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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147803
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】プレス成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 22/26 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
B21D22/26 C
B21D22/26 D
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024121054
(22)【出願日】2024-07-26
(62)【分割の表示】P 2024500468の分割
【原出願日】2023-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2022162210
(32)【優先日】2022-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022191033
(32)【優先日】2022-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022195383
(32)【優先日】2022-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕之
(57)【要約】
【課題】天板部と、稜線部を介して前記天板部に連続する縦壁部とを有するプレス成形品に対して、プレス成形時の割れ発生を抑制して製造するプレス成形品の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明のプレス成形品の製造方法は、天板部と、天板部の長手方向一端から延長した天板フランジ部と、天板部から稜線部を介して連続する縦壁部と、縦壁部の長手方向の一端側に外向きに曲げられた縦フランジ部と、を有するプレス成形品の製造方法であって、金属ブランクを、中間天板部と、中間縦壁部と、中間天板部と中間縦壁部とを接続する中間稜線部と、中間水平フランジ部と、中間縦フランジ部とを有し、中間稜線部の中間縦フランジ部側の端部に、天板面の基準高さよりも高い凸部を有する中間成形品にプレス成形する第1成形工程と、中間成形品を前記プレス成形品にプレス成形する第2成形工程と、を備える。
【選択図】図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板部と、前記天板部の長手方向一端から延長した天板フランジ部と、前記天板部から稜線部を介して連続する縦壁部と、前記縦壁部の長手方向の一端側に外向きに曲げられた縦フランジ部と、を有するプレス成形品の製造方法であって、
金属ブランクを、中間天板部と、中間縦壁部と、前記中間天板部と前記中間縦壁部とを接続する中間稜線部と、中間水平フランジ部と、中間縦フランジ部とを有し、前記中間稜線部の前記中間縦フランジ部側の端部に、天板面の基準高さよりも高い凸部を有する中間成形品にプレス成形する第1成形工程と、
前記中間成形品を前記プレス成形品にプレス成形する第2成形工程と、
を備えたプレス成形品の製造方法。
【請求項2】
第1成形工程において用いられる中間パンチは、
平面視でたて辺とよこ辺とからなるT字状の中間天板成形面部と、前記中間縦壁部を成形するパンチ側中間縦壁成形面部と、前記中間縦フランジ部を成形するパンチ側中間縦フランジ成形面部とを備えており、
前記中間天板成形面部の端部の幅方向両側には、前記凸部を形成するための凸部形成部が形成されている、
請求項1に記載のプレス成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板部と、縦壁部と、天板部と縦壁部との接続部分である稜線部と、を少なくとも有するプレス成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の衝突安全性基準の厳格化により、車体の衝突安全性の向上が進展する中で、昨今の二酸化炭素排出規制を受けて、車体の軽量化も必要である。そこで、衝突安全性能と車体の軽量化を両立するため、従来に比べてさらに高強度な金属板が車体に採用されつつある。至近では、1.5GPa級以上の超高張力鋼板の適用が図られている。しかしながら、一般に高強度な金属板は、延性に乏しいため、車体部品としてプレス成形品を製造すると、プレス成形する過程において端部から割れが生じやすい。
【0003】
従来から、プレス成形品における割れを防止する方法が採られている。例えば、特許文献1には、縦辺部と横辺部とが接続辺部により接続されたT字形状の天板部を有するT字形状部品をプレス成形するに際し、接続辺部から連続する壁部と当該壁部から連続するフランジ部との接続部分に生じる割れを防止する方法が開示されている。また、特許文献2には、外周縁の一部が内方に凹んだ凹状外周縁部を有する平板部と、凹状外周縁部に沿って曲げ成形されたフランジ部とを有するプレス成形品の伸びフランジ成形による割れを防止する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-13952号公報
【特許文献2】特開2016-104492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている方法は、まず第1成形工程において、天板部における接続辺部の縦辺部側に形成された凸形状部と、接続辺部から連続する壁部とフランジ部とを接続する底R部を上方に持ち上げた湾曲R部を有する中間形状部品を成形する。そして、第2成形工程において、中間形状部品の凸形状部及び湾曲R部を押し潰して目標形状のT字形状部品に成形する。これにより、接続辺部に連続する壁部に材料を流入させ、壁部とフランジ部との接続部分に生じる割れを防止することができるとされている。
【0006】
また、特許文献2に開示されている方法は、ブランク材における平板部に相当する部位に塑性変形を与え、当該塑性変形を与えた部位に材料が引き込まれることでフランジ部の屈曲部に相当する部位に材料が引き寄せられ、当該屈曲部相当部位に余肉を付与する。そして、余肉を付与したブランク材の曲げ加工を行い、フランジ部を有するプレス成形品を成形する。これにより、プレス成形品のフランジ部における屈曲部の成形性を低下させず、伸びフランジ割れの発生を効果的に抑制することができるとされている。
【0007】
このように、特許文献1及び特許文献2に開示されている方法は、プレス成形品における伸びフランジ変形を受ける部位の割れを防止するものであった。その一方、例えば、横辺部と縦辺部とを有してなる上面視で略T字形状又は略L字形状の天板部を有するプレス成形品においては、伸びフランジ変形に伴う割れとは異なり、縦壁部と横辺部とを接続する稜線部における横辺部先端側の端部に割れが生じる場合があった。しかしながら、上記の特許文献1及び特許文献2に開示されている方法では、このような略T字形状又は略L字形状の天板部を有するプレス成形品の縦壁部と横辺部とを接続する稜線部の端部における割れを抑制することはできなかった。
【0008】
また、天板部と、稜線部を介して前記天板部に連続する縦壁部と、縦壁部に連続する縦フランジ部を備えるプレス成形品のプレス成形においても、稜線部の端部に発生する割れを抑制することが難しかった。
【0009】
さらに、天板部と、稜線部を介して前記天板部に連続する縦壁部とを備え、上面視で前記天板部またはその一部が湾曲し、前記縦壁部が前記天板部における湾曲の内側に連続する縦壁部を備えるプレス成形品のプレス成形においても、稜線部の端部に発生する割れを抑制することも難しかった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、天板部と、稜線部を介して前記天板部に連続する縦壁部とを有するプレス成形品に対して、プレス成形時の割れ発生を抑制して製造するプレス成形品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、
(1)本発明に係るプレス成形品の製造方法は、天板部と、縦壁部と、前記天板部と前記縦壁部との接続部分である稜線部と、を少なくとも有するプレス成形品の製造方法であって、金属板ブランクを、中間天板部と、中間縦壁部と、前記中間天板部と前記中間縦壁部とを接続する中間稜線部とを有し、前記中間稜線部を含む前記中間天板部の一箇所または複数箇所に、天板面の基準高さよりも高い凸部を有する中間成形品にプレス成形する第1成形工程と、前記中間成形品を前記プレス成形品にプレス成形する第2成形工程と、を備える。
【0012】
(2)本発明に係るプレス成形品の製造方法は、上記(1)の発明において、前記プレス成形品の形状において、前記天板部が、横辺部と、縦辺部と、前記横辺部と前記縦辺部とが接続する接続R部とを有し、上面視で略T字形状又は略L字形状であり、前記天板部の前記横辺部から前記接続R部及び前記縦辺部にわたって、前記天板部と接続する前記稜線部と、前記天板部の前記横辺部から前記接続R部及び前記縦辺部にわたって、前記稜線部を介して連続する前記縦壁部と、前記縦壁部から連続する底フランジ部と、を備えており、前記第1成形工程において、前記中間天板部が、中間横辺部と、中間縦辺部と、前記中間横辺部と前記中間縦辺部とが接続する中間接続R部とを有し、上面視で略T字形状又は略L字形状であり、前記中間天板部の前記中間縦辺部の高さが目標製品形状における縦辺部の高さよりも低い、前記中間成形品にプレス成形し、さらに、前記第1成形工程において、前記中間成形品の前記中間稜線部を含む前記中間天板部の前記中間横辺部の端部、及び/又は、前記中間成形品の前記中間稜線部を含む前記中間天板部の前記中間接続R部に、前記縦辺部の高さよりも高い前記凸部を有する前記中間成形品にプレス成形する。
