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特開2024-147762開閉装置及び開閉装置を備えた電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147762
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】開閉装置及び開閉装置を備えた電子機器
(51)【国際特許分類】
   F16C 11/04 20060101AFI20241008BHJP
   F16C 11/10 20060101ALI20241008BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
F16C11/04 G
F16C11/04 F
F16C11/10 C
H05K5/03 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024117188
(22)【出願日】2024-07-22
(31)【優先権主張番号】P 2023217116
(32)【優先日】2023-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592264101
【氏名又は名称】下西技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】米田 太市
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ダンパのロッドの移動を安定させることができる開閉装置を提供する。
【解決手段】回転部材20がベース部材10に対して回転することで開閉動作する開閉装置であって、回転部材に設けられ、回転部材とともに回転する受圧部材30と、ベース部材に設けられ、本体部61と、本体部から受圧部材側へ突出し、本体部に対して進退するロッド62と、を有するダンパ部材60と、ロッドが挿入される貫通孔43を有する、スライド部材と、を備え、スライド部材が本体部側へ移動すると、ロッドの先端部が貫通孔から受圧部材側へ突出し、ロッドの先端部が受圧部材により押圧されてロッドが本体部側へ移動することで緩衝効果を発生させ、スライド部材は、ロッドの移動の際に、本体部に対してロッドが傾斜することを防止する傾斜防止部44、を有するものとする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材に回転部材が回転可能に設けられ、前記回転部材が前記ベース部材に対して回転することで開閉動作する開閉装置であって、
前記回転部材に設けられ、前記回転部材とともに回転する受圧部材と、
前記ベース部材に設けられ、本体部と、前記本体部から前記受圧部材側へ突出し、前記本体部に対して進退するロッドと、を有するダンパ部材と、
前記ロッドが挿入される貫通孔を有し、前記受圧部材と前記本体部との間で移動可能に前記ベース部材に設けられ、前記受圧部材側へ押圧され、前記回転部材が閉じ方向へ回転すると、前記受圧部材により押圧されて前記本体部側へ移動する、スライド部材と、
を備え、
前記ダンパ部材は、
前記スライド部材が前記本体部側へ移動すると、前記ロッドの先端部が前記貫通孔から前記受圧部材側へ突出し、前記先端部が前記受圧部材により押圧されて前記ロッドが前記本体部側へ移動することで緩衝効果を発生させ、
前記スライド部材は、
前記ロッドの移動の際に、前記本体部に対して前記ロッドが傾斜することを防止する傾斜防止部、を有する、
開閉装置。
【請求項2】
前記傾斜防止部は、前記貫通孔の内周面であり、前記ロッドの外周面と接触して傾斜を防止する、
請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記受圧部材は、前記回転部材とともに回転して、前記ロッドの先端部を押圧し、
前記傾斜防止部は、前記貫通孔の内周面に、貫通方向に沿って形成され、前記回転部材の回転軸に平行な平面を有し、前記平面が、前記ロッドの前記回転軸側の外周面と接触することで、前記ロッドの前記回転軸側への傾斜を防止する、
請求項2に記載の開閉装置。
【請求項4】
前記傾斜防止部は、前記貫通孔の内周面から内側に突出し、前記内周面の周方向に沿って複数設けられ、前記ロッドの移動を案内する、ガイド部を有する、
請求項1に記載の開閉装置。
【請求項5】
前記ベース部材に設けられ、前記ダンパ部材の前記本体部を外周面から保持する、ダンパ固定部、を備えている、
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の開閉装置。
【請求項6】
前記受圧部材は、
前記スライド部材を押圧する一対の第一受圧部と、
前記一対の第一受圧部の間に設けられ、前記ダンパ部材の前記ロッドを押圧する第二受圧部と、
を有し、
前記一対の第一受圧部と前記第二受圧部とは、前記回転部材の回転軸に沿って設けられ、かつ、前記一対の第一受圧部は、前記第二受圧部より前記スライド部材側へ突出している、
