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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147846
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】エレベータの制御システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20241009BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
B66B1/14 L
B66B3/00 P
B66B3/00 Q
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054920
(22)【出願日】2023-03-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【テーマコード(参考)】
3F303
3F502
【Fターム(参考)】
3F303CB31
3F303DC05
3F502HB02
3F502JA07
3F502JA20
3F502JA26
3F502KA05
3F502KA15
3F502KA19
(57)【要約】
【課題】エレベータにおいて、セキュリティゲートなどが設置された入場地点が乗場から離れていて利用者が移動に時間を要する場合であっても、各利用者が、呼び登録で自身に割り当てられた乗りかごに乗り遅れずに乗車できる、といった環境を作り出す。
【解決手段】制御システムにおいて、情報管理データに、入場地点を通った各利用者の第1顔情報が、その利用者の行先階と対応付けられた状態で記録される。また、第2顔情報取得部が、入場地点から乗場までの経路の途中にある通過地点において、当該通過地点を通った各利用者の顔情報を第2顔情報として取得する。そして、呼び登録処理部が、情報管理データ内に記録済みの第1顔情報のうちの当該第2顔情報と合致するものを対象顔情報として、情報管理データにて当該対象顔情報に対応付けられている行先階を用いて、その対象顔情報で特定される利用者についての呼び登録を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定階にてエレベータの乗場へ行くために利用者が通る入場地点において、当該入場地点を通った各利用者の顔情報を第1顔情報として取得する第1顔情報取得部と、
前記入場地点を通った各利用者の行先階を取得する行先階取得部と、
前記入場地点を通った各利用者の前記第1顔情報が、その利用者の前記行先階と対応付けられた状態で記録される情報管理データと、
前記入場地点から前記乗場までの経路の途中にある通過地点において、当該通過地点を通った各利用者の顔情報を第2顔情報として取得する第2顔情報取得部と、
前記通過地点を通った各利用者の前記第2顔情報を前記第2顔情報取得部が取得した場合に、前記情報管理データ内に記録済みの前記第1顔情報のうちの当該第2顔情報と合致するものを対象顔情報として、前記情報管理データにて当該対象顔情報に対応付けられている前記行先階を用いて、その対象顔情報で特定される利用者についての呼び登録を行う呼び登録処理部と、
を備える、エレベータの制御システム。
【請求項2】
前記呼び登録処理部は、前記対象顔情報で特定される利用者についての呼び登録を行う場合、前記入場地点から前記通過地点までの当該利用者の歩行時間の実測値を取得し、その実測値に基づいて、前記通過地点から前記乗場までの当該利用者の歩行時間の予測値を推定した上で、その予測値を考慮して前記呼び登録を行う、請求項1に記載のエレベータの制御システム。
【請求項3】
前記呼び登録処理部は、前記対象顔情報で特定される利用者についての呼び登録を行う場合、前記入場地点から前記通過地点までの当該利用者の歩行時間の実測値を取得し、その実測値に基づいて、前記通過地点から前記乗場までの当該利用者の歩行時間の予測値を推定した上で、その予測値の時間が経過するのを待って前記呼び登録を行う、請求項1に記載のエレベータの制御システム。
【請求項4】
前記通過地点から乗場へ行く途中で利用者が通る場所に設置され、各利用者について前記呼び登録処理部で実行された呼び登録の情報が表示される表示部と、
前記入場地点から乗場までの経路ごとに、その同じ1つの経路に設置された前記第2顔情報取得部及び前記表示部を互いに紐付けて管理する装置管理データと、
を更に備え、
前記呼び登録処理部は、前記対象顔情報で特定される利用者についての呼び登録の実行後、前記装置管理データを用いて、その利用者の前記第2顔情報を取得した前記第2顔情報取得部に紐付けられている前記表示部を特定し、その表示部に、当該利用者について行った前記呼び登録の情報を表示させる、請求項1~3の何れかに記載のエレベータの制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータにおいて利用者ごとに呼び登録を行う制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの制御技術として、特許文献1には、各利用者がセキュリティゲートを通過したときに、その利用者についての呼び登録を、当該利用者に予め対応付けられている行先階を用いて行う技術が開示されている。この技術では、セキュリティゲートの通過時に、呼び登録で各利用者に割り当てられた乗りかごの情報が、当該セキュリティゲートの表示部に表示される。このため、各利用者は、表示部に表示された情報を確認することにより、自身がどの乗りかごに乗車すべきかを認識した上で乗場へ向かうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-67489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、乗場に近い場所にセキュリティゲートが設置されている。このため、利用者は、セキュリティゲートの通過後、短時間で乗場に到達することができる。従って、殆どの利用者は、自身に割り当てられた乗りかごに乗り遅れずに乗車できる。
【0005】
一方、フロア面積が大きい建物においては、乗場から離れた場所にセキュリティゲートが設置されることがある。また、セキュリティゲートから見えない場所に乗場が設けられていることもある。そのような建物では、利用者は、セキュリティゲートの通過後、乗場に到達するまでに時間を要することになる。このため、何れの利用者においても、自身に割り当てられた乗りかごの出発に間に合わずに乗り遅れてしまうといった状況が生じやすくなる。
【0006】
そこで本発明の目的は、エレベータにおいて、セキュリティゲートなどが設置された入場地点が乗場から離れていて利用者が移動に時間を要する場合であっても、各利用者が、呼び登録で自身に割り当てられた乗りかごに乗り遅れずに乗車できる、といった環境を作り出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る制御システムは、第1顔情報取得部と、行先階取得部と、情報管理データと、第2顔情報取得部と、呼び登録処理部と、を備える。第1顔情報取得部は、特定階にてエレベータの乗場へ行くために利用者が通る入場地点において、当該入場地点を通った各利用者の顔情報を第1顔情報として取得する。行先階取得部は、入場地点を通った各利用者の行先階を取得する。情報管理データには、入場地点を通った各利用者の第1顔情報が、その利用者の行先階と対応付けられた状態で記録される。第2顔情報取得部は、入場地点から乗場までの経路の途中にある通過地点において、当該通過地点を通った各利用者の顔情報を第2顔情報として取得する。呼び登録処理部は、通過地点を通った各利用者の第2顔情報を第2顔情報取得部が取得した場合に、情報管理データ内に記録済みの第1顔情報のうちの当該第2顔情報と合致するものを対象顔情報として、情報管理データにて当該対象顔情報に対応付けられている行先階を用いて、その対象顔情報で特定される利用者についての呼び登録を行う。
【0008】
上記制御システムによれば、入場地点を各利用者が通ったときに、その利用者の行先階の情報が得られるため、当該利用者についての呼び登録を行うことが可能になるが、そのときには呼び登録を行うことはせず、その利用者が入場地点よりも乗場に近い通過地点を通過したときに初めて呼び登録を行う、といった処理が可能になる。換言すれば、各利用者が乗場に近づいてから呼び登録を行うことが可能になる。
【0009】
