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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147838
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】磁極片部材及び磁気変調ギヤ
(51)【国際特許分類】
   H02K 49/00 20060101AFI20241009BHJP
   F16H 49/00 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
H02K49/00 A
F16H49/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021136024
(22)【出願日】2021-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】山本 泰三
(72)【発明者】
【氏名】三成 貴浩
(72)【発明者】
【氏名】中川 博貴
【テーマコード(参考)】
5H649
【Fターム(参考)】
5H649AA01
5H649BB02
5H649GG08
5H649GG13
5H649GG16
5H649HH08
5H649HH13
5H649HH16
(57)【要約】
【課題】好適なトルク性能を得る。
【解決手段】磁極片部材54は、周方向に配列された複数の磁極片54aと、周方向に隣り合う磁極片54a同士を周方向に連結するブリッジ部54bとを有し、以下の条件式を満足する。
0≦hb/hp≦0.5 ・・・(1)
ただし、
hp:磁極片54aの径方向長さ
hb:磁極片54aの内周位置からブリッジ部54bの内周位置までの径方向長さ
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に配列された複数の磁極片と、
周方向に隣り合う磁極片同士を周方向に連結する連結部と、
を有し、
以下の条件式を満足する磁極片部材。
0≦hb/hp≦0.5 ・・・(1)
ただし、
hp:磁極片の径方向長さ
hb:磁極片の内周位置から連結部の内周位置までの径方向長さ
【請求項2】
以下の条件式を満足する請求項1に記載の磁極片部材。
0≦hb/hp≦0.2 ・・・(2)
【請求項3】
前記磁極片の内周面と前記連結部の内周面とが面一である、
請求項2に記載の磁極片部材。
【請求項4】
前記磁極片と前記連結部とは、同一の電磁鋼板から構成される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の磁極片部材。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の磁極片部材と、
前記磁極片部材の内径側に配置され、周方向に配列された複数の内極磁石を有する入力軸と、
前記磁極片部材の外径側に配置され、周方向に配列された複数の外極磁石と、
を備える、
磁気変調ギヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁極片部材及びこれを備える磁気変調ギヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内外周に配置された2つの磁石ロータの間に、複数の磁極片を有する磁極片部材を配置し、2つの磁石ロータ間での磁束分布を変調させる磁気変調ギヤが知られている。
【0003】
磁極片部材では、複数の磁極片が周方向に等間隔で配列される。例えば特許文献1、2に記載の磁極片部材では、磁極片(磁性体)と非磁性体とを周方向に交互に並べて組み合わせた構造が採用されている。
しかし、このような構造は、部品点数の増大や製造工程の煩雑化等を招来してしまう。そのため、複数の磁極片とその間の連結部(ブリッジ部)とを一体の磁性材で構成した構造が採られる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5350438号公報
【特許文献2】特許第5408355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の磁極片をその間の連結部で単純に連結した場合、連結部を通じた漏れ磁束により、好適なトルク性能を得られないおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、好適なトルク性能を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、磁極片部材であって、
周方向に配列された複数の磁極片と、
周方向に隣り合う磁極片同士を周方向に連結する連結部と、
を有し、
以下の条件式を満足する。
0≦hb/hp≦0.5 ・・・(1)
ただし、
hp:磁極片の径方向長さ
hb:磁極片の内周位置から連結部の内周位置までの径方向長さ
【0008】
また本発明は、磁気変調ギヤであって、
上記の磁極片部材と、
前記磁極片部材の内径側に配置され、周方向に配列された複数の内極磁石を有する入力軸と、
