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▶ フィッシャー アンド パイケル ヘルスケア リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147758
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ヘッドギア用のヨーク
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/06 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
A61M16/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024116831
(22)【出願日】2024-07-22
(62)【分割の表示】P 2023020715の分割
【原出願日】2017-09-28
(31)【優先権主張番号】62/401,063
(32)【優先日】2016-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518329918
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FISHER & PAYKEL HEALTHCARE LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ホッキング, ジェイク ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】ペレイラ, プリヤンカ フェルディナンド
(72)【発明者】
【氏名】ウォールズ, ブルース マイケル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】呼吸システムの患者インターフェースのためのヘッドギアアセンブリを提供する。
【解決手段】開示する装置、方法、及びシステムは、呼吸マスクシステム1000のためのヘッドギアアセンブリ3000に関し、ヘッドギアは、少なくとも部分的にエラストマ材料から形成されているヨーク100を備える。ヨーク100は、ヨーク100をヘッドギアアセンブリ3000に取り付けるために、張力下で引き伸ばされるように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸システムの患者インターフェース用のヘッドギアアセンブリであって、
使用者の頭に巻き付ける少なくとも1つのストラップと、
前記少なくとも1つのストラップの端部に連結されるヨークとを備え、
前記ヨークが、前記ヨークを可撓性にするエラストマ材料から少なくとも部分的に形成されており、
前記ヨークが、前記ヨークの末端部で終端する2つの側部領域の間に位置する中間領域と、前記患者インターフェースの第1の保持部に係合するように構成された第1の係合部と、前記患者インターフェースの第2の保持部に係合するように構成された第2の係合部とを備え、
前記ヨークの各係合部が、前記ヨークの各側部領域に位置する開口の形態であり、各保持部が、前記患者インターフェースから突出する突出アームの形態である、ヘッドギアアセンブリ。
【請求項2】
前記突出アームが柱状部である、請求項1に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項3】
前記ヨークの前記側部領域が、実質上剛性である、請求項1又は2に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項4】
前記ヨークが、エラストマ材料から完全に形成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項5】
各開口が、前記ヨークの前面から前記ヨークの背面まで前記ヨークを通過している、請求項1~4のいずれか一項に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項6】
各開口が、前記ヨークの前面と前記ヨークの背面との間の点まで前記ヨークを通過している、請求項1~5のいずれか一項に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項7】
前記ヨークが多層状である、請求項1~6のいずれか一項に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項8】
多層状の前記ヨークが、前記ヨークの長さに沿って延びる第1の層と、前記2つの側部領域のそれぞれに設けられた第2の層とを備える、請求項7に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項9】
前記第1の層と前記第2の層とが、同じ材料で作られている、請求項8に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項10】
少なくとも1つのポケットが、前記ヨーク内に形成されている、請求項7又は8に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項11】
前記少なくとも1つのポケットが、前記ヨークの複数の層の間に形成されている、請求項10に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項12】
各開口が、各ポケットを形成する内側開口へのアクセスを提供する、請求項10又は11に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項13】
前記ヨークの前記2つの側部領域がそれぞれ、他方の側部領域から独立して曲がるように構成され、一方の側部領域に加えられた力が、他方の側部領域から隔てられるようになっている、請求項1~12のいずれか一項に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項14】
前記ヨークの前記末端部が、可撓性コネクタに直接又は間接的に取り付けることができ、前記ヨーク又はヨークの前記末端部とコネクタアセンブリとが、互いに向かう若しくは互いから離れるように曲がることができるか、又は前記ヨークの前記中間領域に対して上下に曲がることができるようになっている、請求項1~13のいずれか一項に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項15】
前記少なくとも1つのストラップが、一対の前部ストラップに連結される背部ストラップを備え、前記ヨークの前記末端部が、前記前部ストラップの自由端部に連結するように構成される、請求項1~14のいずれか一項に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項16】
マスクアセンブリを備える患者インターフェースと、
請求項1~15のいずれか一項に記載のヘッドギアアセンブリと
を備える呼吸システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、患者に呼吸療法を送達するための呼吸システムに関する。より詳細には、本開示は、呼吸システムで使用するためのヨーク及びヘッドギアのアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の呼吸器疾患又は症状のいずれかを患っている人の気道へ呼吸療法を提供するために、呼吸マスクが使用されている。そのような療法は、それだけに限定されるものではないが、持続的気道陽圧(CPAP)療法及び非侵襲的換気(NIV)療法を含むことができる。
【0003】
CPAP療法は、睡眠中に患者の気道が断続的に塞がり、一定期間にわたって患者が呼吸できなくなる症状である閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を治療するために使用することができる。呼吸の中断、すなわち無呼吸の結果、患者は目を覚ます。反復的かつ頻繁な無呼吸の結果、患者はたまにしか、体力を回復させる十分な夜の睡眠を実現することができない。
【0004】
CPAP療法は、呼吸マスクを介して患者の気道へ持続的気道陽圧の供給を送達することを伴う。持続的陽圧は、患者の気道内で添え木として作用し、患者の呼吸及び睡眠が妨げられないように、気道を開放位置で固定する。
【0005】
呼吸マスクは、典型的には、患者インターフェース及びヘッドギアを備え、患者インターフェースは、クッションモジュールを介して患者の気道に持続的気道陽圧の供給を送達するように構成され、クッションモジュールは、典型的には、シール及びフレームのアセンブリを備える。クッションモジュールのシールは、患者の鼻及び/又は口の中又はその周りに気密シールを形成するように構成される。呼吸マスクは、顔全体、鼻、直接鼻及び口用のマスクを含む様式の範囲内で利用可能であり、鼻及び/又は口に対する気密シールを形成する。クッションモジュールは、ヘッドギアによって患者の顔に定位置で保持される。気密シールを維持するために、ヘッドギアは、患者インターフェースが使用中に患者の顔に対して安定した位置で保持されるように、患者インターフェースに対する支持を提供するべきである。そのような呼吸マスクはまた、NIV及び他の療法を送達するために使用することができる。
【0006】
図1に示すように、ヘッドギアとクッションモジュールとの間の連結点を形成するために、ヨークを使用することができる。ヨークは、2つの末端間に位置する中間領域を備え、末端はそれぞれ、典型的には、ヘッドギアの前部ストラップの自由端に取り付けられる。ヨークを備えるヘッドギアは、一般に、ヘッドギアの背部ストラップ、前部ストラップ、及びヨークがともに連結されて閉ループを形成するため、閉ループヘッドギアと呼ぶことができる。ヨークの形状及び幅は、患者の顔に対するヨークの端部(及びヘッドギアの前部ストラップへの連結)の位置を決定する。ヨークがあまりに平坦で幅広い場合、モーメントアームが生じ、図2に示すように、患者の顔におけるクッションモジュールの安定性が低減する可能性がある。この問題は、患者の頭が小さい場合、又は特に顔の幅が狭い場合、悪化する可能性がある。この問題を克服するために、ヨークは、図3に示すように、ヨークの端部が患者の顔のより近くに位置決めされるように湾曲させることができる。しかし、図3に破線によって示すように、ヨークを湾曲させすぎた場合、特に患者の動きによりヨークに回転力が加わったとき、端部が患者の頬に食い込む可能性がある。ヨークの端部はまた、ヨーク端部の頭が大きい場合、又は顔の輪郭が実質上平坦である場合、患者の頬に食い込む可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に記載するシステム及びデバイスは、革新的な態様を有しているが、それらの態様はいずれも必須ではなく、そのようなシステム及びデバイスの所望の属性を単独で担うものでもない。特許請求の範囲の範囲を限定するものではないが、有利な特徴のいくつかについて次に要約する。
【0008】
第1の態様では、本発明は、呼吸システムの患者インターフェースのためのヘッドギアアセンブリを提供し、ヘッドギアが、使用者の頭に巻き付けるための少なくとも1つのストラップと、少なくとも1つのストラップの端部に連結されたヨークとを備え、ヨークが、少なくとも部分的にエラストマ材料から形成されており、ヨークが、患者インターフェースの少なくとも1つの保持部材に取り付けられるように構成された少なくとも1つの係合部材を備える。
【0009】
ヘッドギアが、1対の前部ストラップに連結された背部ストラップを備え、ヨークが、ヨークの末端で終端する2つの側部領域間に位置している中間領域を備え、ヨークの末端が、前部ストラップの自由端に連結するように構成されることが好ましい。
【0010】
任意選択で、ヨークが、完全にエラストマ材料から形成されている。
【0011】
一形態では、ヨークが、上面、下面、前面、及び背面を備え、ヨークの上面及び/又は下面及び/又は背面には、1対の段付き領域が設けられており、各段付き領域が、各側部領域から中間領域を分離している。任意選択で、各段付き領域が、側部領域から中間領域を分離している遷移壁を備え、各遷移壁が、患者インターフェースのフレームのチャネル内の対応する当接面と位置合わせされるように構成された当接面を形成している。当接面が互いに対向しており、ヨークの末端に向かって外方へ傾斜していることが好ましい。
