(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147774
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミドの結晶形態
(51)【国際特許分類】
C07D 405/14 20060101AFI20241008BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20241008BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241008BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241008BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
C07D405/14 CSP
A61K31/4439
A61P17/00
A61P43/00 111
A61P37/08
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024118479
(22)【出願日】2024-07-24
(62)【分割の表示】P 2021533235の分割
【原出願日】2019-12-12
(31)【優先権主張番号】18212191.3
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】510000976
【氏名又は名称】インターベット インターナショナル ベー. フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】チャセイン,クリストフ・ピエール・アラン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,シャオリン
(72)【発明者】
【氏名】ペトロヴァ,ロシツァ・イオダノヴァ
(72)【発明者】
【氏名】バルソロナ,リチャード・ジェー
(72)【発明者】
【氏名】コーダン,ロレンソ
(72)【発明者】
【氏名】クリエーター,エドワード
(72)【発明者】
【氏名】グッドイヤー,エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァイゼル,タニア
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アトピー性皮膚炎などのJAK介在疾患若しくは症状の治療に有用な、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミドの安定な結晶形態の製造方法を提供する。
【解決手段】1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミドを、メタノール、DMAc、トルエン、キシレン、酢酸エチル等の溶媒を用いて加熱還流後、冷却することにより、安定な結晶形態を得ることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の特徴:
6.9、13.9、17.8、19.6、20.4、20.9、24.7、25.0
、26.6及び29.1からなる群から選択される゜2θ(±0.2)での少なくとも一
つのピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン、
30.61、32.60、53.40、59.59、67.21、71.93、88
.50、96.35、104.47、120.39、121.95、131.45、15
3.31、161.41、163.36及び166.70ppmからなる群から選択され
る少なくとも一つのピークを有する炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核
磁気共鳴(NMR)スペクトラム、
又は
約257℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム
のうちの少なくとも一つを有する、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラ
ン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾ
ール-4-カルボキサミドの結晶形態(形態1)。
【請求項2】
実質的に
図1に示したX線粉末回折(XRPD)パターンを有する、請求項1に記載の
結晶形態。
【請求項3】
実質的に
図2に示した炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(
NMR)スペクトラムを有する、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項4】
実質的に
図3に示した示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する、請求項1に
記載の結晶形態。
【請求項5】
次の特徴:
7.3、12.6、12.9、13.1、16.2、17.4、21.8、27.8
及び28.4からなる群から選択される°2θ(±0.2)での少なくとも一つのピーク
を有するX線粉末回折(XRPD)スペクトラム;
29.80、30.52、54.35、60.67、65.45、70.62、89
.08、92.52、102.17、121.96、123.48、131.05、15
2.21、163.46、164.53及び168.40ppmからなる群から選択され
る少なくとも一つのピークを有する炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核
磁気共鳴(NMR)スペクトラム;又は
開始温度約27℃を有する第1の吸熱ピーク及び約254℃での第2の吸熱ピークを
含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム
のうちの少なくとも一つを有する、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラ
ン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾ
ール-4-カルボキサミドの結晶水和物形態。
【請求項6】
実質的に
図7に示したX線粉末回折(XRPD)スペクトラムを有する、請求項5に記
載の結晶水和物形態。
【請求項7】
実質的に
図8に示した炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(
NMR)スペクトラムを有する、請求項5に記載の結晶水和物形態。
【請求項8】
実質的に
図9に示した示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを有する、請求項5に
記載の結晶水和物形態。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の結晶形態及び医薬賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項10】
前記結晶形態が実質的に精製されている、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
哺乳動物におけるJAKが介在する疾患若しくは症状の治療若しくは予防方法であって
、請求項9~10のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む方法。