上記制御システムにおいて、呼び登録処理部は、対象顔情報で特定される利用者についての呼び登録を行う場合、入場地点から通過地点までの当該利用者の歩行時間の実測値を取得し、その実測値に基づいて、通過地点から乗場までの当該利用者の歩行時間の予測値を推定した上で、その予測値を考慮して呼び登録を行ってもよい。
【0010】
具体的には、入場地点と通過地点の各地点で各利用者の顔情報を取得するときに、当該利用者が各地点を通った時刻も一緒に取得してもよい。そして、各利用者について取得した入場地点及び通過地点での時刻を用いることにより、入場地点から通過地点までの移動に要した歩行時間を求め、その歩行時間を、入場地点から通過地点までの当該利用者の歩行時間の実測値として取得してもよい。
【0011】
上記構成によれば、利用者ごとに、通過地点から乗場までの当該利用者の歩行時間の予測値を推定することが可能になる。また、各利用者についての予測値を推定するときに、その利用者について直前に得られた歩行時間の実測値が使用されるため、予測値として、そのときの当該利用者の状態が反映された適切な値を精度良く得ることが可能になる。その結果として、各利用者にとって最適な乗りかごを割り当てることが可能になる。
【0012】
上記制御システムにおいて、呼び登録処理部は、対象顔情報で特定される利用者についての呼び登録を行う場合、入場地点から通過地点までの当該利用者の歩行時間の実測値を取得し、その実測値に基づいて、通過地点から乗場までの当該利用者の歩行時間の予測値を推定した上で、その予測値の時間が経過するのを待って呼び登録を行ってもよい。
【0013】
上記構成によれば、各利用者についての呼び登録が、当該利用者が乗場にできるだけ近づいてから実行されやすくなる。よって、各利用者の乗遅れを、より効率良く防止することが可能になる。
【0014】
上記制御システムは、表示部と、装置管理データと、更に備えていてもよい。ここで、表示部は、通過地点から乗場へ行く途中で利用者が通る場所に設置され、その表示部には、各利用者について呼び登録処理部で実行された呼び登録の情報が表示される。装置管理データは、入場地点から乗場までの経路ごとに、その同じ1つの経路に設置された第2顔情報取得部及び表示部を互いに紐付けて管理する。このような構成において、呼び登録処理部は、対象顔情報で特定される利用者についての呼び登録の実行後、装置管理データを用いて、その利用者の第2顔情報を取得した第2顔情報取得部に紐付けられている表示部を特定し、その表示部に、当該利用者について行った呼び登録の情報を表示させてもよい。
【0015】
上記制御システムによれば、利用者ごとに、その利用者の第2顔情報を取得した第2顔情報取得部が設置されている経路と同じ経路に設置されている表示部に、その利用者についての呼び登録の情報を表示させることができる。その結果として、各利用者に対して、その利用者が通る経路に設置されている表示部を通じて、当該利用者が乗車すべき乗りかごの情報を提供することが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、入場地点が乗場から離れていて利用者が移動に時間を要する場合であっても、各利用者は、呼び登録で自身に割り当てられた乗りかごに乗り遅れずに乗車できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図である。
図2】実施形態における特定階でのエレベータの構成を例示した概念図である。
図3】実施形態で用いられる(A)対応管理データ及び(B)第1装置管理データをそれぞれ例示した概念図である。
図4】実施形態においてセキュリティ管理装置が実行する制御処理を示したフローチャートである。
図5】実施形態で用いられる(A)情報管理データ及び(B)第2装置管理データをそれぞれ例示した概念図である。
図6】実施形態において群管理制御装置が実行する呼び登録処理を示したフローチャートである。
図7】実施形態で用いられる第2表示部での表示方法を例示した概念図である。
図8】第1変形例で用いられる情報管理データを例示した概念図である。
図9】第1変形例において群管理制御装置が実行する呼び登録処理を示したフローチャートである。
図10】第2変形例で用いられる(A)情報管理データ及び(B)第2表示部での表示方法をそれぞれ例示した概念図である。
図11】第3変形例における特定階でのエレベータの構成の一例を示した概念図である。
図12】第3変形例における特定階でのエレベータの構成の他の例を示した概念図である。
図13】第3変形例で用いられる第2装置管理データを例示した概念図である。
図14】第5変形例に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図である。
図15】第5変形例で用いられる第1装置管理データを例示した概念図である。
図16】第6変形例で用いられる情報管理データを例示した概念図である。
図17】第7変形例において群管理制御装置が実行する呼び登録処理を示したフローチャートである。
図18】第7変形例で用いられる情報管理データを例示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[1]実施形態
図1は、実施形態に係る制御システムが適用されたエレベータの全体構成を例示した概念図である。この図に示されるように、本実施形態では、規制装置1(セキュリティゲートなど)と、情報取得装置2と、表示装置3と、セキュリティ管理装置4と、群管理制御装置5と、がエレベータの構成に含まれている。
【0019】
図2は、実施形態における特定階(ロビー階など)でのエレベータの構成を例示した概念図である。この図に示されるように、特定階には、エレベータの乗場へ行くために利用者が必ず通る入場地点Xsが設けられている。本実施形態では、そのような入場地点Xsが特定階に1つだけ設けられている。そして、入場地点Xsに規制装置1が設置されることにより、入場地点Xsの通行が制限されている。図2の例では、入場地点Xsに規制装置1が3台設置されている。尚、入場地点Xsに設置される規制装置1の台数は、3台に限定されない複数台であってもよいし、1台であってもよい。また、入場地点Xsは、特定階に複数設けられていてもよく、その場合の詳細については後述の「第3変形例」で説明する。
【0020】
ここで、フロア面積が大きい建物においては、乗場から離れた場所に入場地点Xsが設けられ、そこに規制装置1が設置されることがある。また、セキュリティゲートから見えない場所に乗場が設けられていることもある。そのような建物では、利用者は、規制装置1の通過後、乗場に到達するまでに時間を要することになる。このため、入場地点Xsにて各利用者が規制装置1を通過したときに、その利用者についての呼び登録を行ったとすると(換言すれば、従来の技術をそのまま用いたとすると)、何れの利用者においても、自身に割り当てられた乗りかごの出発に間に合わずに乗り遅れてしまうといった状況が生じやすくなる。
【0021】
そこで、このようなエレベータの構成において、入場地点Xsが乗場から離れていて利用者が移動に時間を要する場合であっても、各利用者が、呼び登録で自身に割り当てられた乗りかごに乗り遅れずに乗車できる、といった環境を作り出すべく、それを可能にするための制御システムが、以下に詳述する構成の一部又は全部によって構築される。
【0022】
[1-1]規制装置
規制装置1は、利用者が所持する記録媒体Q(ICカードや磁気カードなど)から情報を読み取る読取部11と、ゲートの開閉を制御する開閉制御部12と、を備える(図1参照)。読取部11は、カードリーダなどの読取デバイスで構成され、開閉制御部12は、CPUやMPUなどの処理デバイスで構成される。また、読取部11及び開閉制御部12には、それぞれを他の装置と識別するためのリーダ情報Pxg及びゲート情報Pwgが設定されている。
【0023】
記録媒体Qには、それを所持する利用者を他の利用者と識別するための識別情報Pi(利用者IDなど)が記録されており、読取部11は、記録媒体Qがかざされたときに、当該記録媒体Qから識別情報Piを読み取る。開閉制御部12は、セキュリティ管理装置4から指令に応じてゲートの開閉を制御する。
【0024】
読取部11による記録媒体Qの読取方法は、接触式のものであってもよいし、NFC(Near Field Communication)等の近距離通信で情報を読み取る非接触式のものであってもよく、特に限定されるものではない。また、記録媒体Qは、カード状のものに限らず、スティック状やチップ状のものであってもよい。更に、記録媒体Qとして、読取部11との近距離通信(NFC等)が可能なスマートフォン等の端末装置が用いられてもよい。
【0025】
