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  • 特開-後方画像表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147851
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】後方画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/20 20220101AFI20241009BHJP
   B60R 1/26 20220101ALI20241009BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20241009BHJP
【FI】
B60R1/20 100
B60R1/26
H04N7/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060515
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲雄
【テーマコード(参考)】
5C054
【Fターム(参考)】
5C054CC02
5C054EA01
5C054EA05
5C054FC13
5C054FE06
5C054FE24
5C054FF03
5C054GB01
5C054HA30
(57)【要約】
【課題】動きが速い物体が周辺から表示領域内に進入した際の運転者の反射的な確認動作を抑制し、疲労感を低減することができる後方画像表示装置を提供すること。
【解決手段】後方画像表示装置100は、車両後方を撮像するカメラ110と、カメラ110によって撮像された後方画像であって、中央領域Cとその左右の周辺領域L、Rとが含まれる画像を描画する後方画像描画部114と、周辺領域L、Rの画像の明るさを設定する明るさ設定部122と、後方画像描画部114によって描画された後方画像を表示する表示処理部116、表示装置118とを備える。明るさ設定部122は、周辺領域L、Rの画像の明るさを暗くする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後方を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された後方画像であって、中央領域とその左右の周辺領域とが含まれる画像を描画する後方画像描画手段と、
前記周辺領域の画像の明るさを設定する明るさ設定手段と、
前記後方画像描画手段によって描画された後方画像を表示する表示手段と、
を備え、前記明るさ設定手段は、前記周辺領域の画像の明るさを暗くすることを特徴とする後方画像表示装置。
【請求項2】
前記周辺領域に映る画像の動きが速くなる車両の走行状態を判定する走行状態判定手段をさらに備え、
前記明るさ設定手段は、前記走行状態判定手段によって動きが速い旨の判定がなされたときに、前記周辺領域の明るさをそれ以前の明るさよりも暗くすることを特徴とする請求項1に記載の後方画像表示装置。
【請求項3】
前記走行状態判定手段によって動きが速い旨の判定がなされる前記走行状態は、車両の走行速度が第1の閾値以上のときであることを特徴とする請求項2に記載の後方画像表示装置。
【請求項4】
前記走行状態判定手段によって動きが速い旨の判定がなされる前記走行状態は、ステアリングの舵角が第2の閾値以上のときであることを特徴とする請求項3に記載の後方画像表示装置。
【請求項5】
前記明るさ設定手段は、前記周辺領域の明るさを、車両の走行速度が速いほど暗くすることを特徴とする請求項1に記載の後方画像表示装置。
【請求項6】
前記明るさ設定手段は、前記周辺領域の明るさを、前記中央領域から遠ざかるほど暗くすることを特徴とする請求項1に記載の後方画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラで撮像された後方画像を車室内の表示装置に表示する後方画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両後方および車両後側方の比較的広い領域の映像を表示しながら、特に注意を要する車両後方の映像に関しては車両運転者が正しい距離感で映像を把握できるようにした車両用周辺監視装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この装置を用いることにより、ミラー反射像を映すルームミラーよりも広い範囲の映像をディスプレイに表示することで、ルームミラーでは死角となる左右の広範囲な領域の後方車両等を確認することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-81664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に開示された車両用周辺監視装置などで用いられてルームミラーの代わりに用いられる電子ミラーとしてのディスプレイは、液晶表示装置などが用いられており、バックライトなどを用いて明るい映像が表示されるため、暗い車内や夜間時なども表示内容が鮮明であって優れた視認性が得られる利点がある。しかし、その一方で、白い物体や光る標識、看板、対向車のテールランプなどがディスプレイの左右の端部から速い動きで表示領域内に進入すると、表示が明るいことに起因して、運転者が無意識にその速い動きを確認する動作が反射的に発生し、長時間の運転時などでは疲労感が増すという問題があった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、動きが速い物体が周辺から表示内に進入した際の運転者の反射的な確認動作を抑制し、疲労感を低減することができる後方画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の後方画像表示装置は、車両後方を撮像する撮像手段と、撮像手段によって撮像された後方画像であって、中央領域とその左右の周辺領域とが含まれる画像を描画する後方画像描画手段と、周辺領域の画像の明るさを設定する明るさ設定手段と、後方画像描画手段によって描画された後方画像を表示する表示手段とを備え、明るさ設定手段は、周辺領域の画像の明るさを暗くする。
