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特開2024-147752流体コネクタとのユーザ相互作用をガイドするための触覚特徴部
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147752
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】流体コネクタとのユーザ相互作用をガイドするための触覚特徴部
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/14 20060101AFI20241008BHJP
   A61M 39/02 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
A61M5/14 500
A61M39/02 100
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024115700
(22)【出願日】2024-07-19
(62)【分割の表示】P 2019215739の分割
【原出願日】2019-11-28
(31)【優先権主張番号】62/773,662
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レイチェル ターナー
(72)【発明者】
【氏名】ビクター アイザック ポリティス
(72)【発明者】
【氏名】アレックス シャベス
(72)【発明者】
【氏名】ゲイル マリー シエウィオーレック
(72)【発明者】
【氏名】エリック ベネ
(72)【発明者】
【氏名】アッティラ キス
(72)【発明者】
【氏名】メーガン コーネン
(72)【発明者】
【氏名】マーク ハンター
(72)【発明者】
【氏名】ローリー バーンズ
(72)【発明者】
【氏名】ゲイル ハンター
(72)【発明者】
【氏名】マックス ライアン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明の一態様は、ベースとの接続及び切断が容易な流体コネクタを提供する。
【解決手段】注入セットで使用する流体コネクタ100。流体コネクタは、ハウジング106の近位内部表面と一体であり、そこから遠位側に延びるカニューレを有するハウジングを含む。ハウジングの近位外面は、カニューレの長手方向軸を中心とする触覚特徴部110を備えた部分を有し、使用者が流体コネクタを注入セットベース80に接続するのを支援する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入セットで使用する流体コネクタであって、
ハウジングの近位内部表面と一体であり、そこから遠位側に延びる鈍いカニューレを有するハウジングと、
ハウジングの近位外面は、前記鈍いカニューレの長手方向軸を中心とする上部の触覚特徴部(110)を有し、流体コネクタを注入セットベースに接続する際に、ユーザを支援するものであり、
前記ハウジングが、
前記鈍いカニューレを含む流路部分と、
前記流路部分に固定され、一対の変位可能なアームを有するラッチ部分と、
を備え、
それぞれの前記アームは、前記アームの一方の片持ち端に配置されたコネクタラッチと、前記アームの他方の片持ち端に配置された作動レバーとを含み、
前記作動レバーの近位部分は、ユーザの握りからの前記流体コネクタの遠位滑りを防ぐための第1の横方向の触覚特徴部(116)を含み、前記第1の横方向の触覚特徴部(116)は、隆起しており、
前記作動レバーの最後方は、ユーザの握りからの前記流体コネクタの前方への滑りを防ぐための第2の横方向の触覚特徴部(118)を含むことを特徴とする流体コネクタ。
【請求項2】
前記上部の触覚特徴部(110)は、前記鈍いカニューレの長手方向軸を中心とする三角形に配置された3つの隆起を含むことを特徴とする請求項1に記載の流体コネクタ。
【請求項3】
前記上部の触覚特徴部(110)は、前記鈍いカニューレの長手方向軸を中心とするリングを備えることを特徴とする請求項1に記載の流体コネクタ。
【請求項4】
前記上部の触覚特徴部(110)は、前記鈍いカニューレの長手方向軸を中心とする複数の同心リングを含むことを特徴とする請求項1に記載の流体コネクタ。
【請求項5】
前記上部の触覚特徴部(110)は、前記鈍いカニューレの長手方向軸を中心とする交差を含むことを特徴とする請求項1に記載の流体コネクタ。
【請求項6】
前記上部の触覚特徴部(110)は、前記鈍いカニューレの長手方向軸を中心とするX字形状を含むことを特徴とする請求項1に記載の流体コネクタ。