【0013】
(3)本発明に係るプレス成形品の製造方法は、上記(2)の発明において、前記第1成形工程において、前記中間稜線部を含む前記中間天板部の前記中間横辺部に、前記中間横辺部の先端側に向かって高さが徐々に高くなる前記凸部を有する前記中間成形品にプレス形成する。
【0014】
(4)本発明に係るプレス成形品の製造方法は、上記(2)の発明において、前記第1成形工程において、前記中間稜線部を含む前記中間天板部の前記中間横辺部に、前記中間横辺部の先端側まで高さが一定である前記凸部を有する前記中間成形品にプレス形成する。
【0015】
(5)本発明に係るプレス成形品の製造方法は、上記(2)の発明において、前記第1成形工程において、前記中間稜線部を含む前記中間接続R部に前記凸部を形成し、さらに、前記中間接続R部の前記凸部の高さに合わせた高さとなる前記中間天板部の前記中間横辺部を有する前記中間成形品にプレス成形する。
【0016】
(6)本発明に係るプレス成形品の製造方法は、上記(1)の発明において、前記第1成形工程において、前記中間稜線部の端部を含む前記中間天板部の一箇所または複数箇所に、前記天板面の基準高さよりも高い前記凸部を有する前記中間成形品にプレス成形する。
【0017】
(7)本発明に係るプレス成形品の製造方法は、上記(6)の発明において、前記プレス成形品は、前記縦壁部に連続する縦フランジ部を備えており、前記第1成形工程において、前記中間稜線部を含む前記中間天板部の、前記プレス成形品における前記縦フランジ部側の端部に前記凸部を有する前記中間成形品にプレス成形する。
【0018】
(8)本発明に係るプレス成形品の製造方法は、上記(6)の発明において、前記プレス成形品は、上面視で前記天板部または前記天板部の一部が湾曲し、前記縦壁部が前記天板部における湾曲の内側に連続する縦壁部を備えており、前記第1成形工程において、前記中間稜線部の端部を含む前記中間天板部に前記凸部を有する前記中間成形品にプレス成形する。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、天板部と、稜線部を介して前記天板部に連続する縦壁部とを有するプレス成形品について、プレス成形時の割れ発生を抑制して製造することができる。特に、横辺部と縦辺部とを有してなる上面視で略T字形状又は略L字形状の天板部を有するプレス成形品について、横辺部先端側の稜線部の割れを抑制することができる。また、天板部と、稜線部を介して前記天板部に連続する縦壁部と、縦壁部に連続する縦フランジ部を備えるプレス成形品について、縦フランジ側に近い稜線部の端部の割れを抑制することができる。さらには、天板部と、稜線部を介して前記天板部に連続する縦壁部とを備え、上面視で前記天板部またはその一部が湾曲し、前記縦壁部が前記天板部における湾曲の内側に連続する縦壁部を備えるプレス成形品について、稜線部の端部の割れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施形態1に係るプレス成形品の製造方法において、横辺先端側の稜線部と天板横辺部全体を凸部として高くした例であって、天板縦辺部における縦壁高さが、目標形状よりも低い中間形状にプレス成形品にプレス成形する第1成形工程と、目標形状の縦壁高さとなるプレス成形品にプレス成形する第2成形工程、及び、目標形状のプレス成形品の横辺側稜線部の端部における割れを抑制することができる理由を説明する図である((a)第1成形工程、(b)第2成形工程)。
図2図2は、本発明の実施形態1に係るプレス成形品の製造方法において、凸部を接続R部のみとした例であって、天板縦辺部における縦壁高さが、目標形状よりも低い中間形状にプレス成形品にプレス成形する第1成形工程と、目標形状の縦壁高さとなるプレス成形品にプレス成形する第2成形工程、及び、目標形状のプレス成形品の横辺側稜線部の端部における割れを抑制することができる理由を説明する図である((a)第1成形工程、(b)第2成形工程)。
図3図3は、本発明において製造する対象である上面視で略T字形状の天板部を備えるプレス成形品の天板横辺部の先端の丸みが小さい場合の一例を示す図である。
図4図4は、本発明において製造する対象である上面視で略T字形状の天板部を備えるプレス成形品の天板横辺部の先端の丸みが大きい場合の一例を示す図である。
図5図5は、本発明において製造する対象である上面視で略L字形状の天板部を備えるプレス成形品の一例を示す図である。
図6図6は、上面視で略T字形状のプレス成形品を2工程でプレス成形する従来の製造方法を説明する図である((a)第1成形工程、(b)第2成形工程)。
図7図7は、従来の2工程でプレス成形した略T字形状のプレス成形品の中間形状及び目標形状それぞれの成形下死点における板厚変化率を求めた結果を示すコンター図である((a)中間形状、(b)目標形状)。
図8図8は、従来の製造方法でプレス成形した略T字形状の天板部を備えるプレス成形品において割れが発生する部位とその理由を説明する図である。
図9図9は、本発明の実施形態1に係るプレス成形品の製造方法において、第1成形工程で天板部に凸部が形成された中間形状のプレス成形品のプレス成形に用いるパンチの一例を示す図であり、天板部の横辺部が延在する位置から連続する稜線部に、高さが一様となる『凸部』を形成し、さらに、凸部の高さに合わせた高さとなる天板横辺部を有する中間成形品に成形するパンチの具体例を示す図である。
図10図10は、本発明の実施形態1に係るプレス成形品の製造方法において、第1成形工程で天板部に凸部が形成された中間形状のプレス成形品のプレス成形に用いるパンチの一例を示す図であり、天板部の横辺部が延在する位置から連続する稜線部に、稜線部の先端部に向かって徐々に高くなるように『凸部』を形成し、さらに、凸部の高さに合わせた高さとなる天板横辺部を有する中間成形品に成形するパンチの具体例を示す図である。
図11図11は、本発明の実施形態1に係るプレス成形品の製造方法において、第1成形工程で天板部に凸部が形成された中間形状のプレス成形品のプレス成形に用いるパンチの一例を示す図であり、天板部の接合R部に凸部』を形成するパンチの具体例を示す図である。
図12図12は、本発明の実施形態1に係り、図10(a)に示すパンチを使用したプレス成形品の製造方法でプレス成形した略T字形状のプレス成形品の中間形状及び目標形状それぞれの成形下死点における板厚変化率を求めた結果を示すコンター図である((a)中間形状、(b)目標形状)。
図13図13は、製品目標形状が図4の場合の、従来の2工程でプレス成形した略T字形状のプレス成形品の中間形状及び目標形状それぞれの成形下死点における板厚変化率を求めた結果を示すコンター図である((a)中間形状、(b)目標形状)。
図14図14は、本発明の実施形態1に係り、図11(a)に示すパンチ(凸部)を使用したプレス成形品の製造方法でプレス成形した略T字形状のプレス成形品の中間形状及び目標形状それぞれの成形下死点における板厚変化率を求めた結果を示すコンター図である((a)中間形状、(b)目標形状)。
図15図15は、本発明の実施形態1に係り、図11(b)に示すパンチ(凸部+横辺部の高さUp)を使用したプレス成形品の製造方法でプレス成形した略T字形状のプレス成形品の中間形状及び目標形状それぞれの成形下死点における板厚変化率を求めた結果を示すコンター図である((a)中間形状、(b)目標形状)。
図16図16は、従来の方法によりプレス成形した略L字形状の天板部を有するプレス成形品の中間形状と目標形状のそれぞれについて求めた、板厚変化率の結果を示す図である((a)中間形状、(b)目標形状)。
図17図17は、本発明の実施形態1に係る方法によりプレス成形した略L字形状の天板部を有するプレス成形品の中間形状と目標形状のそれぞれについて求めた、板厚変化率の結果を示す図である((a)中間形状、(b)目標形状)。
図18図18は、本発明の実施形態2に係るプレス成形品の製造方法の説明図である。
図19図19は、本発明の実施形態2に係るプレス成形品の製造方法に用いる中間パンチの説明図である。
図20図20は、本発明の実施形態2に係る中間成形品の説明図である。
図21図21は、本発明の実施形態2によって成形されたプレス成形品の板厚減少率を説明する図である。
図22図22は、本発明の実施形態2に係る中間パンチの他の態様の説明図である。
図23図23は、本発明の実施形態2に係る目標形状であるプレス成形品の説明図である。
図24図24は、図23に示すプレス成形品を1工程でプレス成形する従来方法の説明図である。
図25図25は、図24に示す従来方法でプレス成形した際の板厚減少率の説明図である。
図26図26は、本発明の実施形態3に係るプレス成形品の製造方法の説明図である。
図27図27は、本発明の実施形態3に係るプレス成形品の製造方法に用いる中間パンチの説明図である。
図28図28は、本発明の実施形態3に係る中間成形品の説明図である。
図29図29は、本発明の実施形態3によって成形されたプレス成形品の板厚減少率を説明する図である。
図30図30は、本発明の実施形態3に係る目標形状であるプレス成形品の説明図である。
図31図31は、図30に示すプレス成形品を1工程でプレス成形する従来方法の説明図である。
図32図32は、図31に示す従来方法でプレス成形した際の板厚減少率の説明図である。
図33図33は、図31に示す従来方法によってプレス成形されたプレス成形品で割れが発生するメカニズムを説明する説明図である。
図34図34は、実施例1において、中間形状のプレス成形品における横辺部先端側の傾斜角度を説明する図である。
図35図35は、実施例1において、中間形状のプレス成形品における横辺部先端側の部位を一様に高くする高さ増分を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1に係るプレス成形品の製造方法について説明するに先立ち、本発明で対象とするプレス成形品と、当該プレス成形品における割れの発生について説明する。なお、同一又は類似する構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