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の開閉装置。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の開閉装置を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転部材がベース部材に対して回転することで開閉動作する開閉装置及び開閉装置を備えた電子機器の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第一連結対象物に第二連結対象物を回動可能に連結するヒンジにおいて、ケースと、カムブロックと、スライダと、付勢部材と、ダンパと、アームと、を備えるものが公知となっている(特許文献1参照)。前記ヒンジのケースは、第一連結対象物または第二連結対象物のいずれか一方に固定される。カムブロックは、ケースに回動可能に支持され、第一連結対象物または第二連結対象物のいずれか他方に固定される。スライダは、カムブロックに接近する方向および離間する方向に移動可能にケースの収容室に収容され、カムブロックのカム面に当接可能に構成される。付勢部材は、スライダをカムブロックに接近する方向に付勢する。アームは、ケースに回動可能に支持され、カムブロックのカム面に当接可能、かつ、ダンパのロッド部に当接可能に構成される。ダンパは、流体ダンパ装置であり、アームによってロッド部が押込まれることで、緩衝効果が発生するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-29181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記ヒンジでは、ダンパのロッド部が押込まれる際に、ロッド部の移動方向に対してロッド部が傾斜する場合がある。このようにダンパのロッド部が傾斜することによって、ロッド部とアームとの接触部分及びロッド部とアームとの接触角度等が予め設定されていたものと異なってしまい、ロッド部の移動が不安定となる場合がある。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、ダンパのロッドの移動を安定させることができる開閉装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示する開閉装置においては、ベース部材に回転部材が回転可能に設けられ、前記回転部材が前記ベース部材に対して回転することで開閉動作する開閉装置であって、前記回転部材に設けられ、前記回転部材とともに回転する受圧部材と、前記ベース部材に設けられ、本体部と、前記本体部から前記受圧部材側へ突出し、前記本体部に対して進退するロッドと、を有するダンパ部材と、前記ロッドが挿入される貫通孔を有し、前記受圧部材と前記本体部との間で移動可能に前記ベース部材に設けられ、前記受圧部材側へ押圧され、前記回転部材が閉じ方向へ回転すると、前記受圧部材により押圧されて前記本体部側へ移動する、スライド部材と、を備え、前記ダンパ部材は、前記スライド部材が前記本体部側へ移動すると、前記ロッドの先端部が前記貫通孔から前記受圧部材側へ突出し、前記先端部が前記受圧部材により押圧されて前記ロッドが前記本体部側へ移動することで緩衝効果を発生させ、前記スライド部材は、前記ロッドの移動の際に、前記本体部に対して前記ロッドが傾斜することを防止する傾斜防止部、を有するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によればダンパのロッドの移動を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る開閉装置の開状態を示す斜視図。
図2図1におけるA-A線断面図。
図3】実施形態に係る開閉装置の開状態を示す正面図。
図4図3におけるB-B線断面図。
図5】実施形態に係る開閉装置の閉状態を示す正面図。
図6図5におけるC-C線断面図。
図7】実施形態に係る開閉装置のスライダとダンパ部材のキャップとを示す平面図。
図8】実施形態に係る開閉装置のスライダを示す斜視図。
図9図8におけるD-D線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から図9に記載の開閉装置100について説明する。
開閉装置100は、二つの部材のうちの一方の部材に他方の部材を開閉可能に連結するヒンジである。開閉装置100は、ベース部材10と回転部材20とを備え、ベース部材10に回転部材20が回転軸15を介して回転可能に設けられ、回転部材20がベース部材10に対して回転することで開閉動作する。開閉装置100は、例えば、スキャナー、ファクス、コピー機、若しくは複合機等のOA機器、自動車、便座、または、炊飯器等の各種電子機器等に用いられる。そして、開閉装置100は、例えば、プリンタの本体にカバーを回転可能に連結し、複合機の本体に原稿圧着装置を回転可能に連結し、スタンドにディスプレイを回転可能に連結し、便器に便座を回転可能に連結し、または、自動車の車体にボンネットを回転可能に連結するのに用いられる。