【請求項7】
前記上部の触覚特徴部(110)は、前記鈍いカニューレの長手方向軸を中心とする十字線を含むことを特徴とする請求項1に記載の流体コネクタ。
【請求項8】
前記上部の触覚特徴部(110)は、前記鈍いカニューレの長手方向軸を中心とする複数の線形リブを備えることを特徴とする請求項1に記載の流体コネクタ。
【請求項9】
前記上部の触覚特徴部(110)は、前記鈍いカニューレの長手方向軸を中心とする複数の弓状リブを備えることを特徴とする請求項1に記載の流体コネクタ。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の流体コネクタであって、
前記上部の触覚特徴部(110)は、隆起している、又は、窪んでいることを特徴とする流体コネクタ。
【請求項11】
注入セットで使用するための2部品の流体コネクタであって、
流路部分であって、流路部分の近位内部表面と一体であり、そこから延びる鈍いカニューレを含み、前記流路部分の近位外面は、前記鈍いカニューレの長手方向軸を中心とする上部の触覚特徴部(110)を有する部分を有する、流路部分と、
前記流路部分に固定され、一対の変位可能なアームを有するラッチ部分と、
を備え、
それぞれの前記アームは、前記アームの一方の片持ち端に配置されたコネクタラッチと、前記アームの他方の片持ち端に配置された作動レバーとを含み、
前記作動レバーの近位部分は、ユーザの握りからの前記流体コネクタの遠位滑りを防ぐための第1の横方向の触覚特徴部(116)を含み、前記第1の横方向の触覚特徴部(116)は、隆起しており、
前記作動レバーの最後方は、ユーザ握りからの前記流体コネクタの前方への滑りを防ぐための第2の横方向の触覚特徴部(118)を含むことを特徴とする2部品の流体コネクタ。
【請求項12】
第1の横方向の触覚特徴部(116)は、複数の横方向への片持ち支柱を含む、請求項11に記載の2部品の流体コネクタ。
【請求項13】
前記横方向への片持ち支柱は、実質的に長方形状であることを特徴とする請求項12に記載の2部品の流体コネクタ。
【請求項14】
前記横方向への片持ち支柱は、実質的に円筒形状であることを特徴とする請求項12に記載の2部品の流体コネクタ。
【請求項15】
前記横方向への片持ち支柱は、横方向に片持ちされた多角形を含むことを特徴とする請求項12に記載の2部品の流体コネクタ。
【請求項16】
注入セットで使用するための2部品の流体コネクタであって、
流路部分であって、流路部分の近位内部表面と一体であり、そこから延びる鈍いカニューレを含み、前記流路部分の近位外面は、前記鈍いカニューレの長手方向軸を中心とする上部の触覚特徴部(110)を有する部分を有する、流路部分と、
前記流路部分に固定され、一対の変位可能なアームを有するラッチ部分と、
を備え、
それぞれの前記アームは、前記アームの前方の片持ち端に配置されたコネクタラッチと、前記アームの後方の片持ち端に配置された作動レバーとを含み、
前記作動レバーの最後方は、ユーザの握りからの前記流体コネクタの前方への滑りを防ぐための横方向の触覚特徴部(118)を含み、
前記作動レバーの非バイアス位置は、外向きに広がっており、
前記作動レバーは、横方向内向きの突起部(122)を有することを特徴とする2部品の流体コネクタ。
【請求項17】
前記横方向の触覚特徴部(118)は、垂直リッジを備える、請求項16に記載の2部品の流体コネクタ。
【請求項18】
注入セットで使用するための2部品の流体コネクタであって、
流路部分の近位内部表面と一体であり、そこから延びるカニューレを含む流路部分と、
前記流路部分に固定され、一対の変位可能なアームを有するラッチ部分と、
を備え、
それぞれの前記アームは、前記アームの一方の片持ち端に配置されたコネクタラッチと、前記アームの他方の片持ち端に配置された作動レバーとを含み、
前記作動レバーの近位部分は、ユーザの握りからの前記流体コネクタの遠位滑りを防ぐための横方向の触覚特徴部を含むことを特徴とする2部品の流体コネクタ。
【請求項19】
前記横方向の触覚特徴部は、複数の横方向への片持ち支柱を含むことを特徴とする請求項18に記載の2部品の流体コネクタ。
【請求項20】
前記横方向への片持ち支柱は、実質的に長方形状であることを特徴とする請求項19に記載の2部品の流体コネクタ。
【請求項21】
前記横方向への片持ち支柱は、実質的に円筒形状であることを特徴とする請求項19に記載の2部品の流体コネクタ。
【請求項22】
前記横方向への片持ち支柱は、横方向に片持ちされた多角形を含むことを特徴とする請求項19に記載の2部品の流体コネクタ。