<本発明で対象とするプレス成形品>
図3に、本発明において製造対象であるプレス成形品の一例として、天板部3と、縦壁部5と、底フランジ部7と、を備えたプレス成形品1を示す。
【0023】
天板部3は、図3に示すように、横辺部3aと縦辺部3bとを有してなる上面視で略T字形状である。さらに、天板部3は、横辺部3aから縦辺部3bにかけて弧状の接続R部3cを有する。
【0024】
縦壁部5は、図3に示すように、天板部3における横辺部3aから縦辺部3bにわたって稜線部9を介して連続するものである。そして、縦壁部5は、横辺部3aから横辺側稜線部9aを介して連続する横辺側縦壁部5aと、縦辺部3bから縦辺側稜線部9bを介して連続する縦辺側縦壁部5bと、を有する。さらに、縦壁部5は、接続R部3cから接続R側稜線部9cを介して連続し、横辺側縦壁部5aと縦辺側縦壁部5bとを接続する接続R側縦壁部5cと、を有する。
【0025】
底フランジ部7は、図3に示すように、縦壁部5から連続するものであり、横辺側縦壁部5aと縦辺側縦壁部5bと接続R側縦壁部5cのそれぞれから連続して形成されたものである。
【0026】
このようなプレス成形品1は、従来、図6に示すように、第1成形工程と第2成形工程との2工程でプレス成形されていた。
【0027】
まず、第1成形工程では、図6(a)に示すように、金属板であるブランク11をパンチ13とパッド15とで挟み、ダイ17をパンチ13側に相対的に移動させて、目標形状よりも縦壁高さの低い中間形状のプレス成形品21(図6(b)参照)をプレス成形する。ここで、中間形状のプレス成形品21の天板部23は、目標形状のプレス成形品1の天板部3(図3参照)と同形状にプレス成形する。
【0028】
そして、続く第2成形工程では、図6(b)に示すように、中間形状のプレス成形品21の天板部23をパンチ31とパッド33とで挟み、ダイ35をパンチ31側に相対的に移動させて、中間形状よりも縦壁高さを高くした目標形状のプレス成形品1をプレス成形する。
【0029】
しかしながら、第2成形工程において中間形状のプレス成形品21を目標形状のプレス成形品1(図3)にプレス成形すると、横辺部3aと横辺側縦壁部5aとを接続する横辺側稜線部9aの端部に割れが生じる場合があった。なお、横辺側稜線部9aの端部とは、横辺部3aが延在する方向における横辺側稜線部9aの先端側の部位のことをいう。
【0030】
このような略T字形状の天板部3を備えるプレス成形品1の横辺側稜線部9aの端部に割れが生じる原因を突き止めるために、図6に示すように2工程で目標形状のプレス成形品1をプレス成形する各工程について有限要素法による解析(FEM解析)を行った。
【0031】
図7に、第1成形工程と第2成形工程のそれぞれについて、FEM解析によって求めた中間形状のプレス成形品21と目標形状のプレス成形品1の成形下死点における板厚変化率を示す。なお、図7に示す結果は、板厚1.2mm、引張強度780MPa級の鋼板をブランク11として用い、中間形状のプレス成形品21の縦壁高さを20mm、目標形状のプレス成形品1の縦壁高さを30mmとした場合のものである。また、図7に示す板厚変化率は、中間形状のプレス成形品21又はプレス成形品1の各部位における板厚とブランク11である金属板の板厚との差をブランク11の板厚で割った値である。本明細書及び図面では、板厚変化率が正の値の場合は板厚増加率、板厚変化率が負の値の場合は板厚減少率と称す。板厚減少率の絶対値が大きいほど割れが発生しやすくなる。
【0032】
図7(a)は、図6(a)に示す第1成形工程でプレス成形した中間形状のプレス成形品21の成形下死点での板厚変化率を示したものであり、横辺側稜線部29aの端部における板厚減少率は-4.7%であった。図7(b)は、図6(b)に示す第2成形工程でプレス成形した目標形状のプレス成形品1の成形下死点での板厚変化率を示したものであり、横辺側稜線部9aの端部における板厚減少率は-16.9%であった。このように、目標形状の横辺側稜線部9aの端部における板厚減少率は、絶対値が大きくて、その結果、第2成形工程において横辺側稜線部9aの端部において板厚が大きく減少し、割れが発生しやすい。
【0033】
目標形状のプレス成形品1の横辺側稜線部9aの端部における板厚減少率が大きい理由について、図8に基づいて説明する。従来は、前述したように、第1成形工程で目標形状よりも縦壁高さを低くした中間形状のプレス成形品21をプレス成形し、続く第2成形工程で、中間形状のプレス成形品21を目標形状の縦壁高さのプレス成形品1にプレス成形する。この場合、第2成形工程では、図8に示すように、横辺側稜線部29aが引き延ばされて、横辺側稜線部9aに大きな引張力が作用する。その結果、この大きな引張力により、前述した図7(b)に示すように目標形状の横辺側稜線部9aの端部における板厚減少率の絶対値が大きくなり、割れ発生に至る。
【0034】
そこで、発明者は、目標形状のプレス成形品1を2工程でプレス成形する過程において、横辺側稜線部9aに作用する引張力を低減する方法を鋭意検討した。その結果、図1及び図2に示すとおり、第1成形工程において、図1:中間形状のプレス成形品21の天板部23における横辺部23aの先端部の縦壁高さを縦辺部23bの縦壁高さよりも高く形成すること、及び、図2:中間形状のプレス成形品21の天板部23における接続R部23cを含み横辺部23aから縦辺部23bにわたる領域に、上方に持ち上げられた凸部23dを形成することを想起した。図2で説明すると、続く第2成形工程において上方に持ち上げられた凸部23dを押し潰して目標形状の天板部となる接続R部3cを成形すると、上方に持ち上げられた凸部23dから横辺側稜線部9aの先端部側へと材料が流れる。これにより、横辺側稜線部9aに生じる引張力を低減し、横辺側稜線部9aの端部における割れを抑制できることを見い出した。本発明は、上記検討結果に基づいてなされたものであり、具体的な構成は以下のとおりである。
【0035】
<プレス成形品の製造方法>
実施形態1に係るプレス成形品の製造方法は、前述した図2に示すプレス成形品1を、第1成形工程において、目標形状よりも天板部の縦辺部の縦壁高さが低い中間形状にプレス成形し、続く第2成形工程において目標形状の縦壁高さにプレス成形するものである。
【0036】
そして、実施形態1に係るプレス成形品の製造方法は、第1成形工程において、図1(a)に示すように、中間形状のプレス成形品21の天板部23における横辺部23aの縦壁高さについて、縦辺部の縦壁高さよりも高くなる『凸部』を含むように形成する。なお、第1成形工程では、図9及び図10に例示するような、天板部23の横辺部23aを成形する部位について、縦辺部23bを成形する部位よりも高い領域を含むパンチ71を用いて中間形状のプレス成形品21にプレス成形すればよい。あるいは、実施形態1に係るプレス成形品の製造方法は、第1成形工程において、図2(a)に示すように、接続R部23cを含む横辺部23aから縦辺部23bにわたる領域に、周囲の高さ(天板面の基準高さ)よりも高い凸部23dを形成する。ここで、凸部23dは、中間形状の天板部23の縦辺部23bよりも高くなるように形成する。なお、第1成形工程では、図11(a)に例示するような、天板成形部73の接続R成形部73cを含む横辺成形部73aから縦辺成形部73bにわたる領域に凸部形成部73dが設けられたパンチ71を用いて中間形状のプレス成形品21にプレス成形すればよい。また、第1成形工程では、図11(b)に例示するように、天板成形部の凸部形成部63dから横辺先端側成形部63a1にわたる領域が凸部形成部となるパンチ61を用いて中間形状のプレス成形品21にプレス成形することもできる。
【0037】
さらに、実施形態1に係るプレス成形品の製造方法は、続く第2成形工程において、第1成形工程で形成した中間成形品をプレス成形して目標形状となる天板部3に成形する。
【0038】
<割れ発生を抑制できる理由>
実施形態1に係るプレス成形品の製造方法により、目標形状のプレス成形品1の横辺側稜線部9aの端部における割れの発生を抑制できる理由を、図1及び図2に基づいて説明する。
【0039】
実施形態1では、前述したように、第1成形工程において、中間形状の天板部23の横辺部23aの高さが縦辺部23bの高さよりも高い「凸部」を含む中間形状のプレス成形品21にプレス成形する(図1(a))。あるいは、第1成形工程において、中間形状の天板部23の縦辺部23bよりも高さが高い凸部23dが天板部23に形成された中間形状のプレス成形品21にプレス成形する(図2(a))。
【0040】
このような中間形状のプレス成形品21を第2成形工程において目標形状のプレス成形品1にプレス成形すると、図1(b)及び図2(b)に示すように、中間形状で高さの高い部分から横辺側稜線部9aへと材料が流れる。これにより、目標形状のプレス成形品1における横辺側稜線部9aに生じる引張力を低減させることができる。その結果、横辺側稜線部9aの端部における板厚の減少が小さくなり、割れを抑制することができるわけである。
【0041】
<横辺部の態様>
上記の説明において、第1成形工程は、図1(a)に示すように、中間形状のプレス成形品21の横辺部23aが延在する方向において先端側の部位を一様に高くするものであった。その態様として、図9(a)及び図9(b)に示すものが例示できる。図9(a)は、天板成形部73における縦辺成形部73bを横辺成形部73a側に延長した領域と横辺成形部73aとの境界線よりも横辺成形部73a先端側の部位を一様に高く成形するパンチ(金型)の模式である。図9(b)は、天板成形部73における縦辺成形部73bを横辺成形部73a側に延長した領域と横辺成形部73aとの境界線から先端までの部位を一様に高く成形するパンチ(金型)の模式である。このように、横辺成形部73aの先端側の部位を一様に高くする範囲は特に限定はない。もっとも、第2成形工程において接続R部3cの近傍におけるしわを抑制するという観点から、中間形状の横辺成形部73aにおいて縦辺成形部73bを延長した領域との境界線よりも先端側の部位を高くする方が好ましい。そのため、図9(a)よりも横辺成形部73aの先端側の部位のみを一様に高くしてもよい(図示なし)。
