェラーゼ活性を触媒することが
見出されている。より最近、触媒RNAが、インビトロ法によって「進化され」得ること
が示されている[1.Agresti J J,Kelly B T,Jaschke
A,Griffiths A D:Selection of ribozymes t
hat catalyse multiple-turnover Diels-Ald
er cycloadditions by using in vitro comp
artmentalization.Proc Natl Acad Sci USA
2005,102:16170-16175;2.Sooter L J,Riedel
T,Davidson E A,Levy M,Cox J C,Ellington
A D:Toward automated nucleic acid enzym
e selection.Biological Chemistry 2001,38
2(9):1327-1334.]。Winklerらは[Winkler W C,N
ahvi A,Roth A,Collins J A,Breaker R R:Co
ntrol of gene expression by a natural me
tabolite-responsive ribozyme.Nature 2004
,428:281-286]、上で論じられたリボスイッチ活性と同様に、リボザイム及
びそれらの反応産物が、遺伝子発現を調節できることを示した。本発明の文脈において、
リボザイムが嵩体積からの分子の化学変換のために細胞内に多くのコピーで存在するよう
に、より大きい非コードRNA内に触媒RNA又はリボザイムを配置することが特に有利
であり得る。さらに、同じ非コードRNA中にアプタマー及びリボザイムの両方をコード
することが、特に有利であり得る。
【0202】
リボザイムのいくつかの非限定的な例としては、ハンマーヘッド型リボザイム、VLリ
ボザイム、リードザイム(leadzyme)、ヘアピンリボザイムが挙げられる。
【0203】
いくつかの場合において、アプタザイムは、RNA配列を切断し、且つリガンド/モジ
ュレーターに結合する結果として調節され得るリボザイムである。リボザイムはまた、自
己切断リボザイムであってもよい。そのため、それらは、リボザイム及びアプタマーの特
性を組み合わせる。アプタザイムは、それらのトランスでの活性に関する潜在力、それら
が触媒的に作用して発現を不活性化するという事実、及びそれら自体の又は異種性転写物
の切断に起因する不活性化が不可逆であるという事実のために従来のアプタマーを超える
利点を提供する。
【0204】
いくつかの場合において、アプタザイムは、ポリリボヌクレオチド、例えば、直鎖状又
は環状ポリリボヌクレオチドの非翻訳領域に含まれ、且つリガンド/モジュレーターの非
存在下で不活性であり、導入遺伝子の発現を可能にする。発現は、リガンドの添加により
遮断され得る(又は下方制御され得る)。特定のモジュレーターの存在に応答して下方制
御されるアプタザイムは、制御系において使用されてもよく、モジュレーターに応答した
遺伝子発現の上方制御が望ましいことに留意すべきである。
【0205】
アプタザイムはまた、ポリリボヌクレオチド発現の自己調節のための系の開発も可能に
し得る。例えば、特定の小分子の合成における律速酵素である環状ポリリボヌクレオチド
のタンパク質産物は、その分子の存在下で触媒活性の増大を有するように選択されたアプ
タザイムを含むように改変されて、それにより、その合成に関する自己調節的フィードバ
ックループをもたらし得る。或いは、アプタザイム活性は、環状ポリリボヌクレオチド由
来のタンパク質産物の蓄積、又は任意の他の細胞高分子に感受性であるように選択され得
る。
【0206】
いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドは、アプタマー配列を含み得る。いく
つかの非限定的な例としては、RNAアプタマー結合リゾチーム、高い特異性及び親和性
でトロンビンに結合する2’フルオロピリミジンヌクレオチドを含むRNAアプタマーで
あるToggle-25t、ヒト免疫不全ウイルストランス作用応答エレメント(HIV
TAR)に結合するRNATat、RNAアプタマー結合ヘミン、RNAアプタマー結
合インターフェロンγ、RNAアプタマー結合血管内皮増殖因子(VEGF)、RNAア
プタマー結合前立腺特異抗原(PSA)、RNAアプタマー結合ドーパミン、及び非古典
的癌遺伝子、熱ショック因子1(HSF1)に結合するRNAアプタマーが挙げられる。
【0207】
他の試薬
いくつかの場合において、組成物又は医薬組成物は、アルコール又は細胞透過剤及びポ
リリボヌクレオチドに加えて、試薬を含む。例えば、組成物又は医薬組成物はさらに、ポ
リリボヌクレオチドに加えて、1つ以上のペプチド、核酸(例えば、DNA)、タンパク
質(例えば、抗体又はその断片)、APC、ウイルス、小分子化合物、プロドラッグ、又
はその組合せなどの1つ以上の活性薬剤、例えば、治療薬を含んでもよい。いくつかの場
合において、1つ以上の活性薬剤、例えば、治療薬を含む組成物又は医薬組成物は、例え
ば、1つ以上の活性薬剤の投与され得る製剤への加工を容易にする賦形剤、希釈剤、及び
/又は補助剤を含む1つ以上の生理学的に許容される担体を使用して製剤化され得る。ポ
リリボヌクレオチドは、直鎖状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0208】
いくつかの場合において、本明細書に記載される組成物又は医薬組成物はさらに、治療
的に許容される賦形剤、担体、希釈剤、アジュバント、他の補助媒体、緩衝液、安定剤、
又は足場を含み得る。組成物又は医薬組成物はさらに、塩濃度、重量オスモル濃度、pH
、疎水性/親水性、及び溶解性などであるが、これらに限定されない適切な物理学的又は
化学的特性を維持する他の試薬を含み得る。例えば、組成物は、安定剤、例えば、適切な
濃度、例えば、約4.5g/Lでグルコースを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリ
リボヌクレオチドは、非免疫原性である。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチ
ドは、免疫原性である。組成物又は医薬組成物はさらに、ポリリボヌクレオチドの免疫原
性を増強し得るか又は抑制し得る適切なアジュバント又は他の薬剤を含み得る。
【0209】
治療的に許容される担体の非限定的な例としては、デンプン、グルコース、ラクトース
、スクロース、ゼラチン、生理食塩水、アカシアガム、ケラチン、尿素、麦芽、米粉、胡
粉、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩
化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、保水剤(例
えば、尿素)、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、脂肪酸(例えば、オレイ
ン酸)、界面活性剤(例えば、ミリスチン酸イソプロピル及びラウリル硫酸ナトリウム)
、ピロリドン、モノラウリン酸グリセロール、スルホキシド、テルペン(例えば、メント
ール)、アミン、アミド、アルカン、アルカノール、水、炭酸カルシウム、リン酸カルシ
ウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、ポリエチレングリコールなど
のポリマー、及び水が挙げられる。必要があれば、担体はまた、少量の湿潤剤若しくは乳
化剤、又はpH緩衝液を含有してもよい。
【0210】
安定性
本明細書で提供されるポリリボヌクレオチドは、細胞又は組織への送達後に安定である
ことができ、ポリリボヌクレオチドが送達された細胞又は組織に対する生物学的効果をも
たらすポリリボヌクレオチドの翻訳を可能にする。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又は
環状のいずれかの形態で存在し得る。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは
、直鎖状ポリリボヌクレオチドであり、短期間の生物学的効果、例えば、少なくとも1時
間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、又はその間の任意の時間続く生
物学的効果のために使用される。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、環
状ポリリボヌクレオチドであり、長期間の生物学的効果、例えば、少なくとも3日間、4
日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13
日間、14日間、若しくはそれ以上、又はその間の任意の時間続く生物学的効果のために
使用される。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、分解、例えば、エキソ
ヌクレアーゼに対して実質的に耐性である。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオ
チドは、自己分解に対して耐性である。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチド
は、酵素切断部位、例えば、ダイサー切断部位を欠く。
【0211】
いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、細胞分裂の間に細胞中で残存する
。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、有糸分裂の後に娘細胞中で残存す
る。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、細胞内で複製され、娘細胞に渡
される。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、ポリリボヌクレオチドの自
己複製を媒介する複製エレメントを含む。いくつかの実施形態では、複製エレメントは、
環状ポリリボヌクレオチドの環状ポリリボヌクレオチドに相補的な直鎖状ポリリボヌクレ
オチド(直鎖状相補物)への転写を媒介する。いくつかの実施形態では、直鎖状の相補的
なポリリボヌクレオチドは、細胞中において相補的な環状ポリリボヌクレオチドへとイン
ビボで環状化され得る。いくつかの実施形態では、相補的なポリリボヌクレオチドはさら
に、出発環状ポリリボヌクレオチドと同じ又は同様のヌクレオチド配列を有する別の環状
ポリリボヌクレオチドに自己複製できる。自己複製エレメントの一例としては、HDV複
製ドメイン(Beeharry et al,Virol,2014,450-451:
165-173によって記載されるとおりの)が挙げられる。いくつかの実施形態では、
細胞は、少なくとも1つのポリリボヌクレオチドを少なくとも25%、50%、60%、
70%、80%、85%、90%、95%、又は99%の効率で娘細胞に渡す。いくつか
の実施形態では、減数分裂を起こしている細胞は、ポリリボヌクレオチドを少なくとも2
5%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、又は99%の効率で
娘細胞に渡す。いくつかの実施形態では、減数分裂を起こしている細胞は、ポリリボヌク
レオチドを娘に渡す。
【0212】
組成物及び送達経路
本明細書で提供される組成物又は医薬組成物は、組成物の目的の投与経路に部分的に基
づいて製剤化され得る。本開示のある種の態様では、本明細書で提供される組成物又は医
薬組成物は、対象の特定の部位又はその近傍で局所的に投与され得る。組成物は、本明細
書に記載されるとおりであってもよく、且つ薬学的に許容される賦形剤をさらに含んでも
よい。例えば、粘稠な液体、溶液、懸濁液、ゲル、ゼリー、クリーム、ローション、軟膏
剤、坐剤、泡、又はエアロゾルスプレーの直接的な局所適用は、局所投与のために使用さ
れ得る。いくつかの実施形態では、組成物は、全身投与のために製剤化される。そのよう
な製剤化のための薬学的に適切な媒体としては、例えば、低級脂肪族アルコール、ポリグ
リコール(例えば、グリセロール又はポリエチレングリコール)、脂肪酸のエステル、油
、脂肪、シリコンなどが挙げられる。そのような製剤はまた、必要に応じて、保存剤(例
えば、p-ヒドロキシ安息香酸エステル)及び/又は抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸
及びトコフェロール)を含み得る。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又は環状のいずれか
の形態で存在し得る。
【0213】
組成物又は医薬組成物は、アルコール(例えば、エタノール)及びポリリボヌクレオチ
ドを含み得る。組成物又は医薬組成物は、細胞透過剤及びポリリボヌクレオチドを含み得
る。組成物又は医薬組成物は、希釈剤及びポリリボヌクレオチドを含むことができ、組成
物又は医薬組成物は、いずれの担体も含まない。
【0214】
本明細書で提供される組成物又は医薬組成物は、皮膚、爪、口腔、鼻腔、耳腔、膣、子
宮頸部、子宮内、尿路、及び眼の表面領域などの対象の表面領域上への直接的な投与のた
めに製剤化され得る。
【0215】
本明細書に記載される組成物又は医薬組成物は、懸濁液、シロップ、又はエリキシル剤
などの液体調製物であり得る。いくつかの場合において、水溶液は、そのまま使用するた
めに包装されるか、又は凍結乾燥され、凍結乾燥された調製物は、投与の前に無菌溶液と
合わせられる。組成物は、溶液として又は懸濁液として送達され得る。一般に、ゲル(例
えば、DMSOゲル)、ゼリー、クリーム、ローション(例えば、Johnson &
Johnsonローション)、坐剤及び軟膏剤などの製剤は、1つ以上の活性薬剤に対し
てより広範な暴露を伴う領域をもたらすことができる一方で、溶液、例えば、スプレー中
の製剤は、より迅速な短期間の暴露をもたらすことができる。
【0216】
本明細書に記載される組成物又は医薬組成物は、約7のpHを有し得る。いくつかの実
施形態では、組成物又は医薬組成物は、水とほぼ同じ粘度を有する。組成物又は医薬組成
物は、疎水性又は親油性基を実質的に含み得ない。いくつかの実施形態では、組成物又は
医薬組成物は、炭化水素を実質的に含まない。組成物又は医薬組成物は、脂肪酸、脂質、
リポソーム、コレステロール、又はその任意の組合せを実質的に含み得ない。
【0217】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるとおりのポリリボヌクレオチドの送達
の方法は、ポリリボヌクレオチド及びエタノールの混合物を含む組成物を対象の表面領域
に局所的に適用することを含み、エタノールは、混合物の少なくとも約0.3%v/v~
約75%v/vを占める。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるとおりのポリ
リボヌクレオチドの送達の方法は、ポリリボヌクレオチド及びアルコールの混合物を含む
組成物を対象の表面領域に局所的に適用することを含み、アルコールは、混合物の少なく
とも約0.3%v/v~約75%v/vを占める。いくつかの実施形態では、本明細書に
記載されるとおりのポリリボヌクレオチドの送達の方法は、ポリリボヌクレオチド及び細
胞透過剤の混合物を含む組成物を対象の表面領域に局所的に適用することを含み、細胞透
過剤は、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占める。いくつかの実
施形態では、エタノール、アルコール、又は細胞透過剤は、混合物の少なくとも約0.3
%v/v~約70%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約60%v/v、少なくとも
約0.3%v/v~約50%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約40%v/v、少
なくとも約30%v/v~約20%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約15%v/
v、少なくとも約0.3%v/v~約10%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約5
%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約1%v/v、若しくは少なくとも約0.3%
v/v~約0.5%v/v、又はそれらの間の任意のパーセンテージv/vを占める。い
くつかの実施形態では、エタノール、アルコール、又は細胞透過剤は、混合物の少なくと
も約0.5%v/v~約75%v/v、少なくとも約1%v/v~約75%v/v、少な
くとも約5%v/v~約75%v/v、少なくとも約10%v/v~約75%v/v、少
なくとも約15%v/v~約75%v/v、少なくとも約20%v/v~約75%v/v
、少なくとも約30%v/v~約75%v/v、少なくとも約40%v/v~約75%v
/v、少なくとも約50%v/v~約75%v/v、少なくとも約60%v/v~約75
%v/v、若しくは少なくとも約70%v/v~約75%v/v、又はそれらの間の任意
のパーセンテージv/vを占める。
【0218】
多くの場合、本明細書に記載されるとおりの組成物又は医薬組成物は、ポリリボヌクレ
オチドを対象の真皮又は上皮組織に送達する。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレ
オチドは、イオン泳動を伴わずに送達される。
【0219】
経皮投与
局所投与のための製剤は、液体、半固体剤形(例えば、ペースト、クリーム、ローショ
ン、粉末、軟膏剤又はゲル)、パッチ、フィルム、又はスプレーの形態を利用し得る。い
くつかの場合において、局所組成物は、それを必要とする対象の皮膚の患部に適用され得
るクリーム又はゲルであり得る(例えば、経皮又は真皮投与)。異なる放出プロファイル
は、制御放出、遅延放出、長期放出、又は持続放出などであるが、これらに限定されない
異なる形態で達成され得る。局所医薬組成物は、1日に複数回、1日に1回、又は必要に
応じて何回でも適用され得る。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又は環状のいずれかの形
態で存在し得る。
【0220】
いくつかの場合において、組成物又は医薬組成物は、皮膚領域上での直接的な適用のた
めに製剤化される(例えば、経皮又は真皮投与)。本明細書で提供される組成物又は医薬
組成物は、皮膚科学的に許容される希釈剤を含み得る。そのような希釈剤は、皮膚、爪、
粘膜、組織、及び/又は毛髪と適合性であり、且つこれらの要件を満たす任意の皮膚科学
的な希釈剤を含み得る。そのような希釈剤は、当業者によって容易に選択され得る。皮膚
軟膏剤を製剤化する際、1つ以上の薬剤は、油性炭化水素基剤、無水吸収基剤、油中水型
の吸収基剤、水中油型の水除去可能基剤及び/又は水溶性基剤中で製剤化され得る。
【0221】
軟膏剤及びクリームは、例えば、好適な増粘剤及び/又はゲル化剤の添加を伴う水性又
は油性基剤で製剤化される。ローションは、水性又は油性基剤で製剤化されてもよく、一
般に、1つ以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、又は着色剤も含むことにな
る。医薬品の送達のための経皮パッチの構築及び使用は、当該技術分野で知られている。
そのようなパッチは、医薬品の連続的な、パルス状の、又は応需型の送達のために構築さ
れ得る。
【0222】
組成物及び剤形を形成するために使用され得る潤滑剤は、ステアリン酸カルシウム、ス
テアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリ
エチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク
、水素化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、ト
ウモロコシ油、及びダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチ
ル(ethyl laureate)、寒天、又はその混合物を含み得る。追加の潤滑剤
としては、例えば、syloidシリカゲル、合成シリカの凝固エアロゾル、又はその混
合物が挙げられる。潤滑剤は、任意選択により、組成物の約1重量パーセント未満の量で
加えられ得る。
【0223】
本明細書で提供される組成物又は医薬組成物は、水溶液、水-アルコール性溶液又は油
性溶液、ローション又は血清分散体、水性、無水又は油性ゲル、水相中の脂肪相の分散体
により得られるエマルション(O/W又は水中油型)又は逆に(W/O又は油中水型)、
マイクロエマルション或いはマイクロカプセル、イオン型及び/又は非イオン型の微粒子
又は脂質小胞分散体を含む、局所投与に好適な任意の形態中にあり得る。ポリリボヌクレ
オチド及び他の活性成分以外の本明細書で提供される組成物の様々な構成要素の量は、当
該技術分野で使用されるものであり得る。これらの組成物は、顔、手、身体及び/若しく
は粘膜のための、又は皮膚を浄化するための保護、治療又はケア用クリーム、ミルク、ロ
ーション、ゲル又は泡を構成し得る。組成物はまた、セッケン又はクレンジングバーを構
成する固体調製物からなり得る。
【0224】
局部/局所投与のための本明細書で提供される組成物又は医薬組成物は、四級アンモニ
ウム化合物、有機水銀、p-ヒドロキシ安息香酸塩、芳香族アルコール、クロロブタノー
ルなどの1つ以上の抗菌保存剤を含み得る。
【0225】
吸入(例えば、鼻腔投与又は経口吸入)
本明細書に記載される組成物又は医薬組成物は、対象の鼻道を介する投与のために製剤
化され得る。担体が固体である鼻腔投与に好適な製剤としては、例えば、鼻に近づけた粉
末の容器から鼻道を通した迅速な吸入によって鼻から吸う様式で投与され得る、例えば、
約10~約500ミクロンの範囲の粒径を有する粗粉末を含み得る。製剤は、鼻内噴霧、
点鼻液、又はネブライザーによるエアロゾル投与によるものであり得る。製剤は、ポリリ
ボヌクレオチドの水溶液又は油性溶液を含み得る。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又は
環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0226】
本明細書で提供される組成物又は医薬組成物は、エアロゾル製剤として製剤化され得る
。エアロゾル製剤は、例えば、エアロゾル溶液、懸濁液又は乾燥粉末であり得る。エアロ
ゾルは、呼吸器系又は鼻道を通して投与され得る。例えば、組成物は、適切な担体、例え
ば、薬学的に許容される噴霧剤中に懸濁されてもよいし、溶解されてもよく、且つ鼻内噴
霧又は吸入剤を使用して肺に直接的に投与されてもよい。例えば、1つ以上の活性薬剤を
含むエアロゾル製剤は、例えば、鼻内噴霧又は吸入剤としての投与のために、噴霧剤又は
溶媒及び噴霧剤の混合物中で溶解されるか、懸濁されるか、又は乳化される。エアロゾル
製剤は、薬学的に許容される噴霧剤などの圧力下で任意の許容される噴霧剤を含み得る。
【0227】
鼻腔投与のためのエアロゾル製剤は、液滴又は噴霧において鼻道に投与されるように設
計された水溶液であり得る。経鼻溶液は、それらが、等張性であり、且つ約5.5~約6
.5のpHを維持するようにわずかに緩衝され得るという点で鼻汁と同様であり得る。い
くつかの場合において、この範囲の外のpH値が使用されてもよい。
【0228】
吸入のためのエアロゾル製剤は、鼻腔又は口腔の呼吸器経路により投与されるとき、1
つ以上の活性薬剤が対象者の呼吸器系、例えば、気道、例えば、鼻腔、口、咽頭、喉頭、
気管、一次気管支、及び肺に沿って運ばれるように設計され得る。吸入溶液は、例えば、
ネブライザーによって投与される。微粉状又は液体組成物を含む吸入剤又は吹入剤は、噴
霧剤中の薬剤又は薬剤の組合せの溶液又は懸濁液の医薬エアロゾルとして呼吸器系に送達
されて、例えば、分配の一助となり得る。噴霧剤は、含ハロゲン炭素化合物、例えば、フ
ッ化塩化炭化水素などのフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、及びヒドロ
クロロカーボン、並びに炭化水素及び炭化水素エーテルを含む液化性ガスであり得る。
【0229】
エアロゾル製剤はまた、他の成分、例えば、界面活性剤又は油及び洗剤などの他の成分
を含み得る。これらの成分は、製剤を安定化し、且つ/又はバルブ構成要素を潤滑するよ
うに機能し得る。
【0230】
エアロゾル製剤は、圧力下で包装されてもよく、溶液、懸濁液、エマルション、粉末、
及び半固体調製物を使用してエアロゾルとして製剤化されてもよい。例えば、溶液エアロ
ゾル製剤は、(実質的に)純粋な噴霧剤中において又は噴霧剤及び溶媒の混合物としてな
ど、活性薬剤の溶液を含み得る。溶媒は、1つ以上の活性薬剤を溶解し、且つ/又は噴霧
剤の蒸発を遅らせるために使用され得る。溶媒は、例えば、水、及びグリコールを含み得
る。好適な溶媒の任意の組合せは、保存剤、抗酸化剤、及び/又は他のエアロゾル成分と