【請求項12】
前記JAKが介在する疾患若しくは症状がアトピー性皮膚炎である、請求項11に記載
の方法。
【請求項13】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フ
ルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド及び溶
媒の溶液から当該結晶形態を析出させることを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載
の結晶形態の製造方法であって;
ここで、前記溶液は、還流温度で加熱され、次に冷却される方法。
【請求項14】
前記溶媒が、メタノール、DMAc、トルエン、キシレン、酢酸エチル又はこれらの混
合物からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記還流温度が約60℃~約70℃であり、そして、前記溶液は、約25℃より低い温
度まで冷却される、請求項13~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
WO2018/108969には、選択的ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤であり、従
ってアトピー性皮膚炎、関節炎及びがんのようなJAK介在疾患の治療に有用な式Iの化
合物が開示されている。具体的には、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピ
ラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラ
ゾール-4-カルボキサミド(I)が開示されている。
【化1】
【0002】
この参考文献は、上記化合物が黄色固体として製造されたことも開示している。
【0003】
WO2013/041042には、関節リウマチ、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD
)及びがんの治療において有用なヤヌスキナーゼ阻害剤としてピラゾールカルボキサミド
が開示されている。この開示の化合物は、下記式のものである。
【化2】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2018/108969
【特許文献2】WO2013/041042
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
次の特徴の少なくとも一つを有する1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピ
ラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラ
ゾール-4-カルボキサミドの結晶形態(形態1):
6.9、13.9、17.8、19.6、20.4、20.9、24.7、25.0
、26.6及び29.1゜2θ(±0.2)からなる群から選択される少なくとも一つの
ピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン、
30.61、32.60、53.40、59.59、67.21、71.93、88
.50、96.35、104.47、120.39、121.95、131.45、15
3.31、161.41、163.36及び166.70ppmのシグナルからなる群か
ら選択される少なくとも一つのピークを有する炭素-13交差分極マジック角回転(CP
MAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラム、又は
約257(±1)℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】結晶形態1の特徴的なX線粉末回折パターンである。
【
図2】結晶形態1の炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラムである。星印で標識したピークは、回転サイドバンドに相当する。
【
図3】結晶形態1の典型的なDSCサーモグラムである。
【
図4】結晶形態2の特徴的なX線粉末回折パターンである。
【
図5】結晶形態2の炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラムである。星印で標識したピークは、回転サイドバンドに相当する。
【
図6】結晶形態2の典型的なDSCサーモグラムである。
【
図7】結晶水和物形態の特徴的なX線粉末回折パターンである。
【
図8】結晶水和物形態の炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラムである。星印で標識したピークは、回転サイドバンドに相当する。
【
図9】結晶水和物形態の典型的なDSCサーモグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フ
ルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミドは、3
種類の結晶形態である形態1及び形態2並びに水和物で存在することが見いだされている
。
【0008】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フ
ルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミドの多形
形態1及び形態2は、モノトロピー的に関連している。形態1は、全ての温度で熱力学的
に最も安定な形態である。
【0009】
形態1多形結晶には、形態2多形結晶に勝るいくつかの利点がある。最初に、それは熱
力学的に最も安定な形態である。さらに、形態1は、高湿度条件下で水和物に変換される
リスクが低い。
【0010】
本発明の1実施形態は、次の特徴:
6.9、13.9、17.8、19.6、20.4、20.9、24.7、25.0
、26.6及び29.1からなる群から選択される゜2θ(±0.2)での少なくとも一
つのピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン;
30.61、32.60、53.40、59.59、67.21、71.93、88
.50、96.35、104.47、120.39、121.95、131.45、15
3.31、161.41、163.36、及び166.70ppmのシグナルからなる群
から選択される少なくとも一つのピークを有する炭素-13交差分極マジック角回転(C
PMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラム;又は
約257(±1)℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム
のうちの少なくとも一つを有する、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラ
ン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾ
ール-4-カルボキサミド(I)の結晶形態(形態1)である。
【0011】
1実施形態において、結晶形態1は、6.7、13.9及び19.9゜2θ(±0.2
)でのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0012】
1実施形態において、結晶形態1は、5.0の゜2θ(±0.2)でのピーク、20.