【0042】
また、第1成形工程において、横辺部23aの先端側の部位を一様に高くする場合、先端側の部位の高さの増分は、中間形状のプレス成形品21の横辺側縦壁部25aの縦壁高さとの比で0.05以上0.5以下とすることが好ましい。横辺部23a先端側の高さの増分が0.05より小さいと、横辺部23a(図8参照)の高さが不足して目標形状の横辺側稜線部9aの端部における板厚減少率の絶対値がわずかに減少するだけであり、割れを防止することが困難な場合がある。また、横辺部23a先端側の高さの増分が0.5より大きいと、第1成形工程において、横辺部23a先端の縦壁高さが高くなりすぎることで、横辺側稜線部29aが引き延ばされて板厚減少率の絶対値が大きくなり、第1成形工程で割れが発生する危険性が高くなる場合がある。
【0043】
さらに、本発明は、第1成形工程において、図10に例示するように、中間形状の横辺成形部73aが延在する方向において先端側に向かって徐々に高くなるように傾斜させるものであってもよい。
【0044】
図12に、第1成形工程において、先端側を徐々に高くなるように傾斜させた横辺部23aを有する中間形状のプレス成形品21とし、中間形状のプレス成形品21と目標形状のプレス成形品1のそれぞれについて板厚変化率を求めた結果を示す。図12に示す結果は、板厚1.2mm、引張強度780MPa級の鋼板をブランク11として用いたものである。さらに、中間形状の縦壁高さを20mm、目標形状の縦壁高さを30mmとし、中間形状のプレス成形品21において横辺部23aの先端側の傾斜角度を15.4°、先端における高さの増分を5.5mm、としたものである。
【0045】
図12(a)に示すように、中間形状のプレス成形品21においては、横辺側稜線部29aの先端部の板厚減少率は-9.1%であり、前述した図7(a)に示す従来の方法(-4.7%)よりも絶対値が増加した。しかしながら、図12(b)に示すように、目標形状のプレス成形品1においては、横辺側稜線部9aの先端部の板厚減少率は-11.9%であり、その絶対値は前述した図7(b)に示す従来の方法(-16.9%)よりも減少した。この結果から、中間形状のプレス成形品21において横辺部23aの先端側を傾斜させた場合においても、目標形状のプレス成形品1の横辺側稜線部9aの端部における割れを抑制できることが示される。
【0046】
なお、中間形状の横辺部23aの先端側を傾斜させる具体的な態様としては、図10(a)及び図10(b)に示すものが例示できる。図10(a)は、天板成形部73における縦辺成形部73bを横辺成形部73a側に延長した領域と横辺成形部73aとの境界線を起点とし、横辺成形部73aが延在する方向において先端に向かって徐々に高くなるように傾斜させたものである。図10(b)は、縦辺成形部73bを横辺成形部73a側に延長した領域と横辺成形部73aとの境界線よりも縦辺成形部73bの延長領域側を起点とし、横辺成形部73aが延在する方向において先端に向かって徐々に高くなるように傾斜させたものである。
【0047】
このように、横辺成形部73aの先端側の部位を傾斜させる開始位置は特に限定はなく、縦辺成形部73bを延長した領域と横辺成形部73aとの境界線よりも先端側から傾斜させてもよい(図示なし)。
【0048】
また、図10(a)及び図10(b)に示すように、中間形状のプレス成形品21において横辺成形部73aの先端側を傾斜させる場合、目標形状の横辺部3aを基準とする傾斜角度は、3度以上25度以下が好ましい。
【0049】
傾斜角度が3度より小さいと、目標形状のプレス成形品1における横辺側稜線部9aの板厚減少率の絶対値はわずかに低下するだけであり、割れを防止することが困難となる場合もある。また、傾斜角度が25度より大きいと、第1成形工程(図12(a)参照)において、横辺部23aと横辺側縦壁部25aとの間の横辺側稜線部29aが引き延ばされて板厚減少率の絶対値が大きくなり、第1成形工程で割れが発生する危険性が高くなる場合もある。
【0050】
なお、図9(a)及び図9(b)、並びに、図10(a)及び図10(b)は、中間形状のプレス成形品21の横辺部23aを形成するパンチ(金型)の具体的な形状を例示したものであるが、本発明は、これらの形状に限定するものではない。中間形状の天板部における横辺部先端側の部位の高さを、中間形状の天板部における縦辺部の部位よりも高く形成するパンチ(金型)であれば、図9及び図10に示した横辺成形部73a以外の形状でもよい。
【0051】
例えば、第1成形工程において、中間形状の横辺部における縦辺部を延長した領域の高さを中間形状の縦辺部の高さよりも高くするものであってもよい。
【0052】
上記の説明は、上面視で略T字形状の天板部3を有するプレス成形品1を対象とするものであった。もっとも、本発明は、図5に示すように、横辺部43aと縦辺部43bとを有してなる上面視で略L字形状の天板部43と、縦壁部45と、底フランジ部47と、を備えたプレス成形品41であってもよい。
【0053】
略L字形状の天板部43を有するプレス成形品41についても、従来は、図16に示すように、第1成形工程において縦壁高さの低い中間形状にプレス成形し、続く第2成形工程において目標形状の縦壁高さにプレス成形することにより製造されていた。そのため、略T字形状の天板部3を有するプレス成形品1と同様、図16(a)の中間形状のプレス成形品51の横辺側縦壁部55aが図16(b)の第2成形工程において縦壁高さ方向に引き延ばされる。これにより、目標形状の横辺側縦壁部45aと横辺側稜線部49aに大きな引張力が作用する。その結果、この大きな引張力により、横辺側稜線部49aの端部の板厚減少率の絶対値が大きくなり(17.7%)、割れ発生に至る。
【0054】
図17(a)に示すように、第1成形工程においては、天板部における横辺部53aの先端側の部位を縦辺部の部位よりも高くするように、横辺部53aの先端側の部位を高くする。続く第2成形工程においては、中間形状の横辺部53aにおける先端側の部位を目標形状の高さにする。
【0055】
これにより、前述した略T字形状の天板部3を有するプレス成形品1を製造する場合と同様、目標形状の横辺側稜線部49aの端部における板厚減少率の絶対値を減少(-12.6%)することができ、割れを抑制することができる。
【0056】
なお、図17(a)に示した中間形状のプレス成形品51は、天板部における横辺部53aの先端側の部位の高さを天板部における縦辺部53bの先端側の部位よりも一様に高くするものであった。もっとも、略L字形状のプレス成形品41を製造する場合であっても、中間形状の横辺部53aは、横辺部53aが縦壁部に接続して延在する方向の先端に向かって徐々に高くなるように横辺部53aの先端側の部位を傾斜させるものであってもよい。
【0057】
次に、図11に示したパンチ形状を用いた中間成形を行うことによって、横辺側稜線部9aの端部における板厚減少が小さくなることについて、第1成形工程と第2成形工程により目標形状のプレス成形品1をプレス成形する各工程についてFEM解析を行って検証した。
【0058】
実施形態1に係る第1成形工程と第2成形工程についてのFEM解析により、中間形状のプレス成形品21と目標形状のプレス成形品1の成形下死点における板厚変化率を求めた結果を図14に示す。なお、図14に示す結果は、780MPa級の鋼板をブランク11として用い、中間形状のプレス成形品21の縦壁高さを20mm、目標形状のプレス成形品1の縦壁高さを30mmとした場合のものである。また、板厚変化率とは、プレス成形品1又は中間形状のプレス成形品21の各部位における板厚とブランク11である金属板の板厚との差をブランク11の板厚で割った値である。
【0059】
中間形状のプレス成形品21において、図14(a)に示すように、横辺側稜線部29aの端部における板厚減少率は-1.8%であった。この板厚減少率の値は、従来の方法によりプレス成形した中間形状のプレス成形品21の板厚減少率(=-1.2%、図13(a)参照)に比較して絶対値がわずかに増加している。
【0060】
一方、図14(b)に示す第2成形工程でプレス成形した目標形状のプレス成形品1における板厚減少率は-8.1%であった。この値は、従来の方法によりプレス成形したプレス成形品1の横辺側稜線部9aの端部における板厚減少率(=-11.0%、図13(b)参照)に比較して絶対値が減少している。その結果、目標形状のプレス成形品1の横辺側稜線部9aの端部における割れを抑制できることが分かる。
【0061】
以上、実施形態1に係るプレス成形品の製造方法においては、第2成形工程で、凸部23dを押し潰して目標形状の天板部3を成形する。これにより、目標形状の天板部3における横辺部3aから連続する横辺側稜線部9aに生じる引張力を低減し、横辺側稜線部9aの端部における割れを抑制することができる。
【0062】
なお、第1成形工程において中間形状の天板部23に形成する凸部23dは、その高さ増分(中間形状の天板部23の縦辺部23bを基準としたときの凸部23dの頂点までの高さ)を横辺側縦壁部25aの幅に対して5%から50%とするとよい。
【0063】
凸部23dの高さ増分が5%未満では、第2成形工程で凸部23dを押し潰すことによる横辺側稜線部9aへの材料流れが不足し、割れを十分に抑制できない場合がある。また、凸部23dの高さ増分が50%を超えると、第2成形工程で凸部23dを押し潰すことによる横辺側稜線部9aへの材料流れが過剰となり、割れは抑制できるが材料が余ってしわが発生して問題となる場合がある。
【0064】
本発明は、中間形状の天板部における横辺部から縦辺部を接続する接続R部に凸部を形成するものであれば、図2(a)に示す凸部23d以外の他の形状であってもよい。
