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特開2024-147814修飾ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147814
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】修飾ヌクレオシドを含むオリゴヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/115 20100101AFI20241008BHJP
   C12Q 1/6811 20180101ALI20241008BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20241008BHJP
   G01N 33/531 20060101ALI20241008BHJP
   C40B 40/06 20060101ALN20241008BHJP
【FI】
C12N15/115 Z ZNA
C12Q1/6811 Z
G01N33/53 D
G01N33/531 A
C12N15/115 Z
C40B40/06
【審査請求】有
【請求項の数】58
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024122953
(22)【出願日】2024-07-30
(62)【分割の表示】P 2022209677の分割
【原出願日】2017-06-30
(31)【優先権主張番号】62/357,623
(32)【優先日】2016-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/437,592
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】505373306
【氏名又は名称】ソマロジック オペレーティング カンパニー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カーター ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】ガワンデ バーラト
(72)【発明者】
【氏名】ジャンジック ネボシャ
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー ダニエル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】1種以上の塩基修飾ヌクレオシドを含むアプタマーを提供する。
【解決手段】少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジン及び少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンを含み、前記第1の5位修飾ピリミジンと前記第2の5位修飾ピリミジンは異なる5位修飾ピリミジンであるアプタマーであって、前記第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンであり、前記第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであるか、または前記第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであり、前記第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンであり、前記5位修飾ウリジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、インドール部分及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含み、前記5位修飾シチジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む、前記アプタマーが提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジン及び少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンを含み、前記第1の5位修飾ピリミジンと前記第2の5位修飾ピリミジンは異なる5位修飾ピリミジンであるアプタマーであって、
前記第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンであり、前記第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであるか、または
前記第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであり、前記第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンであり、
前記5位修飾ウリジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、インドール部分及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含み、前記5位修飾シチジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む、前記アプタマー。
【請求項2】
前記5位修飾ウリジンの前記部分は、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバマートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される群に含まれるリンカーを介して共有結合で連結されている、請求項1に記載のアプタマー。
【請求項3】
前記5位修飾シチジンの前記部分は、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバマートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される群に含まれるリンカーを介して共有結合で連結されている、請求項1または請求項2に記載のアプタマー。
【請求項4】
前記5位修飾シチジンは、NapdC、2NapdC、TyrdC、及びPPdCから選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載のアプタマー。
【請求項5】
前記5位修飾ウリジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載のアプタマー。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはNapdCであり、前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、及びThrdUから選択される、請求項1に記載のアプタマー。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはPPdCであり、前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、及びThrdUから選択される、請求項1に記載のアプタマー。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンはTyrdUである、請求項6または請求項7に記載のアプタマー。
【請求項9】
前記アプタマーは、前記アプタマーの5’末端に、長さが少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25もしくは少なくとも30のヌクレオチド長、または5~30、10~30、15~30、5~20、もしくは10~20のヌクレオチド長の領域を含み、ここで、前記アプタマーの前記5’末端領域は5位修飾ピリミジンを欠く、請求項1~8のいずれか1項に記載のアプタマー。
【請求項10】
前記アプタマーは、前記アプタマーの3’末端に、長さが少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25もしくは少なくとも30のヌクレオチド長、または5~30、10~30、15~30、5~20、もしくは10~20のヌクレオチド長の領域を含み、ここで、前記アプタマーの前記3’末端領域は5位修飾ピリミジンを欠く、請求項1~9のいずれか1項に記載のアプタマー。
【請求項11】
前記アプタマーは、長さが20~100、または20~90、または20~80、または20~70、または20~60、または20~50、または30~100、または30~90、または30~80、または30~70、または30~60、または30~50、または40~100、または40~90、または40~80、または40~70、または40~60、または40~50のヌクレオチド長である、請求項1~10のいずれか1項に記載のアプタマー。
【請求項12】
複数のポリヌクレオチドを含み、各ポリヌクレオチドは少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジン及び少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンを含み、前記第1の5位修飾ピリミジンと前記第2の5位修飾ピリミジンは異なる5位修飾ピリミジンである組成物であって、
前記第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンであり、前記第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであるか、または
前記第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであり、前記第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンであり、
前記5位修飾ウリジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、インドール部分及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含み、前記5位修飾シチジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む、前記組成物。
【請求項13】
各ポリヌクレオチドは、前記ポリヌクレオチドの5’末端に固定領域を含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
各ポリヌクレオチドの前記5’末端固定領域は、長さが少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25もしくは少なくとも30のヌクレオチド長、または5~30、10~30、15~30、5~20、もしくは10~20のヌクレオチド長である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
各ポリヌクレオチドは、前記ポリヌクレオチドの3’末端に固定領域を含む、請求項12~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記ポリヌクレオチドの前記3’末端固定領域は、長さが少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25もしくは少なくとも30のヌクレオチド長、または5~30、10~30、15~30、5~20、もしくは10~20のヌクレオチド長である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記5位修飾ウリジンの前記部分は、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバマートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される群に含まれるリンカーを介して共有結合で連結されている、請求項12~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記5位修飾シチジンの前記部分は、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバマートリンカ
ー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される群に含まれるリンカーを介して共有結合で連結されている、請求項12~17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記5位修飾シチジンは、NapdC、2NapdC、TyrdC、及びPPdCから選択される、請求項12~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記5位修飾ウリジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される、請求項12~19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはNapdCであり、前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される、請求項12~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはPPdCであり、前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TrydU、TrpdU、及びThrdUから選択される、請求項12~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンはTyrdUである、請求項21または請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
各ポリヌクレオチドはランダム領域を含む、請求項12~23のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
前記ランダム領域は、長さが20~100、または20~90、または20~80、または20~70、または20~60、または20~50、または20~40、または30~100、または30~90、または30~70、または30~60、または30~50、または30~40のヌクレオチド長である、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
各ポリヌクレオチドは、長さが20~100、または20~90、または20~80、または20~70、または20~60、または20~50、または30~100、または30~90、または30~80、または30~70、または30~60、または30~50、または40~100、または40~90、または40~80、または40~70、または40~60、または40~50のヌクレオチド長である、請求項12~25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
アプタマー及び標的を含む組成物であって、前記アプタマー及び前記標的は複合体を形成することができ、前記アプタマーは請求項1~11のいずれか1項に記載のアプタマーである、前記組成物。
【請求項28】
第1のアプタマー、第2のアプタマー、及び標的を含む組成物であって、
前記第1のアプタマーは、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジン及び少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンを含み、
前記第2のアプタマーは、少なくとも1つの第3の5位修飾ピリミジンを含むか、または前記第2のアプタマーは、少なくとも1つの第3の5位修飾ピリミジンと少なくとも1つの第4の5位修飾ピリミジンとを含み、
前記第1のアプタマー、第2のアプタマー及び前記標的は、三量体複合体を形成すること
ができ、
前記第1の5位修飾ピリミジンと前記第2の5位修飾ピリミジンは異なる5位修飾ピリミジンであり、かつ
前記第1のアプタマーは請求項1~11のいずれか1項に記載のアプタマーである、前記組成物。
【請求項29】
前記標的は、タンパク質、ペプチド、炭水化物、低分子、細胞及び組織から選択される、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
(a)標的分子に結合することができるアプタマーと試料とを接触させること、
(b)前記アプタマーを前記試料と共にインキュベートしてアプタマー-標的複合体を形成させること、
(c)前記試料中の前記アプタマー-標的複合体を濃縮すること、及び
(c)前記アプタマー、アプタマー-標的複合体または標的分子の存在について検出し、前記アプタマー、アプタマー-標的複合体または標的分子の検出は、前記試料中に前記標的分子が存在することを指し、前記アプタマー、アプタマー-標的複合体または標的分子の検出がないことは、前記試料中に前記標的分子が存在しないことを指すこと
を含む方法であって、
前記アプタマーは請求項1~11のいずれか1項に記載のアプタマーである、前記方法。
【請求項31】
前記方法は、前記試料への競合分子の添加、前記アプタマー-標的複合体の固体支持体への捕捉、ならびに競合分子の添加及び前記試料の希釈から選択される少なくとも1つのさらなるステップを含み、ここで、前記少なくとも1つのさらなるステップは、ステップ(a)またはステップ(b)の後で行われる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記競合分子は、ポリアニオン性競合物質から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項33】
前記ポリアニオン性競合物質は、オリゴヌクレオチド、ポリデキストラン、DNA、ヘパリン及びdNTPから選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ポリデキストランは硫酸デキストランであり、DNAはニシン精子DNAまたはサケ精子DNAである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記標的分子は、タンパク質、ペプチド、炭水化物、低分子、細胞及び組織から選択される、請求項30~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記試料は、全血、白血球、末梢血単核球、血漿、血清、痰、呼気、尿、精液、唾液、髄液、羊水、腺液、リンパ液、乳頭吸引物、気管支吸引物、滑液、関節吸引物、細胞、細胞抽出物、便、組織、組織生検、及び脳脊髄液から選択される、請求項30~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
a)前記試料を、前記標的に結合して第1の複合体を形成することができる前記第1のアプタマーと接触させ、混合物を形成させること、
b)前記混合物を、前記第1の複合体の形成を可能にする条件下でインキュベートすること、
c)前記混合物を、前記第1の複合体と結合して第2の複合体を形成することができる第2のアプタマーと接触させること、
d)前記混合物を、前記第2の複合体の形成を可能にする条件下でインキュベートすること、
e)前記混合物中の前記第1のアプタマー、前記第2のアプタマー、前記標的、前記第1
の複合体または前記第2の複合体の有無について検出し、前記第1のアプタマー、前記第2のアプタマー、前記標的、前記第1の複合体または前記第2の複合体の存在は、前記試料中の前記標的の存在を指すことを含む、試料中の標的を検出する方法であって、
前記第1のアプタマーは請求項1~11のいずれか1項に記載のアプタマーであり、
前記第2のアプタマーは、少なくとも1つの第3の5位修飾ピリミジンを含むか、または前記第2のアプタマーは、少なくとも1つの第3の5位修飾ピリミジンと少なくとも1つの第4の5位修飾ピリミジンとを含む、前記方法。
【請求項38】
前記標的分子は、タンパク質、ペプチド、炭水化物、低分子、細胞及び組織から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第1のアプタマー、第2のアプタマー及び前記標的は、三量体複合体を形成することができる、請求項37または請求項38に記載の方法。
【請求項40】
(a)アプタマーのライブラリーを前記標的分子と接触させて混合物を形成させ、アプタマーが前記標的分子に対して親和性である場合に形成されるアプタマー-標的複合体の形成を可能にすること、
(b)前記混合物の残部から前記アプタマー-標的複合体を分配すること(または前記アプタマー-標的複合体を濃縮すること)、
(c)前記アプタマー-標的複合体を解離させること、及び
(d)前記標的分子に対する結合能のある前記1つ以上のアプタマーを同定すること
を含む、標的分子に対する結合能がある1つ以上のアプタマーを同定する方法であって、前記アプタマーのライブラリーは、複数のポリヌクレオチドを含み、各ポリヌクレオチドは少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジン及び少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンを含み、前記第1の5位修飾ピリミジンと前記第2の5位修飾ピリミジンは異なる5位修飾ピリミジンであり、
前記第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンであり、前記第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであるか、または
前記第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであり、前記第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンであり、
前記5位修飾ウリジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、インドール部分及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含み、前記5位修飾シチジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む、前記方法。
【請求項41】
各ポリヌクレオチドは、前記ポリヌクレオチドの5’末端に固定領域を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
各ポリヌクレオチドの前記5’末端固定領域は、長さが少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25もしくは少なくとも30のヌクレオチド長、または5~30、10~30、15~30、5~20、もしくは10~20のヌクレオチド長である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
各ポリヌクレオチドは、前記ポリヌクレオチドの3’末端に固定領域を含む、請求項40~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記ポリヌクレオチドの前記3’末端固定領域は、長さが少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25もしくは少なくとも30のヌクレオチド長、または5~30、10~30、15~30、5~20、もしくは10~20のヌクレオチド長である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記5位修飾ウリジンの前記部分は、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバマートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される群に含まれるリンカーを介して共有結合で連結されている、請求項40~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記5位修飾シチジンの前記部分は、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバマートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される群に含まれるリンカーを介して共有結合で連結されている、請求項40~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記5位修飾シチジンは、NapdC、2NapdC、TyrdC、及びPPdCから選択される、請求項40~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記5位修飾ウリジンは、NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される、請求項40~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはNapdCであり、前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TrydU、TrpdU及びThrdUから選択される、請求項40~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはPPdCであり、前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される、請求項40~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
各ポリヌクレオチドはランダム領域を含む、請求項40~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記ランダム領域は、長さが20~100、または20~90、または20~80、または20~70、または20~60、または20~50、または20~40、または30~100、または30~90、または30~70、または30~60、または30~50、または30~40のヌクレオチド長である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
