(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147848
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】浴室空調装置
(51)【国際特許分類】
F24D 15/00 20220101AFI20241009BHJP
F24H 9/02 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
F24D15/00 B
F24H9/02 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060506
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】市川 祐貴
【テーマコード(参考)】
3L037
3L072
【Fターム(参考)】
3L037BA01
3L072AA05
3L072AB06
3L072AD19
(57)【要約】
【課題】本体ケーシングからのカバーの脱落を長期に亘って防止する。
【解決手段】本体ケーシング10は、樹脂製の主保持部2と、補助保持部3とを有し、カバー11は、主保持部2に係合する第1被保持部5と、補助保持部3に係合する第2被保持部6とを有する。補助保持部3は、主保持部2と第1被保持部5とが正常に係合して、主保持部2がカバー11の重量を保持する係合状態では、第2被保持部6と係合せず、カバー11の重量を保持しないが、主保持部2または第1被保持部5の異常により、主保持部2と第1被保持部5との係合が解除されて、主保持部2がカバー11の重量を保持しなくなると、第2被保持部6と係合して、カバー11の重量を保持する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する本体ケーシングと、開口部を開閉可能とするように本体ケーシングに保持されるカバーとを備え、浴室の壁面に設置される浴室空調装置において、
本体ケーシングは、樹脂製の主保持部と、補助保持部とを有し、
カバーは、主保持部に係合する第1被保持部と、補助保持部に係合する第2被保持部とを有しており、
補助保持部は、主保持部と第1被保持部とが正常に係合して、主保持部がカバーの重量を保持する係合状態では、第2被保持部と係合せず、カバーの重量を保持しておらず、
補助保持部は、主保持部または第1被保持部の異常により、主保持部と第1被保持部との係合が解除されて、主保持部がカバーの重量を保持しなくなると、第2被保持部と係合して、カバーの重量を保持する浴室空調装置。
【請求項2】
請求項1に記載の浴室空調装置において、
主保持部と第1被保持部とが係合しているときのカバーの上下方向の高さと、補助保持部と第2被保持部とが係合しているときのカバーの上下方向の高さとが、略同一である浴室空調装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の浴室空調装置において、
本体ケーシングの開口部は、前方に開放し、
主保持部と補助保持部とは、本体ケーシングの上部から前方に延びており、
カバーは、本体ケーシングの下部の支持部で本体ケーシングに支持され、
補助保持部は、主保持部または第1被保持部の異常により、主保持部と第1被保持部との係合が解除されて、主保持部がカバーの重量を保持しなくなると、第2被保持部と係合して、本体ケーシングの支持部を支点に前方に回動するカバーの重量を保持する浴室空調装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の浴室空調装置において、
カバーは、ギャラリを有し、
補助保持部は、ギャラリを形成する桟部によって構成されている浴室空調装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の浴室空調装置において、
カバーの内面と対向するフィルタを有し、
主保持部と第1被保持部とが正常に係合しているとき、カバーがフィルタに接触せず、補助保持部と第2被保持部とが係合しているとき、カバーがフィルタに接触する浴室空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室空調装置に関する。特に、本発明は、本体ケーシングからのカバーの脱落の防止に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室内の側壁に本体ケーシングが取り付けられ、本体ケーシングに、本体ケーシングの開口部を開閉可能とするカバーが取り付けられる浴室空調装置がある。この種の浴室空調装置では、本体ケーシングと浴室天井との間の隙間が狭いため、本体ケーシングにカバーを取り付ける場合には、一般的に本体ケーシングの下部でカバーを本体ケーシングに固定するとともに、本体ケーシングの上部に設けられた保持部にカバーの上部に設けられた被保持部を係合させるといった方法が用いられる(特許文献1)。