【0065】
また、実施形態1の他の態様として、第1成形工程において、図15(a)に例示する中間形状のプレス成形品21をプレス成形するものであってもよい。ここで、中間形状のプレス成形品21は、天板部23に凸部23dが形成されるとともに、横辺部23aの先端側の部位23a1を中間形状の天板部23の縦辺部23bよりも高くしたものである。この場合、第1成形工程においては、例えば、図11(b)に示すような、凸部形成部63dに加えて、中間形状の部位23a1を縦辺部23bよりも一様に高く成形する横辺先端側成形部63a1を有するパンチ61を用いればよい。そして、続く第2成形工程において、凸部23dを押し潰すとともに、中間形状の部位23a1を目標形状の高さにする。
【0066】
図15(a)は、実施形態1の他の態様に係る中間形状のプレス成形品51の成形下死点における板厚変化率をFEM解析により求めた結果を示す図である。図15(b)は、実施形態1の他の態様に係る目標形状のプレス成形品1の成形下死点における板厚変化率をFEM解析により求めた結果を示す図である。なお、図15に示す結果は、780MPa級の鋼板をブランク11として用い、中間形状のプレス成形品51の縦壁高さを20mm、目標形状のプレス成形品1の縦壁高さを30mmとした場合のものである。また、図15に示す板厚変化率は、中間形状のプレス成形品51又はプレス成形品1の各部位における板厚とブランク11である金属板の板厚との差をブランク11の板厚で割った値である。
【0067】
中間形状のプレス成形品51においては、図15(a)に示すように、横辺側稜線部29aの端部における板厚減少率は-2.5%であった。この板厚減少率の値は、従来の方法によりプレス成形した中間形状のプレス成形品51の板厚減少率(=-1.2%)(図13(a)参照)に比較して絶対値が増加している。
【0068】
一方、図15(a)に示す中間形状のプレス成形品51を第2成形工程で目標形状のプレス成形品1にプレス成形すると、図15(b)に示すように、横辺側稜線部9aの端部における板厚減少率は-4.7%であった。この値は、従来の方法による板厚減少率(=-11.0%、図13(b)参照)に比較して絶対値が大幅に減少している。さらに、凸部23dのみを形成した板厚減少率(=-8.1%、図14(b))よりも絶対値が減少している。このことから、第1成形工程において中間形状のプレス成形品51に凸部23dを形成するとともに横辺部23a先端側の部位23a1を高くすることで、横辺側稜線部9aの端部における板厚減少をさらに抑制できて好ましい。
【0069】
なお、中間形状のプレス成形品21をプレス成形する際に、横辺部23a先端側の部位23a1を高くする場合、その高さ増分は、凸部23dの高さ増分以下とすることが好ましい。凸部23dを部位23a1以上に高くすることで、目標形状にプレス成形する過程で凸部23dを押し潰して横辺側稜線部9aへの材料流れを生じさせることができる。
【0070】
また、図15に示す中間形状のプレス成形品21は、縦辺部23bを横辺部23a側に延長した領域と横辺部23aとの境界線よりも縦辺部23bの延長領域側から高くし、前記境界線から横辺部23a先端側までの部位23a1を一様に高くしたものである。
【0071】
もっとも、本発明は、凸部23dを部位23a1以上に高くする以外、第1成形工程でプレス成形する中間形状のプレス成形品において横辺部先端側の部位を高くする形態や範囲は特に限定はない。
【0072】
さらに、本発明は、図5及び図16(b)に一例として示すように、横辺部43aと縦辺部43bとを有してなる上面視で略L字形状の天板部43と、縦壁部45と、底フランジ部47と、を備えたプレス成形品41であってもよい。
【0073】
略L字形状の天板部43を有するプレス成形品41についても、従来は第1成形工程において縦壁高さの低い中間形状にプレス成形し、続く第2成形工程において目標形状の縦壁高さにプレス成形すると、横辺側稜線部49aの端部に割れが発生しやすかった。
【0074】
そこで、本発明では、前述した略T字形状のプレス成形品1と同様に、第1成形工程では、天板部における横辺部と縦辺部を接続する接続R部に、中間形状の天板部53の縦辺部53bの高さ(天板面の基準高さ)よりも高い凸部を形成する。そして、続く第2成形工程では、凸部を押し潰して目標形状の天板部を成形する。
【0075】
これにより、略L字形状の天板部43を有するプレス成形品41を製造する場合においても、目標形状の横辺側稜線部49aの端部における板厚の減少を小さくし、割れを抑制することができる。さらに、第1成形工程において中間形状の天板部に凸部を形成するとともに、横辺部先端側の部位を中間形状の天板部における縦辺部よりも高くしてもよい。
【0076】
このような実施形態1に係るプレス成形品の製造方法によれば、高強度鋼板を用いた場合であっても目標形状のプレス成形品1の横辺側稜線部9aの端部における割れを抑制することができる。そのため、実施形態1に係るプレス成形品の製造方法により高張力鋼板を用いて製造したプレス成形品1を車体部品として製造することが可能となる。
【0077】
(実施形態2)
実施形態2で対象としたプレス成形品の目標形状を図23に基づいて説明する。プレス成形品101は、天板部103と天板部103の長手方向一端から延長した天板フランジ部105、天板部103から稜線部107を介して連続する縦壁部109を備えている。また、縦壁部109の長手方向の一端側に外向きに曲げられた縦フランジ部111と、縦壁部109の下端に外向き曲げられた水平フランジ部113とを備えている。
【0078】
プレス成形品101を例に挙げて、実施形態2に係る発明に至った経緯を説明する。図24は、図23に示したプレス成形品101を1工程でプレス成形する従来の製造方法の説明図である。
【0079】
図23に示したプレス成形品101に成形するブランク115は金属板からなり、図24に示すように、全体形状が略矩形状で、一端側に天板フランジ相当部117と、天板フランジ相当部117を挟んで両側に縦フランジ相当部119が形成されている。
【0080】
また、従来のプレス成形品101の製造方法に用いる金型121は、パンチ123と、ブランク115を押さえるパッド125と、パンチ123と協働して天板部103、縦壁部109、水平フランジ部113及び縦フランジ部111を成形するダイ127と、を備えている。パンチ123は、主として天板部103を成形する天板成形面部129を備えている。そして、天板成形面部129のよこ辺を成形する天板よこ辺成形面部168と、たて辺に連続して縦壁部109を成形するパンチ側縦壁成形面部131と、パンチ側縦壁成形面部131に連続してフランジ部を成形するパンチ側水平フランジ成形面部133と、を備えている。さらに、天板成形面部129のよこ辺に連続して縦フランジ部111を成形するパンチ側縦フランジ成形面部135を備えている。
【0081】
パッド125は、パンチ123の天板成形面部129に対応した形状をしている。ダイ127は、左右一対からなり、ダイ側縦壁成形面部137と、ダイ側水平フランジ成形面部139と、ダイ側縦フランジ成形面部141と、を備えている。
【0082】
従来のプレス成形品101の製造方法は、ブランク115をパッド125とパンチ123で挟んで、ダイ127をパンチ123に対して相対移動させ、天板部103と縦壁部109と水平フランジ部113をプレス成形するとともに、縦フランジ部111を横曲げして、目標形状にプレス成形していた。このような従来のプレス成形品101の製造方法に関し、引張強度1.5GPa級の金属板を用いた場合について有限要素法(FEM)でプレス成形解析し、成形後のプレス成形品101の板厚減少率を求めた。
【0083】
図25は、成形下死点における板厚減少率をコンター表示したものであり、色が薄い部位ほど板厚減少率が大きい。以下の説明では、板厚減少率として、ブランク115である金属板の板厚とプレス成形後の各部位の板厚との差をブランク115である金属板の板厚で割った値(割合)で表す。板厚減少率の値が大きくなると割れが発生しやすくなる。図25の一部拡大図に示すように、稜線部107における縦フランジ部111が形成された側の端部(以下、単に「稜線部107の端部142」)は板厚減少率が8.9%であり、最も板厚減少率が大きく割れが生じやすいことがわかる。
【0084】
稜線部107の端部142の板厚減少率が大きくなった理由について図25に基づいて説明する。図25における矢印は成形過程で生ずる引張力を示している。稜線部107を介して縦壁部109が成形される際には、稜線部107の板表面に図25の矢印(i)で示すような引張力が作用する。また、縦フランジ部111が横曲げされる際には、稜線部107の端部142に矢印(ii)で示す引張力がさらに加わる。このように、稜線部107の端部142には、縦壁部109の成形時の引張力と縦フランジ部111の横曲げ時の引張力の双方が作用するため、板厚減少率が大きくなり割れが生じやすいわけである。
【0085】
そこで、発明者は、稜線部107の端部142に作用する引張力を低減する方法を検討した。その結果、図23に示す目標形状のプレス成形品101をプレス成形する場合、第1成形工程と第2成形工程の2工程でプレス成形を行うこととし、第1成形工程で成形される中間成形品の稜線部の中間縦フランジ部に近い側の端部に、周囲の高さ(天板面の基準高さ)よりも高い凸部を形成し、第2成形工程において凸部を目標成形品の高さに押し潰すようにする。これにより、稜線部107の端部142の引張力を低減できて、しかも、天板部103や縦壁部109にしわが生じないことを見出した。本発明はかかる知見に基づくものであり、実施形態2に係るプレス成形品101の製造方法を、図18に基づいて説明する。
【0086】
