(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147850
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】電極チップの交換システム
(51)【国際特許分類】
B23K 11/30 20060101AFI20241009BHJP
B23K 11/11 20060101ALI20241009BHJP
B23Q 3/155 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
B23K11/30
B23K11/11
B23Q3/155 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060514
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】313015100
【氏名又は名称】OBARA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近川 博
(72)【発明者】
【氏名】安藤 善徳
【テーマコード(参考)】
3C002
4E165
【Fターム(参考)】
3C002KK01
3C002LL00
4E165BB31
(57)【要約】
【課題】電極チップを交換する装置とは別の動力源を用いて動作するセンサーを使用せずに、電極チップの交換処理を実行できる電極チップの交換システムの技術の提供。
【解決手段】電極チップが脱着可能な溶接装置から、電極チップを取り外すことが可能な取り外し装置であって、電源が入っている溶接装置と接触することによって、溶接装置と取り外し装置とを含む回路に通電することができる通電部を備える取り外し装置と、回路に流れた電流を検出する電流検出部と、電流検出部による電流の検出結果に関する情報を、外部に対して出力する出力部と、を備え、通電部は、溶接装置が電極チップを備えている状態において、電極チップと接触することにより、回路に通電するように構成されている、電極チップの交換システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極チップの交換システムであって、
電極チップが脱着可能な溶接装置から、前記電極チップを取り外すことが可能な取り外し装置であって、電源が入っている前記溶接装置と接触することによって、前記溶接装置と前記取り外し装置とを含む回路に通電することができる通電部を備える取り外し装置と、
前記回路に流れた電流を検出する電流検出部と、
前記電流検出部による電流の検出結果に関する情報を、外部に対して出力する出力部と、
を備え、
前記通電部は、
前記溶接装置が前記電極チップを備えている状態において、前記電極チップと接触することにより、前記回路に通電するように構成されている、電極チップの交換システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電極チップの交換システムであって、
前記通電部は、
前記電極チップを備えない状態の前記溶接装置と接触しないように構成されている、電極チップの交換システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電極チップの交換システムであって、
前記通電部は、導電性を有する弾性部材によって形成されている、電極チップの交換システム。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の電極チップの交換システムであって、
前記回路における前記溶接装置の接地線と、前記取り外し装置の接地線と、を回路部分が接続する、電極チップの交換システム。
【請求項5】
請求項1に記載の電極チップの交換システムであって、
前記取り外し装置は、
前記電極チップと接触して前記電極チップを取り外す接触部を備え、
前記接触部は、
前記電極チップの取り外しに伴って、前記電極チップを取り外す前に前記接触部がある位置である第1位置から、前記第1位置とは異なる位置である第2位置に変位し、
前記変位後に、前記第2位置から前記第1位置に変位することが可能であり、
前記通電部は、前記接触部の前記変位に伴って変位し、
前記接触部が前記第1位置にある場合に、前記溶接装置と接触せず、
前記接触部が、前記第2位置と前記第1位置との間の位置にある場合に、前記溶接装置と接触するように構成されている、電極チップの交換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電極チップの交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、スポット溶接電極の電極チップをハンマーで打振することで、電極チップを自由落下させて電極チップをスポット溶接電極から取り外す、スポット溶接電極の自動交換装置が開示されている。特許文献1においては、投光器と受光器とからなる透過型センサーによって、電極チップがスポット溶接電極から取り外された際の電極チップの有無の確認と、その後にスポット溶接電極に対して新たな電極チップが取り付けられた際に、電極チップの有無の確認と、を行う。電極チップが取り外されていない場合、または取り付けられていない場合、制御装置によって交換動作が停止され、作業者に異常が発生していることが報知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の投光器と受光器とからなる透過型センサーのように、電極チップを交換する装置とは別の動力源を用いて動作するセンサーを使用する場合、電極チップの有無を確認するためのコストが大きくなる可能性がある。コスト削減のために電極チップを交換する装置とは別の動力源を用いて動作するセンサーを使用せずに、電極チップの交換処理を実行できる電極チップの交換システムが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、電極チップの交換システムが提供される。この電極チップの交換システムは、電極チップが脱着可能な溶接装置から、前記電極チップを取り外すことが可能な取り外し装置であって、電源が入っている前記溶接装置と接触することによって、前記溶接装置と前記取り外し装置とを含む回路に通電することができる通電部を備える取り外し装置と、前記回路に流れた電流を検出する電流検出部と、前記電流検出部による電流の検出結果に関する情報を、外部に対して出力する出力部と、を備え、前記通電部は、前記溶接装置が前記電極チップを備えている状態において、前記電極チップと接触することにより、前記回路に通電するように構成されている。
