(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147831
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】たばこ製剤
(51)【国際特許分類】
A24B 15/24 20060101AFI20241009BHJP
A24B 3/14 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
A24B15/24
A24B3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021097977
(22)【出願日】2021-06-11
(71)【出願人】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】小出 明弘
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BB11
4B043BB22
4B043BB25
4B043BC18
4B043BC24
4B043BC26
(57)【要約】
【課題】たばこ分野に有用なたばこ製剤を提供する。
【解決手段】(1)たばこ原料と、(2)前記(1)のたばこ原料または他のたばこ原料から抽出された糖類と、(3)媒体と、を含有するたばこ製剤。前記糖類は好ましくはペクチンである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)たばこ原料と、
(2)前記(1)のたばこ原料または他のたばこ原料から抽出された糖類と、
(3)媒体と、
を含有するたばこ製剤。
【請求項2】
前記糖類が、前記(1)のたばこ原料から抽出された糖類である、請求項1に記載のたばこ製剤。
【請求項3】
前記糖類が、ペクチンを含む、請求項1または2に記載のたばこ製剤。
【請求項4】
前記媒体が水を含む、請求項1~3のいずれかに記載のたばこ製剤。
【請求項5】
前記たばこ製剤中、30重量%以下の前記たばこ原料を含む、請求項1~4のいずれかに記載のたばこ製剤。
【請求項6】
前記糖類がα化した多糖類を含む、請求項1~5のいずれかに記載のたばこ製剤。
【請求項7】
たばこ原料を媒体中で加熱して、前記糖類を抽出する工程を備える、請求項1~6のいずれかに記載のたばこ製剤の製造方法。
【請求項8】
前記抽出を60~90℃で実施する、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記抽出工程を閉鎖系で実施する、請求項7または8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記媒体が水を含む、請求項7~9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
前記抽出工程が、前記原料を湿式粉砕することを含む、請求項7~10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
前記抽出工程において、粉末のたばこ原料を抽出に供する、請求項7~10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
請求項1~6のいずれかに記載のたばこ製剤を含むたばこ材料。
【請求項14】
前記たばこ製剤から成形されたシート、刻、顆粒、またはストランドである、請求項13に記載のたばこ材料。
【請求項15】
前記たばこ製剤が添加されたシート、刻、顆粒、またはストランドである、請求項13に記載のたばこ材料。
【請求項16】
請求項7~12のいずれかに記載の方法で前記たばこ製剤を調製する工程、および
当該たばこ製剤を基材の上に展開し、そして乾燥させる工程を備える、請求項14に記載のたばこ材料の製造方法。
【請求項17】
請求項7~12のいずれかに記載の方法で前記たばこ製剤を調製する工程、
当該たばこ製剤をベース材の上に塗布する、噴霧する、またはベース材に含浸させる工程を備える、請求項15に記載のたばこ材料の製造方法。
【請求項18】
