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  • 特開-インチング制御方法 図1
  • 特開-インチング制御方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147855
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】インチング制御方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/12 20060101AFI20241009BHJP
【FI】
B23K9/12 303A
B23K9/12 305
B23K9/12 304B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060527
(22)【出願日】2023-04-04
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(72)【発明者】
【氏名】今井 雄太
(57)【要約】
【課題】プッシュプル送給方式を使用してアーク溶接を行う場合のインチング作業において、溶接ワイヤの座屈を抑制すると共に、インチングに要する時間が長くなることを抑制すること。
【解決手段】プッシュ送給機5及びプル送給機6によって溶接ワイヤ1を送給してアーク溶接を行うための準備として、溶接ワイヤ1をプッシュ送給機5の送給ロール52の位置からプル送給機6の送給ロール62を通過して溶接トーチ4の先端位置まで送給するインチング制御方法において、インチングによって溶接ワイヤ1の先端が、プル送給機6の送給ロール62の位置に達すると、送給速度を溶接ワイヤ1が座屈しない所定値に変更する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プッシュ送給機及びプル送給機によって溶接ワイヤを送給してアーク溶接を行うための準備として、前記溶接ワイヤを前記プッシュ送給機の送給ロール位置から前記プル送給機の送給ロールを通過して溶接トーチの先端位置まで送給するインチング制御方法において、
前記インチングによって前記溶接ワイヤの先端が前記プル送給機の送給ロール位置に達すると、送給速度を前記溶接ワイヤが座屈しない所定値に変更する、
ことを特徴とするインチング制御方法。
【請求項2】
前記溶接ワイヤの先端が前記溶接トーチの先端位置に達すると、送給を停止する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインチング制御方法。
【請求項3】
前記溶接ワイヤの先端が前記プル送給機の送給ロール位置に達したことを、前記インチング開始からの送給距離が第1基準距離に達したことによって判別する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のインチング制御方法。
【請求項4】
前記溶接ワイヤの先端が前記プル送給機の送給ロール位置に達したことを、前記インチング開始からの送給距離が第1基準距離に達したことによって判別し、
前記溶接ワイヤの先端が前記溶接トーチの先端位置に達したことを、前記インチング開始からの送給距離が前記第1基準距離よりも長い第2基準距離に達したことによって判別する、
ことを特徴とする請求項2に記載のインチング制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接の準備に際して、溶接ワイヤを溶接トーチの先端まで送給するインチング制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶接を開始する前の準備作業として、溶接ワイヤをワイヤリールから引き出して送給機の送給ロールにセットし、送給ロール位置から溶接トーチの先端位置まで送給するインチング作業が行われる。インチング時の送給速度が高速である場合には、インチングを停止するタイミングが遅れると、溶接ワイヤが溶接トーチの先端位置から長く突出した状態で送給が停止することになり、突出長さを適正長さに切断する作業が必要になる。このような作業は、作業効率を低下させることになり、溶接ワイヤの消費量を増加させることにもなる。
【0003】
特許文献1の発明では、インチング開始時からの送給量が、溶接トーチの先端位置までの距離に相当する基準量に達すると、送給速度を減速して突出長さが長くなることを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-18028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
溶接ワイヤの送給距離が10mを超える場合には、送給状態を安定化するために、送給機としてプッシュ送給機とプル送給機の2台の送給機を用いて溶接ワイヤを送給するプッシュプル送給方式が使用されることが多い。プッシュプル送給方式において、インチング時の送給速度が高速になると、溶接ワイヤの先端がプル送給機の送給ロールを通過するときに座屈が発生して送給不能となる問題が発生する場合がある。特に、溶接ワイヤの素材が柔らかいアルミニウム材である場合は、この問題が顕著となる。この問題に対処するために、送給速度を座屈が生じない遅い速度に設定すると、長い送給経路を送給するのに長い時間が必要となり、準備作業の効率が低下する。