【0010】
以下では、ベース部材10と回転部材20とは上下方向に並び、ベース部材10が下側、回転部材20が上側となるように配置されるものとする。また、互いに直交し、かつ、上下方向にも直交する方向を、それぞれ前後方向および左右方向と言う。回転軸15は左右方向に沿って延び、回転部材20は、回転軸15を中心に回転する。開閉装置100が複合機に取り付けられる場合、ベース部材10が複合機の本体部に取り付けられ、回転部材20が複合機の原稿圧着装置に取り付けられるようになっている。なお、これらの方向は、開閉装置100の使用状態を限定するものではない。
【0011】
また、以下では、回転部材20の回転方向において、回転支点(回転軸15)と反対側の回転部材20の端部が前方へ回転しきった状態を、閉状態と言う(例えば図5及び図6参照)。この閉状態から、回転支点(回転軸15)と反対側の回転部材20の端部が後方へ回転した状態を開状態と言う(例えば、図1から図4参照)。この開状態において、回転支点(回転軸15)と反対側の回転部材20の端部が後方へ回転しきった状態を、全開状態と言う(図1及び図2参照)。
【0012】
ベース部材10は、上下方向を長手方向とし、上部に開口部11を有し、下部に底部を有する略四角筒状の部材である。ベース部材10の内部の空間にはスライダ40、バネ部材50、及びダンパ部材60が収容される。ベース部材10は、その内側に、ダンパ部材60の本体部61を固定するダンパ固定部13が設けられている。ダンパ固定部13は、ベース部材10の底部に設けられ、上下方向に延びる略円筒状であって、上方が開口している。ベース部材10に収容されるダンパ部材60は、ダンパ固定部13の径方向内側に配置され、バネ部材50は、ダンパ固定部13の径方向外側に配置される。
【0013】
ベース部材10は左右の支持部12を備える。支持部12は、ベース部材10の上後部において左部及び右部からそれぞれ上方に突出する。支持部12は、回転軸15を介して回転部材20を回転可能に支持する。支持部12には、回転軸15を挿入するための貫通孔が開口される。
【0014】
回転部材20は、ベース部材10の支持部12に回転軸15を介して回転可能に連結される。回転部材20の後部には回転軸15を挿入するための貫通孔が開口される。
【0015】
回転軸15は、ベース部材10の支持部12の貫通孔及び回転部材20の貫通孔に挿入される。回転軸15は、回転部材20をベース部材10に回転可能に連結する部材である。回転軸15は概ね円柱形状の部材である。回転部材20は、回転軸15を介してベース部材10に回転可能に連結される。
【0016】
開閉装置100は、ベース部材10、回転軸15及び回転部材20の他に、受圧部材30、スライダ40、バネ部材50、及びダンパ部材60を備える。
【0017】
受圧部材30は、回転部材20に設けられ、回転部材20とともに回転する。受圧部材30は、図6に示すように、閉状態において、回転部材20から下方に突出し、下端部が曲面状に構成される。受圧部材30は、図1に示すように、左右方向に沿って設けられる、一対の第一受圧部31と、第二受圧部32と、を備える。第一受圧部31は、後述するスライダ40のカム部41を押圧する。第二受圧部32は、後述するダンパ部材60のロッド62の先端部(本実施形態ではキャップ63)を押圧する。第二受圧部32は、一対の第一受圧部31の間に配置され、回転部材20の下部の左右中央部に形成される。第一受圧部31は、閉状態において、第二受圧部32よりもスライダ40側に突出する。
【0018】
スライダ40は本発明に係るスライド部材の実施の一形態である。スライダ40は樹脂材料からなる。スライダ40は、下部に開口部を有し、上部に頂部を有する筒状に構成される。スライダ40はベース部材10の内部に収容され、上下方向に移動可能に構成される。
【0019】
スライダ40は、左右一対のカム部41と、筒部42と、貫通孔43と、を備える。カム部41は、スライダ40の頂部上面の左右にそれぞれ設けられ、曲面で構成される。筒部42は、スライダ40の頂部上面の左右中央部に形成される。筒部42は、左右一対のカム部41の間に配置される。筒部42は、カム部41よりも回転部材20側に突出する。スライダ40の頂部には貫通孔が形成され、前記貫通孔は筒部42内と連通するように構成される。スライダ40の頂部の貫通孔及び筒部42内は、貫通孔43として構成される。貫通孔43は、後述のダンパ部材60のキャップ63が上下方向に移動可能に構成される。スライダ40は、後述するバネ部材50の弾性力により上方向へ押圧され、カム部41が第一受圧部31に接触するように構成される。スライダ40のカム部41と第一受圧部31との接触部分には、摩耗を抑制するために潤滑剤が塗布されている。
【0020】