【請求項23】
注入セットで使用するための2部品の流体コネクタであって、
流路部分の近位内部表面と一体であり、そこから延びるカニューレを含む流路部分と、
前記流路部分に固定され、一対の変位可能なアームを有するラッチ部分と、
を備え、
それぞれの前記アームは、前記アームの前方の片持ち端に配置されたコネクタラッチと、前記アームの後方の片持ち端に配置された作動レバーとを含み、
前記作動レバーの最後方は、ユーザの握りからの前記流体コネクタの前方への滑りを防ぐための横方向の触覚特徴部を含むことを特徴とする2部品の流体コネクタ。
【請求項24】
前記横方向の触覚特徴部は、垂直リッジを備える、請求項23に記載の2部品の流体コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年11月30日に出願された米国仮出願第62/773,662号に基づく優先権を主張するものである。その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般の注入装置に関し、より詳細には、インスリン及び他の薬剤の皮下注入において注入ポンプとともに使用される注入装置に関する。
【背景技術】
【0003】
インスリン注入処置の1つのモードには、カテーテル、針、又は他のタイプのカニューレを介した注入ポンプ療法が含まれる。注入ポンプは、インスリンの連続注入、正確な投与、及び、プログラム可能な送達スケジュールの利点を提供する。同時に、これらの利点により、血糖コントロールがより正確になる。インスリン注入処置のこのモードでは、注入ポンプはユーザに取り付けられたままであり、必要な用量のインスリンがポンプを介してユーザに送達される。
【0004】
カニューレの1つのタイプはカテーテルであり、これは一般に、流体の投与を可能にするために体内に挿入できるチューブである。注入ポンプ療法では、カテーテルの種類とサイズは異なる場合があるが、一般に、カテーテルは細い柔軟なチューブである。ただし、用途によっては、サイズが大きい、及び/又は、硬い場合がある。柔らかいプラスチック製のカテーテルの代わりに、硬い中空の金属針を使用することもできる。
【0005】
従来の注入セットの1つのタイプは、MedtronicによりQuick-Set(登録商標)注入セットとして販売されている。そのような装置では、注入ポンプは、チューブセットを介してポンプに接続されたカテーテルアセンブリを含み、別の挿入装置は、注入セットの一部として設けられた導入針を介してカテーテルアセンブリをユーザに挿入及び/又は取り付ける。Medtronicが販売するMio(登録商標)注入セットのように、注入セットと挿入デバイスを組み合わせることもできる。Mio(登録商標)注入セットは、注入セットと挿入デバイスを1つのユニットに結合する「オールインワン」デザインです。
【0006】
「パッチポンプ」として知られる別のタイプのインスリン注入装置が最近利用可能になった。従来の注入ポンプとは異なり、パッチポンプは、注入部位に接着剤で取り付けられた単一のハウジングに、ほとんど又は全ての流体成分を組み合わせた統合デバイスであり、個別の注入(チューブ)セットを使用する必要はない。パッチポンプは皮膚に付着し、インスリン(又は他の薬物)を含み、経皮的に、又は統合された皮下のミニカテーテルを介して、一定期間にわたって薬物を送達する。一部のパッチポンプは、個別のコントローラーデバイスとワイヤレスで通信し(ブランド名OmniPod(登録商標)で販売されているものなど)、他のものは、完全に自己完結型である。
【0007】
従来の注入装置は、ユーザの皮膚に固定することができるベースに解放可能に取り付けることができる流体コネクタを含むことができる。注入ポンプは、流体コネクタ及び/又はベースの係合を介してカテーテルに流体を供給する。
【0008】
しかしながら、そのような装置では、使用者の皮膚からカテーテルを引っ張らずにチューブを外すのに必要な力と、毎日の注入のために注入コンポーネントを固定するのに十分な保持力のバランスを取ることが難しいという懸念がある。もう1つの懸念は、ユーザが誤って外部構造(ドアノブなど)の延長チューブを引っ掛けた場合、ユーザの皮膚からカテーテルを取り外すことなく延長チューブが流体コネクタから外れるように分離力を設計する必要がある。したがって、患者が新しい注入セットを入手して接続し、再挿入する必要がなくなる。さらに別の懸念は、触覚が低下している多くの患者が、流体コネクタをベースに適切かつ確実に接続及び切断する能力についてである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2013/086463号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の一態様は、ベースとの接続及び切断が容易な流体コネクタを提供することである。