任意選択により組み合わせた使用であり得る。
【0231】
エアロゾル製剤は、分散体又は懸濁液であり得る。懸濁液のエアロゾル製剤は、1つ以
上の活性薬剤、例えば、ポリリボヌクレオチドの懸濁液、及び分散剤を含み得る。分散剤
は、例えば、ソルビタントリオレアート、オレイルアルコール、オレイン酸、レシチン、
及びトウモロコシ油を含み得る。懸濁液のエアロゾル製剤はまた、潤滑剤、保存剤、抗酸
化剤、及び/又は他のエアロゾル成分を含み得る。
【0232】
エアロゾル製剤はまた、エマルションとして製剤化され得る。エマルションのエアロゾ
ル製剤は、例えば、界面活性剤、水、及び噴霧剤、並びに活性薬剤又は活性薬剤の組合せ
、例えば、1つ以上のペプチドを含み得る。界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、又
はカチオン性であり得る。エマルションのエアロゾル製剤の一例は、例えば、界面活性剤
、水、及び噴霧剤を含む。エマルションのエアロゾル製剤の別の例は、例えば、植物油、
モノステアリン酸グリセリル、及びプロパンを含む。
【0233】
経口投与
いくつかの場合において、本明細書で提供される組成物又は医薬組成物は、経口投与の
ために製剤化され得る。場合によっては、組成物又は医薬組成物は、細胞透過剤及びポリ
リボヌクレオチドの混合物を含む足場(例えば、丸剤、糖衣錠、カプセル、トローチ剤、
ハードキャンデー、液体、ゲル、シロップ、スラリー、粉末、懸濁液、エリキシル剤、ウ
エハ)を含み得る。いくつかの場合において、足場は、胃腸管に沿ってどこでも混合物を
放出するように構成される。他の場合において、足場は、胃腸管の特定の位置、例えば、
咽頭、食道、胃、腸管、又は結腸のうちの1つ以上の位置で混合物を放出するように構成
される。異なる放出プロファイルは、制御放出、遅延放出、長期放出、又は持続放出など
であるが、これらに限定されない経口投与のための異なる足場で達成され得る。ポリリボ
ヌクレオチドは、直鎖状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0234】
経口投与のために、本明細書で提供される組成物又は医薬組成物は、混合物を当該技術
分野で知られる薬学的に許容される希釈剤と組み合わせることによって容易に製剤化され
得る。そのような希釈剤により、活性薬剤が、治療されることになる患者による経口摂取
のために、咀嚼錠、丸剤、糖衣錠、カプセル、トローチ剤、ハードキャンデー、液体、ゲ
ル、シロップ、スラリー、粉末、懸濁液、エリキシル剤、ウエハなどを含む錠剤として製
剤化されることが可能になる。そのような製剤は、固体希釈剤又は充填剤を含む薬学的に
許容される希釈剤、無菌水性媒体及び様々な無毒の有機溶媒を含み得る。固体希釈剤は、
希釈剤、香味料、可溶化剤、潤滑剤、懸濁剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、又はカプセ
ル化剤として作用し得る1つ以上の物質であり得る。
【0235】
経口使用のための液体混合物は、混合物を懸濁剤(例えば、メチルセルロース)、湿潤
剤(例えば、レシチン、リゾレシチン、及び/又は長鎖脂肪アルコール)、並びに着色剤
、保存剤、香味料などの薬学的に許容される賦形剤とともに含み得るカプセルにおいて製
剤化され得る。油又は非水性溶媒は、例えば、大きい親油性部分の存在のために、1つ以
上の活性薬剤を溶液にするのに必要とされ得る。或いは、エマルション、懸濁液、又は他
の調製物が使用され得る。
【0236】
経口使用され得る医薬調製物としては、ゼラチンで作られたプッシュフィットカプセル
、並びにゼラチン及びグリセロール又はソルビトールなどの可塑剤で作られた軟質の密封
されたカプセルが挙げられる。プッシュフィットカプセルは、ラクトースなどの充填剤、
デンプンなどの結合剤、及び/又はタルク又はステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、
並びに任意選択により安定剤との混合物中において細胞透過剤及びポリリボヌクレオチド
の混合物を含み得る。軟カプセルは、脂肪油、流動パラフィン、又は液体ポリエチレング
リコールなどの賦形剤を含み得る。加えて、安定剤が加えられ得る。経口投与のための全
ての製剤は、投与に好適な投与量であり得る。
【0237】
経口投与のための化合物を製剤化するとき、胃に保持される製剤を利用して、胃腸管か
らの吸収を高めることが望ましい場合がある。胃の中で数時間保持される製剤は、細胞透
過剤及びポリリボヌクレオチドの混合物をゆっくりと放出し、本明細書で使用され得る持
続放出をもたらすことができる。胃の中で数時間保持される製剤は、アルコール及びポリ
リボヌクレオチドの混合物をゆっくりと放出し、本明細書で使用され得る持続放出をもた
らすことができる。膨張性、浮遊性及び生体接着性の技術を利用して、胃腸管の表面領域
への混合物の適用を最大化することができる。
【0238】
点眼
本明細書で提供される組成物又は医薬組成物は、眼を通して投与されてもよく、例えば
、点眼薬又は軟膏剤において送達されてもよい。眼に対する組成物の局所適用により、眼
中の細胞、例えば、網膜を細胞透過剤及びポリリボヌクレオチドの混合物と接触させるこ
とができる。眼に対する組成物の局所適用により、眼中の細胞、例えば、網膜をアルコー
ル(例えば、エタノール)及びポリリボヌクレオチドの混合物と接触させることができる
。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0239】
点眼薬は、混合物が液相自体にある場合、細胞透過剤及びポリリボヌクレオチド単独の
混合物によって調製され得る。点眼薬は、混合物が液相自体にある場合、アルコール(例
えば、エタノール)及びポリリボヌクレオチド単独の混合物によって調製され得る。或い
は、点眼薬は、生理食塩水、緩衝溶液などの無菌水溶液中で細胞透過剤及びポリリボヌク
レオチドの固体混合物を溶解することによって、又は使用前に溶解されることになる粉末
組成物を組み合わせることによって調製され得る。或いは、点眼薬は、生理食塩水、緩衝
溶液などの無菌水溶液中でアルコール(例えば、エタノール)及びポリリボヌクレオチド
の固体混合物を溶解することによって、又は使用前に溶解されることになる粉末組成物を
組み合わせることによって調製され得る。他の媒体は、当該技術分野において知られると
おり、平衡塩溶液、生理食塩水、ポリエチレングリコールなどの水溶性ポリエーテル、ポ
リビニルアルコール及びポビドンなどのポリビニル、メチルセルロース及びヒドロキシプ
ロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、鉱油及び白色ワセリンなどの石油誘導
体、ラノリンなどの動物性脂肪、カルボキシポリメチレンゲルなどのアクリル酸のポリマ
ー、ピーナッツ油などの植物性脂肪及びデキストランなどの多糖類、並びにヒアルロン酸
ナトリウムなどのグリコサミノグリカンを含むがこれらに限定されないものから選択され
得る。必要があれば、点眼薬において通常使用される添加剤が加えられ得る。そのような
添加剤としては、イオン化剤(例えば、塩化ナトリウムなど)、緩衝液(例えば、ホウ酸
、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなど)、保存剤(例えば、塩化ベン
ザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノールなど)、増粘剤(例えば、ラクト
ース、マンニトール、マルトースなどの糖類;例えば、ヒアルロン酸又はヒアルロン酸ナ
トリウム、ヒアルロン酸カリウムなどのその塩;例えば、コンドロイチン硫酸などのムコ
多糖;例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、架橋ポリアクリ
ル酸塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース
、ヒドロキシプロピルセルロース、又は当業者に知られる他の薬剤)が挙げられる。
【0240】
他の投与
いくつかの場合において、本明細書に記載される組成物又は医薬組成物は、坐剤として
の投与のために製剤化される。直腸適用に関して、組成物のための好適な剤形としては、
坐剤(エマルション又は懸濁液型)、及び直腸ゼラチンカプセル(溶液又は懸濁液)が挙
げられる。例示的な坐剤製剤において、本明細書で提供される組成物は、カカオバター、
エステル化脂肪酸、グリセリン処理されたゼラチン、及びポリエチレングリコールのよう
な様々な水溶性又は分散性基剤などの適切な薬学的に許容される坐剤基剤と組み合わされ
る。様々な添加剤、賦活薬、又は界面活性剤が組み込まれ得る。例えば、トリグリセリド
の混合物、脂肪酸グリセリド、Witepsol S55(Dynamite Nobe
l Chemical、Germanyの登録商標)、又はカカオバターなどの低融点の
ワックスが、最初に融解されてもよく、混合物は、例えば、撹拌することによって均一に
分散され得る。次に、溶融した均一な混合物を、好都合なサイズの型枠に注ぎ、冷却させ
、凝固させることができる。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又は環状のいずれかの形態
で存在し得る。
【0241】
いくつかの場合において、本明細書に記載される組成物又は医薬組成物は、粘膜投与の
ために製剤化される。
【0242】
いくつかの場合において、本明細書に記載される組成物又は医薬組成物は、膣投与のた
めに製剤化される。いくつかの場合において、膣坐薬、タンポン、クリーム、ゲル、ペー
スト、泡、又は噴霧剤は、本明細書に記載されるもの又は組成物を含有する。
【0243】
いくつかの場合において、組成物又は医薬組成物は、上皮細胞への投与のために製剤化
される。この組成物又は医薬組成物は、いずれの担体も含まなくてもよく、本明細書に記
載されるとおりの希釈剤及びポリリボヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、こ
の組成物又は医薬組成物は、ポリリボヌクレオチドの送達のために上皮細胞に直接的に適
用される。
【0244】
前処理
本明細書に記載されるとおりの組成物又は医薬組成物は、当該表面への殺菌剤の適用(
例えば、ポリリボヌクレオチドの送達のための殺菌剤による表面の前処理)後に表面に適
用され得る。表面は、対象の表面領域であり得る。対象の表面領域は、上皮細胞などの細
胞を含む。
【0245】
殺菌剤は、殺菌性、静菌性であり、且つ/又は活発に微生物を殺し、微生物を不活性化
するか、又は微生物の増殖を妨げる任意の薬剤であり得る。いくつかの実施形態では、殺
菌剤は、アルコール、ヨウ素、又は過酸化水素である。殺菌剤は、UV光又はレーザー光
であり得る。いくつかの実施形態では、殺菌剤は、電気的に又は蒸気若しくは接触などに
よる他の手段を介して送達される熱である。
【0246】
殺菌剤は、様々な非侵襲性の方法によって対象の表面領域に適用され得る。例えば、殺
菌剤は、殺菌剤を含むワイプ又はスワブによって適用され得る。いくつかの実施形態では
、殺菌剤は、噴霧剤として適用される。様々なデバイスを使用して、殺菌剤を適用するこ
とができる。例えば、UV光又はレーザー光を生成するデバイスが使用され得る。他の実
施形態では、熱を生成するデバイスが使用され得る。
【0247】
前処理後に表面領域に適用される組成物又は医薬組成物は、いずれの担体も含まなくて
もよく、ポリリボヌクレオチド及び希釈剤を含んでもよい。ポリリボヌクレオチドは、直
鎖状ポリリボヌクレオチド又は環状ポリリボヌクレオチドであり得る。
【0248】
保存剤
本明細書で提供される組成物又は医薬組成物は、単回投与のための材料を含んでもよい
し、多回投与のための材料を含んでもよい(例えば、「多用量」キット)。ポリリボヌク
レオチドは、直鎖状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。組成物又は医薬組成物は、
チオメルサール又は2-フェノキシエタノールなどの1つ以上の保存剤を含んでもよい。
保存剤を使用して、使用中の微生物汚染を防ぐことができる。好適な保存剤としては、塩
化ベンザルコニウム、チメロサール、クロロブタノール、メチルパラベン、プロピルパラ
ベン、フェニルエチルアルコール、エデト酸二ナトリウム、ソルビン酸、Onamer
M、又は当業者に知られる他の薬剤が挙げられる。点眼用生成物において、例えば、その
ような保存剤は、0.004%~0.02%のレベルで利用され得る。本明細書に記載さ
れる組成物において、保存剤、例えば、塩化ベンザルコニウムは、重量による0.001
%~0.01%未満、例えば、0.001%~0.008%、好ましくは、約0.005
%のレベルで利用され得る。
【0249】
ポリリボヌクレオチドは、周囲環境に豊富に存在し得るRNaseに感受性であり得る
。本明細書で提供される組成物は、RNase活性を阻害し、それによりポリリボヌクレ
オチドの分解を防ぐ試薬を含み得る。いくつかの場合において、組成物又は医薬組成物は
、当業者に知られる任意のRNase阻害剤を含む。或いは又は加えて、本明細書で提供
される組成物中のポリリボヌクレオチド、並びに細胞透過剤及び/又は薬学的に許容され
る希釈剤若しくは担体、媒体、賦形剤、若しくは他の試薬は、RNaseを含まない環境
において調製され得る。組成物は、RNaseを含まない環境において製剤化され得る。
【0250】
いくつかの場合において、本明細書で提供される組成物は、無菌であり得る。組成物は
、当該技術分野において知られる好適な媒体中で無菌溶液又は懸濁液として製剤化され得
る。組成物は、従来の既知の殺菌技術によって殺菌されてもよく、例えば、組成物は、無
菌濾過され得る。
【0251】

いくつかの場合において、本明細書で提供される組成物又は医薬組成物は、1つ以上の
塩を含む。浸透圧を制御するために、ナトリウム塩などの生理学的塩が、本明細書で提供
される組成物に含まれ得る。他の塩は、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二
ナトリウム、及び/又は塩化マグネシウムなどを含み得る。いくつかの場合において、組
成物は、1つ以上の薬学的に許容される塩とともに製剤化される。1つ以上の薬学的に許
容される塩は、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムイオンなどの
無機イオンのものを含み得る。そのような塩は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸
、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、マン
デル酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、又はマレイン酸などの無機酸又は有機酸との塩を
含み得る。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0252】
緩衝液/pH
本明細書で提供される組成物又は医薬組成物は、トリス緩衝液;ホウ酸緩衝液;コハク
酸緩衝液;ヒスチジン緩衝液(例えば、水酸化アルミニウムアジュバントを伴う);又は
クエン酸緩衝液などの1つ以上の緩衝液を含み得る。いくつかの場合において、緩衝液は
、5~20mMの範囲で含まれる。
【0253】
本明細書で提供される組成物又は医薬組成物は、約5.0~約8.5の間、約6.0~
約8.0の間、約6.5~約7.5の間、又は約7.0~約7.8の間のpHを有し得る
。組成物又は医薬組成物は、約7のpHを有し得る。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又
は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0254】
洗剤/界面活性剤
本明細書で提供される組成物又は医薬組成物は、目的の投与経路に応じて、1つ以上の
洗剤及び/又は界面活性剤を含んでもよく、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンエス
テル界面活性剤(「Tweens」と一般的に呼ばれる)、例えば、ポリソルベート20
及びポリソルベート80;直鎖状EO/POブロックコポリマーなどのDOWFAX(商
標)登録商標の下で販売されるエチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)
、及び/又はブチレンオキシド(BO)のコポリマー;反復エトキシ(オキシ1,2-エ
タンジイル)基の数が変動し得るオクトキシノール、例えば、オクトキシノール-9(T
riton X100、又はt-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール);(オク
チルフェノキシ)ポリエトキシエタノール(IGEPAL CA-630/NP-40)
;ホスファチジルコリン(レシチン)などのリン脂質;Tergitol(商標)NPシ
リーズなどのノニルフェノールエトキシレート;トリエチレングリコールモノラウリルエ
ーテル(Brij 30)などのラウリル、セチル、ステアリル及びオレイルアルコール
(Brij界面活性剤として知られる)に由来するポリオキシエチレン脂肪エーテル;並
びにソルビタントリオレエート(Span 85)及びソルビタンモノラウレートなどの
ソルビタンエステル(「SPAN」として一般に知られる)、オクトキシノール(オクト
キシノール-9(Triton X-100)又はt-オクチルフェノキシポリエトキシ
エタノール)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(「CTAB」)、又はデオキシ
コール酸ナトリウムである。1つ以上の洗剤及び/又は界面活性剤は、微量でのみ存在し
得る。いくつかの場合において、組成物は、1mg/ml未満のオクトキシノール-10
及びポリソルベート80の各々を含み得る。非イオン性界面活性剤が、本明細書で使用さ
れ得る。界面活性剤は、それらの「HLB」(親水性/親油性平衡)によって分類され得
る。いくつかの場合において、界面活性剤は、少なくとも10、少なくとも15、及び/
又は少なくとも16のHLBを有する。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又は環状のいず
れかの形態で存在し得る。
【0255】
効果的な送達
本明細書で提供される組成物、医薬組成物、方法、及びキットは、ポリリボヌクレオチ
ドの細胞内への送達のために簡単に操作でき且つ効果的な解決策を提供することができる
。いくつかの場合において、ポリリボヌクレオチドの細胞内への送達は、治療的である。
いくつかの場合において、送達効率は、アルコールを伴わない送達と比較して、本明細書
に記載されるアルコールの存在下で相対的に高くなり得る。いくつかの場合において、送
達効率は、細胞透過剤を伴わない送達と比較して、本明細書に記載される細胞透過剤の存
在下で相対的に高くなり得る。いくつかの場合において、送達効率は、前処理を伴わない
送達と比較して、本明細書に記載される殺菌剤(例えば、アルコール)を使用する前処理
の後に相対的に高くなり得る。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又は環状のいずれかの形
態で存在し得る。
【0256】
いくつかの場合において、送達効率は、細胞と接触される全ポリリボヌクレオチドの量
に対する細胞内に送達されるポリリボヌクレオチドの量の比として表される。いくつかの
場合において、送達効率は、細胞の近くに投与される全ポリリボヌクレオチドの量(例え
ば、ポリリボヌクレオチドが皮膚領域に直接的に適用されるときに皮膚細胞内に送達され
る量)に対する細胞内に送達されるポリリボヌクレオチドの量の比として表される。本明
細書で提供される方法の送達効率は、少なくとも約0.5%、1%、1.5%、2%、3
%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、
50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95
%であり得る。いくつかの場合において、本明細書で提供される方法の送達効率は、約0
.5%、1%、1.5%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、
30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、
80%、85%、90%、95%、又は100%であり得る。
【0257】
いくつかの場合において、本明細書で提供される組成物及び方法の薬学的効果は、投与
後の対象から観察される生物学的効果に関して測定される。例えば、対象又は対象の1つ
以上の細胞(例えば、血液試料又は組織生検)中のポリリボヌクレオチドの存在量が測定
され得る。他の場合において、発現産物は、組成物が、対象において発現されることにな
るタンパク質をコードする発現配列を含む場合、本明細書で提供される組成物及び方法の
送達効率の指標として利用され得る。
【0258】
本明細書で提供される組成物及び方法は、直鎖状ポリリボヌクレオチドと比較して、環
状ポリリボヌクレオチドの送達に特により効果的であり得る。細胞に送達される環状ポリ
リボヌクレオチドの量は、直鎖状ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含む混合物とと
もに細胞に接触される直鎖状ポリリボヌクレオチドの量より少なくとも1.1、1.2、
1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.2、2.4、
2.5、2.6、2.8、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6.0、7.0、
8.0、9.0、又は10.0倍高い。いくつかの場合において、細胞に送達される環状
ポリリボヌクレオチドの量は、直鎖状ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含む混合物
とともに細胞に接触される直鎖状ポリリボヌクレオチドの量より少なくとも1.1倍高い
【0259】
インビボで投与されるとき、ポリリボヌクレオチドは、本明細書で提供される方法に従
って、投与経路に応じて対象の表面領域に近接する任意の型の細胞内に送達され得る。例
えば、ポリリボヌクレオチドは、本明細書で提供される方法によって、皮膚下、腔又は管
(例えば、口、鼻腔、咽頭、GI管、気道、又は膣)の表面上に位置する上皮細胞に送達
され得る。上皮細胞の非限定的な型としては、単層扁平上皮、単層立方上皮、単層円柱上
皮、偽重層円柱上皮、重層扁平上皮、重層立方上皮、重層円柱上皮、及び移行上皮が挙げ
られる。ポリリボヌクレオチドは、本明細書で提供される方法によって、角化細胞、メル
ケル細胞、メラニン細胞、ランゲルハンス細胞、線維芽細胞、マクロファージ、及び脂肪
細胞を含むが、これらに限定されない表面領域、例えば、皮膚の下の任意の型の細胞に送
達され得る。ポリリボヌクレオチドは、本明細書で提供される方法によって、表皮、基底
膜、真皮、及び皮下組織などの皮膚の下の組織の任意の部分に送達され得る。
【0260】
例えば、ポリリボヌクレオチドは、投与位置に近接する血管及び/又は血液に入り得る
。例えば、ポリリボヌクレオチドは、皮膚の下の毛細血管壁中の上皮細胞内に送達され得
る。いくつかの場合において、送達は、全身性であり、例えば、ポリリボヌクレオチドは
、血管内部に送達され、且つ赤血球、白血球、及び血小板などの血液細胞にトランスフェ
クトされる。これらの場合において、ポリリボヌクレオチドは、身体の任意の部分に広が
ることができる循環細胞内に送達され得るが、これはポリリボヌクレオチドの全身送達と
して認識され得る。
【0261】
本明細書で提供される組成物、医薬組成物、方法、及びキットは、ポリリボヌクレオチ
ドの長期送達に好適であり得る。例えば、ポリリボヌクレオチド及びアルコール(例えば
、エタノール)は、長期放出、制御放出、遅延放出、又は持続放出のために製剤化され得
るが、その結果、特定の治療効果が達成され得るか又はポリリボヌクレオチドが対象の所
望の位置に送達され得る。例えば、ポリリボヌクレオチド及びアルコールは、長期間、例
えば、少なくとも約2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、15時間、20時間、
24時間、36時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日
間、10日間、11日間、12日間、13日間、2週間、3週間、4週間、5週間、2ヶ
月間、3ヶ月間、4ヶ月間、又はそれ以上対象の皮膚領域に接着されることになるパッチ
の形態で製剤化され得る。いくつかの場合において、パッチ中のポリリボヌクレオチド及
びアルコールは、例えば、パッチが皮膚領域に接着されている限り、長期間かけて送達さ
れる。他の実施形態では、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤は、長期放出、制御放出