前記たばこ製剤に、バインダーまたは補強材を添加しない、請求項16または17に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はたばこ製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、たばこ材料は、たばこ原料と機能を付与するための添加剤とから製造される。例えば、たばこ原料と水のみで構成されるたばこ材料からシートを製造することが知られている。しかしこのようにして得られるシートは強度が不足するので、製造が困難であった。そのため、バインダーやパルプなどの補強のための添加剤を用いる必要があった(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、たばこ原料にはバインダーとして機能する糖類、および補強材として機能するセルロースが含まれており、これらを有効活用すれば新たな材料が得られるとの着想を得た。かかる事情に鑑み、本発明は、たばこ分野に有用なたばこ製剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題は以下の本発明によって解決される。
態様1
(1)たばこ原料と、
(2)前記(1)のたばこ原料または他のたばこ原料から抽出された糖類と、
(3)媒体と、
を含有するたばこ製剤。
態様2
前記糖類が、前記(1)のたばこ原料から抽出された糖類である、態様1に記載のたばこ製剤。
態様3
前記糖類が、ペクチンを含む、態様1または2に記載のたばこ製剤。
態様4
前記媒体が水を含む、態様1~3のいずれかに記載のたばこ製剤。
態様5
前記たばこ製剤中、30重量%以下の前記たばこ原料を含む、態様1~4のいずれかに記載のたばこ製剤。
態様6
前記糖類がα化した多糖類を含む、態様1~5のいずれかに記載のたばこ製剤。
態様7
たばこ原料を媒体中で加熱して、前記糖類を抽出する工程を備える、態様1~6のいずれかに記載のたばこ製剤の製造方法。
態様8
前記抽出を60~90℃で実施する、態様7に記載の製造方法。
態様9
前記抽出工程を閉鎖系で実施する、態様7または8に記載の製造方法。
態様10
前記媒体が水を含む、態様7~9のいずれかに記載の製造方法。
態様11
前記抽出工程が、前記原料を湿式粉砕することを含む、態様7~10のいずれかに記載の製造方法。
態様12
前記抽出工程において、粉末のたばこ原料を抽出に供する、態様7~10のいずれかに記載の製造方法。
態様13
態様1~6のいずれかに記載のたばこ製剤を含むたばこ材料。
態様14
前記たばこ製剤から成形されたシート、刻、顆粒、またはストランドである、態様13に記載のたばこ材料。
態様15
前記たばこ製剤が添加されたシート、刻、顆粒、またはストランドである、態様13に記載のたばこ材料。
態様16
態様7~12のいずれかに記載の方法で前記たばこ製剤を調製する工程、および
当該たばこ製剤を基材の上に展開し、そして乾燥させる工程を備える、態様14に記載のたばこ材料の製造方法。
態様17
態様7~12のいずれかに記載の方法で前記たばこ製剤を調製する工程、
当該たばこ製剤をベース材の上に塗布する、噴霧する、またはベース材に含浸させる工程を備える、態様15に記載のたばこ材料の製造方法。
態様18
前記たばこ製剤に、バインダーまたは補強材を添加しない、態様16または17に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によって、たばこ分野に有用なたばこ製剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
たばこ製剤は、たばこ原料と、当該たばこ原料から抽出された糖類と、媒体とを含有する。以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「X~Y」はその端値であるXおよびYを含む。
【0009】
1.たばこ製剤
(1)たばこ原料
たばこ原料とは、タバコ属植物由来の原料であり、例えば、たばこ葉、熟成済みたばこ葉、たばこ刻、たばこ粉末、中骨や残幹等の葉以外の部位等のたばこ原料、およびたばこ原料を処理に供して得た処理物または排出物が挙げられる。たばこ葉とは、収穫されたたばこの葉が、熟成を経る前のものの総称である。熟成の一態様にはキュアリングが含まれる。たばこ刻は、熟成済たばこ葉等が、所定の大きさに刻まれたものである。たばこ粉末はたばこ葉等を粉砕したものである。