4及び20.9の二重項ピーク、及び22.2及び22.6の二重項ピークをさらに含む
X線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0013】
1実施形態において、結晶形態1は、24.7、26.6及び29.1゜2θ(±0.
2)でのピークセットをさらに含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0014】
1実施形態において、結晶形態1は、実質的に
図1に示したX線粉末回折(XRPD)
パターンを有する。
【0015】
1実施形態において、結晶形態1は、実質的に
図2に示した炭素-13交差分極マジッ
ク角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラムを有する。
【0016】
1実施形態において、結晶形態1は、実質的に
図3に示した示差走査熱量測定(DSC
)サーモグラムを有する。
【0017】
本発明の別の実施形態は、次の特徴:
6.3、7.9、12.7、14.9、15.1、16.9及び17.1からなる群
から選択される゜2θ(±0.2)での少なくとも一つのピークを有するX線粉末回折(
XRPD)パターン;
29.39、30.67、32.06、52.40、54.80、59.92、65
.57、67.64、71.01、72.30、88.52、92.33、93.02、
103.96、121.32、122.79、130.85、152.10、162.1
6、163.05、164.45及び168.12ppmのシグナルからなる群から選択
される少なくとも一つのピークを有する炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS
)核磁気共鳴(NMR)スペクトラム;又は
約252(±2)℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム
のうちの少なくとも一つを有する、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラ
ン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾ
ール-4-カルボキサミド(I)の結晶形態(形態2)である。
【0018】
1実施形態において、結晶形態2は、6.3、7.9及び12.7の゜2θ(±0.2
)でのピークを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。
【0019】
1実施形態において、結晶形態2は、14.9及び15.1の゜2θ(±0.2)二重
項ピーク及び16.9及び17.1の二重項ピークでのピークをさらに含むX線粉末回折
(XRPD)パターンを有する。
【0020】
1実施形態において、結晶形態2は、実質的に
図4に示したX線粉末回折(XRPD)
パターンを有する。
【0021】
1実施形態において、結晶形態2は、実質的に
図5に示した炭素-13交差分極マジッ
ク角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラムを有する。
【0022】
1実施形態において、結晶形態2は、実質的に
図6に示した示差走査熱量測定(DSC
)サーモグラムを有する。
【0023】
本発明の別の実施形態は、次の特徴:
7.3、12.6、12.9、13.1、16.2、17.4、21.8、27.8
及び28.4の゜2θ(±0.2)でのピークからなる群から選択される少なくとも一つ
のピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン;
29.80、30.52、54.35、60.67、65.45、70.62、89
.08、92.52、102.17、121.96、123.48、131.05、15
2.21、163.46、164.53及び168.40ppmのシグナルからなる群か
ら選択される少なくとも一つのピークを有する炭素-13交差分極マジック角回転(CP
MAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラム;又は
約27℃の開始温度を有する第1の吸熱ピーク及び約254(±2)℃の第2の吸熱
ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム
のうちの少なくとも一つを有する、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラ
ン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾ
ール-4-カルボキサミド(I)の結晶水和物形態である。
【0024】
1実施形態において、前記結晶水和物形態は、7.3の゜2θ(±0.2)でのピーク
、12.6、12.9及び13.1の三重項及び17.4のピークを含むX線粉末回折(
XRPD)パターンを有する。
【0025】
1実施形態において、前記結晶水和物形態は、16.2、21.8、27.8及び28
.4の゜2θ(±0.2)でのピークをさらに含むX線粉末回折(XRPD)パターンを
有する。
【0026】
1実施形態において、前記結晶水和物形態は、実質的に
図7に示したX線粉末回折(X