、遅延放出、又は持続放出のために製剤化され得るが、その結果、特定の治療効果が達成
され得るか又はポリリボヌクレオチドが対象の所望の位置に送達され得る。例えば、ポリ
リボヌクレオチド及び細胞透過剤は、長期間、例えば、少なくとも約2時間、4時間、6
時間、8時間、10時間、15時間、20時間、24時間、36時間、2日間、3日間、
4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、1
3日間、2週間、3週間、4週間、5週間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、又はそれ以
上対象の皮膚領域に接着されることになるパッチの形態で製剤化され得る。いくつかの場
合において、パッチ中のポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤は、例えば、パッチが皮膚
領域に接着されている限り、長期間かけて送達される。
【0262】
いくつかの場合において、組成物、医薬組成物、方法、及びキットは、細胞内に送達さ
れ且つ長期間かけて生物学的効果を有するポリリボヌクレオチドを提供する。例えば、い
くつかのポリリボヌクレオチドは、RNaseに対してほとんど又は全く感受性を有しな
いか又はそれらは、使用される細胞内部で非常に長い半減期を有し得る。結果として、ポ
リリボヌクレオチドは、長期間、例えば、少なくとも約24時間、36時間、2日間、3
日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日
間、13日間、2週間、3週間、4週間、5週間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ
月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、1年間、2年間、3年間
、又はそれ以上にわたって存在し、且つ潜在的に活性であり得る。いくつかの場合におい
て、ポリリボヌクレオチドは、ほぼ約24時間、36時間、2日間、3日間、4日間、5
日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、2
週間、3週間、4週間、5週間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、
7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、1年間、2年間、又は3年間である半減期
を有し得る。ある特定の場合において、例えば、ポリリボヌクレオチドが、長寿命である
か又は子孫細胞(例えば、幹細胞又は他の前駆細胞)を生成できる寿命を有する細胞にお
いて遺伝子編集目的で投与されるとき、ポリリボヌクレオチドの生物学的効果は、細胞又
は対象の寿命にわたって延長する。
【0263】
キット及び適用ツール
異なる目的の投与経路に応じて、本明細書で提供される組成物は、異なる様式において
、及び/又はいくつかの場合では、組成物及び目的の経路を介して対象に組成物を投与す
るように構成される1つ以上の適用ツールを含む異なるキットにおいてパッケージ化され
得る。上で論じられるとおり、本明細書で提供される組成物は、直接的な局所投与(例え
ば、経皮、坐剤、粘膜、及び膣内)、吸入、及び経口摂取を含む異なる経路を通して投与
されるために製剤化され得る。態様において、本開示は、ポリリボヌクレオチド及び細胞
透過剤を含む組成物の投与のためのキットを提供する。態様において、本開示は、ポリリ
ボヌクレオチド及びアルコール含む組成物の投与のためのキットを提供する。態様におい
て、本開示は、ポリリボヌクレオチド及びエタノール含む組成物の投与のためのキットを
提供する。態様において、本開示は、本明細書に記載されるとおりの前処理の後に、いず
れの担体も含まないポリリボヌクレオチド及び希釈剤を含む組成物の投与のためのキット
を提供する。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又は環状のいずれかの形態で存在し得る。
【0264】
キットは、直接的な局所投与、例えば、皮膚に対する直接的な適用のために構成され得
る。いくつかの場合において、キットは、本明細書で提供されるとおりの組成物を含む基
材又は足場を含む。基材又は足場は、対象の皮膚表面上への組成物の直接的な適用を可能
にするパッチ、ワイプ、Q-チップの形態、又は任意の他の形態であり得る。基材又は足
場は、使い捨ての材料、又は生分解性の材料で作られ得る。いくつかの場合において、基
材は、繊維層、例えば、非エラストマー原材料を使用し、且つ少なくとも一方向の伸長性
を有するように構成された繊維層、例えば、綿、ユーカリ又はバイオセルロースであり得
る。繊維層として、紙、又は不織布、織物などが利用され得る。繊維層は、親水性であり
、且つ液体保持特性を有し得る。繊維層は、親水性原材料を使用し、且つ非エラストマー
原材料又はそれから形成される繊維から得られる親水性繊維で作られ得る。いくつかの場
合において、キットは、本明細書で提供される液体組成物及び液体組成物を移行させるか
又は分注するように構成される移行ツールを含む。移行ツールは、藁、耳刷毛、又は移行
ペプチドのような単純なものであり得る。移行ツールはまた、目盛、発動、アラームシス
テム、又は自動分注システムなどの追加の特徴を有するように設計され得る。
【0265】
キットは、本明細書で提供される組成物の吸入投与のために構成され得る。いくつかの
場合において、キットは、吸入器及び組成物を含む。いくつかの場合において、吸入器は
、液体組成物をエアロゾルに変換するように構成されるネブライザーである。組成物は、
液体形態、又はエアロゾル化及び吸入のための溶媒中で溶解される準備のできた固体形態
中にパッケージ化され得る。ネブライザーの非限定的な例としては、呼吸活性化又は呼吸
駆動ネブライザー、手持ち式吸入器デバイス、ジェットネブライザー、振動メッシュ式ネ
ブライザー、各々が全体として参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願番号国際
公開第2004/071368号パンフレット、米国特許出願公開第2004/0011
358号明細書及び同第2004/0035413号明細書において記載されるとおりの
ネブライザーが挙げられる。ネブライザーは、圧縮空気源を有し得る。いくつかの場合に
おいて、ネブライザーは、ミクロン又はサブミクロンサイズの孔に通して医薬品を押し出
すことによって、又は超音波をかけることによって、液体薬物をエアロゾルに変換する。
いくつかの場合において、吸入器は、固体組成物をエアロゾルに変換する乾燥粉末エアロ
ゾル化デバイスである。乾燥粉末エアロゾル化デバイスは、能動的又は受動的乾燥粉末吸
入器などの乾燥粉末吸入器であり得る。例示的な乾燥粉末吸入器としては、各々が全体と
して参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,069,819号明細書及び同第
4,995,385号明細書、米国特許第3,991,761号明細書、米国特許第3,
991,761号明細書において記載されるとおりのものを含む。
【0266】
キットは、本明細書で提供される組成物の経口投与のために構成され得る。経口投与、
例えば、経口摂取のための組成物は、咀嚼錠、丸剤、糖衣錠、カプセル、トローチ剤、ハ
ードキャンデー、液体、ゲル、シロップ、スラリー、粉末、懸濁液、エリキシル剤、ウエ
ハなどを含む錠剤などの様々な形態において製剤化され得る。
【0267】
本明細書で提供されるキットはさらに、製剤化された組成物を含有するボトル、箱、カ
プセル、又はディスペンサーなどの容器を含み得る。開示される容器は、適用ツールでも
あり得る。いくつかの場合において、ディスペンサーは、本明細書に記載される組成物の
液体又は固体製剤を分注するために提供される。例えば、移行ピペットを使用して、皮膚
表面又は眼内送達のために眼に液体を滴下することができる。他の場合において、ディス
ペンサーは、適用の前に無菌で保存されることが要求され得るカプセルを分注するために
利用され得る。無菌性、湿度、及び/又は温度は、必要に応じて本明細書に記載されると
おりの容器中で維持され得る。いくつかの場合において、上で論じられるとおりの吸入器
は、必要に応じてその液体、固体、又はエアロゾル形態中に組成物を保管するための容器
であり得る。ある種の実施形態では、容器及び適用ツールは、別々に提供され得る。
【0268】
本明細書で提供されるキットは、第1の適用ツール、第2の適用ツール、殺菌剤、及び
いずれの担体も含まないポリリボヌクレオチド及び希釈剤を含む組成物を含むことができ
、第1の適用ツールは、殺菌剤を対象の表面領域に適用するように構成され、且つ第2の
適用ツールは、組成物を対象の表面領域に適用するように構成される。無菌剤は、アルコ
ール、ヨウ素、過酸化水素、UV光、レーザー光、又は熱であり得る。いくつかの実施形
態では、アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペン
タノール、セチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、変性アルコ
ール、ベンジルアルコール、特別変性アルコール、グリコール、ステアリルアルコール、
セテアリルアルコール、メントール、ポリエチレングリコール(PEG)-400、エト
キシ化脂肪酸、及びヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される。第1の適用
ツールは、ワイプ又はスワブであってもよく、ワイプ又はスワブは、無菌剤を含む。或い
は、第1の適用ツールは、UV光又はレーザー光を適用するデバイス、又は熱を適用する
デバイスであってもよい。第2の適用ツールは、ピペットを含んでもよい。いくつかの実
施形態では、第2の適用ツールは、基材を含み、基材は、混合物が包埋される。多くの場
合、基材は、天然又は人工繊維で作られる。いくつかの実施形態では、第2の適用ツール
は、パッチ、噴霧器、又はネブライザーを含む。いくつかの場合において、第2の適用ツ
ールは、制御された様式で混合物を放出するように構成される。適用のための表面領域は
、皮膚、口腔、鼻腔、胃腸管、及び気道の表面領域、並びにその任意の組合せからなる群
から選択され得る。
【0269】
生成の方法
いくつかの場合において、本明細書で提供される組成物又は医薬組成物中のポリリボヌ
クレオチドは、天然に存在せず、且つ組換えDNA技術(下に詳細に記載される方法;例
えば、DNAプラスミドを使用してインビトロで得られる)又は化学合成を使用して生成
され得るデオキシリボ核酸配列を含む。ポリリボヌクレオチドは、直鎖状又は環状のいず
れかの形態で存在し得る。
【0270】
RNA環を生成するために使用されるDNA分子が、天然に存在する本来の核酸配列の
DNA配列、その改変バージョン、又は天然で通常見出されない合成ポリペプチド(例え
ば、キメラ分子又は融合タンパク質)をコードするDNA配列を含み得ることは本発明の
範囲内である。DNA分子は、部位特異的変異誘発、変異を誘発する核酸分子の化学的処
理、核酸断片の制限酵素切断、核酸断片のライゲーション、ポリメラーゼ連鎖反応(PC
R)増幅及び/又は核酸配列の選択された領域の変異誘発、オリゴヌクレオチド混合物の
合成及び核酸分子の混合物を「構築する」混合群のライゲーション並びにその組合せなど
の古典的な変異誘発技術及び組換えDNA技術を含むがこれらに限定されない、様々な技
術を使用して改変され得る。
【0271】
ポリリボヌクレオチドは、化学合成及び酵素的合成を含むがこれらに限定されない任意
の利用可能な技術に従って調製され得る。いくつかの場合において、直鎖状ポリリボヌク
レオチドは、リボヌクレオチドから合成され得るか又はDNAコンストラクトから転写さ
れ得る。DNAコンストラクトからの転写は、当業者に利用可能な技術を使用して、細胞
内又はインビトロで起こり得る。
【0272】
いくつかの場合において、直鎖状の最初のコンストラクト又は直鎖状mRNAは、本明
細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドを作製するために環化され得るか、又はコン
カテマー化され得る。環化又はコンカテマー化の機構は、化学的、酵素的、スプリントラ
イゲーション、又はリボザイムに触媒される方法などであるがこれらに限定されない方法
を介して起こり得る。新たに形成された5’-/3’-結合は、分子内結合又は分子間結
合であり得る。
【0273】
本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドを作製する方法は、例えば、Khud
yakov & Fields,Artificial DNA:Methods an
d Applications,CRC Press(2002);Zhao,Synt
hetic Biology:Tools and Applications,(Fi
rst Edition),Academic Press(2013);及びEgli
& Herdewijn,Chemistry and Biology of Ar
tificial Nucleic Acids,(First Edition),W
iley-VCH(2012)において記載される。
【0274】
環状ポリリボヌクレオチドを合成する様々な方法もまた、当該技術分野で記載されてい
る(例えば、米国特許第6210931号明細書、米国特許第5773244号明細書、
米国特許第5766903号明細書、米国特許第5712128号明細書、米国特許第5
426180号明細書、米国特許出願公開第20100137407号明細書、国際公開
第1992001813号パンフレット及び国際公開第2010084371号パンフレ
ットを参照のこと;各々の内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる)。
【0275】
本明細書で引用される全ての参考文献及び刊行物は、参照により本明細書に組み込まれ
る。
【0276】
実施形態
いくつかの態様では、本開示の組成物は、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤の混合
物を含み、細胞透過剤は、混合物の少なくとも約0.3%v/vを占める。
【0277】
いくつかの態様では、本開示の治療用組成物は、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤
を含み、細胞透過剤は、局所投与のために構成される。
【0278】
いくつかの態様では、本開示の治療用組成物は、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤
を含み、ポリリボヌクレオチドは、ペイロード又はペイロードをコードする配列を含み、
且つペイロードは、細胞に対する生物学的効果を有する。
【0279】
いくつかの態様では、本開示の治療用組成物は、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤
を含み、ポリリボヌクレオチドは、細胞又は組織に対する生物学的効果を有するのに有効
な量で存在し、且つ細胞透過剤は、細胞又は組織に対する生物学的効果を有するのに有効
な量で存在する。
【0280】
いくつかの態様では、本開示の治療用組成物は、ポリリボヌクレオチド、細胞透過剤、
及び局所送達賦形剤を含み、局所送達賦形剤は、安定剤を含む。いくつかの実施形態では
、安定剤は、グルコース(4.5g/L)を含む。
【0281】
いくつかの態様では、本開示の坐剤又は他の脂質系製剤は、ポリリボヌクレオチド及び
細胞透過剤を含む。
【0282】
いくつかの態様では、本開示の吸入可能な組成物は、ポリリボヌクレオチド、細胞透過
剤、及び噴霧剤の混合物を含む。
【0283】
いくつかの態様では、本開示の治療用組成物は、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤
で負荷された生分解性の足場を含む。
【0284】
いくつかの態様では、ポリリボヌクレオチドを細胞又は組織に送達する方法は、細胞又
は組織を、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含む混合物に接触させることを含み、
細胞透過剤は、混合物の少なくとも約0.3%v/vを占める。
【0285】
いくつかの態様では、治療用組成物を細胞又は組織に送達する方法は、細胞又は組織を
、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含む治療用組成物に接触させることを含み、細
胞透過剤は、局所投与のために構成される。いくつかの実施形態では、細胞透過剤は、ア
ルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルコールは、メタノール、エタノール、イ
ソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、セチルアルコール、エチレングリコール、
プロピレングリコール、変性アルコール、ベンジルアルコール、特別変性アルコール、グ
リコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、メントール、ポリエチレング
リコール(PEG)-400、エトキシ化脂肪酸、及びヒドロキシエチルセルロースから
なる群から選択される。いくつかの実施形態では、アルコールは、エタノールを含む。い
くつかの実施形態では、細胞透過剤は、混合物の少なくとも約10%、少なくとも約20
%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60
%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95
%、少なくとも約98%、又は約100%v/vを占める。いくつかの実施形態では、細
胞透過剤は、混合物の約100%v/vを占める。いくつかの実施形態では、方法はさら
に、ポリリボヌクレオチドを細胞透過剤と混合することを含む。いくつかの実施形態では
、ポリリボヌクレオチドは、混合の前に固体形態で存在する。いくつかの実施形態では、
ポリリボヌクレオチドは、混合の前に凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、ポリリ
ボヌクレオチドは、混合の前に液体形態で存在する。いくつかの実施形態では、ポリリボ
ヌクレオチドは、混合の前に溶媒中で溶解される。いくつかの実施形態では、ポリリボヌ
クレオチドは、ペイロード又はペイロードをコードする配列を含み、且つペイロードは、
細胞又は組織に対する生物学的効果を有する。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレ
オチドは、細胞に対する生物学的効果を有するのに有効な量で存在し、且つ細胞透過剤は
、細胞又は組織に対する生物学的効果を有するのに有効な量で存在する。
【0286】
いくつかの態様では、ポリリボヌクレオチドのインビボ送達の方法は、ポリリボヌクレ
オチド及び細胞透過剤を含む混合物を、対象の表面領域に適用することを含む。
【0287】
いくつかの態様では、ポリリボヌクレオチドの局所送達の方法は、ポリリボヌクレオチ
ド及び細胞透過剤を含む混合物を、対象の表面領域に適用することを含む。
【0288】
いくつかの態様では、治療用ポリリボヌクレオチドを対象に送達する方法は、治療用ポ
リリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含む混合物を上皮表面、内皮表面、露出された組織
、又は開放創に局所的に接触させることを含む。
【0289】
いくつかの態様では、治療の方法は、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含む混合
物を、病態又は疾患を有する対象の表面領域に適用することを含む。いくつかの実施形態
では、細胞透過剤は、アルコールを含む。いくつかの実施形態では、アルコールは、メタ
ノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、セチルアルコール
、エチレングリコール、プロピレングリコール、変性アルコール、ベンジルアルコール、
特別変性アルコール、グリコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、メン
トール、ポリエチレングリコール(PEG)-400、エトキシ化脂肪酸、及びヒドロキ
シエチルセルロースからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、アルコールは
、エタノールを含む。いくつかの実施形態では、送達は、全身性である。いくつかの実施
形態では、送達は、局所的である。いくつかの実施形態では、細胞透過剤は、混合物の少
なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なく
とも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なく
とも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なく
とも約98%、又は約100%v/vを占める。いくつかの実施形態では、細胞透過剤は
、混合物の約10%v/vを占める。いくつかの実施形態では、表面領域は、皮膚、口腔
、鼻腔、耳腔、胃腸管、気道、膣、子宮頸部、子宮内、尿路、及び眼の表面領域からなる
群から選択される。いくつかの実施形態では、適用は、混合物の液滴を表面領域に直接的
に置くことを含む。いくつかの実施形態では、適用は、表面領域を、混合物が包埋された
パッチ、ゲル、又はフィルムにより拭くことを含む。いくつかの実施形態では、適用は、
混合物を表面領域に噴霧することを含む。いくつかの実施形態では、適用は、混合物をエ
アロゾル化により対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、適用は、混合物
を坐剤により対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、適用は、混合物を、
混合物を含有するカプセルの経口摂取を介して対象に投与することを含み、カプセルは、
混合物を対象の胃腸管内部に放出するように構成される。いくつかの実施形態では、細胞
は、上皮細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、血液細胞を含む。いくつかの実
施形態では、ポリリボヌクレオチドは、直鎖状ポリリボヌクレオチドを含む。いくつかの
実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドを含む。いくつかの
実施形態では、環状ポリリボヌクレオチドは、直鎖状対応物より少なくとも5%、少なく
とも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40
%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少な
くとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも2倍、少なくとも
3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも
8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、又は
少なくとも100倍高い翻訳効率を有する。いくつかの実施形態では、環状ポリリボヌク
レオチドは、直鎖状より少なくとも5倍高い翻訳効率を有する。いくつかの実施形態では
、ポリリボヌクレオチドは、短期間の生物学的効果を有する。いくつかの実施形態では、
ポリリボヌクレオチドは、直鎖状ポリリボヌクレオチドである。いくつかの実施形態では
、ポリリボヌクレオチドは、長期間の生物学的効果を有する。いくつかの実施形態では、
ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、
混合物中のポリリボヌクレオチドの濃度は、少なくとも約50ng/mL、少なくとも約
100ng/mL、少なくとも約500ng/mL、少なくとも約1μg/mL、少なく
とも約2μg/mL、少なくとも約3μg/mL、少なくとも約4μg/mL、少なくと
も約5μg/mL、少なくとも約10μg/mL、少なくとも約20μg/mL、少なく
とも約50μg/mL、少なくとも約100μg/mL、少なくとも約200μg/mL
、少なくとも約500μg/mL、少なくとも約1mg/mL、少なくとも約2mg/m
L、少なくとも約5mg/mL、少なくとも約10mg/mL、少なくとも約20mg/
mL、少なくとも約50mg/mL、又は少なくとも約100mg/mLである。
【0290】
いくつかの態様では、本開示のキットは、適用ツール並びにポリリボヌクレオチド及び
細胞透過剤を含む混合物を含み、その適用ツールは、混合物を対象の表面領域に適用する
ように構成される。いくつかの実施形態では、適用ツールは、ピペットを含む。いくつか
の実施形態では、適用ツールは、基材を含み、基材は、混合物が包埋される。いくつかの