【0006】
そこで、本発明では、プッシュプル送給方式を使用する場合のインチング作業において、溶接ワイヤの座屈を抑制すると共に、インチングに要する時間が長くなることを抑制することができるインチング制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
プッシュ送給機及びプル送給機によって溶接ワイヤを送給してアーク溶接を行うための準備として、前記溶接ワイヤを前記プッシュ送給機の送給ロール位置から前記プル送給機の送給ロールを通過して溶接トーチの先端位置まで送給するインチング制御方法において、
前記インチングによって前記溶接ワイヤの先端が前記プル送給機の送給ロール位置に達すると、送給速度を前記溶接ワイヤが座屈しない所定値に変更する、
ことを特徴とするインチング制御方法である。
【0008】
請求項2の発明は、
前記溶接ワイヤの先端が前記溶接トーチの先端位置に達すると、送給を停止する、
ことを特徴とする請求項1に記載のインチング制御方法である。
【0009】
請求項3の発明は、
前記溶接ワイヤの先端が前記プル送給機の送給ロール位置に達したことを、前記インチング開始からの送給距離が第1基準距離に達したことによって判別する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のインチング制御方法である。
【0010】
請求項4の発明は、
前記溶接ワイヤの先端が前記プル送給機の送給ロール位置に達したことを、前記インチング開始からの送給距離が第1基準距離に達したことによって判別し、
前記溶接ワイヤの先端が前記溶接トーチの先端位置に達したことを、前記インチング開始からの送給距離が前記第1基準距離よりも長い第2基準距離に達したことによって判別する、
ことを特徴とする請求項2に記載のインチング制御方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るインチング制御方法によれば、プッシュプル送給方式を使用する場合において、溶接ワイヤの座屈を抑制すると共に、インチングに要する時間が長くなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係るインチング制御方法を実施するための溶接装置の構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係るインチング制御方法を示す図1の溶接装置における各信号のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係るインチング制御方法を実施するための溶接装置の構成図である。以下、同図を参照して各構成物について説明する。
【0015】
起動回路TSは、起動スイッチ等であり、オン状態にするとHighレベルとなり、オフ状態にするとLowレベルとなる起動信号Tsを出力する。
【0016】
送給速度設定回路FRは、溶接中及びインチング中の送給速度を設定するための送給速度設定信号Frを出力する。
【0017】
基準送給速度設定信号FSRは、インチング時において、溶接ワイヤ1の先端がプル送給ロール62の位置に達した後に座屈が発生しない送給速度を設定するための所定値の基準送給速度設定信号Fsrを出力する。
【0018】
送給速度制御設定回路FCRは、送給速度設定信号Fr、基準送給速度設定信号Fsr及び後述する送給距離判別信号Ldを入力として、送給距離判別信号LdがLowレベルのときは送給速度設定信号Frの値となり、送給距離判別信号LdがHighレベルのときは基準送給速度設定信号Fsrの値となる送給速度制御設定信号Fcrを出力する。これにより、インチング時の送給速度は、溶接ワイヤ1の先端がプル送給ロール62の位置に達するまでは送給速度設定信号Frの値となり、その後は基準送給速度設定信号Fsrの値に切り換わる。
【0019】
送給距離判別回路LDは、インチング開始信号Is、送給速度制御設定信号Fcrを入力として、インチング開始信号IsがHighレベルに変化した時点からの経過時間t[秒]を計測し、送給距離L=Fcr[m/秒]×tが予め定めた第1基準距離L1と等しくなった時点でHighレベルとなり、その後に送給距離Lが第1基準距離L1よりも長い値に予め定めた第2基準距離L2と等しくなった時点でLowレベルに戻る送給距離判別信号Ldを出力する。第1基準距離L1は、プッシュ送給ロール52の位置から中間ケーブル8を経てプル送給ロール62の位置までの送給距離として予め設定される。したがって、第1基準距離L1は、ほぼ中間ケーブルの永さとなる。第2基準距離L2は、プッシュ送給ロール52の位置→中間ケーブル8→プル送給ロール62→溶接トーチ4の先端位置までの送給距離に予め設定される。したがって、第2基準距離L2は、第1基準距離L1に溶接トーチ4の内部の送給距離を加算した値となる。この結果、送給距離判別信号Ldは、インチング時において、溶接ワイヤ1の先端がプル送給ロール62の位置に達するとHighレベルとなり、その後に溶接トーチ4の先端位置に達するとLowレベルに戻る信号となる。