各ポリヌクレオチドは、長さが20~100、または20~90、または20~80、または20~70、または20~60、または20~50、または30~100、または30~90、または30~80、または30~70、または30~60、または30~50、または40~100、または40~90、または40~80、または40~70、または40~60、または40~50のヌクレオチド長である、請求項40~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
各ポリヌクレオチドは標的と結合するアプタマーであり、前記ライブラリーは少なくとも1000アプタマーを含み、各アプタマーは別々のヌクレオチド配列を含む、請求項40~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
ステップ(a)、(b)及び/または(c)を少なくとも1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回または10回繰り返す、請求項40~54のいずれか1項に
記載の方法。
【請求項56】
前記標的分子に対する結合能のある前記1つ以上のアプタマーを増幅させる、請求項40~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記混合物はポリアニオン性競合分子を含む、請求項40~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記ポリアニオン性競合物質は、オリゴヌクレオチド、ポリデキストラン、DNA、ヘパリン及びdNTPから選択される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
ポリデキストランは硫酸デキストランであり、DNAはニシン精子DNAまたはサケ精子DNAである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記標的分子は、タンパク質、ペプチド、炭水化物、低分子、細胞及び組織から選択される、請求項40~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記第1の5位修飾ピリミジン及び前記第2の5位修飾ピリミジンは、ポリメラーゼ酵素によって取り込まれることができる、請求項1~11のいずれか1項に記載のアプタマー、または請求項12~29のいずれか1項に記載の組成物、または請求項30~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記アプタマーは、前記第1の5位修飾ピリミジンの各々の代わりに非修飾ピリミジンを含むかまたは前記第2の5位修飾ピリミジンの各々の代わりに非修飾ピリミジンを含む長さ及び核酸塩基配列が同一のアプタマーと比べて、改善されたヌクレアーゼ安定性及び/またはヒト血清中での長い半減期を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のアプタマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2016年7月1日に提出された米国仮出願第62/357,623号、及び2016年12月21日に提出された米国仮出願第62/437,592号の優先権の利益を主張するものであり、その各々は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出されている配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2017年6月15日に作成された前記ASCII形式のコピーは、ファイル名01137-0020-00PCT_SL.txt、及びサイズ21,863バイトである。
【0003】
技術分野
本開示は、一般に、標的分子結合することができるアプタマーのような修飾ヌクレオシドを含む、オリゴヌクレオチドの分野に関する。いくつかの実施形態では、本開示は、1種以上の塩基修飾ヌクレオシドを含むアプタマーなどのオリゴヌクレオチド、及びそのようなアプタマーを作製し使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
修飾ヌクレオシドは、治療剤、診断用薬として使用されるほか、オリゴヌクレオチドに組み込み、その特性(例えば、安定性)を改善するために使用されている。
【0005】
SELEX(試験管内進化法)は、標的分子に選択的に結合するオリゴヌクレオチド(「アプタマー」と呼ぶ)を同定する方法である。SELEX工程は、例えば、米国特許第5,270,163号に記載されている。SELEX法では、オリゴヌクレオチドのランダムな混合物からオリゴヌクレオチドを選択し、同定して、いかなる所望基準の結合親和性及び結合選択性もほぼ達成する。SELEX工程の過程で同定されたオリゴヌクレオチドに特定の種類の修飾ヌクレオシドを導入することにより、ヌクレアーゼ安定性、実効電荷、親水性または親油性を改変して、オリゴヌクレオチドの三次元構造及び標的結合能に違いを与える。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジン及び少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンを含むアプタマーを提供し、ここで、第1の5位修飾ピリミジンと第2の5位修飾ピリミジンは異なる。いくつかの実施形態では、第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンであり、第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンである。いくつかの実施形態では、第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであり、第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンである。いくつかの実施形態では、5位修飾ウリジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、インドール部分及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む。いくつかの実施形態では、5位修飾シチジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む。ある実施形態では、部分は、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバマートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される群に含まれるリンカーを介して塩基の5位に共有結合で連結されている。いくつかの実施形態では、5位修飾シチジンは、NapdC、2NapdC
、TyrdC、及びPPdCから選択される。いくつかの実施形態では、5位修飾ウリジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはNapdCであり、少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、及びThrdUから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはPPdCであり、少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンはTyrdUである。いくつかの実施形態では、第1の5位修飾ピリミジン及び第2の5位修飾ピリミジンは、ポリメラーゼ酵素によって取り込まれることができる。いくつかの実施形態では、第1の5位修飾ピリミジン及び第2の5位修飾ピリミジンは、KOD DNAポリメラーゼによって取り込まれることができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、アプタマーは、PCSK9、PSMA、ErbB1、ErbB2、FXN、KDM2A、IGF1R、pIGF1R、a1-アンチトリプシン、CD99、MMP28及びPPIBから選択される標的タンパク質と結合する。
【0008】
いくつかの実施形態では、アプタマーは、アプタマーの5’末端に、長さが少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25もしくは少なくとも30のヌクレオチド長、または5~30、10~30、15~30、5~20、もしくは10~20のヌクレオチド長の領域を含み、ここで、アプタマーの5’末端領域は5位修飾ピリミジンを欠く。いくつかの実施形態では、アプタマーは、アプタマーの3’末端に、長さが少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25もしくは少なくとも30のヌクレオチド長、または5~30、10~30、15~30、5~20、もしくは10~20のヌクレオチド長の領域を含み、ここで、アプタマーの3’末端領域は5位修飾ピリミジンを欠く。いくつかの実施形態では、アプタマーは、長さが20~100、または20~90、または20~80、または20~70、または20~60、または20~50、または30~100、または30~90、または30~80、または30~70、または30~60、または30~50、または40~100、または40~90、または40~80、または40~70、または40~60、または40~50のヌクレオチド長である。
【0009】
いくつかの実施形態では、アプタマーは、第1の5位修飾ピリミジンの各々の代わりに非修飾ピリミジンを、及び/または第2の5位修飾ピリミジンの各々の代わりに非修飾ピリミジンを含む長さ及び核酸塩基配列が同一のアプタマーと比べて、ヌクレアーゼ安定性が改善されている。いくつかの実施形態では、アプタマーは、第1の5位修飾ピリミジンの各々の代わりに非修飾ピリミジンを、または第2の5位修飾ピリミジンの各々の代わりに非修飾ピリミジンを含む長さ及び核酸塩基配列が同一のアプタマーと比べて、ヒト血清中の半減期が長い。
【0010】
いくつかの実施形態では、複数のポリヌクレオチドを含む組成物を提供し、ここで、各ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジン及び少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンを含み、第1の5位修飾ピリミジンと第2の5位修飾ピリミジンは異なる。いくつかの実施形態では、各ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの5’末端に固定領域を含む。いくつかの実施形態では、各ポリヌクレオチドの5’末端固定領域は、長さが少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25もしくは少なくとも30のヌクレオチド長、または5~30、10~30、15~30、5~20、もしくは10~20のヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、各ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの3’末端に固定領域を含む。いくつかの実施形態では、
ポリヌクレオチドの3’末端固定領域は、長さが少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25もしくは少なくとも30のヌクレオチド長、または5~30、10~30、15~30、5~20、もしくは10~20のヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンであり、第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンである。いくつかの実施形態では、第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであり、第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンである。いくつかの実施形態では、5位修飾ウリジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、トリプトファニル部分、インドール部分及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む。いくつかの実施形態では、5位修飾シチジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む。ある実施形態では、部分は、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバマートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される群に含まれるリンカーを介して塩基の5位に共有結合で連結されている。いくつかの実施形態では、5位修飾シチジンは、NapdC、2NapdC、TyrdC、及びPPdCから選択される。いくつかの実施形態では、5位修飾ウリジンは、NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはNapdCであり、少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはPPdCであり、少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TrydU、TrpdU、及びThrdUから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンはTyrdUである。いくつかの実施形態では、第1の5位修飾ピリミジン及び第2の5位修飾ピリミジンは、ポリメラーゼ酵素によって取り込まれることができる。いくつかの実施形態では、第1の5位修飾ピリミジン及び第2の5位修飾ピリミジンは、KOD DNAポリメラーゼによって取り込まれることができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、組成物の各ポリヌクレオチドはランダム領域を含む。いくつかの実施形態では、ランダム領域は、長さが20~100、または20~90、または20~80、または20~70、または20~60、または20~50、または20~40、または30~100、または30~90、または30~70、または30~60、または30~50、または30~40のヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、各ポリヌクレオチドは、長さが20~100、または20~90、または20~80、または20~70、または20~60、または20~50、または30~100、または30~90、または30~80、または30~70、または30~60、または30~50、または40~100、または40~90、または40~80、または40~70、または40~60、または40~50のヌクレオチド長である。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1のアプタマー、第2のアプタマー、及び標的を含む組成物を提供し、ここで、第1のアプタマーは、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジン及び少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンを含み、第2のアプタマーは、少なくとも1つの第3の5位修飾ピリミジンを含むか、または第2のアプタマーは、少なくとも1つの第3の5位修飾ピリミジンと少なくとも1つの第4の5位修飾ピリミジンとを含み、第1のアプタマー、第2のアプタマー及び標的は三量体複合体を形成することができ、第1の5位修飾ピリミジンと第2の5位修飾ピリミジンは異なる5位修飾ピリミジンである。
【0013】
いくつかの実施形態では、第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンであり、第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンである。いくつかの実施形態では、第1の5位
修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであり、第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンである。いくつかの実施形態では、5位修飾ウリジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、インドール部分及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む。いくつかの実施形態では、5位修飾シチジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む。ある実施形態では、部分は、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバマートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される群に含まれるリンカーを介して塩基の5位に共有結合で連結されている。いくつかの実施形態では、5位修飾シチジンは、NapdC、2NapdC、TyrdC、及びPPdCから選択される。いくつかの実施形態では、5位修飾ウリジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはNapdCであり、少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはPPdCであり、少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンはTyrdUである。いくつかの実施形態では、第1の5位修飾ピリミジン及び第2の5位修飾ピリミジンは、ポリメラーゼ酵素によって取り込まれることができる。いくつかの実施形態では、第1の5位修飾ピリミジン及び第2の5位修飾ピリミジンは、KOD DNAポリメラーゼによって取り込まれることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、第3の5位修飾ピリミジンは、5位修飾シチジン及び5位修飾ピリミジンから選択される。いくつかの実施形態では、第3の5位修飾ピリミジンと第4の5位修飾ピリミジンとは異なる5位修飾ピリミジンである。いくつかの実施形態では、第3の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであり、第4の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンである。いくつかの実施形態では、第3の5位修飾シチジンは、BndC、PEdC、PPdC、NapdC、2NapdC、NEdC、2NEdC、及びTyrdCから選択される。いくつかの実施形態では、5位修飾ウリジンは、BNdU、NapdU、PEdU、IbdU、FBndU、2NapdU、NEdU、MBndU、BFdU、BTdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される。
【0015】
いくつかの実施形態では、標的は、タンパク質、ペプチド、炭水化物、低分子、細胞及び組織から選択される。
【0016】
いくつかの実施形態では、
(a)標的分子に結合することができるアプタマーと試料とを接触させること、
(b)アプタマーを試料と共にインキュベートしてアプタマー-標的複合体を形成させること、
(c)試料中のアプタマー-標的複合体を濃縮すること、及び
(c)アプタマー、アプタマー-標的複合体または標的分子の存在について検出することを含み、
ここで、アプタマー、アプタマー-標的複合体または標的分子の検出は、試料中に標的分子が存在することを指し、アプタマー、アプタマー-標的複合体または標的分子の検出がないことは、試料中に標的分子が存在しないことを指し、かかるアプタマーは、本明細書で提供する二重修飾アプタマーである方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、試料への競合分子の添加、アプタマー-標的複合体の固体支持体への捕捉、ならびに競合分子の添加及び試料の希釈から選択される少なくとも1つのさらなるステップを含み、
ここで、少なくとも1つのさらなるステップは、ステップ(a)またはステップ(b)の後で行われる。いくつかの実施形態では、競合分子は、ポリアニオン性競合物質から選択される。いくつかの実施形態では、ポリアニオン性競合物質は、オリゴヌクレオチド、ポリデキストラン、DNA、ヘパリン及びdNTPから選択される。いくつかの実施形態では、ポリデキストランは硫酸デキストランであり、DNAはニシン精子DNAまたはサケ精子DNAである。いくつかの実施形態では、標的分子は、タンパク質、ペプチド、炭水化物、低分子、細胞及び組織から選択される。いくつかの実施形態では、試料は、全血、白血球、末梢血単核球、血漿、血清、痰、呼気、尿、精液、唾液、髄液、羊水、腺液、リンパ液、乳頭吸引物、気管支吸引物、滑液、関節吸引物、細胞、細胞抽出物、便、組織、組織生検、及び脳脊髄液から選択される。
【0017】
いくつかの実施形態では、試料中の標的を検出する方法を提供し、かかる方法は、
a)試料を、標的に結合して第1の複合体を形成することができる第1のアプタマーと接触させて混合物を形成させること、
b)混合物を、第1の複合体の形成を可能にする条件下でインキュベートすること、
c)混合物を、第1の複合体と結合して第2の複合体を形成することができる第2のアプタマーと接触させること、
d)混合物を、第2の複合体の形成を可能にする条件下でインキュベートすること、
e)混合物中の第1のアプタマー、第2のアプタマー、標的、第1の複合体または第2の複合体の有無について検出し、第1のアプタマー、第2のアプタマー、標的、第1の複合体または第2の複合体の存在は、試料中の標的の存在を指すことを含み、
ここで、第1のアプタマーは、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジン及び少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンを含み、
第2のアプタマーは、少なくとも1つの第3の5位修飾ピリミジンを含むか、または、第2のアプタマーは、少なくとも1つの第3の5位修飾ピリミジンと少なくとも1つの第4の5位修飾ピリミジンとを含み、
第1の5位修飾ピリミジンと第2の5位修飾ピリミジンは異なる5位修飾ピリミジンである。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンであり、第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンである。いくつかの実施形態では、第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであり、第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンである。いくつかの実施形態では、5位修飾ウリジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、インドール部分及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む。いくつかの実施形態では、5位修飾シチジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む。ある実施形態では、部分は、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバマートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される群に含まれるリンカーを介して塩基の5位に共有結合で連結されている。いくつかの実施形態では、5位修飾シチジンは、NapdC、2NapdC、TyrdC、及びPPdCから選択される。いくつかの実施形態では、5位修飾ウリジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはNapdCであり、少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、及びThrdUから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはPPdCであり、少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンはTyrdUである。いくつかの実施形態では、第1の5位修飾ピリミジ
ン及び第2の5位修飾ピリミジンは、ポリメラーゼ酵素によって取り込まれることができる。いくつかの実施形態では、第1の5位修飾ピリミジン及び第2の5位修飾ピリミジンは、KOD DNAポリメラーゼによって取り込まれることができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、第3の5位修飾ピリミジンは、5位修飾シチジン及び5位修飾ピリミジンから選択される。いくつかの実施形態では、第3の5位修飾ピリミジンと第4の5位修飾ピリミジンとは異なる5位修飾ピリミジンである。いくつかの実施形態では、第3の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであり、第4の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンである。いくつかの実施形態では、第3の5位修飾シチジンは、BndC、PEdC、PPdC、NapdC、2NapdC、NEdC、2NEdC、及びTyrdCから選択される。いくつかの実施形態では、5位修飾ウリジンは、BNdU、NapdU、PedU、IbdU、FbndU、2NapdU、NedU、MbndU、BfdU、BtdU、PpdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される。
【0020】
いくつかの実施形態では、標的分子は、タンパク質、ペプチド、炭水化物、低分子、細胞及び組織から選択される。いくつかの実施形態では、第1のアプタマー、第2のアプタマー及び標的は、三量体複合体を形成することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、標的分子に対する結合能がある1つ以上のアプタマーを同定する方法を提供し、かかる方法は、
(a)アプタマーのライブラリーを標的分子と接触させて混合物を形成させ、アプタマーが標的分子に対して親和性である場合に形成されるアプタマー-標的複合体の形成を可能にすること、
