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特開2024-147820通気された中空セグメントを有するエアロゾル発生物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147820
(43)【公開日】2024-10-16
(54)【発明の名称】通気された中空セグメントを有するエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/04 20060101AFI20241008BHJP
   A24D 3/17 20200101ALI20241008BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20241008BHJP
【FI】
A24D3/04
A24D3/17
A24D1/20
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024123611
(22)【出願日】2024-07-30
(62)【分割の表示】P 2021535190の分割
【原出願日】2019-12-20
(31)【優先権主張番号】18214929.4
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】ユテュリー ジェローム
(57)【要約】      (修正有)
【課題】通気された中空セグメントを有するエアロゾル発生物品を提供する。
【解決手段】吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体のロッド12と、濾過材料のプラグと、ロッドの下流に配設されたマウスピースセグメント18と、ロッドとマウスピースセグメントとの間の中空の管状セグメント16とを備える。中空管セグメントは、ロッドおよびマウスピースセグメントと長軸方向に整列されていて、かつマウスピースセグメントの上流端までずっと延びる空洞を画定する。物品は、中空の管状セグメントに沿った場所に通気ゾーンをさらに備える。通気ゾーンの場所での中空の管状セグメントの相当内径は、少なくとも約5ミリメートルである。エアロゾル発生基体のロッドは、少なくともエアロゾル形成体を含み、ロッドは、乾燥重量基準で少なくとも約10パーセントのエアロゾル形成体含有量を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱に伴い吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品であって、
エアロゾル発生基体のロッドと、
濾過材料のプラグを備えるマウスピースセグメントであって、前記ロッドの下流に配設されていて、かつ前記ロッドと長軸方向に整列されている、マウスピースセグメントと、
前記ロッドと前記マウスピースセグメントとの間の場所にある中空の管状セグメントであって、前記ロッドおよび前記マウスピースセグメントと長軸方向に整列されていて、前記中空の管状セグメントが前記マウスピースセグメントの上流端までずっと延びる空洞を画定する、中空の管状セグメントと、
前記中空の管状セグメントに沿った場所にある通気ゾーンと、を備え、
前記エアロゾル発生基体のロッドが、約15ミリメートル未満の長さを有し、
前記エアロゾル発生物品の全長が、約40ミリメートル~約70ミリメートルであり、
前記通気ゾーンの前記場所での前記中空の管状セグメントの相当内径が少なくとも約5ミリメートルであり、
前記エアロゾル発生基体のロッドが、少なくともエアロゾル形成体を含み、前記エアロゾル発生基体のロッドが、乾燥重量基準で少なくとも約10パーセントのエアロゾル形成体含有量を有する、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記中空の管状セグメントがラッパーを含み、前記ラッパーが前記ロッドおよび前記マウスピースセグメントを囲む、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記中空の管状セグメントが、高分子材料またはセルロース系材料から形成された管を備え、前記加熱式エアロゾル発生物品が、前記ロッドと、前記管と、前記マウスピースセグメントとを囲むラッパーをさらに備える、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記中空の管状セグメントの相当内径が前記中空の管状セグメントの長さに沿って実質的に一定である、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記通気ゾーンが、前記中空の管状セグメントに沿って前記マウスピースセグメントの上流端から少なくとも2ミリメートルの場所にある、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記通気ゾーンが、前記中空の管状セグメントに沿って、前記エアロゾル発生基体のロッドの下流端から25ミリメートル未満の場所にある、請求項4に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記通気ゾーンが、前記中空の管状セグメントに沿って、前記中空の管状セグメントの上流端から約18ミリメートル未満の場所にある、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記エアロゾル発生物品が、少なくとも約10パーセントの通気レベルを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記エアロゾル発生物品が、約60パーセント未満の通気レベルを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記中空の管状セグメントが、約10ミリメートル~約30ミリメートルの長さを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記通気ゾーンの前記場所での前記中空の管状セグメントの周辺壁の厚さが約1.5ミリメートル未満である、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記中空の管状セグメントの前記厚さが少なくとも約100マイクロメートルである、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記エアロゾル発生物品のRTDが約30ミリメートルH2O~約90ミリメートルH2Oである、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
前記通気ゾーンと前記中空の管状セグメントの上流端との間の距離が、約15ミリメートル未満である、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項15】
前記通気ゾーンと前記エアロゾル発生物品の上流端との間の距離が、約40ミリメートル未満である、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生基体を備える、かつ加熱に伴い吸入可能なエアロゾルを生成するように適合されたエアロゾル発生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ含有基体などのエアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品は、当業界で周知である。典型的に、こうした加熱式喫煙物品においてエアロゾルは、熱源からの熱を、物理的に分離されたエアロゾル発生基体または材料に伝達することによって発生され、このエアロゾル発生基体または材料は熱源に接触して、または熱源内に、または熱源の周囲に、または熱源の下流に位置してもよい。エアロゾル発生物品の使用中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル発生基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気中に同伴される。放出された化合物は冷えるにつれて凝縮してエアロゾルを形成する。
【0003】
数多くの先行技術文書は、エアロゾル発生物品を消費するためのエアロゾル発生装置を開示している。こうした装置としては、例えばエアロゾル発生装置の一つ以上の電気ヒーター要素から加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体への熱伝達によってエアロゾルが発生される、電気加熱式エアロゾル発生装置が挙げられる。
【0004】
加熱式エアロゾル発生物品用の基体はこれまで典型的に、たばこ材料の無作為な向きにされた断片、ストランド、または細片を使用して生産されてきた。代替として、たばこ材料のシートの集合体から形成されている、加熱式エアロゾル発生物品用のロッドが、例えば国際特許公開公報第A-2012/164009号に提案されている。国際特許公開公報第A-2012/164009号で開示されたロッドは、空気がロッドを通して引き出されることを可能にする長軸方向の空隙率を有する。実質的に、たばこ材料シートの集合体における折り畳みは、ロッドを通した長軸方向チャネルを画定する。
【0005】
加熱式エアロゾル発生物品用の代替的なロッドは、国際特許公開公報第A-2011/101164号から周知である。これらのロッドは、均質化したたばこ材料のストランドから形成されていて、粒子状たばこおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含む混合物をキャスト、圧延、カレンダー加工、または押出成形して均質化したたばこ材料のシートを形成することによって形成されてもよい。また、代替的な実施形態において、国際特許公開公報第A-2011/101164号のロッドはまた、粒子状たばこおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含む混合物を押出成形して、均質化したたばこ材料の連続的な長さを形成することによって得られた均質化したたばこ材料のストランドから形成されてもよい。
【0006】
加熱式エアロゾル発生物品用の基体は典型的に、エアロゾル形成体、すなわち使用時にエアロゾルの形成を容易にする、および好ましくはエアロゾル発生物品の使用温度で熱分解に対して実質的に耐性がある化合物または化合物の混合物をさらに含む。適切なエアロゾル形成体の例には、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられる。
【0007】
また、加熱に伴い吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品中に、同一のラッパーの中で基体とともに組み立てられる一つ以上の追加的な要素を含むことも一般的である。こうした追加的な要素の例には、マウスピース濾過セグメント、エアロゾル発生物品に構造的強度を付与するように適合された支持要素、マウスピースに到達する前のエアロゾルの冷却に有利に働くように適合された冷却要素などが含まれる。しかしながら、こうした追加的な要素の包含は、それらの有利な効果を考慮して提案されているものの、概してエアロゾル発生物品の全体的な構造を複雑にし、製造をより複雑かつ高価にする。実際に、こうした複数要素エアロゾル発生物品の製造は典型的に、やや複雑な製造機械および機械の組み合わせを必要とする。