【0010】
たばこ原料におけるたばこの品種としては、種々のものを用いることができる。例えば、タバコの品種として、黄色種、バーレー種、オリエント種、在来種、その他のニコチアナ-タバカム系品種、ニコチアナ-ルスチカ系品種を挙げることができる。これらの品種は、単独で用いることもできるが、目的とする香味を得るために、たばこ葉の収穫から、熟成済たばこ葉を非燃焼加熱式たばこ製品で利用される種々の形態(すなわち、加工済たばこ葉)とするまでの過程でブレンドして用いることもできる。前記たばこの品種の詳細は、「たばこの事典、たばこ総合研究センター、2009.3.31」に開示されている。
【0011】
本発明においてはたばこ原料中に内在する糖類をバインダーとして利用できる。したがって、前述のたばこ品種の中において、糖類を多く含むものが好ましい。特に糖類としては後述するようにペクチンが好ましい。よって一態様においてたばこ原料は、ペクチンを3~10重量%含むたばこ葉が好ましく、ペクチンを4~7重量%含むたばこ葉がより好ましい。このようなたばこ葉としては、黄色種またはバーレー種が挙げられる。前者は、たばこ葉中に5.5~6重量%程度のペクチンを含む。また後者は、たばこ葉中に4~6重量%程度のペクチンを含む。
【0012】
本発明においてはたばこ原料中に内在するセルロースを補強材として利用できる。したがって、一態様においてたばこ原料は、セルロースを4~15重量%含むたばこ葉が好ましく、セルロースを5~13重量%含むたばこ葉がより好ましい。このような品種としては、黄色種またはバーレー種が挙げられる。前者は、たばこ葉中に6~8重量%程度のセルロースを含む。また後者は、たばこ葉中に10~12重量%程度のセルロースを含む。
【0013】
たばこ製剤におけるたばこ原料の含有量は、好ましくは30重量%以下、より好ましくは27重量%以下である。当該含有量の下限は、好ましくは0重量%超、より好ましくは5重量%以上である。
【0014】
たばこ製剤におけるたばこ原料の形状は限定されないが、粒状であることが好ましい。当該たばこ原料の粒度分布も限定されないが、500μm未満のD90を有することが好ましく、100μm未満のD90を有することがより好ましい。D90の下限は限定されないが、実質的には5μm以上が下限となる。D90はレーザー回折法によって測定できる。
【0015】
(2)たばこ原料から抽出された糖類
当該糖類としてはたばこ原料から抽出されたものであれば限定されず、多糖類または単糖類であってよい。多糖類としては、ペクチン等が挙げられる。単糖類としては、グルコース、フルクトース、およびガラクトース等が挙げられる。
【0016】
これら中でも、α化するとバインダーとしての機能が向上するので、α化が可能である多糖類が好ましく、ペクチンがより好ましい。ペクチンとしては、水溶性ペクチンまたは不溶性ペクチンのいずれであってもよい。不溶性ペクチンとはカルシウム等の金属イオン、またはヘミセルロースもしくはセルロース等と結合して水に溶けない状態で存在するペクチンである。
【0017】
当該糖類はたばこ原料の細胞内に存在している。したがって、抽出条件は、糖類を細胞外へリリースできるように調整される。抽出条件については後述する。
【0018】
糖類は、たばこ製剤に含まれるたばこ原料から抽出されたものであってもよいし、たばこ製剤に含まれない別のたばこ原料から抽出されたものであってもよい。すなわち、たばこ製剤は、一態様においてたばこ原料Xと、当該Xから抽出された糖類とを含み、別態様としてたばこ原料Xと、X以外のたばこ原料Yから抽出された糖類とを含む。
【0019】
(3)媒体
媒体は室温(23℃程度)液体であることが好ましく、その具体例として水または水溶性有機溶媒が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、炭素数が1~3である鎖状または分岐状アルコール、あるいは炭素数が4~7であるエーテル等が挙げられる。媒体としてはこれらを単独または組合せて使用できる。取扱性の観点からは、媒体としては水または水と水溶性有機溶媒との混合溶媒が好ましく、水がより好ましい。