【0011】
本発明の前述及び/又は他の態様は、注入セットで使用する流体コネクタを提供することにより達成される。流体コネクタは、ハウジングの近位内部表面と一体であり、そこから遠位側に延びるカニューレを有するハウジングを含む。ハウジングの近位外面は、カニューレの長手方向軸を中心とする触覚特徴部を備えた部分を有し、使用者が流体コネクタを注入セットベースに接続するのを支援する。
【0012】
本発明の前述及び/又は他の態様はまた、注入セットで使用するための2部品の流体コネクタを提供することにより達成される。流体コネクタは、流路部分の近位内部表面と一体であり、そこから延びるカニューレを含む流路部分を含む。流体コネクタは、流路部分に固定され、一対の変位可能なアームを有するラッチ部分も含む。各変位可能なアームは、アームの一方の片持ち端に配置されたコネクタラッチと、アームの他方の片持ち端に配置された作動レバーを含む。作動レバーの近位部分には、ユーザの握りからの流体コネクタの遠位滑りを防ぐための横方向の触覚特徴部が含まれる。
【0013】
本発明の前述及び/又は他の態様は、注入セットで使用するための2部品の流体コネクタを提供することによっても達成される。流体コネクタは、流路部分の近位内部表面と一体であり、そこから延びるカニューレを含む流路部分を含む。流体コネクタは、流路部分に固定され、一対の変位可能なアームを有するラッチ部分も含む。各変位可能アームは、アームの一方の片持ち端に配置されたコネクタラッチと、アームの他方の片持ち端に配置された作動レバーを含む。作動レバーの最後方は、ユーザの握りからの流体コネクタの前方への滑りを防ぐための横方向の触覚特徴部が含まれる。
【0014】
本発明の追加及び/又は他の態様及び利点は、以下の説明に記載されるか、その説明から明らかになるか、又は本発明の実施により習得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の実施形態の前述の及び/又は他の態様及び利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明からより容易に理解されるであろう。
【0016】
図1図1は、従来技術における流体コネクタ及び関連するベースの図である。
図2図2は、従来技術における流体コネクタ及び関連するベースの図である。
図3図3は、従来技術における流体コネクタ及び関連するベースの図である。
図4図4は、従来技術における流体コネクタ及び関連するベースの図である。
図5図5は、本発明の実施形態におけるベースに接続された流体コネクタの側面図である。
図6図6は、図5の流体コネクタの上面図である。
図7図7は、図5の流体コネクタの流路部分の斜視図である。
図8図8は、本発明の別の実施形態による流体コネクタの斜視図である。
図9図9は、本発明の他の実施形態による流体コネクタの上面図である。
図10図10は、本発明の他の実施形態による流体コネクタの上面図である。
図11図11は、本発明の他の実施形態による流体コネクタの上面図である。
図12図12は、本発明の他の実施形態による流体コネクタの上面図である。
図13図13は、本発明の他の実施形態による流体コネクタの上面図である。
図14図14は、本発明の他の実施形態による流体コネクタの上面図である。
図15図15は、本発明の他の実施形態による流体コネクタの上面図である。
図16図16は、本発明の他の実施形態による流体コネクタの上面図である。
図17図17は、本発明の他の実施形態による流体コネクタの上面図である。
図18図18は、本発明の他の実施形態による流体コネクタの斜視図である。
図19図19は、本発明の他の実施形態による流体コネクタの斜視図である。
図20図20は、本発明の他の実施形態による流体コネクタの斜視図である。
図21図21は、本発明の別の実施形態による流体コネクタの上面図である。
図22図22は、本発明の別の実施形態による流体コネクタの斜視図である。
図23図23は、本発明の別の実施形態による流体コネクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、添付図面に示されている本発明の実施形態を詳細に参照するが、全体を通して同様の参照番号は同様の要素を指す。本明細書で説明される実施形態は、図面を参照することにより本発明を例示するが、限定するものではない。
【0018】