【0008】
これを考慮して、より単純な構造を有するエアロゾル発生物品も提案されてきた。しかしながら、例えばエアロゾル冷却要素などのある特定の追加的構成要素が存在しない場合、満足のいくエアロゾル送達およびRTDを消費者に一貫して提供するエアロゾル発生物品を製造することはより困難となる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それ故に、使用中に満足のいくエアロゾル送達を消費者に一貫して提供することを可能にするエアロゾル発生物品を提供することが望ましいことになる。さらに、満足のいくRTD値を有する、こうした改善されたエアロゾル発生物品の一つを提供することが望ましいことになる。効率的かつ高速で製造されることができ、好ましくは物品間のRTD変動が小さい、こうしたエアロゾル発生物品の一つを提供することも同様に望ましいことになる。本発明は、上述の望ましい結果のうちの少なくとも一つを達成するように適合された技術的解決策を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によると、加熱された時に吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品が提供されていて、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドと、濾過材料のプラグを備え、ロッドの下流に配設されていて、かつ第一のセグメントと長軸方向に整列されたマウスピースセグメントと、ロッドとマウスピースセグメントの間の場所にある中空の管状セグメントとを備える。中空管セグメントは、ロッドおよびマウスピースセグメントと長軸方向に整列されている。さらに、中空の管状セグメントは、マウスピースセグメントの上流端までずっと延びる空洞を画定する。エアロゾル発生物品は、中空の管状セグメントに沿った場所に通気ゾーンをさらに備える。通気ゾーンの場所での中空の管状セグメントの相当内径は、少なくとも約5ミリメートルである。エアロゾル発生基体のロッドは、少なくともエアロゾル形成体を含み、エアロゾル発生基体のロッドは、乾燥重量基準で少なくとも約10パーセントのエアロゾル形成体含有量を有する。
【0011】
「エアロゾル発生物品」という用語は本明細書において、エアロゾル発生基体が加熱されて吸入可能なエアロゾルを生成して消費者に送達する物品を意味するために使用される。本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、加熱に伴い揮発性化合物を放出してエアロゾルを発生する能力を有する基体を意味する。
【0012】
従来の紙巻たばこは、ユーザーが炎を紙巻たばこの一方の端に付け、もう一方の端を通して空気を吸う時に点火される。炎と紙巻たばこを通して引き出された空気中の酸素とによってもたらされた局在化した熱は、紙巻たばこの端を点火させて、その結果生じる燃焼は吸入可能な煙を発生する。これに反して、加熱式エアロゾル発生物品において、エアロゾルは風味発生基体(たばこなど)を加熱することによって発生される。周知の加熱式エアロゾル発生物品としては、例えば電気加熱式エアロゾル発生物品と、可燃性燃料要素または熱源から、物理的に分離されたエアロゾル形成材料への熱の伝達によってエアロゾルが発生されるエアロゾル発生物品とが挙げられる。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドの中に挿入されるように適合されている内部ヒーターブレードを有する電気加熱式のエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムにおいて特定の用途がある。このタイプのエアロゾル発生物品は、先行技術、例えば欧州特許第EP0822670号に記載されている。
【0013】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体と相互作用してエアロゾルを発生するヒーター要素を備える装置を指す。
【0014】
本明細書において、「管状セグメント」という用語は、その長軸方向軸に沿った管腔または気流通路を画定する細長い要素を意味するために使用される。特に、「管状」という用語は以下において、実質的に円筒状の断面を有する、かつ管状要素の上流端と管状要素の下流端との間の途切れることのない流体連通を確立する少なくとも一つの気流導管を画定する、管状要素に関して使用される。しかし、当然のことながら管状要素の断面の代替的な幾何学的形状も可能である場合がある。
【0015】
本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、エアロゾル発生物品の上流端と下流端の間に延びる、エアロゾル発生物品の主要な長軸方向軸に対応する方向を指す。本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、使用中にエアロゾル発生物品を通してエアロゾルが搬送される方向に関してエアロゾル発生物品の要素(または要素の部分)の相対的な位置を説明する。
【0016】
使用中、空気はエアロゾル発生物品を通して長軸方向に引き出される。「横断方向」という用語は、長軸方向軸に対して直角を成す方向を指す。エアロゾル発生物品またはエアロゾル発生物品の構成要素の「断面」への任意の言及は、別途記載のない限り、横断断面を指す。
【0017】
「長さ」という用語は、長軸方向におけるエアロゾル発生物品の構成要素の寸法を意味する。例えば、長軸方向におけるロッドまたは細長い管状要素の寸法を意味するために使用されてもよい。
【0018】
「管状要素の周辺壁の厚さ」という用語は本明細書において、管状要素の周辺を仕切る壁の外表面と内表面の間で測定された最小距離を意味するために使用される。実際に、所与の場所での距離は、管状要素の外表面および内表面に対して局所的に実質的に直角を成す方向に沿って測定される。実質的に円形の断面を有する管状要素の場合、距離は、管状要素の実質的に半径方向に沿って測定される。
【0019】
一部の実施形態において、管状要素の周辺壁の厚さは一定である。代替的な実施形態において、管状要素の周辺壁の厚さは、管状要素の長さに沿って変化する。これは管状要素が、不規則な表面仕上げを有する材料から形成されるためである場合がある(例えば、管状要素はセルロースアセテート管の形態で提供される)。別の方法として、これは管状要素が先細りのセクションまたはこれに類するものを含むように設計されているためである場合がある。管状要素の周辺壁の厚さが管状要素の長さに沿って変化する実施形態において、「管状要素の周辺壁の厚さ」は、管状要素の長さに沿った異なる場所での壁の外表面と内表面の間の最小距離として測定された幾つかの値に基づいて計算された平均値として取られる。
【0020】
いずれの実施形態においても、特に有意なパラメータは、通気ゾーンの場所での管状要素の周辺壁の厚さである。
【0021】
「不透気性の材料」という表現は本明細書の全体を通して、材料中の隙間また細孔を通して流体、特に空気および煙の通過を可能にしない材料を意味するために使用される。中空の管状セグメントが空気およびエアロゾル粒子に対して不浸透性の材料で形成されている場合、中空の管状セグメントを通して引き出された空気およびエアロゾル粒子は、強制的に中空の管状セグメントによって内部に画定された気流導管を通して流れるが、中空の管状セグメントの周辺壁を横切って流れることはできない。
【0022】
本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、たばこ材料の粒子の凝集によって形成される任意のたばこ材料を包含する。均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、たばこ葉の葉身およびたばこ葉の茎のうちの一方または両方を粉砕することによって、またはその他の方法で粉末化することによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成されている。加えて、均質化したたばこ材料は、たばこの処理中、取り扱い中、および発送中に形成された少量のたばこダスト、たばこ微粉、およびその他の粒子状たばこ副産物のうちの一つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料のシートは、キャスティング、押出成形、製紙プロセス、または当業界で周知の他の任意の適切なプロセスによって生産されてもよい。
【0023】
「多孔性」という用語は本明細書において、材料を通した空気の通過を可能にする複数の細孔または開口部を提供する材料を指すために使用される。
【0024】
「通気レベル」という用語は本明細書全体を通して、通気ゾーン(通気気流)を介してエアロゾル発生物品の中に入る気流と、エアロゾル気流および通気気流の合計との容積比を意味するために使用される。通気レベルが大きいほど、消費者に送達されるエアロゾル流の希釈が高くなる。
【0025】
簡潔に上述した通り、本発明のエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドと、濾過材料のプラグを備えるマウスピースセグメントと、ロッドとマウスピースセグメントの間の場所にある中空の管状セグメントとを備える。これらの三つの要素はすべて長軸方向に整列されている。エアロゾル発生基体のロッドは、少なくともエアロゾル形成体を含む。
【0026】
周知のエアロゾル発生物品とは対照的に、エアロゾル発生基体のロッドは、乾燥重量基準で少なくとも約10パーセントのエアロゾル形成体含有量を有する。さらに、中空の管状セグメントは、マウスピースセグメントの上流端までずっと延びる空洞を画定し、また通気ゾーンは中空の管状セグメントに沿った場所に提供されている。加えて、中空管セグメントの相当内径は、少なくとも約5ミリメートルである。
【0027】
マウスピースセグメントの上流端までずっと延びる空洞を画定する中空の管状要素が、エアロゾル発生基体のロッドとマウスピースの間に配設されているエアロゾル発生物品を提供することによって、物品の全体的な構造的複雑さは、既存のエアロゾル発生物品と比べて、著しく低減される場合がある。これは有利なことに、製造プロセスを簡略化し、かつ製造プロセスを実施するために必要な製造用および組み合わせ用器具の複雑さを低減する。
【0028】
こうしたエアロゾル発生物品の一つは、例えば国際特許公開公報第2013/120565号に記載されたエアロゾル発生物品の場合の通り、エアロゾル発生物品を通して引き出されたエアロゾルの流れの温度を下げるために適合されたエアロゾル冷却要素を必ずしも備えない。
【0029】
発明者らは、物品の加熱に伴い発生された、かつ中空の管状要素を通して引き出されたエアロゾルの流れの満足のいく冷却は、中空の管状セグメントに沿った場所に通気ゾーンを提供することによって達成されることを見いだした。さらに、発明者らは驚くべきことに、少なくとも約5ミリメートルの相当内径を有する中空の管状セグメントを利用することによって、通気空気を物品の中に入れることによって生じるエアロゾル希釈の増加の影響に対抗することが可能である場合があることを見いだした。
【0030】