(b)混合物の残部からアプタマー-標的複合体を分配(またはアプタマー-標的複合体を濃縮)すること、
(c)アプタマー-標的複合体を解離させること、及び
(d)標的分子に対する結合能のある1つ以上のアプタマーを同定すること
を含み、ここで、アプタマーのライブラリーは複数のポリヌクレオチドを含み、各ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジン及び少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンを含み、第1の5位修飾ピリミジンと第2の5位修飾ピリミジンは異なる5位修飾ピリミジンである。いくつかの実施形態では、ステップ(a)、(b)及び/または(c)を少なくとも1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回または10回繰り返す。
【0022】
いくつかの実施形態では、標的分子に対する結合能のある1つ以上のアプタマーを増幅させる。いくつかの実施形態では、混合物はポリアニオン性競合分子を含む。いくつかの実施形態では、ポリアニオン性競合物質は、オリゴヌクレオチド、ポリデキストラン、DNA、ヘパリン及びdNTPから選択される。いくつかの実施形態では、ポリデキストランは硫酸デキストランであり、DNAはニシン精子DNAまたはサケ精子DNAである。
【0023】
いくつかの実施形態では、標的分子は、タンパク質、ペプチド、炭水化物、低分子、細胞及び組織から選択される。
【0024】
いくつかの実施形態では、各ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの5’末端に固定領域を含む。いくつかの実施形態では、各ポリヌクレオチドの5’末端固定領域は、長さが少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25もしくは少なくとも30のヌクレオチド長、または5~30、10~30、15~30、5~20、もしくは10~20のヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、各ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの3’末端に固定領域を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレ
オチドの3’末端固定領域は、長さが少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25もしくは少なくとも30のヌクレオチド長、または5~30、10~30、15~30、5~20、もしくは10~20のヌクレオチド長である。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンであり、第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンである。いくつかの実施形態では、第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであり、第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンである。いくつかの実施形態では、5位修飾ウリジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、インドール部分及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む。いくつかの実施形態では、5位修飾シチジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む。ある実施形態では、部分は、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバマートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される群に含まれるリンカーを介して塩基の5位に共有結合で連結されている。いくつかの実施形態では、5位修飾シチジンは、NapdC、2NapdC、TyrdC、及びPPdCから選択される。いくつかの実施形態では、5位修飾ウリジンは、NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはNapdCであり、少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TrydU、TrpdU、及びThrdUから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはPPdCであり、少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンはTyrdUである。いくつかの実施形態では、第1の5位修飾ピリミジン及び第2の5位修飾ピリミジンは、ポリメラーゼ酵素によって取り込まれることができる。いくつかの実施形態では、第1の5位修飾ピリミジン及び第2の5位修飾ピリミジンは、KOD DNAポリメラーゼによって取り込まれることができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、各ポリヌクレオチドはランダム領域を含む。いくつかの実施形態では、ランダム領域は、長さが20~100、または20~90、または20~80、または20~70、または20~60、または20~50、または20~40、または30~100、または30~90、または30~70、または30~60、または30~50、または30~40のヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、各ポリヌクレオチドは、長さが20~100、または20~90、または20~80、または20~70、または20~60、または20~50、または30~100、または30~90、または30~80、または30~70、または30~60、または30~50、または40~100、または40~90、または40~80、または40~70、または40~60、または40~50のヌクレオチド長である。
【0027】
いくつかの実施形態では、各ポリヌクレオチドは標的と結合するアプタマーであり、ここで、ライブラリーは少なくとも1000アプタマーを含み、各アプタマーは別々のヌクレオチド配列を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、PCSK9タンパク質と結合するアプタマーを提供する。そのようないくつかの実施形態では、アプタマーは配列5’-yGpppG-3’を含み、ここで、各yはTyrdUであり、各pはNapdCである。いくつかの実施形態では、アプタマーは配列5’-yEAyGApAp-3’をさらに含み、ここで、Eはy、A、及びGから選択され、nは0または1である。いくつかの実施形態では、nは0である。いくつかの実施形態では、配列5’-yEAyGApAp-3’は、配列5’-yG
pppG-3’の5’に位置する。いくつかの実施形態では、Eはyである。
【0029】
いくつかの実施形態では、PCSK9と結合するアプタマーを提供し、ここで、アプタマーは配列5’-FpppAAGRJrpRppW-3’(配列番号81)を含み、ここで、Fはr及びGから選択され、各Rは独立してG及びAから選択され、Jはr及びAから選択され、Wはr、G、及びAから選択され、nは0または1であり、mは0または1であり、rはPpdCであり、pはNapdUである。いくつかの実施形態では、mは1である。いくつかの実施形態では、Fはrである。いくつかの実施形態では、Jはrである。いくつかの実施形態では、WはGである。
【0030】
いくつかの実施形態では、PCSK9と結合するアプタマーを提供し、ここで、アプタマーは配列5’-TTppGGpp-3’を含み、ここで、各pはNapdCである。
【0031】
いくつかの実施形態では、PCSK9と結合するアプタマーは長さが20~100、または20~90、または20~80、または20~70、または20~60、または20~50、または30~100、または30~90、または30~80、または30~70、または30~60、または30~50、または40~100、または40~90、または40~80、または40~70、または40~60、または40~50のヌクレオチド長である。
【0032】
いくつかの実施形態では、アプタマーはPCSK9のLDL-Rへの結合を阻害する。いくつかの実施形態では、アプタマーはPCSK9のLDL-Rへの結合を阻害し、IC50が30nM未満、20nM未満、または15nM未満である。
【0033】
いくつかの実施形態では、対象のコレステロールを低下させる方法であり、それを必要とする対象にPCSK9と結合するアプタマーを投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、PCSK9と結合するアプタマーは、本明細書で提供するアプタマーである。いくつかの実施形態では、コレステロールは低比重リポタンパク質(LDL)コレステロール(LDL-C)である。いくつかの実施形態では、対象は、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症または臨床的動脈硬化性心血管疾患(CVD)を有する。
【0034】
本発明の上述及び他の課題、特徴、及び利点は、添付の図を参照しながら進められる以下の詳細な説明からより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】C5位修飾したウリジン三リン酸及びシチジン三リン酸を含有するDNAライブラリーを用いて修飾した核酸アプタマーの選択である。2つの修飾塩基を用いた選択の概略図である。30Nの化学合成したランダムのマスターアンチセンスのビオチン化テンプレートライブラリーを使用してプライマー伸長反応により修飾及び非修飾のさまざまなライブラリーを酵素合成した、選択方法の概要である。
図2】さまざまな修飾ライブラリーを使用して作製した40mer(30N+5+5)アプタマーのPCSK9に対する結合親和性である。結合曲線で、親和性≧1nMのアプタマーは灰色の網掛けで強調表示されており、親和性320nMに示されるアプタマーは32nMの最高濃度で検出可能な結合がなかったことを表す。ライブラリーの各々にある黒線は、そのライブラリー内の全アプタマーの中央値を指す。
図3】dUまたはdCのいずれかの単一修飾-対-2修飾のdC及びdUについての親和性及びコピー数の割合(%)である。各点は、Y軸に示される親和性値と、X軸に示されるそのコピー数の割合(%)を有するアプタマーの1つを表す。赤色の点は単一修飾アプタマー、また緑色の点(中抜きの点と塗りつぶした点)は2修飾アプタマーである。塗りつぶした緑色の点は、一部のNap-dC/Tyr-dUアプタマー及びPP-dC/Tyr-dUアプタマーを表す。
図4】単一塩基修飾アプタマー及び2塩基修飾アプタマーの切断性である。Aでは、すべての高親和性40mer配列を、5’末端と3’末端から5ヌクレオチドずつ除去して、そのランダム領域長のみの30merにさらに切断した。PCSK9に対する改善された結合親和性を保持するかまたは有するアプタマーのパーセンテージをY軸にプロットした。Bは、個別のライブラリー各々から得た単一塩基修飾アプタマー及び2塩基修飾アプタマーの親和性比較及び切断性である。親和性≧1nMのアプタマーは灰色の網掛けで強調表示されており、平均親和性が最も高かったのは、PP-dU、Nap-dU及びTyr-dUをPP-dCと組み合わせた2修飾塩基の組み合わせを有するアプタマーであった。
図5】各ライブラリーの3つの高親和性アプタマーの、他の前駆体タンパク質転換酵素(PC)に対する標的結合特異性。溶液親和性測定を、単一修飾塩基を有する11アプタマー(すなわち、Nap-dC/dTを有する3アプタマー、dC/Nap-dUを有する3アプタマー、dC/Pp-dUを有する3アプタマー、及びdC/Ty-dUを有する2アプタマー)、及び二重修飾塩基を有する22アプタマー(すなわち、Nap-dC/Nap-dUを有する3アプタマー、Nap-dC/Pp-dUを有する3アプタマー、Nap-dC/Moe-dUを有する3アプタマー、Nap-dC/Tyr-dUを有する3アプタマー、Pp-dC/Pp-dUを有する3アプタマー、Pp-dC/Nap-dUを有する3アプタマー、Pp-Ty-dUを有する3アプタマー、及びPp-dC/Moe-dUを有する1アプタマー)の合計33アプタマー(40mer)について行った。親和性100nMの点線より下のアプタマーは、濃度100nMで検出可能な結合がないことを指す。これ以外のPC(PCSK5、PCSK6及びPCSK8)に対する親和性の試験は行わなかった。
図6】単一塩基修飾アプタマー及び2塩基修飾アプタマーの種交差反応性である。単一修飾(3アプタマー)及び2修飾(38アプタマー)の切断型30merアプタマー(K値≦1nM)のヒト、サル、マウス及びラットそれぞれのPCSK9に対する親和性である。単一修飾アプタマーはヒト及びサルのPSCKS9に結合したが、マウスまたはラットのPSKC9には結合しなかった。対照的に、2修飾アプタマーはヒト、サル、マウス及びラットに結合した。ヒトPSCK9と比較したそれぞれの種のPCSK9タンパク質のパーセント同一性が記載されている。
図7】ビーズを用いるLuminex(登録商標)アッセイでのサンドイッチペアスクリーニング法である。Aは、アプタマーのサンドイッチペアスクリーニング法の概略図である。Bは、PCSK9濃度10nMにおいてタンパク質不含緩衝液でのシグナルの50倍以上のシグナルを示すサンドイッチペアである。サンドイッチアッセイで試験したアプタマーはすべてKd≦1nMの40merであった。合計70対が50倍以上のシグナルを示した。ペアのアプタマーそれぞれを単一修飾ライブラリーから選択すると、サンドイッチペアが3対同定された(サンドイッチアプタマーペア3対/単一塩基修飾ライブラリー3つ)。対照的に、ペアの一方のアプタマーを3つの単一塩基修飾ライブラリーから選択し、ペアのもう一方のアプタマーを4つの二重塩基修飾ライブラリーから選択すると、サンドイッチペア22対が同定され(すなわち、サンドイッチアプタマーペア22対/単一塩基修飾ライブラリー3つと二重塩基修飾ライブラリー4つ)、また、ペアの両アプタマーを二重修飾ライブラリーから選択すると、サンドイッチペア45対が同定された(サンドイッチアプタマーペア45対/二重塩基修飾ライブラリー5つ)。Cは、単一塩基修飾アプタマーを有する捕捉アプタマーライブラリーと単一塩基修飾アプタマーを有する検出アプタマーライブラリー、単一塩基修飾アプタマーを有する捕捉アプタマーライブラリーと2塩基修飾アプタマーを有する検出アプタマーライブラリー、及び2塩基修飾アプタマーを有する捕捉アプタマーライブラリーと2塩基修飾アプタマーを有する検出アプタマーライブラリーの各組み合わせから得た、標的タンパク質PCSK9に対するサンドイッチペア数の比較である。
図8】ビーズを用いるLuminex(登録商標)アッセイにおいてPCSK9濃度依存的シグナルを示すサンドイッチペアである。Aは、性能が最良の捕捉アプタマーすなわち一次アプタマーと、選択した二次アプタマーすなわち検出アプタマーとの対の場合に濃度依存的シグナルが観察されたことを示す。Bは、性能が最良の二次アプタマーすなわち検出アプタマーと、選択した一次アプタマーすなわち捕捉アプタマーとの対の場合に濃度依存的シグナルが観察されたことを示す。Cは、アプタマーの配置を交換した場合の主要サンドイッチペアのdC/PP-dUアプタマー(一次)とNap-dC/Nap-dUアプタマー(二次)のシグナルを示す。Dは、組換え野生型PCSK9及び機能獲得型変異体PCSK9 D374Yで得た標準曲線である。サンドイッチペアの検出用野生型PCSK9(円形)と機能獲得型変異体PCSK9 D374Y(三角形)タンパク質で濃度依存的線形シグナルを得た。
図9】サンドイッチアッセイの感度:緩衝液中でPCSK9濃度の検出限界を示すアプタマーのサンドイッチアッセイ(dC/PP-dUアプタマー(一次)及びNap-dC/Nap-dUアプタマー(二次))の性能を示す。Aは、アプタマーのサンドイッチアッセイで濃度依存的線形シグナルが観察され、定量下限は約80pg/mL(LLOQ)であったことを示す。Bは、アプタマーのサンドイッチアッセイで濃度依存的線形シグナルが観察され、定量上限は約10ng/mL(ULOQ)であったことを示す。
図10】dC/PP-dUアプタマー(一次)及びNap-dC/Nap-dUアプタマー(二次)を使用したサンドイッチアッセイの希釈直線性を示す。
図11】単一塩基修飾一次アプタマー及び2塩基修飾二次アプタマー(dC/PP-dUアプタマー(一次)及びNap-dC/Nap-dUアプタマー(二次))を含むサンドイッチアッセイである。
図12】野生型HepG2細胞におけるPCSK9の過剰発現を示す。
図13】プレートを用いるインビトロPCSK9阻害アッセイ:アプタマーを用いたPCSK9阻害の概略図である。
図14】単一塩基修飾アプタマーまたは2塩基修飾アプタマーの阻害についてのスクリーニングである。
図15】治療薬として可能性の高い種交差反応性2塩基修飾アプタマーである。Aは、ヒトPCSK9(塗りつぶした青の円)、ヒト機能獲得型変異体PCSK9 D374Y(塗りつぶした赤の円)、アカゲザルPCSK9(塗りつぶした緑の四角形)、ラットPCSK9(塗りつぶしたピンクの六角形)、マウスPCSK9(塗りつぶした逆三角形)及びスクランブルした対照アプタマー(中抜きの黒いひし形)に対する、2塩基修飾型(PP-dC/Nap-dU)げっ歯類交差反応性30merアプタマー(11733-44、配列番号44)の親和性を示す。Bは、PCSK9とLDL-Rとの相互作用への阻害を示す、治療薬として可能性の高い種交差反応性2塩基修飾アプタマーを示す。アプタマーは、PCSK9とLDL-Rとの相互作用をEC50値2.1nM(青で塗りつぶした円)で、またPCSK9 D374Yとの相互作用をEC50値3.6nM(赤で塗りつぶした三角形)で強力に阻害するが、スクランブル対照アプタマーは、野生型PCSK9(緑で塗りつぶした四角形)及び機能獲得型変異体PCSK9 D374Y(中抜きの黒い四角形)の阻害を示さない。
図16】LDL取り込み逆転アッセイの概略図を示す。
図17】種交差反応性PP-dC/Nap-DUアプタマーは、PCSK9とLDL-Rとの相互作用を遮断することによりLDL-Rの分解を阻害し、HepG2細胞表面のLDL-Rレベルを高めることを示す。活性SOMAmer(赤の円)によるLDL取り込み逆転のEC50値は13.5nMであり、これは、同一配列のスクランブル対照(青の三角形)では観察されなかった。
図18】90%ヒト血清での単一修飾アプタマー及び二重修飾アプタマーの経時的安定性を示す。単一C-5修飾アプタマーまたは二重C-5修飾アプタマーの修飾パターンを図の凡例と共に提供する(例えば、X/Yにおいて、XはdC(非修飾ヌクレオチド)、NapdC(Nap)、またはPPdC(PP)を表し、YはdUまたはdT(非修飾ヌクレオチド、TyrdU(Tyr)、NapdU(Nap)、PPdU(PP)またはMOEdU(MOE)を表す)。
図19】さまざまな修飾ライブラリーを使用して作製された40mer(30N+5+5)アプタマーの、ErbB2(A)、ErbB3(B)、及びPSMA(C)に対する結合親和性を示す。結合曲線で、親和性≧1nMのアプタマーは灰色の網掛けで強調表示されており、親和性320nMに示されるアプタマーは32nMの最高濃度で検出可能な結合がなかったことを表す。ライブラリーの各々にある黒線は、そのライブラリー内の全アプタマーの中央値を指す。
図20】アプタマーに組み込まれ得る、特定の例示的な5位修飾型のウリジン及びシチジンである。
図21】ウリジンの5位で存在し得る特定の例示的な修飾を示す。C-5修飾の化学構造としては、ウリジンの5位への修飾を連結する例示的アミド結合が含まれる。図示の5位部分には、ベンジル部分(例えば、Bn、PE及びPP)、ナフチル部分(例えば、Nap、2Nap、NE)、ブチル部分(例えば、iBu)、フルオロベンジル部分(例えば、FBn)、チロシル部分(例えば、Tyr)、3,4-メチレンジオキシベンジル(例えば、MBn)、モルホリノ部分(例えば、MOE)、ベンゾフラニル部分(例えば、BF)、インドール部分(例えば、Trp)及びヒドロキシプロピル部分(例えば、Thr)が含まれる。
図22】シチジンの5位に存在し得る特定の例示的修飾を示す。C-5修飾の化学構造としては、シチジンの5位への修飾を連結する例示的アミド結合が含まれる。図示の5位部分には、ベンジル部分(例えば、Bn、PE及びPP)、ナフチル部分(例えば、Nap、2Nap、NE、及び2NE)及びチロシル部分(例えば、Tyr)が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
特に断りのない限り、慣例用法に従った技術用語を使用する。分子生物学における一般用語の定義は、Benjamin Lewin,Genes V,published by Oxford University Press,1994(ISBN 0-19-854287-9);Kendrew et al.(eds.),The Encyclopedia of Molecular Biology,published
by Blackwell Science Ltd.,1994(ISBN 0-632-02182-9);及びRobert A.Meyers(ed.),Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference,published by VCH Publishers,Inc.,1995(ISBN 1-56081-569-8)に見出され得る。
【0037】
別段の説明がない限り、本明細書で使用するすべての技術用語及び科学用語は、本開示の属する当該技術分野の当業者に共通して理解される意味と同一の意味を有する。単数形の用語「a」、「an」、及び「the」には、文脈で特に明確に指示されない限り、複数の指示対象が含まれる。「AまたはBを含む」とは、A、またはB、またはA及びBを含むことを意味する。核酸またはポリペプチドに与えられるすべての塩基の大きさまたはアミノ酸の大きさ、及びすべての分子量または分子質量の値は概数であり、説明用に提供されていることをさらに理解されるべきである。
【0038】
さらに、本明細書に提供される範囲は、当該範囲内のすべての値が省略されているものと理解されるべきである。例えば、1~50という範囲には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50からなる群のいかなる数字、数字の組み合わせ、または下位範囲
(ならびにその分数、ただし、文脈で明確な指示がある場合を除く)も含まれるものと理解される。いかなる濃度範囲、パーセント範囲、比率範囲、または整数範囲も、特に明記しない限り、記述範囲内のあらゆる整数値、及び必要に応じ、その分数値(整数の10分の1及び100分の1など)を含むものと理解されるべきである。また、ポリマーのサブユニット、大きさまたは厚さなど、任意の物理的特徴に関して本明細書で引用される任意の数字範囲には、特に明記しない限り、記述範囲内のあらゆる整数が含まれると理解されるべきである。本明細書で使用する場合、「約」または「で本質的に構成される」とは、特に明記しない限り、示されている範囲、値、または構造の±20%を意味する。本明細書で使用する場合、「含む(include)及び「含む(comprise)」という用語は非限定的であり、これらは同義で使用される。
【0039】
方法及び材料は、本明細書に記載するものと類似または同等のものを本開示の実践または試験で使用することができるが、好適な方法及び材料を以下に記載する。本明細書で言及される刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献はすべて参照によりその全体が組み込まれる。矛盾がある場合は、用語の説明も含め、本明細書が優先することとする。さらに、材料、方法、及び実施例は例示にすぎず、限定的ではないものとする。
【0040】
本明細書で使用する場合、用語「ヌクレオチド」は、リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチド、またはその修飾形態、ならびにその類似体を指す。ヌクレオチドには、プリン(例えば、アデニン、ヒポキサンチン、グアニン、及びその誘導体と類似体)及びピリミジン(例えば、シトシン、ウラシル、チミン、及びその誘導体と類似体)を含む種が含まれる。本明細書で使用する場合、用語「シチジン」は総称的に使用され、特に具体的に明示しない限り、シトシン塩基を含むリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、または修飾リボヌクレオチドを指す。用語「シチジン」には、2’-フルオロ、2’-メトキシ等などの2’-修飾シチジンが含まれる。同様に、用語「修飾シチジン」または特定の修飾シチジンは、特に具体的に明示しない限り、修飾シトシン塩基を含むリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、または修飾リボヌクレオチド(2’-フルオロ、2’-メトキシ等など)も指す。用語「ウリジン」は総称的に使用され、特に具体的に明示しない限り、ウラシル塩基を含むリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、または修飾リボヌクレオチドを指す。用語「ウリジン」には、2’-フルオロ、2’-メトキシ等などの2’-修飾ウリジンが含まれる。同様に、用語「修飾ウリジン」または特定の修飾ウリジンは、特に具体的に明示しない限り、修飾ウラシル塩基を含むリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、または修飾リボヌクレオチド(2’-フルオロ、2’-メトキシ等など)も指す。
【0041】