実施形態では、基材は、天然又は人工繊維で作られる。いくつかの実施形態では、キット
は、坐剤を含む。いくつかの実施形態では、適用ツールは、パッチを含む。いくつかの実
施形態では、適用ツールは、噴霧器を含む。いくつかの実施形態では、適用ツールは、ネ
ブライザーを含む。いくつかの実施形態では、適用ツールは、混合物を対象の胃腸管内部
に放出するように構成されるカプセルを含む。いくつかの実施形態では、適用ツールは、
制御された様式で混合物を放出するように構成される。いくつかの実施形態では、表面領
域は、皮膚、口腔、鼻腔、胃腸管、及び気道の表面領域、並びにその任意の組合せからな
る群から選択される。
【0291】
番号付けされた実施形態
[1] ポリリボヌクレオチド及びエタノールの混合物を含む医薬組成物であって、エ
タノールが、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占める医薬組成物
【0292】
[2] エタノールが、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約70%v/v、少な
くとも約0.3%v/v~約60%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約50%v/
v、少なくとも約0.3%v/v~約40%v/v、少なくとも約30%v/v~約20
%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約15%v/v、少なくとも約0.3%v/v
~約10%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約5%v/v、少なくとも約0.3%
v/v~約1%v/v、又は少なくとも約0.3%v/v~約0.5%v/vを占める、
段落[1]の医薬組成物。
【0293】
[3] エタノールが、混合物の少なくとも約0.5%v/v~約75%v/v、少な
くとも約1%v/v~約75%v/v、少なくとも約5%v/v~約75%v/v、少な
くとも約10%v/v~約75%v/v、少なくとも約15%v/v~約75%v/v、
少なくとも約20%v/v~約75%v/v、少なくとも約30%v/v~約75%v/
v、少なくとも約40%v/v~約75%v/v、少なくとも約50%v/v~約75%
v/v、少なくとも約60%v/v~約75%v/v、又は少なくとも約70%v/v~
約75%v/vを占める、段落[1]の医薬組成物。
【0294】
[4] ポリリボヌクレオチド及びアルコールの混合物を含む医薬組成物であって、ア
ルコールが、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占める医薬組成物
【0295】
[5] アルコールが、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約70%v/v、少な
くとも約0.3%v/v~約60%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約50%v/
v、少なくとも約0.3%v/v~約40%v/v、少なくとも約30%v/v~約20
%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約15%v/v、少なくとも約0.3%v/v
~約10%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約5%v/v、少なくとも約0.3%
v/v~約1%v/v、又は少なくとも約0.3%v/v~約0.5%v/vを占める、
段落[4]の医薬組成物。
【0296】
[6] アルコールが、混合物の少なくとも約0.5%v/v~約75%v/v、少な
くとも約1%v/v~約75%v/v、少なくとも約5%v/v~約75%v/v、少な
くとも約10%v/v~約75%v/v、少なくとも約15%v/v~約75%v/v、
少なくとも約20%v/v~約75%v/v、少なくとも約30%v/v~約75%v/
v、少なくとも約40%v/v~約75%v/v、少なくとも約50%v/v~約75%
v/v、少なくとも約60%v/v~約75%v/v、又は少なくとも約70%v/v~
約75%v/vを占める、段落[4]の医薬組成物。
【0297】
[7] アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペ
ンタノール、セチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、変性アル
コール、ベンジルアルコール、特別変性アルコール、グリコール、ステアリルアルコール
、セテアリルアルコール、メントール、ポリエチレングリコール(PEG)-400、エ
トキシ化脂肪酸、及びヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される、段落[4
]~[6]のいずれか1つの医薬組成物。
【0298】
[8] ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤の混合物を含む医薬組成物であって、細
胞透過剤が、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占める医薬組成物
【0299】
[9] 細胞透過剤が、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約70%v/v、少な
くとも約0.3%v/v~約60%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約50%v/
v、少なくとも約0.3%v/v~約40%v/v、少なくとも約30%v/v~約20
%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約15%v/v、少なくとも約0.3%v/v
~約10%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約5%v/v、少なくとも約0.3%
v/v~約1%v/v、又は少なくとも約0.3%v/v~約0.5%v/vを占める、
段落[8]の医薬組成物。
【0300】
[10] 細胞透過剤が、混合物の少なくとも約0.5%v/v~約75%v/v、少
なくとも約1%v/v~約75%v/v、少なくとも約5%v/v~約75%v/v、少
なくとも約10%v/v~約75%v/v、少なくとも約15%v/v~約75%v/v
、少なくとも約20%v/v~約75%v/v、少なくとも約30%v/v~約75%v
/v、少なくとも約40%v/v~約75%v/v、少なくとも約50%v/v~約75
%v/v、少なくとも約60%v/v~約75%v/v、又は少なくとも約70%v/v
~約75%v/vを占める、段落[8]の医薬組成物。
【0301】
[11] 細胞透過剤が、アルコールである、段落[8]~[10]のいずれか1つの
医薬組成物。
【0302】
[12] アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、
ペンタノール、セチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、変性ア
ルコール、ベンジルアルコール、特別変性アルコール、グリコール、ステアリルアルコー
ル、セテアリルアルコール、メントール、ポリエチレングリコール(PEG)-400、
エトキシ化脂肪酸、及びヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される、段落[
11]の医薬組成物。
【0303】
[13] ポリリボヌクレオチドが、タンパク質をコードする、段落[1]~[12]
のいずれか1つの医薬組成物。
【0304】
[14] タンパク質が、治療用タンパク質である、段落[13]の医薬組成物。
【0305】
[15] タンパク質が、創傷治癒タンパク質である、段落[13]又は[14]の医
薬組成物。
【0306】
[16] 創傷治癒タンパク質が、増殖因子である、段落[15]の医薬組成物。
【0307】
[17] 増殖因子が、EGF、PDGF、TGFβ、又はVEGFである、段落[1
6]の医薬組成物。
【0308】
[18] 医薬組成物が、液体、ゲル、ローション、ペースト、クリーム、泡、又は粘
着物質である、段落[1]~[17]のいずれか1つの医薬組成物。
【0309】
[19] ポリリボヌクレオチドが、直鎖状ポリリボヌクレオチドである、段落[1]
~[18]のいずれか1つの医薬組成物。
【0310】
[20] ポリリボヌクレオチドが、mRNAである、段落[1]~[19]のいずれ
か1つの医薬組成物。
【0311】
[21] ポリリボヌクレオチドが、キャップ又はポリAテールを欠く、段落[1]~
[20]のいずれか1つの医薬組成物。
【0312】
[22] ポリリボヌクレオチドが、環状ポリリボヌクレオチドである、段落[1]~
[18]のいずれか1つの医薬組成物。
【0313】
[23] ポリリボヌクレオチドが、修飾リボヌクレオチドを含む、段落[1]~[2
2]のいずれか1つの医薬組成物。
【0314】
[24] 医薬組成物が、約7のpHを有する、段落[1]~[23]のいずれか1つ
の医薬組成物。
【0315】
[25] 医薬組成物が、水とほぼ同じである粘度を有する、段落[1]~[24]の
いずれか1つの医薬組成物。
【0316】
[26] 医薬組成物が、疎水性又は親油性基を実質的に含まない、段落[1]~[2
5]のいずれか1つの医薬組成物。
【0317】
[27] 医薬組成物が、炭化水素を実質的に含まない、段落[1]~[26]のいず
れか1つの医薬組成物。
【0318】
[28] 医薬組成物が、カチオン性リポソームを実質的に含まない、段落[1]~[
27]のいずれか1つの医薬組成物。
【0319】
[29] 医薬組成物が、脂肪酸、脂質、リポソーム、コレステロール、又はその任意
の組合せを実質的に含まない、段落[1]~[28]のいずれか1つの医薬組成物。
【0320】
[30] 細胞透過剤が、極性溶媒に可溶性である、段落[4]~[29]のいずれか
1つの医薬組成物。
【0321】
[31] 細胞透過剤が、極性溶媒に不溶性である、段落[4]~[30]のいずれか
1つの医薬組成物。
【0322】
[32] ポリリボヌクレオチド及びアルコールを含む治療用組成物であって、アルコ
ールが、局所投与のために構成される治療用組成物。
【0323】
[33] ポリリボヌクレオチド及びアルコールを含む治療用組成物であって、ポリリ
ボヌクレオチドが、ペイロード又はペイロードをコードする配列を含み、且つペイロード
が、細胞に対する生物学的効果を有する治療用組成物。
【0324】
[34] ポリリボヌクレオチド及びアルコールを含む治療用組成物であって、ポリリ
ボヌクレオチドが、細胞又は組織に対する生物学的効果を有するのに有効な量で存在し、
且つアルコールが、細胞又は組織に対する生物学的効果を有するのに有効な量で存在する
治療用組成物。
【0325】
[35] ポリリボヌクレオチド、アルコール、及び局所送達賦形剤を含む治療用組成
物であって、局所送達賦形剤が、安定剤を含む治療用組成物。
【0326】
[36] ポリリボヌクレオチド及びアルコールを含む坐剤又は他の脂質系製剤。
【0327】
[37] ポリリボヌクレオチド、アルコール、及び噴霧剤の混合物を含む吸入可能な
組成物。
【0328】
[38] ポリリボヌクレオチド及びアルコールで負荷された生分解性の足場を含む治
療用組成物。
【0329】
[39] ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含む治療用組成物であって、細胞透
過剤が、局所投与のために構成される治療用組成物。
【0330】
[40] ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含む治療用組成物であって、ポリリ
ボヌクレオチドが、ペイロード又はペイロードをコードする配列を含み、且つペイロード
が、細胞に対する生物学的効果を有する治療用組成物。
【0331】
[41] ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含む治療用組成物であって、ポリリ
ボヌクレオチドが、細胞又は組織に対する生物学的効果を有するのに有効な量で存在し、
且つアルコールが、細胞又は組織に対する生物学的効果を有するのに有効な量で存在する
治療用組成物。
【0332】
[42] ポリリボヌクレオチド、細胞透過剤、及び局所送達賦形剤を含む治療用組成
物であって、局所送達賦形剤が、安定剤を含む治療用組成物。
【0333】
[43] ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含む坐剤又は他の脂質系製剤。
【0334】
[44] ポリリボヌクレオチド、細胞透過剤、及び噴霧剤の混合物を含む吸入可能な
組成物。
【0335】
[45] ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤で負荷された生分解性の足場を含む治
療用組成物。
【0336】
[46] 安定剤が、グルコース(4.5g/L)を含む、段落[35]又は段落[4
2]の治療用組成物。
【0337】
[47] 細胞透過剤が、アルコールを含む、段落[39]~[38]のいずれか1つ
の治療用組成物、坐剤、他の脂質系製剤、又は吸入可能な組成物。
【0338】
[48] アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、
ペンタノール、セチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、変性ア
ルコール、ベンジルアルコール、特別変性アルコール、グリコール、ステアリルアルコー
ル、セテアリルアルコール、メントール、ポリエチレングリコール(PEG)-400、
エトキシ化脂肪酸、及びヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される、段落[
32]~[38]又は[47]のいずれか1つの治療用組成物、坐剤、他の脂質系製剤、
又は吸入可能な組成物。
【0339】
[49] アルコールが、エタノールである、段落[48]の治療用組成物、坐剤、他
の脂質系製剤、又は吸入可能な組成物。
【0340】
[50] ポリリボヌクレオチドを対象に送達する方法であって、
a)殺菌剤を対象の表面領域に適用すること;
b)いずれの担体も含まないポリリボヌクレオチド及び希釈剤を含む組成物を表面領域に
適用することを含む方法。
【0341】
[51] 殺菌剤が、アルコール、UV光、レーザー光、又は熱である、段落[50]
の方法。
【0342】
[52] ポリリボヌクレオチドを対象に送達する方法であって、
a)アルコールを対象の表面領域に適用すること;
b)いずれの担体も含まないポリリボヌクレオチド及び希釈剤を含む組成物を表面に適用
することを含む方法。
【0343】
[53] ポリリボヌクレオチドを上皮細胞に送達する方法であって、いずれの担体も
含まない希釈剤及び修飾されていないポリリボヌクレオチドを含む組成物を上皮細胞に適
用することを含む方法。
【0344】
[54] ポリリボヌクレオチドを対象に送達する方法であって、ポリリボヌクレオチ
ド及びエタノールの混合物を含む組成物を対象の表面領域に局所的に適用することを含み
、エタノールが、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占める方法。
【0345】
[55] ポリリボヌクレオチドを対象に送達する方法であって、ポリリボヌクレオチ
ド及びアルコールの混合物を含む組成物を対象の表面領域に局所的に適用することを含み
、アルコールが、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占める方法。
【0346】
[56] ポリリボヌクレオチドを対象に送達する方法であって、ポリリボヌクレオチ
ド及び細胞透過剤の混合物を含む組成物を対象の表面領域に局所的に適用することを含み
、細胞透過剤が、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占める方法。
【0347】
[57] 組成物が、ポリリボヌクレオチドを対象の真皮又は上皮組織に送達する、段
落[53]~[56]のいずれか1つの方法。
【0348】
[58] 組成物が、ポリリボヌクレオチドを対象の真皮又は上皮組織にイオン泳動を
伴わずに送達する、段落[58]の方法。
【0349】
[59] ポリリボヌクレオチドを細胞又は組織に送達する方法であって、細胞又は組
織を、ポリリボヌクレオチド及びアルコールを含む混合物に接触させることを含み、細胞
透過剤又はアルコールが、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占め
る方法。
【0350】
[60] 治療用組成物を細胞又は組織に送達する方法であって、細胞又は組織を、ポ
リリボヌクレオチド及びアルコールを含む治療用組成物に接触させることを含み、細胞透
過剤又はアルコールが、局所投与のために構成される方法。
【0351】
[61] ポリリボヌクレオチドのインビボ送達の方法であって、ポリリボヌクレオチ
ド及びアルコールを含む混合物を、対象の表面領域に適用することを含む方法。
【0352】
[62] ポリリボヌクレオチドを対象に送達する方法であって、ポリリボヌクレオチ
ド及びアルコールを含む混合物を、対象の表面領域に適用することを含む方法。
【0353】
[63] 治療用ポリリボヌクレオチドを対象に送達する方法であって、治療用ポリリ
ボヌクレオチド及びアルコールを含む混合物を上皮表面、内皮表面、露出された組織、又
は開放創に局所的に接触させることを含む方法。
【0354】
[64] 治療の方法であって、ポリリボヌクレオチド及びアルコールを含む混合物を
、病態又は疾患を有する対象の表面領域に適用することを含む方法。
【0355】
[65] ポリリボヌクレオチドを細胞又は組織に送達する方法であって、細胞又は組
織を、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含む混合物に接触させることを含み、細胞
透過剤又はアルコールが、混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占め
る方法。
【0356】
[66] 治療用組成物を細胞又は組織に送達する方法であって、細胞又は組織を、ポ
リリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含む治療用組成物に接触させることを含み、細胞透
過剤又はアルコールが、局所投与のために構成される方法。
【0357】
[67] ポリリボヌクレオチドのインビボ送達の方法であって、ポリリボヌクレオチ
ド及び細胞透過剤を含む混合物を、対象の表面領域に適用することを含む方法。
【0358】
[68] ポリリボヌクレオチドを対象に送達する方法であって、ポリリボヌクレオチ
ド及び細胞透過剤を含む混合物を、対象の表面領域に適用することを含む方法。
【0359】
[69] 治療用ポリリボヌクレオチドを対象に送達する方法であって、治療用ポリリ
ボヌクレオチド及び細胞透過剤を含む混合物を上皮表面、内皮表面、露出された組織、又
は開放創に局所的に接触させることを含む方法。
【0360】
[70] 治療の方法であって、ポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含む混合物を
、病態又は疾患を有する対象の表面領域に適用することを含む方法。
【0361】
[71] 創傷を治療する方法であって、創傷又は創傷の周囲の組織を、ポリリボヌク
レオチド及びエタノールの混合物を含む組成物に接触させることを含み、エタノールが、
混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占める方法。
【0362】
[72] 創傷を治療する方法であって、創傷又は創傷の周囲の組織を、ポリリボヌク
レオチド及びエタノールの混合物を含む組成物に接触させることを含み、アルコールが、
混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占める方法。
【0363】
[73] 創傷を治療する方法であって、創傷又は創傷の周囲の組織を、ポリリボヌク
レオチド及びエタノールの混合物を含む組成物に接触させることを含み、細胞透過剤が、
混合物の少なくとも約0.3%v/v~約75%v/vを占める方法。
【0364】
[74] 細胞透過剤が、アルコールを含む、段落[65]~[70]又は[73]の
いずれか1つの方法。
【0365】
[75] アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、
ペンタノール、セチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、変性ア
ルコール、ベンジルアルコール、特別変性アルコール、グリコール、ステアリルアルコー
ル、セテアリルアルコール、メントール、ポリエチレングリコール(PEG)-400、
エトキシ化脂肪酸、及びヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される、段落[
51]~[65]又は[74]のいずれか1つの方法。
【0366】
[76] アルコールが、エタノールを含む、段落[51]~[65]、[74]、又
は[75]の方法。
【0367】
[77] エタノール、アルコール、又は細胞透過剤が、混合物の少なくとも約0.3
%v/v~約70%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約60%v/v、少なくとも
約0.3%v/v~約50%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約40%v/v、少
なくとも約30%v/v~約20%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約15%v/
v、少なくとも約0.3%v/v~約10%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約5
%v/v、少なくとも約0.3%v/v~約1%v/v、又は少なくとも約0.3%v/
v~約0.5%v/vを占める、段落[59]~[76]のいずれか1つの方法。
【0368】
[78] エタノール、アルコール、又は細胞透過剤が、混合物の少なくとも約0.5
%v/v~約75%v/v、少なくとも約1%v/v~約75%v/v、少なくとも約5
%v/v~約75%v/v、少なくとも約10%v/v~約75%v/v、少なくとも約
15%v/v~約75%v/v、少なくとも約20%v/v~約75%v/v、少なくと
も約30%v/v~約75%v/v、少なくとも約40%v/v~約75%v/v、少な
くとも約50%v/v~約75%v/v、少なくとも約60%v/v~約75%v/v、
又は少なくとも約70%v/v~約75%v/vを占める、段落[59]~[76]のい
ずれか1つの方法。
【0369】
[79] ポリリボヌクレオチドを細胞透過剤と混合することをさらに含む、段落[6
5]~[78]のいずれか1つの方法。
【0370】
[80] ポリリボヌクレオチドをアルコールと混合することをさらに含む、段落[5
9]~[64]又は[71]~[78]のいずれか1つの方法。
【0371】
[81] ポリリボヌクレオチドが、混合の前に固体形態で存在する、段落[79]又
は[80]の方法。
【0372】
[82] ポリリボヌクレオチドが、混合の前に凍結乾燥される、段落78の方法。
【0373】
[83] ポリリボヌクレオチドが、混合の前に液体形態で存在する、段落[79]又
は[80]の方法。
【0374】
[84] ポリリボヌクレオチドが、混合の前に溶媒中で溶解される、段落[79]又
は[80]の方法。
【0375】
[85] ポリリボヌクレオチドが、ペイロード又はペイロードをコードする配列を含
み、且つペイロードが、細胞又は組織に対する生物学的効果を有する、段落[50]~[
84]のいずれか1つの方法。
【0376】
[86] ポリリボヌクレオチドが、細胞に対する生物学的効果を有するのに有効な量
で存在し、且つ細胞透過剤が、細胞又は組織に対する生物学的効果を有するのに有効な量
で存在する、段落[50]~[85]のいずれか1つの方法。
【0377】
[87] ポリリボヌクレオチドが、タンパク質をコードする、段落[50]~[86
]のいずれか1つの方法。
【0378】
[88] タンパク質が、治療用タンパク質である、段落[87]の方法。
【0379】
[89] タンパク質が、創傷治癒タンパク質である、段落[87]又は[88]の方
法。
【0380】
[90] 創傷治癒タンパク質が、増殖因子である、段落[89]の方法。
【0381】
[91] 増殖因子が、EGF、PDGF、TGFβ、又はVEGFである、段落[9
0]の方法。
【0382】
[92] 組成物が、液体、ゲル、ローション、ペースト、クリーム、泡、又は粘着物
質である、段落[50]~[91]のいずれか1つの方法。