この形態の電極チップの交換システムによれば、溶接装置が電極チップを備える場合には、回路に、溶接装置を流れる電流が通電する。そして、電流検出部による電流の検出結果により、取り外し装置とは別の動力源を用いて動作するセンサーを使用することなく、作業者が、電極チップの有無や、取り外し装置が適切な場所に配置されているかの確認を行うことができる。
(2)上記形態の電極チップの交換システムにおいて、前記通電部は、前記電極チップを備えない状態の前記溶接装置と接触しないように構成されていてもよい。
この形態の電極チップの交換システムによれば、電極チップを備えない状態の溶接装置と通電部とが接触しないため、取り外し装置により電極チップが取り外されていることを確認することができる。
(3)上記形態の電極チップの交換システムにおいて、前記通電部は、導電性を有する弾性部材によって形成されていてもよい。
例えば通電部が弾性を有さない部材である態様の場合、溶接装置と接触した際に変形し、元の形状に戻らない可能性がある。この形態の電極チップの交換システムによれば、通電部が溶接装置と接触した場合に、弾性変形することが可能である。そのため、溶接装置と接触した際に、通電部が変形した状態から戻らない可能性を小さくすることができる。
(4)上記形態の電極チップの交換システムにおいて、前記回路における前記溶接装置の接地線と、前記取り外し装置の接地線と、を回路部分が接続していてもよい。
この形態の電極チップの交換システムによれは、例えば取り外し装置と溶接装置が接地されている場所の地面の導電率が低い場合に、導線が通電されることによって、床や地面などを介して溶接装置の接地線と取り外し装置の接地線とがそれぞれ接続されている態様と比較して、溶接装置が電極チップを備えている場合に回路に流れる電流の量を大きくすることができる。その結果、電極チップの有無の誤検出の可能性を低減できる。
(5)上記形態の電極チップの交換システムにおいて、前記取り外し装置は、前記電極チップと接触して前記電極チップを取り外す接触部を備え、前記接触部は、前記電極チップの取り外しに伴って、前記電極チップを取り外す前に前記接触部がある位置である第1位置から、前記第1位置とは異なる位置である第2位置に変位し、前記変位後に、前記第2位置から前記第1位置に変位することが可能であり、前記通電部は、前記接触部の前記変位に伴って変位し、前記接触部が前記第1位置にある場合に、前記溶接装置と接触せず、前記接触部が前記第2位置と前記第1位置との間の位置にある場合に、前記溶接装置と接触するように構成されていてもよい。
この形態の電極チップの交換システムによれば、接触部が第2位置と第1位置の間にある場合に、溶接装置と接触することで、溶接装置の電流が接触部を介して通電部に流れる。これにより、接触部が第1位置にあるか否かを知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】交換システムが備える溶接装置と、電極チップチェンジャーと、制御盤と、を説明する図。
【
図5】本実施形態の電極チップチェンジャーが備える取り付け装置を説明する図。
【
図6】取り付け装置による電極チップの取り付けを説明する図。
【
図7】電極チップの交換の手順の一例を示す工程図。
【
図8】取り外し装置による第1電極チップの取り外しを説明する図。
【
図10】電極チップが通電部と接触した状況を説明する図。
【
図11】接触部が第2位置と第1位置との間の位置にある状態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
A1.第1実施形態の構成:
図1は、交換システム1が備える溶接装置10と、電極チップチェンジャー20と、制御盤30と、を説明する図である。
図1において、溶接装置10と、電極チップチェンジャー20と、制御盤30の図示を簡略化している。また、
図1において、後述する取り付け装置240の図示を省略している。
図1において、互いに直交する三つの空間軸をそれぞれX軸、Y軸、Z軸とし、X軸とY軸およびZ軸のそれぞれに沿った方向を示している。本実施形態において、Z軸方向は鉛直方向に沿った方向であり、-Z軸方向が、鉛直下向きの方向である。X軸方向およびY軸方向は、水平方向に沿った方向である。
図1以外に示すX軸、Y軸、Z軸についても同様である。交換システム1は、溶接装置10の電極チップETの取り付けおよび取り外しを行う。電極チップETについては後に説明する。
図1に示すように、交換システム1は、溶接装置10と、電極チップチェンジャー20と、制御盤30と、を備える。
【0009】
交換システム1には、溶接装置10と、電極チップチェンジャー20の取り外し装置210と、制御盤30と、を含む回路ECが配置されている。取り外し装置210については後に説明する。回路ECは、溶接装置10と取り外し装置210と、が接触した場合に通電する。
図1において、回路ECの一部を点線で表している。回路ECの通電の詳細については後に述べる。本実施形態において、回路ECにおける溶接装置10の接地線LW1と、取り外し装置210の接地線LW2と、を回路部分LW3が接続している。なお、
図1において、制御盤30に配置される回路ECの部分は図示していない。
【0010】
溶接装置10は、図示しないワークを溶接する装置である。本実施形態において、溶接装置10は、後述する第1電極チップ150と第2電極チップ160が脱着可能である。溶接装置10は、制御盤30の制御によって、電極チップチェンジャー20の取り外し装置210と取り付け装置240の間を移動可能である。溶接装置10は、支持部110と、アーム120と、第1シャンク130と、第2シャンク140と、第1電極チップ150と第2電極チップ160とを備える。