実施形態は、相互に排他的であることを意図していない。一実施形態の特徴は、互いに矛盾しない限り、他の実施形態と組み合わせることができる。
【0019】
当業者は、本開示が、その適用において、以下の説明に記載されるか又は図面に示される構成の詳細及び構成要素の配置に限定されないことを理解するであろう。本明細書の実施形態は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行することができる。本明細書で使用される語句及び用語は、説明を目的とするものであり、限定と見なされるべきではない。本明細書における「含む」、「含有する」又は「有する」及びそれらの変形の使用は、その後に列挙されるアイテム及びその同等物ならびに追加アイテムを包含することを意味する。他に制限されない限り、本明細書の「接続」、「結合」、及び「搭載」という用語及びその変形は広く使用され、直接及び間接の接続、結合、及び搭載を包含する。さらに、「接続された」及び「結合された」という用語及びその変形は、物理的又は機械的な接続又は結合に限定されない。さらに、「上」、「下」、「底面」、「上面」、「前方」、「後方」、「上側」、「下側」、「上方」、「下方」などの用語、及び他の方向記述子は、本発明の例示的な実施形態の説明を容易にすることを意図し、構造を限定することを意図しない。「実質的に」又は「およそ」などの程度の用語は、例えば、実施形態の製造、組み立て、及び使用に関連する一般的な公差を示し、所与の値を含む周辺、かつ、所与の値の外の合理的な範囲を示すと当業者に理解される。構造又は特性を指す場合の「実質的に」という用語には、ほとんど又は完全な特性が含まれる。
【0020】
図1は、特許文献1に見られるような従来技術における2部品の流体コネクタ10及び関連するベース80の斜視図であり、この開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。図2は、流体コネクタ10の分解斜視図であり、図3は、流体コネクタ10の底面図であり、図4は、ベース80に接続された流体コネクタ10の断面図である。コネクタ10は、流路部分12及びラッチ部分14からなる2つの構成要素を含む。流路部分12及びラッチ部分14は共にハウジング15を形成する。ラッチ部分14は、作動レバー16、流体コネクタラッチ18、及び剛性停止部20を含む。
【0021】
作動レバー16、流体コネクタラッチ18、及び剛性停止部20は、一体構造として一体的に形成されている。さらに、作動レバー16は、それぞれの流体コネクタラッチ18とともにアームを形成する。これらのアームは、流路部分12に対して変位可能である。流体コネクタラッチ18は、少なくとも一部が流路部分12内に配置されるラッチ位置に変位可能である。さらに、アームは、ラッチ位置に向かって弾性的に付勢されている。
【0022】
図1及び図4に最もよく示されているように、流体コネクタ10の上面は、プロファイルを低減し、ユーザが着用した場合の潜在的な引っ掛かりを最小限に抑えるために丸くなっている。
【0023】
流路部分12は、流体コネクタ10を配管と接続するためのチュービングコネクタ部分22を含む。流路部分12は、スナップ嵌め係合によりラッチ部分14に固定することができる。
【0024】
図1図3及び4に示されるように、流路部分12は、ハウジング15の近位内面から遠位側に延びる鈍頭のカニューレ22を有する。流体コネクタ10を、ユーザの皮膚に挿入された患者カニューレ84を付帯するベース80に接続すると、鈍頭のカニューレ22は、ベース80のマッシュルーム形状のヘッド82の隔壁86を貫通して、ポンプをベース80の遠位側の患者カニューレ86と流体的に接続する。
【0025】
好ましくは、ユーザは、遠位方向(すなわち真下)に押して流体コネクタ10を対応するベース80に取り付け、ベース80のマッシュルーム形状のヘッド82との接触により流体コネクタラッチ18を外側に押し出し、マッシュルーム形状のヘッド82を流体コネクタ10が回避して、流体コネクタラッチ18の内向きの弾性バイアスにより遠位側にラッチしたら、流体コネクタ10を所定の位置にスナップする。
【0026】
流体コネクタ10をベース80から解放するために、ユーザは、例えば、作動レバー16が、剛性停止部20に接触するまで圧迫する。この動作により、流体コネクタラッチ18を半径方向の外側に十分に旋回及び変位させて、マッシュルーム形状のヘッド82を通過させることにより、流体コネクタラッチ18をベース80のマッシュルーム形状のヘッド82から外す。その後、ユーザは流体コネクタ10をベース80から近位側に持ち上げる。