【0012】
一形態では、ヨークの側部領域が実質上剛性である。
【0013】
任意選択で、ヨークの各側部領域が、ワッシャボックスハウジングを備える。一形態では、ヨークが、自動調節可能なヘッドギアシステムから1つ又は複数のフィラメントを受け入れるための少なくとも1つの収集チャンバを備える。
【0014】
一形態では、ヨークが末端を備え、各末端が、ヘッドギアコネクタアセンブリに連結されており、ヘッドギアコネクタアセンブリが、ワッシャボックスハウジングと、ヘッドギアの前部ストラップに連結するように構成されたコネクタとを備える。
【0015】
別の形態では、ヨークが末端を備え、各末端が、ヘッドギアの前部ストラップに連結するように構成されたコネクタに連結されている。
【0016】
任意選択で、ヨークが、実質上丸い縁部を備える。
【0017】
一形態では、ヨークの係合部材が、開口を備え、保持部材が、開口内に受け入れられるように構成されたアームを備える。
【0018】
第2の態様では、本発明は、前記請求項のいずれか一項のマスクアセンブリ及びヘッドギアアセンブリを備える患者インターフェースを具備する呼吸システムを提供する。
【0019】
一形態では、マスクアセンブリが、シール及びフレームのアセンブリを備え、フレームが、前面及び背面を備え、フレームの前面が、フレームを横切って横方向に延びているヨークチャネルを備え、ヨークチャネルが、ヘッドギアアセンブリのヨークを受け入れるように構成される。
【0020】
任意選択で、ヨークチャネルが、上面、下面、及び背面を備え、上面及び下面の縁部がそれぞれ、チャネルの前部開口を画定するリップを形成しており、チャネルのリップが、リップ間の最大距離がチャネルの上面と下面との間の最大距離より小さくなるように、互いの方へ突出している。
【0021】
一形態では、チャネルの上面及び下面が、チャネルの長さの少なくとも一部分に沿って実質上凹形であり、チャネルに実質上C字形の断面を与えている。
【0022】
ヨークチャネルが、ヨークをチャネル内に保持するように構成された1つ又は複数の保持部材を備えることが好ましい。
【0023】
任意選択で、各保持特徴が、ヨークがチャネル内に位置するとき、ヨークチャネルに交叉してヨークの前方に少なくとも部分的に突出するタブを備える。
【0024】
一形態では、マスクアセンブリが、前面及び背面を備えるフレームを具備し、1つ又は複数の保持部材が、ヨークの1つ又は複数の係合部材に係合するように、フレームの前面から突出している。
【0025】
任意選択で、マスクアセンブリが、1対のアームを備えるフレームを具備し、アームが、フレームの左側及び右側から突出しており、ヨークが、少なくとも1対の開口を備え、開口間の距離が、アーム間の距離より小さい。
【0026】
一形態では、各ヨーク開口が、ヨークに設けられたポケット又はループへのアクセスを提供し、各アームが、それぞれのヨーク開口を通過してポケット又はループに係合するように構成される。
【0027】
第3の態様では、本発明は、ヨークを患者インターフェースに取り付ける方法を提供し、この方法は、ヨークの第1の端部又はその付近に位置するヨークの第1の係合部材を、患者インターフェースの第1の側に位置する第1の保持部材に係合させ、第1の引留点でヨークを患者インターフェースに保持するステップと、ヨークの第2の端部又はその付近に位置する第2の係合部材が、患者インターフェースの第2の側に位置する第2の保持部材と実質上位置合わせされるまで、ヨークを第1の引留点に対して引っ張るステップと、ヨークを張力下で保持しながら、第2の保持部材を第2の係合部材に係合させるステップと、ヨークを解放するステップとを含む。
【0028】
また本明細書には、呼吸システム用のヘッドギアアセンブリが開示される。ヘッドギアが、1対の前部ストラップに連結された背部ストラップと、少なくとも部分的にエラストマ材料から形成されたヨークとを備える。ヨークが、ヨークの末端で終端する2つの側部領域間に位置している中間領域を備える。ヨークの末端が、ヘッドギアの前部ストラップの自由端に連結するように構成される。
【0029】
一形態では、ヨークが、完全にエラストマ材料から形成されている。
【0030】
一形態では、ヨークが、上面、下面、前面、及び背面を備える。ヨークの上面及び/又は下面及び/又は背面には、1対の段付き領域を設けることができ、各段付き領域が、側部領域から中間領域を分離している。一形態では、各段付き領域が、側部領域から中間領域を分離している遷移壁を備える。遷移壁が、患者インターフェースのフレームのチャネル内の対応する当接面と位置合わせされるように構成された当接面を形成している。任意選択で、当接面が、ヨークの前面から背面に向かう方向に互いの方へ傾斜している。
【0031】
一形態では、ヨークの側部領域が実質上剛性である。
【0032】
ヨークの各側部領域が、ワッシャボックスハウジングを備えることが好ましい。この形態では、ヨークが、自動調節可能なヘッドギアシステムから1つ又は複数のフィラメントを受け入れるための少なくとも1つの収集チャンバを備えることができる。
【0033】
一形態では、ヨークの各末端が、ヘッドギアコネクタアセンブリに連結されており、ヘッドギアコネクタアセンブリが、ワッシャボックスハウジングと、ヘッドギアの前部ストラップに連結するように構成されたストラップコネクタとを備える。別法として、ヨークの各末端が、ヘッドギアの前部ストラップに連結するように構成されたコネクタに連結されている。
【0034】
一形態では、ヨークが、実質上丸い縁部を備えることができる。この形態では、ヨークは、フレームに係合するように構成することができ、フレームが、実質上C字形の横方向断面を備えるヨークチャネルを有する。
【0035】
また本明細書には、クッションモジュールを備える患者インターフェースと、本発明の第1の態様のヘッドギアアセンブリとを具備する呼吸システムが開示される。
【0036】
一形態では、クッションモジュールが、シール及びフレームのアセンブリを備える。フレームが、前面及び背面を備えることができ、フレームの前面が、フレームを横切って横方向に延びているヨークチャネルを備える。ヨークチャネルは、ヘッドギアアセンブリのヨークを受け入れるように構成することができる。
【0037】
一形態では、ヨークチャネルが、上面、下面、及び背面を備える。上面及び下面の縁部がそれぞれ、チャネルの前部開口を画定するリップを形成することができる。チャネルのリップが、リップ間の距離がチャネルの上面と下面との間の最大距離より小さくなるように、互いの方へ突出することができる。任意選択で、チャネルの上面及び下面が、チャネルの長さの少なくとも一部分に沿って実質上凹形であり、チャネルに実質上「C字形」の断面を与えている。
【0038】
一形態では、ヨークチャネルが、ヨークをチャネル内に保持するように構成された複数の保持特徴を備える。各保持特徴が、任意選択で、ヨークがチャネル内に位置するとき、ヨークチャネルに交叉してヨークの前方に少なくとも部分的に突出するタブを備えることができる。
【0039】
また本明細書には、本明細書に開示するフレームと、本明細書に開示するヨークとを備える呼吸マスクシステムが開示される。フレーム及びヨークは、本明細書に記載する任意の特徴又は特徴の組合せを備えることができる。
【0040】
システム、構成要素、並びに組立て及び製造方法の実施形態について、添付の図を参照して次に説明する。添付の図全体にわたって、同様の番号が同様又は類似の要素を指す。いくつかの実施形態、例、及び例示について以下に開示するが、本明細書に記載する本発明は、具体的に開示する実施形態、例、及び例示の範囲を超え、本発明の他の用途並びに明らかな修正形態及びそれらの均等物を包含することができることが、当業者には理解されよう。本明細書に提示する説明で使用される術語は、本発明の特定の具体的な実施形態の詳細な説明とともに使用されているということだけで、限定的又は制限的に解釈されることを意図するものではない。追加として、本発明の実施形態は、いくつかの新規な特徴を備えることができ、いずれの特徴も、その所望の属性を単独で担うものではなく、本明細書に記載する本発明を実施するために必須ではない。
【0041】
以下の説明では、参照のみを目的として、特定の術語を使用することができ、したがってそのような術語は、限定することを意図するものではない。たとえば、「上」及び「下」などの用語は、参照する図面における方向を指す。
【0042】
「頂部」、「底部」、「上部」、「下部」、「前部」、「後部」、「左」、「右」、「背部」、及び「側部」などの用語は、議論の対象である構成要素又は要素について説明する本文及び関連する図面を参照することによって明らかになる、一貫しているが任意の座標系の範囲内で、構成要素又は要素の部分の向き及び/又は位置を示す。さらに、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、別個の構成要素について説明するために使用することができる。そのような術語は、具体的に上述した語句、それらの派生語、及び同様に重要な語句を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】ヨークを備えたヘッドギアアセンブリ、シールアセンブリ、及びフレームアセンブリを含むマスクアセンブリの斜視図である。
図2】きちんと合っていないヨークが患者の顔に対してどのようにずれうるかを示す、ヘッドギアをインターフェースのクッションモジュールに連結するためのヨークを備える患者インターフェースの概略平面図である。
図3】きちんと合っていないヨークが患者の顔に対してどのようにずれうるかを示す、患者インターフェースの別の概略平面図である。
図4】ヨークチャネルを備えたフレームの一形態の正面図である。
図5】ヨークがヨークチャネル内に連結された、図4のフレームの正面図である。
図6】その上面、背面、及び下面に段付き領域を有し、ヨークの本体内にワッシャボックスハウジング及び1対の中空の収集チャンバを含む、隠れた細部を示すヨークの一形態の上面図である。
図6A】ヨーク内の管状の収集チャンバを示す、図6のヨークの線B-Bに沿って切り取った側断面図である。
図7】コネクタアセンブリが取り付けられた、ヨークの一形態の背面斜視図である。
図8図7のヨーク及びコネクタのアセンブリの正面斜視図である。
図9】ヨークがエラストマであり、実質上「C字形」の断面を有するヨークチャネル内に嵌合するように構成された丸い縁部を有する、ヨーク及びフレームの別の形態の斜視図である。
図10図7に示す丸い縁部を有するヨークを受け入れるように実質上「C字形」の断面を有する、ヨークチャネルの一形態の概略側断面図である。
図11】フレームが、フレームのヨークチャネル内にヨークを保持するためのタブの形態の保持特徴を備える、ヨーク及びフレームの別の形態の正面図である。
図12】フレームが、開口の形態の保持部材を備え、ヨークが、フレームの開口に係合してヨークをフレームに保持するように構成された突出部又はフックの形態の係合部材を備える、ヨーク及びフレームの一形態の斜視図である。
図13】2つの側部領域間に位置する中間領域を有し、中間領域と側部領域との間の遷移領域で傾斜している案内面を示す、図6のヨークの上面図である。
図14】対応するヨークの案内面に係合するように傾斜している案内面を備えた湾曲チャネルを有するフレームを示す、図5の線A-Aを通って切り取った断面図である。
図15】フレームが、実質上対応する当接面を有するヨークに係合するような当接面を備えたヨークチャネルを有する、ヨークの様々な形態及びフレームの一形態の上面斜視図である。
図16A】フレームのヨークチャネル内にエラストマヨークを嵌合させる方法を示す図である。
図16B】フレームのヨークチャネル内にエラストマヨークを嵌合させる方法を示す図である。
図16C】フレームのヨークチャネル内にエラストマヨークを嵌合させる方法を示す図である。
図17】本発明のヨークの端部が実質上垂直にどのように曲がることができるかを矢印で示した側面斜視図である。
図18】フレームアセンブリの一形態に取り付けられたエラストマヨークのさらに別の形態の正面斜視図である。