実施形態2に係るプレス成形品101の製造方法は、第1成形工程(図18(a))と第2成形工程(図18(b))とを備えている。第1成形工程は、中間天板部143と、中間稜線部144を介して中間天板部143に連続する中間縦壁部145と、中間稜線部144の中間縦フランジ部153に近い側の端部142に形成された周囲の高さ(天板面の基準高さ)よりも高い凸部147とを有する中間成形品149(図20(a)参照)をプレス成形する工程である。また、中間成形品149は、中間水平フランジ部151と、中間縦フランジ部153を有している。第2成形工程は、中間成形品149を目標形状であるプレス成形品101にプレス成形する工程である。以下、各工程を詳細に説明する。
【0087】
<第1成形工程>
第1成形工程においては、図18(a)に示すように、中間パンチ155、中間パッド157、中間ダイ159によってブランク115をプレス成形して、図20に示す中間成形品149を製造する工程である。ブランク115は、図24に示したものと同様である。中間パンチ155は、図18及び図19に示すように、平面視でたて辺とよこ辺からなるT字状の中間天板成形面部161と、中間縦壁部145を成形するパンチ側中間縦壁成形面部163と、中間水平フランジ部151を成形するパンチ側中間水平フランジ成形面部165と、中間縦フランジ部153を成形するパンチ側中間縦フランジ成形面部167を備えている。
【0088】
中間天板成形面部161の端部の幅方向両側には、凸部147を形成するための凸部形成部169が形成されている。図19に示す中間パンチ155は、凸部形成部169が天板フランジ部105(図20参照)側に延出し、中間天板成形面部161の全体の高さが高くなっている。パンチ側中間縦壁成形面部163は、図24に示した従来のパンチ側縦壁成形面部131よりも傾斜角度がゆるくなっている。また、パンチ側中間水平フランジ成形面部165とパンチ側中間縦壁成形面部163とのなす角度は、目標形状の縦壁部109と目標形状の水平フランジ部113とのなす角度と同じ角度に設定されている。
【0089】
図18の中間パッド157は、中間パンチ155の中間天板成形面部161に対応した形状をしている。中間ダイ159は、パンチ側中間縦壁成形面部163に対応した形状のダイ側中間縦壁成形面部171と、パンチ側中間水平フランジ成形面部165に対応した形状のダイ側中間水平フランジ成形面部173と、を備えている。また、パンチ側中間縦フランジ成形面部167に対応した形状のダイ側中間縦フランジ成形面部175を備えている。
【0090】
中間パンチ155、中間パッド157、中間ダイ159によって、図20(a)に示す中間成形品149が製造される。中間成形品149は、前述したように、中間天板部143と、中間縦壁部145と、天板フランジ部105と、中間水平フランジ部151と、中間縦フランジ部153とを有している。また、中間成形品149における中間稜線部144の端部146には凸部147が形成されている。
【0091】
図20(b)は、図20(a)の中間成形品149のA-A断面を、目標形状のプレス成形品1(図21)(二点鎖線)と対比して示している。図20(b)に示すように、中間成形品149における稜線部の端部には凸部147が形成されることで中間稜線部144の端部146が盛り上がり、天板部103と縦壁部109の曲げ半径を目標形状より大きくして、第1成形工程での天板部103と縦壁部109を曲げる際の引張力を低減できる。図20(a)に示すように、中間稜線部144の端部146の板厚減少率は2.8%であり、図25に示した従来のプレス成形品101の8.9%よりも小さい値であった。
【0092】
<第2成形工程>
第2成形工程は、中間成形品149を目標形状であるプレス成形品101にプレス成形する工程である。第2成形工程で用いる、パンチ123、パッド125及びダイ127は図24に示した従来のパンチ123、パッド125、ダイ127と同形状のものである。
【0093】
第2成形工程では、図20に示す中間稜線部144の端部146の凸部147を押し潰して目標形状にすることにより、中間稜線部144の端部146に向かう材料流れが生じて引張力を低減し、図23に示す目標形状であるプレス成形品101の稜線部107の端部142の割れを防止できる。また、凸部147を付与するのは中間稜線部144の端部146であって全域ではないので、第2成形工程において余分な材料流れが生じず、目標形状であるプレス成形品101の天板部103や縦壁部109にしわが生じることもない。
【0094】
第2成形工程によって成形したプレス成形品101を図21に示す。図21に示すように、第1成形工程を経て第2成形工程によって成形されたプレス成形品101における稜線部107の端部142の板厚減少率は4.1%であった。このように、図25に示した従来の稜線部107の端部142の板厚減少率8.9%(図25参照)に比較して、本発明では板厚減少率が小さくなり、割れを防止できることがわかる。
【0095】
なお、第1成形工程における中間パンチ155の形状は図19に示したものに限定されず、例えば図22(a)及び図22(b)に示すものであってもよい。図22(a)に示したものは、凸部形成部169が中間天板成形面部161の端部の幅方向両側のみに形成されたものであり、図22(b)に示したものは、凸部形成部169が天板よこ辺成形面部168に延出するものの、天板よこ辺成形面部168のよこ辺の他の領域は高くなっていない。
【0096】
また、実施形態2の目標形状であるプレス成形品101は、縦フランジ部111を有するものであるが、本発明の目標形状のプレス成形品は縦フランジを備えていないものを含む。
【0097】
(実施形態3)
実施形態3で対象としたプレス成形品の目標形状を図30に基づいて説明する。プレス成形品177は、上面視で湾曲部を有する天板部179と、天板部179における湾曲の内側の一部から稜線部181を介して連続する縦壁部183を有し、稜線部181の端部185がR形状になっている。
【0098】
プレス成形品177を例に挙げて、実施形態3に係る発明に至った経緯を説明する。図31は、図30に示したプレス成形品177を1工程でプレス成形する従来のプレス成形品177の製造方法の説明図である。
【0099】
プレス成形品177に成形するブランク187は金属板からなり、図31に示すように、天板部179に成形される天板相当部189が円弧状に湾曲している。そして、天板相当部189の湾曲の内側に、天板相当部189の両端から長手方向の内側に入った部位に縦壁相当部191が形成されている。また、縦壁相当部191の端部193はR形状に形成されている。
【0100】
従来のプレス成形品177の製造方法は、ブランク187を金型195のパッド199とパンチ197とで挟んで、ダイ201をパンチ197に対して相対移動させ、天板部179と縦壁部183とをプレス成形して、目標形状にプレス成形していた。このような従来のプレス成形品177の製造方法に関し、引張強度980MPa級の金属板をブランク187に用いた場合について有限要素法(FEM)でプレス成形解析し、成形後のプレス成形品177について板厚減少率を求めた。
【0101】
図32は、成形下死点における板厚減少率をコンター表示したものであり、色が薄い部位ほど板厚減少率が大きい。図32に示すように、稜線部181の端部185は板厚減少率が10.8%であり、最も板厚減少率が大きく割れが生じやすいことがわかる。
【0102】
稜線部181の端部185の板厚減少率が大きくなった理由について図33に基づいて説明する。図33における矢印は成形過程で生ずる引張力を示している。稜線部181を介して縦壁部183が成形される際には、稜線部181の板表面に図33の矢印(iii)で示すような引張力が作用する。また、稜線部の端部185に矢印(iv)で示すように、縦壁部183が内側に引き込まれることによる引張力が生ずる。また、稜線部の端部185は切欠き形状であり、矢印(v)で示すように、引張力が集中して大きな引張力が作用し、板厚減少率が大きくなり割れが生じやすいわけである。
【0103】
そこで、発明者は、稜線部の端部185に作用する引張力を低減する方法を検討した。その結果、第1成形工程と第2成形工程の2工程でプレス成形を行うこととした。そして、第1成形工程において成形する中間成形品の稜線部の端部に周囲の高さ(天板面の基準高さ)よりも高い凸部を付与し、第2成形工程において凸部を目標成形品の高さに押し潰すようにする。これにより、稜線部181の端部185の引張力を低減できて、しかも、天板部179や縦壁部183にしわが生じないことを見出した。本発明はかかる知見に基づくものであり、実施形態3に係るプレス成形品177の製造方法を、図26に基づいて説明する。
【0104】
実施形態3に係るプレス成形品177の製造方法は、第1成形工程(図26(a))と第2成形工程(図26(b))とを備えている。第1成形工程は、中間天板部203と、中間稜線部205を介して中間天板部203に連続する中間縦壁部207と、中間稜線部205の端部206に形成された周囲の高さ(天板面の基準高さ)よりも高い凸部209とを有する中間成形品211(図28参照)をプレス成形する工程である。また、第2成形工程は、中間成形品211をプレス成形品177(図29)にプレス成形する工程である。以下、各工程を詳細に説明する。
【0105】
<第1成形工程>
第1成形工程においては、図26(a)に示すように、中間パンチ213、中間パッド215、中間ダイ217によってブランク187をプレス成形して、図28に示す中間成形品211を製造する工程である。ブランク187は、図31に示したものと同様である。中間パンチ213は、図26(a)及び、図26(a)の中間パンチ213を模式的に示した図27に示すように、中間天板成形面部219と、中間稜線部205を成形するパンチ側中間縦壁成形面部221を備えている。
【0106】
中間天板成形面部219の端部の幅方向両側には、凸部209を形成するためのパンチ側凸部形成部223が形成されている。図26(a)及び図27に示すパンチは、パンチ側凸部形成部223の中央部の位置が、中間稜線部205の端部206と重なるように配置されている。
【0107】