理論に束縛されることを望むものではないが、エアロゾルがマウスピースセグメントに向かって移動する際に、通気空気の導入によってエアロゾルの流れの温度が急速に下げられるため、通気空気は中空の管状セグメントの上流端に比較的に近い(すなわち、熱源およびエアロゾル発生基体のロッドに十分に近い)場所でエアロゾルの流れの中に入り、エアロゾルの流れの劇的な冷却が達成され、これがエアロゾル粒子の凝縮および核形成に有利な影響を及ぼすと仮定される。その結果、エアロゾル粒子相とエアロゾル気相との全体的な比率は、既存の無通気のエアロゾル発生物品と比較して高められる場合がある。
【0031】
同時に、5ミリメートル以上の相当内径を有する中空の管状要素を利用することは、中空の管状要素の全体的な内部容積(これはエアロゾル構成要素がエアロゾル発生基体のロッドを離れるとすぐにエアロゾルが核形成プロセスを開始するために利用される)と、中空の管状セグメントの断面表面積とが実質的に最大化されることを確実にする一方で、同時に、中空の管状セグメントが、エアロゾル発生物品の崩壊を防止するだけでなく、エアロゾル発生基体のロッドに対してある程度の支持を提供するのにも必要な構造的強度を有することと、中空の管状セグメントのRTDが最小化されることとを確実にする。中空の管状セグメントの空洞の断面表面積のより大きい値は、エアロゾル発生物品に沿って移動するエアロゾルの流れの低減された速度に関連付けられ、これはエアロゾルの核形成に有利に働くものと理解される。実際に、理論に束縛されることを望むものではないが、本発明による物品での場合の通り、こうした大きい容積の一つを有する空洞を提供することによって、冷却チャンバーは、エアロゾルの流れを減速させることによって核形成現象が強化されるため、物品の口側端の上流のエアロゾル粒子の凝縮に有利である範囲内で実質的に提供される。
【0032】
エアロゾル発生基体のロッドの下流に十分に幅広の管状の空洞を提供することは、使用中の十分な量のエアロゾルの形成に有利に働くと理解される。その結果、発生されたエアロゾル粒子のより大きい割合が、物品の口側端に到達する前に凝縮し始める。
【0033】
実際に、発明者らは驚くべきことに、本発明によるエアロゾル発生物品でエアロゾル送達の満足のいく値が一貫して達成されるように、高められた核形成の有利な効果が、どのように希釈のあまり望ましくない効果に著しく対抗するかを見いだした。これは、エアロゾル発生基体のロッドの長さが約40ミリメートル未満、好ましくは25ミリメートル未満、なおより好ましくは20ミリメートル未満である、またはエアロゾル発生物品の全長が約70ミリメートル未満、好ましくは約60ミリメートル未満、なおより好ましくは50ミリメートル未満であるなどの、「短い」エアロゾル発生物品に特に有利である。理解される通り、こうしたエアロゾル発生物品において、エアロゾル形成のための時間および空間、およびエアロゾルの粒子相が消費者への送達のために利用可能となるための時間および空間がほとんどない。
【0034】
さらに、中空の管状要素は実質的にエアロゾル発生物品のRTDに寄与しないため、本発明によるエアロゾル発生物品において、エアロゾル発生基体のロッドの長さおよび密度、またはマウスピースの濾過材料のセグメントの長さおよび密度を調整することによって、物品の全体的なRTDは有利なことに微調整されることができる。これは、通気の存在下でさえも、満足のいくレベルのRTDを消費者に提供できるように、所定のRTDを有するエアロゾル発生基体を一貫してかつ非常に正確に製造することを可能にする。
【0035】
本発明によるエアロゾル発生物品は、高速で効率的に実行することができる連続的なプロセスで製造されることができ、かつ製造設備の広範な修正を必要とすることなく、加熱式エアロゾル発生物品の製造用の既存の生産ラインで都合よく製造されることができる。
【0036】
エアロゾル発生基体のロッドは、エアロゾル発生物品の外径にほぼ等しい外径を有することが好ましい。
【0037】
エアロゾル発生基体のロッドは、少なくとも5ミリメートルの外径を有することが好ましい。エアロゾル発生基体のロッドは、約5ミリメートル~約12ミリメートルの外径、例えば約5ミリメートル~約10ミリメートルの外径、または約6ミリメートル~約8ミリメートルの外径を有してもよい。好ましい一実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは7.2ミリメートル±10パーセント以内の外径を有する。
【0038】
エアロゾル発生基体のロッドは、約5ミリメートル~約100mmの長さを有してもよい。エアロゾル発生基体のロッドは、少なくとも約5ミリメートルの長さを有することが好ましく、少なくとも約7ミリメートルの長さを有することがより好ましい。加えて、または代替として、エアロゾル発生基体のロッドは、約80ミリメートル未満の長さを有することが好ましく、約65ミリメートル未満の長さを有することがより好ましく、約50ミリメートル未満の長さを有することがなおより好ましい。特に好ましい実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは、約35ミリメートル未満の長さを有し、25ミリメートル未満の長さを有することがより好ましく、約20ミリメートル未満の長さを有することがなおより好ましい。一実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは、約10ミリメートルの長さを有してもよい。好ましい一実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは、約12ミリメートルの長さを有する。
【0039】
エアロゾル発生基体のロッドは、ロッドの長さに沿って実質的に均一な断面を有することが好ましい。エアロゾル発生基体のロッドは、実質的に円形の断面を有することが特に好ましい。
【0040】
好ましい実施形態において、エアロゾル発生基体は、一つ以上の均質化したたばこ材料のシートの集合体を含む。一つ以上の均質化したたばこ材料のシートは、テクスチャ加工されていることが好ましい。本明細書で使用される「テクスチャ加工されたシート」という用語は、捲縮された、エンボス加工された、デボス加工された、穿孔された、またはその他の方法で変形されたシートを意味する。本発明で使用する均質化したたばこ材料のテクスチャ加工されたシートは、複数の離隔したへこみ、突出部、穿孔、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。本発明の特に好ましい一実施形態によると、エアロゾル発生基体のロッドは、ラッパーによって囲まれた均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。
【0041】
本明細書で使用される「捲縮したシート」という用語は、「しわ付けしたシート」という用語と実質的に同義語であることが意図されていて、また複数の実質的に平行な隆起または波形を有するシートを意味する。均質化したたばこ材料の捲縮したシートは、本発明によるロッドの円筒軸に実質的に平行な複数の隆起または波形を有することが好ましい。これは有利なことに、ロッドを形成するための均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合を容易にする。しかし、当然のことながら、本発明で使用する均質化したたばこ材料の捲縮したシートは別の方法として、または追加的に、ロッドの円筒軸に対して鋭角または鈍角で配置された複数の実質的に平行な隆起または波形を有する。ある特定の実施形態において、本発明の物品のロッドで使用する均質化したたばこ材料のシートは、実質的にその表面全体にわたって実質的に均等にテクスチャ加工されてもよい。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品で使用するロッドの製造に使用する均質化したたばこ材料の捲縮したシートは、シートの幅にわたって実質的に均一に離隔した複数の実質的に平行な隆起または波形を含んでもよい。
【0042】
本発明で使用する均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、乾燥重量基準で少なくとも約40重量パーセントのたばこ含有量を有してもよく、乾燥重量基準で少なくとも約60重量パーセントのたばこ含有量を有することがより好ましく、乾燥基準で少なくとも約70重量パーセントのたばこ含有量を有することがより好ましく、乾燥重量基準で少なくとも約90重量パーセントのたばこ含有量を有することが最も好ましい。
【0043】
エアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、粒子状たばこを凝集するのを補助するために、一つ以上の内因性結合剤(すなわち、たばこ内因性結合剤)、一つ以上の外因性結合剤(すなわち、たばこ外因性結合剤)、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料のシートは、たばこ繊維および非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶媒、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない他の添加物を含んでもよい。
【0044】
エアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料のシートまたはウェブに含める適切な外因性結合剤は当業界で周知であり、ガム(例えばグアーガム、キサンタンガム、アラビアゴム、およびローカストビーンガムなど)、セルロース系結合剤(例えばヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、およびエチルセルロースなど)、多糖類(例えばデンプン、有機酸(アルギン酸など)、有機酸の共役塩基塩(アルギン酸ナトリウムなど)、寒天、ペクチンなど)、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0045】
エアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料のシートまたはウェブに含めるための適切な非たばこ繊維は当業界で周知であり、セルロース繊維、針葉樹繊維、広葉樹繊維、ジュート繊維、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。エアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料のシートに含める前に、非たばこ繊維は、当業界で周知の適切なプロセスによって処理されてもよく、プロセスには機械パルプ化、精製、化学パルプ化、漂白、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、エアロゾル形成体を含むことが好ましい。本明細書で使用される「エアロゾル形成体」という用語は、使用時にエアロゾルの形成を容易にする、かつエアロゾル発生物品の動作温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性である、任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物を記述する。
【0047】