【0007】
表示装置に後方画像を表示する場合に、中央領域の左右の周辺領域の明るさを暗くしており、動きが速い白い物体や光る物体などがこの周辺領域内に進入してきた場合であってもこれらの物体の視認性を低下させることができるため、これらの物体に対する運転者の反射的な確認動作を抑制して疲労感を低減することが可能となる。
【0008】
また、上述した周辺領域に映る画像の動きが速くなる車両の走行状態を判定する走行状態判定手段をさらに備え、明るさ設定手段は、走行状態判定手段によって動きが速い旨の判定がなされたときに、周辺領域の明るさをそれ以前の明るさよりも暗くすることが望ましい。具体的には、上述した走行状態判定手段によって動きが速い旨の判定がなされる走行状態は、車両の走行速度が第1の閾値以上のときであることが望ましい。さらに、上述した走行状態判定手段によって動きが速い旨の判定がなされる走行状態は、ステアリングの舵角が第2の閾値以上のときであることが望ましい。このような車両の走行状態では、後方画像の周辺領域に進入する物体の動きが特に速くなるため、このような場合に限定して周辺領域を暗くすることにより、それ以外の状況での周辺領域の視認性を高めることができる。
【0009】
また、上述した明るさ設定手段は、周辺領域の明るさを、車両の走行速度が速いほど暗くすることが望ましい。後方画像の周辺領域に進入する物体の動きが速いほど周辺領域の明るさを暗くすることにより、動きが速い物体ほど運転者の確認動作を抑制する程度を大きくすることが可能となる。
【0010】
また、上述した明るさ設定手段は、周辺領域の明るさを、中央領域から遠ざかるほど暗くすることが望ましい。後方画像の周辺領域に物体が進入する瞬間の視認性を特に低下させることができるため、物体が進入した瞬間に生じる運転者の確認動作を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態の後方画像表示装置の構成を示す図である。
図2】表示装置に表示される後方画像を構成する複数の領域の説明図である。
図3】走行速度に対応させて周辺領域L、Rの明るさを低減する場合の明るさの設定例を示す図である。
図4】中央領域Cと周辺領域L、Rとの位置関係に応じて周辺領域L、Rの明るさを低減する場合の明るさの設定例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した一実施形態の後方画像表示装置について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、一実施形態の後方画像表示装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の後方画像表示装置100は、カメラ110、画像格納部112、後方画像描画部114、表示処理部116、表示装置118、走行状態判定部120、明るさ設定部122、ルームミラー200を含んで構成されている。この後方画像表示装置100を用いることにより、例えば、クラス1の電子ミラーとしての機能を実現することができる。
【0014】
カメラ110は、車両後方の所定位置(例えば、リヤガラス上部やナンバープレート上部など)に取り付けられ、車両後方の所定範囲を撮像する。この撮像範囲としては、鏡面を有する従来のルームミラーを通して見ることができる車両後方の範囲よりも広い範囲が設定されている。カメラ110による撮像によって得られた画像(後方画像)は画像格納部112に格納される。
【0015】
後方画像描画部114は、画像格納部112に格納された画像を読み出して表示用の後方画像を描画する。表示処理部116は、後方画像描画部114によって描画された後方画像を表示装置118の画面に表示する。表示装置118は、例えば高輝度の液晶表示装置(LCD)を用いて構成されている。
【0016】
ルームミラー200は、車両の運転席と助手席の中央であってフロントガラスの上部に取り付けられている。このルームミラー200には、裏側に上述した表示装置118の表示画面が備わっており、表示画面に画像が表示されたときに、この表示された画像が鏡面を通して運転者から見えるようになっている。なお、本実施形態では、表示装置118における後方画像の表示態様に特徴があり、この特徴の説明のためには、鏡面を有するルームミラー200は必ずしも必要はなく、表示装置118の画面が直接見えるようにしてもよい。
【0017】
図2は、表示装置118に表示される後方画像を構成する複数の領域の説明図である。図2に示すように、表示装置118に表示される後方画像Dには、中央領域Cとその左右の周辺領域L、Rとが含まれる。中央領域Cは、例えば、従来型のルームミラー(表示装置などが備わっておらず、車両後方の背景を反射させるだけの機能を有するルームミラー)を通して見ることができる車両後方の範囲に対応している。また、中央領域Cの左側の周辺領域Lと右側の周辺領域Rは、この範囲から左右に外れる車両後方の背景が含まれる範囲に対応している。
【0018】
走行状態判定部120は、周辺領域L、Rに映る画像(物体)の動きが速くなる車両の走行状態を判定する。具体的には、動きが速い旨の判定がなされる走行状態としては、車両の走行速度が第1の閾値以上のときとすることが考えられる。車両の走行速度が速いほど、周辺領域L、R内に進入する物体の動きが速くなる。走行速度の検出は、一定距離走行する毎に出力される車速パルスをカウントしたり、車両制御装置等から通信回線で速度情報を取得することで行う場合が考えられる。なお、加速度センサの出力に基づいて速度を検出するようにしてもよい。