中間パッド215は、中間パンチ213の中間天板成形面部219に対応した形状をしている。中間ダイ217は、パンチ側中間縦壁成形面部221に対応した形状のダイ側中間縦壁成形面部225と、パンチ側凸部形成部223に対応した形状のダイ側凸部形成部226を備えている。
【0108】
図28(b)は、図28(a)のB-B断面を、目標のプレス成形品形状(二点鎖線)の断面と対比して示している。図28(b)に示すように、中間成形品211における稜線部の端部は凸部209が形成されることで中間稜線部205の端部206が盛り上がり、中間天板部203と中間縦壁部207の曲げ半径を目標形状より大きくして、第1成形工程での中間天板部203と中間縦壁部207を曲げる際の引張力を低減できる。図28(a)に示すように、中間稜線部205の端部206の板厚減少率は5.5%であり、図32に示した従来のプレス成形品177の10.8%よりも小さい値であった。
【0109】
<第2成形工程>
第2成形工程は、中間成形品211を目標形状であるプレス成形品177にプレス成形する工程である。第2成形工程で用いる、パンチ197、パッド199及びダイ201は図31に示した従来のパンチ197、パッド199、ダイ201と同形状のものである。
【0110】
第2成形工程では、図28の中間稜線部205の端部206の凸部209を押し潰して目標形状にすることにより、中間稜線部205の端部206に向かう材料流れが生じて引張力を低減し、目標形状であるプレス成形品177の稜線部181の端部185の割れを防止できる。また、凸部209を付与するのは中間稜線部205の端部206であって全域ではないので、余分な材料流れが生じず、目標形状であるプレス成形品177の天板部179や縦壁部183にしわが生じることもない。
【0111】
第2成形工程によって成形したプレス成形品177を図29に示す。図29に示すように、第1成形工程を経て第2成形工程によって成形されたプレス成形品177における稜線部181の端部185の板厚減少率は7.0%であった。このように、従来の1工程でプレス成形したときの稜線部181の端部185の板厚減少率10.8%(図32参照)に比較して大きく減少し、割れを防止できることがわかる。
【0112】
なお、第1成形工程における中間パンチ213の形状は図27(a)に示したものに限定されず、例えば、図27(b)に示すものであってもよい。図27(a)に示したものは、パンチ側凸部形成部223の頂上の位置が、中間稜線部205の端部206の外側まで掛かるように配置されており、図27(b)に示したものは、パンチ側凸部形成部223が稜線部に沿って中間天板成形面部219の端まで延出するものである。
【0113】
また、図29における天板部179と縦壁部183の稜線部181は湾曲の曲率が必ずしも一定でなくても良いし、一部は直線でもよい。また、中間成形品211の中間縦壁部207は目標形状の角度と同じにする必要はなく、目標形状よりも傾斜が緩くてもよいし、あるいは傾斜がついていなくてもよい。
【実施例0114】
本発明の効果を検証するための解析を行ったので、以下、これについて説明する。
(実施例1)
実施例1では、図3に示す略T字形状の天板部3を備えるプレス成形品1と、図5に示す略L字形状の天板部43を備えるプレス成形品41と、を対象とした。そして、プレス成形品1及びプレス成形品41のそれぞれを、前述した実施形態1に係るプレス成形品の製造方法の第1成形工程と第2成形工程とにより製造するものとした。
【0115】
解析では、金属板として板厚1.2mm、引張強度780MPa級の鋼板をブランクとした。そして、第1成形工程と第2成形工程のそれぞれについてFEM解析を行い、目標形状における横辺側稜線部9a(略T字形状のプレス成形品1)及び横辺側稜線部49a(略L字形状のプレス成形品41)の端部における割れ発生を抑制する効果について検討した。ここで、割れ発生の抑制効果は板厚減少率により評価した。なお、板厚減少率は、前述したように、中間形状又は目標形状のプレス成形品の各部位における板厚とブランクである金属板の板厚との差をブランクの板厚で割った板厚変化率が負の値のものである。
【0116】
実施例1では、第1成形工程において、中間形状の天板部における横辺部23a先端側の部位の高さが中間形状の天板部における縦辺部の部位の高さよりも高くなるようにしたものを発明例とした。そして、発明例では、第1成形工程において、中間形状に成形する天板成形部における横辺成形部を図34及び図35に示す形状とした。図34は、中間形状の天板部における横辺部を、横辺部が延在する方向において先端に向かって徐々に高くなるように先端側を傾斜させるものである。ここで、横辺部の先端側を傾斜させた中間形状のプレス成形品については、種々の傾斜角度に変更した。
【0117】
一方、図35は、中間形状の天板部における横辺部を、横辺部が延在する方向において先端側の部位を一様に高くするものである。さらに、横辺部先端側を一様に高くした中間形状においては、略T字形状又は略L字形状の接続R部を跨ぐように横辺部から縦辺部にわたって上方に持ち上げられた凸部23dを形成した。ここで、横辺部先端側を一様に高くした中間形状については、横辺部先端側の部位の高さ増分を種々変更し、凸部23dの高さを横辺部先端側の部位と同じ高さとした。
【0118】
また、実施例1では、比較対象として、前述した図7(a)又は図16(a)に示したように中間形状のプレス成形品21,51の天板部23,53における横辺部23a,53a先端側の部位の高さを目標形状の天板部3,43の高さにする場合を従来例とした。そして、従来例についても、発明例と同様に、第1成形工程と第2成形工程のそれぞれについてFEM解析を行い、成形下死点における中間形状及び目標形状のプレス成形品のそれぞれについて板厚減少率を求めた。
【0119】
表1に、中間形状の天板部における横辺部23a先端側の部位又は横辺部53a先端側の部位の傾斜角度と、目標形状のプレス成形品の横辺側稜線部9a又はプレス成形品41の横辺側稜線部49aの端部における板厚減少率の結果を示す。なお、板厚減少率は、値の絶対値が大きいほど板厚が減少する。
【0120】
【表1】
【0121】
No.1の従来例においては、中間形状の天板部における横辺部23a(略T字形状)先端側又は横辺部53a(略L字形状)先端側の部位の傾斜を0°としたものである。No.1における目標形状の横辺側稜線部9a(略T字形状)端部における板厚減少率は-16.9%、横辺側稜線部49a(略L字形状)端部における板厚減少率は-17.7%であり、これらの絶対値が大きく、割れが発生すると考えられる。
【0122】
これに対して、No.2~No.9においては、中間形状の天板部における横辺部23a先端側又は横辺部53a先端側の部位の傾斜角度を3.8°~23.7°としたものである。No.2~No.9における目標形状の横辺側稜線部9a又は横辺側稜線部49aの端部における板厚減少率の絶対値は従来例(-17.7%)に比べて減少していることが分かる。特に、傾斜角度を18.3°としたNo.7においては板厚減少率が-10.6%であり、その絶対値が大きく減少して良好であった。
【0123】
表2に、中間形状の天板部における横辺部23a先端側又は横辺部53a先端側の部位の高さと、目標形状のプレス成形品の横辺側稜線部9a又は横辺側稜線部49aの端部における板厚減少率の結果を示す。
【0124】
【表2】
【0125】
No.1の従来例においては、中間形状の天板部における横辺部23a(略T字形状)先端側又は横辺部53a(略L字形状)先端側の高さ増分を0mmとしたものである。No.1における目標形状の横辺側稜線部9a(略T字形状)端部における板厚減少率は-16.9%、横辺側稜線部49a(略L字形状)端部における板厚減少率は-17.7%であり、これらの絶対値が大きく、割れが発生すると考えられる。
【0126】
これに対して、No.11~No.17においては、中間形状の天板部における横辺部23a(略T字形状)先端側又は横辺部53a(略L字形状)先端側の部位の高さ増分を3mm~25mmとしたものである。No.11~No.17における目標形状の横辺側稜線部9a(略T字形状)又は横辺側稜線部49a(略L字形状)の端部における板厚減少率は従来例に比べて減少していることが分かる。特に、高さ増分を25mmとしたNo.17においては板厚減少率が-8.0%となり、その絶対値が大きく減少して良好であった。
【0127】
以上、本発明に係る方法によれば、略T字形状又は略L字形状の天板部を備えるプレス成形品を2工程でプレス成形することにより製造するにあたって、横辺側稜線部の端部における割れを抑制できることが示された。
【0128】
(実施例2)
実施例2では、図4に示す寸法の略T字形状の天板部3を備えるプレス成形品1を対象とし、前述した実施形態1に係るプレス成形品の製造方法の第1成形工程と第2成形工程とによりプレス成形するものとした。
【0129】
板厚1.2mm、引張強度780MPa級の鋼板をブランクとした。そして、第1成形工程と第2成形工程のFEM解析を行い、目標形状の横辺側稜線部9aの端部における割れ発生を抑制する効果について検討した。ここで、割れ発生の抑制効果は、FEM解析により求めた目標形状のプレス成形品の板厚減少率により評価した。なお、板厚減少率は、前述したように、中間形状又は目標形状のプレス成形品の各部位における板厚とブランクである金属板の板厚との差をブランクの板厚で割った板厚変化率が負の値のものである。
【0130】
発明例では、第1成形工程において、前述した図11(a)に示すパンチ71又は図11(b)に示すパンチ61を用いて、中間形状のプレス成形品21(図2(a))又は中間形状のプレス成形品51(図15(a))をプレス成形した。
【0131】
図11(a)に示すパンチ71の凸部形成部73dの高さを変えることにより、凸部23dにおける高さ増分を種々変更した。
【0132】
また、図11(b)に示すパンチ61の凸部形成部63d及び横辺先端側成形部63a1の高さを等しくしてその高さを変えることにより、凸部23dにおける高さ増分を種々変更した。