適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、トリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これらに限定されない。
【0048】
好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、および最も好ましくはグリセリンなど)またはこれらの混合物である。
【0049】
均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、単一のエアロゾル形成体を含んでもよい。別の方法として、均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、二つ以上のエアロゾル形成体の組み合わせを含んでもよい。
【0050】
均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、乾燥重量基準で10パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を有する。均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、乾燥重量基準で12パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を有することが好ましい。均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、乾燥重量基準で14パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を有することがより好ましい。均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、乾燥重量基準で16パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を有することがなおより好ましい。
【0051】
均質化したたばこ材料のシートは、乾燥重量基準でおよそ10パーセント~およそ30パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、乾燥重量基準で25パーセント未満のエアロゾル形成体含有量を有することが好ましい。
【0052】
好ましい一実施形態において、均質化したたばこ材料のシートは、乾燥重量基準でおよそ20パーセントのエアロゾル形成体含有量を有する。
【0053】
本発明のエアロゾル発生物品で使用する均質化したたばこのシートまたはウェブは、当業界で周知の方法(例えば国際特許公開公報第A-2012/164009 A2号で開示されている方法)によって作製されてもよい。好ましい一実施形態において、エアロゾル発生物品で使用する均質化したたばこ材料のシートはキャストプロセスによって、粒子状たばこ、グアーガム、セルロース繊維、およびグリセリンを含むスラリーから形成されている。
【0054】
エアロゾル発生物品で使用するロッド中の均質化したたばこ材料の代替的な配設は当業者に周知であり、また均質化したたばこ材料の複数の積み重ねられたシート、長軸方向軸を中心として均質化したたばこ材料の細片を巻き取ることによって形成された複数の細長い管状要素等を含んでもよい。
【0055】
さらなる代替として、エアロゾル発生基体のロッドは、ニコチン(例えば、ニコチン塩の形態のもの)およびエアロゾル形成体を装填した吸収材非たばこ材料のシートなど、非たばこ由来のニコチンを有する材料を含んでもよい。こうしたロッドの例は、国際出願第WO-A-2015/052652号に記載されている。加えて、または代替として、エアロゾル発生基体のロッドは、香りの良い非たばこ植物材料などの非たばこ植物材料を含んでもよい。
【0056】
本発明による物品のエアロゾル発生基体のロッドにおいて、エアロゾル発生基体はラッパーによって囲まれていることが好ましい。ラッパーは多孔性または非多孔性のシート材料で形成されてもよい。ラッパーは任意の適切な材料または材料の組み合わせで形成されてもよい。ラッパーは紙ラッパーであることが好ましい。
【0057】
マウスピースセグメントは、粒子状の構成要素、気体状の構成要素、または組み合わせを除去する能力を有する濾過材料のプラグを備える。適切な濾過材料は当業界で周知であり、繊維質の濾過材料(例えば、セルロースアセテートトウ、ビスコース繊維、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)繊維、ポリ乳酸(PLA)繊維、紙など)、吸着剤(例えば活性化アルミナ、ゼオライト、分子ふるい、シリカゲルなど)、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。加えて、濾過材料のプラグは、一つ以上のエアロゾル修飾剤をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル修飾剤は当業界で周知であり、例えばメントールなどの風味剤を含むが、これに限定されない。一部の実施形態において、マウスピースは、濾過材料のプラグの下流に口側端の陥凹部をさらに含んでもよい。一例として、マウスピースは、濾過材料のプラグと長軸方向に整列されて配設、かつ濾過材料のプラグのすぐ下流に配設された中空管を含んでもよく、中空管は、マウスピースおよびエアロゾル発生物品の下流端で外部環境に対して開放している口側端に空洞を形成する。
【0058】
マウスピースの長さは少なくとも約4ミリメートルであることが好ましく、少なくとも約6ミリメートルであることがより好ましく、少なくとも約8ミリメートルであることがなおより好ましい。加えて、または代替として、マウスピースの長さは25ミリメートル未満であることが好ましく、20ミリメートル未満であることがより好ましく、15ミリメートル未満であることがなおより好ましい。一部の好ましい実施形態において、マウスピースの長さは約4ミリメートル~約25ミリメートルであり、約6ミリメートル~約20ミリメートルであることがより好ましい。例示的な一実施形態において、マウスピースの長さは約7ミリメートルである。別の例示的な一実施形態において、マウスピースの長さは約12ミリメートルである。
【0059】
中空の管状セグメントは、エアロゾル発生物品内の空隙を区切り、画定する環状管であることが好ましい。実際に、中空の管状セグメントは、エアロゾル発生基体の加熱に伴い放出された揮発したエアロゾル構成要素を蓄積し、かつ中に流す、チャンバーを提供する。簡潔に上述した通り、このチャンバーは、長軸方向にマウスピースの上流端までずっと延びる。これは、中空の管状セグメントとマウスピースの間に中間要素が提供されないことを意味し、またエアロゾル発生物品を通って流れるエアロゾルが中空の管状セグメントの下流端に到達すると、エアロゾル発生物品を通って流れるエアロゾルは実質的に、マウスピースの上流端にも到達することを意味する。より詳細には、エアロゾル発生物品を通って流れるエアロゾルは概して、マウスピースの濾過材料のセグメントの上流端に到達する。
【0060】
それ故に、本発明によるエアロゾル発生物品において、中空の管状セグメントはエアロゾル発生基体のロッドを、マウスピースから所定の距離に維持し、かつエアロゾルを形成してマウスピースに向かって流すための細長い気流導管を提供する。使用中、この気流導管に沿って熱勾配が確立される。実際に、温度差は、上流端にて中空の管状セグメントに入る揮発したエアロゾル構成要素の温度が、下流端(すなわち、マウスピースの上流端)で中空の管状セグメントを出る揮発したエアロゾル構成要素の温度よりも高いように、提供されている。
【0061】
その一方で、中空の管状セグメントは、エアロゾル発生物品の製造中に中空の管状セグメントに印加される場合がある任意の軸方向の圧縮荷重または曲げモーメントに耐えることが必要とされる。さらに、中空の管状セグメントは、消費者によって簡単に取り扱われ、かつ使用のためにエアロゾル発生装置の中に挿入されるように、エアロゾル発生物品に対して構造的強度を付与することが必要とされる。その一方で、エアロゾルの形成に有利に働き、かつエアロゾルの消費者への送達を高めるように、中空の管状要素によって内部に画定されたチャンバーの全体的な容積は、できるだけ大きいことが望ましい。
【0062】
これらの要件を満たすために、簡潔に上述した通り、中空の管状セグメントの相当内径は少なくとも約5ミリメートルである。「相当内径」という用語は本明細書において、中空の管状セグメントによって内部に画定された気流導管の断面と同一の表面積を有する円の直径を意味するために使用される。気流導管の断面は、任意の適切な形状を有してもよい。しかしながら、簡潔に上述した通り、円形断面が好ましく、すなわち中空の管状セグメントは実質的に円筒状の管である。その場合、中空の管状セグメントの相当内径は実質的に、円筒状の管の内径と一致する。
【0063】
中空の管状セグメントの相当内径は、少なくとも約5.25ミリメートルであることがより好ましく、少なくとも約5.5ミリメートルであることがなおより好ましい。一部の実施形態において、中空の管状セグメントの相当内径は少なくとも約6ミリメートル、または少なくとも約6.5ミリメートル、または少なくとも約7ミリメートルである。
【0064】
加えて、中空の管状セグメントの相当内径は、約10ミリメートル未満であることが好ましい。中空の管状セグメントの相当内径は、約9.5ミリメートル未満であることがより好ましく、9ミリメートル未満であることがなおより好ましい。
【0065】
中空の管状セグメントの相当内径は、通気ゾーンの場所で測定される。
【0066】
好ましい実施形態において、中空の管状セグメントの相当内径は、中空の管状セグメントの長さに沿って実質的に一定である。他の実施形態において、中空の管状セグメントの相当内径は、中空の管状セグメントの長さに沿って変化してもよい。
【0067】
発明者らは驚くべきことに、上述の範囲内の相当内径を有する中空の管状セグメントを備える本発明によるエアロゾル発生物品が、特に満足のいくエアロゾル送達の値を提供することが可能であることを見いだした。理論に束縛されることを望むものではないが、上述の範囲内に収まる相当内径を有する中空の管状セグメントに沿って流れるエアロゾルの流れは、入ってくるより冷たい通気空気の流れがエアロゾルの流れの中に受けられ、かつこれと混合される時に、比較的に低速の流れを生じさせると仮定される。エアロゾルの流れが中空の管状セグメントに沿って比較的にゆっくりと進行するため、こうした条件の下でエアロゾルの核形成に及ぼされる有利な冷却の影響は、最大化されることが期待される。
【0068】
中空の管状セグメントの相当内径は、中空の管状セグメントの長さに沿って実質的に一定であることが好ましい。しかしながら、一部の実施形態において、中空の管状セグメントの断面表面積は、中空の管状セグメントの長さに沿って変化する場合がある。こうした実施形態において、相当内径は、通気ゾーンの場所で測定される。
【0069】
好ましい実施形態において、中空の管状セグメントの周辺壁の厚さは1.5ミリメートル未満である。中空の管状セグメントの周辺壁の厚さは、1250マイクロメートル未満であることがより好ましく、1000マイクロメートル未満であることがなおより好ましく、900マイクロメートル未満であることが最も好ましい。特に好ましい実施形態において、中空の管状セグメントの周辺壁の厚さは、800マイクロメートル未満である。