【0383】
[93] ポリリボヌクレオチドが、直鎖状ポリリボヌクレオチドである、段落[50
]~[92]のいずれか1つの方法。
【0384】
[94] ポリリボヌクレオチドが、mRNAである、段落[50]~[93]のいず
れか1つの方法。
【0385】
[95] ポリリボヌクレオチドが、キャップ又はポリAテールを欠く、段落[50]
~[94]のいずれか1つの方法。
【0386】
[96] ポリリボヌクレオチドが、環状ポリリボヌクレオチドである、段落[50]
~[92]のいずれか1つの方法。
【0387】
[97] ポリリボヌクレオチドが、修飾リボヌクレオチドを含む、段落[50]~[
96]のいずれか1つの方法。
【0388】
[98] 組成物が、約7のpHを有する、段落[50]~[97]のいずれか1つの
方法。
【0389】
[99] 組成物が、水とほぼ同じである粘度を有する、段落[50]~[98]のい
ずれか1つの方法。
【0390】
[100] 組成物が、疎水性又は親油性基を実質的に含まない、段落[50]~[9
9]のいずれか1つの方法。
【0391】
[101] 組成物が、炭化水素を実質的に含まない、段落[50]~[100]のい
ずれか1つの方法。
【0392】
[102] 組成物が、カチオン性リポソームを実質的に含まない、段落[50]~[
101]のいずれか1つの方法。
【0393】
[103] 組成物が、脂肪酸、脂質、リポソーム、コレステロール、又はその任意の
組合せを実質的に含まない、段落[50]~[102]のいずれか1つの方法。
【0394】
[104] 細胞透過剤が、極性溶媒に可溶性である、段落[59]~[103]のい
ずれか1つの方法。
【0395】
[105] 細胞透過剤が、極性溶媒に不溶性である、段落[59]~87のいずれか
1つの方法。
【0396】
[106] 組成物がさらに、薬学的に許容される賦形剤を含む、段落[50]~[1
05]のいずれか1つの方法。
【0397】
[107] 送達が、全身性である、段落[50]~[106]のいずれか1つの方法
【0398】
[108] 送達が、局所的である、段落[50]~[106]のいずれか1つの方法
【0399】
[109] 表面領域が、皮膚、口腔、鼻腔、耳腔、胃腸管、気道、膣、子宮頸部、子
宮内、尿路、及び眼の表面領域からなる群から選択される、段落[50]~[108]の
いずれか1つの方法。
【0400】
[110] 適用が、混合物の液滴を表面領域に直接的に置くことを含む、段落[50
]~[58]、[61]、[62]、又は[71]~[109]のいずれか1つの方法。
【0401】
[111] 適用が、表面領域を、混合物が包埋されたパッチ、ゲル、又はフィルムに
より拭くことを含む、段落[50]~[58]、[61]、[62]、又は[71]~[
109]のいずれか1つの方法。
【0402】
[112] 適用が、混合物を表面領域に噴霧することを含む、段落[50]~[58
]、[61]、[62]、又は[71]~[109]のいずれか1つの方法。
【0403】
[113] 適用が、混合物をエアロゾル化により対象に投与することを含む、段落[
50]~[58]、[61]、[62]、又は[71]~[109]のいずれか1つの方
法。
【0404】
[114] 適用が、混合物を坐剤により対象に投与することを含む、段落[50]~
[58]、[61]、[62]、又は[71]~[109]のいずれか1つの方法。
【0405】
[115] 適用が、混合物を、混合物を含有するカプセルの経口摂取を介して対象に
投与することを含み、カプセルが、混合物を対象の胃腸管内部に放出するように構成され
る、段落[50]~[58]、[61]、[62]、又は[71]~[109]のいずれ
か1つの方法。
【0406】
[116] 細胞が、上皮細胞を含む、段落[59]、[60]、[65]、[66]
、又は[71]~[115]のいずれか1つの方法。
【0407】
[117] 環状ポリリボヌクレオチドが、直鎖状対応物より少なくとも5%、少なく
とも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40
%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少な
くとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも2倍、少なくとも
3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも
8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍、又は
少なくとも100倍高い翻訳効率を有する、段落[96]~[116]のいずれか1つの
方法。
【0408】
[118] 環状ポリリボヌクレオチドが、直鎖状対応物より少なくとも5倍高い翻訳
効率を有する、段落[96]~[117]のいずれか1つの方法。
【0409】
[119] ポリリボヌクレオチドが、短期間の生物学的効果を有する、段落[50]
~[118]のいずれか1つの方法。
【0410】
[120] ポリリボヌクレオチドが、長期間の生物学的効果を有する、段落[50]
~[119]のいずれか1つの方法。
【0411】
[121] 混合物中のポリリボヌクレオチドの濃度が、少なくとも約50ng/mL
、少なくとも約100ng/mL、少なくとも約500ng/mL、少なくとも約1μg
/mL、少なくとも約2μg/mL、少なくとも約3μg/mL、少なくとも約4μg/
mL、少なくとも約5μg/mL、少なくとも約10μg/mL、少なくとも約20μg
/mL、少なくとも約50μg/mL、少なくとも約100μg/mL、少なくとも約2
00μg/mL、少なくとも約500μg/mL、少なくとも約1mg/mL、少なくと
も約2mg/mL、少なくとも約5mg/mL、少なくとも約10mg/mL、少なくと
も約20mg/mL、少なくとも約50mg/mL、又は少なくとも約100mg/mL
である、段落[50]~[120]のいずれか1つの方法。
【0412】
[122] 適用ツール及び段落[1]~[31]のいずれか1つの医薬組成物を含む
キットであって、適用ツールが、医薬組成物を対象の表面領域に適用するように構成され
るキット。
【0413】
[123] 第1の適用ツール、第2の適用ツール、殺菌剤、及びいずれの担体も含ま
ないポリリボヌクレオチド及び希釈剤を含む組成物を含むキットであって、第1の適用ツ
ールが、殺菌剤を対象の表面領域に適用するように構成され、且つ第2の適用ツールが、
組成物を対象の表面領域に適用するように構成されるキット。
【0414】
[124] 殺菌剤が、アルコール、UV光、レーザー光、又は熱である、段落[12
3]のキット。
【0415】
[125] アルコールが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール
、ペンタノール、セチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、変性
アルコール、ベンジルアルコール、特別変性アルコール、グリコール、ステアリルアルコ
ール、セテアリルアルコール、メントール、ポリエチレングリコール(PEG)-400
、エトキシ化脂肪酸、及びヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される、段落
[124]のキット。
【0416】
[126] 第1の適用ツールが、ワイプである、段落[123]~[125]のいず
れか1つのキット。
【0417】
[127] ワイプが、殺菌剤を含む、段落[126]のキット。
【0418】
[128] 第1の適用ツールが、UV光又はレーザー光を適用するデバイスである、
段落[123]又は[124]のキット。
【0419】
[129] 第1の適用ツールが、熱を適用するデバイスである、段落[123]又は
[124]のキット。
【0420】
[130] 適用ツール並びにポリリボヌクレオチド及び細胞透過剤を含む混合物を含
むキットであって、その適用ツールが、混合物を対象の表面領域に適用するように構成さ
れるキット。
【0421】
[131] その適用ツール又は第2の適用ツールが、ピペットを含む、段落[122
]~[130]のいずれか1つのキット。
【0422】
[132] その適用ツール又は第2の適用ツールが、基材を含み、基材は、混合物が
包埋される、段落[122]~[130]のいずれか1つのキット。
【0423】
[133] 基材が、天然又は人工繊維で作られる、段落[132]のキット。
【0424】
[134] キットが、坐剤を含む、段落[132]のキット。
【0425】
[135] その適用ツール又は第2の適用ツールが、パッチを含む、段落[122]
~[134]のいずれか1つのキット。
【0426】
[136] その適用ツール又は第2の適用ツールが、噴霧器を含む、段落[122]
~[134]のいずれか1つのキット。
【0427】
[137] その適用ツール又は第2の適用ツールが、ネブライザーを含む、段落[1
22]~[134]のいずれか1つのキット。
【0428】
[138] その適用ツール又は第2の適用ツールが、混合物を対象の胃腸管内部に放
出するように構成されるカプセルを含む、段落[122]~[134]のいずれか1つの
キット。
【0429】
[139] その適用ツール又は第2の適用ツールが、制御された様式で混合物を放出
するように構成される、段落[122]~[138]のいずれか1つのキット。
【0430】
[140] 表面領域が、皮膚、口腔、鼻腔、胃腸管、及び気道の表面領域、並びにそ
の任意の組合せからなる群から選択される、段落[122]~[139]のいずれか1つ
のキット。
【0431】
[141] 創傷を治療する方法であって、創傷又は創傷の周囲の組織を、段落[1]
~[31]のいずれか1つを含む組成物に接触させることを含む方法。
【実施例0432】
以下の実施例は、本発明のいくつかの実施形態をさらに説明するために提供されるが、
本発明の範囲を限定することを意図したものではなく;当業者に知られる他の手順、方法
論、又は技術を代替的に使用できることが、それらの例示的な性質によって理解されるこ
とになる。
【0433】
実施例1:局所送達のためのRNAの製剤
この実施例は、局所送達のためのRNAの製剤を示す。
【0434】
RNAの局所的効果を判断するため、RNAを、上皮組織への送達のために製剤化した
【0435】
本明細書に記載されるとおり、RNAは、以下に従って細胞透過剤とともに製剤化され
た。
10ng EGF ORFを含むRNA直鎖状又は環状
5uL 80%エタノール
35uL PBS+グルコース(4.5g/L)。
【0436】
実施例2:直鎖状RNAの局所送達
この実施例は、RNAの局所送達を実証する。
【0437】
局所送達の効果を判断するため、RNAを製剤化し、上皮組織に送達した。本明細書に
記載されるとおり、細胞透過剤とともに製剤化された直鎖状RNAは、耳組織に局所的に
送達された。
【0438】
直鎖状RNAの試料は、実施例1のように製剤化され(50μL)、マウスの耳に適用
された。試料の耳への適用の前に、耳をイソプロピルアルコールワイプで拭いた。試料は
、滅菌されたフード中において耳を赤外線灯及び送風機に短時間曝すことによって乾燥さ
れた。マウスは、標準的な条件下のケージに戻された。
【0439】
選択された時点(適用後6時間、1日、3日、又は12日)で、耳組織(単一の耳パン
チにより)が、各RNA試料のために収集され、組織保管試薬中で保存された(例えば、
凍結されていない試料中で環状RNAを安定化し、保護するために組織に浸透する)。
【0440】
実施例3:環状RNAの局所送達
この実施例は、RNAの局所送達を実証する。
【0441】
局所送達の効果を判断するため、RNAを製剤化し、上皮組織に送達した。本明細書に
記載されるとおり、RNAは、細胞透過剤とともに製剤化され、耳組織に局所的に送達さ
れた。
【0442】
環状RNAの試料は、実施例1のように製剤化され(50μL)、マウスの両耳に適用
された。試料の耳への適用の前に、耳をイソプロピルアルコールワイプで拭いた。試料は
、滅菌されたフード中において耳を赤外線灯及び送風機に短時間曝すことによって耳上で
乾燥された。マウスは、標準的な条件下のケージに戻された。
【0443】
選択された時点(適用後6時間、1日、3日、又は12日)で、耳組織(単一の耳パン
チにより)が、各RNA試料のために収集された。
【0444】
実施例4:局所送達後のRNAの持続性
この実施例は、局所送達後のRNAの持続性を実証する。
【0445】
RNAの持続性を判断するため、組織試料が、送達されたRNAについて分析された。
本明細書に記載されるとおり、耳パンチは、RNAの局所送達後の様々な時点で持続性に
ついて分析された。
【0446】
実施例3からの耳パンチ試料及び未処理の耳パンチ試料は、RNA安定化試薬中に収集
され、RNAは、標準的なRNA組織抽出キット(Maxwell RSC simpl
y RNA)を使用して抽出された。
【0447】
200μlの体積の1-チオグリセロール/均質化溶液が、各試料に加えられた。標準
溶液は、1ミリリットルの均質化溶液当たり20μlの1-チオグリセロールを加えるこ
とによって調製された。或いは、600μlの1-チオグリセロールが、30mlのビン
の均質化溶液に加えられた。使用前に、1-チオグリセロール/均質化溶液が、氷上又は
2~10℃で冷却された。
【0448】
組織試料は、組織断片が見えなくなるまで、200μlの冷却された1-チオグリセロ
ール/均質化溶液中で手持ち式ホモジナイザー及び無菌の乳棒によりホモジナイズされた
。各試料は、完全な均質化のためにさらに15~30秒間ホモジナイズされた。
【0449】
異なる時点でのRNAの存在について調べるため、試料は、q-PCRを介してRNA
について調べられた。qPCRは、耳パンチ中の直鎖状及び環状RNAの両方の存在を測
定するために使用された。直鎖状及び環状RNAを検出するため、Nluc ORFを増
幅したプライマーが使用された。(F:AGATTTCGTTGGGGACTGGC(配
列番号7)、R:CACCGCTCAGGACAATCCTT(配列番号8))。環状R
NAのみを検出するため、5’~3’接合部を増幅したプライマーが、直鎖状ではない環
状RNAコンストラクトの検出を可能にした(F:CTGGAGACGTGGAGGAG
AAC(配列番号9)、R:CCAAAAGACGGCAATATGGT(配列番号10
))。
【0450】
直鎖状及び環状RNAは、局所送達後の6時間目、24時間目、及び72時間目に検出
された。直鎖状RNAと比較してより高いレベルの環状RNAが、注射後3日目のマウス
の耳において検出された(図1)。
【0451】
この実施例において示されるとおり、局所的に投与された直鎖状及び環状RNAは、イ
ンビボで検出可能であった。
【0452】
実施例5:局所送達後のmRNAのタンパク質発現
この実施例は、局所送達後のタンパク質の存在を記載する。
【0453】
局所送達されたRNAが翻訳され得るかどうかを判断するため、組織試料は、ウエスタ
ンブロットによって異なる時点でタンパク質発現について分析される。耳パンチは、RN
Aの局所送達後にタンパク質発現について分析される。
【0454】
要するに、耳パンチは、収集され、RNA安定化試薬(Invitrogen)中に保
存される。組織は、RIPA緩衝液中においてマイクロチューブホモジナイザー(Fis
her scientific)でホモジナイズされ、タンパク質が抽出される。各試料
は、14×gで15分間遠心分離される。
【0455】
上清が取り除かれ、ペレットは、2×SDS試料緩衝液(0.125M Tris-H
Cl、pH6.8、4% SDS、30%グリセロール、5% 2-メルカプトエタノー
ル、0.01%ブロモフェノールブルー)中において70℃で15分間溶解される。
【0456】
市販の標準物質(BioRad)が、サイズマーカーとして使用される。セミドライ法
を使用してポリビニリデンフルオリド(PVDF)膜(Millipore)に電気泳動
で転写させた後、ブロットは、化学発光キット(Rockland)を使用して可視化さ
れる。
【0457】
GFPタンパク質は、耳パンチ試料中で可視化され、環状RNA及び直鎖状RNAにお
いて検出されることが予想される。
【0458】
実施例6:RNAの局所投与は、エタノールがRNA溶液中に含まれるときに組織へのR
NA送達をもたらす
この実施例は、エタノールがRNA溶液中に含まれるときにインビボでの局所投与を介
して細胞及び組織にRNAを送達する能力を実証する。
【0459】
この実施例において、環状RNAは、EMCV IRES及びナノルシフェラーゼ(N
Luc)をコードするORFとともに設計された。
【0460】
環状RNAは、インビトロで生成された。未修飾の直鎖状RNAは、DNA鋳型からイ
ンビトロで転写された。転写されたRNAは、製造業者の指示書に従ってRNA精製キッ
ト(New England Biolabs、T2050)で精製され、RNA 5’
ホスホヒドロラーゼ(RppH)(New England Biolabs、M035
6)で処理され、RNA精製カラムで再び精製された。RppH処理された直鎖状RNA
は、スプリントDNA及びT4 RNAリガーゼ2(New England Biol
abs、M0239)を使用して環状化した。次に、環状RNAは、尿素-PAGEで精
製され、緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1% SDS、1mM EDTA)中で
溶出され、エタノール沈殿され、RNA保管溶液(ThermoFisher Scie
ntific、cat# AM7000)中で再懸濁された。この実施例において、環状
RNAもまた、HPLC精製された。
【0461】
この実施例において、直鎖状mRNAは、ナノルシフェラーゼ(NLuc)をコードす
るORFとともに設計された。この実施例において、修飾された直鎖状mRNAは、イン
ビトロ転写によって社内で作製された。この実施例において、直鎖状RNAは、プソイド
-ウリジン及び5-メチル-Cで完全に置換され、CleanCap(商標)AGでキャ
ップされ、5’及び3’ヒトアルファ-グロビンUTRが含まれ、ポリアデニル化される
【0462】
次に、RNAは、PBS/グルコース(4.5g/L)及びエタノール(10%v/v
)中で希釈され、その結果、各試料についての全体の試料体積は、50uLであり、各試
料についての全RNAは、3.5pモルであった。全ての試薬は、混合の前に室温にされ
、混合物は、使用の直前に調製される。
【0463】
時点=0で、50μL用量の各試料が、ピペットチップを使用してBALB/cマウス
の耳に滴下して局所的に適用された。陰性対照として、未処理のマウスが使用された。試
料は、滅菌されたフード中において耳を赤外線灯及び送風機に短時間曝すことによって乾
燥された。マウスは、標準的な条件下のケージに戻された。
【0464】
組織中のRNAの持続性を判断するため、組織試料は、RT-qPCRを使用して送達
後の様々な時点でRNAについて分析された。投与後の6時間目、1、3、12日目に、
2mmの耳パンチが各動物から採取され、RNAlater溶液(ThermoFish
er Scientific、cat# AM7020)中で保存された。全RNAが、
トリゾール抽出を使用して耳パンチから単離された。水相は、イソプロパノールで沈殿さ
れ、ペレットは、製造業者の指示書に従って70% ETOHで洗浄された。cDNAは
、全RNAから合成され、RT-PCRは、NLuc ORFに特異的なプライマーを使
用してcDNA鋳型上で実施された。全ての試料は、Bio-rad CFX384サー
マルサイクラー上において三つ組でアッセイされた。次に、RNAレベルは、アクチン及
び未処理の陰性対照に対して相対化された。
【0465】
環状RNA及び直鎖状RNAは、局所投与後の6時間目並びに1、3及び12日目に組
織試料中で検出され、溶媒のみの対照より大きいシグナルを示した(図2A及び図2B
【0466】
この実施例は、環状RNA及び直鎖状RNAが、エタノールとともに送達されるときに
組織への局所投与を介して順調に送達され、長期間にわたって組織中で持続することを実
証する。
【0467】
実施例7:RNAの局所投与は、TransITで製剤化されるときに組織へのRNA送
達をもたらす
この実施例は、TransITを使用してRNA溶液を製剤化するときにインビボでの
局所投与を介して細胞及び組織にRNAを送達する能力を実証する。
【0468】
この実施例において、環状RNAは、EMCV IRES及びナノルシフェラーゼ(N
Luc)をコードするORFとともに設計された。
【0469】
環状RNAは、インビトロで生成された。未修飾の直鎖状RNAは、DNA鋳型からイ
ンビトロで転写された。転写されたRNAは、製造業者の指示書に従ってRNA精製キッ
ト(New England Biolabs、T2050)で精製され、RNA 5’
ホスホヒドロラーゼ(RppH)(New England Biolabs、M035
6)で処理され、RNA精製カラムで再び精製された。RppH処理された直鎖状RNA
は、スプリントDNA及びT4 RNAリガーゼ2(New England Biol
abs、M0239)を使用して環状化した。次に、環状RNAは、尿素-PAGEで精
製され、緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1% SDS、1mM EDTA)中で
溶出され、エタノール沈殿され、RNA保管溶液(ThermoFisher Scie
ntific、cat# AM7000)中で再懸濁された。この実施例において、環状
RNAもまた、HPLC精製された。
【0470】
この実施例において、直鎖状mRNAは、ナノルシフェラーゼ(NLuc)をコードす
るORFとともに設計された。この実施例において、修飾された直鎖状mRNAは、イン
ビトロ転写によって社内で作製された。この実施例において、直鎖状RNAは、プソイド
-ウリジン及び5-メチル-Cで完全に置換され、CleanCap(商標)AGでキャ
ップされ、5’及び3’ヒトアルファ-グロビンUTRが含まれ、ポリアデニル化される
【0471】
RNAは、PBS/グルコース(4.5g/L)中で希釈されて、10uLの溶液中で
3.5pモルになった。次に、RNA溶液が、TransIT(Mirus Bio、M
IR5700)(10uL)、Boost(Mirus Bio、MIR5700)(5
uL)、及びPBS/グルコース(4.5g/L)(25uL)に加えられた。各試料に
ついての全体の試料体積は、50uLであり、各試料についての全RNAは、3.5pモ
ルであった。全ての試薬は、混合の前に室温にされ、混合物は、使用の直前に調製される
【0472】
時点=0で、50μL用量の各試料が、ピペットチップを使用してBALB/cマウス
の耳に滴下して局所的に適用された。陰性対照として、未処理のマウスが使用された。試
料は、滅菌されたフード中において耳を赤外線灯及び送風機に短時間曝すことによって乾
燥された。マウスは、標準的な条件下のケージに戻された。
【0473】
組織中のRNAの持続性を判断するため、組織試料は、RT-qPCRを使用して送達
後の様々な時点でRNAについて分析された。投与後の6時間目、1、3、12日目に、
2mmの耳パンチが各動物から採取され、RNAlater溶液(ThermoFish
er Scientific、cat# AM7020)中で保存された。全RNAが、
トリゾール抽出を使用して耳パンチから単離された。水相は、イソプロパノールで沈殿さ
れ、ペレットは、製造業者の指示書に従って70% ETOHで洗浄された。cDNAは
、全RNAから合成され、RT-PCRは、NLuc ORFに特異的なプライマーを使
用してcDNA鋳型上で実施された。全ての試料は、Bio-rad CFX384サー
マルサイクラー上において三つ組でアッセイされた。次に、RNAレベルは、アクチン及
び未処理の陰性対照に対して相対化された。
【0474】
環状RNA及び直鎖状RNAは、局所投与後の6時間目、1、3及び12日目に組織試
料中で検出され、溶媒のみの対照より大きいシグナルを示した(図3A及び図3B)。
【0475】
この実施例は、環状RNA及び直鎖状RNAが、TransITとともに送達されると
きに組織への局所投与を介して順調に送達され、長期間にわたって組織中で持続すること
を実証する。
【0476】
実施例8:インビボでのジメチルスルホキシド(DMSO)ゲルで製剤化された修飾され
た直鎖状RNAの局所投与
この実施例は、DMSOゲルで製剤化されるときに局所投与によってインビボで直鎖状
RNAを送達する能力を実証する。
【0477】
この実施例に関して、RNAは、ガウシアルシフェラーゼ(GLuc)をコードするO
RFを含んだ。
【0478】
この実施例において、修飾された直鎖状RNAは、注文してTrilink Biot
echnologiesによって合成され、上に列挙される全てのモチーフを含んだ。こ
の実施例において、RNAは、プソイド-ウリジン及び5-メチル-Cで完全に置換され
、CleanCap(商標)AGでキャップされ、ポリアデニル化(120A)される。
DMSO Medi Gel(21st Century Chemical Inc.