読取部11が読み取った識別情報Piは、後述するセキュリティ管理装置4が行う制御処理(認証処理や取得処理など)に用いられる。そのため、読取部11は、識別情報Piを読み取った場合、その識別情報Piをセキュリティ管理装置4へ送信する(図1参照)。このとき、読取部11は、当該識別情報Piの送信元がどの装置であるのかをセキュリティ管理装置4に認識させるべく、その識別情報Piと共に、自身のリーダ情報Pxgもセキュリティ管理装置4へ送信する。
【0026】
[1-2]情報取得装置
情報取得装置2は、エレベータの各利用者から顔情報(顔特徴量など)を取得する装置である。本実施形態では、情報取得装置2は、第1顔情報取得部21と、第2顔情報取得部22と、を含む(図1参照)。これらの取得部は、カメラなどの撮像デバイスによって構成され、第1顔情報取得部21及び第2顔情報取得部22には、それぞれを他の装置と識別するためのカメラ情報Py1及びPy2が設定されている。
【0027】
<第1顔情報取得部>
第1顔情報取得部21は、入場地点Xs(図2参照)を通った各利用者の顔情報を第1顔情報Pf1として取得する。具体的には、第1顔情報取得部21は、規制装置1を通過した各利用者の顔を撮影することにより、その利用者の顔が写った画像を取得する。そして、第1顔情報取得部21は、取得した各利用者の画像(顔画像)に画像処理を施すことにより、その利用者の顔情報(顔特徴量など)を第1顔情報Pf1として抽出する。本実施形態では、入場地点Xsに設置された3台の規制装置1に、1つずつ対応付けて第1顔情報取得部21が設けられており(図2参照)、各第1顔情報取得部21は、それに対応する規制装置1を通過した各利用者の顔情報を第1顔情報Pf1として取得する。尚、図1では、第1顔情報取得部21が規制装置1と1対1の対応関係にあることが、それらを囲む一点鎖線の枠で示されている。
【0028】
以下では、説明を簡潔にするために、第1顔情報取得部21が取得する画像には、入場地点Xsを通った各利用者の顔が必ず写るものとし、且つ、当該画像からは必ずその利用者の第1顔情報Pf1が抽出されるものとする。
【0029】
第1顔情報取得部21が各利用者の画像(顔画像)から抽出した第1顔情報Pf1は、後述する群管理制御装置5が行う制御処理(呼び登録処理など)に用いられる。本実施形態では、第1顔情報取得部21が取得した第1顔情報Pf1のうちの、セキュリティ管理装置4にて認証に成功した利用者のものだけが、当該セキュリティ管理装置4を通じて群管理制御装置5へ送信される。換言すれば、第1顔情報取得部21が取得した各利用者の第1顔情報Pf1は、セキュリティ管理装置4を経由して群管理制御装置5へ送信される。そのため、第1顔情報取得部21は、各利用者の第1顔情報Pf1を取得した場合、その第1顔情報Pf1をセキュリティ管理装置4へ送信する(図1参照)。このとき、第1顔情報取得部21は、当該第1顔情報Pf1の送信元がどの装置であるのかをセキュリティ管理装置4に認識させるべく、その第1顔情報Pf1と共に、自身のカメラ情報Py1もセキュリティ管理装置4へ送信する。
【0030】
尚、画像からの第1顔情報Pf1の抽出は、セキュリティ管理装置4や群管理制御装置5で実行されてもよい。その場合、第1顔情報取得部21は、入場地点Xsでの撮影によって画像(顔画像)を取得するごとに、当該画像を、自身のカメラ情報Py1と共にセキュリティ管理装置4へ送信することになる。
【0031】
<第2顔情報取得部>
第2顔情報取得部22は、入場地点Xsからエレベータの乗場までの経路の途中にある通過地点Xt(図2参照)において、当該通過地点Xtを通った各利用者の顔情報を第2顔情報Pf2として取得する。具体的には、第2顔情報取得部22は、通過地点Xtを撮影することにより、その通過地点Xtを通過する利用者の顔が写った画像を取得する。そして、第2顔情報取得部22は、取得した画像に画像処理を施すことにより、その画像に写っている各利用者の顔情報(顔特徴量など)を第2顔情報Pf2として抽出する。
【0032】
以下では、説明を簡潔にするために、第2顔情報取得部22が取得する画像には、通過地点Xtを通った各利用者の顔が必ず写るものとし、且つ、当該画像からは必ずその利用者の第2顔情報Pf2が抽出されるものとする。
【0033】
ここで、通過地点Xtは、入場地点Xsからエレベータの乗場へ行くときに利用者が必ず通過する地点である。具体的には、通過地点Xtは、乗場までの距離Leが次のような距離となるように設定された地点である。その距離とは、通過地点Xtから乗場までの移動に要する歩行時間の予測値Teを考慮して呼び登録を行う場合において、実際に利用者が移動したときの歩行時間が予測値Teから大きくずれて乗遅れが生じてしまうといったようなことにはなりにくい距離である。本実施形態では、そのような予測値Teとして、歩行時間の平均値など、全ての利用者に共通の1つの固定値が用いられる。
【0034】
第2顔情報取得部22が画像から抽出した各利用者の第2顔情報Pf2は、上述した第1顔情報Pf1と共に、群管理制御装置5が行う制御処理(呼び登録処理など)に用いられる。本実施形態では、第2顔情報Pf2については、セキュリティ管理装置4を介さずに、直接、群管理制御装置5へ送信される。そのため、第2顔情報取得部22は、各利用者の第2顔情報Pf2を取得した場合、その第2顔情報Pf2を群管理制御装置5へ送信する(図1参照)。このとき、第2顔情報取得部22は、当該第2顔情報Pf2の送信元がどの装置であるのかを群管理制御装置5に認識させるべく、その第2顔情報Pf2と共に、自身のカメラ情報Py2も群管理制御装置5へ送信する。
【0035】
尚、画像からの第2顔情報Pf2の抽出は、群管理制御装置5で実行されてもよい。その場合、第2顔情報取得部22は、通過地点Xtでの撮影によって画像を取得するごとに、当該画像を、自身のカメラ情報Py2と共に群管理制御装置5へ送信することになる。
【0036】
[1-3]表示装置
表示装置3は、利用者に情報を提供する装置である。本実施形態では、表示装置3は、第1表示部31と、第2表示部32と、を含む(図1参照)。これらの表示部は、液晶モニタなどの表示デバイスで構成され、第1表示部31及び第2表示部32には、それぞれを他の装置と識別するためのモニタ情報Pz1及びPz2が設定されている。
【0037】
<第1表示部>
第1表示部31は、入場地点Xsにて各利用者に情報を提供する。本実施形態では、入場地点Xsに設置された3台の規制装置1に1つずつ搭載されており(図2参照)、各第1表示部31には、それが搭載された規制装置1にて読取部11に記録媒体Qをかざした各利用者についての認証結果などの情報が表示される。尚、図1では、第1表示部31が規制装置1と1対1の対応関係にあることが、それらを囲む一点鎖線の枠で示されている。
【0038】
<第2表示部>
第2表示部32は、通過地点Xtから乗場へ行く途中で利用者が必ず通る場所に設置されており(図2参照)、乗場へ行く各利用者に情報を提供する。本実施形態では、第2表示部32は、入場地点Xsに設置された全ての規制装置1と1対多の関係で対応付けられており、第2表示部32には、それに対応する規制装置1を通過した各利用者について実行された呼び登録の情報(呼び登録で割り当てられた乗りかごの情報など)が表示される。
【0039】
[1-4]セキュリティ管理装置
[1-4-1]セキュリティ管理装置の構成
セキュリティ管理装置4は、建物内のセキュリティを管理する装置であり、制御処理の1つとして、入場地点Xsから入場した利用者を把握することによって建物内のセキュリティを維持しつつ、入場地点Xsを通った利用者ごとに、当該利用者についての呼び登録に必要な情報を取得して群管理制御装置5へ送信する。このとき、セキュリティ管理装置4は、呼び登録に必要な情報の1つとして、入場地点Xsを通った各利用者の行先階Ftを取得する。
【0040】
本実施形態では、セキュリティ管理装置4は、規制装置1を通過しようとする利用者ごとに、読取部11が取得した当該利用者の識別情報Piに対する認証を行い(認証処理)、認証に成功した場合にのみ、その利用者に対して規制装置1の通過を許可する。また、セキュリティ管理装置4は、規制装置1を通過した利用者ごとに、当該利用者についての呼び登録に必要な情報を取得し(取得処理)、当該情報を群管理制御装置5へ送信する(送信処理)。尚、セキュリティ管理装置4が実行する制御処理の詳細については後述する。
【0041】
具体的な構成として、セキュリティ管理装置4は、記憶部41と制御部42とを備える(図1参照)。
【0042】
記憶部41は、セキュリティ管理装置4が行う制御処理(認証処理など)に必要な情報が保存される部分である。本実施形態では、記憶部41は、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成され、当該記憶部41には、対応管理データDpと、第1装置管理データDq1と、が保存されている。