RPD)パターンを有する。
【0027】
1実施形態において、前記結晶水和物形態は、実質的に
図8に示した炭素-13交差分
極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラムを有する。
【0028】
1実施形態において、前記結晶水和物形態は、実質的に
図9に示した示差走査熱量測定
(DSC)サーモグラムを有する。
【0029】
別の実施形態は、上記結晶形態のいずれか一つ及び医薬賦形剤を含む医薬組成物である
。
【0030】
医薬組成物の実施形態は、前記結晶形態が実質的に精製されている。
【0031】
別の実施形態は、哺乳動物におけるJAKが介在する疾患若しくは症状の治療若しくは
予防方法であって、上記組成物のいずれか一つを投与することを含む方法である。
【0032】
1実施形態において、前記JAKが介在する疾患若しくは症状は、アトピー性皮膚炎で
ある。
【0033】
別の実施形態は、請求項1~12のいずれか1項の結晶形態の製造方法であって、前記
結晶形態を溶液から沈殿させること、又は1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒド
ロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]
ピラゾール-4-カルボキサミド(I)のスラリーを加熱することのいずれか、及び、任
意に、得られた混合物に所望の形態のシードをシード添加することでその所望の形態の形
成を誘発することを含む方法である。
【0034】
1実施形態において、溶媒又は溶媒混合物は、メタノール、DMAc、トルエン、キシ
レン及び酢酸エチル又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【0035】
上記方法の1実施形態において、ある量の結晶形態シードを溶液又はスラリーに加える
。別の実施形態において、シードの量は、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒド
ロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]
ピラゾール-4-カルボキサミド(I)の重量の約0.1%~約10.0%、好ましくは
約1.0~約5.0%である。
【0036】
上記方法の1実施形態において、溶液又はスラリーは、加熱還流される。別の実施形態
において、溶媒は、少量ずつ加えられる。
【0037】
上記方法の1実施形態において、還流温度は約60℃~約70℃であり、そして、溶液
は、約25℃より低い温度に冷却される。
【0038】
ジメチルアセトアミド(DMAc又はDMA)は、溶媒として一般に使用される式CH
3C(O)N(CH3)2の有機化合物である。
【0039】
結晶水和物は、非水和結晶形態より含水製剤中で安定であるという利点を有することが
予想される。
【0040】
本明細書で使用される「実質的に~に示した」という用語は、本明細書において描かれ
たものと同一ではないが、当業者が考えた場合に実験誤差の範囲内であり得る、X線粉末
回折(XRPD)スペクトラム、炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁
気共鳴(NMR)スペクトラム、又は示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを指す。
当業者であれば、X線粉末回折スペクトラムが、
図1のスペクトラムに含まれるピークの
±0.2゜2θに入るピークを含み得ること、
図3に描かれた示差走査熱量測定(DSC
)サーモグラムが描かれているものの±3℃での吸熱を含み得ることは理解するであろう
。
【0041】
本明細書で使用される場合、「実質的に精製された」という用語は、少なくとも純度9
0%の化合物の結晶形態を指す。別の実施形態において、「実質的に精製された」は、少
なくとも純度95%、99%又は99.9%である化合物の結晶形態を指す。
【実施例0042】
形態1及び2及び水和物形態のサンプルを、下記の方法に従って調製した。
【0043】
実施例1-形態1
1A
160リットルのガラスライニング容器に1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒ
ドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ
]ピラゾール-4-カルボキサミド(3.72kg、10.32mol)及びメタノール
(80.8リットル)を入れた。内容物を加熱還流し(65℃)、真正の1-[(3R,
4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メト
キシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド形態1シード(109g
、302.5mmol)をメタノール(1.9リットル)中スラリーとして入れた。形態
1シードは、還流メタノール(30体積)中のスラリー対スラリー移動を介して得た。そ
の混合物を275rpmで攪拌し、14.5時間熟成させた。スラリーを12時間かけて
65℃から20℃まで冷却し、次に20℃で6時間熟成させた。
【0044】
バッチを濾過し、湿ケーキをメタノール(5.4リットル)で洗浄した。固体を窒素を