図19図18のフレームアセンブリの側面斜視図である。
図20A図18のエラストマヨークを図18及び図19のフレームアセンブリに取り付ける方法を示す図である。
図20B図18のエラストマヨークを図18及び図19のフレームアセンブリに取り付ける方法を示す図である。
図20C図18のエラストマヨークを図18及び図19のフレームアセンブリに取り付ける方法を示す図である。
図21】ヨークが、使用者にとって快適な適合を提供するための調節システムを提供する調節可能なヨーク及びフレームのアセンブリの斜視図である。
図22】ヨークに取り付けるためのフレームの別の形態の斜視図である。
図23】ヨークに取り付けるための調節システムを提供するフレームのさらに別の形態の斜視図である。
図24】フレームアセンブリの一形態の一部分、及びフレームの保持部材又はアームに係合するポケットを有するヨークの一部分を示す図である。
図25】フレームの一部分を受け入れるためのポケット又はループを有する、エラストマヨークの一形態の概略断面図である。
図26】2つの布地層間に形成された少なくとも1つのポケットを有するエラストマヨークの別の形態の断面図であり、保持部材がポケットへの開口にアクセスすることを可能にするように第1の布地層に形成されたヨーク開口を示す。
図27】エラストマヨークを取り付けることができ、ヨークの開口に係合するための単一の保持部材又はアームを備える、フレームアセンブリのさらに別の形態を示す図である。
図28A図27のエラストマヨークを図27のフレームに取り付ける方法を示す図である。
図28B図27のエラストマヨークを図27のフレームに取り付ける方法を示す図である。
図29】本発明のヨークの端部が実質上水平にどのように曲がることができるかを矢印で示した概略上面図である。
図30A】指向性ロックをロック構成で示す、調節可能なヘッドギアアセンブリのワッシャボックス/指向性ロックハウジングの断面図である。
図30B】指向性ロックをロック構成で示す、調節可能なヘッドギアアセンブリのワッシャボックス/指向性ロックハウジングの断面図である。
図30C】指向性ロックを開放構成で示す、調節可能なヘッドギアアセンブリのワッシャボックス/指向性ロックハウジングの断面図である。
図30D】指向性ロックを開放構成で示す、調節可能なヘッドギアアセンブリのワッシャボックス/指向性ロックハウジングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図4~29を参照すると、本発明は、患者に呼吸療法を送達するための呼吸マスクシステム1000に関する。マスクシステム1000は、患者インターフェース2000を備えることができ、またヘッドギアアセンブリ3000を備えることができる。ヘッドギアアセンブリ3000は、ヘッドギア3000を患者インターフェース2000に取り付けるためのエラストマヨーク100を備えることができる。ヨーク100は、ヘッドギア3000の1つ若しくは複数のストラップと一体形成することができ、又はヨークは、ヘッドギアの1つ若しくは複数のストラップに着脱可能に連結することができる。
【0045】
一形態では、患者インターフェース2000は、シール及びフレームのアセンブリを備える。シール2100は、前面又は遠位面2110及び背面又は近位面2120を備えることができる。シール2100の背面2120は、使用中に患者の顔を実質上封止するように構成することができる。シール2100は、患者の口、鼻、又は両方を覆うように構成することができる。一形態では、シール2100は、患者の鼻孔を実質上封止する鼻ピローを備える。別の形態では、患者インターフェース2000は、高流量療法のために構成された鼻カニューレなどの非封止式インターフェースである。
【0046】
患者インターフェース2000のフレーム2200は、患者インターフェース2000をヘッドギア3000に取り付けるように構成することができる。一形態では、図1図4図5、及び図13に示すように、フレーム2200は、第1の表面又は前面2211と、実質上対向する第2の表面又は背面2212とを備える本体2210を具備する。フレーム2200はまた、患者インターフェース2000を介して患者にガスを送達するためにガス導管4000に取り付けられるように構成されたガス入口2220を備えることができる。任意選択で、フレーム2200はまた、1つ又は複数の出口換気孔2200を備えることができる。エラストマヨーク100は、典型的には、ヘッドギア3000をフレーム2200に取り付けるように構成される。
【0047】
一形態では、フレームの前面2211は、ヘッドギアアセンブリ3000のヨークの少なくとも一部分を受け入れるように構成されたヨークチャネル210を備える。ヨークチャネル210は、フレーム2200の前面2211の少なくとも一部分を横切って左から右へ延びることができる。
【0048】
図4図5、及び図10に示すように、ヨークチャネル210は、使用中は上面を形成する第1の壁211と、第1の壁211に実質上対向する下面を形成する第2の壁212と、第1の壁211と第2の壁212との間に延びる背面を形成する第3の壁213とによって画定することができる。チャネル210は、2つの側部領域210a、210bを備えることができ、各側部領域は、チャネル210の両端に位置し、2つの側部領域210a、210b間の実質上中心に、中間領域210cが位置する。
【0049】
一形態では、チャネル210の背面213の高さHは、チャネル210の上壁211と下壁212との間の距離によって実質上画定することができる。チャネル210の中間領域210cにおいて、チャネル210の最大高さは、一方又は両方の側部領域210a、210bにおけるチャネル210の最大高さより小さくすることができる。たとえば、チャネル210の上面211又は下面212は、チャネル210の長さに沿って実質上中心点に位置するピークを形成するように、対向する表面212、211の方へ湾曲又は傾斜させることができる。
【0050】
一形態では、図10に示すように、ヨークチャネル210の前部開口214の最大高さH(すなわち、フレームの前面におけるチャネルの両縁部間の距離)は、ヨークチャネル210の内部の上壁211と下壁212との間の最大高さHより小さくすることができる。たとえば、チャネル開口214の高さHは、チャネル210の背面213の高さHより小さくすることができる。いくつかの形態では、チャネル開口214の最大高さHは、チャネルの中間領域210cのみにおいて、チャネル210の内部の最大高さHより小さい。
【0051】
一形態では、ヨークチャネル210の下面212は、チャネルの背面213に向かって内方へ傾斜させることができる。
【0052】
一形態では、ヨークチャネルの上面211は、チャネル210の背面213に向かって内方へ傾斜させることができる。
【0053】
一形態では、ヨークチャネル210の下面212の深さは、チャネルの背面213と下面212の前縁部212aとの間の距離によって実質上画定することができ、下面212は、フレーム2200の前面2211と交わる。一形態では、ヨークチャネルの下面212の深さは、保持部材220又は当接面221(ヨークをヨークチャネル内に保持する)に隣り合う区域において、チャネルの中間領域210cの横方向の端部又はチャネル210の側部領域210a、210b若しくは端部215a、215bより大きくすることができる。別の形態では、下面212の深さは、ヨークチャネル210の端部に向かって先細りすることができる。
【0054】
一形態では、下面212の深さは、ヨークチャネル210の当接面221に隣り合う第1の深さから、ヨークチャネル210の横方向の端部215a、215bにおける第2の深さへ先細りする。
【0055】
フレーム2200及びヨークチャネル210は、患者の鼻又は口の周りの湾曲とある程度共形となるように、左から右へ実質上湾曲させることができる。別法又は追加として、フレーム2200及び/又はヨークチャネル210は、シール若しくは患者の顔に向かって、又はシール若しくは患者の顔から離れる方へ、上から下に下方へ傾斜又は湾曲させることができる。
【0056】
呼吸マスクシステム1000のヘッドギアアセンブリ3000は、患者インターフェース2000を患者の顔に保持するために使用される。ヘッドギアアセンブリ3000は、典型的には、患者インターフェース2000に取り付けられ、患者の頭の後ろにきつく巻き付けられて、患者インターフェース2000を患者の顔に封止する。
【0057】
ヘッドギアアセンブリ3000は、図1図5~13、図15~18、図20A~20C、図21、及び図24~29に最もよく示すように、ヘッドギア3000を患者インターフェース2000のフレーム2200に取り付けるように構成されたエラストマヨーク又は収集器100を備えることができる。ヨークは、ヨークをヘッドギアアセンブリに取り付けるために、張力下で引き伸ばされるように構成される。
【0058】
エラストマヨーク100は、伸縮性及び/又は可撓性とすることができ、またヘッドギアアセンブリ3000のストラップ3100に取り付けられるように構成することができる。図1に示す実施形態では、ヘッドギアアセンブリ3000は、患者の頭の後ろに巻き付くように構成された背部ストラップ3110と、患者の頭の上に巻き付くように構成された上部ストラップ3120と、使用中に患者の頬に沿って延びるように構成された1対の前部ストラップ3130とを含むストラップ3100のアセンブリを備える。一形態では、各前部ストラップ3130は、背部コネクタ3140によって、ヘッドギアアセンブリ3000の背部ストラップ3110に取り付けられる。別の形態では、背部ストラップ3110は、使用中に患者の頬に沿って延びる前部ストラップ3130を形成する側部延長部を備える。
【0059】
各前部ストラップ3130は、コネクタ3140を取り付けることができる自由端を備えることができる。各コネクタ3140は、ヨーク100に位置する相補形ストラップコネクタ101に係合することができる。前部ストラップ3130とヨーク100との間の連結は、スナップ嵌め連結、ねじ及びねじ山式の連結、又はフック式の連結など、任意の好適な形態の連結とすることができる。図1図5~13、図15~18、図20A~20C、図21、及び図24~29は、ヘッドギアアセンブリ3000をフレーム2200に取り付けるために使用することができるエラストマヨーク100の様々な形態を示す。ヨーク100は、末端115a、115bを有する実質上細長い本体110を備え、末端115a、115bは、ヘッドギアストラップに連結するように構成することができる。たとえば、ストラップコネクタ101は、ヨーク100の各端部又はその付近に位置することができる。
【0060】
エラストマヨーク100は、任意の好適なヘッドギアアセンブリ3000をフレーム2200に取り付けるように構成することができる。たとえば、いくつかの形態では、図6及び図6Aに示すように、ヨーク100は、参照により本明細書に組み込まれている国際公開第2016/043603号及び国際出願PCT/NZ2014/000074に記載されているものなど、自動調節可能なヘッドギアシステム3000で使用されるフィラメントのための収集器を形成することができる。この形態では、ヨーク100の各側部領域は、自動調節可能なヘッドギアシステムに対するワッシャ機構(指向性ロックと呼ぶこともできる)を備えるハウジング102又はワッシャボックスを具備することができる。ワッシャ機構/指向性ロックは、ヘッドギアの伸長中はフィラメントに摩擦係合するが、ヘッドギア3000の収縮中は比較的摩擦のない動きを可能にするように構成することができる。ワッシャボックス/指向性ロックハウジング102は、自動調節可能なヘッドギアシステム3000の指向性ロック及びフィラメントをヨーク本体110内に受け入れるようにヨーク/収集器100の側部領域に形成された実質上中空の凹部を備えることができる。
【0061】