【0011】
支持部110は、溶接装置10が設置される地面と接触し、溶接装置10を構成する部分を支持する。溶接装置10は、制御盤30から電力を供給されている。アーム120は、第1電極チップ150と第2電極チップ160に通電する。アーム120は、第1シャンク130と、第2シャンク140と、接続する。アーム120は、第1アーム121と第2アーム122を備えている。第1アーム121は、+X側の端部において、第1シャンク130に接続されている。第1アーム121は、X軸方向に伸びる形状を有している。第2アーム122は、+X側の端部において第2シャンク140に接続されている。第2アーム122は、第1アーム121とZ軸方向において上下に並んでいる。第2アーム122が、第1アーム121に対して上に位置している。第2アーム122は、X軸方向に伸びる形状を有している。第1アーム121と、第2アーム122との、Z軸方向における距離は、後述する制御盤30の制御によって変化する。
【0012】
第1シャンク130は、第1電極チップ150が取り付けられる部位である。第1シャンク130は、第1テーパ部分131を備えている。第1テーパ部分131の先端には、第1電極チップ150が取り付けられる。第1テーパ部分131は、Z軸方向を中心軸として、+Z側に向かって外径が小さくなる形状を有する。また、第1テーパ部分131は、第1電極チップ150の穴の外径よりも大きくなる部分を有している。第1電極チップ150の穴については後に述べる。なお、
図1において、第1テーパ部分131の形状は+Z側に向かって外形が小さくなるように表していない。
図4、6、8、11においても同様である。
【0013】
第2シャンク140は、第2電極チップ160が取り付けられる部位である。第2シャンク140は、第2テーパ部分141を備えている。第2テーパ部分141は、先端に、第2電極チップ160が取り付けられる。第2テーパ部分141は、Z軸方向を中心軸として、-Z側に向かって外形が小さくなる形状を有する。また、第2テーパ部分141は、第2電極チップ160の穴の外径よりも大きくなる部分を有する。第2電極チップ160の穴については後に述べる。なお、
図1において、第2テーパ部分141の形状は-Z側に向かって外形が小さくなるように表していない。
図4、6、8、11においても同様である。以下において、第1シャンク130と第2シャンク140を区別しない場合は、シャンクSKと表記する。
【0014】
第1電極チップ150と第2電極チップ160は、ワークの溶接部位を加圧して、溶接部位に電流を供給する。
図1に示すように、第1電極チップ150と第2電極チップ160は互いの先端が向き合っている。第1電極チップ150と第2電極チップ160の、それぞれの先端の間に2つのワークが挟まれ、第1電極チップ150および第2電極チップ160により加圧されながら溶接装置10の電流が流されることにより、2つのワークが溶接される。上述したように第1アーム121と第2アーム122の間の距離が変化するので、それに伴い、第1電極チップ150と第2電極チップ160間のZ軸方向における距離も変化する。第1電極チップ150と第2電極チップ160を区別しない場合は、電極チップETと表記する。電極チップETは、シャンクSKのテーパ部分が入り込む穴を有する。
【0015】
電極チップチェンジャー20は、溶接装置10から第1電極チップ150および第2電極チップ160を取り外し、さらに、第1電極チップ150および第2電極チップ160を取り外した溶接装置10に、別の電極チップETを取り付ける。電極チップチェンジャー20は、
図1に示す取り外し装置210と、図示しない取り付け装置240と、を備える。
【0016】
図2は、取り外し装置210を説明する図である。
図3は、接触部212を説明する概略図である。
図3において、取り外し装置210を簡略化し、取り外し装置210の一部を透かして表している。後に説明する
図4、
図8、
図9、
図11においても同様である。取り外し装置210は、溶接装置10から、電極チップETを取り外すことが可能である。
図2および
図3に示すように、取り外し装置210は、固定部211と、接触部212と、ピン213と、通電部214と、を備える。
【0017】
図4は、第2電極チップ160の取り外しを説明する図である。固定部211は、Y軸方向に伸びるピン213を固定する。
図3および
図4に示すように、固定部211は、Y軸に平行な軸部211aを軸として、回転可能である。具体的には、接触部212のZ軸方向への変位に伴って、固定部211が軸部211aを軸として、回転する。固定部211と接触部212の変位の詳細は後述する。固定部211は、第1固定部211Aと第2固定部211Bと、4本のボルト211bを備えている。
【0018】
第1固定部211Aは、接触部212に対し-Y側に配置されている。第1固定部211Aは、X軸方向に伸びる形状を有している。第1固定部211Aは、2本のボルト211ba、ボルト211bbと、土台部211cを備えている。ボルト211ba、ボルト211bbは、ピン213と接続することによって、ピン213を固定する。ボルト211baは、ボルト211bbに対し、-X側に配置されている。土台部211cは、通電部214を固定する。土台部211cは、ボルト211ba、ボルト211bbに対して上側に配置されている。土台部211cは、X軸方向に伸びる形状を有している。第2固定部211Bは、接触部212に対し+Y側に配置されている。図示はしていないが、第2固定部211Bは、ピン213と接続する2本のボルト211bを備えている。
【0019】
図2に示す接触部212は、電極チップETと接触して、電極チップETを取り外す。接触部212は、第1固定部211Aと第2固定部211Bとの間に配置されている。接触部212は、電極チップETを取り外す前に、接触部212がある位置である第1位置FPに位置している(
図3参照)。本実施形態において、接触部212がある位置とは、電極チップETを取り外す前に、接触部212が備える下爪部212Bの下端部の、Z軸上における位置をいう。下爪部212Bについては、後に説明する。