【0043】
ここで、対応管理データDpは、エレベータの利用を許可できる各利用者の行先階Ftを管理するためのデータである。第1装置管理データDq1は、規制装置1ごとに、当該規制装置1に関連する複数の情報を互いに紐付けて管理するためのデータである。
【0044】
図3(A)は、本実施形態で用いられる対応管理データDpを例示した概念図である。この図に示されるように、対応管理データDpには、各利用者の識別情報Piが、当該利用者のデフォルト階Ftd(その利用者の降車階として初期設定された行先階Ft)と対応付けられた状態で記録されている。
【0045】
図3(B)は、本実施形態で用いられる第1装置管理データDq1を例示した概念図である。この図に示されるように、第1装置管理データDq1には、規制装置1ごとに、その規制装置1が備える読取部11のリーダ情報Pxgが、当該読取部11の設置階Fgと、当該規制装置1と対応関係にある第1顔情報取得部21のカメラ情報Py1及び第1表示部31のモニタ情報Pz1と、当該規制装置1が備える開閉制御部12のゲート情報Pwgと、に対応付けられた状態で記録されている。
【0046】
ここで、設置階Fgは、リーダ情報Pxgで特定される読取部11が設置されている階であり、換言すれば、その読取部11を備えた規制装置1が設置されている階である。そして本実施形態では、利用者は、特定階からエレベータを利用する場合には、規制装置1を通過する必要がある。従って、読取部11の設置階Fg(即ち、規制装置1の設置階Fg)は、利用者が特定階からエレベータを利用するときの当該利用者の出発階Fs(乗車階)として用いられる。
【0047】
制御部42は、上述した制御処理を実行する部分である。本実施形態では、制御部42は、CPUやMPUなどの処理デバイスで構成され、上述した認証処理、取得処理、及び送信処理の実行を担う。
【0048】
より具体的な構成として、これらの処理は、制御部42内に構築される認証処理部421、取得処理部422、及び送信処理部423によって実行される(図1参照)。本実施形態では、これらの処理部は、制御部42にプログラムを実行させることによってソフトウェアで構成される。そして、そのようなプログラムは、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存され、当該記憶媒体から読み出されてインストールされたものがセキュリティ管理装置4の記憶部41に保存されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、当該サーバからダウンロードされてインストールされたものが記憶部41に保存されてもよい。尚、上記の処理部は、セキュリティ管理装置4内に回路を構築することによってハードウェアで構成されてもよい。
【0049】
[1-4-2]セキュリティ管理装置が実行する制御処理
図4は、本実施形態においてセキュリティ管理装置4が実行する制御処理を示したフローチャートである。この制御処理は、入場地点Xsで規制装置1の読取部11に記録媒体Qをかざした各利用者についての一組の情報(識別情報Pi、リーダ情報Pxg)を、セキュリティ管理装置4が読取部11から受信した場合に、開始される。また、この制御処理は、セキュリティ管理装置4が上記一組の情報を受信するごとに実行される。以下では、上記一組の情報(識別情報Pi、リーダ情報Pxg)を纏めて「受信情報Pr1」と称す。
【0050】
上記制御処理が開始されると、制御部42は、先ず、受信情報Pr1内の識別情報Piで特定される利用者(入場地点Xsで規制装置1を通過しようとしている利用者)がエレベータの利用を許可できる利用者であるか否かを判断するべく、当該識別情報Piに対する認証を行う(認証処理。ステップS101)。具体的には、制御部42は、受信情報Pr1内の識別情報Piが対応管理データDpに記録済みの識別情報Piの何れかと合致するか否かを判断する。
【0051】
そして、制御部42は、ステップS101にて識別情報Piに対する認証に「成功」した場合には、その識別情報Piで特定される利用者に対して規制装置1の通過を許可するべく、当該識別情報Piを送信してきた読取部11を備える規制装置1へ、ゲートを開く制御を実行させるためのゲート開指令Sg1を送信する(ステップS102A)。具体的には、制御部42は、受信情報Pr1内のリーダ情報Pxgを用いて、第1装置管理データDq1から、当該リーダ情報Pxgに対応付けられているゲート情報Pwgを取得する。そして、制御部42は、そのゲート情報Pwgで特定される開閉制御部12へゲート開指令Sg1を送信する。これにより、その開閉制御部12において、ゲートを開く制御が実行される。
【0052】
ステップS102Aの後、制御部42は、認証に成功した識別情報Piで特定される利用者についての呼び登録に必要な情報を取得する(取得処理。ステップS103A)。具体的には、制御部42は、必要な情報の1つとして利用者の行先階Ftを取得するべく、対応管理データDpから、受信情報Pr1内の識別情報Pi(認証に成功した識別情報Pi)に対応付けられているデフォルト階Ftdを取得し、そのデフォルト階Ftdを利用者の行先階Ftとする(Ft=Ftd)。このとき、制御部42は、入場地点Xsを通った各利用者の行先階Ftを取得する行先階取得部として機能することになる。
【0053】
ステップS103Aでは、制御部42は、上記利用者の出発階Fs(乗車階)も取得する。具体的には、制御部42は、受信情報Pr1内のリーダ情報Pxgを用いて、第1装置管理データDq1から、当該リーダ情報Pxgに対応付けられている設置階Fgを取得し、その設置階Fgを出発階Fsとする(Fs=Fg)。
【0054】
ここで、ステップS101での認証が成功した場合には、認証された利用者は規制装置1を通過できるようになり、それに伴って、第1顔情報取得部21は、規制装置1を通過する利用者の第1顔情報Pf1を取得し、当該第1顔情報Pf1を自身のカメラ情報Py1と共にセキュリティ管理装置4へ送信することになる。そして本実施形態では、各利用者の第1顔情報Pf1も、当該利用者についての呼び登録に必要な情報の1つである。
【0055】
そこでステップS103Aでは、制御部42は、上記利用者の出発階Fs及び行先階Ftに加えて、その利用者の第1顔情報Pf1も取得する。具体的には、制御部42は、先ず、当該利用者の顔情報を取得した第1顔情報取得部21を特定するべく、受信情報Pr1内のリーダ情報Pxgを用いて、第1装置管理データDq1にて当該リーダ情報Pxgに対応付けられているカメラ情報Py1を抽出し、そのカメラ情報Py1を対象カメラ情報Pytとする。次に、制御部42は、第1顔情報取得部21から受信した第1顔情報Pf1のうちの、当該第1顔情報Pf1と共に送信されてくるカメラ情報Py1が上記対象カメラ情報Pytと合致するものを、上記利用者の第1顔情報Pf1として取得する。
【0056】
その後、制御部42は、ステップS103Aで取得した情報(出発階Fs、行先階Ft、第1顔情報Pf1)を、互いに対応付けた状態で群管理制御装置5へ送信する(送信処理。ステップS104A)。制御部42は、ステップS104Aを実行後、制御処理を終了させる。
【0057】
一方、制御部42は、ステップS101にて識別情報Piに対する認証に「失敗」した場合には、その識別情報Piで特定される利用者に対して規制装置1の通過を規制(禁止)するべく、当該識別情報Piを送信してきた読取部11を備える規制装置1へ、ゲートを閉じる制御を実行させるためのゲート閉指令Sg2を送信する(ステップS102B)。具体的には、制御部42は、受信情報Pr1内のリーダ情報Pxgを用いて、第1装置管理データDq1から、当該リーダ情報Pxgに対応付けられているゲート情報Pwgを取得する。そして、制御部42は、そのゲート情報Pwgで特定される開閉制御部12へゲート閉指令Sg2をする。これにより、その開閉制御部12において、ゲートを閉じる制御が実行される。
【0058】
また、制御部42は、認証に失敗したこと(認証失敗)を上記利用者に通知するべく、当該利用者が通過しようとした規制装置1と対応関係にある第1表示部31へ、認証失敗を通知するための表示を実行させるための失敗通知指令Sxを、群管理制御装置5を介して送信する(ステップS103B)。具体的には、制御部42は、受信情報Pr1内のリーダ情報Pxgを用いて、第1装置管理データDq1から、当該リーダ情報Pxgに対応付けられているモニタ情報Pz1を取得する。そして、制御部42は、そのモニタ情報Pz1と失敗通知指令Sxとを群管理制御装置5へ送信する。これらの情報を群管理制御装置5が受信した場合、群管理制御装置5は、受信したモニタ情報Pz1で特定される第1表示部31へ失敗通知指令Sxを転送する。これにより、その第1表示部31において、認証失敗を通知するための表示が実行される。制御部42は、ステップS103Bの実行後、制御処理を終了させる。