図30A~30Dは、ハウジング/ワッシャボックス内の指向性ロック/ワッシャ機構と、第1及び第2のロック要素(たとえば、ワッシャ1820、1822)と、フィラメント/芯部材1830とを備える自動調節可能なヘッドギアシステムの一形態を示す。指向性ロックハウジングは、第1のチャンバ1840及び第2のチャンバ1842を備え、第1のチャンバ1840及び第2のチャンバ1842は、それぞれ第1のロックワッシャ1820及び第2のロックワッシャ1822を収容するように構成される。図示の配置では、第1のチャンバ1840及び第2のチャンバ1842は、ハウジング1810の内壁1812によって分離される。しかし、他の配置では、第1のチャンバ1840及び第2のチャンバ1842は、必ずしも物理的に別個の空間であるとは限らず、チャンバの一部とすることもできる。指向性ロックハウジング1810は、2つの端壁1814を備え、端壁1814は内壁1812とともに、フィラメント/芯部材1830が通過するための細長い芯開口/中空の凹部1860を有する。芯開口1860は、互いに実質上位置合わせされる。図の右側に示す端壁1814の芯開口1860は、図の左に示す内壁1812及び端壁1814の芯開口より大きい。これにより、ハウジング1810を通るフィラメント/芯部材1830の経路の操作が可能になる。第1のチャンバ1840及び第2のチャンバ1842はそれぞれ、内壁1812、端壁1814のうちの一方、及び1対の側壁1816によって区切られ、側壁1816は、ハウジング1810の端壁1814間に延びる。第1のチャンバ1840及び第2のチャンバ1842は、ハウジング1810の頂部及び底部のうちの一方又は両方で開くように構成される。
【0062】
第1のチャンバ1840及び第2のチャンバ1842はそれぞれ、ハウジング1810の対向する側壁1816で位置合わせされた1対のワッシャ保持部1850を有する。各対のワッシャ保持部1850は、第1のロックワッシャ1820又は第2のロックワッシャ1822のうちの一方をそれぞれの第1のチャンバ1840又は第2のチャンバ1842内で旋回可能に保持するように構成される。ワッシャ保持部は、円形のブッシュ1852及び細長いスロット1854を備え、円形のブッシュ1852は、ハウジングの底部と交差して入口を形成する。入口は、第1のロックワッシャ1820及び/又は第2のロックワッシャ1822をワッシャ保持部1850に受け入れることを可能にするように構成される。スロット1854は、円形のブッシュ1852からハウジング1810の頂部の方へ径方向に延びる。
【0063】
第1のワッシャ1820及び第2のワッシャ1822は、円筒形のシャフト1824と、シャフト1824から延びるアーム1826とを備える。円筒形のシャフト1824は、実質上同じ幅Wであり、ハウジング1810及びアーム1826は、第1のチャンバ1840及び第2のチャンバ1842内に嵌合するようにより狭くなっている。図示の配置では、アーム1826は、第1の区間1872及び第2の区間1874を備え、第1の区間1872は、円筒形のシャフト1824から径方向又は直交方向に延び、第2の区間1874は、第1の区間1872の端部から鈍角に延びる。第1のワッシャ1820のアーム1826の第1の区間1872は、第2のワッシャ1822のアーム1826の第1の区間1872より短い。第1のワッシャ1820のアーム1826の第1の区間1872と第2の区間1874との間の角度は、第2のワッシャ1822の対応する角度より大きい。これらの角度は、第1のワッシャ1820及び第2のワッシャ1822のうちの一方又は両方の第2の区間1874が、ワッシャ1820、1822の1つの位置で、ハウジング1810の対応する壁(たとえば、それぞれ内壁1812及び端壁1814)に実質上ぴったり接するように選択することができる。アーム1826の第2の区間1874は、中心に位置する円形の開口1876を備え、開口1876は、芯部材1830を受け入れるように構成される。第1のチャンバ1840及び第2のチャンバ1842は、収容すべきワッシャのサイズに応じてサイズが異なり、すなわち第1のワッシャ1820が第2のワッシャ1822より小さいため、第1のチャンバ1840は第2のチャンバ1842より小さい。
【0064】
第1のロックワッシャ1820及び第2のロックワッシャ1822の円筒形のシャフト1824は、ワッシャ保持部1850の円形のブッシュ1852と実質上同じ直径を有し、円形のブッシュ1852によってスナップ嵌め構成で受け入れられて保持されるように構成される。スナップ嵌め構成は、円形のブッシュ1852の入口が円筒形のシャフト1824の直径より狭いことによって提供される。ワッシャ保持部1850のスロット1854は、第1のロックワッシャ1820及び第2のロックワッシャ1822を入口に押し込んでハウジング1810に組み立てることができる容易さを増大させるために、入口を曲げ開くことを可能にするように構成される。ハウジング1810の第1のチャンバ1840及び第2のチャンバ1842内に組み立てられた後、第1のワッシャ1820及び第2のワッシャ1822は、円筒形のシャフト1824を通って延びる中心軸線の周りで後方及び前方へ旋回することができる。
【0065】
フィラメント/芯部材1830は、ハウジング1810の芯開口1860並びに第1のワッシャ1820及び第2のワッシャ1822の開口1876を通過するように構成される。芯部材1830に張力を加えることで、第1のロックワッシャ1820及び第2のロックワッシャ1822をロック位置及び/又は開放位置間で後方及び/又は前方へ旋回させる。図30A及び図30Bは、ロック構成にある指向性ロックを示し、図の左側に向かう方向の力が芯部材1830に加えられている(矢印によって示す)。この構成で芯部材1830に加えられる力により、第1のロックワッシャ1820及び第2のロックワッシャ1822は反時計回り方向に旋回し、したがって指向性ロック1800を通る芯部材1830の経路は非線形になり又は蛇行し、芯部材1830の動きが制限される。図30C及び図30Dは、開放構成にある指向性ロックを示し、図の右側に向かう方向の力が芯部材1830に加えられている(矢印によって示す)。この構成では、第1のロックワッシャ1820及び第2のロックワッシャ1822は時計回り方向に旋回し、したがって円形の開口1876及び芯開口1860は実質上直線で位置合わせされる。これにより、芯部材1830を指向性ロック1800に実質上自由に通すための平滑な経路が提供される。
【0066】
任意選択で、ヨーク100は、調節可能なヘッドギアシステム3000の少なくとも1つのフィラメント/芯部材を受け入れるための少なくとも1つの中空の収集チャンバ104を備える。中空の収集チャンバ104は、ワッシャボックスハウジング102内へ開いてワッシャボックスハウジング102間に延びることができる。たとえば、各中空の収集チャンバは、典型的には、フィラメント/芯部材1830に対する経路を形成するように、ワッシャボックス/指向性ロックハウジングのそれぞれの芯開口1860と位置合わせ及び連結され、その結果、フィラメント/芯部材1830は芯開口1860及びヨーク内の収集チャンバを通って延びることができる。一形態では、図6Aに示すように、ヨーク100は、2つの中空の収集チャンバ104a、104bを備えることができ、各収集チャンバは、ヘッドギアの他の調節機構のフィラメント又はワッシャボックスに干渉しないで、調節可能なヘッドギアシステム3000のフィラメントを受け入れるように構成される。一形態では、図6Aに示すように、各収集チャンバ104a、104bは、フィラメントを受け入れるための中空のチューブを構成する。チューブ(複数可)は、ヨークを製造するときにヨーク100内へオーバーモールディングすることができる。
【0067】
別の形態では、ヨーク100の各端部は、ストラップコネクタ101又はコネクタアセンブリに取り付けることができ、ストラップコネクタ101又はコネクタアセンブリはどちらも、ヨーク100をヘッドギア3000に取り付けるように構成されたワッシャボックスハウジング102及びストラップコネクタ101を備える。この形態では、ワッシャボックスハウジング102及び/又はコネクタ101は、ヨーク100とは別個に作ることができ、スナップ嵌め配置などの任意の好適な配置で、又はたとえばオーバーモールディングによって、ヨークの端部に取り付けられるように構成することができる。
【0068】
一形態では、図7及び図8に示すように、ワッシャボックスハウジング102が、ヨーク100の各端部に取り付けられ、ヘッドギアストラップコネクタ3140が、各ワッシャボックスハウジング102に取り付けられる。この場合も、たとえばスナップ嵌め配置、磁気連結、又はオーバーモールディングなど、任意の好適な形態の取付けを使用することができる。
【0069】
エラストマヨーク100は、前面111、背面112、上面113、及び下面114を備えることができる。ヨークの高さは、ヨークの上面と下面との間の距離によって画定することができ、ヨークの長さは、ヨークの両端部115間の距離によって画定することができる。
【0070】
一形態では、ヨーク100は、ヨーク100の長さに沿って傾斜又は湾曲させることができ、2つの側部領域110a、110b間に位置する中間領域110cを備えることができる。一形態では、側部領域110a、110bは、中間領域110cから延びてヨーク100の末端で終端する1対のアームを形成する。
【0071】
一形態では、ヨーク100の断面は、ヨーク100の長さに沿って変動することができる。たとえば、一形態では、ヨークの中間領域110cの高さはヨークの側部領域110a、110bの高さより小さく、より狭い中間領域110c及び広がった端部115を有するヨークが形成される。ヨークの中間領域110cを狭くすることによって、ヨークチャネル210の中間領域210cの高さをより低くすることができ、それにより、より大きいガス入口2220及び任意選択で出口換気孔2200を配置するための追加の空間が、フレーム本体2210に提供される。
【0072】
エラストマヨーク100は、ヨークが伸びて曲がることを可能にする任意の好適な材料又は材料の組合せから形成することができる。たとえば、ヨーク100は、ゴム加工された材料、シリコーン、又はエラストマから形成することができる。
【0073】
ヨーク100は、ヨーク100をフレームに取り付けるための患者インターフェース2000のフレーム2200の少なくとも1つの保持部材220に係合するように構成することができる。
【0074】
一形態では、ヨークは、1つ又は複数の係合部材120を備えることができ、フレームは、ヨークの係合部材(複数可)に係合してヨーク100をフレーム2200に保持する1つ又は複数の保持部材220を備えることができる。典型的には、ヨーク100の係合部材120及びフレームの保持部材220は、ヨーク100がフレーム2200に取り付けられているとき、ヨーク100を張力下で保持するように構成される。係合部材120及び保持部材220は、多くの異なる形態をとることができる。フレームがヨークチャネルを備える場合、ヨークチャネル210は、ヨーク100がヨークチャネル210から意図せず取り外されるのを防止することを意図した1つ又は複数の保持部材220を備えることができる。
【0075】
一形態では、ヨークチャネル210の壁211、212、213は、締付け又は摩擦力などを受けて、ヨーク100をチャネル210内に保持することによって、保持部材を形成するような形状にすることなどによって、保持部材として作用することができる。たとえば、ヨーク100は、引き伸ばされていない形態にあるとき、チャネル210の少なくとも一部分の高さより大きい高さを有するように寸法設定することができる。ヨーク100を引き伸ばすことによって、ヨーク本体110はより細くなり、チャネル210内に嵌合することができる。ヨーク100が解放されて引き伸ばされていない状態になると、ヨークの高さは再び増大し、その結果、ヨークの上面113及び下面114がチャネルの上面211及び下面212を押し付けて、締付け力及び/又は摩擦力下でヨーク100をチャネル210内で保持する。エラストマ材料は、追加の把持を提供することができ、又はさらなる把持を提供するようにテキスチャを付けることもできる。
【0076】