図3において、第1位置FPを一点鎖線で表している。
【0020】
本実施形態において、接触部212は、シャンクSKによって-Z方向に押し下げられることで、第1位置FPから第2位置SPに変位が可能である(
図3および
図4参照)。本実施形態において、第2位置SPは、第1位置FPから変位した接触部212の、下爪部212Bの端部の、Z軸上における位置をいう。
図4において、第2位置SPを一点鎖線で表している。第2位置SPは、第1位置FPに対して、-Z側に位置している。
【0021】
図3に示すように、接触部212は、上爪部212Aと下爪部212Bを備えている。
図3において、第1固定部211Aを透かして、上爪部212Aと下爪部212Bを表している。上爪部212Aは、第1電極チップ150と接触し、第1電極チップ150を溶接装置10から取り外す。
図2に示すように、上爪部212Aは+X側に向かって凹む第1凹部212aを備えている。下爪部212Bは、第2電極チップ160と接触し、第2電極チップ160を溶接装置10から取り外す。下爪部212Bは、+X側に向かって凹む第2凹部212bを備えている。第1凹部212aと第2凹部212bと、がZ軸方向に重なって配置されている。第1凹部212aと第2凹部212bは、溶接装置10のアーム120の第1シャンク130の第1テーパ部分131と、第2シャンク140の第2テーパ部分141が入り込むことが可能な形状を有している。上爪部212Aと下爪部212Bは、シャンクSKによってZ方向に変位される際に、それぞれ別個に、上下に変位することが可能である。なお、上爪部212Aと下爪部212Bは、シャンクSKによって変位されない際は、位置している場所から変位しないように、構成されている。
【0022】
図3に示すピン213は、上爪部212Aと下爪部212Bとの間に隙間を生じさせる。全てを図示してはいないが、本実施形態において、取り外し装置210は4本のピン213を備えている。4本のピン213のそれぞれが、固定部211の4つのボルト211bのいずれかに接続している。
図3において、4本のピン213のうち、第1ピン213aと第2ピン213bを表している。
図3に示す第1ピン213aが、
図2に示す第1固定部211Aのボルト211baに接続している。第2ピン213bが、ボルト211bbに接続している。図示はしていないが、第2固定部211Bにおいても、2つのボルト211bに対し、それぞれ一つずつピン213が接続されている。ピン213はそれぞれ、Y軸方向に伸びている。ピン213は、上爪部212Aと下爪部212Bとの間に位置するように、配置されている。
【0023】
図2に示す通電部214は、電源が入っている溶接装置10と接触することによって、溶接装置10と取り外し装置210とを含む回路ECに通電することができる。本実施形態において、通電部214は、溶接装置10が電極チップETを備えている状態において、電極チップETと接触することにより、回路ECに通電するように構成されている。具体的には、通電部214は、溶接装置10が電極チップETを備えている場合には、溶接装置10が移動する際に、電極チップETが溶接装置10と接触する位置に配置されている。また、本実施形態において、通電部214は、電極チップETを備えない状態の溶接装置10と接触しないように構成されている。具体的には、通電部214は、溶接装置10が電極チップETを備えていない場合には、溶接装置10が移動する際に、溶接装置10と接触しない位置に、配置されている。
【0024】
さらに、本実施形態において、通電部214は、電極チップETの取り付け後において、接触部212が第1位置FPにある場合に、電極チップETと接触しないように構成されている。また、通電部214は、電極チップETの取り付け後において、接触部212が第2位置SPと第1位置FPの間の位置にある場合に、電極チップETと接触するように構成されている。本明細書における第2位置SPと第1位置FPとの間の位置には、第1位置FPを含まず、第2位置SPを含む。接触部212と通電部214の接触の詳細については後に説明する。
【0025】
本実施形態において、通電部214は、土台部211cの-X側の端部に接続している。上述したように固定部211は接触部212の変位に伴って変位する。そのため土台部211cと接続する通電部214も、
図4に示すように、接触部212の変位に伴って変位する。本実施形態において、通電部214は、第1電極チップ150または第2電極チップ160の接触時に、+Y側に変位するように構成されている。本実施形態において、通電部214は、-X方向に向かって伸びる棒形状を有している。
【0026】
本実施形態において、通電部214は、導電性を有する弾性部材によって形成されている。形成された弾性部材のヤング率は、取り外し装置210の、通電部214以外の構成の素材のヤング率よりも小さい。本実施形態において、通電部214の素材は、ばね鋼である。
【0027】
図5は、本実施形態の電極チップチェンジャー20が備える取り付け装置240を説明する図である。
図6は、取り付け装置240による電極チップETの取り付けを説明する図である。
図6において、取り付け装置240と溶接装置10の一部を簡略し、取り付け装置240の内部を透かして表している。
図5に示す取り付け装置240は、電極チップETが取り外された溶接装置10に、新たな電極チップETを取り付ける。
図6に示すように、取り付け装置240の内部において上下にそれぞれ並べられた電極チップETを、溶接装置10の第1シャンク130と第2シャンク140が挟み込む。そして、溶接装置10の第2シャンク140が第1シャンク130との間で、矢印DA方向に電極チップETを加圧することで、シャンクSKに電極チップETが取り付けられる。
【0028】
具体的には、第1テーパ部分131の、電極チップETの穴の外径よりも大きくなる部分が、電極チップETの穴に入り込むことで、電極チップETが第1テーパ部分131に取り付けられる。同様に、第2テーパ部分141の、電極チップETの穴の外径よりも大きくなる部分が、電極チップETの穴に入り込むことで、電極チップETが第2テーパ部分141に取り付けられる。本実施形態において、取り付け装置240は、取り外し装置210と同じ室内において、Y軸方向に並んで配されている。