流しながら真空乾燥機中、40℃で23時間乾燥させた。次に、取得物をコミル(Co-
Mill)に通して塊を破砕し、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン
-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾー
ル-4-カルボキサミド形態1(2.21kg、6.14mol)を白色粉末として得た
。
【0045】
1B
粗API(150g)を精製し、水和物として得た。次に、その水和物を、5%形態1
シードとともに14時間にわたり還流メタノール中で攪拌した。スラリーを還流下にXR
PD用にサンプリングしたところ、少量の形態2(<5%)が存在することが示された。
そのスラリーを冷却して20℃とし、IKA Ultra Turrax湿式ミルを用い
て5200rpmで30分間湿式粉砕した。次に、それを還流に戻してさらに16時間経
過させた。
【0046】
還流下でのサンプリング後、XRPDによって、かなりレベルは低下しているが、形態
2がまだ存在していることが示された。そこで、スラリーを冷却して20℃とし、520
0rpmで30分間にわたり再度湿式粉砕した。次に、それを還流に戻してさらに16時
間経過させた。
【0047】
この時のXRPDにより、取得物が100%形態1であることが示された。スラリーを
12時間かけて冷却して20℃とし、20℃で6時間熟成させた。その取得物が形態1で
あることを再度確認してから、濾過及び乾燥を行った。形態1 API合計109gを、
オフホワイト粉末として得た(アッセイに関して補正して回収率82%)。
【0048】
1C
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フ
ルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド(52
g)をN,N-ジメチルアセトアミド(170mL)及びメタノール(52mL)で希釈
した。得られたスラリーを、400rpmで5~10分間にわたり20~25℃の温度で
攪拌した。混合物を加熱して60℃とした。温度が52℃に達した時点で、混合物は透明
になり、溶液となった。追加のメタノール(61mL)を溶液に加え、それをさらに60
℃で5~10分間攪拌した。1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3
-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-
4-カルボキサミドの形態1のシード(260mg又は0.5%の合計api)を加えた
ところ、直ちにスラリーが生成した。攪拌を500rpmまで高め、メタノール(661
mL)を10時間かけて加えた。得られたスラリーを60℃で熟成させ、次に5時間かけ
て冷却して0℃とした。スラリーを60分間粉砕し、0℃で2時間熟成させ、濾過した。
単離された生成物をメタノールで洗浄し(160mLで2回)、次いで、室温で2時間に
わたり真空乾燥し、次に50℃の真空乾燥機で16時間乾燥させた。形態1結晶46.6
gを得た。
【0049】
実施例2-形態2
WO2018/108969に記載の方法に従って、形態2を得た。
【0050】
実施例3-水和物
3A
形態2(0.2g)を、室温で14日間にわたり水(10mL)中でスラリー化した。
次に、その懸濁液を濾過し、環境条件で真空乾燥した(0.18gを単離)。PXRDに
より、水和物生成が確認された。
【0051】
3B
形態2(0.1g)を、室温で1日間にわたり、70/30(体積比)MeOH/H2
O(2mL)中でスラリー化した。次に、懸濁液を濾過し、環境条件で真空乾燥した(X
gを単離)。PXRDにより、水和物生成が確認された。
【0052】
形態1及び2及び水和物のこれらのサンプルのそれぞれについて、下記の方法に従って
特性決定を行った。
【0053】
X線粉末回折(XRPD)
X線粉末回折試験は、分子構造、結晶性及び多形性の特性決定を行うのに広く使用され
ている。形態1及び形態2及び水和物のX線粉末回折パターンを、反射モードのLYNX
EYE XE-T検出器を搭載したBruker AXS D8 Advanceで得た
。
【0054】
固体NMR
上記のX線粉末回折パターンに加えて、形態1、2及び水和物サンプルを、それらの炭
素-13固体核磁気共鳴(NMR)スペクトラムに基づいてさらに特性決定した。炭素-
13スペクトラムは、Bruker 4mm H/F/X BB三重共鳴CPMASプロ
ーブを用い、キャリア周波数400.14MHzで動作するBruker AV400
NMRスペクトル計で記録した。接触時間3msで80kHzでプロトン/炭素-13変
動振幅交差分極(VACP)を用いて、スペクトラムを収集した。データ獲得に用いた他
の実験パラメータは、100kHzのプロトン90度パルス、100kHzでのSPIN
AL64デカップリング、パルス遅延30.0秒、及び2900スキャンについてのシグ
ナル加算平均であった。マジック角回転(MAS)速度は13kHzに設定した。30H
zのローレンツ(Lorentzian)線広がりをスペクトラムに適用してから、フー
リエ変換を行った。化学シフトは、二次基準としてグリシンのカルボニル炭素(176.