)は、市販されている。
【0479】
RNAは、RNA保管溶液中で1pモル/μLの濃度に希釈された。5pモルのRNA
は、適用当たり25μLの総量のために19μLのDMSO Medi Gel(21
Century Chemical Inc.)及び1μLのRnasin Plu
s RNase阻害剤(Promega)と合わせられた。RNAを含まない製剤が、対
照として使用された。
【0480】
時点=0で、25μL用量の各試料が、ピペットチップを使用してマウスの耳に局所的
に適用された。試料は、滅菌されたフード中において耳を赤外線灯及び送風機に短時間曝
すことによって乾燥された。マウスは、標準的な条件下のケージに戻された。
【0481】
組織中のRNA発現を判断するため、組織試料は、局所送達後の様々な時点でRNA発
現について分析された。耳パンチは、送達後24及び48時間目にマウスから採取された
。組織試料は、氷上で1×ルシフェラーゼ細胞溶解緩衝液(Thermo Scient
ific)中において30分間置かれ、続いて凍結された。
【0482】
ガウシアルシフェラーゼの活性は、ガウシアルシフェラーゼ活性アッセイ(Therm
o Scientific Pierce)を使用して試験された。試料を解凍し、短時
間回転させて、組織細片を除去した。20μLの緩衝溶液が、96ウェルプレート(Co
rning 3990)に加えられた。要するに、1×セレンテラジン基質が、各ウェル
に加えられた。プレートは、基質添加及びルミノメーター機器(Promega)中での
混合の直後に読み取られた。
【0483】
ガウシアルシフェラーゼ活性は、局所適用後の24及び48時間目に組織試料中で検出
され、溶媒のみの対照より高く観察された(図4)。
【0484】
この実施例は、直鎖状RNAが、DMSO Medi Gel(21st Centu
ry Chemical Inc.)で製剤化されるときに局所投与を介して順調に送達
され、長期間組織中で検出可能な機能性タンパク質を発現することができたことを実証し
た。
【0485】
実施例9:インビボでのクリーム系軟膏剤で製剤化された修飾された直鎖状RNAの局所
投与
この実施例は、クリーム系軟膏剤、Johnson&Johnsonのベビーローショ
ンで製剤化されるときに局所投与によってインビボで直鎖状RNAを送達する能力を実証
する。
【0486】
この実施例に関して、RNAは、ガウシアルシフェラーゼ(GLuc)をコードするO
RFを含んだ。
【0487】
この実施例において、修飾された直鎖状RNAは、注文してTrilink Biot
echnologiesによって合成され、上に列挙される全てのモチーフを含んだ。こ
の実施例において、RNAは、プソイド-ウリジン及び5-メチル-Cで完全に置換され
、CleanCap(商標)AGでキャップされ、ポリアデニル化(120A)される。
ベビーローション(Johnson&Johnson)は、市販されていた。
【0488】
RNAは、1pモル/μLの濃度に希釈された。5pモルのRNAは、適用当たり25
μLの総量のために19μLのJohnsonのベビーローション(芳香なし;John
son & Johnson)及び1μLのRnasin Plus RNase阻害剤
(Promega)と合わせられた。RNAを含まない製剤が、対照として使用された。
【0489】
時点=0で、25μL用量の各試料が、ピペットチップを使用してマウスの耳に局所的
に適用された。試料は、滅菌されたフード中において耳を赤外線灯及び送風機に短時間曝
すことによって乾燥された。マウスは、標準的な条件下のケージに戻された。
【0490】
組織中のRNA発現を判断するため、組織試料は、局所送達後の様々な時点でRNA発
現について分析された。耳パンチは、送達後24及び48時間目にマウスから採取された
。組織試料は、氷上で1×ルシフェラーゼ細胞溶解緩衝液(Thermo Scient
ific)中において30分間置かれ、続いて凍結された。
【0491】
ガウシアルシフェラーゼの活性は、ガウシアルシフェラーゼ活性アッセイ(Therm
o Scientific Pierce)を使用して試験された。試料を解凍し、短時
間回転させて、組織細片を除去した。20μLの緩衝溶液が、96ウェルプレート(Co
rning 3990)に加えられた。要するに、1×セレンテラジン基質が、各ウェル
に加えられた。プレートは、基質添加及びルミノメーター機器(Promega)中での
混合の直後に読み取られた。
【0492】
ガウシアルシフェラーゼ活性は、局所適用後の24及び48時間目に組織試料中で検出
され、溶媒のみの対照より高く観察された(図5)。
【0493】
この実施例は、直鎖状RNAが、クリーム系軟膏剤で製剤化されるときに局所投与を介
して順調に送達され、長期間組織中で検出可能な機能性タンパク質を発現することができ
たことを実証した。
【0494】
実施例10:インビボでのエタノールを使用した修飾された直鎖状RNAの局所投与
この実施例は、エタノールを使用して局所投与によってインビボで直鎖状RNAを送達
する能力を実証する。
【0495】
この実施例に関して、RNAは、ガウシアルシフェラーゼ(GLuc)をコードするO
RFを含んだ。
【0496】
この実施例において、修飾された直鎖状RNAは、注文してTrilink Biot
echnologiesによって合成され、上に列挙される全てのモチーフを含んだ。こ
の実施例において、RNAは、プソイド-ウリジン及び5-メチル-Cで完全に置換され
、CleanCap(商標)AGでキャップされ、ポリアデニル化(120A)される。
エタノール(Sigma Aldrich)は、市販されていた。
【0497】
RNAは、RNA保管溶液で1pモル/μLの濃度に希釈された。5pモルのRNAは
、適用当たり25μLの総量のために19μLのエタノール及び1μLのRnasin
Plus RNase阻害剤(Promega)と合わせられた。溶媒のみの対照が同様
に調製されたが、RNAは含有しなかった。
【0498】
時点=0で、25μL用量の各試料が、ピペットチップを使用してマウスの耳に局所的
に適用された。試料は、滅菌されたフード中において耳を赤外線灯及び送風機に短時間曝
すことによって乾燥された。マウスは、標準的な条件下のケージに戻された。
【0499】
組織中のRNA発現を判断するため、組織試料は、局所送達後の様々な時点でRNA発
現について分析された。耳パンチは、送達後24及び48時間目にマウスから採取された
。組織試料は、氷上で1×ルシフェラーゼ細胞溶解緩衝液(Thermo Scient
ific)中において30分間置かれ、続いて凍結された。
【0500】
ガウシアルシフェラーゼの活性は、ガウシアルシフェラーゼ活性アッセイ(Therm
o Scientific Pierce)を使用して試験された。試料を解凍し、短時
間回転させて、組織細片を除去した。20μLの緩衝溶液が、96ウェルプレート(Co
rning 3990)に加えられた。要するに、1×セレンテラジン基質が、各ウェル
に加えられた。プレートは、基質添加及びルミノメーター機器(Promega)中での
混合の直後に読み取られた。
【0501】
ガウシアルシフェラーゼ活性は、局所適用後の24及び48時間目に組織試料中で検出
され、溶媒のみの対照より高く観察された(図6)。
【0502】
この実施例は、直鎖状RNAが、エタノールを伴う局所投与を介して順調に送達され、
長期間組織中で検出可能な機能性タンパク質を発現することができたことを実証した。
【0503】
実施例11:環状RNAの局所投与は、組織へのRNA送達をもたらす
この実施例は、インビボでの局所投与を介して環状RNAを細胞及び組織に送達する能
力を実証する。
【0504】
この実施例において、環状RNAは、エリスロポエチンタンパク質(EPO)をコード
するORFとともに設計された。
【0505】
環状RNAは、インビトロで生成された。直鎖状RNAは、上で列挙される全てのモチ
ーフ、及び転写を駆動するT7 RNAポリメラーゼプロモーターを含むDNA鋳型から
インビトロで転写された。この実施例において、Cy5-UTPを使用して、Cy5-標
識RNAを生成した。転写されたRNAは、製造業者の指示書に従ってRNA精製キット
(New England Biolabs、T2050)で精製され、RNA 5’ホ
スホヒドロラーゼ(RppH)(New England Biolabs、M0356
)で処理され、RNA精製カラムで再び精製された。RppH処理された直鎖状RNAは
、スプリントDNA及びT4 RNAリガーゼ2(New England Biola
bs、M0239)を使用して環状化された。環状RNAは、尿素-PAGEで精製され
、緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1% SDS、1mM EDTA)中で溶出さ
れ、エタノール沈殿され、RNA保管溶液(ThermoFisher Scienti
fic、cat# AM7000)中で再懸濁された。
【0506】
環状RNAは、5%エタノールを含むPBS/グルコース(4.5g/L)中で希釈さ
れ、その結果、各試料についての全体の試料体積は、25uLであり、各試料についての
全RNAは、12ピコモルであった。全ての試薬は、混合の前に室温にされ、混合物は、
使用の直前に調製された。
【0507】
時点=0で、マウスの耳は、イソプロピルアルコールワイプで拭かれ、乾燥され、25
μL用量の各試料が、ピペットチップを使用してBALB/cマウスの耳に滴下して局所
的に適用された。試料は、滅菌されたフード中において耳を赤外線灯及び送風機に短時間
曝すことによって乾燥された。マウスは、標準的な条件下のケージに戻された。
【0508】
組織への環状RNA送達を判断するため、組織試料は、投与後の様々な時点で蛍光顕微
鏡により分析された。投与後の6時間目、1日目、及び3日目に、2mmの耳パンチが各
動物から採取され、氷冷PBS中で保存された。次に、組織試料は、EVOS II蛍光
顕微鏡の下で観察された。次に、画像は、ImageJを使用して蛍光について定量化さ
れた。
【0509】
Cy5シグナルは、局所投与後の6時間目、1及び3日目に組織試料中で検出され、い
ずれの蛍光も示さなかった陰性対照より大きいシグナルを示した(図7及び図8)。これ
は、環状RNAが組織に順調に送達されることを示す。
【0510】
この実施例は、環状RNAが、皮膚に局所投与を介して順調に送達され、長期間にわた
って組織中で持続することを実証する。
【0511】
実施例12:mRNAの局所投与は、組織へのRNA送達をもたらす
この実施例は、インビボでの局所投与を介してmRNAを細胞及び組織に送達する能力
を実証する。
【0512】
この実施例において、mRNAは、緑色蛍光タンパク質(eGFP)をコードするOR
Fとともに設計された。この実施例において、修飾された直鎖状mRNAは、注文してT
rilink Biotechnologiesによって合成され、上に列挙される全て
のモチーフを含んだ。この実施例において、RNAは、プソイド-ウリジン及び5-メチ
ル-Cで完全に置換され、CleanCap(商標)AGでキャップされ、5’及び3’
ヒトアルファ-グロビンUTRが含まれ、ポリアデニル化される。mRNAは、3’末端
で共有結合されたCy5フルオロフォア標識を含んだ。
【0513】
mRNAは、5%エタノールを含むPBS/グルコース(4.5g/L)中で希釈され
、その結果、各試料についての全体の試料体積は、25uLであり、各試料についての全
RNAは、12ピコモルであった。全ての試薬は、混合の前に室温にされ、混合物は、使
用の直前に調製された。
【0514】
時点=0で、マウスの耳は、イソプロピルアルコールワイプで拭かれ、乾燥され、25
μL用量の各試料が、ピペットチップを使用してBALB/cマウスの耳に滴下して局所
的に適用された。試料は、滅菌されたフード中において耳を赤外線灯及び送風機に短時間
曝すことによって乾燥された。マウスは、標準的な条件下のケージに戻された。
【0515】
組織へのRNA送達を判断するため、組織試料は、投与後の様々な時点で蛍光顕微鏡に
より分析された。投与後の6時間目、1日目、及び3日目に、2mmの耳パンチが各動物
から採取され、氷冷PBS中で保存された。次に、組織試料は、EVOS II蛍光顕微
鏡の下で観察された。次に、画像は、ImageJを使用して蛍光について定量化された
【0516】
Cy5シグナルは、局所投与後の6時間目、1日目、及び3日目に組織試料中で検出さ
れ、いずれの蛍光も示さなかった陰性対照より大きいシグナルを示した(図9及び図10
)。これは、mRNAが組織に順調に送達されることを示す。
【0517】
この実施例は、mRNAが、皮膚に局所投与を介して順調に送達され、長期間にわたっ
て組織中で持続することを実証する。
【0518】
実施例13:未修飾のRNAの鼻粘膜上皮への局所投与は、組織中におけるRNAの持続
性をもたらす
この実施例は、未修飾のRNAを鼻粘膜上皮に局所投与を介して送達し、且つ局所投与
を介して直鎖状及び環状RNAの取込みを達成する能力を記載する。
【0519】
この実施例に関して、IRES、ナノルシフェラーゼ(NLuc)をコードするORF
、及びIRES-ORFに隣接する2つのスペーサーエレメントが、RNAに含まれる。
【0520】
環状RNAは、インビトロで生成される。未修飾の直鎖状RNAは、上で列挙される全
てのモチーフ、及び転写を駆動するT7 RNAポリメラーゼプロモーターを含むDNA
鋳型からインビトロで転写される。転写されたRNAは、製造業者の指示書に従ってRN
A精製キット(New England Biolabs、T2050)で精製され、R
NA 5’ホスホヒドロラーゼ(RppH)(New England Biolabs
、M0356)で処理され、RNA精製カラムで再び精製される。RppH処理された直
鎖状RNAは、スプリントDNA(5’-TTTTTCGGCTATTCCCAATAG
CCGTTTTG-3’(配列番号11))及びT4 RNAリガーゼ2(New En
gland Biolabs、M0239)を使用して環状化される。環状RNAは、尿
素-PAGEで精製され、緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1% SDS、1mM
EDTA)中で溶出され、エタノール沈殿され、RNaA保管溶液(ThermoFi
sher Scientific、cat# AM7000)中で再懸濁される。直鎖状
RNA対応物が生成され、同じNLuc ORF及び上記のコード化成分を含んだ。
【0521】
RNAは、1pモル/uLの濃度に希釈される。クエン酸塩緩衝液中の5pモルのRN
Aが、無菌PBSと合わせられる。適用毎に使用されることになる全試料体積は、20u
Lである。溶媒のみの対照試料は、同様であるがRNAを伴わずに調製される。全ての試
薬は、混合の前に室温にされ、混合物は、使用の直前に調製される。
【0522】
滅菌されたフード中で、マウスは、それらの耳によって吊り下げられた位置に置かれる
。時点=0で、20uL用量の各試料は、マイクロピペットを使用してBALB/cマウ
スの鼻孔に徐々に放出される(各鼻孔において10uL)。口及び他方の鼻孔を、適用中
に閉じて、取込みを確実にした。マウスは、呼吸速度が正常に戻るまで、さらに数分間吊
り下げられた位置で維持される。マウスは、標準的な条件下のケージに戻される。
【0523】
投与後の6、24及び48時間目に、マウスは屠殺され、鼻組織がマウスから採取され
る。各組織試料(約2mg)は、200uLの冷却された1-チオグリセロール/均質化
溶液中に置かれ、組織断片が見えなくなるまで、手持ち式ホモジナイザー及び無菌の乳棒
を使用してホモジナイズされる。各試料は、完全な均質化のためにさらに15~30秒間
ホモジナイズされる。
【0524】
組織中でのRNAの持続性を判断するため、組織試料は、qPCRを使用して送達後の
様々な時点でRNAについて分析される。qPCRを使用して、抽出された組織中の直鎖
状及び環状RNAの両方を測定する。NLuc ORFを増幅するプライマーが使用され
る(F:AGATTTCGTTGGGGACTGGC(配列番号7)、R:CACCGC
TCAGGACAATCCTT(配列番号8))。環状RNAのみを検出するため、5’
~3’接合部を増幅するプライマーが、直鎖状ではない環状RNAコンストラクトの検出
を可能にする(F:CTGGAGACGTGGAGGAGAAC(配列番号9)、R:C
CAAAAGACGGCAATATGGT(配列番号10))。
【0525】
直鎖状及び環状RNAは、直鎖状及び環状RNAの局所投与後の6、24及び48時間
目に鼻組織試料中で検出されることになり、溶媒のみの対照より高い発現を示すことにな
ると予想される。
【0526】
この実施例は、RNAが、鼻側粘膜上皮に局所投与を介して順調に送達され、長期間に
わたって組織中で持続することを記載する。
【0527】
実施例14:組織が適用の前にエタノールワイプで拭かれるとき、mRNAの局所投与が
、組織へのRNA送達をもたらす
この実施例は、インビボでの局所投与を介してmRNAを細胞及び組織に送達する能力
を実証する。
【0528】
この実施例において、mRNAは、ナノルシフェラーゼ(NLuc)をコードするOR
Fとともに設計された。この実施例において、修飾された直鎖状mRNAは、インビトロ
転写によって社内で作製された。この実施例において、RNAは、プソイド-ウリジン及
び5-メチル-Cで完全に置換され、CleanCap(商標)AGでキャップされ、5
’及び3’ヒトアルファ-グロビンUTRが含まれ、ポリアデニル化される。
【0529】
次に、RNAは、PBSのみ、又はPBS及び10%(v/v)エタノール中で希釈さ
れ、その結果、各試料についての全体の試料体積は、35uLであり、各試料についての
全RNAは、20ピコモルであった。陰性対照として、溶媒のみの対照が、上記のとおり
であるがRNAを伴わずに調製された。全ての試薬は、混合の前に室温にされ、混合物は
、使用の直前に調製される。
【0530】
時点=0で、マウスの耳は、70%エタノール中に浸された綿のスワブで拭かれ、乾燥
され、35μL用量の各試料が、ピペットチップを使用してBALB/cマウスの耳に滴
下して局所的に適用された。試料は、滅菌されたフード中において耳を赤外線灯及び送風
機に短時間曝すことによって乾燥された。マウスは、標準的な条件下のケージに戻された
【0531】
組織中のRNAの持続性を判断するため、組織試料は、RT-qPCRを使用して送達
後の様々な時点でRNAについて分析された。投与後の1及び4日目に、2mmの耳パン
チが各動物から採取され、RNAlater溶液(ThermoFisher Scie
ntific、cat# AM7020)中で保存された。全RNAは、急冷し、ガラス
の乳鉢及び乳棒で液体窒素中において組織をホモジナイズした後、トリゾール抽出(Th
ermoFisher Scientific cat# 15596026)によって
耳パンチから単離された。水相は、イソプロパノールで沈殿され、ペレットは、製造業者
の指示書に従って70% ETOHで洗浄された。cDNAは、Superscript
IV(Thermo Scientific、cat# 11766500)を使用し
て全RNAから合成された。RT-PCRは、iTaq(商標)Universal S
YBR(登録商標)Green Supermix(Bio-rad、カタログ# 17
25124)及びNLuc ORF(F:CCGTATGAAGGTCTGAGCGG(
配列番号12)、R:CAGTGTGCCATAGTGCAGGA(配列番号13))に
特異的なプライマーを使用してcDNA鋳型に対して実施された。全ての試料は、Bio
-rad CFX384サーマルサイクラー上において三つ組でアッセイされた。次に、
RNAレベルが、ハウスキーピング遺伝子(28s)に対して相対化された。
【0532】
mRNAは、局所投与後にPBSのみの中におけるmRNAについて1日目、及びPB
S+10% EtOH中におけるmRNAについて1及び4日目に組織試料中で検出され
、陰性対照より大きいシグナルを示した(図11)。
【0533】
この実施例は、mRNAが、皮膚が投与の前にエタノールワイプで拭かれるときに局所
投与を介して順調に送達され、長期間にわたって組織中で持続することを実証する。
【0534】
実施例15:組織が適用の前にイソプロピルアルコールワイプで拭かれるとき、mRNA
の局所投与が、組織へのRNA送達をもたらす
この実施例は、インビボでの局所投与を介してmRNAを細胞及び組織に送達する能力
を実証する。
【0535】
この実施例において、mRNAは、ナノルシフェラーゼ(NLuc)をコードするOR
Fとともに設計された。この実施例において、修飾された直鎖状mRNAは、インビトロ
転写によって社内で作製された。この実施例において、RNAは、プソイド-ウリジン及
び5-メチル-Cで完全に置換され、CleanCap(商標)AGでキャップされ、5
’及び3’ヒトアルファ-グロビンUTRが含まれ、ポリアデニル化される。
【0536】
次に、RNAは、PBSのみの中において希釈され、その結果、各試料についての全体
の試料体積は、35uLであり、各試料についての全RNAは、20ピコモルであった。
陰性対照として、溶媒のみの対照が、上記のとおりであるがRNAを伴わずに調製された
。全ての試薬は、混合の前に室温にされ、混合物は、使用の直前に調製される。
【0537】
時点=0で、マウスの耳は、市販のイソプロピルアルコールワイプ(CVS、2975
84)で拭かれ、乾燥され、35μL用量の各試料が、ピペットチップを使用してBAL
B/cマウスの耳に滴下して局所的に適用された。試料は、滅菌されたフード中において
耳を赤外線灯及び送風機に短時間曝すことによって乾燥された。マウスは、標準的な条件
下のケージに戻された。
【0538】
組織中のRNAの持続性を判断するため、組織試料は、RT-qPCRを使用して送達
後の様々な時点でRNAについて分析された。投与後の1及び4日目に、2mmの耳パン
チが各動物から採取され、RNAlater溶液(ThermoFisher Scie
ntific、cat# AM7020)中で保存された。全RNAは、急冷し、ガラス
の乳鉢及び乳棒で液体窒素中において組織をホモジナイズした後、トリゾール抽出(Th
ermoFisher Scientific cat# 15596026)によって
耳パンチから単離された。水相は、イソプロパノールで沈殿され、ペレットは、製造業者
の指示書に従って70% ETOHで洗浄された。cDNAは、Superscript
IV(Thermo Scientific、cat# 11766500)を使用し
て全RNAから合成された。RT-PCRは、iTaq(商標)Universal S
YBR(登録商標)Green Supermix(Bio-rad、カタログ# 17
25124)及びNLuc ORF(F:CCGTATGAAGGTCTGAGCGG(
配列番号12)、R:CAGTGTGCCATAGTGCAGGA(配列番号13))に
特異的なプライマーを使用してcDNA鋳型に対して実施された。全ての試料は、Bio
-rad CFX384サーマルサイクラー上において三つ組でアッセイされた。次に、
RNAレベルが、ハウスキーピング遺伝子(28s)に対して相対化された。
【0539】
mRNAは、局所投与後の1及び4日目に組織試料中で検出され、陰性対照より大きい
シグナルを示した(図12)。
【0540】
この実施例は、mRNAが、皮膚が投与の前にイソプロピルアルコールワイプで拭かれ