前記磁極片部材の外径側に配置され、周方向に配列された複数の外極磁石と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、好適なトルク性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る磁気変調ギヤの断面図である。
図2】実施形態に係る磁気変調部アッシーの断面図である。
図3】実施形態に係る磁極片部材の斜視図である。
図4】ブリッジ部の径方向位置を説明するための磁極片部材の拡大図である。
図5】磁気変調部アッシーの概略の作製工程を示すフローチャートである。
図6】実施形態に係る磁気変調部を模式的に示した断面図である。
図7】解析例の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
[磁気変調ギヤの構成]
図1は、本実施形態に係る磁気変調ギヤ1の断面図である。
なお、以下の説明では、磁気変調ギヤ1の中心軸Axに沿った方向を「軸方向」、中心軸Axに垂直な方向を「径方向」、中心軸Axを中心とする回転方向を「周方向」という。また、軸方向のうち、外部の被駆動部材と連結される側(図中の左側)を「出力側」といい、その反対側(図中の右側)を「入力側」という。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る磁気変調ギヤ1は、ケーシング(フレーム)10と、ケーシング10の軸方向の両側を覆う入力側カバー20及び出力側カバー30と、これらの内部に主部が収容された入力軸40及び磁気変調部アッシー50とを備える。
【0014】
ケーシング10は、中心軸Axを中心とするほぼ円筒状に形成され、内周部にステータヨーク11と外極磁石12を有する。
ステータヨーク11は円筒状に形成され、ケーシング10に内嵌されている。
外極磁石12は、後述する入力軸40の内極磁石41aよりも多い極数を有し、極性の異なる複数のものが周方向に交互に配置されるように、ステータヨーク11の内周面に貼り付けられている。ただし、外極磁石12は、一体のリング状であってもよいし、分割されたものを周方向に並べたものなどであってもよい。
また、ケーシング10の内周部のうち、ステータヨーク11よりも入力側には、磁気変調部アッシー50を回転自在に支持する軸受61(例えば玉軸受)が配置されている。
【0015】
入力側カバー20は、ケーシング10の入力側に配置され、ケーシング10の内側開口を入力側から覆う。入力側カバー20の外周部は、ケーシング10とインローで嵌合している。また、入力側カバー20の内周部には、入力軸40を回転自在に支持する軸受62(例えば玉軸受)が配置されている。
【0016】
出力側カバー30は、ケーシング10の出力側に配置され、ケーシング10の内側開口を出力側から覆う。出力側カバー30の外周部は、ケーシング10とインローで嵌合している。また、出力側カバー30の内周部には、磁気変調部アッシー50を回転自在に支持する軸受63(例えば玉軸受)が配置されている。
【0017】
入力軸40は、中心軸Ax回りに回転する軸であり、円板部41と、モータ連結部42とを備える。この入力軸40は、入力側カバー20との間に配置された軸受62と、磁気変調部アッシー50との間に配置された軸受64とにより、回転自在に支持されている。
円板部41は、外極磁石12の内径側に配置された内極磁石41aを外周部に有する。この内極磁石41aは、例えばネオジム磁石などの永久磁石であり、極性の異なる複数のものが周方向に交互に配置されるように、円板部41の外周面に貼り付けられている。ただし、内極磁石41aは、一体のリング状であってもよいし、分割されたものを周方向に並べたものなどであってもよい。
モータ連結部42は、円板部41から軸方向の入力側に延出している。モータ連結部42の先端側は、入力側カバー20から外部に突出しており、この突出部がモータ(図示省略)に連結される。
【0018】
図2は、磁気変調部アッシー50の断面図である。
図1及び図2に示すように、磁気変調部アッシー50は、出力軸部51と、円筒部52とを有する。
【0019】
出力軸部51は、中心軸Ax回りに回転する金属製の軸である。出力軸部51は、出力側のほぼ半部が出力側カバー30から外部に突出しており、この突出部が被駆動部材(図示省略)に連結される。
出力軸部51のうち軸方向のほぼ中央部は、出力側カバー30との間に配置された軸受63により回転自在に支持されている。また、出力軸部51のうち入力側の端部には、入力軸40を回転自在に支持する軸受64(例えば玉軸受)が配置されている。出力軸部51のうち、軸受63と軸受64の間の軸方向位置の外周部には、円筒部52の出力側の端部が連結されている。
【0020】
円筒部52は、中心軸Axを中心とするほぼ円筒形状に形成され、外極磁石12及び内極磁石41aと対応した軸方向位置に配置された磁極片部材54を有する。
【0021】
図3は、磁極片部材54の斜視図である。
この図に示すように、磁極片部材54は、周方向に所定間隔で配置された複数の磁極片54aと、隣り合う磁極片54a同士を周方向に連結する複数のブリッジ部54bとを有するほぼ円環状に形成されている。磁極片部材54は、磁極片54aとブリッジ部54bとを一体的に軸方向に積層した電磁鋼板(積層鋼板)で構成されている。