【0029】
図1に示す制御盤30は、溶接装置10と、取り外し装置210と、取り付け装置240と、を制御する。本実施形態において、制御盤30は、溶接装置10の動作を制御して取り外し装置210まで溶接装置10を移動させて、取り外し装置210に電極チップETの取り外しを行わせる。また、制御盤30は、溶接装置10の動作を制御して取り付け装置240まで溶接装置10を移動させて、取り付け装置240に新たな電極チップETを取り付けさせる。制御盤30は、電流の検出結果に関する情報を、外部に出力する。制御盤30は電極チップETの取り外しおよび新たな電極チップETの取り付けの工程の、正常または異常の判定を行う。また、制御盤30は、接触部212が第1位置FPにあるかの判定を行う。制御盤30は、電流検出部310と、出力部320と、を備える。
【0030】
電流検出部310は、回路ECに流れる電流を検出する。出力部320は、電流検出部310による電流の検出結果に関する情報を、外部に対して出力する。本実施形態において、出力部320はモニターとランプを備える。モニターは、電流の検出結果に関する情報を、盤面に出力する。ランプは、電流検出部310が電流を検出した場合に、点灯する。なお、ランプは、電流検出部310が電流を検出した場合に、点滅してもよい。
【0031】
A2.取り外し装置210による電極チップETの取り外しの説明:
図4を用いて、取り外し装置210による第2電極チップ160の取り外しについて説明する。まず
図4の状態の前に、溶接装置10が電極チップチェンジャー20の接触部212に向かって移動することにより、第2テーパ部分141が第1凹部212aおよび第2凹部212bに入りこむ(
図2および
図4参照)。そして、
図4の矢印DBに示すように、第2テーパ部分141が上爪部212Aと下爪部212Bの間に入りこんだ状態で、第2シャンク140が上爪部212Aを-Z方向に押圧する。これにより、接触部212が第1位置FPから-Z方向に移動する。
【0032】
そして、接触部212の移動に伴い、上爪部212Aと下爪部212Bとの間に挟まる第1ピン213aおよび第2ピン213bも-Z方向に変位する。この際、第1ピン213aおよび第2ピン213bの変位に伴って、第1固定部211Aが下向きに回転する。第1ピン213aと第2ピン213bのうち、第1固定部211Aの軸部211aから遠い側である第1ピン213aが、第2ピン213bに対して-Z側に大きく変位する。第2固定部211Bも、第1固定部211Aと同様に回転する。
【0033】
これにより、第1ピン213aと第2ピン213bとの間で、Z軸方向において距離が生じる。第1固定部211Aの回転によって、第2ピン213bよりも大きく-Z側に移動する第1ピン213aによって押されることで、下爪部212Bが、上爪部212Aよりも大きく-Z側に変位する。結果、上爪部212Aと下爪部212Bとの間で、Z軸方向において距離が生じる。そして、下爪部212Bによって第2電極チップ160が-Z側に押される。そして、第2電極チップ160が、第2テーパ部分141の先端から離れる。
【0034】
第1電極チップ150の取り外しも、固定部211の回転によって、第1ピン213aが、第2ピン213bに対して-Z側に大きく変位することで、下爪部212Bが、上爪部212Aよりも大きく-Z側に変位する。これにより、上爪部212Aと下爪部212Bとが離れ、上爪部212Aによって第1電極チップ150が+Z側に押されることで、溶接装置10から第1電極チップ150が取り外される。
【0035】
取り外し装置210による電極チップETの取り外しの際に、
図4に示すように、接触部212が、電極チップETの取り外しに伴って、第1位置FPから異なる位置である第2位置SPに変位する。
【0036】
A3.電極チップETの交換:
図7は、電極チップETの交換の手順の一例を示す工程図である。
図8は、取り外し装置210による第1電極チップ150の取り外しを説明する図である。
図8において、土台部211cと通電部214を省略している。電極チップETの交換は、制御盤30の制御によって実行される。
【0037】
図7のステップS10において、溶接装置10が取り外し装置210に向かって、-X側から+X側に移動する。そして、溶接装置10が、接触部212が第1電極チップ150を取り外すための抜き位置まで、+X側に向かって移動する。ステップS20において、
図8の矢印DCに示すように、溶接装置10の第1シャンク130が、-Z方向に向かって動くことで、上爪部212Aと下爪部212Bとが-Z側に変位し、固定部211が回転する。そして、固定部211の回転に伴って変位した図示しないピン213の変位によって、上爪部212Aと下爪部212Bとの間に距離が生じることで、第1電極チップ150が取り外される。この際に、接触部212が、第1位置FPから第2位置SPに変位し、接触部212の変位に伴って、通電部214の位置も変位する。なお、ステップS20において、通電部214は溶接装置10と接触しない。
【0038】
図7のステップS30において、取り外し装置210のスプリング215が、接触部212を+Z側に押し上げることで、接触部212が、第2位置SPから第1位置FPに変位する。このように、接触部212は、第1位置FPから第2位置SPへの変位後に、第2位置SPから第1位置FPに変位することが可能である。接触部212の変位に伴って、通電部214も、第1電極チップ150が取り外すされる前の位置に変位する(
図3参照)。
【0039】
図7のステップS40において、溶接装置10の第2アーム122が、-Z方向に移動する。これにより、接触部212が第2電極チップ160を取り外す位置まで、溶接装置10が移動する。ステップS50において、溶接装置10の第2シャンク140が-Z側に接触部212を押すことで、第2電極チップ160が取り外される。この際に、接触部212が、第1位置FPから第2位置SPに変位する。そして、接触部212の変位に伴って、通電部214も変位する。なお、ステップS40において、通電部214は溶接装置10と接触しない。