70ppm)を用い、TMSスケールで報告される。
【0055】
示差走査熱量測定(DSC)
DSCデータは、TA Instruments DSC Q2000又は等価な機器
を用いて得た。1~6mgの重量を有するサンプルをオープンパンに量り入れる。このパ
ンを、熱量計セルのサンプル位置に置く。空のパンを基準位置に置く。熱量計セルを閉じ
、窒素流をセルに通す。加熱プログラムを、10℃/分の加熱速度でサンプルを加熱して
約275℃の温度とするように設定する。実施を完了したら、システムソフトウェア中の
DSC分析プログラムを用いてデータを解析する。観察される吸熱及び発熱を、その吸熱
若しくは発熱が観察される温度範囲の上及び下である基底線温度点間で積分する。報告さ
れるデータは、開始温度、ピーク温度及びエンタルピーである。
【0056】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フ
ルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド結晶形
態1の物理特性決定
図1は、形態1のX線粉末回折パターンを示している。形態1は、12.7、6.4、
及び4.5Åのd-間隔に相当する特徴的な回折ピークを示した。形態1はさらに、5.
0のd-間隔、4.4及び4.2Åの二重項ピーク及び4.0及び3.9Åの別の二重項
ピークを特徴とした。形態1はさらに、3.6、3.4及び3.1Åのピークセットのd
-間隔を特徴とした。
【0057】
表1.
結晶形態1についての特徴的ピーク位置及び相当するd-間隔
【表1】
【0058】
【0059】
形態1は、それの固体炭素-13核磁気共鳴(NMR)スペクトラム(
図2参照)に基
づいて特性決定した。炭素-13スペクトラムは、Bruker 4mm H/F/X
BB三重共鳴CPMASプローブを用い、キャリア周波数400.14MHzで動作する
Bruker AV400 NMRスペクトル計で記録した。接触時間3msで80kH
zでプロトン/炭素-13変動振幅交差分極(VACP)を用いて、スペクトラムを収集
した。データ獲得に用いた他の実験パラメータは、100kHzのプロトン90度パルス
、100kHzでのSPINAL64デカップリング、パルス遅延30.0秒、及び29
00スキャンについてのシグナル加算平均であった。マジック角回転(MAS)速度は1
3kHzに設定した。30Hzのローレンツ(Lorentzian)線広がりをスペク
トラムに適用してから、フーリエ変換を行った。化学シフトは、二次基準としてグリシン
のカルボニル炭素(176.70ppm)を用い、TMSスケールで報告される。
【0060】
形態1についての特徴的な炭素-13等方性化学シフトは、30.61、32.60、
53.4022、59.59、67.21、71.93、88.50、96.35、10
4.47、120.39、121.95、131.45、153.31、161.41、
163.36及び166.70ppmで観察される。
【0061】
図3は、結晶形態1の典型的なDSCサーモグラムである。そのDSCサーモグラムは
、外挿開始温度256.9℃での融解吸熱、ピーク温度257.2℃及びエンタルピー1
27.1 J/gを特徴とする。
【0062】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フ
ルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド結晶形
態2の物理特性決定
図4は、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[
(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミ
ド結晶形態2のX線粉末回折パターンが13.9、11.2及び7.0Åのd-間隔に相
当する特徴的な回折ピークを示したことを示している。形態2はさらに、6.0及び5.