別の形態では、図9及び図10に示すように、ヨーク100は、丸い縁部を備える。丸い縁部は、ヨークの美的な魅力及び患者の手に持ったときのヨークの感覚を改善することができる。丸い縁部を有するヨークのより柔らかい見た目及び雰囲気は、特に寝室の環境にふさわしく魅力的なものになることができる。この実施形態では、ヨークの端部に一体形成するのではなく、ヨークの各端部でヨーク100とストラップコネクタ101との間に直接、ワッシャボックスハウジング102を連結することができる。ストラップコネクタ101及びワッシャボックスハウジング102は、ヨーク100とは別個に形成することができ、たとえばスナップ嵌め配置又はオーバーモールディングなどの任意の好適な取付けシステムによって、ともに取り付けられるように構成することができる。ヨーク100及びストラップコネクタ101はどちらも、エラストマ材料から作られることが好ましく、したがってこれらの部分がどちらも可撓性であり、実質上触ると柔らかい。
【0077】
一形態では、ヨークチャネル210の少なくとも一部分は、実質上丸い縁部を有するヨーク100に実質上対応するように構成された実質上丸い「C字形」の断面を有する。チャネル210の「C字形」のプロファイルは、実質上チャネル210の長さ全体に沿って延びることができ、又はチャネルの中間領域210cのみ若しくはチャネルの側部領域210a、210bのみに提供することができる。「C字形のプロファイル」は、少なくともチャネルの中間領域210cに提供されることが好ましい。たとえば、図10に示すように、ヨークチャネル210の少なくとも一部分は、実質上「C字形」の断面を備えることができ、チャネルの前部における開口214の高さHは、ヨークチャネルの最大内部高さHより小さい。この構成では、チャネルの上面211及び下面212の縁部はそれぞれ、チャネルの前部開口214を画定するリップを形成する。チャネル210のリップは、リップ間の距離がチャネルの上面211と下面212との間の最大距離より小さくなるように、互いの方へ突出する。一形態では、チャネルの上面211及び下面212は、チャネル210の長さに沿って実質上凹形であり、したがって上面211と下面212との間の最大距離が湾曲の中間点に見られる。一形態では、少なくともヨークチャネルの中間領域210cは、長手方向に凹形の上面211及び下面212を有する実質上「C字形」の横方向断面を備える。ヨークチャネルの少なくとも一部分が実質上「C字形」の横方向断面を備えるヨークチャネル210を提供することによって、肩部119又は当接面121だけでなく、ヨークのより大きい表面積に、すなわち少なくともヨークの中間領域210cの長さに沿って、保持力が加えられるため、ヨークチャネル210における実質上「C字形」の横方向断面を有するヨーク100の保持を改善することを可能にすることができる。
【0078】
ヨーク100の元の状態で、ヨーク100の高さ(すなわち、ヨークの上面と下面との間の最大距離)は、チャネル開口214の高さHより大きいが、チャネル210の内部高さHより小さく、実質上同じに、又はわずかに大きくすることができる。伸縮性/エラストマヨーク100の弾性は、ヨークチャネルの狭い前部開口214に嵌合するように、患者インターフェース2000のフレーム2200を横切ってヨークを引き伸ばして高さをより小さくすることができることを意味する。フレーム2200を横切って丸いヨーク100を引き伸ばすとき、ヨークの上面113又は下面114のうちの一方がまずヨークチャネル210の開口214に入るように、ヨークをわずかに捩じることもできる。これにより、開口214を通って嵌合するためにヨーク100をどれだけ引き伸ばす必要があるかを低減させることができる。次いでヨーク100は、チャネル210内に完全に押し込まれて解放され、ヨークはその元の引き伸ばされていない状態に戻る。引き伸ばされていないヨーク100の表面は、チャネル210の表面を押し付けて、ヨークをリップ状チャネル内で保持し、その後、ヨーク100は引き伸ばされてより細くなり、次いでチャネル210から引き出される。このようにして、ヨークチャネル210の壁211、212、213は、ヨーク100をヨークチャネル210内で保持するための保持部材として作用することができる。
【0079】
別の形態では、図11に示すように、フレーム2200は、ヨークがヨークチャネル210内に位置決めされるとき、ヨーク100に形成された凹部122に係合するように構成された突出部222の形態の少なくとも1つの保持部材220を備えることができる。別法として、図12に示すように、フレーム2200は、ヨークがフレームに位置するとき、たとえばヨーク100に設けられたアーム又はフックなどの突出部124の形態の係合部材に係合するように構成された凹部224の形態の保持部材を備えることができる。
【0080】
さらに別の形態では、図11に示すように、ヨークチャネル210は、ヨークがチャネル210内に位置するとき、少なくとも部分的にヨークチャネルの前部開口214に交叉してヨークの前面111の上へ突出する突出タブ222の形態の保持部材220を備えることができる。
【0081】
ヨークをヨークチャネル内で固定するのを助けるために、他の好適な形態の保持部材を使用することもできる。たとえば、ヨーク及びフレームはそれぞれ、互いに係合するように構成されたフックを備えることができる。
【0082】
任意選択で、ヨークチャネル210の1つ又は複数の壁211、212、213は、ヨークをヨークチャネル210内で保持するためにヨーク100の当接面121などの係合部材120に当接又は係合するように構成された当接面221などの保持部材220を形成するように特別な形状とすることができる。
【0083】
たとえば、図13~17に示すように、ヨーク100は、フレームの対応する当接面221の形態の保持部材220に締め付けられるように構成された当接面121の形態の少なくとも1つの係合部材120を備えることができる。ヨーク当接面121は概して、ヨーク100の中心を通過する仮想垂直線の方を向くことができ、ヨークの本体110の背面112及び/又は上面113及び/又は下面114から突出することができる。同様に、ヨークチャネル210は、当接面221の形態の少なくとも1つの相補形の保持部材を備えることができ、当接面221は概して、チャネル210の中心を通過する仮想垂直線から離れる方を向き、それぞれヨークチャネル210の背壁213及び/又は上壁211及び/又は下壁212に設けられる。
【0084】
別の形態では、少なくとも1つの当接面が、ヨークの対応する当接面を押し付けるように、ヨークチャネルの外側でフレームに位置することができる。
【0085】
ヨーク及び/又はフレームの当接面121、221は、使用者がヨーク100をフレームのヨークチャネル210内に正確に配置するのを助けるように構成することができる。任意選択で、ヨーク及び/又はフレームの当接面121、221は、ヨーク100がヨークチャネル210内で上下に正しい向きになることを確実にするように構成することができる。
【0086】
ヨーク100及びフレーム2200はそれぞれ、1対の当接面121、221を備えることが好ましい。たとえば、ヨーク100のそれぞれの側に、当接面121a、121bを備えることができ、当接面121a、121bは、ヨークの側部領域110a、110b、又は中間領域110cと側部領域110a、110bとの間の遷移領域に位置することが好ましい。同様に、ヨークチャネル210の左側及び右側はそれぞれ、当接面221a、221bを備えることができ、当接面221a、221bは、チャネルの側部領域210a、210b、又は中間領域210cと側部領域210a、210bとの間の遷移領域に位置することが好ましい。
【0087】
一形態では、図13及び図15に示すように、ヨーク100は、段付き状のプロファイルを備えることができ、したがって側部領域110a、110bは、中間領域110cより大きい。図14及び図15に示すように、フレーム2200のヨークチャネル210は、実質上対応する段付き状のプロファイルを備えることができ、したがってヨークチャネル210の側部領域210a、210bは、ヨークチャネル210の中間領域210cより大きい。各当接面121、221は、ヨーク100及びヨークチャネル210の中間領域110c、210cと側部領域110a、110b、210a、210bとの間の遷移領域に位置することが好ましい。たとえば、ヨークの各側部領域110a、110bの上面113は、ステップ又は肩部119を備えることができ、したがってヨークの中間領域110cの高さは、側部領域110a、110bの高さより小さくすることができる。各ステップ/肩部119は、中間領域110cと隣り合う側部領域110a、110bとの間に遷移面を備える。遷移面は、中間領域110cの上面113と側部領域110a、110bの上面113との間に、傾斜又は実質上直交する当接面121を構成することができる。
【0088】
ヨークの各当接面121は、フレーム2200内のヨークチャネルの対応する当接面221と実質上位置合わせされるように構成することができる。たとえば、ヨークチャネルの上壁211の側部領域210a、210bは、ステップ又は肩部216を形成するように、対応した形状の段付き状プロファイルを備えることができ、したがって側部領域210a、210bにおけるヨークチャネル210の高さは、中間領域210cより大きい。各ステップ/肩部216は、チャネル210の中間領域210cと隣り合う側部領域210a、210bとの間に遷移面を備える。遷移面は、傾斜又は実質上直交する当接面221を構成することができる。ヨーク及びヨークチャネルの当接面121、221は、互いを実質上補完するべきであることが好ましい。したがって、ヨークの傾斜している当接面121は、ヨークチャネルの対応して傾斜している当接面221に当接するように構成されるべきである。同様に、ヨークの実質上直交している当接面121は、ヨークチャネルの実質上直交している当接面221に当接するように構成されるべきである。
【0089】
他の形態では、ヨーク及びチャネルの下面114又は背面212は、上述したように、当接面121、221を提供するために、少なくとも1つの段付き状の又は傾斜している遷移面を有することができる。
【0090】
さらに別の形態では、段付き状の又は傾斜している遷移面は、ヨーク及びチャネルの下面114、212から上面113、211及び背面112、213の周りに延びることができる。若しくは、段付き状の又は傾斜している遷移面は、ヨーク及びチャネルの下面114、212及び背面112、213、又はヨーク及びチャネルの下面114、212、背面112、213、及び上面113、211に形成することができる。
【0091】
一形態では、図5図7図8図13図15、及び図17に示すように、ヨークの上面113及び/又は下面114(複数可)は、ヨークの前面111から背面112に向かう方向に互いに向かって内方へ傾斜する1対の当接面121を提供するように構成することができる。図4図5図14図15、及び図17に示すように、ヨークチャネル210の当接面221は、場合によって、チャネルの上面211及び/又は下面212(複数可)に、対応して傾斜して位置することができる。
【0092】
この形態では、図13及び図14に示すように、ヨークの当接面121間の最小距離Wは、ヨークチャネル又はフレームの当接面221間の最大距離Wより小さくするべきである。この構成では、ヨーク100をヨークチャネル210内に嵌合させるために、ヨーク100が引き伸ばされ、その結果、ヨークの中間領域110cがチャネルの中間領域210cより長くなる。引き伸ばされたヨーク100がチャネル210内に嵌合された後、ヨークを解放して引き伸ばされていない状態にすることができる。ヨーク100が収縮して引き伸ばされていない状態になると、ヨークの当接面121は、ヨークチャネル210の当接面221の方へ収縮して当接面221を張力下で締め付け、ヨークをチャネル210内で定位置に保持する。
【0093】
理解されるように、ヨーク100がヨークチャネル210内に嵌合したとき、ヨーク及びヨークチャネルの当接面121、221の段付き状の又は傾斜しているプロファイルは、角度及び位置が実質上一致するべきである。
【0094】
ヨークの係合部材(複数可)120及びフレーム2200の保持部材(複数可)220はそれぞれ、ヨークがヘッドギアの前部ストラップ3130に取り付けられたとき、各前部ストラップの角度が患者の生理機能に適合することができるように、少なくともヨーク100の端部が曲がることができるヒンジ点を形成することができる。たとえば、ヨーク及びヨークチャネルの当接面121、221はそれぞれ、患者の顔にうまく合う快適な呼吸マスクシステム1000を形成するように、少なくともヨーク100の端部が曲がることができるヒンジ点を形成することができる。