【0003】
ところで、浴室ではアルカリ性洗剤から酸性洗剤まで各種の洗剤が使用されるため、浴室内に浮遊する薬剤成分が浴室空調装置内に吸い込まれて、カバーを保持する本体ケーシングの保持部を劣化させる。特に、カバーの重量がかかる保持部が樹脂製の場合、負荷によって劣化が進みやすい。その結果、保持部にケミカルクラックが生じ、劣化が進むとカバーの脱落が生じる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明の目的は、本体ケーシングからのカバーの脱落を長期に亘って防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の第1の態様によれば、
開口部を有する本体ケーシングと、開口部を開閉可能とするように本体ケーシングに保持されるカバーとを備え、浴室の壁面に設置される浴室空調装置において、
本体ケーシングは、樹脂製の主保持部と、補助保持部とを有し、
カバーは、主保持部に係合する第1被保持部と、補助保持部に係合する第2被保持部とを有しており、
補助保持部は、主保持部と第1被保持部とが正常に係合して、主保持部がカバーの重量を保持する係合状態では、第2被保持部と係合せず、カバーの重量を保持しておらず、
補助保持部は、主保持部または第1被保持部の異常により、主保持部と第1被保持部との係合が解除されて、主保持部がカバーの重量を保持しなくなると、第2被保持部と係合して、カバーの重量を保持する浴室空調装置が提供される。
【0007】
上記第1の態様によれば、本体ケーシングの主保持部とカバーの第1被保持部とが正常に係合して、主保持部がカバーの重量を保持する係合状態では、補助保持部はカバーの重量を保持しておらず、補助保持部に負荷がかかっていないから、補助保持部が劣化し難い。また、本体ケーシングの主保持部とカバーの第1被保持部とが正常に係合している場合、これらの係合を解除すれば、容易に本体ケーシングの開口部を開放させることができる。一方、主保持部または第1被保持部の異常により、主保持部と第1被保持部との係合が解除されて、主保持部がカバーの重量を保持しなくなると、補助保持部が第2被保持部と係合して、カバーの重量を保持するから、主保持部がカバーを保持する保持機能を失っても、本体ケーシングからのカバーの脱落を確実に防止することができる。これにより、本体ケーシングからのカバーの脱落を長期に亘って防止することができる。
【0008】
本技術の第2の態様によれば、上記第1の態様において、
主保持部と第1被保持部とが係合しているときのカバーの上下方向の高さと、補助保持部と第2被保持部とが係合しているときのカバーの上下方向の高さとが、略同一である。
【0009】
上記第2の態様によれば、上記異常により主保持部と第1被保持部との係合が解除されて、補助保持部と第2被保持部とが係合したときでも、本体ケーシングからカバーが大きく移動しないから、補助保持部と第2被保持部とが係合するときの音が小さい。これにより、異常が生じたときのユーザの驚きを防止することができる。また、本体ケーシングからカバーが大きく移動しないから、ユーザ自身や浴室内上方にあるユーザの所有物(干してある衣類等)への損害を防止することができる。
【0010】
本技術の第3の態様によれば、上記第1または第2の態様において、
本体ケーシングの開口部は、前方に開放し、
主保持部と補助保持部とは、本体ケーシングの上部から前方に延びており、
カバーは、本体ケーシングの下部の支持部で本体ケーシングに支持され、
補助保持部は、主保持部または第1被保持部の異常により、主保持部と第1被保持部との係合が解除されて、主保持部がカバーの重量を保持しなくなると、第2被保持部と係合して、本体ケーシングの支持部を支点に前方に回動するカバーの重量を保持する。
【0011】
上記第3の態様によれば、上記異常により主保持部と第1被保持部との係合が解除されると、補助保持部が変形し難い前後方向で補助保持部と第2被保持部とが係合するから、高い強度でカバーの重量を保持することができる。
【0012】
本技術の第4の態様によれば、上記第1~第3のいずれか1つの態様において、
カバーは、ギャラリを有し、
補助保持部は、ギャラリを形成する桟部によって構成される。
【0013】
上記第4の態様によれば、カバーには第1被保持部のみを設ければよいから、低コストでカバーの脱落を防止することができる。
【0014】
本技術の第5の態様によれば、上記第1~第4のいずれか1つの態様において、
カバーの内面と対向するフィルタを有し、
主保持部と第1被保持部とが正常に係合しているとき、カバーがフィルタに接触せず、補助保持部と第2被保持部とが係合しているとき、カバーがフィルタに接触する。
【0015】