るときに局所投与を介して順調に送達され、長期間にわたって組織中で持続することを実
証する。
【0541】
実施例16:組織が適用の前にエタノールワイプで拭かれるとき、環状RNAの局所投与
が、組織へのRNA送達をもたらす
この実施例は、インビボでの局所投与を介して未修飾の環状RNAを細胞及び組織に送
達する能力を実証する。
【0542】
この実施例において、環状RNAは、IRES及びナノルシフェラーゼ(NLuc)を
コードするORFとともに設計された。
【0543】
環状RNAは、インビトロで生成された。未修飾の直鎖状RNAは、上で列挙される全
てのモチーフ、及び転写を駆動するT7 RNAポリメラーゼプロモーターを含むDNA
鋳型からインビトロで転写された。転写されたRNAは、製造業者の指示書に従ってRN
A精製キット(New England Biolabs、T2050)で精製され、R
NA 5’ホスホヒドロラーゼ(RppH)(New England Biolabs
、M0356)で処理され、RNA精製カラムで再び精製された。RppH処理された直
鎖状RNAは、スプリントDNA(5’-TTTTTCGGCTATTCCCAATAG
CCGTTTTG-3’(配列番号11))及びT4 RNAリガーゼ2(New En
gland Biolabs、M0239)を使用して環状化された。環状RNAは、尿
素-PAGEで精製され、緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1% SDS、1mM
EDTA)中で溶出され、エタノール沈殿され、RNA保管溶液(ThermoFis
her Scientific、cat# AM7000)中で再懸濁された。
【0544】
次に、RNAは、PBSのみ、又は10%(v/v)エタノールを含むPBS中のいず
れかで希釈され、その結果、各試料についての全体の試料体積は、35uLであり、各試
料についての全RNAは、20pモルであった。陰性対照として、溶媒のみの対照が、上
記のとおりであるがRNAを伴わずに調製された。全ての試薬は、混合の前に室温にされ
、混合物は、使用の直前に調製される。
【0545】
時点=0で、マウスの耳は、エタノールワイプで拭かれ、乾燥され、35μL用量の各
試料が、ピペットチップを使用してBALB/cマウスの耳に滴下して局所的に適用され
た。試料は、滅菌されたフード中において耳を赤外線灯及び送風機に短時間曝すことによ
って乾燥された。マウスは、標準的な条件下のケージに戻された。
【0546】
組織中のRNAの持続性を判断するため、組織試料は、RT-qPCRを使用して送達
後の様々な時点でRNAについて分析された。投与後の1及び4日目に、2mmの耳パン
チが各動物から採取され、RNAlater溶液(ThermoFisher Scie
ntific、cat# AM7020)中で保存された。全RNAは、急冷し、ガラス
の乳鉢及び乳棒で液体窒素中において組織をホモジナイズした後、トリゾール抽出(Th
ermoFisher Scientific cat# 15596026)によって
耳パンチから単離された。水相は、イソプロパノールで沈殿され、ペレットは、製造業者
の指示書に従って70% ETOHで洗浄された。cDNAは、Superscript
IV(Thermo Scientific、cat# 11766500)を使用し
て全RNAから合成された。RT-PCRは、iTaq(商標)Universal S
YBR(登録商標)Green Supermix(Bio-rad、カタログ# 17
25124)及びNLuc ORF(F:CCGTATGAAGGTCTGAGCGG(
配列番号12)、R:CAGTGTGCCATAGTGCAGGA(配列番号13))に
特異的なプライマーを使用してcDNA鋳型に対して実施された。全ての試料は、Bio
-rad CFX384サーマルサイクラー上において三つ組でアッセイされた。次に、
RNAレベルが、ハウスキーピング遺伝子(28s)に対して相対化された。
【0547】
環状RNAは、エタノールワイプで皮膚を拭いた後の局所投与後にPBSのみの中にお
ける環状RNAについて1日目及び4日目、並びにPBS+10% EtOH中における
環状RNAについて1日目に組織試料中で検出され、適切な溶媒のみの対照より大きいシ
グナルを示した(図13)。
【0548】
この実施例は、環状RNAが、皮膚が投与の前にエタノールワイプで拭かれるときに局
所投与を介して順調に送達され、長期間にわたって組織中で持続することを実証する。
【0549】
実施例17:環状RNAの局所投与は、組織へのRNA送達をもたらす
この実施例は、インビボでの局所投与を介して未修飾の環状RNAを細胞及び組織に送
達する能力を実証する。
【0550】
この実施例において、環状RNAは、IRES及びナノルシフェラーゼ(NLuc)を
コードするORFとともに設計された。
【0551】
環状RNAは、インビトロで生成された。未修飾の直鎖状RNAは、上で列挙される全
てのモチーフ、及び転写を駆動するT7 RNAポリメラーゼプロモーターを含むDNA
鋳型からインビトロで転写された。転写されたRNAは、製造業者の指示書に従ってRN
A精製キット(New England Biolabs、T2050)で精製され、R
NA 5’ホスホヒドロラーゼ(RppH)(New England Biolabs
、M0356)で処理され、RNA精製カラムで再び精製された。RppH処理された直
鎖状RNAは、スプリントDNA(5’-TTTTTCGGCTATTCCCAATAG
CCGTTTTG-3’(配列番号11))及びT4 RNAリガーゼ2(New En
gland Biolabs、M0239)を使用して環状化された。環状RNAは、尿
素-PAGEで精製され、緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1% SDS、1mM
EDTA)中で溶出され、エタノール沈殿され、RNA保管溶液(ThermoFis
her Scientific、cat# AM7000)中で再懸濁された。
【0552】
次に、RNAは、10%(v/v)エタノールを含むPBS中で希釈され、その結果、
各試料についての全体の試料体積は、35uLであり、各試料についての全RNAは、2
0pモルであった。陰性対照として、溶媒のみの対照が、上記のとおりであるがRNAを
伴わずに調製された。全ての試薬は、混合の前に室温にされ、混合物は、使用の直前に調
製された。
【0553】
時点=0で、35μL用量の各試料が、ピペットチップを使用してBALB/cマウス
の耳に滴下して局所的に適用された。試料は、滅菌されたフード中において耳を赤外線灯
及び送風機に短時間曝すことによって乾燥された。マウスは、標準的な条件下のケージに
戻された。
【0554】
組織中のRNAの持続性を判断するため、組織試料は、RT-qPCRを使用して送達
後の様々な時点でRNAについて分析された。投与後の1日目及び4日目に、2mmの耳
パンチが各動物から採取され、RNAlater溶液(ThermoFisher Sc
ientific、cat# AM7020)中で保存された。全RNAは、急冷し、ガ
ラスの乳鉢及び乳棒で液体窒素中において組織をホモジナイズした後、トリゾール抽出(
ThermoFisher Scientific cat# 15596026)によ
って耳パンチから単離された。水相は、イソプロパノールで沈殿され、ペレットは、製造
業者の指示書に従って70% ETOHで洗浄された。cDNAは、Superscri
pt IV(Thermo Scientific、cat# 11766500)を使
用して全RNAから合成された。RT-PCRは、iTaq(商標)Universal
SYBR(登録商標)Green Supermix(Bio-rad、カタログ#
1725124)及びNLuc ORF(F:CCGTATGAAGGTCTGAGCG
G(配列番号12)、R:CAGTGTGCCATAGTGCAGGA(配列番号13)
)に特異的なプライマーを使用してcDNA鋳型に対して実施された。全ての試料は、B
io-rad CFX384サーマルサイクラー上において三つ組でアッセイされた。次
に、RNAレベルが、ハウスキーピング遺伝子(28s)に対して相対化された。
【0555】
環状RNAは、局所投与後の1日目及び4日目に組織試料中で検出され、適切な陰性対
照より大きいシグナルを示した(図14)。
【0556】
この実施例は、環状RNAが、皮膚に対する局所投与を介して組織に順調に送達され、
長期間にわたって組織中で持続することを実証する。
【0557】
実施例18:環状RNAの局所投与は、組織へのRNA送達をもたらす
この実施例は、インビボでの局所投与を介して未修飾の環状RNAを細胞及び組織に送
達する能力を実証する。
【0558】
この実施例において、環状RNAは、IRES及びナノルシフェラーゼ(NLuc)を
コードするORFとともに設計された。
【0559】
環状RNAは、インビトロで生成された。未修飾の直鎖状RNAは、上で列挙される全
てのモチーフ、及び転写を駆動するT7 RNAポリメラーゼプロモーターを含むDNA
鋳型からインビトロで転写された。転写されたRNAは、製造業者の指示書に従ってRN
A精製キット(New England Biolabs、T2050)で精製され、R
NA 5’ホスホヒドロラーゼ(RppH)(New England Biolabs
、M0356)で処理され、RNA精製カラムで再び精製された。RppH処理された直
鎖状RNAは、スプリントDNA(5’-TTTTTCGGCTATTCCCAATAG
CCGTTTTG-3’(配列番号11))及びT4 RNAリガーゼ2(New En
gland Biolabs、M0239)を使用して環状化された。環状RNAは、尿
素-PAGEで精製され、緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1% SDS、1mM
EDTA)中で溶出され、エタノール沈殿され、RNA保管溶液(ThermoFis
her Scientific、cat# AM7000)中で再懸濁された。
【0560】
次に、RNAは、10%(v/v)イソプロピルアルコールを含むPBS中で希釈され
、その結果、各試料についての全体の試料体積は、35uLであり、各試料についての全
RNAは、20pモルであった。陰性対照として、溶媒のみの対照が、上記のとおりであ
るがRNAを伴わずに調製された。全ての試薬は、混合の前に室温にされ、混合物は、使
用の直前に調製された。
【0561】
時点=0で、35μL用量の各試料が、ピペットチップを使用してBALB/cマウス
の耳に滴下して局所的に適用された。試料は、滅菌されたフード中において耳を赤外線灯
及び送風機に短時間曝すことによって乾燥された。マウスは、標準的な条件下のケージに
戻された。
【0562】
組織中のRNAの持続性を判断するため、組織試料は、RT-qPCRを使用して送達
後の様々な時点でRNAについて分析された。投与後の1日目及び4日目に、2mmの耳
パンチが各動物から採取され、RNAlater溶液(ThermoFisher Sc
ientific、cat# AM7020)中で保存された。全RNAは、急冷し、ガ
ラスの乳鉢及び乳棒で液体窒素中において組織をホモジナイズした後、トリゾール抽出(
ThermoFisher Scientific cat# 15596026)によ
って耳パンチから単離された。水相は、イソプロパノールで沈殿され、ペレットは、製造
業者の指示書に従って70% ETOHで洗浄された。cDNAは、Superscri
pt IV(Thermo Scientific、cat# 11766500)を使
用して全RNAから合成された。RT-PCRは、iTaq(商標)Universal
SYBR(登録商標)Green Supermix(Bio-rad、カタログ#
1725124)及びNLuc ORF(F:CCGTATGAAGGTCTGAGCG
G(配列番号12)、R:CAGTGTGCCATAGTGCAGGA(配列番号13)
)に特異的なプライマーを使用してcDNA鋳型に対して実施された。全ての試料は、B
io-rad CFX384サーマルサイクラー上において三つ組でアッセイされた。次
に、RNAレベルが、ハウスキーピング遺伝子(28s)に対して相対化された。
【0563】
環状RNAは、局所投与後の1日目及び4日目に組織試料中で検出され、適切な陰性対
照より大きいシグナルを示した(図15)。
【0564】
この実施例は、環状のRNAが、皮膚に対する局所投与を介して組織に順調に送達され
、長期間にわたって組織中で持続することを実証する。
【0565】
実施例19:組織が適用の前にイソプロピルアルコールワイプで拭かれるとき、環状RN
Aの局所投与が、組織へのRNA送達をもたらす
この実施例は、インビボでの局所投与を介して未修飾の環状RNAを細胞及び組織に送
達する能力を実証する。
【0566】
この実施例において、環状RNAは、IRES及びナノルシフェラーゼ(NLuc)を
コードするORFとともに設計された。
【0567】
環状RNAは、インビトロで生成された。未修飾の直鎖状RNAは、上で列挙される全
てのモチーフ、及び転写を駆動するT7 RNAポリメラーゼプロモーターを含むDNA
鋳型からインビトロで転写された。転写されたRNAは、製造業者の指示書に従ってRN
A精製キット(New England Biolabs、T2050)で精製され、R
NA 5’ホスホヒドロラーゼ(RppH)(New England Biolabs
、M0356)で処理され、RNA精製カラムで再び精製された。RppH処理された直
鎖状RNAは、スプリントDNA(5’-TTTTTCGGCTATTCCCAATAG
CCGTTTTG-3’(配列番号11))及びT4 RNAリガーゼ2(New En
gland Biolabs、M0239)を使用して環状化した。環状RNAは、尿素
-PAGEで精製され、緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1% SDS、1mM
EDTA)中で溶出され、エタノール沈殿され、RNA保管溶液(ThermoFish
er Scientific、cat# AM7000)中で再懸濁された。
【0568】
次に、RNAは、PBSのみの中において希釈され、その結果、各試料についての全体
の試料体積は、35uLであり、各試料についての全RNAは、20pモルであった。陰
性対照として、溶媒のみの対照が、上記のとおりであるがRNAを伴わずに調製された。
全ての試薬は、混合の前に室温にされ、混合物は、使用の直前に調製される。
【0569】
時点=0で、マウスの耳は、イソプロピルアルコールワイプ(CVS、297584)
で拭かれ、乾燥され、35μL用量の各試料が、ピペットチップを使用してBALB/c
マウスの耳に滴下して局所的に適用された。陰性対照として、イソプロピルアルコールワ
イプのみが使用された。試料は、滅菌されたフード中において耳を赤外線灯及び送風機に
短時間曝すことによって乾燥された。マウスは、標準的な条件下のケージに戻された。
【0570】
組織中のRNAの持続性を判断するため、組織試料は、RT-qPCRを使用して送達
後の様々な時点でRNAについて分析された。投与後の1日目及び4日目に、2mmの耳
パンチが各動物から採取され、RNAlater溶液(ThermoFisher Sc
ientific、cat# AM7020)中で保存された。全RNAは、急冷し、ガ
ラスの乳鉢及び乳棒で液体窒素中において組織をホモジナイズした後、トリゾール抽出(
ThermoFisher Scientific cat# 15596026)によ
って耳パンチから単離された。水相は、イソプロパノールで沈殿され、ペレットは、製造
業者の指示書に従って70% ETOHで洗浄された。cDNAは、Superscri
pt IV(Thermo Scientific、cat# 11766500)を使
用して全RNAから合成された。RT-PCRは、iTaq(商標)Universal
SYBR(登録商標)Green Supermix(Bio-rad、カタログ#
1725124)及びNLuc ORF(F:CCGTATGAAGGTCTGAGCG
G(配列番号12)、R:CAGTGTGCCATAGTGCAGGA(配列番号13)
)に特異的なプライマーを使用してcDNA鋳型に対して実施された。全ての試料は、B
io-rad CFX384サーマルサイクラー上において三つ組でアッセイされた。次
に、RNAレベルが、ハウスキーピング遺伝子(28s)に対して相対化された。
【0571】
環状RNAは、局所投与後の1日目及び4日目に組織試料中で検出され、溶媒のみの対
照より大きいシグナルを示した(図16)。
【0572】
この実施例は、環状のRNAが、イソプロピルアルコールワイプで皮膚を拭いた後に局
所投与を介して組織に順調に送達され、長期間にわたって組織中で持続することを実証す
る。
【0573】
実施例20:直鎖状mRNAの局所投与は、組織へのRNA送達をもたらす
この実施例は、インビボでの局所投与を介してmRNAを細胞及び組織に送達する能力
を実証する。
【0574】
この実施例において、mRNAは、ナノルシフェラーゼ(NLuc)をコードするOR
Fとともに設計された。この実施例において、修飾された直鎖状mRNAは、インビトロ
転写によって社内で作製された。この実施例において、RNAは、プソイド-ウリジン及
び5-メチル-Cで完全に置換され、CleanCap(商標)AGでキャップされ、5
’及び3’ヒトアルファ-グロビンUTRが含まれ、ポリアデニル化される。
【0575】
RNAは、(1)PBSのみ、(2)10%(v/v)エタノールを含むPBS、(3
)10%(v/v)イソプロピルアルコールを含むPBS中で希釈され、その結果、各試
料についての全体の試料体積は、35uLであり、各試料についての全RNAは、20p
モルであった。陰性対照として、溶媒のみの対照が、上記のとおりであるがRNAを伴わ
ずに調製された。全ての試薬は、混合の前に室温にされ、混合物は、使用の直前に調製さ
れる。
【0576】
時点=0で、35μL用量の各試料が、ピペットチップを使用してBALB/cマウス
の耳に滴下して局所的に適用された。試料は、滅菌されたフード中において耳を赤外線灯
及び送風機に短時間曝すことによって乾燥された。マウスは、標準的な条件下のケージに
戻された。
【0577】
組織中のRNAの持続性を判断するため、組織試料は、RT-qPCRを使用して送達
後の様々な時点でRNAについて分析された。投与後の1日目及び4日目に、2mmの耳
パンチが各動物から採取され、RNAlater溶液(ThermoFisher Sc
ientific、cat# AM7020)中で保存された。全RNAは、急冷し、ガ
ラスの乳鉢及び乳棒で液体窒素中において組織をホモジナイズした後、トリゾール抽出(
ThermoFisher Scientific cat# 15596026)によ
って耳パンチから単離された。水相は、イソプロパノールで沈殿され、ペレットは、製造
業者の指示書に従って70% ETOHで洗浄された。cDNAは、Superscri
pt IV(Thermo Scientific、cat# 11766500)を使
用して全RNAから合成された。RT-PCRは、iTaq(商標)Universal
SYBR(登録商標)Green Supermix(Bio-rad、カタログ#
1725124)及びNLuc ORF(F:CCGTATGAAGGTCTGAGCG
G(配列番号12)、R:CAGTGTGCCATAGTGCAGGA(配列番号13)
)に特異的なプライマーを使用してcDNA鋳型に対して実施された。全ての試料は、B
io-rad CFX384サーマルサイクラー上において三つ組でアッセイされた。次
に、RNAレベルが、ハウスキーピング遺伝子(28s)に対して相対化された。
【0578】
mRNAは、局所投与後にPBSのみの中におけるmRNAについて1日目、及びPB
S+10% EtOH中におけるmRNA及びPBS+10% iPrOH中におけるm
RNAの両方について1日目及び4日目に組織試料中で検出され、適切な陰性対照より大
きいシグナルを示した(図17)。
【0579】
この実施例は、mRNAが、皮膚に対する局所投与を介して組織に順調に送達され、長
期間にわたって組織中で持続することを実証する。
【0580】
実施例21:組織が適用の前にエタノールワイプで拭かれるとき、環状RNAの局所投与
が、組織中のタンパク質発現をもたらす
この実施例は、インビボでの局所投与を介して未修飾の環状RNAを細胞及び組織に送
達し、その後のタンパク質発現を達成する能力を実証する。
【0581】
この実施例において、環状RNAは、IRES及びナノルシフェラーゼ(NLuc)を
コードするORFとともに設計された。
【0582】
環状RNAは、インビトロで生成された。未修飾の直鎖状RNAは、上で列挙される全
てのモチーフ、及び転写を駆動するT7 RNAポリメラーゼプロモーターを含むDNA
鋳型からインビトロで転写された。転写されたRNAは、製造業者の指示書に従ってRN
A精製キット(New England Biolabs、T2050)で精製され、R
NA 5’ホスホヒドロラーゼ(RppH)(New England Biolabs
、M0356)で処理され、RNA精製カラムで再び精製された。RppH処理された直
鎖状RNAは、スプリントDNA(5’-TTTTTCGGCTATTCCCAATAG
CCGTTTTG-3’(配列番号11))及びT4 RNAリガーゼ2(New En
gland Biolabs、M0239)を使用して環状化された。環状RNAは、尿
素-PAGEで精製され、緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1% SDS、1mM
EDTA)中で溶出され、エタノール沈殿され、RNA保管溶液(ThermoFis
her Scientific、cat# AM7000)中で再懸濁された。
【0583】
次に、RNAは、PBSのみの中において希釈され、その結果、各試料についての全体
の試料体積は、35uLであり、各試料についての全RNAは、20pモルであった。溶
媒のみの対照試料は、同様であるがRNAを伴わずに調製された。全ての試薬は、混合の
前に室温にされ、混合物は、使用の直前に調製された。
【0584】
時点=0で、マウスの耳は、エタノールワイプで拭かれ、乾燥され、35μL用量の各
試料が、ピペットチップを使用してBALB/cマウスの耳に滴下して局所的に適用され
た。試料は、滅菌されたフード中において耳を赤外線灯及び送風機に短時間曝すことによ
って乾燥された。マウスは、標準的な条件下のケージに戻された。
【0585】
組織中のRNA発現を判断するため、組織試料は、局所送達後の様々な時点でNLuc
活性について分析された。耳パンチは、送達後の4日目にマウスから採取された。各組織
試料は、断片に粉砕され、1×プロテアーゼ阻害剤カクテルを含む50μLの氷冷NLu
c溶解アッセイ緩衝液中に置かれ、氷上に置かれた。次に、試料を、オービタルシェーカ
ー上で700rpmにて5分間インキュベートし、続いて室温で遠心分離して、組織細片
を除去した。次に、50uLの上清は、組織ペレットをかき混ぜることなく新しいチュー
ブに移された。50μLの各試料は、96ウェルプレートに移され、Nano-Gloル
シフェラーゼアッセイシステム(Promega、#N1110)アッセイは、製造業者
に従って実施された。要するに、1uLのフリマジン基質及び49uLのPBSが、各ウ
ェルに加えられ、混合された。プレートは、基質添加及び混合の後に10分間インキュベ