本明細書で使用する場合、用語「5位修飾シチジン」または「C-5修飾シチジン」は、シチジンのC-5位に修飾を有するシチジン、例えば、図20に示すようなシチジンを指す。5位修飾シチジンの非限定的な例には、図22に示されるようなものが含まれる。5位修飾シチジンの非限定的な例には、5-(N-ベンジルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(「BndC」と呼ばれ、図21に示される)、5-(N-2-フェニルエチルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(「PEdC」と呼ばれ、図21に示される)、5-(N-3-フェニルプロピルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(「PPdC」と呼ばれ、図21に示される)、5-(N-1-ナフチルメチルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(「NapdC」と呼ばれ、図21に示される)、5-(N-2-ナフチルメチルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(「2NapdC」と呼ばれ、図21に示される)、5-(N-1-ナフチル-2-エチルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(「NEdC」と呼ばれ、図21に示される)、5-(N-2-ナフチル-2-エチルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(「2NEdC」と呼ばれ、図21に示される)、及び5-(N-チロシルカルボキサミド)-2’-デオキシシチジン(TyrdCと呼ばれ、図21に示される)が挙げられるが、これに限定
されるものではない。いくつかの実施形態では、C5修飾シチジンは、例えば、その三リン酸形態にある場合、ポリメラーゼ(例えば、KOD DNAポリメラーゼ)によりオリゴヌクレオチドに取り込まれることができる。
【0042】
本明細書に記載するC-5修飾シチジンの化学修飾は、2’位糖修飾(例えば、2’-O-メチルまたは2’-フルオロ)、環外アミンでの修飾、及び4-チオシチジンの置換等を単独または任意の組み合わせで用いて組み合わせることもできる。
【0043】
本明細書で使用する場合、用語「C-5修飾ウリジン」または「5位修飾ウリジン」は、ウリジンのC-5位に修飾を有するウリジン(典型的にデオキシウリジン)、例えば、図20に示すようなウリジンを指す。いくつかの実施形態では、C5修飾ウリジンは、例えば、その三リン酸形態にある場合、ポリメラーゼ(例えば、KOD DNAポリメラーゼ)によりオリゴヌクレオチドに取り込まれることができる。5位修飾ウリジンの非限定的な例には、図21に示されるようなものが含まれる。5位修飾ウリジンの非限定的な例には、
5-(N-ベンジルカルボキサミド)-2’-デオキシウリジン(BndU)、
5-(N-フェネチルカルボキサミド)-2’-デオキシウリジン(PEdU)、
5-(N-チオフェニルメチルカルボキサミド)-2’-デオキシウリジン(ThdU)、
5-(N-イソブチルカルボキサミド)-2’-デオキシウリジン(iBudU)、
5-(N-チロシルカルボキサミド)-2’-デオキシウリジン(TyrdU)、
5-(N-3,4-メチレンジオキシベンジルカルボキサミド)-2’-デオキシウリジン(MBndU)、
5-(N-4-フルオロベンジルカルボキサミド)-2’-デオキシウリジン(FBndU)、
5-(N-3-フェニルプロピルカルボキサミド)-2’-デオキシウリジン(PPdU)、
5-(N-イミジゾリルエチルカルボキサミド(imidizolylethylcarboxamide))-2’-デオキシウリジン(ImdU)、
5-(N-トリプタミノカルボキサミド)-2’-デオキシウリジン(TrpdU)、
5-(N-R-トレオニニルカルボキサミド)-2’-デオキシウリジン(ThrdU)、
5-(N-[1-(3-トリメチルアンモニウム)プロピル]カルボキサミド)-2’-デオキシウリジン塩化物、
5-(N-ナフチルメチルカルボキサミド)-2’-デオキシウリジン(NapdU)、5-(N-[1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)]カルボキサミド)-2’-デオキシウリジン)、
5-(N-2-ナフチルメチルカルボキサミド)-2’-デオキシウリジン(2NapdU)、
5-(N-1-ナフチルエチルカルボキサミド)-2’-デオキシウリジン(NEdU)、
5-(N-2-ナフチルエチルカルボキサミド)-2’-デオキシウリジン(2NEdU)、
5-(N-3-ベンゾフラニルエチルカルボキサミド)-2’-デオキシウリジン(BFdU)、
5-(N-3-ベンゾチオフェニルエチルカルボキサミド)-2’-デオキシウリジン(BTdU)
が含まれる。
【0044】
本明細書に記載するC-5修飾ウリジンの化学修飾は、2’位糖修飾(例えば、2’-
O-メチルまたは2’-フルオロ)、環外アミンでの修飾、及び4-チオウリジンの置換等を単独または任意の組み合わせで用いて組み合わせることもできる。
【0045】
本明細書で使用する場合、「修飾する」、「修飾された」、「修飾」という用語、及びその任意の変形は、オリゴヌクレオチドに関して使用する場合、そのオリゴヌクレオチドのヌクレオチド構成塩基4つ(すなわち、A、G、T/U、及びC)のうち少なくとも1つが、天然に生じるヌクレオチドの類似体またはエステルであることを意味する。いくつかの実施形態では、修飾ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドにヌクレアーゼ耐性を付与する。さらなる修飾としては、イソ塩基のイソシチジンとイソグアニジンのようなまれな塩基対合の組み合わせ、骨格修飾、メチル化等が含まれ得る。修飾には、キャッピングのような3’及び5’の修飾も含まれ得る。他の修飾には、天然に生じるヌクレオチドの1つ以上を類似体で置換すること、ヌクレオチド間修飾、例えば、非荷電結合(例えば、メチルホスホナート、ホスホトリエステル、ホスホアミダート(phosphoamidate)、カルバマート等)を用いる修飾、荷電結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオアート等)、インターカレーター(例えば、アクリジン、プソラレン等)を用いる修飾、キレート剤(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化性金属等)を含有する修飾、アルキル化剤を含有する修飾、及び修飾結合(例えば、アルファアノマー型核酸等)を用いる修飾などが含まれる。さらに、ヌクレオチドの糖に通常存在する任意のヒドロキシル基は、ホスホナート基またはリン酸基で置き換えること、標準的な保護基で保護すること、またはさらなるヌクレオチドもしくは固体支持体へのさらなる結合が作製されるよう活性化させることが可能である。5’末端及び3’末端のOH基はリン酸化または置換が可能であり、置換には、アミン、炭素原子約1~約20個の有機キャッピング基部分、ポリエチレングリコール(PEG)ポリマー(一実施形態では約10~約80kDaの範囲、別の実施形態では約20~約60kDaの範囲)、または他の親水性または疎水性の生体高分子もしくは合成ポリマーを用いることができる。
【0046】
本明細書で使用する場合、「核酸」、「オリゴヌクレオチド」、及び「ポリヌクレオチド」は互換的に使用されてヌクレオチドのポリマーを指し、これには、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッド、ならびにこれらの種類の核酸、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドの修飾が含まれ、ここで、さまざまな分子成分または部分のヌクレオチド単位に対するいかなる位置での結合も含まれる。「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、及び「核酸」という用語には、二本鎖または一本鎖の分子ならびに三重らせん分子が含まれる。核酸、オリゴヌクレオチド、及びポリヌクレオチドは、アプタマーという用語よりも広義の用語であり、したがって、核酸、オリゴヌクレオチド、及びポリヌクレオチドという用語には、アプタマー、すなわちヌクレオチドのポリマーが含まれるが、核酸、オリゴヌクレオチド、及びポリヌクレオチドという用語はアプタマーに限られるわけではない。
【0047】
ポリヌクレオチドは、一般に当該技術分野で公知のリボース糖またはデオキシリボース糖の類似形態を含有することもでき、これには、2’-O-メチル、2’-O-アリル、2’-O-エチル、2’-O-プロピル、2’-O-CHCHOCH、2’-フルオロ、2’-NHもしくは2’-アジド、炭素環状糖類似体、α-アノマー型糖、アラビノース、キシロースもしくはリキソースのようなエピマー型糖、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体、及びメチルリボシドのような脱塩基ヌクレオシド類似体が含まれる。本明細書に記載のように、1つ以上のホスホジエステル結合を代替的結合基で置き換えてよい。これらの代替的結合基には、リン酸基をP(O)S(「チオアート」)、P(S)S(「ジチオアート」)、(O)NR (「アミダート」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH(「ホルムアセタール」)で置換する実施形態が含まれ、これにおいて、各RまたはR’は独立してH、または任意選択でエーテル(-O-)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル
もしくはアラルキルを含有する置換または非置換のアルキル(C1~C20)である。ポリヌクレオチド内のすべての結合が同一である必要はない。糖、プリン、及びピリミジンの類似形態で代用することは、代替的骨格構造、例えば、ポリアミド骨格のような構造が可能になるので、最終生成物を設計する際に有利になり得る。
【0048】
ポリヌクレオチドは、炭素環状糖類似体、α-アノマー型糖、アラビノース、キシロースもしくはリキソースのようなエピマー型糖、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体、及びメチルリボシドのような脱塩基ヌクレオシド類似体の類似形態を含有することもできる。
【0049】
ヌクレオチド構造への修飾は、存在する場合、ポリマーアセンブリの前でも後でも可能である。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分で中断され得る。ポリヌクレオチドは、標識成分と結合させることにより、重合後にさらに修飾することができる。
【0050】
本明細書で使用する場合、用語「少なくとも1つのヌクレオチド」は、核酸の修飾に言及する場合、その核酸にある1つ、いくつか、またはすべてのヌクレオチドを指し、核酸にあるA、C、T、GまたはUのいずれかもしくは全部の任意またはすべての出現が修飾されても修飾されなくてもよいことを示す。
【0051】
本明細書で使用する場合、「核酸リガンド」、「アプタマー」、「SOMAmer」、及び「クローン」は同じ意味で使用され、標的分子に対し望ましい作用を及ぼす天然には生じない核酸を指す。望ましい作用には、標的の結合、触媒による標的の変化、標的または標的の機能活性を修飾もしくは改変するような標的との反応、標的への共有結合による結合(自殺阻害剤の場合)、及び標的と別の分子との間の反応促進が挙げられるが、これに限定されるものではない。一実施形態では、作用は、標的分子に対する特異的結合親和性であり、そのような標的分子は、ワトソン・クリック型塩基対合または三重らせん形成とは独立した機構を介してアプタマーに結合するポリヌクレオチド以外の三次元化学構造であり、ここで、前記アプタマーは、標的分子と結合するという既知の生理機能を有する核酸ではない。所与の標的に対するアプタマーには、候補核酸混合物から同定される核酸が含まれ、その場合、アプタマーは標的のリガンドであり、手段とする方法は、a)候補混合物と標的とを接触させること、ただし、候補混合物の他の核酸よりも標的に対する親和性の高い核酸は、残りの候補混合物から分配することができる、(b)親和性の高い核酸を残りの候補混合物から分配すること、(c)親和性の高い核酸を増幅させ、リガンドが濃縮された核酸混合物を得、それにより標的分子のアプタマーを同定することを含む。親和性相互作用は程度の問題であると認識されるが、ここでは、アプタマーのその標的に対する「特異的結合親和性」は、アプタマーがその標的に結合する際、混合物または試料中の他の非標的成分に結合する場合より親和性の程度が概してはるかに高いことを意味する。「アプタマー」、「SOMAmer、」または「核酸リガンド」は、特定のヌクレオチド配列を有する核酸分子の1つの型または種のコピーセットである。アプタマーには、好適な任意の数のヌクレオチドが含まれ得る。「アプタマー(複数)」は、分子のそのようなセット2つ以上を指す。異なるアプタマーは、同数のヌクレオチドを有しても、異なる数のヌクレオチドを有してもよい。アプタマーはDNAまたはRNAであってよく、一本鎖であっても二本鎖であっても、または二本鎖もしくは三重鎖の領域を含有してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載するSELEX工程、または当該技術分野で公知のSELEX工程を使用してアプタマーを調製する。
【0052】
本明細書で使用する場合、「SOMAmer」すなわちSlow Off-Rate Modified Aptamerは、解離速度特性が改善されたアプタマーを指す。SOMAmerは、”Method for Generating Aptamers with Improved Off-Rates”と題された米国特許第7,947,
447号に記載の改良SELEX法を使用して作製可能である。
【0053】
本明細書で使用する場合、異なる2種の5位修飾ピリミジンまたはC-5修飾ピリミジンを含むアプタマーは、「二重修飾アプタマー」、「2つの修飾塩基」を有するアプタマー、「2塩基修飾」または「修飾された2塩基」を有するアプタマー、「二重修飾塩基」を有するアプタマーと呼ばれてよく、そのいずれも同じ意味で使用され得る。アプタマーのライブラリーまたはアプタマーライブラリーもまた同一用語として使用される。したがって、いくつかの実施形態では、アプタマーは、2つの異なる5位修飾ピリミジンを含み、ここで、かかる2つの異なる5位修飾ピリミジンは、NapdCとNapdU、NapdCとPPdU、NapdCとMOEdU、NapdCとTyrdU、NapdCとThrdU、PPdCとPPdU、PPdCとNapdU、PPdCとMOEdU、PPdCとTyrdU、PPdCとThrdU、NapdCと2NapdU、NapdCとTrpdU、2NapdCとNapdU、及び2NapdCと2NapdU、2NapdCとPPdU、2NapdCとTrpdU、2NapdCとTyrdU、PPdCと2NapdU、PPdCとTrpdU、PPdCとTyrdU、TyrdCとTyrdU、TrydCと2NapdU、TyrdCとPPdU、TyrdCとTrpdU、TyrdCとTyrdU、及びTyrdCとTyrdUから選択される。いくつかの実施形態では、アプタマーは、少なくとも1つの修飾ウリジン及び/またはチミジンならびに少なくとも1つの修飾シチジンを含み、ここで、かかる少なくとも1つの修飾ウリジン及び/またはチミジンは5位において、ナフチル部分、ベンジル部分、フルオロベンジル部分、チロシル部分、インドール部分、モルホリノ部分、イソブチル部分、3,4-メチレンジオキシベンジル部分、ベンゾチオフェニル部分、及びベンゾフラニル部分から選択される部分で修飾され、少なくとも1つの修飾シチジンは5位において、ナフチル部分、チロシル部分、及びベンジル部分から選択される部分で修飾される。ある実施形態では、部分は、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバマートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される群に含まれるリンカーを介して塩基の5位に共有結合で連結されている。
【0054】
本明細書で使用する場合、1種の5位修飾ピリミジンまたはC-5修飾ピリミジンを含むアプタマーは、「単一修飾アプタマー」、「単一修飾塩基」を有するアプタマー、「単一塩基修飾」または「修飾された単一塩基」を有するアプタマーと呼ばれてよく、そのいずれも同じ意味で使用され得る。アプタマーのライブラリーまたはアプタマーライブラリーもまた同一用語として使用される。本明細書で使用する場合、「タンパク質」は、「ペプチド」、「ポリペプチド、」または「ペプチド断片」と同義で使用される。「精製された」ポリペプチド、タンパク質、ペプチド、またはペプチド断片は、細胞材料、または細胞、組織、もしくはアミノ酸配列を取得する細胞不含材料に由来する他の混入タンパク質を実質的に含まない、または化学合成した場合に化学的前駆物質もしくは他の化学物質を実質的に含まない。
【0055】
ある実施形態では、アプタマーは、第1の5位修飾ピリミジン及び第2の5位修飾ピリミジンを含み、ここで、かかる第1の5位修飾ピリミジンは、第1の5位修飾ピリミジンの5位にチロシル部分を含み、第2の5位修飾ピリミジンは、第2の5位修飾ピリミジンの5位にナフチル部分またはベンジル部分を含む。関連実施形態では、第1の5位修飾ピリミジンはウラシルである。関連実施形態では、第2の5位修飾ピリミジンはシトシンである。関連実施形態では、アプタマーのウラシルの少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%は5位で修飾されている。関連実施形態では、アプタマーのシトシンの少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、
80%、85%、90%、95%、または100%は5位で修飾されている。
【0056】
修飾ヌクレオチド
ある実施形態では、本開示は、異なる2種の塩基修飾ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド、例えば、アプタマーを提供する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、異なる2種の5位修飾ピリミジンを含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのC5修飾シチジン及び少なくとも1つのC5修飾ウリジンを含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、2つの異なるC5修飾シチジンを含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、2つの異なるC5修飾ウリジンを含む。C5修飾されたウリジン及びシチジンの非限定的な例は、例えば、下記式I及び図20に示されている。C5修飾ウリジンの非限定的な特定の例は図21に示され、C5修飾シチジンの非限定的な特定の例は図22に示されている。
【0057】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、式I
【化1】
[式中、
Rは独立して-(CH-であり、ここで、nは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10から選択される整数であり、
X1は独立して
【化2】
からなる群から選択され、ここで、
【化3】
は、-(CH-基に対するRX1基の結合点を表し、
ここで、
X4は独立して、分岐または直鎖の低級アルキル(C1~C20)、ヒドロキシル基、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、ニトリル(CN)、ボロン酸(BO)、カルボン酸(COOH)、カルボン酸エステル(COORX2)、第一級アミド(CONH)、第二級アミド(CONHRX2)、第三級アミド(CONRX2X3)、スルホンアミド(SONH)、N-アルキルスルホンアミド(SONHRX2)からなる群から選択され、
X2及びRX3は、出現ごとに独立して、分岐または直鎖の低級アルキル(C1~C20)、フェニル(C)、RX4が上記定義によるRX4置換フェニル環(RX4)、カルボン酸(COOH)、RX5が分岐または直鎖の低級アルキル(C1~C20)であるカルボン酸エステル(COORX5)、ならびに、RX2とRX3が互いに結合して置換または非置換の5員環もしくは6員環を形成するシクロアルキルからなる群から選択され、
Xは独立して、-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCHCHOCH、NH及び-アジドからなる群から選択され、
R’は独立して、-H、-OAc、-OBz、-P(NiPr)(OCHCHCN)、及び-OSiMetBuからなる群から選択され、
R’’は独立して、水素、4,4’-ジメトキシトリチル(DMT)及び三リン酸(-P(O)(OH)-O-P(O)(OH)-O-P(O)(OH))またはその塩からなる群から選択され、
Zは独立して、-H、置換または非置換Cの(1~4)アルキルからなる群から選択される]
のピリミジンを少なくとも1つ、及びその塩を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、図21に示される少なくとも1つの修飾ピリミジンを含み、ここで、各Xは独立して、-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCHCHOCH、NH及び-アジドから選択される。
【0059】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、図22に示される少なくとも1つの修飾ピリミジンを含み、ここで、各Xは独立して、-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCHCHOCH、NH及び-アジドから選択される。
【0060】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、図21に示される少なくとも1つの修飾ピリミジン、及び図22に示される少なくとも1つの修飾ピリミジンを含み、ここで、各Xは独立して、-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCHCHOCH、NH及び-アジドから選択される。修飾ピリミジンの対の非限定的な特定の例は、本明細書に記載の実施例に示される。
【0061】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、図20に示される少なくとも1つの修飾ピリミジンを含み、ここで、かかるリボースの2’位は独立して、-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCHCHOCH、NH及び-アジドから選択される。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、図20に示される少なくとも2修飾ピリミジンを含み、ここで、かかるリボースの2’位は独立して、-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCHCHOCH、NH及び-アジドから選択される。
【0062】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、図20に示される少なくとも1つの修飾ピリミジン、及び図21または図22に示される少なくとも1つの修飾ピリミジンを含み、ここで、かかるリボースの2’位は独立して、-H、-OH、-OMe、-O-アリル、-F、-OEt、-OPr、-OCHCHOCH、NH及び-アジドから選択される。修飾ピリミジンの対の非限定的な特定の例は、本明細書に記載の実施例に示される。
【0063】
本明細書に記載する実施形態のいずれにおいても、オリゴヌクレオチドはアプタマーであってよい。そのようないくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、標的ポリペプチドと特異的に結合するアプタマーである。
【0064】
オリゴヌクレオチドの調製
オリゴデオキシヌクレオシドの自動合成は多くの研究機関で日常的に実施されている(例えば、その記載内容全体が参照により本明細書に組み込まれるMatteucci,M.D. and Caruthers,M.H.,(1990)J.Am.Chem.Soc.,103:3185-3191を参照のこと)。オリゴリボヌクレオシドの合成も周知である(例えば、その記載内容全体が参照により本明細書に組み込まれるScaringe,S.A.,et al.,(1990)Nucleic Acids Res.18:5433-5441を参照のこと)。本明細書に記載のように、ホスホルアミダイトは、化学合成によりオリゴヌクレオチドに修飾ヌクレオシドを組み込むのに有用であり、三リン酸は、酵素合成によりオリゴヌクレオチドに修飾ヌクレオシドを組み込むのに有用である。(例えば、Vaught,J.D. et al.(2004)J.Am.Chem.Soc.,126:11231-11237;Vaught,J.V.,et al.(2010)J.Am.Chem.Soc.132,4141-4151;Gait,M.J.”Oligonucleotide Synthesis a practical approach”(1984)IRL Press(Oxford,UK);Herdewijn,P.”Oligonucleotide Synthesis”(2005)(Humana Press,Totowa,N.J.(その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと)。
【0065】
SELEX法
「SELEX」及び「SELEX工程」という用語は本明細書では同じ意味で使用され、一般に、(1)望ましい様態で標的分子と相互作用する、例えば、タンパク質に高い親和性で結合する核酸の選択と、(2)それらの選択された核酸の増幅との組み合わせを指す。SELEX工程を使用して、特定の標的分子またはバイオマーカーに対する親和性の高いアプタマーを同定することができる。
【0066】
SELEXには一般に、候補核酸混合物を調製すること、候補混合物と所望の標的分子とを結合させて親和性複合体を形成させること、未結合の候補核酸と親和性複合体とを分離すること、親和性複合体から核酸を分離して単離すること、核酸を精製すること、及び特定のアプタマー配列を同定することが含まれる。工程には、選択アプタマーの親和性をさらに精密化するため複数ラウンドが含まれ得る。工程には、その工程の1つ以上のポイントにおける増幅ステップが含まれ得る。例えば、”Nucleic Acid Ligands”と題された米国特許第5,475,096号を参照のこと。SELEX工程を使用して、その標的と共有結合で結合するアプタマー、ならびにその標的と非共有結合で結合するアプタマーを作製することができる。例えば、“Systematic Evolution of Nucleic Acid Ligands by Exponential Enrichment:Chemi-SELEX”と題された米国特許第5,705,337号を参照のこと。
【0067】