上記第5の態様によれば、フィルタの清掃や交換作業を行うとき、ユーザに異常を認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る浴室暖房乾燥機を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る浴室暖房乾燥機を示す概略構成図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る本体ケーシングを示す概略斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係るカバーを示す概略斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態に係る主保持部と第1被保持部の係合状態を示す要部概略斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態に係る補助保持部と第2被保持部の係合状態を示す要部概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の浴室空調装置を浴室の壁面に設置される壁掛け式の浴室暖房乾燥機に適用した実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る浴室暖房乾燥機を示す概略斜視図であり、
図2は、概略構成図である。浴室暖房乾燥機1の外装ケーシング100は、浴室の壁面に取り付けられる本体ケーシング10と、本体ケーシング10の前面を覆うカバー11とを備えている。なお、本明細書では、カバー11側を正面側とし、正面側から浴室暖房乾燥機1を見たときの奥行方向を前後方向、幅方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。これらの方向や位置を表す表現は、説明の便宜上用いられるものであって本開示を限定するものではない。
【0018】
図3に示すように、本体ケーシング10は、前方に開放する横長ボックス形状に形成され、前方の開口部10aを覆うようにカバー11が着脱可能に取り付けられる。本体ケーシング10は、樹脂製である。本体ケーシング10は、後側壁101、左側壁102、右側壁103、上側壁104、及び下側壁105を有する。本体ケーシング10の内部空間のうち、送風ファン15の収容域には、前方に開放し、送風ファン15の後方部を収容する縦断面円弧状の後方に凹むファン収容部18が本体ケーシング10と一体に樹脂成形されている。ファン収容部18の左側方には、モータ80を収容するモータ収容部が本体ケーシング10と一体に樹脂成形されている。送風ファン15の前方には、図外の熱源機から供給される温水と浴室内の空気との間で熱交換を行うL字状の熱交換器14が配設されている。
【0019】
本体ケーシング10の上側壁104には、左右方向に離間して上側壁104の前端から前方に延びる複数の矩形平板状の主保持部2が形成されている。主保持部2は、本体ケーシング10と一体に樹脂成形されている。主保持部2は、主保持部2の基端である上側壁104の前端を基点として上下方向に弾性変形可能なように上側壁104に片持ち状に連結されている。主保持部2は、本体ケーシング10と別部品で構成してもよい。なお、主保持部2を含む左右の係合構造や後述する支持構造における各構成は、形成されている箇所が相違する以外は、左右で同一である。このため、同一の構成については同一の引用番号を使用し、以下では、一方の構成のみを説明する。
【0020】
主保持部2は、上側壁104の前端から前方に略水平に延びる主係合片20と、主係合片20の先端で上方に屈曲して延びる主係止爪21とを有する。主係合片20の上面には、前後方向に延びる複数の補強リブが形成されている。主保持部2は、後述するカバー11の上側板114に設けられた第1被保持部5と係合する。主保持部2の形成位置やサイズ、形状、構造、数は、浴室暖房乾燥機1の構成に応じて、任意に設定される。
【0021】
本体ケーシング10の上側壁104には、主保持部2と左右方向に一定距離、離間した上側壁104の前端から前方に延びる複数の矩形平板状の補助保持部3が形成されている。補助保持部3は、本体ケーシング10と一体に樹脂成形されている。補助保持部3は、主保持部2と同様に、補助保持部3の基端である上側壁104の前端を基点として上下方向に弾性変形可能なように上側壁104に片持ち状に連結されている。補助保持部3は、本体ケーシング10と別部品で構成してもよい。また、補助保持部3は、樹脂だけでなく他の材料、例えば耐薬品性に優れる金属から形成してもよい。
【0022】
補助保持部3は、主保持部2と同様に、上側壁104の前端から前方に略水平に延びる補助係合片30と、補助係合片30の先端で上方に屈曲して延びる補助係止爪31とを有する。補助係合片30は、主係合片20と異なり、上面に補強リブを有しておらず、上側壁104の前端から補助係止爪31まで平坦面を有する。補助保持部3は、後述するカバー11の上側板114に設けられた第2被保持部6と係合する。補助保持部3の形成位置やサイズ、形状、構造、数は、浴室暖房乾燥機1の構成に応じて、任意に設定される。