【0027】
作動レバー16は、その上の中央に配置されたフィンガーバンプ(finger bumps)24を有しており、ユーザが作動レバー16を見つけて使用するのを助けることができる。
【0028】
しかし、多くのユーザは、指の触覚特徴が低下している可能性があり、流体コネクタ10のサイズが小さいと、ベース80との接続が困難になる可能性がある。さらに、流体コネクタ10の丸い表面では、流体コネクタを握るときに、ユーザの指が滑る可能性がある。さらに、市場にある多くの流体コネクタは、水平に(すなわち、実質的に皮膚表面に平行に)又は非垂直の角度でスライドすることによりベースに接続する。したがって、流体コネクタ10とベース80との垂直接続は、ユーザには馴染みがないかもしれない。流体コネクタ10自体は、流体コネクタ10をベース80に接続する方法を示していない。さらに、丸い作動レバー16上のフィンガーバンプ24の中心位置は、潜在的にユーザの指の滑りをもたらす可能性がある。
【0029】
図5は、本発明の実施形態におけるベース80などのベースに接続された流体コネクタ100の側面図である。図6は、流体コネクタ100の上面図である。流路部分102及びラッチ部分104は共にハウジング106を形成する。ラッチ部分104は、流路部分102の斜視図である図7から省略されている。明示的には示されていないが、前述のハウジング15のように、ハウジング106は、ハウジング106の近位内面から遠位側に延びる鈍頭のカニューレ105を有する。カニューレ105は、図5に示される長手方向軸112を有する。
【0030】
図5乃至図7に示すように、流体コネクタ10のような丸い上面ではなく、流路部分102の近位外面は、触覚特徴部(a tactile feature)110を有する部分108を有する。一実施形態によれば、部分108は、好ましくは上面平坦部分である。他の実施形態によれば、部分108は、凸形状又は凹形状である。一実施形態によれば、触覚特徴部110は、表面108から近位側に突出し、隆起する。好ましくは、触覚特徴部110は、カニューレ105の長手方向軸112を中心とする。このような触覚特徴部110は、カニューレの長手方向軸の位置を触覚的にユーザに知らせるので、流体コネクタ100をベース80に接続する際にユーザの助けとなる。したがって、流体コネクタ10をベース80の中心に置き、ベース80との接続を行うために流体コネクタ10を押し下げる位置をユーザに知らせる。
【0031】
触覚特徴部110は、好ましくは隆起しているが、いくつかの実施形態によれば、触覚特徴部110は、窪んでもよい。さらに、触覚特徴部110が部分108から近位側に突出するように隆起したとしても、好ましくは、流体コネクタ100の高さプロファイルは、少なくとも流体コネクタ10の高さプロファイルよりも大きくない。そのような構成は、流体コネクタ10と比較して引っ掛かりを減らすことができる。
【0032】
一実施形態によれば、図5乃至図7に示されるように、触覚特徴部110は、カニューレの長手方向軸112を中心とする三角形に配置された3つの隆起である。図8では、触覚特徴部110は、カニューレの長手方向軸112を中心とする三角形に配置された3つの隆起でもあるが、三角形の向きは、図7の三角形の向きに対して反転している。
【0033】
図9乃至17は、本発明の他の実施形態による流体コネクタのそれぞれの上面図である。これらの実施形態のそれぞれにおいて、触覚特徴部は、カニューレの長手方向軸112を中心として置かれている。図9では、触覚特徴部110はリングであり、図10では、触覚特徴部は複数の同心リングである。図11では、触覚特徴部110は十字形状、又は、クロスした形状、又は、交差であり、図12では、触覚特徴部110はX字形状である。図13では、触覚特徴部110は十字線である。
【0034】
図14及び図15に示されるように、触覚特徴部110は、複数の線形リブである。図14では、線形リブは、ハウジング106の前方から後方へ延びるように方向付けられ、図15では、線形リブは、横方向に延びるように方向付けられる。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、線形リブの他の向きが可能であることを理解するであろう。
【0035】
図16及び図17に示されるように、触覚特徴部110は、複数の弓状リブである。図16では、弓状リブは同じ方向に向けられており、図17では、弓状リブは異なる方向に向けられている。いくつかの実施形態では、図9乃至図17の触覚特徴部110は隆起し、いくつかの実施形態では、図9乃至図17の触覚特徴部は窪んでいる。