【0020】
(4)特性
後述するとおり、本発明のたばこ製剤はたばこ材料として有用である。糖類はたばこ原料に由来するので、たばこ原料との親和性が高いからである。特に、たばこ原料Xと、当該Xから抽出された糖類とを含む態様においては、たばこ原料Xの中から一部または全部の糖類等が除去されているため、糖類等が除去された部位に媒体または他の成分を保持できるので、両者の親和性が特に高いと考えられる。したがって、前記糖類等や、別途添加された添加剤等と高い親和性を有する。このため、本発明のたばこ製剤は、例えば強度に優れた成形体を形成できる。
【0021】
2.製造方法
本発明のたばこ製剤は、たばこ原料を媒体中で加熱して、前記糖類を抽出する工程を備える方法で製造されることが好ましい。
(1)温度
たばこ製剤中の前記糖類(好ましくはペクチン等)はたばこ原料の細胞壁内に含まれている。よって、細胞内から糖類をリリースするためにはある程度の高い温度が必要となる。また、糖類をα化するにはおよそ60℃以上の温度が必要である。これらの観点から、抽出時の温度は好ましくは60~90℃であり、より好ましくは75~85℃である。またこの温度であると、前述のセルロースも効率よく細胞外へリリースすることができる。
【0022】
(2)雰囲気
抽出は閉鎖系で行うことが好ましい。たばこ原料が有する香味成分が低減することを回避できるからである。
【0023】
(3)粉砕
抽出効率の観点から、抽出に供するたばこ原料の表面積は大きいことが好ましい。したがって、予めたばこ原料を粉砕する工程を設け、粉末のたばこ原料を抽出に供してもよい。この場合は乾式粉砕を行うことが好ましい。乾式粉砕には公知の機会を用いることができる。粉末のたばこ原料の粒度分布は限定されないが、500μm未満のD90を有することが好ましく、100μm未満のD90を有することがより好ましい。D90の下限は限定されないが、実質的には5μm以上が下限となる。
【0024】
あるいは、抽出と同時にたばこ原料を粉砕してもよい。すなわち、たばこ原料を湿式粉砕しながら前記抽出を行うことができる。当該湿式粉砕は閉鎖系で処理を行うことが好ましい。湿式粉砕されたたばこ原料の粒度分布は前述のとおりである。
【0025】
3.たばこ材料
本発明のたばこ製剤は、たばこ材料として有用である。たばこ材料とは香味吸引物品に使用できる材料である。「香味吸引物品」とは使用者が香味を吸引するための物品をいう。香味吸引物品のうち、たばこまたはそのたばこに由来する成分を有するものを「たばこ香味吸引物品」という。たばこ香味吸引物品は、燃焼によって香味を発生させる「燃焼型たばこ香味吸引物品」(単に「喫煙物品」ともいう)、燃焼させずに香味を発生させる「非燃焼型たばこ香味吸引物品」に大別される。さらに、非燃焼型たばこ香味吸引物品は、加熱によって香味を発生させる「非燃焼加熱型たばこ香味吸引物品」と、加熱せずに香味を発生させる「非燃焼非加熱型たばこ香味吸引物品」に大別される。本発明のたばこ製剤は、非燃焼加熱型たばこ香味吸引物品または非燃焼非加熱型たばこ香味吸引物品に好適である。また、エアロゾルを発生させるためのデバイス(加熱装置または霧化装置等)と、非燃焼加熱型たばこ香味吸引物品との組合せを、特に非燃焼加熱型たばこ香味吸引システムともいう。
【0026】
(1)成形体としての使用
たばこ製剤中の、たばこ原料から抽出された糖類はバインダーとして機能し、セルロースは補強材として機能する。したがって、たばこ製剤はバインダーまたは補強材をさらに添加せずに成形体とできる。成形体としてはシート、刻、顆粒、ストランド、ペレットまたは粉末等が挙げられる。このようにして得た成形体は、添加物を含まないのでたばこ本来の香喫味を呈するたばこ材料として好適である。
【0027】