ートされ、続いてルミノメーター機器(Promega)中で読み取られた。
【0586】
ナノルシフェラーゼ活性は、PBSのみの中における環状RNAについて局所適用後の
4日目に組織試料中で検出され、適切な溶媒のみの対照より高く観察された(図18)。
【0587】
この実施例は、環状RNAが、局所投与を介して順調に送達され、長期間組織中で検出
可能な機能性タンパク質を発現することができたことを実証した。
【0588】
実施例22:環状RNAの局所投与は、組織中でタンパク質発現をもたらす
この実施例は、インビボでの局所投与を介して未修飾の環状RNAを細胞及び組織に送
達し、その後のタンパク質発現を達成する能力を実証する。
【0589】
この実施例において、環状RNAは、IRES及びナノルシフェラーゼ(NLuc)を
コードするORFとともに設計された。
【0590】
環状RNAは、インビトロで生成された。未修飾の直鎖状RNAは、上で列挙される全
てのモチーフ、及び転写を駆動するT7 RNAポリメラーゼプロモーターを含むDNA
鋳型からインビトロで転写された。転写されたRNAは、製造業者の指示書に従ってRN
A精製キット(New England Biolabs、T2050)で精製され、R
NA 5’ホスホヒドロラーゼ(RppH)(New England Biolabs
、M0356)で処理され、RNA精製カラムで再び精製された。RppH処理された直
鎖状RNAは、スプリントDNA(5’-TTTTTCGGCTATTCCCAATAG
CCGTTTTG-3’(配列番号11))及びT4 RNAリガーゼ2(New En
gland Biolabs、M0239)を使用して環状化された。環状RNAは、尿
素-PAGEで精製され、緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1% SDS、1mM
EDTA)中で溶出され、エタノール沈殿され、RNA保管溶液(ThermoFis
her Scientific、cat# AM7000)中で再懸濁された。
【0591】
次に、RNAは、10%(v/v)エタノールを含むPBS中で希釈され、その結果、
各試料についての全体の試料体積は、35uLであり、各試料についての全RNAは、2
0pモルであった。陰性対照として、溶媒のみの対照が、上記のとおりであるがRNAを
伴わずに調製された。全ての試薬は、混合の前に室温にされ、混合物は、使用の直前に調
製された。
【0592】
時点=0で、35μL用量の各試料が、ピペットチップを使用してBALB/cマウス
の耳に滴下して局所的に適用された。試料は、滅菌されたフード中において耳を赤外線灯
及び送風機に短時間曝すことによって乾燥された。マウスは、標準的な条件下のケージに
戻された。
【0593】
組織中のRNA発現を判断するため、組織試料は、局所送達後の様々な時点でNLuc
活性について分析された。耳パンチは、送達後の4日目にマウスから採取された。各組織
試料は、断片に粉砕され、1×プロテアーゼ阻害剤カクテルを含む50μLの氷冷NLu
c溶解アッセイ緩衝液中に置かれ、氷上に置かれた。次に、試料を、オービタルシェーカ
ー上で700rpmにて5分間インキュベートし、続いて室温で遠心分離して、組織細片
を除去した。次に、50uLの上清は、組織ペレットをかき混ぜることなく新しいチュー
ブに移された。50μLの各試料は、96ウェルプレートに移され、Nano-Gloル
シフェラーゼアッセイシステム(Promega、#N1110)アッセイは、製造業者
に従って実施された。要するに、1uLのフリマジン基質及び49uLのPBSが、各ウ
ェルに加えられ、混合された。プレートは、基質添加及び混合の後に10分間インキュベ
ートされ、続いてルミノメーター機器(Promega)中で読み取られた。
【0594】
ナノルシフェラーゼ活性は、10%エタノール(v/v)を含むPBS中における環状
RNAについて局所投与後の4日目に組織試料中で検出され、適切な溶媒のみの対照より
高く観察された(図19)。
【0595】
この実施例は、環状RNAが、局所投与を介して順調に送達され、長期間組織中で検出
可能な機能性タンパク質を発現することができたことを実証した。
【0596】
実施例23:環状RNAの局所投与は、組織中でタンパク質発現をもたらす
この実施例は、インビボでの局所投与を介して未修飾の環状RNAを細胞及び組織に送
達し、その後のタンパク質発現を達成する能力を実証する。
【0597】
この実施例において、環状RNAは、IRES及びナノルシフェラーゼ(NLuc)を
コードするORFとともに設計された。
【0598】
環状RNAは、インビトロで生成された。未修飾の直鎖状RNAは、上で列挙される全
てのモチーフ、及び転写を駆動するT7 RNAポリメラーゼプロモーターを含むDNA
鋳型からインビトロで転写された。転写されたRNAは、製造業者の指示書に従ってRN
A精製キット(New England Biolabs、T2050)で精製され、R
NA 5’ホスホヒドロラーゼ(RppH)(New England Biolabs
、M0356)で処理され、RNA精製カラムで再び精製された。RppH処理された直
鎖状RNAは、スプリントDNA(5’-TTTTTCGGCTATTCCCAATAG
CCGTTTTG-3’(配列番号11))及びT4 RNAリガーゼ2(New En
gland Biolabs、M0239)を使用して環状化されることになる。環状R
NAは、尿素-PAGEで精製され、緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1% SD
S、1mM EDTA)中で溶出され、エタノール沈殿され、RNA保管溶液(Ther
moFisher Scientific、cat# AM7000)中で再懸濁された
【0599】
次に、RNAは、10%(v/v)イソプロピルアルコールを含むPBS中で希釈され
、その結果、各試料についての全体の試料体積は、35uLであり、各試料についての全
RNAは、20pモルであった。陰性対照として、溶媒のみの対照が、上記のとおりであ
るがRNAを伴わずに調製された。全ての試薬は、混合の前に室温にされ、混合物は、使
用の直前に調製された。
【0600】
時点=0で、35μL用量の各試料が、ピペットチップを使用してBALB/cマウス
の耳に滴下して局所的に適用された。試料は、滅菌されたフード中において耳を赤外線灯
及び送風機に短時間曝すことによって乾燥された。マウスは、標準的な条件下のケージに
戻された。
【0601】
組織中のRNA発現を判断するため、組織試料は、局所送達後の様々な時点でNLuc
活性について分析された。耳パンチは、送達後の4日目にマウスから採取された。各組織
試料は、断片に粉砕され、1×プロテアーゼ阻害剤カクテルを含む50μLの氷冷NLu
c溶解アッセイ緩衝液中に置かれ、氷上に置かれた。次に、試料を、オービタルシェーカ
ー上で700rpmにて5分間インキュベートし、続いて室温で遠心分離して、組織細片
を除去した。次に、50uLの上清は、組織ペレットをかき混ぜることなく新しいチュー
ブに移された。50μLの各試料は、96ウェルプレートに移され、Nano-Gloル
シフェラーゼアッセイシステム(Promega、#N1110)アッセイは、製造業者
に従って実施された。要するに、1uLのフリマジン基質及び49uLのPBSが、各ウ
ェルに加えられ、混合された。プレートは、基質添加及び混合の後に10分間インキュベ
ートされ、続いてルミノメーター機器(Promega)中で読み取られた。
【0602】
ナノルシフェラーゼ活性は、10%イソプロピルアルコールを含むPBS中における環
状RNAについて局所適用後の4日目に組織試料中で検出され、適切な溶媒のみの対照よ
り高く観察された(図20)。
【0603】
この実施例は、環状RNAが、局所投与を介して順調に送達され、長期間組織中で検出
可能な機能性タンパク質を発現することができたことを実証した。
【0604】
実施例24:直鎖状mRNAの局所投与は、組織へのRNA送達及びその後のタンパク質
発現をもたらす
この実施例は、インビボでの局所投与を介してmRNAを細胞及び組織に送達し、その
後のタンパク質発現を達成する能力を実証する。
【0605】
この実施例において、mRNAは、ナノルシフェラーゼ(NLuc)をコードするOR
Fとともに設計された。この実施例において、修飾された直鎖状mRNAは、インビトロ
転写によって社内で作製された。この実施例において、RNAは、プソイド-ウリジン及
び5-メチル-Cで完全に置換され、CleanCap(商標)AGでキャップされ、5
’及び3’ヒトアルファ-グロビンUTRが含まれ、ポリアデニル化される。
【0606】
RNAは、10%(v/v)エタノールを含むPBS中で希釈され、その結果、各試料
についての全体の試料体積は、35uLであり、各試料についての全RNAは、20pモ
ルであった。陰性対照として、溶媒のみの対照が、上記のとおりであるがRNAを伴わず
に調製された。全ての試薬は、混合の前に室温にされ、混合物は、使用の直前に調製され
る。
【0607】
時点=0で、マウスの耳は、エタノールワイプで拭かれ、乾燥され、35μL用量の各
試料が、ピペットチップを使用してBALB/cマウスの耳に滴下して局所的に適用され
た。試料は、滅菌されたフード中において耳を赤外線灯及び送風機に短時間曝すことによ
って乾燥された。マウスは、標準的な条件下のケージに戻された。
【0608】
組織中のRNA発現を判断するため、組織試料は、局所送達後の様々な時点でNLuc
活性について分析された。耳パンチは、送達後の4日目にマウスから採取された。各組織
試料は、断片に粉砕され、1×プロテアーゼ阻害剤カクテルを含む50μLの氷冷NLu
c溶解アッセイ緩衝液中に置かれ、氷上に置かれた。次に、試料を、オービタルシェーカ
ー上で700rpmにて5分間インキュベートし、続いて室温で遠心分離して、組織細片
を除去した。次に、50uLの上清は、組織ペレットをかき混ぜることなく新しいチュー
ブに移された。50μLの各試料は、96ウェルプレートに移され、Nano-Gloル
シフェラーゼアッセイシステム(Promega、#N1110)アッセイは、製造業者
に従って実施された。要するに、1uLのフリマジン基質及び49uLのPBSが、各ウ
ェルに加えられ、混合された。プレートは、基質添加及び混合の後に10分間インキュベ
ートされ、続いてルミノメーター機器(Promega)中で読み取られた。
【0609】
ナノルシフェラーゼ活性は、10%エタノールを含むPBS中における環状RNAにつ
いて局所適用後の4日目に組織試料中で検出され、各場合において、適切な溶媒のみの対
照より高く観察された(図21)。
【0610】
この実施例は、mRNAが、皮膚が投与の前にエタノールワイプで拭かれるときに局所
投与を介して皮膚に順調に送達され、長期間にわたって組織中で持続し、機能性タンパク
質を発現できることを実証する。
【0611】
実施例25:直鎖状mRNAの局所投与は、組織へのRNA送達及びその後のタンパク質
発現をもたらす
この実施例は、インビボでの局所投与を介してmRNAを細胞及び組織に送達し、その
後のタンパク質発現を達成する能力を実証する。
【0612】
この実施例において、mRNAは、ナノルシフェラーゼ(NLuc)をコードするOR
Fとともに設計された。この実施例において、修飾された直鎖状mRNAは、インビトロ
転写によって社内で作製された。この実施例において、RNAは、プソイド-ウリジン及
び5-メチル-Cで完全に置換され、CleanCap(商標)AGでキャップされ、5
’及び3’ヒトアルファ-グロビンUTRが含まれ、ポリアデニル化される。
【0613】
RNAは、(1)PBSのみ、又は(2)10%(v/v)イソプロピルアルコールを
含むPBS中で希釈され、その結果、各試料についての全体の試料体積は、35uLであ
り、各試料についての全RNAは、20pモルであった。陰性対照として、溶媒のみの対
照が、上記のとおりであるがRNAを伴わずに調製された。全ての試薬は、混合の前に室
温にされ、混合物は、使用の直前に調製される。
【0614】
時点=0で、35μL用量の各試料が、ピペットチップを使用してBALB/cマウス
の耳に滴下して局所的に適用された。試料は、滅菌されたフード中において耳を赤外線灯
及び送風機に短時間曝すことによって乾燥された。マウスは、標準的な条件下のケージに
戻された。
【0615】
組織中のRNA発現を判断するため、組織試料は、局所送達後の様々な時点でNLuc
活性について分析された。耳パンチは、送達後の4日目にマウスから採取された。各組織
試料は、断片に粉砕され、1×プロテアーゼ阻害剤カクテルを含む50μLの氷冷NLu
c溶解アッセイ緩衝液中に置かれ、氷上に置かれた。次に、試料を、オービタルシェーカ
ー上で700rpmにて5分間インキュベートし、続いて室温で遠心分離して、組織細片
を除去した。次に、50uLの上清は、組織ペレットをかき混ぜることなく新しいチュー
ブに移された。50μLの各試料は、96ウェルプレートに移され、Nano-Gloル
シフェラーゼアッセイシステム(Promega、#N1110)アッセイは、製造業者
に従って実施された。要するに、1uLのフリマジン基質及び49uLのPBSが、各ウ
ェルに加えられ、混合された。プレートは、基質添加及び混合の後に10分間インキュベ
ートされ、続いてルミノメーター機器(Promega)中で読み取られた。
【0616】
ナノルシフェラーゼ活性は、PBSのみの中における直鎖状mRNA、及び10%イソ
プロピルアルコールを含むPBS中における直鎖状mRNAについて局所適用後の4日目
に組織試料中で検出され、各場合において、適切な溶媒のみの対照より高く観察された(
図22及び図23)。
【0617】
この実施例は、mRNAが、皮膚に対する局所投与を介して組織に順調に送達され、長
期間にわたって組織中で持続し、機能性タンパク質を発現できることを実証する。
【0618】
実施例26:組織が適用の前にポビドンヨウ素で拭かれるとき、環状RNAの局所投与が
、組織へのRNA送達をもたらす
この実施例は、インビボでの局所投与を介して未修飾の環状RNAを細胞及び組織に送
達する能力を記載する。
【0619】
この実施例において、環状RNAは、IRES及びナノルシフェラーゼ(NLuc)を
コードするORFとともに設計される。
【0620】
環状RNAは、インビトロで生成される。未修飾の直鎖状RNAは、上で列挙される全
てのモチーフ、及び転写を駆動するT7 RNAポリメラーゼプロモーターを含むDNA
鋳型からインビトロで転写される。転写されたRNAは、製造業者の指示書に従ってRN
A精製キット(New England Biolabs、T2050)で精製され、R
NA 5’ホスホヒドロラーゼ(RppH)(New England Biolabs
、M0356)で処理され、RNA精製カラムで再び精製される。RppH処理された直
鎖状RNAは、スプリントDNA(5’-TTTTTCGGCTATTCCCAATAG
CCGTTTTG-3’(配列番号11))及びT4 RNAリガーゼ2(New En
gland Biolabs、M0239)を使用して環状化される。環状RNAは、尿
素-PAGEで精製され、緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1% SDS、1mM
EDTA)中で溶出され、エタノール沈殿され、RNA保管溶液(ThermoFis
her Scientific、cat# AM7000)中で再懸濁される。
【0621】
次に、RNAは、PBSのみの中において希釈され、その結果、各試料についての全体
の試料体積は、35uLであり、各試料についての全RNAは、20pモルである。陰性
対照として、溶媒のみの対照が、上記のとおりであるがRNAを伴わずに調製される。全
ての試薬は、混合の前に室温にされ、混合物は、使用の直前に調製される。
【0622】
時点=0で、マウスの耳は、殺菌剤である市販のポビドンヨウ素(10%)で拭かれる
。過剰なポビドンヨウ素は、無菌綿スワブで除去され、35μL用量の各試料が、ピペッ
トチップを使用してBALB/cマウスの耳に滴下して局所的に適用される。試料は、滅
菌されたフード中において耳を赤外線灯及び送風機に短時間曝すことによって乾燥される
。マウスは、標準的な条件下のケージに戻される。
【0623】
組織中のRNAの持続性を判断するため、組織試料は、RT-qPCRを使用して送達
後の様々な時点でRNAについて分析される。投与後の1日目及び4日目に、2mmの耳
パンチが各動物から採取され、RNAlater溶液(ThermoFisher Sc
ientific、cat# AM7020)中で保存される。全RNAは、急冷し、ガ
ラスの乳鉢及び乳棒で液体窒素中において組織をホモジナイズした後、トリゾール抽出(
ThermoFisher Scientific cat# 15596026)によ
って耳パンチから単離される。水相は、イソプロパノールで沈殿され、ペレットは、製造
業者の指示書に従って70% ETOHで洗浄される。cDNAは、Superscri
pt IV(Thermo Scientific、cat# 11766500)を使
用して全RNAから合成される。RT-PCRは、iTaq(商標)Universal
SYBR(登録商標)Green Supermix(Bio-rad、カタログ#
1725124)及びNLuc ORF(F:CCGTATGAAGGTCTGAGCG
G(配列番号12)、R:CAGTGTGCCATAGTGCAGGA(配列番号13)
)に特異的なプライマーを使用してcDNA鋳型に対して実施される。全ての試料は、B
io-rad CFX384サーマルサイクラー上において三つ組でアッセイされる。次
に、RNAレベルが、ハウスキーピング遺伝子(28s)に対して相対化される。
【0624】
環状RNAは、局所投与後の1日目及び4日目に組織試料中で検出され、溶媒のみの対
照より大きいシグナルが観察されると予想される。
【0625】
この実施例は、環状RNAが、ポビドンヨウ素(10%)で皮膚を拭いた後に局所投与
を介して組織に順調に送達され、長期間にわたって組織中で持続することを記載する。
【0626】
実施例27:組織が適用の前に過酸化水素スプレーで噴霧されるとき、環状RNAの局所
投与は、組織へのRNA送達をもたらす
この実施例は、インビボでの局所投与を介して未修飾の環状RNAを細胞及び組織に送
達する能力を記載する。
【0627】
この実施例において、環状RNAは、IRES及びナノルシフェラーゼ(NLuc)を
コードするORFとともに設計される。
【0628】
環状RNAは、インビトロで生成される。未修飾の直鎖状RNAは、上で列挙される全
てのモチーフ、及び転写を駆動するT7 RNAポリメラーゼプロモーターを含むDNA
鋳型からインビトロで転写される。転写されたRNAは、製造業者の指示書に従ってRN
A精製キット(New England Biolabs、T2050)で精製され、R
NA 5’ホスホヒドロラーゼ(RppH)(New England Biolabs
、M0356)で処理され、RNA精製カラムで再び精製される。RppH処理された直
鎖状RNAは、スプリントDNA(5’-TTTTTCGGCTATTCCCAATAG
CCGTTTTG-3’(配列番号11))及びT4 RNAリガーゼ2(New En
gland Biolabs、M0239)を使用して環状化されることになる。環状R
NAは、尿素-PAGEで精製され、緩衝液(0.5M酢酸ナトリウム、0.1% SD
S、1mM EDTA)中で溶出され、エタノール沈殿され、RNA保管溶液(Ther
moFisher Scientific、cat# AM7000)中で再懸濁される
【0629】
次に、RNAは、PBSのみの中において希釈され、その結果、各試料についての全体
の試料体積は、35uLであり、各試料についての全RNAは、20pモルである。陰性
対照として、溶媒のみの対照が、上記のとおりであるがRNAを伴わずに調製される。全
ての試薬は、混合の前に室温にされ、混合物は、使用の直前に調製される。
【0630】
時点=0で、マウスの耳は、殺菌剤である市販の過酸化水素(3%)で噴霧され、無菌
綿スワブで乾燥され、35μL用量の各試料が、ピペットチップを使用してBALB/c
マウスの耳に滴下して局所的に適用される。試料は、滅菌されたフード中において耳を赤
外線灯及び送風機に短時間曝すことによって乾燥される。マウスは、標準的な条件下のケ
ージに戻される。
【0631】
組織中のRNAの持続性を判断するため、組織試料は、RT-qPCRを使用して送達
後の様々な時点でRNAについて分析される。投与後の1日目及び4日目に、2mmの耳
パンチが各動物から採取され、RNAlater溶液(ThermoFisher Sc
ientific、cat# AM7020)中で保存される。全RNAは、急冷し、ガ
ラスの乳鉢及び乳棒で液体窒素中において組織をホモジナイズした後、トリゾール抽出(
ThermoFisher Scientific cat# 15596026)によ
って耳パンチから単離される。水相は、イソプロパノールで沈殿され、ペレットは、製造
業者の指示書に従って70% ETOHで洗浄される。cDNAは、Superscri
pt IV(Thermo Scientific、cat# 11766500)を使
用して全RNAから合成される。RT-PCRは、iTaq(商標)Universal
SYBR(登録商標)Green Supermix(Bio-rad、カタログ#
1725124)及びNLuc ORF(F:CCGTATGAAGGTCTGAGCG
G(配列番号12)、R:CAGTGTGCCATAGTGCAGGA(配列番号13)
)に特異的なプライマーを使用してcDNA鋳型に対して実施される。全ての試料は、B
io-rad CFX384サーマルサイクラー上において三つ組でアッセイされる。次
に、RNAレベルが、ハウスキーピング遺伝子(28s)に対して相対化される。
【0632】
環状RNAは、局所投与後の1日目及び4日目に組織試料中で検出され、溶媒のみの対
照より大きいシグナルが観察されると予想される。
【0633】
この実施例は、環状RNAが、過酸化水素(3%)で皮膚を噴霧した後に局所投与を介
して組織に順調に送達され、長期間にわたって組織中で持続することを記載する。
【0634】
本明細書では、本発明の好ましい実施形態が示され且つ記載されているが、そのような
実施形態が例示としてのみ提供されていることは、当業者に明らかであろう。ここで、多
数の変形形態、変更、及び置換が、本発明を逸脱することなく当業者に見出されることに
なる。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替物は、本発明の実施に採用さ
れ得ることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、こ
れらの特許請求の範囲内の方法及び構造、並びにそれらの均等物はそれによって包含され
ることが意図される。
【0635】
配列
ナノルシフェラーゼDNA鋳型
配列番号1
【化1】
【0636】
EMCV IRES
配列番号2
【化2】
【0637】
ガウシアルシフェラーゼDNA鋳型
配列番号3
【化3】
【0638】
EPO DNA鋳型
配列番号4
【化4】
【0639】
CVB3 IRES DNA鋳型
配列番号5
【化5】
【0640】
緑色蛍光タンパク質DNA鋳型
配列番号6
【化6】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23