【0036】
図18に示すように、ラッチ部分104の作動レバー114は、作動レバー114の近位部分に配置された横方向の触覚特徴部116を含む。横方向の触覚特徴部116は、ユーザの握りからの流体コネクタ100の遠位滑りを防止するのに役立つ。いくつかの実施形態では、横方向の触覚特徴部116は、作動レバー114の外面から窪んでいるが、横方向の触覚特徴部116は、隆起している(半径方向外側に延びる)ことが好ましい。また、横方向の触覚特徴部116は、特に、横方向の触覚特徴部が隆起している場合に、ユーザが流体コネクタをベース80から持ち上げるのを助けることができる。一実施形態によれば、横方向の触覚特徴部116は、複数の横方向への片持ち支柱116である。一実施形態によれば、複数の横方向への片持ち支柱116は、図18に示されているような複数の横方向に片持ちされた多角形を含む。別の実施形態(図示せず)によれば、複数の横方向への片持ち支柱116は、複数の横方向への片持ち長方形柱を含む。
【0037】
図19に示すように、横方向の触覚特徴部116は、複数の丸い隆起116を含むことができ、図20に示すように、横方向の触覚特徴部116は、複数の片持ち円筒状支柱116を含むことができる。
【0038】
図21及び図22には、それぞれの作動レバー114が、作動レバー114の最後方に配置された横方向の触覚特徴部118を含む実施形態を示す。一実施形態によれば、横方向の触覚特徴部118は、ユーザの握りからの流体コネクタ100の前方への滑りを防ぐために、外側に突出する、又は隆起した垂直リッジ(a vertical ridge)118を含む。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、垂直リッジ以外の形状を採用できることを理解するであろう。例えば、いくつかの実施形態は、窪んだ触覚特徴部118を含む。
【0039】
図21では、従来技術における流体コネクタ10の作動レバー16の非バイアス位置又は静止位置が、点線で示されている。図21に見られるように、作動レバー114の非バイアス位置は、従来技術における作動レバー16の非バイアス位置に対して外向きに広がっている。さらに、剛性停止部120は、従来技術における流体コネクタ10の剛性停止部20よりも横方向に広く、作動レバー114は、横方向内向きの突起部122を有する。幅の広い剛性停止部120及び横方向内向きの突起部122は、組み合わされて、作動レバーがおよそ平行である内向きへの圧迫位置か、又は平行をわずかに超えている解放位置を提供する。この新たな構成は、また、従来技術の作動レバー16におけるV字形の解放位置と比較して、ユーザの握りからの流体コネクタ100の前方への滑りを防ぐのに役立つ。
【0040】
図23に示すように、流体コネクタ100は、流体コネクタの位置決めを支援し、ユーザの握りからの滑りを防止するための特徴の組み合わせを含むことができる。例えば、流体コネクタは、その上に配置された触覚特徴部110を備えた平坦部分108を含むことができ、作動レバー114は、横方向に片持ちされた多角形116及び垂直リッジ118を含むことができる。いくつかの実施形態において、触覚特徴部110,114,116のいくつか又は全てが窪んでいる。さらに、静止時には、作動レバー114は、従来技術の作動レバー16と比較して、横方向外側に広がることができる。さらに、いくつかの実施形態では、部分108は、凹形状又は凸形状であり得る。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、特徴の他の組み合わせを使用できることを理解するであろう。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態のみを示して説明したが、本発明は、説明した実施形態に限定されない。本発明の範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に他の変更を加えることもできることを当業者は理解するであろう。さらに、実施形態、特徴、及び/又は要素が互いに矛盾しない限り、本明細書に開示される実施形態、特徴、及び/又は要素のいずれかを互いに組み合わせて、具体的に開示されていない様々な追加の組み合わせを形成してもよい。そのような変更及び組み合わせは全て、添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物によって定義される本発明の範囲内にあるとみなされる。
図1
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図23