【0023】
主保持部2と補助保持部3とは、前後方向における主保持部2の先端位置と補助保持部3の先端位置とが略同一となるように形成されている。また、主保持部2と補助保持部3とは、上下方向における主係合片20の上面位置が補助係合片30の上面位置と略同一となるように形成され、更に主係止爪21の上端位置が補助係止爪31の上端位置と略同一となるように形成されている。
【0024】
本体ケーシング10の下側壁105の上面の左右両端部にはそれぞれ、後述するカバー11の下側板115と連結されて、カバー11の下部を支持する支持部107が形成されている。支持部107には、本体ケーシング10とカバー11とを連結するためのネジ孔が開設されている。
【0025】
図4に示すように、カバー11は、後方に開放する横長ボックス形状に形成されている。カバー11は、樹脂製である。カバー11は、前側板111、左側板112、右側板113、上側板114、及び下側板115を有する。上側板114は、上方に凸の断面円弧形状を有する。上側板114には、略全面に亘り、前後及び左右方向に延びる格子状の桟材(桟部)120によって吸込口を構成するギャラリ12が形成されている。
【0026】
カバー11の上側板114の後端部に位置する吸込口12aを構成する後方の桟材120には、桟材120の前端から吸込口12aの前後中央部まで前方に略水平に延びる矩形平板状の第1被保持部5が形成されている。第1被保持部5は、本体ケーシング10とカバー11とを接続させるとき、既述した主保持部2と左右方向で対応する位置に設けられている。第1被保持部5には、左右中央部の前端から後方に切り欠かれた凹部50が形成されており、凹部50の後端部と既述した主係止爪21とが係合する。第1被保持部5は、カバー11と別部品で構成してもよい。第1被保持部5の形成位置やサイズ、形状、構造、数は、浴室暖房乾燥機1の構成に応じて、任意に設定される。
【0027】
第1被保持部5と左右方向に一定距離、離間したカバー11の上側板114における補助保持部3と左右方向で対応する位置には、吸込口12bを画成する桟材120が配設されている。このため、主保持部2または第1被保持部5に後述する異常が生じて、主保持部2と第1被保持部5との係合が解除されると、補助保持部3に対応する位置の吸込口12bの後方の桟材120と補助保持部3の補助係止爪31とが係合する。従って、本実施の形態では、ギャラリ12を形成する桟材120の一部が第2被保持部6を構成する。第2被保持部6は、カバー11と別部品で構成してもよい。第2被保持部6の形成位置やサイズ、形状、構造、数は、浴室暖房乾燥機1の構成に応じて、任意に設定される。
【0028】
カバー11の下側板115の上面の左右両端部には、後方に向かって延びる連結片117が形成されている。連結片117は、本体ケーシング10とカバー11とを接続させるとき、既述した支持部107と左右方向で対応する位置に設けられている。連結片117には、本体ケーシング10とカバー11とを連結するためのネジ挿通孔が開設されている。
【0029】
図2に示すように、カバー11と熱交換器14との間にはL字状のフィルタ17とが配設されている。フィルタ17は、カバー11の前側板111の下部に設けられた挿入口から前側板111及び上側板114の内面に沿って熱交換器14を覆うように上方に挿入されている。また、本体ケーシング10の左前方下部に設けられた運転表示部19は、カバー11に設けられた窓孔から前方に露出している。
【0030】
次に、本体ケーシング10へのカバー11の取り付け方法の一例について説明する。熱交換器14や送風ファン15などの要素部品が収容された本体ケーシング10とカバー11とを、本体ケーシング10の開口部10aとカバー11の開口部とが対向するように配置させ、カバー11の下側板115から後方に延びる連結片117を本体ケーシング10の下側壁105に形成された挿入口に挿入させて、支持部107の下方に重ね合わせる。次いで、下方から締結ネジをカバー11のネジ挿通孔に挿入させ、さらに支持部107のネジ孔に螺合させて、本体ケーシング10の下部とカバー11の下部とを仮固定する。このとき、カバー11は自重により若干前方に傾いた姿勢となるため、カバー11の第1被保持部5の凹部50は本体ケーシング10の主保持部2の主係止爪21よりも前方に位置し、主保持部2と第1被保持部5とは係合していない状態となる。上記の状態で、前方からカバー11の前側板111の上部を後方に押すと、主保持部2は上下方向に弾性変形可能な弾性体からなるため、カバー11の上側板114に押圧されることによって主保持部2は下方に撓むように弾性変形する。そして、