【0070】
加えて、または代替として、中空の管状セグメントの周辺壁の厚さは、少なくとも約100マイクロメートルである。中空の管状セグメントの周辺壁の厚さは、少なくとも約200マイクロメートルであることが好ましい。
【0071】
理論に束縛されることを望むものではないが、上述の範囲内に収まる厚さの周辺壁を有する中空の管状セグメントを利用することによって、有利なことに、エアロゾルの流れとのその接触および混合の前に、通気空気の拡散を制限すること、または実質的に防止することさえも可能であると思われる。これは、さらに有利な核形成現象であると理解される。実際に、中空の管状セグメントを通して引き出される揮発した種の流れのより制御可能に局所化された冷却を提供することによって、新しいエアロゾル粒子の形成に対する冷却の効果を高めることが可能である。
【0072】
簡潔に上述した通り、本発明によるエアロゾル発生物品は、中空の管状セグメントに沿った場所に通気ゾーンを備える。通気ゾーンは、中空の管状セグメントの上流端から約18ミリメートル未満の場所に提供されていることが好ましい。通気ゾーンと中空の管状セグメントの上流端との間の距離は、約15ミリメートル未満であることが好ましい。通気ゾーンと中空の管状セグメントの上流端との間の距離は、約10ミリメートル未満であることがなおより好ましい。
【0073】
加えて、または代替として、通気ゾーンと中空の管状セグメントの上流端との間の距離は、少なくとも2ミリメートルであることが好ましい。通気ゾーンと中空の管状セグメントの上流端との間の距離は、少なくとも約4ミリメートルであることがより好ましい。通気ゾーンと中空の管状セグメントの上流端との間の距離は、少なくとも約6ミリメートルであることがなおより好ましい。
【0074】
通気ゾーンは、中空の管状セグメントに沿った、マウスピースの上流端から少なくとも2ミリメートルの場所に提供されていることが好ましい。通気ゾーンは、中空の管状セグメントに沿った、マウスピースの上流端から少なくとも4ミリメートルの場所に提供されていることが好ましい。通気ゾーンは、中空の管状セグメントに沿った、マウスピースの上流端から少なくとも6ミリメートルの場所に提供されていることがなおより好ましい。
【0075】
エアロゾル発生物品を通って流れる空気とエアロゾル粒子の混合物が通気ゾーンに到達すると、通気ゾーンを介して中空の管状セグメントの中に引き出された外気がエアロゾルと混合する。これは、エアロゾル混合物の温度を急速に低減させる一方で、空気とエアロゾル粒子の混合物を部分的に希釈する。下記でより詳細に考察される通り、しかしながら上述の範囲内に収まるマウスピースセグメントの上流端からのある距離に通気ゾーンを提供することによって、マウスピースのすぐ上流に冷却チャンバーが実質的に提供され、核形成およびエアロゾル粒子の成長に有利である。このように、中空の管状セグメントの中に入る通気空気の希釈効果は少なくとも部分的に対抗され、これは有利なことに、消費者にとって満足のいくエアロゾル送達レベルの提供を可能にする。
【0076】
一部の実施形態において、通気ゾーンと中空の管状セグメントの上流端との間の距離と、通気ゾーンの場所での中空の管状セグメントの相当内径との比は、4未満である。通気ゾーンと中空の管状セグメントの上流端との間の距離と、通気ゾーンの場所での中空の管状セグメントの相当内径との比は、3.5未満であることが好ましい。通気ゾーンと中空の管状セグメントの上流端との間の距離と、通気ゾーンの場所での中空の管状セグメントの相当内径との比は、3未満であることがより好ましい。通気ゾーンと中空の管状セグメントの上流端との間の距離と、通気ゾーンの場所での中空の管状セグメントの相当内径との比は、2.5未満であることがなおより好ましい。
【0077】
特に好ましい実施形態において、通気ゾーンと中空の管状セグメントの上流端との間の距離と、通気ゾーンの場所での中空の管状セグメントの相当内径との比は、2未満であり、1.5未満であることがより好ましく、1.2未満であることがなおより好ましい。
【0078】
通気ゾーンは、中空の管状セグメントに沿った、マウスピースセグメントの下流端から少なくとも10ミリメートルの場所に提供されていることが好ましい。通気ゾーンは、中空の管状セグメントに沿った、マウスピースセグメントの下流端から少なくとも12ミリメートルの場所に提供されていることがより好ましい。通気ゾーンは、中空の管状セグメントに沿った、マウスピースセグメントの下流端から少なくとも15ミリメートルの場所に提供されていることがなおより好ましい。これは、使用中に、通気ゾーンが消費者の唇によって閉塞されないことを確実にするという点で有利である。
【0079】
加えて、または代替として、通気ゾーンは、中空の管状セグメントに沿った、マウスピースセグメントの下流端から25ミリメートル未満の場所にあることが好ましい。通気ゾーンは、中空の管状セグメントに沿った、マウスピースセグメントの下流端から20ミリメートル未満の場所にあることがより好ましい。これは有利なことに、使用中に、エアロゾル発生物品が電気加熱式のエアロゾル発生装置の加熱チャンバー内に受容されている時に、冷たい外気が中空の管状セグメントの中に簡単に引き出されることができるように、通気ゾーンが実質的に、加熱チャンバーの外側に突出する中空の管状セグメントに沿った場所にあることを確実にする。
【0080】
一部の好ましい実施形態において、通気ゾーンは、中空の管状セグメントに沿った、マウスピースセグメントの下流端から約10ミリメートル~約25ミリメートル、より好ましくはマウスピースセグメントの下流端から約12ミリメートル~約20ミリメートルの場所に提供されている。例示的な一実施形態において、通気ゾーンは、中空の管状セグメントに沿った、マウスピースセグメントの下流端から18ミリメートルの場所に提供されている。別の例示的な一実施形態において、通気ゾーンは、中空の管状セグメントに沿った、マウスピースセグメントの下流端から13ミリメートルの場所に提供されている。
【0081】
エアロゾル発生物品は典型的に、少なくとも約10パーセント、好ましくは少なくとも約20パーセントの通気レベルを有してもよい。
【0082】
好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品は、少なくとも約30パーセントの通気レベルを有する。エアロゾル発生物品は、少なくとも約35パーセントの通気レベルを有することがより好ましい。加えて、または代替として、エアロゾル発生物品は、約60パーセント未満の通気レベルを有することが好ましい。エアロゾル発生物品は、約50パーセント未満の通気レベルを有することがより好ましい。特に好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品は、約30パーセント~約60パーセントの通気レベルを有する。エアロゾル発生物品は、約35パーセント~約50パーセントの通気レベルを有することがより好ましい。一部の特に好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品は、約40パーセントの通気レベルを有する。
【0083】
理論に束縛されることを望むものではないが、発明者らは、より冷たい外気を、通気ゾーンを介して中空の管状セグメントの中に入れることによって生じる温度低下が、エアロゾル粒子の核形成および成長に有利な効果を及ぼす場合があることを見いだした。
【0084】
様々な化学種を含有する気体状混合物からのエアロゾルの形成は、蒸気濃度、温度および速度場の変化を説明する、核形成と、蒸発と、凝縮と、さらには融合との間の繊細な相互作用に依存する。いわゆる古典的な核形成理論は、気相中の分子の一部が、十分な確率で(例えば、1/2の確率など)長時間にわたりコヒーレントなままであるように十分に大きいという想定に基づいている。これらの分子は、一時的な分子凝集体の中のある種類の臨界の、閾値分子クラスターを表し、これは、より小さい分子クラスターが概して、やや迅速にガス相へと分解しやすく、一方でより大きいクラスターが概して、成長しやすいことを意味している。こうした臨界クラスターは、蒸気からの分子の凝縮に起因して液滴が成長することが期待される、主要な核形成コアとして特定される。核形成されたばかりの未処理の液滴は、ある特定の本来の直径を有して出現し、その後、数桁で成長する場合があると想定される。これは、凝縮を誘起する、周囲の蒸気の急速な冷却によって促進され、かつ強化される場合がある。この点について、蒸発および凝縮は、一つの同一のメカニズム、すなわち気液の物質移動の二つの側面であることを念頭におくことが役立つ。蒸発は液滴から気相への正味の物質移動に関連し、凝縮は気相から液滴相への正味物質移動である。蒸発(または凝縮)によって、液滴が縮小(または成長)するが、液滴の数は変化しない。
【0085】
このシナリオにおいて(シナリオは融合現象によってさらに複雑である場合)、冷却の温度および速度は、システムがどのように応答するかを決定する上で重要な役割を果たす場合がある。一般に、核形成プロセスが典型的に非線形であるため、異なる冷却速度は、液相(液滴)の形成に関して、著しく異なる温度挙動につながる場合がある。理論に束縛されることを望むものではないが、冷却は液滴の凝縮数の急速な増加を生じさせることができ、その後、この成長の短期間の強力な増加が続く(核形成バースト)と仮定される。この核形成バーストは、より低い温度にて、より著しいと思われる。さらに、より速い冷却速度は、早期の核形成の開始に有利に働く場合があると思われる。対照的に、冷却速度の低減は、エアロゾル液滴が最終的に到達する最終的なサイズに有利な効果を及ぼすと思われる。
【0086】
従って、通気ゾーンを介して中空の管状セグメントの中に外気を入れることによって誘起された急速な冷却は、エアロゾル液滴の有利な核形成および成長に有利なように使用することができる。しかしながら、同時に、中空の管状セグメントの中に外気を入れることは、消費者に送達されるエアロゾルの流れの希釈という直接の欠点を有する。
【0087】
発明者らは驚くべきことに、エアロゾルに対する希釈効果(これは、特に、エアロゾル形成体としてエアロゾル発生基体中に含まれるグリセリンの送達に及ぼす効果を測定することによって評価することができる)が、通気レベルが30パーセント~50パーセントである時に、有利なことに最小化されることを見いだした。特に、35パーセント~42パーセントの通気レベルが、特に満足のいくグリセリン送達の値につながることが見いだされた。
【0088】
加えて、発明者らは、本発明によるエアロゾル発生物品において、上述の中空の管状セグメントによって画定された導管に沿った場所で通気空気を入れることによって生じる冷却および希釈効果には、フェノール含有種の発生および送達に驚くべき低減効果があることを見いだした。
【0089】
通気ゾーンは、中空の管状セグメントの周辺壁を通して形成された一列以上の穿孔を備えてもよい。通気ゾーンは、一列の穿孔のみを備えることが好ましい。これは、中空管セグメントによって画定された空洞の短い部分にわたる通気によってもたらされた冷却効果を凝縮させることによって、エアロゾルの核形成をさらに高めることが可能であるという点で有利であると理解される。これは、揮発した種の流れの、より高速でより劇的な冷却が、エアロゾル粒子の新たな核の形成に特に有利に働くことが期待されるからである。