【0059】
[1-5]群管理制御装置
[1-5-1]群管理制御装置の構成
群管理制御装置5は、上記エレベータが備える乗りかご(図2参照)を一元的に管理する装置であり、制御処理の1つとして、入場地点Xsを通った各利用者(本実施形態では、規制装置1を通過した各利用者)についての呼び登録を行う(呼び登録処理)。
【0060】
本実施形態では、群管理制御装置5は、呼び登録処理を行う前に、次のような前処理を行う。群管理制御装置5は、入場地点Xsを通った各利用者についての呼び登録に必要な一組の情報(出発階Fs、行先階Ft、第1顔情報Pf1)をセキュリティ管理装置4から受信した場合に、それらの情報を、互いに対応付けた状態で情報管理データDr(図5(A)参照)に記録する(情報記録処理)。そして、群管理制御装置5は、そのような前処理(情報記録処理)を行った上で呼び登録処理を実行する。具体的には、群管理制御装置5は、通過地点Xtを通った各利用者の第2顔情報Pf2を第2顔情報取得部22が取得した場合に、情報管理データDr内に記録済みの第1顔情報Pf1のうちの当該第2顔情報Pf2と合致するものを対象顔情報Pftとして、情報管理データDrにて当該対象顔情報Pftに対応付けられている出発階Fs及び行先階Ftを用いて、その対象顔情報Pftで特定される利用者についての呼び登録を行う(呼び登録処理)。尚、群管理制御装置5が実行する制御処理(情報記録処理、呼び登録処理)の詳細については後述する。
【0061】
具体的な構成として、群管理制御装置5は、記憶部51と制御部52とを備える(図1参照)。
【0062】
記憶部51は、群管理制御装置5が行う制御処理(呼び登録処理など)に必要な情報が保存される部分である。本実施形態では、記憶部51は、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成され、当該記憶部51には、情報管理データDrと、第2装置管理データDq2と、が保存されている。
【0063】
ここで、情報管理データDrは、入場地点Xsを通った各利用者についての呼び登録に必要な情報を記録しておくためのデータである。そして、当該情報管理データDrには、そのような情報の1つとして、入場地点Xsを通った各利用者の第1顔情報Pf1が記録される。第2装置管理データDq2は、入場地点Xsから乗場までの経路ごとに、その同じ1つの経路に設置された第2顔情報取得部22及び第2表示部32を互いに紐付けて管理するためのデータである。尚、本実施形態では経路は1つであるので、第2装置管理データDq2では、その1つの経路に設置された第2顔情報取得部22及び第2表示部32が互いに紐付けられる(図5(B)参照)。一方、後述する第3変形例(図12参照)のように経路が複数ある場合には、第2装置管理データDq2では、経路ごとに、その同じ1つの経路に設置された第2顔情報取得部22及び第2表示部32が互いに紐付けられる(図13参照)。
【0064】
図5(A)は、本実施形態で用いられる情報管理データDrを例示した概念図である。この図に示されるように、情報管理データDrでは、入場地点Xsを通った各利用者の第1顔情報Pf1が、その利用者の出発階Fs及び行先階Ftと対応付けられた状態で記録される。具体的には、入場地点Xsを通った各利用者についての呼び登録に必要な一組の情報(出発階Fs、行先階Ft、第1顔情報Pf1)を群管理制御装置5がセキュリティ管理装置4から受信した場合に、それらの情報が、互いに対応付けられた状態で情報管理データDrに記録される。
【0065】
図5(B)は、本実施形態で用いられる第2装置管理データDq2を例示した概念図である。この図に示されるように、第2装置管理データDq2には、入場地点Xsから乗場までの同じ1つの経路に設置された第2顔情報取得部22及び第2表示部32について、当該第2顔情報取得部22のカメラ情報Py2と、当該第2表示部32のモニタ情報Pz2と、が互いに対応付けられた状態で記録されている。
【0066】
制御部52は、上述した制御処理を実行する部分である。本実施形態では、制御部52は、CPUやMPUなどの処理デバイスで構成され、上述した情報記録処理及び呼び登録処理の実行を担う。
【0067】
より具体的な構成として、これらの処理は、制御部52内に構築される情報記録処理部521及び呼び登録処理部522によって実行される(図1参照)。本実施形態では、これらの処理部は、制御部52にプログラムを実行させることによってソフトウェアで構成される。そして、そのようなプログラムは、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存され、当該記憶媒体から読み出されてインストールされたものが群管理制御装置5の記憶部51に保存されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、当該サーバからダウンロードされてインストールされたものが記憶部51に保存されてもよい。尚、上記の処理部は、群管理制御装置5内に回路を構築することによってハードウェアで構成されてもよい。
【0068】
[1-5-2]群管理制御装置が実行する制御処理
<情報記録処理>
情報記録処理は、入場地点Xsを通った各利用者についての呼び登録に必要な一組の情報(出発階Fs、行先階Ft、第1顔情報Pf1)を群管理制御装置5がセキュリティ管理装置4から受信した場合に、開始される。また、この情報記録処理は、群管理制御装置5が上記一組の情報を受信するごとに実行される。
【0069】
情報記録処理が開始されると、制御部52は、セキュリティ管理装置4から受信した一組の情報(出発階Fs、行先階Ft、第1顔情報Pf1)を、互いに対応づけた状態で情報管理データDrに記録する(図5(A)参照)。
【0070】
<呼び登録処理>
図6は、本実施形態において群管理制御装置5が実行する呼び登録処理を示したフローチャートである。呼び登録処理は、通過地点Xtを通った各利用者の第2顔情報Pf2を含む一組の情報(第2顔情報Pf2、カメラ情報Py2)を、群管理制御装置5が第2顔情報取得部22から受信した場合に、開始される。また、この呼び登録処理は、群管理制御装置5が上記一組の情報を受信するごとに実行される。以下では、上記一組の情報(第2顔情報Pf2、カメラ情報Py2)を纏めて「受信情報Pr2」と称す。
【0071】
呼び登録処理が開始されると、制御部52は、先ず、情報管理データDr内に記録済みの第1顔情報Pf1から、受信情報Pr2内の第2顔情報Pf2と合致するもの(以下、「対象顔情報Pft」と称す)を探し出し、その情報管理データDrから、当該対象顔情報Pftに対応付けられている出発階Fs及び行先階Ftを取得する(ステップS201)。
【0072】
その後、制御部52は、ステップS201で取得した出発階Fs及び行先階Ftを用いて、上記対象顔情報Pftで特定される利用者についての呼び登録を行う(ステップS202)。具体的には、制御部52は、ステップS201で抽出した出発階Fs及び行先階Ftを1つの乗場呼びとして、乗りかごへの割当てを行う。このとき、制御部52は、通過地点Xtから乗場までの移動に要する歩行時間の予測値Teを考慮して、乗りかごへの割当てを行う。本実施形態では、予測値Teとして、全ての利用者に共通の1つの固定値が用いられる。一例として、予測値Teには、実際の歩行時間を測定して得られた過去のデータの平均値が用いられる。尚、予測値Teとして、全ての利用者に共通の1つの固定値に代えて、利用者ごとに推定した値を用いることができる。その内容については、後述の「第1変形例」で具体的に説明する。
【0073】
ステップS202の後、制御部52は、ステップS202での呼び登録で割り当てた乗りかごの情報(以下、「かご情報Pk」と称す)を、上記対象顔情報Pftで特定される利用者に通知するために、先ず、当該利用者が乗場へ行く途中で通る場所に設置されている第2表示部32を特定する(ステップS203)。具体的には、制御部52は、受信情報Pr2内のカメラ情報Py2を用いて、第2装置管理データDq2にて当該カメラ情報Py2に対応付けられているモニタ情報Pz2を抽出し、そのモニタ情報Pz2を用いて第2表示部32を特定する。換言すれば、制御部52は、第2装置管理データDq2を用いて、上記利用者の第2顔情報Pf2を取得した第2顔情報取得部22に紐付けられている第2表示部32を特定する。
【0074】