9Åの二重項ピーク及び5.3及び5.2Åの別の二重項ピークのd-間隔を特徴とした
。
【0063】
表2.
結晶形態2についての特徴的ピーク位置及び相当するd-間隔
【表2】
【0064】
【0065】
形態2は、それの固体炭素-13核磁気共鳴(NMR)スペクトラム(
図5参照)に基
づいて特性決定した。炭素-13スペクトラムは、Bruker 4mm H/F/X
BB三重共鳴CPMASプローブを用い、キャリア周波数400.14MHzで動作する
Bruker AV400 NMRスペクトル計で記録した。接触時間3msで80kH
zでプロトン/炭素-13変動振幅交差分極(VACP)を用いて、スペクトラムを収集
した。データ獲得に用いた他の実験パラメータは、100kHzのプロトン90度パルス
、100kHzでのSPINAL64デカップリング、パルス遅延17.0秒、及び59
16スキャンについてのシグナル加算平均であった。マジック角回転(MAS)速度は1
3kHzに設定した。30Hzのローレンツ(Lorentzian)線広がりをスペク
トラムに適用してから、フーリエ変換を行った。化学シフトは、二次基準としてグリシン
のカルボニル炭素(176.70ppm)を用い、TMSスケールで報告される。
【0066】
形態2についての特徴的な炭素-13等方性化学シフトは、29.39、30.67、
32.06、52.40、54.80、59.92、65.57、67.64、71.0
1、72.3088.52、92.33、93.02、103.96、121.32、1
22.79、130.85、152.10、162.16、163.05、164.45
及び168.12ppmで観察される。
【0067】
図6は、結晶形態2の典型的なDSCサーモグラムである。そのDSCサーモグラムは
、外挿開始温度251.8℃での融解吸熱、ピーク温度252.9℃及びエンタルピー1
24.6 J/gを特徴とする。
【0068】
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フ
ルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド結晶水
和物形態の物理特性決定
図7は、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[
(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミ
ド結晶水和物形態のX線粉末回折パターンが12.1のd-間隔、7.0、6.9及び6
.7Åの三重項ピーク、及び5.1Åのピークに相当する特徴的な回折ピークを示したこ
とを示している。その水和物形態はさらに、5.5、4.1、3.2及び3.1Åのd-
間隔を特徴とした。
【0069】
表3.
結晶水和物についての特徴的ピーク位置及び相当するd-間隔
【表3】
【0070】
【0071】
前記水和物は、それの固体炭素-13核磁気共鳴(NMR)スペクトラムに基づいて特
性決定した。炭素-13スペクトラムは、Bruker 4mm H/F/X BB三重
共鳴CPMASプローブを用い、キャリア周波数400.14MHzで動作するBruk
er AV400 NMRスペクトル計で記録した。接触時間3msで80kHzでプロ
トン/炭素-13変動振幅交差分極(VACP)を用いて、スペクトラムを収集した。デ
ータ獲得に用いた他の実験パラメータは、100kHzのプロトン90度パルス、100
kHzでのSPINAL64デカップリング、パルス遅延1.6秒、及び8000スキャ
ンについてのシグナル加算平均であった。マジック角回転(MAS)速度は13kHzに
設定した。30Hzのローレンツ(Lorentzian)線広がりをスペクトラムに適
用してから、フーリエ変換を行った。化学シフトは、二次基準としてグリシンのカルボニ
ル炭素(176.70ppm)を用い、TMSスケールで報告される。
【0072】
当該水和物についての特徴的な炭素-13等方性化学シフトは、29.80、30.5
2、54.35、60.67、65.45、70.62、89.08、92.52、10
2.17、121.96、123.48、131.05、152.21、163.46、
164.53及び168.40ppmで観察される。
【0073】
図9は、結晶水和物形態の典型的なDSC曲線である。そのDSC曲線は、二つの吸熱