【0090】
一列以上の穿孔は、中空管の壁の周りに円周方向に配置されていることが好ましい。通気ゾーンが、中空の管状セグメントの周辺壁を通して形成された二列以上の穿孔を備える場合、列は中空の管状セグメントに沿って互いに長軸方向に離隔している。一例として、隣接した穿孔の列は、約0.25ミリメートル~0.75ミリメートルの距離だけ互いに長軸方向に離隔していてもよい。
【0091】
通気穿孔のうちの少なくとも一つの相当直径は好ましくは、少なくとも約100マイクロメートルである。通気穿孔のうちの少なくとも一つの相当直径は、少なくとも約150マイクロメートルであることが好ましい。通気穿孔のうちの少なくとも一つの相当直径は、少なくとも約200マイクロメートルであることがなおより好ましい。加えて、または代替として、通気穿孔のうちの少なくとも一つの相当直径は、約500マイクロメートル未満であることが好ましい。通気穿孔のうちの少なくとも一つの相当直径は、約450マイクロメートル未満であることがより好ましい。通気穿孔のうちの少なくとも一つの相当直径は、約400マイクロメートル未満であることがなおより好ましい。「相当直径」という用語は本明細書において、通気穿孔の断面と同一の表面積を有する円の直径を意味するために使用される。通気穿孔の断面は、任意の適切な形状を有してもよい。しかしながら、円形の通気穿孔が好ましい。
【0092】
通気穿孔は均一なサイズのものであってもよい。代替として、通気穿孔はサイズが変化してもよい。通気穿孔の数およびサイズを変化させることによって、消費者が使用中にエアロゾル発生物品のマウスピースを吸う時に、中空の管状セグメントの中に入る外気の量を調整することが可能である。そのため、有利なことに、エアロゾル発生物品の通気レベルを調整することが可能である。
【0093】
通気穿孔は、任意の適切な技法を使用して、例えばレーザー技術、エアロゾル発生物品の一部としての中空の管状セグメントの機械的穿孔、または他の要素と組み合わされてエアロゾル発生物品を形成する前の中空の管状セグメントの事前穿孔によって、形成することができる。通気穿孔は、オンラインレーザー穿孔によって形成されていることが好ましい。
【0094】
中空の管状セグメントの長さは、少なくとも約10ミリメートルであることが好ましい。中空の管状セグメントの長さは、少なくとも約15ミリメートルであることがより好ましい。加えて、または代替として、中空の管状セグメントの長さは、約30ミリメートル未満であることが好ましい。中空の管状セグメントの長さは、約25ミリメートル未満であることがより好ましい。中空の管状セグメントの長さは、約20ミリメートル未満であることがなおより好ましい。一部の好ましい実施形態において、中空の管状セグメントの長さは、約10ミリメートル~約30ミリメートルであり、約12ミリメートル~約25ミリメートルであることがより好ましく、約15ミリメートル~約20ミリメートルであることがなおより好ましい。一例として、特に好ましい一実施形態において、中空の管状セグメントの長さは約18ミリメートルである。別の特に好ましい一実施形態において、中空の管状セグメントの長さは約13ミリメートルである。
【0095】
本発明によるエアロゾル発生物品の全長は、少なくとも約40ミリメートルであることが好ましい。加えて、または代替として、本発明によるエアロゾル発生物品の全長は、約70ミリメートル未満であることが好ましく、60ミリメートル未満であることがより好ましく、50ミリメートル未満であることがなおより好ましい。好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品の全長は、約40ミリメートル~約70ミリメートルである。例示的な一実施形態において、エアロゾル発生物品の全長は約45ミリメートルである。
【0096】
中空の管状セグメントは、実質的に不透気性の材料から形成されていることが好ましい。その結果、中空の管状セグメントを通して引き出された空気およびエアロゾル粒子は強制的に中空の管状セグメントを通ってその上流端からその下流端に流れるが、中空の管状要素の周辺壁を横切って流れることはできない。
【0097】
一部の実施形態において、中空の管状セグメントはラッパーを備え、ラッパーはまた、ロッドおよびマウスピースセグメントを囲む。実際に、上述の範囲内に収まる厚さを有するラッパーは、エアロゾル発生基体のロッドおよびマウスピースセグメントを囲み、かつ接続するために使用され、ラッパーは実質的に、中空の管状要素の周辺壁を形成する。
【0098】
一例として、ロッドとマウスピースセグメントとを接続するこうした結合用ラッパーの一つは、少なくとも約70グラム/平方メートル(gsm)の坪量を有してもよい。ロッドとマウスピースセグメントを接続するこうした結合用ラッパーの一つは、少なくとも約80グラム/平方メートルの坪量を有することが好ましく、少なくとも約90グラム/平方メートルの坪量を有することがより好ましい。特に好ましい実施形態において、ロッドとマウスピースセグメントを接続する結合用ラッパーは、少なくとも約110グラム/平方メートルの坪量を有し、少なくとも約130グラム/平方メートルの坪量を有することがより好ましい。
【0099】
他の実施形態において、中空の管状セグメントは、高分子材料またはセルロース系材料から形成された管を備え、加熱式エアロゾル発生物品は、ロッドと、管と、マウスピースセグメントとを囲むラッパーをさらに備える。一例として、セルロース系材料は、紙または厚紙、またはこれらの混合物を含んでもよい。
【0100】
一例として、中空の管状セグメントは、押出成形されたプラスチック管から形成された管を備えることができる。代替として、中空の管状セグメントは、複数の平行に巻かれた紙の層または複数の渦巻き状に巻かれた紙の層などの、複数の重なり合った紙の層から形成された管を備えてもよい。複数の重なり合った紙の層から管を形成することは、崩壊または変形に対する抵抗力をさらに向上させるために役立てることができる。管は二つ以上の紙の層を備えることが好ましい。別の方法として、または追加的に、管は11層より少ない紙の層を備えることが好ましい。
【0101】
こうした管の一つは、実質的に不透気性の紙を使用することによって、不透気性であるように作製されてもよい。「実質的に不通気性の紙」という用語は本明細書において、ISO2965:2009に従って測定される通り、約20コレスタ単位未満の通気性、より好ましくは約10コレスタ単位未満の通気性、最も好ましくは約5コレスタ単位未満の通気性を有する紙を意味するために使用される。代替として、管における隣接する紙の層は、管に密封特性を付与する接着剤とともに保持されてもよい。
【0102】
管を形成するための適切な材料は当業界で周知であり、セルロースアセテート、固い紙(すなわち、少なくとも90グラム/平方メートルの坪量を有する紙)、セルロース系フィルムなどの高分子フィルム、および厚紙を含むが、これらに限定されない。
【0103】
一部の実施形態において、中空の管状セグメントの重量と中空の管状セグメントによって画定された内部空洞の容積との比は、1ミリグラム/ミリメートル未満であることが好ましい。中空の管状セグメントの重量と中空の管状セグメントによって画定された内部空洞の容積との比は、0.5ミリグラム/立方ミリメートル未満であることがより好ましい。
【0104】
特に好ましい実施形態において、中空の管状セグメントの重量と中空の管状セグメントによって画定された内部空洞の容積との比は、0.25ミリグラム/ミリメートル未満である。中空の管状セグメントの重量と中空の管状セグメントによって画定された内部空洞の容積との比は、0.2ミリグラム/立方ミリメートル未満であることがより好ましい。中空の管状セグメントの重量と中空の管状セグメントによって画定された内部空洞の容積との比は、0.1ミリグラム/立方ミリメートル未満であることがなおより好ましい。
【0105】
中空の管状セグメントの重量と上述の範囲内に収まる中空の管状セグメントによって画定された内部空洞の容積との比を有する中空の管状セグメントにおいて、空洞の容積が有利なことに最大化される一方、中空の管状セグメントがエアロゾル発生物品の全体的な構造的強度に寄与し、かつエアロゾル発生基体のロッドをマウスピースから離隔して実質的に維持することを確実にする。
【0106】
例示的な一実施形態において、中空の管状セグメントは、7ミリメートルの相当内径を有し、かつ110gsmの坪量を有するラッパーから形成されていて、重量は2.5ミリグラム/ミリメートルである。こうした中空の管状セグメントの一つについて、中空の管状セグメントの重量と中空の管状セグメントによって画定された内部空洞の容積との比は、約0.065ミリグラム/立方ミリメートルである。
【0107】
別の例示的な一実施形態において、5.3ミリメートルの相当内径を有する中空の管状セグメントは、9.5ミリグラム/ミリメートルの重量を有するセルロースアセテート管として提供されてもよい。こうした中空の管状セグメントの一つについて、中空の管状セグメントの重量と中空の管状セグメントによって画定された内部空洞の容積との比は、約0.43ミリグラム/立方ミリメートルである。
【0108】
本発明によるエアロゾル発生物品において、中空の管状セグメントが実質的に空であり、そのため実質的に全体的なRTDにわずかに寄与するのみであるため、物品の全体的なRTDは本質的に、ロッドのRTDおよびマウスピースのRTDに依存する。実際に、中空の管状セグメントは、およそ0ミリメートルH2O(約00Pa)~およそ20mミリメートルH2O(約200Pa)の範囲のRTDを発生させるように適合される場合がある。中空の管状セグメントは、およそ0ミリメートルH2O(約00Pa)~およそ10ミリメートルH2O(約100Pa)のRTDを発生させるように適合されていることが好ましい。
【0109】
エアロゾル発生物品は、約90ミリメートルH2O(約900Pa)未満の全体的なRTDを有することが好ましい。エアロゾル発生物品は、約80ミリメートルH2O(約800Pa)未満の全体的なRTDを有することがより好ましい。エアロゾル発生物品は、約70ミリメートルH2O(約700Pa)未満の全体的なRTDを有することがなおより好ましい。
【0110】
加えて、または代替として、エアロゾル発生物品は、少なくとも約30ミリメートルH2O(約300Pa)の全体的なRTDを有することが好ましい。エアロゾル発生物品は、少なくとも約40ミリメートルH2O(約400Pa)の全体的なRTDを有することがより好ましい。エアロゾル発生物品は、少なくとも約50ミリメートルH2O(約500Pa)の全体的なRTDを有することがなおより好ましい。
【0111】
エアロゾル発生物品のRTDは、ISO3402で定義された通りの試験条件下で、マウスピースを通して安定した空気の体積流量17.5ml/sを維持するために、マウスピースの下流端に印加される必要がある陰圧として評価されてもよい。上記に列挙したRTDの値は、通気ゾーンの穿孔を遮断することなく、エアロゾル発生物品上でそれ自体に対して(すなわち、物品をエアロゾル発生装置の中に挿入する前に)測定されることが意図されている。
【0112】