次に、制御部52は、ステップS203で特定した第2表示部32に、ステップS202での呼び登録で割り当てた乗りかごのかご情報Pkを表示させる(ステップS204)。このとき、制御部52は、当該かご情報Pkに対応付けて、ステップS202での呼び登録に用いた行先階Ftも表示させる(図7参照)。これにより、利用者は、第2表示部32にて自身の行先階Ftと対応付けられているかご情報Pkを確認することにより、自身がどの乗りかごに乗車すべきかを認識することができる。制御部42は、ステップS204を実行後、呼び登録処理を終了させる。
【0075】
このような制御システム及び制御処理によれば、入場地点Xsを各利用者が通ったときに、その利用者の行先階Ftの情報が得られるため、当該利用者についての呼び登録を行うことが可能になるが、そのときには呼び登録を行うことはせず、その利用者が入場地点Xsよりも乗場に近い通過地点Xtを通過したときに初めて呼び登録を行う、といった処理が可能になる。換言すれば、各利用者が乗場に近づいてから呼び登録を行うことが可能になる。よって、入場地点Xsが乗場から離れていて利用者が移動に時間を要する場合であっても、各利用者は、呼び登録で自身に割り当てられた乗りかごに乗り遅れずに乗車できるようになる。
【0076】
[2]変形例
[2-1]第1変形例
上述した呼び登録処理のステップS202(図6参照)において、呼び登録(乗りかごへの割当て)で考慮される歩行時間の予測値Teには、全ての利用者に共通の1つの固定値に代えて、利用者ごとに推定された値が用いられてもよい。
【0077】
具体的には、群管理制御装置5の制御部52は、入場地点Xsから通過地点Xtまでの各利用者の歩行時間の実測値Tdを取得し、その実測値Tdに基づいて、通過地点Xtから乗場までの当該利用者の歩行時間の予測値Teを推定することができる。そして、制御部52は、各利用者についての呼び登録を行う場合には、当該利用者の歩行時間の予測値Teを推定した上で、その予測値Teを考慮して呼び登録を行うことができる。より具体的には以下のとおりである。
【0078】
第1顔情報取得部21は、各利用者の画像(顔画像)から抽出した第1顔情報Pf1をセキュリティ管理装置4へ送信する場合、自身のカメラ情報Py1と共にその画像(顔画像)の撮影時刻t1も、当該第1顔情報Pf1と対応付けた状態でセキュリティ管理装置4へ送信する。そして、セキュリティ管理装置4の制御部42は、図4のステップS103A(取得処理)において第1顔情報Pf1を取得する場合には、その第1顔情報Pf1に対応付けられているカメラ情報Py1及び撮影時刻t1も一緒に取得する。本変形例では、撮影時刻t1は、入場地点Xsから通過地点Xtまでの各利用者の歩行時間の実測値Tdを算出するときに、当該入場地点Xsを通った時刻として用いられる。また、カメラ情報Py1は、入場地点Xsから通過地点Xtまでの経路に沿った距離Ldを取得するときに、当該入場地点Xsがどの地点であるのかを特定するための情報として用いられる。
【0079】
その後、制御部42は、図4のステップS104A(送信処理)において群管理制御装置5へ一組の情報(出発階Fs、行先階Ft、第1顔情報Pf1)を送信する場合には、上記ステップS103Aで取得したカメラ情報Py1及び撮影時刻t1も当該一組の情報に含めて群管理制御装置5へ送信する。
【0080】
群管理制御装置5は、上記一組の情報(出発階Fs、行先階Ft、第1顔情報Pf1、カメラ情報Py1、撮影時刻t1)をセキュリティ管理装置4から受信した場合、それらの情報を互いに対応づけた状態で情報管理データDrに記録する(図8参照)。これにより、群管理制御装置5の制御部52は、呼び登録に必要な情報として、カメラ情報Py1及び撮影時刻t1も得ることができる。
【0081】
第2顔情報取得部22は、画像から抽出した各利用者の第2顔情報Pf2を群管理制御装置5へ送信する場合、自身のカメラ情報Py2と共にその画像の撮影時刻t2も、当該第2顔情報Pf2と対応付けた状態で群管理制御装置5へ送信する。この場合、群管理制御装置5は、撮影時刻t2を含んだ一組の情報(第2顔情報Pf2、カメラ情報Py2、撮影時刻t2)を第2顔情報取得部22から受信することになる。本変形例では、撮影時刻t2は、入場地点Xsから通過地点Xtまでの各利用者の歩行時間の実測値Tdを算出するときに、当該通過地点Xtを通った時刻として用いられる。また、カメラ情報Py2は、入場地点Xsから通過地点Xtまでの経路に沿った距離Ldを取得するとき、並びに、通過地点Xtから乗場までの経路に沿った距離Leを取得するときに、当該通過地点Xtがどの地点であるのか特定するための情報として用いられる。そして、群管理制御装置5の制御部52は、第2顔情報取得部22から上記一組の情報を受信した場合に呼び登録処理を開始する。以下では、上述した実施形態と同様、第2顔情報取得部22から受信した一組の情報を纏めて「受信情報Pr2」と称す。
【0082】
図9は、第1変形例において群管理制御装置5が実行する呼び登録処理を示したフローチャートである。呼び登録処理が開始されると、制御部52は、先ず、情報管理データDr(図8参照)内に記録済みの第1顔情報Pf1から、受信情報Pr2内の第2顔情報Pf2と合致するもの(対象顔情報Pft)を探し出し、その情報管理データDrから、当該対象顔情報Pftに対応付けられている出発階Fs及び行先階Ftを取得する(ステップS211)。このとき、制御部52は、その対象顔情報Pftに対応付けられているカメラ情報Py1及び撮影時刻t1も一緒に取得する。
【0083】
次に、制御部52は、ステップS211で取得したカメラ情報Py1及び撮影時刻t1と、受信情報Pr2内のカメラ情報Py2及び撮影時刻t2とを用いて、通過地点Xtから乗場までの歩行時間の予測値Teを推定する(ステップS212)。
【0084】
具体的には、制御部52は、先ず、ステップS211で取得した撮影時刻t1と、受信情報Pr2内の撮影時刻t2とを用いて、撮影時刻t1から撮影時刻t2までの経過時間を歩行時間の実測値Tdとして算出する(Td=t2-t1。ステップS212A)。
【0085】
次に、制御部52は、ステップS211で取得したカメラ情報Py1と、受信情報Pr2内のカメラ情報Py2とを用いて、入場地点Xsから通過地点Xtまでの経路に沿った距離Ldと、通過地点Xtから乗場までの経路に沿った距離Leと、を取得する(ステップS212B)。
【0086】
一例として、制御部52は、ステップS211で取得したカメラ情報Py1を用いて、利用者が通った入場地点Xsがどの地点であるのかを特定する。また、制御部52は、受信情報Pr2内のカメラ情報Py2を用いて、利用者が通った通過地点Xtがどの地点であるのかを特定する。更に、記憶部51には、エレベータの乗場がある地点を特定するための乗場情報が予め保存されており、制御部52は、その乗場情報を用いて乗場がある地点を特定する。そして、制御部52は、特定した3つの地点に基づいて、距離Ld及びLeを、記憶部51に予め保存されているマップ情報などから取得する。
【0087】
他の例として、記憶部51には、距離データとして、カメラ情報Py1及びPy2と乗場情報の組合せごとに、それらの情報で特定される地点間の2つの距離Ld及びLeが対応付けられたものが保存されていてもよい。この場合、制御部52は、ステップS211で取得したカメラ情報Py1と、受信情報Pr2内のカメラ情報Py2と、記憶部51に保存されている乗場情報とを用いて、上記距離データから、それらの情報の組合せに対応付けられている距離Ld及びLeを取得することができる。
【0088】
ステップS212A及び212Bの実行後、制御部52は、ステップS212Aで取得した歩行時間の実測値Tdと、ステップS212Bで取得した距離Ld及びLeとを用いて、通過地点Xtから乗場までの歩行時間の予測値Teを推定する(ステップS212C)。
【0089】
一例として、制御部52は、ステップS212Aで取得した歩行時間の実測値Tdと、ステップS212Bで取得した距離Ldとを用いて、その距離Ldを実測値Tdで割ることにより、入場地点Xsから通過地点Xtまでの歩行速度Vdを算出する(Vd=Ld/Td)。そして、制御部52は、ステップS212Bで取得した距離Leを歩行速度Vdで割ることにより、予測値Teを算出する。
【0090】
他の例として、制御部52は、ステップS212Bで取得した距離Ld及びLeを用いて、距離Ldに対する距離Leの比率Rtを求めてもよい(Rt=Le/Ld)。そして、制御部52は、ステップS212Aで取得した歩行時間の実測値Tdに比率Rtを乗ずることにより、予測値Teを算出してもよい。換言すれば、制御部52は、実測値Tdに対する予測値Teの比率が比率Rtと同じになるように、予測値Teを求めることができる。
【0091】