【0095】
いくつかの形態では、ヨーク100は、患者がヨーク100をフレーム210に正確に配置するのを助けるために、案内面などの1つ又は複数のガイド118を提供するように構成することができ、ガイド118は、フレーム210の案内面218などの1つ又は複数の対応するガイドに当接するように構成される。たとえば、案内面118、218は、ヨーク100及びヨークチャネル210の表面に、先細りしたリードを備えることができる。いくつかの形態では、案内面118、218はまた、上述したように、ヨーク100をヨークチャネル210内で保持するのを助けるために、当接面121/221として作用することができる。たとえば、ヨーク100は、上述したように、1つ又は複数の肩部119を備えることができ、ヨークチャネル210は、実質上対応するプロファイルを備えることができる。ヨーク及びヨークチャネルの肩部119の1つ又は複数の表面は、患者がヨークをヨークチャネル内の正しい位置へ案内するのを助けることができる案内面118、218を構成することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、ヨーク及びフレームがそれぞれ、少なくとも2つの案内面を備えることが好ましく、ヨーク及びフレームの各側部領域又はその付近に1つの案内面を備えることが好ましい。
【0097】
少なくとも1つのガイド/案内面118が、ヨークの背面112及び/又は上面113及び/又は下面114に設けられることが好ましい。同様に、少なくとも1つの対応するガイド/案内面218を、ヨークチャネルの背壁213及び/又は上壁211及び/又は下壁212に設けることができる。追加又は別法として、少なくとも1つのガイド/案内面が、ヨークチャネルの外側でフレーム2200に位置することができる。
【0098】
一形態では、ヨークは、ヨークの背面及び/又は上面及び/又は下面から突出する1つ又は複数の突出部を備えることができる。突出部(複数可)はそれぞれ、フレームの対応する案内面に当接するように構成された少なくとも1つの案内面を備えることができる。
【0099】
ヨーク100の案内面118は、ヨーク本体110の隣り合う表面112、113、114に実質上直交することができ、又は隣り合う表面から0~90°の角度で傾斜することができる。たとえば、案内面118がヨークの上面113に位置する場合、案内面118は、上面113に対して0~90°角度で傾斜することができる。同様に、ヨークチャネル210の案内面218は、ヨークチャネルの隣り合う表面に実質上直交することができ、又はヨークチャネル210の隣り合う表面から0~90°の角度で傾斜することができる。
【0100】
一形態では、オーバーモールディングが、ヨークの各端部115又は側部領域110a、110b又はその付近に位置することができる。オーバーモールディングの1つ又は複数の縁部は、1つ又は複数の案内面118を形成することができる。
【0101】
どのような構成のガイド/案内面が使用されても、ヨーク100の案内面(複数可)118は、ヨーク100をヨークチャネル210内へ正確に案内するように、フレーム2200の案内面(複数可)に実質上対応することが好ましい。
【0102】
ガイド/案内面118、218は、患者がヨーク100をチャネル210内に正確に中心合わせ及び位置合わせするのを助けることができる指標を提供する。案内面118によって提供される指標は、それぞれ実質上直角の段付き状のプロファイルを有するヨーク及びヨークチャネルの肩部119、216に案内面が設けられる場合、特に有用となることができる。これは、肩部119、216の角が直角の場合、患者が位置合わせを誤りにくいからである。いくつかの形態では、ヨーク100及びチャネル210は、ヨーク100がチャネル210内へ嵌合されるとき、ヨーク及びチャネルの案内面118、218間の接触により、ヨークがヨークチャネル内に正確に位置合わせされて保持されたという触感フィードバックを患者に提供することができるように構成することができる。
【0103】
一形態では、図17に示すように、ヨークの前面111は、平滑であることが好ましく、ヨーク100がヨークチャネル210内に適切に嵌合されたとき、フレームの前面2211と実質上同一平面になるように構成することができる。この構成では、ヨーク及びフレームの前面111、2211を同一平面にすることで、ヨーク100がチャネル210内に正確に位置しているという有用な指標を患者に提供することができる。
【0104】
一形態では、実質上エラストマヨーク100の本体全体を伸縮性とすることができる。さらに別の形態では、ヨーク100の一部分のみが伸縮性である。たとえば、ヨーク100の一部分のみをエラストマ材料から形成することができる。
【0105】
一形態では、図15に示すように、ヨーク100は、エラストマ材料を含む伸縮性の中間領域110cと、剛性又は半剛性の側部領域110a、110bとを備える。一形態では、ヨーク100に追加の安定性を提供し、ヨーク100とフレーム2200との間の係合を高めるために、ヨークの側部領域110a、110bの少なくともいくつかの部分を実質上剛性とすることができる。ヨークの実質上剛性の部分は、ヘッドギアの前部ストラップ3130に改善された構造及び安定性を提供しながら、エラストマ中間領域110cとの連結の可撓性による柔軟性を維持し、図17及び図29に示すように、前部ストラップ3130の角度を可変にすることを可能にすることができる。いくつかの形態では、側部領域110a、110bはそれぞれ、上述したように、自動調節可能なヘッドギアシステム3000で使用されるワッシャ機構を保持するためのワッシャボックスハウジング102を備えることができる。
【0106】
一形態では、ヨークの実質上剛性の部分は、ヨーク100がヨークチャネル210内に正確に嵌合されたことを患者に示す触覚フィードバックを提供するように構成することができる。触覚フィードバックは、たとえば、クリックノイズ又は触感クリック又は連結の感覚の形態とすることができる。
【0107】
ヨーク100のエラストマの性質により、ヨークを操作(ヨークを長手方向に引き伸ばすことなどによる)してヨークチャネル210内に嵌合させ、ヨークをチャネル210内で定位置に保持することが可能になる。
【0108】
エラストマヨーク100の一形態をヨークチャネル210内に嵌合させる1つのプロセスは、図16A~16Cに示すように、以下のステップを含む。
1.ヨーク100の第1の端部115aをヨークチャネル210の対応する第1の端部に押し込む。ヨークが、肩部119と、ヨークの肩部119に形成することができる当接面121とを備える場合、エラストマヨーク100をヨークチャネル210内に嵌合させるプロセスはまた、ヨークの第1の肩部119aの第1の当接面121aをヨークチャネル210の対応する第1の肩部216aの第1の当接面221に当接するように位置合わせするステップを含むことができる。図16Bに示すように、ここでは摩擦力により、ヨーク100の第1の端部がチャネル210内に保持されるはずである。
2.ヨークチャネル210の前部開口を横切って、ヨーク100の自由な第2の端部115bをフレーム2200の他方の側へ巻き付ける。
3.ヨーク100の自由な第2の端部115bをフレーム2200から離れる方へ横方向に引っ張り、ヨークの第2の当接面121bがヨークチャネル210の第2の当接面221bよりヨークチャネル210の第2の端部に近くなるようにヨーク100を引き伸ばす。
4.ヨーク100の第2の端部115bをヨークチャネル210の第2の端部に押し込み、ヨーク100を解放する。ヨークが解放されると、ヨークにかかる張力が低減され、その結果、図16Cに示すように、ヨークは収縮し、ヨーク100の第2の当接面221bはヨークチャネル210の第2の当接面221bを締め付ける。
【0109】
ここでヨーク100はチャネル210内に保持されて、フレーム2200をヘッドギア3000に固定するはずである。ヨーク100の自由端は、ヨークチャネル210の横方向の端部215a、215bから突出し、ヘッドギア前部ストラップ3130の自由端に取り付けることができる。
【0110】
少なくとも1つの実施形態では、エラストマヨーク100をヨークチャネル210内に嵌合させる1つのプロセスは、
エラストマヨーク100の第1の端部115aをヨークチャネル210の対応する第1の端部215aに保持し又は押し込むステップと、
たとえばヨークを長手方向に引き伸ばすことなどによって、ヨーク100に張力を加えて、ヨークの少なくとも1つの寸法、形状、及び/又は構成を変えるステップと、
ヨーク100をヨークチャネル210内の位置に配置し又は押し込むステップと、
張力を解放し、たとえば当接面221又はヨークチャネルの1つ若しくは複数の壁などの保持部材220にヨーク100を係合させるステップとを含む。
【0111】
少なくとも1つの実施形態では、ヨーク100の少なくとも1つの寸法、形状、及び/又は構成は、ヨーク断面又はヨーク長さの変化である。
【0112】
少なくとも1つの実施形態では、ヨーク100に張力を加えて、ヨークの少なくとも1つの寸法、形状、及び/又は構成を変えるステップは、ヨークの長さの伸長及び/又は延長をもたらす。そのような実施形態では、ヨーク100の第1の当接面121aと第2の当接面121bとの間の距離Wは、ヨークチャネル210の第1の当接面221aと第2の当接面221bとの間の距離Wより大きくすることができる。
【0113】
少なくとも1つの実施形態では、ヨーク100にかかる張力を解放するステップは、ヨークの第2の当接面121bがヨークチャネル210の第2の当接面221bに当接するように、ヨークの長さを収縮又は低減させる。少なくともいくつかの構成では、張力のかかっているヨークの第1の当接面121a及び第2の当接面121bは、ヨークチャネル210の第1の当接面221a及び第2の当接面221bに圧縮力を加え、したがってヨーク100がヨークチャネル210内で保持される。
【0114】
少なくとも1つの実施形態では、ヨークチャネル210は、「C字形」の断面を備える。ヨーク100に張力を加えて、ヨークの少なくとも1つの寸法、形状、及び/又は構成を変えるステップは、ヨーク100の高さを、「C字形」の断面のヨークチャネル開口214の高さH以下に低減させる。
【0115】
少なくとも1つの実施形態では、ヨーク100に張力を加えて、ヨークの少なくとも1つの寸法、形状、及び/又は構成を変えるステップは、張力下にあるとき、ヨークがヨークチャネル開口214を通過することを可能にする。
【0116】
少なくとも1つの実施形態では、ヨーク100にかかる張力を解放して、ヨークを保持部材220に係合させるステップは、前方に引き伸ばされたヨーク100の高さをヨーク100の元の状態に戻し、次いでヨークの上面113及び下面114が、ヨークチャネルの上面211及び下面212を押し付けて、ヨーク100をヨークチャネル210内で保持する。
【0117】
別の実施形態では、図18~27に示すように、エラストマヨーク100は、エラストマ材料を含む細長いストリップを備える本体110を具備することができる。ヨークは、少なくとも部分的にエラストマ材料から形成することができ、完全にエラストマ材料から形成することができることが好ましく、したがってヨーク100のエラストマ部分は、ヨーク100の長さに沿って長手方向に延びるように構成することができる。いくつかの形態では、ヨーク100のエラストマ部分はまた、ヨーク100の高さに沿って横方向に伸びるように構成することができる。
【0118】
ヨーク100はまた、少なくとも、ヨーク100の本体110内に形成されたヨーク開口125の形態の係合部材120を備えることができる。各ヨーク開口125は、ヨークの前面111から背面112へ、又は2層ヨークなどの多層ヨークの中間点若しくは前面111と背面112との間の点へ、ヨーク100を通過することができる。
【0119】
1つ又は複数のヨーク開口125は、たとえば、孔あけ器を使用してヨーク開口(複数可)を形成すること、開口(複数可)をレーザ切断若しくはブレード切断すること、又はヨークを立体的に編んでヨーク内に1つ若しくは複数の開口125を形成することなど、任意の好適な方法を使用して、ヨーク内に形成することができる。