磁極片54aは、外極磁石12の内径側であって内極磁石41aの外径側に、これらとの間にそれぞれ所定の隙間を介して同心状に配置されている。磁極片54aの数は、(外極極対数±内極極対数)であり、一般的には(外極極対数-内極極対数)とすることが多い。外極極対数とは外極磁石12の極対数であり、内極極対数とは内極磁石41aの極対数である。磁極片部を固定子、外極磁石部を出力軸とする場合、減速比は-(外極極対数/内極極対数)となる(入力軸と出力軸は逆方向に回転)。磁極片部を出力軸、外極磁石部を固定子とする場合、減速比は(磁極片数/内極極対数)となる(入力軸と出力軸は同方向に回転)。
【0022】
図4は、ブリッジ部54bの径方向位置を説明するための磁極片部材54の拡大図である。ただし、図4では、ブリッジ部54bの径方向位置が本実施形態のものと異なる場合を例示している。
この図に示すように、ブリッジ部54bは、所定の径方向幅tを有し、周方向に隣り合う磁極片54a同士を連結する。
ブリッジ部54bの径方向の位置は、以下の条件式(1)を満足するように設定される。
0≦hb/hp≦0.5 ・・・(1)
ここで、hpは磁極片54aの径方向長さであり、hbは磁極片54aの内周位置(内周面の位置)からブリッジ部54bの内周位置までの径方向長さである。
条件式(1)は、ブリッジ部54bの径方向位置を磁極片54aの内径側半部に対応させることを意味する。このように、磁極片54aのうちの内径側にブリッジ部54bを配置することにより、より出力トルクを大きく、トルクリップルを小さくできる。
また、ブリッジ部54bに相当する磁極片部材54の凹部には樹脂が充填されるが、その樹脂成形時において、ブリッジ部54bには樹脂の収縮による周方向の荷重が作用する。この荷重は、ブリッジ部54bが内径側に位置する場合には圧縮だが、外径側に位置する場合には引張りとなってしまう。そのため、ブリッジ部54bが内径側に位置する方が、樹脂成形時における強度設計的にも好ましい。
【0023】
なお、本実施形態の磁極片部材54では、ブリッジ部54bが磁極片部材54の最内径に位置している(すなわち、hb/hp=0)。つまり、磁極片54aの内周面とブリッジ部54bの内周面とが実質的に面一であり、磁極片部材54の内周面が円筒面となっている。
このように、磁極片部材54の内周面を凹凸のほぼ無い円筒面とすると、以下の理由等により、特に加工・製造上の面で好ましい。まず、内周面にジグ(機械加工用や樹脂モールド用など)を嵌めやすくなる。また、内周面で芯出し(基準出し)しやすくなるため、各部の形状精度(同軸度、円筒度、直交度など)を高精度に仕上げやすい。また、内周面に樹脂モールドが不要となるため、樹脂成形時における内周部からの樹脂漏れ対策が不要となる。
【0024】
図2に示すように、円筒部52のうち入力側の端部には、金属(例えばステンレス)製の軸受支持リング55が配置されている。軸受支持リング55は、円筒部52の外周部に固定され、ケーシング10との間に配置された軸受61の内輪が外周面に嵌合される(図1参照)。
円筒部52のうち、磁極片部材54と軸受支持リング55を除く部分は、樹脂(例えばスーパーエンジニアリングプラスチック)で構成された樹脂部56となっている。磁極片部材54の周面のうち、ブリッジ部54bに対応する凹部にも樹脂が充填され、この樹脂と磁極片54aとが面一となっている。
樹脂部56のうち出力側の端部は、内径側に張り出し出力軸部51に連結されている。この端部の内周部には、内径側に向かって突出した複数の凸部57が周方向に配列されている。この複数の凸部57は出力軸部51の外周面の複数の凹部51aに対応して成形されており、これら凸部57と凹部51aの係合により、出力軸部51と円筒部52とが強固に固定されている。
【0025】
[磁気変調部アッシーの作製工程]
図5は、磁気変調部アッシー50の概略の作製工程を示すフローチャートである。
この図に示すように、磁気変調部アッシー50の作製工程では、まず出力軸部51と軸受支持リング55の加工が行われる(ステップS1)。ここでは、出力軸部51と軸受支持リング55のいずれもが、所定の完成形状まで機械加工等(機械加工のほか、熱処理や表面処理などの所要の処理を含む)される。
【0026】
次に、磁極片部材54の加工が行われる(ステップS2)。ここでは、1枚(又は複数枚)の電磁鋼板を、磁極片54a及びブリッジ部54bを有する磁極片部材54の平面視形状に打ち抜いた後、これを所定の軸方向長さ分だけ積層することにより、磁極片部材54が作製される。なお、打抜きでなくワイヤカットその他の方法により磁極片部材54を作製してもよい。
【0027】
次に、ステップS1、S2で作製された出力軸部51、軸受支持リング55及び磁極片部材54が、樹脂部56を成形するための成形型に配置される(ステップS3)。
そして、成形型に樹脂が充填されて樹脂部56の成形(樹脂注型又は射出成形等)が行われる(ステップS4)。こうして樹脂部56が成形され、出力軸部51、軸受支持リング55及び磁極片部材54が樹脂部56により相互に固定される。
【0028】
次に、磁極片部材54の内周面及び外周面が仕上げ加工される(ステップS5)。ここでは、旋盤又は研磨機での機械加工により、磁極片部材54の内周面及び外周面が所定の形状精度等まで加工される。これにより、これら内周面や外周面の芯出し精度が向上し、動作時の損失やトルクリップルが改善する。