【0020】
プッシュ送給制御回路FC1は、インチング開始信号Is、送給速度制御設定信号Fcr及び送給距離判別信号Ldを入力として、インチング開始信号IsがHighレベルに変化すると溶接ワイヤ1を送給速度制御設定信号Fcrの値で送給するためのプッシュ送給制御信号Fc1を出力し、その後に送給距離判別信号LdがHighレベルからLowレベルに変化すると送給を停止するプッシュ送給制御信号Fc1を出力する。
【0021】
プル送給制御回路FC2は、インチング開始信号Is、送給速度制御設定信号Fcr及び送給距離判別信号Ldを入力として、インチング開始信号IsがHighレベルに変化すると溶接ワイヤ1を送給速度制御設定信号Fcrの値で送給するためのプル送給制御信号Fc2を出力し、その後に送給距離判別信号LdがHighレベルからLowレベルに変化すると送給を停止するプル送給制御信号Fc2を出力する。
【0022】
溶接電源PSは、起動信号Tsを入力として、起動信号TsがHighレベルのときは溶接電圧Vw及び溶接電流Iwを出力する。
【0023】
プッシュ送給機5は、プッシュ送給モータ51及び一対のプッシュ送給ロール52を備えている。プッシュ送給モータ51は、プッシュ送給制御信号Fc1を入力として、ワイヤリール7から引き出された溶接ワイヤ1を送給速度制御設定信号Fcrの値で送給するようにプッシュ送給ロール52を回転させる。
【0024】
プル送給機6は、中間ケーブルによってプッシュ送給機5と接続されており、プル送給モータ61及び一対のプル送給ロール62を備えている。プル送給モータ61は、プル送給制御信号Fc2を入力として、中間ケーブル8を通過した溶接ワイヤ1を送給速度制御設定信号Fcrの値で送給するようにプル送給ロール62を回転させる。
【0025】
溶接トーチ4は、プル送給機6と接続されており、溶接ワイヤ1が内部の送給経路及び給電チップ41を通して送給される。
【0026】
したがって、溶接ワイヤ1の送給経路は、ワイヤリール7→プッシュ送給ロール52→中間ケーブル8→プル送給ロール62→溶接トーチ4→給電チップ41となる。
【0027】
溶接電源PSのプラス出力端子と溶接トーチ4の給電チップ41とは導電けーぶるで接続されており、溶接ワイヤ1と接触して電力を給電する。実際には、給電は、溶接電源PSのプラス出力端子→プッシュ送給機5→中間ケーブル8→プル送給機6→溶接トーチ4→給電チップ41の経路で行われるが、同図ではプラス出力端子と給電チップ41とを接続して図示を簡略化している。溶接電源PSのマイナス出力端子と母材2とは導電ケーブルで接続されている。
【0028】
溶接ワイヤ1の先端と母材2との間でアーク3が発生して、溶接が行われる。図示しないシールドガスが溶接トーチ4の先端から噴出されて、アーク3を大気から遮蔽する。
【0029】
図2は、本発明の実施の形態に係るインチング制御方法を示す図1の溶接装置における各信号のタイミングチャートである。同図(A)はインチング開始信号Isの時間変化を示し、同図(B)は送給速度Fw[m/秒]の時間変化を示し、同図(C)は溶接ワイヤの送給距離L[m]の時間変化を示し、同図(D)は送給距離判別信号Ldの時間変化を示す。以下、同図を参照して各信号の動作について説明する。
【0030】
同図は、図1に示すように、プッシュ送給機5及びプル送給機6を使用して溶接する場合において、溶接作業者が、アーク溶接を行うための準備として、溶接ワイヤをワイヤリール7から引き出してプッシュ送給ロール52セットし、プル送給ロール62を通過して溶接トーチ4の先端まで送給するインチング動作を行う場合である。 同図において、図1の起動信号TsはLowレベルのままであるので、図1の溶接電源PSは起動されず溶接電圧Vw及び溶接電流Iwは出力されない。
【0031】
時刻t1において、溶接作業者が図1のインチング開始回路ISのスイッチを短時間オン状態にすると、同図(A)に示すように、インチング開始信号Isが短時間Highレベルとなる。これに応動して、図1のプッシュ送給機5及びプル送給機6が駆動されて溶接ワイヤの送給が開始され、同図(B)に示すように、送給速度Fwは図1の送給速度設定信号Frで設定された値となる。送給速度設定信号Frの溶接中の設定範囲は、0.02~0.2m/秒程度である。インチング動作中は時間を短縮するために、送給速度設定信号Frの値は、0.1~0.2m/秒程度に設定されることが多い。同図(C)に示す送給距離Lは、図1のプッシュ送給ロール52の位置からの溶接ワイヤの送給距離を示しており、時刻t1から時間の経過に伴い0から直線状に右肩上がりに増加する。
【0032】