【0120】
各ヨーク開口125は、患者インターフェース2000のフレーム2200の保持部材220を受け入れるように構成される。保持部材220は、たとえば柱状部、引留点、又はフックなどの突出アーム223とすることができ、フレームから突出し、ヨーク開口125内に少なくとも部分的に受け入れられるように構成される。フレームは、単一のヨーク開口125に係合するための単一の保持部材223を備えることができる。別法として、フレーム2200は、2つ以上のヨーク開口125に係合するための2つ以上の保持部材223を備えることができる。さらに別の形態では、ヨーク100は、図21に示すように、フレームの1つ又は複数の保持部材223に係合するための複数のヨーク開口125を備えることによって、調節可能な嵌合を提供することができる。
【0121】
各ヨーク開口125は、フレーム2200の突出アーム223の上に配置されるように構成され、したがってアーム223の少なくとも一部分は、ヨーク開口125内に保持される。アーム223は、ヨーク開口125を通って延び、ヨークの前面111から突出することが好ましい。
【0122】
一形態では、患者インターフェース2000は、フレーム2200の左側及び右側から突出する1対のアーム223を備えることができ、ヨーク100は、少なくとも1対の開口125を備えることができる。開口125間の距離は、アーム223間の距離より小さくすることができ、したがって開口125を通ってアーム223を配置することによってヨークがフレームに取り付けられたとき、ヨークは張力下でフレームに保持される。
【0123】
たとえば、図18~21は、患者インターフェース2000のフレーム2200に設けられた1対の突出アーム223に係合するための少なくとも1対のヨーク開口125を備えるエラストマヨーク100を具備する呼吸マスクシステム1000の一形態を示す。この形態では、ヨーク100は、実質上細長い形状を有し、張力下にあるときはヨーク100の長さに沿って延びるように構成される。ヨーク100の各側部領域110a、110bに、ヨーク開口125が設けられる。
【0124】
一形態では、フレーム2200は、フレーム本体2210の前面2211に位置するヨークチャネル210を備えることができる。ヨークチャネル210の各端部215a、215bから、アーム223が突出することができる。各アーム223は、ヨークで引っ掛かったり裂けたりすることなく、それぞれのヨーク開口125を通ってアーム223を案内するのを助けるために、丸い端部を備えることが好ましい。この構成は、ヨークが伸縮性のある布地から形成されている場合に特に有用である。
【0125】
ヨーク100は、ヨークチャネル210の上面211及び下面212がヨークのそれぞれの上面113及び下面114に当接し又は隣り合うことができるように、少なくとも部分的にヨークチャネル210内に位置するように構成される。ヨークチャネル210は、ヨーク100がフレーム2200で上方又は下方へ滑ることを防止するのを助ける。このようにして、ヨーク100は、ヨークがフレーム2200に対してゆがむことを防止するのを助けるために、フレームの実質上中心に位置することができる。
【0126】
別の形態では、ヨークは、フレームの前面を押し付け、張力下でフレームに保持されるように構成することができ、フレームは必ずしもヨークチャネルを備えるとは限らない。
【0127】
図18及び図20A~20Cのヨーク100は、1対のヨーク開口125を備えており、ヨークがヨークチャネル210に沿って位置決めされたとき、ヨーク開口125が突出アーム223の近傍に位置するように、1つのヨーク開口125がヨークの各側部領域110a、110bに位置する。一形態では、図20Aに示すように、各ヨーク開口125はスロットの形態であり、各アーム223は、ヨーク100の対応するヨーク開口/スロット125を通って突出する細いタブの形態である。
【0128】
ヨーク100をフレーム2200に取り付ける方法が、図20A~20Cに示されている。第1のステップとして、ヨーク100は、フレームの前面2211の近傍に位置決めされる。次いで、ヨークをフレーム及び第1のアーム223aの上へ引っ張ることによって、ヨーク100の一方の端部がフレームに取り付けられ、その結果、図20Bに示すように、第1のアーム223aは第1のヨーク開口125aを通って突出する。次いで、エラストマヨークをヨークの長さに沿って引き伸ばし、フレーム2200及びヨークチャネル210を横切って引っ張り、第2のアーム223bを第2のヨーク開口125bに位置合わせする。次いで、ヨーク100の張力を少なくともある程度解放して、第2のアーム223bが第2のヨーク開口125bを通って突出することを可能にする。ここでヨークは、図20Cに示すように、フレームに取り付けられる。ヨーク100がフレーム2200に保持されるとき、ヨーク開口125a、125b間に位置するヨーク100の中間領域は、張力下でわずかに引き伸ばされたままであることが好ましい。このようにして、ヨーク100は、フレーム2200を横切ってぴんと引っ張られて、滑り嵌めをもたらし、患者インターフェース2000を患者の顔に保持する。
【0129】
保持部材/アーム223及びヨーク開口125は、ヨーク100をフレーム2200に安定した位置で取り付け、ヨークを張力下で保持することを可能にするフレーム2200の任意の好適な位置に設けることができる。たとえば、1対のヨーク開口は、ヨークチャネル210又はフレーム2200の中間領域に設けられた対応するアーム223に取り付けられるように、ヨークの中間領域内に設けることができる。
【0130】
いくつかの形態では、図27に示すように、ヨークチャネル210の下壁212は、ヨークチャネル210から下方へ延びる舌状部を形成するガイド218を備えることができる。ガイド218は、ヨーク100が上方及びチャネル210内へ摺動することを促進することによって、使用者がヨーク100をヨークチャネル210内に正確に配置するのを助ける。ヨーク100がチャネル210内で正しい位置についた後、ヨークチャネルの上壁211は、ヨーク100がフレーム2200をさらに上に摺動するのを防止する。
【0131】
いくつかの形態では、患者インターフェースのフレームが、ヨークを保持することができるヨークチャネルを含む必要はない。ヨーク100は、別法として、フレームの前面に形成された保持部材220に取り付けることができる。たとえば、アーム223は、任意の好適な位置で、フレーム2200の前面2211から突出することができる。アーム223及びヨークの対応するヨーク開口125は、ヨークがアームに係合されたとき、ヨークを張力下で保持するように構成されることが好ましい。一形態では、図22に示すように、少なくとも1つのアーム223が、フレーム2200の反対側の左側及び右側から突出する。他の形態では、2つ以上のアーム223が、フレーム2200の左側及び右側から突出することができる。たとえば、図23は、第1の対の下部保持部材/アーム223a、223bを備えるフレーム2200を示し、アーム223a、223bは、フレーム2200の左側及び右側から突出する。フレーム2200はまた、第2の対の上部保持部材/アーム223c、223dを備え、アーム223c、223dは、下部アーム223a、223bの上に位置し、フレーム2200の左側及び右側のそれぞれから突出する。この形態では、対応するヨークは、1対の上部及び下部のヨーク開口125を備えることができる。この形態では、ヨークの左右の側部領域110a、110bのそれぞれに2つのヨーク開口が上下に位置決めされ、フレームのそれぞれの左側及び右側のアーム223a、223bに係合する。別法として、ヨーク100は、図18及び図21に示すように、ヨークの各側部領域に位置する少なくとも1つの係合開口125を有することができる。各開口125は、下部の1対のアーム223a、223bのうちの1つ、又は上部の1対のアーム223c、223dのうちの1つに、選択的に係合させることができる。この構成では、ヨーク及びフレームは、使用者に対する調節可能な嵌合を提供する。
【0132】
どちらの形態でも、図20A~20Cに示すように、ヨークの一方の側部領域のヨーク開口(複数可)125を、フレームの対応する側のアーム(複数可)223に係合させ、次いでヨークをヨークの長さに沿って引き伸ばし、ヨークの他方の側部領域の他方のヨーク開口(複数可)を、フレームの他方の側の他方のアーム(複数可)に位置合わせした後、選択された他方のヨーク開口(複数可)を通って他方のアーム(複数可)を嵌合させて、ヨークを解放することによって、ヨーク100をフレーム2200に取り付けることができる。
【0133】
図21に示すように、ヨーク100が、ヨークの長さの少なくとも一部分に沿って延びる一連のヨーク開口125を備え、フレーム2200が、1つ又は複数のアーム223を備える場合、使用者は、ヨークを調節して快適な適合を提供するために、どのヨーク開口をアーム(複数可)に係合させるかを選択することができる。
【0134】
図24~26は、フレーム本体2210aの一部分と、ヨーク100をフレーム2200に取り付けるためにフレームの保持部材/アーム223に係合するように構成された係合部材/ヨーク開口125を備えるヨークの代替形態とを示す。これらの形態では、ヨークは、フレームの1つ又は複数のアーム223を受け入れて係合するために少なくとも1つのポケット又はループを備えており、少なくとも2つのポケット又はループ129を備えることが好ましい。
【0135】
図24及び図26に示す実施形態では、ヨーク100は、多層エラストマ本体を備える。図示のように、ヨークは、実質上ヨークの長さに沿って延びる2つの布地層127、128を備えることが好ましい。しかし、他の形態では、ヨークは、3つ以上の布地層を備えることができる。ヨーク100はまた、1対の開口125を備えており、開口125の1つが、ヨークの各側部領域110a、110bに位置する。各開口125は、ヨーク100に設けられたポケット129へのアクセスを提供する。ポケット129は、布地層127、128間に存在する隙間126によって形成される。たとえば、ヨーク100が2つの布地層を備える場合、第1の内側布地層127が、第1の層127と第2の外側布地層128との間に形成された隙間126へのアクセスを可能にするヨーク開口125を含むことができる。ヨークが3つ以上の布地層を備える場合、ヨーク開口を内側層のみに形成して、内側層と隣り合う層との間のポケット隙間へのアクセスを提供することができ、又は2つ以上の布地層を通ってヨーク開口を形成して、ヨークのより深い層同士の間のポケット隙間へのアクセスを提供することができる。これらの形態では、布地層は、実質上ヨークの長さに沿って延びることが好ましい。
【0136】
別の形態では、ヨークのうち、側部領域などのいくつかの領域のみが、複数の布地層を備えることができる。各側部領域110a、100bに、2つの布地層が設けられることが好ましい。たとえば、図25に示す実施形態では、ヨーク100は、実質上ヨークの長さを横切って延びる第1のエラストマ布地層128を備えることができる。第2の内側布地層127が、ヨークの各側部領域110a、110bに設けられ、したがって各側部領域が、2つの布地層を備える。各側部領域110a、110bにおいて、2つの層127、128間に空間又は隙間126が設けられる。各隙間126は、少なくとも1つのヨーク開口125によってアクセスすることができ、ヨーク開口125は、内側布地層を通って形成することができる。別の形態では、図示のように、ヨーク開口125は、内側布地層127の内縁部に設けることができる。たとえば、2つの層127、128間で、内側層127が終端するヨークの中間領域110c付近の点に、隙間126を形成することができる。この隙間126は、2つの布地層127、128の上縁部及び下縁部を縫合、接合、溶接、又はその他の方法でともに取り付けるが、内側布地層127の内縁部は他方の布地層128に取り付けないことによって作製することができる。別法として、側部領域110a、110bに2つ以上の布地層127、128を有するようにヨークを立体的に編むことなど、各内側層の縁部にヨーク開口125を作製する他の形態を使用することもできる。ヨーク開口125は、ヨーク内にポケット129を形成するための内側隙間126へのアクセスを提供する。