SELEX工程を使用して、例えば、改善された生体内安定性または改善された送達特性など、改善された特徴をアプタマーに付与する修飾ヌクレオチドを含有する高親和性アプタマーを同定することができる。そのような修飾の例には、リボース及び/またはリン酸及び/または塩基の位置での化学的置換が含まれる。SELEX工程で同定された、修飾ヌクレオチドを含有するアプタマーは、“High Affinity Nucleic Acid Ligands Containing Modified Nucleotides”と題された米国特許第5,660,985号に記載されており、これには、ピリミジンの5’位及び2’位で化学的に修飾されたヌクレオチド誘導体を含有するオリゴヌクレオチドが記載されている。米国特許第5,580,737号(上記参照)には、2’-アミノ(2’-NH)、2’-フルオロ(2’-F)、及び/または2’-O-メチル(2’-OMe)で修飾された1つ以上のヌクレオチドを含有する高度に特異的なアプタマーが記載されている。物理的特性及び化学的特性が拡張された核酸ライブラリー、ならびにSELEX及びphotoSELEXにおけるそれらの使用が記載された“SELEX and PHOTOSELEX”と題された米国特許出願公開第20090098549号も参照のこと。
【0068】
SELEXを使用して、望ましい解離速度特性を有するアプタマーを同定することもできる。参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、標的分子に結合できるアプタマーを作製する改良SELEX法が記載されている“Method for Generating Aptamers with Improved Off-Rates”と題された米国特許第7,947,447号を参照のこと。各自の標的分子からの解離速度の遅いアプタマー及びフォトアプタマーを作製する方法を記載する。方法は、候補混合物と標的分子とを接触させ、核酸-標的複合体を生じさせ、解離速度の遅い濃縮工程を実施し、ここで、解離速度が速い核酸-標的複合体は解離して再形成されることはないが、解離速度が遅い複合体は完全な状態のままである。さらに、方法には、解離速度性能が改善されたアプタマーを作製するための候補核酸混合物の作製において修飾ヌクレオチドを使用することが含まれる(“SELEX and PhotoSELEX”と題された米国特許第8,409,795号を参照のこと)。(米国特許第7,855,054号及び米国特許公開第20070166740号も参照のこと)。これらの出願各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0069】
本明細書では「標的」または「標的分子」または「標的」は、望ましい様態で核酸により作用を及ぼされ得る任意の化合物を指す。標的分子は、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、脂質、多糖類、糖タンパク質、ホルモン、受容体、抗原、抗体、ウイルス、病原体、毒性物質、基質、代謝物、遷移状態類似体、補因子、阻害物質、薬物、色素、栄養素、成長因子、細胞、組織、上述のいずれかの任意の部分または断片などであり得るが、これに限定されない。事実上あらゆる化学的または生物学的エフェクターが好適な標的であり得る。どの大きさの分子でも標的とすることができる。また、標的を特定の方法で修飾して、標的と核酸の間の相互作用の確率または強さを高めることができる。標的には、特定の化合物または分子のあらゆるわずかな変形、例えば、タンパク質の場合は、例えば、アミノ酸配列、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質付加、アセチル化、リン酸化、または標識成分との結合のような他の任意の操作もしくは修飾でのわずかな変形も含めることができ、分子の同一性は実質的に改変されることがない。「標的分子」または「標的」は、アプタマーに対する結合能がある分子または多分子構造の1つの型または種のコピーのセットである。「標的分子」または「標的」は、2つ以上のそのようなセットの分子を指す。標的がペプチドであるSELEX工程の実施形態は、“Modified SELEX Processes Without Purified Protein”と題された米国特許第6,376,190号に記載されている。いくつかの実施形態では、標的はタンパク質である。
【0070】
本明細書で使用する場合、「競合分子」及び「競合物質」は同じ意味で使用され、非標的分子と非特異的複合体を形成することができるあらゆる分子を指す。これに関して、非標的分子には遊離のアプタマーが含まれ、その場合、例えば、競合物質を使用して、別の非標的分子に対するアプタマーの非特異的な結合(再結合)を阻害することができる。「競合分子」または「競合物質」は分子の1つの型または種のコピーのセットである。「競合分子(複数)」または「競合物質(複数)」は、2つ以上のそのようなセットの分子を指す。競合分子には、オリゴヌクレオチド、ポリアニオン(例えば、ヘパリン、ニシン精子DNA、サケ精子DNA、tRNA、硫酸デキストラン、ポリデキストラン、脱塩基ホスホジエステルポリマー、dNTP、及びピロホスファート)が挙げられるが、これに限定されるものではない。さまざまな実施形態では、1つ以上の競合物質の組み合わせを使用することができる。
【0071】
本明細書で使用する場合、「非特異的複合体」は、アプタマーとその標的分子の会合以外の2つ以上の分子間の非共有結合による会合を指す。非特異的複合体は、分子分類群間の相互作用を表す。非特異的複合体には、形成された複合体、アプタマーと非標的分子、競合物質と非標的分子、競合物質と標的分子、及び標的分子と非標的分子が含まれる。
【0072】
本明細書で使用する場合、用語「解離速度が遅い濃縮工程」は、解離速度が速く望ましくないアプタマー親和性複合体の濃度に対し、解離速度が遅いアプタマー親和性複合体の相対濃度が高くなるよう、候補混合物の特定の成分の相対濃度を改変する工程を指す。一実施形態では、解離速度が遅い濃縮工程は溶液を用いる解離速度が遅い濃縮工程である。この実施形態では、溶液を用いる解離速度が遅い濃縮工程を溶液中で行い、混合物中でアプタマー親和性複合体を形成する標的も核酸も、解離速度が遅い濃縮工程の間に固体支持体上に固定化されないようにする。さまざまな実施形態では、解離速度が遅い濃縮工程には、競合分子を添加し、それらとインキュベーションするステップ、混合物を希釈するステップ、またはこれらの組み合わせ(例えば、競合分子存在下での混合物の希釈)など、1つ以上のステップが含まれ得る。解離速度が遅い濃縮工程の効果は一般に、異なるアプタマー親和性複合体(すなわち、候補混合物中の標的分子と各種核酸との間で形成される各種アプタマー親和性複合体)の間の解離速度の相違に依存するため、解離速度が遅い濃縮工程の持続時間は、解離速度が遅いアプタマー親和性複合体が高い割合で保持され、解離速度が速いアプタマー親和性複合体の数が実質的に減少するように選択する。解離速度が遅い濃縮工程は、SELEX工程中の1つ以上のサイクルで使用され得る。希釈と競合物質の添加とを併用する場合、それらを同時に実施しても、または任意の順序で順次実施してもよい。混合物中の総標的(タンパク質)濃度が低い場合、解離速度が遅い濃縮工程を使用することができる。一実施形態では、解離速度が遅い濃縮工程に希釈が含まれる場合、混合物を実用的な量に希釈することができるが、その際、核酸を保持するアプタマーは、SELEX工程のその後のラウンド用に回収されることに留意する。一実施形態では、解離速度が遅い濃縮工程には、競合物質の使用ならびに希釈が含まれ、競合物質を使用しない場合に必要となり得る量より少ない量で混合物の希釈が可能となる。
【0073】
一実施形態では、解離速度が遅い濃縮工程には、競合物質の添加が含まれ、競合物質はポリアニオン(例えば、ヘパリンまたは硫酸デキストラン(デキストラン))である。ヘパリンまたはデキストランは、従来のSELEX選択法で特定のアプタマーの同定に使用されてきた。しかしながら、そのような方法では、ヘパリンまたはデキストランは、標的とアプタマーとが結合して複合体を形成する平衡ステップの「最中に」存在する。そのような方法では、ヘパリンまたはデキストランの濃度上昇に伴い、低親和性標的/アプタマー複合体に対する高親和性標的/アプタマー複合体の比は増加する。しかしながら、ヘパリンまたはデキストランの濃度が高いことにより、核酸と競合物質間で標的結合を競合するため、平衡時の高親和性標的/アプタマー複合体の数は減少し得る。対照的に、本願に
記載の方法では、標的/アプタマー複合体が形成された「後で」競合物質を添加するため、形成される複合体数に影響することはない。標的とアプタマー間の平衡結合が生じた後に競合物質を添加することにより、非平衡状態が生じ、これが、時間と共に展開して標的/アプタマー複合体の少ない新たな平衡状態になる。新たな平衡に達する前に標的/アプタマー複合体を捕捉すると、解離速度が速い複合体は最初に解離するので、試料は解離速度が遅いアプタマーで濃縮されている。
【0074】
別の実施形態では、解離速度が遅い濃縮工程でポリアニオン性競合物質(例えば、硫酸デキストランまたは別のポリアニオン性物質)を使用し、ポリアニオンの存在に不応なアプタマーを容易に同定できるようにする。これに関して、「ポリアニオン不応性アプタマー」は、非ポリアニオンに不応性のアプタマーを含むアプタマー/標的複合体よりも、ポリアニオン不応性物質も含有する溶液中での解離の可能性が低いアプタマー/標的複合体を形成することができるアプタマーである。この様態では、ポリアニオン不応性アプタマーを分析法実施の際に使用して、試料中の標的の存在または量または濃度を検出することができ、その場合、検出方法には、アプタマーが反応しないポリアニオン性物質(例えば、硫酸デキストラン)の使用が含まれる。
【0075】
したがって、一実施形態では、ポリアニオン不応性アプタマーを作製する方法を提供する。この実施形態では、候補核酸混合物と標的との接触後である。候補混合物中の標的と核酸を平衡状態にさせる。ポリアニオン性競合物質を導入し、候補混合物中の解離速度の速いアプタマーが標的分子から確実に解離するのに十分な時間、溶液中でインキュベートする。また、ポリアニオン性競合物質の存在下で解離し得る、候補混合物中のアプタマーは、標的分子から遊離することになる。混合物を分配して、標的分子と会合したままの、高親和性の解離速度が遅いアプタマーを単離し、複合体を形成していないあらゆる物質を溶液から除去する。その後、アプタマーを標的分子から遊離させて単離することができる。単離されたアプタマーを増幅させ、さらなるラウンドの選択を適用して選択アプタマーの全体の性能を高めることもできる。特定の用途で、解離速度が遅いアプタマーの選択が不要の場合は、インキュベーション時間を最小にしてこの工程を使用してもよい。
【0076】
したがって、一実施形態では、解離速度が遅い(長い)アプタマーを同定または作製する変形SELEX工程を提供し、ここで、標的分子と候補混合物を接触させ、候補混合物に含有された標的分子と核酸の間の平衡結合が生じるのに十分な時間、共にインキュベートする。平衡結合の後、過剰の競合分子、例えば、ポリアニオン競合物質を混合物に加え、その混合物を過剰の競合分子と共に所定の時間インキュベートする。解離速度がこの所定のインキュベーション時間よりも短い有意な割合のアプタマーは、所定のインキュベーション時間の間に標的から解離することになる。これらの解離速度が「速い」アプタマーと標的との再会合は、標的と非特異的に結合して標的結合部位を占有できる競合分子が過剰にあるため最小限となる。解離速度がそれより長い有意な割合のアプタマーは、所定のインキュベーション時間の間、標的に結合したままであろう。インキュベーション時間終了時、核酸-標的複合体と混合物の残部とを分配することにより、解離速度が遅いアプタマー集団と解離速度が速いアプタマー集団を分離することができる。解離ステップを使用して、解離速度が遅いアプタマーをそれらの標的から解離させることができ、これにより、標的分子に対する親和性と特異性が高い、解離速度の遅いアプタマー(解離速度が遅いアプタマーの個々のアプタマーまたは解離速度が遅いアプタマー群)の単離、同定、シークエンシング、合成及び増幅が可能になる。従来のSELEXの場合同様、変形SELEX工程の1ラウンドで同定されたアプタマー配列を新たな候補混合物の合成に使用することができるため、接触、平衡結合、競合分子の添加、競合分子とのインキュベーション、及び解離速度が遅いアプタマーの分配というステップを所望の回数繰り返す(iterated)/繰り返す(repeat)ことができる。
【0077】
競合物質の添加に先立つ候補混合物と標的との平衡結合、続く過剰競合物質の添加、及び競合物質との所定の時間のインキュベーションを組み合わせることにより、先に達成した解離速度をはるかに上回る解離速度のアプタマー集団の選択が可能になる。
【0078】
平衡結合を達成するため、候補混合物を標的と共に少なくとも約5分、または少なくとも約15分、約30分、約45分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間または約6時間インキュベートしてよい。
【0079】
候補混合物と標的分子の混合物を用いた競合分子の所定のインキュベーション時間は、標的の性質及び標的に対する既知のアプタマーの既知の解離速度(分かっている場合)などの因子を考慮して、所望の時間を選択してよい。所定のインキュベーション時間は、少なくとも約5分、少なくとも約10分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、少なくとも45約分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間から選ばれてよい。
【0080】
他の実施形態では、希釈を解離速度改善工程として使用するが、希釈した候補混合物、標的分子/アプタマー複合体のインキュベーションを所定の時間実施してよく、その時間は、少なくとも約5分、少なくとも約10分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、少なくとも約45分、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間から選ばれてよい。
【0081】
本開示の実施形態は、解離速度が遅いアプタマーの同定、作製、合成及び使用に関する。これらは、非共有結合のアプタマー-標的複合体からの解離速度(t1/2)が、従来のSELEXで通常得られるアプタマーの解離速度よりも高いアプタマーである。非共有結合のアプタマー複合体及び標的を含有する混合物の場合、t1/2は、アプタマー-標的複合体からアプタマーの半分が解離するのに要した時間を表す。本開示による解離速度の遅いアプタマーのt1/2は、約30分以上、約30分~約240分、約30分~約60分、約60分~約90分、約90分~約120分、約120分~約150分、約150分~約180分、約180分~約210分、約210分~約240分のうち1つから選ばれる。
【0082】
SELEX法により同定されるアプタマーを特徴付ける特性は、その標的に対するその高い親和性である。アプタマーは、その標的に対し約1μM未満、約100nM未満、約10nM未満、約1nM未満、約100pM未満、約10pM未満、約1pM未満のうち1つから選ばれる解離定数(k)を有するであろう。
【0083】
オリゴヌクレオチドのライブラリー
いくつかの実施形態では、ランダム配列を含むオリゴヌクレオチドのライブラリーを提供する。そのようなライブラリーは、いくつかの実施形態では、SELEX実施に有用であり得る。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドのライブラリーの各オリゴヌクレオチドは、多数のランダム化された位置、例えば、少なくとも20、25、30、35、40、45、または50、または20~100、20~80、20~70、20~60、20~50、20~40、もしくは30~40のランダム化された位置を含む。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドのライブラリーの各オリゴヌクレオチドは、ランダム化された位置に隣接する固定配列を含む。そのような隣接固定配列は、互いに同一であっても異なっていてもよく(すなわち、5’隣接配列と3’隣接配列は同一であっても異なっていてもよい)、また、いくつかの実施形態では、ライブラリーのすべてのメンバーは同一であってよい(すなわち、ライブラリーのすべてのメンバーが同一の5’隣接配列を有し得る、及び/またはライブラリーのすべてのメンバーが同一の3’隣接配列を有し得る)。
【0084】
いくつかの実施形態では、ランダム化された位置を4つ以上の異なるヌクレオチド塩基で構成し、その1つ以上を修飾してよい。いくつかの実施形態では、1種類のヌクレオチド塩基をすべて修飾するかまたは修飾しない(例えば、ランダム化された領域にあるシチジンをすべて修飾するか、またはどのシチジンも修飾しない)。いくつかの実施形態では、ランダム化された領域にある1種類のヌクレオチド塩基は、修飾形態及び非修飾形態のいずれでも存在する。そのようないくつかの実施形態では、ランダム化された位置を2つの修飾ヌクレオチド塩基及び2つの非修飾ヌクレオチド塩基で構成する。そのようないくつかの実施形態では、ランダム化された位置を、アデニン、グアニン、C5修飾シチジン、及びC5修飾ウリジンで構成する。C5修飾シチジン及びC5修飾ウリジンの非限定的な例を図19~21に示す。オリゴヌクレオチドのライブラリー及びそれらの作製方法は、例えば、本明細書の実施例に詳述される。
【0085】
例示的アプタマー
いくつかの実施形態では、標的分子と結合するアプタマーを提供する。いくつかの実施形態では、標的分子は標的タンパク質である。いくつかの実施形態では、PCSK9と結合するアプタマーを提供する。いくつかの実施形態では、PCSK9と結合するアプタマーは、PCSK9のLDL-Rへの結合を阻害する。そのようないくつかの実施形態では、アプタマーは配列5’-yGpppG-3’を含み、ここで、各yはTyrdUであり、各pはNapdCである。いくつかの実施形態では、アプタマーは配列5’-yEAyGApAp-3’をさらに含み、ここで、Eはy、A、及びGから選択され、nは0または1である。いくつかの実施形態では、nは0である。いくつかの実施形態では、配列5’-yEAyGApAp-3’は、配列5’-yGpppG-3’の5’に位置する。いくつかの実施形態では、Eはyである。
【0086】
いくつかの実施形態では、PCSK9と結合するアプタマーを提供し、ここで、かかるアプタマーは配列5’-FpppAAGRJrpRppW-3’(配列番号81)を含み、ここで、Fはr及びGから選択され、各Rは独立してG及びAから選択され、Jはr及びAから選択され、Wはr、G、及びAから選択され、nは0または1であり、mは0または1であり、rはPpdCであり、pはNapdUである。いくつかの実施形態では、mは1である。いくつかの実施形態では、Fはrである。いくつかの実施形態では、Jはrである。いくつかの実施形態では、WはGである。
【0087】
いくつかの実施形態では、PCSK9と結合するアプタマーを提供し、ここで、かかるアプタマーは配列5’-TTppGGpp-3’を含み、ここで、各pはNapdCである。
【0088】
いくつかの実施形態では、PCSK9と結合するアプタマーは長さが20~100、または20~90、または20~80、または20~70、または20~60、または20~50、または30~100、または30~90、または30~80、または30~70、または30~60、または30~50、または40~100、または40~90、または40~80、または40~70、または40~60、または40~50のヌクレオチド長である。
【0089】
いくつかの実施形態では、アプタマーはPCSK9のLDL-Rへの結合を阻害する。いくつかの実施形態では、アプタマーはPCSK9のLDL-Rへの結合を阻害し、IC50が30nM未満、20nM未満、または15nM未満である。
【0090】
いくつかの実施形態では、対象のコレステロールを低下させる方法であり、それを必要とする対象にPCSK9と結合するアプタマーを投与することを含む方法を提供する。い
くつかの実施形態では、PCSK9と結合するアプタマーは、本明細書で提供するアプタマーである。いくつかの実施形態では、コレステロールは低比重リポタンパク質(LDL)コレステロール(LDL-C)である。いくつかの実施形態では、対象は、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症または臨床的動脈硬化性心血管疾患(CVD)を有する。
【0091】

化合物の対応する塩、例えば、薬理学的に許容される塩の調製、精製、及び/または取り扱いが好都合または望ましい場合がある。薬理学的に許容される塩の例は、Berge
et al.(1977)“Pharmaceutically Acceptable Salts”J.Pharm.Sci.66:1-19で考察されている。
【0092】
例えば、化合物がアニオン性である、またはアニオン性(例えば、-COOHは、-COOであってよい)であり得る官能基を有する場合は、好適なカチオンで塩を形成してよい。好適な無機カチオンの例には、Na及びKなどのアルカリ金属イオン、Ca2+及びMg2+などのアルカリ土類のカチオン、ならびにAl+3などの他のカチオンが挙げられるが、これに限定されるものではない。好適な有機カチオンの例には、アンモニウムイオン(すなわち、NH )及び置換アンモニウムイオン(例えば、NHX+、NH 、NHR 、NR )が挙げられるが、これに限定されるものではない。いくつかの好適な置換アンモニウムイオンの例は、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、及びトロメタミン、ならびにリシン及びアルギニンなどのアミノ酸に由来するものである。一般的な第四級アンモニウムイオンの一例はN(CH である。
【0093】
化合物がカチオンである、またはカチオン(例えば、-NHが-NH であり得る)であり得る官能基を有する場合は、好適なアニオンで塩を形成してよい。好適な無機アニオンの例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、及び亜リン酸といった無機酸に由来するものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0094】
好適な有機アニオンの例には、2-アセトキシ安息香酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、ケイ皮酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、粘液酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、及び吉草酸といった有機酸に由来するものが挙げられるが、これに限定されるものではない。好適な高分子有機アニオンの例には、タンニン酸、カルボキシメチルセルロースといった高分子酸に由来するものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0095】
特に明記しない限り、特定の化合物への言及にはその塩形態も含まれる。
【0096】
特定の非限定的な実施形態例
実施形態1.少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジン及び少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンを含むアプタマーであって、前記第1の5位修飾ピリミジンと前記第2の5位修飾ピリミジンは異なる5位修飾ピリミジンである、前記アプタマー。
【0097】
実施形態2.前記第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンであり、前記第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンである、実施形態1に記載のアプタマー。
【0098】
実施形態3.前記第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであり、前記第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンである、実施形態1に記載のアプタマー。
【0099】
実施形態4.前記5位修飾ウリジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、インドール部分及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む、実施形態2または実施形態3に記載のアプタマー。
【0100】
実施形態5.前記5位修飾シチジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む、実施形態2~4のいずれか1形態に記載のアプタマー。
【0101】
実施形態6.前記5位修飾シチジンは、NapdC、2NapdC、TyrdC、及びPPdCから選択される、実施形態2~5のいずれか1形態に記載のアプタマー。
【0102】
実施形態7.前記5位修飾ウリジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される、実施形態2~6のいずれか1形態に記載のアプタマー。
【0103】
実施形態8.前記少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはNapdCであり、前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、及びThrdUから選択される、実施形態1に記載のアプタマー。
【0104】
実施形態9.前記少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはPPdCであり、前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、及びThrdUから選択される、実施形態1に記載のアプタマー。
【0105】
実施形態10.前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンはTyrdUである、実施形態8または実施形態9に記載のアプタマー。
【0106】
実施形態11.前記アプタマーは、PCSK9、PSMA、ErbB1、ErbB2、FXN、KDM2A、IGF1R、pIGF1R、a1-アンチトリプシン、CD99、MMP28及びPPIBから選択される標的タンパク質と結合する、実施形態1~10のいずれか1形態に記載のアプタマー。
【0107】
実施形態12.前記アプタマーは、前記アプタマーの5’末端に、長さが少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25もしくは少なくとも30のヌクレオチド長、または5~30、10~30、15~30、5~20、もしくは10~20のヌクレオチド長の領域を含み、ここで、前記アプタマーの前記5’末端領域は5位修飾ピリミジンを欠く、実施形態1~11のいずれか1形態に記載のアプタマー。