時刻t2において、同図(C)に示すように、送給距離Lが予め定めた第1基準距離L1に等しくなると、同図(D)に示すように、送給距離判別信号LdがHighレベルに変化する。ここで、第1基準距離L1の設定値は、図1のプッシュ送給ロール52の位置からプル送給ロール62の位置までの送給経路の距離であり、図1の中間ケーブル8の長さとほぼ等しくなる。したがって、時刻t2において、溶接ワイヤの先端はプル送給ロール62の位置まで送給されている。これに応動して、同図(B)に示すように、送給速度Fwは、図1の基準送給速度設定信号Fsrによって定まる値へと変化(減速)する。基準送給速度設定信号Fsrは、溶接ワイヤの先端がプル送給ロール62を通過するときに座屈しない値に設定され、0.025~0.05m/秒程度に予め設定される。基準送給速度設定信号Fsrの値は、溶接ワイヤの材質によって適正値に設定される。材質がアルミニウムであるときは鉄鋼であるときよりも低速値に設定される。特に、材質が4043のアルミシリコン合金であるときは、座屈がより生じやすいので、さらに低速値に設定される。これにより、溶接ワイヤの先端がプル送給ロール62を通過するときの送給速度Fwが低速値に自動的に変化するので、座屈による送給不能状態となることを防止することができる。また、第1基準距離L1を、送給速度Fwが減速するのに要する時間を考慮して、プッシュ送給ロール52の位置からプル送給ロール62の位置までの送給経路の距離よりも少し短い距離(例えば0.1m)に設定しても良い。
【0033】
時刻t2からは送給速度Fwが減速するので、同図(C)に示すように、送給距離Lは、時刻t1~t2の期間中よりも緩やかに右肩上がりに増加する。そして、時刻t3において、同図(C)に示すように、送給距離Lが予め定めた第2基準距離L2と等しくなると、同図(D)に示すように、送給距離判別信号LdはLowレベルに戻る。ここで、第2基準距離L2は、プッシュ送給ロール52の位置から溶接トーチ4の先端位置までの送給経路の距離に適正突出し長(10~15mm程度)を加算した値に設定されている。したがって、時刻t3において、溶接ワイヤの先端が溶接トーチ4の先端位置まで達したことになる。これに応動して、図1のプッシュ送給機5及びプル送給機6の駆動が停止されるので、同図(B)に示すように、送給速度Fwは0となり、溶接ワイヤの送給が停止する。これにより、溶接ワイヤの先端は溶接トーチ4の先端から適正な突出し長の状態で自動的に停止するので、インチング作業の効率化を図ることができる。
【0034】
上記の各パラメータの数値例を示す。L1=10m、L2=3m、Fr=0.2m/秒、Fsr=0.05m/秒に設定すると、インチング開始からプル送給ロール位置まで達する時間は50秒となり、溶接トーチの先端位置まで達する時間は110秒となる。
【0035】
以下、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、プッシュ送給機及びプル送給機によって溶接ワイヤを送給してアーク溶接を行うための準備として、溶接ワイヤをプッシュ送給機の送給ロール位置からプル送給機の送給ロールを通過して溶接トーチの先端位置まで送給するインチング制御方法において、インチングによって溶接ワイヤの先端がプル送給機の送給ロール位置に達すると、送給速度を溶接ワイヤが座屈しない所定値に変更する。そして、溶接ワイヤの先端がプル送給機の送給ロール位置に達したことを、インチング開始からの送給距離が第1基準距離に達したことによって判別する。これにより、プル送給ロール位置に達するまでの送給速度を高速に設定しても、溶接ワイヤの先端がプル送給ロール位置に達すると、送給速度が自動的に座屈が生じない値へと変化するので、送給不能状態になることを防止することができる。この結果、本実施の形態では、プッシュプル送給方式を使用する場合のインチング作業において、溶接ワイヤの座屈を抑制すると共に、インチングに要する時間が長くなることを抑制することができる。
【0036】
さらに好ましくは、本実施の形態によれば、溶接ワイヤの先端が溶接トーチの先端位置に達すると、送給を停止する。そして、溶接ワイヤの先端が溶接トーチの先端位置に達したことを、インチング開始からの送給距離が第2基準距離に達したことによって判別する。これにより、本実施の形態では、溶接ワイヤの先端が溶接トーチの先端位置に達すると、自動的に送給が停止されるので、インチング作業を効率化することができる。
【0037】
上述した実施の形態において、プッシュ送給機とプル送給機との間の送給経路に、溶接ワイヤを一時的に収用する中間ワイヤ収容部(ワイヤバッファ)を設ける場合にも適用することができる。この中間ワイヤ収容部は、送給性を安定化するために設けられる。
【0038】
本実施の形態において、溶接ワイヤの先端がプル送給ロール位置に達すると、送給を停止するようにしても良い。この場合には、送給速度の設定値を座屈が生じない値に再設定して、インチングを再開して、溶接ワイヤの先端まで送給することになる。
【符号の説明】
【0039】
1 溶接ワイヤ
2 母材
3 アーク
4 溶接トーチ
41 給電チップ
5 プッシュ送給機
51 プッシュ送給モータ
52 プッシュ送給ロール
6 プル送給機
61 プル送給モータ
62 プル送給ロール
7 ワイヤリール
8 中間ケーブル
FC1 プッシュ送給制御回路
Fc1 プッシュ送給制御信号
FC2 プル送給制御回路
Fc2 プル送給制御信号
FCR 送給速度制御設定回路
Fcr 送給速度制御設定信号
FR 送給速度設定回路
Fr 送給速度設定信号
FSR 基準送給速度設定回路
Fsr 基準送給速度設定信号
IS インチング開始回路
Is インチング開始信号
Iw 溶接電流
L1 第1基準距離
L2 第2基準距離
LD 送給距離判別回路
Ld 送給距離判別信号
PS 溶接電源
TS 起動回路
Ts 起動信号
Vw 溶接電圧
図1
図2