ステップS212の後、制御部52は、ステップS212で推定した歩行時間の予測値Teを考慮して、ステップS211で取得した出発階Fs及び行先階Ftを用いた呼び登録を行う(ステップS213)。
【0092】
第1変形例によれば、利用者ごとに、通過地点Xtから乗場までの当該利用者の歩行時間の予測値Teを推定することが可能になる。また、各利用者についての予測値Teを推定するときに、その利用者について直前に得られた歩行時間の実測値Tdが使用されるため、予測値Teとして、そのときの当該利用者の状態が反映された適切な値を精度良く得ることが可能になる。その結果として、各利用者にとって最適な乗りかごを割り当てることが可能になる。
【0093】
[2-2]第2変形例
上述した実施形態及び変形例の何れにおいても、ステップS204(図6図9参照)での第2表示部32への情報表示では、かご情報Pkに対応付けて、その乗りかごに乗車すべき利用者の識別情報Pi(利用者IDや利用者名などであってもよい)が表示されてもよい。この場合、セキュリティ管理装置4及び群管理制御装置5では、以下のような制御処理を実行することができる。
【0094】
具体的には、セキュリティ管理装置4の制御部42は、ステップS104A(送信処理。図4参照)において、呼び登録に必要な情報(出発階Fs、行先階Ft、第1顔情報Pf1など)と共に、読取部11から受信した識別情報Piも群管理制御装置5へ送信する。このとき、制御部42は、当該識別情報Piに対応付けられている利用者IDや利用者名などを取得し、それを群管理制御装置5へ送信してもよい。
【0095】
そしてステップS201(図6参照)又はS211(図9参照)では、群管理制御装置5の制御部52は、セキュリティ管理装置4から受信した識別情報Piを、他の情報(出発階Fs、行先階Ft)と共に情報管理データDrから取得する(図10(A)参照)。その後、制御部52は、ステップS204(図6図9参照)にて第2表示部32に情報表示を実行させる場合、かご情報Pkに対応付けて識別情報Piを表示させる(図10(B)参照)。このとき、第2表示部32には、識別情報Piと共に行先階Ftも、かご情報Pkに対応付けて表示されてもよい。
【0096】
第2変形例によれば、第2表示部32において、各利用者の識別情報Piが、その利用者に割り当てられた乗りかごのかご情報Pkに対応付けて表示されるため、利用者は、第2表示部32に表示されたどのかご情報Pkが自身の情報であるのかを認識しやすくなる。
【0097】
[2-3]第3変形例
実施形態及び変形例で説明した制御システムは何れも、図2の例のように特定階に入場地点Xsが1つだけ設けられているエレベータの構成に限らず、特定階に入場地点Xsが複数設けられているエレベータの構成にも適用できる。
【0098】
図11は、第3変形例における特定階でのエレベータの構成の一例を示した概念図である。図11の例では、特定階に入場地点Xsが2つ設けられており(A1地点とA2地点)、それらの入場地点Xsから乗場までの2つの経路が、途中で1つになって乗場まで1つのまま続いている。この場合、それらの経路のうちの共通部分(1つになっている部分)に、第2顔情報取得部22と第2表示部32とが設置される。そして、このようなエレベータの構成にも、上述した制御システムをそのまま適用することができる。
【0099】
図12は、第3変形例における特定階でのエレベータの構成の他の例を示した概念図である。図12の例では、特定階に入場地点Xsが2つ設けられており(A地点とB地点)、それらの入場地点Xsから乗場までの2つの経路が、互いに重なることのなく乗場まで別々の経路になっている。この場合、各経路に、第2顔情報取得部22と第2表示部32とが設置される。そして、第2装置管理データDq2では、経路ごとに、その同じ1つの経路に設置された第2顔情報取得部22及び第2表示部32を紐付けて管理するための情報として、当該第2顔情報取得部22のカメラ情報Py2と、当該第2表示部32のモニタ情報Pz2と、が互いに対応付けられた状態で記録される(図13参照)。そして、このようなエレベータの構成にも、上述した制御システムをそのまま適用することができる。
【0100】
また、第2装置管理データDq2では、経路ごとに、その同じ1つの経路に設置された第2顔情報取得部22及び第2表示部32が互いに紐付けられているため、その第2装置管理データDq2を用いた呼び登録処理によれば、利用者ごとに、その利用者の第2顔情報Pf2を取得した第2顔情報取得部22が設置されている経路と同じ経路に設置されている第2表示部32に、その利用者についての呼び登録の情報を表示させることができる。その結果として、各利用者に対して、その利用者が通る経路に設置されている第2表示部32を通じて、当該利用者が乗車すべき乗りかごのかご情報Pkを提供することが可能になる。
【0101】
[2-4]第4変形例
上述した実施形態及び変形例の何れにおいても、エレベータの全体構成を、セキュリティ管理装置4での識別情報Piの認証を必要としないものに適宜変更することができる。そのような構成では、各利用者から行先階Ft(デフォルト階Ftd)を取得するために、その利用者が所持する記録媒体Qに、識別情報Piに代えて当該行先階Ftが記録されていてもよい。この場合、読取部11は、識別情報Piに代えて、行先階Ftを記録媒体Qから読み取り、それを自身のリーダ情報Pxgと共にセキュリティ管理装置4へ送信することになる。
【0102】
また、記録媒体Qとしてスマートフォン等の端末装置が用いられてもよく、その場合には、行先階Ftの情報を含んだコード(QRコード(登録商標)や2次元バーコードなど)を端末装置の画面に表示させ、そのコードを読取部11に読み取らせることができる。
【0103】
第4変形例によれば、セキュリティ管理装置4は、対応管理データDpを必要とせず、読取部11から受信した行先階Ftをそのまま、呼び登録に必要な情報として群管理制御装置5へ送信することが可能になる。
【0104】
[2-5]第5変形例
上述した実施形態及び変形例の何れにおいても、記録媒体Qとしてスマートフォン等の端末装置が用いられる場合には、第1顔情報取得部21に代えて、当該端末装置に第1顔情報Pf1を取得させてもよい。この場合、制御装置及び読取部11では、以下のような処理を実行することができる。
【0105】
具体的には、端末装置が備えるカメラを用いて利用者の顔情報を取得できるようにするアプリケーションプログラムが、各利用者が所持する端末装置にインストールされる。そして、端末装置は、利用者から顔情報を取得した場合に、その顔情報を第1顔情報Pf1として、当該第1顔情報Pf1と他の情報(識別情報Pi又は行先階Ft)とを含んだコードを生成する。その後、そのコードが読取部11で読み取られることにより、第1顔情報Pf1が、他の情報と共にセキュリティ管理装置4へ送信される。尚、コードには、個人情報である第1顔情報Pf1が含まれることになるため、当該コードは、生成時に暗号化されてもよい。一例として、そのようなコードとして、SQRC(登録商標)を用いることができる。
【0106】
このような構成によれば、第1顔情報取得部21を用いずに第1顔情報Pf1を取得することが可能になる。また、セキュリティ管理装置4は、読取部11から受信した第1顔情報Pf1及び他の情報(識別情報Pi又は行先階Ft)を、そのまま対応付けた状態で管理することができる。従って、第1装置管理データDq1内のカメラ情報Py1を用いなくても、各利用者の第1顔情報Pf1と行先階Ftとを互いに対応付けることができる。従って、第1顔情報取得部21が不要になり(図14参照。図14は、上記他の情報が識別情報Piである場合を示す)、第1装置管理データDq1からはカメラ情報Py1を省くことが可能になる(図15参照)。
【0107】
本変形例の構成を第1変形例に適用した場合には、カメラ情報Py1及び撮影時刻t1に代えて、読取部11のリーダ情報Pxgを、入場地点Xsがどの地点であるのかを特定するための情報として用い、当該読取部11での第1顔情報Pf1の読取時刻を、入場地点Xsを通った時刻として用いることにより、実測値Tdを算出し、また、距離Ldを取得することが可能になる。
【0108】
[2-6]第6変形例
上述した実施形態及び変形例の何れにおいても、記録媒体Qとしてスマートフォン等の端末装置が用いられる場合には、第2表示部32に代えて、端末装置にかご情報Pkが表示されてもよい。この場合、制御装置などの各部では、以下のような処理を実行することができる。
【0109】
具体的には、端末装置は、その端末装置のIPアドレス(その端末装置で受信可能なメールアドレスであってもよい)と他の情報とを含んだコードを生成する。ここで、当該他の情報には、識別情報Pi、行先階Ft、及び第1顔情報Pf1のうちの少なくとも何れか1つが含まれる。その後、そのコードが読取部11で読み取られることにより、IPアドレスが、他の情報と共にセキュリティ管理装置4へ送信される。