【0108】
実施形態13.前記アプタマーは、前記アプタマーの3’末端に、長さが少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25もしくは少なくとも30のヌクレオチド長、または5~30、10~30、15~30、5~20、もしくは10~20のヌクレオチド長の領域を含み、ここで、前記アプタマーの前記3’末端領域は5位修飾ピリミジンを欠く、実施形態1~12のいずれか1形態に記載のアプタマー。
【0109】
実施形態14.前記アプタマーは、長さが20~100、または20~90、または20~80、または20~70、または20~60、または20~50、または30~100、または30~90、または30~80、または30~70、または30~60、または30~50、または40~100、または40~90、または40~80、または40~70、または40~60、または40~50のヌクレオチド長である、実施形態1~13のいずれか1形態に記載のアプタマー。
【0110】
実施形態15.複数のポリヌクレオチドを含む組成物であって、各ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジン及び少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンを含み、前記第1の5位修飾ピリミジンと前記第2の5位修飾ピリミジンは異なる5位修飾ピリミジンである、前記組成物。
【0111】
実施形態16.各ポリヌクレオチドは、前記ポリヌクレオチドの5’末端に固定領域を含む、実施形態15に記載の組成物。
【0112】
実施形態17.各ポリヌクレオチドの前記5’末端固定領域は、長さが少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25もしくは少なくとも30のヌクレオチド長、または5~30、10~30、15~30、5~20、もしくは10~20のヌクレオチド長である、実施形態16に記載の組成物。
【0113】
実施形態18.各ポリヌクレオチドは、前記ポリヌクレオチドの3’末端に固定領域を含む、実施形態15~17のいずれか1形態に記載の組成物。
【0114】
実施形態19.前記ポリヌクレオチドの前記3’末端固定領域は、長さが少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25もしくは少なくとも30のヌクレオチド長、または5~30、10~30、15~30、5~20、もしくは10~20のヌクレオチド長である、実施形態18に記載の組成物。
【0115】
実施形態20.前記第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンであり、前記第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンである、実施形態15~19のいずれか1形態に記載の組成物。
【0116】
実施形態21.前記第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであり、前記第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンである、実施形態15~19のいずれか1形態に記載の組成物。
【0117】
実施形態22.前記5位修飾ウリジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、インドール部分及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む、実施形態20または実施形態21に記載の組成物。
【0118】
実施形態23.前記5位修飾シチジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む、実施形態20~22のいずれか1形態に記載の組成物。
【0119】
実施形態24.前記5位修飾シチジンは、NapdC、2NapdC、TyrdC、及びPPdCから選択される、実施形態20~23のいずれか1形態に記載の組成物。
【0120】
実施形態25.前記5位修飾ウリジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される、実施形態20~24の
いずれか1形態に記載の組成物。
【0121】
実施形態26.前記少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはNapdCであり、前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される、実施形態15に記載の組成物。
【0122】
実施形態27.前記少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはPPdCであり、前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TrydU、TrpdU、及びThrdUから選択される、実施形態15に記載の組成物。
【0123】
実施形態28.前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンはTyrdUである、実施形態26または実施形態27に記載の組成物。
【0124】
実施形態29.各ポリヌクレオチドはランダム領域を含む、実施形態15~28のいずれか1形態に記載の組成物。
【0125】
実施形態30.前記ランダム領域は、長さが20~100、または20~90、または20~80、または20~70、または20~60、または20~50、または20~40、または30~100、または30~90、または30~70、または30~60、または30~50、または30~40のヌクレオチド長である、実施形態29に記載の組成物。
【0126】
実施形態31.各ポリヌクレオチドは、長さが20~100、または20~90、または20~80、または20~70、または20~60、または20~50、または30~100、または30~90、または30~80、または30~70、または30~60、または30~50、または40~100、または40~90、または40~80、または40~70、または40~60、または40~50のヌクレオチド長である、実施形態15~29のいずれか1形態に記載の組成物。
【0127】
実施形態32.第1のアプタマー、第2のアプタマー、及び標的を含む組成物であって、前記第1のアプタマーは、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジン及び少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンを含み、
前記第2のアプタマーは、少なくとも1つの第3の5位修飾ピリミジンを含み、
前記第1のアプタマー、第2のアプタマー及び前記標的は、三量体複合体を形成することができ、
前記第1の5位修飾ピリミジンと前記第2の5位修飾ピリミジンは異なる5位修飾ピリミジンである、前記組成物。
【0128】
実施形態33.前記第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンであり、前記第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンである、実施形態32に記載の組成物。
【0129】
実施形態34.前記第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであり、前記第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンである、実施形態32に記載の組成物。
【0130】
実施形態35.前記5位修飾ウリジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、インドール部分及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む、実施形態33または実施形態34に記載の組成物。
【0131】
実施形態36.前記5位修飾シチジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む、実施形態33~35のいずれか1形態に記載の組成物。
【0132】
実施形態37.前記5位修飾シチジンは、NapdC、2NapdC、TyrdC、及びPPdCから選択される、実施形態33~36のいずれか1形態に記載の組成物。
【0133】
実施形態38.前記5位修飾ウリジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される、実施形態33~37のいずれか1形態に記載の組成物。
【0134】
実施形態39.前記少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはNapdCであり、前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される、実施形態32に記載の組成物。
【0135】
実施形態40.前記少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはPPdCであり、前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される、実施形態32に記載の組成物。
【0136】
実施形態41.前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンはTyrdUである、実施形態39または実施形態40に記載の組成物。
【0137】
実施形態42.前記第3の5位修飾ピリミジンは、5位修飾シチジン及び5位修飾ピリミジンから選択される、実施形態32~41のいずれか1形態に記載の組成物。
【0138】
実施形態43.前記第3の5位修飾ピリミジンは、BndC、PEdC、PPdC、NapdC、2NapdC、NEdC、2NEdC、TyrdC、BndU、NapdU、PEdU、IbdU、FBndU、2NapdU、NEdU、MBndU、BFdU、BTdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される、実施形態42に記載の組成物。
【0139】
実施形態44.前記標的は、タンパク質、ペプチド、炭水化物、低分子、細胞及び組織から選択される、実施形態32~43のいずれか1形態に記載の組成物。
【0140】
実施形態45.(a)標的分子に結合することができるアプタマーと試料とを接触させること、
(b)前記アプタマーを前記試料と共にインキュベートしてアプタマー-標的複合体を形成させること、
(c)前記試料中の前記アプタマー-標的複合体を濃縮すること、及び
(c)前記アプタマー、アプタマー-標的複合体または標的分子の存在について検出し、前記アプタマー、アプタマー-標的複合体または標的分子の検出は、前記試料中に前記標的分子が存在することを指し、前記アプタマー、アプタマー-標的複合体または標的分子の検出がないことは、前記試料中に前記標的分子が存在しないことを指すことを含む方法であって、
前記アプタマーは実施形態1~14のいずれか1形態に記載のアプタマーである、前記方法。
【0141】
実施形態46.前記方法は、前記試料への競合分子の添加、前記アプタマー-標的複合体
の固体支持体への捕捉、ならびに競合分子の添加及び前記試料の希釈から選択される少なくとも1つのさらなるステップを含み、ここで、前記少なくとも1つのさらなるステップは、ステップ(a)またはステップ(b)の後で行われる、実施形態45に記載の方法。
【0142】
実施形態47.前記競合分子はポリアニオン性競合物質から選択される、実施形態46に記載の方法。
【0143】
実施形態48.前記ポリアニオン性競合物質は、オリゴヌクレオチド、ポリデキストラン、DNA、ヘパリン及びdNTPから選択される、実施形態47に記載の方法。
【0144】
実施形態49.ポリデキストランは硫酸デキストランであり、DNAはニシン精子DNAまたはサケ精子DNAである、実施形態48に記載の方法。
【0145】
実施形態50.前記標的分子は、タンパク質、ペプチド、炭水化物、低分子、細胞及び組織から選択される、実施形態45~49のいずれか1形態に記載の方法。
【0146】
実施形態51.前記試料は、全血、白血球、末梢血単核球、血漿、血清、痰、呼気、尿、精液、唾液、髄液、羊水、腺液、リンパ液、乳頭吸引物、気管支吸引物、滑液、関節吸引物、細胞、細胞抽出物、便、組織、組織生検、及び脳脊髄液から選択される、実施形態45~50のいずれか1形態に記載の方法。
【0147】
実施形態52.a)前記試料を、前記標的に結合して第1の複合体を形成することができる前記第1のアプタマーと接触させ、混合物を形成させること、
b)前記混合物を、前記第1の複合体の形成を可能にする条件下でインキュベートすること、
c)前記混合物を、前記第1の複合体と結合して第2の複合体を形成することができる第2のアプタマーと接触させること、
d)前記混合物を、前記第2の複合体の形成を可能にする条件下でインキュベートすること、
e)前記混合物中の前記第1のアプタマー、前記第2のアプタマー、前記標的、前記第1の複合体または前記第2の複合体の有無について検出し、前記第1のアプタマー、前記第2のアプタマー、前記標的、前記第1の複合体または前記第2の複合体の存在は、前記試料中の前記標的の存在を指すこと
を含む、試料中の標的を検出する方法であって、
前記第1のアプタマーは、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジン及び少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンを含み、
前記第2のアプタマーは、少なくとも1つの第3の5位修飾ピリミジンを含み、
前記第1の5位修飾ピリミジンと前記第2の5位修飾ピリミジンは異なる5位修飾ピリミジンである、前記方法。
【0148】
実施形態53.前記第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンであり、前記第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンである、実施形態52に記載の方法。
【0149】
実施形態54.前記第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであり、前記第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンである、実施形態53に記載の方法。
【0150】
実施形態55.前記5位修飾ウリジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、インドール部分及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む、実施形態53または実施形態54に記載の方法。
【0151】
実施形態56.前記5位修飾シチジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む、実施形態53~55のいずれか1形態に記載の方法。
【0152】
実施形態57.前記5位修飾シチジンは、NapdC、2NapdC、TyrdC、及びPPdCから選択される、実施形態53~56のいずれか1形態に記載の方法。
【0153】
実施形態58.前記5位修飾ウリジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される、実施形態53~57のいずれか1形態に記載の方法。
【0154】
実施形態59.前記少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはNapdCであり、前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される、実施形態52に記載の方法。
【0155】
実施形態60.前記少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはPPdCであり、前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される、実施形態52に記載の方法。
【0156】
実施形態61.前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンはTyrdUである、実施形態59または実施形態60に記載の方法。
【0157】
実施形態62.前記第3の5位修飾ピリミジンは、5位修飾シチジン及び5位修飾ピリミジンから選択される、実施形態52~61のいずれか1形態に記載の方法。
【0158】
実施形態63.前記第3の5位修飾ピリミジンは、BndC、PEdC、PPdC、NapdC、2NapdC、NEdC、2NEdC、TyrdC、BNdU、NapdU、PedU、IbdU、FbndU、2NapdU、NedU、MbndU、BfdU、BtdU、PpdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される、実施形態62に記載の方法。
【0159】
実施形態64.前記標的分子は、タンパク質、ペプチド、炭水化物、低分子、細胞及び組織から選択される、実施形態52~63のいずれか1形態に記載の方法。
【0160】
実施形態65.前記第1のアプタマー、第2のアプタマー及び標的は、三量体複合体を形成することができる、実施形態52~64のいずれか1形態に記載の方法。
【0161】
実施形態66.(a)アプタマーのライブラリーを標的分子と接触させて混合物を形成させ、アプタマーが前記標的分子に対して親和性である場合に形成されるアプタマー-標的複合体の形成を可能にすること、
(b)前記混合物の残部から前記アプタマー-標的複合体を分配すること(または前記アプタマー-標的複合体を濃縮すること)、
(c)前記アプタマー-標的複合体を解離させること、及び
(d)前記標的分子に対する結合能のある前記1つ以上のアプタマーを同定すること
を含む、標的分子に対する結合能がある1つ以上のアプタマーを同定する方法であって、アプタマーのライブラリーは複数のポリヌクレオチドを含み、各ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジン及び少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンを含み、前記第1の5位修飾ピリミジンと前記第2の5位修飾ピリミジンは異なる5位
修飾ピリミジンである、前記方法。
【0162】
実施形態67.各ポリヌクレオチドは、前記ポリヌクレオチドの5’末端に固定領域を含む、実施形態66に記載の方法。
【0163】
実施形態68.各ポリヌクレオチドの前記5’末端固定領域は、長さが少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25もしくは少なくとも30のヌクレオチド長、または5~30、10~30、15~30、5~20、もしくは10~20のヌクレオチド長である、実施形態67に記載の方法。
【0164】
実施形態69.各ポリヌクレオチドは、前記ポリヌクレオチドの3’末端に固定領域を含む、実施形態66~68のいずれか1形態に記載の方法。
【0165】
実施形態70.前記ポリヌクレオチドの前記3’末端固定領域は、長さが少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25もしくは少なくとも30のヌクレオチド長、または5~30、10~30、15~30、5~20、もしくは10~20のヌクレオチド長である、実施形態69に記載の方法。
【0166】
実施形態71.前記第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンであり、前記第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンである、実施形態66~70のいずれか1形態に記載の方法。
【0167】
実施形態72.前記第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであり、前記第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンである、実施形態66~71のいずれか1形態に記載の方法。
【0168】
実施形態73.前記5位修飾ウリジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分、インドール部分及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む、実施形態71または実施形態72に記載の方法。
【0169】
実施形態74.前記5位修飾シチジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、チロシル部分及びモルホリノ部分から選択される部分を5位に含む、実施形態71~73のいずれか1形態に記載の方法。
【0170】
実施形態75.前記5位修飾シチジンは、NapdC、2NapdC、TyrdC、及びPPdCから選択される、実施形態71~74のいずれか1形態に記載の方法。
【0171】
実施形態76.前記5位修飾ウリジンは、NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される、実施形態71~75のいずれか1形態に記載の方法。
【0172】
実施形態77.前記少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはNapdCであり、前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TrydU、TrpdU及びThrdUから選択される、実施形態66に記載の方法。
【0173】
実施形態78.前記少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはPPdCであり、前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、MOEdU、TyrdU、TrpdU、及びThrdUから選択される、実施形態66に記載の方法。
【0174】
実施形態79.前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンはTyrdUである、実施形態77または実施形態78に記載の方法。
【0175】
実施形態80.各ポリヌクレオチドはランダム領域を含む、実施形態66~79のいずれか1形態に記載の方法。
【0176】
実施形態81.前記ランダム領域は、長さが20~100、または20~90、または20~80、または20~70、または20~60、または20~50、または20~40、または30~100、または30~90、または30~70、または30~60、または30~50、または30~40のヌクレオチド長である、実施形態80に記載の方法。
【0177】
実施形態82.各ポリヌクレオチドは、長さが20~100、または20~90、または20~80、または20~70、または20~60、または20~50、または30~100、または30~90、または30~80、または30~70、または30~60、または30~50、または40~100、または40~90、または40~80、または40~70、または40~60、または40~50のヌクレオチド長である、実施形態66~81のいずれか1形態に記載の方法。
【0178】
実施形態83.各ポリヌクレオチドは標的と結合するアプタマーであり、前記ライブラリーは少なくとも1000アプタマーを含み、各アプタマーは別々のヌクレオチド配列を含む、実施形態66~82のいずれか1形態に記載の方法。
【0179】
実施形態84.ステップ(a)、(b)及び/または(c)を少なくとも1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回または10回繰り返す、実施形態66~83のいずれか1形態に記載の方法。
【0180】
実施形態85.前記標的分子に対する結合能のある前記1つ以上のアプタマーを増幅させる、実施形態66~84のいずれか1形態に記載の方法。
【0181】
実施形態86.前記混合物はポリアニオン性競合分子を含む、実施形態66~85のいずれか1形態に記載の方法。
【0182】
実施形態87.前記ポリアニオン性競合物質は、オリゴヌクレオチド、ポリデキストラン、DNA、ヘパリン及びdNTPから選択される、実施形態86に記載の方法。
【0183】
実施形態88.ポリデキストランは硫酸デキストランであり、DNAはニシン精子DNAまたはサケ精子DNAである、実施形態87に記載の方法。
【0184】
実施形態89.前記標的分子は、タンパク質、ペプチド、炭水化物、低分子、細胞及び組織から選択される、実施形態66~88のいずれか1形態に記載の方法。
【0185】
実施形態90.前記第1の5位修飾ピリミジン及び前記第2の5位修飾ピリミジンは、ポリメラーゼ酵素によって取り込まれることができる、実施形態1~14のいずれか1形態に記載のアプタマー。
【0186】
実施形態91.前記第1の5位修飾ピリミジン及び前記第2の5位修飾ピリミジンは、ポリメラーゼ酵素によって取り込まれることができる、実施形態15~44のいずれか1形態に記載の組成物。
【0187】
実施形態92.前記第1の5位修飾ピリミジン及び前記第2の5位修飾ピリミジンは、ポリメラーゼ酵素によって取り込まれることができる、実施形態45~89のいずれか1形態に記載の方法。
【0188】
実施形態93.前記アプタマーは、前記第1の5位修飾ピリミジンの各々の代わりに非修飾ピリミジンを含むかまたは前記第2の5位修飾ピリミジンの各々の代わりに非修飾ピリミジンを含む長さ及び核酸塩基配列が同一のアプタマーと比べて、ヌクレアーゼ安定性が改善されている、実施形態1~14及び90のいずれか1形態に記載のアプタマー。
【0189】
実施形態94.前記アプタマーは、前記第1の5位修飾ピリミジンの各々の代わりに非修飾ピリミジンを含むかまたは前記第2の5位修飾ピリミジンの各々の代わりに非修飾ピリミジンを含む長さ及び核酸塩基配列が同一のアプタマーと比べて、ヒト血清中の半減期が長い、実施形態1~14、90、及び93のいずれか1形態に記載のアプタマー。
【実施例0190】
本発明のいくつかの実施形態をより詳細に説明するため、以下の実施例を記載する。ただし、それらは本発明の広い範囲を何ら限定するものではないと解釈されるべきである。当業者は、本発見の根底にある原則を容易に採用して、本発明の趣旨から逸脱することなくさまざまな化合物を設計することができる。