図5に示すように、主保持部2の前端の主係止爪21が第1被保持部5の凹部50を通過すると、主保持部2の弾性反力によって主保持部2が上方に移動して、主係止爪21と凹部50の後端部とが係合し、主保持部2でカバー11の重量が保持される。また、上記のように主保持部2と第1被保持部5とが正常に係合している状態では、第2被保持部6を構成する上側板114の後端の桟材120は第1被保持部5よりも後方に位置するため、補助保持部3は第2被保持部6と係合しておらず、補助保持部3はカバー11の重量を保持していない。従って、補助保持部3に負荷はかかっていないため、補助保持部3が劣化し難い。また、主保持部2と第1被保持部5とが正常に係合している場合、これらの係合を解除することにより、容易に本体ケーシング10の開口部10aを開放させることができる。
【0031】
一方、既述したように、劣化により主保持部2または第1被保持部5に異常が生じると、主保持部2と第1被保持部5との係合が解除され、主保持部2がカバー11の重量を保持する保持機能を失う場合がある(
図6では、主保持部2の主係止爪21が破損した異常を示す)。このような異常が生じると、カバー11の下部は本体ケーシング10の支持部107で支持されているため、カバー11は前方に向かって回動しようとする。しかしながら、本体ケーシング10の上側壁104には、前端から前方に延びる補助保持部3が形成されており、カバー11の上側板114の補助保持部3に対応する位置には、ギャラリ12を形成する桟材120が配設されている。このため、
図6に示すように、前方に回動するカバー11に設けられた第2被保持部6を構成する桟材120と補助保持部3の補助係止爪31とが係合し、補助保持部3がカバー11の重量を保持する。これにより、本体ケーシング10からのカバー11の脱落を長期に亘って防止することができる。また、カバー11には、第1被保持部5のみを設ければよいから、低コストで本体ケーシング10からのカバー11の脱落を防止することができる。
【0032】
また、主保持部2と補助保持部3とは、同じ本体ケーシング10の上側壁104の前端から前方に延びており、上下方向で略同一の高さに形成されている。このため、主保持部2と第1被保持部5とが係合しているときのカバー11の上下方向の高さと、補助保持部3と第2被保持部6とが係合しているときのカバー11の上下方向の高さは略同一である。それゆえ、主保持部2と第1被保持部5との係合が解除されて、カバー11が前方に回動しても、補助保持部3と第2被保持部6とが係合するときの音は十分に小さい。これにより、異常が生じたときのユーザの驚きを防止することができる。また、本体ケーシング10からカバー11が大きく移動しないから、ユーザ自身や浴室内上方にあるユーザの所有物(干してある衣類等)への損害を防止することができる。
【0033】
また、上記異常により主保持部2と第1被保持部5との係合が解除されて、補助保持部3が第2被保持部6と係合したとき、補助保持部3が変形し難い前後方向で補助保持部3と第2被保持部6とが係合するから、高い強度でカバー11の重量を保持することができる。
【0034】
また、図示しないが、本体ケーシング10とカバー11とは、主保持部2と第1被保持部5とが正常に係合していれば、フィルタ17はカバー11の内面の前側板111の後面と接触しないように設けられている。このため、フィルタ17の清掃や交換の作業において、ユーザは少ない抵抗で装置内からフィルタ17を抜き取ることができる。一方、本体ケーシング10とカバー11とは、上記異常によりカバー11が前方に回動して、補助保持部3と第2被保持部6とが係合したとき、カバー11の前側板111の後面がフィルタ17の前面に当接するように設けられている。このため、上記異常が生じていると、フィルタ17の清掃や交換の作業において、フィルタ17の抜き取り時の抵抗が大きくなる。これにより、ユーザに異常を認識させることができる。また、運転表示部19はカバー11の前側板111の窓孔から視認可能に設けられているから、カバー11が前方に回動すると、運転表示部19の上部が前側板111によって隠れる。従って、上記異常により外観印象が変化するから、早期にユーザに異常を認識させることができる。
【0035】
なお、上記実施の形態では、主保持部2と補助保持部3とが、同じ本体ケーシング10の上側壁104の前端から前方に延びた爪形状をしており、カバー11の第1被保持部5と第2被保持部6とが当該爪形状に係合するように構成されているが、これに限られない。第1被保持部と第2被保持部とをカバーの上部後端から後方に延びた爪形状とし、主保持部と補助保持部とを本体ケーシングに設けた穴として構成してもよいし、爪形状と係合する穴の組合せは適宜選択可能である。
【0036】
また、上記実施の形態では、壁掛け式の浴室暖房乾燥機を例に挙げて説明したが、本発明は天井設置式の浴室暖房乾燥機やミスト機能を有する浴室暖房乾燥機にも適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 浴室暖房乾燥機
2 主保持部
3 補助保持部
5 第1被保持部
6 第2被保持部
10 本体ケーシング
11 カバー
12 ギャラリ
17 フィルタ