【0040】
ステップS60において、取り外し装置210のスプリング215が、接触部212を+Z側に押し上げることで、接触部212が、第2位置SPから第1位置FPに変位する。接触部212の変位に伴って、通電部214も変位する。なお、ステップS10ないしステップS60までの処理において、第1電極チップ150や第2電極チップ160が、溶接装置10から取り外されない場合もある。
【0041】
図9は、電極チップETの有無を確認する図である。
図9において、電極チップETがある場合を説明するために、第1電極チップ150を破線で表しているが、第1電極チップ150は溶接装置10に取り付けられていない。
図7のステップS70において、制御盤30によって、第1電極チップ150の取り外し工程が正常に行われたか否かの判定が行われる。まず、制御盤30の制御によって、溶接装置10が、接触部212に対して-X側および-Y側に移動し、第1シャンク130を通電部214に近づける。この際、溶接装置10は、第1電極チップ150がある場合には通電部214と接触し、第1電極チップ150がない場合には通電部214と接触しない位置に、第1シャンク130を移動させる。この際に、溶接装置10は、接触部212が第1位置FPにいる場合と、第2位置SPと第1位置FPとの間の位置にある場合の、いずれの場合であっても、第1電極チップ150の取り外し工程の判定が行える位置に、移動する。
【0042】
上述したように通電部214は導電性がある素材によって形成されているため、溶接装置10が第1電極チップ150を備える場合には、通電部214と第1電極チップ150が接触することによって、溶接装置10から通電部214を介して回路ECに通電される。この場合、電流検出部310において、電流を検出し、制御盤30により、工程に異常が発生したと判定される。この場合、処理はステップS80に移行する。なお、
図1において、第2アーム122に回路ECが配置され、通電部214と第2電極チップ160が接触することによって、回路ECに通電されている状態を表しているが、回路ECは第1アーム121にも配置されており、通電部214と第1電極チップ150が接触することによっても、回路ECに通電される。
【0043】
一方、溶接装置10が第1電極チップ150を備えない場合には、通電部214に接触しない。この場合、電流検出部310にて、電流を検出せず、制御盤30により工程が正常に行われたと判定される。この場合、処理はステップS90に移行する。
【0044】
図10は、電極チップETが通電部214と接触した状況を説明する図である。
図10において電極チップETの図示を省略している。上述したように、通電部214は弾性部材によって形成されているため、通電部214が第1電極チップ150と接触した場合に、通電部214が変位する。本実施形態においては、
図10の矢印DDが示すように、溶接装置10が、通電部214に近づく。第1電極チップ150と接触した場合、
図10の破線の枠が示すように通電部214が+Y側に移動する。例えば通電部214が弾性を有さない部材である態様の場合、溶接装置10と接触した際に変形し、元の形状に戻らない可能性がある。本実施形態において、通電部214が溶接装置10と接触した場合に、弾性変形することが可能である。そのため、溶接装置10と接触した際に、通電部214が変形した状態から戻らない可能性を小さくすることができる。
【0045】
ステップS80において、制御盤30が、溶接装置10に対して動作の停止を示す信号を送信する。これにより、溶接装置10が停止する。また、制御盤30は、異常が発生したことを、出力部320によって出力する。その後、処理は終了する。
【0046】
ステップS90において、制御盤30によって、第2電極チップ160の取り外し工程が正常に行われたか否かの判定が行われる。溶接装置10が、第2アーム122をステップS70の位置から-Z側に移動させて、第2シャンク140を通電部214に近づける。そして、
図10に示すように、矢印DD方向に第2シャンク140を移動させる。この際、溶接装置10は、第2電極チップ160がある場合には通電部214と接触し、第2電極チップ160がない場合には通電部214と接触しない位置に、第2シャンク140を移動させる。なお、この際に、溶接装置10は、接触部212が第1位置FPにいる場合と、第2位置SPと第1位置FPとの間の位置にある場合の、いずれの場合であっても、第2電極チップ160の取り外し工程の判定が行える位置に、移動する。電流検出部310が電流を検出しなかった場合、制御盤30により、工程が正常に行われたと判定される。この場合、処理は
図7のステップS100に移行する。第2電極チップ160が通電部214と接触することにより、回路ECに通電し、電流検出部310が電流を検出した場合は、制御盤30により、工程に異常が発生したと判定される。この場合、処理はステップS80に移行する。
【0047】
ステップS100において、溶接装置10が、取り外し装置210から取り付け装置240に向かって移動する。そして、取り付け装置240によって、溶接装置10に、新たな電極チップETが取り付けられる。以下において、溶接装置10に取り付けられた新たな電極チップETを、第1電極チップ150および第2電極チップ160と表記する。なお、ステップS100において、取り付け装置240によって、溶接装置10に新たな電極チップETが取り付けられない可能性がある。
【0048】
ステップS110において、制御盤30によって、第1電極チップ150の取り付けが正常に実行されたか否かの判定が行われる。まず、溶接装置10が取り外し装置210に向かって移動する。この際に、溶接装置10は、第1電極チップ150が取り付けられている場合は、150が通電部214と接触する位置に、移動する。なお、この際に、溶接装置10は、接触部212が第1位置FPにいる場合と、第2位置SPと第1位置FPとの間の位置にある場合の、いずれの場合であっても、第1電極チップ150の取り付けの判定が行える位置に、移動する。第1電極チップ150が取り付けられている場合、通電部214と第1電極チップ150が接触する。この場合、制御盤30によって、第1電極チップ150の取り付けが正常に実行されたと判定される。この場合、処理はステップS120に移行する。