【0191】
実施例1:2つの修飾塩基を含むアプタマー
2つの修飾塩基を用いるSELEXの相対的有効性を比較するため、非修飾dTを対照とする5つのdU単一修飾(Nap-dU、PP-dU、MOE-dU、Tyr-dU及びThr-dU)、及び非修飾dCを対照とするdC修飾(Nap-dC及びPP-dC)との組み合わせの、合計18の出発ライブラリーを分析した(図1)。被験修飾の種類には、アミノ酸の疎水性側鎖に類似した疎水性芳香族側鎖が含まれる。dUの親水性側鎖(MOE-dU及びThr-dU)もまた試験した。18のライブラリーは各々30のランダム化されたヌクレオチドを含有し、≧1015の異なる配列が得られる。天然ヌクレオチド三リン酸及び/またはKOD DNAポリメラーゼExo-使用修飾ヌクレオチド三リン酸を使用して、ライブラリーを酵素合成した(データ図示せず)。
【0192】
単一修飾dUを用いた先の40Nランダム化ライブラリーに代えて、30ヌクレオチド(30N)ランダム化ライブラリーを使用した。いかなる特定の理論にも拘束されるわけではないが、修飾塩基の密度を高くすれば、より短い高親和性アプタマーができるであろうと仮定した。さらに、短いオリゴヌクレオチドライブラリーは収率が高い。各ヌクレオチドの比はdA/dC/dG/dT=1:1:1:1であった(それぞれ25%ずつ)。いずれの場合でも、ランダム領域は、PCR増幅プライマーをハイブリダイズする固定配列に隣接させ(表2)、5’末端及び3’末端にさらなるスペーサーを設けた。合成用マスターテンプレートを使用して、置換プライマー伸長反応でdU位置及び/またはdC位置のすべてが均一に修飾されている修飾ライブラリーを作製した。
【0193】
合計18の酵素合成ライブラリーは、非修飾dTを対照とする単一修飾dU(Nap-dU、PP-dU、MOE-dU、Tyr-dU及び/Thr-dU);非修飾dCを対照とする単一修飾dC(Nap-dC及びPP-dC);及び2つの修飾塩基の組み合わせ、すなわち、Nap-dCまたはPP-dCいずれかと、すべての可能な修飾dU(Nap-dU、PP-dU、MOE-dU、Tyr-dU及びThr-dU)との組み合わせを含む。アンチセンステンプレート、天然ヌクレオチド三リン酸または修飾ヌクレオチド三リン酸を有する放射性標識5’プライマー及びKODポリメラーゼ(Exo-)の溶液を使用して、以下のとおり定性的プライマー伸長反応(3連)を行った。60μLプライマー伸長反応では、20pmoleのビオチン化アンチセンスライブラリーを、40p
moleの5’coldプライマー(2X)及び微量の32P標識5’プライマー、0.5mMの天然dNTPもしくは修飾dNTP含有1×SQ20緩衝液(120mM Tris-HCl、pH7.8;10mM KCl;6mM(NHSO;7mM MgSO、0.1%Triton X-100及び0.1mg/mL BSA)ならびに0.25U/mL KODポリメラーゼ(Exo-)と混合した。混合物の熱を冷ましてからDNAポリメラーゼを加え、68℃で2時間反応させた後、10℃で冷却した。ライブラリーの反応各々から得た画分を無標識プライマーと共に10% TBU尿素ゲル上で反応させた。少量の分注を変性ゲル上で反応させ、それを蛍光スクリーンに曝露させてホスフォイメージャー(Fuji製)で画像を解析した後、ImageGauge4.0ソフトウェアを使用してバンドを定量化して結果をGraph pad Prismソフトウェア6.05にプロットした。初期ライブラリー作製のため、Pierce(商標)High Capacity Streptavidin Agaroseビーズ(Life Technologies)に捕捉したマスタービオチン化アンチセンスランダムライブラリーを使用して大規模プライマー伸長反応を行った。2つの修飾ヌクレオシドの特定の組み合わせではライブラリーが低収率で得られ、例えば、対照の非修飾DNA(dC/dT)ライブラリーの100%と比較して、Nap-dC/Nap-dUは28±1.3%、Nap-dC/MOE-dUは40±5.2%、及びPP-dC/Nap-dUは43±2.7%であった。初期ライブラリー、ならびに単一塩基修飾ライブラリー及び2塩基修飾ライブラリーの各々の作製に使用したマスターアンチセンスランダムテンプレートから得られたシークエンシング結果から、各ヌクレオチドの頻度を計算した。マスターランダムアンチセンステンプレート(30N)の化学合成を、dA:dG:dC:dT比1:1:1:1(TriLink Biotechnologies)で1μMスケールにて行った。単一塩基修飾及び2塩基修飾の初期ランダムライブラリーを大規模反応で酵素合成し、選択実験に使用した。濃縮プールと共にこれらのライブラリーの配列決定を行い、30Nランダム領域の全4塩基で合計100%としてヌクレオチド頻度をプロットした。ディープシークエンシングを使用してライブラリーの塩基組成を決定した場合、合成の天然DNAテンプレート出発ライブラリー及び酵素合成した非修飾DNA対照初期ライブラリーと比較して、ヌクレオチド頻度における有意な偏りは観察されなかった(データ図示せず)。
【0194】
ライブラリーを使用して、PCSK9と結合するアプタマーを選択した。選択は、実質的には先の報告と同様に行い、ポリアニオン性競合物質に硫酸デキストランを使用し、選択ラウンドごとに標的希釈を漸増させて計6ラウンドを実施した。表1(R1=ラウンド1、R2=ラウンド2等)を参照のこと。選択は、ランダム修飾ライブラリー(または非修飾の対照)(≧1000pmol)と、容積100μL中0.5μMの濃度で存在させたヒト組換え型Hisタグ標的タンパク質のPCSK9とを混合することにより開始された。選択された複合体を磁性Hisタグ捕捉Dynabeads(登録商標)に分配し、未結合配列を洗浄し、選択されたアプタマーを溶出させ、全天然ヌクレオチド及び3’ビオチン-プライマーを使用してPCRで増幅させた。3’末端がビオチン化された天然二本鎖DNAをDynabeads(登録商標)MyOne(商標)ストレプトアビジンC1ビーズに捕捉し、アルカリ変性によりセンス鎖を消失させ、それをプライマー伸長反応で修飾dC及び/またはdUで置換して、濃縮プールを再構成し、その後、希釈タンパク質を用いて選択サイクルを繰り返した。試料ごとの重要サイクル時間(Ct)値から計算した、シグナルとバックグラウンドの比に基づいて次ラウンドのSELEX用のタンパク質濃度を決定した。
【表1】
【0195】
増幅用5’プライマーに(AT4)-テールを含め、3’プライマーに(A-ビオチン)2-T8-テール(配列番号82)を含めたことにより、修飾ライブラリーを合成する際、修飾dCまたは修飾dUの付加が回避される。
【表2】
【0196】
6ラウンドの選択を行った後、Ion Torrent PGM装置を使用して天然ヌクレオチド含有アプタマーのディープシークエンシングを行った。局所的アラインメントのバッチ処理を使用する特注ソフトウェアを使用してシークエンス解析を実施した。濃縮
プールすべてのシークエンス解析から得られたデータから、修飾ライブラリー2つの組み合わせは、単一修飾ライブラリーと比較して、濃縮された配列の多様性が高いことが実証された(データ図示せず)。アプタマーの結合親和性を試験するため、異なるファミリー由来の固有の高コピー配列だけではなく低コピー配列も表す一連の広範囲の配列(データ図示せず)を選択した。修飾/非修飾ホスホルアミダイト試薬を用いる標準的な固相ホスホルアミダイト化学によって全アプタマーを化学合成した。放射性標識フィルター結合アッセイを用いた溶液中で全アプタマーのスクリーニングを初めに行い、30ヌクレオチドのランダム領域、及びPCSK9結合親和性用に5’末端と3’末端の各固定プライマー領域の5ヌクレオチドずつをさらに含有する、切断型40merとした。切断型アプタマー(40mer)は、固定領域の10ヌクレオチドを含んだ。対照の非修飾DNAライブラリー(dC/dT)からは活性な配列(Kd<32nM)は何ら得られず、これは、このライブラリーのプール親和性が無変化であるためと予測され(データ図示せず)、またディープシークエンシングのデータからも濃縮された多コピー配列は得られなかった(データ図示せず)。dCまたはdUいずれかにNap(ナフチル)修飾を有する単一修飾ライブラリーは、標的に対し親和性のあるアプタマーをもたらしたが、標的に対する親和性が最も大きいアプタマーは、Nap(ナフチル部分)またはPP(ベンジル部分)で修飾されたdCがTyr(チロシル部分)修飾dUを有する場合に得られた(図2)。Tyr-dUをdTに置き換えたところ標的への結合が消失し、これは、標的であるPCSK9表面への結合相互作用にとってチロシル部分が重要であることを示している(データ図示せず)。親和性データから、2修飾ヌクレオチドのアプタマーは一般に単一修飾ヌクレオチドのアプタマーより親和性が高く、また、単一修飾ヌクレオチドのアプタマーと比較すると、PCSK9に結合したアプタマーを多数得られることが実証された(図3)。さらに、単一修飾ヌクレオチドの高コピーのアプタマーは平均親和性が0.1~100nMであるのに対し、2修飾ヌクレオチドの高コピーのアプタマーは平均親和性が≦0.1nMである。
【0197】
PCSK9に対する単一修飾アプタマー(40mer)及び二重修飾アプタマー(40mer)を比較するデータ概要を下記表3に示す。
【表3】
【0198】
表3の情報に基づくと、結合を示さないすべての被験単一修飾アプタマーの割合は62%であった。未結合は、Kdが320nM以上であるアプタマーと定義した。Kd<10nMであるすべての単一修飾アプタマーの割合は21%未満であり、すべての単一修飾アプタマーの平均Kdは5,2nMであった。対照的に、結合を示さないすべての被験2修飾(二重修飾)アプタマーの割合は43%であった。さらに、Kd<10nMであるすべての2修飾アプタマーの割合は47%であり、すべての2修飾アプタマーの平均Kdは0.12nMであった。
【0199】
実施例2:二重修飾アプタマーの切断
さらなる切断が高親和性(Kd<1nM)アプタマーの結合に及ぼす影響を検討した。アプタマーを切断し、長さが25%短縮された30merとした。30merに切断可能で、なおも結合親和性を保持するアプタマー数は、PP-dC/Tyr-dUの組み合わせが最も多かった(図4A)。単一塩基修飾アプタマーは21.5%(青の棒、3/14)の切断性を示し、修飾dUを有する2塩基修飾Nap-dCアプタマーは約23%(赤の棒、11/48)の切断性を示した一方、他の修飾dUを有する2塩基修飾PP-dC
は60%(緑の棒、27/45)の高い切断性を示した。30merに切断可能な40merの割合及び数もまた、PP-dCにPP-dU、Nap-dU、またはTyr-dUを組み合わせた2塩基修飾が他のライブラリーよりも高かった(図4B)。親和性≦1nMのアプタマーは3ライブラリーからの14アプタマーしかなかったため、単一塩基修飾ライブラリーの少数アプタマーを試験した(40mer、図4Bの灰色領域の単一修飾)。対照的に、親和性の高い2塩基修飾ライブラリーのアプタマー数は93(40mer、図4Bの灰色領域の2修飾)で、修飾dUを有するNap-dCが48、修飾dUを有するPP-dCが45であった。ライブラリー各々の黒の水平線は、そのライブラリー内の全アプタマーの中央値を指す。いかなる特定の理論にも拘束されるわけではないが、PP修飾塩基の伸長した炭素鎖(他の修飾との比較)が、到達しにくい標的表面エピトープへの到達を助け、構造の折り畳み及び効果的なタンパク質結合相互作用に固定プライマー領域を必要としないということが考えられる。
【0200】
さまざまな他の前駆体タンパク質転換酵素(PC)に対するPCSK9アプタマーの特異性も評価した。各ライブラリーから親和性が最も高いアプタマーを3つ選択し(n=33の40mer;非修飾DNA対照ライブラリーからはなし、dC/Tyr-dUライブラリーからはアプタマー2つのみ、PP-dC/MOE-dUライブラリーからはアプタマー1つ)、他のPCに対する特異性について試験した。結果から、アプタマーはPCSK9に特異的であり、他のPCとの検出可能な結合は濃度100nMにおいて観察されなかったことが実証された(図5)。
【0201】
値≦1nMの切断型アプタマー(n=41、30mer)の種交差反応性をげっ歯類(マウス及びラット)及びアカゲザルのPCSK9について試験した(表4を参照のこと)。さまざまな種のPCSK9同士のパーセント同一性を図6のグラフ上部に示す。マウス/ラットのPCSK9はサル及びヒトのタンパク質と約76%同一である。ほとんどのアプタマーはアカゲザルPCSK9に結合し、親和性は同様(同一性96.4%)であったが、2修飾ライブラリーの少数アプタマー(PP-dC/Nap-dU及びPP-dC/Tyr-dU)はラット及びマウスのPCSK9に結合した(同一性約76%)。これらの結果から、2塩基修飾の特定のライブラリー(例えば、PP-dC/Nap-dU及びPP-dC/Tyr-dU)により、げっ歯類及びヒト/サルのいずれのPCSK9にも結合することができる親和性が同様のアプタマーが作製されること(図6)が実証された。


【表4】
「-」は、アッセイでは結合が検出されなかったことを指す。
【0202】
実施例3:サンドイッチアッセイでのアプタマーの結合
SELEX法では、時として、標的表面の「アプタ原性(aptagenic)」優性エピトープに選択的に結合するアプタマーが得られることがある。そのため、アプタマーのサンドイッチペアに関する報告は文献では限られている。標的タンパク質上の異なるエピトープに結合することができるアプタマーを探索するため、選択方法の改変が可能であり、例えば、多価アプタマー単離法(MAI-SELEX)、アレイを用いる多価アプタマー探索プラットフォーム(AD-MAP)サンドイッチ選択法などでは、一次アプタマーを過剰に使用して第1のエピトープのブロッキングを行い、非競合シグナル伝達エピトープに結合する第2のアプタマーの発見を目指す。化学的多様性を拡張させた場合に、dCとdUとに共に行う修飾の多重性によって、アプタマー選択に際し、異なる標的表面のエピトープに結合することができるアプタマーが生じること示すため、Luminex(登録商標)MagPlex(登録商標)アビジン結合磁性ビーズを使用してビオチン化一次アプタマーを捕捉するビーズ系サンドイッチペアスクリーニング法を開発した(図7A)。捕捉ビーズを個々のアプタマーと共に混合し、ペアワイズな多重組み合わせで第2の結合パートナーを探索した(図7A)。この実験では、単一塩基修飾ライブラリー及び2塩基修飾ライブラリーから親和性がK≦1nMである40merアプタマー(n=96、9216対)を使用した。簡単に言えば、個々のアプタマー(試料あたり0.05pmole)を単一MagPlexアビジンビーズタイプに捕捉して併せて混合し(実験1回あたりビーズ24個、試料あたりビーズ1000個)、20分間室温にて1850rpmで振盪させて捕捉した。ビーズを1×SBTで2分洗浄し、続いて、0.5mM遊離ビオチン洗浄を1×SBTで5分間行い、その後、1×SBTでの洗浄を2分間ずつ3回行った。ビーズを遊離のストレプトアビジンで5分間ブロッキングし、再度、1×SBTで2分間洗浄した。捕捉アプタマー各々に対するサンドイッチパートナーをスクリーニングするために、個々のアプタマーを有する24の異なるビーズ種を併せて混合した。検出すなわち二次アプタマーを1×SBT中500nMに希釈し、熱-冷却してPCSK9(最終10nM)と混合し、25℃で1時間インキュベートした。1000個の捕捉ビーズを加え、さらに1時間、振盪しながらインキュベートした。その後、ビーズを磁石に捕捉し、1×SBTで2分間ずつ3回洗浄し、0.1%BSA及び100uM DxSO4を添加した75μL 1×SBTに再懸濁させた。この75μLのストレプトアビジンにフィコエリスリン(最終5μg/mL)を加え、25℃で20分間振盪させながらインキュベートした。最後に、ビーズを再度1×SBTで2分間洗浄し、Luminex 3D xMAP機で読み取った。
【0203】
単一塩基修飾ライブラリーからは少数のサンドイッチペア(3対)が作製されたが、2塩基修飾ライブラリーのアプタマーを単一塩基修飾アプタマーと組み合わせて加えたところ、より多くのサンドイッチペア(22対)が得られた。さらに、パートナーの双方(捕捉及び検出)のアプタマーを2塩基修飾ライブラリーのアプタマーにした場合に、ライブラリーあたりのサンドイッチペア数は劇的に増加した(45対、図7C図7B)。
【0204】
サンドイッチスクリーニングから得られた複数エピトープの結合結果により、初期ランダムライブラリーで化学的多様性を高めると、標的表面の非競合部位に結合することができる修飾アプタマーが得られることが示唆された。次に、シグナルの最も高かったサンドイッチペア(PCSK9濃度10nM;全被験対の0.75%、9216対中70対;図7C)でPCSK9濃度依存的応答について測定し、結果のサブセットを図8A(単一塩基修飾一次アプタマーdC/PP-dUの濃度依存的シグナルを示し、良好に機能した最良二次アプタマーは2塩基修飾アプタマーNap-dC/Nap-dU[三角形]であった)及び図8B(2塩基修飾二次アプタマーNap-dC/Nap-dUの濃度依存的シグナルを示し、良好に機能した最良一次アプタマーは単一塩基修飾アプタマーdC/PP-dU[塗りつぶした四角形]であった)に示した。興味深いことに、単一塩基修飾一次アプタマー(PP-dU、親和性、Kd値175pM)と2塩基修飾二次アプタマー(Nap-dU/Nap-dC、親和性、Kd値531pM)で構成される特定の1対では、1つの配置において、他のどの対よりもシグナルが強固であった(図8C)。しかしながら、この単一塩基修飾の一次アプタマーと二次アプタマーとを交換するとシグナルが消失したことから、このサンドイッチペアでは、アプタマーの配置が重要であることが示された。また、このアプタマーサンドイッチペアでは、LDL-Rに対する親和性が野生型PCSK9よりも高く、家族性高コレステロール血症(FH)重症型の患者での過剰発現が報告されている機能獲得型変異タンパク質PCSK9 D374Yの活性も測定できる(図8D)。変異体PCSK9 D374Yの感度及びMFU値は、野生型タンパク質のそれよりも高かった。
【0205】
また、アプタマーサンドイッチペアの特異性についても、組換え型ヒトPCSK9を新生仔ウシ血清(NBCS)に添加した場合の内因性シグナルの欠失によりヒト血漿と比較して測定した(データ図示せず)。
【0206】
このサンドイッチペアのさらなる特徴付けを行い、ヒトの臨床試料で血漿中PCSK9の循環濃度を検出するアプタマーのサンドイッチアッセイを開発した。試験、例えば、感度測定(図9A及び9Bならびに表5及び6)、精度測定(表7及び8)、真度測定(表9)及び血漿中の希釈直線性測定(図10)などを実施してサンドイッチアッセイの性能を評価したところ、いずれにおいても頑健なアッセイ枠が確認された。アッセイの試料の希釈直線性を評価するため、高濃度のPCSK9を含有する試料及び/または高濃度のPCSK9を添加した試料を用いてサンドイッチアッセイを実施した。血漿試料(n=5)をアッセイ緩衝液で段階希釈し、アッセイの動的範囲内に各値を適合させた。
【0207】
検出限界(LLoD)は、ブランク(希釈緩衝液)の平均RFU値よりも高いRFU値を与えるPCSK9濃度(40pg/mL)に標準偏差3を加えた値と定義し、表5に示されている。定量下限(LLoQ)及び定量上限(ULoQ)は、4パラメータロジスティック(4PL)フィッティングを使用して標準曲線に適合させると80~120%の既知標的濃度が回収される方法で定量可能な、最も低いPCSK9濃度及び最も高いPCSK9濃度と定義し、表6に示されている。アッセイ内の変動性を決定するため、既知濃度の血漿試料5つを単一プレートで16回試験した。表7を参照のこと。アッセイ内の変動係数(CV)は4.3%~6%の範囲であった。アッセイ間の変動性を決定するため、既知濃度の血漿試料5つを別々の5アッセイで測定した。表8を参照のこと。アッセイ間のCVは2.3%~9.8%の範囲であった。最後に、標的測定における真度を決定するため、5つの血漿試料に異なる量のPCSK9を添加して測定を行った。アッセイ範囲全体の添加PCSK9量の回収率を評価した。表9を参照のこと。試料回収率は、平均して添加標的の83.1%~137.5%であった。
【0208】
スタチンの使用によりPCSK9の血漿中濃度が上昇することが知られていることから、1つの対照群(n=42)、及び対象がLipitor(登録商標)スタチン療法を受
けている別の試験群(n=42、自己報告による)の2群の個人から血漿試料セットを取得し、アッセイによりこれら2群間を統計的に差別化できるか否かを決定するための評価を行った。捕捉すなわち一次SOMAmer(11723-5)を単一塩基修飾アプタマー(PP-dU/dC)として、また二次すなわち検出アプタマー(11727-20)を2塩基修飾アプタマー(Nap-dC/Nap-dU)として使用してサンドイッチアッセイを開発した。
【0209】
これらの結果から、アプタマーのサンドイッチアッセイは、マン・ホイットニー検定によりP値0.0044で2群間の統計的差別化が可能であること(図11)、及びこのアッセイは、血漿中PCSK9濃度が高いために抗PCSK9療法の恩恵が受けられると思われる患者を同定する際に使用され得るであろうということが示された。
【0210】
また、過剰発現クローンを同定し、研究上のアッセイの有用性を示すため、アプタマーのサンドイッチアッセイを使用して、PCSK9を過剰発現しているHepG2細胞由来の無細胞上清中のPCSK9濃度を測定した(図12)。SBI System Biosciences LentiViralシステム(LV300A-1)を使用してHepG2細胞にPCSK9を過剰発現させた。安定細胞株作製用のOrigeneから入手したレンチウイルス野生型ヒトPCSK9発現クローン(RC220000L1)でHepG2細胞株に形質導入した。計96の個々のクローンで、それらのPCSK9分泌能についてスクリーニングを行った。各クローンに対しアプタマーのサンドイッチアッセイを行って培地中に分泌されたPCSK9の相対量を測定し、野生型HepG2細胞からの発現と比較した。Cell Titer-Glo(登録商標)Luminescent細胞生存率アッセイを使用して組換えタンパク質作製に使用した細胞数を正規化した。クローン番号45は野生型HepG2細胞より約100倍多いPCSK9を分泌した。
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【0211】
実施例4:二重修飾アプタマーによる標的の活性阻害
LDL-RへのPCSK9の結合を遮断するPCSK9阻害物質を見出すため、プレートがLDL-Rでコートされたプレートを用いるアッセイで、K≦1nMの41の切断型30merアプタマーのスクリーニングを行い、ストレプトアビジン-HRP複合体を使用して化学発光試薬によりビオチン化PCSK9の結合を検出した(図13)。組換え型LDL-R(Acro Biosystems)でELISAプレート(2.5μg/mL)を4℃で一晩コートし、その後、ウェルを洗浄し、Super Block(Invitrogen)を用いて室温で1時間ブロッキングした。ビオチン化PCSK9(Acro Biosystems、Aviタグ付き)とアプタマーを併せて混合し、室温で1時間インキュベートした後、ELISAプレートに加え、振盪しながら室温で2時間さらにインキュベートした。PCSK9の最高濃度は0.5nM、またアプタマーの最高濃度は100nMであり、その後、これらを阻害曲線に対し1/2logで段階希釈した。ストレプトアビジン結合HRP(Invitrogen、1μg/ml)をウェルに加え、振盪しながら室温で30分インキュベートし、Pico感度化学発光基質(Invitrogen)を加え、ルミノメーター(Hidex Plate Chameleon)で発光を測定し、Graph Pad Prism6.0ソフトウェアでデータをプロットしてEC50値を計算した。PCSK9中和抗体(BPS Bioscience)を対照として使用した。
【0212】
阻害アッセイ(アプタマーの被験濃度100nM、PCSK9濃度1nM)の結果から、アプタマーの70%が阻害物質であったこと(90%超の阻害)、及び一部の2修飾アプタマーはPCSK9とLDL-Rとの相互作用を強力に阻害したことが示された(データ図示せず)。アプタマーを用量反応曲線でさらに評価し、阻害についてそれらのEC50値を決定した。結果から、多くの阻害物質はPCSK9とLDL-Rとの相互作用を強力に阻害し、EC50は0.1~1nMの範囲であることが示された(図14)。2修飾アプタマーの持つ治療薬としての潜在的価値を実証するため、1つの種の交差反応性PC
SK9アプタマー(30mer、配列番号11733-91_5(11733-198))を、さまざまな種のPCSK9に対する標的親和性測定用に選択した。このアプタマーは、ヒト(野生型)、アカゲザル、ヒト(GOF変異体D374Y)、マウス、及びラットのPCSK9に対する親和性がそれぞれ14.7pM、11.3pM、5.2pM、77pM及び165pMであった(図15A)。また、このアプタマーは、ヒト野生型PCSK9とLDL-Rとの相互作用をEC50値2.1nMで遮断し、GOF変異PCSK9 D374YとLDL-Rとの相互作用をEC50値3.6nMで遮断した(図15B)。PCSK9に対するこのアプタマーの特異性を他のPCに対する場合と比較して評価したところ、結果から、このアプタマーはPCSK9にのみ結合し、他のPCには結合しなかったことが示された(データ図示せず)。
【0213】
LDLR分解遮断におけるPCSK9アプタマーの中和作用を検討するため、LDL取り込み逆転アッセイでPP-dC/Nap-dUアプタマーを試験し、その際、野生型HepG2細胞を組換え型PCSK9と共に16時間インキュベートした後、細胞を洗浄し、蛍光標識したLDLを3時間加えた。結果から、アプタマーは、LDL取り込みをEC50値159nMで逆転させることができることが示された(図16及び図17)。さらに、アプタマー処置により、FACSで測定した場合、PCSK9過剰発現HepG2細胞のLDL-Rレベルを上昇させることができる(図17)。種交差反応性、高親和性の切断型、特異的、かつ非常に強力なアプタマーを含むこれらの結果から、2塩基修飾アプタマーの治療薬としての潜在的価値は、SELEX後の修飾によって長さ及び生体内安定性がさらに最適化され得ることが示唆される。
【0214】
実施例5:二重修飾アプタマーの血清安定性