例えば、エアロゾル発生物品の十分に高いRTDを達成するために望ましい場合、または必要な場合、マウスピースの濾過材料の長さおよび密度(フィラメント当たりデニールの計数)は調整されてもよい。加えて、または代替として、追加的なフィルターセクションがエアロゾル発生物品に含まれてもよい。一例として、こうした追加的なフィルターセクションは、エアロゾル発生基体のロッドと中空の管状セグメントとの間に含まれてもよい。こうした追加的なフィルターセクションは、例えばセルロースアセテートなどの濾過材料を含むことが好ましい。追加的なフィルターセクションの長さは、約4ミリメートル~約8ミリメートルであることが好ましく、約5ミリメートル~約7ミリメートルであることが好ましい。
【0113】
一部の実施形態において、本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドと中空の管状セグメントとの間に配設された、およびこれらと長軸方向に整列されて配設された、追加的な支持要素を備えてもよい。より詳細には、支持要素は、ロッドのすぐ下流に、かつ中空の管状要素のすぐ上流に提供されていることが好ましい。
【0114】
支持要素は、管状要素として提供されている。支持要素は任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されてもよい。例えば、支持要素は、セルロースアセテート、厚紙、捲縮した紙(捲縮した耐熱紙または捲縮した硫酸紙など)、および高分子材料(低密度ポリエチレン(LDPE)など)から成る群から選択される一つ以上の材料から形成されてもよい。好ましい実施形態において、支持要素は中空のセルロースアセテート管として提供されている。
【0115】
支持要素はエアロゾル発生物品の外径とほぼ等しい外径を有することが好ましい。支持要素は、約5ミリメートル~約12ミリメートルの外径、例えば約5ミリメートル~約10ミリメートルの外径、または約6ミリメートル~約8ミリメートルの外径を有してもよい。好ましい一実施形態において、支持要素は約7.2ミリメートルの外径を有する。
【0116】
支持要素の周辺壁は、少なくとも1ミリメートルの厚さを有してもよく、少なくとも約1.5ミリメートルの厚さを有することが好ましく、少なくとも約2ミリメートルの厚さを有することがより好ましい。
【0117】
支持要素は、約5ミリメートル~約15ミリメートルの長さを有してもよい。好ましい一実施形態において、支持要素は約8ミリメートルの長さを有する。
【0118】
エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の中へのエアロゾル発生装置の発熱体の挿入中に、ユーザーは、エアロゾル発生装置の発熱体の挿入に対するエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の抵抗に打ち勝つためにいくらかの力を加えることが必要とされる場合がある。これは、エアロゾル発生物品とエアロゾル発生装置の発熱体とのうちの一方または両方に損傷を与える場合がある。加えて、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の中へのエアロゾル発生装置の発熱体の挿入中の力の印加は、エアロゾル発生物品内のエアロゾル形成基体をずらす場合がある。これは結果として、エアロゾル形成基体の中に完全に挿入されていないエアロゾル発生装置の発熱体をもたらす場合があり、これは、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の不均一かつ非効率的な加熱につながる場合がある。支持要素は有利なことに、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の中へのエアロゾル発生装置の発熱体の挿入中の、エアロゾル形成基体の下流への移動に抵抗するように構成されている。
【0119】
通気ゾーンとエアロゾル発生物品の上流端との間の距離は、約50ミリメートル未満であることが好ましい。通気ゾーンとエアロゾル発生物品の上流端との間の距離は、約45ミリメートル未満であることがより好ましい。通気ゾーンとエアロゾル発生物品の上流端との間の距離は、約40ミリメートル未満であることがなおより好ましい。
【0120】
加えて、または代替として、通気ゾーンとエアロゾル発生物品の上流端との間の距離は、少なくとも約12ミリメートルであることが好ましい。通気ゾーンとエアロゾル発生物品の上流端との間の距離は、好ましくは少なくとも約15ミリメートルであることがより好ましい。通気ゾーンとエアロゾル発生物品の上流端との間の距離は、好ましくは少なくとも約20ミリメートルであることがなおより好ましい。特に好ましい実施形態において、通気ゾーンとエアロゾル発生物品の上流端との間の距離は、少なくとも約25ミリメートルであることが好ましい。
【0121】
通気ゾーンとエアロゾル発生基体のロッドの下流端との間の距離は、少なくとも約2ミリメートルであることが好ましい。通気ゾーンとエアロゾル発生基体のロッドの下流端との間の距離は、少なくとも約5ミリメートルであることがより好ましい。通気ゾーンとエアロゾル発生基体のロッドの下流端との間の距離は、少なくとも約10ミリメートルであることがなおより好ましい。一部の特に好ましい実施形態において、通気ゾーンとエアロゾル発生基体のロッドの下流端との間の距離は、少なくとも約15ミリメートルであってもよい。
【0122】
加えて、または代替として、通気ゾーンとエアロゾル発生基体のロッドの下流端との間の距離は、約35ミリメートル未満であることが好ましい。通気ゾーンとエアロゾル発生基体のロッドの下流端との間の距離は、約30ミリメートル未満であることがより好ましい。通気ゾーンとエアロゾル発生基体のロッドの下流端との間の距離は、約25ミリメートル未満であることがなおより好ましい。
【0123】
実際に、通気ゾーンは、中空の管状セグメントによって内部に画定された空洞を、中空の管状セグメントの上流端から通気ゾーンの場所に長軸方向に延びる上流サブ空洞と、通気ゾーンの場所から中空の管状セグメントの下流端に長軸方向に延びる下流サブ空洞とに分割する。理論に束縛されることを望むものではないが、上流サブ空洞において、エアロゾルの流れの揮発した種が中空の管状セグメントに沿って進み、中空の管状セグメントの周辺壁に熱の一部を譲ることによってゆっくりと冷え、それ故にエアロゾル粒子が核形成を始めるものと理解される。一方で、下流サブ空洞において、エアロゾルの流れおよび通気空気は急速に混合され、これはエアロゾルの流れの揮発した種を迅速に冷やし、そのため、エアロゾルがマウスピースに向かって進むのにつれて、新たなエアロゾル粒子の核形成および既存のエアロゾル粒子の成長に有利に働く。
【0124】
上流空洞の長さと下流空洞の長さとの比は、1.5未満であることが好ましい。上流空洞の長さと下流空洞の長さとの比は、1未満であることがより好ましい。上流空洞の長さと下流空洞の長さとの比は、0.67未満であることがなおより好ましい。
【0125】
加えて、または代替として、上流空洞の長さと下流空洞の長さとの間の比は、少なくとも約0.15であることが好ましい。上流空洞の長さと下流空洞の長さとの比は、好ましくは少なくとも約0.2であることがより好ましい。上流空洞の長さと下流空洞の長さとの比は、好ましくは少なくとも約0.35であることがなおより好ましい。
【0126】
同様に、通気ゾーンは、エアロゾル発生物品を二つのセクション(それぞれ通気ゾーンの場所の上流と下流のセクション)に分割する。
【0127】
エアロゾル発生物品の上流セクションの長さとエアロゾル発生物品の下流セクションの長さとの比は、2.5未満であることが好ましい。エアロゾル発生物品の上流セクションの長さとエアロゾル発生物品の下流セクションの長さとの比は、2未満であることがより好ましい。エアロゾル発生物品の上流セクションの長さとエアロゾル発生物品の下流セクションの長さとの比は、1.5未満であることがなおより好ましい。特に好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品の上流セクションの長さとエアロゾル発生物品の下流セクションの長さとの比は、1未満である。
【0128】
加えて、または代替として、エアロゾル発生物品の上流セクションの長さとエアロゾル発生物品の下流セクションの長さとの比は、少なくとも約0.25であることが好ましい。エアロゾル発生物品の上流セクションの長さとエアロゾル発生物品の下流セクションの長さとの比は、少なくとも約0.33であることがより好ましい。エアロゾル発生物品の上流セクションの長さとエアロゾル発生物品の下流セクションの長さとの比は、少なくとも約0.5であることがなおより好ましい。
【0129】
本発明によるエアロゾル発生物品において、物品の全体的なRTDを調整および制御することは有利なことに簡単である。これは、物品の全体的なRTDが、有限の少数の構成要素のRTDに依存し、また通気ゾーンの提供が物品の全体的なRTDの低下に寄与するためである。従って、有利なことに、エアロゾル発生物品間のRTDの変動性を低減する可能性がある。
【0130】
その結果、本発明は上述の通りのエアロゾル発生物品を10個以上含むパックも提供する場合があり、少なくとも10個のエアロゾル発生物品の中で最も高いRTDを有するエアロゾル発生物品のRTDと、少なくとも10個のエアロゾル発生物品の中で最も低いRTDを有するエアロゾル発生物品のRTDとの間の差は、10mmH2O(約100パスカル)未満である。こうしたパックの一つにおいて、少なくとも10個のエアロゾル発生物品の中で最も高いRTDを有するエアロゾル発生物品のRTDと、少なくとも10個のエアロゾル発生物品の中で最も低いRTDを有するエアロゾル発生物品のRTDとの間の差は9mmH2O(約90パスカル)未満であることが好ましく、8mmH2O(約80パスカル)未満であることがより好ましく、7mmH2O(約70パスカル)未満であることがなおより好ましい。
【0131】
以下において、添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0132】
図1図1は、本発明によるエアロゾル発生物品の概略側面断面図を示す。
図2図2は、本発明によるエアロゾル発生物品の別の実施例の概略側面断面図を示す。
図3図3は、本発明によるエアロゾル発生物品のさらなる実施例の概略側面断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0133】
図1に示すエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体のロッド12、中空のセルロースアセテート管14、中空の管状セグメント16、およびマウスピースセグメント18を備える。これらの四つの要素は端と端を接して長軸方向に整列して配設されていて、かつ外側ラッパー20によって囲まれていて、エアロゾル発生物品10を形成する。エアロゾル発生物品10は、口側端22と、口側端22に対して物品の反対側の端に位置する上流の遠位端24とを有する。図1に示すエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体のロッドを加熱するためのヒーターを備える、電気的に作動するエアロゾル発生装置で使用するために特に適切である。
【0134】
エアロゾル発生基体のロッド12は、約12ミリメートルの長さ、および約7ミリメートルの直径を有する。ロッド12は円筒状の形状であり、実質的に円形の断面を有する。ロッド12は、均質化したたばこ材料のシートの集合体を含む。均質化したたばこ材料のシートは、乾燥基準で10重量パーセントのグリセリンを含む。中空のセルロースアセテート管14は、約8ミリメートルの長さ、および1ミリメートルの厚さを有する。