なお、ここでは磁極片部材54の内周面及び外周面の少なくとも一方が加工されればよい。また、それ以外の部分の加工が行われてもよい。また、ここでの加工は旋盤や研磨機での機械加工に限定されず、例えば手作業での研磨等を含む。
【0029】
[磁気変調ギヤの動作]
続いて、磁気変調ギヤ1の動作を簡単に説明する。
図6は、内極磁石41a、外極磁石12、磁極片54aからなる磁気変調部を模式的に示した断面図である。
図1及び図6に示すように、磁気変調ギヤ1では、図示しないモータにより入力軸40が中心軸Ax回りに回転すると、入力軸40の内極磁石41aの空間磁束波形が、磁気変調部アッシー50の磁極片54aによって外極磁石12と同周波数に変調され、磁極片54a-外極磁石12間の磁力を用いて磁気変調部アッシー50に回転トルクが伝達される。この時、減速比は磁極片数/内極極対数となる。
こうして、磁気変調部で減速された回転運動が、磁気変調部アッシー50の出力軸部51に連結された被駆動部材(図示省略)に出力される。
【0030】
[解析例]
続いて、磁極片部材54におけるブリッジ部54bの径方向位置がトルク性能に及ぼす影響について、解析例を挙げて説明する。
本解析では、出力軸部51から取り出される出力トルクとそのトルクリップルが、ブリッジ部54bの径方向位置によってどのように変化するかを調べた。
解析した磁極片部材54の形状は本実施形態のものとした。入力軸40への入力(モータ出力)は200Wとした。
【0031】
図7に解析結果を示す。この図では、横軸のブリッジ部54bの径方向位置を上述した条件式(1)の「hb/hp」(図4参照)で示し、縦軸のトルク及びトルクリップルを、ブリッジ部54bの径方向位置が0.5のときの値を基準とした比率(p.u.:per unit)で示している。また、図7(a)がブリッジ部54bの径方向幅t=0.5mm、図7(b)がブリッジ部54bの径方向幅t=1mmの場合の結果である。
【0032】
図7(a)、(b)の解析結果から次のことが分かる。
・ブリッジ部54bを内径側に移動させるに連れて、出力トルクは大きく、トルクリップルは小さくなる。
・ブリッジ部54bの径方向幅tが0.5mmと1mmのいずれの場合でも、ブリッジ部54bの径方向位置が0≦hb/hp≦0.5の範囲内において、より出力トルクを大きく、トルクリップルを小さくできる。
・トルクリップルは、ブリッジ部54bの径方向位置が磁極片54aの端部に近づくに連れて大きく変化し、特にブリッジ部54bの径方向位置が0≦hb/hp≦0.2の場合に、トルクリップルをより一層小さくできる。
【0033】
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、周方向に隣り合う磁極片54a同士がブリッジ部54bにより周方向に連結されており、ブリッジ部54bの径方向位置を表す「hb/hp」が以下の条件式(1)の範囲である。
0≦hb/hp≦0.5 ・・・(1)
これにより、複数の磁極片54aをその間のブリッジ部54bで強固に保持するとともに、より出力トルクを大きく、トルクリップルを小さくできる。したがって、好適なトルク性能を得ることができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、ブリッジ部54bの径方向位置を表す「hb/hp」は以下の条件式(2)の範囲であるのが好ましい。
0≦hb/hp≦0.2 ・・・(2)
これにより、トルクリップルをより一層小さくでき、より好適なトルク性能を得ることができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、磁極片54aの内周面とブリッジ部54bの内周面とが面一(すなわち、hb/hp=0)であり、つまり磁極片部材54の内周面が凹凸のほぼ無い円筒面状に形成されている。
これにより、磁極片部材54の加工・製造をより容易に行うことができる。
【0036】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限られない。
例えば、上記実施形態では、外極磁石12を固定子とし、磁極片54aを有する磁気変調部アッシー50から出力を取り出すこととした。しかし、磁極片54aを固定し、外極磁石12を回転可能な低速ロータに設けて、当該低速ロータから出力を取り出すこととしてもよい。
【0037】
また、外極磁石12及び内極磁石41aの各極対数、磁極片54aの極数といった磁気変調部の諸元は、上記実施形態のものに限定されない。
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 磁気変調ギヤ
10 ケーシング
12 外極磁石
40 入力軸
41a 内極磁石
50 磁気変調部アッシー
51 出力軸部
52 円筒部
54 磁極片部材
54a 磁極片
54b ブリッジ部(連結部)
55 軸受支持リング
56 樹脂部
Ax 中心軸
hb 磁極片の内周位置からブリッジ部の内周位置までの径方向長さ
hp 磁極片の径方向長さ
t ブリッジ部の径方向幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7