【0137】
さらに別の形態では、図25に示すように、ヨーク100は、ヨークの長さに沿って2つ以上の位置に、2つ以上の布地層127、128を備えることができる。この形態では、ヨーク100は、実質上ヨークの長さに沿って延びる第1の布地層128を備えることができる。また、側部領域110a、110bに、又はヨーク100の長さに沿って、第2の布地層127のループ130を設けることもできる。たとえば、ヨークは、1対のループ130を備えることができ、1つのループ130が、ヨークの各側部領域110a、110bに位置する。別法として、ヨーク100は、調節可能な嵌合を可能にするために、1つ又は複数の保持部材223に係合する複数の取付け点/引留点を提供するように、各側部領域110a、110bに2つ以上のループ130を備えることができ、又はヨーク100の長さを横切って延びる複数のループ130を備えることができる。上述したように、ループ130の内縁部は、ループ状の布地127と第1の布地層128との間の隙間へのアクセスを提供するヨーク開口125を提供することができる。ループ130は、各ループが2つの布地層127、128間に保持部材223を受け入れて保持することができることから、ポケット129と同様に作用する。
【0138】
各ポケット129又はループ130は、対応する保持部材223をポケット/ループ内に受け入れるように構成される。この形態では、ヨークは、フレームがヨークチャネルを備えるか否かにかかわらず、フレームに取り付けることができる。布地層は、同じ材料から作っても異なる材料から作ってもよい。たとえば、さらなる快適さを使用者に提供するために、内側布地層は外側層より柔軟にすることができる。
【0139】
ポケット129/ループ130は、任意の好適な方法によって形成することができる。一形態では、ヨーク100は、ポケット又はループを含むように、立体的に編むことができる。別の形態では、ヨーク100は、接合、溶接、縫合、溶着、又はその他の方法などによってともに連結された内側材料層127及び外側材料層128を含むことができる。ヨーク開口125は、内側層127内に形成することができ、内側層127と外側層128との間にポケットを形成することができる。各ポケット129は、図24~26に示すように、ヨーク100の内側層127と外側層128との間に開放区域を備えることができる。開放区域は、それぞれのヨーク開口125の隣、及びそのヨーク開口とヨークの端部115との間に位置することができる。
【0140】
これらの実施形態のそれぞれにおいて、フレーム及びヨークは、ヨークがフレームに取り付けられたとき、ヨークの中間領域(すなわち、保持部材間の領域)が張力下で保持されるように寸法設定することができる。張力は、ヨークをフレームに対して定位置で保持するのを助ける。これを実現するために、ヨーク開口は、保持部材/アーム間の距離より小さい距離だけ互いから隔置することができる。
【0141】
ヨークを患者インターフェースに取り付ける1つの方法は、使用者が、ヨークの第1の端部又はその付近に位置する第1の係合部材を、マスクアセンブリのフレームなどの患者インターフェースの第1の保持部材に隣り合うように位置決めすることである。第1の保持部材は、たとえば左側など、患者インターフェースの第1の側に位置することができる。第1の保持部材は、第1の係合部材に係合させられて、ヨークを患者インターフェースに第1の引留点で保持する。次いで使用者は、第1の引留点に対して引っ張ることによって、ヨークをヨークの長さに沿って引き伸ばし、その後、ヨークの反対側の第2の端部又はその付近に位置する第2の係合部材を、患者インターフェースの右側などの第2の側に位置する第2の保持部材と実質上位置合わせする。次いで、ヨークを張力下で保持しながら、第2の係合部材を第2の保持部材に係合させる。次いでヨークを解放し、ヨークにかかる張力を少なくとも部分的に解放する。しかし、ヨークは、ヨークを患者インターフェースに保持するのを助けるために、少なくともある程度張力下に留まることが好ましい。
【0142】
ヨークを患者インターフェースに取り付ける方法のより具体的な例では、使用者は、第1の保持部材/アーム223の一方の端部を第1のヨーク開口125に押し込み、アーム223をヨーク開口の周りに引っ掛けて、第1の引留点を形成する。次いで使用者は、ヨークを引き伸ばして変形させ、ヨークを張力下に置き、使用者は第2のヨーク開口125を他の/第2の保持部材223の周りに嵌合させる。次いで使用者は、ヨークを解放して、ヨークにかかる張力を少なくともある程度解放する。ヨークの自然な状態にあり引き伸ばされていないとき、ヨークのヨーク開口間の距離が、患者インターフェースの左右両側の第1の保持部材と第2の保持部材との間の距離より小さい場合、ヨークは、患者インターフェースに取り付けられている間、張力下に留まる。ヨークの張力は、ヨークを患者インターフェースに対して定位置でしっかりと保持するのを助ける。
【0143】
さらに別の形態では、フレーム2200は、単一の保持部材220を備えることができる。保持部材は、フレーム本体2210の前面2211の実質上中心に位置する突出アーム223を形成することが好ましい。対応するヨーク100は、ヨーク100の長さに沿って実質上中心に位置するヨーク開口125の形態の係合部材を備えることができる。フレーム2200は、ヨーク100を受け入れるためのヨークチャネル210を備えても備えなくてもよい。
【0144】
たとえば、図27図28A、及び図28Bに示すように、フレームは、上述したように、上面211、下面212、及び背面213を有するヨークチャネル210を備えることができる。たとえばアーム、引留点、又は柱状部などの保持部材223が、ヨークチャネル210の中間領域で背面213から突出することができる。保持部材/アーム223は、心棒228と、心棒228より幅広い、長い、又は幅広くかつ長い蓋付きの末端229とを備えることができる。たとえば、アーム223の末端229は、心棒228の周辺部を越えて外方へ突出する周辺フランジを備えることができる。一形態では、図27に示すようにアーム223の幅は、ヨークチャネル210の長さの一部分に沿って延び、アームに実質上細長い幅を与える。別の形態では、アーム223は、ヨーク開口125に係合するように、キノコ形状又は任意の他の好適な形状とすることができる。
【0145】
図27に示すように、実質上中心に位置するヨーク開口125を有するエラストマヨーク100を、フレーム2200に取り付けられるように設けることができる。ヨーク100は、ヨーク100の長さに沿って伸びるように構成することができ、したがってヨーク開口125をアーム223の蓋付きの端部の上に嵌合させて、アーム223の心棒をヨーク開口125内に保持することができる。
【0146】
図28A及び図28Bは、ヨーク100を患者インターフェースに取り付ける方法を示す。この方法で、使用者は、ヨークの係合部材をマスクアセンブリのフレームなどの患者インターフェースの保持部材に隣り合うように位置決めする。次いで使用者は、係合部材を保持部材の周りに引っ掛けて、ヨークを定位置に保持する。
【0147】
より具体的には、使用者は、細長い保持部材/アーム223の一方の端部をヨーク開口125に押し込み、アームをヨーク開口の周りに引っ掛けて、第1の引留点を形成することができる。次いで使用者は、ヨークを引き伸ばして変形させ、ヨークを張力下に置き、使用者はヨーク開口125を引き伸ばして、細長い保持部材223の他方の端部の周りに到達する。次いで使用者は、ヨークを解放して、ヨークにかかる張力を少なくともある程度解放する。ヨークは、実質上ヨークの引き伸ばされていない自然な状態に戻され、この状態で、ヨーク開口125は、アーム223の蓋付きの端部229より小さくなり、したがって蓋付きの端部229の上で引き伸ばして引っ張らなければ、アーム223から切り離すことができなくなる。
【0148】
他の形態では、ヨークは、患者インターフェースの他の領域に取り付けることができる。たとえば、ヨークは、患者インターフェースのシールの1つ又は複数の保持部材に取り付けることができる。
【0149】
ヨーク100のエラストマ材料により、ヨークは実質上水平及び/又は実質上垂直に曲がることが可能になる。たとえば、ヨーク100は、フレーム本体2210及び患者の顔の方へ、又はフレーム本体2210及び患者の顔から離れる方へ、曲がることができる。それに対応して、ヨーク100は、ヘッドギア3000とフレーム2200との間の連結を可撓性にすることが可能になり、したがって前部ストラップ3130の端部を互いの方へ、又は互いから離れる方へ、曲げることができる。図29の破線は、ヨーク100の端部115が実質上水平にどれだけ曲がることができるかを示し、図17の矢印は、ヨークの端部115が実質上垂直方向にどれだけ曲がることができるかを示す。ヨーク100の各側は、他方の側から独立して曲がることができ、したがって一方の側に加えられる力は、他方の側から隔てられる。これは、横向きに寝ている患者にとって、ヨーク100の一方の側が枕に押し付けられたとき、たとえばフレームシール2100と患者の顔との間のシールを壊すことなく曲がることができるため、ヨーク100が特に好適となることができることを意味する。
【0150】
またエラストマヨーク100の可撓性により、ヨークが異なる顔の形状及び幅と共形となることが可能になる。たとえば、ヨークの端部115を可撓性とすることができ、又は可撓性のエラストマコネクタ101、3140に直接若しくは間接的に取り付けることができ、したがってヨークの端部115又はヨーク及びコネクタのアセンブリは、互いの方へ、若しくは互いから離れる方へ、又はヨークの中間領域110cに対して上下に、曲がることができる。この可撓性により、ヨーク端部115又はコネクタ101、3140が患者の顔に食い込むことが防止される。
【0151】
可撓性のヨーク100はまた、患者の顔における患者インターフェース2000の安定性を改善することができる。たとえば、ヨーク100が突出する剛性端部115を備え、ヨークの端部が寝具に引っ掛かった場合、曲げモーメントが生じ、患者インターフェース2000が患者の顔で回転する可能性がある。可撓性のヨーク100を提供することによって、ヨークの端部115は、ヨークの中間領域110cから独立して曲がって動くことができる。したがって、ヨーク端部115が寝具に絡まった場合でも、ヨーク100の可撓性により、患者インターフェース2000は患者の顔で所望の位置に留まることが可能になる。
【0152】
エラストマヨーク100はまた、比較的簡単にフレーム2200に連結することができる。たとえば、呼吸マスクシステムが、ヨーク100と、ヨークを受け入れるためのヨークチャネル210を有するフレーム2200とを備える場合、ヨーク100及びヨークチャネル210は、ヨーク100がチャネル210内に正確に嵌合されたとき、触感又は触覚フィードバックを患者に提供するように構成することができる。
【0153】
またヨーク100のエラストマ材料の柔らかい手触りにより、ヨーク100及びヘッドギア3000の取扱いをより快適にすることができ、ヘッドギア全体を洗浄できることを暗示することができる。
【0154】
エラストマヨークは、ヘッドギアアセンブリ及びマスクアセンブリの構成要素を苦心して取り外すことを必要とすることなく、呼吸システムのヘッドギアアセンブリを患者インターフェース/マスクアセンブリから容易に取り外すことを可能にする。いくつかの形態では、使用者は、ヨーク及びヘッドギアをマスクアセンブリから片手で取り外すことができる。取り外した後、ヨーク及びヘッドギアのアセンブリを洗浄することができる。ヨーク及びヘッドギアが完全に布地から作られている場合、取扱いに注意を要する布地以外の構成要素を考慮せずに、ヨークを有するヘッドギアアセンブリを容易に洗浄することができる。
【0155】
本発明のエラストマヨークの簡単な性質は、ヨークを保持するヘッドギアに、最低限必要なだけの複雑でない美的に魅力のある外観を提供する。ヘッドギアはまた、軽量にすることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
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図30D
【外国語明細書】