【0049】
第1シャンク130に第1電極チップ150が取り付けられていない場合、通電部214と第1電極チップ150が接触しない。この場合、電流検出部310にて電流が検出されず、制御盤30により、工程に異常が発生したと判定される。そして、処理はステップS80に移行する。
【0050】
ステップS120において、制御盤30によって、第2電極チップ160の取り付けが正常に実行されたか否かの判定が行われる。溶接装置10が、第2アーム122を-Z側に移動させる。この際に、溶接装置10は、第2電極チップ160が取り付けられている場合は、通電部214と接触する位置に、移動する。なお、溶接装置10は、接触部212が第1位置FPにいる場合と、第2位置SPと第1位置FPとの間の位置にある場合の、いずれの場合であっても、第2電極チップ160の取り付けの判定が行える位置に、移動する。溶接装置10に第2電極チップ160が取り付けられている場合、通電部214と第2電極チップ160が接触する。この場合、制御盤30によって、第2電極チップ160の取り付けが正常に実行されたと判定される。この場合、処理はステップS130に移行する。第2シャンク140に第2電極チップ160が取り付けられていない場合、通電部214と第2電極チップ160が接触しない。この場合、制御盤30によって、工程に異常が発生したと判定される。そして、処理はステップS80に移行する。
【0051】
ステップS130において、制御盤30により、接触部212が第1位置FPに位置しているかの判定が行われる。まず、溶接装置10が、第1電極チップ150を通電部214に近づけるように移動する。この際に、接触部212が、第2位置SPと第1位置FPとの間の位置にある場合には、第1電極チップ150が通電部214に接触する位置、かつ、接触部212が、第1位置FPにいる場合には、第1電極チップ150が通電部214に接触しない位置に、溶接装置10が移動する(
図3の破線で示した第1電極チップ150参照)。接触部212が第1位置FPにいる場合とは、ステップS60において、取り外し装置210のスプリング215が、接触部212を+Z側に押し上げることで、接触部212が、第2位置SPから第1位置FPに変位している場合である。
【0052】
図11は、接触部212が第2位置SPと第1位置FPとの間の位置にある状態を説明する図である。
図11に示すように、接触部212が第2位置SPと第1位置FPとの間の位置にある場合には、第1電極チップ150が通電部214と接触して、回路ECに通電される。電流検出部310が、回路ECに流れた電流を検出する。制御盤30は、接触部212が第2位置SPと第1位置FPとの間に位置していると判定する。つまり、制御盤30は、接触部212が第1位置FPに位置していないと判定する。この場合、処理はステップS80に移行する。
【0053】
接触部212が第1位置FPにいる場合には、接触部212が通電部214と接触せず、回路ECに通電されない。制御盤30は、電流検出部310から、回路ECに流れた電流を検出しないため、接触部212が第1位置FPに位置していると判定する。この場合、処理は終了する。このように、接触部212が第2位置SPと第1位置FPとの間の位置にある場合に、溶接装置10と接触することで、溶接装置10の電流が接触部212を介して通電部214に流れる。これにより、接触部212が第1位置FPにあるか否かを知ることができる。
【0054】
本実施形態の電極チップチェンジャー20によれば、溶接装置10が電極チップETを備える場合には、回路ECに、溶接装置10を流れる電流が通電する。そして、電流検出部310による電流の検出結果が制御盤30によって認識されることで、取り外し装置210とは別の動力源を用いて動作するセンサーを使用することなく、作業者が、電極チップETの有無や、取り外し装置210が適切な場所に配置されているかの確認を行うことができる。
【0055】
また、電極チップETを備えない状態の溶接装置10と通電部214とが接触しないため、取り外し装置210により電極チップETが取り外されていることを確認することができる。
【0056】
さらに、例えば取り外し装置210と溶接装置10が接地されている場所の地面の導電率が低い場合に、導線が通電されることによって、床や地面などを介して溶接装置10の接地線と取り外し装置240の接地線とがそれぞれ接続されている態様と比較して、溶接装置10が電極チップETを備えている場合に回路ECに流れる電流の量を大きくすることができる。その結果、電極チップETの有無の誤検出の可能性を低減できる。また、例えば回路の一部が、取り外し装置210が配置されている場所の天井に配置されている態様と比較して、電極チップチェンジャー20が配置される場所が制限されない。
【0057】
B.他の実施形態:
B1.他の実施形態1:
(1)上記実施形態において、通電部214は、土台部211cの-X側の端部に接続し、-X方向に向かって伸びる棒形状を有している。なお、通電部は棒形状以外の形状であってもよく、例えば球体の形状を有していてもよい。また、通電部は、第1固定部以外に配置されていてもよく、例えば第2固定部に配置されていてもよい。
【0058】
(2)上記実施形態において、取り外し装置210は、第1電極チップ150と第2電極チップ160の、2つの電極チップETを取り外す。なお、例えば溶接装置が一つの電極チップを備える態様において、取り外し装置は、一つの電極チップを取り外してもよい。
【0059】
(3)上記実施形態において、電極チップETの取り付けおよび取り外しと、接触部212の位置の、正常および異常の判定の結果を、制御盤30の出力部320において出力しており、出力部320はモニターとランプを備える。なお、出力部は例えば、モニターまたはランプのいずれか一つであってもよく、タブレット端末やスピーカーであってもよい。出力部がスピーカーの態様においては、音声によって、電流検出部による電流の検出結果に関する情報を、外部に対して出力してもよい。なお、例えば制御盤は、図示していない装置と電気的に接続しており、必要に応じて、正常および異常の判定の結果を、その装置に出力してもよい。