【0133】
また、比較として、前述した図13に示したように中間形状のプレス成形品21の天板部23の接続R部23cに凸部を形成しなかった場合を従来例とした。そして、従来例についても、発明例と同様に、第1成形工程と第2成形工程についてFEM解析を行い、成形下死点における目標形状のプレス成形品1について板厚減少率を求めた。なお、本実施例では、予め実プレス成形とプレス成形解析により、板厚減少率の絶対値が10%を超えると割れが発生する。
【0134】
表3に、図2(a)又は図13(a)に示す中間形状のプレス成形品21の凸部23dにおける高さ増分と、目標形状のプレス成形品1の横辺側稜線部9aの端部における板厚減少率の結果を示す。なお、板厚減少率の絶対値が大きいほど板厚が減少する。
【0135】
【表3】
【0136】
No.21の従来例は、中間形状のプレス成形品21に凸部を形成せずに、凸部における高さ増分を0mmとしたものである。No.21における目標形状の横辺側稜線部9aの端部における板厚減少率は-11.0%であり、絶対値が大きくて割れが発生した。
【0137】
これに対して、No.22~No.25の発明例は、中間形状の天板部23に凸部23dを形成し、その高さ増分を3mm~10mmとしたものである。No.22~No.25における目標形状の横辺側稜線部9aの端部における板厚減少率の絶対値は従来例(-11.0%)に比べて減少したことが分かる。特に、高さ増分を10mmとしたNo.25においては板厚減少率が-8.1%であり、その絶対値が大きく減少した。
【0138】
表4に、図15又は図13に示す中間形状のプレス成形品21の凸部23d及び横辺部23aの先端側の部位23a1における高さ増分と、目標形状のプレス成形品1の横辺側稜線部9aの端部における板厚減少率の結果を示す。なお、表3と同様に、板厚減少率の絶対値が大きいほど板厚が減少する。
【0139】
【表4】
【0140】
No.21の従来例は、前述した表3と同様、目標形状の横辺側稜線部9aの端部における板厚減少率は-11.0%であり、絶対値が大きくて割れが発生した。
【0141】
これに対して、No.31~No.34の発明例は、中間形状の凸部23d及び横辺部23a先端側の部位23a1における高さ増分を3mm~10mmとしたものである。No.31~No.34における目標形状の横辺側稜線部9aの端部における板厚減少率の絶対値は従来例に比べて減少していることが分かる。特に、高さ増分を10mmとしたNo.34においては板厚減少率が-4.7%となり良好であった。
【0142】
以上、本発明に係る方法によれば、略T字形状の天板部を備えるプレス成形品を2工程でプレス成形して製造するにあたって、横辺側稜線部の端部における割れを抑制できることが示された。
【0143】
(実施例3)
実施例3では、ブランク115の金属板として1.2mm厚の1.5GPa級材を用いて、図23に目標寸法を示すプレス成形品101について、本発明方法、比較方法、従来方法によりプレス成形を行った。
【0144】
本発明方法では、第1成形工程で図19に示す中間パンチ155を用いて、中間パンチ155の凸部形成部169の高さhを変更することで、図20に示す中間稜線部144の端部146の高さ増分Δhを変更した中間成形品149にプレス成形し、その後に第2成形工程で図23に示す目標のプレス成形品101にプレス成形した。比較方法は、2工程でプレス成形したものであるが、1工程目で凸部147を形成しないプレス成形品の製造方法である。従来方法は、図24に示したように、1工程でプレス成形した。
【0145】
稜線部107の端部142(図23参照)の板厚減少率をFEM解析により求めた。板厚減少率は、ブランクである金属板の板厚と成形品の各部位の板厚との差をブランク115である金属板の板厚で割った値(割合)である。表5に、稜線部端部高さ増分Δhと目標のプレス成形品101の最大板厚減少率を示す。なお、予め実プレス成形とプレス成形解析により、実施例3の目標のプレス成形品101においては、最大板厚減少率が7.0%以上で割れが発生することがわかっている。
【0146】
【表5】
【0147】
No.41の1工程でプレス成形した従来例は、稜線部端部の高さ増分Δhは0であり、最大板厚減少率は8.9%と大きくて割れが発生した。また、No.42の比較例は、2工程でプレス成形したものであるが、稜線部端部の高さ増分Δhは0であり、最大板厚減少率は7.2%と大きくて割れが発生した。これらに対して、No.43~No.50は最大板厚減少率が低減しており、割れが抑制されることがわかった。特に、No.44は最大板厚減少率が3.9%と半減未満となり著しく良好であった。
【0148】
(実施例4)
実施例4では、ブランク金属板として1.4mm厚の980MPa級材を用いて、図30に目標寸法を示すプレス成形品177について、本発明方法、比較方法、従来方法によりプレス成形を行った。本発明方法では、第1成形工程で図27(a)に示す中間パンチ213を用いて、中間パンチ213のパンチ側凸部形成部223の高さHを変更することで、図28(a)に示す中間稜線部205の端部206の高さ増分ΔHを変更した中間成形品211にプレス成形し、その後に第2成形工程で図30に示す目標のプレス成形品177にプレス成形した。比較方法は、2工程でプレス成形したものであるが、1工程目で凸部209を形成しないプレス成形品101の製造方法である。従来方法は、図31に示したように、1工程でプレス成形した。
【0149】
稜線部181の端部185(図30参照)の板厚減少率をFEM解析により求めた。表6に、稜線部端部高さ増分ΔHと目標のプレス成形品177の最大板厚減少率を示す。なお、予め実プレス成形とプレス成形解析により、実施例4の目標のプレス成形品229においては、最大板厚減少率が10.5%以上で割れが発生することがわかっている。
【0150】
【表6】
【0151】
No.51の1工程でプレス成形した従来例は、稜線部端部の高さ増分ΔHは0であり、最大板厚減少率は10.8%と大きくて割れが発生した。また、No.52の比較例は、2工程でプレス成形したものであるが、稜線部端部の高さ増分ΔHは0であり、最大板厚減少率は10.5%と大きくて割れが発生した。これらに対して、No.53~No.59は最大板厚減少率が低減しており、割れが抑制されることがわかった。特に、No.58は最大板厚減少率が4.6%と半減未満となり著しく良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明は、略T字形状又は略L字形状の天板部を備えたプレス成形品をプレス成形により製造するにあたって割れの発生を抑制することができるプレス成形品の製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0153】
1 プレス成形品
3 天板部
3a 横辺部
3b 縦辺部
3c 接続R部
5 縦壁部
5a 横辺側縦壁部
5b 縦辺側縦壁部
5c 接続R側縦壁部
7 底フランジ部
9 稜線部
9a 横辺側稜線部
9b 縦辺側稜線部
9c 接続R側稜線部
11 ブランク
13 パンチ
15 パッド
17 ダイ
21 中間形状のプレス成形品
23 天板部
23a 横辺部
23a1 先端側の部位
23b 縦辺部
23c 接続R部
23d 凸部
25a 横辺側縦壁部
29a 横辺側稜線部
31 パンチ
33 パッド
35 ダイ
41 プレス成形品(略L字型)
43 天板部
43a 横辺部
43b 縦辺部
45 縦壁部
45a 横辺側縦壁部
47 底フランジ部
49a 横辺側稜線部
51 中間形状のプレス成形品(略L字型)
53 天板部
53a 横辺部
53b 縦辺部
55a 横辺側縦壁部
61 パンチ
63a1 横辺先端側成形部
63b 縦辺形成部
63d 凸部形成部
71 パンチ
73 天板成形部
73a 横辺成形部
73b 縦辺成形部
73c 接続R成形部
73d 凸部形成部
101 プレス成形品
103 天板部
105 天板フランジ部
107 稜線部
109 縦壁部
111 縦フランジ部
113 水平フランジ部
115 ブランク
117 天板フランジ相当部
119 縦フランジ相当部
121 金型
123 パンチ
125 パッド
127 ダイ
129 天板成形面部
131 パンチ側縦壁成形面部
133 パンチ側水平フランジ成形面部
135 パンチ側縦フランジ成形面部
137 ダイ側縦壁成形面部
139 ダイ側水平フランジ成形面部
141 ダイ側縦フランジ成形面部
142 稜線部の端部
143 中間天板部
144 中間稜線部
145 中間縦壁部
146 中間稜線部の端部
147 凸部
149 中間成形品
151 中間水平フランジ部
153 中間縦フランジ部
155 中間パンチ
157 中間パッド
159 中間ダイ
161 中間天板成形面部
163 パンチ側中間縦壁成形面部
165 パンチ側中間水平フランジ成形面部
167 パンチ側中間縦フランジ成形面部
168 天板よこ辺成形面部
169 凸部形成部
171 ダイ側中間縦壁成形面部
173 ダイ側中間水平フランジ成形面部
175 ダイ側中間縦フランジ成形面部
177 プレス成形品
179 天板部
181 稜線部
183 縦壁部
185 稜線部の端部
187 ブランク
189 天板相当部
191 縦壁相当部
193 縦壁相当部の端部
195 金型
197 パンチ
199 パッド
201 ダイ
203 中間天板部
205 中間稜線部
206 中間稜線部の端部
207 中間縦壁部
209 凸部
211 中間成形品
213 中間パンチ
215 中間パッド
217 中間ダイ
219 中間天板成形面部
221 パンチ側中間縦壁成形面部
223 パンチ側凸部形成部
225 ダイ側中間縦壁成形面部
226 ダイ側凸部形成部
229 プレス成形品
図1
図2
図3
図4
図5
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