バネ部材50は金属製のコイル状のバネで構成される。バネ部材50は、ベース部材10の内部に収容され、その上端部がスライダ40内に収容される。バネ部材50は、自身の弾性力により、スライダ40を上方向である、受圧部材30に近接する方向に押圧する。これにより、カム部41が第一受圧部31を押圧する状態となり、回転部材20には、ベース部材10に対して開く方向への力が付与されるようになる。
【0021】
ダンパ部材60は、ベース部材10に設けられ、ベース部材10の内部においてコイル状のバネ部材50の内側に配置される。ダンパ部材60は、本体部61と、ロッド62と、キャップ63と、を備える。
【0022】
本体部61は円柱形状であって、下部がベース部材10のダンパ固定部13に圧入された状態で設けられる。ダンパ固定部13は、本体部61の外周面を囲むことで本体部61を保持し、本体部61が上下方向に対して傾斜しないようにしている。ロッド62は、略円柱形状の部材である。ロッド62は、本体部61から上方へ突出し、上下方向に沿って本体部61に対して進退する。キャップ63は、ロッド62よりも径が大きな円柱形状を有し、ロッド62の先端部に設けられ、本体部61に対するロッド62の進退に伴い、上下方向へ移動する。キャップ63は、スライダ40の貫通孔43に挿入可能であって、貫通孔43内を上下方向に沿って移動可能となっている。
【0023】
ダンパ部材60は、第二受圧部32によってキャップ63の上端部が押圧されると、本体部61に対してロッド62が下方に移動して、ロッド62が本体部61内に押し込まれていくように構成される。ダンパ部材60は、ロッド62が本体部61内に押し込まれていくことによって反力を発生させ、緩衝効果を発生させる。ダンパ部材60は一般的な流体ダンパで構成される。ダンパ部材60のキャップ63と第二受圧部32との接触部分には、摩耗を抑制するために潤滑剤が塗布されている。なお、ロッド62にキャップ63が設けられる構成においては、キャップ63がロッド62の一部を構成するものとする。また、ダンパ部材60は、キャップ63を備えずに、ロッド62の上端部がスライダ40の貫通孔43内に挿入されて、第二受圧部32によってロッド62の先端部が押圧される構成であっても良いものとする。
【0024】
上記のように構成された開閉装置100が、図1及び図2に示すような全開状態である場合、スライダ40は、バネ部材50により上方向へ押圧されるため、第一受圧部31とスライダ40のカム部41とは接触する。また、開閉装置100が全開状態では、ダンパ部材60のキャップ63はスライダ40の貫通孔43から上方に突出していないため、第二受圧部32とダンパ部材60のキャップ63とは接触しない。このような状態から回転部材20を閉じ方向へ回転させると、第一受圧部31がカム部41を介してスライダ40を下方向へ押圧する。その結果、スライダ40は、バネ部材50を押し縮めつつ下方へ移動する。スライダ40が下方に移動していくと、ダンパ部材60のキャップ63の先端部がスライダ40の貫通孔43から上方に突出した状態となる(図3及び図4参照)。これにより、第二受圧部32が、ダンパ部材60のキャップ63の先端部に接触するようになる。このような状態でさらに回転部材20を閉じ方向に回転させていくと、図5から図6に示すように、スライダ40が下方に移動していくと同時に、ダンパ部材60のキャップ63の先端部が第二受圧部32によって押圧されて、ロッド62が本体部61内に押し込まれていく。このようにダンパ部材60のロッド62が本体部61内に押し込まれていくことによって、ダンパ部材60による緩衝効果が発生する。
【0025】
ここで、回転部材20の回転中心である回転軸15はダンパ部材60のキャップ63よりも後方に配置される。このため、回転部材20を閉じ方向に回転させて、第二受圧部32がダンパ部材60のキャップ63を押圧すると、キャップ63には、下方だけでなく後方にも負荷がかかる。本実施形態の開閉装置100は、ロッド62の先端部であるキャップ63に後方への負荷がかかることでロッド62が後方へ傾斜することを防止する、傾斜防止部44を備える。以下、傾斜防止部44について説明する。
【0026】
傾斜防止部44は、スライダ40に設けられる。詳しくは、傾斜防止部44は、スライダ40の貫通孔43の内周面で構成される。貫通孔43は、内周面における後方部分が、前後方向に直交し、かつ、上下方向に沿った平面状となるように構成されている。以下、この平面状部分を平面45という。平面45は、回転部材20の回転軸15に平行な面である。図7に示すように、貫通孔43は、上下方向から視た平面視で略円形状であって、その中心から平面45までの距離が、円柱形状のキャップ63の中心軸から外周面までの距離と略一致するように構成されている。また、平面45は、貫通孔43の上端部から下端部にわたって形成されている。これにより、貫通孔43にダンパ部材60のキャップ63が挿入されると、貫通孔43の平面45とキャップ63とが接触した状態となる。そして、キャップ63は、平面45と接触した状態で上下方向に移動する。このため、キャップ63に後方への負荷がかかっても、キャップ63が上下方向から後方へ傾斜することが防止される。その結果、ロッド62の後方への傾斜も防止される。