当該成形体の製造方法は限定されない。例えば、前述のとおりにたばこ製剤を調製する工程、および当該たばこ製剤を基材の上に展開し、そして乾燥させる工程を備える方法でシートを製造できる。シートの形状は適宜調整できるが、一態様において厚さは50~500μmである。当該シートを裁刻することで、刻またはストランドを製造できる。また、当該シートを粉砕することで、粉末を製造できる。あるいはたばこ製剤を、基材上に滴下して乾燥させることによりペレットを、噴霧することにより粉末を製造できる。さらには、前記たばこ製剤を湿式押出し造粒機で造粒(長柱状)した後、短柱状あるいは球状に整粒することにより顆粒を製造できる。当該製造方法において、たばこ製剤に公知の添加物(香料、追加の補強材、または追加のバインダー)を添加してもよいが、これらを添加しない方が本発明の効果はより顕著となる。
【0028】
(2)添加剤としての使用
たばこ製剤は添加剤としても有用である。例えば、別途準備したたばこシート、刻、顆粒、またはストランド、あるいはチップペーパー等の喫煙物品に使用する部材(以下「ベース材」ともいう)に、たばこ製剤を添加することができる。たばこ製剤を添加することでベース材の香喫味または強度等の性能が向上する。添加する方法は限定されず、例えば、たばこ製剤をベース材の上に塗布するまたは噴霧することが挙げられる。あるいは、たばこ製剤をベース材に含浸してもよい。
【0029】
中でも、刻またはストランドから選択されるベース材にたばこ製剤を添加すると膨嵩性を向上できる。このメカニズムは限定されないが、本たばこ製剤が乾燥および固化することによりベース材の強度を向上させるためと推察される。膨嵩性とは、たばこ材料のかたまりを一定の力で圧縮したときの単位重量当たりの体積であり、嵩密度の指標でもある。具体的には、試料を投入した直径95mmの測定シリンダ内に11.4kgの負荷を5秒間かけた後に求められるたばこ刻円柱の高さから下記式で計算される。
[膨嵩性の評価方法]
FP=(A×h5)/W [cm3/100g]
FP :膨嵩性
A :たばこ刻円柱の断面積
W :たばこ刻の重量
h5 :負荷終了時のたばこ刻円柱の高さ
【0030】
香味吸引物品のたばこロッド部は主に円柱状の紙製のラッパーでたばこ原料を巻装して製造される。一般的にたばこロッド部はある程度硬い方がユーザーに好まれる傾向がある。たばこロッド部を硬くするにはたばこ材料の充填量を増やすことが考えられるが、充填量の増大はコストアップを引き起こす。しかし、膨嵩性が大きいたばこ材料は、より少ない充填量で必要な硬さを有するたばこロッド部を提供できるという利点がある。
【実施例0031】
[実施例1]
250gの黄色種たばこと1000gの水を混合して混合液を調製した。当該混合液を湿式粉砕機(株式会社奈良機械製作所製マイクロス)で処理して湿式粉砕を行うとともに抽出処理を実施した。湿式粉砕条件は以下のとおりとした。
回転数:1200rpm
時間:10分
処理後容器内温度:74℃
前記処理により、黄色種たばこ粒子が水に分散した懸濁液が得られた。当該粒子の粒度分布を、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所 LA-92)を用いて測定した。結果を
図1に示した。
【0032】
次いで、前記懸濁液をステンレス板の上に展開して室温にて自然乾燥し、たばこシートを製造した。シートの外観を
図2に示した。
【0033】
[実施例2]
定法に従い圧延たばこシートを調製した。具体的には、たばこ原料を含む組成物を押出機で押出した後に、当該押出物を2枚のシートの間に挟み、圧延して圧延たばこシートを調製した。たばこ製剤として実施例1で調製した懸濁液を用い、当該圧延たばこシートの両面に塗布した。オーブンを用いて、当該塗布を行った後の圧延たばこシートを80℃で5分間乾燥した。その後、当該シートを22℃、相対湿度60%の調和室に48時間置いて、状態調整を行った。シュレッダーを用いて、状態調整後のシートを0.8mm×9.5mmのサイズに裁刻した。裁刻物について、前述の方法で膨嵩性を評価した。
【0034】
[比較例1]
実施例2で使用した圧延たばこシート(たばこ製剤を未塗布)について、実施例2と同じ方法で膨嵩性を評価した。結果を表1に示す。
【0035】
【0036】
本発明のたばこ製剤は、追加のバインダー等を必要とせずに成形体を製造できる。また、本発明のたばこ製剤を添加剤として用いると、ストランドの膨嵩性を向上できる。