【0110】
セキュリティ管理装置4の制御部42は、読取部11から情報を受信して制御処理(図4参照)を開始した場合、ステップS104A(送信処理)において、呼び登録に必要な情報の1つとして、読取部11から受信したIPアドレスも群管理制御装置5へ送信する。
【0111】
群管理制御装置5の制御部52は、セキュリティ管理装置4から情報を受信して情報記録処理を開始した場合、セキュリティ管理装置4から受信したIPアドレスを、他の情報(出発階Fs、行先階Ft、第1顔情報Pf1など)と共に情報管理データDrへ記録する(図16参照)。その後、制御部52は、呼び登録処理(図6図9参照)において、呼び登録で割り当てた乗りかごのかご情報Pkを利用者に通知する場合、ステップS204での第2表示部32への情報表示に代えて、情報管理データDrに記録したIPアドレスを用いて、そのIPアドレスで特定される端末装置にかご情報Pkの表示を実行させる。
【0112】
更に、制御部52は、乗りかごのかご情報Pkの表示を端末装置に実行させた後、その乗りかごが特定階から出発したときに、当該端末装置へ出発信号を送信する。ここで、出発信号は、端末装置に、表示中のかご情報Pkで特定される乗りかごが出発したことを知らせるための信号である。そして端末装置は、出発信号を受信した場合、かご情報Pkの表示を終了させる。
【0113】
第6変形例によれば、各利用者が乗車すべき乗りかごのかご情報Pkが、その利用者の端末装置に表示されるため、利用者は、自身がどの乗りかごに乗車すべきかを容易に認識することができる。また、利用者は、自身の端末装置に表示されていたかご情報Pkが、乗りかごへの乗車前に消えた場合には、表示が消えたことを以て、自身が乗車すべき乗りかごに乗り遅れたことに気付くことが可能になる。
【0114】
[2-7]第7変形例
上述した第1変形例の呼び登録処理(図9参照)において、群管理制御装置5の制御部52は、ステップS212で推測した歩行時間の予測値Teを考慮して呼び登録を行うことに代えて、その予測値Teが経過するのを待って呼び登録を実行し、呼び登録の情報を、利用者が所持するスマートフォンなどの端末装置に表示させてもよい。ここで、呼び登録の情報を端末装置に表示させる処理には、第6変形例を適用することができる。
【0115】
図17は、第7変形例において群管理制御装置5が実行する呼び登録処理を示したフローチャートである。本変形例では、制御部52は、先ず、情報管理データDr(図18参照)内に記録済みの第1顔情報Pf1から、受信情報Pr2内の第2顔情報Pf2と合致するもの(対象顔情報Pft)を探し出し、その情報管理データDrから、当該対象顔情報Pftに対応付けられている出発階Fs及び行先階Ftを取得する(ステップS221)。このとき、制御部52は、その対象顔情報Pftに対応付けられているカメラ情報Py1、撮影時刻t1、及びIPアドレスも一緒に取得する。
【0116】
次に、制御部52は、ステップS211で取得したカメラ情報Py1及び撮影時刻t1と、受信情報Pr2内のカメラ情報Py2及び撮影時刻t2とを用いて、図9のステップS212と同様の方法で、通過地点Xtから乗場までの歩行時間の予測値Teを推定する(ステップS222)。
【0117】
ステップS222の後、制御部52は、即座に呼び登録を実行することはせず、ステップS222で推定した予測値Teの時間が経過するのを待って呼び登録を行う。
【0118】
具体的には、制御部52は、ステップS222の後、受信情報Pr2内の撮影時刻t2からの現在時刻txまでの経過時間Tx(=tx-t2)が予測値Teに到達したか否かを判断する(ステップS223)。そして、制御部52は、ステップS223にて「到達した(Yes)」と判断できるまで、当該ステップS223を繰り返し実行する。その後、制御部52は、ステップS223にて「到達した(Yes)」と判断できた場合に、呼び登録を実行する(ステップS224)。
【0119】
ステップS224の後、制御部52は、ステップS221で取得したIPアドレスで特定される端末装置に、ステップS224での呼び登録で割り当てた乗りかごのかご情報Pkを表示させる(ステップS225)。
【0120】
第7変形例によれば、各利用者が通過地点Xtを通った後、その利用者について推定された予測値Teの時間が経過してから呼び登録が実行されるため、各利用者についての呼び登録が、当該利用者が乗場にできるだけ近づいてから実行されやすくなる。よって、各利用者の乗遅れを、より効率良く防止することが可能になる。
【0121】
[2-8]他の変形例
上述した実施形態及び変形例のうちの第1顔情報取得部21を備えた構成においては、当該第1顔情報取得部21として、体温を測定する機能を備えたものが用いられてもよい。この構成によれば、体温を測定するために第1顔情報取得部21に顔を近づけようとする利用者が多くなる。従って、第1顔情報取得部21によって各利用者から第1顔情報Pf1を確実に取得できるようになる。
【0122】
上述した実施形態及び変形例の何れにおいても、入場地点Xsには、規制装置1に代えて、読取部11を備えた別の装置(行先階登録装置など。ゲートを持ったものに限らない)が設置されてもよい。この場合、第1顔情報取得部21及び第1表示部31は、当該別の装置に1組ずつ対応付けて設けられることになる。
【0123】
上述の実施形態及び変形例の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態や変形例ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0124】
また、上述の実施形態や変形例からは、発明の対象として、エレベータの制御システムに限らず、その制御システムを構成する装置、当該制御システムで実行される制御処理やプログラムなどが個々に抽出されてもよいし、それらの一部が部分的に抽出されてもよい。また、制御システムが適用されたエレベータの構成の一部又は全部が、発明の対象として抽出されてもよい。
【符号の説明】
【0125】
1 規制装置
2 情報取得装置
3 表示装置
4 セキュリティ管理装置
5 群管理制御装置
Q 記録媒体
11 読取部
12 開閉制御部
21 第1顔情報取得部
22 第2顔情報取得部
31 第1表示部
32 第2表示部
41、51 記憶部
42、52 制御部
Dp 対応管理データ
Dr 情報管理データ
Fg 設置階
Fs 出発階
Ft 行先階
Ld、Le 距離
Pi 識別情報
Pk かご情報
Rt 比率
Sx 失敗通知指令
Td 実測値
Te 予測値
Tx 経過時間
Vd 歩行速度
Xs 入場地点
Xt 通過地点
t1、t2 撮影時刻
tx 現在時刻
421 認証処理部
422 取得処理部
423 送信処理部
521 情報記録処理部
522 呼び登録処理部
Dq1 第1装置管理データ
Dq2 第2装置管理データ
Ftd デフォルト階
Pf1 第1顔情報
Pf2 第2顔情報
Pft 対象顔情報
Pr1、Pr2 受信情報
Pwg ゲート情報
Pxg リーダ情報
Py1、Py2 カメラ情報
Pyt 対象カメラ情報
Pz1、Pz2 モニタ情報
Sg1 ゲート開指令
Sg2 ゲート閉指令
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2024-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
特定階にてエレベータの乗場へ行くために利用者が通る入場地点において、当該入場地点を通った各利用者の顔情報を第1顔情報として取得する第1顔情報取得部と、
前記入場地点を通った各利用者の行先階を取得する行先階取得部と、
前記入場地点を利用者が通るごとに、その利用者について前記第1顔情報取得部が取得した前記第1顔情報が、当該利用者について前記行先階取得部が取得した前記行先階と対応付けられた状態で記録される情報管理データと、
前記入場地点から前記乗場までの経路の途中にある通過地点において、当該通過地点を通った各利用者の顔情報を第2顔情報として取得する第2顔情報取得部と、
前記通過地点を通った各利用者の前記第2顔情報を前記第2顔情報取得部が取得した場合に、前記情報管理データ内に記録済みの前記第1顔情報のうちの当該第2顔情報と合致するものを対象顔情報として、前記情報管理データにて当該対象顔情報に対応付けられている前記行先階を用いて、その対象顔情報で特定される利用者についての呼び登録を行う呼び登録処理部と、
を備える、エレベータの制御システム。