ヒト血清中での二重修飾アプタマーの血清安定性を決定するため、1μMゲル精製アプタマーを、90%ヒト血清プール含有PBS緩衝液(総容量200μL)中で37℃にてインキュベートした。さまざまな測定ポイントにおいて20μLずつ分注を採取し、等容量のEDTA/ホルムアミド/色素ミックス(ホルムアミド87.7%、SDS、0.03%、EDTAナトリウム、20mM、キシレンシアノール、0.05%、ブロモフェノールブルー、0.05%、オレンジG、0.1%)を加えた。その後、分注ミックスを-20℃で保存した。分析に先立ち、40μLの分注ミックスを100μL HOで希釈し、150μLのフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)で抽出した。試料を16,100xg、15分の遠心分離にかけてアプタマーを含有する水相を除去し、ゲル分析まで-20℃で保存した。
【0215】
アプタマー試料を15% TBE PAGE変性ゲル(8M尿素)に担持させ、アプタマーを1×(約2μM)SYBR Goldで10分間染色した。FluorChemQ解析ソフトウェア(AlphaInnotech)を使用して、各測定時点の完全長アプタマーの量を定量した。
【0216】
その実験結果を表10及び図18に示す。表10は、その実験の被験アプタマーの組成、96時間後に90%ヒト血清中に残存していた完全長アプタマーの割合、及びGraphPad Prism7ソフトウェアでゲル定量データを使用して直線回帰フィッティングにより計算した各アプタマーの半減期を示す。図18は、完全長アプタマーの経時的残存割合を示す。一般に、二重修飾アプタマーは、ヒト血清中で単一修飾アプタマーよりも高い経時的安定性を示した。
【表10】
【0217】
実施例6:2つの修飾塩基を含むアプタマー
実施例1に記載のライブラリーを使用してErbB2、ErbB3、及びPSMAと結合するアプタマーを選択した。各標的について実質的に実施例1に記載のように選択を行った。ErbB2及びErbB3には、Nap-dC/dT、PP-dC/dT、及びdC/Tyr-dUの各単一修飾ライブラリー、ならびにNap-dC/Tyr-dU及びPP-dC/Tyr-dUの各二重修飾ライブラリーを使用した。PSMAには、非修飾dC/dTライブラリー、Nap-dC/dT、PP-dC/dT、dC/Nap-dU、dC-PP-dU、dC-MOE-dU、及びdC/Tyr-dUの各単一修飾ライブラリー、ならびにNap-dC/Nap-dU、Nap-dC/PP-dU、Nap-dC/MOE-dU、Nap-dC/Tyr-dU、PP-dC/PP-dU、PP-dC/Nap-dU、及びPP-dC/Tyr-dUの各二重修飾ライブラリーを使用した。
【0218】
先のように、PSMAに使用した対照の非修飾DNAライブラリー(dC/dT)はPSMAに結合するアプタマーを何ら生じなかった。dCまたはdUいずれかにNap修飾(ナフチル部分)を有する単一修飾ライブラリーは、3つの標的すべてに対して結合物質となったが、二重修飾ライブラリーからは、単一修飾ライブラリーより親和性の高いアプタマーが得られた(図19A-C)。
【0219】
PSMA、ErbB2及びErbB3各々に対する単一修飾アプタマー(40mer)と二重修飾アプタマー(40mer)の比較データの概要をそれぞれ、表11、12及び13に示す。
【表11】
N.T.は「試験せず」;N/Aは適用不可またはデータなしを意味する。
【0220】
表11の情報に基づくと、結合を示さないすべての被験単一修飾アプタマーの割合は71%であった。未結合は、Kdが320nM以上であるアプタマーと定義した。Kd<10nMであるすべての単一修飾アプタマーの割合は12%であり、すべての単一修飾アプタマーの平均Kdは12.3nMであった。対照的に、結合を示さないすべての被験2修飾(二重修飾)アプタマーの割合は54%であった。さらに、Kd<10nMであるすべての2修飾アプタマーの割合は20%であり、すべての2修飾アプタマーの平均Kdは6.6nMであった。
【表12】
【0221】
表12の情報に基づくと、結合を示さないすべての被験単一修飾アプタマーの割合は70%であった。未結合は、Kdが320nM以上であるアプタマーと定義した。Kd<10nMであるすべての単一修飾アプタマーの割合は2%未満であり、すべての単一修飾アプタマーの平均Kdは15.1nMであった。対照的に、結合を示さないすべての被験2修飾(二重修飾)アプタマーの割合は44%であった。さらに、Kd<10nMであるすべての2修飾アプタマーの割合は25%であり、すべての2修飾アプタマーの平均Kdは0.7nMであった。
【表13】
【0222】
表13の情報に基づくと、結合を示さないすべての被験単一修飾アプタマーの割合は38%であった。未結合は、Kdが320nM以上であるアプタマーと定義した。Kd<10nMであるすべての単一修飾アプタマーの割合は40%であり、すべての単一修飾アプタマーの平均Kdは6nMであった。対照的に、結合を示さないすべての被験2修飾(二重修飾)アプタマーの割合は24%であった。さらに、Kd<10nMであるすべての2修飾アプタマーの割合は69%であり、すべての2修飾アプタマーの平均Kdは0.02nMであった。
【0223】
実施例7:2つの修飾塩基を含むさらなるアプタマー
表14に示す修飾対の各々を含むライブラリーを以下のとおり作製する。いくつかの実施形態では、各ライブラリーは40以上のランダム化されたヌクレオチドを含有する。いくつかの実施形態では、各ライブラリーは30のランダム化されたヌクレオチドを含有し、1015以上の異なる配列を可能にする。ライブラリーは、天然ヌクレオチド三リン酸及び/またはKOD DNAポリメラーゼExo-使用修飾ヌクレオチド三リン酸を使用
して酵素合成してよい。いくつかの実施形態では、ランダム領域はPCR増幅プライマーをハイブリダイズする固定配列に隣接させ、5’末端及び3’末端にさらなるスペーサーを設けるか、または設けない。ある場合には、合成用マスターテンプレートを使用して、置換プライマー伸長反応でdU位置及び/またはdC位置のすべてが均一に修飾されている修飾ライブラリーを作製する。ライブラリー合成は、実質的に実施例1に記載のように実施してよい。
【表14】
【0224】
表14のライブラリーの1つ以上を使用して、タンパク質標的などの標的と結合するア
プタマーを選択してよい。2つの修飾塩基を含むライブラリーからは典型的に、標的に対する特異性及び/または親和性の高いアプタマーが得られる。
【0225】
実施例8:例示的な二重修飾アプタマー
プール11720(Nap-dC/dT)からの保存された配列ファミリーのPCSK9結合アプタマーを表15に示す。各配列のランダム領域のみを示す。計11,380配列中の各配列のコピー数(同一であるかまたは最高5のミスマッチを含む同等なもの)が示されている。このファミリーの全アプタマーは保存された配列要素TTppGGppを共有しており、ここでp=Nap-dCである。代謝安定性アッセイ用にこのプールの代表としてアプタマー11730-6(配列番号4、Kd=0.1nM)を選んだ。
【表15】
【0226】
プール11730(Nap-dC/Tyr-dU)からの保存された配列ファミリーのPCSK9結合アプタマーを表16に示す。各配列のランダム領域のみを示す。計17,695配列中の各配列のコピー数(同一であるかまたは最高5のミスマッチを含む同等なもの)が示されている。このファミリーの全アプタマーは保存された配列要素yGpppGを共有しており、ここでp=Nap-dC及びY=Tyr-dUである。多くの配列が
保存された配列要素yyAyGpApも含有していた。代謝安定性アッセイ用にこのプールの代表としてアプタマー11730-19(配列番号27、K=0.2nM)を選んだ。
【表16】
【0227】
プール11733(Pp-dC/Nap-dU)からの保存された配列ファミリーのPCSK9結合アプタマーを表17に示す。各配列のランダム領域のみを示す。計16,118配列中の各配列のコピー数(同一であるかまたは最高5のミスマッチを含む同等なもの)が示されている。このファミリーの全アプタマーは保存された配列要素rPPPAAGGrrPAPPG(配列番号83)を共有しており、ここでr=Pp-dC及びP=Nap-dUである。アプタマー11733-44(配列番号44、SL1063)はヒト野生型PCSK9の最も強力な30mer阻害物質であった(IC50=2.8nM)。代謝安定性アッセイ用にこのプールの代表としてアプタマー11733-198(配列番号46、K=0.07nM)を選んだ。
【表17】
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図19C
図20-1】
図20-2】
図20-3】
図20-4】
図20-5】
図21-1】
図21-2】
図21-3】
図22-1】
図22-2】
【配列表】
2024147814000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2024-08-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジン及び少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンを含み、前記第1の5位修飾ピリミジンと前記第2の5位修飾ピリミジンは異なる5位修飾ピリミジンであるアプタマーであって、
前記第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンであり、前記第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであるか、または
前記第1の5位修飾ピリミジンは5位修飾シチジンであり、前記第2の5位修飾ピリミジンは5位修飾ウリジンであり、
前記5位修飾ウリジンは、ナフチル部分、ベンジル部分、又はモルホリノ部分を5位に含み、前記5位修飾シチジンは、ナフチル部分を5位に含む、前記アプタマー。
【請求項2】
前記5位修飾ウリジンの前記部分は、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバマートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される群に含まれるリンカーを介して共有結合で連結されている、請求項1に記載のアプタマー。
【請求項3】
前記5位修飾シチジンの前記部分は、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバマートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される群に含まれるリンカーを介して共有結合で連結されている、請求項1または請求項2に記載のアプタマー。
【請求項4】
前記5位修飾シチジンは、NapdC、2NapdC、NEdC、及び2NEdCから選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載のアプタマー。
【請求項5】
前記5位修飾ウリジンは、NapdU、2NapdU、NEdU、BndU、PEdU、PPdU、及びMOEdUから選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載のアプタマー。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはNapdCであり、前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、PPdU、及びMOEdUから選択される、請求項1に記載のアプタマー。
【請求項7】
前記アプタマーは、前記アプタマーの5’末端に、長さが5~30のヌクレオチド長の領域を含み、ここで、前記アプタマーの前記5’末端領域は5位修飾ピリミジンを欠く、請求項1~6のいずれか1項に記載のアプタマー。
【請求項8】
前記アプタマーは、前記アプタマーの3’末端に、長さが5~30のヌクレオチド長の領域を含み、ここで、前記アプタマーの前記3’末端領域は5位修飾ピリミジンを欠く、請求項1~7のいずれか1項に記載のアプタマー。
【請求項9】
前記アプタマーは、長さが20~100のヌクレオチド長である、請求項1~8のいずれか1項に記載のアプタマー。
【請求項10】
複数の請求項1~9のいずれか1項に記載のアプタマーを含有する、組成物複。
【請求項11】
各アプタマーは、前記アプタマーの5’末端に固定領域を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
各アプタマーの前記5’末端固定領域は、長さが5~30のヌクレオチド長である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
各アプタマーは、前記アプタマーの3’末端に固定領域を含む、請求項10~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記ポリヌクレオチドの前記3’末端固定領域は、長さが5~30のヌクレオチド長である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記5位修飾ウリジンの前記部分は、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバマートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される群に含まれるリンカーを介して共有結合で連結されている、請求項10~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記5位修飾シチジンの前記部分は、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバマートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される群に含まれるリンカーを介して共有結合で連結されている、請求項10~15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記5位修飾シチジンは、NapdC、2NapdC、NEdC、及び2NEdCから選択される、請求項10~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記5位修飾ウリジンは、NapdU、2NapdU、PPdU、及びMOEdUから選択される、請求項10~17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはNapdCであり、前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、PPdU、及びMOEdUから選択される、請求項10~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
各アプタマーはランダム領域を含む、請求項10~19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記ランダム領域は、長さが20~100のヌクレオチド長である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
各ポリヌクレオチドは、長さが20~100のヌクレオチド長である、請求項10~21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
アプタマー及び標的を含む組成物であって、前記アプタマー及び前記標的は複合体を形成することができ、前記アプタマーは請求項1~9のいずれか1項に記載のアプタマーである、前記組成物。
【請求項24】
第1のアプタマー、第2のアプタマー、及び標的を含む組成物であって、
前記第1のアプタマーは、少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジン及び少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンを含み、
前記第2のアプタマーは、少なくとも1つの第3の5位修飾ピリミジンを含むか、または前記第2のアプタマーは、少なくとも1つの第3の5位修飾ピリミジンと少なくとも1つの第4の5位修飾ピリミジンとを含み、
前記第1のアプタマー、第2のアプタマー及び前記標的は、三量体複合体を形成することができ、
前記第1の5位修飾ピリミジンと前記第2の5位修飾ピリミジンは異なる5位修飾ピリミジンであり、かつ
前記第1のアプタマーは請求項1~9のいずれか1項に記載のアプタマーである、前記組成物。
【請求項25】
前記標的は、タンパク質、ペプチド、炭水化物、低分子、細胞及び組織から選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
(a)標的分子に結合することができるアプタマーと試料とを接触させること、
(b)前記アプタマーを前記試料と共にインキュベートしてアプタマー-標的複合体を形成させること、
(c)前記試料中の前記アプタマー-標的複合体を濃縮すること、及び
(c)前記アプタマー、アプタマー-標的複合体または標的分子の存在について検出し、前記アプタマー、アプタマー-標的複合体または標的分子の検出は、前記試料中に前記標的分子が存在することを指し、前記アプタマー、アプタマー-標的複合体または標的分子の検出がないことは、前記試料中に前記標的分子が存在しないことを指すこと
を含む方法であって、
前記アプタマーは請求項1~9のいずれか1項に記載のアプタマーである、前記方法。
【請求項27】
前記方法は、前記試料への競合分子の添加、前記アプタマー-標的複合体の固体支持体への捕捉、ならびに競合分子の添加及び前記試料の希釈から選択される少なくとも1つのさらなるステップを含み、ここで、前記少なくとも1つのさらなるステップは、ステップ(a)またはステップ(b)の後で行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記競合分子は、ポリアニオン性競合物質から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリアニオン性競合物質は、オリゴヌクレオチド、ポリデキストラン、DNA、ヘパリン及びdNTPから選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ポリデキストランは硫酸デキストランであり、DNAはニシン精子DNAまたはサケ精子DNAである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記標的分子は、タンパク質、ペプチド、炭水化物、低分子、細胞及び組織から選択される、請求項26~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記試料は、全血、白血球、末梢血単核球、血漿、血清、痰、呼気、尿、精液、唾液、髄液、羊水、腺液、リンパ液、乳頭吸引物、気管支吸引物、滑液、関節吸引物、細胞、細胞抽出物、便、組織、組織生検、及び脳脊髄液から選択される、請求項26~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
a)前記試料を、前記標的に結合して第1の複合体を形成することができる前記第1のアプタマーと接触させ、混合物を形成させること、
b)前記混合物を、前記第1の複合体の形成を可能にする条件下でインキュベートすること、
c)前記混合物を、前記第1の複合体と結合して第2の複合体を形成することができる第2のアプタマーと接触させること、
d)前記混合物を、前記第2の複合体の形成を可能にする条件下でインキュベートすること、
e)前記混合物中の前記第1のアプタマー、前記第2のアプタマー、前記標的、前記第1の複合体または前記第2の複合体の有無について検出し、前記第1のアプタマー、前記第2のアプタマー、前記標的、前記第1の複合体または前記第2の複合体の存在は、前記試料中の前記標的の存在を指すことを含む、試料中の標的を検出する方法であって、
前記第1のアプタマーは請求項1~9のいずれか1項に記載のアプタマーであり、
前記第2のアプタマーは、少なくとも1つの第3の5位修飾ピリミジンを含むか、または前記第2のアプタマーは、少なくとも1つの第3の5位修飾ピリミジンと少なくとも1つの第4の5位修飾ピリミジンとを含む、前記方法。
【請求項34】
前記標的分子は、タンパク質、ペプチド、炭水化物、低分子、細胞及び組織から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1のアプタマー、第2のアプタマー及び前記標的は、三量体複合体を形成することができる、請求項33または請求項34に記載の方法。
【請求項36】
(a)アプタマーのライブラリーを前記標的分子と接触させて混合物を形成させ、アプタマーが前記標的分子に対して親和性である場合に形成されるアプタマー-標的複合体の形成を可能にすること、
(b)前記混合物の残部から前記アプタマー-標的複合体を分配すること(または前記アプタマー-標的複合体を濃縮すること)、
(c)前記アプタマー-標的複合体を解離させること、及び
(d)前記標的分子に対する結合能のある前記1つ以上のアプタマーを同定すること
を含む、標的分子に対する結合能がある1つ以上のアプタマーを同定する方法であって、前記アプタマーのライブラリーは、請求項10~25のいずれか1項に記載の組成物である、前記方法。
【請求項37】
各アプタマーは、前記アプタマーの5’末端に固定領域を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
各アプタマーの前記5’末端固定領域は、長さが5~30のヌクレオチド長である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
各アプタマーは、前記アプタマーの3’末端に固定領域を含む、請求項36~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記アプタマーの前記3’末端固定領域は、長さが5~30のヌクレオチド長である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記5位修飾ウリジンの前記部分は、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバマートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される群に含まれるリンカーを介して共有結合で連結されている、請求項36~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記5位修飾シチジンの前記部分は、アミドリンカー、カルボニルリンカー、プロピニルリンカー、アルキンリンカー、エステルリンカー、尿素リンカー、カルバマートリンカー、グアニジンリンカー、アミジンリンカー、スルホキシドリンカー、及びスルホンリンカーから選択される群に含まれるリンカーを介して共有結合で連結されている、請求項36~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記5位修飾シチジンは、NapdC、2NapdC、NEdC、及び2NEdCから選択される、請求項36~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記5位修飾ウリジンは、NapdU、2NapdU、NEdU、PEdU、PPdU、及びMOEdUから選択される、請求項36~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記少なくとも1つの第1の5位修飾ピリミジンはNapdCであり、前記少なくとも1つの第2の5位修飾ピリミジンは、NapdU、PPdU、及びMOEdUから選択される、請求項36~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
各アプタマーはランダム領域を含む、請求項36~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記ランダム領域は、長さが20~100のヌクレオチド長である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
各アプタマーは、長さが20~100のヌクレオチド長である、請求項36~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
各アプタマーは標的と結合するアプタマーであり、前記ライブラリーは少なくとも1000アプタマーを含み、各アプタマーは別々のヌクレオチド配列を含む、請求項36~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
ステップ(a)、(b)及び/または(c)を少なくとも1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回または10回繰り返す、請求項36~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記標的分子に対する結合能のある前記1つ以上のアプタマーを増幅させる、請求項36~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記混合物はポリアニオン性競合分子を含む、請求項36~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記ポリアニオン性競合物質は、オリゴヌクレオチド、ポリデキストラン、DNA、ヘパリン及びdNTPから選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
ポリデキストランは硫酸デキストランであり、DNAはニシン精子DNAまたはサケ精子DNAである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記標的分子は、タンパク質、ペプチド、炭水化物、低分子、細胞及び組織から選択される、請求項36~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記第1の5位修飾ピリミジン及び前記第2の5位修飾ピリミジンは、ポリメラーゼ酵素によって取り込まれることができる、請求項26~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記第1の5位修飾ピリミジン及び前記第2の5位修飾ピリミジンは、ポリメラーゼ酵素によって取り込まれることができる、請求項1~9のいずれか1項に記載のアプタマー、または請求項10~25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項58】
前記アプタマーは、前記第1の5位修飾ピリミジンの各々の代わりに非修飾ピリミジンを含むかまたは前記第2の5位修飾ピリミジンの各々の代わりに非修飾ピリミジンを含む長さ及び核酸塩基配列が同一のアプタマーと比べて、改善されたヌクレアーゼ安定性及び/またはヒト血清中での長い半減期を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載のアプタマー。