【0060】
(4)上記実施形態において、第1電極チップ150と第2電極チップ160を取り外した後に、第1電極チップ150と第2電極チップ160の取り外しが正常に行われたかの判定が、制御盤30によって行われる。なお、例えば第1電極チップを取り外した後に、第1電極チップの取り外しが正常に行われたかの判定が、制御盤によって行われ、その後に、第2電極チップを取り外した後に、第2電極チップの取り外しが正常に行われたかの判定が、制御盤によって行われてもよい。
【0061】
(5)上記実施形態において、第1電極チップ150と第2電極チップ160の取り外しと、新たな電極チップETの取りつけと、が正常に行われたかの判定と、接触部212が第1位置FPにあるかの判定が、制御盤30によって行われる。なお、例えば第1電極チップと第2電極チップの取り外しが正常に行われたかの判定のみが、制御盤によって行われてもよく、新たな電極チップの取り付けが正常に行われたかの判定のみが、制御盤によって行われてもよく、接触部が第1位置にあるかの判定のみが、制御盤によって行われてもよい。
【0062】
(6)上記実施形態において、通電部214は、第1電極チップ150または第2電極チップ160の接触時に、+Y側に変位するように構成されている。なお、例えば通電部は、電極チップの接触時に、-Y側または+Z側に変位するように構成されていてもよい。
【0063】
(7)上記実施形態において、取り付け装置240によって、新たな電極チップETが溶接装置10に取り付けられる。なお、例えば作業者によって新たな電極チップが取り付けられてもよい。
【0064】
B2.他の実施形態2:
上記実施形態において、通電部214は、電極チップETを備えない状態の溶接装置10と接触しないように、構成されている。なお、例えば、第1電極チップと第2電極チップの取り外しと、新たな電極チップETの取りつけと、が正常に行われたかの判定が制御盤によって行われない態様において、電極チップを備えない状態の、溶接装置を構成する部分のいずれかと通電部が接触することで、接触部が第1位置に位置しているかの判定を制御盤が行ってもよい。
【0065】
B3.他の実施形態3:
(1)上記実施形態において、通電部214は、導電性を有する弾性部材によって形成されている。なお、例えば通電部は、導電性を有し、弾性力を備えない素材によって形成されていてもよい。また、例えば第1固定部や、第2固定部が、通電部として機能してもよい。取り外し装置が備え、電源が入っている溶接装置と接触することによって、溶接装置と取り外し装置とを含む回路に通電することができるように構成されていればよい。
【0066】
(2)上記実施形態において、通電部214の素材は、ばね鋼である。なお、通電部の素材は、例えばステンレス鋼や炭素鋼であってもよい。
【0067】
B4.他の実施形態4:
上記実施形態において、回路ECにおける溶接装置10の接地線LW1と、取り外し装置210の接地線LW2と、を回路部分LW3が接続する、なお、例えば、回路における溶接装置の接地線と、取り外し装置の接地線と、がアース接続されていてもよく、回路の一部が、取り外し装置が設置されている場所の、天井に配置されていてもよい。
【0068】
B5.他の実施形態5:
(1)上記実施形態において、接触部212が第1位置FPにある場合に、溶接装置10の電極チップETと接触せず、接触部212が第2位置SPと第1位置FPとの間の位置にある場合に、溶接装置10の電極チップETと接触するように、構成されている。なお、例えば、電極チップが取り外された後の、電極チップを備えていない溶接装置を用いて、接触部が第1位置にあるか否かの判定が行われる態様において、接触部が第1位置にある場合に、溶接装置のシャンクの先端と接触せず、接触部が第2位置SPと第1位置FPとの間の位置にある場合に、溶接装置のシャンクの先端と接触するように、構成されていてもよい。また、溶接装置のシャンクの先端に限定されず、接触部が第1位置にある場合に、溶接装置のある特定の部分が接触せず、接触部が第2位置SPと第1位置FPとの間の位置にある場合に、溶接装置のその特定の部分が、接触するように、構成されていてもよい。
【0069】
(2)上記実施形態において、接触部212は上爪部212Aと下爪部212Bを備え、上爪部212Aと下爪部212Bとの間に距離が生じることにより、電極チップETが取り外される。なお、例えば接触部が電極チップを振動させることにより、電極チップを溶接装置から取り外す態様としてもよい。
【0070】
(3)例えば電極チップの取り外しと取り付けが正常に行われたかの判定が行われ、接触部が第1位置にあることの判定が行われない態様において、接触部は変位しなくてもよく、通電部が、接触部の変位に伴って変位しなくてもよい。
【0071】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1…交換システム、10…溶接装置、20…電極チップチェンジャー、30…制御盤、110…支持部、120…アーム、121…第1アーム、122…第2アーム、130…第1シャンク、131…第1テーパ部分、140…第2シャンク、141…第2テーパ部分、150…第1電極チップ、160…第2電極チップ、210…取り外し装置、211…固定部、211A…第1固定部、211B…第2固定部、211a…軸部、211b…ボルト、211ba…第1固定部の、-X側のボルト、211bb…第1固定部の、+X側のボルト、211c…土台部、212…接触部、212A…上爪部、212B…下爪部、212a…第1凹部、212b…第2凹部、213…ピン、213a…第1ピン、213b…第2ピン、214…通電部、215…スプリング、240…取り付け装置、310…電流検出部、320…出力部、EC…回路、ET…電極チップ、FP…第1位置、LW1、LW2…接地線、LW3…回路部分、SK…シャンク、SP…第2位置