【0135】
マウスピースセグメント18は、フィラメント当たり8デニールのセルロースアセテートトウのプラグを備え、約7ミリメートルの長さを有する。
【0136】
中空の管状セグメント16は、約18ミリメートルの長さを有する円筒状の管として提供されていて、管壁の厚さは約100マイクロメートルである。
【0137】
より詳細には、中空の管状セグメント16は、例えば110gsmの坪量を有する紙から形成されてもよく、45ミリグラムの重量を有する(すなわち、2.5ミリグラム/ミリメートルの長さ)。中空の管状セグメント16の相当内径は、約7ミリメートルである。それ故に、中空の管状セグメント16によって内部に画定された空洞の容積は、約693立方ミリメートルである。そのため、中空の管状セグメントの重量と中空の管状セグメント16によって画定された内部空洞の容積との比は、約0.065である。エアロゾル発生物品10は、マウスピースセグメント18の上流端から約5ミリメートルのところに提供された通気ゾーン26を備える。それ故に、通気ゾーン26は、エアロゾル発生物品の下流端から約12ミリメートルのところにあり、中空の管状セグメントの上流端から約13ミリメートルのところにある。
【0138】
それ故に、通気ゾーン26は、ロッド12の下流端から約21ミリメートルのところにある。図2は、本発明によるエアロゾル発生物品の別の実施例を図示する。図2のエアロゾル発生物品30は、図1のエアロゾル発生物品10と同一の構造を有し、かつ実質的に、ある特定の構成要素の長さのみがエアロゾル発生物品10と異なり、エアロゾル発生物品10と異なる限りにおいて以下で説明する。以下において、同一の構造または機能的働きを有する対応する構成要素について、可能な限り同一の参照番号を使用する。
【0139】
図2のエアロゾル発生物品30において、ロッド12および中空のセルロースアセテート管14は、図1のエアロゾル発生物品10と同一の長さを有する。しかしながら、マウスピースセグメントは、フィラメント当たり11デニールのセルロースアセテートトウのプラグを備え、かつ約12ミリメートルの長さを有し、また中空の管状セグメント14は約13ミリメートルの長さを有する。通気ゾーン26は、マウスピースセグメント18の上流端から約6ミリメートルのところに、かつ中空の管状セグメントの上流端から約7ミリメートルのところに提供されている。それ故に、通気ゾーン26は、ロッド12の下流端から約15ミリメートルのところにある。
【0140】
図2の実施形態において、中空の管状セグメント16は、例えば約18ミリメートルの長さ、および約1ミリメートルの周辺壁厚さを有するセルロースアセテートの円筒状管として提供されてもよく、重量は171ミリグラムである(すなわち、9.5ミリグラム/ミリメートルの長さ)。
【0141】
中空の管状セグメント16の相当内径は、約5.3ミリメートルであってもよい。それ故に、中空の管状セグメント16によって内部に画定された空洞の容積は、約397立方ミリメートルである。そのため、中空の管状セグメントの重量と中空の管状セグメント16によって画定された内部空洞の容積との比は、約0.43である。図3は、本発明によるエアロゾル発生物品のまた別の実施例を図示する。図3のエアロゾル発生物品40は、支持要素として中空のセルロースアセテート管を含まないという点で、図1のエアロゾル発生物品10および図2のエアロゾル発生物品30と構造的に異なる。その結果、三つの主要な構成要素の長さも異なる。以下において、同一の構造または機能的働きを有する対応する構成要素について、可能な限り同一の参照番号を使用する。
【0142】
図3のエアロゾル発生物品40において、ロッド12は約12ミリメートルの長さを有し、中空の管状セグメント14は約26ミリメートルの長さを有し、マウスピースセグメント18はフィラメント当たり11デニールのセルロースアセテートトウのプラグを備え、約12ミリメートルの長さを有する。通気ゾーン26は、マウスピースセグメント18の上流端から約5ミリメートルのところに提供されていて、かつこの実施形態においてロッド12の下流端と一致する中空の管状セグメントの上流端から約21ミリメートルのところに提供されている。
【0143】
以下の実施例は、本発明によるエアロゾル発生物品の特定の実施形態で行われた試験中に得られた実験結果を記録する。喫煙のための条件および喫煙マシンの仕様は、ISO規格3308(ISO3308:2000)に提示されている。調整および試験のための周囲空気は、ISO規格3402に提示されている。
【0144】
実施例1
この実験は、本発明に従って通気ゾーンが中空の管状セグメントに沿った場所に提供されている、中空の管状セグメントの組み込みの効果を評価するために実施される。実験は、ニコチンおよびエアロゾル形成体(グリセリン)の送達に及ぼす通気レベルの効果を調査する。通気を有しない参照エアロゾル発生物品を用いた比較測定も提供する。
【0145】
材料および方法
物品Aは、均質化したたばこ材料のシートの集合体および乾燥重量基準で約18パーセントのグリセリンを含むエアロゾル発生基体のロッドであって、12ミリメートルの長さを有する、ロッドと、ロッドと整列し、かつロッドのすぐ下流の中空のセルロースアセテート管の形態の支持要素であって、8ミリメートルの長さを有する、支持要素と、ロッドと整列し、かつロッドのすぐ下流の厚紙の管の形態の中空の管状セグメントであって、13ミリメートルの長さを有する、中空の管状セグメントと、中空の管状セグメントと整列し、中空の管状セグメントのすぐ下流の濾過材料のマウスピースセグメントであって、12ミリメートルの長さを有する、マウスピースとで形成された、エアロゾル発生物品である。通気ゾーンは、中空の管状セグメントに沿った、マウスピースセグメントの下流端から18ミリメートルの場所に提供されている。エアロゾル発生物品Aの通気レベルは、30パーセントである。
【0146】
物品Bは、物品Aと同一の構造を有するが、通気ゾーンを有しない、参照エアロゾル発生物品である。それ故に、エアロゾル発生物品Bの通気レベルは、0パーセントある。
【0147】
ニコチンおよびグリセリンの送達は、Cambridgeフィルターパッド上で収集されたニコチンおよびグリセリンに対してガスクロマトグラフィー/飛行時間質量分析法(GC/MS-TOF)によって測定される。実験は実施例1に記載の通りに実施された。
【0148】
結果
以下の表1に、物品Aおよび物品Bからのニコチンおよびグリセリンの平均送達を示す。
表1.ニコチンおよびグリセリンの送達に及ぼす通気レベルの効果
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-07-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱に伴い吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品であって、
エアロゾル発生基体のロッドと、
濾過材料のプラグを備えるマウスピースセグメントであって、前記ロッドの下流に配設されていて、かつ前記ロッドと長軸方向に整列されている、マウスピースセグメントと、
前記ロッドと前記マウスピースセグメントとの間の場所にある中空の管状セグメントであって、前記中空の管状セグメントは前記ロッドおよび前記マウスピースセグメントと長軸方向に整列されていて、前記中空の管状セグメントは前記マウスピースセグメントの上流端までずっと延びる空洞を提供する、中空の管状セグメントと、
前記中空の管状セグメントに沿った場所にある通気ゾーンであって、前記通気ゾーンは、前記中空の管状セグメントの上流端から18ミリメートル未満に前記中空の管状セグメントの周辺壁を通して形成された一列以上の穿孔を備える、通気ゾーンと、を備え、
前記エアロゾル発生物品の全長が70ミリメートル未満であるか、又は、前記エアロゾル発生基体のロッドが40ミリメートル未満の長さを有し、
前記中空の管状セグメントが少なくとも10ミリメートルの長さを有し、
前記通気ゾーンの前記場所での前記中空の管状セグメントの相当内径が少なくとも5ミリメートルであり、
前記エアロゾル発生基体のロッドが少なくともエアロゾル形成体を含む、
エアロゾル発生物品。
【請求項2】
前記中空の管状セグメントがラッパーを含み、前記ラッパーが前記ロッドおよび前記マウスピースセグメントを囲む、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記中空の管状セグメントが、高分子材料またはセルロース系材料から形成された管を備え、前記エアロゾル発生物品が、前記ロッドと、前記管と、前記マウスピースセグメントとを囲むラッパーをさらに備える、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記中空の管状セグメントが、少なくとも15ミリメートルの長さを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記中空の管状セグメントが、30ミリメートル未満の長さを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記通気ゾーンの前記場所での前記中空の管状セグメントの相当内径が、少なくとも5.5ミリメートルである、請求項1から3のいずれか1項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記通気ゾーンの前記場所での前記中空の管状セグメントの相当内径が、少なくとも6ミリメートルである、請求項6に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記通気ゾーンの前記場所での前記中空の管状セグメントの周辺壁の厚さが1.5ミリメートル未満である、請求項1から3のいずれか1項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記通気ゾーンの前記場所での前記中空の管状セグメントの周辺壁の厚さが1000ミリメートル未満である、請求項8に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
前記通気ゾーンと前記エアロゾル発生物品の上流端との間の距離が、40ミリメートル未満である、請求項1から3のいずれか1項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記通気ゾーンと前記エアロゾル発生基体のロッドの下流端との間の距離が、少なくとも10ミリメートルである、請求項1から3のいずれか1項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記エアロゾル発生物品が、少なくとも約10パーセントの通気レベルを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記エアロゾル発生物品が、約60パーセント未満の通気レベルを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
前記エアロゾル発生基体のロッドが、25ミリメートル未満の長さを有する、請求項1から3のいずれか1項に記載のエアロゾル発生物品。