【0019】
明るさ設定部122は、走行状態判定部120によって動きが速い旨の判定がなされたとき(車両の速度が第1の閾値以上になったとき)に、後方画像に含まれる周辺領域L、Rの明るさをそれ以前(車両の速度が第1の閾値よりも遅かったとき)の明るさよりも暗くする。
【0020】
本実施形態では、画像の明るさを暗くする場合に、色彩を維持しながら周辺領域L、Rの明るさを暗くすることが望ましい。そのため、周辺領域L、Rに含まれる各画素の諧調を低減することが考えられる。例えば、各画素をRGBのそれぞれを所定ビット数の諧調で表現する場合に、RGBの各諧調を同じ比率(例えば、各諧調に0.5を乗じる)で小さくすればよい。
【0021】
なお、周辺領域L、Rの明るさを暗くする判定動作は明るさ設定部122で行われるが、各画素の諧調を変更する処理は、後方画像描画部114で行う場合の他、明るさ設定部122が行うようにしてもよい。
【0022】
上述したカメラ110が撮像手段に、後方画像描画部114が後方画像描画手段に、明るさ設定部122が明るさ設定手段に、表示処理部116、表示装置118が表示手段に、走行状態判定部122が走行状態判定手段にそれぞれ対応する。
【0023】
このように、本実施形態の後方画像表示装置100では、表示装置118に後方画像を表示する場合に、中央領域Cの左右の周辺領域L、Rの明るさを暗くしており、動きが速い白い物体や光る物体などがこの周辺領域L、R内にその周辺から進入してきた場合であっても、これらの物体の視認性を低下させることができるため、これらの物体に対する運転者の反射的な確認動作を抑制して疲労感を低減することが可能となる。
【0024】
特に、周辺領域L、Rに映る画像(物体)の動きが速くなる車両の走行状態のとき、具体的には、車両の走行速度が速いとき(走行速度が第1の閾値以上のとき)に、周辺領域L、Rの明るさを暗くしている。このような車両の走行状態では、周辺領域L、Rに進入する物体の動きが速くなるため、このような場合に限定して周辺領域L、Rを暗くすることにより、それ以外の状況では周辺領域L、Rを明るくしてその視認性を高めることができる。
【0025】
ところで、上述した実施形態では、後方画像の周辺領域L、Rの明るさを一律に低減する場合について説明したが、車両の走行速度が速いほど周辺領域L、Rの明るさを暗くするようにしてもよい。
【0026】
図3は、走行速度に対応させて周辺領域L、Rの明るさを低減する場合の明るさの設定例を示す図である。図3において、横軸は車両の走行速度Vを、縦軸は明るさBを示している。図3(A)には、走行速度Vが第1の閾値V1以上のときに明るさBをB0から一律にB1に低減する場合が示されている。また、図3(B)には、走行速度Vが第1の閾値V1以上のときに走行速度Vに反比例するように明るさBをB0から階段状に低減する場合が示されている。図3(C)には、走行速度Vが第1の閾値V1以上のときに走行速度Vに反比例するように明るさBをB0から連続的に低減する場合が示されている。
【0027】
このように、走行速度Vに応じて周辺領域L、Rの明るさを可変することにより、周辺領域L、Rに進入する物体の動きが走行速度に応じて速くなるほど周辺領域L、Rの明るさを暗くすることができ、動きが速い物体ほど運転者の確認動作を抑制する程度を大きくすることが可能となる。
【0028】
また、上述した実施形態では、後方画像の周辺領域L、R全体の明るさを暗くしたが、中央領域Cから遠ざかるほど暗くするようにしてもよい。
【0029】
図4は、中央領域Cと周辺領域L、Rとの位置関係に応じて周辺領域L、Rの明るさを低減する場合の明るさの設定例を示す図である。図4において、横軸は後方画像における位置Pを、縦軸は明るさBを示している。図4(A)には、周辺領域L、Rの明るさBをB0から、中央領域Cから遠ざかるほど(左右端部に近づくほど)階段状に低減する場合が示されている。また、図4(B)には、周辺領域L、Rの明るさBをB0から、中央領域Cから遠ざかるほど連続的に低減する場合が示されている。
【0030】
このように、周辺領域L、Rの明るさを中央領域Cから遠ざかるほど暗くすることにより、後方画像の周辺領域L、Rに物体が進入する瞬間の視認性を特に低下させることができるため、物体が進入した瞬間に生じる運転者の確認動作を抑制することが可能となる。
【0031】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。上述した実施形態では、車両の走行速度に基づいて、周辺領域L、Rに映る画像(物体)の動きが速くなる車両の走行状態を判定するようにしたが、車両の走行速度が第1の閾値以上であって、かつ、ステアリングの舵角が第2の閾値以上のときが、周辺領域L、Rに映る画像(物体)の動きが速くなる車両の走行状態であるとしてもよい。ハンドルを大きく切る場合にも、後方画像の周辺領域L、Rの明るさを暗くすることにより、これらの領域内にその周辺から進入してきた物体に対する運転者の反射的な確認動作を抑制して疲労感を低減することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
上述したように、本発明によれば、表示装置に後方画像を表示する場合に、中央領域の左右の周辺領域の明るさを暗くしており、動きが速い白い物体や光る物体などがこの周辺領域内に進入してきた場合であってもこれらの物体の視認性を低下させることができるため、これらの物体に対する運転者の反射的な確認動作を抑制して疲労感を低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
100 後方画像表示装置
110 カメラ
112 画像格納部
114 後方画像描画部
116 表示処理部
118 表示装置
120 走行状態判定部
122 明るさ設定部
200 ルームミラー
図1
図2
図3
図4