及び一つの発熱を特徴とする。外挿開始温度27.4℃、ピーク温度52.1℃、及びエ
ンタルピー46.6 J/gでの最初の吸熱は脱水によるものである。外挿開始温度16
4.1℃での発熱は、形態2への固体相転移によるものである。外挿開始温度253.9
℃、ピーク温度255.1℃及びエンタルピー124.6J/gでの吸熱は、形態2の融
解によるものである。
【0074】
形態1、形態2及び水和物の相対的熱力学的安定性
形態1及び形態2はモノトロピー的に関連している。形態1の方が形態2より安定であ
る。水和物が、水溶液中で最も安定な形態である。
【0075】
形態1及び形態2についての加工性評価
形態1及び形態2の両方が、40℃/75%相対湿度(RH)及び55℃で12ヶ月間
保存した後、物理的及び化学的に安定である。水和物のシードが存在する場合、典型的な
湿式造粒温度での形態2の水和物への変換のリスクがある。小規模結晶化プロセス研究に
よって、形態1が一貫して送達され得ることが明らかになった。
【0076】
形態1は、MeOH中、室温(RT)で3週間にわたりスラリー化した後に形態1のま
まであった。形態1及び形態2のそれぞれ約10mgを50℃でMeOH 1mL中でス
ラリー化した場合、4日後に、形態1への完全変換が認められた。
【0077】
形態2を、50℃で2-Me-THF、酢酸エチル、MeOH又はMeOH/トルエン
(体積比70:30)中でスラリー化し、14日目で形態1によるシード添加を行い、さ
らに14日間(合計28日間)平衡化した場合、形態1への完全な(or)変換が認めら
れた。25℃で酢酸エチル及び酢酸イソプロピル中にて、28日後には部分変換が認めら
れた。これは、形態1の方が形態2より熱力学的に安定であることの証拠である。
【0078】
形態2より形態1の方が溶解度が低いことも、形態1がより安定な形態であることを示
した。
【表4】
【0079】
水和物への変換リスク
5%SLSを含む水中でのスラリー実験を用いて、湿式造粒時の形態変換リスクを評価
した。典型的な湿式造粒条件には、60~70℃での1.5~2時間の乾燥を含む。
【0080】
5%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)水溶液中に20mg/mLの形態1若しくは形
態2を含むスラリーに、5%水和物シードをシード添加し、室温及び80℃で24時間に
わたり、PXDによって形態変化をモニタリングした。形態1サンプルについては水和物
ピークの増大は認められず、それは、形態1が室温及び80℃で水和物の存在下に24時
間にわたって安定であることを示していた。形態2サンプルに関しては80℃で水和物ピ
ークの増大は全く認められなかったが、室温での形態2サンプルについては水和物ピーク
の増大が認められた。これは、形態2が室温で水和物シード存在下で安定ではないことを
示している。これらの結果は、水和物シードが存在する場合に、水和物への形態変換のリ
スクが、形態2より形態1において低いことを示していた。
1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミド及び溶媒の溶液から当該結晶形態を析出させることを含む、
次の特徴:
6.9、13.9、17.8、19.6、20.4、20.9、24.7、25.0、26.6及び29.1からなる群から選択される゜2θ(±0.2)での少なくとも一つのピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターン、
30.61、32.60、53.40、59.59、67.21、71.93、88.50、96.35、104.47、120.39、121.95、131.45、153.31、161.41、163.36及び166.70ppmからなる群から選択される少なくとも一つのピークを有する炭素-13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトラム、又は
約257℃の吸熱ピークを含む示差走査熱量測定(DSC)サーモグラム
のうちの少なくとも一つを有する、1-[(3R,4S)-4-シアノテトラヒドロピラン-3-イル]-3-[(2-フルオロ-6-メトキシ-4-ピリジル)アミノ]ピラゾール-4-カルボキサミドの結晶形態(形態1)
の製造方法であって;
ここで、前記溶液は、還流温度で加熱され、次に冷却される方法。