【0027】
また、ダンパ部材60は、本体部61がダンパ固定部13により固定されているため、本体部61側が傾斜することで、ロッド62が本体部61に対して傾斜してしまい、ロッド62の移動が不安定となるおそれを抑制できる。
【0028】
以上のように、傾斜防止部44は、ダンパ部材60のロッド62が移動する際にロッド62がダンパ部材60の本体部61に対して傾斜することを防止する。このため、第二受圧部32によって押圧されてダンパ部材60のロッド62が下方に移動する際の動作を安定させることができる。
【0029】
また、本実施形態では、貫通孔43の内周面を傾斜防止部44として、ダンパ部材60のロッド62の傾斜を防止する。このため、貫通孔43内に、別途部材を設ける必要がなく、製造が容易であり、また、コスト増加を抑制できる。
【0030】
さらに、ダンパ部材60のキャップ63の外周面(曲面)に対して平面45で受けることで、平面45とキャップ63との接触部分を小さくすることができる。このため、キャップ63の移動時の平面45との摺動抵抗を小さくできる。また、平面45の左右方向の長さに対して、キャップ63との接触部分が小さいため、接触位置が左右方向にずれても、平面45は、キャップ63と接触し続け、キャップ63の後方への傾斜を確実に防止する。例えばスライダ40が第一受圧部31により下方に押圧されたときに左右方向にずれた場合でも、キャップ63は、平面45と接触するため、キャップ63の傾斜は確実に防止される。
【0031】
本実施形態では、傾斜防止部44は、複数のガイド部46をさらに備える(図7から図9参照)。複数のガイド部46は、スライダ40の貫通孔43の内周面から内側に突出し、内周面の周方向に沿って設けられる。複数のガイド部46は、貫通孔43の上端部から下端部にわたって形成されている。複数のガイド部46は、キャップ63が上下方向に移動するときに、キャップ63と接触して、後方以外の方向への傾斜を防止する。なお、複数のガイド部46は、貫通孔43に挿入されたダンパ部材60のキャップ63との間に若干の隙間を有する程度に、内周面から内側に突出している。この隙間は、キャップ63の上下方向への移動を妨げない程度であればよい。
【0032】
図7では、五個のガイド部46が、貫通孔43の内周面における前方、前右方、後右方、前左方、及び後左方に配置され、周方向の間隔が概ね均等となっているが、これに限定されない。ガイド部46の数は、五個であることに限定されず、仕様や用途等に応じて適宜の個数で構成することもできる。
【0033】
また、ダンパ固定部13は、略円柱状に構成されることに限定されず、例えば、ダンパ固定部13の周面の一部が切り欠かれて構成されても良く、また、複数個の柱状に構成されて当該複数個の柱状部分の内側にダンパ部材60の本体部61が配置される構成であっても良いものとする。
【0034】
また、受圧部材30がスライダ40及びダンパ部材60のロッド62を押圧する構成は、上述の実施形態に限定されない。例えば、上述のスライダ40は、その頂部に筒部42を設け、筒部42から突出したキャップ63を押圧する構成としているが、筒部42を設けず、スライダ40の頂部の貫通孔から突出したキャップ63を押圧する構成としてもよい。また、開閉装置100が閉状態において、第一受圧部31が第二受圧部32よりも下方に突出した構成としているが、第二受圧部32が第一受圧部31よりも下方に突出した構成でもよいし、同じ長さであってもよい。さらに、ダンパ部材60はキャップ63を備えず、受圧部材30が、ダンパ部材60のロッド62の先端部を直接押圧する構成であってもよい。この場合、スライダ40の貫通孔43の大きさ及び傾斜防止部44は、ロッド62の径に応じて適宜変更される。
【0035】
さらに、開閉装置100は、ベース部材10を備えずに、例えばOA機器の本体等の連結対象に、回転軸15、スライダ40、バネ部材50、及びダンパ部材60が直接設けられて、OA機器の本体等の連結対象に回転部材20が回転可能に設けられる構成であってもよいものとする。また開閉装置100は、回転部材20を備えずに、例えばOA機器の原稿圧着装置等の連結対象が回転軸15を介してベース部材10に回転可能に設けられる構成であってもよいものとする。
【符号の説明】
【0036】
10 ベース部材
11 開口部
12 支持部
13 ダンパ固定部
15 回転軸
20 回転部材
30 受圧部材
31 第一受圧部
32 第二受圧部
40 スライダ
41 カム部
42 筒部
43 貫通孔
44 傾斜防止部
45 平面
46 ガイド部
50 バネ部材
60 ダンパ部材
61 本体部
62 ロッド
63 キャップ
100 開閉装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9